1.遊技機の構造
実施形態のパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の上下方向及び左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての上下方向及び左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から遠のく方向として説明する。
図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2(図2参照)とを備えている。遊技機枠50は、パチンコ遊技機1の外郭を形成するものであり、図示しない外枠及び内枠と、外枠及び内枠の前面側に配されている前面枠(前扉部)51とを備えている。前面枠51は、外枠及び内枠に対して回動自在になっている。前面枠51の中央部には、遊技者が後述する遊技領域3を視認できるように、透明のガラス板(窓部)55が取付けられている。
遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル(発射操作部)60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63及びセレクトボタン(図示省略)が設けられている。なおセレクトボタン(十字キー)は、上方向ボタンと下方向ボタンと左方向ボタンと右方向ボタンとによって構成されている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66、及び、音を出力するスピーカ67が設けられている。
図2に示すように、遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、複数の盤ランプ5(図9参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎが突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、演出画像を表示可能な演出表示装置(演出表示手段)7が設けられている。演出表示装置7の表示画面(表示部)7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示(変動表示)に同期した装飾図柄(演出図柄の一例)8L,8C,8Rの可変表示(変動表示)を行う装飾図柄表示領域がある。なお、装飾図柄8L,8C,8Rを表示する演出を装飾図柄変動演出という。装飾図柄変動演出を「演出図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。
装飾図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左装飾図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中装飾図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右装飾図柄8Rが表示される。装飾図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。演出表示装置7は、左、中、右の装飾図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図4参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で装飾図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で装飾図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、演出表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、装飾図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
演出表示装置7は、上記のような装飾図柄を用いた装飾図柄変動演出のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出(客待ち演出)などを表示画面7aに表示する。なお装飾図柄変動演出では、数字等の装飾図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの装飾図柄以外の演出画像も表示される。
また演出表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留や第2特図保留の記憶数に応じて演出保留画像(第1特図保留に対応する演出保留画像9A及び第2特図保留に対応する演出保留画像9B)を表示する演出保留表示エリアがある。演出保留画像の表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図4参照)にて表示される第1特図保留の記憶数や、第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域3の中央付近であって演出表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。さらにセンター装飾体10の上部には、文字や図形等を表した装飾部材13が配されている。
遊技領域3における演出表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1入球口や、第1始動入賞口、固定入球口ともいう)20を備える第1始動入賞装置(第1入球手段や固定入球手段ともいう)19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また演出表示装置7の右方には、第2始動口(第2入球口や、第2始動入賞口、可変入球口ともいう)21を備える普通可変入賞装置(普通電動役物いわゆる電チュー)22が設けられている。電チュー22を、可変入球手段や、第2入球手段、第2始動入賞装置ともいう。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。電チュー22は、開閉部材(可動部材)23を備え、開閉部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。開閉部材23は、電チューソレノイド24(図8参照)により駆動される。開閉部材23が開状態にあるときには、第2始動口21への遊技球の入球が可能となり、閉状態にあるときには、第2始動口21への遊技球の入球が不可能となる。つまり、第2始動口21は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。なお、電チューは、開閉部材が開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1始動口20の右方には、第1大入賞口(第1特別入賞口)30を備えた第1大入賞装置(第1特別入賞手段や第1特別可変入賞装置ともいう)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図8参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
また、遊技領域3における第1始動口20の下方には、第2大入賞口(第2特別入賞口)35を備えた第2大入賞装置(第2特別入賞手段や第2特別可変入賞装置ともいう)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第2特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図8参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
また、図3(A),(B)に示すように、第1大入賞装置31の内部には、第1大入賞口30を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第1大入賞装置31において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第1大入賞口30への遊技球の入賞を検知する第1大入賞口センサ30aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。第1大入賞装置31は、第1大入賞口30を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。
図3(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。図3(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1状態(通過許容状態)にある。振分部材71が第1状態にあるときは、第1大入賞口30に入賞した遊技球は、第1大入賞口センサ30aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
図3(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。図3(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2状態(通過阻止状態)にある。振分部材71が第2状態にあるときは、第1大入賞口30に入賞した遊技球は、第1大入賞口センサ30aを通過したあと非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。また、第2大入賞装置36には、確変作動口としての特定領域は設けられていない。すなわち非特定領域しか設けられていない。
図2に戻り、遊技領域3における電チュー22の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過口ともいう)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
さらに遊技領域3の下部には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口20と、アウト口16とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口20への入賞を狙うことができる。なお、第1流路R1上にゲートは配されていない。よって、左打ちをしている場合に電チュー22が開放されることはない。
一方、第2流路R2上には、ゲート28と、電チュー22と、第1大入賞装置31と、第2大入賞装置36と、アウト口16とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート28への通過や、第2始動口21、第1大入賞口30、及び第2大入賞口35への入賞を狙うことができる。
