以下では、本実施形態のアンテナ装置10について、図1ないし図9を参照しながら説明する。なお、図中において、同じ部材に対しては、同じ符号を付して重複する説明を省略する。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。以下の説明において、本実施形態を構成する各要素は、複数の要素を一の部材で構成して一の部材が複数の要素を兼ねる態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現してもよい。
本実施形態のアンテナ装置10は、図1ないし図4に示すように、アンテナコイル1と、ケース3と、接続部品5と、充填材4とを備えている。ケース3は、アンテナコイル1を収納する凹部3aaを有している。接続部品5は、第1端部5aaがアンテナコイル1と電気的に接続される。接続部品5は、第1端部5aaと反対の第2端部5baが凹部3aaからケース3の外部に突出する。充填材4は、凹部3aaに収納された接続部品5の一部およびアンテナコイル1を封止する。さらに、アンテナ装置10は、ケース3とは別体に形成されたコネクタ部6を備えている。コネクタ部6は、図5および図7に示すように、有底筒状のコネクタハウジング6aを有している。コネクタ部6は、接続部品5の第2端部5baがコネクタハウジング6aの底部6bを貫通してコネクタハウジング6aの内部6aaで露出するように配置されている。ケース3は、図6および図7に示すように、接続部品5が底部6bを貫通する方向に沿った外部から凹部3aaへの接続部品5の移動を規制する規制部3kを有している。接続部品5は、規制部3kと当接させる当接部5kを有している。
本実施形態のアンテナ装置10は、ケース3が規制部3kを有し、接続部品5が規制部3kと当接させる当接部5kを有している、比較的簡単な構成で、より信頼性の高い構造とすることができる。
最初に、本実施形態のアンテナ装置10が用いられる車両30について、図11を用いて説明する。図11では、各構成の電気的な接続を行う電路を、太い破線で例示している。
車両30は、アンテナ装置10と、制御装置32と、施錠装置33aとを車体30aに備えている。車両30は、ユーザが携帯するリモコン装置30bを、車体30aとは別体に備えている。アンテナ装置10は、制御装置32と接続されている。制御装置32は、施錠装置33aと接続されている。制御装置32は、アンテナ装置10や施錠装置33aと有線により電気的に接続される構成だけでなく、無線により接続される構成でもよい。リモコン装置30bは、車体30aの制御装置32と信号の送信や受信ができるように構成されている。リモコン装置30bは、たとえば、受信部35aと、記憶部35bと、制御回路部35cと、送信部35dとを備えた構成とすることができる。車両30は、リモコン装置30bと、車体30aの制御装置32との間で信号の送信や受信を行うことで、ドア33の施錠や解錠を行うことができる。車両30では、リモコン装置30bと、アンテナ装置10と、制御装置32と、施錠装置33aとで、電子キーシステムを構成している。車両30は、リモコン装置30bと、制御装置32との間で信号の送信や受信を行うことで、車体30aのエンジンやモータの駆動の開始や停止を行える状態にできるように構成されている。リモコン装置30bは、ユーザが携帯することができるような電子キーを構成している。車両30では、ユーザがリモコン装置30bを携帯した状態で、車体30aのドア33のドアノブにユーザが触れるなどすると、自動的にドア33の錠の解錠やエンジンの始動などが可能となる。
アンテナ装置10は、車体30aのバンパ31aと、センターコンソール31bとに各別に設けられている。アンテナ装置10は、車体30aのバンパ31aやセンターコンソール31bに設けられる構成だけに限られない。アンテナ装置10は、車体30aのドア33、トランク、カーゴルームやダッシュボードなどに設けられていてもよい。車体30aは、1つ以上のアンテナ装置10が設けられていればよい。施錠装置33aは、ドア33に設けられている。施錠装置33aは、ドア33の施錠や解錠をアクチュエータの制御で行うことができるように構成されている。制御装置32は、たとえば、車体30aに搭載されたECU(Electronic Control Unit)を利用して構成することができる。
制御装置32は、リモコン装置30bへ電波で信号を送信できるようにアンテナ装置10と接続されている。以下では、アンテナ装置10から送信される電波を第1送信波30waとも称する。制御装置32は、たとえば、車両30が駐車中の場合、アンテナ装置10からリモコン装置30bに応答を要求する要求信号が含まれた第1送信波30waを送信させる。アンテナ装置10は、たとえば、第1送信波30waを、LF(Low Frequency)帯の周波数の電波で送信できるように構成されている。リモコン装置30bは、たとえば、リモコン装置30bを携帯しているユーザが、アンテナ装置10から送信された第1送信波30waを受信可能な領域にいる場合、第1送信波30waを受信部35aで受信する。リモコン装置30bは、制御装置32からの要求信号に応じて、制御回路部35cが、記憶部35bに予め記憶されている識別情報が含まれる応答信号を送信部35dから送信する。送信部35dは、応答信号をUHF(Ultra High Frequency)帯の周波数の電波で送信する。以下では、リモコン装置30bからの電波を第2送信波30wbとも称する。制御装置32は、たとえば、リモコン装置30bからの応答信号を受信できるように、UHF受信機を内蔵した構造とすることができる。制御装置32は、受信した応答信号に含まれる識別情報と、制御装置32に内蔵された記憶装置に予め記憶された識別情報とを比較する。制御装置32は、リモコン装置30bの識別情報と、車体30aの記憶装置に記憶された識別情報とが一致すれば、ドア33の施錠装置33aが解錠されるようにアクチュエータを制御する。
