JP6394672B2 - アキシャルギャップ型回転電機 - Google Patents

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Description

この発明は、ステータと、回転軸とともに回転し、該ステータに対して回転軸の軸方向に対向配置されるロータと、を備えたアキシャルギャップ型回転電機に関する。
アキシャルギャップ型回転電機に備えたロータは、永久磁石を円盤状のコアの表面に固着した、いわゆるSPM(Surface Permanent Magnet)構造を採用したものが周知である。
SPM構造は、永久磁石をロータコアの表面に貼り付けているので、永久磁石をロータコアに埋め込むIPM構造(Interior Permanent Magnet)に比べて電流に含まれる高調波成分の影響を受け易く、結果として渦電流損が大きくなる傾向にある。またロータの回転に伴って磁石の磁束密度が変動することも渦電流の発生要因になっていた。
その対策として特許文献1では、渦電流経路を分断するためにステータ側端面の周方向に並べられた例えば、平面視扇形状或いは四角錐台形状等の複数の磁石(磁石セグメント)をさらに分割することが提案されている。
しかしながら特許文献1のように磁石をセグメント単位からさらに分割した場合、これら分割された磁石の夫々がロータの回転に伴う遠心力を受けることや、他の磁石との間で吸引力、反発力を及ぼし合うことにより、コアに対しての接着だけでは十分な固定状態を維持できない場合があり、飛散することが懸念される。
なお、特許文献1に開示のロータについてもSPM構造を採用したものであり、この構造を採用しているが故に分割化した磁石の夫々が遠心力の影響を受け易く、磁石が飛散するおそれが高くなると考えられる。
また、特許文献2には、永久磁石をコアに対して接着により固定することに加えて、ロータの永久磁石に対応する位置で回転軸の軸方向の両側からクランプ部材によって挟み込むことで永久磁石をコア側に固定することができるアキシャルギャップ型回転電機が提案されている。
しかしながら特許文献2のクランプ部材は基本的に、磁石(磁石セグメント)の一部分のみを押さえるものであるため、特許文献2のロータに備えた永久磁石を分割した場合、クランプ部材によってコア側に固定されない磁石も存在することになる。すなわち、特許文献2のアキシャルギャップ型回転電機においては、ロータに備えた永久磁石を確実に保持することにより、結果的に高回転化、高トルク化にさらに耐え得る構造を達成するうえで改善の余地があった。
ところで、ステータ対向面に極性が交互に異なるように周方向に並べて配置される複数の磁石については、隣合う磁石を、互いに接触しない間隔を保ちつつ互いに極力接近させた方が、ロータに備えた各磁石からの磁束をステータ側のコイルに効率よく鎖交することができる観点からすると好ましいとされている。
しかしその一方で極性が異なる磁石を互いに近接させすぎると、これら隣合う磁石の間で短絡磁束が増加していき、アキシャルギャップ型回転電機を、モータとして適用する場合にはトルクが、発電機として適用する場合には電圧がそれぞれ低下することになる。
よってアキシャルギャップ型回転電機は、上述の2つの相反する課題を同時に満たす構成とすることが望まれるが、上述した特許文献1,2においては、このような課題に言及した記載については見受けらない。
特開2011−78269公報 特開2015−192540号公報
そこでこの発明は、ロータに備えた磁石を確実に保持しつつ、周方向で隣合う磁石間に発生する磁束短絡の発生を抑制することができるアキシャルギャップ型回転電機の提供を目的とする。
この発明は、ステータと、回転軸とともに回転し、該ステータに対して上記回転軸の軸方向に対向配置されるロータと、を備えたアキシャルギャップ型回転電機であって、上記ロータには、ステータ対向面に極性が交互に異なるように周方向に並べて配置される複数の磁石と、これら磁石を覆って保持する保持部材とを備え、該保持部材における、隣合う磁石間に対応する少なくとも磁石間対応部位に、これら磁石間の短絡磁束路を遮断する磁束遮断部を設け、上記ロータにおける磁石に対して上記ステータ側と反対側に、複数の磁石を固定するロータコアを備え、上記保持部材は、複数の磁石に対応する形状および大きさで各磁石を上記ステータ側から覆うように形成された複数のカバー部材と、隣合うカバー部材の上記磁石間対応部位において該カバー部材を上記ロータコアの側へ磁石ごと押える押え部材とを備え、上記磁束遮断部は、上記カバー部材の上記磁石間対応部位と、押え部材とのうち少なくとも一方に設定したことを特徴とする。
上記構成によれば、ロータに備えた磁石を確実に保持しつつ、周方向で隣合う磁石間に発生する磁束短絡の発生を抑制することができる
さらに上記構成によれば、複数のカバー部材がそれぞれに対応する磁石を覆った状態で押え部材がカバー部材を介して磁石をロータコア側に押さえ込むことで、ロータのステータ対向面に備えた複数の磁石の全てを覆った状態でしっかりと保持することができる。
さらに、隣合うカバー部材の上記磁石間対応部位と、押え部材とのうち少なくとも一方を磁束遮断部に設定することより、隣合う磁石間に発生する磁束短絡の発生を抑制することができる。
またこの発明の態様として、上記カバー部材は、磁石の周方向端面の少なくとも一部を覆うように上記磁石間対向部位において形成されたカバー端面を備えたカバー本体と、該カバー端面から周方向で隣合う磁石に向けて突出形成されたフランジ部とを備え、上記押え部材は、上記カバー端面を介して周方向で隣合う磁石間に介在するとともに上記フランジ部を上記ロータコア側に押さえ込んだ状態で、周方向で隣合う上記カバー部材が互いに接触しない幅を有して形成されたものである。
