JP6395141B1 - 制振ダンパー、ターンテーブルおよびレコードプレイヤー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
レコードプレイヤーのターンテーブル7に装着する制振ダンパー1であって、外周壁面2から内周壁面3に亘って連通させたハニカム構造の隔壁4によって区画された複数の小孔5を形成した環状体を構成し、当該環状体の前記外周壁面2若しくは内周壁面3を前記ターンテーブル7外周縁部8の内側面11若しくは外側面に接触させた状態で装着可能に構成したことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
針先が音溝内の凹凸に衝突して振動する際、その反作用としてレコード側も同等の衝撃を受けており、その衝撃がレコードを載置するゴム等のターンテーブルシートを介して金属製のターンテーブル(プラッター)にも伝わる。すなわち、針先がレコードを叩いた衝撃がターンテーブルに伝達されて共鳴を起こし、その共鳴音が再び針先で検出されることによって「プラッターの鳴き」という現象が生じる。この現象は、それなりの音響的な環境を有する人々の間では、原音には無いノイズとして認識されている。
一般的なレコードプレイヤーは、ターンテーブルの上面(天面)に、振動の抑制とレコードの保護を目的としたゴム製のターンテーブルシートを設けており、ターンテーブルからレコードにできるだけ振動が伝わらないような配慮が行われている。このようなターンテーブルシートとして、振動防止層を設けた特許文献1記載のレコード盤用ターンテーブルマットがあるが、ゴムはエネルギーを消すのではなくエネルギーを溜め込む性質があり、何時までも振動が止まないいわゆる鈍い「ゴムの音」として再生される性質がある。
本発明は、当該事情に鑑み発明したものであって、ターンテーブルに加えられた振動を効率よく減衰させ、レコード針によってピックアップするノイズの量を激減させ、これによってノイズに埋もれて聞こえにくくなっていた原音を聴取可能にする各手段の提供を目的とするものである。
レコードプレイヤーのターンテーブルに装着する制振ダンパーであって、
外周壁面から内周壁面に亘って連通させたハニカム構造の隔壁によって区画された複数の小孔を形成した環状体を構成し、当該環状体を前記ターンテーブルの外周縁部に装着可能に構成したことを特徴とする制振ダンパー。
レコードプレイヤーのターンテーブルに装着する制振ダンパーであって、
外周壁面から内周壁面に亘って連通させたハニカム構造の隔壁によって区画された複数の小孔を形成した環状体を構成し、
当該環状体の前記外周壁面若しくは内周壁面を前記ターンテーブル外周縁部の内側面若しくは外側面に接触させた状態で装着可能に構成したことを特徴とする制振ダンパー。
直径を縮めることによって生じた伸張力若しくは直径を広げたことによって生じた収縮力によって、前記ターンテーブル外周縁部に保持させたことを特徴とする。
前記ハニカム構造を構成する隔壁を、薄箔片(幅を狭く形成した薄板状のリボン)をスポット溶接により結合したリボン結合体として構成したことを特徴とする。
制振機能を有するレコードプレイヤーのターンテーブルであって、
当該ターンテーブルの外周縁部に、外周壁面から内周壁面に亘って連通させたハニカム構造の隔壁によって区画された複数の小孔を形成した環状体からなる制振ダンパーを装着したことを特徴とするターンテーブル。
制振機能を有するターンテーブルを有するレコードプレイヤーであって、
前記ターンテーブルの外周縁部に、外周壁面から内周壁面に亘って連通させたハニカム構造の隔壁によって区画された複数の小孔を形成した環状体からなる制振ダンパーを装着したことを特徴とするレコードプレイヤー。
図1は、本実施の形態に係る制振ダンパー1の外観斜視図である。制振ダンパー1は、外周面(外周壁面)2と内周面(内周壁面)3を有する環状体として構成されており、短い筒状(リング状)の外観を有している。
図2は、制振ダンパー1が有するハニカム構造の説明図であり、図1に示したA矢示部の構造を表したものである。制振ダンパー1は、ハニカム構造を有する隔壁4によって区画された複数の小孔5によって外周壁面2と内周壁面3を連通させた構造を有している。
以下、このハニカム構造を有するリング状に形成した制振ダンパー1を適宜「ハニカムリング」と称する。
隔壁4によって小孔5を形成する六角形状の区画(以下「セル」という)のサイズは、制振ダンパー1の外観全体の寸法と比較してかなり微細なものである。本実施の形態におけるセルのサイズは、一例として対辺間の内寸法が0.8mm(概ね0.7〜0.9mmの範囲)、セルの長辺を構成するリボン(薄箔片)6の長さが10.0mm(概ね9.5mm〜10.5mm)、リボンの板厚が0.05〜0.08mmである。本実施の形態では、このようなリボンをスポット溶接により部分的に結合したリボン結合体によってハニカム状の隔壁を構成している。
この性質を利用すると、後述するように制振ダンパー1をターンテーブル7の外周縁部8に密着させることができるようになっている。すなわち、制振ダンパー1の直径を縮めた状態でターンテーブル7の外周縁部8の内周面11に装着すると、その伸張力によってターンテーブル7の内周面11に制振ダンパー1の外周面2が弾性的に密着する。
図示したターンテーブル7は金属製の円盤として形成されたものであり、回転ムラを低減するために、回転に伴う慣性力が大きくなるように外周縁部8を肉厚に形成し、回転中心9に至る領域の裏面を削る等して肉を薄く形成した構造を有している。この構造によって、ターンテーブル7の外周部に筒状の内周面が形成されている。ターンテーブル7の上面(天面)10は、ゴム製のシート等を介してレコードを載置する載置面となっている。
前述したように、制振ダンパー1の自然状態の外形寸法をターンテーブル7外周縁部8の内周面11の内径よりも大きく形成しておくと、装着した際に直径を伸張させようとする弾性力が働いて制振ダンパー1の外周面(外周壁面)2を内周面11に保持させることができる。この方法を主な取り付け方法として制振ダンパー1をターンテーブル7に装着するように構成すると、制振ダンパー1をターンテーブル7対して着脱可能に装着できるようになる。
