JP6389312B1 - マグネシアセメント組成物およびその用途 - Google Patents

マグネシアセメント組成物およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のマグネシアセメント硬化物の問題点である、硬化反応時間の制御の難しさや、湿気および水分との接触による強度低下や、表面に水分を呼ぶことによる汗かき現象の発生、また、長時間にわたる経時的な膨張性等の問題を解決する。【解決手段】酸化マグネシウム、リン酸カルシウムおよび塩化マグネシウムを含有するマグネシアセメント組成物であって、酸化マグネシウムとして、BET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上用い、リン酸カルシウムとして、第二リン酸カルシウムを用いる、ことを特徴とするマグネシアセメント組成物およびこれを含有する水性混練物を硬化させることを特徴とするマグネシアセメントの硬化物。【選択図】なし

Description

本発明は、実用可能なマグネシアセメント組成物およびその用途に関するものである。
マグネシアセメントとは、マグネシア(酸化マグネシウム)、塩化マグネシウム、水を主原料としており、常温での硬化反応により硬化物を得ることができるものである。
しかし、その硬化物は、硬化反応時間の制御が難しい上、湿気および水分との接触による強度低下や、表面に水分を呼ぶことによる汗かき現象の発生、また、長時間にわたる経時的な膨張性等の問題により商品用途は限定され、刃物用の砥石や焼成して製造される耐火物レンガ等に限られていた(特許文献1〜3)。
特開平5−229876号公報 特開2015−160749号公報 特開2015−231922号公報
本発明の課題は、従来のマグネシアセメント硬化物の問題点である、硬化反応時間の制御の難しさや、湿気および水分との接触による強度低下や、表面に水分を呼ぶことによる汗かき現象の発生、また、長時間にわたる経時的な膨張性等の問題を解決することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、従来のマグネシアセメント組成物において、酸化マグネシウムとしてBET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上用い、リン酸カルシウムとして、第二リン酸カルシウムを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、酸化マグネシウム、リン酸カルシウムおよび塩化マグネシウムを含有するマグネシアセメント組成物であって、
酸化マグネシウムとして、BET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上用い、
リン酸カルシウムとして、第二リン酸カルシウムを用いる、
ことを特徴とするマグネシアセメント組成物である。
本発明は、次の成分
(a1)BET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上
(a2)第二リン酸カルシウム
を含有するA剤と、
次の成分
(b1)塩化マグネシウム
(b2)水
を含有するB剤とを、
含有することを特徴とするマグネシアセメントキットである。
本発明は、上記マグネシアセメント組成物を含有する水性混練物を硬化させることを特徴とするマグネシアセメントの硬化物である。
本発明は、上記マグネシアセメント組成物を含有する水性混練物を硬化させることを特徴とするマグネシアセメントの硬化方法である。
本発明は、上記マグネシアセメント組成物を含有する水性混練物を、床面に塗布し、硬化させることを特徴とする床面の施工方法である。
本発明は、アンモニアを上記マグネシアセメントの硬化物に吸収させることを特徴とするアンモニアの吸収方法である。
本発明のマグネシアセメント組成物は、これを水性混練物として硬化させることにより、適度な硬化反応時間を有し、湿気および水分との接触による強度低下や、表面に水分を呼ぶことによる汗かき現象の発生、また、長時間にわたる経時的な膨張性等の問題がない。
また、本発明のマグネシアセメント組成物は速硬性や施工性にも優れるため、時間のない改修工事等に好適である。
本発明のマグネシアセメント組成物(以下、「本発明組成物」という)に用いられる、酸化マグネシウムは、BET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上である。このようなBET比表面積の異なる酸化マグネシウムとしては、特に限定されないが、例えば、BET比表面積が1m/g以上〜15m/g未満の酸化マグネシウム、BET比表面積が15m/g以上〜60m/g未満の酸化マグネシウム、BET比表面積が60m/g以上〜120m/gの酸化マグネシウムの3種のうちの2種以上を用いることが好ましく、BET比表面積が1m/g以上〜15m/g未満の酸化マグネシウムと、BET比表面積が15m/g以上〜60m/g未満の酸化マグネシウムおよびBET比表面積が60m/g以上〜120m/gの1種以上を用いることがより好ましく、BET比表面積が1m/g以上〜15m/g未満の酸化マグネシウムと、BET比表面積が60m/g以上〜120m/gの酸化マグネシウムを用いることが特に好ましい。
