JP6391588B2 - 非対称不飽和n‐ヘテロ環状ジアミノカルベンを含むルテニウム錯体 - Google Patents

非対称不飽和n‐ヘテロ環状ジアミノカルベンを含むルテニウム錯体 Download PDF

Info

Publication number
JP6391588B2
JP6391588B2 JP2015547121A JP2015547121A JP6391588B2 JP 6391588 B2 JP6391588 B2 JP 6391588B2 JP 2015547121 A JP2015547121 A JP 2015547121A JP 2015547121 A JP2015547121 A JP 2015547121A JP 6391588 B2 JP6391588 B2 JP 6391588B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
formula
ruthenium complex
alkyl group
hydrogen atom
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015547121A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016500374A (ja
Inventor
モーデュイ,マーク
ルーアン,マテュー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Centre National de la Recherche Scientifique CNRS
Ecole Nationale Superieure de Chimie de Rennes
Original Assignee
Centre National de la Recherche Scientifique CNRS
Ecole Nationale Superieure de Chimie de Rennes
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Centre National de la Recherche Scientifique CNRS, Ecole Nationale Superieure de Chimie de Rennes filed Critical Centre National de la Recherche Scientifique CNRS
Publication of JP2016500374A publication Critical patent/JP2016500374A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6391588B2 publication Critical patent/JP6391588B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J31/00Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds
    • B01J31/16Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing coordination complexes
    • B01J31/22Organic complexes
    • B01J31/2265Carbenes or carbynes, i.e.(image)
    • B01J31/2269Heterocyclic carbenes
    • B01J31/2273Heterocyclic carbenes with only nitrogen as heteroatomic ring members, e.g. 1,3-diarylimidazoline-2-ylidenes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J31/00Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds
    • B01J31/16Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing coordination complexes
    • B01J31/22Organic complexes
    • B01J31/2265Carbenes or carbynes, i.e.(image)
    • B01J31/2278Complexes comprising two carbene ligands differing from each other, e.g. Grubbs second generation catalysts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F15/00Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table
    • C07F15/0006Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table compounds of the platinum group
    • C07F15/0046Ruthenium compounds
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J2231/00Catalytic reactions performed with catalysts classified in B01J31/00
    • B01J2231/50Redistribution or isomerisation reactions of C-C, C=C or C-C triple bonds
    • B01J2231/54Metathesis reactions, e.g. olefin metathesis
    • B01J2231/543Metathesis reactions, e.g. olefin metathesis alkene metathesis
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J2531/00Additional information regarding catalytic systems classified in B01J31/00
    • B01J2531/80Complexes comprising metals of Group VIII as the central metal
    • B01J2531/82Metals of the platinum group
    • B01J2531/821Ruthenium

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

本発明は、非対称性イミダゾリウム塩およびその調製方法に関する。
N‐複素環式ジアミノカルベン(NHCs、N‐複素環式カルベン)は、有機金属触媒に広範に用いられている配位子である。その理由は、N‐複素環式ジアミノカルベン配位子が金属と会合したときに高い反応性種を形成できるからである。形成される種は、ジアミノカルベン金属錯体と呼ばれる。
非常に多くの配位子の中で特に挙げられるのは、イミダゾリジン‐2‐イリデンタイプ(飽和NHC)の配位子およびイミダゾリン‐2‐イリデンタイプ(不飽和NHC)の配位子である。実際、これらの配位子と金属は、有機金属触媒に特に適した錯体を形成する。NHCs in Synthesis,S.P.Nolan,Ed.,2006,Wiley‐VCH、NHCs in Transition Metal Catalysis,F.Glorius,Ed.2006,Springer、N‐Heterocyclic Carbenes,S.D.Diez‐Gonzalez,Ed.2011,RSC Catalysis Series,RSC Publishingといった刊行物には、このタイプのジアミノカルベン金属錯体が開示されている。
ジアミノカルベン金属錯体は、ある一定の化学反応の収率を増加させることができるばかりでなく、これまで知られていなかった新たな化学反応を実施することも可能なことが、最近立証された。ジアゾカルベン金属錯体は、例えば大多数の金属触媒反応の収率、および特にC‐C、C‐N、C‐O、C‐Sカップリング反応などにおける収率を向上させることを可能にした。これらのカップリング反応は、Dunetzらによる研究、Dunetz et al.,Chem.Rev.2011,111,2177‐2250に記載されているように、ファインケミストリーの工業プロセスにおいて広範に用いられている。
しかしながら、オレフィンのメタセシスにおいて、N‐複素環式ジアミノカルベン配位子を有する金属が反応収率を向上させる点、さらに、反応を触媒するために必要かつ十分な触媒の量を有意に低下させる点で最も寄与してきたことは確かである。このことは、特に、Grela et al.,Chem.Rev.2009,109,3708‐3742にて報告されている。
一般に、先行技術によれば、それは、有機金属触媒系に関与する対称性1,3‐二置換ジアミノカルベンイミダゾリジン‐2‐イリデンまたはイミダゾリン‐2‐イリデン配位子である(上記の引用した刊行物参照)。
それにもかかわらず、ある一定の開示によれば、非対称性であり、したがって非同一炭素含有基を有する1,3−二置換ジアミノカルベンイミダゾリジン‐2‐イリデンまたはイミダゾリン‐2‐イリデン配位子も、有機触媒系に関与することができる。例えば、Blechertらの研究、Blechert et al.,Dalton Trans.2012,41,8215‐8225は、非対称性カルベン配位子についての良好な反応性および選択性を示している。さらに、Grubbsらによる研究、Grubbs et al.,J.Am.Chem.Soc.2011,113,7490‐7496によれば、N‐複素環式ジアミノカルベン配位子が一方では芳香族置換基および他方ではアルキル基を有するときに良好な反応性および選択性が観察できることを示している。
しかしながら、置換基としての炭素含有基の性質および選択は、非対称性1,3‐二置換ジアミノカルベンイミダゾリン‐2‐イリデン配位子についてはまだ非常に限定的である。これは、特に、非対称性イミダゾリウム前駆体塩の合成の難しさに起因している。
実際、非対称性1,3‐二置換ジアミノカルベンイミダゾリン‐2‐イリデン配位子を合成するには、先ず、イミダゾリウム前駆体塩を生成することが極めて重要である。この合成は複雑であり、非常に多数の化学操作(4から6の別個の化学操作)または炭素含有置換基の限定的事前選択を必要としている。
Organらによる研究、Organ et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,2007,46,2768‐2813、およびCesarらによる研究、Cesar et al.,Chem.Rev.2011,111,2701‐2733は、非対称性1,3‐二置換ジアミノカルベンイミダゾリン‐2‐イリデン配位子の合成の複雑さおよび制限を示している。
非対称性1,3‐二置換ジアミノカルベンイミダゾリン‐2‐イリデン配位子は、科学的および経済的にかなり興味深いが、今までのところ、それらの合成は、化学操作数があまりにも多すぎるので産業競争力がない。その上、非同一置換基の選択が限られている。
特に、1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデンタイプのN‐ヘテロ環状ジアミノカルベン配位子(すなわち、一方では芳香族基で置換され、他方では環状第二級脂肪族アルキル基で置換されているNHC)については、何れの適する合成方法も先行技術により説明されていない。これらの配位子を有するジアミノカルベン金属錯体が先行技術により説明されていないことは言うまでもない。
本発明は、この状況を改善することである。
したがって、本発明は、1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデン配位子を含むアルキリデンルテニウム錯体であって、前記1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデン配位子のシクロアルキル基が環状第二級脂肪族アルキルであることを特徴とするアルキリデンルテニウム錯体に関する。
前記アルキリデンルテニウム錯体は、
式1:
Figure 0006391588
(この式中、
R1は、芳香族基であり、
R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
およびXは、アニオン性配位子であり、
Lは、非荷電配位子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される);
式2:
Figure 0006391588
(この式中、
R1は、芳香族基であり、
R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
およびXは、アニオン性配位子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される);
式3:
Figure 0006391588
(この式中、
R1は、芳香族基であり、
R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
およびXは、アニオン性配位子であり、
a、b、c、d、e、fおよびgは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される);および
式4:
Figure 0006391588
(この式中、
R1は、芳香族基であり、
R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択され、
は、アニオン性配位子であり、
は、アニオンである)
から成る群より選択される一般式のものであることができる。
R1は、2,4,6‐トリメチルフェニル、3,5‐ジニトロフェニル、2,4,6‐トリス(トリフルオロメチル)フェニル、2,4,6‐トリクロロフェニル、およびヘキサフルオロフェニルから成る群より選択することができる。R2は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシルおよびシクロペンタデシルから成る群より選択することができる。R3およびR4は、好ましくは各々水素原子である。
本発明は、上で定義したとおりのアルキリデンルテニウム錯体の、オレフィンメタセシス反応における触媒としての使用にも関する。
さらに、本発明は、以下の工程を含むアルキリデンルテニウム錯体の調製方法に関する。
‐ 式1Sのイミダゾリウム塩:
Figure 0006391588
(この式中、
R1は、芳香族基であり、
R2は、環状第二級脂肪族アルキル基およびヘテロアルキル基から選択され、
R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
は、アニオンである)
を溶媒中、不活性雰囲気下、室温で少なくとも30分間、強塩基と接触させることにより第一の反応混合物を形成する工程a.と、
‐ 工程aで形成した反応混合物にルテニウム錯体前駆体を添加し、そしてその後、少なくとも40℃の温度で少なくとも2時間加熱する工程b.と、
‐ アルキリデンルテニウム錯体を単離する工程c.
工程b.を約80℃の温度で行うことができ、この工程で添加するルテニウム錯体前駆体は、式1Pのものであることができる:
Figure 0006391588
(この式中、
およびXは、アニオン性配位子であり、
およびLは、非荷電配位子、好ましくは、トリシクロヘキシルホスフィンの非荷電配位子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される)。
1つの実施形態において、前記方法は、次の工程dをさらに含んでいる。
‐ 工程cで単離したアルキリデンルテニウム錯体をスチレニルエーテルと接触させることによって第二の反応混合物を形成する工程d.
工程b.を少なくとも3時間行うことができ、前記ルテニウム前駆体錯体は、いわゆる第一世代ホベイダ−グラブスタイプのものであることができる。
本発明の好ましい実施形態において、前記スチレニルエーテルは、式4Hのものである。
Figure 0006391588
式中、a、b、c、d、e、f、g、iおよびhは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される。
本発明の他の利点および特徴は、以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになる。
図1は、60℃でのトルエン中の式1.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の安定性を示している。 図2は、30℃での2−アリル−2−(2−メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における1mol%の式1.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図3は、60℃での2−アリル−2−(2−メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における1mol%の式1.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図4は、80℃での2,2−ビス(2−メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における2mol%の式1.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図5は、80℃での2,2−ビス(2−メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における0.2Mの式1.2の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図6は、60℃でトルエン中の式2.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の安定性を示している。 図7は、60℃でのジエチルアリメタリルマロネート(dithylallymetallylmalonate)のメタセシス環化反応における1mol%の式2.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図8は、100℃でのトルエン中およびヘプタン中のジエチルアリメタリルマロネート(dithylallymetallylmalonate)のメタセシス環化反応における1mol%の式2.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図9は、120℃でのオクタン中および炭酸ジエチル中のジエチルアリメタリルマロネート(dithylallymetallylmalonate)のメタセシス環化反応における1mol%の式2.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図10は、130℃での2,2−ビス(2−メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における連続添加による1mol%の式2.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図11は、80℃での2,2−ビス(2−メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における2mol%の式2.2の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図12は、60℃でトルエン中の式1.4の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の安定性を示している。 図13は、35℃での2−アリル−2−(2−メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における1mol%の式1.4の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図14は、30℃での2−アリル−2−(2−メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における1mol%の式1.5の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図15は、60℃での2−アリル−2−(2−メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応(MCR)における1mol%の式1.5の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。 図16は、60℃および80℃での式4.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の熱安定性を示している。 図17は、120℃での、キシレン(XYL)中のおよび炭酸ジエチル(DEC)中の2,2−ジアリルマロン酸ジエチルのメタセシス環化反応(MCR)における1mol%の式4.1の本発明のアルキリデンルテニウム錯体の触媒活性を示している。
これらの図面および以下の説明は、明確な特徴を本質的に含んでいる。したがって、それらは、本発明のよりよい理解に役立つばかりでなく、該当する場合にはその定義に寄与することもできる。
本発明のアルキリデンルテニウム錯体の合成は、式1Sの非対称性イミダゾリウム塩の合成の準備工程を含んでいる。
Figure 0006391588
この式中、
R1は、芳香族基であり;
R2は、第二級環式脂肪族アルキル基およびヘテロアルキル基から選択され;
R3およびR4は、互いに独立して、水素、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され;
は、アニオンである。
この塩の合成は単一操作で行われ、下記の工程を含む。
a. 1当量(1eq)の式2Sのアニリン:
Figure 0006391588
と、1当量(1eq)の式3Sの化合物:
Figure 0006391588