上記構成によれば、押え部材がカバー端面を介して周方向で隣合う磁石間に介在することにより、隣合う磁石が磁束短絡しない間隔に保つことができる。
特に上記磁束遮断部を押え部材に設定した構成においては、押え部材がカバー端面を介して周方向で隣合う磁石間に介在することにより、周方向で隣合う磁石間の磁気的な短絡を効果的に防ぐことができる。
なお、上記フランジ部は板状(薄肉)であるため、該フランジ部が磁性材料で形成された場合であっても磁束短絡の発生の抑制効果を得ることができる。但し、フランジ部は、磁石間の磁束短絡の抑制効果を高めることができるため、透磁率の低い磁性材料で形成することが好ましく、非磁性材料で形成することがより好ましい。
またこの発明の態様として、隣合うカバー部材の各フランジ部は、夫々のカバー部材の周方向端部において互いに径方向の異なる位置に形成されたものである。
上記構成によれば、複数のカバー部材を、複数の磁石を覆った状態でロータに組付け時に、カバー部材同士(フランジ部同士)が互いに周方向に干渉することを回避できつつ、各フランジ部は、隣合うカバー部材側へより突出形成することができるため、ロータコア側へ押圧する押え部材をしっかりと受け止めることができる。
この発明は、ステータと、回転軸とともに回転し、該ステータに対して上記回転軸の軸方向に対向配置されるロータと、を備えたアキシャルギャップ型回転電機であって、上記ロータには、ステータ対向面に極性が交互に異なるように周方向に並べて配置される複数の磁石と、これら磁石を覆って保持する保持部材とを備え、該保持部材における、隣合う磁石間に対応する少なくとも磁石間対応部位に、これら磁石間の短絡磁束路を遮断する磁束遮断部を設け、上記保持部材は、複数の磁石をまとめて覆うように上記ロータの周方向に一体に形成されたカバー部材を備え、上記磁束遮断部は、上記カバー部材の周方向の上記磁石間対応部位に備えられ、かつ隣合う磁石を仕切るように隣合う磁石間に介在する仕切り部材で形成され、上記ロータにおける磁石に対してステータ対向面と反対側に、複数の磁石を固定するロータコアを備え、上記ロータに、上記ロータコアに外嵌する外周部材を備えるとともに、上記ロータの中心位置で、回転軸に外嵌する内周部材を備え、上記保持部材は、上記外周部材の内周縁と上記内周部材の外周縁とに形成され、かつこれら内外夫々の周縁を径方向に対向するカバー部材側の対向縁部を磁石ごと上記ロータコアの側に押える押え片をさらに備えたものである。
上記構成によれば、外周部材と内周部材とに設けた両押え片により、カバー部材に対して径方向の内外両側から複数の磁石をまとめて覆った状態のカバー部材をロータコア側に押さえ込むことができるため、押え片とカバー部材とによってロータコアのステータ対向面に備えた複数の磁石の全てをしっかりと保持することができる。
さらに、周方向で隣合う磁石を仕切る仕切り部材を磁束遮断部に設定することより、隣合う磁石間に発生する磁束短絡の発生を抑制することができる。
この発明の態様として、上記保持部材における上記磁束遮断部を非磁性体で形成するとともに、上記保持部材における、上記磁束遮断部以外の部位であって少なくとも、上記ロータに備えた磁石と上記ステータとの間に相当する部位を磁性体で形成することが好ましい。
上記構成によれば、保持部材における、保持部材における、磁束遮断部以外の部位であって少なくとも、ロータに備えた磁石とステータとの間に相当する部位を磁性体で形成したため、ステータとロータとの間の空隙に保持部材が配置されることに起因してステータとロータとの間の磁気的な空隙の長さが長くなることを抑制することができる。
よって、ロータ側の磁石からステータ側へ渡る磁束が減少することないため、アキシャルギャップ型回転電機のトルクの低下を抑制することができる。
さらに上記構成によれば、保持部材における磁束遮断部を非磁性体で形成したため、周方向で隣合う磁石間の磁気的な短絡を防ぐことができる。
なお、この発明は、保持部材における、ロータに備えた磁石とステータとの間に相当する部位を、上述したように磁性体で形成するのが好ましいが、非磁性体で形成することを排除するものではない。またこの発明は、磁束遮断部を上述したように非磁性体で形成することが好ましいが低透磁率の磁性材等磁性体で形成することを排除するものではない。
ロータに備えた磁石を確実に保持しつつ、周方向で隣合う磁石間に発生する磁束短絡の発生を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る回転電機の分解斜視図。 ロータ本体の上方から見た外観図。 ロータ本体の分解外観図。 図2のA−O−B線断面図。 図2のC−C線断面図。 第1実施形態に係る回転電機の変形例の説明図。 本発明の第2実施形態に係る回転電機に備えたロータ本体の外観図。 ロータ本体の分解外観図。 図2のD−O−E線断面図。 第2実施形態の保持部材の説明図。 図7のF−F線断面図。 第2実施形態に係る回転電機の変形例の説明図。
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機の分解斜視図、図2は、ロータ本体の上方から見た外観図、図3は、ロータ本体の分解外観図、図4は、図2のA−O−B線断面図、図5は、図2のC−C線断面図である。
図1に示すアキシャルギャップ型回転電機1(以下、「回転電機1」と称する)は、回転軸4を中心に備えるロータ3と、当該ロータ3の後記ロータ本体31の一方側(永久磁石34が設けられている側)に位置し、ロータ本体31に対して回転軸4の軸方向に所定間隔を隔てて対向するステータ2と、これらロータ3及びステータ2が収容される円筒状のハウジング5とを備えた、いわゆる1ロータ1ステータ型のアキシャルギャップ型回転電機である。なお、以下の説明では、回転軸4の軸方向を単に「軸方向」と称し、軸方向と直交する方向を「径方向」、回転軸4(ロータ3)の回転方向を「周方向」と称する。
