本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
図1及び図2を参照して、印刷装置1の概略構成について説明する。以下の説明では、図1及び図2の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、下側を、それぞれ、印刷装置1の後側、前側、右側、左側、上側、下側とする。印刷装置1は、テープ状の印刷媒体51(図2参照)に、キャラクタ(文字、記号、数字、図形、及び、絵文字等)から構成されるテキストを印刷してラベルを作成する小型のラベルプリンタである。
図1に示すように、印刷装置1の上面には、キャラクタを入力するためのキーボード3が設けられている。キーボード3の後側(紙面右上側)には、電源スイッチ、用途キー、カーソルキー等の機能キー群4が設けられている。以下の説明では、キーボード3と機能キー群4とを総称する場合、操作部2という。機能キー群4の後側には、ディスプレイ5が設けられている。印刷装置1の上面の後部には、開閉可能なカバー6が設けられている。印刷装置1の左後角には、カッター36(図3参照)によって切断された印刷済テープを受けるテープトレイ7が設けられている。
図2に示すように、ディスプレイ5の後側には、テープカセット50が上下方向に着脱されるカセット装着部8が形成されている。印刷装置1では、カセット装着部8に装着されたテープカセット50を用いて、キーボード3を介して入力されたキャラクタ、又は、印刷装置1に接続する他の機器から入力されたキャラクタデータの示すキャラクタの印刷が実行される。キャラクタデータには、印刷装置1が認識可能な文字コードによって示される文字、記号、数字、図形、及び、絵文字等の情報が含まれる。また、本実施形態では、キャラクタデータには、文字コードに対応するキャラクタが印刷されたラベルを作成する枚数を指定する情報である枚数情報が含まれる。本実施形態のテープカセット50には、略直方体状(箱型)の筐体であるカセットケースの内部に、印刷媒体51と印刷媒体51への印字に使用されるインクリボン(図示せず)が巻回されて収容されている。印刷媒体51は、例えば、片面に剥離紙が設けられ、剥離紙を剥離して他の物体に貼りつけることが可能なラベルテープである。テープカセット50は、テープ幅の異なる印刷媒体51を収容できる。
カセット装着部8には、リボン巻き取り軸9、テープ駆動軸11、サーマルヘッド30(図3参照)等が設けられている。リボン巻き取り軸9は、使用済みのインクリボンを巻き取る。テープ駆動軸11は、印刷媒体51を搬送する。なお、テープカセット50としては、種々の種類のテープカセットを使用することができる。例えば、透明フィルムによって表面が保護されたラミネートテープを作成するためのテープカセットであってもよいし、アイロンを使用して衣類等に貼りつけることのできる布製のテープを作成するためのテープカセットであってもよい。
図3を参照して、印刷装置1を用いた印刷システム100について説明する。印刷システム100には、情報端末20、印刷装置1A,1B,1Cが含まれる。以下、印刷装置1A,1B,1Cを総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、印刷装置1という。本実施形態では、1つの情報端末20に複数の印刷装置1を接続する場合、複数の印刷装置1を直列に情報端末20に接続する。情報端末20と印刷装置1Aとは、通信ケーブル10を介して有線通信を行う。印刷装置1Aと印刷装置1Bとは、通信ケーブル10を介して有線通信を行う。印刷装置1Bと印刷装置1Cとは、通信ケーブル10を介して有線通信を行う。情報端末20からキャラクタデータが送信された場合、印刷装置1Aは、情報端末20から送信されたキャラクタデータを受信する。印刷装置1Bは、印刷装置1Aから送信されたキャラクタデータを受信する。印刷装置1Cは、印刷装置1Bから送信されたキャラクタデータを受信する。
以下の説明では、情報端末20に直列に接続されている複数の印刷装置1のうち、情報端末20から近い方の印刷装置1を「上位」、情報端末20から遠い方の印刷装置1を「下位」とする。他の印刷装置1を介さずに情報端末20に直接接続している印刷装置1(例えば、印刷装置1A)を、「最上位印刷装置」という。情報端末20から最も遠い印刷装置1(例えば、印刷装置1C)を、「最下位印刷装置」という。上位及び下位の2つの印刷装置1に接続している印刷装置1(例えば、印刷装置1B)を、「中間印刷装置」という。