を少なくとも4.5当量(4.5eq)の式4Sのブレンステッド酸:
Figure 0006391588
の存在下で接触させることにより反応混合物を形成する工程と;
b. 1当量(1eq)の式5Sのジカルボニル:
Figure 0006391588
と、1当量(1eq)のホルムアルデヒドと、少なくとも4.5当量(4.5eq)の式4Sのブレンステッド酸とを含有する溶液を形成し、前記溶液を約80℃に加熱し、その後、工程aで形成した反応混合物を添加する工程と;
c. 少なくとも2時間、約80℃で撹拌する工程と;
d. 式1Sの中間体非対称性イミダゾリウム塩を単離する工程とを含む。
したがって、この合成は、一方では芳香族基と他方ではシクロアルキル基を有する1,3‐二置換イミダゾリウム塩を単一化学操作で得ることを可能にする。
式4Sのブレンステッド酸は、特に酢酸であることができる。これは、アセテートタイプの対イオンAを供給する。
前記1,3‐二置換イミダゾリウム塩の合成反応の選択性は、所望の非対称イミダゾリウム塩に有利な1/30/1(より正確には、1部の第一の対称塩、1部の第二の対称イミダゾリウム塩、および30部の非対称イミダゾリウム塩)という比に達することができる。実際、本出願人らは、芳香族アミンと脂肪族アミンを上記条件下で接触させると、それらの反応性の差が、反応混合物中に存在するアミンの自己縮合(auto‐condensation)の結果として生ずる反応副生成物である1,3‐ビス‐アリールおよび1,3‐ビス‐アルキルイミダゾリウム塩の形成を大いに最小化することを発見した。
より安定な(または特にルテニウム錯体前駆体に対してより反応性が高い)非対称イミダゾリウム塩を製造するために、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ヘキサフルオロアンチモンアニオン(hexafluoroantimony anion)、テトラキス[(3,5‐トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸アニオンおよびハライドアニオンから成る群より選択される対イオンAを供給することが考えられる。
このために、上記工程a.からd.の後に以下の工程e.からf.を続ける:
e. 工程d.で単離した中間体非対称性イミダゾリウム塩に1当量(1eq)の無機塩および有機溶媒、好ましくはジクロロメタン、を添加する工程
f. 室温で少なくとも1時間撹拌し、水/有機溶媒抽出を行い、続いて前記有機溶媒の蒸発を行う工程
g. 極性有機溶媒によって沈殿させ、その後、式1Bの非対称性イミダゾリウム塩を単離する工程
工程e.における無機塩は、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸水素、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸水素、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸銀、ヘキサフルオロアンチモン酸カリウム、ヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム、ヘキサフルオロアンチモン酸リチウム、テトラキス[(3,5‐トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸カリウム、テトラキス[(3,5‐トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウムおよびテトラキス[(3,5‐トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸リチウムならびにハロゲン酸から成る群より選択される。
これにより、適する対イオンAを得ることが可能になる。
考えられる様々な実施形態によると、R1は、2,4,6−トリメチルフェニル、3,5−ジニトロフェニル、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、およびヘキサフルオロフェニルから成る群より選択され、R2は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシルおよびシクロペンタデシルから成る群より選択される。下の説明を読めば分かるように、これらの基の選択が第一に塩のおよび第二にルテニウム錯体の良好な立体安定性をもたらす。
2,4,6‐トリメチルフェニルの基R1、シクロヘキシルの基R2ならびに水素の基R3およびR4を例にとり、上記方法に従うと、下記式6の1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデンが得られる:
Figure 0006391588
反応スキーム:R1が2,4,6‐トリメチルフェニルであり、R2がシクロヘキシルである中間体非対称性イミダゾリウム塩の合成
反応の選択性を判定するために、式6の1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデン塩を含有する反応混合物を室温に冷却する。その後、水を添加し、続いて溶媒(例えば、酢酸エチルまたはジクロロメタン)を添加する。水性相を溶媒で(例えば、3回)抽出する。有機相を併せ、アニオン塩で(例えば、硫酸マグネシウムで)乾燥させる。その後、有機相を真空下で濃縮する。粗製反応生成物の核磁気共鳴(NMR)分析は、反応の選択性の判定を可能にすることができる。
酢酸アニオンの別のアニオンへの交換は、次のように行うことができる。粗製反応生成物を溶媒(例えば、ジクロロメタン)に溶解する。その後、所望の対アニオンを含有する1当量の無機塩を添加する(例えば、テトラフルオロホウ酸カリウムを添加してテトラフルオロホウ酸対アニオンを得る)。その後、その混合物を室温で数時間(例えば、3時間)撹拌する。その後、液液抽出、すなわち水/有機溶媒抽出を行う。このために、水を添加し、有機相を水性相から分離する。水性相を溶媒で(例えば、3回)洗浄する。各有機相をアニオン塩で(例えば、硫酸マグネシウムで)乾燥させ、真空下で濃縮する。一般に、褐色油が得られ、その油に有機溶媒(例えば、酢酸エチル)を添加して沈殿させる。その後、その混合物を数分(例えば、5分)間の超音波処理に付すことができる。固体が形成され、それをフリットで濾過し、その後、溶媒で(例えば、酢酸エチルで)洗浄して、所望のアニオン(例えば、テトラフルオロホウ酸アニオン)を伴う所望の非対称性イミダゾリウムを得る。
一般に、極性溶媒での上述の沈殿は、酢酸エチルを使用して、ジエチルエーテルを使用して、またはエタノール中での結晶化を用いて行うことができる。好ましくは、酢酸エチルでの沈殿を用いる。
単一化学操作しか含まない上記操作手順を用いて、本出願人は、多数の新規分子を合成することができた。特に、本出願人は、式7、8、9、10、11、12、13、14および15の非対称性イミダゾリウム塩を合成した:
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
Figure 0006391588
一般に、本出願人は、式1Dの非対称性イミダゾリウム塩を合成した。
Figure 0006391588
この式中、
R1は、芳香族基であり;
R2は、第二級環式脂肪族アルキル基であり;
R3およびR4は、互いに独立して、水素、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され;
は、アニオンである。
R1は、特に、2,4,6‐トリメチルフェニル、3,5‐ジニトロフェニル、2,4,6‐トリス(トリフルオロメチル)フェニル、2,4,6‐トリクロロフェニル、またはヘキサフルオロフェニルであることができる。
R2は、特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシルまたはシクロペンタデシルであることができる。
R3およびR4は各々水素であることができる。R3およびR4は、ハライド(例えば、塩素原子またはアルキルハライド)であることもできる。R3およびR4は、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル)であることもできる。
アニオンAは、特に、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、酢酸アニオン、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、テトラキス[(3,5‐トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸アニオンおよびハライドアニオンであることができる。
式1Sの非対称イミダゾリウム塩を合成したら、本発明のルテニウム錯体を合成することができる。実際には、非対称イミダゾリウム塩のカチオンが配位子、すなわち、本発明のジアミノカルベン金属錯体(前記アルキリデンルテニウム錯体)のN−ヘテロ環状ジアミノカルベン配位子(NHC)を構成する。
本発明のアルキリデンルテニウム錯体の化学合成のための実験条件は、先行技術分野で従来用いられている条件であることができる。例えば、本発明のアルキリデンルテニウム錯体を形成するための、上記新規N−ヘテロ環状ジアミノカルベン配位子とルテニウム錯体前駆体の化合を、以下の学術著作物に記載されているものによく似た実験条件で行うことができ、本明細書を読みながらこれらの学術著作物を参照してもよい:
‐ Ledoux,N.;Linden,A.;Allaert,B.;Mierde,H.V.;Verpoort,F.Adv.Synth.Catal.2007;349:1692;
‐ Fournier,P.‐A.;Collins,S.K.Organometallics 2007,26,2945;
‐ Vehlow,K.;Gessler,S.;Blechert,S.Angew Chem Int Ed 2007,46,8082;
‐ Chung,C.K.;Grubbs,R.H.;Org Lett.2008,10,2693。
不活性雰囲気下、室温でおよび溶媒(例えば、トルエン)の存在下でのイミダゾリウム塩(1から3.5eq.)の強塩基(例えば、カリウムter‐アミラートまたはカリウムヘキサメチルジシラザン、同じく1から3.5eq)による脱プロトン化は、遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンの生成を可能にする。
30分間の反応の後、ルテニウム錯体前駆体(1eq.)を反応混合物に導入する。その後、その反応混合物を2時間、少なくとも80℃に加熱する。最後に、シリカゲルでの精製が、形成されたルテニウム錯体からの様々な不純物の分離を可能にする。
ルテニウム錯体前駆体は、次の一般式1Pの錯体を意味する:
Figure 0006391588
(この式中、
およびXは、アニオン性配位子であり、
およびLは、非荷電配位子、好ましくは、トリシクロヘキシルホスフィンの非荷電配位子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される)。
特に、次の式2Pを有するUmicore(登録商標)社からのMシリーズ(例えば、化合物M1)のルテニウム錯体前駆体を使用することができる:
Figure 0006391588
(この式中、PCy3はトリシクロヘキシルホスフィンを表す)。
このルテニウム錯体前駆体は、実際にはビス(トリシクロヘキシルホスフィン)‐3‐フェニル‐1H‐インデン‐1‐イリデンルテニウム(II)ジクロリドである。
他の実施形態では、他のルテニウム錯体前駆体、例えば、第一世代グラブス触媒またはベンジリデン‐ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウムと呼ばれる錯体を使用することができる。
これらの条件下で脱プロトン化イミダゾリウム塩はルテニウム錯体前駆体と反応して、本発明のルテニウム錯体、すなわち、1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデン配位子を含み、その1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2−イリデン配位子のシクロアルキル基が環状第二級脂肪族アルキルであるルテニウム錯体を形成する。
実際には、式1Pの配位子Lおよび/またはLは、遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンで置換されている。
したがって、配位子LまたはLの一方のみが遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンで置換されている場合、本発明の錯体は、式1の一般式のものであることができる:
Figure 0006391588
(この式中、
R1は、芳香族基であり、
R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
およびXは、アニオン性配位子であり、
Lは、非荷電配位子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される)。
2つの配位子LおよびLが遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンで各々置換されている場合、本発明の錯体は、式2の一般式のものであることができる:
Figure 0006391588
(この式中、
R1は、芳香族基であり、
R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
およびXは、アニオン性配位子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される)。
一般に、イミダゾリウム塩を約1から1.3eq.の量で使用すると式1の錯体に有利な比率で、およびイミダゾリウム塩を約2.2から3eq.の量で使用すると式2の錯体に有利な比率で、式1の錯体と式2の錯体の混合物が得られる。
約言すると、本発明のルテニウム錯体は、各1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデン配位子のシクロアルキル基(単数または複数)が環状第二級脂肪族アルキルである、1つまたは2つの1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン−2−イリデン配位子を含むことができる。
単一の1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデン配位子を含む本発明のルテニウム錯体(例えば、上記式1の化合物;1eq.)は、スチレニルエーテルタイプの化合物(約1.1から1.75eq.)と反応して、ルテニウムキレート錯体と呼ばれるルテニウム錯体を形成することができる。この反応は、一般に、ルイス酸(例えば、塩化銅(I);1.1から1.6eq.)および溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下、35℃の温度で約5時間行われる。
前記スチレニルエーテルは、式1Hのものであることができる:
Figure 0006391588
(この式中、a、b、c、d、e、fおよびgは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択され、ここでのfおよびeは、場合により環を形成する)。
好ましくは、a、b、c、dおよびeは各々水素原子(H)であり、fおよびgは各々メチル基(CH)である。
例えば、前記スチレニルエーテルは、式2Hのもの:
Figure 0006391588
または式3Hのもの:
Figure 0006391588
であることができる。
より一般的には、前記スチレニルエーテルは、式4Hのものであることができる:
Figure 0006391588
(この式中、a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される)。
したがって、本発明のアルキリデンルテニウム錯体は、式3のものであることができる:
Figure 0006391588
(この式中、
R1は、芳香族基であり、
R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
およびXは、アニオン性配位子であり、
a、b、c、d、e、fおよびgは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択され、ここでのfおよびeは、場合により環を形成する)。
本発明の特定の実施形態において、および選択された条件下で、本出願人らは、いわゆるカチオン性キレート形態の本発明のルテニウム錯体も合成した。それらの条件を下で詳述する。
不活性雰囲気下、室温でおよび溶媒(トルエン)の存在下での強塩基(2.7から3.5eq.のカリウムヘキサメチルジシラザン)によるイミダゾリウム塩(2.7から3.5eq.)の脱プロトン化は、遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンの生成を可能にする。
30分間の反応の後、反応混合物にルテニウム錯体前駆体(1eq.)を添加する。それは、Sigma‐Aldrich Co社から市販されている「ホベイダ‐グラブス触媒第一世代」と呼ばれるSigma‐Aldrich(登録商標)からのルテニウム錯体前駆体である。このルテニウム錯体前駆体は、ジクロロ(o‐イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)である。得られた混合物を約40℃の温度で約2時間放置して反応させる。
この手順に従うと、本発明のアルキリデンルテニウム錯体は、式4のものであることができる:
Figure 0006391588
(この式中、
R1は、芳香族基であり、
R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択され、
は、アニオン性配位子であり、
は、アニオンである)。
はハロゲン(例えば、塩素)であることができ、Aは、特に、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、酢酸アニオン、ヘキサフルオロアンチモンアニオン(hexafluoroantimony anion)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオンおよびハライドアニオンであることができる。

