JP6391115B2 - レールボンド - Google Patents
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Description
しかしながら、直射日光等に起因したレールの熱膨張を吸収するために、レール同士の継ぎ目には隙間が設けられており、この隙間によって両者が電気的に分離される。
そこで、この継ぎ目の部分に導電性のレールボンドを取り付けることで、レール同士の電気的な接続を確保している。
レールボンドは、図11に示すように、レール同士を電気的に接続する電線105と、前記電線の端部に設けられた端子部材101とを備えている。
この端子部材101には、図9、図10に示すように、レール100と対向して合金蝋が盛り込まれる空間部102aを有する受皿部102が形成されている。また、前記受皿部102の空間部102aの下方反対側には、電線105の一端部が挿入され取り付けられる筒部103が形成されている。更に、前記受皿部102にはボルト挿入孔104が穿設されている。
尚、前記ボルト挿入孔104は、ボルト106を挿通させることにより、端子部材101をレール100に固定するために用いられる。
まず、ボルト106によって、このレールボンド端子101をレール100に固定する。その後、前記受皿部102とレール100との間にできる空間部102aに溶融した合金蝋を盛り込んで、レールボンド端子101をレール100に溶接する。
このように、レールボンド端子101をレール100に溶接することにより、長期にわたる車輛の通過に伴う振動に起因する、レールボンド端子101の脱落が防止される。
レールボンド端子110は、電線105が挿通されると共に、前記挿通された電線105を圧着する筒状部111と、前記筒状部111よりも先端側に設けられ、前記レール側部の溶接面に溶接される端子部112とを備えている。
また、図14に示すように、レール100の腹部100aと底部上面100bとの間の曲面部(下首部)100cに取り付けることが示されている。
そのため、列車の通過による振動が長期間に亘って作用することで、レールボンド端子近傍において電線自体が断線し、あるいはレールボンド端子が破損する虞がある。このような事態は、鉄道の運行に即座に支障を来すから、厳に回避すべきものである。
即ち、レールの底部上面、及びレールの下首部にレールボンド端子を取り付ける際の研磨、溶接等によって、レールの底部上面、あるいはレールの下首部に亀裂等が生じた場合には、その亀裂の発見が困難であり、しかも前記亀裂により短期に破損に至る虞があるためである。
具体的に説明すると、レール底部(底部上面)に亀裂(クラック)が生じると、前記レール底部は列車の荷重を支えているため、短期に破断に至る虞がある。また、レールの傷を見つける探傷車(探傷器)では、レールの底部上面あるいはレールの下首部に生じた亀裂を発見することができない。
そのため、多くの鉄道事業者において、レールの底部上面及びレールの下首部にレールボンド端子を溶接で取り付けることが禁止されている。
また、筒部がレールの底部上面あるいは下首部に配置されるため、電線の宙吊り状態が防止される。その結果、電線自体の断線を防止ることができ、また端子部材の破損を防止することができる。
このように、前記受皿部の空間部の外周を囲うようにシリコンゴム部材が取り付けられているため、溶接の際、溶融した合金蝋が前記受皿部から外方へ漏れ出るのを抑制でき、空間部内の合金蝋を均一に溶融することができる。その結果、端子部材(レールボンド端子)をレールに対して確実に固定することができる。
このように、前記第1の溝部と第2の溝部にシリコンゴム部材が取り付けられているため、受皿部の端面にリコンゴムを位置ずれすることなく配置することができ、前記レールの腹部に接するように配置することができる。
このように、前記筒部がレールの底部上面に配置され、かつ前記連結部が下首部に沿って配置される場合には、レールボンドをより安定的に配置することができる。
まず、図1に基づいて、レール100の各部位の名称について説明する。レール100において、その上部すなわち車輪に接する部分を頭部100d、中央部を腹部100a、下部すなわちまくらぎ等に接する部分を底部100bという。また下首部100cとは、前記腹部100aと底部100bを接続する曲面部をいう。
そして、前記受皿部3Aがレール100の腹部100aに位置し、かつ前記筒部3Bがレール100の底部上面100bあるいは下首部100cに位置するように、前記端子部材3がレール100に取り付けられる。
前記受皿部3Aは、レール100と対向(対峙)する壁部3bと、前記壁部3bの両端部から突出して形成された側壁部3c、3dを有している。また、前記壁部3bは、上方から下方にむかってレール100側に近づく傾斜面に形成されている。即ち、図5に示すように、前記受皿部3Aは平面視上コ字状に形成されると共に、図6に示すように、背面視上コ字状に形成されている。
このように、壁部3bと側壁部3c、3dが形成されているため、前記受皿部3Aの上面側3A1とレール100の対向面側3A2が開放された空間部3aが形成される。この空間部3aに溶解したロウを流し込むことによって端子部材3はレール100の腹部100aに溶接される。
この第1の溝部3b1と第2の溝部3c1,3d1は連通し、図6に示すように、前記受皿部の空間部の外周を囲うように、コ字状に形成されている。この第1の溝部3b1と第2の溝部3c1,3d1には、図6中、斜線で示すようにシリコンゴム部材4が取り付けられる。
