1.遊技機の構造
本発明の実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として、説明する。
図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機PY1は、当該パチンコ遊技機PY1の外郭を構成する遊技機枠2を備えている。遊技機枠2は、図2に示すように、外枠22と内枠21と前扉(前枠)23とを備えている。外枠22は、パチンコ遊技機PY1の外郭部を形成する縦長方形状の枠体である。内枠21は、外枠22の内側に配置されていて、後述の遊技盤1を取付ける縦長方形状の枠体である。前扉23は、外枠22及び内枠21の前面側に配置されていて、遊技盤1を保護する縦長方形状のものである。前扉23は、遊技者に正対する部分であり、種々の飾り付けがなされている。また前扉23には、装飾用として発光可能な枠ランプ212が多数設けられていると共に、音を出力可能なスピーカ620(図1では図示省略)が設けられている。
遊技機枠2は、左端側にヒンジ部24を備えて構成されている。このヒンジ部24により、前扉23は、外枠22及び内枠21に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠21は、外枠22及び前扉23に対してそれぞれ回動自在になっている。前扉23の中央には開口部23aが形成されていて、遊技者が後述の遊技領域6Xを視認できるように透明の透明板23tが開口部23aに取付けられている。透明板23tは、本形態ではガラス板であるが、透明な合成樹脂板であってもよい。すなわち、透明板23tは、前方から遊技領域6Xを視認可能なものであればよい。
図1に示すように、前扉23は、上側に上側装飾ユニット200を備え、左側に左側装飾ユニット210を備え、右側に右側装飾ユニット220を備え、下側に操作機構ユニット230を備えている。なおこれらの各ユニットは、前扉23のベース枠23w(図2参照)の前面側に取付けられている。
操作機構ユニット230は、右下部に、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル72k(発射操作部)を備えている。また操作機構ユニット230には、遊技球(貸球や賞球)を貯留する上皿34が設けられているとともに、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る入力部(演出ボタン)40kやセレクトボタン(十字キー)42kが設けられている。また操作機構ユニット230の下側には、上皿34に収容しきれない遊技球を貯留する下皿35が設けられている。
上側装飾ユニット200は、上下方向に移動(昇降)可能な昇降ユニット300と、昇降ユニット300に昇降するための駆動力を付与可能な昇降モータ310(図1では図示省略)とを備えている。昇降ユニット300は、通常時には、図1に示す退避位置にある。そして昇降ユニット300は、後述するSPリーチ等、当選期待度が高い演出の実行中に、図1に示す退避位置から図3に示す伸長位置へ移動し得る。なお昇降ユニット300は、実行中の演出が終了するのに伴って、図3に示す伸長位置から図1に示す退避位置へ移動(復帰)するようになっている。
昇降ユニット300は、左側に開閉可能な左上部ユニット500を備え、右側に開閉可能な右上部ユニット550を備えている。また昇降ユニット300は、左上部ユニット500に開閉するための駆動力を付与可能な左上部モータ531と、右上部ユニット550に開閉するための駆動力を付与可能な右上部モータ581とを備えている。左上部ユニット500と右上部ユニット550は、通常時には図1又は図3に示す閉鎖位置にある。そして左上部ユニット500と右上部ユニット550は、後述するSPリーチ等、当選期待度が高い演出の実行中に、図3に示す閉鎖位置から図4に示す開放位置へ移動し得る。なお左上部ユニット500と右上部ユニット550は、実行中の演出が終了するのに伴って、図4に示す開放位置から図3に示す閉鎖位置へ移動し得る。
遊技機枠2には、図5に示す遊技盤1が取付けられている。遊技盤1は、前方側に配置される板状部材1Aと、板状部材1Aの後側に配される裏ユニット1B(図7参照)とが一体化されたものである。
図2に示すように、板状部材1A(遊技盤1)には、ハンドル72kの操作により発射された遊技球が流下する遊技領域6Xが、レール部材62で囲まれて形成されている。また板状部材1Aには、遊技領域6Xにて遊技球が流下する方向を変えるための複数の遊技くぎが突設されている。板状部材1Aは、透明の合成樹脂で構成されている。そのため遊技者は、透明な板状部材1Aを通して、後述する裏ユニット1Bの前方側を視認可能である。
遊技盤1において、遊技領域6Xの中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置50(演出表示手段)が設けられている。この画像表示装置50は、板状部材1Aに設けられているものではなく、裏ユニット1Bに設けられているものである。なお画像表示装置は、有機EL表示装置などの他の画像表示装置であってもよい。画像表示装置50の表示画面50a(表示部)には、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄EZ(装飾図柄)の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。なお、演出図柄EZを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄変動演出を「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。
演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの演出図柄表示領域からなる。左演出図柄表示領域には左演出図柄EZ1が表示され、中演出図柄表示領域には中演出図柄EZ2が表示され、右演出図柄表示領域には右演出図柄EZ3が表示される。演出図柄EZはそれぞれ、例えば「1」〜「8」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置50は、左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器81aおよび第2特別図柄表示器81bにて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器81aや第2特別図柄表示器81bにより把握するのではなく、画像表示装置50にて把握する。なお、演出図柄表示領域の位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
画像表示装置50は、上記のような演出図柄EZを用いた演出図柄変動演出のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出(客待ち演出)などを表示画面50aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄EZのほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄EZ以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置50の表示画面50aには、後述の第1特図保留や第2特図保留の記憶数に応じて保留アイコンHA(演出保留画像)を表示する保留アイコン表示領域がある。保留アイコンHAの表示により、後述の第1特図保留表示器83aにて表示される第1特図保留の記憶数や、後述の第2特図保留表示器83bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域6Xの中央付近であって画像表示装置50の前方には、センター枠部61(内側壁部)が配されている。センター枠部61は、板状部材1Aの中央部分に形成された略円形状の開口から、前方に突出する区画壁である。つまり、センター枠部61によって、遊技領域6Xの内側が区画されている。センター枠部61の下方には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口11へと誘導可能なステージ61sが形成されている。またセンター枠部61の左下部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ61sへ遊技球を流出させるワープ61wが設けられている。
遊技領域6Xにおける画像表示装置50の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口11を備える第1始動入賞装置11Dが設けられている。第1始動口11を、第1入球口や、固定入球口、第1始動入賞口、第1始動領域ともいう。また第1始動入賞装置11Dを、第1入球手段や、固定入球手段、第1始動入賞装置ともいう。第1始動口11への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また遊技領域6Xにおける第1始動口11の下方には、第2始動口12を備える普通可変入賞装置(普通電動役物いわゆる電チュー)12Dが設けられている。第2始動口12を、第2入球口や、可変入球口、第2始動入賞口、第2始動領域ともいう。電チュー12Dを、第2入球手段や、可変入球手段、第2始動入賞装置ともいう。第2始動口12への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。
電チュー12Dは、開状態と閉状態とをとる電チュー開閉部材12k(入球口開閉部材)を備え、電チュー開閉部材12kの作動によって第2始動口12を開閉するものである。電チュー開閉部材12kは、後述の電チューソレノイド12sにより駆動される。電チュー開閉部材12kが開状態にあるときには、第2始動口12への遊技球の入球が可能となり、閉状態にあるときには、第2始動口12への遊技球の入球が不可能となる。つまり、第2始動口12は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。なお、電チュー12Dは、電チュー開閉部材12kが開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口12への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口12への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域6Xにおける第1始動口11の右方には、大入賞口14を備えた大入賞装置(特別電動役物)14Dが設けられている。大入賞口14を、特別入賞口ともいう。また大入賞装置14Dを、アタッカー(AT)や、特別入賞手段、特別可変入賞装置ともいう。大入賞装置14Dは、開状態と閉状態とをとるAT開閉部材14k(特別入賞口開閉部材)を備え、AT開閉部材14kの作動により大入賞口14を開閉するものである。AT開閉部材14kは、後述のATソレノイド14sにより駆動される。大入賞口14は、AT開閉部材14kが開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
センター枠部61の右方には、遊技球が通過可能なゲート13が設けられている。ゲート13を、通過口や通過領域ともいう。ゲート13への遊技球の通過は、電チュー12Dを開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。さらに遊技領域6Xの下部には、複数の一般入賞口10が設けられている。また遊技領域6Xの最下部には、遊技領域6Xへ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域6X外へ排出するアウト口19が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域6Xには、左右方向の中央より左側の左遊技領域6L(第1遊技領域)と、右側の右遊技領域6R(第2遊技領域)とがある。左遊技領域6Lを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域6Rを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機PY1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路W1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路W2という。
第1流路W1上には、第1始動口11と、一般入賞口10、電チュー12Dと、アウト口19とが設けられている。遊技者は第1流路W1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口11や一般入賞口10への入賞を狙うことができる。なお、第1流路W1上にゲートは配されていないため、左打ちをしている場合に電チュー12Dが開放されることはない。
一方、第2流路W2上には、ゲート13と、一般入賞口10と、大入賞装置14Dと、電チュー12Dと、アウト口19とが設けられている。遊技者は第2流路W2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート13への通過や、一般入賞口10、第2始動口12、及び大入賞口14への入賞を狙うことができる。
また図5に示すように、遊技盤1の右下部には表示器類8が配置されている。表示器類8には、図6に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器81a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器81b、及び、普通図柄(普図)を可変表示する普通図柄表示器82が含まれている。第1特別図柄を、第1特図又は特図1ともいい、第2特別図柄を第2特図又は特図2ともいう。また、普通図柄を普図ともいう。
また表示器類8には、第1特別図柄表示器81aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器83a、第2特別図柄表示器81bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器83b、および普通図柄表示器82の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器84が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口11への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口12への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄(特図)ということがある。また、第1特別図柄表示器81aおよび第2特別図柄表示器81bを総称して特図表示器81ということがある。また、第1特図保留表示器83aおよび第2特図保留表示器83bを総称して特図保留表示器83ということがある。また第1特図保留および第2特図保留を総称して特図保留ということがある。
特図表示器81では、特別図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口の開放パターンについては後述する。
具体的には特図表示器81は、例えば横並びに配された8個のLED(Light Emitting Diode)から構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定用情報)は、後述の特図保留記憶部105に一旦記憶される。詳細には、第1始動口11への入賞であれば第1特図保留として、後述の第1特図保留記憶部105aに記憶され、第2始動口12への入賞であれば第2特図保留として、後述の第2特図保留記憶部105bに記憶される。各々の特図保留記憶部105に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ「4」となっている。
特図保留記憶部105に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器83に表示される。具体的には特図保留表示器83はそれぞれ、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート13への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器82では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口12を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口12の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器82は、例えば2個のLEDから構成されており(図6参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、後述の普図保留記憶部106に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部106に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は「4」となっている。
普図保留記憶部106に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器84に表示される。具体的には普図保留表示器84は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示する。
図7は、裏ユニット1Bの分解斜視図である。裏ユニット1Bは、図7に示すように、板状部材1A(図5参照)の直ぐ後方に配される背面ユニット3と、背面ユニット3の上側の後方に配される上側可動体ユニット4と、背面ユニット3の下側の後方に配される下側可動体ユニット5と、これら背面ユニット3と上側可動体ユニット4と下側可動体ユニット5とを組付ける裏ケース9とを備えている。なお図7に示す裏ユニット1Bでは、画像表示装置50と後述する遊技制御基板100等の各種制御基板について図示が省略されている。
図8は、図7に示す背面ユニット3の正面図である。背面ユニット3は、中央部分が開口しているベース部材3Aと、ベース部材3Aの下側に組付けられているロゴ部材3Bと、ベース部材3Aに組付けられている円弧状の発光レンズ3Cと、を備えている。ベース部材3Aには、発光可能な盤ランプ54Aが多数設けられている。ロゴ部材3Bは、「GIDREAM」の文字を形成している装飾部材であり、中空状に構成されている。ロゴ部材3Bの内部には、発光可能な盤ランプ54Bが多数設けられている。また発光レンズ3Cは、中空状に構成されていて、3つ並んで配置されている。各発光レンズ3Cの内部には、発光可能な盤ランプ54Cが多数設けられている。盤ランプ54A、盤ランプ54B、盤ランプ54Cから照射される光は、遊技盤1の板状部材1Aを介して遊技者に向かうようになっている。以下では、盤ランプ54Aと盤ランプ54Bと盤ランプ54Cとをまとめて、「盤ランプ54」と呼ぶことにする。
2.下側可動体ユニットの構成
次に、図9〜図13に基づいて、下側可動体ユニット5の構成について説明する。図9(A)(B)に示すように、下側可動体ユニット5は、ホルダ6と、脚可動体600と、脚移動モータ610と、頸可動体700と、頸移動モータ710と、頭可動体800(可動体)と、頭移動モータ810(駆動手段)とを主に備えている。
図10に示すように、ホルダ6は、脚可動体600と頸可動体700と頭可動体800とをコンパクトな状態で組付けるものである。このホルダ6は、図9(A)(B)に示すように、後側に起立した後壁部6aを備え、左右方向の中央から右側寄りに第1ギヤ機構6b(図11参照)を備え、右端に第2ギヤ機構6c(図11参照)を備えている。後壁部6aには、図9(B)に示すように、脚移動モータ610と、頸移動モータ710とが組付けられている。
図11に示すように、第1ギヤ機構6bは、脚可動体600を回転させるためのものであり、脚可動体600を回転軸601周りに回転可能に組付けている。この第1ギヤ機構6bは、多数のギヤを備えていて、脚移動モータ610に連結している。この第1ギヤ機構6bにより、脚移動モータ610の駆動力を脚可動体600に伝達可能である。
図11に示すように、第2ギヤ機構6cは、頸可動体700を回転させるためのものであり、頸可動体700を回転軸701周りに回転可能に組付けている。この第2ギヤ機構6cは、多数のギヤを備えていて、頸移動モータ710に連結している。この第2ギヤ機構6cにより、頸移動モータ710の駆動力を頸可動体700に伝達可能である。
図11に示すように、頸可動体700の先端部(図11の上側)には、第3ギヤ機構6dが設けられていると共に、頭移動モータ810(図9(B)参照)が設けられている。第3ギヤ機構6dは、頭可動体800を回転させるためのものであり、頭可動体800を回転軸801周りに回転可能に組付けている。この第3ギヤ機構6dは、第1ギヤ811と、第2ギヤ812とを備えている。第1ギヤ811は、頭移動モータ810に回転可能に組付けられていて、第2ギヤ812に噛合している。第2ギヤ812は、回転軸801を介して頭可動体800を組付けている。こうして、頭移動モータ810が回転駆動すると、第1ギヤ811と第2ギヤ812とが回転して、頭可動体800が回転軸801周りに回転可能である。つまり、第3ギヤ機構6dにより、頭移動モータ810の駆動力を頭可動体800に伝達可能である。
次に、脚可動体600と頸可動体700と頭可動体800とが移動し得る位置について順番に説明する。先ず脚可動体600の位置について説明する。脚可動体600は、通常時(初期状態)において、図10に示す位置にある。脚可動体600の図10に示す位置を、「待機位置」と呼ぶことにする。ここで、脚可動体600が待機位置にある状態から、脚移動モータ610が所定の正方向に回転駆動すると、図10⇒図11⇒図12に示すように、脚可動体600は先端側(足先側)が起き上がるように回転する。脚可動体600の図12に示す位置を、「動作位置」と呼ぶことにする。
以上、脚可動体600は、脚移動モータ610が正方向に回転駆動すると、図10に示す待機位置から図12に示す動作位置へ回転可能であり、脚移動モータ610が正方向とは逆の逆方向に回転駆動すると、図12に示す動作位置から図10に示す待機位置へ回転可能である。遊技者は、脚可動体600が待機位置にあるときには当該脚可動体600を視認不可能であるが(図5参照)、脚可動体600が動作位置にあるときには当該脚可動体600を画像表示装置50の前方にて視認可能である。
続いて、頸可動体700の位置について説明する。頸可動体700(他の可動体)は、通常時(初期状態)において、図10に示す位置にある。頸可動体700の図10に示す位置を、「格納位置(下降位置)」と呼ぶことにする。ここで、頸可動体700が格納位置にある状態から、頸移動モータ710が所定の正方向に回転駆動すると、図10⇒図11⇒図12に示すように、頸可動体700は先端側(頭側)が起き上がるように回転する。頸可動体700の図12に示す位置を、「出現位置(上昇位置)」と呼ぶことにする。
以上、頸可動体700は、頸移動モータ710が正方向に回転駆動すると、図10に示す格納位置から図12に示す出現位置へ回転可能であり、頸移動モータ710が正方向とは逆の逆方向に回転駆動すると、図12に示す出現位置から図10に示す格納位置へ回転可能である。遊技者は、頸可動体700が格納位置にあるときには当該頸可動体700を視認不可能であるが(図5参照)、頸可動体700が出現位置にあるときには当該頸可動体700を画像表示装置50の前方にて視認可能である。なお頸可動体700は、出現位置(上昇位置)にあるときには(図12参照)、格納位置(下降位置)にあるときよりも(図10参照)高い位置(上方)になっている。
最後に、頭可動体800の位置について説明する。なお頭可動体800は、上述したように頸可動体700に回転可能に組付けられているため、頸可動体700に対して姿勢(位置)が変化することになる。頭可動体800(可動体)は、通常時(初期状態)において、図10に示す位置にある。頭可動体800の図10に示す位置を、「初期位置(原点位置)」と呼ぶことにする。ここで、頭可動体800が初期位置にある状態から、頭移動モータ810が所定の正方向に回転駆動すると、図10⇒図11⇒図12に示すように、頭可動体800の先端側(鼻先側)802が、頸可動体700に対して時計方向に回転する。頭可動体800の図12に示す位置を、「高位置(第1位置,移動位置)」と呼ぶことにする。
以上、頭可動体800は、頭移動モータ810が正方向に回転駆動すると、図10に示す初期位置から図12に示す高位置へ回転可能であり、頭移動モータ810が正方向とは逆の逆方向に回転駆動すると、図12に示す高位置から図10に示す初期位置へ回転可能である。遊技者は、頭可動体800の位置に拘わらず、頸可動体700が格納位置にあるときには頭可動体800を視認不可能であるが(図5参照)、頸可動体700が出現位置にあるときには頭可動体800を画像表示装置50の前方にて視認可能である。
また本形態では、頭可動体800は、初期位置(図10参照)又は高位置(図12参照)以外の位置にも移動し得るようになっている。具体的には、図13(A)に示すように、頸可動体700が出現位置にあり且つ頭可動体800が高位置にある状態から、頭移動モータ810が逆方向に回転すると、図13(B)に示すように、頭可動体800の先端側802が下降するように回転する。このように頭可動体800は、頸可動体700が出現位置にある状態で、図13(A)に示す高位置から僅かに下降し得る。頭可動体800の図13(B)に示す位置を、「低位置(第2位置)」と呼ぶことにする。頭可動体800は、図13(B)に示す低位置に移動した後、頭移動モータ810が正方向に回転することで、図13(C)に示すように、再び高位置に戻るようになっている。
3.遊技機の電気的構成
次に図14〜図16に基づいて、本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。図14に示すように、パチンコ遊技機PY1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う遊技制御基板(主制御基板)100、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板170、電源を供給する電源基板190等を備えている。遊技制御基板100及び払出制御基板170は、メイン制御部を構成し、遊技の結果に影響を及ぼすおそれがある制御処理を実行可能な主基板に相当する。
図14に示すように、遊技制御基板100には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)101が実装されている。遊技制御用マイコン101には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶した遊技用ROM(Read Only Memory)103、ワークメモリとして使用される遊技用RAM(Random access memory)104、遊技用ROM103に記憶されたプログラムを実行する遊技用CPU(Central Processing Unit)102、データや信号の入出力を行うための遊技用I/Oポート部(入出力回路)118が含まれている。なお、遊技用ROM103は外付けであってもよい。
遊技用RAM104には、特図保留記憶部105(第1特図保留記憶部105aおよび第2特図保留記憶部105b)が設けられている。第1特図保留記憶部105aは、記憶可能な第1特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。また第2特図保留記憶部105bは、記憶可能な第2特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。各記憶領域は4つの記憶領域に分かれている。これらの4つの記憶領域とは、後述の大当たり乱数を記憶する領域、当たり種別乱数を記憶する領域、リーチ乱数を記憶する領域、及び変動パターン乱数を記憶する領域である。
また遊技用RAM104には、普図保留記憶部106が設けられている。普図保留記憶部106は、記憶可能な普図保留の数に対応した記憶領域からなる。各記憶領域は、普通図柄乱数を記憶する領域である。
また遊技制御基板100には、図14に示すように、中継基板110を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、遊技制御基板100には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには遊技制御基板100から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、ゲートセンサ13a、大入賞口センサ14a、および一般入賞口センサ10aが接続されている。
第1始動口センサ11aは、第1始動口11内に設けられて第1始動口11に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ12aは、第2始動口12内に設けられて第2始動口12に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ13aは、ゲート13内に設けられてゲート13を通過した遊技球を検出するものである。大入賞口センサ14aは、大入賞口14内に設けられて大入賞口14に入賞した遊技球を検出するものである。一般入賞口センサ10aは、各一般入賞口10内にそれぞれ設けられて一般入賞口10に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド12s、ATソレノイド14sが接続されている。電チューソレノイド12sは、電チュー12Dの電チュー開閉部材12kを駆動するものである。ATソレノイド14sは、大入賞装置14DのAT開閉部材14kを駆動するものである。