ステータ2は、図1に示すように、上記軸方向と平行な軸周りに電磁鋼板が渦巻き旋回状に巻かれた構造のバックヨーク21と、周方向に配列された状態でこのバックヨーク21上に固定される複数のステータコア(図示略)と、各ステータコアに装着(巻回)されるコイル22と、バックヨーク21の外側に固定されるエンドプレート23とを備えている。
ステータ2は、円筒状のハウジング5の一方側からその内側に挿入され、エンドプレート23を介してこのハウジング5に固定されている。
ハウジング5の他方側の端部にもエンドプレート23が設けられ、このエンドプレート23により他方側端部の開口部が塞がれている。
ロータ3は、円盤状のロータ本体31と、このロータ本体31の中心を貫通する回転軸4とを備えており、ロータ本体31が、ステータ2に対向するようにハウジング5内に配置され、かつ回転軸4が、各エンドプレート23に保持されたベアリング24に挿入されることで、エンドプレート23に回転自在に支持されている。
図4に示すように、回転軸4は、後述の冷却液流通空間35Aに連通する冷却液の導入通路41および導出通路42を内部に備えている。
軸方向におけるロータコア33の位置を境として、導入通路41は永久磁石34側に配置され、導出通路42はジャケット部材35側に配置されている。
ロータ本体31は、図2〜図5に示すように、ロータ主部材32と、ロータ主部材32に備えた永久磁石34を該ロータ主部材32に備えたロータコア33から外れないように保持する保持部材6とを備えている。
ロータ主部材32は、図4に示すように、帯状の電磁鋼板が渦巻旋回状に巻回されることにより概略円盤状に形成されたロータコア33と、複数の永久磁石34と、ロータコア33におけるステータ2とは反対側の面であるステータ非対向面33b(図1〜図5では下面)全体を覆い、かつ、ステータ非対向面33bとの間に冷却液流通空間35A(図4、図5参照)を形成するジャケット部材35(同図参照)と、ロータコア33の中心部に設けられかつ回転軸4に外嵌される内筒部材36と、ロータコア33に外嵌される外筒部材37と、を含んでいる。内筒部材36および外筒部材37は、非磁性材料(オーステナイト系ステンレス、アルミ等)で形成されている。
永久磁石34は、図3に示すように平面視略扇型であり、内筒部材36の外周面に沿って周方向に並ぶようにロータコア33におけるステータ2との対向面であるステータ対向面33a(図1〜図5では上面)に、液漏れ防止シート38(図4、図5参照)を介して配列され、各々接着剤により液漏れ防止シート38の上面に固定されている。図2に示す例では、液漏れ防止シート38の上面に8個の永久磁石34が固定されている。なお、平面視扇形の永久磁石34には、その周方向および径方向に沿って複数の溝が形成されている(図3参照)。液漏れ防止シート38は、ジャケット部材35とロータコア33との間を流れる冷却液がロータコア33を通じて永久磁石34まで漏れ出すのを防止するためのシートである。
図3、図5に示すように、永久磁石34は、周方向で隣り合う永久磁石34は、互いに周方向に接触しないように所定の隙間を隔てて配置されている。また、同図に示すように、各永久磁石34の周方向端部には、上面に対して一段低くした段差部34aが径方向に延びるように形成されている。なお、この段差部34aは、段差面34aaと縦壁面34abとで形成され、隣合う永久磁石34の間部位に相当する部分の溝部(後記の上側溝部分39a)を形成するように径方向に延びている。
図4に示すように、ジャケット部材35は、ロータコア33との軸方向の対向面(図4中では底面)に位置する基板部35aを備え、該基板部35aとロータコア33との間に冷却液が流通する冷却液流通空間35Aが形成されている。冷却液流通空間35Aは、平面視略円形状の永久磁石配置領域z(図3、図4参照)に対応して広がる空間に形成されている。
内筒部材36は、導入通路41から冷却液流通空間35Aに冷却液を取り入れるための取入口36i(図4参照)と、冷却液流通空間35Aから導出通路42へ冷却液を排出するための排出口36o(図4参照)とを備えている。
図4に示すように、外筒部材37は、上から順に後述するカバー部材61、永久磁石34、液漏れ防止シート38、ロータコア33、およびジャケット部材35に外嵌する状態で当該ロータコア33等の外側に配置されている。
内筒部材36は外筒部材37と同様に、上から順に後述するカバー部材61、永久磁石34、液漏れ防止シート38、ロータコア33、およびジャケット部材35に内嵌する状態で当該ロータコア33等の内側に配置されている。
図3〜図5に示すように、ロータ主部材32には、後記の押え部材65により該ロータ主部材32を上下各側から挟み込むように径方向外側から押え部材65が嵌め込まれる溝部39がロータ主部材32の周方向において隣合う永久磁石34の間部分34S(以下、「磁石間部位34S」と称する)に形成され、当例ではロータ主部材32に周方向に8つ形成されている。
具体的には、図4に示すように、溝部39は、ロータ主部材32の上面(ステータ2との対向面)に径方向に延びる上側溝部分39aと、ロータ主部材32の下面(ステータ2との非対向面)に径方向に延びる下側溝部分39bと、上側溝部分39aおよび下側溝部分39bの各径方向外端を連結するように外筒部材37の外周面に軸方向に延びる外周溝部分39cとで連続して形成されている。
図3、図4に示すように、上側溝部分39aは、外筒部材37の上面、周方向に隣合うカバー部材61,61の間に対応する部位34P(以下、「磁石間対応部位34P」と称する)に内筒部材36の径内縁に至まで径方向に形成されている。下側溝部分39bは、外筒部材37の下面およびジャケット部材35の下面における上側溝部分39aの下側位置に、径方向に形成されている。