即ち、レール100対向面側が開放された空間部3aの外周を囲うように、前記受皿部3にシリコンゴム部材4が取り付けられている。
また、前記第1の溝部3b1と第2の溝部3c1,3d1にシリコンゴム部材4が取り付けられているため、受皿部3Aの端面にシリコンゴム部材4を位置ずれすることなく配置することができる。
更に、図3に示すように、筒部3B内に電線2を入れた状態で、筒部3Bの両端3B4,3B5をかしめ、電線2の筒部3Bからの脱落を防止する。
そして、端子部材3は、図2に示すように、前記筒部3Bがレール100の下首部100cに配置され、前記連結部3Cがレール100の下首部100cに沿って配置され、前記受皿部3Aがレール100の腹部100aに配置される。
このように、端子部材3の筒部3Bがレール100の下首部100cに配置され、かつ前記連結部3Cがレール100の下首部100cに沿って配置されるため、レールボンドをより安定して取り付けることができる。
尚、連結部3Cとレール100の下首部100cとの接する距離が長くなるほど、端子部材3とレール100との接触部分が大きくなるため、レールボンドをより安定して取り付けることができる。
まず、端子部材3の筒部3B内に電線2を入れ、前記筒部3Bの両端部3B4,3B5をかしめる共に、前記貫通穴3B1,3B2,3B3から合金蝋を流し込むことで、筒部3Bと電線2を一体化する。
また、前記第1の溝部3b1、第2の溝部3c1,3d1内にシリコンゴム部材4を収容する。
このとき、前記受皿部3Aがレール100の腹部100aに位置し、かつ前記筒部3Bが下首部100cに位置するように、前記端子部材3がレール100に取り付けられる。
そして、前記両研磨範囲に十分な低温ボンド溶接用のフラックスを塗布し、レール100を、例えば250℃近くまで加熱し、その加熱温度を保持しながら、合金蝋を前記フラックスを塗布した面にこすり付けて合金蝋をメッキする。
続けて、レールボンド端子溶接面を250℃以上まで加熱し、その温度を保持しながら、合金蝋をレール100に押し当てながら、レールボンド端子内に合金蝋を一杯に溶かし込み、浸透棒を使用し、レール100のレールボンド端子3の溶接面を良くこすり、レールボンド端子3の溶接面の酸化皮膜の取り除きと気泡抜きを行い、合金蝋が受皿部3Aの上端より盛り上がった状態とする。
最後に、防錆のために、レールボンド端子とレールボンド端子の溶接面などに防錆用塗料を塗布してレールボンド端子3のレール100への溶接が完了し、レールボンド1のレール100への取り付けが終了する。
図7に示した他の実施形態は、電線2に2個の端子部材3を取り付けた点に特徴があり、レール100に対して、レールボンド1を確実に固定することができる。尚、端子部材3は2個に限定されるものではなく、3個以上であっても良い。
しかしながら、前記壁部3bは、必ずしも、上方から下方にむかってレール100側に近づく傾斜面に形成されている必要はなく、レール100の腹部とと略平行な、垂直な面に形成されていても良い。
2 電線
3 端子部材(レールボンド端子)
3A 受皿部
3A1 受皿部の上面側
3A2 受皿部のレール対向面側
3B 筒部
3B1 貫通穴
3B2 貫通穴
3B3 貫通穴
3C 連結部
3a 空間部
3b 壁部
3b1 第1の溝部
3c 側壁部
3c1 第2の溝部
3d 側壁部
3d1 第2の溝部
4 シリコンゴム部材
Claims (4)
- レールの継ぎ目に取り付けられ、レール間を電気的に接続するレールボンドにおいて、
電線と、前記電線の端部側に設けられ、前記電線と前記レールとを電気的に接続する端子部材とを備え、
前記端子部材は、
レールと対向する壁部と、前記壁部の両端部から突出して形成された側壁部と、前記壁部と前記側壁部とにより、上面側とレールの対向面側が開放された空間部が形成され、前記空間部に合金蝋が盛り込まれることにより、レールの腹部に溶接される受皿部と、
前記受皿部の下方に形成された、電線の一端部が取り付ける筒部と、
前記受皿部と前記筒部とを連結すると共に、レールの下首部に沿った形状に形成された連結部とを有し、
前記受皿部がレールの腹部に取り付けられると共に、前記連結部がレールの下首部に接して配置され、かつ前記筒部がレールの底部上面あるいは下首部に配置されることを特徴とするレールボンド。 - 前記レール対向面側の開放された前記空間部の外周を囲うように、前記受皿部にシリコンゴム部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のレールボンド。
- 前記壁部のレールと対向する面の下部に形成された第1の溝部と、前記側壁部のレールと対向する面に形成された第2の溝部とを備え、
前記第1の溝部と第2の溝部は連通し、かつ前記第1の溝部と第2の溝部にシリコンゴム部材が取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のレールボンド。 - 前記筒部がレールの底部上面に配置され、かつ前記連結部が下首部に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレールボンド。
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