さらに遊技制御基板100には、第1特別図柄表示器81a、第2特別図柄表示器81b、普通図柄表示器82、第1特図保留表示器83a、第2特図保留表示器83b、および普図保留表示器84が接続されている。すなわち、これらの表示器類8の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
また遊技制御基板100は、払出制御基板170に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板170から信号を受信する。払出制御基板170には、カードユニットCU(パチンコ遊技機PY1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)、および賞球払出装置73が接続されているとともに、発射制御回路175を介して発射装置72が接続されている。発射装置72には、ハンドル72k(図1参照)が含まれる。
払出制御基板170は、遊技制御用マイコン101からの信号や、パチンコ遊技機PY1に接続されたカードユニットCUからの信号に基づいて、賞球払出装置73の賞球モータ73mを駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ73aにより検知されて、賞球センサ73aによる検出信号が払出制御基板170に出力される。
なお遊技者による発射装置72のハンドル72k(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ72aがハンドル72kへの接触を検知し、発射ボリューム72bがハンドル72kの回転量を検知する。そして、発射ボリューム72bの検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射ソレノイド72sが駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機PY1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また遊技制御基板100は、図15に示す演出制御基板120に対し各種コマンドを送信する。遊技制御基板100と演出制御基板120との接続は、遊技制御基板100から演出制御基板120への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、遊技制御基板100と演出制御基板120との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
パチンコ遊技機PY1は、図15に示すように、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板(サブ制御基板)120と、画像制御を行う画像制御基板140とを備える。演出制御基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)121が実装されている。演出制御用マイコン121(演出制御手段)には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶した演出用ROM123、ワークメモリとして使用される演出用RAM124、演出用ROM123に記憶されたプログラムを実行する演出用CPU122、データや信号の入出力を行うための演出用I/Oポート部(入出力回路)138が含まれている。なお、演出用ROM123は外付けであってもよい。
演出制御基板120には、画像制御基板140が接続されていると共に、図16に示すサブドライブ基板162が接続されている。演出制御基板120の演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の画像用CPU141に画像表示装置50の表示制御を行わせる。なお演出制御用マイコン121は、画像制御基板140の画像用入力回路147を介して制御信号を送信する。そして画像用CPU141は、画像制御基板140の画像用出力回路148を介して画像表示装置50に制御信号を送信する。
画像制御基板140の画像用RAM143は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板140の画像用ROM142には、画像表示装置50に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(装飾図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板140の画像用CPU141は、演出制御用マイコン121からの指令に基づいて画像用ROM142から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
画像制御基板140には、スピーカ620が接続されている。演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の音声用CPU149を介してスピーカ620から音声、楽曲、効果音等を出力する。なお音声用CPU149は、画像用CPU141からの指令に基づいて、音声制御回路150を介してスピーカ620の音声制御を行う。スピーカ620から出力する音声等の音響データは、演出制御基板120の演出用ROM123に格納されている。但し、音響データを画像制御基板140の画像用ROM142に格納しても良い。
なお画像制御基板140にスピーカ620の音声制御を行わせたが、画像制御基板140とは別に音声制御基板を設けて、この音声制御基板にスピーカ620の音声制御を行わせても良い。この場合、音声制御基板は演出制御基板120に接続されていても良いし、画像制御基板140を介して演出制御基板120に接続されていても良い。また音声制御基板にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。
また演出制御基板120には、演出ボタン検知センサ(入力部検知センサ)40a及びセレクトボタン検知センサ42aが接続されている。演出ボタン検知センサ40aは、入力部40kが押下操作されたことを検出するものである。入力部40kが押下操作されると、演出ボタン検知センサ40aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検知センサ42aは、セレクトボタン42kが押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタン42kが押下操作されるとセレクトボタン検知センサ42aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。
電源基板190(電力供給手段)は、図14及び図15に示すように、遊技制御基板100、演出制御基板120、及び払出制御基板170に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器(駆動部材等)に対して必要な電力を供給する。電源基板190には、バックアップ電源回路192が設けられている。バックアップ電源回路192は、本パチンコ遊技機PY1に対して電力(電源)が供給されていない場合に、遊技制御基板100の遊技用RAM104や演出制御基板120の演出用RAM124に対して電力を供給する。従って、遊技制御基板100の遊技用RAM104や演出制御基板120の演出用RAM124に記憶されている情報は、パチンコ遊技機PY1の電断時であっても保持される。また、電源基板190には、電源スイッチ191が接続されている。電源スイッチ191のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、遊技制御基板100の遊技用RAM104に対するバックアップ電源回路を遊技制御基板100に設けたり、演出制御基板120の演出用RAM124に対するバックアップ電源回路を演出制御基板120に設けたりしてもよい。
またパチンコ遊技機PY1は、図16に示すように、サブドライブ基板162を備えている。上述した演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、図16に示すサブドライブ基板162を介して枠ランプ212や盤ランプ54等の点灯(発光)制御を行う。演出制御用マイコン121は、枠ランプ212や盤ランプ54の発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ212や盤ランプ54の発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
また演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板162に接続された脚移動モータ610、頸移動モータ710、頭移動モータ810の駆動制御を行う。つまり演出制御用マイコン121は、脚可動体600、頸可動体700、頭可動体800の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データ)を作成し、動作パターンデータに従って脚移動モータ610、頸移動モータ710、頭移動モータ810の駆動を制御する。動作パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。なお動作パターンデータの中には、脚可動体600の動作態様を決める脚可動体駆動データ、頸可動体700の動作態様を決める頸可動体駆動データ、頭可動体800の動作態様を決める頭可動体駆動データ、昇降ユニット300の動作態様を決める昇降ユニット駆動データ、左上部ユニット500の動作態様を決める左上部ユニット駆動データ、右上部ユニット550の動作態様を決める右上部ユニット駆動データがある。
またサブドライブ基板162には、枠上中継基板180を介して、昇降モータ310、左上部モータ531、右上部モータ581が接続されている。演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板162及び枠上中継基板180を介して、昇降モータ310、左上部モータ531、右上部モータ581の駆動制御を行う。つまり演出制御用マイコン121は、昇降ユニット駆動データ、左上部ユニット駆動データ、右上部ユニット駆動データを作成し、これらの駆動データに従って、昇降モータ310、左上部モータ531、右上部モータ581の駆動を制御する。
なお、サブドライブ基板162、枠上中継基板180にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに各モータの駆動制御や各ランプの点灯制御を実行させてもよい。さらにこの場合、サブドライブ基板162、枠上中継基板180にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
本形態において演出制御基板120は、画像制御基板140とサブドライブ基板162とともにサブ制御部を構成する。サブ制御部は、少なくとも演出制御基板120を備え、演出手段(画像表示装置50、盤ランプ54、枠ランプ212、スピーカ620、枠可動体(昇降ユニット300、左上部ユニット500、右上部ユニット550)、盤可動体(脚可動体600、頸可動体700、頭可動体800))を用いた遊技演出を制御可能であればよい。なお本形態のパチンコ遊技機PY1では、音声や楽曲、効果音等を出力するスピーカ620が、上側装飾ユニット200の後方側の下側に設けられている。
図14〜図16は、あくまで本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、図14〜図16に示す基板だけが設けられているわけではない。遊技制御基板100を除いて、図14〜図16に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、図14〜図16に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
ところで本形態において、昇降モータ310、左上部モータ531、右上部モータ581、脚移動モータ610、頸移動モータ710、頭移動モータ810は、従来から演出用モータとして一般的に用いられているユニポーラ型のステッピングモータではなく、図17(A)に示すように、バイポーラ型のステッピングモータになっている。
ここでバイポーラ型のステッピングモータの機能を、図17(A)に基づいて概略的に説明する。図17(A)に示すように、バイポーラ型のステッピングモータでは、2組のコイルA及びコイルBが設けられている。そしてコイルAには、φ1端子とφ2端子とが設けられている。またコイルBには、φ3端子とφ4端子とが設けられている。このバイポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合、図17(A)の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)に示すように、コイルAとコイルBに流す電流の向きを交互に切替えるようになっている。
即ち、先ず図17(A)の(1)に示すように、コイルAのφ1端子からφ2端子へ電流を流す。次に図17(A)の(2)に示すように、コイルBのφ3端子からφ4端子へ電流を流す。続いて図17(A)の(3)に示すように、コイルAのφ2端子からφ1端子へ電流を流す。最後に図17(A)の(4)に示すように、コイルBのφ4端子からφ3端子へ電流を流す。以後、上記(1)(2)(3)(4)を繰り返すことにより、回転軸を、発生した磁力で引き付けるように回転させる。こうしてバイポーラ型のステッピングモータでは、各端子に流れる電流の向きが切替わることが特徴になる。
これに対して、従来から演出用モータとして一般的に用いられているユニポーラ型のステッピングモータの機能を、図17(B)に基づいて概略的に説明する。図17(B)に示すように、ユニポーラ型のステッピングモータでも、2組のコイルA及びコイルBが設けられている。そしてコイルAには、φ1端子とφ2端子とが設けられていて、コイルAの中間にタップTPが設けられている。またコイルBには、φ3端子とφ4端子とが設けられていて、コイルBの中間にタップTPが設けられている。タップTPには、常に+電源(DC)が接続されている。このユニポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合、図17(B)の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)に示すように、タップTPから各端子へ電流を一方向へ流すようになっている。
即ち、先ず図17(B)の(1)に示すように、コイルAのタップTPからφ1端子へ電流を流す。次に図17(B)の(2)に示すように、コイルBのタップTPからφ3端子へ電流を流す。続いて図17(B)の(3)に示すように、コイルAのタップTPからφ2端子へ電流を流す。最後に図17(B)の(4)に示すように、コイルBのタップTPからφ4端子へ電流を流す。以後、上記(1)(2)(3)(4)を繰り返すことにより、回転軸を、発生した磁力で引き付けるように回転させる。こうしてユニポーラ型のステッピングモータでは、各端子に流れる電流の向きが常に一定であることが特徴になる。
以上、図17(B)に示すユニポーラ型のステッピングモータでは、回転時の各フェーズ((1)(2)(3)(4)の何れかの時点)のコイルA,Bにおいて、半分のコイル(巻線)でしか電流が流れていない状態になる。これに対して、図17(A)に示すバイポーラ型のステッピングモータでは、回転時の各フェーズのコイルA,Bにおいて、電流の向きが切替わるものの、コイル全体に電流が流れている状態になる。即ち常にコイルが機能することになる。従って、本形態のようにバイポーラ型のステッピングモータを用いる場合には、従来のようにユニポーラ型のステッピングモータを用いる場合に比べて、同じ巻き数のコイルであれば、コイルの利用効率が高くなる。その結果、モータを効率良く回転させることが可能であり、低速回転時の出力トルクを高くすることが可能である。但し、バイポーラ型のステッピングモータでは、低速回転時の出力トルクが高くなる反面、ユニポーラ型のステッピングモータに比べて、消費電流(電力)が大きくなるというデメリットはある。
4.サブドライブ基板の電気回路
次に図18及び図19に基づいて、サブドライブ基板162の電気回路について説明する。図18に示すように、サブドライブ基板162には、頭移動モータ810の駆動制御を行う頭移動モータドライバIC1が実装されている。なおサブドライブ基板162には、頸移動モータ710の駆動制御を行う頸移動モータドライバ(図示省略)、脚移動モータ610の駆動制御を行う脚移動モータドライバ(図示省略)も実装されている。但し、頭移動モータドライバIC1周りの電気回路と、頸移動モータドライバ周りの電気回路と、脚移動モータドライバ周りの電気回路とはそれぞれ同様の構成であるため、以下では、頭移動モータドライバIC1周りの電気回路の構成を代表して説明する。
頭移動モータドライバIC1は、図18に示すように、Vcc端子、VREFA端子、VREFB端子、PHASEA端子、PHASEB端子、INA1端子、INA2端子、INB1端子、INB2端子、STANDBY端子、6ビット分のGND端子、2ビット分のOUTA+端子、2ビット分のOUTA−端子、2ビット分のOUTB+端子、2ビット分のOUTB−端子、2ビット分のRSA端子、2ビット分のRSB端子、18ビット分のNC(未接続)端子、及びその他の端子(OSCM端子、VM端子)を備えている。頭移動モータドライバIC1には、例えばテキサスインスツルメンツ製「TB67S101AFTG」などの汎用ドライバを好適に使用できる。
Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。VREFA端子は、頭移動モータ810に対するA相モータ出力設定端子である。またVREFB端子は、頭移動モータ810に対するB相モータ出力設定端子である。ここで、VREFA端子に作用する電圧によって、後述するOUTA+端子及びOUTA−端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFA端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTA+端子及びOUTA−端子から出力する電流を大きくすることが可能である。同様に、VREFB端子に作用する電圧によって、後述するOUTB+端子及びOUTB−端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFB端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTB+端子及びOUTB−端子から出力する電流を大きくすることが可能である。
PHASEA端子は、頭移動モータ810(図17(A)参照)に対するA相極性設定端子である。PHASEB端子は、頭移動モータ810に対するB相極性設定端子である。INA1端子及びINA2端子は、頭移動モータ810に対するA相出力制御端子である。INB1端子及びINB2端子は、頭移動モータ810に対するB相出力制御端子である。STANDBY端子は、省電力モード設定端子である。GND端子は、グランドに接続するための端子である。
OUTA+端子は、頭移動モータ810のφ1端子(コイルAのφ1端子,図17(A)参照)に対する電流出力端子である。OUTA−端子は、頭移動モータ810のφ2端子(コイルAのφ2端子)に対する電流出力端子である。OUTB+端子は、頭移動モータ810のφ3端子(コイルBのφ3端子)に対する電流出力端子である。OUTB−端子は、頭移動モータ810のφ4端子(コイルBのφ4端子)に対する電流出力端子である。RSA端子は、頭移動モータ810のコイルA(端子φ1,φ2からなるA相)に出力した電流を検出するための端子である。RSB端子は、頭移動モータ810のコイルB(端子φ3,φ4からなるB相)に出力した電流を検出するための端子である。
ところで、図18に示す頭移動モータドライバIC1は、頭移動モータ810のコイルAの各端子φ1,φ2、及びコイルBの各端子φ3,φ4に所定の一定電流(電流値が一定である電流)を供給することが可能な定電流駆動方式のものである。定電流駆動方式では、各コイルA,Bに流れる電流が一定電流になるように常に監視して、規定電流以上の電流が流れようとすると高速で電圧のONとOFFとを繰り返して、一定電流を保つ方式である。この定電流駆動方式に対して、定電圧駆動方式がある。定電圧駆動方式では、各コイルA,Bに作用する電圧を一定電圧に保つ方式である。
ここでモータが回転するときには、各コイルA,Bに、誘導起電力(逆起電力)が発生して、逆起電圧が作用することになる。そのため、定電圧駆動方式の場合、各コイルA,Bに作用する有効な電圧(定電圧駆動方式による一定電圧)が、逆起電圧によって減少してしまう。特にモータが高速回転するほど、各コイルA,Bに大きな逆起電圧が作用するため、電流が流れ難くなる。その結果、定電圧駆動方式では、モータの出力トルクを大きくし難い。これに対して、定電流駆動方式であれば、逆起電圧が発生しても、各コイルA,Bに流れる電流を一定電流にて安定するように制御する。その結果、定電圧駆動方式よりも、モータの高速回転時における出力特性を向上させることが可能である。本形態の頭移動モータドライバIC1と頸移動モータドライバでは、定電流駆動方式によって1つのコイル(コイルA又はコイルB)に供給される一定電流が400mAになるように設定されている。
頭移動モータドライバIC1のOUTA+端子は、制御ラインL1を介してコネクタCN1の1番端子に接続されている。コネクタCN1の1番端子は、図示しないハーネスを介して、頭移動モータ810のコイルAの端子φ1(図17(A)参照)に接続されている。従って、頭移動モータドライバIC1のOUTA+端子から出力される電流を、制御ラインL1を通して、頭移動モータ810のコイルAの端子φ1へ流すことが可能である。
また頭移動モータドライバIC1のOUTA−端子は、制御ラインL2を介してコネクタCN1の2番端子に接続されている。コネクタCN1の2番端子は、図示しないハーネスを介して、頭移動モータ810のコイルAの端子φ2(図17(A)参照)に接続されている。従って、頭移動モータドライバIC1のOUTA−端子から出力される電流を、制御ラインL2を通して、頭移動モータ810のコイルAの端子φ2へ流すことが可能である。
また頭移動モータドライバIC1のOUTB+端子は、制御ラインL3を介してコネクタCN1の3番端子に接続されている。コネクタCN1の3番端子は、図示しないハーネスを介して、頭移動モータ810のコイルBの端子φ3(図17(A)参照)に接続されている。従って、頭移動モータドライバIC1のOUTB+端子から出力される電流を、制御ラインL3を通して、頭移動モータ810のコイルBの端子φ3へ流すことが可能である。
また頭移動モータドライバIC1のOUTB−端子は、制御ラインL4を介してコネクタCN1の4番端子に接続されている。コネクタCN1の4番端子は、図示しないハーネスを介して、頭移動モータ810のコイルBの端子φ4(図17(A)参照)に接続されている。従って、頭移動モータドライバIC1のOUTB−端子から出力される電流を、制御ラインL4を通して、頭移動モータ810のコイルBの端子φ4へ流すことが可能である。
図18に示すように、頭移動モータドライバIC1のVREFA端子から延びる制御ラインと、VREFBラインから延びる制御ラインとが結合して、1つの制御ラインL5が形成されている。制御ラインL5は、分岐点BTから図21の上側へ延びる制御ラインL5aと、分岐点BTから図21の下側へ延びる制御ラインL5bとに分かれている。制御ラインL5aには抵抗R1が接続されていて、制御ラインL5bには抵抗R2が接続されている。
また図18に示すように、制御ラインL1とグランドとの間にアバランシェダイオードZD1が設けられ、制御ラインL2とグランドとの間にアバランシェダイオードZD2が設けられ、制御ラインL3とグランドとの間にアバランシェダイオードZD3が設けられ、制御ラインL4とグランドとの間にアバランシェダイオードZD4が設けられている。これらアバランシェダイオードZD1,ZD2,ZD3,ZD4は、各制御ラインL1,L2,L3,L4に対して過電圧(例えば数千V)が作用したときに、各制御ラインL1,L2,L3,L4を保護するものである。
なお図18に示すように、頭移動モータドライバIC1の2つのOUTA+端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL1になっている。また頭移動モータドライバIC1の2つのOUTA−端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL2になっている。また頭移動モータドライバIC1の2つのOUTB+端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL3になっている。また頭移動モータドライバIC1の2つのOUTB−端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL4になっている。これは、頭移動モータドライバIC1の1つ(1ビット分)の端子から出力できる電流は限られているため、2つの端子から延びる制御ラインを結合することで、より大きな電流を供給可能にするためである。
なお頭移動モータドライバIC1は、チョッピング基準周波数に基づいて、パルス幅変調(PWM(Pulse width modulation))を行って、一定電流を供給できるようにしている。チョッピング基準周波数は、半導体素子のONとOFFとを切替える速さを意味するものであり、図18に示す抵抗R6及びコンデンサC8に応じて適宜設定される。また図18に示すコンデンサC9は、電源ラインとグランドとの間に接続されるバイパスコンデンサ(パスコン)であり、頭移動モータドライバIC1での制御回路を安定させるものである。
また図19に示すように、サブドライブ基板162には、入出力IC2が実装されている。入出力IC2は、デジタル信号を入出力するためのものである。入出力IC2には、シリアルデータ入出力端子(SDA端子)、シリアルクロック入力端子(SCL端子)、Vcc端子、3ビット分のアドレス設定端子(A0〜A2端子)、5ビット分の入力端子P11〜P15、11ビット分の出力端子P00〜P10、その他の端子(GND端子、INT端子)を備えている。入出力IC2は、例えばテキサスインスツルメンツ製「SNB6006PWR」などのGPIO(General Purpose Input Output)を好適に使用できる。
入出力IC2と演出制御用マイコン121とは、I2C(Inter Integrated Circuit)通信方式によって通信可能に接続されている。即ち、演出制御用マイコン121のシリアルポート139が接続されているデータ信号ラインに、入出力IC2のSDA端子が接続されている。また演出制御用マイコン121のシリアルポート139が接続されているクロック信号ラインに、入出力IC2のSCL端子が接続されている。
演出制御用マイコン121は、I2C通信方式によって入出力IC2と通信する場合、先ず入出力IC2のアドレス情報をシリアルデータとして送信する。そして、そのアドレス情報と一致するアドレスが割り付けられた入出力IC2から、返答信号を受信すると、入出力IC2に対して、頭可動体800を駆動させるための駆動データをシリアルデータとして送信する。入出力IC2は、演出制御用マイコン121から入力する駆動データに基づいて、出力端子P00〜P10から制御信号を出力する。これにより、頭可動体800が駆動データに基づく動作態様で動作するように、頭移動モータ810を駆動させることが可能である。
図19に示すように、Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。A0端子(アドレス設定端子)は、5Vの電源に接続されている一方、A1端子及びA2端子は、グランドに接続されている。5ビット分の入力端子P11〜P15は、センサからの検出信号を入力する端子である。11ビット分の出力端子P00〜P10のうち、6ビット分の出力端子P02〜P07は、図18に示す頭移動モータドライバIC1のPHASEB端子、PHASEA端子、INB2端子、INB1端子、INA2端子、INA1端子に制御信号を出力する端子である。出力端子P00と出力端子P01と出力端子P08と出力端子P09と出力端子P10の機能については、頭移動モータドライバIC1と無関係であるため、説明を省略する。
ここで、定電流駆動方式の頭移動モータドライバIC1において、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力する一定電流(本形態では400mA)は、図18に示すように、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさに依存する。そして、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、制御ラインL5aに接続されている抵抗R1の抵抗値と、制御ラインL5bに接続されている抵抗R2の抵抗値との合成抵抗値に依存する。
また、頭移動モータ810の出力トルクの大きさは、供給される電流(制御ラインL1,L2,L3,L4を流れる電流)の大きさに比例する。従って、所望の出力トルクを得ることができるように、定電流駆動方式のドライバによる一定電流の大きさ(本形態では400mA)が決定されている。そして、その一定電流が供給できるように、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値とを設定している。以上要するに、定電流駆動方式のドライバでは、頭移動モータ810で所望の出力トルクを得ることができるように、抵抗R1及び抵抗R2を適宜選択していることになる。
