JP6394100B2 - パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材 - Google Patents

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本発明は、パン類に添加した際に生じる製パン阻害作用を最小限とする新規な大豆蛋白質素材および、これを添加したパン類に関するものである。
大豆蛋白質は栄養性・経済性に優れた食品素材であり、近年では脂質代謝の改善効果など多くの生理機能が注目されている。古くからパン類の栄養強化のために利用することが検討されているものの、多く添加するとパンの容積が低下して食味を害するという製パン阻害作用が発現するという問題があった(非特許文献1)。この解決のためにレシチンやシュガーエステル等の乳化剤の併用、ヘミセルラーゼ製剤の併用等による栄養強化されたパン類の製造方法が開示されている(特許文献1、非特許文献2および3)。
しかしながら、これらの解決策は根本的に大豆蛋白質の持つ製パン阻害作用をなくすことによるものではなく、もともと製パン改良効果のある添加剤を併用することによるものであった。近年の健康志向から、できるだけ添加剤を使用しない製造方法が望まれており、そのためには大豆蛋白質の持つ製パン阻害作用そのものを低下させることが必要である。しかしながら、大豆蛋白質の持つ製パン阻害作用はその原因がわかっておらず、これを低下させることは困難であった。
特許文献2は、高タンパク質、低炭水化物のパン製品に関する出願であり、使用する大豆蛋白質については、高吸水性及び高粘度を有することが特に好ましい旨記載されている。
特許文献3は蛋白質高含有のパン等に関する出願であり、パフを配合することを特徴としている。
また特許文献4は、「粗蛋白質含量が乾燥固形分換算で50〜65重量%、不溶性食物繊維が2〜10重量%、窒素溶解指数(NSI)が50以下であることを特徴とする、粉末状大豆素材」を使用することでベーカリー製品においても生地の物性を阻害することなく蛋白質を強化することが可能である旨の記載がある。
特開平11−243844号公報 特表2005−511069号公報 特開2009−142200号公報 国際公開WO2011/004893号パンフレット
S. S. Chen and V. F. Rasper, Can. Inst. Food Sci. Technol. J., 15, 211 (1982) S. Mizrahi, G. Zimmermann, Z. Berk and U. Cogan, Cereal Chem., 44, 193 (1967) Y. Pomeranz, M. D. Shogren and K. F. Finney, Cereal Chem., 46, 503 (1969)
本発明における課題は大豆蛋白質の有する製パン阻害作用を低減することであり、これによって他の添加剤の増量もしくは新規添加を必要とせずに、大豆蛋白質によって蛋白質強化されたパン類を得ることである。そして、このような用途に使用できる大豆蛋白質素材を効率よく製造する方法を提供することである。
かかる課題の解決のため、発明者は大豆蛋白質を含む種々の添加材を対象に広く検討を行った。製パンにおいては種々の添加剤が物性、風味、栄養、発酵などの改善のために用いられるが、それぞれの作用は必ずしも明確ではない。特に数μmを超える大きさの不溶性粒子が化学的な相互作用により影響を及ぼすことは考えにくいが、実際にはある種の不溶性物質は製パン阻害作用を持つことがある。発明者は種々の不溶性物質の添加による製パンへの影響について鋭意研究したところ、不溶性物質の吸水性に応じて製パン性が異なることを初めて見出した。すなわち吸水性の大きいものほど製パン阻害が大きく、吸水性の小さいものほど製パン阻害は小さい。このことから逆に、不溶性物質であっても吸水性を小さくせしめることによって製パン阻害を低下させることが可能であるという、従来にない発想を得た。すなわち、大豆蛋白質がパン生地中の条件で不溶性であって、さらに吸水性を低下させることによって実質的に製パン阻害作用を有さない大豆蛋白質素材の作成に成功し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1)パン生地中の条件で不溶性であって且つ、吸水率が150%以下である、パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材、
