JP6394100B2 - パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材 - Google Patents
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Description
特許文献3は蛋白質高含有のパン等に関する出願であり、パフを配合することを特徴としている。
また特許文献4は、「粗蛋白質含量が乾燥固形分換算で50〜65重量%、不溶性食物繊維が2〜10重量%、窒素溶解指数(NSI)が50以下であることを特徴とする、粉末状大豆素材」を使用することでベーカリー製品においても生地の物性を阻害することなく蛋白質を強化することが可能である旨の記載がある。
(1)パン生地中の条件で不溶性であって且つ、吸水率が150%以下である、パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材、
(2)大豆蛋白質原料を10〜50重量%含有するペーストを100〜250℃の熱風で水分量15重量%以下まで乾燥させることを特徴とする、(1)記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法、
(3)大豆蛋白質原料を10〜50重量%含有するペーストを、厚さ1.5〜10mmの板状とし、100〜250℃の熱風で水分量15重量%以下まで乾燥させることを特徴とする、(1)記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法、
(4)大豆蛋白質原料が分離大豆蛋白質である、(2)又は(3)に記載の製造法、
(5)(1)記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材を3〜30重量%含有する、パン類、
(6)パン生地中の条件で不溶性であって且つ、吸水率が150%以下である大豆蛋白質素材を使用する、パン類の蛋白質を強化する方法、
に関するものである。
本発明においては特に、グルテンを生じさせ、イーストによる発酵工程を経るパン類において、効果が顕著に現れる。
分離大豆蛋白質は、大豆蛋白質を主成分とする組成物のことで、脱脂大豆等の原料から、水または温水にて抽出して繊維質(オカラ)を除去した後、pH4〜5程度の大豆蛋白質の等電点付近のpHで酸沈殿させた蛋白質を分離回収したものである。
本発明において不溶性とは、蛋白質の溶解状態のことであり、所定量の検体を溶媒に分散した状態で遠心分離した際、その上清部分に検体の蛋白質中の0〜90重量%が分布する状態を言う。
以上より、本発明における「パン生地中の条件」で「不溶性」であるか否かは、以下の方法により測定することができる。
すなわち、検体50mgをパン生地中の条件を想定した緩衝液(0.2Mリン酸ナトリウム、2.5%食塩、pH5.7) 1mlに対して懸濁し、途中ボルテックスミキサーで数回混合しながら室温20分放置する。12,000でrpm10分間遠心分離し、上清の蛋白質分をビウレット法にて測定して溶解蛋白質量とする。検体中の蛋白質量に対する溶解蛋白質量の重量パーセントを溶解率とし、溶解性の指標とする。本発明における不溶性とは溶解率10%未満とする。
本発明においては、大豆蛋白質素材がパン生地中の条件で不溶性でない場合は、パン類の蛋白質強化用の大豆蛋白質素材として用いることが困難となる場合がある。
検体吸水率(%)=(吸水量−小麦澱粉の吸水量×0.8)/検体重量×100
本発明においては、吸水率は150%以下である必要があり、この値は、より望ましくは135%以下であり、さらに望ましくは120%以下である。吸水率が大きすぎる場合は、パンの容積低下の原因となる場合がある。
17容積%は、これ以上の容積低下が生じている場合は、一見して低容積を認識することができる値である。
より具体的な判断手法は、実施例に記載する。
乾燥に用いる熱風の温度は、好ましくは100〜250℃であり、より好ましくは120〜200℃である。温度が高いほど吸水性が低下した大豆蛋白質素材が得られる場合が多い。温度が低すぎると、乾燥に時間がかかる場合がある。温度が高すぎる場合はコゲが発生するなど種々の化学反応により栄養価や食味を損ねる場合がある。
比較例1、2
市販の粉末状分離大豆蛋白質(不二製油製「ニューフジプロSE」)およびこれを粉末のままで加熱処理したものについて、吸水率、溶解率、製パン性を測定した。
加熱処理の方法、吸水率の測定法、溶解率の測定法、製パン性試験法の詳細は以下に記載した。
結果を表1にまとめた。
市販の分離大豆蛋白質を、105℃に設定したインキュベーターにて24時間保管した。
1 大豆蛋白質素材の検体20mgと小麦澱粉(和光純薬)80mgをあらかじめ風袋重量を測定した0.45μmフィルターを有する遠心ろ過チューブ(Millipore)に入れて粉体混合した。
2 緩衝液(0.2Mリン酸ナトリウム、2.5%食塩、pH5.7) 400μlを加えてボルテックスミキサーで混合した。
3 30分放置後、3,000rpmで10分遠心ろ過し、遠心後のフィルター重量からフィルターの風袋重量、大豆蛋白質検体および小麦澱粉の重量を差し引くことにより、フィルター上に残留した緩衝液重量を測定し、吸水量とした。
4 別途大豆蛋白質検体のかわりに小麦澱粉20mgを用いて同様に吸水量を測定し、次式により検体の吸水率を求めた。
検体吸水率(%)=(吸水量−小麦澱粉の吸水量×0.8)/検体固形物重量×100
1 検体50mg緩衝液(0.2Mリン酸ナトリウム、2.5%食塩、pH5.7) 1mlに対して懸濁し、途中ボルテックスミキサーで数回混合しながら室温20分放置した。
2 12,000rpm10分遠心分離した。