また、本発明組成物に用いられる酸化マグネシウムの平均BET比表面積は、特に限定されないが、例えば、20〜90m/gが好ましく、30〜70m/gがより好ましい。また、これらの酸化マグネシウムの平均粒子径は特に限定されないが、例えば、1.0〜6.0μm、好ましくは3.0〜4.5μmである。なお、このような酸化マグネシウムは、市販されている酸化マグネシウムのBET比表面積や平均粒子径を実際に測定し、そこから上記条件にあう酸化マグネシウムを選択し、それを本発明組成物に用いればよい。具体的にこのような酸化マグネシウムは、神島化学工業(株)、赤穂化成工業(株)、タテホ化学工業(株)、協和化学工業(株)等から入手することができる。
なお、酸化マグネシウムのBET比表面積は、JIS R1626(ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法)に準じ、流動式比表面積自動測定装置(フローソーブ2300型:(株)島津製作所製)を用いて測定される値である。また、酸化マグネシウムの平均BET比表面積は、BET比表面積の異なる酸化マグネシウムの2種以上を混合した後、この混合物のBET比表面積を上記気体吸着BET法で測定した値のことをいう。更に、酸化マグネシウムの平均粒子径は、予め分散媒(変性アルコール)に試料を入れて、超音波分散装置(UD‐201:(株)日本精機製作所製)を用いて試料を3分間分散後に、マイクロトラック粒度分布計model HRA型:日機装(株)製)で測定される値の平均値である。
本発明組成物におけるBET比表面積の異なる酸化マグネシウムの含有量は特に限定されないが、総量で10質量%(以下、単に「%」という)以上、好ましくは15〜36%、より好ましくは17〜25%である。
本発明組成物に用いられるリン酸カルシウムは、第二リン酸カルシウムである。第二リン酸カルシウムとしては、第二リン酸カルシウム2水和物でも、無水第二リン酸カルシウムのどちらでもよい。これら第二リン酸カルシウムは1種以上を用いてもよい。
本発明組成物における第二リン酸カルシウムの含有量は特に限定されないが、無水物換算の総量で、酸化マグネシウムの含有量の3%以上、好ましくは5〜40%、より好ましくは10〜30%である。
本発明組成物に用いられる塩化マグネシウムは、特に限定されず、6水和物であってもよい。本発明組成物における塩化マグネシウムの含有量は特に限定されないが、酸化マグネシウムと塩化マグネシウム6水和物の質量比として1:0.5〜1.0で含有することが好ましく1:0.7〜0.9で含有することがより好ましい。
本発明組成物には、更に、充填材、顔料、減水剤、消泡剤、湿潤分散剤、粘性調整剤、ダレ防止剤、水性樹脂、骨材等の配合剤を含有させてもよい。これら配合剤は1種または2種以上を組み合わせてもよい。これらの配合剤は、基本的には本発明組成物の用途に合わせた量で適宜配合すればよい。
充填剤であれば、例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカ粉、硅砂、フュームドシリカ、バライト紛等が挙げられる。また、本発明組成物における充填剤の含有量は特に限定されないが、例えば、10%以上、好ましくは20〜70%、より好ましくは30〜60%である。
顔料であれば、例えば、無機顔料、有機顔料、特殊顔料等が挙げられる。具体的な無機顔料としては、赤土、黄土、緑土、孔雀石、胡粉、黒鉛等の天然鉱物顔料、紺青、亜鉛華、コバルト青、エメラルド緑、ビリジャン、チタン白、酸化鉄等の合成無機顔料が挙げられる。具体的な有機顔料としては、アルカリブルー、リゾールレッド、カーミン6B、ジスアゾエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、イソインドリノンエロー等が挙げられる。具体的な特殊顔料としては、蛍光顔料、金属粉顔料、パール顔料、指温顔料、窯業用顔料等が挙げられる。また、本発明組成物における顔料の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1%以上、好ましくは0.2〜2.0%、より好ましくは0.4〜1.5%である。
減水剤であれば、例えば、AE剤、減水剤・AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等が挙げられる。また、本発明組成物における減水剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.05%以上、好ましくは0.1〜1.5%、より好ましくは0.2〜1.0%である。