(2)大豆蛋白質原料を10〜50重量%含有するペーストを100〜250℃の熱風で水分量15重量%以下まで乾燥させることを特徴とする、(1)記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法、
(3)大豆蛋白質原料を10〜50重量%含有するペーストを、厚さ1.5〜10mmの板状とし、100〜250℃の熱風で水分量15重量%以下まで乾燥させることを特徴とする、(1)記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法、
(4)大豆蛋白質原料が分離大豆蛋白質である、(2)又は(3)に記載の製造法、
(5)(1)記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材を3〜30重量%含有する、パン類、
(6)パン生地中の条件で不溶性であって且つ、吸水率が150%以下である大豆蛋白質素材を使用する、パン類の蛋白質を強化する方法、
に関するものである。
本発明により、大豆蛋白質を多量に含むパン類を製造することができる。
パン類とは、必須原料としての小麦粉及び水の他に、必要に応じて食塩、イースト、その他、油脂類(ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等)、乳製品、糖類、調味料(グルタミン酸類、核酸等)、化学膨張剤、フレーバー等を添加混捏し、発酵工程を経て焼成もしくは蒸し、フライ等の加熱をしたものを言う。すなわち食パン、特殊パン、調理パン、菓子パン、蒸しパン、ホットケーキ、ドーナツなどが含まれる。例えば、食パンとしては、白パン、黒パン、フランスパン、バラエティブレッド、ロール(テーブルロール、バンズ、バターロール等)が挙げられる。特殊パンとしては、グリッシーニ、マフィン、ラスク等、調理パンとしては、ホットドッグ、ハンバーガー、ピザパイ等、菓子パンとしては、ジャムパン、アンパン、クリームパン、レーズンパン、メロンパン、スイートロール、リッチグッズ(クロワッサン、ブリオッシュ、デニッシュペストリー)等が挙げられる。蒸しパンとしては、肉まん、あんまん等が挙げられる。
本発明においては特に、グルテンを生じさせ、イーストによる発酵工程を経るパン類において、効果が顕著に現れる。
本発明に係る、パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材は、分離大豆蛋白質をはじめとする、大豆蛋白質を含有する各種の素材(以下、大豆蛋白質原料ということがある)を用い、調製することができる。なお、大豆蛋白質原料や大豆蛋白質素材の量についての規定は、特に規定していない限り、乾燥重量を基準としたものである。
分離大豆蛋白質は、大豆蛋白質を主成分とする組成物のことで、脱脂大豆等の原料から、水または温水にて抽出して繊維質(オカラ)を除去した後、pH4〜5程度の大豆蛋白質の等電点付近のpHで酸沈殿させた蛋白質を分離回収したものである。
pH,温度,抽出水量,攪拌強度,分離方法等の大豆蛋白質の抽出条件および、濃縮,殺菌,乾燥,物性の改良等を目的とした処理の条件は、必要量の大豆蛋白質を得ることができれば特に限定されるものではないが、蛋白質純度が高い大豆蛋白質組成物を得るべく、適宜調整することが出来る。更に、大豆を原料に公知な分画処理を行い、得られたβ-コングリシニンやグリシニンを使用することもできる。
本発明において、「パン生地中の条件」とは生地混練段階での生地中の条件のことである。大豆蛋白質の性質にはpHと塩濃度が大きく影響する。pHは「製パンの科学 パンはどうしてふくれるか」(松本博著、日本パン技術研究所、1988年発行)によるとストレート法の食パン生地では5.8〜6.0とされており、発明者の実測ではpH5.7であった。塩濃度はパンの種類によって大きく異なるが、「パンづくりノート」(中沢久著、柴田書店、1977年発行)によれば食パンでは3.4%(小麦粉100に対して食塩2%、水58%)、菓子パンで2.5%(小麦粉100に対して食塩1.5%、水60%)の配合が記述されており、瀬口ら(J. Food Sci., 72 (2),E79, 2007)によれば製パン機を用いた製パンにて1.6%(小麦粉100に対して食塩1%、水62.7%)の配合が開示されている。
本発明において不溶性とは、蛋白質の溶解状態のことであり、所定量の検体を溶媒に分散した状態で遠心分離した際、その上清部分に検体の蛋白質中の0〜90重量%が分布する状態を言う。
以上より、本発明における「パン生地中の条件」で「不溶性」であるか否かは、以下の方法により測定することができる。