本実施形態のアンテナ装置10は、LF帯の第1送信波30waを送信する構成としている。リモコン装置30bは、UHF帯の第2送信波30wbを送信する構成としている。アンテナ装置10は、LF帯の電波の周波数がUHF帯と比べて低いため、電界強度の微調整を比較的容易に行うことができる。車両30では、センターコンソール31bに設けた車内のアンテナ装置10からの第1送信波30waにおける電界強度の微調整が行えることで、車外に第1送信波30waが漏れることを抑制することができる。車両30は、アンテナ装置10からの第1送信波30waにおける電界強度の微調整を適宜に行うことで、リモコン装置30bが車体30aの外部に存在するにも関わらず、リモコン装置30bが車内にあると誤検知することを防止することが可能となる。アンテナ装置10は、必ずしもLF帯の周波数の電波を送信する構成だけに限られず、他の周波数帯の電波を送信する構成でもよい。アンテナ装置10は、電波を送信するために用いられる場合だけに限られず、電波を受信するために用いられてもよい。また、アンテナ装置10は、電波を送信と受信とを行うために用いられてもよい。
以下では、アンテナ装置10のより具体的な構成について説明する。
本実施形態のアンテナ装置10は、アンテナコイル1と、ケース3と、充填材4と、接続部品5と、コネクタ部6とに加え、図2に示すように、電子部品2やスリーブ7を有している。
アンテナコイル1は、アンテナ装置10の外部から入力された高周波エネルギの信号を、電波として送信することができる。アンテナコイル1は、巻線1aにより形成されている。巻線1aは、ボビン1bに電線1dを巻回させて形成することができる。電線1dは、表面が絶縁処理された金属線材を用いることができる。金属線材は、たとえば、銅線を用いることができる。金属線材は、たとえば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁材により被膜されることで、表面の絶縁処理が行われる。
ボビン1bは、本体部1baと、第1枠体1bbと、第2枠体1bcとを備えている。本体部1baは、角筒状の外形形状を有している。第1枠体1bbは、本体部1baの長手方向の一端に設けられている。第1枠体1bbは、本体部1baの外形よりも大きい枠状に形成されている。第2枠体1bcは、本体部1baの長手方向の一端とは反対の他端に設けられている。第2枠体1bcは、本体部1baの外形形状よりも大きい枠状に形成されている。ボビン1bは、第1枠体1bbと第2枠体1bcとにより本体部1baに巻回された巻線1aの移動を抑制することができる。ボビン1bは、一対の電線1dを第1枠体1bb側から導出できるように構成されている。
ボビン1bは、たとえば、樹脂材料を用いて形成することができる。ボビン1bは、樹脂材料を用いる場合、樹脂材料中にガラス繊維を配合させることで機械的強度を高めてもよい。ボビン1bは、たとえば、樹脂材料中に30重量%のガラス繊維を配合した構成とすることができる。樹脂材料中のガラス繊維は、30重量%だけに限られず、5重量%ないし50重量%の範囲内で適宜に含有されていてもよい。ボビン1bの樹脂材料としては、たとえば、PBT(Poly Butylene Terephthalate)樹脂、PA(Poly Amide)樹脂、LCP(Liquid Crystal Plastic)樹脂、PET(Poly Ethylene Terephthalate)樹脂などを用いることができる。
ボビン1bは、本体部1ba内にフェライトコア1cが挿通されている。フェライトコア1cは、磁性体で形成されている。フェライトコア1cは、アンテナコイル1のインダクタンスを高めることができる。ボビン1bは、本体部1ba内に突出する突起を備えた構成とすることができる。フェライトコア1cは、本体部1ba内の突起に押圧されてボビン1bに固定される。フェライトコア1cは、本体部1ba内の突起に押圧されてボビン1bに固定される構成だけに限られず、接着剤でボビン1bに固定されてもよい。フェライトコア1cは、直方体状の外形形状としている。フェライトコア1cは、ボビン1bよりも長尺状に形成されている。フェライトコア1cは、たとえば、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライトや銅亜鉛フェライトなどを用いて構成することができる。
ボビン1bは、アンテナコイル1の巻線1aと電気的に接続させるコイル端子5aを第1枠体1bbから突出するように設けられている。コイル端子5aは、平板状の金属材を用いて形成することができる。コイル端子5aは、平板状の金属材に、打ち抜き加工、折り曲げ加工や押圧加工を施して形成することができる。コイル端子5aは、導電性の高い材料を用いることが好ましい。コイル端子5aの材料としては、たとえば、表面をSnでめっきした黄銅を用いることができる。コイル端子5aの材料は、黄銅だけに限られない。コイル端子5aの材料は、リン青銅、鉄入り銅、真鍮や表面をAgでめっきした銅などを用いることもできる。
コイル端子5aは、第1コイル端子5a1と、第2コイル端子5a2と、第3コイル端子5a3とを有している。第1コイル端子5a1は、平面視において、I字状の外形形状をしている。第2コイル端子5a2は、平面視において、L字状の外形形状をしている。第3コイル端子5a3は、平面視において、L字状の外形形状をしている。第1コイル端子5a1と第2コイル端子5a2と第3コイル端子5a3とは、所定の間隔を隔てて並んで設けられている。第3コイル端子5a3は、第2コイル端子5a2を介して、第1コイル端子5a1と反対側に設けられている。
コイル端子5aは、挿入部5pと、ストッパ部5sとを備えている。挿入部5pは、ボビン1bの第1枠体1bbの端面に設けられた挿入孔に挿入される。ストッパ部5sは、挿入部5pの挿入方向と直交する方向に突出している。ストッパ部5sは、第1枠体1bbへの挿入部5pの挿入を規制する。コイル端子5aは、挟持部5nを備えた構成とすることもできる。挟持部5nは、コイル端子5aの一側端から突出する側端縁を折り曲げ加工することにより形成される。挟持部5nは、巻線1aからの電線1dを挟み込むことができるように構成されている。コイル端子5aは、表面に突出部5rを備えた構成とすることが好ましい。突出部5rは、コイル端子5aを構成する金属材の押圧加工により形成することができる。