ここで本形態のように、定電流駆動方式のドライバを用いる場合には、以下のメリットがある。即ち、図18に示す頭移動モータドライバIC1においては、上述したように、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力する一定電流は、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさに依存し、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R1及び抵抗R2の合成抵抗値に依存する。従って、頭移動モータ810としては1種類だけを用意して、抵抗R1及び抵抗R2を変えるだけで、頭移動モータ810から異なる出力トルクを発生させることが可能になる。これに対して、従来のように定電流駆動方式以外のドライバを用いる場合には、モータ(バイポーラ型のステッピングモータ)ごと変えることによって、異なる出力トルクを発生させるようにしていた。以上により、定電流駆動方式のドライバを用いることで、開発途中において出力トルクを変更したい場合に対処し易い(設計し易い)というメリットがある。
また本形態の定電流駆動方式のドライバ(例えば頭移動モータドライバIC1)は、一定電流を供給可能に構成されていると共に、一定電流よりも小さい低下電流を供給可能に構成されている。具体的に、図18に示す頭移動モータドライバIC1を例にすると、PHASEA端子に「H」レベルの信号を入力し、PHASEB端子に「H」レベルの信号を入力し、INA1端子に「H」レベルの信号を入力し、INA2端子に「H」レベルの信号を入力し、INB1端子に「H」レベルの信号を入力し、INB2端子に「H」レベルの信号を入力する場合には、予め設定している一定電流(本形態では400mA)を供給可能に構成されている。言い換えれば、演出制御用マイコン121が、図19に示す入出力IC2から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「H」レベルのINA1制御信号と、「H」レベルのINA2制御信号と、「H」レベルのINB1制御信号と、「H」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御すると、100%の電流としての一定電流(本形態では400mA)を供給することが可能である。
これに対して、頭移動モータドライバIC1は、PHASEA端子に「H」レベルの信号を入力し、PHASEB端子に「H」レベルの信号を入力し、INA1端子に「H」レベルの信号を入力し、INA2端子に「L」レベルの信号を入力し、INB1端子に「H」レベルの信号を入力し、INB2端子に「L」レベルの信号を入力する場合には、上記した一定電流に対する71%の大きさの電流(本形態では284mA)を供給可能に構成されている。言い換えれば、演出制御用マイコン121が、図19に示す入出力IC2から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「H」レベルのINA1制御信号と、「L」レベルのINA2制御信号と、「H」レベルのINB1制御信号と、「L」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御すると、一定電流よりも29%(所定割合)だけ小さい低下電流を供給することが可能である。
また、頭移動モータドライバIC1は、PHASEA端子に「H」レベルの信号を入力し、PHASEB端子に「H」レベルの信号を入力し、INA1端子に「L」レベルの信号を入力し、INA2端子に「H」レベルの信号を入力し、INB1端子に「L」レベルの信号を入力し、INB2端子に「H」レベルの信号を入力する場合には、上記した一定電流に対する38%の大きさの電流(本形態では152mA)を供給可能に構成されている。言い換えれば、演出制御用マイコン121が、図19に示す入出力IC2から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「L」レベルのINA1制御信号と、「H」レベルのINA2制御信号と、「L」レベルのINB1制御信号と、「H」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御すると、一定電流よりも62%(所定割合)だけ小さい低下電流を供給することが可能である。
なお、頭移動モータドライバIC1は、PHASEA端子又はPHASEB端子に入力する信号のレベルに拘わらず、INA1端子に「L」レベルの信号を入力し、INA2端子に「L」レベルの信号を入力し、INB1端子に「L」レベルの信号を入力し、INB2端子に「L」レベルの信号を入力する場合には、電流を供給しないように構成されている。
次に、本形態の可動体の停止を保持させる場合について説明する。以下では、頸可動体700の停止の保持と、頭可動体800の停止の保持を代表して説明する。頸可動体700は、図10に示すように、格納位置にあるときにはホルダ6に支持されていて、その姿勢が比較的安定した状態になっている。そのため、格納位置にある頸可動体700に対して、停止の保持が厳密に要求されない。従って、頸可動体700が格納位置にあるときには、頸移動モータドライバ(図示省略)は、頸移動モータ710に電流を供給しないことで、消費電流を抑えている。
これに対して、頸可動体700は、図12に示すように、出現位置にあるときには先端側が左方向に向かって斜め上方に延びる傾斜状態になっていて、その姿勢が不安定な状態になっている。そのため、出現位置にある頸可動体700に対して、停止の保持が要求される。そこで頸可動体移動モータドライバは、頸移動モータ710に電流を供給して、頸移動モータ710に停止励磁を生じさせるようにしている。つまり、頸移動モータ710は、供給される電流に基づいて、出現位置にある頸可動体700の停止を保持するための磁界(停止励磁)を発生させる。その結果、頸可動体700は、出現位置にて停止した状態を保持することが可能である。頸移動モータ710は、出現位置にある頸可動体700に対して、2相励磁(2相励磁状態)によって停止保持力を付与するようになっている(図25(A)参照)。
ここで、頸可動体700の停止を保持する際に、頸移動モータドライバが頸移動モータ710に供給する電流の大きさが問題になる。頸移動モータドライバが頸移動モータ710に供給する電流が大きいと、頸可動体700の停止を保持する停止保持力を大きくすることが可能であるが、消費電流が必要以上に大きくなる可能性がある。そこで本形態では、出現位置にある頸可動体700を停止させる場合には、頸移動モータドライバが、頸移動モータ710に対して、予め設定される一定電流(本形態では400mA)の38%の大きさの電流(本形態では152mA)をコイル(コイルA,B)に供給するようにしている。なお2相励磁では、2つのコイルA,Bにそれぞれ電流が供給されるため、頸移動モータ710には、2相励磁による停止励磁を発生させる際に合計304mAの電流が供給されていることになる。
次に、頭可動体800の停止を保持する場合について説明する。頭可動体800は、図10に示すように、初期位置にあるときにはホルダ6に支持されていて、その姿勢が比較的安定した状態になっている。そのため、初期位置にある頭可動体800に対して、停止の保持が厳密に要求されない。従って、頭可動体800が初期位置にあるときには、頭移動モータドライバIC1は、頭移動モータ810に電流を供給しないことで、消費電流を抑えている。
これに対して、頭可動体800は、図12に示すように、高位置にあるときには先端側802が左方向に向かって斜め上方に延びる傾斜状態になっていて、その姿勢が不安定な状態になっている。そのため、高位置にある頭可動体800に対して、停止の保持が要求される。そこで頭可動体移動モータドライバICは、頭移動モータ810に電流を供給して、頭移動モータ810に停止励磁を生じさせるようにしている。つまり、頭移動モータ810は、供給される電流に基づいて、高位置にある頭可動体800の停止を保持するための磁界(停止励磁)を発生させる。その結果、頭可動体800は、高位置にて停止した状態を保持することが可能である。頭移動モータ810は、高位置にある頭可動体800に対して、2相励磁(2相励磁状態)によって停止保持力を付与するようになっている(図25(B)参照)。
ここで、頭可動体800の停止を保持する際に、頭移動モータドライバIC1が頭移動モータ810に供給する電流の大きさが問題になる。頭移動モータドライバIC1が頭移動モータ810に対して停止励磁のための供給する電流を、上述した頸移動モータドライバが頸移動モータ710に対して停止励磁のための供給する電流と同様、予め設定される一定電流(本形態では400mA)の38%の大きさの電流(本形態では152mA)にすることが考えられる。
しかしながら、頭可動体800は頸可動体700よりも小さく(図12参照)且つ軽いものであるため、高位置にある頭可動体800では、出現位置にある頸可動体700ほど、大きな停止保持力が必要ではない。従って、頭移動モータドライバIC1が頭移動モータ810に対して停止励磁のための供給する電流を、予め設定される一定電流(本形態では400mA)の38%の大きさの電流(本形態では152mA)よりも更に小さくすることが望まれる。頭移動モータ810での消費電流をより抑えて、電源基板190の負担を軽減できるからである。しかしながら、頭移動モータドライバIC1が定電流駆動方式のドライバである以上、ドライバ自体の機能として一定電流の38%の電流よりも更に小さい電流を供給することができないという問題点がある。
そこで上記した問題点に対処すべく、図18に示すように、頭移動モータドライバIC1の周りに電流低下外付回路163(電流低下手段)が設けられている。電流低下外付回路163は、頭移動モータドライバIC1が一定電流(本形態では400mA)の38%の大きさの電流よりも、更に小さい電流(超低下電流)を供給可能にするものである。
図18に示すように、電流低下外付回路163は主に、NPN型のトランジスタTR1と、トランジスタTR1のコレクタに接続されている制御ラインL6と、トランジスタTR1のベースに接続されている制御ラインL7と、制御ラインL7に接続されているインバータ素子INV1とを備えている。制御ラインL6には抵抗R5が接続されている。制御ラインL6のうち図18に示す上方部分が、制御ラインL5aに接続されていて、制御ラインL6のうち図18に示す下方部分が、グランドに接続されている。
制御ラインL7は、入出力IC12の出力端子P07(図19参照)と、頭移動モータドライバIC1のINA1端子とをつなぐ制御ラインL8から分岐した制御ラインである。入出力IC2の出力端子P07から、INA1制御信号として「L」レベルの制御信号が出力されると、その制御信号はインバータ素子INV1によって「H」レベルに変換される。一方、入出力IC2の出力端子P07から、INA1制御信号として「H」レベルの制御信号が出力されると、その制御信号はインバータ素子INV1によって「L」レベルに変換される。こうして変換された制御信号が、トランジスタTR1のベースに入力される。
ここで、頭移動モータドライバIC1の機能として、一定電流(本形態では400mA)を供給するように制御した場合について説明する。この場合には上述したように、演出制御用マイコン121が、入出力IC2から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「H」レベルのINA1制御信号と、「H」レベルのINA2制御信号と、「H」レベルのINB1制御信号と、「H」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御する。このとき制御ラインL7にて、「H」レベルのINA1制御信号は、インバータ素子INV2によって「L」レベルに変換される。従って、トランジスタTR1のベースとエミッタ間に電圧が印加されない。そのため、トランジスタTR1ではコレクタからエミッタに電流が流れず、制御ラインL6に接続されている抵抗R5が機能しない。
よって、この場合には、頭移動モータドライバIC1のVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値だけに依存する。その結果、抵抗R1と抵抗R2との合成抵抗値により、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力される電流が、一定電流(本形態では400mA)になる。こうして、一定電流が頭移動モータ810に供給されることで、頭移動モータ810は頭可動体800を回転させることが可能である。
これに対して、頭移動モータドライバIC1の機能として、一定電流の38%の大きさの電流を供給するように制御した場合について説明する。この場合には上述したように、演出制御用マイコン121が、入出力IC2から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「L」レベルのINA1制御信号と、「H」レベルのINA2制御信号と、「L」レベルのINB1制御信号と、「H」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御する。このとき制御ラインL7にて、「L」レベルのINA1制御信号は、インバータ素子INV1によって「H」レベルに変換される。従って、トランジスタTR1のベースとエミッタ間に電圧が印加される。そのため、トランジスタTR1ではコレクタからエミッタに電流が流れて、制御ラインL6に接続されている抵抗R5が機能する。
よって、この場合には、頭移動モータドライバIC1のVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値だけでなく、抵抗R5の抵抗値にも依存する。その結果、抵抗R1と抵抗R2と抵抗R5との合成抵抗値により、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力される電流が、一定電流の38%の大きさの電流(本形態では152mA)よりも更に小さくなる。具体的には、一定電流の3.75%の大きさの電流(本形態では15mA,低電流)が頭移動モータ810に供給されることになる(図23(B)参照)。
こうして本形態では、演出制御用マイコン121が、頭移動モータドライバIC1から一定電流の38%の大きさの電流を供給するように制御すると、自動的に抵抗R5が機能する。これにより、頭移動モータドライバIC1が一定電流の38%の大きさよりも更に小さい超低下電流(本形態では15mA)を供給することが可能である。よって、この超低下電流に基づいて頭移動モータ810が、停止励磁を発生させることで、頭可動体800に停止保持力を付与することが可能である。その結果、一定電流の38%の大きさの電流(本形態では152mA)に基づいて停止励磁を発生させる場合に比べて、消費電流を一層抑えることが可能である。なお高位置にある頭可動体800に2相励磁による停止保持力を付与する場合、頭移動モータ810のコイルA,Bに対して、超低下電流(本形態では15mA)を供給している。従ってこの場合には、頭移動モータ810に、合計30mAの電流が供給されていることになる。
なお本形態では、頭可動体800が図13(B)に示す低位置にあるときに、停止保持力が頭可動体800に付与されることはない。つまり、頭移動モータ810が停止励磁を発生させることはない。頭可動体800は、後述する嘶き駆動演出を実行する場合、図13(A)に示す高位置⇒図13(B)に示す低位置⇒図13(C)に示す高位置に連続的に移動するのであって、図13(B)に示す低位置で所定時間停止し続けるわけではないためである。
5.馬駆動演出
次に、本形態の特徴である馬駆動演出について説明する。馬駆動演出は、脚可動体600と頸可動体700と頭可動体800とを移動させる演出であり、SPリーチ等のように当選期待度が高い演出の実行に伴って行われるものである。従って遊技者には、馬駆動演出を把握させることで、当選期待度が高いことによる高揚感を与えることが可能である。馬駆動演出における脚可動体600と頸可動体700と頭可動体800の動作について、図20に基づいて説明する。
図20に示すように、馬駆動演出が開始されるときには、脚可動体600は図10に示す待機位置にあり、頸可動体700は図10に示す格納位置にあり、頭可動体800は図10に示す初期位置にある。そして、脚移動モータ610が正方向に回転駆動するのに伴って、脚可動体600は図10に示す待機位置から図12に示す動作位置に向かって移動(回転)する。また頸移動モータ710が正方向に回転駆動するのに伴って、頸可動体700は図10に示す格納位置から図12に示す出現位置に向かって移動(回転)する。また頭移動モータ810が正方向に回転駆動するのに伴って、頭可動体800は図10に示す初期位置から図12に示す高位置に向かって移動(回転)する。なお脚可動体600が待機位置から動作位置に移動し、頸可動体700が格納位置から出現位置に移動し、頭可動体800が初期位置から高位置へ移動すると、遊技者から見れば、これら脚可動体600と頸可動体700と頭可動体800が現れるように見える。従って、上述したように脚可動体600と頸可動体700と頭可動体800が現れる演出を出現演出(移動演出)ということができる。
その後、脚可動体600は図12に示す動作位置に移動すると、脚移動モータ610は回転駆動を停止して、脚可動体600は動作位置にて所定時間停止し続ける。また、頸可動体700は図12に示す出現位置に移動すると、頸移動モータ710は回転駆動を停止して、頸可動体700は出現位置にて所定時間停止し続ける。ここで、頭可動体800が図10に示す初期位置から図12に示す高位置まで回転する回転角(約135度)は、脚可動体600が図10に示す待機位置から図12に示す動作位置まで回転する回転角(約75度)、及び頸可動体700が図10に示す格納位置から図12に示す出現位置まで回転する回転角(約75度)よりも小さい。従って、頭可動体800は、脚可動体600が動作位置に到達した後で、且つ頸可動体700が出現位置に到達した後に、高位置に到達することになる。
本形態では、頭可動体800が図12に示す出現位置に移動すると、脚移動モータ610は、逆方向への回転駆動を開始して、頭可動体800は、図13(A)に示す高位置から図13(B)に示す低位置に向かって移動(回転)する。つまり、頭可動体800は出現位置に移動した後、脚可動体600が動作位置で停止していると共に、頸可動体700が出現位置で停止しているにも拘わらず、下方に向かって回転する。そして、頭可動体800が図13(B)に示す低位置に移動すると、頭移動モータ810は、すぐに正方向への回転駆動を開始して、頭可動体800は、図13(B)に示す低位置から図13(C)に示す高位置に向かって移動(回転)する。その後、頭可動体800は図13(C)に示す高位置に移動することになる。
こうして本形態では、脚可動体600が図12に示す出現位置で停止している状態で、頭可動体800が図13(A)⇒図13(B)⇒図13(C)に示すように、上下方向の往復移動(先端側が往復回転)する点に特徴がある。この頭可動体800の上下方向の往復移動により、馬が嘶いているような印象を与えることが可能である。以下では、頭可動体800が図13(A)に示す高位置⇒図13(B)に示す低位置⇒図13(C)に示す低位置に移動する演出を、「嘶き駆動演出(往復移動演出,特定演出)」と呼ぶことにする。なおこの嘶き駆動演出では、頭可動体800が上下方向に1回往復移動する場合を説明するが、後述するように頭可動体800が上下方向に3回往復移動する場合もある。
嘶き駆動演出の後、SPリーチ等の実行中の演出の終了に伴って、脚移動モータ610が逆方向に回転駆動し、頸移動モータ710が逆方向に回転駆動し、頭移動モータ810が逆方向に回転駆動する。これにより、脚可動体600は図12に示す動作位置から図10に示す待機位置に向かって移動(回転)する。また頸可動体700は図12に示す出現位置から図10に示す格納位置に向かって移動(回転)する。また頭可動体800は図12に示す高位置から図10に示す低位置に向かって移動(回転)。こうして、馬駆動演出が終了することになる。
本形態では、脚移動モータ610の回転駆動、頸移動モータ710の回転駆動、頭移動モータ810の回転駆動は、演出制御用マイコン121によるステップ数の管理によってなされている。つまり演出制御用マイコン121は、各モータに供給するパルスの数(ステップ数)によって、脚可動体600、頸可動体700、頭可動体800の位置を把握できるようになっている。但し、演出制御用マイコン121は、各モータに供給するパルスの数(ステップ数)と、フォトセンサ等の位置センサの検出とを利用して、脚可動体600、頸可動体700、頭可動体800の位置を把握するようにしても良い。
6.励磁方法の制御
次に、本形態の特徴である励磁方法の制御について説明する。本形態では、各種モータの励磁方法(励磁モード)として基本的に2相励磁を用いている。そこで図21及び図22に基づいて、2相励磁について説明する。
2相励磁は、図21に示すように、パルスを付与する次の相(端子φ1⇒端子φ3⇒端子φ2⇒端子φ4)に対して1パルス分だけずらしながら、2相ずつ同時に励磁する方式である。なお端子φ1と端子φ2とにより1つの相(A相とA/相からなる相)が形成され、端子φ3と端子φ4とにより1つの相(B相とB/相からなる相)が形成される。
即ち、図21の(A)時点では、端子φ1(A相)にパルスが付与(通電)されると共に、端子φ4(B/相)にパルスが付与される。これにより、図22(A)に示すように、端子φ1(A相)と端子φ4(B/相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸,回転子)のS極側が端子φ1,φ4に引き寄せられる。続いて、図21(B)の時点では、端子φ3(B相)にパルスが付与されると共に、端子φ1(A相)にパルスが付与される。これにより、図22(B)に示すように、端子φ3(B相)と端子φ1(A相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ3,φ1に引き寄せられる。こうして、図22(A)⇒(B)に示すようにパルスをずらすと、図22(A)⇒(B)に示すように、モータのロータが90度回転する。
続いて、図21(C)の時点では、端子φ2(A/相)にパルスが付与されると共に、端子φ3(B相)にパルスが付与される。これにより、図22(C)に示すように、端子φ2(A/相)と端子φ3(B相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ2,φ3に引き寄せられる。こうして、図21(B)⇒(C)に示すようにパルスをずらすと、図22(B)⇒(C)に示すように、モータのロータが90度回転する。
続いて、図21(D)の時点では、端子φ4(B/相)にパルスが付与されると共に、端子φ2(A/相)にパルスが付与される。これにより、図22(D)に示すように、端子φ4(B/相)と端子φ2(A/相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ4,φ2に引き寄せられる。こうして、図21(C)⇒(D)に示すようにパルスをずらすと、図22(C)⇒(D)に示すように、モータのロータが90度回転する。以後同様に、図21(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)に示すようにパルスをずらしていくことで、図22(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)に示すように、モータのロータが90度ずつ回転していく。
次に、2相励磁の比較対象として、図23及び図24に基づいて、1−2相励磁について説明する。1−2相励磁は、図23に示すように、パルスを付与する次の相(端子φ1⇒端子φ3⇒端子φ2⇒端子φ4)に対して1パルス分と2パルス分を交互にずらすことで、1相だけ励磁する状態と2相ずつ同時に励磁する状態とを交互に作り出す方式である。
即ち、図23の(A)の時点では、端子φ1(A相)にパルスが付与(通電)される。これにより、図24(A)に示すように、端子φ1(A相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ1だけに引き寄せられる。続いて、図23(B)の時点では、端子φ3(B相)にパルスが付与されると共に、端子φ1(A相)にパルスが付与される。これにより、図24(B)に示すように、端子φ3(B相)と端子φ1(A相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ3,φ1に引き寄せられる。こうして、図23(A)⇒(B)に示すようにパルスをずらすと、図24(A)⇒(B)に示すように、モータのロータが45度回転する。
続いて、図23(C)の時点では、端子φ3(B相)にパルスが付与される。これにより、図24(C)に示すように、端子φ3(B相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ3だけに引き寄せられる。こうして、図23(B)⇒(C)に示すようにパルスをずらすと、図24(B)⇒(C)に示すように、モータのロータが45度回転する。続いて、図23(D)の時点では、端子φ2(A/相)にパルスが付与されると共に、端子φ3(B相)にパルスが付与される。これにより、図24(D)に示すように、端子φ2(A/相)と端子φ3(B相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ2,φ3に引き寄せられる。こうして、図23(C)⇒(D)に示すようにパルスをずらすと、図24(C)⇒(D)に示すように、モータのロータが45度回転する。
続いて、図23(E)の時点では、端子φ2(A/相)にパルスが付与される。これにより、図24(E)に示すように、端子φ2(A/相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ2だけに引き寄せられる。こうして、図23(D)⇒(E)に示すようにパルスをずらすと、図24(D)⇒(E)に示すように、モータのロータが45度回転する。続いて、図23(F)の時点では、端子φ4(B/相)にパルスが付与されると共に、端子φ2(A/相)にパルスが付与される。これにより、図24(F)に示すように、端子φ4(B/相)と端子φ2(A/相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ4,φ2に引き寄せられる。こうして、図23(E)⇒(F)に示すようにパルスをずらすと、図24(E)⇒(F)に示すように、モータのロータが45度回転する。
続いて、図23(G)の時点では、端子φ4(B/相)にパルスが付与される。これにより、図24(G)に示すように、端子φ4(B/相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ4だけに引き寄せられる。こうして、図23(F)⇒(G)に示すようにパルスをずらすと、図24(F)⇒(G)に示すように、モータのロータが45度回転する。続いて、図23(H)の時点では、端子φ1(A相)にパルスが付与(通電)されると共に、端子φ4(B/相)にパルスが付与される。これにより、図24(H)に示すように、端子φ1(A相)と端子φ4(B/相)の磁極がN極になって、モータのロータ(回転軸)のS極側が端子φ1,φ4に引き寄せられる。こうして、図23(G)⇒(H)に示すようにパルスをずらすと、図24(G)⇒(H)に示すように、モータのロータが45度回転する。以後同様に、図23(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)⇒(E)⇒(F)⇒(G)⇒(H)に示すようにパルスをずらしていくことで、図24(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)⇒(E)⇒(F)⇒(G)⇒(H)に示すように、モータのロータが45度ずつ回転していく。
以上、2相励磁と1−2相励磁を比較すると、2相励磁では図22に示すように、モータのロータの両極がそれぞれ常に2つの端子(相)に引き寄せられながら回転する。これに対して、1−2相励磁では図24に示すように、モータのロータの両極は、それぞれ1つの端子に引き寄せられた状態と2つの端子に引き寄せられた状態とが切替わりながら、回転する。よって2相励磁では、1相励磁よりも、モータのロータを回転させる(引き寄せる)力が強くなって、大きな出力(高トルク)を発生させることが可能である。しかしながら、2相励磁では、常に2つの端子(相)を励磁させるための電流を流しているため、1−2相励磁よりも消費電流が大きくなる。
また1−2相励磁では図24に示すように、1つのパルスが付与される度に45度ずつ回転する。つまりステップ角が45度である。これに対して、2相励磁では図22に示すように、1つのパルスが付与される度に90度ずつ回転する。よって、1−2相励磁では、2相励磁の半分のステップ角で、モータのロータを回転させることができるため、振動を少なくすることが可能である。即ち、可動体に作用する振動を少なくしながら、可動体を滑らかに移動させることが可能である。しかしながら、1−2相励磁では、2相励磁の半分のステップ角になるため(45度ずつロータを回転させるため)、2相励磁の2倍のパルス(制御信号)を送信する必要がある。即ち2相励磁よりも、細かな制御が必要になって、制御処理が煩雑になる(制御プログラムの作成負担が大きい)。
こうして本形態では、各種モータ(昇降モータ310、左上部モータ531、右上部モータ581、脚移動モータ610、頸移動モータ710、頭移動モータ810)の励磁方法を、高出力(高トルク)を発生させるのに有利な2相励磁を用いることとしている。本形態の各種可動体(昇降ユニット300、左上部ユニット500、右上部ユニット550、脚可動体600、頸可動体700、頭可動体800)は基本的に大きくて、高出力によって、これら大きい可動体を素早く移動させるためである。
