JP6392687B2 - 歯科用光重合性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科治療に用いられる歯科用光重合性組成物に関し、特に、ラジカル重合性単量体、光重合開始剤及び紫外線吸収剤が配合される歯科用光重合性組成物に関する。
齲蝕等により欠損を生じた歯質の修復において、該欠損が小さい場合には、一般に充填用コンポジットレジンと呼ばれる、主に(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体と金属酸化物等の無機フィラーとを主成分とする修復材料のペーストを該欠損部に充填、歯牙の形状を付与した後に重合、硬化させる手法が主流である。
歯科分野における前記重合方法としては、光重合と化学重合とに大別される。前記ラジカル重合性単量体と光重合開始剤とを用いた光重合型の修復材料は、光を遮断しておけば重合反応が進むことはほとんどないため、全ての成分を1ペーストの状態で製造、保管しておくことができ、化学重合型の修復材料を用いる場合に必要な使用時における混合・練和作業が必要なく、また、可使時間が長いなどの利点を有する。そのため、近年では、光重合型の歯科用修復材料が主流である。以下では、このような光重合型の修復材料を歯科用光重合性組成物と呼ぶ。
前記歯科用光重合性組成物を用いた歯質の修復では、良好な審美性を得るために、修復後に周囲の歯質と同じ色調であることが重要である。しかしながら、前記歯科用光重合性組成物の重合硬化体は、太陽光等に含まれる紫外光に暴露されると、比較的短時間で大きく変色する。重合硬化体が変色すると、修復時に周囲の歯質と同色調に調整した色調からの変色により、初期の審美性が失われ歯科治療に対する要求を満足させることができない。例えば、JIS T 6514では、硬化体を太陽光に10時間暴露しても、その変色が肉眼で容易に検出できないことを要求している。
前記重合硬化体が太陽光等に含まれる紫外線によって変色することを防止するため、前記歯科用光重合性組成物に紫外線吸収剤を配合することが行われている。
前記歯科用光重合性組成物に配合される前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が知られており、中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、太陽光安定性に優れることが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2006−076912号公報 特開2006−117543号公報
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を歯科用光重合性組成物に配合した場合(特許文献1参照)、その配合量は、同程度の太陽光安定性を得るためのベンゾフェノン系紫外線吸収剤と比較して優位に少ない。
しかしながら、本発明者等が検討すると、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であっても、十分な太陽光安定性を得るための量を配合した場合、前記重合硬化体の機械的強度の低下を招くことが分かってきた。これは、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が重合性官能基を有していないか、又は、重合性官能基を有していても単官能であり、結果として、一般的に多官能性の重合性単量体が用いられる前記ラジカル重合性単量体の重合を阻害していると推測される。また、このような機械的強度低下の傾向は、前記ベンゾフェノン紫外線吸収剤、前記トリアジン系紫外線吸収剤でも同様であることが分かってきた。一方、このような機械的強度低下を抑えるため、前記各種紫外線吸収剤の配合量を少なくすると、要求される太陽光安定性を満足させることができない。
そのため、単に前記各種紫外線吸収剤を配合しても、機械的強度の低下が抑えられ、かつ優れた太陽光安定性を有する重合硬化体が得られない現状となっている。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、機械的強度の低下が抑えられ、かつ優れた太陽光安定性を有する重合硬化体を得ることが可能な歯科用光重合性組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、以下の知見が得られた。
即ち、前記重合硬化体の変色に影響する紫外光の波長帯が定かでない中、試行錯誤しながら検討を進めた結果、ある極大吸収波長が異なる2つの吸収帯の紫外線吸収剤を併用すると、これら紫外線吸収剤を単独で用いる場合よりも、飛躍的に太陽光安定性が向上することの知見を得た。また、太陽光安定性が向上することで、要求される太陽光安定性と同程度の太陽光安定性を得るために必要な前記紫外線吸収剤の配合量を、これら紫外線吸収剤を単独で用いる場合よりも少なく抑えることができ、延いては、優れた機械的強度をも兼備する歯科用光重合性組成物が得られることの知見を得た。
本発明は、前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)ラジカル重合性単量体と、(B)光重合開始剤と、(C)極大吸収波長を320nm以上400nm以下の波長帯に有する第1の紫外線吸収剤と、(D)極大吸収波長を250nm以上320nm未満の波長帯に有する第2の紫外線吸収剤と、を含み、
前記(C)第1の紫外線吸収剤が、下記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール化合物、下記一般式(2)で表されるベンゾフェノン化合物及び下記一般式(3)で表されるトリアジン化合物のいずれかを含むとともに、前記(D)第2の紫外線吸収剤が下記一般式(4)で表されるベンゾフェノン化合物及び下記一般式(5)で表されるトリアジン化合物のいずれかを含み、
前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤が、前記(A)ラジカル重合性単量体100質量部当たり、合計で0.3質量部〜0.8質量部配合されることを特徴とする歯科用光重合性組成物。
ただし、前記一般式(1)中、R は、水素原子及び炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基のいずれかを示し、R は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基及びハロゲン原子のいずれかを示し、mは、0〜4の整数を示す。
また、前記一般式(2)中、R 及びR は、相互に独立して、水酸基、−OC −C 12 アルキル、−O−CH CH=CH 、−O−(CH Si(OEt) 、−OCH COOH、−O(CH OC(O)−CH=CH 、−OCH CH OH及び−O−CH −CH(OH)−CH O−C 17 のいずれかを示し、R 及びR は、相互に独立して、水素原子、ベンゾイル基、−SO H及び−SO Naのいずれかを示す。
また、前記一般式(3)中、R は、水素原子、水酸基及び炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基のいずれかを示し、R 、R 10 及びR 11 は、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基及びハロゲン原子のいずれかを示す。
ただし、前記一般式(4)中、R 12 は、水酸基、−OC −C 12 アルキル、−O−CH CH=CH 、−O−(CH Si(OEt) 、−OCH COOH、−O(CH OC(O)−CH=CH 、−OCH CH OH及び−O−CH −CH(OH)−CH O−C 17 のいずれかを示し、R 13 は、水素原子、ベンゾイル基、−SO H及び−SO Naのいずれかを示し、R 14 は、水素原子、−SO H及び−SO Naのいずれかを示し、R 15 は、水素原子、水酸基、−OCH 及び−C(CH のいずれかを示す。
また、前記一般式(5)中、R 16 〜R 20 は、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基及びハロゲン原子のいずれかを示す。
<2> (A)ラジカル重合性単量体が、酸性基を有さず、水に対する溶解度が5質量%以下である多官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体を含む前記<1>に記載の歯科用重合性組成物。
> (C)第1の紫外線吸収剤が、5×10−5mol・dm−3の濃度で酢酸エチルに溶解させた溶解液における極大吸収波長の吸光度が0.3以上であるとともに、前記極大吸収波長における前記吸光度の1/2以上の前記吸光度を示す波長帯が少なくとも280nm〜360nmの波長帯に存し、かつ、(D)第2の紫外線吸収剤が、前記溶解液における極大吸収波長の吸光度が0.3以上であるとともに、前記極大吸収波長における前記吸光度の1/2以上の前記吸光度を示す波長帯が少なくとも270nm〜300nmの波長帯に存する前記<1>から<>のいずれかに記載の歯科用重合性組成物
> (D)第2の紫外線吸収剤に対する(C)第1の紫外線吸収剤の配合割合である(C)/(D)が、質量比で1〜40の範囲内である前記<1>から<>のいずれかに記載の歯科用光重合性組成物。
本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、機械的強度の低下が抑えられ、かつ優れた太陽光安定性を有する重合硬化体を得ることが可能な歯科用光重合性組成物を提供することができる。
(歯科用光重合性組成物)
本発明の歯科用光重合性組成物は、(A)ラジカル重合性単量体と、(B)光重合開始剤と、(C)第1の紫外線吸収剤と、(D)第2の紫外線吸収剤と、を含み、必要に応じて、その他の成分を含む。
<(A)ラジカル重合性単量体>
前記(A)ラジカル重合性単量体は、前記(B)光重合開始剤を重合開始剤として光の照射により重合硬化する成分である。
前記(A)ラジカル重合性単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、酸性基(スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸残基等)を有さない(メタ)アクリレート系の重合性単量体が、硬化速度や硬化体の機械的物性、耐水性、耐着色性等の観点から好適に用いられ、特に、複数の重合性官能基を有する、多官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体が好ましい。
前記多官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、水に対する溶解度が5質量%以下の非水溶性化合物が好ましい。
前記非水溶性化合物としては、例えば、以下に詳述する、下記(I)二官能重合性単量体、(II)三官能重合性単量体、(III)四官能重合性単量体が挙げられる。
(I)二官能重合性単量体
前記(I)二官能重合性単量体としては、(i)芳香族化合物系のものと、(ii)脂肪族化合物系のものが挙げられる。
(i)芳香族化合物系のもの
前記(i)芳香族化合物系のものとしては、例えば、2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン(「bis−GMA」)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(「D−2.6E」)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート又はこれらメタクリレートに対応するアクリレート等の水酸基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加体から得られるジアダクトなどが挙げられる。