第1コイル端子5a1と第3コイル端子5a3とは、アンテナコイル1からの一対の電線1dを各別に挟み込むことができるように、挟持部5nを備えている。第1コイル端子5a1の挟持部5nと、第3コイル端子5a3の挟持部5nとは、平面視において、対向するように配置されている。アンテナ装置10は、アンテナコイル1とボビン1bとフェライトコア1cとコイル端子5aとで、バーアンテナを構成している。バーアンテナには、電子部品2が電気的に接続されている。
電子部品2としては、たとえば、コンデンサ2aが挙げられる。コンデンサ2aは、アンテナコイル1とともに共振回路を構成することができる。コンデンサ2aは、たとえば、セラミックコンデンサを用いることができる。電子部品2は、コンデンサ2aだけに限られず、コンデンサ2aに加えて抵抗器や集積回路装置などであってもよい。アンテナ装置10は、抵抗器と、アンテナコイル1およびコンデンサ2aとを直列または並列に電気的に接続させてRLC回路を構成することができる。アンテナ装置10は、必ずしもコンデンサ2aや抵抗器などの電子部品2をアンテナ装置10の内部に設ける必要はない。アンテナ装置10は、電子部品2を、アンテナ装置10とは別途の外部に備えた構成としてもよい。アンテナ装置10は、RLC回路におけるコンデンサ2aの容量を適宜に設定することで、所定の周波数の電波に同調させることができる。コンデンサ2aは、第1コイル端子5a1と、第2コイル端子5a2とに電気的に接続されている。コンデンサ2aの第1端子2a1は、第1コイル端子5a1を介して、アンテナコイル1の巻線1aの一方の電線1dと電気的に接続される。コンデンサ2aの第2端子2a2は、第2コイル端子5a2と電気的に接続されている。コンデンサ2aは、第1コイル端子5a1や第2コイル端子5a2とスポット溶接により接合させることができる。コンデンサ2aは、第1コイル端子5a1や第2コイル端子5a2とスポット溶接により接合させるだけでなく、レーザ溶接や半田付けにより接続させてもよい。
アンテナ装置10は、第1コイル端子5a1と、第2コイル端子5a2とをコンデンサ2aで電気的に接続させる代わりに、第1コイル端子5a1と第2コイル端子5a2とを電気的に接続する接続片を備えた構成としてもよい。接続片は、第1コイル端子5a1や第2コイル端子5a2と別途に形成される構成でもよい。接続片は、第1コイル端子5a1および第2コイル端子5a2と一体的に形成される構成でもよい。アンテナ装置10では、第1コイル端子5a1、第2コイル端子5a2の形成時における金属材に打ち抜き加工を行う金型の違いで、接続片がない構成と、接続片を有する構成とに適宜に作り分けることもできる。アンテナ装置10は、第1コイル端子5a1と第2コイル端子5a2とを接続片で電気的に接続させる場合、アンテナコイル1とアンテナ装置10の外部に設けたコンデンサ2aとを電気的に直列接続や並列接続させて共振回路を構成すればよい。
ケース3は、ケース本体部3bと、フランジ部3fとを備えている。ケース本体部3bは、底壁部3hと、側壁3aとを備えている。底壁部3hは、平面視において、L字状の外形形状をしている。側壁3aは、底壁部3hを囲むように底壁部3hに対して垂直方向に沿って延びるように設けられている。ケース本体部3bは、側壁3aで底壁部3hを囲む領域が凹部3aaを構成している。ケース本体部3bは、平面視において、第1箱部3b1と第2箱部3b2とでL字形状をしているともいえる。第1箱部3b1は、平面視において、矩形状の外形形状をしている。第2箱部3b2は、平面視において、矩形状の外形形状をしている。第1箱部3b1は、第2箱部3b2よりも長尺状に形成している。第2箱部3b2は、第1箱部3b1の端から第1箱部3b1の長手方向と垂直方向に突出している。ケース本体部3bでは、第1箱部3b1と第2箱部3b2とが連なるように凹部3aaを構成している。ケース本体部3bは、第1箱部3b1と第2箱部3b2とが一体的に形成されている。
ケース3は、アンテナコイル1の巻線1aが巻回されたボビン1bが第1箱部3b1に収納される。ケース3は、第1箱部3b1において、凹部3aaを構成する側壁3aの内側面に切り欠き溝3bcを備えている。切り欠き溝3bcは、ボビン1bの第1枠体1bbを案内して収納できるように、切り欠き溝3bcの溝幅を第1枠体1bbの枠幅よりも若干大きく形成している。
ケース3は、図6に示すように、第2箱部3b2において、凹部3aaの底壁部3hから突出する規制部3kを備えている。規制部3kは、平面視において、矩形状の外形形状をしている。規制部3kは、凹部3aaの底壁部3hから柱状に突出して設けられている。規制部3kは、角柱状に形成されている。ケース3は、第2箱部3b2において、凹部3aaを構成する側壁3aに切り欠き部3cを有している。ケース3は、切り欠き部3cを介して、凹部3aaからケース3の外部まで延びるように接続部品5の第2端部5baを配置することができるように構成されている。ケース3は、第2箱部3b2において、凹部3aaを構成する側壁3aにコネクタ部6を保持する保持部3dを有している。ケース3は、切り欠き部3cの周部の側壁3aに保持部3dを設けている。保持部3dは、ガイド溝3gを備えている。すなわち、ケース3の側壁3aには、ガイド溝3gが切り欠き部3cの周部に設けられている。保持部3dは、ガイド溝3gを狭めるように、側壁3aに向かって突出するリブ3d1を備えている。リブ3d1は、凹部3aaの深さ方向に沿って長尺状の外形形状をしている。
ガイド溝3gの内底面3gsには、溝部3gg(以下、第1溝部3ggともいう)が形成されている。第1溝部3ggは、内底面3gsに沿って設けられている。切り欠き部3cは、ガイド溝3gにおける第1溝部3ggと同様の欠き溝3cgを備えている。ケース3は、ガイド溝3gの内底面3gsにおいて、外部に連なるように開口した開口孔3ghを備えている。開口孔3ghは、ガイド溝3gの内底面3gsにおいて、第1溝部3ggよりもリブ3d1側に設けられている。ガイド溝3gは、接続部品5の第2端部5baが底部6bを貫通する方向と直交する面内において、内底面3gsがU字形状をしていることが好ましい。ガイド溝3gは、内底面3gsがU字形状をしている場合だけに限られず、頂角が鈍角のV字形状をしていてもよい。ガイド溝3gは、内底面3gsがU字形状または頂角が鈍角のV字形状をしていることで、鍔部6daの外周面6drと面接触を行いやすくすることができる。