[実施例]
以下の実施例では、Brucker ARX 400フーリエ変換分光計を用いてHを除くすべての核についてプロトンデカップリングしてH(400MHz)、13C(125MHz)、31P(162MHz)、11B(128MHz)および19F(376MHz)NMRスペクトルを記録した。示す変性溶媒中の百万分率(ppm)で化学シフト(δ)を表示する。シグナルの多重度を示すために次の略語を用いる:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、quin.(五重線)、sept.(七重線)、m(多重線)、bs(幅広の一重線)。
さらに、乾燥カラムでおよび取り替えて4Åモレキュラーシーブでトルエンを乾燥させた後、脱気する。水素化カルシウムを用いてジクロロメタンを蒸留する。
分析用薄層クロマトグラフィーは、254nmの紫外線を使用して、または展開液として3%KMnO溶液を使用して、Merck 60F254シリカ被覆アルミニウムプレートで行った。カラムクロマトグラフィーによる精製は、Merck(登録商標)タイプ9385のシリカゲル(230〜400メッシュ)で行った。
A. 1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリウム・BF 塩の合成:
アニリン(メシチルアミン、40mmol、1当量)およびシクロアルキルアミン(40mmol、1当量)をフラスコに入れる。その後、酢酸(10mL、18mmol、4.5当量)をゆっくりと添加する。その後、その混合物を5分間撹拌する。
グリオキサール(4.6mL、40mmol、1当量)、ホルモール(3.0mL、40mmol、1当量)および酢酸(10mL、18mmol、4.5当量)をフラスコに入れ、その混合物を80℃に加熱する。その後、前に調製したアミンの混合物をこの溶液に滴下し、その後、その媒質を割り当てられた時間(2時間から14時間)、80℃で放置する。
反応が終了したら、反応混合物を室温に冷却し、そしてその後、水(20mL)、続いて40mLの酢酸エチル(EtOAc)を添加する。水性相を20mLの酢酸エチル(EtOAc)で3回抽出し、そしてその後、有機相を併せ、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させ、真空下で濃縮する。反応の選択性を判定するために粗製反応生成物の核磁気共鳴(NMR)分析を用いることができる。
その後、その粗製反応生成物を70mLのジクロロメタン(CHCl)に溶解し、そしてその後、5.15gのテトラフルオロホウ酸カリウム(KBF)(40mmol、1当量)を添加する。その後、その混合物を室温で3時間撹拌する。次に、液液抽出、すなわち水/有機溶媒(ここではHO/CHCl)抽出を行う。このために、20mLの水を添加し、相を分離し、水性相を20mLのジクロロメタン(CHCl)で3回洗浄する。その後、有機相を併せ、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させ、真空下で濃縮する。その後、40mLの酢酸エチル(EtOAc)を得られた褐色油に添加し、そしてその後、その混合物を5分間、超音波で処理する。固体が形成し、それをフリットで濾過し、その後、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄して、所望の1‐アリル‐3‐シクロアルキルイミダゾリウムを得る。
所望の1‐アリール‐3‐シクロアルキルイミダゾリウム塩各々をNMR分析に付し、結晶解析によって確認した。2つの所望の1‐アリール‐3‐シクロアルキルイミダゾリウム塩についてのNMR分析からのデータを下に提示する。
A1.テトラフルオロホウ酸5‐シクロペンチル‐2‐メシチル‐イミダゾリウム
Figure 0006391588
3.41g(40mmol)のシクロペンチルアミンおよび5.6mLのメシチルアミン(40mmol)を用い、非対称性イミダゾリウムの一般調製手順を用いて4.80g(14mmol、35%)の非対称性イミダゾリウムを白色固体の形状で得た。
反応の選択性:
Figure 0006391588
H (400MHz, CDCl): 8.82 (t, J = 1.73Hz, 1Him); 7.70 (t, J = 1.7Hz, 1Him); 7.24 (t, J = 1.7 Hz, 1Him); 6.97 (s, 2Har); 5.03 (q, J = 7.5Hz, 1H); 2.42 (m, 2H); 2.32 (s, 3Hmes); 2.00 (s, 6Hmes); 1.92 (m, 4H); 1.77 (m, 2H)
13C (125 MHz, CDCl): 141.31; 136.6; 134.4 (2Cmes); 130.8; 129.9 (2Cmes); 124.3 (Cim); 121.4(Cim); 62.0; 35.6 (2C); 24.0 (2C); 21.2; 17.3 (2Cmes
19F (376 MHz, CDCl): −151.98 / −152.0 (s)
11B (138 MHz, CDCl): −1.033 (s, BF
Tm(融点):96℃
HRMS(高分解能質量分析)[M]:
計算値:255.18612 実測値:255.1861。
A2.テトラフルオロホウ酸5‐シクロドデシル‐2‐メシチル‐イミダゾリウム
Figure 0006391588
7.6mL(40mmol)のシクロドデシルアミンおよび5.6mLのメシチルアミン(40mmol)を用い、非対称性イミダゾリウムの一般調製手順を用いて10.90g(24.8mmol、62%)の非対称性イミダゾリウムを白色固体の形状で得た。
反応の選択性:
Figure 0006391588
H (400MHz, CDCl): 8.86 (t, J = 1.8Hz, 1Him); 7.73 (t, J = 1.8Hz, 1Him); 7.27 (t, J = 1.8 Hz, 1Him); 6.96 (s, 2Har); 4.74 (m, 1H); 2.31 (s, 3Hmes); 2.11 (m, 2H); 2.00 (s, 6Hmes); 1.83 (m, 2H); 1.40 (m, 18H)
13C (125 MHz, CDCl): 141.1; 135.9; 134.4 (2Cmes); 130.9; 129.8 (2Cmes); 124.2 (Cim); 121.9(Cim); 59.4; 30.2 (2C); 23.7; 23.4 (2C); 23.35(2C); 23.3(2C); 21.4(2C); 21.2; 17.2 (2Cmes
19F (376 MHz, CDCl): −151.4 / −151.6 (s)
11B (138 MHz, CDCl): −1.033 (s, BF
Tm: 177℃
HRMS[M]: 計算値:353.29567 実測値:353.2956
B. 1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデン配位子を有するルテニウム錯体の合成
一般に、イミダゾリウム塩(1.2から1.3当量)をグローブボックス内でシュレンクフラスコに計り入れる。その後、トルエン(例えば、約7mL)、続いてカリウムter‐アミラート(1.2から1.3当量;例えば、約0.70mL)を添加する。その後、その混合物を30分間撹拌する。その後、ルテニウム錯体前駆体M1 Umicore(登録商標)(1当量;例えば、約0.923g)を添加する。シュレンクフラスコを密封し、そしてその後、グローブボックスの外部に80℃で置いておく。3時間の反応の後、反応混合物を真空下で濃縮し、そしてその後、シリカゲルカラムで精製して所望のルテニウム錯体を単離する。
B.1. BF の1‐メシチル‐3‐シクロドデシルイミダゾリウム塩からの(配位子を有する)ルテニウム錯体の合成。
不活性雰囲気下、室温(RT)でおよびトルエン(14mL)の存在下でのカリウムter‐アミラート(1.65mL;2.80mmol;1.1当量)による式9SのBF の1‐メシチル‐3‐シクロドデシルイミダゾリウム塩(1.227g;2.79mmol;1.28当量)の脱プロトン化は、遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンの生成を可能にする。
30分(30min)間の反応の後、式2Pのルテニウム錯体前駆体(2.02g;2.17mmol;1当量)M1 Umicore(登録商標)を反応混合物に導入する。その後、その反応混合物を80℃で2時間加熱する。最後に、シリカゲルでの精製が、かくして形成されたルテニウム錯体からの様々な不純物の分離を可能にする。
式1.1のアルキリデンルテニウム錯体を主として得る(1.352g;1.36mmol;62%):
Figure 0006391588
(この式中、PCyはトリシクロヘキシルホスフィンを表し、Mesはメシチル基を表す)。
NMR:
H (400MHz, CDCl): 8.36 (d, J = 7.5Hz), 7.72 (m, 2Har); 7.50 (m, 1Har); 7.40 (m, 2Har); 7.23 (m, 3Har); 7.15 (m, 2Har); 7.06 (m, 1Har); 6.7 (d, J=2Hz, 1H); 6.44 (s, 1H); 6.01 (s, 1H); 5.88 (m; 1HC12); 2.50−1.12 (m, 64H).
31P (162 MHz, CDCl): 29.06.
しかしながら、少量(13%)の式2.1のアルキリデンルテニウム錯体も得る:
Figure 0006391588
(この式中、Mesはメシチル基を表す)。
この反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームII:式1.1のアルキリデンルテニウム錯体(62%)および式2.1のアルキリデンルテニウム錯体(13%)の合成。
この反応スキーム中のPCyは、トリシクロヘキシルホスフィンを表し、Mesは、メシチル基を表す。
このスキームは、62%の収率で得られる主生成物が式1.1のアルキリデンルテニウム錯体であること、および13%の収率で得られる副生成物が式2.1のアルキリデンルテニウム錯体であることを示す。
式1.1のアルキリデンルテニウム錯体を単離し、様々な研究に付した。
例えば、図1は、60℃でトルエン中の式1.1のアルキリデンルテニウム錯体の安定性を示す。
図2は、30℃でジクロロメタン(DCM、CHCl)中の2‐アリル‐2‐(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応(MCR)における1mol%の式1.1の錯体の触媒活性を示す。このMCRの反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームIII:30℃での2‐アリル‐2‐(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのMCR。
図2は、Evonik Degussa GmbH社からRF1 catMETium(登録商標)の名で市販されている触媒の触媒活性も示す。この触媒は、(1,3‐ビス(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾールとも呼ばれる)1,3‐ビス(2,4,6‐メシチル)イミダゾールタイプの対称配位子を有する触媒である。正確に言うと、それは、触媒1,3‐ビス(2,4,6‐トリメチルフェニル)イミダゾール‐2‐イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)(3‐フェニルインデン‐1‐イリデン)ルテニウム(II)クロリドである。
本発明の錯体の触媒活性は、市販されている触媒のものより高い。
図3は、60℃でトルエン(TOL)中の2‐アリル‐2‐(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応(MCR)における1mol%の式1.1の錯体の触媒活性を示す。このMCRの反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームIV:60℃での2‐アリル‐2‐(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのMCR。
図4は、80℃での、200Wでのマイクロ波処理での、トルエン(TOL)中およびヘキサフルオロベンゼン(C)中での2,2−ビス(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における、2mol%の式1.1の錯体の触媒活性を示す。このMCRの反応スキームを下に示す。
Figure 0006391588
反応スキームV:80℃での2,2‐ビス(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのMCR。
B.2. BF の1‐メシチル‐3‐シクロペンチルイミダゾリウム塩からの(配位子を有する)ルテニウム錯体の合成。
不活性雰囲気下、室温(RT)でおよびトルエンの存在下でのカリウムter‐アミラート(0.82mL;1.39mmol;1.25当量)による式7SのBF の1‐メシチル‐3‐シクロペンチルイミダゾリウム塩(0.487g;1.42mmol;1.3当量)の脱プロトン化は、遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンの生成を可能にする。
30分間の反応の後、式2Pのルテニウム錯体前駆体(1.03g;1.11mmol;1当量)M1 Umicore(登録商標)を反応混合物に導入する。その後、その反応混合物を80℃で2時間加熱する。最後に、シリカゲルでの精製が、かくして形成されたルテニウム錯体からの様々な不純物の分離を可能にする。
式1.2のアルキリデンルテニウム錯体を主として得る(0.435g;0.48mmol;43%):
Figure 0006391588
(この式中、PCyはトリシクロヘキシルホスフィンを表し、Mesはメシチル基を表す)。
NMR:
H (400MHz, CDCl): 8.35 (d, J= 7Hz, 1H); 7.73 (m, 2H); 7.50 (m, 1H); 7.40 (m, 2H); 7.22 (m, 2H); 7.15 (m, 2H); 7.07 (m, 1H); 6.76 (d, J = 2Hz, 1H); 6.44 (s, 1H); 6.03 (m, 2H); 2.27 (m, 2H); 2.35 (m, 3H); 2.03 (m, 4H); 1.89 (m, 9H); 1.77−1.11 (m, 33H).
13C (100 MHz, CDCl): 290.8; 186.2; 143.5; 140.2; 137.5; 137.4; 136.4; 136.3; 136.25; 136.0; 134.7; 128.9; 128.3; 128.0; 127.5; 127.2; 127.0; 126.5; 126.0; 125.95; 124.2; 119.9; 115.1; 59.0; 30.1; 26.7; 26.4; 22.8; 22.4; 21.0; 20.6; 20.5; 18.5; 18.4.
31P (162 MHz, CDCl): 29.69
しかしながら、少量(12%)の式2.2のアルキリデンルテニウム錯体も得る:
Figure 0006391588
(この式中、Mesはメシチル基を表す)。
この反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームVI:式1.2のアルキリデンルテニウム錯体(43%)および式2.2のアルキリデンルテニウム錯体(12%)の合成。
この反応スキーム中のPCyは、トリシクロヘキシルホスフィンを表し、Mesは、メシチル基を表す。
このスキームは、43%の収率で主として得られる生成物が式1.2のアルキリデンルテニウム錯体であること、および12%の収率で得られる副生成物が式2.2のアルキリデンルテニウム錯体であることを示す。