ところで、馬駆動演出を実行する場合において、仮に頭移動モータ810を2相励磁にすると、以下の問題点があった。即ち、馬駆動演出のうち嘶き駆動演出では、頸可動体700が出現位置で停止している状態で、頭可動体800上下方向の往復移動(回転)をする。このとき、頭移動モータ810の励磁方法が2相励磁であると、頭可動体800が高トルクで往復移動することになり、頭可動体800には少なからず振動(衝撃)が生じてしまう。特に、頭可動体800が図13(B)に示す低位置に下降し終えたタイミングで、頭可動体800の自重が振動をより助長することになる。そうなると、頭可動体800を組付けている頸可動体700の方に振動(衝撃)が伝達してしまい、出現位置にある頸可動体700が格納位置の方へ下降する事態が生じするおそれがあった。つまり、頸可動体700が意図せずに下降してしまい、馬駆動演出の見た目を損なうおそれがあった。また頭可動体800に作用する振動(衝撃)が、頭可動体800を回転可能に組付けている回転軸801に伝達する。この場合、時間の経過に伴って回転軸801に繰り返し振動(衝撃)が作用することになり、回転軸801の抜けにつながるおそれもあった。
ここで、出現位置にある頸可動体700が下降し得る問題に対して、頸可動体700に付与する停止保持力を大きくする方法が考えられる。しかしながら、この方法の場合、頸移動モータ710に供給する電流(停止励磁のための電流)を大きくする必要があり、消費電流が大きくなる点で好ましくない。即ち、本パチンコ遊技機PY1のように、多くのモータ(昇降モータ310、左上部モータ531、右上部モータ581、脚移動モータ610、頸移動モータ710、頭移動モータ810)が搭載されていると共に、多くの発光手段(枠ランプ212及び盤ランプ54)が設けられている場合、電源基板190の負担を軽減するため、消費電流をできるだけ抑えたいという課題がある。実際、本パチンコ遊技機PY1において、仮に電源基板190が供給する電力で駆動する駆動物を全て同時に駆動させた場合には、電源基板190が供給できる電流の約2倍の消費電流になっていた。よって、できるだけ多くの駆動物を同時に駆動できるように、演出にあまり関与しない部分については、少しでも消費電流を抑えたいという実情がある。以上により、頸可動体700に付与する停止保持力を大きくする方法は、好ましいものではない。
そこで本形態では、上記問題点に対処すべく、嘶き駆動演出を実行する場合には、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしている。これにより、頭可動体800の上下方向の往復移動(回転)を滑らか(スムーズ)にすることが可能である。つまり、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にする場合に比べて、頭可動体800の動きを滑らか(スムーズ)にすることが可能である。その結果、嘶き駆動演出において、頭可動体800から出現位置にある頸可動体に作用する振動(衝撃)を小さくすることが可能である。よって、頸可動体700に付与する停止保持力を大きくしなくても、出現位置にある頸可動体700が格納位置の方へ下降するのを防ぐことが可能である。
特に本形態では、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしていることで、頭可動体800が図13(B)に示す低位置に下降し終えたタイミングで、頭可動体800から回転軸801に伝達する振動(衝撃)を小さくしている。言い換えれば、頭可動体800を回転可能に支持している回転軸801には、あまり大きな振動が繰り返し作用しないようにしている。その結果、時間の経過(経年劣化)で回転軸801が抜けるという不具合も生じないようにすることが可能である。
なお、移動中の頭可動体800の振動を抑える必要性は、以下の事情にも基づいている。即ち、近年のパチンコ遊技機においては、可動体を含むユニットの構造が複雑になっている。そのため、大量生産されたユニットの中には、可動体の組付け誤差が大きくなってしまうものが少なからず生じてしまう。本パチンコ遊技機PY1においても、図9(A)(B)に示すように、下側可動体ユニット5には、狭いスペースの中に、脚可動体600と頸可動体700と頭可動体800という3つの可動体が前後に重なりあって配置されている。従って、可動体同士の距離が近くて、可動体の組付け誤差が大きいと、頭可動体800の振動による不具合がより顕著になってくる。そこで本形態では、下側可動体ユニット5の構造が複雑であっても、頭移動モータ810の励磁方法として1−2相励磁を用いることで、頭可動体800の振動による不具合ができるだけ生じないようにしている。
ここで馬駆動演出において、頭可動体800が図10に示す初期位置から図12に示す高位置に移動するまでの間では、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にしている。また頭可動体800が図12に示す高位置から図10に示す初期位置に移動(復帰)する間でも、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にしている。要するに、嘶き駆動演出に限って、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしている。これは、頭可動体800の高位置への移動中、又は頭可動体800の初期位置への移動中には、出現位置にある頸可動体700が格納位置の方へ下降する問題がほぼ生じ得ないためである。従って、これらのときには、頭移動モータ810に高出力(高トルク)を発生させて、頭可動体800を素早く移動させるために、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にしている。
ところで従来において、パチンコ遊技機の分野では、モータの励磁方法として1−2相励磁はあまり使用されなかった。これは、従来のパチンコ遊技機における可動体では、その他の精密機械(例えばプリンタ、ロボット)に比べて、滑らかな動作(滑らかな回転)がそれほど求められていなかったためである。そして、1−2相励磁ではステップ角が45度(図24参照)であるのに対して、2相励磁ではステップ角が90度(図22参照)である。そのため、1−2相励磁では2相励磁の2倍の制御処理(データ量)が必要になり、制御処理の作成負担(変更負担)が大きいという観点から1−2相励磁があまり使用されなかった。そこで本形態では、近年の可動体の構造が複雑になった事情に鑑み、部分的に1−2相励磁を用いることで、制御処理の作成負担(変更負担)をそれほど大きくすることなく、必要な状況(嘶き駆動演出)に限って、頭可動体800の振動を抑えるという技術的思想がある。
次に、頸可動体700(頸移動モータ710)の制御方法と、頭可動体800(頭移動モータ810)の制御方法について、図25に基づいて説明する。先ず、頸可動体700の制御方法について、図25(A)に基づいて説明する。図25(A)に示すように、頸可動体700が格納位置にあるときには、頸可動体700に停止保持力を付与しない。つまり、頸可動体700に停止励磁を生じさせない。従ってこのときには、頸移動モータ710に電流が供給されることはなく、消費電流を無くすことが可能である。
そして、馬駆動演出の開始に伴って、頸可動体700が格納位置から出現位置に移動するときには、図25(A)に示すように、頸移動モータ710の速度(パルスレート)を333ppsにする。またこのときには、頸移動モータ710の励磁方法を2相励磁にする。更にこのときには、頸移動モータドライバ(図示省略)が頸移動モータ710に予め設定した一定電流(本形態では400mA)を供給するように制御する。これらにより、頸可動体700の出現位置への移動中では、頸可動体700を高出力で素早く移動させることが可能である。
続いて、頸可動体700が出現位置にあるときには、図25(A)に示すように、頸可動体700に停止保持力を付与するため、頸移動モータ710は2相励磁(2相励磁状態)による停止励磁を発生させる。このときには、頸移動モータドライバは、一定電流(本形態では400mA)の38%の大きさの電流(本形態では152mA)を供給するように制御する。これにより、一定電流、又は一定電流の71%の大きさの電流を供給する場合に比べて、停止励磁に基づく消費電流を抑えることが可能である。
その後、馬駆動演出の終了に伴って、頸可動体700が出現位置から格納位置に移動するときには、図25(A)に示すように、頸移動モータ710の速度を333ppsにする。またこのときには、頸移動モータ710の励磁方法を2相励磁にする。更にこのときには、頸移動モータドライバが頸移動モータ710に一定電流(本形態では400mA)を供給するように制御する。これらにより、頸可動体700の格納位置への移動中では、頸可動体700を高出力で素早く移動させることが可能である。
次に、頭可動体800の制御方法について、図25(B)に基づいて説明する。図25(B)に示すように、頭可動体800が初期位置にあるときには、頭可動体800に停止保持力を付与しない。つまり、頭可動体800に停止励磁を生じさせない。従ってこのときには、頭移動モータ810に電流が供給されることはなく、消費電流を無くすことが可能である。
そして、馬駆動演出の開始に伴って、頭可動体800が初期位置から高位置に移動するときには、図25(B)に示すように、頭移動モータ810の速度(パルスレート)を333ppsにする。またこのときには、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にする。更にこのときには、頭移動モータドライバIC1(図18参照)が頭移動モータ810に予め設定した一定電流(本形態では400mA)を供給するように制御する。これらにより、頭可動体800の高位置への移動中では、頭可動体800を高出力で素早く移動させることが可能である。
続いて、頭可動体800が高位置に移動するとすぐに、図25(B)に示すように、頭可動体800は、高位置⇒低位置⇒高位置へ移動する(図13(A)(B)(C)参照)。つまり、頭可動体800が上下方向に往復移動(回転)する嘶き駆動演出が実行される。このときには、頭移動モータ810の速度を250ppsにする。こうして嘶き駆動演出では、頭可動体800の高位置への移動中よりも、頭移動モータ810の速度を抑えている。これにより、頭可動体800で生じる振動をより抑えることが可能である。
またこのときには、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にする。これにより、上述したように、頭可動体800を滑らかに(スムーズに)移動させることができて、頭可動体800から頸可動体700に作用する振動を少なくすることが可能である。その結果、出現位置にある頸可動体700が格納位置の方へ下降しないようにすることが可能である。更にこのときには、頭移動モータドライバIC1が頭移動モータ810に一定電流(本形態では400mA)の71%の大きさの電流(本形態では284mA)を供給するように制御する。こうして嘶き駆動演出では、頭可動体800の高位置への移動中よりも、頭移動モータ810で発生させる出力(トルク)を抑えている。これにより、頭可動体800で生じる振動をより抑えることが可能である。
続いて、頭可動体800が高位置に戻って嘶き駆動演出が終了すると、高位置にある頭可動体800に停止保持力を付与する。そのため、図25(B)に示すように、頭移動モータ810は2相励磁(2相励磁状態)による停止励磁を発生させる。このときには、上述したように、頭移動モータドライバICは、一定電流(本形態では400mA)の3.75%の大きさの電流(超低下電流,本形態では15mA)を供給するように制御する。なお2相励磁状態であるため、2つのコイルA,Bに対してそれぞれ15mAの電流が供給されて、合計30mAの消費電流になる。こうして、一定電流の38%の大きさの電流を供給する場合よりも、停止励磁に基づく消費電流を一層抑えることが可能である。
その後、馬駆動演出の終了に伴って、頭可動体800が高位置から初期位置に移動するときには、図25(B)に示すように、頭移動モータ810の速度を333ppsにする。またこのときには、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にする。更にこのときには、頭移動モータドライバIC1が頭移動モータ810に一定電流(本形態では400mA)を供給するように制御する。これらにより、頭可動体800の初期位置への移動中では、頸可動体700を高出力で素早く移動させることが可能である。
上記では、図25(B)に基づいて頭可動体800の制御方法について説明したが、これは通常嘶き駆動演出を実行する場合の制御方法である。通常嘶き駆動演出は、頭可動体800が高位置⇒低位置⇒高位置に移動する演出であって、上下方向の往復移動(回転)が1回の場合の演出である。そこで以下では、特別嘶き駆動演出を実行する場合の頭可動体800の制御方法について説明する。特別嘶き駆動演出は、頭可動体800が高位置⇒低位置⇒高位置⇒低位置⇒高位置⇒低位置⇒高位置に移動する演出であって、上下方向の往復移動(回転)が3回の場合の演出である。本形態では、特別嘶き駆動演出は、大当たりへの当選が確定している場合に実行され得る特別な演出としている。以下では、特別嘶き駆動演出を実行する場合の制御方法について説明する。
図25(C)に示すように、頭可動体800が初期位置から高位置に移動するとすぐに、頭可動体800は、高位置⇒低位置⇒高位置⇒低位置⇒高位置⇒低位置⇒高位置へ移動する。つまり、頭可動体800が上下方向に3回往復移動(回転)する特別嘶き駆動演出が実行される。このときには、頭移動モータ810の速度を250ppsにする。また頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にする。更に頭移動モータドライバIC1が頭移動モータ810に一定電流(本形態では400mA)の71%の大きさの電流(本形態では284mA)を供給するように制御する。これらにより、上述した通常嘶き駆動演出(図25(B)参照)の場合と同様、頭可動体800で生じる振動を抑えることが可能である。特に、特別嘶き駆動演出の場合、頭可動体800が上下方向に3回往復移動(回転)する分、出現位置にある頸可動体700が格納位置へより下降し易くなるところ、上述したように振動を抑えることで、出現位置にある頸可動体700の下降を効果的に防ぐことが可能である。
こうして特別嘶き駆動演出が終了すると、図25(C)に示すように、高位置に移動した頭可動体800は、すぐに初期位置に移動(復帰)することになる。つまり、特別嘶き駆動演出を実行する場合の制御方法(図25(C))では、通常嘶き駆動演出を実行する場合の制御方法(図25(B)参照)と異なり、高位置にある頭可動体800に対して停止保持力を付与しない。こうして本形態では、特別嘶き駆動演出が終了すると、頭移動モータ810で2相励磁による停止励磁を生じさせずに、励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替えるようにしている。特別嘶き駆動演出を実行する場合のその他の制御方法(図25(C)参照)は、上述した通常嘶き駆動演出を実行する場合の制御方法(図25(B)参照)と同様であるため、説明を省略する。
次に、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にする場合の制御方法と、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にする場合の制御方法について説明する。本形態では、頭可動体800の動作態様を決める頭可動体駆動データの中に、励磁相を選択するための励磁相選択データDA1が含まれている。なお励磁相選択データDA1は、演出用ROM123に記憶されている。励磁相選択データDA1(特定データ)は、図26(A)(B)に示すように、励磁用データda1〜da8までの8つの励磁用データを順番に並べて構成されている。
励磁用データda1は、端子φ1(A相)と端子φ3(B相)とを励磁することを示すデータである。励磁用データda2は、端子φ3(B相)を励磁することを示すデータである。励磁用データda3は、端子φ3(B相)と端子φ2(A/相)とを励磁することを示すデータである。励磁用データda4は、端子φ2(A/相)を励磁することを示すデータである。励磁用データda5は、端子φ2(A/相)と端子φ4(B/相)とを励磁することを示すデータである。励磁用データda6は、端子φ4(B/相)を励磁することを示すデータである。励磁用データda7は、端子φ4(B/相)と端子φ1(A相)とを励磁することを示すデータである。励磁用データda8は、端子φ1(A相)を励磁することを示すデータである。
本形態では、演出制御用マイコン121は、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にする場合、図26(A)に示すように、励磁相選択データDA1のうち、励磁用データda1と励磁用データda3と励磁用データda5と励磁用データda7を順番に読み込んで、対応する端子(相)を励磁するための制御信号をサブドライブ基板162に出力する。
具体的に、頭移動モータ810を正方向に回転駆動させる場合を例として説明する。演出制御用マイコン121は、例えば先ず、励磁カウンタの値が「1」であって、励磁用データda1を読み込んで、端子φ1(A相)と端子φ3(B相)とを励磁する制御信号を出力する。これにより、図22(B)に示すように、端子φ1と端子φ3が励磁される2相励磁状態になる。続いて、励磁カウンタの値を+2進めて「3」になり、励磁用データda3を読み込んで、端子φ3(B相)と端子φ2(A/相)とを励磁する制御信号を出力する。これにより、図22(C)に示すように、端子φ3と端子φ2が励磁される2相励磁状態になる。なお励磁カウンタは、励磁用データda1〜da8に対応していて、「1」〜「8」までの値をとるものである。
続いて、励磁カウンタの値を+2進めて「5」になり、励磁用データda5を読み込んで、端子φ2(A/相)と端子φ4(B/相)とを励磁する制御信号を出力する。これにより、図22(D)に示すように、端子φ2と端子φ4が励磁される2相励磁状態になる。続いて、励磁カウンタの値を+2進めて、励磁用データda7を読み込んで、端子φ4(B/相)と端子φ1(A相)とを励磁する制御信号を出力する。これにより、図22(A)に示すように、端子φ4と端子φ1が励磁される2相励磁状態になる。
その後、励磁カウンタの値を+2進める場合には、「8」を超えるため「1」の値に戻る。よって、励磁用データda1を読み込んで、端子φ1(A相)と端子φ3(B相)とを励磁する制御信号を出力することになる。なお、2相励磁で頭移動モータ810を逆方向に回転駆動させる場合には、励磁カウンタの値を+2進めるのではなく、−2進めて励磁用データda7,da5,da3,da1を読み込むことになる。
これに対して、演出制御用マイコン121は、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にする場合、図26(B)に示すように、励磁相選択データDA1のうち、励磁用データda1と励磁用データda2と励磁用データda3と励磁用データda4と励磁用データda5と励磁用データda6と励磁用データda7と励磁用データda8とを順番に読み込んで、対応する端子(相)を励磁するための制御信号をサブドライブ基板162に出力する。
具体的に、頭移動モータ810を正方向に回転駆動させる場合を例として説明する。演出制御用マイコン121は、例えば先ず、励磁カウンタの値が「1」であって、励磁用データda1を読み込んで、端子φ1(A相)と端子φ3(B相)とを励磁する制御信号を出力する。これにより、図24(B)に示すように、端子φ1と端子φ3が励磁される2相励磁状態になる。続いて、励磁カウンタの値を+1進めて「2」になり、励磁用データda2を読み込んで、端子φ3(B相)を励磁する制御信号を出力する。これにより、図24(C)に示すように、端子φ3が励磁される1相励磁状態になる。
続いて、励磁カウンタの値を+1進めて「3」になり、励磁用データda3を読み込んで、端子φ3(B相)と端子φ2(A/相)とを励磁する制御信号を出力する。これにより、図24(D)に示すように、端子φ3と端子φ2が励磁される2相励磁状態になる。続いて、励磁カウンタの値を+1進めて「4」になり、励磁用データda4を読み込んで、端子φ2(A/相)を励磁する制御信号を出力する。これにより、図24(E)に示すように、端子φ2が励磁される1相励磁状態になる。
続いて、励磁カウンタの値を+1進めて「5」になり、励磁用データda5を読み込んで、端子φ2(A/相)と端子φ4(B/相)とを励磁する制御信号を出力する。これにより、図24(F)に示すように、端子φ2と端子φ4が励磁される2相励磁状態になる。続いて、励磁カウンタの値を+1進めて「6」になり、励磁用データda6を読み込んで、端子φ4(B/相)を励磁する制御信号を出力する。これにより、図24(G)に示すように、端子φ4が励磁される1相励磁状態になる。
続いて、励磁カウンタの値を+1進めて「7」になり、励磁用データda7を読み込んで、端子φ4(B/相)と端子φ1(A相)とを励磁する制御信号を出力する。これにより、図24(H)に示すように、端子φ4と端子φ1が励磁される2相励磁状態になる。続いて、励磁カウンタの値を+1進めて「8」になり、励磁用データda8を読み込んで、端子φ1(A相)を励磁する制御信号を出力する。これにより、図24(A)に示すように、端子φ1が励磁される1相励磁状態になる。
その後、励磁カウンタの値を+1進める場合には、「8」を超えるため「1」の値に戻る。よって、励磁用データda1を読み込んで、端子φ1(A相)と端子φ3(B相)とを励磁する制御信号を出力することになる。なお、1−2相励磁で頭移動モータ810を逆方向に回転駆動させる場合には、励磁カウンタの値を+1進めるのではなく、−1進めて励磁用データda8〜da1を読み込むことになる。
なお図26に示す励磁相選択データDA1のうち、励磁用データda1,da3,da5,da7は、2つの端子(相)を励磁して2相励磁状態するための励磁用データである。従って、励磁用データda1,da3,da5,da7を「2相励磁用データ(2相データ)」と呼ぶことにする。これに対して、励磁相選択データDA1のうち、励磁用データda2,da4,da6,da8は、1つの端子(相)を励磁して1相励磁状態するための励磁用データである。従って、励磁用データda2,da4,da6,da8を「1相励磁用データ(1相データ)」と呼ぶことにする。
以上の説明から分かるように、本形態では、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁又は1−2相励磁の何れにする場合であっても、1つの励磁相選択データDA1を利用している。つまり、図27の比較例で示すように、2相励磁にするための励磁相選択データDA2(図27(A)参照)と、1−2相励磁にするための励磁相選択データDA3(図27(B)参照)とを別々に備えて、それぞれ別個で利用しているわけではない。こうして、1つの励磁相選択データDA1に2相励磁又は1−2相励磁にするのは、以下の理由に基づく。
本形態では、頭移動モータ810の励磁方法を、2相励磁から1−2相励磁に切替える場合がある。具体的には、図25(C)に示すように、特別嘶き駆動演出を開始する際に、2相励磁から1−2相励磁に切替えることになる。このとき図27に示す比較例のように、2相励磁にするための励磁相選択データDA2(図27(A)参照)と、1−2相励磁にするための励磁相選択データDA3(図27(B)参照)とが別々にあると、以下の問題点がある。
例えば、2相励磁から1−2相励磁に切替える直前に、図27(A)に示す励磁相選択データDA2の励磁用データdb1を読み込んで制御信号を出力していたとする。この場合、1−2相励磁に切替える際に、図27(B)に示す励磁相選択データDA3のうち、図27の(1)で示すように励磁用データdc1を読み込むのか、又は図27の(2)で示すように励磁用データdc2を読み込むのかを判別しなければならない。要するに、2相励磁から1−2相励磁に切替える際に、演出制御用マイコン121においてどの励磁用データに移行するかの判別処理が必要になる。よって、判別処理が煩雑になり、プログラムの作成負担が大きいという問題点がある。
これに対して、図26に示す本形態のように、1つの励磁相選択データDA1を利用する場合、以下の利点がある。例えば、2相励磁から1−2相励磁に切替える直前に、図26(A)(B)に示す励磁相選択データDA1の励磁用データda1を読み込んで制御信号を出力していたとする。なおこのときには上述したように、励磁用カウンタの値は「1」になっている。そして1−2相励磁に切替える際には、上述したように、励磁カウンタの値を+1進めて「2」になり、励磁用データda2を読み込むことになる。こうして、図27に示す比較例の場合と異なり、次に読み込む励磁相データを判別する必要がない。要するに、1つの励磁相選択データDA1と励磁用カウンタを用いることで、2相励磁から1−2相励磁に切替える際に、演出制御用マイコン121においてどの励磁用データに移行するかの判別処理が不要である。よって、プログラムの作成負担が小さいという利点がある。
ここで本形態において、図26(A)に示すように、2相励磁にする場合に、励磁用カウンタを+2又は−2進めて、次の励磁用データを読み込んで制御信号を出力することを、「フルステップ駆動制御」と呼ぶことにする。なおフルステップ駆動制御では、図22に示すように、モータのロータが、ステップ角である90度ずつ回転することになる。また図26(B)に示すように、1−2相励磁にする場合に、励磁用カウンタを+1又は−1進めて、次の励磁用データを読み込んで制御信号を出力することを、「ハーフステップ駆動制御」と呼ぶことにする。なおハーフステップ駆動制御では、図24に示すように、モータのロータが、ステップ角である45度ずつ回転することになる。
ところで本形態において、1−2相励磁から2相励磁に切替えて頭可動体800の移動を開始する場合に、以下の問題点があった。本形態では上述したように、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にする場合、演出制御用マイコン121は、ハーフステップ駆動制御を行っている。そして演出制御用マイコン121は、ステップ数の管理で頭移動モータ810の駆動制御を行っていて、1−2相励磁で頭可動体800を停止させる場合には、2相励磁用データ(励磁用データda1又は励磁用データda3或いは励磁用データda5若しくは励磁用データda7)を最後に読み込んで制御信号を出力するようになっている。言い換えると、1−2相励磁で頭可動体800を停止した時点で、1相励磁状態(図24(A)(C)(E)(G)参照)になっていることはなく、2相励磁状態(図24(B)(D)(F)(H)参照)になっているように制御している。
しかしながら、上述したように、可動体ユニットの中には、組付け誤差が生じているものが少なからず生じてしまう。また外乱の影響によって、頭移動モータ810でのステップ数の管理が狂うこともあり得る。そのためこれらを原因として、演出制御用マイコン121が、1−2相励磁で頭可動体800を停止させたときに、1相励磁用データ(励磁用データda2又は励磁用データda4或いは励磁用データda6若しくは励磁用データda8)を最後に読み込んで制御信号を出力している場合が生じ得る。言い換えると、1−2相励磁で頭可動体800を停止した時点で、1相励磁状態(図24(A)(C)(E)(G)参照)になっている場合があり得る。
この場合に、2相励磁への切替えによって、仮にフルステップ駆動制御を行うと、最後に読み込んだ励磁用データが1相励磁用データであるため、励磁用カウンタを+2又は−2ずつ進めて、繰り返し1相励磁用データを読み込んでしまうことなる。そうなると、図24(A)(C)(E)(G)に示す1相励磁状態が繰り返され、2相励磁でなく、1相励磁になってしまう。
そこで本形態では、上記問題に対して、以下のように対処している。具体的には、1−2相励磁から2相励磁に切替える場合として、特別嘶き駆動演出を終了して(図25(C)参照)、高位置から初期位置へ頭可動体800を移動させる場合を例として説明する。特別嘶き駆動演出では、図25(C)に示すように、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしている。そして、特別嘶き駆動演出が終了して、頭可動体800が高位置に移動し終えたときには、通常であれば、演出制御用マイコン121は、2相励磁用データを読み込んで制御信号を出力していることになる。つまり、2相励磁状態にしている。
しかしながら、上述したようにイレギュラーな場合が生じてしまい、図28(A)に示すように、頭可動体800が高位置に移動し終えたときに、励磁用データda4(1相励磁用データ)を読み込んで制御信号を出力していることとする。なおこのときには、励磁用カウンタの値は「4」である。
そこでこのような場合、本形態では、2相励磁で頭可動体800を移動させる前に、ハーフステップ駆動制御を行うことにしている。即ち、演出制御用マイコン121は、2相励磁で頭可動体800の移動を開始する時点で、1相励磁用データを読み込んでいたのか、又は2相励磁用データを読み込んでいたのかを判断する。そして、2相励磁用データを読み込んでいたと判断すれば、通常通りに2相励磁で頭可動体800を移動させるべく、フルステップ駆動制御を行う。これに対して、1相励磁用データを読み込んでいたと判断すれば、イレギュラーな場合として、先ずハーフステップ駆動制御を行って、2相励磁状態にする。その後、2相励磁で頭可動体800を移動させるべく、フルステップ駆動制御を行うようになっている。