ケース3は、凹部3aaの開口端に、外部の設置面に取り付ける2以上のフランジ部3fを有している。フランジ部3fは、第1箱部3b1の長手方向に沿って、第1箱部3b1の両端から各別に突出している。フランジ部3fは、凹部3aaの開口端から凹部3aaの深さ方向と垂直な方向に沿った外方に突出するように、ケース本体部3bに設けられている。ケース3は、ケース本体部3bとフランジ部3fとを一体成形によって形成することができる。フランジ部3fは、第1箱部3b1から突出する突出方向と垂直な厚み方向に貫通する貫通孔3fbを備えている。第1箱部3b1の一端から突出したフランジ部3fは、平面視において、貫通孔3fbが第1箱部3b1の長手方向に沿った長円形状をしている。第1箱部3b1の一端と反対の他端から突出したフランジ部3fは、平面視において、貫通孔3fbが円形状をしている。フランジ部3fは、車体30aの設置面にケース3を取り付けることに利用することができる。ケース3は、取付ねじを、フランジ部3fの貫通孔3fbに挿通させて、車体30aのバンパ31aなど他の部材に取り付けられる構造としている。
ケース3は、射出成形により形成する場合、長尺状の第1箱部3b1における側壁3aの開口端がケース3の成形に伴って、そりなどによる変形を生じやすい傾向にある。ケース3は、側壁3aが変形していると、見栄えが悪くなるだけでなく、凹部3aaにアンテナコイル1を収容することが難しくなる可能性がある。また、ケース3は、側壁3aが変形していると、外部の設置面への固定が難しくなる虞もある。そのため、ケース本体部3bは、第1箱部3b1における側壁3aの開口端を、底壁部3h側に窪ませた窪み部3bbを備えていることが好ましい。
ケース3は、樹脂材料の成形品により形成することができる。ケース3は、たとえば、熱可塑性の樹脂材料により形成することができる。ケース3は、樹脂材料の射出成形により形成することで、複雑な形状を比較的簡単に形成することができる。ケース3は、たとえば、PBT樹脂を用いて形成することができる。ケース3は、ガラス繊維を含んだ構成とすることができる。ケース3は、たとえば、樹脂材料中に30重量%のガラス繊維を含んだ構成とすることができる。樹脂材料中のガラス繊維は、30重量%だけに限られず、5重量%ないし50重量%の範囲内で適宜に含有させてもよい。ケース3は、ガラス繊維を含んだ構成とすることで機械的強度を高めることができる。ケース3の材料としては、PBT樹脂だけに限られず、たとえば、PA樹脂、LCP樹脂、PET樹脂、フェノール樹脂、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂やPP(polypropylene)樹脂などを用いてもよい。
充填材4は、充填樹脂のポッティングおよび充填樹脂の硬化により形成することができる。充填材4は、凹部3aaに配置されたアンテナコイル1を封止することができるように形成される。充填材4は、アンテナコイル1、電子部品2や接続部品5を封止することで、アンテナ装置10の防水機能を確保することができる。充填材4は、アンテナ装置10の機械的な強度を高め、アンテナ装置10に外力が加わっても、アンテナコイル1や電子部品2に外力による損傷を生じにくくさせることができる。充填材4は、たとえば、シリコーン樹脂やウレタン樹脂など充填樹脂を用いることができる。充填材4は、凹部3aaに収容されたアンテナコイル1、電子部品2や接続部品5を構成するコネクタ端子5bの一部やコイル端子5aを封止できればよい。充填材4は、アンテナコイル1などを封止できるように、凹部3aaに適宜の量の充填樹脂を充填して硬化させることで形成すればよいが、充填樹脂の量が少なすぎれば、アンテナコイル1などが封止されない。また、充填材4は、凹部3aaに充填する充填樹脂の量が多すぎれば、不必要な充填材4を形成することになる。アンテナ装置10は、適宜の設定量の充填樹脂をポッティングなどにより、凹部3aaに充填して形成されていることが好ましい。
アンテナ装置10では、適宜の設定量の充填樹脂を機械的にポッティングさせる場合であっても、充填樹脂の充填量にばらつきが生ずる場合がある。本実施形態のアンテナ装置10では、凹部3aaの底壁部3hから突出する規制部3kを、充填樹脂の充填量の目安に利用することができる。規制部3kは、アンテナ装置10の組立工程において、目視や検査装置などで、充填樹脂や充填材4が適正の設定量であるか否かの判断に利用することができる。
接続部品5は、アンテナ装置10の内部のアンテナコイル1と、アンテナ装置10の外部とを電気的に接続させるために用いられる。接続部品5は、第1端部5aaと第2端部5baとを備えている。接続部品5は、第1端部5aaと第2端部5baとが電気的に接続されている。本実施形態のアンテナ装置10では、第1端部5aaがコイル端子5aを構成している。アンテナ装置10は、第2端部5baがコネクタ端子5bを構成している。コイル端子5aは、アンテナコイル1の巻線1aにおける電線1dと電気的に接続できるように構成されている。コネクタ端子5bは、アンテナ装置10の外部のプラグ部を介して制御装置32と電気的に接続できるように構成されている。接続部品5は、コイル端子5aとコネクタ端子5bとだけで構成してもよいし、コイル端子5aとコネクタ端子5bとを電気的に接続させる導体を備えた構成でもよい。