また図2示すように、遊技盤2の右下部には表示器類40が配置されている。表示器類40には、図4に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定用情報)は、特図保留記憶部85(図8参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図8参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図8参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43はそれぞれ、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図4参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図8参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示する。
また、本パチンコ遊技機1において、演出表示装置7の表示画面7aの右上付近には、装飾可動部15が設けられている。装飾可動部15は、演出表示装置7の表示画面7aよりも前方であって、センター装飾体10よりも後方に位置している。図2は、退避位置における装飾可動部15を示しており、そのほとんどがセンター装飾体10の後方に隠れている。装飾可動部15は、可動式のいわゆるギミックである。装飾可動部15について、図5および図6により説明する。
図5には、図1と同様、退避位置における装飾可動部15を示している。図5に示すように、装飾可動部15は、進出退避部500と、進出退避部500に設けられた装飾回転体510とを有している。進出退避部500は、中心505を回転中心として回転することで、装飾可動部15を、図5に示す退避位置と、図6に示す進出位置との間で移動させることのできるものである。つまり、進出退避部500は、退避位置から進出位置まで移動する進出動作と、進出位置から退避位置まで移動する退避動作とを行うことができる。そして、進出位置は、退避位置よりも、演出表示装置7の表示画面7aの中央に近い位置である。
退避位置における装飾可動部15は、図5に示すように、装飾回転体510の上部がセンター装飾体10の後方に隠れている。そして、装飾回転体510の下部については、センター装飾体10の下方に突出している。これにより、退避位置では、装飾回転体510の下部のみが、遊技者によって視認できる状態である。
これに対し、図6に示す進出位置における装飾可動部15は、装飾回転体510の全体が、センター装飾体10の下方、すなわち表示画面7aの前面まで移動している。よって、進出位置では、装飾回転体510の全体が、遊技者によって視認できる状態である。つまり、進出位置は、装飾回転体510が、退避位置よりも目立つ位置である。
また、装飾回転体510は、中心515を回転中心として回転する回転演出を行うことができる。本形態の装飾回転体510は、図5に示す退避位置においても、図6に示す進出位置においても、回転演出を行うことがある。
さらに、本形態の装飾回転体510は、図5に示す退避位置では縮小形態をとり、図6に示す進出位置では拡大形態をとるものである。つまり、本形態の装飾回転体510は、拡大形態と縮小形態とで、形態の変化をすることのできるものである。装飾回転体510は、拡大形態では、縮小形態のときよりも、回転演出における回転軸と直交する面内において、径方向の大きさが大きなものである。
そして、本形態の装飾回転体510は、縮小形態から拡大形態へと変形する拡大動作と、拡大形態から縮小形態へと変形する縮小動作とを行うことができる。具体的に、本形態における拡大動作が行われるタイミングは、進出退避部500の進出動作が終了した後、進出位置での回転演出が開始されるまでの間である。また、縮小動作が行われるタイミングは、進出位置での回転演出が終了した後、進出退避部500の退避動作が開始されるまでの間である。
さらに、装飾可動部15は、進出退避部500および装飾回転体510をそれぞれ動作させるための駆動源として、進出退避用モータ501、回転演出用モータ511、拡大縮小用モータ512を有している。進出退避用モータ501は、進出退避部500に進出動作および退避動作を行わせるための駆動源である。進出退避用モータ501の駆動力の伝達機構には、ギアやリンク機構など、公知の駆動機構を採用することができる。
回転演出用モータ511は、装飾回転体510に回転演出を行わせるための駆動源である。回転演出用モータ511の駆動力の伝達機構には、ギアなど、公知の駆動機構を採用することができる。あるいは、回転演出用モータ511は、装飾回転体510に直接、接続されていてもよい。
拡大縮小用モータ512は、装飾回転体510に拡大動作および縮小動作を行わせるための駆動源である。拡大縮小用モータ512の駆動力の伝達機構には、ギアやリンク機構など、公知の駆動機構を採用することができる。
また、図7(A)には縮小形態の装飾回転体510を、図7(B)には拡大形態の装飾回転体510を示している。また、図7に示すように、装飾回転体510には、拡大検出センサ513と、縮小検出センサ514とが設けられている。本形態の拡大検出センサ513は、装飾回転体510が縮小形態であるときに検出状態が「OFF」となり、拡大形態であるときに検出状態が「ON」となるものである。また、本形態の縮小検出センサ514は、装飾回転体510が縮小形態であるときに検出状態が「ON」となり、拡大形態であるときに検出状態が「OFF」となるものである。
つまり、拡大検出センサ513が「OFF」であり、縮小検出センサ514が「ON」であるときには、装飾回転体510の形態が縮小形態であると判断することができる。一方、拡大検出センサ513が「ON」であり、縮小検出センサ514が「OFF」であるときには、装飾回転体510の形態が拡大形態であると判断することができる。なお、例えば、拡大検出センサ513および縮小検出センサ514の「ON」信号のみを用いて、装飾回転体510の形態を判断することも可能である。
2.遊技機の電気的構成
次に図8及び図9に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図8及び図9に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、サブ駆動基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部99(演出制御手段に相当)を構成する。なお、サブ制御部99は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(演出表示装置7、スピーカ67、枠ランプ66、盤ランプ5、装飾可動部15等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。つまりサブ制御部の構成は、実行予定の演出や遊技機の製造し易さ等に応じて適宜変更可能である。
またパチンコ遊技機1は、電源基板150を備えている。電源基板150は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板150には、バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に対して電力を供給する。従って、主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板150には、電源スイッチ155が接続されている。電源スイッチ155のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切り換えられる。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしてもよい。
図8に示すように、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。なお、ROM83は外付けであってもよい。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第1大入賞口30内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第1大入賞口30内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内に設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の開閉部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第1大入賞装置31の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、特別図柄表示器41、普通図柄表示器42、特図保留表示器43、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図9に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、サブ駆動基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に演出表示装置7の制御を行わせる。
画像制御基板100は、画像表示等の制御のためのプログラム等を記憶したROM103、ワークメモリとして使用されるRAM104、及び、ROM103に記憶されたプログラムを実行するCPU102を備えている。なお、ROM103には、演出表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107を介して、枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、各ランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って各ランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
またサブ制御基板90には、演出ボタン検出スイッチ(SW)63a及びセレクトボタン検出スイッチ64aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン63が押されると演出ボタン検出スイッチ63aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検出スイッチ64aは、セレクトボタン(図示省略)が押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタンが押されるとセレクトボタン検出スイッチ64aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。なお、セレクトボタンは、上ボタン、下ボタン、左ボタン、及び右ボタンの4つのボタンからなる十字キーであり、演出ボタン63に隣接して配されている。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107を介して装飾可動部15の進出退避用モータ501、回転演出用モータ511、拡大縮小用モータ512の駆動制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、装飾可動部15の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従ってサブ駆動基板107により、装飾可動部15の進出退避用モータ501、回転演出用モータ511、拡大縮小用モータ512の駆動を制御する。なお、演出制御用マイコン91は、動作パターンデータを、進出退避用モータ501、回転演出用モータ511、拡大縮小用モータ512のそれぞれについて作成する。また、動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