消泡剤であれば、例えば、鉱物油系化合物、ポリエーテル系化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。また、これら消泡剤は粉体であってもよい。更に、本発明組成物における消泡剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.05%以上、好ましくは0.1〜2.0%、より好ましくは0.2〜1.5%である。
湿潤分散剤であれば、例えば、アニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物等が挙げられる。具体的な湿潤分散剤としては、脂肪族多価カルボン酸系化合物、アミノアマイド系化合物、リン酸エステル系化合物、非イオン系化合物、アクリル系重合物、ポリエーテル燐酸エステル系化合物等が挙げられる。また、本発明組成物における湿潤分散剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.01%以上、好ましくは0.02〜1.0%、より好ましくは0.03〜0.5%である。
粘性調整剤であれば、例えば、ウレタン変性ポリエーテル系化合物、アクリル系重合物、アマイド系化合物、ポリエーテル燐酸エステル系化合物、水添ひまし油系化合物、フュームドシリカ系化合物、ベントナイト系化合物、層状ケイ酸塩系化合物等が挙げられる。また、本発明組成物における粘性調整剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.01%以上、好ましくは0.02〜1.0%、より好ましくは0.03〜0.5%である。
ダレ防止剤であれば、例えば、セルロース系化合物、スターチエステル系化合物、ポリアクリルアミド系化合物、合成ポリマー系化合物等が挙げられる。また、本発明組成物におけるダレ防止剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.01%以上、好ましくは0.02〜1.0%、より好ましくは0.03〜0.5%である。
水性樹脂であれば、例えば、再乳化形粉末樹脂、ポリマーディスパージョン等が挙げられる。再乳化形粉末樹脂としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。また、ポリマーディスパージョンとしては、スチレンブタジエンゴム系ラテックス、アクリル酸エステル系エマルション、エチレン酢酸ビニル系エマルション等が挙げられる。なお、ポリマーディスパージョンは水性樹脂を水に分散させたものであるため、配合する場合には、別途後記した水と共に含有させればよい。更に、本発明組成物における水性樹脂の含有量は特に限定されないが、例えば、0.5%以上、好ましくは1.0〜10.0%、より好ましくは2.0〜6.0%である。
骨材であれば、例えば、砂利、砕石、人工骨材、磁鉄鉱、重晶石、鉄片、膨張スラグ、パーライト等が挙げられる。また、本発明組成物における骨材の含有量は特に限定されないが、例えば、本発明組成物100質量部に対して5質量部以上、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは20〜80質量部である。
本発明組成物の好ましい態様として、主要成分は以下のものが挙げられる。
酸化マグネシウム(BET比表面積の異なる酸化マグネシウムの総量)18〜35質量部
第二リン酸カルシウム 2〜8質量部
塩化マグネシウム6水和物 13〜30質量部
以上説明した本発明組成物は、これに水を含有させて、本発明組成物を含有する水性混練物とすることができる。水性混練物を調製する方法は特に限定されないが、例えば、本発明組成物に水を添加して混練して水性混練物を調製する方法、本発明組成物のうち、塩化マグネシウムを予め水に溶解させておき、これを本発明組成物の残りの成分と混練し、水性混練物を調製する方法等が挙げられる。また、水性混練物における水の含有量は、硬化反応が十分に起きる量であれば特に限定されないが、酸化マグネシウム:水の質量比が1:0.6〜1.1、好ましくは1:0.7〜1.0となる量である。
上記水性混練物は、床、壁等に塗布して硬化させたり、型枠中で硬化させることにより、マグネシアセメントの硬化物とすることができる。なお、硬化は常温(5〜35℃)で行うことができる。また、この水性混練物は、適度な硬化反応時間、例えば、10〜30分程度の可使時間と、6〜48時間程度の硬化時間を有するものである。なお、可使時間や硬化時間は、実施例に記載の方法で測定されるものである。
なお、上記水性混練物を得るためには、例えば、次のA剤とB剤とを含有するマグネシアセメントキットを利用することができる。