具体的には、図28(A)に示すように、頭可動体800が高位置に移動し終えたときに、演出制御用マイコン121は、励磁用データda4(1相励磁用データ)を読み込んでいたと判断し、ハーフステップ駆動制御を行う。ここで、特別嘶き駆動演出が終了した後では、頭可動体800を高位置から初期位置に移動(復帰)させるため、頭移動モータ810を逆方向に回転駆動させる状況である。よって、ハーフステップ駆動制御では、図28(B)に示すように、励磁用カウンタの値を−1だけ進めて「4」から「3」にする。これにより、演出制御用マイコン121は、励磁用データda3を読み込んで制御信号を出力することになる。その結果、端子φ3(A/相)と端子φ2(B相)とが励磁される2相励磁状態(図22(C)参照)に切替わる。こうして、ハーフステップ駆動制御により2相励磁状態に切替えた後、図28(C)に示すように、フルステップ駆動制御を行う。つまり、励磁用カウンタの値を−2ずつ進めて、2相励磁用データを順次読み込んで制御信号を出力する。これにより、2相励磁で頭可動体800を初期位置へ移動(復帰)させることが可能である。
ところで本形態において、1−2相励磁で頭可動体を停止させて、2相励磁(2相励磁状態)で停止励磁を発生させる場合に、以下の問題点があった。具体的には、通常嘶き駆動演出が終了して(図25(B)参照)、高位置にある頭可動体800に停止保持力を付与する場合に、以下の問題点があった。即ち、演出制御用マイコン121は、通常嘶き駆動演出においてステップ数の管理で頭移動モータ810の駆動制御を行っていて、図25(B)に示すように、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしている。そして、通常嘶き駆動演出の終了に伴って頭可動体800を高位置で停止させる場合、2相励磁用データ(励磁用データda1又は励磁用データda3或いは励磁用データda5若しくは励磁用データda7)を最後に読み込んで制御信号を出力するようになっている。頭可動体800が高位置で停止し終えた時点で、2相励磁状態にしておくことで、頭移動モータ810による2相励磁による停止励磁(図25(B)参照)にスムーズに移行できるからである。
しかしながら、上述したように、組付け誤差や外乱の影響によって、頭移動モータ810でのステップ数の管理が狂うことがあり得る。そのため、演出制御用マイコン121が、1−2相励磁で頭可動体800を高位置にて停止させたときに、1相励磁用データ(励磁用データda2又は励磁用データda4或いは励磁用データda6若しくは励磁用データda8)を最後に読み込んで制御信号を出力している場合が生じ得る。要するに、1−2相励磁で頭可動体800を高位置にて停止させた時点で、基本的には2相励磁状態(図24(B)(D)(F)(H)参照)になるように制御しているものの、例外的に1相励磁状態(図24(A)(C)(E)(G)参照)になってしまうことが有り得た。
ここで、仮に1相励磁状態で停止励磁を発生させる場合、図24(A)(C)(E)(G)に示すように、1つの端子で頭移動モータ810のロータの両極を引き付けるため、2相励磁状態で停止励磁を発生させる場合のように、十分な停止保持力が得られない。従って、2相励磁状態だけでなく、1相励磁状態でも停止励磁を発生させることを想定すると、頭移動モータ810に供給する電流を大きくする必要があった。
具体的に、頭可動体800を高位置にて停止させる所定の停止保持力を発生させるためには、2相励磁状態であれば、頭移動モータ810に供給する電流が15mA(2つのコイルA,Bで合計30mA)以上必要であるのに対して、1相励磁状態であれば、頭移動モータ810に供給する電流が60mA以上必要になる。よって、1相励磁状態でも停止励磁を発生させることを想定した場合には、頭移動モータ810で停止励磁を発生させる際に必要な電流を60mA以上に設定することになる。
しかしながらこの場合には、2相励磁状態にて停止励磁を発生させる頭移動モータ810に供給する電流も、60mA以上(2つのコイルA,Bで合計120mA)になってしまう。そうなると、必要以上の停止保持力を発生させることになり、消費電流が無駄になってしまう。つまり上述したように、近年のパチンコ遊技機では、電源基板の負担を軽減するため、演出にあまり関与しない部分については、少しでも消費電流を抑えたいという実情があるところ、停止励磁での消費電流を抑えられないという問題がある。なお2相励磁状態における停止励磁での消費電流と、1相励磁状態における停止励磁での消費電流とを個別に設定する方法が考えられるが、制御処理が煩雑になるとと共に、定電流駆動方式のドライバを用いている以上、電流値を適宜自由に設定することはほぼ不可能である。
そこで本形態では、上記問題に対して、以下のように対処している。具体的には、図25(B)に示すように、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして通常嘶き駆動演出を実行して、頭移動モータ810を高位置にて停止させる。このとき(頭可動体800が高位置に移動し終えたとき)、通常であれば、演出制御用マイコン121は、2相励磁用データを読み込んで制御信号を出力していることになる。つまり、2相励磁状態にしている。
しかしながら、上述したようにイレギュラーな場合が生じてしまい、図29(A)に示すように、頭可動体800が高位置に移動し終えたときに、励磁用データda2(1相励磁用データ)を読み込んで制御信号を出力していることとする。なおこのときには、励磁用カウンタの値は「2」である。
そこでこのような場合、本形態では、頭移動モータ810に停止励磁を発生させる前に、ハーフステップ駆動制御を行うことにしている。即ち、演出制御用マイコン121は、高位置にて頭可動体800を停止させた時点で、1相励磁用データを読み込んでいたのか、又は2相励磁用データを読み込んでいたのかを判断する。そして、2相励磁用データを読み込んでいたと判断すれば、直ぐに2相励磁にて頭移動モータ810に停止励磁を発生させる。これに対して、1相励磁用データを読み込んでいたと判断すれば、イレギュラーな場合として、先ずハーフステップ駆動制御を行って、2相励磁状態にする。その後、2相励磁にて頭移動モータ810に停止励磁を発生させる。
具体的には、通常嘶き駆動演出が終了して、図29(A)に示すように、頭可動体800が高位置に移動し終えたときに、演出制御用マイコン121は、励磁用データda2(1相励磁用データ)を読み込んでいたと判断し、ハーフステップ駆動制御を行うことになる。ここで、通常嘶き駆動演出が終了する直前には、頭可動体800を高位置に向かって移動させていたため、頭移動モータ810を正方向に回転駆動させる状況である。よって、ハーフステップ駆動制御では、図29(B)に示すように、励磁用カウンタの値を+1だけ進めて「2」から「3」にする。これにより、演出制御用マイコン121は、励磁用データda3を読み込んで制御信号を出力することになる。その結果、端子φ3(A/相)と端子φ2(B相)とが励磁される2相励磁状態(図22(C)参照)に切替わる。こうして、ハーフステップ駆動制御により2相励磁状態に切替えた後、そのまま2相励磁状態で頭移動モータ810が停止励磁を発生させることになる。
以上により本形態では、高位置にある頭可動体800に停止保持力を付与する場合、頭移動モータ810が1相励磁状態で停止励磁を発生させることはなく、必ず2相励磁状態で停止励磁を発生させるように制御している。これにより、1相励磁状態で停止励磁を発生させる場合を想定して、頭移動モータ810に供給する電流を60mA以上に設定する必要がなくなり、2相励磁状態で停止励磁を発生させる場合のみを想定して、頭移動モータ810に供給する電流を15mAに設定することができる。こうして、2相励磁状態で停止励磁を発生させる際の電流(2つのコイルA,Bで合計30mA)を、嘶き駆動演出で頭移動モータ810に供給する電流(2つのコイルA,Bで合計800mA)、又は嘶き駆動演出以外で頭移動モータ810に供給する電流(2つのコイルA,Bで合計568mA)の10分の1以下という非常に小さい電流(15mA)にすることが可能である。よって、頭移動モータ810での消費電流を大きく抑制することが可能である。
以上の説明から分かるように、本形態では、1−2相励磁で頭可動体800を停止させたときに、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えるのは、停止励磁の際に必要な電流を小さくすることを目的としている。即ち、停止励磁の際に頭移動モータ810での消費電流を抑えために、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えるという技術的思想がある。
7.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特図表示器81に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特図表示器81に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口14を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技を特別遊技ともいう。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別は図30に示す通りである。図30に示すように、本形態では大きく分けて2つの種別がある。確変大当たりと通常大当たりである。確変大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する高確率状態に制御する大当たりである。通常大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する通常確率状態(低確率状態)に制御する大当たりである。
より具体的には、特図1の抽選(第1特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから8Rまでは大入賞口14を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから16Rまでは大入賞口14を1R当たり最大0.1秒にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は8Rである。実質的なラウンド数とは、1ラウンド当たりの入賞上限個数(本形態では8個)まで遊技球が入賞可能なラウンド数のことである。これらの大当たりでは9Rから16Rまでは、大入賞口14の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。なお、特図1の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器81aに「特図1_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器81aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。
また、特図2の抽選(第2特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから16Rまで大入賞口14を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりは実質的なラウンド数も16Rである。特図2の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器81bに「特図2_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器81bに「特図2_通常図柄」が停止表示される。
いずれの大当たりに当選した場合であっても、大当たり遊技後には後述する電サポ制御状態(高ベース状態)に制御される。電サポ制御状態は、高確率状態に伴って制御される場合には次回の大当たり当選まで継続する。一方、通常確率状態(低確率状態)に伴って制御される場合には、電サポ回数(時短回数)が100回に設定される。電サポ回数とは、電サポ制御状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
なお図30に示すように、特図1の抽選および特図2の抽選における大当たりの振分率は、共に確変大当たりが65%、通常大当たりが35%となっている。但し、特図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が8ラウンドの大当たり遊技が実行される一方、特図2の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が16ラウンドの大当たり遊技が実行される点で、特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機PY1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図31(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。なお、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面50a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。また、ゲート13への通過に基づいて取得される乱数には、図31(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー12Dを開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
8.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機PY1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機PY1の特図表示器81および普通図柄表示器82には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特図表示器81の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図32(A)参照)。つまり、特図表示器81の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特図表示器81による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図33参照)。つまり、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特図表示器81の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特図表示器81の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図32(C)参照)。つまり、普通図柄表示器82の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器82による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では7秒であるが、時短状態では1秒である(図32(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図34参照)。すなわち、電チュー12Dの開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図34参照)。すなわち、電チュー12Dの開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器82の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー12Dの開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー12Dが頻繁に開放され、第2始動口12へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー12Dにより第2始動口12への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器82の確率変動機能、普通図柄表示器82の変動時間短縮機能、電チュー12Dの開放時間延長機能、および電チュー12Dの開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー12Dが開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機PY1では、確変大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では10000回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。つまり本形態では、高確高ベース状態は実質的に次回の大当たり当選まで継続する。なお、高確高ベース状態の終了条件を、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることだけとしてもよい。
また、通常大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機PY1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することとする。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特典遊技状態」と称することとする。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域6R(図5参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されやすくなっており、第1始動口11への入賞よりも第2始動口12への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート13へ遊技球を通過させつつ、第2始動口12へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機PY1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域6L(図5参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されにくくなっており、第2始動口12への入賞よりも第1始動口11への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口11へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
9.パチンコ遊技機の制御動作
次に、図35に基づいて遊技制御用マイコン101の動作について説明し、図36〜図45に基づいて演出制御用マイコン121の動作について説明する。まず、遊技制御用マイコン101の動作について説明する。
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン101は、図35に示すメイン側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン101は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種別を決めるための当たり種別乱数、演出図柄変動演出においてリーチ状態とするか否か決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。なお各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。全ての乱数をハードウェア乱数とする場合、ソフトウェアによる乱数の更新処理は必要ない。また乱数発生回路は、遊技制御用マイコン101に内蔵されていてもよい。
次に、遊技制御用マイコン101は、入力処理を行う(S102)。入力処理(S102)では、パチンコ遊技機PY1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a,第2始動口センサ12a、ゲートセンサ13a、大入賞口センサ14a、一般入賞口センサ10a(図14参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータを遊技用RAM104の所定の記憶領域にセットする。また入力処理(S102)では、下皿35の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとして遊技用RAM104の出力バッファに記憶する。
続いて、遊技制御用マイコン101は、始動口センサ検出処理(S103)、特別動作処理(S104)、および普通動作処理(S105)を実行する。始動口センサ検出処理(S103)では、第1始動口センサ11a又は第2始動口センサ12aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、当たり種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(図31(A)参照))を取得する。また、ゲートセンサ13aによる通過検知があれば、普図保留が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図31(B)参照)を取得する。
特別動作処理(S104)では、始動口センサ検出処理(S103)にて取得した大当たり乱数等の乱数を所定の判定テーブル(図30,図32(A)(B),図33参照)を用いて判定する。そして、大当たり抽選の結果を示すための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。特別図柄の変動表示の開始時(開始直前)には変動パターンの情報を含む変動開始コマンドを遊技用RAM104の所定の出力バッファにセットし、特別図柄の停止表示の開始時(開始直前)には変動停止コマンドを遊技用RAM104の所定の出力バッファにセットする。なお変動パターンは、大当たり乱数等の各種乱数の判定に基づき、図33に示す特図変動パターン判定テーブルを用いて決定される。図33に示すように、変動パターンが決まれば、特別図柄の変動表示が実行される変動時間も決まる。
図33の備考欄に示すSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。SPリーチの方がノーマルリーチよりも、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)が高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。ここでSPリーチの中には、弱SPリーチA、弱SPリーチB、強SPリーチという種類が設けられている。弱SPリーチA⇒弱SPリーチB⇒強SPリーチの順番に、大当たりへの当選期待度が高くなるように、各種の変動パターンの振分率が設定されている。そして強SPリーチ又は弱リーチBの実行を示す変動パターンが選択された場合に、通常嘶き駆動演出(図25(B)参照)を伴う馬駆動演出が実行され得るようになっている。また大当たりに当選していて強SPリーチの実行を示す変動パターンP1,P31が選択された場合に、特別嘶き駆動演出(図25(C)参照)を伴う馬駆動演出が実行され得るようになっている。
大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、大当たりの種別に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図30参照)に従って大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。この大当たり遊技の開始に際して、当選した大当たり図柄の種別の情報を含むオープニングコマンドを遊技用RAM104の所定の記憶領域にセットする。なおオープニングコマンドは、オープニングの開始を示すコマンドである。また大当たり遊技が開始された後、ラウンド遊技の開始時にはラウンド指定コマンドを遊技用RAM104の所定の記憶領域にセットし、エンディングの開始時にはエンディングコマンドを遊技用RAM104の所定の記憶領域にセットする。なお特別動作処理(S104)において、大当たり乱数等の乱数の記憶がない場合には、演出制御用マイコン121に客待ち演出を実行させるための客待ち待機コマンドをセットする。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理(S103)にて取得した普通図柄乱数を普通図柄当たり判定テーブル(図32(C)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図34参照)に従って電チュー12Dを開放させる補助遊技を行う。
次に、遊技制御用マイコン101は、上述の各処理においてセットしたコマンド等を演出制御基板120等に出力する出力処理(S106)を行う。
以上の遊技制御用マイコン101における処理と並行して、演出制御用マイコン121は図36〜図45に示す処理を行う。以下、演出制御用マイコン121の動作について説明する。
[サブ側1msタイマ割り込み処理]演出制御用マイコン121は、図36に示すサブ側1msタイマ割り込み処理を1msecといった短時間毎に繰り返す。なお演出制御用マイコン121は、サブ側1msタイマ割り込み処理を実行すると共に、後述するようにサブ側10msタイマ割り込み処理(図43参照)を実行するようになっている。図36に示すように、サブ側1msタイマ割り込み処理ではまず、入力処理を行う(S201)。入力処理(S201)では、演出ボタン検知センサ40a、セレクトボタン検知センサ42a(図15参照)からの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理を行う(S202)。ランプデータ出力処理(S202)では、演出に合うタイミングで盤ランプ54や枠ランプ212を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S805)で作成したランプデータをサブドライブ基板162に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ54や枠ランプ212を所定の発光態様で発光させる。
次いで、後述する駆動制御処理を行う(S203)。そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行って(S204)、本処理を終える。
[駆動制御処理]図37に示すように、駆動制御処理(S203)ではまず、演出制御用マイコン121は、頸可動体駆動データが演出用RAM124にセットされているか否かを判定する(S301)。セットされていれば(S301でYES)、後述する頸可動体駆動制御処理を実行して(S302)、ステップS303に進む。一方、セットされていなければ(S301でNO)、頸移動モータ710の駆動制御を行う必要がないため、ステップS302をパスして、ステップS303に進む。
ステップS303では、頭可動体駆動データが演出用RAM124にセットされているか否かを判定する。セットされていれば(S303でYES)、後述する頭可動体駆動制御処理を実行して(S304)、ステップS305に進む。一方、セットされていなければ(S303でNO)、頭移動モータ810の駆動制御を行う必要がないため、ステップS304をパスして、ステップS305に進む。
ステップS305では、頸可動体駆動データ及び頭可動体駆動データ以外のその他の駆動データが演出用RAM124にセットされているか否かを判定する。セットされていれば(S305でYES)、頸可動体700及び頭可動体800以外の可動体(昇降ユニット300、左上部ユニット500、右上部ユニット550、脚可動体600)を移動させるための駆動制御処理を実行して(S306)、本処理を終える。一方、セットされていなければ(S305でNO)、本処理を終える。
[頸可動体駆動制御処理]図38に示すように、頸可動体駆動制御処理(S302)ではまず、演出制御用マイコン121は、頸可動体駆動データに基づいて、頸可動体700の出現位置への移動開始タイミングであるか否かを判定する(S401)。出現位置への移動開始タイミングであれば(S401でYES)、頸出現駆動設定処理を実行して(S402)、ステップS403に進む。頸出現駆動設定処理(S403)では、頸移動モータ710の速度が333ppsであり、頸移動モータ710の励磁方法が2相励磁であり、頸移動モータ710に一定電流(本形態では400mA)が供給されるように、演出制御用マイコン121が頸移動モータドライバ(図示省略)を制御する(図25(A)参照)。
ステップS403では、頸ステータスの値を「1」に設定して、本処理を終える。頸ステータスの値は、初期設定では「0」に設定されていて、馬駆動演出における頸可動体700の位置に応じて、「1」又は「2」或いは「3」に設定されるようになっている。
ステップS401で、出現位置への移動開始タイミングではないと判定した場合(S401でNO)、続いて、頸ステータスの値が「1」であるか否かを判定する(S404)。「1」であれば(S404でYES)、頸可動体700の格納位置からの移動を開始していることになり、頸正方向フルステップ駆動制御処理を実行して(S405)、ステップS406に進む。頸正方向フルステップ駆動制御処理(S405)では、上記した頸出現駆動設定処理(S402)で設定した内容(333pps,2相励磁,一定電流)で頸移動モータ710を正方向に回転駆動させるべく、演出制御用マイコン121が頸移動モータドライバを制御する。これにより、頸可動体700を高出力(高トルク)で素早く出現位置の方へ移動させることが可能である。