すなわち、検体50mgをパン生地中の条件を想定した緩衝液(0.2Mリン酸ナトリウム、2.5%食塩、pH5.7) 1mlに対して懸濁し、途中ボルテックスミキサーで数回混合しながら室温20分放置する。12,000でrpm10分間遠心分離し、上清の蛋白質分をビウレット法にて測定して溶解蛋白質量とする。検体中の蛋白質量に対する溶解蛋白質量の重量パーセントを溶解率とし、溶解性の指標とする。本発明における不溶性とは溶解率10%未満とする。
本発明においては、大豆蛋白質素材がパン生地中の条件で不溶性でない場合は、パン類の蛋白質強化用の大豆蛋白質素材として用いることが困難となる場合がある。
本発明で言う「吸水率」とはパン生地中において不溶性粒子が膨潤によってどれだけの水分を保持しうるかを表す性質であり、以下の方法により吸水率として測定できる。すなわち、検体20mgと小麦澱粉(和光純薬)80mgを0.45μmフィルターを有する遠心ろ過チューブ(Millipore)に入れて粉体混合し、パン生地中の条件を想定した緩衝液(0.2Mリン酸ナトリウム、2.5%食塩、pH5.7) 400μlを加えてボルテックスミキサーで混合する。30分放置後、3,000rpmで10分遠心ろ過し、重量を測定することにより吸水量を測定する。別途小麦澱粉100mgを用いて吸水量を測定し、次式により検体の吸水率を求める。
検体吸水率(%)=(吸水量−小麦澱粉の吸水量×0.8)/検体重量×100
本発明においては、吸水率は150%以下である必要があり、この値は、より望ましくは135%以下であり、さらに望ましくは120%以下である。吸水率が大きすぎる場合は、パンの容積低下の原因となる場合がある。
本発明でいう「パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材」とは、パン類において、その製パン性に与える影響を最小限とした中で、蛋白質の含有量を向上させることのできる、大豆に由来する蛋白質素材を言う。すなわち、代表的なパン類の配合において、大豆に由来する蛋白質素材を小麦粉の5重量%分置換しても、それに基づくパンの重量あたりの体積の減少が17容積%以下である場合に、当該素材は「パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材」であると定義する。すなわち、この方法において、パンの体積の減少率が17容積%を超える場合は、本発明の「パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材」とは言わない。
17容積%は、これ以上の容積低下が生じている場合は、一見して低容積を認識することができる値である。
より具体的な判断手法は、実施例に記載する。
本発明に係る吸水率の低下した大豆蛋白質素材は、一定の水分を含むペースト化された大豆蛋白質原料を加熱乾燥することによって得られる。製造法の例としては、大豆蛋白質原料に加水してペースト化し、一定の厚みに成型し、加熱乾燥したのちに粉砕することによって得られる。
本発明の、大豆蛋白質原料を含有するペーストは、市販の粉末状大豆蛋白質のようにあらかじめ粉末化された組成物を加水したものであっても良いが、精製工程の途中の溶液状大豆蛋白質原料を適度な濃度に濃縮したものであれば製造工程を簡略化できるためより好ましい。乾燥前の状態で、大豆蛋白質原料の含有量は10〜50重量%であることが望ましく、より望ましくは15〜40重量%である。これを熱風乾燥によって水分量として15重量%以下、好ましくは6重量%以下とする。乾燥後の水分量は低いほど良いが、1重量%以下になると熱効率が極めて悪くなるほかロースト臭も強くなり現実的でない。
乾燥は、熱風乾燥で行うことが好ましい。
乾燥に用いる熱風の温度は、好ましくは100〜250℃であり、より好ましくは120〜200℃である。温度が高いほど吸水性が低下した大豆蛋白質素材が得られる場合が多い。温度が低すぎると、乾燥に時間がかかる場合がある。温度が高すぎる場合はコゲが発生するなど種々の化学反応により栄養価や食味を損ねる場合がある。
本発明における熱風乾燥は、大豆蛋白質原料を含有するペーストを板状に成型して行うことが望ましい。この際の厚みは、望ましくは1.5〜10mmであり、より望ましくは2〜7mmである。この厚みがうすすぎる場合は、本発明にかかる素材のパン類の体積低下抑制効果が低下する場合があり、厚みが厚すぎる場合は、乾燥時間が長くなり、本発明にかかる素材の製造効率が低下する場合がある。