(ii)脂肪族化合物系のもの
前記(ii)脂肪族化合物系のものとしては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「3G」)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート又はこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等の水酸基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等のジイソシアネート化合物との付加体から得られるジアダクト;1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチルなどが挙げられる。
(II)三官能重合性単量体
前記(II)三官能重合性単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート及びこれらメタクリレートに対応するアクリレートなどが挙げられる。
(III)四官能重合性単量体
前記(III)四官能重合性単量体としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート;ジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加体から得られるジアダクトなどが挙げられる。
前記多官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、必要に応じて、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート及びこれらメタクリレートに対応するアクリレート等の単官能の(メタ)アクリレート系単量体と併用してもよい。
前記歯科用光重合性組成物では、良好な硬化体物性(機械的強度、非溶出性など)を得る観点から、前記多官能の(メタ)アクリレート系単量体以外の単量体の配合量が、全ラジカル重合性単量体中、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
(B)光重合開始剤
前記光重合開始剤は、光の照射により前記(A)ラジカル重合性単量体の重合硬化を開始させる成分である。
前記(B)光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−ジケトン/アミン化合物で構成される光重合開始剤、α−ジケトン/光酸発生剤/アミン化合物、アセトフェノン系化合物/トリアジン化合物/アミン化合物で構成される光重合開始剤、各種増感色素/トリアジン化合物/アミン化合物で構成される光重合開始剤などが挙げられる。
これらの中でも、歯科用修復材料として色調に優れたものとすることができ、また、太陽光に対して比較的安定で操作性に優れ、かつ、活性光の照射によって速やかに重合を開始させる(重合活性に優れる)点でα−ジケトン/光酸発生剤/アミン化合物で構成される光重合開始剤であることが特に好ましい。
前記光重合開始剤における前記α−ジケトン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カンファーキノン、カンファーキノンカルボン酸、カンファーキノンスルホン酸等のカンファーキノン類;ジアセチル、アセチルベンゾイル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノンなどを挙げることができる。これらの中でも、前記カンファーキノン類が好ましく、前記カンファーキノンが特に好ましい。
なお、前記α−ジケトン化合物としては、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤における前記光酸発生剤とは、光照射によってブレンステッド酸又はルイス酸を生成する化合物である。前記光酸発生剤としては、特に制限はなく、公知の化合物から適宜選択して用いることができ、具体的には、ジアリールヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、及びハロメチル基に置換されたs−トリアジン化合物が挙げられる。中でも、重合活性が特に高い点から、トリハロメチル基置換−s−トリアジン化合物、及びジアリールヨードニウム塩系化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記トリハロメチル基置換−s−トリアジン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロメチル基を少なくとも一つ有するs−トリアジン化合物が挙げられる。
前記トリハロメチル基置換−s−トリアジン化合物としては、例えば、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(6)中、R21及びR22は、相互に独立して、トリアジン環と共役可能な不飽和結合を有する有機基、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを示し、Xは、ハロゲン原子を示す。
前記一般式(6)のXで示されるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素のいずれでもよいが、塩素が一般的であり、従って、トリアジン環に結合した置換基(CX)としては、トリクロロメチル基が一般的である。
前記一般式(6)において、R21及びR22の少なくともいずれかが、前記トリアジン環と共役可能な不飽和結合を有する有機基である場合、前記光重合性単量体の保存安定性を特に優れたものとできる。他方、R21及びR22の少なくともいずれかが、ハロゲン置換アルキル基である方がより良好な重合活性を得られ易く、共にハロゲン置換アルキル基であると特に重合活性が良好である。
前記一般式(6)中、R21及びR22で示される前記トリアジン環と共役可能な不飽和結合により結合した有機基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数が2〜30の有機基が好ましく、炭素数が2〜14の有機基が特に好ましい。
このような有機基を具体的に例示すると、フェニル基、メトキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基、ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基等の炭素数6〜14のアリール基;ビニル基、2−フェニルエテニル基、2−(置換フェニル)エテニル基等の炭素数2〜14のアルケニル基等が挙げられる。なお、前記置換フェニル基の有する置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等の炭素数1〜6のアルキルチオ基;フェニル基;ハロゲン原子などが挙げられる。
また、前記一般式(6)中、R21及びR22で示されるアルキル基及びアルコキシ基は、置換基を有するものであってもよい。
前記アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等の非置換のアルキル基;トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、α,α,β−トリクロロエチル基等のハロゲン置換アルキル基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の非置換のアルコキシ基;2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ基、2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ基、2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ基、2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ基等のアミノ基により置換されたアルコキシ基などが挙げられる。
前記一般式(6)で表される、前記トリハロメチル基を有するs−トリアジン化合物を具体的に例示すると、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(「TCT」)、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
前記例示中、特に好ましいトリアジン化合物としては、重合活性の点で2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、また、保存安定性の点で、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。
なお、これらトリアジン化合物は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記ジアリールヨードニウム塩系化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。代表的なジアリールヨードニウム塩化合物としては、下記一般式(7)で表わされる化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(7)中、R23、R24、R25、及びR26は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びニトロ基のいずれかを示し、Mは、アニオンを示す。
ここで、R23、R24、R25、及びR26のハロゲン原子としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などが挙げられる。また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜20のものが好ましい。また、アリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14のものが好ましい。また、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、2−フェニルエテニル基、2−(置換フェニル)エテニル基等の炭素数2〜14のものが好ましい。また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜6のものが好ましい。さらに、アリールオキシ基としては、フェノキシ、p−メトキシフェニル、p−オクチルオキシフェニル等の炭素数6〜14のものが好ましい。
前記ジアリールヨードニウム塩を具体的に例示すると、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、ビス(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンからなるジアリールヨードニウム塩を挙げることができる。
これらジアリールヨードニウム塩の中でも、前記(A)ラジカル重合性単量体に対する溶解性の点から、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート塩が好ましく、更に保存安定性の観点から、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロアンチモネート塩がより好ましい。
また、好適に使用される他の光酸発生剤を具体的に例示すれば、スルホニウム塩系化合物として、ジメチルフェナシルスルホニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシフチルスルホニウム、ジメチル−4,7−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,8−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、p−トリルジフェニルスルホニウム、p−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウム等のクロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート塩が挙げられる。