この場合、制振効果や性質の異なる複数種類の制振ダンパーを用意した場合、利用者の好みや、ターンテーブルとの組み合わせに応じて最適な制振効果を発揮するように最適なものを選択し交換可能に装着することが可能になる。
なお、制振ダンパー1をスポット溶接や他の手段によってターンテーブル7に固定する場合であっても、溶接部等の固定部以外の部分はターンテーブル7に密着するので制振効果が損なわれることはない。
制振ダンパー1は、このように高い精度で形成されたターンテーブル7に対して装着するものである。このため、制振ダンパー1は均質な重量分布を有する環状体として形成されており、真円に近い精度で加工されているターンテーブル7の外周縁部8の内周面11に装着されても、回転バランスを悪化させることなくターンテーブル7と一体化して回転する。
制振ダンパー1は、上記のような共振しにくい形状と構造に組み上げた多枚数のリボンによって構成されているので、ターンテーブル7に生じた広範囲な周波数の振動を吸収し、短時間に減衰させるようになっている。
制振ダンパー1のセルを構成する材質は、耐腐食性と溶接性などの面から一例として耐熱ニッケル合金(AMS5536、ASTM B435、JIS H4551)を使用している。また、耐熱性と耐腐食性があり、軽量であることを特徴とするチタン合金も制振ダンパー1のセルを構成する材質として適している。
なお、これらの素材が最適であるが、当然ながら同等の性質を有する金属に代替することは可能であるし、用途に応じて他の性質を有する金属に代替しても差し支えないものである。
図7に表されているプラッター単体の振動変化は、時間の経過とともに徐々に振幅が減衰する傾向を示しているが、0.1秒後の振幅が約0.6、0.4秒後の振幅が約0.2、2秒後の振幅が0.1をやや下回る程度となっている。傾向として、一度振動を始めると振動が完全に無くなるには数秒以上の長い時間を要することがわかる。プラッターはレコードプレイヤーに装着されると継続的に微少振動を受けることになるが、このグラフに示された傾向から、プラッターが微少振動を受けている場合には減衰しにくく、振動する(鳴く)状態が長く継続することが理解される。
以上の実験結果からも分かるように、ハニカムリングを装着した場合におけるプラッターのノイズ抑制効果は非常に大きいものである。
ハニカム構造を有する制振ダンパー1は、見かけ上の体積と比較して内部空間の比率が高く極めて軽量である。また、ハニカム構造のセルを構成する組み合わされたリボンは、接触しているリボン同士が互いの制振機能を果たすため、極めて効率的に短時間に振動を吸収するようになっている。
以上説明した各種の説明および手段は、特許請求の範囲に記載した発明を逸脱しない範囲において適宜組み合わせるコトが可能であり、本発明の技術的範囲に属するものである。
2 外周面(外周壁面)
3 内周面(内周壁面)
4 隔壁
5 小孔
6 リボン
7 ターンテーブル
8 外周縁部
9 回転中心
10 上面(天面)
11 内周面
12 壁部
Claims (6)
- レコードプレイヤーのターンテーブルに装着する制振ダンパーであって、
外周壁面から内周壁面に亘って連通させたハニカム構造の隔壁によって区画された複数の小孔を形成した環状体を構成し、当該環状体を前記ターンテーブルの外周縁部に装着可能に構成したことを特徴とする制振ダンパー。 - レコードプレイヤーのターンテーブルに装着する制振ダンパーであって、
外周壁面から内周壁面に亘って連通させたハニカム構造の隔壁によって区画された複数の小孔を形成した環状体を構成し、
当該環状体の前記外周壁面若しくは内周壁面を前記ターンテーブル外周縁部の内側面若しくは外側面に接触させた状態で装着可能に構成したことを特徴とする制振ダンパー。 - 直径を縮めることによって生じた伸張力若しくは直径を広げたことによって生じた収縮力によって、前記ターンテーブル外周縁部に保持させたことを特徴とする請求項1又は2記載の制振ダンパー。
- 前記ハニカム構造を構成する隔壁を、薄箔片(リボン)をスポット溶接により結合したリボン結合体とし構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項記載の制振ダンパー。
- 制振機能を有するレコードプレイヤーのターンテーブルであって、
当該ターンテーブルの外周縁部に、外周壁面から内周壁面に亘って連通させたハニカム構造の隔壁によって区画された複数の小孔を形成した環状体からなる制振ダンパーを装着したことを特徴とするターンテーブル。 - 制振機能を有するターンテーブルを有するレコードプレイヤーであって、
前記ターンテーブルの外周縁部に、外周壁面から内周壁面に亘って連通させたハニカム構造の隔壁によって区画された複数の小孔を形成した環状体からなる制振ダンパーを装着したことを特徴とするレコードプレイヤー。
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JP2018513688A Active JP6395141B1 (ja) | 2017-07-14 | 2018-03-13 | 制振ダンパー、ターンテーブルおよびレコードプレイヤー |
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Citations (4)
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JPS6023904U (ja) * | 1983-07-19 | 1985-02-19 | フジヤオーデイオ株式会社 | タ−ンテ−ブル |
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2018
- 2018-03-13 JP JP2018513688A patent/JP6395141B1/ja active Active
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