保持部材6は、複数の永久磁石34に対応する形状および大きさで各永久磁石34をステータ2側(上方)から覆うように形成された複数(当例では8つ)のカバー部材61と、磁石間対応部位34Pにおいて該カバー部材61をロータコア33の側へ永久磁石34ごと押える押え部材65とを備えている。
保持部材6は、カバー部材61を磁性体で形成するとともに、押え部材65を磁束遮断部として非磁性体で形成している。
具体的に、磁性体としは、例えば、鉄、電磁鋼(鉄系合金)、アモルファス、ナノ結晶化させた軟磁性材、NiまたはNi系合金などの軟磁性材を採用することができる。これら軟磁性材は、磁性体の中でも電気的抵抗が比較的大きいため保持体として好ましい。
非磁性体としては、磁石の磁束の短絡を回避するために、樹脂(プラスチック材料)、炭素繊維、ガラス繊維(FRP(Fiber-Reinforced Plastics))、又はオーステナイト鋼のような非磁性スチールなどの非磁性材を採用することができる。
押え部材65は、ロータコア33と、その上面に固定された各永久磁石34と、永久磁石34を覆うカバー部材61(後記のフランジ部63)と、ロータコア33の下面に固定されたジャケット部材35とを上下両側から一体に挟み込むことにより、カバー部材61をロータコア33の側へ永久磁石34ごと押えるものである(図4参照)。
この押え部材65は、図2〜図4に示すように、周方向における磁石間部位34Pにおいてロータ主部材32をその径方向外側からくわえこむように当該ロータ主部材32に装着されている。図2〜図4に示される例では8個の押え部材65がロータ主部材32に装着されている。
各押え部材65は、図3、図4に示すように、ロータ主部材32の上下両側の位置で当該ロータ主部材32の径方向に延びる一対のアーム部65a,65bと、これらアーム部65a,65bをロータ主部材32の径方向外側の位置で連結する連結部65cとを有する側面視コ字型の形状を有している。
一対のアーム部65a,65bのうち上側アーム部65aは、溝部39の上側溝部分39aに嵌め込まれる部分に相当し、下側アーム部65bは、溝部39の下側溝部分39bに嵌め込まれる部分に相当し、連結部65cは、溝部39の外周溝部分39cに嵌め込まれる部分に相当する。
図4、図5に示すように、押え部材65の下側(ジャケット部材35側)に位置する下側アーム部65bの位置は、ジャケット部材35の下側溝部分39bに嵌め込まれた状態で、ジャケット部材35をロータコア33側に押さえ込んでいる。下側アーム部65bの上下方向の厚さは、下側溝部分39bの深さと同じに設定されているため、下側アーム部65bの下面は、ロータ主部材32の下面と面一になっている。
図3〜図5に示すように、カバー部材61は、カバー本体62とフランジ部63とで一体に形成されている。
カバー本体62は、扇形形状の永久磁石34を上方から覆うように該永久磁石34に対応して扇形形状に形成したカバー基板部62aと、該カバー基板部62aの周方向端部から下方へ延設されたカバー端面62bとを備えている。
カバー基板部62aは、薄板形状としている。当例ではカバー基板部62aは、薄板形状の磁性体を積層した積層体として形成している。これにより、磁性体で形成した保持部材6を流れる磁束に起因する薄板形状の磁性体の積層方向の電気的抵抗を高めて渦電流によるエネルギ損失(渦電流損)を低減している。
カバー端面62bは、磁石間対応部位34Pにおいて永久磁石34の周方向端面の一部、すなわち段差部34aに有する縦壁面34abを覆うように形成されている(図5参照)。
フランジ部63は、磁石間対応部位34Pにおいて、永久磁石34の周方向端面の一部、すなわち段差部34aに有する段差面34aa(下面)を覆うようにカバー端面62bの下端から周方向で隣合う永久磁石34に向けて略水平に突出し、かつ径方向に沿って形成されている(図3〜図5参照)。
フランジ部63は、隣合うカバー部材61のフランジ部63との間で、夫々のカバー部材61の周方向端部における、径方向に互いに異なる位置に形成されている(図3、図4参照)。
当例では、隣合うカバー部材61,61の各フランジ部63,63は、周方向端面に平面視で平面視凹凸形状になるように2つずつ備えており、夫々のカバー部材61の周方向端部において径方向に互い違いになるように突出形成されている。これにより、フランジ部63は、永久磁石34をカバー部材61で覆った状態において、周方向で隣合うフランジ部63も含めたカバー部材61や隣合う永久磁石34に当接しない長さで突出形成されているとともに、隣合うフランジ部63も含めて各フランジ部63が同じ高さになるように形成されている。
且つ、フランジ部63は、後述のとおり、該フランジ部63の上面に押え部材65の上側アーム部65aの下面が当接した状態で該上側アーム部65aを下側から受け止め可能な幅を有して突出形成されている。
永久磁石34をカバー基板部62aで覆った状態においては、磁石間部位34Sでは、永久磁石34の周方向端の段差部34aが、カバー部材61のカバー端面62bとフランジ部63とで覆われた状態となる。
当例では、押え部材65の上側アーム65aは、磁石間部位34Sにおいて隣合うカバー部材61,61に備えた2つずつのフランジ部63、すなわち合計4つのフランジ部63を下方へ押圧した状態で上側溝部分39aに嵌め込まれている。
さらに押え部材65の上側アーム65aは、カバー端面62bを介して磁石間部位34Sに介在することにより、フランジ部63をロータコア33側に押さえ込んだ状態で、周方向で隣合うカバー部材61,61や永久磁石34,34が互いに接触しない幅を確保している。
なお、永久磁石34をカバー部材61で覆った状態において、カバー部材61の上面は、外筒部材37および内筒部材36の各上面と面一となっている。これにより、ロータ主部材32の上面は略面一となる。