また、スルホン酸エステル化合物の具体例としては、ベンゾイントシレート、α−メチロールベンゾイントシレート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、p−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホナートなどが挙げることができる。
なお、これら光酸発生剤としては、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記アミン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンを挙げることができるが、一般的には臭気等の観点から第3級アミン化合物が好ましい。これらのアミン化合物としては、窒素原子に1つ以上の芳香族基が直接結合したアミン化合物(以下、芳香族アミン化合物とも呼ぶ)と窒素原子に直接結合した芳香族基を有さないアミン化合物(以下、脂肪族アミン化合物とも呼ぶ)が挙げられる。
前記芳香族アミン化合物としては公知の芳香族アミン化合物が何ら制限なく使用でき、具体的には、アニリン、トルイジン等の芳香族第1級アミン化合物;N−メチルアニリン、N−メチル−p−トルイジン等の芳香族第2級アミン化合物;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの第3級アミン化合物を挙げることができる。
これらの中でも、より重合活性が高く、保存安定性に優れ、揮発性が低いため臭気が少なく、入手が容易な点で、窒素原子に一つの芳香族基と、2つの脂肪族基が結合したアミン化合物(以下、「第3級芳香族アミン化合物」とも称す)が好ましい。前記第3級芳香族アミン化合物としては、例えば、下記一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(8)中、R27及びR28は、相互に独立してアルキル基を示し、R29は、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、及びアルキルオキシカルボニル基のいずれかを示す。また、nは、0〜5の整数を示す。nが2以上の場合は、複数のR29は、互いに同一でも異なっていてもよい。更に、R29同士が結合して環を形成していてもよい。
前記一般式(8)中、R27、R28及びR29で示されるアルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、これらアルキル基としては、置換基を有している置換アルキル基であってもよく、このような置換アルキル基としては、フロロメチル基、2−フロロエチル基等のハロゲン置換アルキル基;2−ヒドロキシエチル基等の水酸基置換アルキル基などを挙げることができる。
前記一般式(8)中、R29で示されるアリール基、アルケニル基、アルコキシ基及びアルキルオキシカルボニル基としては、置換基を有するものであってよい。
前記アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基等の炭素数6〜12のものを挙げることができる。前記アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、2−フェニルエテニル基等の炭素数2〜12のものを挙げることができる。前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のものを挙げることができる。また、前記アルキルオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、アミルオキシカルボニル基、イソアミルオキシカルボニル基等のアルキルオキシ基部分の炭素数が1〜10のものを挙げることができる。
前記一般式(8)中、R27及びR28としては、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3の非置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基)、2−ヒドロキシエチル基が特に好ましい。
また、n=1の場合は、R29の結合位置がパラ位であることが好ましく、中でもR29がアルキルオキシカルボニル基であることが好ましい。一方、nが2〜3の場合には、結合位置は、オルト位及びパラ位の少なくともいずれかであることが好ましい。特に、複数のR29がオルト位及びパラ位に結合していることによって、硬化体の太陽光安定性を向上させることができる。
前記一般式(8)表される、第3級芳香族アミン化合物を具体的に例示すると、R29がパラ位に結合したアルキルオキシカルボニル基である化合物として、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸プロピル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸プロピルなどが挙げられる。
また、他の芳香族アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン、N,N,2,4−テトラメチルアニリン、N,N−ジエチル−2,4,6−トリメチルアニリンなどが挙げられる。
なお、前記芳香族アミン化合物としては、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記(B)光重合開始剤としては、前記光酸発生剤、前記芳香族アミン化合物及び前記α−ジケトンからなる光重合開始剤を用いてもよいが、前記芳香族アミン化合物に加えて、脂肪族アミン化合物を併用すると更に良好な重合活性を得ることができる。また、前記脂肪族アミン化合物を配合することにより、前記芳香族アミン化合物の配合量を少なくすることができ、これにより、更に太陽光安定性を向上させることができる。
前記脂肪族アミン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の第1級アミン化合物、第2級アミン化合物及び第3級アミン化合物を挙げることができるが、重合活性及び保存安定性に優れ、また、歯科用として用いた場合の臭気等の問題を考慮すると、第3級アミン化合物が好ましい。なお、前記脂肪族アミン化合物とは、窒素原子に結合している有機基が、全て脂肪族基(ただし、置換基を有していてもよい)である化合物である。
このような窒素原子に結合している脂肪族基を具体的に例示すると、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等の炭素数1〜8の直鎖又は分枝のアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基などが挙げられる。
また、前記脂肪族基に結合している置換基としては、水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;アセチルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のアシルオキシ基;などの電子吸引性基が挙げられる。
このような脂肪族アミン化合物を具体的に例示すると、2−エチルヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の脂肪族第1級アミン化合物;ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン等の脂肪族第2級アミン化合物;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の第3級アミン化合物を挙げることがでる。
なお、前記脂肪族アミン化合物としては、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記(B)光重合開始剤を構成する各成分の配合量としては、特に制限はなく、重合活性等を考慮して適宜決定すればよいが、前記(A)ラジカル重合性単量体の配合量を100質量部とした場合に、前記光酸発生剤としては、0.005質量部〜10質量部が好ましく、0.03質量部〜5質量部がより好ましい。
また、前記芳香族アミン化合物としては、前記(A)ラジカル重合性単量体100質量部に対し、0.01質量部〜5質量部が好ましく、0.02質量部〜3質量部がより好ましい。
また、前記α−ジケトンとしては、前記(A)ラジカル重合性単量体の配合量に対し、0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.02質量部〜5質量部がより好ましい。
また、前記芳香族アミンと前記脂肪族アミンを併用する場合、前記脂肪族アミン化合物の配合量としては、芳香族アミン化合物:脂肪族アミン化合物の質量比が3:97〜97:3、より好ましくは10:90〜75:25、特に20:80〜60:40の範囲とし、また、両アミン化合物の合計量が、前記(A)ラジカル重合性単量体100質量部に対し、0.01質量部〜5質量部が好ましく、0.03質量部〜3質量部がより好ましい。
更に、前記(B)光重合開始剤としては、前記光酸発生剤及び前記アミン化合物を成分に加えない他の公知の重合開始剤を用いることができる。
前記他の重合開始剤成分としては、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物類;酸化バナジウム(IV)アセチルアセトナート、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)等の+IV価又は+V価のバナジウム化合物類;テトラフェニルホウ素ナトリウム、テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩、テトラフェニルホウ素ジメチル−p−トルイジン塩、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素ナトリウム、ブチルトリ(p−フルオロフェニル)ホウ素ナトリウム等のアリールボレート化合物類;3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、7−ヒドロキシ−4−メチル−クマリン等のクマリン系色素類;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンソイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体;ベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類などが挙げられる。
なお、前記他の重合開始剤としては、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、前記他の重合開始剤としては、前記(A)ラジカル重合性単量体100質量部に対し、0.01質量部〜10質量部で配合させるのが一般的である。
<(C)第1の紫外線吸収剤及び(D)第2の紫外線吸収剤>
前記(C)第1の紫外線吸収剤は、極大吸収波長を320nm以上400nm以下の波長帯に有する紫外線吸収剤である。また、前記(D)第2の紫外線吸収剤は、極大吸収波長を250nm以上320nm未満の波長帯に有する紫外線吸収剤である。前記光重合性組成物は、これら紫外線吸収剤を併用することで、優れた太陽光安定性と機械的強度とを得ることを技術の核とする。