情報端末20の電気的構成について説明する。情報端末20は、汎用のパーソナルコンピュータである。情報端末20は、情報端末20を制御するCPU21を備える。CPU21は、ROM22、RAM23、記憶部24、通信I/F25、ドライブ装置26、及び、USBホストI/F27と、非図示のインタフェース回路を介して電気的に接続する。ROM22には、ブートプログラム、BIOS等が記憶される。RAM23には、タイマやカウンタ、フラグデータ、一時的なデータ等が記憶される。記憶部24は、コンピュータが読取可能な非一時的な記憶媒体、例えば、ハードディスク等で構成される。記憶部24には、CPU21が実行する処理のプログラム、OS等が記憶される。
通信I/F25は、LAN、WAN等のネットワーク(図示せず)に接続するためのインタフェース素子(例えば、LANカードなど)である。ドライブ装置26は、半導体メモリや光ディスク等のコンピュータが読取可能な記憶媒体26Aに記憶された情報を読み出すことができる。CPU21は、記憶媒体26Aに記憶されたプログラムをドライブ装置26によって読み出し、記憶部24に記憶できる。
USBホストI/F27は、USB2.0規格に適合するホストコントローラ、及び、USBケーブルが接続されるジャック等を備えるインターフェース素子であり、情報端末20と、USBの規格に適合した他の機器を接続する。本実施形態において、通信ケーブル10には、汎用のUSBケーブルが用いられる。
印刷装置1の電気的構成について説明する。印刷装置1は、制御基板上に形成される制御回路部400を備えている。制御回路部400は、CPU401、ROM402、CGROM403、RAM404、フラッシュメモリ410を備え、これらがデータバスを介して接続されている。
ROM402には、CPU401が各種プログラムを実行するときに必要な各種パラメータが記憶されている。CGROM403には、キャラクタを印刷するための印刷用ドットパターンデータが記憶されている。RAM404には、テキストメモリ、印刷バッファ等、一時的なデータを記憶するための複数の記憶領域が設けられている。
フラッシュメモリ410には、CPU401が印刷装置1を制御するために実行する各種プログラムが記憶されている。フラッシュメモリ410は、コンピュータが読取可能な非一時的な記憶媒体である。なお、フラッシュメモリ410に記憶される各種プログラムは、通信I/F25、USBデバイスI/F38等を介して外部機器から取得可能としてもよい。CPU401は、外部機器からプログラムを取得した場合、フラッシュメモリ410に記憶されたプログラムを、取得されたプログラムによって置き換えてもよい。また、フラッシュメモリ410には、後述する設定情報テーブル60が記憶される。
さらに、印刷装置1では、操作部2、液晶駆動回路(LCDC)405、駆動回路406,407,408、USBホストI/F37、USBデバイスI/F38が、CPU401に接続されている。LCDC405は、ディスプレイ5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示せず)を有する。駆動回路406は、サーマルヘッド30を駆動するための電子回路である。サーマルヘッド30は、発熱素子を備える。CPU401は、駆動回路406に制御信号を出力することによって駆動回路406を制御し、サーマルヘッド30の各発熱素子に対する通電/非通電を切り替える。駆動回路407は、テープ送りモータ34を駆動するためのドライバ回路である。テープ送りモータ34は、リボン巻き取り軸9及びテープ駆動軸11を回転させるステッピングモータである。テープ送りモータ34は、入力されるパルス信号に同期して回転する。テープ送りモータ34は、リボン巻き取り軸9及びテープ駆動軸11に回転駆動力を伝達する。CPU401は、駆動回路407を介してテープ送りモータ34にパルス信号を出力することで、パルス信号に応じた回転速度でテープ送りモータ34を回転させる。駆動回路408は、カッター36を駆動するための電子回路である。CPU401は、駆動回路408に制御信号を出力することによって、カッター36にテープを切断させる。
USBホストI/F37は、USB2.0規格に適合するホストコントローラ、及び、USBケーブルが接続されるジャック等を備えるインターフェース素子であり、印刷装置1と、USBの規格に適合した他の機器を接続する。本実施形態では、USBホストI/F37は、他の印刷装置1のUSBデバイスI/F38に通信ケーブル10を介して接続し、他の印刷装置1と相互に通信できる。USBデバイスI/F38は、USB2.0規格に適合するホストコントローラ、及び、USBケーブルが接続されるジャック等を備えるインターフェース素子であり、印刷装置1と、USBの規格に適合した他の機器を接続する。本実施形態では、USBデバイスI/F38は、情報端末20のUSBホストI/F27、又は、他の印刷装置1のUSBデバイスI/F38に通信ケーブル10を介して接続し、情報端末20、又は、他の印刷装置1と、相互に通信できる。