上述したように構成されたロータ本体31の内筒部材36の内側に回転軸4が挿入され、この状態で、ロータ本体31がこのナット部材51と鍔部4a(リング部材52)とにより軸方向に挟み込まれた状態で回転軸4に固定されている。
回転軸4にロータ本体31が固定された状態では、図4に示すように、各押え部材65のアーム部65a,65bの先端がナット部材51及びリング部材52によりロータコア33側に押さえ込まれている。なお、押え部材65の各アーム部65a,65bの先端には、回転軸4に沿って互いに逆向き伸びる鉤部65dが形成されており、上側(永久磁石34側)のアーム部65aの鉤部65dがナット部材51の中央に形成された凹部に挿入され、下側(ジャケット部材35側)のアーム部65bの鉤部65dがリング部材52の内側に挿入されている。これにより、各アーム部65a,65bの鉤部65d,65dが径方向外側から拘束され、各押え部材65の径方向外側へ変位が規制されている。
上述した第1実施形態の回転電機1のロータ32の作用効果について説明する。
第1実施形態に係る回転電機1は、ステータ2と、回転軸4とともに回転し、該ステータ2に対して回転軸4の軸方向に対向配置されるロータ3と、を備えたアキシャルギャップ型回転電機であって、ロータ3には、ステータ対向面33aに極性が交互に異なるように周方向に並べて配置される複数の永久磁石34と、これら永久磁石34を覆って保持する保持部材6とを備え、該保持部材6における、磁石間部位34Sに対応する少なくとも磁石間対応部位34Pに、これら永久磁石34,34間の短絡磁束路を遮断する磁束遮断部を設けたものである。
上記構成によれば、ロータ3に備えた永久磁石34の渦電流損を低減するために永久磁石34をさらに細かく分割化しても保持部材6により、これら分割化した複数の永久磁石34を覆って保持することができるため、ロータ3の回転に伴う遠心力や他の永久磁石34との吸引や反発により飛散することがなくロータ3に備えた永久磁石34を確実に保持することができつつ、保持部材6における、磁石間部位34Sに対応する少なくとも磁石間対応部位34Pに、磁束遮断部を設けることにより、磁束短絡路R(図5参照)を遮断し、すなわち磁石間部位34Sに発生する磁束短絡の発生を抑制し、もってモータとして適用する場合には、トルク増に寄与することができ、発電機として適用する場合には、電圧増に寄与することができる。
この発明の態様として、保持部材6における磁束遮断部としての押え部材65を非磁性体で形成するとともに、保持部材6における、磁束遮断部(押え部材65)以外の部位であって少なくとも、ロータ3に備えた永久磁石34とステータ2との間に相当する部位、すなわち当例ではカバー部材61を磁性体で形成したものである。
上記構成によれば、保持部材6における、磁束遮断部以外の部位であるカバー部材61であって少なくとも、ロータ3に備えた永久磁石34とステータ2との間に相当する部位であるカバー基板部62aを磁性体で形成したため、ステータ2とロータ3との間の空隙に該カバー基板部62aが配置されることに起因してステータ2とロータ3との間の磁気的な空隙の長さが長くなることがない。
よって、ロータ3側の永久磁石34からステータ2側へ渡る磁束が減少することを抑制できるため、アキシャルギャップ型回転電機1のトルクの低下を防ぐことができる。
またこの発明の態様として、ロータ3における永久磁石34に対してステータ2側と反対側に、複数の永久磁石34を固定するロータコア33を備え、保持部材6は、複数の永久磁石34に対応する形状および大きさで各永久磁石34をステータ2側から覆うように形成された複数のカバー部材61と、隣合うカバー部材61,61の磁石間対応部位34Pにおいて該カバー部材61をロータコア33の側へ永久磁石34ごと押える押え部材65とを備え、磁束遮断部を押え部材65に設定したものである。
上記構成によれば、複数のカバー部材61がそれぞれに対応する永久磁石34を覆った状態で押え部材65がカバー部材61を介して永久磁石34をロータコア33側に押さえ込むことで、ロータ3のステータ対向面33aに備えた複数の永久磁石34の全てを覆った状態でしっかりと保持することができる。
さらに、磁束遮断部を押え部材65に設定することより、磁石間部位34Sに発生する磁束短絡路Rが形成されることを抑制することができる。
さらにカバー部材61を、複数の永久磁石34に対応して複数備えるとともに複数の永久磁石34に対応する形状および大きさで形成することにより、例えば、ロータ3におけるステータ2との対向面全体を覆うように形成するカバー形態と比較してカバー部材61自体の体積を小さくすることができるため、カバー部材61が磁性体である本実施形態において、カバー部材61により発生する渦電流損の影響を低減することができる。
加えて、カバー部材61を、複数の永久磁石34に対応して複数備えても、押え部材65は、隣合うカバー部材61,61の磁石間対応部位34Pにおいてこれら隣合うカバー部材61,61を跨ぐようにして隣合う双方のカバー部材61をロータコア33側に押え込むことができるため、少ない押え部材65により効率よくしっかりとカバー部材61をロータコア33側に押え込むことができる。
またこの発明の態様として、カバー部材61は、永久磁石34の周方向端面の少なくとも段差部34aを覆うように磁石間対応部位34Pにおいて形成されたカバー端面62bを備えたカバー本体62と、該カバー端面62bから周方向で隣合う永久磁石34に向けて突出形成されたフランジ部63とを備え、押え部材65は、カバー端面62bを介して磁石間部位34Sに介在するとともにフランジ部63をロータコア33側に押さえ込んだ状態で、周方向で隣合うカバー部材61,61が互いに接触しない幅を有して形成されたものである(図5参照)。