前記(C)第1の紫外線吸収剤としては、320nm以上400nm以下の波長帯に極大吸収波長を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、幅広い吸収帯を有する観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。なお、前記(C)第1の紫外線吸収剤としては、320nm以上400nm以下の波長帯に極大吸収波長を有するものであれば、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記320nm以上400nm以下の波長帯に極大吸収波長を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、一般に紫外線吸収剤として知られており、太陽光などの紫外線により歯科用重合性組成物の硬化体が変色するのを防止するために用いられている。前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、トリアゾール構造の窒素原子に結合した芳香環の2位の位置に水酸基が結合しているベンゾトリアゾール化合物で構成される。前記ベンゾトリアゾール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。代表的な前記320nm以上400nm以下の波長帯に極大吸収波長を有するベンゾトリアゾール化合物としては、下記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子及び炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基のいずれかを示し、Rは、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Rは、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基及びハロゲン原子のいずれかを示し、mは、0〜4の整数を示す。
前記一般式(1)中のR、R及びRにおけるアルキル基としては、置換基を有しているものでもよく、このようなアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、アミル基、オクチル基等の非置換のアルキル基;クロロメチル基、2−クロロエチル基等のハロゲンにより置換されたアルキル基;ジメチルベンジル基等のアリール基により置換されたアルキル基;2−ヒドロキシエチル基等の水酸基により置換されたアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜8の非置換のアルキル基が好ましい。このようなアルキル基を再度具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、前記一般式(1)中のR及びRは、ベンゼン環における窒素と結合する炭素以外の各炭素と1つずつ結合する。該R及びRの結合位置としては、これらが共にアルキル基である場合には3位及び5位が一般的であり、Rが水素原子である場合には、Rが5位に結合しているのが一般的である。
前記一般式(1)中のRにおけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素が挙げられる。
前記一般式(1)mは、0〜4の整数を示し、ベンゾトリアゾール環のベンゼン環にはRで示される基が0個〜4個結合し得る。mとしては、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。mが0以外の場合、Rとしては、前記ハロゲン原子であることが好ましく、中でも塩素原子であることが特に好ましい。
前記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ヘプチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ヘプチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−di−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−di−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−di−tert−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−di−tert−ヘプチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−di−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ペンチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ヘプチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−オクチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ペンチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ヘキシル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ヘプチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−オクチル−2−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ペンチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ヘキシル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ヘプチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−オクチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
前記320nm以上400nm以下の波長帯に極大吸収波長を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、太陽光などの紫外線により歯科用修復材料の硬化体が変色するのを防止するために用いられている。前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン構造の2つの芳香環の2位の位置にそれぞれヒドロキシル基が結合しているベンゾフェノン化合物で構成される。前記ベンゾフェノン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。代表的な前記320nm以上400nm以下の波長帯に極大吸収波長を有する前記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表されるベンゾフェノン化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(2)中、R及びRは、相互に独立して、水酸基、−OC−C12アルキル、−O−CHCH=CH、−O−(CHSi(OEt)、−OCHCOOH、−O(CHOC(O)−CH=CH、−OCHCHOH及び−O−CH−CH(OH)−CHO−C17のいずれかを示し、R及びRは、相互に独立して、水素原子、ベンゾイル基、−SOH及び−SONaのいずれかを示す。
前記一般式(2)で表されるベンゾフェノン化合物の具体例としては、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−n−ジオクチルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5,5’−ジスルホン酸、およびその塩、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−n−ジオクチルオキシベンゾフェノン−5,5’−ジスルホン酸、およびその塩、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
前記320nm以上400nm以下の波長帯に極大吸収波長を有するトリアジン系紫外線吸収剤は、一般に紫外線吸収剤として知られており、太陽光などの紫外線により歯科用修復材料の硬化体が変色するのを防止するために用いられている。前記トリアジン化合物は、トリアジン構造の炭素原子に結合した3つの芳香環のうち2つ以上の芳香環の2位の位置にそれぞれヒドロキシル基が結合しているトリアジン化合物で構成される。前記トリアジン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。代表的な前記320nm以上400nm以下の波長帯に極大吸収波長を有するトリアジン化合物としては、例えば、下記一般式(3)で表されるトリアジン化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(3)中、Rは、水素原子、水酸基及び炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基のいずれかを示し、R〜R11は、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基及びハロゲン原子のいずれかを示す。
前記一般式(3)中のR〜R11おけるアルコキシ基としては、置換基を有しているものでもよく、このようなアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の非置換のアルコキシ基;2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ基、2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ基、2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ基、2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ基等のアミノ基により置換されたアルコキシ基などを挙げることができる。
前記一般式(3)中のR〜R11おけるアルキル基としては、置換基を有しているものでもよく、このようなアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、アミル基、オクチル基等の非置換のアルキル基;クロロメチル基、2−クロロエチル基等のハロゲンにより置換されたアルキル基;ジメチルベンジル基等のアリール基により置換されたアルキル基;2−ヒドロキシエチル基等の水酸基により置換されたアルキル基などを挙げることができる。
前記一般式(3)中のR〜R11におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素が挙げられる。
前記一般式(3)中のRとしては、水酸基であることが好ましい。
また、前記一般式(3)中のR〜R11は、ベンゼン環におけるRと結合する炭素及びトリアジン環と結合する炭素以外の各炭素と1つずつ結合する。水素原子でないR〜R11としては、それぞれ、1つのベンゼン環に対し1つ存在する基であってもよいが、1つのベンゼン環に対し複数存在する基であってもよい。R〜R11が1つのベンゼン環に対し1つ存在する場合、炭素数1〜20の非置換のアルコキシ基であることが好ましい。R〜R11が1つのベンゼン環に対し複数存在する場合、少なくとも1つが炭素数1〜16の非置換のアルキル基であり、少なくとも1つが炭素数1〜20の非置換のアルコキシ基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表されるトリアジン化合物の具体例としては、2,4,6−トリス[4−(ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[4−(n-ブトキシ)−2−ヒドロキシ−フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−[{4−(4−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