乾燥が完了した後は、適宜粉砕して粉状とすることが望ましい。粉砕の手段は特に問わないが、ロールミル、ボールミル等により、ざらつきを感じない程度に細かく粉砕することが望ましい。
本発明に係る大豆蛋白質素材においては、大豆蛋白質含量は高いほうが良い。大豆由来の糖質および繊維質はもともと吸水性が高いうえに熱乾燥による低下効率が悪く、できるだけ少ない方が好ましい。脂質成分はもともと吸水性が低く製パン性への影響は小さいものの、多くなると大豆蛋白質素材の蛋白質含量が小さくなり、そもそもの目的であるパン類の栄養改善効果を得るためにはその分パン類への添加量を増やす必要が生じる。したがって大豆蛋白質素材の蛋白質含量は脂質を除いた固形分あたり60重量%以上が好ましく、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。なお、蛋白質量は窒素換算係数を6.25としてケルダール法などで測定でき、脂質量はエーテル溶媒によるソクスレー抽出法により測定できる。
吸水性の低下した大豆蛋白質素材のパン類への添加方法は生地中に均一に練りこむことができれば特に制限はない。小麦粉等他の粉体原料と混合する方法、水に懸濁する方法、混錬した生地に添加する方法、油脂類に混ぜて添加する方法などが使用できる。パン類への添加量は、蛋白質含有量強化を目的とすることから、3〜30重量%が望ましく、より望ましくは4〜25重量%であり、更に望ましくは5〜20重量%である。
○検討1 市販の分離大豆蛋白質による検討
比較例1、2
市販の粉末状分離大豆蛋白質(不二製油製「ニューフジプロSE」)およびこれを粉末のままで加熱処理したものについて、吸水率、溶解率、製パン性を測定した。
加熱処理の方法、吸水率の測定法、溶解率の測定法、製パン性試験法の詳細は以下に記載した。
結果を表1にまとめた。
「加熱処理の方法」
市販の分離大豆蛋白質を、105℃に設定したインキュベーターにて24時間保管した。
「吸水率の測定法」
1 大豆蛋白質素材の検体20mgと小麦澱粉(和光純薬)80mgをあらかじめ風袋重量を測定した0.45μmフィルターを有する遠心ろ過チューブ(Millipore)に入れて粉体混合した。
2 緩衝液(0.2Mリン酸ナトリウム、2.5%食塩、pH5.7) 400μlを加えてボルテックスミキサーで混合した。
3 30分放置後、3,000rpmで10分遠心ろ過し、遠心後のフィルター重量からフィルターの風袋重量、大豆蛋白質検体および小麦澱粉の重量を差し引くことにより、フィルター上に残留した緩衝液重量を測定し、吸水量とした。
4 別途大豆蛋白質検体のかわりに小麦澱粉20mgを用いて同様に吸水量を測定し、次式により検体の吸水率を求めた。
検体吸水率(%)=(吸水量−小麦澱粉の吸水量×0.8)/検体固形物重量×100
「溶解率の測定法」
1 検体50mg緩衝液(0.2Mリン酸ナトリウム、2.5%食塩、pH5.7) 1mlに対して懸濁し、途中ボルテックスミキサーで数回混合しながら室温20分放置した。
2 12,000rpm10分遠心分離した。
3 上清の蛋白分を分離大豆蛋白質を標準検体としたビウレット法にて測定して測定し、溶解蛋白質量とした。分離大豆蛋白質中の蛋白質量はケルダール法にて測定し、換算係数を6.25とした。
4 検体中の蛋白質量に対する溶解蛋白質量の重量パーセントを溶解率とした。検体中の蛋白質量はケルダール法にて測定し、換算係数を6.25とした。本発明における不溶性とは溶解率10%未満とした。
「製パン性試験法」
製パン機(松下電器製ホームベーカリーSD BT-101)を用いた。
1 あらかじめプログラムされている食パンコース(ミキシング20分、ベンチタイム25分、ミキシング10分(パンチング)、ホイロ55分、焼成45分)を選択した。
2 コントロールの配合は、強力粉280g、砂糖17g、食塩5g、インスタントドライイースト3g、水最適値(容積が最大になる量)とした。なお、加水量の最適値とは最大の比容積(容積をパンの重量で除算した値)が得られる加水量のことであり、具体的には2.5%刻みで変えて製パンすることによって求めた。小麦粉のロットや大豆蛋白質検体によって異なるため都度測定した。
3 大豆蛋白質検体を試験する際の配合は、コントロールの配合における強力粉に対して標準的な水分(5%)の大豆蛋白質検体を5重量%置換した配合で行い、大豆蛋白質検体の水分に応じて補正して添加した。すなわち、強力粉266g、大豆蛋白質検体を固形物量として13.3gになるように加えた。加水は最適値とした。
4 パンの容積はアステック製レーザー体積計を用いて測定し、重量で除算することにより比容積を算出した。