本形態では、進出退避用モータ501、回転演出用モータ511、拡大縮小用モータ512としていずれも、駆動パルスに同期して回転するステッピングモータを用いている。つまり、進出退避用モータ501、回転演出用モータ511、拡大縮小用モータ512はいずれも、演出制御用マイコン91より出力される励磁相の切り替え信号に同期して駆動力を発生させることができるものである。
図10に、本形態の回転演出用モータ511を示す。図10に示すように、回転演出用モータ511は、2相ユニポーラ駆動のものである。そして、φ1、φ2、φ3、φ4への励磁を適宜、切り替えることで、ロータを回転させることができるものである。なお、進出退避用モータ501、拡大縮小用モータ512としても、回転演出用モータ511と同種のものを用いることができる。また、本形態のサブ駆動基板107は、演出制御用マイコン91より入力される指示信号により、2相励磁(フルステップ駆動)によって進出退避用モータ501、回転演出用モータ511、拡大縮小用モータ512を駆動する。
3.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技を特別遊技ともいう。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別は図11に示す通りである。図11に示すように、本形態では大きく分けて2つの種別がある。特定大当たりと通常大当たりである。特定大当たりを「Vロング大当たり」ともいい、通常大当たりを「Vショート大当たり」ともいう。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が容易に可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能又は困難な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には、特図1の抽選(第1特別図柄の抽選)にて当選可能な「Vロング大当たり」は、1Rから8Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから15Rまでは第2大入賞口35を1R当たり最大0.1秒にわたって開放し、16R(最終ラウンド)では第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する大当たりである。つまり、この大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は9Rである。実質的なラウンド数とは、1ラウンド当たりの入賞上限個数(本形態では8個)まで遊技球が入賞可能なラウンド数のことである。このVロング大当たりでは9Rから15Rまでは、第2大入賞口35の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。なお、16Rでは、第1大入賞口30内の特定領域39への通過が容易に可能である。また、特図1の抽選によって「特定大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_特定図柄」が停止表示される。
また、特図2の抽選(第2特別図柄の抽選)にて当選可能な「Vロング大当たり」は、1Rから8Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから15Rまでは第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、16R(最終ラウンド)では第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する大当たりである。つまり、この大当たりは実質的なラウンド数も16Rである。もちろん、16Rでは、第1大入賞口30内の特定領域39への通過が容易に可能である。特図2の抽選によって「特定大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_特定図柄」が停止表示される。
これに対して、特図1の抽選にて当選可能な「Vショート大当たり」は、1Rから8Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから15Rまでは第2大入賞口35を1R当たり最大0.1秒にわたって開放し、16R(最終ラウンド)では第1大入賞口30を1R当たり最大0.1秒にわたって開放する大当たりである。つまり、この大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は8Rである。
このVショート大当たりにおける16Rでは、第1大入賞口30の開放時間が極めて短く、第1大入賞口30内の特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。なお、Vショート大当たりにおける16Rでは、第1大入賞口30の開放時間が短いことだけでなく、第1大入賞口30の開放タイミングと振分部材71の作動タイミング(第2状態(図3(B)参照)から第1状態(図3(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。特図1の抽選によって「通常大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。
また、特図2の抽選にて当選可能な「Vショート大当たり」は、1Rから8Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから15Rまでは第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、16R(最終ラウンド)では第1大入賞口30を1R当たり最大0.1秒にわたって開放する大当たりである。つまり、この大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は15Rである。もちろん、16Rでは、第1大入賞口30内の特定領域39への通過がほぼ不可能となっている。特図2の抽選によって「通常大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_通常図柄」が停止表示される。
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
但し、通常確率状態に制御された場合であっても、後述する時短状態には制御される。なお、この場合の時短回数は100回に設定される。時短回数とは、時短状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
なお、図11に示すように、特図1の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たり(特定大当たり)が50%、Vショート大当たり(通常大当たり)が50%となっている。これに対して、特図2の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たり(特定大当たり)が80%、Vショート大当たり(通常大当たり)が20%となっている。このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(特図1の抽選)よりも、第2始動口21に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(特図2の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図12(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す装飾図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の装飾図柄のうち変動表示されている装飾図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている装飾図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す装飾図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている装飾図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。また、ゲート28への通過に基づいて取得される乱数には、図12(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜65535までの範囲で値をとる。
4.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図13(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図14参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図13(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では4秒であるが、時短状態では1秒である(図13(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図15参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図15参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特典遊技状態」と称することとする。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図2参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図2参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