接続部品5は、第1コイル端子5a1と第2コイル端子5a2と第3コイル端子5a3との3つのコイル端子5aを備えた構成だけでなく、2つ以上のコイル端子5aがあればよい。接続部品5は、第1コネクタ端子5b1と、第2コネクタ端子5b2との2つのコネクタ端子5bを備えている。コネクタ端子5bは、コイル端子5aと接続する接続導体を構成している。すなわち、接続部品5は、一対の接続導体を有している。第1コネクタ端子5b1は、先端をピン形状としている。先端の形状は、レセプタクルを構成するコネクタ部6と結合させるプラグ部の形状や構造に応じて種々の形状とすることができる。第1コネクタ端子5b1は、屈曲する2個以上の屈曲部5wを備えている。第1コネクタ端子5b1は、屈曲部5wを備えることで、平面視において、L字状の外形形状に形成されている。第1コネクタ端子5b1は、平面視において、矩形状の規制部3kの辺を囲むように、屈曲部5wを設けている。第2コネクタ端子5b2は、第1コネクタ端子5b1と同様に、先端をピン形状としている。第2コネクタ端子5b2は、屈曲する2個以上の屈曲部5wを備えている。第2コネクタ端子5b2は、屈曲部5wを備えることで、平面視において、L字状の外形形状に形成されている。第2コネクタ端子5b2は、平面視において、矩形状の規制部3kの辺を囲むように、屈曲部5wを設けている。
接続部品5のうち、コネクタ端子5bは、規制部3kと当接させる当接部5kを有している。接続部品5は、規制部3kと当接させる当接部5kを有していることで、コネクタ部6へプラグ部を接続する際など接続部品5が凹部3aaに押し込まれるような何らかの力が働いた場合でも、接続部品5の移動を抑制することが可能となる。すなわち、ケース3は、接続部品5が底部6bを貫通する方向に沿った外部から凹部3aaへの接続部品5の移動を規制する規制部3kを有している。
コネクタ端子5bは、平板状の金属材を用いることができる。コネクタ端子5bは、平板状の金属材に、打ち抜き加工や折り曲げ加工を施して形成することができる。コネクタ端子5bは、導電性の高い材料を用いることが好ましい。コネクタ端子5bの材料としては、たとえば、表面をSnでめっきした黄銅を用いることができる。コネクタ端子5bの材料は、黄銅だけに限られない。コネクタ端子5bの材料は、リン青銅、鉄入り銅、真鍮や表面をAgでめっきした銅などを用いることもできる。コネクタ端子5bの材料は、コイル端子5aの材料と同じでもよいし、異なる材料を用いてもよい。
接続部品5は、第1端部5aaであるコイル端子5aと、第2端部5baであるコネクタ端子5bとを接続するために、スポット溶接を行うことができる。スポット溶接は、スポット溶接機の一対の電極の間に第1端部5aaと第2端部5baとを挟んだ状態で、電流を流すことで行うことができる。第1端部5aaは、第2端部5baとの溶接を行うため、突出部5rを備えていることが好ましい。突出部5rは、第1端部5aaに設けられる構成だけに限られず、第2端部5baに設けられてもよい。本実施形態のアンテナ装置10では、第1コネクタ端子5b1は、ピン形状の先端と反対の末端が第3コイル端子5a3とスポット溶接により接合されている。第2コネクタ端子5b2は、ピン形状の先端と反対の末端が第2コイル端子5a2とスポット溶接により接合されている。第2コイル端子5a2は、第2コネクタ端子5b2との溶接を行う突出部5rを備えている。第3コイル端子5a3は、第1コネクタ端子5b1との溶接を行う突出部5rを備えている。アンテナ装置10は、スポット溶接により第1端部5aaと第2端部5baとを接合させる構成だけに限られず、半田付けやレーザ溶着により接続させてもよい。
コネクタ部6は、有底角筒状のコネクタハウジング6aを備えている。コネクタ部6は、接続部品5を構成する第2端部5baとしてのコネクタ端子5bを備えている。有底角筒状のコネクタハウジング6aは、底部6bに複数のコネクタ端子5bが設けられている。コネクタ端子5bは、底部6bを貫通している。コネクタ端子5bは、ピン形状の先端がコネクタハウジング6aの内部6aaに収容されている。コネクタ端子5bは、先端と反対の末端がコネクタハウジング6aの外部に露出している。コネクタハウジング6aは、保持部3dと嵌め合いにより保持される嵌合部6dを有している。アンテナ装置10は、図7に示す白抜きの矢印の方向に沿って、コネクタハウジング6aをケース3に嵌め合すことができるように構成されている。嵌合部6dは、コネクタハウジング6aの外周6abから外方に向かって突出する鍔部6daとしている。コネクタハウジング6aは、保持部3dと嵌合部6dとが嵌め合いされる方向に沿って、嵌合部6dを介して保持部3dと反対の外方へ伸びるように設けられた延伸部6gを有していることが好ましい。コネクタハウジング6aは、複数の延伸部6gを有していてもよいし、1つの延伸部6gを有していてもよい。
延伸部6gは、接続部品5が底部6bを貫通する方向において、鍔部6daの厚みよりも肉厚が厚く形成されている。延伸部6gは、図7に示すように、延伸部6gの第1厚み6gwを鍔部6daの第2厚み6dwよりも大きくしていることが好ましい。延伸部6gは、図9に示すように、凹部3aaの深さ方向に沿った方向において、鍔部6daと反対方向の端面6gaが、フランジ部3fの取付面3faと面一となるように構成していることが好ましい。アンテナ装置10は、端面6gaと、取付面3faとを面一とすることで、ケース3に外力が加わった場合でも、力を分散させて耐圧を高めることが可能となる。特に、アンテナ装置10は、延伸部6gを備えていることで、ケース3の側壁3aが窪んだ窪み部3bbと外部の設置面との間に空間がある場合でも、外力に対する耐圧を向上させることが可能となる。また、アンテナ装置10は、端面6gaと、取付面3faとを面一とすることで、ケース3と別体のコネクタ部6にプラグ部を接続させる場合などにおいて、コネクタ部6に荷重が掛かった際のケース3の変形を抑制することもできる。なお、延伸部6gは、凹部3aaの深さ方向に沿った方向において、鍔部6daと反対方向の端面6gaが、フランジ部3fの取付面3faより凹部3aaの底壁部3hに近くなるように構成してもよい。アンテナ装置10は、端面6gaが、フランジ部3fの取付面3faより凹部3aaの底壁部3hに近い構成の場合、延伸部6gと設置面とが当接しないように構成することができる。アンテナ装置10は、端面6gaがフランジ部3fの取付面3faより凹部3aaの底壁部3hに近い構成とすることで、延伸部6gが設置面側からの振動が伝わることを抑制することが可能となる。また、延伸部6gは、凹部3aaの深さ方向に沿った方向において、鍔部6daと反対方向の端面6gaが、フランジ部3fの取付面3faより凹部3aaの底壁部3hから離れている構成とすることもできる。アンテナ装置10は、端面6gaが、フランジ部3fの取付面3faより凹部3aaの底壁部3hから離れている構成の場合、延伸部6gと設置面とが当接して設置面との密着を高めることが可能となる。