前記(D)第2の紫外線吸収剤としては、250nm以上320nm未満の波長帯に極大吸収波長を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、幅広い吸収帯を有する観点から、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。なお、前記(D)第2の紫外線吸収剤を構成する化合物としては、250nm以上320nm未満の波長帯に極大吸収波長を有するものであれば、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記250nm以上320nm未満の波長帯に極大吸収波長を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、下記一般式(4)で表されるベンゾフェノン化合物で構成される。
ただし、前記一般式(4)中、R12は、水酸基、−OC−C12アルキル、−O−CHCH=CH、−O−(CHSi(OEt)、−OCHCOOH、−O(CHOC(O)−CH=CH、−OCHCHOH及び−O−CH−CH(OH)−CHO−C17のいずれかを示し、R13は、水素原子、ベンゾイル基、−SOH及び−SONaのいずれかを示し、R14は、水素原子、−SOH及び−SONaのいずれかを示し、R15は、水素原子、水酸基、−OCH及び−C(CHのいずれかを示す。
前記一般式(4)で表されるベンゾフェノン化合物の具体例としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノ−2’−ヘキシルオキシカルボニルベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン等が挙げられる。
前記250nm以上320nm未満の波長帯に極大吸収波長を有するトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、下記一般式(5)で表されるトリアジン化合物で構成される。
ただし、前記一般式(5)中、R16〜R20は、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基及びハロゲン原子のいずれかを示す。
前記一般式(5)中のR16〜R20におけるアルキル基としては、置換基を有しているものでもよく、このようなアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、アミル基、オクチル基等の非置換のアルキル基;クロロメチル基、2−クロロエチル基等のハロゲンにより置換されたアルキル基;ジメチルベンジル基等のアリール基により置換されたアルキル基;2−ヒドロキシエチル基等の水酸基により置換されたアルキル基などを挙げることができる。
前記一般式(5)中のR16〜R20におけるアルコキシ基としては、置換基を有しているものでもよく、このようなアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の非置換のアルコキシ基;2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ基、2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ基、2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ基、2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ基等のアミノ基により置換されたアルコキシ基などを挙げることができる。
前記一般式(5)中のR16〜R20におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素が挙げられる。
前記一般式(5)中のR16は、ベンゼン環における水酸基と結合する炭素及びトリアジン環と結合する炭素以外の各炭素のいずれか一つと結合する基であり、R16としては、パラ位に結合する前記アルコキシ基であることが好ましい。
また、前記一般式(5)中のR17〜R20は、それぞれ、ベンゼン環におけるトリアジン環と結合する炭素以外の各炭素のいずれか一つと結合する基であり、R17〜R20としては、それぞれ、水素原子、炭素数1〜16の非置換のアルキル基が好ましい。
前記一般式(5)で表されるトリアジン化合物の具体例としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1−ヒドロキシフェニル、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(メチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(エチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(プロピル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(i−プロピル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(オクチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−トリル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(メチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−トリル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(エチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−トリル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(プロピル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−トリル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−トリル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(オクチル) オキシ−フェノール、2−(4,6−ジ−2−エチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(メチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−エチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(エチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−エチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(プロピル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6− ジ−2−エチルフェニル−1,3,5− トリアジン−2−イル)−5〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−エチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(オクチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−クロロフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)− 5〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔(i−オクチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2−メチル−4−クロロフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5〔( i−オクチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジ−2,4 −ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5(2−ヒドロキシ−4−オキソ−ヘキサデシルオキシ)、2−(4−4−メチルフェニル−6−ジ−2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5(2−ヒドロキシ−4−オキソ−ヘキサデシルオキシ)、2−(4,6−ジ−2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5(2−ヒドロキシ−4−オキソ−ヘプタデシルオキシ)等が挙げられる。
前記(C)第1の紫外線吸収剤と前記(D)第2の紫外線吸収剤としては、これら紫外線吸収剤でカバーされる紫外線の吸収帯を広帯域化させ、かつ、効果的に紫外線を吸収させる観点から、前記(C)第1の紫外線吸収剤が、5×10−5mol・dm−3の濃度で酢酸エチルに溶解させた溶解液における極大吸収波長の前記吸光度が0.3以上であるとともに、前記極大吸収波長における前記吸光度の1/2以上の前記吸光度を示す波長帯が少なくとも280nm〜360nmの波長帯に存し、かつ、前記(D)第2の紫外線吸収剤が、前記溶解液における極大吸収波長の前記吸光度が0.3以上であるとともに、前記極大吸収波長における前記吸光度の1/2以上の前記吸光度を示す波長帯が少なくとも270nm〜300nmの波長帯に存することが特に好ましい。
前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤は、前記極大吸収波長が250nm〜400nmの波長帯に存するが、ある紫外線吸収剤が前記波長帯において2つ以上の前記極大吸収波長を有する場合、即ち、紫外線吸収スペクトルにおいて2つ以上の極大吸収波長を有する場合、前記吸光度が最も高い前記極大吸収波長を、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤の判別に用いることとし、また、最も高い吸光度の1/2以上の前記吸光度を示す波長帯が、280nm〜360nm又は270nm〜300nmの波長帯を含むかを判別する。
なお、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤の前記極大吸収波長における吸光度は、小さすぎると太陽光からの紫外線を十分に吸収出来ないため、歯科用硬化性組成物の硬化体の変色を抑制出来ない。また、該太陽光からの紫外線による硬化体の変色を抑制するために、添加量を多くすると機械的強度の低下を招く。
そのため、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤はそれぞれ濃度5×10−5mol・dm−3の酢酸エチル溶液における極大吸収波長の前記吸光度が0.3以上であることが好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上が特に好ましい。なお、前記吸光度の上限としては、特に制限はなく、高い程好適である。