5.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図16及び図17に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図16に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等のリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお初期設定(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図12に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの周期初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。全ての乱数をハードウェア乱数とする場合、ソフトウェアによる乱数の更新処理は必要ない。また乱数発生回路は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。図17に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図8参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータをRAM84の出力バッファにセットする。また、入力処理(S102)では、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、図16の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、図12に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、始動口センサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)を行う。始動口センサ検出処理(S104)では、第1始動口センサ20a又は第2始動口センサ21aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、当たり種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(図12(A)参照))を取得する。また、ゲートセンサ28aによる通過検知があれば、すでに記憶されている当たり乱数が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図12(B)参照)を取得する。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブル(図13(C)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図15参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
次に遊技制御用マイコン81は、特別動作処理(S106)、特定領域センサ検出処理(S107)を行う。特別動作処理(S106)では、始動口センサ検出処理にて取得した大当たり乱数等の乱数を所定の判定テーブル(図11,図13(A)(B),図14参照)を用いて判定する。そして、大当たり抽選の結果を示すための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。また、当たり種別に応じた特図停止図柄データ(図11)や、特別図柄の変動表示の変動パターンの情報を含む変動開始コマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。そして、大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、大当たりの種別に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図11参照)に従って第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。この大当たり遊技の実行に際しては、当選した大当たり図柄の種別の情報を含むオープニングコマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。なお特別動作処理(S106)において、大当たり乱数等の乱数の記憶がない場合には、演出制御用マイコン91に客待ち演出を実行させるための客待ち待機コマンドをセットする。
特定領域センサ検出処理(S107)では、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定し、それが所定のV有効期間におけるものであれば、VフラグをONにする。また、VフラグがONであれば、次回に実行される特別動作処理(S106)において、確変フラグがONにされる。これにより、大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態に制御される。
次に遊技制御用マイコン81は、その他の処理(S108)を実行する。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S108)としては、後述の特図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002〜S004の処理が繰り返し実行され(図16参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
6.演出制御用マイコン91の動作
[サブ制御メイン処理]次に図18〜図26に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM94に設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM93から図18に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
続いて、電源断信号がONで且つRAM94の内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そしてこの判定結果がNOであれば、RAM94の初期化をして(S4003)、ステップS4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、RAM94の初期化をせずにステップS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAM94内容が正常でない場合には(S4002でNO)、RAM94を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAM94内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAM94を初期化しない。なお、RAM94を初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等の値はリセットされる。また、このステップS4001〜S4003は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
ステップS4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数更新処理を実行する(S4005)。乱数更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお、演出決定用乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
乱数更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板100に送信する。コマンドを受信した画像制御基板100は、コマンドに従い演出表示装置7を用いて各種の演出(装飾図柄変動演出や、大当たり遊技に伴う大当たり演出(オープニング演出、開放遊技演出、エンディング演出)、デモ演出等)を実行する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、サブ駆動基板107を介して各ランプを発光させたり、装飾可動部15を動作させたりする。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、ステップS4004〜S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、1msタイマ割り込み処理(S4009)、および10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S4008)は、ストローブ信号(STB信号)がON、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されると実行される。そして、受信割り込み処理(S4008)では、図19に示すように、主制御基板80の出力処理(S101)により送信されてきた各種のコマンドをRAM94に格納する(S4101)。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図20に示すように、1msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、入力処理(S4201)を行う。入力処理(S4201)では、演出ボタン検出スイッチ63a及びセレクトボタン検出スイッチ64aからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理(S4202)を行う。ランプデータ出力処理(S4202)では、画像演出等の演出に合うタイミングで枠ランプ66、盤ランプ5等を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S4404)で作成したランプデータをサブ駆動基板107に出力する。つまり、ランプデータに従って各ランプを所定の発光態様で発光させる。
次いで、後述する駆動制御処理(S4203)、ウォッチドッグタイマ処理(S4204)を行って、本処理を終える。ウォッチドッグタイマ処理(S4204)では、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行う。
[駆動制御処理]駆動制御処理(S4203)では、画像演出等の演出に合うタイミングで装飾可動部15を動作させる。そのため、図21に示すように、駆動制御処理(S4203)ではまず、演出制御用マイコン91は、装飾可動部15の進出退避部500の動作タイミングであるか否かを判定する(S4301)。すなわち、進出動作および退避動作のどちらかを行うタイミングであるか否かを判定する。進出退避部500の動作タイミングである場合には(S4301でYES)、進出退避用モータ501の励磁相の切り替えを行う(S4302)。一方、進出退避部500の動作タイミングでない場合には(S4301でNO)、進出退避用モータ501の励磁相の切り替え(S4302)を行わない。
進出退避用モータ501の励磁相の切り替え (S4302) では、サブ駆動基板107によって励磁される進出退避用モータ501のコイルを切り替える。これにより、本形態では、進出退避部500の動作時において、進出退避用モータ501を、1msec間隔で1ステップずつ回転させる。つまり、本形態では、進出退避用モータ501の駆動時のパルス周波数は、1000ppsである。なお、進出退避部500の進出動作を行う場合と、退避動作を行う場合とでは、進出退避用モータ501の回転方向が反対向きとなるように励磁相の切り替えを行う。
次に、演出制御用マイコン91は、装飾回転体510の形態変化のタイミングであるか否かを判定する(S4303)。すなわち、拡大動作および縮小動作のどちらかを行うタイミングであるか否かを判定する。装飾回転体510の形態変化のタイミングである場合には(S4303でYES)、拡大縮小用モータ512の励磁相の切り替えを行う(S4304)。一方、装飾回転体510の形態変化のタイミングでない場合には(S4303でNO)、拡大縮小用モータ512の励磁相の切り替え(S4304)を行わない。