上記構成によれば、カバー部材61は、押え部材65によってフランジ部63を介してロータコア33側に押さえ込まれるため、ロータ3のステータ対向面33aに備えた複数の永久磁石34をまとめて覆った状態でしっかりと保持することができる。
さらに押え部材65は、周方向で隣合う永久磁石34,34同士は勿論、カバー部材61,61同士が接触することがないようにカバー端面62bを介して磁石間部位34Sに介在することができるため、隣合う永久磁石34,34を磁束短絡しない間隔に保つことができる。
またこの発明の態様として、隣合うカバー部材61,61の各フランジ部63は、夫々のカバー部材61の周方向端部において径方向に交互に(互い違いに)なるように形成されたものである。すなわちカバー部材61の周方向端部は、平面視凹凸形状に形成されたものである(図3参照)。
上記構成によれば、カバー部材61により永久磁石34を覆った状態において、カバー部材61同士(フランジ部63同士)が互いに周方向に接触することを回避できつつ、各フランジ部63は隣合うカバー部材61の側へより長く突出形成することができるため、各フランジ部63には、押え部材65によってロータコア33側へ押圧する押圧面を十分に確保することができる。
ただし、本発明は上述した第1実施形態のように、隣合うカバー部材61,61の各フランジ部63を径方向に交互に形成した構成に限らず、図6(a)に示すように、夫々のカバー部材61,61の周方向端部において径方向において同じ位置から各フランジ部63,63が互いに周方向において突き合う(対向し合う)ように突出形成した構成を採用してもよい。この構成において各フランジ部63,63は、磁石間部位34Sの間隔の中間位置よりも若干短い突出長さで形成されている。
或いは、さらに他の実施形態として図6(b)に示すように、周端面に段差部34aが形成されていない永久磁石34においては、カバー部材61は、そのカバー端面62bを、永久磁石34の厚みに相当する縦壁面34ab(周端面)全体を覆う長さで形成するとともに、フランジ部63をカバー端面62bの下端からロータコア33上面に沿って周方向に突出形成する構成を採用することができる。
なお図6(a),(b)は、いずれも第1実施形態に係る回転電機1の変形例を説明する説明図であって、図5に対応する断面図である。
また第1実施形態においては、押え部材65を磁束遮断部として非磁性体で形成したが、本発明は、押え部材65のみを磁束遮断部として非磁性体で形成するに限らず、押え部材65と、カバー部材61における少なくとも磁石間対応部位34P、例えばフランジ部63やカバー端面62bを磁束遮断部として非磁性体で形成した構成を採用してもよい。
(第2実施形態)
図7〜図11は、本発明の第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機1A(以下、「回転電機1A」と称する)に備えたロータ3Aの説明図であって、図7は第2実施形態に係る回転電機に備えたロータ本体の外観図、図8は、ロータ本体の分解外観図、図9は、図7のD−O−E線断面図、図10(a)は、第2実施形態の保持部材の底面図(裏面図)、図10(b)は、第2実施形態の保持部材6を下方から見た斜視図、図11は、図7のF−F線断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図7〜図9に示すように、第2実施形態に係るロータ3Aに備えた保持部材6Aは、平面視扇形状の複数の永久磁石34Aをまとめて覆うようにロータ3Aの周方向に一体に形成された平面視略円板状のカバー部材61Aと、上述した押え部材65の代わりに、内筒部材36Aおよび外筒部材37Aの各側に形成された押え片361,371とで構成している。
詳しくは図8〜図10(a)、(b)に示すように、カバー部材61Aは、カバー本体62Aと仕切り板64とを備えて一体に形成されている。カバー本体62Aは、磁石間対応部位34Pにおいても隙間なく周方向に連続しており、永久磁石配置領域zに対応する形状、すなわち中心部が開口した略円環状に形成されている。
カバー本体62Aの外周縁および内周縁には、後述する押え片361,371によって係合可能に上面に対して厚み方向全体が一段低くなる段差部62Aa,62Abが全周に亘って形成されている。
カバー本体62Aは、全体が磁性体で形成されており、さらに当例では、薄板形状の磁性体を積層した積層体として形成している。これにより、磁性体で形成した保持体を流れる磁束に起因する薄板形状の磁性体の積層方向の電気的抵抗を高めて渦電流によるエネルギ損失(渦電流損)を低減している。
さらにカバー本体62Aの下面(裏面)であって、磁石間対応部位34Pには、下方へ突出形成した一対の凸部62Ac,62Acが一体に形成されており、この一対の凸部62Ac,62Acは、これら凸部62Ac,62Ac間に仕切り板64を嵌め込み可能な間隔を有した溝部620(図10(a)、図11参照)が形成されるように周方向に離間して設けられており、互いに径方向の内端から外端に平行に延びている。
仕切り板64は、長辺(径方向辺)がカバー本体62Aの半径に相当する長さを有するとともに短辺(軸方向辺)が永久磁石34Aの厚みよりも若干短い長さを有し、さらに周方向で隣合う永久磁石34Aの間の隙間に相当する厚みを有する短冊形状(矩形状)の板状に形成されている。
この仕切り板64の上端辺の長手方向の一端(径方向外端)、すなわち外筒部材37Aの押え片371に対応する部位には、該部位を切欠いた切欠き64aが形成されている(図9参照)。同様に、仕切り板64の上端辺の長手方向の一端(径方向内端)、すなわち内筒部材36Aの押え片361に対応する部位には、該部位を切欠いた切欠き64bが形成されている(同図参照)。
仕切り板64は、磁束遮断部として非磁性体で形成されている。