式1.2のアルキリデンルテニウム錯体を単離し、様々な研究に付した。
例えば、図5は、反応スキームVによる、80℃での、200Wでのマイクロ波処理での、トルエン(TOL)中およびヘキサフルオロベンゼン(C)中での2,2‐ビス(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における、0.2Mの式1.2の錯体の触媒活性を示す。
C. 2つの配位子を有する1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデンルテニウム錯体の合成
一般に、イミダゾリウム塩(約3mmol;約3当量)をグローブボックス内でシュレンクフラスコに計り入れる。その後、トルエン(例えば、約0.6mL)、続いてカリウムヘキサメチルジシラザン(0.5M;3mmol、3当量;例えば、約6mL)を添加する。その後、その混合物を30分間撹拌する。その後、ルテニウム錯体前駆体M1 Umicore(登録商標)(1当量;1mmol;例えば、約0.92g)を添加する。シュレンクフラスコを密封し、そしてその後、グローブボックスの外部に40℃で置いておく。2時間の反応の後、反応混合物を真空下で濃縮し、そしてその後、シリカゲルカラムで精製して所望のルテニウム錯体を単離する。
C.1. BF の1‐メシチル‐3‐シクロドデシルイミダゾリウム塩からの(2つの配位子を有する)ルテニウム錯体の合成。
不活性雰囲気下、室温(RT)でおよびトルエンの存在下でのカリウムヘキサメチルジシラザン(KHMDS、1.1当量)による式9SのBF の1‐メシチル‐3‐シクロドデシルイミダゾリウム塩(2.2当量)の脱プロトン化は、遊離N−ヘテロ環状ジアミノカルベンの生成を可能にする。
30分間の反応の後、式2Pのルテニウム錯体前駆体(1当量)M1 Umicore(登録商標)を反応混合物に導入する。その後、その反応混合物を80℃で2時間加熱する。最後に、シリカゲルでの精製が、かくして形成されたルテニウム錯体からの様々な不純物の分離を可能にする。
式2.1のアルキリデンルテニウム錯体を(65%の収率で)得る:
Figure 0006391588
(この式中、Mesはメシチル基を表す)。
この反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームVII:式2.1のアルキリデンルテニウム錯体の合成(65%)。
この反応スキーム中のMesは、メシチル基を表す。
このスキームは、65%の収率で得られる生成物が式2.1のアルキリデンルテニウム錯体であることを示す。
式2.1のアルキリデンルテニウム錯体を単離し、様々な研究に付した。
例えば、図6は、60℃でトルエン中の式2.1のアルキリデンルテニウム錯体の安定性を示す。
図7は、反応スキームIVによる、60℃での、200Wでのマイクロ波処理での、トルエン中での2‐アリル‐2‐(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における、1mol%の式2.1の錯体の触媒活性を示す。
この同じMCRについてだが、100℃の温度で異なる溶媒を用いるMCRについても、活性を測定した。図8は、100℃でトルエン(TOL)中およびヘプタン(HEP)中でのこの反応を示す。これらの条件での触媒活性は、溶媒がヘプタンであるときのほうが高い。
さらに、この同じMCRについてだが、120℃の温度で異なる溶媒を用いるMCRについて、活性を測定した。図9は、120℃でオクタン(OCT)中および炭酸ジエチル(DEC)中でのこの反応を示す。
反応スキームVに示した2,2‐ビス(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応についてだが、130℃の温度を用い、かつ2mol%の最終量を得るように0.5mol%の触媒(この式2.1の錯体)を連続的に添加するメタセシス環化反応についても、式2.1のルテニウム錯体の活性を分析した。結果を図10に示す。これらの条件で約70%の転化率を達成する。
さらに、他の実験条件下で収率を増加させることができた。不活性雰囲気下、室温(RT)でおよび無水トルエン(3.5mL)の存在下でカリウムヘキサメチルジシラザン(KHMDS)(8mL;0.5M;4.0mmol;2.76当量)での式9SのBF の1‐メシチル‐3‐シクロドデシルイミダゾリウム塩(1.76g;4.0mmol;2.76当量)の脱プロトン化は、遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンの生成を可能にする。
30分間の反応の後、式2Pの前駆体ルテニウム錯体(1.34g;1.45mmol;1当量)M1 Umicore(登録商標)を反応混合物に導入する。その後、その反応混合物を40℃で3時間加熱する。最後に、シリカゲルでの精製が、かくして形成されたルテニウム錯体からの様々な不純物の分離を可能にする。かくして、1.315g(1.23mmol;85%)の式2.1の錯体を単離することができた。
NMR:
H (400MHz, CDCl): 8.11 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 7.71 (m, 2H); 7.52 (m, 1H); 7.40 (m, 2H); 7.19 (d, J = 1.7Hz, 2H); 7.12 (m; 1H); 7.01 (m, 1H); 6.90 (m, 2H); 6.60 (d, J = 1.7 Hz, 2H); 6.22 (m, 4H); 5.83 (bs, 2H); 2.43 (m, 4H); 2.20 (m, 4H); 1.91 (m, 4H); 1.76 (m, 10H); 1.61−1.43 (m, 40H).
13C (100 MHz, CDCl): 140.2; 137.4; 136.4; 136.3; 136.0; 128.9; 128.3; 128.0; 127.6; 127.3; 127.0; 126.5; 126.0; 124.2; 119.8; 115.1; 59.0; 30.1; 26.7; 26.4; 22.8; 22.4; 21.0; 20.6; 18.5; 18.4.
C.2. BF の1−メシチル‐3‐シクロペンチルイミダゾリウム塩からの(2つの配位子を有する)ルテニウム錯体の合成。
不活性雰囲気下、室温でおよび無水トルエン(3.5mL)の存在下でのカリウムヘキサメチルジシラザン(8.2mL;0.5M;4.1mmol;2.95当量)による式7SのBF の1‐メシチル‐3‐シクロペンチルイミダゾリウム塩(1.423g;4.16mmol;2.95当量)の脱プロトン化は、遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンの生成を可能にする。
30分間の反応の後、式2Pのルテニウム錯体前駆体(1当量)M1 Umicore(登録商標)を反応混合物に導入する。その後、その反応混合物を80℃で2時間(または40℃で3時間)加熱する。最後に、シリカゲルでの精製が、かくして形成されたルテニウム錯体からの様々な不純物の分離を可能にする。
式2.2のアルキリデンルテニウム錯体を得る(658mg;0.75mmol;53%):
Figure 0006391588
(この式中、Mesはメシチル基を表し、およびIndは3−フェニル−インデニリデン基を表す)。
この反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームVIII:式2.1のアルキリデンルテニウム錯体の合成(65%)。
この反応スキーム中のMesは、メシチル基を表す。
この反応スキームは、53%の収率で得られる生成物が式2.2のアルキリデンルテニウム錯体であることを示す。
NMR:
H (400MHz, CDCl): 8.11 (m, 1H); 7.85 (m, 1H); 7.72 (d, J = 7.5Hz, 2H); 7.45 (m, 3H); 7.20 (m, 4H); 7.06 (m, 2H); 6.88 (m, 2H); 6.66 (m, 2H); 6.51 (m, 2H); 6.26 (bs, 2H): 5.85 (bs, 1H); 2.69 (bs, 4H); 2.58 (bs, 2H); 2.42 (s, 3H); 2.05 (m, 8H); 1.77 (s, 9H); 1.56 (s, 6H); 1.51 (m, 2H).
式2.2のアルキリデンルテニウム錯体を単離し、その活性について調査した。例えば、図11は、反応スキームVによる、80℃での、200Wでのマイクロ波処理での、トルエン(TOL)中およびヘキサフルオロベンゼン(C)中での2,2‐ビス(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応における、2mol%の式2.2の錯体の触媒活性を示す。
D. 配位子を有するキレートタイプの1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデンルテニウム錯体の合成
D.1. 式1.1のルテニウム錯体および式2Hのスチレニルエーテルからのキレートタイプのアルキリデンルテニウム錯体の合成。
式1.1のルテニウム錯体(0.297g;0.300mmol;1当量)([(5−シクロドデシル‐2‐メシチル)‐イミダゾ‐1‐リデン]ジクロロ(3‐フェニル‐1H‐インデン‐1‐イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムとも呼ばれる)を式2Hのスチレニルエーテル、すなわちイソプロポキシフェニル‐2‐プロペニル、と反応させた。この反応をジクロロメタン(DCM;3mL)および塩化銅(I)(CuCl;35.2mg;0.35mmol;1.2当量)の存在下、35℃で5から6時間行う。シリカゲルカラムでの精製後、式1.3の所望の錯体を60%の収率(120mg;0.178mmol)で単離した。
このようにして、式1.3のアルキリデンルテニウム錯体を得る:
Figure 0006391588
(この式中、Mesはメシチル基を表す)。
式1.3中の数字12は、各シクロアルキル基がシクロドデシル基であることを示す。
この反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームIX:式1.3のアルキリデンルテニウム錯体の合成(60%)。
この反応スキーム中のPCyは、トリシクロヘキシルホスフィンを表し、Mesは、メシチル基を表す。
このスキームは、60%の収率で得られる生成物が式1.3のアルキリデンルテニウム錯体であることを示す。
式1.3のアルキリデンルテニウム錯体を単離した。
NMR:
H (400MHz, CDCl): 16.47 (s, 1H); 7.51 (m, 1H); 7.28 (d, J = 2Hz); 7.10 (s, 2H); 7.00 (m, 1H); 6.93 (m, 2H); 6.85 (d, J = 2Hz); 5.67 (sept., J = 5.8 HZ, 1H); 5.17 (sept., J = 7Hz, 1H); 2.50 (s, 3H); 2.23 (m, 4H); 2.02 (s, 6H); 1.80 (d, J = 5.8Hz, 6H); 1.75−1.45 (m, 14H)
13C (100 MHz, CDCl): 171.3; 152.3; 144.8; 139.6; 137.7; 137.6; 129.3; 129.0; 124.4; 122.7; 122.4; 120.1; 113.1; 61.1; 30.6; 25.7; 23.2; 23.1; 22.2; 21.6; 18.2
D.2. 式1.1のルテニウム錯体および式3Hのスチレニルエーテルからのキレートタイプのアルキリデンルテニウム錯体の合成。
式1.1のルテニウム錯体(243mg;0.24mmol;1当量)を式3Hのスチレニルエーテル(すなわちイソプロポキシフェニル‐2‐プロペニル‐4,4,4‐トリフルオロアセトアミド、したがって、ヘテロアルキル官能基、すなわちトリフルオロアセトアミド官能基を有する)(122mg;0.42mmol;1.75当量)と反応させた。この反応をジクロロメタン(DCM;3mL)および塩化銅(I)(CuCl;38mg、0.38mmol;1.6当量)の存在下、35℃の温度で5〜6時間行う。
式1.4のアルキリデンルテニウム錯体を得る:
Figure 0006391588
(この式中、Mesはメシチル基を表す)。
式1.4中の数字12は、各シクロアルキル基がシクロドデシル基であることを示す。
この反応スキームは、反応スキームXに類似しているが、式3Hのスチレニルエーテルを使用する(2Hのスチレニルエーテルを使用しない)。
式1.4の錯体を76%の収率(146mg;0.186mmol)で得た。
NMR:
H (400MHz, CDCl): 16.34 (s, 1H); 7.89 (s, 1H); 7.54 (dd, J = 2.5 Hz, J = 8.8 Hz, 1H); 7.43 (d, J = 2.5Hz, 1H); 7.28 (d, J = 2.2 Hz); 7.13 (s, 2H); 6.88 (m, 2H); 5.61 (sept., J = 3.3 Hz, 1H); 5.12 (sept., J = 6.2 Hz, 1H); 2.55 (s, 3H); 2.23 (m, 4H); 2.01 (s, 6H); 1.78 (d, J = 6.2 Hz, 6H); 1.69 (m, 4H); 1.46 (m, 14H).
13C (100 MHz, CDCl): 286.5; 169.4; 154.8; 154.4; 150.1; 144.5; 140.0; 137.4; 137.2; 130.3; 129.2; 124.3; 120.0 (2C); 114.2; 113.1; 75.6; 60.9; 30.5; 25.4; 24.9; 23.0; 22.9; 22.0; 21.5; 21.2; 18.0
19F (376 MHz, CDCl): −75.5
式1.4の錯体を様々な研究に付した。
例えば、図12は、60℃でトルエン中の式1.4のアルキリデンルテニウム錯体の安定性を示す。
図13は、35℃でジクロロメタン(DCM)中の2‐アリル‐2‐(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応(MCR)における1mol%の式1.4の錯体の触媒活性を示す。このMCRの反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームX:35℃での2‐アリル‐2‐(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのMCR。
D.3. 式1.2のルテニウム錯体および式2Hのスチレニルエーテルからのキレートタイプのアルキリデンルテニウム錯体の合成。
式1.2のルテニウム錯体(0.309g;0.344mmol;1当量)([(5−シクロペンチル‐2‐メシチル)‐イミダゾ‐1‐リデン]ジクロロ(3‐フェニル‐1H‐インデン‐1‐イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムとも呼ばれる)を式2Hのスチレニルエーテル(65mg;0.37mmol;1.1当量)と反応させた。この反応をジクロロメタン(DCM;3.5mL)および塩化銅(I)(CuCl;36.8mg;0.37mmol;1.1当量)の存在下、35℃で5時間行う。
シリカゲルカラムでの精製後、式1.5のアルキリデンルテニウム錯体を得る(89mg;0.158mmol;45%):
Figure 0006391588
(この式中、Mesはメシチル基を表す)。
この反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームXI:式1.5のアルキリデンルテニウム錯体の合成(45%)。
この反応スキーム中のCyPは、トリシクロヘキシルホスフィンを表し、Mesは、メシチル基を表し、およびPhは、フェニル基を表す。