図4を参照して、フラッシュメモリ410に記憶される設定情報テーブル60について説明する。設定情報テーブル60は、CPU401が印刷を実行する際の、印刷に関する設定項目毎の設定条件を記憶する。設定情報テーブル60には、制御コード、読込設定情報、及び、カット設定情報の各設定項目の設定条件を記憶可能な記憶領域が設けられている。後述する印刷制御処理の開始時に、設定情報テーブル60に記憶されている印刷に関する設定項目毎の設定条件を、以下では、第一設定情報ともいう。
制御コードは、印刷装置1がキャラクタデータに基づいてサーマルヘッド30、テープ駆動軸11等の印刷機構を駆動するためのプロトコルを示す。制御コードの例として、ZPL(Zebra Programming Language)、ESCP(Epson Standard Code for Printer)等が挙げられる。CPU401は、制御コードを解析することによって、印刷機構を駆動するための条件(文字の大きさ、フォント、文字間、行間等、以下「駆動条件」という。)を特定する。CPU401は、特定した駆動条件に基づいて印刷機構を駆動し、印刷を行う。読込設定情報は、キャラクタデータの含む文字コードを、1バイト文字(半角文字)として読み込むか、2バイト文字(全角文字)として読み込むかを定義する。読込設定情報は、「半角」、「全角」の2つの設定条件のいずれかを設定可能である。カット設定情報は、印刷済テープのカッター36による切断態様を定義する。カット設定情報は、「カットなし」、「フルカット」、「ハーフカット」の3つの設定条件のいずれかを設定可能である。設定条件のうち、「カットなし」は、印刷済テープを切断しないことを設定する。「フルカット」は、印刷済テープを、剥離紙を含めて切断することを設定する。「ハーフカット」は、印刷済テープの剥離紙を除く層を切断することを設定する。
設定情報テーブル60は、第一設定情報の各設定項目に対応する設定条件を記憶可能である。図4の上段の設定情報テーブル60は、読込設定情報の設定条件として「全角」を記憶している。また、カット設定情報の設定条件として「カットなし」を記憶している。また、設定情報テーブル60は、各設定項目に対応する設定条件を記憶しない場合もある。図4の上段の設定情報テーブル60には、制御コードの設定項目に対応する設定条件として「‐」が定義されている。これは、制御コードの設定条件が、設定情報テーブル60に記憶されていないことを示す。本実施形態では、設定情報テーブル60において設定条件が記憶されていない設定項目について、第二設定情報が設定条件を定義している場合、印刷装置1は、その設定項目については、第二設定情報の定義する設定条件を採用して印刷を実行する。第二設定情報は、印刷に関する設定項目毎の設定条件を定義する情報であり、USBデバイスI/F38を介して入力される情報である。なお、このような場合に、第二設定情報が制御コードの設定条件を定義していないときには、CPU401は、予め定められた所定の制御コードの設定条件を採用して、印刷を実行してもよい。
また、図4の上段に示すように、設定情報テーブル60において、カット設定情報の設定条件として「カットなし」が記憶されている場合に取得された第二設定情報が、カット設定情報の設定条件として「ハーフカット」を定義していることがある。本実施形態では、受信設定情報の定義する設定項目の設定条件とは異なる設定条件を、設定情報テーブル60が記憶する場合、印刷装置1は、その設定項目については、第二設定情報の定義する設定条件を採用して印刷を実行する。すなわち、印刷装置1は、印刷の実行に際し、第二設定情報が設定条件を定義している設定項目に対応する設定条件を、設定情報テーブル60に記憶されている設定項目に対応する設定条件に優先して採用する。
なお、図4の上段に示すように、設定情報テーブル60において、読込設定情報の設定条件として「全角」が記憶されている場合に取得された第二設定情報が、読込設定情報の設定条件を定義していないことがある。本実施形態では、第二設定情報が設定条件を定義しない設定項目については、印刷装置1は、その設定項目について設定情報テーブル60に記憶されている設定条件を採用して印刷を実行する。