拡大縮小用モータ512の励磁相の切り替え (S4304) では、サブ駆動基板107によって励磁される拡大縮小用モータ512のコイルを切り替える。これにより、本形態では、装飾回転体510の形態変化時において、拡大縮小用モータ512を、1msec間隔で1ステップずつ回転させる。つまり、本形態では、拡大縮小用モータ512の駆動時のパルス周波数は、1000ppsである。なお、装飾回転体510の拡大動作を行う場合と、縮小動作を行う場合とでは、拡大縮小用モータ512の回転方向が反対向きとなるように励磁相の切り替えを行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、装飾回転体510の回転演出のタイミングであるか否かを判定する(S4305)。装飾回転体510の回転演出のタイミングである場合には(S4305でYES)、装飾回転体510の形態が、縮小形態であるか否かを判定する(S4306)。装飾回転体510が縮小形態であるか否かは、前述したように、拡大検出センサ513および縮小検出センサ514の少なくとも一方の検出信号によって判定することができる。
そして、装飾回転体510が縮小形態である場合(S4306でYES)、回転演出カウンタの値が「奇数」であるか否かを判定する(S4307)。回転演出カウンタの値が「奇数」である場合(S4307でYES)、回転演出用モータ511の励磁相の切り替え(S4308)を行った後、回転演出カウンタの値を1インクリメントする(S4310)。一方、回転演出カウンタの値が「奇数」でない場合には(S4307でNO)、回転演出用モータ511の励磁相の切り替え(S4308)を行うことなく、回転演出カウンタの値を1インクリメントする(S4310)。
これに対し、装飾回転体510が縮小形態でない場合(S4306でNO)、すなわち、拡大形態である場合には、回転演出カウンタの値が「1」または「4」であるか否かを判定する(S4309)。回転演出カウンタの値が「1」または「4」のいずれかである場合(S4309でYES)、回転演出用モータ511の励磁相の切り替え(S4308)を行った後、回転演出カウンタの値を1インクリメントする(S4310)。一方、回転演出カウンタの値が「1」または「4」のいずれでもない場合には(S4309でNO)、回転演出用モータ511の励磁相の切り替え(S4308)を行うことなく、回転演出カウンタの値を1インクリメントする(S4310)。
回転演出カウンタの値のインクリメント(S4310)に続いて、回転演出カウンタの値が「7」であるか否かを判定する(S4311)。回転演出カウンタの値が「7」である場合には(S4311でYES)、その値を「1」に更新(S4312)して本処理を終える。一方、回転演出カウンタの値が「7」でない場合には(S4311でNO)、「1」に更新(S4312)することなく、本処理を終える。なお、装飾回転体510の回転演出のタイミングでない場合には(S4305でNO)、回転演出用モータ511の励磁相の切り替え(S4308)を行うことなく、本処理を終える。
そして、回転演出用モータ511についても、励磁相の切り替え(S4308)では、進出退避用モータ501等と同様、サブ駆動基板107によって励磁される回転演出用モータ511のコイルの切り替えを行う。ただし、装飾回転体510の回転演出中においては、回転演出カウンタの値を「1」から「6」までの間でカウントしつつ、その回転演出カウンタの値によって、励磁相を切り替えるか否かを判定している。また、励磁相を切り替える回転演出カウンタの値は、装飾回転体510の形態によって異なるものとされている。
具体的には、装飾回転体510が縮小形態である場合、回転演出カウンタの値が「奇数」、すなわち「1」、「3」、「5」のいずれかである場合にのみ、励磁相を切り替える。この装飾回転体510が縮小形態である場合の回転演出用モータ511の励磁シーケンスを、図22に示している。図22に示すように、励磁相の切り替えは、回転演出カウンタの値が「奇数」であるときに行った場合、1つおきの駆動制御処理(S4203)において行われることとなる。また、前述したように、駆動制御処理(S4203)は、1msタイマ割り込み処理(S4009)において実行される処理である。このため、装飾回転体510が縮小形態である場合には、図22に示すように、回転演出に係る回転演出用モータ511の励磁相の切り替えは、駆動制御処理(S4203)の実行周期の2倍である2msec周期で行われる。つまり、装飾回転体510が縮小形態であるときの回転演出において、回転演出用モータ511の励磁相の切り替えは、500ppsのパルス周波数で行われる。
これに対し、装飾回転体510が拡大形態である場合、回転演出カウンタの値が「1」または「4」のいずれかである場合にのみ、励磁相を切り替える。この装飾回転体510が拡大形態である場合の回転演出用モータ511の励磁シーケンスを、図23に示している。図23に示すように、励磁相の切り替えは、回転演出カウンタの値が「1」または「4」のいずれかであるときに行った場合、2つおきの駆動制御処理(S4203)において行われることとなる。このため、装飾回転体510が拡大形態である場合には、図23に示すように、回転演出用モータ511の励磁相の切り替えは、駆動制御処理(S4203)の実行周期の3倍である3msec周期で行われる。つまり、装飾回転体510が拡大形態であるときの回転演出において、回転演出用モータ511の励磁相の切り替えは、約333ppsのパルス周波数で行われる。
ここで、装飾回転体510は、縮小形態であるときよりも、拡大形態であるときの方が、慣性モーメント(イナーシャ)の大きな状態である。装飾回転体510は、縮小形態と拡大形態とで、質量が同じものである。そして、同じ質量であれば、その回転軸を中心とした径方向の大きさが大きいほど、慣性モーメントが大きくなるからである。このため、回転演出用モータ511のモータ軸換算での慣性モーメントについても、装飾回転体510が縮小形態であるときよりも、拡大形態であるときの方が大きなものである。すなわち、回転演出時における回転演出用モータ511の負荷トルクは、装飾回転体510が拡大形態をとっているときには、縮小形態をとっているときよりも高いものである。
また、一般的なステッピングモータは、安定した回転の駆動力を発生させるため、中速域から高速域で使用される。このような中速域から高速域において、ステッピングモータの出力トルクは、パルス周波数が高く、回転数が高いほど低下する傾向にある。すなわち、回転演出用モータ511は、パルス周波数が高いときほど、出力トルクが低下する傾向にある。
このため、装飾回転体510が拡大形態をとっており、回転演出用モータ511の負荷トルクが高いときに、回転演出用モータ511を高いパルス周波数で駆動した場合には、脱調のおそれがある。そして、回転演出用モータ511に脱調が生じてしまった場合には、装飾回転体510の回転演出が停止してしまうおそれがある。あるいは、脱調が生じた場合には、装飾回転体510が、本来の回転演出とは異なった挙動で回転してしまうおそれもある。よって、装飾回転体510が拡大形態をとっているときに、回転演出用モータ511を高いパルス周波数で駆動した場合には、演出の興趣性を低下させてしまうおそれがある。
このような問題に対し、本形態では、上記のように装飾回転体510が拡大形態をとっているときには、回転演出の回転演出用モータ511のパルス周波数を、ある程度、低く調整した、約333ppsとしている。これにより、装飾回転体510が拡大形態であり、回転演出用モータ511の負荷トルクが高いときであっても、回転演出用モータ511の出力トルクが、負荷トルクに対して不足することがないようになされている。すなわち、回転演出用モータ511の負荷トルクが高い状況であっても、回転演出が適切に実行され、演出の興趣性が低下してしまうことがないようになされている。
また、回転演出用モータ511の負荷トルクが低いときには、回転演出用モータ511を高いパルス周波数で駆動したとしても、脱調による駆動不良は生じない傾向にある。このため、本形態では、装飾回転体510が縮小形態であり、回転演出用モータ511の負荷トルクが低いときには、ある程度高いパルス周波数である500ppsで回転演出用モータ511を駆動している。これにより、回転演出用モータ511の負荷トルクが低いときには、装飾回転体510の回転速度の速い回転演出を実行し、興趣性を高めることができている。
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図24に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4401)を行う。次いで、1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてRAM94に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S4402)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理(S4403)を行う。
その後、演出制御用マイコン91は、その他の処理(S4404)として、後述の受信コマンド解析処理(S4401)での演出選択結果に応じて、ランプデータ(各ランプの点灯を制御するデータ)を作成したり、音声データ(スピーカ67からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び音声制御基板106への出力をしたりする。また、各種の演出決定用乱数を更新したりする。
[受信コマンド解析処理]図25に示すように、受信コマンド解析処理(S4401)ではまず、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4501)、受信していれば後述の変動演出開始処理(S4502)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4503)、受信していれば変動演出終了処理(S4504)を行う。変動演出終了処理(S4504)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4505)、受信していればオープニング演出選択処理(S4506)を行う。オープニング演出選択処理(S4506)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S4507)、受信していればラウンド演出選択処理(S4508)を行う。ラウンド演出選択処理(S4508)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出(開放遊技演出)のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4509)、受信していればエンディング演出選択処理(S4510)を行う。エンディング演出選択処理(S4510)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、その他の処理(S4511)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、V通過を示すV通過コマンドに基づいてV通過報知を行う処理等)を行う。そして、受信コマンド解析処理を終える。
[変動演出開始処理]図26に示すように、変動演出開始処理(S4502)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S4601)。変動開始コマンドには、特別動作処理(S106)でセットされた変動パターンの情報や、特図停止図柄データの情報が含まれている。なお、これらの情報を別々のコマンドで取得する構成としてもよい。また、ここで演出制御用マイコン91が取得した情報は、これ以降に実行する処理においても適宜利用可能なものとする。