3 上清の蛋白分を分離大豆蛋白質を標準検体としたビウレット法にて測定して測定し、溶解蛋白質量とした。分離大豆蛋白質中の蛋白質量はケルダール法にて測定し、換算係数を6.25とした。
4 検体中の蛋白質量に対する溶解蛋白質量の重量パーセントを溶解率とした。検体中の蛋白質量はケルダール法にて測定し、換算係数を6.25とした。本発明における不溶性とは溶解率10%未満とした。
製パン機(松下電器製ホームベーカリーSD BT-101)を用いた。
1 あらかじめプログラムされている食パンコース(ミキシング20分、ベンチタイム25分、ミキシング10分(パンチング)、ホイロ55分、焼成45分)を選択した。
2 コントロールの配合は、強力粉280g、砂糖17g、食塩5g、インスタントドライイースト3g、水最適値(容積が最大になる量)とした。なお、加水量の最適値とは最大の比容積(容積をパンの重量で除算した値)が得られる加水量のことであり、具体的には2.5%刻みで変えて製パンすることによって求めた。小麦粉のロットや大豆蛋白質検体によって異なるため都度測定した。
3 大豆蛋白質検体を試験する際の配合は、コントロールの配合における強力粉に対して標準的な水分(5%)の大豆蛋白質検体を5重量%置換した配合で行い、大豆蛋白質検体の水分に応じて補正して添加した。すなわち、強力粉266g、大豆蛋白質検体を固形物量として13.3gになるように加えた。加水は最適値とした。
4 パンの容積はアステック製レーザー体積計を用いて測定し、重量で除算することにより比容積を算出した。
5 大豆蛋白質検体の製パン性は検体を添加したパンの比容積を、同じロットの強力粉を用いて大豆蛋白質に置換しない配合で製パンしたコントロールの比容積で除算し、パーセンテージにて表した。
6 大豆蛋白質素材の添加により、容積が17容積%以上減少したものを不良とし、容積の減少がそれより少ない場合を良好として、合格と判断した。
市販の分離大豆蛋白質は、パン生地中の条件において不溶性であったが、吸水率は高いものであった。また、市販の分離大豆蛋白質を設定条件で加熱しても、この傾向はほとんど変わらなかった。
これらをパンに添加した場合、その容積が低下することが確認された。市販の分離大豆蛋白質を単に加熱しただけでは、その容積低下を抑えることはできなかった。
比較例3、実施例1〜4
種々の加熱条件により、市販の分離大豆蛋白質を加水して得たペーストを加熱し、製パンテストを行った。
加熱条件は以下に示した。それ以外の条件は、検討1と同様とした。
各加熱条件および結果を表2にまとめた。
1 市販の分離大豆蛋白質(不二製油製ニューフジプロSE)に対して4倍量の水を加え、フードプロセッサにて5分間混合してペーストにした。
2 該ペーストをビニール袋に入れて真空脱気したのち、ローラーを用いて設定した厚みに調整した。
3 板状に成形されたものを袋から取り出して、それぞれ設定された条件で水分6重量%以下まで熱風乾燥した。
4 粉砕機にて粉末化した。
所定の条件で加熱を行った大豆蛋白質素材は、吸水率が所定の値となり、当該サンプルを添加したパンは、容積の低下が抑制されることが確認された。
実施例においては、いずれもパンの容積はコントロールに対しパンの体積の減少率が17容積%を超えないものであり、「パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材」と言えるものであった。
実施例5、6、比較例4
検討2と同様に調製した、市販の分離大豆蛋白質のペーストを、ビニール袋に入れて真空脱気したのち、ローラーを用いてそれぞれ設定した厚みに調整し、袋から取り出して水分6重量%以下まで120℃にて熱風乾燥した。
粉砕機にて粉末化し、吸水量と製パン性の測定を行った。
結果を表3に示した。
乾燥時の厚さが1mmの場合、乾燥は早く済むが、吸水率は150%より大きく、パンを調製した際の容積の低下傾向は大きかった。乾燥時の厚さを厚くすると、乾燥時間は長くかかるが、吸水率は低下し、それに伴い、パンを調製した際の容積の低下傾向が抑制された。
乾燥時の厚さが6mmの場合、乾燥に要する時間は6時間となり、10mmを超えて厚くした場合は、効率的な生産方法とは言えないと考えられた。
実施例5,6はいずれも「パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材」と言えるものであった。
Claims (5)
- パン生地中の条件で不溶性であって且つ、吸水率が150%以下である、分離大豆蛋白質を原料とするパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材。
- 分離大豆蛋白質を10〜50重量%含有するペーストを100〜250℃の熱風で水分量15重量%以下まで乾燥させることを特徴とする、請求項1記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法。
- 分離大豆蛋白質を10〜50重量%含有するペーストを、厚さ1.5〜10mmの板状とし、100〜250℃の熱風で水分量15重量%以下まで乾燥させることを特徴とする、請求項1記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法。
- 請求項1記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材を3〜30重量%含有する、パン類。
- パン生地中の条件で不溶性であって且つ、吸水率が150%以下である分離大豆蛋白質を原料とする大豆蛋白質素材を使用する、パン類の蛋白質を強化する方法。
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