5 大豆蛋白質検体の製パン性は検体を添加したパンの比容積を、同じロットの強力粉を用いて大豆蛋白質に置換しない配合で製パンしたコントロールの比容積で除算し、パーセンテージにて表した。
6 大豆蛋白質素材の添加により、容積が17容積%以上減少したものを不良とし、容積の減少がそれより少ない場合を良好として、合格と判断した。
表1
Figure 0006394100
注:比較例1は不二製油株式会社製「フジプロSE」を使用した。
比較例2は、上記「フジプロSE」を加熱して使用した。
結果
市販の分離大豆蛋白質は、パン生地中の条件において不溶性であったが、吸水率は高いものであった。また、市販の分離大豆蛋白質を設定条件で加熱しても、この傾向はほとんど変わらなかった。
これらをパンに添加した場合、その容積が低下することが確認された。市販の分離大豆蛋白質を単に加熱しただけでは、その容積低下を抑えることはできなかった。
○検討2 加熱条件の検討
比較例3、実施例1〜4
種々の加熱条件により、市販の分離大豆蛋白質を加水して得たペーストを加熱し、製パンテストを行った。
加熱条件は以下に示した。それ以外の条件は、検討1と同様とした。
各加熱条件および結果を表2にまとめた。
「加熱条件」
1 市販の分離大豆蛋白質(不二製油製ニューフジプロSE)に対して4倍量の水を加え、フードプロセッサにて5分間混合してペーストにした。
2 該ペーストをビニール袋に入れて真空脱気したのち、ローラーを用いて設定した厚みに調整した。
3 板状に成形されたものを袋から取り出して、それぞれ設定された条件で水分6重量%以下まで熱風乾燥した。
4 粉砕機にて粉末化した。
表2
Figure 0006394100
結果
所定の条件で加熱を行った大豆蛋白質素材は、吸水率が所定の値となり、当該サンプルを添加したパンは、容積の低下が抑制されることが確認された。
実施例においては、いずれもパンの容積はコントロールに対しパンの体積の減少率が17容積%を超えないものであり、「パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材」と言えるものであった。
○検討3 乾燥条件の検討
実施例5、6、比較例4
検討2と同様に調製した、市販の分離大豆蛋白質のペーストを、ビニール袋に入れて真空脱気したのち、ローラーを用いてそれぞれ設定した厚みに調整し、袋から取り出して水分6重量%以下まで120℃にて熱風乾燥した。
粉砕機にて粉末化し、吸水量と製パン性の測定を行った。
結果を表3に示した。
表3 結果
Figure 0006394100
考察
乾燥時の厚さが1mmの場合、乾燥は早く済むが、吸水率は150%より大きく、パンを調製した際の容積の低下傾向は大きかった。乾燥時の厚さを厚くすると、乾燥時間は長くかかるが、吸水率は低下し、それに伴い、パンを調製した際の容積の低下傾向が抑制された。
乾燥時の厚さが6mmの場合、乾燥に要する時間は6時間となり、10mmを超えて厚くした場合は、効率的な生産方法とは言えないと考えられた。
実施例5,6はいずれも「パン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材」と言えるものであった。

Claims (5)

  1. パン生地中の条件で不溶性であって且つ、吸水率が150%以下である、分離大豆蛋白質を原料とするパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材。
  2. 分離大豆蛋白質を10〜50重量%含有するペーストを100〜250℃の熱風で水分量15重量%以下まで乾燥させることを特徴とする、請求項1記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法。
  3. 分離大豆蛋白質を10〜50重量%含有するペーストを、厚さ1.5〜10mmの板状とし、100〜250℃の熱風で水分量15重量%以下まで乾燥させることを特徴とする、請求項1記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材の製造法。
  4. 請求項1記載のパン類の蛋白質強化用大豆蛋白質素材を3〜30重量%含有する、パン類。
  5. パン生地中の条件で不溶性であって且つ、吸水率が150%以下である分離大豆蛋白質を原料とする大豆蛋白質素材を使用する、パン類の蛋白質を強化する方法。
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