JP6394293B2 - コークス炉用装入車 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス炉の炭化室へ石炭を装入するための装入車に関する。
コークスは、装入車によって原料である石炭をコークス炉の炭化室へ装入し、これを乾留することによって製造される。石炭には水分のほか、メタン、水素、一酸化炭素等の石炭ガスと呼ばれる揮発成分が含有されているため、石炭が装入車から高温の炭化室内へ装入されると、石炭から多量の揮発成分が発生する。
石炭を炭化室へ装入した際に発生する揮発成分は、上昇管及びコレクチングメーンを経てガス精製設備へ回収されるが、一部は装入口を通って装入車の集塵配管内に排出される。上記の通り、揮発成分は可燃性ガスを含有しているが、炭化室内で加熱された揮発成分が装入車の集塵配管内に排出されると、空気と混合して爆鳴気が形成される。集塵配管内に滞留した爆鳴気は、装入口付近で発生する火炎により着火し、燃焼爆発に至る。この燃焼爆発を防止するため、通常、装入車下部(装入口付近)の装入フードには、カンテラやスパークプラグ等の着火装置が設けられており、強制的に揮発成分を燃焼させ、その滞留を抑制している。
一方、装入車から炭化室内に装入された石炭の充填状態を均等にするため、押出機がレベラーを用いて均し作業を行う。レベラーが炉内に進入する際、一部の石炭がレベラーにより押され、炉内の空間の一部が圧迫されることにより、揮発成分の炉外への排出量が一時的に増大する。このため、前述の通り装入口付近に着火装置を設けていたとしても、燃焼されずに装入車の集塵配管内に排出されてしまう揮発成分が増大し、燃焼爆発が発生する場合がある。
装入車は本来、上記のような燃焼爆発の発生を考慮した設計となっている。具体的には装入車の集塵配管には圧力を開放するための安全弁が備わっているため、揮発成分の燃焼爆発による設備破損等の危険性は回避されている。しかし、装入車内で揮発成分が燃焼爆発する際には大きな音響(爆鳴)を伴うため、保安事故など他の音響原因との誤認を生じる虞がある。そのため、爆鳴が生じた際に、その音響が装入車内での揮発成分の爆発燃焼によるものであることを確認したいという要求がある。
なお、コークス炉内に装入された石炭の充填状態をレベラーを用いて均等化する際の揮発成分の炉外への排出量の変動に対応し、装入口付近での着火を確実にするための改善も種々行われている。
特許文献1では、加圧液体燃料と加圧空気とを調整して供給することで、着火バーナーでの火炎形成を安定化させる方法が提案されている。また、特許文献2では、装入車における装入スリーブと装入フードとの間の空間に、棒状の発熱体を有するガス着火装置を設けることにより、炭化室内で生じた可燃性ガスを確実に着火させる方法が開示されている。しかしながら、これらの方法によっても、上記の爆鳴現象を完全に無くすことは困難であった。
特開平8−193194号公報 特開2006−206668号公報
上記の通り、爆鳴が生じた際に、その音響が装入車内での揮発成分の燃焼によるものであることを確認したいという要求があった。揮発成分による爆鳴であるか否かは、装入車の付近でコークス製造に従事している作業者であれば聴覚的に識別可能であるようにも思えるが、コークス製造設備においては種々の装置や機器が作動しているため騒音も多く、また、作業者は高温作業に耐え得る防具で保護されていることなどから、作業者の聴覚に依存した識別には限界があった。
本発明は、前記課題を解決し、コークス製造に用いる装入車の集塵配管内で揮発成分が燃焼爆発した際に、これを正確にモニターすることが可能な手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、装入車の安全弁に、爆鳴時に作動したことが判別できるセンサーを設置することによって前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[4]を要旨とする。
[1] コークス炉の炭化室へ石炭を装入するための装入車であって、炭化室内で生じた可燃性ガスが装入車の集塵配管内に排出され、該集塵配管内で燃焼した際に、燃焼排ガスが該集塵配管から排出されるための安全弁を備えるとともに、該燃焼排ガスが安全弁から排出されたことを検知する非接触式のセンサーを有することを特徴とするコークス炉用装入車。
[2] 前記安全弁が、装入車の集塵配管に備えられており、ヒンジにより固定された蓋が開く構造である[1]に記載のコークス炉用装入車。
[3] 前記非接触式のセンサーを構成する1対のセンサーのうち一方が前記安全弁の蓋と連結されており、かつ当該蓋に連結されたセンサーと蓋とが、支柱を介して10cm以上離れている[1]又は[2]に記載のコークス炉用装入車。
[4] 前記非接触式のセンサーがマグネット式である[1]〜[3]の何れかに記載のコークス炉用装入車。
本発明によれば、コークス製造に用いる装入車の内部で揮発成分が燃焼爆発した際に、これを正確にモニターすることが可能な手段を提供することができる。