仕切り板64は、上端側の長辺部全体が溝部620に嵌合されることにより、カバー本体62Aに対して一体化されている(図10(a)、(b)参照)。
これにより、カバー部材61Aは、カバー本体62Aの周方向における8つの磁石間対応部位34Pから8つの仕切り板64が下方へ突出形成され、これら8つの仕切り板64が底面視で放射状に形成されている。そして、永久磁石34Aをカバー部材61Aで覆った状態においては、仕切り板64が周方向における磁石間部位34Sに介在した状態となる。
図7〜図9に示すように、第2実施形態に係る外筒部材37Aは、その上端の内周縁に、全周に亘って内向きに突出する鍔状の上記の押え片371が設けられている。同様に、内筒部材36Aは、その上端の外周縁に、全周に亘って外向きに突出する鍔状の上記の押え片361が設けられている(同図参照)。
これら内筒部材36Aおよび外筒部材37Aの各押え片361,371は、共にカバー部材61Aを介して永久磁石34Aをロータコア33側に押さえるものであり、この押え片361,371と、カバー部材61Aとで第2実施形態の保持部材6Aを構成している。
また図8、図9に示すように、外筒部材37Aの下部には、下方へ向けて突出した突片362が全周に亘って設けられるとともに、ジャケット部材35Aに備えた外周部の上部には、ジャケット部材35Aの上部に設けた突片362に径外側から係合する下方へ向けて突出する突片350が全周に亘って設けられており、これら突片350,362は互いに径方向に係合している。
第2実施形態に係る永久磁石34Aは、外筒部材37Aの押え片371に対応して外周縁に周方向に延びる段差部34Aaが形成されるとともに、内筒部材36Aの押え片361に対応して内周縁に周方向に延びる段差部34Abが形成されている(図9参照)。
なお、本実形態においては、永久磁石34Aの周方向端部には、第1実施形態のような段差部34a(図5参照)が形成されていない(図8参照)。
内筒部材36Aおよび外筒部材37Aの各押え片361,371は、共にロータコア33側と反対側(上方)からカバー部材61Aの段差部62Ab,62Aaを介して永久磁石34Aの段差部34Ab,34Aaに係合する。押え片361,371は、径方向の内外両側からカバー部材61Aを介して永久磁石34Aをロータコア33側に押さえる構成としている。
このとき、外筒部材37Aの上面とカバー部材61Aの上面と、内筒部材36Aの上面とは面一となっている(図7参照)。
なお、図9に示されるように、外筒部材37Aは、ジャケット部材35Aの外周部とともに、カバー部材61Aの段差部62Aa、永久磁石34Aの段差部34Aa、液漏れ防止シート38およびロータコア33を上下両側から挟み込むようにしてこれらに外嵌されており、内筒部材36Aは、カバー部材61Aの段差部62Ab、永久磁石34Aの段差部34Ab、液漏れ防止シート38およびロータコア33を上下両側から挟み込むようにしてこれらに内嵌されている。
上述したように第2実施形態に係る回転電機1Aは、保持部材6Aに、複数の永久磁石34Aをまとめて覆うようにロータ3Aの周方向に一体に形成されたカバー部材61Aを備え、磁束遮断部は、カバー部材61Aの周方向の磁石間対応部位34Pに備えられ、かつ隣合う永久磁石34Aを仕切るように隣合う磁石34A,34A間に介在する仕切り板64で形成され、ロータ3Aにおける永久磁石34Aに対してステータ対向面33aと反対側に、複数の永久磁石34Aを固定するロータコア33を備え、ロータコア33に外嵌する外筒部材37Aを備えるとともに、ロータ3Aの中心位置で、回転軸4に外嵌する内筒部材36Aを備え、保持部材6Aは、外筒部材37Aの内周縁と内筒部材36Aの外周縁とに形成され、かつこれら内外夫々の周縁を径方向に対向するカバー部材61A側の対向縁部を永久磁石34Aごとロータコア33の側に押える押え片371,361をさらに備えたものである(図7〜図11参照)。
上記構成によれば、外筒部材37Aと内筒部材36Aとのカバー部材61Aと対向縁部に設けた両押え片371,361により、複数の永久磁石34Aをまとめて覆った状態のカバー部材61Aを、その径方向の内外両側からロータコア33側に押さえ込むことができるため、押え片371,361とカバー部材61Aとによってロータ3Aのステータ対向面33aに備えた複数の永久磁石34Aの全てをしっかりと保持することができる。
さらに、周方向で隣合う永久磁石34Aを仕切る仕切り板64を磁束遮断部に設定することより、隣合う磁石34A,34A間に発生する磁束短絡の発生を抑制することができる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の磁石は、実施形態の永久磁石34,34Aに対応し、
以下同様に、
内周部材は、内筒部材36に対応し、
外周部材は、外筒部材37に対応し、
仕切り部材は、仕切り板64に対応し、
磁束遮断部は、第1実施形態の押え部材65又は第2実施形態の仕切り板64に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、 図12(a)、(b)に示すように、カバー部材61Bを仕切り板64と同様に非磁性体で形成する構成を採用してもよい。この場合には、カバー本体62Bの周方向における永久磁石34Aに対応する各部位に、平面視で扇形形状の磁性体パネル70を備えてもよい。
なお、図12(a),(b)は、いずれも第2実施形態に係る回転電機1Aの変形例を説明する説明図であって、図12(a)は図10(a)に対応する断面図であり、図12(b)は図10(b)に対応する断面図である。
この実施形態においては、磁性体パネル70は永久磁石34Aの数に対応させて8枚備え、永久磁石34Aと平面視形状が同じ平面視で扇形形状に形成されている。さらに、カバー本体62Bの周方向における永久磁石34Aに対応する各部位には、磁性体パネル70が嵌め込まれる嵌込み孔68(図12(a)参照)が厚み方向に貫通形成されており、この嵌込み孔68に磁性体パネル70が嵌め込まれることで磁性体パネル70は、対応する永久磁石34Aと対向するようにカバー部材61Bに備えている。