アンテナ装置10では、保持部3dと嵌合部6dとは、硬化前の充填材4が凹部3aaからケース3の外部に漏れることを阻害する阻害部10hを構成していることが好ましい。アンテナ装置10は、保持部3dと嵌合部6dとで阻害部10hを構成する比較的簡単な構成で、より信頼性の高い構造とすることが可能となる。
阻害部10hは、保持部3dの一表面と、一表面に対向する嵌合部6dの対向面とが面接触することで構成することができる。コネクタハウジング6aとケース3とは、鍔部6daの厚み方向と直交する方向に沿った鍔部6daの第1面6dsと、第1面6dsと対向し切り欠き部3cの周部における側壁3aの第2面3asとが面接触するように配置されている。同様に、コネクタハウジング6aとケース3とは、鍔部6daの厚み方向に沿った鍔部6daの外周面6drと、鍔部6daの外周面6drに対向するガイド溝3gの内底面3gsとが面接触するように配置されている。本実施形態のアンテナ装置10では、保持部3dの一表面として、側壁3aの第2面3asやガイド溝3gの内底面3gsが挙げられる。また、本実施形態のアンテナ装置10では、嵌合部6dの対向面として、鍔部6daの第1面6dsや外周面6drが挙げられる。アンテナ装置10は、第1面6dsと第2面3asとが面接触、あるいは外周面6drと内底面3gsとが面接触する比較的簡単な構成で、より信頼性の高い構造とすることが可となる。
阻害部10hは、硬化前の充填材4が保持部3dの一表面である第2面3asと嵌合部6dの対向面となる第1面6dsとの界面において毛管現象を抑制する抑制部10rを有していることが好ましい。アンテナ装置10は、抑制部10rを有することで、硬化前の充填材4が毛管現象により凹部3aaからケース3の外部に漏れることを抑制することが可能となる。抑制部10rは、保持部3dの一表面である内底面3gsに形成された第1溝部3ggと、嵌合部6dの対向面となる外周面6drとで囲まれた空間であることが好ましい。より具体的には、鍔部6daの第1面6dsと側壁3aの第2面3asとの接触界面には、接続部品5の第2端部5baを囲むように空洞が形成されていることが好ましい。また、抑制部10rは、保持部3dの一表面である第2面3asと、嵌合部6dの対向面となる第1面6dsに形成された溝部6dg(以下、第2溝部6dgともいう)とで囲まれた空間とすることもできる。より具体的には、鍔部6daの外周面6drとガイド溝3gの内底面3gsとの接触界面には、接続部品5の第2端部5baを囲むように空洞が形成されていることが好ましい。これにより、アンテナ装置10は、毛管現象で凹部3aaからアンテナ装置10の外部向かって、硬化前の充填材4が漏れ出ようとする場合でも、硬化前の充填材4の表面張力を弱める空間を抑制部10rとして機能させることができる。
アンテナ装置10は、製造時において、毛管現象を抑制するため、鍔部6daの第1面6dsと側壁3aの第2面3asとの接触界面には、接続部品5の第2端部5baを囲むように形成された空洞を有していることが好ましい。空洞は、鍔部6daの第1面6dsに形成された第2溝部6dgと、側壁3aの第2面3asとで囲まれた空間でもよい。空洞は、鍔部6daの第1面6dsと、側壁3aの第2面3asに形成された溝部とで囲まれた空間でもよい。空洞は、鍔部6daの第1面6dsと、側壁3aの第2面3asとの接触界面で空間が形成できればよく、溝を利用した構成でだけでなく、適宜に配置された複数個の凹部を利用する構成でもよい。同様に、アンテナ装置10は、製造時において、毛管現象を抑制するため、鍔部6daの外周面6drとガイド溝3gの内底面3gsとの接触界面には、接続部品5の第2端部5baを囲むように形成された空洞を有していることが好ましい。空洞は、ガイド溝3gの内底面3gsに形成された第1溝部3ggと、鍔部6daの外周面6drとで囲まれた空間でもよい。空洞は、ガイド溝3gの内底面3gsと、鍔部6daの外周面6drに形成された溝部とで囲まれた空間でもよい。空洞は、ガイド溝3gの内底面3gsと、鍔部6daの外周面6drとの接触界面で空間が形成できればよく、溝を利用した構成でだけでなく、適宜に配置された複数個の凹部を利用する構成でもよい。
コネクタハウジング6aは、図7および図8に示すように、ケース3とコネクタ部6との抜け止めを行うことができるように、鍔部6daの先端に爪部6nを有している。爪部6nは、ケース3に設けた開口孔3ghに挿通されて、ケース3に係り止めすることができるように構成されている。爪部6nは、保持部3dと嵌合部6dとを係り止めできれば、コネクタハウジング6aに設ける場合だけに限られず、ケース3に設けてもよい。すなわち、アンテナ装置10では、保持部3dと嵌合部6dの少なくともいずれか一方には、保持部3dと嵌合部6dとを係り合わせる爪部6nを有していることが好ましい。アンテナ装置10は、爪部6nを有する比較的簡単な構成で、ケース3とコネクタ部6との抜け止めを行うことが可能となる。
コネクタ部6は、図5に示すコネクタハウジング6aの底部6bに設けた第2貫通孔6baに第2端部5baを圧入して構成されている。第2貫通孔6baの開口形状は、第2端部5baを圧入して固定できるように、第2端部5baの貫通する方向と垂直な断面よりも若干小さい大きさとしている。コネクタ部6aは、第2貫通孔6baの開口形状が第2端部5baの貫通する方向と垂直な断面よりも若干小さくすることで、充填樹脂である硬化前の充填材4が凹部3aaからコネクタハウジング6aの内部6aaに漏れないように構成されている。
コネクタハウジング6aは、たとえば、樹脂材料を用いて形成することができる。コネクタハウジング6aは、樹脂材料を用いる場合、樹脂材料中にガラス繊維を配合させることで機械的強度を高めてもよい。コネクタハウジング6aは、たとえば、樹脂材料中に30重量%のガラス繊維を配合した構成とすることができる。樹脂材料中のガラス繊維は、30重量%だけに限られず、5重量%ないし50重量%の範囲内で適宜に含有させてもよい。コネクタハウジング6aの樹脂材料としては、たとえば、PBT樹脂、PA樹脂、LCP樹脂、PET樹脂、フェノール樹脂、ABS樹脂やPP樹脂などを用いることができる。コネクタハウジング6aは、ケース3と同じ樹脂材料を用いて形成することができる。コネクタハウジング6aは、ケース3と同じ樹脂材料を用いる場合だけに限られず、別の樹脂材料を用いて形成することもできる。