このスキームは、45%の収率で得られる生成物が式1.5のアルキリデンルテニウム錯体であることを示す。
NMR:
H (400MHz, CDCl): 16.42 (s, 1H); 7.50 (m, 1H); 7.27 (m, 1H); 7.10 (s, 2H); 7.01 (m, 1H); 6.95 (m, 2H); 6.88 (d, J = 2Hz, 1H); 5.96, (q, J = 7.5Hz, 1H); 5.18 (sept., J = 6.21 Hz, 1H);
13C (100 MHz, CDCl): 172.2; 152.7; 144.5; 139.6; 137.6; 137.4; 129.3; 129.0; 125.0; 122.7; 122.4; 118.5; 113.0; 75.1; 64.2; 34.4; 24.7; 22.0; 21.4; 18.2.
式1.5のアルキリデンルテニウム錯体を単離し、様々な研究に付した。
例えば、図14は、スキームIIIによる、30℃でジクロロメタン(DCM)中での2‐アリル‐2‐(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応(MCR)における、1mol%の式1.5の錯体の触媒活性を示す。
図15は、60℃でトルエン(TOL)中の2‐アリル‐2‐(2‐メチルアリル)マロン酸ジエチルのメタセシス環化反応(MCR)における1mol%の式1.5の錯体の触媒活性を示す。
D.4. 式1.2のルテニウム錯体および式3Hのスチレニルエーテルからのキレートタイプのアルキリデンルテニウム錯体の合成。
式1.2のルテニウム錯体(0.309g;0.344mmol;1当量)を式3Hのスチレニルエーテル(127mg;0.44mmol;1.3当量)と反応させた。この反応をジクロロメタン(DCM;3.5mL)および塩化銅(I)(CuCl;36.8mg;0.37mmol;1.1当量)の存在下、35℃で6時間行う。
シリカゲルカラムでの精製後、式1.6のアルキリデンルテニウム錯体を得る(99mg;0.144mmol;42%):
Figure 0006391588
NMR:
H (400MHz, CDCl): 16.30 (s, H); 7.81 (s, 1H); 7.58 (dd, J = 2.2Hz, I = 9.5 Hz, 1H); 7.40 (d, J = 2.2Hz); 7.27 (m, 1H); 6.94 (m, 2H); 5.90 (quin., J = 8.0Hz, 1H); 5.15 (sept., J = 6.2 Hz, 1H); 2.69 (m, 2H); 2.55 (s, 3H); 1.95 (m, 12H); 1.78 (d, J = 6.2 Hz).
E. 2つの配位子を有するカチオン性キレートタイプの1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデンルテニウム錯体の合成
本出願人らは、BF の1‐メシチル‐3‐シクロアルキルイミダゾリウム塩の脱プロトン化から出発してカチオン性ルテニウムキレート錯体を合成した。
このために、シュレンクフラスコ中でイミダゾリウム塩(約3当量)を無水トルエン(例えば、2mL)に溶解する。その後、カリウムヘキサメチルジシラザン(約3当量)を反応混合物に添加する。その混合物を30分間、室温で撹拌し、その後、第一世代ホベイダ‐グラブスタイプのルテニウム錯体前駆体(約1当量)を添加する。その混合物を約40℃で2から3時間放置し、そしてその後、シリカゲルカラムで(ペンタン、次いでCHCl、次いでアセトンにより)精製して、所望の錯体を含有する溶液を得る。この溶液を蒸発させ、そしてその後、酢酸エチルに溶解する。得られた固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄して、所望のカチオン性キレート錯体を得る。
E.1. BF の1‐メシチル‐3‐シクロドデシルイミダゾリウム塩から出発する第一のカチオン性ルテニウムキレート錯体の合成。
本出願人らは、遊離N‐ヘテロ環状ジアミノカルベンの生成を可能にする、不活性雰囲気下、室温(30℃)でおよびトルエンの存在下でのカリウムヘキサメチルジシラザン(KHMDS、2.93当量)による式9SのBF の1‐メシチル‐3‐シクロドデシルイミダゾリウム塩(2.95mmol;2.93当量)の脱プロトン化から出発して、カチオン性ルテニウムキレート錯体を合成した。
30分間の反応の後、Sigma‐Aldrich Co社から市販されている「ホベイダ−グラブス触媒第一世代」またはジクロロ(o‐イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)と呼ばれるSigma‐Aldrich(登録商標)からのルテニウム錯体前駆体(604mg;1mmol;1当量)を添加する。得られた混合物を約40℃(または80℃)の温度で約2〜3時間放置して反応させる。
式4.1のアルキリデンルテニウム錯体を得る(564mg;0.52mmol;52%):
Figure 0006391588
(この式中、Mesはメシチル基を表す)。
錯体4.1の合成のための反応スキームを下に示す:
Figure 0006391588
反応スキームXII:式4.1のアルキリデンルテニウム錯体の合成(52%)。
この反応スキーム中のMesは、メシチル基を表す。
このスキームは、得られる生成物が52%の収率での式4.1のアルキリデンルテニウム錯体であることを示す。
NMR:
H (400MHz, Acetone D): 17.12 (s, 1H); 7.83 (d, J = 1.8 Hz, 2H); 7.52 (m, 1H); 7.12 (m, 3H); 6.89 (m, 3H); 6.17 (dd, J = 1.5 Hz, J = 7.4 Hz, 1H); 5.99 (s, 2H); 5.62 (m, 2H); 5.16 (sept., 6.2 Hz, 1H); 2.70 (m, 3H); 2.65 (m, 4H): 2.20 (s, 6H); 2.10 (m, 4H); 1.92 (s, 6H): 1.80−1.40 (m, 39H).
13C (100MHz, Acetone D): 287.1; 183.4; 158.6; 139.8; 139.6; 136.8; 136.5; 135.2; 131.5; 130.0; 129.6; 126.1; 123.6; 122.8; 122.3; 112.3; 76.9; 61.4; 27.3; 27.1; 27.0; 23.2; 23.1; 23.0; 22.9; 22.5; 22.2; 21.0; 20.5; 18.3; 16.9.
19F (376 MHz, CDCl): −151.98 / −152.0 (s).
付属書類1は、結晶学ソフトウェアCrysAlisPro CCD、Oxford Diffraction Ltd.、バージョン1.171.35.11の使用による、式4.1のカチオン性ルテニウムキレート錯体についての結晶学的結果を示す。
式4.1のアルキリデンルテニウム錯体を単離し、様々な研究に付した。
例えば、図16は、60℃でトルエン(TOL)中のおよび80℃でジクロロエタン(DCE)中の式4.1のルテニウム錯体の熱安定性を示す。
図17は、次の反応スキームに従う、120℃でキシレン(XYL)中および炭酸ジエチル(DEC)中の2,2‐ジアリルマロン酸ジエチルのメタセシス環化反応(MCR)における、1mol%の式4.1の錯体の触媒活性を示す:
Figure 0006391588
反応スキームXIII:120℃での2,2−ジアリルマロン酸ジエチルのMCR。
特に、本出願人らは、式4.1の錯体の良好な触媒活性を観察する。
E.2. BF の1‐メシチル‐3‐シクロオクチルイミダゾリウム塩から出発するカチオン性ルテニウムキレート錯体の合成。
式16Sの塩(すなわちテトラフルオロホウ酸5‐シクロオクチル‐2‐メシチル)‐イミダゾリウム)(289mg;0.75mmol;2.77当量)および第一世代ホベイダ‐グラブスタイプのルテニウム錯体前駆体(163.1mg;0.27mmol;1当量)を使用して上記セクションE.1.からの実験条件を繰り返した。式4.2の錯体を得る(85.6mg;0.09mmol;33%):
Figure 0006391588
NMR:
H (400MHz, CDCl): 17.06 (s, 1H); 7.44 (m, 1H); 7.35 (d, J = 1.8Hz, 2H); 7.08 (d, J = 8.4Hz, 1H); 6.85 (s, 2H); 6.67 (d, J = 1.8Hz, 2H); 6.60 (t, J = 7.3Hz, 1H); 5.94 (s, 2H); 5.85 (dd, J = 1.5Hz, 7.7Hz, 1H); 5.46 (m, 2H); 5.13 (sept., J = 6.0Hz, 1H); 2.44 (m, 8H); 2.19 (s, 6H); 2.12 (m, 2H); 1.91 (s, 6H); 1.76 (m, 18H); 1.32 (d, J= 6.0 Hz); 1.05 (s, 6H).
E.3. BF の1‐メシチル‐3‐シクロヘプチルイミダゾリウム塩から出発するカチオン性ルテニウムキレート錯体の合成。
式17Sの塩(すなわちテトラフルオロホウ酸5‐シクロヘプチル‐2‐メシチル)‐イミダゾリウム)(221mg;0.60mmol;3.0当量)および第一世代ホベイダ‐グラブスタイプのルテニウム錯体前駆体(120.0mg;0.2mmol;1当量)を使用して上記セクションE.1.での実験条件を繰り返した。式4.3の錯体を得る(75.3mg;0.09mmol;40%):
Figure 0006391588
NMR:
H (400MHz, CDCl): 17.06 (s, 1H); 7.43 (m, 1H); 7.36 (d, J = 1.8 HZ, 2H); 7.05 (d, J = 8.4Hz, 1H); 6.86 (s, 2H); 6.68 (d, J= 1.8Hz, 2H); 6.60 (t, J= 7.3Hz, 1H); 5.93 (s, 2H); 5.83 (dd, J = 1.5Hz, J = 7.7Hz, 1H); 5.53 (q, J = 7.0Hz, 2H); 5.11 (sept., J = 6.2Hz, 1H); 2.61 (m, 4H); 2.30 (m, 2H); 2.20 (s, 6H); 2.09 (m, 4H); 1.90 (s, 6H); 1.84 (m, 12H); 1.34 (d, J = 6.2Hz, 6H); 1.06 (s, 6H).
E.4. BF の1‐メシチル‐3‐シクロヘキシルイミダゾリウム塩から出発するカチオン性ルテニウムキレート錯体の合成。
式8Sの塩(すなわちテトラフルオロホウ酸5‐シクロヘキシル‐2‐メシチル)‐イミダゾリウム)(215.5mg;0.606mmol;3.0当量)および第一世代ホベイダ‐グラブスタイプのルテニウム錯体前駆体(122.2mg;0.203mmol;1当量)を使用して上記セクションE.1.での実験条件を繰り返した。式4.4の錯体を得る(55.8mg;0.06mmol;30%):
Figure 0006391588
NMR:
H (400MHz, CDCl): 17.16 (s, 1H); 7.41 (m, 1H); 7.37 (d, J = 1.8Hz, 2H); 7.00 (d, J = 8.4Hz, 1H); 6.87 (s, 2H); 6.65 (d, J = 1.8Hz, 2H); 6.56 (t, J = 7.7Hz, 1H); 5.95 (s, 2H); 5.77 (dd, J = 1.5Hz, J = 7.7 Hz, 1H); 5.18 (m, 2H); 5.06 (sept., J = 6.2Hz, 1H); 2.55 (m, 4H); 2.20 (s, 6H); 2.04 (m, 6H); 1.90 (s, 6H); 1.74 (m, 4H); 1.64 (m, 4H); 1.48 (m, 2H) 1.33 (d, J = 6.2Hz, 6H); 1.02 (s, 6H).
E.5. BF の1‐メシチル‐3‐シクロドデシルイミダゾリウム塩から出発する第二のカチオン性ルテニウムキレート錯体の合成。
式9Sのイミダゾリウム塩(361.8mg;0.82mmol;3.5当量)およびルテニウム錯体前駆体、すなわち、ジクロロ(4‐イソ‐プロポキシ‐N,N‐ジメチル‐3‐メチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(147.1mg;0.23mmol;1当量)を使用して上記セクションE.1.での実験条件を繰り返した。式4.5の錯体を得る(79.7mg;0.07mmol;35%):
Figure 0006391588
NMR:
H (400MHz, CDCl): 17.01 (s, 1H); 7.26 (s, 2H); 6.87 (s, 2H); 6.82 (s, 2H); 6.62 (d, J = 1.4Hz, 2H); 6.01 (s, 2H); 5.50 (m, 2H); 5.28 (s, 1H); 5.29 (s, 2H); 4.97 (sept., J = 6.2 Hz, 1H); 2.90 (s, 6H); 2.40 (m, 4H); 2.16 (s, 6H); 2.11 (m, 3H); 1.88 (s, 6H); 1.71 (m, 5H); 1.46 (m, 32H); 1.23 (d, J = 6.2Hz); 1.04 (s, 6H).
本出願人らは、上記の非対称基R1およびR2を有する非対称イミダゾリウム塩を合成し、それらをルテニウム錯体前駆体と化合させて、非常に反応性、選択的かつ安定性である金属錯体を得た。配位子イミダゾリン‐2‐イリデンカルベンは安定しているので、これにより、NHCs in Synthesis,S.P.Nolan,Ed.,2006,Wiley‐VCHに記載されているようなカルベン種のそれ自体との二量体化の寄生反応が避けられる。したがって、目標有機金属錯体の合成について良好な収率が観察される。
したがって、本発明は、1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデンタイプのジアミノカルベン塩からの新規金属錯体についての未発表の合成経路を提案する。
さらに、本実施例が本発明の錯体の安定性および反応性を実証する。
付録書類1: 結晶学ソフトウェアCrysAlisPro CCD、Oxford Diffraction Ltd.、バージョン1.171.35.11の使用による、式4.1のカチオン性ルテニウムキレート錯体についての結晶学的結果
識別コード mr129
実験式 C63 H96 B Cl3 F4 N4 O2 Ru
式量 1235.67
温度 140(2)K
波長 0.71069A
結晶系、空間群 三斜晶系、P−1
単位格子寸法 a=10.6391(4)A α=80.702(3)度
b=10.8550(5)A β=89.011(3)度
c=28.5762(8)A γ=85.609(4)度
体積 3247.2(2)A
Z、算出密度 2、 1.264Mg/m
吸収係数 0.420mm−1
F(000) 1308
結晶の大きさ 0.275×0.183×0.088mm
データ収集のθ範囲 2.57〜27.00度
制限指数 −13<=h<=13、−13<=k<=12、−32<=l<=36
収集した反射/独立の反射 24382/13597[R(int)=0.0637]
θ=27.00に対する完全性 95.9%
吸収補正 なし
緻密化方法 Fについての完全行列最小二乗
データ/拘束条件/パラメータ 13597/2/673
についての適合度 0.824
最終R指数[l>2σ(l)] R1=0.0938、wR2=0.2391
R指数(全データ) R1=0.2591、wR2=0.2888
最大差のピークとホール 1.165および−1.064e.A−3
mr129についての原子座標(×10)および等価等方性変位パラメータ(A×10
U(eq)は、直交するUijテンソルのトレースの三分の一と定義される。