この構成においては、カバー部材61Bにおけるカバー本体62Bが樹脂等の非磁性体で形成されているため、軽量化、成形性を高めつつ、永久磁石34Aをカバー部材61Bで覆った際にはロータ3Aに備えた永久磁石34Aとステータ2との間に相当する部位にはカバー部材61Bにおける磁性体パネル70が介在した状態となるため、ステータ2とロータ3Aとの間の空隙にカバー部材61Bが配置されることに起因してステータ2とロータ3Aとの間の磁気的な空隙の長さが長くなることを抑制することができる。
よって、ロータ3A側の永久磁石34Aからステータ2側へ渡る磁束が減少することないため、アキシャルギャップ型回転電機のトルクの低下を防ぐことができる。
さらに磁性体パネル70を、薄板形状の磁性体を積層した積層体として形成することにより、磁性体で形成した磁性体パネル70を流れる磁束に起因する薄板形状の磁性体の積層方向の電気的抵抗を高めて渦電流によるエネルギ損失(渦電流損)も低減することができる。
なお、本実施形態のカバー部材61Bは、仕切り板64と共にカバー本体62Bを非磁性体で形成しているため、夫々を別部材で形成して組み合わせるのではなく、これら部材64,62Bを一部材により一体に形成してもよい。
1,1A…アキシャルギャップ型回転電機
2…ステータ
4…回転軸
3,3A…ロータ
6,6A…保持部材
34,34A…永久磁石(磁石)
34P…磁石間対応部位
33…ロータコア
33a…ステータ対向面
37…外筒部材(外周部材)
36…内筒部材(内周部材)
61,61A…カバー部材
62b…カバー端面
62…カバー本体
63…フランジ部(磁束遮断部)
64…仕切り板(仕切り部材、磁束遮断部)
65…押え部材(磁束遮断部)
361,371…押え片

Claims (5)

  1. ステータと、回転軸とともに回転し、該ステータに対して上記回転軸の軸方向に対向配置されるロータと、を備えたアキシャルギャップ型回転電機であって、
    上記ロータには、ステータ対向面に極性が交互に異なるように周方向に並べて配置される複数の磁石と、これら磁石を覆って保持する保持部材とを備え、
    該保持部材における、隣合う磁石間に対応する少なくとも磁石間対応部位に、これら磁石間の短絡磁束路を遮断する磁束遮断部を設け
    上記ロータにおける磁石に対して上記ステータ側と反対側に、複数の磁石を固定するロータコアを備え、
    上記保持部材は、複数の磁石に対応する形状および大きさで各磁石を上記ステータ側から覆うように形成された複数のカバー部材と、隣合うカバー部材の上記磁石間対応部位において該カバー部材を上記ロータコアの側へ磁石ごと押える押え部材とを備え、
    上記磁束遮断部は、上記カバー部材の上記磁石間対応部位と、押え部材とのうち少なくとも一方に設定した
    アキシャルギャップ型回転電機。
  2. 上記カバー部材は、
    磁石の周方向端面の少なくとも一部を覆うように上記磁石間対向部位において形成されたカバー端面を備えたカバー本体と、該カバー端面から周方向で隣合う磁石に向けて突出形成されたフランジ部とを備え、
    上記押え部材は、上記カバー端面を介して周方向で隣合う磁石間に介在するとともに上記フランジ部を上記ロータコア側に押さえ込んだ状態で、周方向で隣合う上記カバー部材が互いに接触しない幅を有して形成された
    請求項に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  3. 隣合うカバー部材の各フランジ部は、夫々のカバー部材の周方向端部において互いに径方向の異なる位置に形成された
    請求項に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  4. ステータと、回転軸とともに回転し、該ステータに対して上記回転軸の軸方向に対向配置されるロータと、を備えたアキシャルギャップ型回転電機であって、
    上記ロータには、ステータ対向面に極性が交互に異なるように周方向に並べて配置される複数の磁石と、これら磁石を覆って保持する保持部材とを備え、
    該保持部材における、隣合う磁石間に対応する少なくとも磁石間対応部位に、これら磁石間の短絡磁束路を遮断する磁束遮断部を設け、
    上記保持部材は、複数の磁石をまとめて覆うように上記ロータの周方向に一体に形成されたカバー部材を備え、
    上記磁束遮断部は、上記カバー部材の周方向の上記磁石間対応部位に備えられ、かつ隣合う磁石を仕切るように隣合う磁石間に介在する仕切り部材で形成され、
    上記ロータにおける磁石に対してステータ対向面と反対側に、複数の磁石を固定するロータコアを備え、
    上記ロータに、上記ロータコアに外嵌する外周部材を備えるとともに、上記ロータの中心位置で、回転軸に外嵌する内周部材を備え、
    上記保持部材は、上記外周部材の内周縁と上記内周部材の外周縁とに形成され、かつこれら内外夫々の周縁を径方向に対向するカバー部材側の対向縁部を磁石ごと上記ロータコアの側に押える押え片をさらに備えた
    キシャルギャップ型回転電機。
  5. 上記保持部材における上記磁束遮断部を非磁性体で形成するとともに、上記保持部材における、上記磁束遮断部以外の部位であって少なくとも、上記ロータに備えた磁石と上記ステータとの間に相当する部位を磁性体で形成した
    請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
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