スリーブ7は、フランジ部3fに設けられた貫通孔3fbに収納できるように、C字状の外形形状をしている。スリーブ7は、貫通孔3fbの内周の形状に合わせた外形形状に形成されていればよい。スリーブ7は、アンテナ装置10を外部の車体30aの設置面30aaに固定する際に、取付ねじによる締め付けでフランジ部3fが変形することを抑制させることができる構成としている。スリーブ7の材料としては、たとえば、めっき処理が施された鉄やステンレスを用いることができる。
以下では、アンテナ装置10について、比較例のアンテナ装置と比較して説明する。
本実施形態のアンテナ装置10と比較する比較例1のアンテナ装置は、ケースとコネクタ部とが一体成形で形成されている以外は本実施形態と同様の構成に形成されている。
比較例1のアンテナ装置では、ケースとコネクタ部とを一体成形で形成させる場合、ケースとコネクタ部との構造が複雑で接続部品をインサート成形により形成する必要がある。そのため、比較例1のアンテナ装置では、コネクタ部の種類ごとに、ケース全体の金型を製作する必要がある。また、比較例1のアンテナ装置では、工程数がかかるインサート成形をケースやコネクタ部の製造に用いるため、製造コストを抑制するのが難しい傾向にある。
これに対し、本実施形態のアンテナ装置10は、具体的な構造として、コネクタハウジング6aの鍔部6daを案内するガイド溝3gが、側壁3aにおける切り欠き部3cの周部に設けられている。ケース3とコネクタハウジング6aとは、切り欠き部3cを介して、凹部3aaからケース3の外部へ接続部品5が突出するように、鍔部6daがガイド溝3gに嵌め合いされている。コネクタハウジング6aは、鍔部6daの外周面6drがガイド溝3gの内底面3gsと面接触するように配置されている。アンテナ装置10は、ケース3と別体に形成されたコネクタ部6との嵌め合い構造により、車両30側のプラグ部の形状に合わせてコネクタ部6を選択することができ、ケース3を、異なるコネクタ部6に共通に使用することができる。本実施形態のアンテナ装置10は、ケース3の保持部3dとコネクタハウジング6aの嵌合部6dとが嵌め合いにより保持される構成で、ケース3とコネクタ部6との結合強度を高める構造とすることができる。また、アンテナ装置10では、ケース3を共用し、図2や図10に示すコネクタ部6の種類を変更できる構成にすることができる。アンテナ装置10は、ケース3と別体に形成されたコネクタ部6を備えた構成により、ケース3とコネクタ部6と接続部品5とをインサート成形により形成する必要もなく構成することができる。アンテナ装置10は、ケースとコネクタ部と接続部品とがインサート成形により一体成形で形成された比較例1のアンテナ装置と比較して、製造歩留りの低下を抑制させることが可能となる。
次に、本実施形態のアンテナ装置10と比較する比較例2のアンテナ装置は、コネクタ部がケースと別体に形成されている。比較例2のアンテナ装置は、ケースに規制部を備えていない以外は、本実施形態と同様に形成されている。
ところで、アンテナ装置10では、コネクタハウジング6aの第2貫通孔6baに接続部品5を構成する第2端部5baが圧入されて構成されている。アンテナ装置10は、第2端部5baがコネクタハウジング6aに圧入される比較的簡単な構成で、コネクタ部6を構成することができる。
しかしながら、規制部を備えていない比較例2のアンテナ装置では、コネクタ部へのプラグの差込や何らかの外力が加わった場合、第2端子部が凹部に押し戻される虞がある。特に、車両に搭載されるアンテナ装置では、アンテナ装置に車両の振動が加わることで、コネクタハウジングから第2端子部が外れやすい傾向にある。比較例2のアンテナ装置では、第2端子部が凹部に押し戻されることで、第2端子部や充填材の変形を生ずる虞がある。また、比較例2のアンテナ装置では、第2端子部の変形だけでなく、第2端子部の短絡や第2端子部と第1端子部との断線を生ずる虞もある。
これに対し本実施形態のアンテナ装置10では、接続部品5は、一対の接続導体を有している。規制部3kは、平面視において、一対の接続導体の間に配置されていることが好ましい。アンテナ装置10は、一対の接続導体の間に規制部3kが配置されていることで、何らかの原因で接続導体が移動する場合であっても、一対の接続導体同士の電気的な絶縁を確保することが可能となる。
本実施形態のアンテナ装置10では、規制部3kは、平面視において、矩形状の外形形状をしている。一対の接続導体それぞれは、屈曲する2個以上の屈曲部5wを有している。一対の接続導体は、平面視において、矩形状の規制部3kにおける各辺を囲むように、屈曲部5wを設けていることが好ましい。アンテナ装置10は、屈曲部5wを設け、規制部3kを囲むように接続導体を構成することで、比較的簡単な構成で信頼性を高めることが可能となる。
以下では、アンテナ装置10の組立工程について簡単に説明する。
アンテナ装置10の組立工程では、接続部品5のコネクタ端子5bをコネクタハウジング6aに圧入して形成したコネクタ部6を予め準備している。
組立工程では、ボビン1bの第1枠体1bbにコイル端子5aを圧入させる。ボビン1bには、3つのコイル端子5aが第1枠体1bbから突出している。組立工程では、ボビン1bの本体部1baに電線1dを巻回させて巻線1aを形成する。巻線1aから導出した電線1dは、コイル端子5aの挟持部5nで挟み込むように加締められる。
次に、組立工程では、コンデンサ2aの第1端子2a1や第2端子2a2と、コイル端子5aとのスポット溶接が行われる。組立工程では、ボビン1bから突出しているコイル端子5aと、コネクタ部6におけるコネクタ端子5bとのスポット溶接が行われる。組立工程では、第1コネクタ端子5b1の末端が第3コイル端子5a3の突出部5rと重なるように配置された上で、スポット溶接が行われる。同様に、組立工程では、第2コネクタ端子5b2の末端が第2コイル端子5a2の突出部5rと重なるように配置された上で、スポット溶接が行われる。