x y z U(eq)

C(61) 4732(18) 3218(17) 8943(7) 235(9)
Cl(2) 4331(7) 2693(7) 9504(2) 310(4)
Cl(3) 5684(6) 4269(6) 8782(3) 308(4)
C(71) 6024(16) 5850(17) 5495(7) 207(7)
C(72) 6890(20) 6770(20) 5651(10) 306(13)
0(71) 7823(17) 7650(18) 5498(6) 283(7)
C(73) 8540(20) 8430(20) 5699(9) 256(10)
C(74) 9570(16) 9564(17) 5632(7) 207(7)
B(1) 7151(15) 6433(15) 7058(6) 101(4)
F(1) 6340(6) 5757(7) 6905(2) 143(3)
F(2) 7308(6) 6329(6) 7511(2) 120(2)
F(3) 6936(12) 7680(8) 6842(3) 209(5)
F(4) 8302(7) 6125(10) 6827(2) 194(4)
Ru(l) 1414(1) 290(1) 7994(1) 86(1)
Cl(1) 2888(3) 1592(3) 8214(1) 109(1)
N(l) 3505(13) -2023(10) 8181(3) 123(5)
N(2) 3766(10) -906(9) 7510(3) 88(3)
N(3) 79(8) 2803(9) 7532(2) 80(3)
N(4.) -791(11) 2333(12) 8199(3) 113(5)
0(1) -22(5) -1000(6) 7856(2) 88(2)
C(l) 973(10) -366(10) 8589(3) 124(5)
C(2) 73(11) -1288(10) 8676(3) 116(5)
C(3) -311(13) -1836(12) 9125(3) 165(7)
C(4) -1207(14) -2736(13) 9173(4) 182(8)
C(5) -1710(12) -3081(11) 8767(4) 136(5)
C(6) -1362(9) -2516(9) 8311(3) 96(4)
C(7) -446(9) -1613(9) 8277(3) 98(4)
C(8) -459(10) -1316(12) 7396(2) 95(4)
C(9) -910(20) -258(18) 7142(6) 316(17)
C(10) 415(18) -1800(30) 7156(6) 360(20)
C(ll) 3567(14) 97(14) 7099(4) 126(5)
C(12) 4280(20) 1172(16) 7096(5) 168(7)
C(13) 5560(13) 870(11) 7116(4) 104(4)
C(14) 6168(18) 2150(11) 6975(5) 166(7)
C(15) 6214(14) 2688(12) 6492(6) 145(6)
C(16) 6850(12) 1836(15) 6185(5) 144(5)
C(17) 6384(17) 2190(20) 5638(8) 235(12)
C(18) 5260(30) 1586(19) 5551(5) 254(14)
C(19) 4968(19) 336(19) 5661(5) 175(7)
C(20) 3784(15) -162(19) 5747(4) 163(6)
C(21) 3142(16) 170(20) 6196(6) 240(11)
C(22) 3670(13) -477(14) 6630(4) 162(7)
C(23) 3009(9) -1039(10) 7895(4) 81(3)
C(24) 4735(13) -1815(11) 7555(4) 109(5)
C(25) 4596(15) -2555(15) 7980(7) 155(8)
C(26) 3066(11) -2597(11) 8646(4) 139(6)
C(27) 2304(11) -3588(12) 8682(4) 147(6)
C(28) 1945(14) -4160(13) 9127(5) 185(8)
C(29) 2313(17) -3736(17) 9526(5) 241(12)
C(30) 3110(15) -2779(16) 9493(4) 229(11)
C(31) 3521(14) -2192(14) 9041(4) 186(8)
C(32) 1960(11) -4131(11) 8238(5) 154(6)
C(33) 1820(18) -4320(20) 10019(5) 324(17)
C(34) 4371(12) -1138(13) 9007(4) 193(8)
C(35) 891(9) 2819(10) 7105(3) 83(3)
C(36) 1961(10) 3598(14) 7097(3) 110(4)
C(37) 1648(9) 4896(11) 7111(4) 93(3)
C(38) 2870(9) 5634(11) 6953(4) 110(4)
C(39) 3161(10) 5797(12) 6450(4) 122(5)
C(40) 2192(13) 6541(13) 6125(5) 158(6)
C(41) 2217(14) 6254(18) 5602(5) 173(7)
C(42) 1756(15) 5010(16) 5550(4) 142(5)
C(43) 475(11) 4846(15) 5658(3) 119(5)
C(44) 53(14) 3507(12) 5763(3) 125(5)
C(45) 622(14) 2753(12) 6198(4) 146(5)
C(46) 58(11) 3120(11) 6648(3) 113(4)
C(47) 116(9) 1899(9) 7906(3) 71(3)
C(48) -1333(13) 3480(15) 8003(5) 121(6)
C(49) -795(10) 3749(12) 7586(3) 88(4)
C(50) -1184(11) 1680(12) 8656(3) 130(5)
C(51) -2218(11) 967(12) 8669(3) 136(6)
C(52) -2630(13) 404(14) 9114(4) 174(8)
C(53) -2018(15) 492(16) 9531(3) 203(9)
C(54) -960(15) 1227(16) 9497(4) 237(11)
C(55) -552(13) 1836(14) 9066(3) 176(8)
C(56) -2931(10) 867(11) 8224(3) 113(4)
C(57) -2438(18) -251(18) 9999(4) 283(14)
C(58) 508(13) 2690(14) 9037(3) 211(9)