図5及び図6を参照して、CPU401によって実行される印刷制御処理について説明する。印刷制御処理は、CPU401は、印刷装置1の電源をオンする操作が操作部2を介して行われた場合に、所定の初期化処理を実行した後に、フラッシュメモリ410に記憶されたプログラムをCPU401が読み出して実行することによって開始される。所定の初期化処理として、CPU401は、印刷装置1のハードウエア(例えば、サーマルヘッド30、テープ送りモータ34、カッター36等の駆動パラメータ)を初期化する。なお、初期化処理において、CPU401は、前回に実行した印刷制御処理で記憶された設定情報テーブル60を示すデータについては、初期化せず、設定情報テーブル60の記憶内容をそのまま保持する。
印刷制御処理が開始されると、CPU401は、USBデバイスI/F38を介してキャラクタデータを受信したか判断する(S11)。印刷装置1が最上位印刷装置の場合、この処理で受信したかが判断されるキャラクタデータは、情報端末20から通信ケーブル10を介して送信されたキャラクタデータである。印刷装置1が中間印刷装置又は最下位印刷装置の場合、この処理で受信したかが判断されるキャラクタデータは、他の印刷装置1から通信ケーブル10を介して送信されたキャラクタデータである。CPU401は、キャラクタデータを受信していないと判断した場合(S11:NO)、処理をS11に戻す。CPU401は、キャラクタデータの受信を継続して監視する。
CPU401は、キャラクタデータを受信したと判断した場合(S11:YES)、キャラクタデータを取得する(S12)。CPU401は、取得されたキャラクタデータを、RAM404に記憶する。CPU401は、USBデバイスI/F38を介して第二設定情報を受信したか判断する(S13)。例えば、情報端末20は、キャラクタデータのみを最上位印刷装置に送信し、第二設定情報を最上位印刷装置に送信しない場合もある。CPU401は、第二設定情報を受信していないと判断した場合(S13:NO)、設定情報テーブル60に記憶されている第一設定情報に基づいて、第三設定情報を生成する(S17)。第三設定情報は、CPU401が印刷を実際に行うときの、印刷に関する設定項目毎の設定条件を示す情報である。CPU401は、第一設定情報がすべての設定項目に対応する設定条件を定義している場合には、第一設定情報をそのまま第三設定情報とする。CPU401は、第一設定情報が一部又は全部の設定項目に対応する設定条件を定義していない場合には、予め定められた所定の設定条件を採用して、全部の設定項目に対応する設定条件が決定された第三設定情報を生成する。CPU401は、処理をS32(図6参照)の判断へ移行する。
CPU401は、第二設定情報を受信したと判断した場合(S13:YES)、第二設定情報を取得する(S15)。CPU401は、取得された第二設定情報を、RAM404に記憶する。CPU401は、設定情報テーブル60に記憶されている第一設定情報を参照する(S16)。CPU401は、第一設定情報と第二設定情報とを比較して、第二設定情報の定義する設定項目のうち、第一設定情報が設定条件を定義していない設定項目があるかを判断する(S18)。
図4を参照して、S18の処理について具体的に説明する。CPU401は、図4の上段に示す設定情報テーブル60に記憶されている第一設定情報を参照したとする。また、S15の処理で取得され、RAM404に記憶されている第二設定情報が、図4の中段に示す設定項目及び設定条件を定義しているとする。第二設定情報は、制御コードの設定項目について、設定条件がESCPであることを定義している。一方、第一設定情報は、制御コードの設定項目について、設定条件を記憶していない。したがって、この場合、CPU401は、第一設定情報と第二設定情報とを比較することで、第二設定情報の定義する設定項目のうち、第一設定情報が設定条件を定義していない設定項目があると判断する。
図5の説明に戻る。CPU401は、第二設定情報の定義する設定項目のうち、第一設定情報が設定条件を定義していない設定項目がないと判断した場合(S18:NO)、処理をS21に移行する。CPU401は、第二設定情報の定義する設定項目のうち、第一設定情報が設定条件を定義していない設定項目があると判断した場合(S18:YES)、第二設定情報の定義する設定項目のうち、第一設定情報が設定条件を定義していない設定項目を特定する(S19)。図4の例では、CPU401は、第二設定情報の定義する設定項目のうち、囲み201に示す、制御コードの設定項目を特定する。CPU401は、処理をS21に移行する。
CPU401は、第一設定情報と第二設定情報とを比較して、第一設定情報と第二設定情報とで、それぞれの定義している設定条件が異なる設定項目があるかを判断する(S21)。