また、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び(D)第2の紫外線吸収剤の配合の配合量としては、過剰であると前記重合硬化体の機械的強度不足を招き易く、不足すると要求される太陽光安定性が得られにくい。
そのため、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤が、前記(A)ラジカル重合性単量体100質量部当たり、合計で0.1質量部〜1.0質量部配合されることが好ましく、合計で0.2質量部〜1.0質量部配合されることがより好ましく、合計で0.5質量部〜0.9質量部配合されることが特に好ましい。
また、前記(D)第2の紫外線吸収剤に対する前記(C)第1の紫外線吸収剤の配合割合である(C)/(D)としては、質量比で1〜40の範囲内であることが好ましく、2〜20の範囲内であることがより好ましい。
前記質量比が1未満であると、紫外線領域の長波長側の吸収が十分でなく、歯科用光重合性組成物の変色を十分に抑制できないことがあり、40を超えると、紫外線領域の短長側の吸収が十分でなく、歯科用光重合性組成物の変色を十分に抑制できないことがある。
ただし、前記(C)第1の紫外線吸収剤が前記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール化合物であり、前記(D)第2の紫外線吸収剤が前記一般式(4)で表されるベンゾフェノン化合物及び前記一般式(5)で表されるトリアジン化合物のいずれかである場合には、前記(C)/(D)が、質量比で1〜10の範囲内であることが好ましく、質量比で2〜5の範囲内であることがより好ましい。
前記ベンゾフェノン化合物及び前記トリアジン化合物は、前記ベンゾトリアゾール化合物に比べて吸光度が低く吸収帯も狭い傾向にある一方で、前記ベンゾトリアゾール化合物は、前記ベンゾフェノン化合物及び前記トリアジン化合物よりも前記(A)ラジカル重合性単量体成分に対する溶解性が低いため組成中で混合ムラが生じ易く、前記重合硬化体全体で太陽光安定性を確保するうえで過剰量の配合となり易い。
そのため、前記質量比が1未満であると、要求される太陽光安定性が得られにくく、10を超えると、前記重合硬化体の機械的強度不足を招き易い。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を妨げない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、歯科用修復材料の配合成分として公知の(E)重合禁止剤、(F)充填材(フィラー)等を挙げることができる。
−(E)重合禁止剤−
前記(E)重合禁止剤は、保存安定性を得る目的で配合される。
前記(E)重合禁止剤としては、特に制限はなく、例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエンなどを挙げることができる。
−(F)充填材−
前記(F)充填材は、前記歯科用光重合性組成物の硬化体に機械的強度を付与し、重合収縮や熱膨張を低減させる目的で配合される。
前記(F)充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の無機充填材、有機−無機充填材を用いることができるが、中でも、前記無機充填材が好ましい。
前記無機充填材の材料としては、歯科用修復材料の充填材として公知の無機充填材が何ら制限なく用いられるが、代表的な無機充填材を例示すれば、石英、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化バリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化イッテルビウム等の金属酸化物、シリカチタニア、シリカジルコニア、シリカチタニア酸化バリウム、シリカチタニアジルコニア等のシリカ系複合酸化物が挙げられる。また、ホウ珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラ等のガラス、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化イットリウム、フッ化ランタン、フッ化イッテルビウム等の金属フッ化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の無機炭酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩等を用いることも出来る。これらは一種または二種以上を混合して用いても何ら差し支えない。
また、これら無機充填材に前記(A)ラジカル重合性単量体を添加し、ペースト状とした後、重合硬化させ、これを粉砕して得られる粒状の有機−無機複合充填材を用いてもよい。
これら(F)充填材の粒径としては、特に制限はなく、一般的に歯科用材料として使用されている0.01μm〜100μm(好ましくは0.01μm〜5μm)の平均粒径の充填材を用いることができる。中でも、球状の前記無機充填材を用いると、得られる硬化体の表面滑沢性を向上させることができる。
また、前記(F)充填材の屈折率としても、特に制限はなく、一般的な歯科用材料として使用される無機充填材の屈折率である、1.4〜1.7の範囲の屈折率を有する充填材を用いることができる。
前記無機充填材としては、前記(A)ラジカル重合性単量体とのなじみを向上させ、また、機械的強度や耐水性を向上させる観点から、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で表面処理されることが好ましい。
前記表面処理の方法としては、公知の方法を挙げることができ、また、前記シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどを挙げることができる。
なお、前記(F)充填材としては、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記(F)充填材の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記(A)ラジカル重合性単量体と混合させたときの粘度(操作性)や硬化体の機械的物性を考慮して、前記(A)ラジカル重合性単量体100質量部に対して50質量部〜1,500質量部が好ましく、70質量部〜1,000質量部がより好ましい。
また、前記その他の成分として、歯牙の色調に合わせる目的で顔料、蛍光顔料、染料を前記歯科用光重合性組成物に配合してもよいし、歯科用コンポジットレジン用途として公知の添加剤を配合してもよい。
前記歯科用光重合性組成物としては、全配合成分を混合、ペースト化して製造、保管、供給される1ペースト型のものでも、配合成分を2つのペーストに分けて製造、保管、供給され、使用直前に両ペーストを混合して用いる2ペースト型及び他の形態(3ペースト型等)のいずれでも用いることができるが、使用時の混合操作が不要で、また、安定した物性のものとして供給することが容易である点で、1ペースト型のものであることが好ましい。
このような1ペースト型のものを製造する方法としては、特に制限はなく、公知の1ペースト型歯科用光重合性組成物の製造方法に従って製造することができる。一般的には、遮光下、配合する各成分を所定量秤とり、均一になるまで混練し、必要に応じて混練時に混入した気泡の脱泡を行えばよい。得られた組成物のペーストは、遮光容器に小分けされその状態で、歯科医院や歯科技工所へ供給される。また、前記2ペースト型、前記他の形態を採用する場合も公知の方法によって製造等することができる。
前記歯科用光重合性組成物の使用方法としては、特に制限はなく、公知の歯科用光重合性組成物の使用方法に従って使用することができ、例えば、使用時に適量を容器から取り出し、修復が必要な窩洞に充填、付形後に、歯科用可視光照射器を用いて可視光照射を行い硬化させればよい。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明の技術的思想は、これらにより何ら制限されるものではない。
(各成分並びにその略称及び略号)
<(A)ラジカル重合性単量体>
bis−GMA:2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン
D2.6E:2,2−ビス(4−(メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン化合物のうち、エトキシ基部分の繰り返し平均数が2.6である化合物
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
<(B)光重合開始剤>
CQ:カンファーキノン
DMBE:N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸エチル
TCT:2,4,6,−トリス(トリクロロメチル)―s−トリアジン
TEOA:トリエタノールアミン
PDMB:p−ジメチルアミノ安息香酸
IPDPI:p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート
<(C)極大吸収波長を320nm以上400nm以下の波長帯に有する第1の紫外線吸収剤>
−ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤−
BT1:2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
BT2:2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール
BT3:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール
BT4:2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
−ベンゾフェノン系紫外線吸収剤−
BP1:2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン
−トリアジン系紫外線吸収剤−
TZ1:2,4,6−トリス[4−(ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル]−1,3,5−トリアジン
<(D)極大吸収波長を250nm以上320nm未満の波長帯に有する第2の紫外線吸収剤>
−ベンゾフェノン系紫外線吸収剤−
BP2:2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
−トリアジン系紫外線吸収剤−
TZ2:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール
<(E)重合禁止剤>
HQME:ハイドロキノンモノメチルエーテル
<(F)無機充填材>
F−1:球状シリカ−ジルコニアのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物であり、平均粒径が0.5μmであるもの
F−2:球状シリカ−ジルコニアのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物であり、平均粒径が0.08μmであるもの
前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤の極大吸収波長における吸光度は、酢酸エチルを溶媒として、濃度5×10−5mol・dm−3の溶液を調製し、光路長10mmの石英セルを使用し、紫外可視分光光度計(島津製作所社製、UV−2550)にて測定し、吸光度が0.5以上の化合物を用いた。
なお、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤の極大吸収波長と、前記極大吸収波長における吸光度に対して1/2以上の吸光度を示す波長帯とを下記表1に示す。
(実施例1)
先ず、60質量部のbis−GMAと40質量部の3Gとを混合して、前記(A)ラジカル重合性単量体の混合物を調製した。