一般的な室炉式コークス炉を示す概略図である。 本発明を適用することが出来るコークス炉用装入車を示す概略図である。 室炉式コークス炉内で発生した揮発成分の流れを示す概略図である。 本発明のコークス炉用装入車における安全弁付近を示す上面図(a)及び側面図(b)である。 本発明のコークス炉用装入車における安全弁付近を示す側面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
〔コークス炉〕
本発明は、コークス炉内へ石炭を装入するための装入車に関する。
本発明が対象とするコークス炉は限定されないが、特に室炉式のコークス炉を対象とする。以下に、室炉式コークス炉とコークス製造設備について説明する。
図1に室炉式コークス炉の概略を示す。図1に示す通り、室炉式のコークス炉1は炭化室2、炉蓋4、炉蓋5、上昇管9等によって構成されている。本発明において、このような構造一式をコークス炉の1単位とし「窯」と呼ぶ場合がある。通常、この窯を1つの単位とし、並行して隣接する窯の間に燃焼室が設けられ、炭化室と燃焼室が連続する構造を有している。
コークスは通常、炭化室2上方の装入口6より石炭を装入し、乾留することにより製造される。乾留条件は限定されないが、通常約1000〜1400℃、高炉用コークスでは約1100〜1300℃の温度範囲で行われ、乾留後にコークス炉から押し出されて冷却することによりコークスが得られる。具体的には、乾留工程が終了した後、炉蓋4、炉蓋5を開き、炉蓋4側から炉蓋5側へ押出機(図示せず)によってコークスを押出し、炉蓋5側のプラットフォーム3上に待機しているガイド(図示せず)を通して消火電車(図示せず)にコークスを回収し、消火電車に積まれたコークスを消火する。
〔原料炭の装入〕
炭化室2に原料の石炭を装入するためには、図2に示すような装入車21が用いられる。装入車21は、コークス炉の炉上に有する装入車走行レール8上を、走行車輪26によって走行することができ、石炭塔(原料炭をストックするサイロ)と、装入する炭化室2のある窯との間を往復することができる。
原料炭の装入手順としては、先ず装入車21の受炭部22が空の状態で石炭塔の下部に停止し、そこで炭化室2に装入する1窯分の石炭を積載する。石炭を積載した装入車21は装入車走行レール8上を走行し、装入する窯位置で停止する。次いで、装入車21に備わっているリフティングマグネット(装入蓋を脱着する装置)によって装入蓋7が装入口6から外されるとともに、炭化室2の内部に石炭が装入される。炭化室2への石炭装入が完了後、装入蓋7が装入口6の位置に戻される。
〔揮発成分の流れ〕
通常、1窯分の原料炭、すなわち1つの炭化室に供給する原料炭の量は20〜40t程度であるが、この量の原料炭を装入車21から炭化室2へ装入するためには5〜8分程度の時間を要する。
原料炭の温度は、装入前の時点では10〜40℃程度であるが、これが炭化室2に装入されることにより、炉壁側に装入された一部の石炭は一気に1000〜1200℃程度に加熱される。石炭には水分のほか、メタン、水素、一酸化炭素等の石炭ガスと呼ばれる揮発成分が含有されているため、石炭が炭化室2内へ装入されると、石炭から多量の揮発成分が発生することとなる。図3に示す通り、炭化室2内で発生した揮発成分は上昇管9からコレクチングメーン10へと導出されて回収されるが、一部は装入口6を通って装入車21の内部に排出される。
炭化室2から装入車21へ排出される揮発成分は、複数有する装入口6を経由して集塵配管23を上昇した後、集塵配管24で集合する。その後、装入車21に備わった集塵配管24からコークス炉上に配設された集塵配管11へと誘導される。
〔安全弁〕
揮発成分は可燃性ガスを含有するため、炭化室2内で加熱されて装入車21の内部に排出されると、燃焼爆発が起こる可能性が著しく高くなる。このため、通常、揮発成分をそのまま集塵配管24及び集塵配管11に誘導することはなされず、装入車21の装入口付近には通常、カンテラやスパークプラグ等の着火装置を備え、強制的に揮発成分を燃焼させている。
しかし、原料炭を炭化室2に装入する際に発生する揮発成分の量は経時的に増減するため、揮発成分の一部は上記の着火装置で着火されることなく、集塵配管24に排出される
場合がある。その際、揮発成分が空気等と混合されることにより爆鳴気が形成され、その結果、装入口付近の火炎等の着火源により燃焼爆発を起こす場合がある。
このため、集塵配管24には安全弁25が備わっており、燃焼爆発によって急激に発生した気体(燃焼排ガス)を放出する機能を備えている。
安全弁25の形状や方式には限定は無いが、図4に示す通り、ヒンジ37により固定された蓋部31が開く構造であることが好ましい。このような構造であると、急激に発生した燃焼排ガスが速やかに放出されるとともに、放出が完了すれば速やかに元の状態に戻ることができる。
〔非接触式センサー〕
本発明は、コークス炉1の炭化室2内で生じた可燃性ガスが装入車21の集塵配管23、24に排出され、集塵配管23、24内で燃焼した際に、燃焼排ガスが集塵配管23、24から排出されるための安全弁25を備えるとともに、燃焼排ガスが安全弁25から排出されたことを検知する非接触式のセンサー32を有することを特徴とする。
非接触式のセンサー32の作動方式、検知方式は限定されないが、1対のセンサーで構成されることが好ましい。