図4を参照して、S21の処理について具体的に説明する。CPU401は、図4の上段に示す設定情報テーブル60に記憶されている第一設定情報を参照したとする。また、S15の処理で取得され、RAM404に記憶されている第二設定情報が、図4の中段に示す設定項目及び設定条件を定義しているとする。第一設定情報は、カット設定情報の設定項目について、設定条件がカットなしであることを定義している。一方、第二設定情報は、カット設定情報の設定項目について、設定条件がハーフカットであることを定義している。したがって、この場合、CPU401は、第一設定情報と第二設定情報とで、それぞれの定義している設定条件が異なる設定項目があると判断する。
図5の説明に戻る。CPU401は、第一設定情報と第二設定情報とで、それぞれの定義している設定条件が異なる設定項目がないと判断した場合(S21:NO)、処理をS31(図6参照)に移行する。CPU401は、第一設定情報と第二設定情報とで、それぞれの定義している設定条件が異なる設定項目があると判断した場合(S21:YES)、第二設定情報の定義する設定項目のうち、第一設定情報と第二設定情報とで、異なる設定条件を定義している設定項目を特定する(S22)。図4の例では、CPU401は、第二設定情報の定義する設定項目のうち、囲み202に示す、カット設定情報の設定項目を特定する。CPU401は、処理をS31に移行する。なお、S19及びS22の処理において特定された設定項目を、以下、「特定設定項目」という。
図6に示すように、CPU401は、第一設定情報における特定設定項目の設定条件を、第二設定情報における特定設定項目の設定条件に変更することで、第三設定情報を生成する(S31)。S31の処理において、CPU401は、まず、第二設定情報における特定設定項目の設定条件を特定する。この場合、CPU401は、図4の中段に示すように、S19の処理で特定された特定設定項目である制御コードの設定条件であるESCP(囲み203参照)を特定する。また、CPU401は、図4の中段に示すように、S22の処理で特定された特定設定項目であるカット設定情報の設定条件であるハーフカット(囲み204参照)を特定する。CPU401は、第一設定情報における特定設定項目である制御コードの設定条件を、囲み203に対応するESCPに変更する。また、CPU401は、第一設定情報における特定設定項目であるカット設定情報の設定条件を、囲み204に対応するハーフカットに変更する。このようにして、CPU401は、第一設定情報における特定設定項目の設定条件を、第二設定情報における特定設定項目の設定条件に変更した第三設定情報を生成する。
なお、この第三設定情報の生成処理において、第二設定情報において設定条件の定義されていない設定項目については、設定情報テーブル60に記憶されている第一設定情報の定義する設定条件が優先して採用される。図4の例では、第二設定情報において、読込設定情報の設定条件が定義されていないので、第一設定情報における読込設定情報の設定条件である全角が採用されて、第三設定情報が生成される。
図6の説明に戻る。CPU401は、S31又はS17の処理で生成された第三設定情報を、設定情報テーブル60に記憶する(S32)。すなわち、CPU401は、S31の処理で第三設定情報が生成された場合には、設定情報テーブル60に記憶されている第一設定情報を、第三設定情報に更新する。図4の例では、第一設定情報に対して、制御コードの設定条件がESCPに、カット設定情報の設定条件がハーフカットに、それぞれ変更された第三設定情報が、設定情報テーブル60に記憶される(囲み601,602、図4の下段参照)。
CPU401は、USBホストI/F37に、通信ケーブル10を介して接続する他の印刷装置1があるかを判断する(S33)。USB2.0では、ホストが接続されたデバイスに一定間隔で要求を確認するポーリングが行われる。CPU401は、例えば、ポーリングに対する応答を示す所定の信号をUSBホストI/F37を介して受信することで、USBホストI/F37に、通信ケーブル10を介して接続する他の印刷装置1があると判断する。印刷装置1が最上位印刷装置又は中間印刷装置の場合、CPU401は、通信ケーブル10を介して接続する他の印刷装置1があると判断する。印刷装置1が最下位印刷装置の場合、CPU401は、通信ケーブル10を介して接続する他の印刷装置1がないと判断する。