次いで、前記混合物100質量部に対し、赤色光下で、前記(B)光重合開始剤として、0.30質量部のCQ及び1.0質量部のDMBEを加え、前記(C)第1の紫外線吸収剤として、0.40質量部のBT1を加え、前記(D)第2の紫外線吸収剤として、0.01質量部のBP2を加え、前記(E)重合禁止材として、0.15質量部のHQMEを加え、また、前記(F)無機充填剤として、160質量部のF−1及び72質量部のF−2を加え、これらが均一のペースト状になるまでメノウ製乳鉢中で混合、攪拌した。
次いで、このペースト状物を真空脱泡して実施例1に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
(実施例2〜27)
前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤を後掲表2に示す種類と配合量に変更したこと以外、実施例1と同様にして、実施例2〜27に係る各歯科用光重合性組成物を製造した。
(比較例1〜13)
前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤のいずれか一方のみを後掲表2に示す種類と配合量で配合したこと以外、実施例1と同様にして、比較例1〜13に係る各歯科用光重合性組成物を製造した。
(特性評価)
<太陽光安定性>
先ず、直径15mmの貫通孔を開けた厚さ1mmのポリアセタール製型に実施例1〜7,9〜27、参考例1及び比較例1〜13に係る歯科用光重合性組成物のペーストをそれぞれ填入し、これをポリプロピレンフィルムで圧接して、前記各歯科用光重合性組成物それぞれの試験片を調製した。
次いで、前記各試験片に対して、歯科用光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマデンタル社製;光出力密度700mW/cm、照射波長400nm〜525nm)を用いて、前記ペースト全体に光が当たるように5箇所を各10秒ずつ光照射した。
次いで、試験片の半分をアルミ箔で覆い、直射日光に延べ10時間曝露した。アルミ箔で覆った部分(未露光部)と直射日光に曝露した部分(露光部)の色調を、色差計(東京電色社製:TC−1800MKII)を用いて測定し、その差を色調変化量ΔEとして算出した。算出結果を後掲表2に示す。
なお、色調変化量ΔEは、以下の式により算出することができ、値が小さい程、色調変化が小さく、太陽光安定性が高いことを示す。
ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL=L1−L2
Δa=a1−a2
Δb=b1−b2
なお、L1は、前記未露光部の明度指数を示し、a1,b1は、前記未露光部の色質指数を示し、L2は、前記露光部の明度指数を示し、a2,b2は、前記露光部の色質指数を示す。
また、色差計の測定と併せて、目視により、前記未露光部と前記露光部との変色状態を観察した。太陽光暴露による変色が全く確認されなかったものを○、僅かに変色が確認されたものを△、明らかな変色が確認されたものを×で評価した。評価結果を後掲表2に示す。
<曲げ強さ及び測定方法>
先ず、ステンレス製型枠に充填器を用いて実施例1〜7,9〜27、参考例1及び比較例1〜13に係る歯科用光重合性組成物をそれぞれ充填し、ポリプロピレンで圧接して前記各歯科用光重合性組成物それぞれの試験試料を調製した。
次いで、前記各試験試料に対して、可視光線照射器(トクソーパワーライト、トクヤマ社製)を用いて、一方の面に30秒間×3回、前記各試験試料の全体に光が当たるように場所を変えつつ、光源をポリプロピレンに密着させて光照射を行なった。
次いで、反対の面についても同様に光照射を行って前記各試験試料を硬化させた後、これを#1500の耐水研磨紙を用いて、2×2×25mmの角柱状に形状を整えることで、実施例1〜7,9〜27、参考例1及び比較例1〜13に係る歯科用光重合性組成物の各試験片を得た。
前記各試験片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。
前記破壊強度は、以下に示す式により、曲げ強さσとして算出した。
なお、前記試験片は、実施例1〜7,9〜27、参考例1及び比較例1〜13に係る歯科用光重合性組成物ごとに5個作製し、算出した曲げ強さσの5個の平均値を前記各歯科用光重合性組成物の曲げ強さ(MPa)とした。前記各歯科用光重合性組成物の曲げ強さを後掲表2に示す。
ただし、前記式中、Pは、前記試験片破折時の荷重(N)を示し、Sは、支点間距離(m),Wは、前記試験片の幅(m)を示し、Bは、前記試験片の厚さ(m)を示す。
上掲表2に示すように、実施例1〜27に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性に関し、10時間の暴露では、色調変化量ΔEを1.8以下に抑えることができ、太陽光による変色も全く確認されなかった。また、機械的強度に関し、曲げ強さが158MPa以上であり、実用に耐え得る機械的強度を有していた。
中でも、前記(D)第2の紫外線吸収剤に対する前記(C)第1の紫外線吸収剤の配合割合が1.0〜9.0の範囲内である実施例3〜7,25,26に係る各歯科用光重合性組成物は、色調変化量ΔEが1.2以下であり、かつ、曲げ強度が165MPa以上であり、範囲外である実施例1,2,8,27に係る各歯科用光重合性組成物と比べて、優れた太陽光安定性と機械的強度とを兼備している。
また、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤が、前記(A)ラジカル重合性単量体100質量部当たり、合計で0.40質量部〜0.80質量部の範囲内で配合される実施例4,9,11,12に係る各歯科用光重合性組成物は、色調変化量ΔEが1.2以下であり、かつ、曲げ強度が166MPa以上であり、範囲外である参考例1に係る各歯科用光重合性組成物と比べて、優れた太陽光安定性と機械的強度とを兼備している。
また、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤の種類について、BT1とBP2との組み合わせ、BT2とBP2との組み合わせ、BT3とBP2との組み合わせ、TZ1とBP2との組み合わせ、及びBT1とTZ2との組み合わせである実施例4,13,15,21,及び23に係る各歯科用光重合性組成物は、色調変化量ΔEが1.0以下であり、かつ、曲げ強度が167MPa以上であり、これら以外の組み合わせである実施例17,19に係る各歯科用光重合性組成物と比べて、優れた太陽光安定性と機械的強度とを兼備している。なお、実施例13,15,17,19,21,及び23に係る各歯科用光重合性組成物に対し、それぞれ前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤の総配合量を少なくした実施例14,16,18,20,22,及び24に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性の低下が確認される結果となっている。
また、比較例1〜13に係る各歯科用光重合性組成物では、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤のいずれかのみが配合され、これら紫外線吸収剤で吸収し切れない波長帯の紫外線により、太陽光安定性が得られにくい結果となっている。また、太陽光安定性を向上させるために、紫外線吸収剤の配合量を増やすと、曲げ強度が得られにくい結果となっている。
即ち、比較例1〜4に係る各歯科用光重合性組成物では、同量の紫外線吸収剤を配合した実施例9,4,6,8に係る各歯科用光重合性組成物に比べ太陽光安定性が劣る結果となっている。また、比較例1〜4に係る各歯科用光重合性組成物に対し、紫外線吸収剤の配合量を増やした比較例5に係る歯科用光重合性組成物では、曲げ強度が大幅に不足する結果となっている。こうした傾向は、紫外線吸収剤の種類及び配合量を変更した比較例6〜13に係る各歯科用光重合性組成物においても同様である。
したがって、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤のいずれかのみを配合した比較例1〜13に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性及び機械的強度のいずれかひとつを満足させることができても、これら双方を満足させることができない結果となっている。
これに対し、例えば、BT1のみを紫外線吸収剤として含む比較例1に係る歯科用光重合性組成物に対し、わずかな量のBP2を加えて、前記(C)第1の紫外線吸収剤と前記(D)第2の紫外線吸収剤とを併用させた実施例1〜3に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性が飛躍的に向上するうえ、紫外線吸収剤の総配合量がわずかながら多いにも関わらず、曲げ強度も向上する結果となっている。実施例1〜3に係る各歯科用光重合性組成物において、比較例1に係る歯科用光重合性組成物と同等の太陽光安定性を得るためには、より少ない紫外線吸収剤の総配合量で足り、紫外線吸収剤の配合量が少なくなることで、機械的強度の飛躍的な向上も期待することができる。
(実施例28〜32)
60質量部のbis−GMAと40質量部の3Gとを混合して、前記(A)ラジカル重合性単量体の混合物を調製することに代えて、70質量部のD−2.6Eと30質量部の3Gとを混合して、前記(A)ラジカル重合性単量体の混合物を調製したこと以外は、実施例3と同様にして、実施例28に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、実施例28と同様の前記(A)ラジカル重合性単量体を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例29に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、実施例28と同様の前記(A)ラジカル重合性単量体を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例30に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、実施例28と同様の前記(A)ラジカル重合性単量体を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、実施例31に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、実施例28と同様の前記(A)ラジカル重合性単量体を用いたこと以外は、実施例23と同様にして、実施例32に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
(比較例14,15)
紫外線吸収剤として、0.40質量部のBT1と、0.10質量部のBP2とを配合することに代えて、紫外線吸収剤の総配合量を変更せず(0.50質量部)、BT1のみ配合したこと以外は、実施例29と同様にして、比較例14に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、BT1の配合量を0.50質量部から1.00質量部に増やしたこと以外は、比較例14と同様にして、比較例15に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
(特性評価)
実施例1〜7,9〜27、参考例1及び比較例1〜13に係る各歯科用光重合性組成物に対する方法と同じ方法で実施例28〜32及び比較例14,15に係る各歯科用光重合性組成物に対して太陽光安定性及び機械的強度の各特性の評価を行った。実施例28〜32及び比較例14,15に係る各歯科用光重合性組成物の太陽光安定性及び機械的強度を後掲表3に示す。