Claims (9)

  1. 1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデン配位子を含むアルキリデンルテニウム錯体であって、前記1‐アリール‐3‐シクロアルキル‐イミダゾリン‐2‐イリデン配位子のシクロアルキル基が環状第二級脂肪族アルキルであり、 かつ、前記アルキリデンルテニウム錯体が、下記式(1)、(2)、(4)、(1.1)、(2.1)、(1.2)および(2.2)から成る群より選択される一般式で表される、アルキリデンルテニウム錯体;
    Figure 0006391588
    (この式中、
    R1は、芳香族基であり、
    R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
    R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
    およびXは、アニオン性配位子であり、
    Lは、非荷電配位子であり、
    a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される)、
    Figure 0006391588
    (この式中、
    R1は、芳香族基であり、
    R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
    R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
    およびXは、アニオン性配位子であり、
    a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される)、
    Figure 0006391588
    (この式中、
    R1は、芳香族基であり、
    R2は、環状第二級脂肪族アルキル基であり、
    R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
    a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択され、
    は、アニオン性配位子であり、
    は、アニオンである)、
    Figure 0006391588
    (この式中、PCyはトリシクロヘキシルホスフィンを表し、Mesはメシチル基を表す)、
    Figure 0006391588
    (この式中、Mesはメシチル基を表す)、
    Figure 0006391588
    (この式中、PCyはトリシクロヘキシルホスフィンを表し、Mesはメシチル基を表す)、
    Figure 0006391588
    (この式中、Mesはメシチル基を表す)。
  2. 前記R1は、2,4,6‐トリメチルフェニル、3,5‐ジニトロフェニル、2,4,6‐トリス(トリフルオロメチル)フェニル、2,4,6‐トリクロロフェニル、およびヘキサフルオロフェニルから成る群より選択される、請求項1に記載のアルキリデンルテニウム錯体。
  3. 前記R2は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシルおよびシクロペンタデシルから成る群より選択される、請求項1または2に記載のアルキリデンルテニウム錯体。
  4. 前記R3およびR4は、各々水素原子である、請求項1〜3の何れか一つに記載のアルキリデンルテニウム錯体。
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載のアルキリデンルテニウム錯体の、オレフィンメタセシス反応における触媒としての使用。
  6. 式(1S)のイミダゾリウム塩:
    Figure 0006391588
    (この式中、
    R1は、芳香族基であり、
    R2は、環状第二級脂肪族アルキル基およびヘテロアルキル基から選択され、
    R3およびR4は、互いに独立して、水素原子、ハライドおよびアルキル基から成る群より選択され、
    は、アニオンである)
    を溶媒中、不活性雰囲気下、室温で少なくとも30分間、強塩基と接触させることにより第一の反応混合物を形成する工程a.と、
    前記工程a.で形成した反応混合物にルテニウム錯体前駆体を添加し、そしてその後、少なくとも40℃の温度で少なくとも2時間加熱する工程b.であって、前記ルテニウム錯体前駆体が第一世代ホベイダ−グラブスタイプの錯体、または、下記式(1P)と(2P)から成る群から選択される一般式で表される錯体である、
    Figure 0006391588
    (この式中、
    およびXは、アニオン性配位子であり、
    およびLは、非荷電配位子、好ましくは、トリシクロヘキシルホスフィンの非荷電配位子であり、
    a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される)、
    Figure 0006391588
    (この式中、PCy3はトリシクロヘキシルホスフィンを表す)
    工程b.と、
    請求項1〜4の何れか一つに記載のアルキリデンルテニウム錯体を単離する工程c.と、を含む、アルキリデンルテニウム錯体の調製方法。
  7. 前記工程b.を約80℃の温度で行う、請求項6に記載のアルキリデンルテニウム錯体の調製方法。
  8. 前記工程c.で単離したアルキリデンルテニウム錯体をスチレニルエーテルと接触させることによって第二の反応混合物を形成する工程d.を更に含む、請求項6または7に記載のアルキリデンルテニウム錯体の調製方法。
  9. 前記スチレニルエーテルは、式(4H)のものであり:
    Figure 0006391588
    式中、a、b、c、d、e、f、g、iおよびhは、互いに独立して、水素原子、アルキル基およびヘテロアルキル基から成る群より選択される、請求項8に記載の方法。
JP2015547121A 2012-12-12 2013-12-11 非対称不飽和n‐ヘテロ環状ジアミノカルベンを含むルテニウム錯体 Active JP6391588B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR1261971 2012-12-12
FR1261971A FR2999184B1 (fr) 2012-12-12 2012-12-12 Complexes de ruthenium comprenant un diaminocarbene n-heterocyclique insature dissymetrique
PCT/FR2013/053037 WO2014091157A1 (fr) 2012-12-12 2013-12-11 Complexes de ruthenium comprenant un diaminocarbene n-heterocyclique insature dissymetrique