次に演出制御用マイコン91は、変動演出パターンの選択を行う(S4602)。具体的には、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動パターンの種類(図14のP1等)に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定用乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。これにより、変動演出の時間、装飾図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタン演出)の有無、SW演出の内容、演出展開構成、装飾図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。つまり、変動演出パターンが決まれば、装飾可動部15の進出退避部500の進出動作および退避動作、装飾回転体510の拡大動作や縮小動作、装飾回転体510の回転演出のそれぞれの実行の有無やそのタイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。これにより、進出退避用モータ501、回転演出用モータ511、拡大縮小用モータ512のそれぞれについて動作パターンデータ(駆動データ)が作成される。
続いて演出制御用マイコン91は、変動演出において最終的に停止表示する装飾図柄(演出図柄)8L,8C,8Rの選択を行う(S4603)。具体的には、演出図柄決定用乱数を取得するとともに、特別図柄の種類やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した演出図柄決定用乱数を判定することにより、装飾図柄を選択する。これにより、最終的に停止表示される装飾図柄8L,8C,8Rの組み合わせ(例えば「777」等)が決定される。
続いて演出制御用マイコン91は、予告演出の選択を行う(S4604)。具体的には、予告演出決定用乱数を取得するとともに、特別図柄の種類やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した予告演出決定用乱数を判定することにより、予告演出を選択する。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。
そして、選択した変動演出パターン、演出図柄、及び予告演出にて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットして(S4605)、変動演出開始処理を終了する。ステップS4605でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、演出表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。
7.本形態の効果
以上詳細に説明したように、本形態のパチンコ遊技機1は、回転演出用モータ511、拡大縮小用モータ512、装飾回転体510、演出制御用マイコン91を有している。回転演出用モータ511および拡大縮小用モータ512は、励磁相の切り替えに同期して駆動力を発生させることが可能である。回転演出用モータ511は、演出制御用マイコン91が実行する駆動制御処理(S4203)により、装飾回転体510に回転演出を行わせる。また、拡大縮小用モータ512についても、演出制御用マイコン91が実行する駆動制御処理(S4203)により、装飾回転体510に拡大動作と縮小動作とを行わせる。装飾回転体510は、拡大動作、縮小動作に伴い、縮小形態と拡大形態との間で形態が変化する。そして、演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4203)において、装飾回転体510が縮小形態であるか拡大形態であるかに合わせて、回転演出時における回転演出用モータ511のパルス周波数を調整する。これにより、回転演出時における回転演出用モータ511の駆動速度が調整される。
すなわち、本形態の演出制御用マイコン91は、装飾回転体510が縮小形態をとっているときには、装飾回転体510の回転演出を、回転演出用モータ511のパルス周波数を500ppsに設定して実行することが可能である。一方、装飾回転体510が拡大形態をとっているときには、装飾回転体510の回転演出を、回転演出用モータ511のパルス周波数を約333ppsに設定して実行することが可能である。
これにより、回転演出時における回転演出用モータ511の負荷トルクが高いときに、回転演出用モータ511が、500ppsのパルス周波数で駆動されてしまうことを抑制することが可能である。すなわち、回転演出用モータ511の出力トルクが負荷トルクに対して不足してしまう可能性が高いときに、回転演出用モータ511が、出力トルクが低い500ppsのパルス周波数で駆動されてしまうことを抑制することが可能である。
また、回転演出時における回転演出用モータ511の負荷トルクが低いときには、回転演出用モータ511を、500ppsのパルス周波数で駆動することが可能である。すなわち、回転演出用モータ511の出力トルクが負荷トルクに対して不足してしまう可能性が低いときには、回転演出用モータ511を、パルス周波数の高い500ppsで駆動することが可能である。
そして、本形態では、このように装飾回転体510が縮小形態であるか拡大形態であるかに合わせて、回転演出時における回転演出用モータ511のパルス周波数を調整することで、例えば、パチンコ遊技機1の設計や製造段階でのミスを抑制することが可能である。すなわち、従来においては、装飾可動部15を動作させる前に、あらかじめ装飾可動部15の動作パターンデータ(駆動データ)を、各モータのパルス周波数をも設定した状態で作成し、その作成した動作パターンデータに沿って装飾可動部15を動作させていた。
具体的には、例えば、従来では本形態とは異なり、変動演出開始処理(S4502)において、装飾回転体510の回転演出に係る回転演出用モータ511の動作パターンデータを、その回転演出中の回転演出用モータ511のパルス周波数も含めて作成していた。そして、従来では本形態とは異なり、駆動制御処理(S4203)において、作成した動作パターンデータに沿って、回転演出が行われるようにしていた。
このため、従来では、装飾回転体510が実際には拡大形態であるにも関わらず、設計や製造段階でのミスにより、作成される動作パターンデータが500ppsであった場合には、回転演出中の回転演出用モータ511のパルス周波数が、500ppsとなってしまっていた。この場合、回転演出用モータ511の負荷トルクが高い状態であるにも関わらず、回転演出用モータ511が500ppsのパルス周波数で駆動されてしまい、出力トルクが不足してしまうおそれがあった。つまり、回転演出用モータ511の脱調が発生する可能性があり、回転演出が適切に実行されないおそれがあった。これにより、従来では、回転演出が想定通りに実行されず、装飾可動部15を用いた演出の興趣が低下してしまうおそれがあった。
また、装飾回転体510が実際には縮小形態であるにも関わらず、設計や製造段階でのミスにより、作成される動作パターンデータが約333ppsであった場合には、回転演出中の回転演出用モータ511のパルス周波数が、約333ppsとなってしまっていた。この場合、回転演出用モータ511の出力トルクが負荷トルクに対して不足する可能性が低い状態であるにも関わらず、回転演出用モータ511が、パルス周波数の低い約333ppsで駆動されてしまうおそれがあった。これにより、従来では、装飾回転体510の回転が想定よりも遅くなってしまい、装飾可動部15を用いた演出の興趣が低下してしまうおそれがあった。
これに対し、本形態では、装飾回転体510の回転演出を行うときに、装飾回転体510の形態が縮小形態であるか拡大形態であるかを把握し、装飾回転体510の形態に合わせて、回転演出用モータ511のパルス周波数を調整可能である。このため、装飾回転体510が拡大形態であるときに、パルス周波数を、誤って500ppsに設定することなく、約333ppsに設定することが可能である。また、装飾回転体510が縮小形態であるときに、パルス周波数を、誤って約333ppsに設定することなく、500ppsに設定することが可能である。よって、装飾可動部15によって興趣性の高い演出を行うことが可能な遊技機が実現されている。
また本形態のパチンコ遊技機1の演出制御用マイコン91は、装飾回転体510が負荷トルクの低い縮小形態であるか負荷トルクの高い拡大形態であるかの判定 (S4306)を、回転演出中に行っている(S4305でYES)。そして、演出制御用マイコン91は、装飾回転体510が負荷トルクの高い拡大形態であると判定したとき(S4306でNO)には、負荷トルクの低い縮小形態であると判定したとき (S4306でYES) よりも、回転演出用モータ511のパルス周波数を、低く調整している。すなわち、負荷トルクの高い拡大形態のときには、負荷トルクの低い縮小形態のときよりも、回転演出用モータ511の駆動速度を遅く調整している。これにより、本形態の演出制御用マイコン91は、回転演出中に、回転演出用モータ511の負荷トルクの程度を判断し、負荷トルクに合わせて回転演出用モータ511の駆動速度を適切に調整することが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1の演出制御用マイコン91は、装飾回転体510が負荷トルクの低い縮小形態であるか負荷トルクの高い拡大形態であるかの判定を、回転演出中に繰り返し実行される駆動制御処理(S4203)において行っている。つまり、装飾回転体510が負荷トルクの低い縮小形態であるか負荷トルクの高い拡大形態であるかの判定を、回転演出中に複数回、行っている。さらに、演出制御用マイコン91は、回転演出中に装飾回転体510が縮小形態から拡大形態へと変化したときには、回転演出用モータ511の駆動に係るパルス周波数を、500ppsから約333ppsへと調整する。また、演出制御用マイコン91は、回転演出中に装飾回転体510が拡大形態から縮小形態へと変化したときには、回転演出用モータ511の駆動に係るパルス周波数を、約333ppsから500ppsへと調整する。すなわち、演出制御用マイコン91は、回転演出中に装飾回転体510が縮小形態および拡大形態の一方から他方へと変化したときには、回転演出用モータ511の駆動速度を調整可能である。
このため、例えば、装飾回転体510の形態を回転演出中に変化させるような演出を行ったとしても、その装飾回転体510の形態に合わせた駆動速度で、回転演出用モータ511を駆動することが可能である。さらには、例えば、装飾回転体510の形態が、本実施形態では想定していない回転演出中のタイミングで変化したとしても、その装飾回転体510の形態に合わせた駆動速度で、回転演出用モータ511を駆動することが可能である。なお、装飾回転体510の形態が、本実施形態では想定していない回転演出中のタイミングで変化する場合には、例えば、球づまり解消のため等で前面枠51が開放された際に、作業者が装飾回転体510に触れて形態が変化しまった場合が考えられる。その他、拡大縮小用モータ512の故障の場合や、拡大動作または縮小動作のタイミングの設計ミスの場合等にも、装飾回転体510の形態が、本実施形態では想定していない回転演出中のタイミングで変化してしまうことがある。すなわち、回転演出中であっても、回転演出用モータ511の駆動速度を装飾回転体510の形態変化に合わせて調整できるため、回転演出用モータ511の脱調を適切に抑制可能である。