A剤:
(a1)BET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上
(a2)第二リン酸カルシウム
B剤:
(b1)塩化マグネシウム
(b2)水
上記A剤には、更に、充填剤、減水剤、骨材、消泡剤等を含有させることができる。また、上記B剤には、消泡剤、水性樹脂等を含有させることができる。なお、マグネシアセメントキットに顔料を用いる場合には、水、湿潤分散剤等と共に別途C剤としておくことが好ましい。
斯くして得られる硬化物は、例えば、3mmの厚さの場合、デュロメーター硬度が70〜90であり、曲げ強さが6.0〜9.0(N/mm)という性質を有する。なお、デュロメーター硬度や曲げ強さは、実施例に記載の方法で測定されるものである。
上記硬化物は、従来のセメント組成物の硬化物と同様に塗り床材、着色骨材やガラス片を混入させ、硬化後に研ぎ出しを行うテラゾー工法、塗り床用の下地処理材、防水材用の下地処理材、コンクリート構造物の補修材、内外装壁用塗材、成形して内外装用タイル、建材用ボード等の用途に用いることができる。本発明においては、これら用途の中でも従来のマグネシアセメント硬化物の湿気および水分との接触による強度低下や、表面に水分を呼ぶことによる汗かき現象の発生、また、長時間にわたる経時的な膨張性等の問題を解決し、速硬性や施工性にも優れるため塗り床材に用いることが好ましい。
上記硬化物を塗り床材に用いる場合、その施工方法は、特に限定されず、本発明組成物を含有する水性混練物を床面に塗布し、硬化させるだけでよい。上記水性混練物を床面に塗布する方法は特に限定されず、例えば、金鏝やレーキ等でよい。また、上記水性混練物を床面に塗布する前には、下地面の研磨による目粗し処理、下地に凹凸がある場合の平滑化処理、下地との接着性向上のためにプライマー塗布等を行ってもよい。また、上記水性混練物を下地の状況に応じて1回または複数回塗布して硬化させた後は、トップコート処理、シーラー処理等を行ってもよい。
上記硬化物を塗り床材に用いた場合には、耐荷重性(普通ポルトランドセメント系や早強セメント系の床材と同等以上の圧縮強度を有しているため、フォークリフトや無人搬送車(AGV)等の重車両の走行に対しても耐久性に優れる)、耐衝撃性(重量物や金属工具等の落下衝撃にも耐久できる)、耐摩耗性(表面硬度が高いため、重車両の頻繁な走行や、パレットの引き擦り等に対する耐摩耗性に優れる)、クラック抑制(一般的なセメント系硬化体においては硬化収縮によるひび割れが生じるが、本発明では硬化反応の過程でわずかな膨張傾向を示すことからひび割れが起こりがたい)、防汚性(表面が緻密で硬質であるために、塗布表面にシーラーやトップコートを塗布しなくても汚れが付着しにくい)、白色度が高い(主原料であるマグネシアは白色度が高いものであり、体質顔料として、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等の色調に影響を与えないものを用いれば、普通ポルトランドセメントを硬化主成分とした硬化物よりも白色度が高い硬化物となる)。標準厚み3mmであるが、一度に20mm以上の厚塗りも可能である。
また、上記硬化物は、ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)、アンモニアの発生がない。更に、上記硬化物は、アンモニアを吸収する。そのため、上記硬化物は、アンモニアの吸収に用いることができるため、例えば、居室やトイレ等の床材、壁材等に用いることができる。
更に、上記硬化物は、塗り床材だけでなく、店舗、大型商業施設の床仕上げ材、損傷、欠損、不陸がある床面の下地処理材、擁壁、橋脚、トンネル等のコンクリート構造物の補修材、内装壁面の仕上げ材、外壁用仕上げ材等の施工現場で硬化させて使用する用途や、内外装用の壁材、床材等の成形タイルとして使用する用途等に好適である。
以下、本発明を実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実 施 例 1
マグネシアセメント水性混練物の物性:
以下の表1に記載の組成のA剤とB剤を調製した。これらA剤およびB剤を混合してマグネシアセメント組成物を含有する水性混練物を調製した。これら水性混練物の可使時間と硬化時間を以下の方法で測定した。また、酸化マグネシウムの平均BET比表面積を以下のようにして測定した。それらの結果を表1に示した。
Figure 0006389312
<可使時間判定方法>
温度が15℃の室内で、A剤とB剤を混合した直後を起点として、粘度が20,000mPa・sを超えるまでの時間を、次の判定基準に当てはめて可使時間の判定を行った。粘度の測定は、JIS Z 8803(液体の粘度測定方法)に準じ、BII形粘度計 モデルBHII(東機産業(株)製)を使用して、回転数20rpmで行った。