CPU401は、USBホストI/F37に、通信ケーブル10を介して接続する他の印刷装置1があると判断した場合(S33:YES)、印刷枚数を決定する(S35)。印刷枚数は、印刷装置1がキャラクタの印刷されたラベルを作成する枚数を示す。印刷枚数の決定に当たり、CPU401は、例えば、USBホストI/F37を介して受信する情報に基づいて、印刷装置1よりも下位の他の印刷装置1の数を特定する。CPU401は、キャラクタデータに含まれる枚数情報を参照し、参照された枚数情報の示す枚数を、印刷装置1よりも下位の他の印刷装置1の数で除算する。CPU401は、この除算によって得られた数を、印刷枚数と決定する。
なお、印刷枚数の決定は、この他の手法で決定されてもよい。例えば、キャラクタデータに含まれる枚数情報が、各印刷装置1において印刷する枚数を、印刷装置1毎に予め特定するように構成されていてもよい。この場合、CPU401は、枚数情報を参照して、印刷枚数を決定する。
CPU401は、設定情報テーブル60に記憶されている第三設定情報の定義する設定項目の設定条件で、S35の処理で決定された印刷枚数分の印刷を、キャラクタデータに基づいて実行する(S36)。CPU401は、駆動回路407を介してテープ送りモータ34を駆動することに応じ、リボン巻き取り軸9及びテープ駆動軸11は連動して回転する。これに応じて、テープカセット50から印刷媒体51が繰り出される。リボン巻き取り軸9及びテープ駆動軸11は回転を続け、テープカセット50から繰り出された印刷媒体51がサーマルヘッド30の印刷位置まで搬送される。CPU401は、CPU401は、駆動回路406を介して、サーマルヘッド30の各発熱素子に対して選択的に通電する。サーマルヘッド30は、インクリボンを加熱することで、インクリボンに塗布されたインクのドットを印刷媒体51に転写する。印刷媒体51は、リボン巻き取り軸9及びテープ駆動軸11の回転に応じてさらに搬送されながら、インクのドットが繰り返し転写される。これによって、特定のドットパターンが印刷媒体51に形成される。ドットパターンの形成のための、これらの印刷機構の駆動は、設定情報テーブル60に記憶されている制御コードの設定条件、及び、読込設定情報の設定条件に基づいて実行される。したがって、印刷媒体51に形成されたドットパターンは、キャラクタデータの示すキャラクタに対応する。また、印刷済みテープは、設定情報テーブル60に記憶されているカット設定情報の設定条件に応じた切断態様で処理される。
なお、印刷システム100において、情報端末20から送信されるキャラクタデータに含まれる枚数情報の示す枚数のラベルの印刷が予定される。CPU401は、S35の処理で決定された印刷枚数分の印刷を実行することで、印刷システム100において印刷されるラベルのうち、少なくとも一部のラベルの印刷を実行する。このようにして、印刷システム100は、枚数情報の示す枚数のラベルの印刷を、複数の印刷装置1で分散して、同じ印刷設定で印刷することを可能にしている。
CPU401は、S35の処理で参照された枚数情報の示す数から、S35の処理で決定された印刷枚数の示す数を減算して得られる値を示す情報を新たな枚数情報として、キャラクタデータを更新する(S38)。CPU401は、枚数情報の更新されたキャラクタデータと、設定情報テーブル60に記憶されている第三設定情報とを、USBホストI/F37へ出力する(S39)。すなわち、CPU401は、S36の処理で行った印刷に対する印刷設定を定義する第三設定情報を、USBホストI/F37へ出力する。その後、CPU401は、印刷制御処理を終了する。なお、例えば、情報端末20が第二設定情報を最上位印刷装置に送信しなかった場合等、CPU401が第二設定情報を取得しておらず、S31において第三設定情報が生成されなかった場合には、設定情報テーブル60に第一設定情報が記憶されている。この場合には、CPU401は、枚数情報の更新されたキャラクタデータと、設定情報テーブル60に記憶されている第一設定情報とを、USBホストI/F37から出力する。
印刷装置1が最上位印刷装置又は中間印刷装置の場合、CPU401は、枚数情報の更新されたキャラクタデータ及び設定情報テーブル60に記憶されている第三設定情報を、USBホストI/F37を介して下位の印刷装置1に送信する。下位の印刷装置1は、上位の印刷装置1から送信される、枚数情報の更新されたキャラクタデータを、USBデバイスI/F38を介して受信し(S11)、受信されたデータをキャラクタデータとして取得する(S12)。また、下位の印刷装置1は、上位の印刷装置1から送信される第三設定情報を、USBデバイスI/F38を介して受信し(S13)、第二設定情報として取得する(S15)。下位の印刷装置1のCPU401は、受信されたキャラクタデータ及び第二設定情報に応じて、S16以降の印刷制御処理を実行する。これにより、下位の印刷装置1のCPU401は、第二設定情報に応じた第三設定情報を生成し(S31)、生成された第三設定情報を設定情報テーブル60に記憶する(S32)。よって、下位の印刷装置1に、上位の印刷装置1における第三設定情報と同じ第三設定情報に基づく印刷設定が施される。また、下位の印刷装置1が中間印刷装置の場合には、さらに下位の印刷装置1に第三設定情報が送信される(S39)。このように、印刷装置1において印刷制御処理が実行されることで、印刷システム100に含まれる印刷装置1の全てに対して、同じ印刷設定が施される。