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016500374A JP2016500374A (ja) 2016-01-12
JP6391588B2 true JP6391588B2 (ja) 2018-09-19

Family

ID=48224874

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015547121A Active JP6391588B2 (ja) 2012-12-12 2013-12-11 非対称不飽和n‐ヘテロ環状ジアミノカルベンを含むルテニウム錯体

Country Status (8)

Country Link
US (1) US9776178B2 (ja)
EP (2) EP2931736B1 (ja)
JP (1) JP6391588B2 (ja)
CA (1) CA2894741C (ja)
ES (1) ES2627216T3 (ja)
FR (1) FR2999184B1 (ja)
PL (1) PL2931736T3 (ja)
WO (1) WO2014091157A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PL238806B1 (pl) 2015-09-30 2021-10-04 Apeiron Synthesis Spolka Akcyjna Kompleks rutenu i sposób jego wytwarzania, związek pośredni stosowany w tym sposobie oraz zastosowanie kompleksu rutenu i związku pośredniego w metatezie olefin
US11261206B2 (en) * 2016-08-19 2022-03-01 Umicore Ag & Co. Kg Olefin metathesis catalysts
WO2018069146A1 (fr) 2016-10-11 2018-04-19 Demeta Procede de synthese de pheromones
FR3075802B1 (fr) * 2017-12-22 2020-11-20 Demeta Procede de polymerisation de cycloolefines par metathese avec ouverture de cycle
WO2019207246A1 (fr) 2018-04-24 2019-10-31 Demeta Procédé de métathèse d'oléfines à l'aide d'un catalyseur activé par un acide
CN112469738B (zh) 2018-07-23 2023-03-10 阿朗新科德国有限责任公司 催化剂用于丁腈橡胶的复分解的用途
FR3085162B1 (fr) 2018-08-21 2020-12-04 Demeta Procede de preparation de sels d'imidazolium dissymetriques
FR3088641B1 (fr) 2018-11-16 2021-11-19 Demeta Procede de metathese d'olefines utilisant un catalyseur en presence d'un activateur et d'un agent retardateur
EP4310148A1 (en) 2022-07-19 2024-01-24 Demeta Composite material comprising a romp-derived polyolefin embedded in a silicone matrix

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20060287450A1 (en) * 2003-08-11 2006-12-21 Katrin Kohler Immobilizable ruthenium catalysts having n-heterocyclic carbene ligands
FR2909382B1 (fr) * 2006-11-30 2009-01-23 Enscr Complexes catalytiques a base de ruthenium et utilisation de tels complexes pour la metathese d'olefines

Also Published As

Publication number Publication date
ES2627216T3 (es) 2017-07-27
JP2016500374A (ja) 2016-01-12
CA2894741C (fr) 2022-07-12
EP3214089A1 (fr) 2017-09-06
FR2999184B1 (fr) 2015-01-09
WO2014091157A1 (fr) 2014-06-19
EP2931736A1 (fr) 2015-10-21
EP2931736B1 (fr) 2017-03-22
PL2931736T3 (pl) 2017-09-29
US9776178B2 (en) 2017-10-03
US20150315223A1 (en) 2015-11-05
FR2999184A1 (fr) 2014-06-13
CA2894741A1 (fr) 2014-06-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6391588B2 (ja) 非対称不飽和n‐ヘテロ環状ジアミノカルベンを含むルテニウム錯体
JP5535217B2 (ja) ルテニウム−インデニリデンカルベン触媒の製造方法
Yap et al. Development of a novel chiral palladacycle and its application in asymmetric hydrophosphination reaction
US9688641B2 (en) Process for preparing asymmetrical imidazolium salts
Ball et al. Synthesis and reactivity of palladium (II) fluoride complexes containing nitrogen-donor ligands
Sierra et al. Novel ferrocenylphosphino sulfonates: Synthesis, crystal structure and preliminary application as ligands in aqueous catalysis
EP3438113B1 (en) Tetradentate ligand, and production method therefor, synthetic intermediate thereof, and transition metal complex thereof
WO2014077323A1 (ja) 光学活性イソプレゴールおよび光学活性メントールの製造方法
JP6534223B2 (ja) N−(ホスフィノアルキル)−n−(チオアルキル)アミン誘導体及びその製造方法並びにその金属錯体
EP3409681B1 (en) N,n-bis(2-dialkylphosphinoethyl)amine-borane complex and production method therefor, and method for producing ruthenium complex containing n,n-bis(2-dialkylphosphinoethyl)amine as ligand
JP6495385B2 (ja) アルコールのアルコキシカルボニル化方法
US20100267977A1 (en) Method for producing cycloplatinized platinum complexes, platinum complexes produced by said method, and the use thereof
Gao et al. Half-sandwich iridium complexes with hydrazone ligands: preparation, structure, and catalytic synthesis of cyanosilylethers under air
EP2937355B1 (en) Phosphorus compound and transition metal complex of the same
EP2821409A1 (en) Metal alkylidene complexes comprising an unsymmetrical unsaturated NHC ligand
CN108947909B (zh) 一种具有咪唑酮骨架的手性氮杂环卡宾前体化合物及其合成方法
JP5546294B2 (ja) 軸不斉ホスフィン化合物とその製造方法
JP4625741B2 (ja) 第二級ホスフィン−ボラン錯体の製造方法
Barakat et al. Synthesis, structural characterization of monodentate phosphite ligands and phosphite ruthenium complexes derived from D-mannitol
Tan et al. Synthesis and structural characterization of ruthenium (II) complexes bearing phosphine-pyrazolyl based tripod ligands

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180522

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180713

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180724

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180821

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6391588

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250