また、本形態の駆動制御処理(S4203)は、特に、拡大形態時における回転演出用モータ511の負荷トルクが、回転演出用モータ511のパルス周波数500ppsでの出力トルクを超過している場合に効果がある。すなわち、拡大形態の装飾回転体510を、回転演出用モータ511により,パルス周波数500ppsの駆動速度で駆動することができない場合において、特に効果が発揮される。なお、拡大形態時における回転演出用モータ511の負荷トルクは、パルス周波数約333ppsでの回転演出用モータ511の出力トルク以下である。本形態の回転演出用モータ511は、パルス周波数約333ppsのときには、500ppsのときよりも、出力トルクが高いからである。
よって、拡大形態時には、回転演出用モータ511を、パルス周波数約333ppsの駆動速度で、脱調させることなく確実に駆動することが可能である。さらに、縮小形態時には、回転演出用モータ511を、パルス周波数500ppsの駆動速度、すなわち、拡大形態時には回転演出用モータ511を適切に駆動できないほどの速い駆動速度で駆動させることが可能である。これにより、拡大形態時における回転演出の興趣を低下させてしまうことなく、縮小形態時における回転演出の興趣を高めることが可能である。
8.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。
例えば、上記形態では、装飾回転体510の拡大形態を回転演出用モータ511の負荷トルクの高い状態、装飾回転体510の縮小形態を回転演出用モータ511の負荷トルクの低い状態として説明した。しかし、ある駆動部による装飾可動部の状態の変化により、他の駆動部の負荷トルクが変化する構成のものであれば、本発明を適用することが可能である。例えば、以下の第1変形例、第2変形例のようなものである。
<第1変形例>
装飾可動部の第1変形例について説明する。図27に、第1変形例に係る装飾可動部15を示す。第1変形例に係る装飾可動部15は、上記形態と同じ構成のものである。ただし、第1変形例における装飾可動部15は、上記形態と異なる動作を行う。
具体的に、第1変形例に係る装飾可動部15の進出退避部500は、上記形態と同様に,退避位置と、進出位置とをとることができる。また、第1変形例に係る進出退避部500についても、上記形態と同様に,退避位置から進出位置まで移動する進出動作と、進出位置から退避位置まで移動する退避動作とを行うことができる。加えて、第1変形例に係る装飾可動部15の進出退避部500は、上記形態とは異なり、退避位置から進出位置までの間の中間進出位置をとることができる。すなわち、第1変形例に係る進出退避部500は、退避位置から中間進出位置まで移動する中間進出動作と、中間進出位置から退避位置まで移動する中間退避動作とを行うことができる。
さらに、第1変形例に係る装飾可動部15の装飾回転体510は、進出動作、退避動作、中間進出動作、中間退避動作と合わせて回転演出を行う。つまり、第1変形例に係る装飾可動部15は、回転演出を行いつつ進出動作を行う回転進出動作と、回転演出を行いつつ退避動作を行う回転退避動作と、回転演出を行いつつ中間進出動作を行う回転中間進出動作と、回転演出を行いつつ中間退避動作を行う回転中間退避動作とを行うことができる。なお、第1変形例に係る装飾回転体510は、回転進出動作、回転退避動作、回転中間進出動作、回転中間退避動作が行われている間、いずれも縮小形態をとる。
このような第1変形例に係る装飾可動部15では、回転進出動作、回転退避動作、回転中間進出動作、回転中間退避動作をいずれも、回転演出用モータ511のパルス周波数を500ppsとして実行した場合に、問題が生じることがある。具体的に、回転演出用モータ511のパルス周波数を500ppsとした場合、回転中間進出動作の終期と、回転中間退避動作の始期とにおいて、回転演出用モータ511の脱調のおそれがある。回転中間進出動作の終期と、回転中間退避動作の始期とにおいては、進出退避部500の移動に伴い、装飾回転体510に強い遠心力がかかるため、回転演出用モータ511の負荷トルクが一時的に非常に高くなってしまうためである。なお、その他の回転進出動作、回転退避動作、回転中間進出動作の始期、回転中間退避動作の終期については、回転演出用モータ511の負荷トルクが低く、パルス周波数を500ppsとしても脱調は生じない。
そこで、第1変形例に係る演出制御用マイコン91は、装飾回転体510の中心515が、図27に示す高負荷トルク領域TA内にあるときには、回転演出用モータ511のパルス周波数を約333ppsに調整する。一方、装飾回転体510の中心515が、高負荷トルク領域TA外にあるときには、回転演出用モータ511のパルス周波数を500ppsに調整する。具体的に、第1変形例に係る演出制御用マイコン91は、図21に示す駆動制御処理(S4203)のステップS4306において、装飾回転体510の中心515が高負荷トルク領域TA外であるか否かを判定するものであればよい。そして、装飾回転体510の中心515が高負荷トルク領域TA外である場合には(S4306でYES)500ppsのパルス周波数で、装飾回転体510の中心515が高負荷トルク領域TA内である場合には(S4306でNO)約333ppsのパルス周波数で、回転演出用モータ511を駆動するものであればよい。
これにより、回転中間進出動作の終期と、回転中間退避動作の始期とにおいても、回転演出用モータ511が脱調してしまうことを抑制することが可能である。また、装飾回転体510の中心515が高負荷トルク領域TA内にあるか否かは、例えば、装飾回転体510の中心515が高負荷トルク領域TA内にあるときにのみ「ON」信号を出力する位置検出センサを設けておき、その位置検出センサの検出信号によって判定することが可能である。
<第2変形例>
装飾可動部の第2変形例について説明する。図28に、第2変形例に係る装飾可動部600を示す。第2変形例に係る装飾可動部600は、上記形態と異なる構成のものである。
装飾可動部600は、図28に示すように、板状の装飾可動体610を有している。装飾可動体610は、例えば、遊技盤の上部に設けられている、ロゴ等が示された演出用の役物である。装飾可動体610の左側の部分には、穴611が設けられている。また、装飾可動体610の穴611の右側の部分には、左右方向に長い長穴612が設けられている。
装飾可動体610の穴611には、振動ギア620の外縁に設けられたピン622が挿入されている。振動ギア620は、軸621を中心として回転することができる。さらに、振動ギア620には、振動演出用モータ630の軸631に設けられた駆動ギア632が噛み合っている。振動演出用モータ630としては、例えば、ステッピングモータを用いることができる。
また、装飾可動体610の長穴612には、ラック640の下部に設けられたピン641が挿入されている。ラック640は、上下方向にのみ移動できるものである。さらに、ラック640には、鉛直移動用モータ650の軸651に設けられたピニオン652が噛み合っている。鉛直移動用モータ650についても、例えば、ステッピングモータを用いることができる。
装飾可動部600では、振動演出用モータ630を駆動することで、装飾可動体610を、ラック640のピン641を中心として、矢印Jで示すように小刻みに振動させる振動演出を行うことができる。また、装飾可動部600では、鉛直移動用モータ650を駆動することで、装飾可動体610に、図28に実線で示す基準姿勢と、基準位置よりもラック640を下方向に移動させて装飾可動体610を傾斜させた傾斜姿勢とをとらせることができる。そして、第2変形例に係る装飾可動部600は、基準姿勢における振動演出と、傾斜姿勢における振動演出とを行うことができる。
このような装飾可動部600において、振動演出に係る振動演出用モータ630の負荷トルクは、装飾可動体610が傾斜姿勢をとっているときには、基準姿勢をとっているときよりも、高くなりがちである。基準姿勢では、装飾可動体610の重量が、振動ギア620のピン622と、ラック640のピン641とにほぼ均等にかかっている。これに対し、傾斜姿勢では、装飾可動体610の重量がほとんど、振動ギア620のピン622にかかることとなるからである。
よって、第2変形例に係る装飾可動部600を有するパチンコ遊技機の演出制御用マイコンは、基準姿勢においては、振動演出における振動演出用モータ630のパルス周波数を、例えば、500ppsに調整する。一方、傾斜姿勢においては、振動演出における振動演出用モータ630のパルス周波数を、基準姿勢のときよりも低い約333ppsに調整する。これにより、負荷トルク高い傾斜姿勢においても、振動演出用モータ630が脱調してしまうことを抑制することが可能である。また、装飾可動体610の姿勢が基準姿勢であるか傾斜姿勢であるかの判定は、例えば、装飾可動体610が傾斜姿勢をとっているときにのみ「ON」信号を出力する姿勢検出センサを設けておき、その姿勢検出センサの検出信号によって行うことが可能である。
また例えば、上記形態、第1変形例、第2変形例ではそれぞれ、一方の駆動部である第1駆動部(回転演出用モータ511、振動演出用モータ630)の負荷トルクが、他方の駆動部である第2駆動部(拡大縮小用モータ512、進出退避用モータ501、鉛直移動用モータ650)の駆動に伴う演出可動部の状態変化により異なる構成において、その演出可動部の状態を、形態、位置、姿勢のいずれかを検出することで取得するものとして説明している。しかし、演出可動部の状態は、例えば、第2駆動部を駆動するための制御信号から取得することも可能である。具体的には、上記形態における拡大縮小用モータ512の励磁相を切り替えるときに演出制御用マイコン91が出力する信号である。また例えば、演出可動部の状態は、第2駆動部の動作に係る駆動データによっても取得することができる。具体的には、上記形態における拡大動作または縮小動作を行う際に演出制御用マイコン91が作成する、拡大縮小用モータ512の動作パターンデータ(駆動データ)である。よって、これら第2駆動部の制御信号や、第2駆動部の動作に係る駆動データに基づいて、第1駆動部の駆動速度を調整することも可能である。
また例えば、上記では、第1駆動部のパルス周波数を、負荷トルクが低い第1状態では500ppsに調整し、負荷トルクが高い第2状態では約333ppsに調整するものとして説明している。しかし、これは単なる一例であり、第1駆動部のパルス周波数は、負荷トルクが高い第2状態において、負荷トルクが低い第1状態よりも低くなるように調整すればよい。
また例えば、演出可動部の構成は、当然、上記形態、第1変形例、第2変形例で説明した具体例に限定されるものではない。すなわち、本発明は、上記形態、第1変形例、第2変形例で説明した装飾可動部の構成に限らず、一方の駆動部の負荷トルクが、他方の駆動部の駆動に伴って変化する構成の装飾可動部であれば、好適に適用することが可能である。
また例えば、上記形態では、ステッピングモータとして、2相ユニポーラ駆動のものを用いることとして説明している。しかし、ステッピングモータは、2相ユニポーラ駆動のものに限られるものではない。例えば、ステッピングモータとして、2相バイポーラ駆動のものを用いることもできる。また例えば、ステッピングモータとして、2相以外の相数のものを用いることもできる。また例えば、上記形態では、ステッピングモータの励磁相の切り替えを2相励磁により行うものとして説明している。しかし、ステッピングモータの励磁相の切り替えは、1相励磁または1−2相励磁により行ってもよい。