上掲表3に示すように、実施例28〜32に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性に関し、色調変化量ΔEを0.6以下に抑えることができ、かつ、10時間の暴露では、太陽光による変色も全く確認されなかった。また、機械的強度に関し、曲げ強さが162MPa以上であり、実用に耐え得る機械的強度を有していた。
また、実施例28〜32に係る各歯科用光重合性組成物では、D−2.6Eを含む前記(A)ラジカル重合性単量体を用いることで、実施例3〜6及び23に係る各歯科用光重合性組成物よりも優れた太陽光安定性及び機械的強度が得られている。
これに対し、前記(C)第1の紫外線吸収剤のみを配合した比較例14,15に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性及び機械的強度のいずれかひとつを満足させることができても、これら双方を満足させることができない結果となっている。
即ち、比較例14に係る歯科用光重合性組成物では、同量の紫外線吸収剤を配合した実施例29に係る歯科用光重合性組成物に比べ太陽光安定性が劣る結果となっている。また、比較例14に係る歯科用光重合性組成物に対し、紫外線吸収剤の配合量を増やした比較例15に係る歯科用光重合性組成物では、曲げ強度が不足する結果となっている。
したがって、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤を併用しない比較例14,15に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性及び機械的強度のいずれかひとつを満足させることができても、これら双方を満足させることができない結果となっている。
(実施例33〜36)
前記(B)光重合開始剤として、0.30質量部のCQ及び1.0質量部のDMBEを配合することに代えて、これらの光重合開始剤よりも前記(A)ラジカル重合性単量体を高速重合させるものとして、0.2質量部のCQ、0.3質量部のDMBE、0.2質量部のTCT及び0.3質量部のTEOAで構成される(B−1)第1の高速光重合開始剤を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例33に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、実施例33と同様の(B−1)第1の高速光重合開始剤を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例34に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、実施例33と同様の(B−1)第1の高速光重合開始剤を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例35に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、(B−1)第1の高速光重合開始剤を配合することに代えて、0.2質量部のCQ、0.3質量部のPDMB、0.3質量部のTEOA及び0.6質量部のIPDPIで構成される(B−2)第2の高速光重合開始剤を配合したこと以外は、実施例33と同様にして、実施例36に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
(比較例16〜19)
紫外線吸収剤として、0.40質量部のBT1と、0.10質量部のBP2とを配合することに代えて、紫外線吸収剤の総配合量を変更せず(0.50質量部)、BT1のみ配合したこと以外は、実施例34と同様にして、比較例16に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、BT1の配合量を0.50質量部から1.00質量部に増やしたこと以外は、比較例16と同様にして、比較例17に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、BT1の配合量を0.50質量部から1.50質量部に増やしたこと以外は、比較例16と同様にして、比較例18に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
また、紫外線吸収剤として、0.40質量部のBT1と、0.10質量部のBP2とを配合することに代えて、1.00質量部のBT1のみ配合したこと以外は、実施例36と同様にして、比較例19に係る歯科用光重合性組成物を製造した。
(特性評価)
実施例1〜7,9〜27、参考例1及び比較例1〜13に係る各歯科用光重合性組成物に対する方法と同じ方法で実施例33〜36及び比較例16〜19に係る各歯科用光重合性組成物に対して太陽光安定性及び機械的強度の各特性の評価を行った。実施例33〜36及び比較例16〜19に係る各歯科用光重合性組成物の太陽光安定性及び機械的強度を後掲表4に示す。
上掲表4に示すように、実施例33〜36に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性に関し、色調変化量ΔEを1.5以下に抑えることができ、かつ、10時間の暴露では、太陽光による変色も全く確認されなかった。また、機械的強度に関し、曲げ強さが168MPa以上であり、実用に耐え得る機械的強度を有していた。
また、前記(B−1)第1の高速光重合開始剤を配合する実施例33〜35に係る各歯科用光重合性組成物では、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤の総配合量に応じて、実施例3〜5に係る各歯科用光重合性組成物と同様の太陽光安定性及び機械的強度の優劣傾向を示し、総配合量を適宜調整することで、優れた太陽光安定性及び機械的強度を有することに加えて、前記(A)ラジカル重合性単量体の高速重合化も期待することができる。
更に、前記(B−2)第2の高速光重合開始剤を配合する実施例36に係る歯科用光重合性組成物では、前記(B−1)第1の高速光重合開始剤を配合する実施例34に係る歯科用光重合性組成物に比べて、より優れた太陽光安定性及び機械的強度を有するうえに、前記(A)ラジカル重合性単量体の高速重合化も期待することができる。
これに対し、前記(C)第1の紫外線吸収剤のみを配合した比較例16〜19に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性及び機械的強度のいずれかひとつを満足させることができても、これら双方を満足させることができない結果となっている。
即ち、比較例16に係る歯科用光重合性組成物では、同量の紫外線吸収剤を配合した実施例34に係る歯科用光重合性組成物に比べ太陽光安定性が劣る結果となっている。また、比較例16に係る歯科用光重合性組成物に対し、紫外線吸収剤の配合量を増やした比較例17、18に係る各歯科用光重合性組成物では、増加量に応じて曲げ強度が不足する傾向となっている。
また、この傾向は、比較例19に示す歯科用光重合性組成物の機械的強度が示すように、前記(B−1)第1の高速光重合開始剤に代えて前記(B−2)第2の高速光重合開始剤を配合する場合でも同じである。
したがって、前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤を併用しない比較例16〜19に係る各歯科用光重合性組成物では、太陽光安定性及び機械的強度のいずれかひとつを満足させることができても、これら双方を満足させることができない結果となっている。

Claims (4)

  1. (A)ラジカル重合性単量体と、(B)光重合開始剤と、(C)極大吸収波長を320nm以上400nm以下の波長帯に有する第1の紫外線吸収剤と、(D)極大吸収波長を250nm以上320nm未満の波長帯に有する第2の紫外線吸収剤と、を含み、
    前記(C)第1の紫外線吸収剤が、下記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール化合物、下記一般式(2)で表されるベンゾフェノン化合物及び下記一般式(3)で表されるトリアジン化合物のいずれかを含むとともに、前記(D)第2の紫外線吸収剤が下記一般式(4)で表されるベンゾフェノン化合物及び下記一般式(5)で表されるトリアジン化合物のいずれかを含み、
    前記(C)第1の紫外線吸収剤及び前記(D)第2の紫外線吸収剤が、前記(A)ラジカル重合性単量体100質量部当たり、合計で0.3質量部〜0.8質量部配合されることを特徴とする歯科用光重合性組成物。
    ただし、前記一般式(1)中、R は、水素原子及び炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基のいずれかを示し、R は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基及びハロゲン原子のいずれかを示し、mは、0〜4の整数を示す。
    また、前記一般式(2)中、R 及びR は、相互に独立して、水酸基、−OC −C 12 アルキル、−O−CH CH=CH 、−O−(CH Si(OEt) 、−OCH COOH、−O(CH OC(O)−CH=CH 、−OCH CH OH及び−O−CH −CH(OH)−CH O−C 17 のいずれかを示し、R 及びR は、相互に独立して、水素原子、ベンゾイル基、−SO H及び−SO Naのいずれかを示す。
    また、前記一般式(3)中、R は、水素原子、水酸基及び炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基のいずれかを示し、R 、R 10 及びR 11 は、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基及びハロゲン原子のいずれかを示す。
    ただし、前記一般式(4)中、R 12 は、水酸基、−OC −C 12 アルキル、−O−CH CH=CH 、−O−(CH Si(OEt) 、−OCH COOH、−O(CH OC(O)−CH=CH 、−OCH CH OH及び−O−CH −CH(OH)−CH O−C 17 のいずれかを示し、R 13 は、水素原子、ベンゾイル基、−SO H及び−SO Naのいずれかを示し、R 14 は、水素原子、−SO H及び−SO Naのいずれかを示し、R 15 は、水素原子、水酸基、−OCH 及び−C(CH のいずれかを示す。
    また、前記一般式(5)中、R 16 〜R 20 は、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基及びハロゲン原子のいずれかを示す。
  2. (A)ラジカル重合性単量体が、酸性基を有さず、水に対する溶解度が5質量%以下である多官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体を含む請求項1に記載の歯科用重合性組成物。
  3. (C)第1の紫外線吸収剤が、5×10 −5 mol・dm −3 の濃度で酢酸エチルに溶解させた溶解液における極大吸収波長の吸光度が0.3以上であるとともに、前記極大吸収波長における前記吸光度の1/2以上の前記吸光度を示す波長帯が少なくとも280nm〜360nmの波長帯に存し、かつ、(D)第2の紫外線吸収剤が、前記溶解液における極大吸収波長の吸光度が0.3以上であるとともに、前記極大吸収波長における前記吸光度の1/2以上の前記吸光度を示す波長帯が少なくとも270nm〜300nmの波長帯に存する請求項1から2のいずれかに記載の歯科用重合性組成物。
  4. (D)第2の紫外線吸収剤に対する(C)第1の紫外線吸収剤の配合割合である(C)/(D)が、質量比で1〜40の範囲内である請求項1から3のいずれかに記載の歯科用光重合性組成物。
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