一方、CPU401は、USBホストI/F37に、通信ケーブル10を介して接続する他の印刷装置1がないと判断した場合(S33:NO)、設定情報テーブル60に記憶されている設定項目の設定条件で、キャラクタデータに含まれる枚数情報の示す枚数分の印刷を、キャラクタデータに基づいて実行する(S41)。その後、CPU401は、印刷制御処理を終了する。
以上説明したように、フラッシュメモリ410には、第一設定情報を記憶する設定情報テーブル60が記憶される。設定情報テーブル60は、CPU401が印刷を実行する際の、印刷に関する設定項目毎の設定条件を記憶する。CPU401は、USBデバイスI/F38を介して受信された第二設定情報を取得する(S15)。CPU401は、第二設定情報の定義する設定項目のうち、第一設定情報が設定条件を定義していない設定項目を特定する(S19)。また、CPU401は、第二設定情報の定義する設定項目のうち、第一設定情報と第二設定情報とで、異なる設定条件を定義している設定項目を特定する(S22)。CPU401は、S19,22の処理で特定された設定項目を、特定設定項目とする。CPU401は、第一設定情報における特定設定項目の設定条件を、第二設定情報における特定設定項目の設定条件に変更した第三設定情報を生成する(S31)。CPU401は、生成された第三設定情報を、設定情報テーブル60に記憶する(S32)。CPU401は、設定情報テーブル60に記憶されている第三設定情報を、USBホストI/F37から出力する(S39)。したがって、CPU401は、繁雑な設定作業を必要としないで、印刷装置1に対して、同じ設定を施すことができる。
CPU401は、キャラクタデータと、第二設定情報とを取得する(S12,15)。第二設定情報とキャラクタデータとが、併せて取得されるので、キャラクタデータに基づく印刷結果として印刷装置1の使用者が所望する設定項目毎の設定条件が、第二設定情報から得られやすい。印刷装置1は、繁雑な設定作業を必要としないで、使用者の所望する印刷設定に応じた第三設定情報を生成できる。
CPU401は、設定情報テーブル60に記憶されている設定項目の設定条件で、S35の処理で決定された印刷枚数分の印刷を、キャラクタデータに基づいて実行する(S36)。これにより、印刷装置1は、印刷システム100において印刷されるラベルのうち、少なくとも一部のラベルの印刷を実行できる。また、CPU401は、キャラクタデータと、設定情報テーブル60に記憶されている第三設定情報とを、USBホストI/F37から出力する(S39)。USBホストI/F37から出力されるキャラクタデータは、印刷装置1において印刷された印刷枚数が反映された枚数情報を含む。すなわち、上位の印刷装置1は、下位の印刷装置1に対して、上位の印刷装置1において印刷された印刷枚数が反映された枚数情報を含むキャラクタデータを送信する。したがって、枚数情報の示す枚数のラベルの印刷を、複数の印刷装置1で分散して、同じ設定条件で印刷することが可能になる。
CPU401は、USBホストI/F37に、通信ケーブル10を介して接続する他の印刷装置1があるかを判断する(S33)。CPU401は、USBホストI/F37に、通信ケーブル10を介して接続する他の印刷装置1があると判断した場合(S33:YES)、設定情報テーブル60に記憶されている第三設定情報を、USBホストI/F37へ出力する(S39)。したがって、例えば、印刷装置1同士が互いに接続されている場合、上位の印刷装置1から下位の印刷装置1に、印刷に関する設定項目毎の設定条件が送信される。
CPU401は、枚数情報の更新されたキャラクタデータ及び設定情報テーブル60に記憶されている第三設定情報を、USBホストI/F37を介して下位の印刷装置1に送信する(S39)。下位の印刷装置1は、上位の印刷装置1から送信される第三設定情報を、USBデバイスI/F38を介して受信し(S13)、第二設定情報として取得する(S15)。下位の印刷装置1が中間印刷装置の場合には、さらに下位の印刷装置1に第三設定情報が送信される(S39)。したがって、上位の印刷装置1は、USBホストI/F37を介して接続する下位の印刷装置1に、自身に設定されている印刷に関する設定項目毎の設定条件を出力することができる。