続いて、組立工程では、ボビン1bの本体部1ba内にフェライトコア1cを圧入してバーアンテナを形成する。組立工程では、フェライトコア1cをボビン1bに対して相対的に移動させることで、バーアンテナのインダクタンスを調整させることができる。
次に、組立工程では、コネクタハウジング6aとケース3との嵌め合わせにより、ケース3の凹部3aaにバーアンテナを収容する。コネクタハウジング6aは、鍔部6daがケース3のガイド溝3gに案内されて、鍔部6daがガイド溝3gに収容される。コネクタハウジング6aとケース3とは、コネクタハウジング6aとケース3との嵌め合わせにより、鍔部6daの厚み方向と直交する方向に沿った鍔部6daの第1面6dsと、第1面6dsと対向する側壁3aの第2面3asとが面接触するように配置される。コネクタハウジング6aは、ケース3のリブ3d1により、第1面6dsと第2面3asとが密着するように、鍔部6daが側壁3aに押し付けられる。コネクタハウジング6aとケース3とは、鍔部6daの厚み方向に沿った鍔部6daの外周面6drと、鍔部6daの外周面6drに対向するガイド溝3gの内底面3gsとが面接触するように配置される。コネクタハウジング6aは、鍔部6daの爪部6nにより、外周面6drと内底面3gsとが密着するように、鍔部6daが側壁3aに押し付けられる。
組立工程では、コネクタハウジング6aとケース3との嵌め合わせにより、第1コネクタ端子5b1と第2コネクタ端子5b2とが、矩形状の規制部3kにおける各辺を囲むように配置される。第1コネクタ端子5b1や第2コネクタ端子5b2は、コネクタハウジング6aとケース3とを嵌め合わせた状態で、当接部5kと規制部3kとの間に若干の隙間が生ずるように構成されている。第1コネクタ端子5b1や第2コネクタ端子5b2は、当接部5kと規制部3kとの間に若干の隙間が生ずるように構成されていることで、コネクタハウジング6aとケース3との嵌め合わせを滑らかに行わせることができる。第1コネクタ端子5b1や第2コネクタ端子5b2は、コネクタハウジング6aとケース3とを嵌め合わせた状態で、当接部5kと規制部3kとが当接する構成でもよい。
次に、組立工程では、ケース3の凹部3aaにアンテナコイル1を配置した状態において、ケース3の凹部3aaを封止するように充填材4となる充填樹脂がポッティングにより充填される。アンテナ装置10は、ケース3の凹部3aaに収納するアンテナコイル1とコンデンサ2aと接続部品5とを充填材4で封止して信頼性を高めている。アンテナ装置10では、ケース3の凹部3aaに硬化前の充填材4がポッティングされることで充填される。アンテナ装置10は、アンテナコイル1を収納した凹部3aaに充填材4を形成することで、外力や車両30の振動がアンテナ装置10に加わった場合でも、外力や振動に伴うアンテナコイル1や電子部品2への不具合の発生を抑制することが可能となる。アンテナ装置10は、アンテナコイル1を収納した凹部3aaに充填材4を形成することで、凹部3aaに配置されたアンテナコイル1やコンデンサ2aなどの電気絶縁性を高めることが可能となる。
充填材4は、凹部3aaで露出する表面4aaが規制部3kの先端面3kaと面一となるように、充填樹脂が充填されている。ここで、面一とは、形成された充填材4の表面4aaと規制部3kの先端面3kaとが全く同一の水平面を構成する場合だけに限られない。面一には、形成された充填材4の表面4aaがアンテナコイル1、電子部品2および接続部品5を覆っていれば、規制部3kの先端面3kaより若干低い場合も含まれる。また、面一には、形成された充填材4の表面4aaが規制部3kの先端面3kaを若干覆っていても、先端面3kaが外部から把握できる場合も含まれる。アンテナ装置10では、適宜の設定量の充填樹脂を機械的にポッティングさせる場合であっても、充填樹脂の充填量にばらつきが生ずる場合がある。アンテナ装置10は、凹部3aaに充填される硬化前の充填材4の充填量が多い場合、充填材4が無駄になるだけでなく、ケース本体部3bから外部に流出しやすく外観不良や電気的な接続不良などを生ずる虞がある。アンテナ装置10は、凹部3aaに充填される硬化前の充填材4の充填量が少ない場合、アンテナコイル1や電子部品2が充填材4で被覆されずにアンテナコイル1や電子部品2を保護することが難しくなる傾向にある。本実施形態のアンテナ装置10では、凹部3aaの底壁部3hから突出する規制部3kを、充填樹脂の充填量の目安に利用している。規制部3kは、設定された充填材4が適正に形成されているかを判断する目安に利用することができる。すなわち、本実施形態のアンテナ装置10では、規制部3kは、凹部3aaの底壁部3hから柱状に突出して設けられている。充填材4は、凹部3aaで露出する表面4aaが規制部3kの先端面3kaと面一であることが好ましい。アンテナ装置10では、表面4aaと先端面3kaとが面一とすることで、より信頼性の高い構成とすることが可能となる。
続いて、組立工程では、凹部3aaにポッティングした充填樹脂を硬化することで充填材4を形成する。充填樹脂の硬化は、自然硬化でもよいし、紫外線照射による光結合硬化や熱硬化など材質に合わせて適宜に行えばよい。
組み立てられたアンテナ装置10は、たとえば、図11に示すように、自動車などの車体30aのバンパ31aに設けられる。アンテナ装置10は、リモコン装置30bにLF帯の電波を送信することができるように構成されている。言い換えれば、車両30は、上述のアンテナ装置10と、アンテナ装置10が設けられた車体30aとを有する構成としている。リモコン装置30bは、リモコン装置30bを携帯するユーザが車体30aに近づくと、アンテナ装置10からのLF帯の電波を受信し、UHF帯の電波を車両30aへ送信する。車体30aは、リモコン装置30bからのUHF帯の電波を制御装置32が受信する。制御装置32は、施錠装置33aを制御して自動的にドア33の錠を解錠する。電子キーシステムは、リモコン装置30bからの応答信号をマイクロコンピュータで信号処理し、マイクロコンピュータからの電気信号でモータを動かして、ドア33の錠を解錠や施錠にできるように構成している。