(判定基準)
(評価) (内容)
○ : 20分以上
△ : 10分以上〜20分未満
× : 10分未満
<硬化性判定方法>
温度が20℃の室内で、試料の水性混合物を直径100mmの円形の塩化ビニル製型枠に厚み5mmになるように流し込み、水平になるように静置する。24時間経過後にデュロメータータイプD硬度計を使用して、試験体の表面の硬度を測定し、次の判定基準に当てはめて硬化性の判定を行った。
(判定基準)
(評価) (内容)
○ : 60以上
△ : 40以上〜60未満
× : 40未満
<平均BET比表面積測定方法>
まず、各酸化マグネシウムのBET比表面積は、JIS R 1626(ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法)に準じ、流動式比表面積自動測定装置(フローソーブ2300型:(株)島津製作所製)を用いて測定した。その後、各組成で使用する酸化マグネシウムのみを混合した後の混合物について、上記測定法でBET比表面積を測定したものを平均BET比表面積とした。
以上の結果から、酸化マグネシウム、リン酸カルシウムおよび塩化マグネシウムを含有するマグネシアセメント組成物において、酸化マグネシウムとして、BET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上用いることにより、マグネシアセメント水性混練物は適度な可使時間と硬化時間となることが分かった。特にマグネシアセメント組成物に含有される酸化マグネシウムの平均BET比表面積(m/g)が30〜70にあるとよいことも分かった。
実 施 例 2
マグネシアセメント硬化物の物性:
以下の表2に記載の組成のA剤とB剤を調製した。これらA剤およびB剤を混合してマグネシアセメント組成物を含有する水性混練物を調製した。これらを温度が20℃の室内で、以下に示すデュロメーター硬度測定方法および曲げ強さ測定方法の各試験体の形状に注型した硬化体を用いて、このマグネシアセメント硬化物のデュロメーター硬度と、曲げ強さを測定した。また、マグネシアセメント組成物に含有される酸化マグネシウムの平均BET比表面積を実施例1と同様にして測定した。それらの結果を表2に示した。
Figure 0006389312
<デュロメーター硬度測定方法>
デュロメーター硬度は、JIS K 7215(プラスチックのデュロメーター硬さ試験方法)に準じ、デュロメーター タイプD硬度計((株)上島製作所製)を用い、気乾35日のデュロメーター硬度と、気乾7日の後、水中浸漬28日のデュロメーター硬度を測定した。なお、保持率(%)は、以下の計算式により算出した。
試験体:直径100mm、厚さ5mmの円形状
[数1]
保持率(%)=(気乾7日の後、水中浸漬28日の硬度/気乾35日の硬度)×100
<曲げ強さ測定方法>
曲げ強さは、JIS K 7171(プラスチック曲げ特性の求め方)に準じ、以下の注型して作製した試験体とオートグラフAG−50kN Xplus((株)島津製作所製)を用い、以下の条件で曲げ強さを測定した。
試験体:幅15mm×厚み8mm×長さ160mm
支点間距離:128mm
試験速度:1.0mm/min
以上の結果から、BET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上用いたマグネシアセメント組成物において、リン酸カルシウムとして第二リン酸カルシウムを用いた場合以外は、マグネシアセメント硬化物のデュロメーター硬度と曲げ強さが十分でないことが分かった。
実 施 例 3
マグネシアセメントキット:
以下の組成のA剤(20kg)とB剤(10kg)からなるマグネシアセメントキットを調製した。なお、酸化マグネシウムの平均BET比表面積は、36.7m/gであった。
<A剤>
BET比表面積が6.4m/gの酸化マグネシウム※1 15.0%
BET比表面積が20.0m/gの酸化マグネシウム※3 10.0%
BET比表面積が98.9m/gの酸化マグネシウム※2 10.0%
第二リン酸カルシウム 6.0%
充填剤※4 58.0%
減水剤※5 0.5%
消泡剤※6 0.5%
(合計) 100.0%
<B剤>
塩化マグネシウム6水和物 49.7%
水 43.0%
水性樹脂※8 7.0%
消泡剤※7 0.3%
(合計) 100.0%
※1〜7は実施例1と同じ
※8:アクリルエマルション、サイビノール(登録商標)UC−203、サイデン化学(株)製
実 施 例 4
マグネシアセメントキット:
以下の組成のA剤(20kg)、B剤(10kg)、C剤(0.3kg)からなるマグネシアセメントキットを調製した。なお、酸化マグネシウムの平均BET比表面積は、38.6m/gであった。
<A剤>
BET比表面積が6.4m/gの酸化マグネシウム※1 23.0%
BET比表面積が98.9m/gの酸化マグネシウム※2 12.0%