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、大当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、いわゆるV確機(特定領域39の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成したが、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成してもよい。また上記形態では、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成したが、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、特図2の変動を特図1の変動に優先して実行するように構成した。これに対して、特図2の変動と特図1の変動を始動口への入賞順序に従って実行するように構成してもよい。この場合、第1特図保留と第2特図保留とを合算して記憶可能な記憶領域をRAM84に設け、その記憶領域に入賞順序に従って判定用情報を記憶し、記憶順の古いものから消化するように構成すればよい。また、特図2の変動中であっても特図1の変動を実行でき、且つ、特図1の変動中であっても特図2の変動を実行できるように構成してもよい。つまり、所謂同時変動を行う遊技機として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
9.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の手段1〜4の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
手段1に係る発明は、
予め定められた制御条件の成立に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態に制御される遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
駆動力を発生させることが可能な第1の駆動部(回転演出用モータ511)および第2の駆動部(拡大縮小用モータ512)と、
前記第1の駆動部の駆動力によって第1の動作(回転演出)をし、前記第2の駆動部の駆動力によって第2の動作(拡大動作または縮小動作)をする演出可動部(装飾回転体510)と、
前記第1の駆動部を駆動する第1の駆動制御を実行する第1の駆動制御手段(ステップS4308を行う演出制御用マイコン91)と、
前記第2の駆動部を駆動する第2の駆動制御を実行する第2の駆動制御手段(ステップS4304を行う演出制御用マイコン91)と、を有し、
前記演出可動部は、前記第2の動作に伴い状態が変化(縮小形態と拡大形態とで形態が変化)するものであり、
前記第1の駆動制御手段は、前記第1の駆動制御における駆動速度を、前記演出可動部の状態に合わせて調整(ステップS4306からステップS4309を行う)するものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、演出可動部の状態により、第1の駆動部の駆動速度を適切に調整できるため、駆動不良を抑制可能である。そして、第1の駆動部の駆動不良を抑制することで、演出可動部によって興趣性の高い演出を行うことが可能な遊技機が提供されている。
手段2に係る発明は、
手段1に記載の遊技機であって、
前記演出可動部は、前記第2の動作に伴い、第1の状態(縮小形態)と、前記第1の動作を行うための前記第1の駆動部の負荷トルクが前記第1の状態よりも高い第2の状態(拡大形態)とをとることが可能なものであり、
前記演出可動部が前記第1の状態であるか、前記第2の状態であるかを判定する負荷状態判定を、前記第1の駆動制御中に行う負荷状態判定手段(ステップS4305でYESの場合にS4306を行う演出制御用マイコン91)を有し、
前記第1の駆動制御手段は、前記負荷状態判定にて前記第2の状態であると判定されたときには、前記第1の状態であると判定されたときよりも、前記第1の駆動制御における駆動速度を遅く調整する(回転演出における回転演出用モータ511のパルス周波数を、拡大形態のときには例えば約333ppsに調整し、縮小形態のときには例えば500ppsに調整する)ものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、第1の駆動部の駆動中に、第1の駆動部の負荷トルクの程度を判定し、その負荷トルクに合わせて駆動速度を適切に調整可能である。
手段3に係る発明は、
手段2に記載の遊技機であって、
前記負荷状態判定手段は、前記第1の駆動制御中に前記負荷状態判定を複数回、実行する(ステップS4305およびS4306を1msタイマ割り込み処理(S4009)の駆動制御処理(S4203)で行う)ものであり、
前記第1の駆動制御手段は、前記第1の駆動制御中に、前記負荷状態判定の結果が前記第1の状態および前記第2の状態の一方から他方になったときには、前記第1の駆動制御における駆動速度を調整可能な(ステップS4307からステップS4309を1msタイマ割り込み処理(S4009)の駆動制御処理(S4203)で行う)ものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、第1の駆動部の駆動中に、複数回、負荷トルクの程度を判定し、その負荷トルクに合わせて駆動速度を調整可能である。このため、例えば、第1の駆動部の駆動中に、第2の動作に伴って第1の駆動部の負荷トルクが変化するような場合であっても、その負荷トルクに合わせて適切に第1の駆動部の駆動速度を調整可能である。
手段4に係る発明は、
手段2または手段3に記載の遊技機であって、
前記第1の駆動制御手段は、前記負荷状態判定にて前記第1の状態であると判定されたときには、前記第1の駆動制御における駆動速度を、前記第2の状態であった際の前記負荷トルクが前記第1の駆動部の出力トルクを超過する駆動速度に調整可能な(縮小形態のときには、回転演出用モータ511を、拡大形態の際の負荷トルクが回転演出用モータ511の出力トルクを超過する500ppsで駆動する)ものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、演出可動部が第1の状態のときに、第2の状態のときには不可能なほどの速い速度で、演出可動部に第1の動作を行わせることが可能である。
手段5に係る発明は、
手段2から手段4までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記第2の駆動制御手段は、前記第2の駆動制御(拡大動作または縮小動作)により前記演出可動部の形態を制御することで、前記演出可動部に、前記第1の状態となる第1の形態(縮小形態)と前記第2の状態となる第2の形態(拡大形態)とをとらせることが可能なものであり、
前記演出可動部の形態を検出する形態検出手段(拡大検出センサ513、縮小検出センサ514)を有し、
前記負荷状態判定手段は、前記形態検出手段の検出状態に基づいて、前記負荷状態判定を行うものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、形態検出手段の検出状態に基づいて負荷状態判定を適切に行うことが可能である。よって、適切に行われた負荷状態判定に基づいて、第1の駆動部の駆動速度を正確に調整可能である。
手段6に係る発明は、
手段2から手段4までのいずれかに記載の遊技機(第1変形例に係るパチンコ遊技機)であって、
前記第2の駆動制御手段は、前記第2の駆動制御(中間進出動作または中間退避動作)により前記演出可動部(装飾回転体510)の位置を制御することで、前記演出可動部に、前記第1の状態となる第1の位置(装飾回転体510の中心515を高負荷トルク領域TA外)と前記第2の状態となる第2の位置(装飾回転体510の中心515を高負荷トルク領域TA内)とをとらせることが可能なものであり、
前記演出可動部の位置を検出する位置検出手段(例えば、装飾回転体510の中心515が高負荷トルク領域TA内にあるときにのみ「ON」信号を出力する位置検出センサ)を有し、
前記負荷状態判定手段は、前記位置検出手段の検出状態に基づいて、前記負荷状態判定を行うものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、位置検出手段の検出状態に基づいて負荷状態判定を適切に行うことが可能である。よって、適切に行われた負荷状態判定に基づいて、第1の駆動部の駆動速度を正確に調整可能である。
手段7に係る発明は、
手段2から手段4までのいずれかに記載の遊技機(第2変形例に係るパチンコ遊技機)であって、
前記第2の駆動制御手段は、前記第2の駆動制御(ラック640の上下方向の移動)により前記演出可動部(装飾可動体610)の姿勢を制御することで、前記演出可動部に、前記第1の状態となる第1の姿勢(基準姿勢)と前記第2の状態となる第2の姿勢(傾斜姿勢)とをとらせることが可能なものであり、
前記演出可動部の姿勢を検出する姿勢検出手段(例えば、装飾可動体610が傾斜姿勢をとっているときにのみ「ON」信号を出力する姿勢検出センサ)を有し、
前記負荷状態判定手段は、前記姿勢検出手段の検出状態に基づいて、前記負荷状態判定を行うものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、姿勢検出手段の検出状態に基づいて負荷状態判定を適切に行うことが可能である。よって、適切に行われた負荷状態判定に基づいて、第1の駆動部の駆動速度を正確に調整可能である。
手段8に係る発明は、
手段2から手段4までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記負荷状態判定手段は、
前記第2の駆動制御手段から出力される前記第2の駆動制御に係る制御信号(拡大縮小用モータ512の励磁相を切り替えるときに演出制御用マイコン91が出力する信号)を取得するとともに、
取得した前記制御信号に基づいて、前記負荷状態判定を行うものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、第2の駆動制御に係る制御信号に基づいて負荷状態判定を適切に行うことが可能である。よって、適切に行われた負荷状態判定に基づいて、第1の駆動部の駆動速度を正確に調整可能である。
手段9に係る発明は、
手段2から手段4までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記第2の駆動制御手段は、前記第2の動作に係る駆動データ情報(拡大動作または縮小動作を行う際に演出制御用マイコン91が作成する、拡大縮小用モータ512の動作パターンデータ)に基づいて前記第2の駆動制御を実行するものであり、
前記負荷状態判定手段は、
前記駆動データ情報を取得するとともに、
取得した前記駆動データ情報に基づいて、前記負荷状態判定を行うものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、第2の動作に係る駆動データ情報に基づいて負荷状態判定を適切に行うことが可能である。よって、適切に行われた負荷状態判定に基づいて、第1の駆動部の駆動速度を正確に調整可能である。