ステップS406では、ステップ数の管理に基づいて、頸可動体700の出現位置への移動が完了したか否かを判定する。つまり、演出制御用マイコン121は、頸可動体700を格納位置から移動させた時点から、頸移動モータ710に供給するパルスの数(ステップ数)が所定数に達したか否かを判定する。移動が完了していなければ(S406でNO)、本処理を終える。一方、移動が完了していれば(S406でYES)、低電流用停止励磁設定処理を実行する(S407)。
低電流用停止励磁設定処理(S407)では、図25(A)に示すように、頸移動モータ710に一定電流(本形態では400mA)の38%の大きさの電流(本形態では152mA)の電流を供給して、頸移動モータ710が2相励磁で停止励磁を発生させるように、演出制御用マイコン121が頸移動モータドライバを制御する。こうして、頸移動モータ710で停止励磁を行うための電流を、頸可動体700の移動中に頸移動モータ710に供給する駆動電流(本形態では400mA又はその71%の大きさである284mA)よりも小さくすることで、頸移動モータ710での消費電流を抑えることが可能である。ステップS407の後、頸ステータスの値を「2」に設定して(S408)、本処理を終える。
ステップS404で、頸ステータスの値が「1」でなければ(S404でNO)、続いて、頸ステータスの値が「2」であるか否かを判定する(S409)。「2」であれば(S409でYES)、頸可動体700の出現位置への移動が完了していることになり、低電流用停止励磁制御処理を実行する(S410)。低電流用停止励磁制御処理(S410)では、上記した低電流用停止励磁設定処理(S407)の内容で、頸移動モータ710に停止励磁を発生させるべく、演出制御用マイコン121が頸移動モータドライバを制御する。
続いて、ステップS411では、演出制御用マイコン121は、頸可動体駆動データに基づいて、頸可動体700の格納位置への移動開始タイミングであるか否かを判定する。格納位置への移動開始タイミングでなければ(S411でNO)、本処理を終える。一方、格納位置への移動開始タイミングであれば(S411でYES)、頸格納駆動設定処理を実行して(S412)、ステップS413に進む。頸格納駆動設定処理(S412)では、頸移動モータ710の速度が333ppsであり、頸移動モータ710の励磁方法が2相励磁であり、頸移動モータ710に一定電流(本形態では400mA)が供給されるように、演出制御用マイコン121が頸移動モータドライバを制御する(図25(A)参照)。ステップS413では、頸ステータスの値を「3」に設定して、本処理を終える。
ステップS409で、頸ステータスの値が「2」でなければ(S409でNO)、続いて、頸ステータスの値が「3」であるか否かを判定する(S414)。「3」でなければ(S414でNO)、頸移動モータ710の駆動制御を行うタイミングでないため、本処理を終える。一方、「3」であれば(S414でYES)、頸可動体700の出現位置からの移動(復帰)を開始していることになり、頸逆方向フルステップ駆動制御処理を実行して(S415)、ステップS416に進む。頸逆方向フルステップ駆動制御処理(S415)では、上記した頸格納駆動設定処理(S412)で設定した内容(333pps,2相励磁,一定電流)で頸移動モータ710を逆方向に回転駆動させるべく、演出制御用マイコン121が頸移動モータドライバを制御する。これにより、頸可動体700を高出力(高トルク)で素早く格納位置の方へ移動させることが可能である。
ステップS416では、ステップ数の管理に基づいて、頸可動体700の格納位置への移動が完了したか否かを判定する。つまり、演出制御用マイコン121は、頸可動体700を出現位置から移動させた時点から、頸移動モータ710に供給するパルスの数(ステップ数)が所定数に達したか否かを判定する。移動が完了していなければ(S416でNO)、本処理を終える。一方、移動が完了していれば(S416でYES)、頸可動体700の動作に基づく馬駆動演出が終了していることになり、頸可動体駆動データを演出用RAM124からクリアする(S417)。
続いて、頸ステータスの値を「0」に設定する(S418)。そして、無電流制御状態設定処理を実行して(S419)、本処理を終える。上述したように、頸可動体700が格納位置にあるときには、消費電流を無くすため、図25(A)に示すように、頸可動体700には停止励磁による停止保持力を付与しない。従って、無電流制御状態設定処理(S419)では、頸移動モータ710に電流が供給されないように、演出制御用マイコン121が頸移動モータドライバを制御することになる。
[頭可動体駆動制御処理]図39に示すように、頭可動体駆動制御処理(S304)ではまず、演出制御用マイコン121は、頭可動体駆動データに基づいて、頭可動体800の高位置への移動開始タイミングであるか否かを判定する(S501)。なお頭可動体駆動データの中には、通常嘶き駆動演出の実行を伴う頭可動体駆動データと、特別嘶き駆動演出の実行を伴う頭可動体駆動データがある。高位置への移動開始タイミングであれば(S501でYES)、頭出現駆動設定処理を実行して(S502)、ステップS503に進む。頭出現駆動設定処理(S502)では、頭移動モータ810の速度が333ppsであり、頭移動モータ810の励磁方法が2相励磁であり、頭移動モータ810に一定電流(本形態では400mA)が供給されるように、演出制御用マイコン121が頭移動モータドライバIC1(図18参照)を制御する(図25(B)(C)参照)。
ステップS503では、頭ステータスの値を「1」に設定して、本処理を終える。頭ステータスの値は、初期設定では「0」に設定されていて、馬駆動演出における頭可動体800の位置に応じて、「1」、「2」、「3」、「4」、又は「5」の何れかに設定されるようになっている。
ステップS501で、高位置への移動開始タイミングではないと判定した場合(S501でNO)、続いて、頭ステータスの値が「1」であるか否かを判定する(S504)。「1」であれば(S504でYES)、頭可動体800の初期位置からの移動を開始していることになり、頭正方向フルステップ駆動制御処理を実行して(S505)、ステップS506に進む。頭正方向フルステップ駆動制御処理(S505)では、上記した頭出現駆動設定処理(S502)で設定した内容(333pps,2相励磁,一定電流)で頭移動モータ810を正方向に回転駆動させるべく、演出制御用マイコン121が頭移動モータドライバIC1を制御する。これにより、頭可動体800を高出力(高トルク)で素早く高位置の方へ移動させることが可能である。
ステップS506では、ステップ数の管理に基づいて、頭可動体800の高位置への移動が完了したか否かを判定する。つまり、演出制御用マイコン121は、頭可動体800を初期位置から移動させた時点から、頭移動モータ810に供給するパルスの数(ステップ数)が特定数に達したか否かを判定する。移動が完了していなければ(S506でNO)、本処理を終える。一方、移動が完了していれば(S506でYES)、頭下げ駆動設定処理を実行し(S507)、頭ステータスの値を「2」に設定して(S508)、本処理を終える。頸下げ駆動設定処理(S507)では、頭移動モータ810の速度が250ppsであり、頭移動モータ810の励磁方法が1−2相励磁であり、頭移動モータ810に一定電流(本形態では400mA)の71%の大きさの電流(本形態では284mA)が供給されるように、演出制御用マイコン121が頭移動モータドライバIC1を制御する(図25(B)(C)参照)。
こうして、嘶き駆動演出(通常嘶き駆動演出又は特別嘶き駆動演出)を開始する場合には、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁から1−2相励磁に切替える。また頭移動モータ810の速度を333ppsから250ppsに低下させる。更に頭移動モータ810に供給する電流を71%の大きさ(本形態では284mA)に低下させる。これらにより、嘶き駆動演出において頭可動体800を滑らかに且つ振動を減らした状態で移動させることが可能である。よって、出現位置にある頸可動体700が格納位置の方へ下降したり、頭可動体800を回転可能に組付ける回転軸801が時間の経過によって抜けるような事態を防ぐことが可能である。
なお嘶き駆動演出の開始により、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁から1−2相励磁に切替える場合には、演出制御用マイコン121は、励磁用カウンタの値を−1ずつ進めていき、励磁相選択データDA1(図26(A)(B)参照)のうち2相励磁で最後に読み込んだ励磁用データから、1つずつ前の励磁用データを読み込んでいくことになる。こうして、2相励磁と1−2相励磁に対する共通の励磁相選択データDA1を用いることで、簡易な制御処理で2相励磁から1−2相励磁へ切替えることが可能である。
ステップS504で、頭ステータスの値が「1」でなければ(S504でNO)、続いて、頭ステータスの値が「2」であるか否かを判定する(S509)。「2」であれば(S509でYES)、頭可動体800の高位置から低位置への移動を開始していることになり、頭逆方向ハーフステップ駆動制御処理を実行して(S510)、ステップS511に進む。頭逆方向ハーフステップ駆動制御(S510)では、上記した頭下げ駆動設定処理(S507)で設定した内容(250pps,1−2相励磁,一定電流の71%の大きさの電流)で頭移動モータ810を逆方向に回転駆動させるべく、演出制御用マイコン121が頭移動モータドライバIC1を制御する。
ステップS511では、ステップ数の管理に基づいて、頭可動体800の低位置への移動が完了したか否かを判定する。つまり、演出制御用マイコン121は、頭可動体800を高位置から移動させた時点から、頭移動モータ810に供給するパルスの数(ステップ数)が規定数に達したか否かを判定する。移動が完了していなければ(S511でNO)、本処理を終える。一方、移動が完了していれば(S511でYES)、頭上げ駆動設定処理を実行し(S512)、頭ステータスの値を「3」に設定して(S513)、本処理を終える。頭上げ駆動設定処理(S512)では、頭移動モータ810の回転駆動する方向が正方向になること以外、上記した頭下げ駆動設定処理(S507)と同じである(図25(B)(C)参照)。
ステップS509で、頭ステータスの値が「2」でなければ(S509でNO)、図40に示すステップS514に進む。図40に示すように、ステップS514では、頭ステータスの値が「3」であるか否かを判定する(S514)。「3」であれば(S514でYES)、頭可動体800の低位置から高位置への移動を開始していることになり、頭正方向ハーフステップ駆動制御処理を実行して(S515)、ステップS516に進む。頭正方向ハーフステップ駆動制御処理(S515)では、上記した頭上げ駆動設定処理(S512)で設定した内容(250pps,1−2相励磁,一定電流の71%の大きさの電流)で頭移動モータ810を正方向に回転駆動させるべく、演出制御用マイコン121が頭移動モータドライバIC1を制御する。
ステップS516では、ステップ数の管理に基づいて、頭可動体800の高位置への移動が完了したか否かを判定する。つまり、演出制御用マイコン121は、頭可動体800を低位置から移動させた時点から、頭移動モータ810に供給するパルスの数(ステップ数)が規定数に達したか否かを判定する。移動が完了していなければ(S516でNO)、本処理を終える。一方、移動が完了していれば(S516でYES)、通常嘶き駆動演出が終了したか否かを判定する(S517)。つまり、通常嘶き駆動演出の実行を伴う頭可動体駆動データがセットされていて、頭可動体800の上下方向の往復移動(回転)が1回終了したか否かを判定する。通常嘶き駆動演出の終了であれば(S517でYES)、後述する超低電流用停止励磁設定処理を実行し(S518)、頭ステータスの値を「4」に設定して(S519)、本処理を終える。
[超低電流用停止励磁設定処理]図40に示す頭可動体駆動制御処理(S304)を全て説明する前に、図41に示す超低電流用停止励磁設定処理(S518)を先に説明する。超低電流用停止励磁設定処理(S518)は、通常嘶き駆動演出が終了した時点(1−2相励磁で頭可動体800が高位置に移動し終えた時点)で、頭移動モータ810に2相励磁状態で停止励磁を発生させるための設定処理である。
図41に示すように、超低電流用停止励磁設定処理(S518)ではまず、演出制御用マイコン121は、図26に示す励磁相選択データDA1のうち1相励磁用データ(励磁用データda2,da4,da6,da8)を読み込んだか否かを判定する。具体的には、励磁用カウンタの値が偶数になっているか否かを判定する。1相励磁用データを読み込んでいなければ(S601でNO)、1−2相励磁で頭可動体800が高位置に移動し終えた時点で、2相励磁状態(図24(B)(D)(F)(H)参照)になっていることになる。この場合には、ステップS603に進み、超低電流用切替設定処理(S603)を実行して、本処理を終える。超低電流用切替設定処理(S603)では、頭移動モータドライバICが一定電流の3.75%の大きさの電流(本形態では15mA)を供給して、頭移動モータ810が2相励磁による停止励磁を発生させるように、頭移動モータドライバICの設定を行う。これにより、停止励磁に基づく消費電流を大きく抑えつつ、2相励磁で高位置にある頭可動体800に停止保持力を付与することが可能である。
一方、ステップS601において、1相励磁用データを読み込んでいると判定すれば(S601でYES)、頭正方向ハーフステップ駆動制御処理を実行する(S602)。頭正方向ハーフステップ駆動制御処理(S602)では、励磁用カウンタの値を+1だけ進めて、励磁相選択データDA1(図26(A)(B)参照)のうち通常嘶き駆動演出の最後に読み込んだ励磁用データから、1つ後の励磁用データ(2相励磁用データ)を読み込んで制御信号を出力する(図29(A)(B)参照)。これにより、1相励磁状態から2相励磁状態(図24(A)(C)(E)(F)参照)に切替わる。その後、上述したように、超低電流用切替設定処理(S603)を実行して、本処理を終える。
こうして、通常嘶き駆動演出が終了した時点で、仮に1相励磁状態であっても、必ず2相励磁状態に切替えている。つまり、1相励磁状態で頭移動モータ810に停止励磁を発生させることはない。よって、1相励磁状態で頭移動モータ810に停止励磁を発生させることを想定して、頭移動モータ810に供給する電流をある程度余裕をもって大きくする設定を防ぐことが可能である。そのため、2相励磁状態で頭移動モータ810に停止励磁を発生させる場合のみを想定して、停止励磁を発生させる際に頭移動モータ810に供給する電流を15mAという非常に小さい電流に設定することが可能である。よって、停止励磁の際の頭移動モータ810での消費電流を大きく抑えることが可能である。
図40に示す頭可動体駆動制御処理(S304)の説明に戻る。図40に示すように、ステップS514で、頭ステータスの値が「3」でなければ(S514でNO)、続いて、頭ステータスの値が「4」であるか否かを判定する(S520)。「4」であれば(S520でYES)、通常嘶き駆動演出が終了した後であり、超低電流用停止励磁制御処理を実行して(S521)、ステップS522に進む。超低電流用停止励磁制御処理(S521)では、上記した超低電流用切替設定処理(S603)で設定した内容(頭移動モータ810に一定電流の3.75%の大きさの電流を供給して2相励磁状態での停止励磁)で、頭移動モータ810に停止励磁を発生させるべく、演出制御用マイコン121が頭移動モータドライバIC1を制御する。
ステップS522では、演出制御用マイコン121は、頭可動体駆動データに基づいて、頭可動体800の初期位置への移動開始タイミングであるか否かを判定する。初期位置への移動開始タイミングでなければ(S522でNO)、本処理を終える。一方、初期位置への移動開始タイミングであれば(S522でYES)、頭復帰駆動設定処理を実行して(S523)、ステップS524に進む。頭復帰駆動設定処理(S523)では、頭移動モータ810の速度が333ppsであり、頭移動モータ810の励磁方法が2相励磁であり、頭移動モータ810に一定電流(本形態では400mA)が供給されるように、演出制御用マイコン121が頭移動モータドライバIC1を制御する(図25(B)参照)。ステップS524では、頭ステータスの値を「5」に設定して、本処理を終える。
またステップS517において、通常嘶き駆動演出の終了でなければ(S517でNO)、続いて、特別嘶き駆動演出の終了か否かを判定する(S525)。つまり、特別嘶き駆動演出の実行を伴う頭可動体駆動データがセットされていて、頭可動体800の上下方向の往復移動(回転)が3回終了したか否かを判定する。特別嘶き駆動演出の終了でなければ(S525でNO)、未だ頭可動体800の上下方向の往復移動を行う必要があるため、ステップS526に進む。ステップS526では、頭下げ駆動設定処理を実行して、ステップS527に進む。ステップS526の頭下げ駆動設定処理は、上述したステップS507の頭下げ駆動設定処理と同様であるため、説明を省略する。ステップS527では、頭ステータスの値を「2」に設定して、本処理を終える。これにより、頭可動体800の上下方向の往復移動が再開されることになる。
一方、ステップS525において、特別嘶き駆動演出の終了であれば(S525でYES)、後述する頭復帰駆動設定補正処理を実行して(S528)、ステップS529に進む。ステップS529では、頭ステータスの値を「5」に設定して、本処理を終える。
[頭復帰駆動設定補正処理]図40に示す頭可動体駆動制御処理(S304)を全て説明する前に、図42に示す頭復帰駆動設定補正処理(S528)を先に説明する。頭復帰駆動設定補正処理(S528)は、特別嘶き駆動演出が終了した時点(1−2相励磁で頭可動体800が高位置に移動し終えた時点)で、頭移動モータ810が1相励磁状態になっていれば2相励磁状態に切替えるための処理である。
図42に示すように、頭復帰駆動設定補正処理(S528)ではまず、演出制御用マイコン121は、図26に示す励磁相選択データDA1のうち1相励磁用データ(励磁用データda2,da4,da6,da8)を読み込んだか否かを判定する(S701)。具体的には、励磁用カウンタの値が偶数になっているか否かを判定する。1相励磁用データを読み込んでいなければ(S701でNO)、1−2相励磁で頭可動体800が高位置に移動し終えた時点で、2相励磁状態(図24(B)(D)(F)(H)参照)になっていることになる。この場合には、ステップS703に進み、頭復帰駆動設定処理を実行して(S703)、本処理を終える。ステップS703の頭復帰駆動設定処理は、上述したステップS523の頭復帰駆動設定処理と同じであるため、説明を省略する。
一方、ステップS701において、1相励磁用データを読み込んでいると判定すれば(S701でYES)、頭逆方向ハーフステップ駆動制御処理を実行する(S702)。頭逆方向ハーフステップ駆動制御処理(S702)では、励磁用カウンタの値を−1だけ進めて、励磁相選択データDA1(図26(A)(B)参照)のうち特別嘶き駆動演出の最後に読み込んだ励磁用データから、1つ前の励磁用データ(2相励磁用データ)を読み込んで制御信号を出力する(図28(A)(B)参照)。これにより、1相励磁状態から2相励磁状態(図24(A)(C)(E)(F)参照)に切替わる。その後、上述したように、頭復帰駆動設定処理(S703)を実行して、本処理を終える。
こうして、通常嘶き駆動演出が終了した時点で、仮に1相励磁状態であっても、必ず2相励磁状態に切替えている。これにより、1相励磁状態のまま、2相励磁による制御処理としてフルステップ駆動制御(図28(C)参照)を実行してしまうのを防ぐことが可能である。要するに、1−2相励磁で頭可動体800を移動させて、頭可動体800が高位置で停止したときに仮に1相励磁状態であったとしても、頭逆方向ハーフステップ駆動制御処理(S702)を介在させることで、1−2相励磁から2相励磁への切替えをスムーズに行うことが可能である。
ステップS520で、頭ステータスの値が「4」でなければ(S520でNO)、続いて、頭ステータスの値が「5」であるか否かを判定する(S530)。「5」でなければ(S530でNO)、頭移動モータ810の駆動制御を行うタイミングでないため、本処理を終える。一方、「5」であれば(S530でYES)、頭可動体800の高位置からの移動(復帰)を開始していることになり、頭逆方向フルステップ駆動制御処理を実行して(S531)、ステップS532に進む。頭逆方向フルステップ駆動制御処理(S531)では、上記したステップS523の頭復帰駆動設定処理、又はステップS703の頭復帰駆動設定処理で設定した内容(333pps,2相励磁,一定電流)で頭移動モータ810を逆方向に回転駆動させるべく、演出制御用マイコン121が頭移動モータドライバIC1を制御する。これにより、頭可動体800を高出力(高トルク)で素早く初期位置の方へ移動させることが可能である。
ステップS532では、ステップ数の管理に基づいて、頭可動体800の初期位置への移動が完了したか否かを判定する。つまり、演出制御用マイコン121は、頭可動体800を高位置から移動させた時点から、頭移動モータ810に供給するパルスの数(ステップ数)が特定数に達したか否かを判定する。移動が完了していなければ(S532でNO)、本処理を終える。一方、移動が完了していれば(S532でYES)、頭可動体800の動作に基づく馬駆動演出が終了していることになり、頭可動体駆動データを演出用RAM124からクリアする(S533)。
続いて、頭ステータスの値を「0」に設定する(S534)。そして、無電流制御状態設定処理を実行して(S535)、本処理を終える。上述したように、頭可動体800が初期位置にあるときには、消費電流を無くすため、図25(B)(C)に示すように、頭可動体800には停止励磁による停止保持力を付与しない。従って、無電流制御状態設定処理(S535)では、頭移動モータ810に電流が供給されないように、演出制御用マイコン121が頭移動モータドライバIC1を制御することになる。
[サブ側10msタイマ割り込み処理]サブ側10msタイマ割り込み処理は、演出制御基板120に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図43に示すように、サブ側10msタイマ割り込み処理では、演出制御用マイコン121は、後述する受信コマンド解析処理を行う(S801)。
続いて、サブ側1msタイマ割り込み処理の入力処理(S201)で作成したスイッチデータをサブ側10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして演出用RAM124に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S802)。そして、スイッチ状態取得処理(S802)にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面50aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S803)。
続いて、音声制御処理(S804)を行う。音声制御処理(S804)では、音声データ(スピーカ620からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び画像制御基板140への出力や、音声演出の時間管理等を行う。これにより、実行する演出に合った音声がスピーカ620から出力される。その後、各種の演出用の乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行して(S805)、本処理を終える。
[受信コマンド解析処理]図44に示すように、受信コマンド解析処理(S801)ではまず、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から変動開始コマンド(特図1変動開始コマンド又は特図2変動開始コマンド)を受信したか否か判定し(S901)、受信していれば後述する変動演出開始処理を行う(S902)。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から変動停止コマンド(特図1変動停止コマンド又は特図2変動停止コマンド)を受信したか否か判定し(S903)、受信していれば変動演出終了処理を行う(S904)。変動演出終了処理(S904)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S905)、受信していればオープニング演出選択処理を行う(S906)。オープニング演出選択処理(S906)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S907)、受信していればラウンド演出選択処理を行う(S908)。ラウンド演出選択処理(S908)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S909)、受信していればエンディング演出選択処理を行う(S910)。エンディング演出選択処理(S910)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、その他の処理(S911)として上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば客待ちコマンドの受信に基づいて客待ち演出を行うための処理や、普通図柄変動開始コマンドの受信に基づいて普図変動演出を行うための処理)を行って、受信コマンド解析処理(S901)を終える。
[変動演出開始処理]図45に示すように、変動演出開始処理(S902)ではまず、演出制御用マイコン121は、変動開始コマンドを解析する(S1001)。変動開始コマンドには、遊技制御用マイコン101による大当たり判定処理に基づいてセットされた特図停止図柄データの情報や、変動パターン(図33参照)の情報、現在の遊技状態を指定する情報等が含まれている。
次に演出制御用マイコン121は、変動演出において最終的に停止表示する演出図柄8L,8C,8Rの選択を行う(S1002)。具体的には、演出図柄決定用乱数を取得するとともに、リーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択する。そして、選択したテーブルを用いて、取得した演出図柄決定用乱数を判定することにより、演出図柄を選択する。これにより、最終的に停止表示される演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせ(例えば「777」等)が決定される。
続いて演出制御用マイコン121は、変動演出パターン選択処理を実行する(S1003)。具体的には、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動パターンの種類に応じて分類されているテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択する。そして、選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン抽選乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。こうして変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、演出ボタン演出(SW演出)の有無、演出ボタン演出の内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。
続いて演出制御用マイコン121は、予告演出選択処理を実行する(S1004)。予告演出選択処理(S904)では、予告演出決定用乱数を取得するとともに、リーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択する。そして、その選択したテーブルを用いて、取得した予告演出決定用乱数を判定することにより、予告演出を選択する。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。
続いて演出制御用マイコン121は、選択した変動演出パターンに応じて駆動データを設定するための駆動データ設定処理を実行する(S1005)。この駆動データ設定処理(S1005)により、当選期待度が高い演出(SPリーチ等)を実行する変動演出パターンが選択された場合に、馬駆動演出の実行を伴う頭可動体駆動データ、頸可動体駆動データ、脚可動体駆動データやその他の駆動データが演出用RAM124にセットされ得るようになっている。更に、大当たりの当選が確定している変動パターンP1,P31に基づく変動演出パターンが選択されている場合には、特別嘶き駆動演出の実行を伴う頭可動体駆動データが演出用RAM124にセットされ得るようになっている。
その後、選択した演出図柄と変動演出パターンと予告演出とを開始するための変動演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットして(S1006)、本処理を終える。ステップS1006でセットされた変動演出開始コマンドが、画像制御基板140に送信されると、表示画面50aにて特別図柄の変動表示に同期した変動演出が開始される。
10.本形態の効果