非接触式のセンサー32を1対のセンサーで構成する場合、通常、一方が安全弁25の蓋部31と連結されており、他方は集塵配管24等と連結して備わっている。これを図4(a)において、それぞれセンサー(可動側)33及びセンサー(固定側)34として示す。なお、センサー(固定側)34は必ずしも集塵配管24と連結していなくともよく、装入車21を構成する何れかの部位と連結されていてもよい。
また通常、少なくともセンサー(可動側)33及びセンサー(固定側)34の何れかには、検知した信号を装入車の制御盤等へ送信する伝送ケーブルが接続されている(図示せず)。当該伝送ケーブルは、センサー(可動側)33と接続されているよりも、センサー(固定側)34と接続されている方が、蓋部31の開閉による振動の影響や熱による劣化の影響を受け難いため好ましい。なお、センサーによって検知した信号を、伝送ケーブルを用いずにワイヤレスで伝送することも可能である。
本発明に適用する非接触式のセンサーは、1つの安全弁に対して少なくとも1個(1対)備えていればよいが、2個(2対)以上備えられていてもよい。
非接触式のセンサー32は、安全弁25の蓋部31が開くことにより、図4(b)の状態から図5の状態となる。すなわち、蓋部31が開くことにより、センサー(可動側)33とセンサー(固定側)34との相対的な位置関係が変化することとなり、これを信号として検知することが出来る。具体的には、1対のセンサーが近接した位置関係であったものが、離れた位置関係へと変化することを信号として検知する。
蓋部31とセンサー(可動側)33とは直接連結されていてもよいが、支柱(可動側)35等を介して連結していることが好ましい。このように蓋部31とセンサー(可動側)33との間に距離を取ることにより、安全弁25から高温で排出される燃焼排ガスによってセンサーが熱劣化することを抑制することが可能となるため好ましい。また、蓋部31とセンサー(可動側)33との間に距離を取れば、蓋部31が開いた際の変位量を増幅することが出来るため、センサーの検知精度を向上させる点でも効果がある。
支柱(可動側)35の形状や材質に制限は無く、蓋部31とセンサー(可動側)33とを所定の距離を取って固定できるものであればよい。
蓋部31とセンサー(可動側)33との間隔は限定されないが、好ましくは10cm以上、より好ましくは15cm以上、更に好ましくは20cm以上、特に好ましくは25cm以上離れていることが望ましい。ここで間隔とは、蓋部31とセンサー(可動側)33との最短距離を意味する。
非接触式のセンサー32の作動方式、検知方式としては、上記の方式の他に、例えば、蓋部31の側方から赤外線等を照射することにより、蓋部31が開いた際に赤外線センサーが蓋部31の通過有無を感知する方式や、蓋部31の上部等に距離センサーを設けておき、該距離センサーと蓋部31との距離を測定することにより、その変化を感知する方式等が挙げられる。
非接触式のセンサー32を1対のセンサーで構成する場合、センサーの作動方式、検知方式、材質等には制限は無く、従来公知のものであれば何れも使用可能であるが、マグネット式であることが検知精度および耐久性の観点から好ましい。
非接触式のセンサー32の作動によって得られた信号を記録することにより、爆鳴等の揮発成分による燃焼爆発現象を明確にモニターすることが可能となる。更には、装入する石炭の組成、炭化室の温度、石炭の装入方法や装入条件等と非接触式のセンサー32によるモニター結果との相関を解析することにより、装入車の集塵配管内での燃焼爆発の頻度を低減し得る条件を見出すことも出来る。
1 コークス炉
2 炭化室
3 プラットフォーム
4 炉蓋
5 炉蓋
6 装入口
7 装入蓋
8 装入車走行レール
9 上昇管
10 コレクチングメーン
11 集塵配管
21 装入車
22 受炭部
23 集塵配管
24 集塵配管
25 安全弁
26 走行車輪
31 蓋部
32 センサー
33 センサー(可動部)
34 センサー(固定部)
35 支柱(可動部)
36 支柱(固定部)
37 ヒンジ
a 石炭又はコークス
b 石炭

Claims (4)

  1. コークス炉の炭化室へ石炭を装入するための装入車であって、炭化室内で生じた可燃性ガスが装入車の集塵配管内に排出され、該集塵配管内で燃焼した際に、燃焼排ガスが該集塵配管から排出されるための安全弁を備えるとともに、該燃焼排ガスが安全弁から排出されたことを検知する非接触式のセンサーを有することを特徴とするコークス炉用装入車。
  2. 前記安全弁が、装入車の集塵配管に備えられており、ヒンジにより固定された蓋が開く構造である請求項1に記載のコークス炉用装入車。
  3. 前記非接触式のセンサーを構成する1対のセンサーのうち一方が前記安全弁の蓋と連結されており、かつ当該蓋に連結されたセンサーと蓋とが、支柱を介して10cm以上離れている請求項1又は2に記載のコークス炉用装入車。
  4. 前記非接触式のセンサーがマグネット式である請求項1〜3の何れか1項に記載のコークス炉用装入車。
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