上記実施形態において、印刷装置1が、本発明の「印刷装置」の一例である。USBデバイスI/F38が、本発明の「第一接続部」の一例である。USBホストI/F37が、本発明の「第一接続部」の一例である。サーマルヘッド30が、本発明の「印刷部」の一例である。設定情報テーブル60を記憶するフラッシュメモリ410が、本発明の「記憶部」の一例である。S12,15の処理を行うCPU401が、本発明の「取得手段」の一例である。S19,22の処理を行うCPU401が、本発明の「特定手段」の一例である。S31の処理を行うCPU401が、本発明の「生成手段」の一例である。S32の処理を行うCPU401が、本発明の「記憶制御手段」の一例である。S39の処理を行うCPU401が、本発明の「出力制御手段」の一例である。S36の処理を行うCPU401が、本発明の「印刷制御手段」の一例である。S33の処理を行うCPU401が、本発明の「判断手段」の一例である。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、CPU401は、キャラクタデータと、第二設定情報とを取得する(S12,15)。第二設定情報は必ずしもキャラクタデータと同じタイミングで取得されなくてもよい。例えば、印刷装置1に対して他の印刷装置1が接続されたタイミングで、他の印刷装置1が第二設定情報を取得してもよい。具体的には、印刷装置1Bと、印刷装置1Cとが接続されたタイミングで、ホストの印刷装置1Bから印刷装置1Cにポーリングが行われる。印刷装置1BのCPU401は、印刷装置1Cから送信されるポーリングに対する応答を示す所定の信号を、USBホストI/F37を介して受信したかを判断する(S33)。印刷装置1BのCPU401は、ポーリングに対する応答を示す信号を受信したことに応じて、USBホストI/F37に印刷装置1Cが接続されていると判断する。CPU401は、USBホストI/F37に印刷装置1Cが接続されていると判断した場合(S33:YES)、設定情報テーブル60に記憶されている第三設定情報を、USBホストI/F37を介して印刷装置1Cへ出力する(S39)。これにより、印刷装置1Bと印刷装置1Cとが接続されることで、印刷装置1Bと印刷装置1Cとに、同じ印刷に関する設定項目毎の設定条件が設定される。この場合、S11,12,35,36,38の処理は、実行されなくてもよい。
また、例えば、印刷装置1Bと印刷装置1Cとが接続された状態で、印刷装置1Cの操作部2を介して、印刷装置1Bの印刷に関する設定項目毎の設定条件の送信を要求する指示が入力された場合に、印刷装置1Bから印刷装置1Cに対して第三設定情報が送信されてもよい。これにより、印刷装置1同士が互いに接続されている場合に、いずれの印刷装置1から他の印刷装置1に第三設定情報を出力すべきかが、使用者の所望に応じて定義づけされる。
印刷装置1は、サーマルヘッド30の各発熱素子を加熱し、インクリボンのインクを印刷媒体51に転写することによって、印刷媒体51にインクのドットを形成させた。これに対し、例えば、印刷装置1は、サーマルヘッド30によって感熱紙を加熱することによって、印刷画像を形成させてもよい。すなわち、印刷装置1の印刷方式には、周知の印刷方式を任意に採用できる。
上記実施形態では、第一設定情報、第二設定情報、第三設定情報において定義される印刷に関する設定項目として、制御コード、読込設定情報、及び、カット設定情報が設けられているが、設定項目に、上記以外の他の情報が含まれてもよい。例えば、キャラクタの大きさ、キャラクタのフォント等を設定するための設定項目が、第一設定情報、第二設定情報、第三設定情報に設けられていてもよい。
上記実施形態では、情報端末20と印刷装置1、及び印刷装置1同士の接続は、USBケーブルである通信ケーブル10を介して行われている。情報端末20と印刷装置1、及び印刷装置1同士の通信方式は、有線通信に限られず、赤外線通信等、周知の無線通信の方式を採用できる。
印刷制御処理は、CPU401以外の電子部品(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。メイン処理は、複数の電子機器(つまり、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。