以上詳細に説明したように、本パチンコ遊技機PY1によれば、嘶き駆動演出において頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にすることで、頭可動体800を滑らかに移動させることが可能である。また嘶き駆動演出を除く馬駆動演出において頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にすることで、頭可動体800を高出力(高トルク)で移動させることが可能である。こうして頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁又は2相励磁に切替えることで、頭可動体800に求める挙動に柔軟に対応することが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、頭可動体800は回転軸801周りに回転可能なものである。そして嘶き駆動演出においては、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして、頭可動体800を回転させることで、滑らかに頭可動体800を回転させることが可能である。よって仮に、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁だけにして、頭可動体800を回転軸801周りに回転させ続ける場合に比べて、回転軸801に作用する負荷を軽減することが可能である。その結果、回転軸801の抜けなどの不具合を生じ難くすることが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、頭可動体800を図13(A)に示す高位置から図13(B)に示す低位置に移動させた後に、再び図13(C)示す高位置へ移動させる嘶き駆動演出を実行する場合には、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしている。そのため、頭可動体800の往復移動(往復回転)を滑らかにすることができて、振動を少なくした状態で嘶き駆動演出を実行することが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、図13(A)(B)(C)に示すように、頸可動体700が出現位置にあるときに、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして、嘶き駆動演出を実行する。そのため、嘶き駆動演出での頭可動体800の移動を滑らかにすることができて、頭可動体800から頸可動体700へ伝わる振動を少なくすることが可能である。よって、出現位置にある頸可動体700が、格納位置に向かって下がるような不具合を生じないようにすることが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、頸可動体700が出現位置にて停止保持力を付与されているときに(図25(A)参照)、頭移動モータの励磁方法を1−2相励磁にして嘶き駆動演出を実行する(図13(A)(B)(C)参照)。そのため、嘶き駆動演出において移動中の頭可動体800から、出現位置にある頸可動体700に伝わる振動を少なくすることが可能である。よって、出現位置にて頸可動体700の停止の保持をできなくなる事態を防ぐことが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、図25(B)(C)に示すように、頭可動体800が初期位置から高位置へ移動する際には、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にするため、頭可動体800を高トルクで素早く高位置へ移動(出現)させることが可能である。その後、頭可動体800が図13(A)⇒図13(B)⇒図13(C)に示す駆動態様(特定の駆動態様)で移動する際には、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にする。よって、頭可動体800が出現した後には、滑らかな頭可動体800の動きによる嘶き駆動演出を実行することが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、図25(C)に示すように、特別嘶き駆動演出を実行する場合には、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして、頭可動体800を滑らかに移動させることが可能である。その後、特別嘶き駆動演出が終了すると、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にして、頭可動体800を高位置から初期位置へ高出力(高トルク)で素早く移動させることが可能である。こうして頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替えることで、頭可動体800に求める挙動に柔軟に対応することが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、特別嘶き駆動演出が終了した後に、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にして頭可動体800の移動を開始するときに、1相励磁状態になっている場合があり得る(図28(A)参照)。この場合に、仮にフルステップ駆動制御を実行してしまうと、2相励磁への切替えを適切にできない。そこでこの場合には、頭逆方向ハーフステップ駆動制御処理(図42のステップS702の処理)により2相励磁状態に切替えてから、頭逆方向フルステップ駆動制御処理(図40のステップS531の処理)を実行する。これにより、2相励磁への切替えを適切に行うことが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、図26(A)(B)に示すように、1つの励磁相選択データDA1に基づいて、ハーフステップ駆動制御又はフルステップ駆動制御の何れも実行することが可能である。つまり図27の比較例で示すように、ハーフステップ駆動制御を実行するためのデータ(図27(B)参照)と、フルステップ駆動制御を実行するためのデータ(図27(A)参照)を別個で持つ必要がない。そのため、2相励磁で頭可動体800の移動を開始するときに1相励磁状態であっても、励磁相選択データDA1をそのまま利用して、ハーフステップ駆動制御(ステップS702の頭逆方向ハーフステップ駆動制御処理)により2相励磁状態に切替えることができる。そして、その後にフルステップ駆動制御(ステップS531の頭逆方向フルステップ駆動制御処理)を実行することが可能である。こうして、1−2相励磁から2相励磁に切替える際に、図27に示す比較例のようにデータを切替える処理が不要であり、励磁方法の切替処理を簡易にすることが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、図25(B)に示すように、通常嘶き駆動演出を実行する場合において、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして、頭可動体800を移動させることが可能である。しかしながら、頭可動体800を高位置で停止させたときに、1相励磁状態になっている場合があり得る(図29(A)参照)。そこでこの場合には、頭正方向ハーフステップ駆動制御処理(図41のステップS602の処理)により、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えてから(図29(B)参照)、頭可動体800に停止保持力を付与する。これにより、1相励磁状態のまま頭可動体800に停止保持力を付与する場合よりも、大きな停止保持力を付与することが可能である。その結果、停止保持力を発生させるために頭移動モータ810に供給する電流を小さくして、頭移動モータ810での消費電流を抑えることが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、通常嘶き駆動演出が終了した後、頭可動体800が高位置で停止しているときには必ず2相励磁状態にしている。そしてこのときには、2相励磁状態で頭移動モータ810に超低下電流(一定電流の3.75%の大きさの電流,本形態では15mA)を供給して、頭可動体800に停止保持力を付与する。この超低下電流は、頭可動体800の移動中に頭可動体800に供給する駆動電流(本形態では一定電流である400mA又はその71%の大きさである284mA)よりも小さくしている。こうして、停止保持力を発生させるための超低下電流を小さくすることで、頭移動モータ810での消費電流を抑えることが可能である。特に、頭可動体800に停止保持力を付与する場合には必ず2相励磁状態にしているため、停止保持力が小さい1相励磁状態を想定して、超低下電流を設定しないで済む。つまり、停止保持力が大きい2相励磁状態を想定して、超低下電流を設定できるため、必要以上に大きな電流値(例えば1相励磁状態を想定して60mA)に設定する必要がない。こうして、超低下電流を小さく設定できることで、頭移動モータ810での消費電流を一層抑えることが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、高位置にある頭可動体800に停止保持力を付与する場合に、頭移動モータ810に供給する超低下電流(一定電流の3.75%の大きさの電流,本形態では15mA)を、頭可動体800の移動中に頭可動体800に供給する駆動電流(本形態では400mA又はその71%の大きさである284mA)の10分の1以下にしている。こうして超低下電流を非常に小さく設定することで、消費電流の抑制効果を大きく得ることが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、図26(A)(B)に示すように、1つの励磁相選択データDA1に基づいて、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁又は1−2相励磁の何れにもすることが可能である。つまり図27の比較例で示すように、励磁方法を2相励磁にするための励磁相選択データDA2(図27(A)参照)と、1−2相励磁にするための励磁相選択データDA3(図27(B)参照)を別個で持つ必要がない。そのため、2相励磁から1−2相励磁に切替える際に、又は1−2相励磁から2相励磁に切替える際に、図27に示す比較例のようにデータを切替える処理が不要であり、励磁方法の切替処理を簡易にすることが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、演出制御用マイコン121は、2相励磁に切替える場合には、図26(A)に示すように、励磁相選択データDA1に対して励磁用カウンタを2つずつ進めて、2相励磁用データ(励磁用データda1,da3,da5,da7)を読み込めば良い。一方、1−2相励磁に切替える場合には、図26(B)に示すように、励磁相選択データDA1に対して励磁用カウンタを1つずつ進めて、1相励磁用データ(励磁用データda2,da4,da6,da8)を読み込めば良い。こうして、1つの励磁相選択データDA1と1つの励磁用カウンタとを用いて、2相励磁又は1−2相励磁に簡易に切替えることが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、通常嘶き駆動演出が終了して、頭可動体800が高位置で停止したときに1相励磁状態である場合には(図29(A)参照)、励磁相選択データDA1に対する励磁用カウンタを+1進めて、2相励磁用データ(励磁用データda1,da3,da5,da7)を読み込む(図29(B)参照)。これにより、1相励磁状態から2相励磁状態に切替わる。こうして、頭可動体800に停止保持力を付与する際に、1相励磁状態であっても、励磁相選択データDA1をそのまま利用して2相励磁状態へスムーズに移行することが可能である。
また本パチンコ遊技機PY1によれば、特別嘶き駆動演出が終了して、頭可動体800が高位置で停止したときに1相励磁状態である場合には(図28(A)参照)、励磁相選択データDA1に対する励磁用カウンタを−1進めて、2相励磁用データ(励磁用データda1,da3,da5,da7)を読み込む(図28(B)参照)。これにより、1相励磁状態から2相励磁状態に切替わる。こうして、2相励磁で頭可動体800の移動を開始する前に、1相励磁状態であっても、励磁相選択データDA1をそのまま利用して2相励磁状態へスムーズに移行することが可能である。
11.変形例
以下、変形例について説明する。なお、変形例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機PY1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変形例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変形例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記形態では、頭可動体800に駆動力を付与可能な頭移動モータ810(駆動手段)の励磁方法を1−2相励磁、又は2相励磁に切替えるようにした。しかしながら、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁、又は2相励磁に切替える対象の可動体は、頭可動体800に限られるものではなく、適宜変更可能である。例えば、頸可動体700や脚可動体600等の盤可動体や、昇降ユニット300、左上部ユニット500、右上部ユニット550等の枠可動体であっても良い。また入力部(演出ボタン)40k等の操作手段が移動(振動も含む)可能になっていて、その操作手段に駆動力を付与可能な駆動手段の励磁方法を1−2相励磁、又は2相励磁に切替えるようにしても良い。
また上記形態では、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁、又は2相励磁に切替える対象の可動体は、頭可動体800のような回転可能な可動体であった。しかしながら、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁、又は2相励磁に切替える対象の可動体を直動可能な可動体、2方向以上に移動可能な可動体、リンク機構を用いて多段階に移動可能な可動体等であっても良い。
また上記形態では、図13(A)(B)(C)に示すように、頭可動体800が高位置から低位置に回転した後に低位置から高位置へ回転する場合、即ち往復回転する場合に、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にした。しかしながら、可動体が往復回転する場合の他、往復して直動する場合に駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にしても良い。
また上記形態では、頭可動体800が初期位置(原点位置)以外で、往復移動(往復回転を含む)する場合に、頭移動モータ810(駆動手段)の励磁方法を1−2相励磁にした。しかしながら、可動体が原点位置(初期設定の位置)と、移動後の駆動位置との間で往復移動する場合に、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にしても良い。
また上記形態では、頸可動体700(他の可動体)が出現位置(上昇位置)にいないときに、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にして、頭可動体800を初期位置から高位置へ移動させた(図25(A)(B)(C)参照)。しかしながら、頸可動体700が出現位置にあっても、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にして、頭可動体800を移動させても良い。
また上記形態では、頸可動体700(他の可動体)が出現位置(上昇位置)にあるときに、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして、頭可動体800を移動させた(嘶き駆動演出を実行した)(図25(A)(B)(C)参照)。しかしながら、頸可動体700が出現位置にいないときでも、例えば頸可動体700が格納位置にあるときでも、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして、頭可動体800を移動させても良い。
また上記形態では、頭可動体800を組付けている頸可動体700(他の可動体)に停止保持力が付与されているときに、頭可動体800を移動させる(嘶き駆動演出を実行する)場合には、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にした。しかしながら、頸可動体700に停止保持力が付与されていないときでも、頭可動体800を移動させる場合には、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしても良い。
例えば、頸移動モータ710を2相励磁にして頸可動体700(他の可動体)を移動させつつ、頭移動モータ810(駆動手段)の励磁方法を1−2相励磁にして頭可動体800(可動体)を移動させても良い。この場合には、頭可動体800から頸可動体700に伝わる振動を少なくして、頸可動体700の移動が不安定になるのを防ぐことが可能である。またその反対に、頸移動モータ710を1−2相励磁にして頸可動体700を移動させつつ、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にして頭可動体800を移動させても良い。この場合には、頸可動体700から頭可動体800に伝わる振動を少なくして、頭可動体800の移動が不安定になるのを防ぐことが可能である。或いは、頸移動モータ710を1−2相励磁にして頸可動体700を移動させつつ、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして頭可動体800を移動させても良い。この場合には、頸可動体700と頭可動体800の相互で伝わる振動を少なくすることができて、頸可動体700及び頭可動体800の移動が不安定になるのを防ぐことが可能である。
また上記形態では、頭可動体800を初期位置(原点位置)から高位置(移動位置)へ移動させる(移動演出を実行する)場合には頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にして、頭可動体800を高位置から移動させる嘶き駆動演出(特定演出)を実行する場合には頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして、頭可動体800を高位置から初期位置へ移動(復帰)させる場合には頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にした(図25(B)(C)参照)。しかしながら、頭移動モータ810の励磁方法を上記と逆にしても良い。即ち、頭可動体800を初期位置から高位置へ移動させる(移動演出を実行する)場合には頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にして、頭可動体800を高位置から移動させる嘶き駆動演出(特定演出)を実行する場合には頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にして、頭可動体800を高位置から初期位置へ移動(復帰)させる場合には頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしても良い。この場合には、頭可動体800を出現させる際に滑らかに移動させることができ、嘶き駆動演出を実行する場合には高出力(高トルク)で素早く頭可動体800を移動させることができ、頭可動体800を復帰させる際に滑らかに移動させることが可能である。
また上記形態では、頭可動体800を高位置⇒低位置⇒高位置へ移動させる嘶き駆動演出(特定演出)を実行する場合に、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にした。しかしながら、嘶き駆動演出以外の特定演出、即ち高位置⇒低位置⇒高位置という駆動態様(特定の駆動態様)以外の駆動態様であっても、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしても良い。例えば、高位置⇒低位置⇒高位置⇒初期位置⇒低位置という変則的な駆動態様において、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしても良い。
また上記形態では、図25(C)に示すように、通常嘶き駆動演出の後で高位置にある頭可動体800に停止保持力を付与する場合に、頭移動モータ810に一定電流の3.75%の大きさの電流(低電流、本形態では15mA)を供給するように制御した。しかしながら、低電流の値は適宜変更可能であり、例えば一定電流の38%の大きさの電流(152mA)を供給するように制御しても良い。なお頭移動モータ810での消費電流を抑えるという観点により、頭可動体800の移動中に頭移動モータ810に供給する(本形態では400mA又はその71%の大きさである284mA)よりも低電流が小さいと良い。
また上記形態では、通常嘶き駆動演出の後で高位置にある頭可動体800に停止保持力を付与する場合に、頭移動モータ810に供給する電流(低電流,本形態では15mA)を、頭可動体800の移動中に頭移動モータ810に供給する(本形態では400mA又はその71%の大きさである284mA)の10分の1以下に設定した。しかしながら低電流の値は、駆動電流の10分の1以下に限られるものではなく、例えば5分の1以下であっても良い。10分の1以下よりも消費電流の抑制の効果は少ないものの、5分の1以下でも消費電流の抑制の効果は十分に得られるためである。また例えば低電流の値を、駆動電流の2分の1以下にしても良い。2分の1以下でも、消費電流の抑制の効果を多少得られるためである。
また上記形態では、通常嘶き駆動演出の後で頭可動体800に停止保持力を付与する場合に、1相励磁状態であれば(図29(A)参照)、頭正方向ハーフステップ駆動制御処理(図41のステップS602の処理)により、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えた(図29(B)参照)。しかしながら、頭逆方向ハーフステップ駆動処理(図42のステップS702の処理)により、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えても良い。なお1相励磁状態から2相励磁状態に切替える際に、励磁相選択データDA1のうち励磁用カウンタを+1又は−1進めるのではなく、±3つ又は±5つなど、奇数だけ励磁用カウンタを進めて、2相励磁用データを読み込んでも良い。
また上記形態では、特別嘶き駆動演出の後で頭可動体800の低位置への移動を開始する場合に、1相励磁状態であれば(図28(A)参照)、頭逆方向ハーフステップ駆動制御処理(図42のステップS702の処理)により、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えた(図28(B)参照)。しかしながら、頭正方向ハーフステップ駆動処理(図41のステップS602の処理)により、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えても良い。なお1相励磁状態から2相励磁状態に切替える際に、励磁相選択データDA1のうち励磁用カウンタを+1又は−1進めるのではなく、±3つ又は±5つなど、奇数だけ励磁用カウンタを進めて、2相励磁用データを読み込んでも良い。
また上記形態では、特別嘶き駆動演出の終了により頭可動体800が高位置に移動したときに、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替えた(図25(C)参照)。しかしながら、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替える位置は、適宜変更可能であり、例えば低位置と高位置との間であっても良い。
また上記形態では、通常嘶き駆動演出を実行して頭可動体800が高位置に移動した後に、2相励磁(2相励磁状態)で頭可動体800に停止保持力を付与した(図25(B)参照)。しかしながら、2相励磁で頭可動体800に停止保持力を付与する位置は、例えば低位置であっても良く、適宜変更可能である。
また上記形態では、頭移動モータ810(駆動手段)の励磁方法を、1−2相励磁又は2相励磁に切替えるようにした。しかしながら、頭移動モータ810(駆動手段)の励磁方法を1−2相励磁だけにして、2相励磁に切替えることがないようにしても良い。
またその反対に、頭移動モータ810(駆動手段)の励磁方法を2相励磁だけにして、1−2相励磁に切替えることがないようにしても良い。この場合においては、図26(B)に示すように、励磁相選択データDA1(特定データ)と励磁用カウンタを利用して、頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁しても良い。その後の機種開発において、1−2相励磁で可動体(頭可動体800)を移動させる状況が生じた場合に、その励磁相選択データDA1をそのまま利用して、励磁方法を1−2相励磁にすることができるからである。こうして、2相励磁であっても励磁相選択データDA1(特定データ)を利用しておくことで、その後に励磁方法を変える場合に柔軟に対応することが可能になる。
また上記形態では、図26(A)(B)に示すように、1つの励磁相選択データDA1(特定データ)に基づいて、頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁又は1−2相励磁の何れにも制御した。しかしながら、図26に示す比較例のように、励磁相選択データDA2(図27(A)参照)と励磁相選択データDA3(図27(B)参照)を別個で備え、励磁相選択データDA2に基づいて頭移動モータ810の励磁方法を2相励磁にして、励磁相選択データDA3に基づいて頭移動モータ810の励磁方法を1−2相励磁にしても良い。
また上記形態では、通常嘶き駆動演出の後で頭可動体800に停止保持力を付与する場合に、1相励磁状態であれば(図29(A)参照)、励磁相選択データDA1(特定データ)と励磁用カウンタとを利用して、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えた(図29(B)参照)。しかしながら、励磁相選択データDA2(図27(A)参照)と励磁相選択データDA3(図27(B)参照)を別個で備え、励磁相選択データDA3から励磁相選択データDA2に切替えて、励磁用データdb1,db2,db3,db4の何れかを読み込むことに基づいて、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えるようにしても良い。
また上記形態では、特別嘶き駆動演出の後で頭可動体800の低位置への移動を開始する場合に、1相励磁状態であれば(図28(A)参照)、励磁相選択データDA1(特定データ)と励磁用カウンタとを利用して、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えた(図28(B)参照)。しかしながら、励磁相選択データDA2(図27(A)参照)と励磁相選択データDA3(図27(B)参照)を別個で備え、励磁相選択データDA3から励磁相選択データDA2に切替えて、励磁用データdb1,db2,db3,db4の何れかを読み込むことに基づいて、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えるようにしても良い。
また上記形態では、図25(A)(B)(C)に示すように、頭移動モータ810(駆動手段)のモータ速度、励磁方法、頭移動モータ810に供給する電流の大きさ(電流制御状態)を設定した。しかしながら、図25(A)(B)(C)に示すモータ速度、励磁方法、電流制御状態はあくまで一例であって、勿論適宜変更可能である。
また上記形態では、昇降モータ310、左上部モータ531、右上部モータ581、脚移動モータ610、頸移動モータ710、頭移動モータ810(駆動手段)として、バイポーラ型のステッピングモータ(図17(A)参照)を用いた。しかしながら、モータの種類は適宜変更可能であり、例えばユニポーラ型のステッピングモータ(図17(B)参照)を用いても良い。
また上記形態では、頭移動モータ810(駆動手段)のステッピングモータとして、2相ステッピングモータを用いた。なお2相ステッピングモータとは、図17(A)に示すように、端子φ1(A相)と端子φ3(A/相)と、端子φ2(B相)と端子φ4(B/相)の2相からなるステッピングモータのことである。これに対して、例えば5相からなる5相ステッピングモータを用いても良く、その他の相からなるステッピングモータを用いても良い。
また上記形態では、頭移動モータ810の駆動を制御する頭移動モータドライバIC1(図18参照)や、頸移動モータ710の駆動を制御する頸移動モータドライバ(図示省略)として、定電流駆動方式のドライバを用いた。しかしながら、ドライバの種類は適宜変更可能であり、例えば定電圧駆動方式のドライバを用いても良い。
また上記形態では、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成したが、いわゆるV確機(特定領域の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成しても良い。大入賞装置として大入賞装置14Dのみが設けられていたが、2つの大入賞装置を設けるようにしても良い。
また上記形態では、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成したが、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成しても良い。また上記形態では、特図2の変動を特図1の変動に優先して実行するように構成した。これに対して、特図2の変動と特図1の変動を始動口への入賞順序に従って実行するように構成してもよい。この場合、第1特図保留と第2特図保留とを合算して記憶可能な記憶領域を遊技用RAM104に設け、その記憶領域に入賞順序に従って判定用情報を記憶し、記憶順の古いものから消化するように構成すればよい。また、特図2の変動中であっても特図1の変動を実行でき、且つ、特図1の変動中であっても特図2の変動を実行できるように構成してもよい。つまり、所謂同時変動を行う遊技機として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
本明細書における「所定の制御条件の成立」とは、上記形態では、第1特別図柄の抽選又は第2特別図柄の抽選において大当たりに当選し、その当選を示す大当たり図柄が停止表示されることである。
12.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
<手段A>
手段A1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
移動可能な可動体(頭可動体800)と、
前記可動体に駆動力を付与可能な駆動手段(頭移動モータ810)と、
演出を制御可能な演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁にして(図24参照)、前記可動体を移動させることが可能であり、
前記駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が2つである2相励磁にして(図22参照)、前記可動体を移動させることが可能であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にすれば、可動体を滑らかに移動させることが可能である。また駆動手段の励磁方法を2相励磁にすれば、可動体を高出力(高トルク)で移動させることが可能である。こうして駆動手段の励磁方法を1−2相励磁又は2相励磁に切替えることで、可動体に求める挙動に柔軟に対応することが可能である。
手段A2に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
前記可動体は、回転軸(801)周りに回転可能に組付けられていて(図11参照)、
前記演出制御手段は、前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして、前記可動体を前記回転軸周りに回転可能(ステップS510,S515を実行可能)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして、可動体を回転軸周りに回転させることで、滑らかに可動体を回転させることが可能である。よって仮に、駆動手段の励磁方法を2相励磁だけにして、可動体を回転軸周りに回転させ続ける場合に比べて、回転軸に作用する負荷を軽減することが可能である。その結果、回転軸の抜けなどの不具合を生じ難くすることが可能である。
手段A3に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
前記可動体は、所定の原点位置(初期位置)とは異なる第1位置(高位置)又は第2位置(低位置)に移動可能であり、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして、前記可動体を前記第1位置から前記第2位置へ移動させた後に前記第2位置から前記第1位置へ移動させる往復移動演出(嘶き駆動演出,図13(A)(B)(C)参照)を実行可能であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、往復移動演出を実行する場合には、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にしている。そのため、可動体の往復移動を滑らかにことができて、振動を少なくした状態で往復移動演出を実行することが可能である。
手段A4に係る発明は、
手段A1乃至手段A3の何れかに記載の遊技機において、
所定の下降位置(格納位置)又は前記下降位置よりも高い上昇位置(出現位置)に移動可能な他の可動体(頸可動体700)を備え、
前記可動体は、前記他の可動体に対して移動可能に組付けられていて(図11参照)、
前記演出制御手段は、
前記他の可動体が前記上昇位置にいないときには、前記駆動手段の励磁方法を2相励磁にして前記可動体を移動させることが可能である一方、
前記他の可動体が前記上昇位置にあるときには、前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして前記可動体を移動させることが可能である(図25(A)(B)(C)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、他の可動体が上昇位置にあるときに、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして可動体を移動させる。そのため、可動体の移動を滑らかにすることができて、可動体から他の可動体へ伝わる振動を少なくすることが可能である。よって、上昇位置にある他の可動体が、下降位置に向かって下がるような不具合を生じないようにすることが可能である。
手段A5に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
移動可能な他の可動体(頸可動体700)を備え、
前記可動体は、前記他の可動体に対して移動可能に組付けられていて(図11参照)、
前記演出制御手段は、
前記他の可動体に停止保持力を付与しているときに、前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして前記可動体を移動させることが可能である(図25(A)(B)(C)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、他の可動体に停止保持力が付与されているときに、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして可動体を移動させる。そのため、可動体の移動を滑らかにすることができて、可動体から他の可動体へ伝わる振動を少なくすることが可能である。よって、他の可動体の停止を保持できなくなる事態を防ぐことが可能である。
手段A6に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
前記可動体は、所定の原点位置(初期位置)又は移動位置(高位置)に移動可能であり、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を2相励磁にして、前記可動体を前記原点位置から前記移動位置へ移動させる移動演出(頭可動体800を初期位置から高位置へ移動させる出現演出)を実行可能であり、
前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして、前記可動体を前記移動位置から特定の駆動態様(図13(A)⇒図13(B)⇒図13(C)に示すように頭可動体800を移動させる駆動態様)で移動させる特定演出(嘶き駆動演出)を実行可能である(図25(B)(C)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体が原点位置から移動位置へ移動する際には、駆動手段の励磁方法を2相励磁にするため、可動体を高トルクで素早く移動位置へ移動(出現)させることが可能である。その後、可動体が移動位置から特定の駆動態様で移動する際には、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にするため、滑らかな可動体の動きによる特定演出を実行することが可能である。
ところで、特開2010−207433号公報に記載の遊技機では、駆動手段の励磁方法は常に2相励磁であるため、以下の問題点がある。即ち、駆動手段が高出力(高トルク)を発生させることで、可動体に作用する振動が大きくなり易い。そのため、例えば可動体を滑らかに移動させた方が好ましい状況がある場合に対応できなくなる。その一方で、駆動手段の出力を下げてしまうと、2相励磁のメリットが失われてしまう。こうして、駆動手段の励磁方法が常に2相励磁であると、可動体の求める挙動に柔軟に対応できないという問題点があった。そこで上記した手段A1〜A6に係る発明は、特開2010−207433号公報に記載の遊技機に対して、演出制御手段は、駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁にして、可動体を移動させることが可能であり、駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が2つである2相励磁にして、可動体を移動させることが可能である点で相違している。これにより、可動体の求める挙動に柔軟に対応することが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。
<手段B>
手段B1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
移動可能な可動体(頭可動体800)と、
前記可動体に駆動力を付与可能な駆動手段(頭移動モータ810)と、
演出を制御可能な演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁にして(図24参照)、前記可動体を移動させることが可能であり、
前記可動体を停止させたときに前記駆動手段で励磁される励磁相の数が1つである1相励磁状態(図24(A)(C)(E)(G)参照)である場合には、前記駆動手段で励磁される励磁相の数が2つである2相励磁状態(図24(B)(D)(F)(H)参照)に切替えて(ステップS602の頭正方向ハーフステップ駆動制御処理を実行して)前記可動体に停止保持力を付与可能(ステップS521を実行可能)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして、可動体を移動させることが可能である。しかしながら、可動体を停止させたときに、1相励磁状態になっている場合があり得る。そこでこの場合には、1相励磁状態から2相励磁状態に切替えてから可動体に停止保持力を付与する。これにより、1相励磁状態のまま可動体に停止保持力を付与する場合よりも、大きな停止保持力を付与することが可能である。その結果、停止保持力を発生させるために駆動手段に供給する電流を小さくして、駆動手段での消費電流を抑えることが可能である。
手段B2に係る発明は、
手段B1に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記可動体を停止させたときに前記2相励磁状態である場合には、当該2相励磁状態で前記駆動手段に所定の低電流(超低下電流,本形態では一定電流(400mA)の3.75%の大きさである電流(15mA))を供給して前記可動体に前記停止保持力を付与可能であり、
前記可動体を停止させたときに前記1相励磁状態である場合には、前記2相励磁状態に切替えて前記駆動手段に前記低電流を供給して前記可動体に停止保持力を付与可能であり、
前記低電流を、前記可動体の移動中に前記駆動手段に供給する駆動電流(本形態では一定電流である400mA又はその71%の大きさである284mA)よりも小さくする(図25(B)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体が停止しているときに、1相励磁状態でなく2相励磁状態で駆動手段に低電流を供給して、可動体に停止保持力を付与する。そして、このときに駆動手段に供給する低電流は、可動体の移動中に駆動手段に供給する駆動電流よりも小さくしている。こうして、停止保持力を発生させるための低電流を小さくすることで、駆動手段での消費電流を抑えることが可能である。特にこの構成の遊技機によれば、可動体に停止保持力を付与する場合には必ず2相励磁状態にしているため、停止保持力が小さい1相励磁状態を想定して、低電流を設定しないで済む。つまり、停止保持力が大きい2相励磁状態を想定して、低電流を設定できるため、低電流を必要以上に大きな電流値に設定する必要がない。こうして、低電流をより一層小さく設定できることで、駆動手段での消費電流を一層抑えることが可能である。
手段B3に係る発明は、
手段B2に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、前記低電流(本形態では15mA)を、前記駆動電流(本形態では400mA又はその71%の大きさである284mA)の10分の1以下にすることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体に停止保持力を付与する場合に駆動手段に供給する低電流を、可動体の移動中に駆動手段に供給する駆動電流の10分の1以下にしている。こうして、低電流を非常に小さく設定することで、消費電流の抑制効果を大きく得ることが可能である。
手段B4に係る発明は、
手段B1乃至手段3の何れかに記載の遊技機において、
前記可動体は、回転軸(801)周りに回転可能に組付けられていて(図11参照)、
前記演出制御手段は、前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして、前記可動体を前記回転軸周りに回転可能(ステップS510,S515を実行可能)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして、可動体を回転軸周りに回転させることで、滑らかに可動体を回転させることが可能である。よって、駆動手段の励磁方法を2相励磁にして、可動体を回転軸周りに回転させる場合に比べて、回転軸に作用する負荷を軽減することが可能である。その結果、回転軸の抜けなどの不具合を生じないようにすることが可能である。
手段B5に係る発明は、
手段B1乃至手段B3の何れかに記載の遊技機において、
前記可動体は、所定の原点位置(初期位置)とは異なる第1位置(高位置)又は第2位置(低位置)に移動可能であり、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして、前記可動体を前記第1位置から前記第2位置へ移動させた後に前記第2位置から前記第1位置へ移動させる往復移動演出(嘶き駆動演出,図13参照)を実行可能であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、往復移動演出を実行する場合に、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にしている。そのため、可動体の往復移動を滑らかにことができて、振動を少なくした状態で往復移動演出を実行することが可能である。
手段B6に係る発明は、
手段B1乃至手段B5の何れかに記載の遊技機において、
所定の下降位置(格納位置)又は前記下降位置よりも高い上昇位置(出現位置)に移動可能な他の可動体(頸可動体700)を備え、
前記可動体は、前記他の可動体に対して移動可能に組付けられていて(図11参照)、
前記演出制御手段は、
前記他の可動体が前記上昇位置にあるときに、前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして前記可動体を移動させることが可能である(図25(A)(B)(C)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、他の可動体が上昇位置にあるときに、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして可動体を移動させる。そのため、可動体の移動を滑らかにすることができて、可動体から他の可動体へ伝わる振動を少なくすることが可能である。よって、上昇位置にある他の可動体が、下降位置に向かって下がるような不具合を生じないようにすることが可能である。
手段B7に係る発明は、
手段B1乃至手段B3の何れかに記載の遊技機において、
移動可能な他の可動体(頸可動体700)を備え、
前記可動体は、前記他の可動体に対して移動可能に組付けられていて(図11参照)、
前記演出制御手段は、
前記他の可動体に停止保持力を付与しているときに、前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして前記可動体を移動させることが可能である(図25(A)(B)(C)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、他の可動体に停止保持力が付与されているときに、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして可動体を移動させる。そのため、可動体の移動を滑らかにすることができて、可動体から他の可動体へ伝わる振動を少なくすることが可能である。よって、他の可動体の停止を保持できなくなる事態を防ぐことが可能である。
ところで、特開2013−048752号公報に記載の遊技機では、可動体が停止しているときに、駆動手段に停止励磁を発生させて、当該可動体に停止保持力を付与している。ここで、駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁にして、可動体を移動させる方法が考えられる。1−2相励磁である場合には、例えば2相励磁である場合よりも、可動体を滑らかに移動させることができるためである。しかしながら上記した方法では、可動体を停止したときに、駆動手段で励磁される励磁相の数が1つである1相励磁状態になってしまうことが生じ得る。そうなると、1相励磁状態でも可動体に十分な停止保持力を付与することを想定し、駆動手段に供給する電流を大きくする必要がある。よって、駆動手段での消費電流が大きくなるという問題点があった。そこで上記した手段B1〜B7に係る発明は、特開2013−048752号公報に記載の遊技機に対して、演出制御手段は、駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁にして、可動体を移動させることが可能であり、可動体を停止させたときに駆動手段で励磁される励磁相の数が1つである1相励磁状態である場合には、2相励磁状態に切替えて可動体に停止保持力を付与可能である点で相違している。これにより、駆動手段での消費電流を抑えることが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。
<手段C>
手段C1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
移動可能な可動体(頭可動体800)と、
前記可動体に駆動力を付与可能な駆動手段(頭移動モータ810)と、
演出を制御可能な演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁にして(図24参照)前記可動体を移動させた後に(特別嘶き駆動演出を実行した後に)、前記駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相が2つである2相励磁にして(図22参照)前記可動体を移動させることが可能である(図25(C)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にして、可動体を滑らかに移動させることが可能である。その後、駆動手段の励磁方法を2相励磁にして、可動体を高出力(高トルク)で素早く移動させることが可能である。こうして駆動手段の励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替えることで、可動体に求める挙動に柔軟に対応することが可能である。
手段C2に係る発明は、
手段C1に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にする場合には、励磁される励磁相が1相である1相励磁状態と2相である2相励磁状態とを交互に切替えるハーフステップ駆動制御を実行し(図26(B)参照)、
前記駆動手段の励磁方法を2相励磁にする場合には、前記2相励磁状態を繰り返すフルステップ駆動制御を実行し(図26(A)参照)、
前記駆動手段の励磁方法を2相励磁で前記可動体の移動を開始するときに前記1相励磁状態(図24(A)(C)(E)(G)参照)である場合には、前記ハーフステップ駆動制御(ステップS702の頭逆方向ハーフステップ駆動制御処理)により前記2相励磁状態(図24(B)(D)(F)(H)参照)に切替えてから、前記フルステップ駆動制御を実行することを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段の励磁方法を2相励磁にして可動体の移動を開始するときに、1相励磁状態になっている場合があり得る。この場合に、仮にフルステップ駆動を実行してしまうと、2相励磁への切替えが適切にできないおそれがある。そこでこの場合には、ハーフステップ駆動制御により2相励磁状態に切替えてから、フルステップ駆動制御を実行する。これにより、2相励磁への切替えを適切に行うことが可能である。
手段C3に係る発明は、
手段C2に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記1相励磁状態と前記2相励磁状態とを交互に切替えるための特定データ(励磁相選択データDA1)に基づいて、前記ハーフステップ駆動制御又は前記フルステップ駆動制御の何れも実行可能である(図26(A)(B)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、1つの特定データに基づいて、ハーフステップ駆動制御又はフルステップ駆動制御の何れも実行することが可能である。つまり、ハーフステップ駆動制御を実行するためのデータと、フルステップ駆動制御を実行するためのデータを別個で持つ必要がない。そのため、可動体の移動を開始するときに1相励磁状態であっても、特定データをそのまま利用して、ハーフステップ駆動制御により2相励磁状態に切替えることができる。そしてその後にフルステップ駆動制御を実行することが可能である。こうして、1−2相例励磁から2相励磁に切替える際に、データを切替える処理が不要であり、励磁方法の切替処理を簡易にすることが可能である。
ところで、特開2010−207433号公報に記載の遊技機では、駆動手段の励磁方法は常に2相励磁であるため、以下の問題点がある。即ち、駆動手段が高出力(高トルク)を発生させることで、可動体に作用する振動が大きくなり易い。そのため、例えば可動体を滑らかに移動させた方が好ましい状況がある場合に対応できなくなる。その一方で、駆動手段の出力を下げてしまうと、2相励磁のメリットが失われてしまう。こうして、駆動手段の励磁方法が常に2相励磁であると、可動体の求める挙動に柔軟に対応できないという問題点があった。そこで上記した手段C1〜C3に係る発明は、特開2010−207433号公報に記載の遊技機に対して、演出制御手段は、駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁にして可動体を移動させた後に、駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相が2つである2相励磁にして可動体を移動させることが可能である点で相違している。これにより、可動体の求める挙動に柔軟に対応することが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。
<手段D>
手段D1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
移動可能な可動体(頭可動体800)と、
前記可動体に駆動力を付与可能な駆動手段(頭移動モータ810)と、
演出を制御可能な演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が2つである2相励磁にして(図22参照)、前記可動体を移動させることが可能であり、
励磁される励磁相が1相である1相励磁状態と2相である2相励磁状態とを交互に切替えるための特定データ(励磁相選択データDA1)に基づいて、前記駆動手段の励磁方法を2相励磁にすることが可能である(図26(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、励磁される励磁相が1相である1相励磁状態と2相である2相励磁状態とを交互に切替えるための特定データに基づいて、駆動手段の励磁方法を2相励磁にすることが可能である。従って、その後の機種開発において、1−2相励磁で可動体を移動させる状況が生じた場合に、その特定データをそのまま利用して、励磁方法を1−2相励磁にすることが可能である。従って、励磁方法を変える場合に柔軟に対応することが可能である。
手段D2に係る発明は、
手段D1に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁にして、前記可動体を移動させることが可能であり(図24参照)、
前記特定データに基づいて、前記駆動手段の励磁方法を2相励磁又は1−2相励磁の何れにもすることが可能である(図26(A)(B)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、1つの特定データに基づいて、駆動手段の励磁方法を2相励磁又は1−2相励磁の何れにもすることが可能である。つまり、励磁方法を2相励磁にするためのデータと、励磁方法を1−2相励磁にするためのデータを別個で持つ必要がない。そのため、2相励磁から1−2相励磁に切替える際に、又は1−2相励磁から2相励磁に切替える際に、データを切替える処理が不要になることで、励磁方法の切替処理を簡易にすることが可能である。
手段D3に係る発明は、
手段D2に記載の遊技機において、
前記特定データには、前記1相励磁状態にするための1相用データ(励磁用データda2,da4,da6,da8)と前記2相励磁状態にするための2相用データ(励磁用データda1,da3,da5,da7)とが交互に並んでいて(図26(A)(B)参照)、
前記演出制御手段は、
前記特定データに対するカウンタ(励磁用カウンタ)を1つずつ進めて、前記1相用データと前記2相用データとを順次読み込むことに基づいて、前記駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にすることが可能であり(図26(B)参照)、
前記特定データに対するカウンタを2つずつ進めて、前記2相用データを順次読み込むことに基づいて、前記駆動手段の励磁方法を2相励磁にすることが可能である(図26(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、演出制御手段は、特定データに対するカウンタを1つ進めるか、又は2つ進めるかによって、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁又は2相励磁に簡易に切替えることが可能である。
手段D4に係る発明は、
手段D3に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記可動体を停止させたときに前記1相励磁状態(図24(A)(C)(E)(G)参照)である場合には、前記特定データに対するカウンタを1つ進めて前記2相用データを読み込む(ステップS602の頭正方向ハーフステップ駆動制御処理を実行する)ことに基づいて、前記2相励磁状態(図24(B)(D)(F)(H)参照)にして前記可動体に停止保持力を付与可能(ステップS521を実行可能)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体が停止したときに1相励磁状態である場合には、演出制御手段は、特定データに対するカウンタを1つ進めて2相用データを読み込む。これにより、1相励磁状態から2相励磁状態に切替わる。こうして、可動体に停止保持力を付与する際に、1相励磁状態であっても、特定データをそのまま利用して2相励磁状態へスムーズに移行することが可能である。
手段D5に係る発明は、
手段D3又は手段D4に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記可動体を停止させたときに前記1相励磁状態(図24(A)(C)(E)(G)参照)である場合には、前記特定データに対するカウンタを1つ進めて前記2相用データを読み込む(ステップS702の頭逆方向ハーフステップ駆動制御処理を実行する)ことに基づいて、前記2相励磁状態(図24(B)(D)(F)(H)参照)にしてから前記駆動手段の励磁方法を2相励磁にして前記可動体を移動させることが可能(ステップS531を実行可能)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体が停止したときに1相励磁状態である場合には、演出制御手段は、特定データに対するカウンタを1つ進めて2相用データを読み込む。これにより、1相励磁状態から2相励磁状態に切替わる。こうして、2相励磁で可動体の移動を開始する前に、1相励磁状態であっても、特定データをそのまま利用して2相励磁状態へスムーズに移行することが可能である。
ところで、特開2010−207433号公報に記載の遊技機では、駆動手段を駆動させる際の励磁方法を、励磁される励磁相の数が2つである2相励磁にしている。しかしながら、駆動手段の励磁方法を2相励磁にするためのデータは、例えばその後の機種開発によって駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にしようとする場合に利用することができない。従って、駆動手段の励磁方法を変える場合に柔軟に対応することができないという問題点がある。そこで上記した手段D1〜D5に係る発明は、特開2010−207433号公報に記載の遊技機に対して、演出制御手段は、励磁される励磁相が1相である1相励磁状態と2相である2相励磁状態とを交互に切替えるための特定データに基づいて、駆動手段の励磁方法を2相励磁にすることが可能である点で相違している。これにより、駆動手段の励磁方法を変える場合に柔軟に対応することが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。