第二リン酸カルシウム 6.0%
充填剤※4 58.0%
減水剤※5 0.5%
消泡剤※6 0.5%
(合計) 100.0%
<B剤>
塩化マグネシウム6水和物 49.7%
水 43.0%
水性樹脂※9 7.0%
消泡剤※7 0.3%
(合計) 100.0%
<C剤>
顔料 25.0%
水 74.4%
湿潤分散剤※10 0.6%
(合計) 100.0%
※1〜7は実施例1と同じ
※9:アクリルエマルション、リポテックス(登録商標)MI−500、ライオン(株)製
※10:アクリル系共重合物、DISPERBYK−2010、ビックケミー・ジャパン(株)製
実 施 例 5
床への塗工:
実施例1の組成4と同様のマグネシアセメントを含有する水性混練物を調製し、これを縦300mm×横300mm×厚み50mmのコンクリート板に3mmの厚さになるように塗布し、水平になるように静置してマグネシアセメント硬化物の試験体を得た。これを20℃、28日間養生した。この試験体について表3に記載の試験を行った。その結果もあわせて表3に記載した。
Figure 0006389312
このようにマグネシアセメント硬化物は、塗り床材として優れた性能を示すことが分かった。
実 施 例 6
アンモニア吸収試験:
実施例1の組成4と同様のマグネシアセメントを含有する水性混練物を調製し、これを100mm×100mmの型枠に3mmの厚さになるように流し込み、水平になるように静置してマグネシアセメント硬化物を得た。このマグネシアセメント硬化物を3Lテドラーバックに挿入して密封処理をした。その中に濃度を40〜50ppmに調整したアンモニアガスを2L封入した。所定時間経過後に、北川式ガス検知管を用いてアンモニアガス濃度を測定した。その結果を表4に示した。
Figure 0006389312
このようにマグネシアセメント硬化物は、従来のセメント組成物では発生するアンモニアを、むしろ吸収できることが分かった。
実 施 例 7
成型タイルの作製:
実施例1の組成4と同様のマグネシアセメントを含有する水性混練物を調製し、これをタイルの型枠に入れ、硬化させて成型タイルを得た。
本発明組成物は、セメント組成物と同様に各種の用途に用いることができる。

以 上

Claims (10)

  1. 酸化マグネシウム、リン酸カルシウムおよび塩化マグネシウムを含有するマグネシアセメント組成物であって、
    酸化マグネシウムとして、BET比表面積が1m /g以上〜15m /g未満の酸化マグネシウム、BET比表面積が15m /g以上〜60m /g未満の酸化マグネシウム、BET比表面積が60m /g以上〜120m /gの酸化マグネシウムからなる群から選ばれるBET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上用い、
    リン酸カルシウムとして、第二リン酸カルシウムを用いる、
    ことを特徴とするマグネシアセメント組成物。
  2. 酸化マグネシウムの平均BET比表面積が30〜70m/gである請求項記載のマグネシアセメント組成物。
  3. 酸化マグネシウムと塩化マグネシウムが、酸化マグネシウムと塩化マグネシウム6水和物の質量比として1:0.5〜1.0で含有するものである請求項1または2記載のマグネシアセメント組成物。
  4. 第二リン酸カルシウムの含有量が、酸化マグネシウムの含有量の3質量%以上である請求項1〜の何れかに記載のマグネシアセメント組成物。
  5. 更に、充填材、顔料、減水剤、消泡剤、湿潤分散剤、粘性調整剤、ダレ防止剤、水性樹脂および骨材からなる群から選ばれる配合剤の1種または2種以上を含有するものである請求項1〜の何れかに記載のマグネシアセメント組成物。
  6. 次の成分
    (a1)BET比表面積が1m /g以上〜15m /g未満の酸化マグネシウム、BET比表面積が15m /g以上〜60m /g未満の酸化マグネシウム、BET比表面積が60m /g以上〜120m /gの酸化マグネシウムからなる群から選ばれるBET比表面積の異なる酸化マグネシウムを2種以上
    (a2)第二リン酸カルシウム
    を含有するA剤と、
    次の成分
    (b1)塩化マグネシウム
    (b2)水
    を含有するB剤とを、
    含有することを特徴とするマグネシアセメントキット。
  7. 請求項1〜の何れかに記載のマグネシアセメント組成物を含有する水性混練物を硬化させることを特徴とするマグネシアセメントの硬化物。
  8. 請求項1〜の何れかに記載のマグネシアセメント組成物を含有する水性混練物を硬化させることを特徴とするマグネシアセメントの硬化方法。
  9. 請求項1〜の何れかに記載のマグネシアセメント組成物を含有する水性混練物を、床面に塗布し、硬化させることを特徴とする床面の施工方法。
  10. アンモニアを請求項記載のマグネシアセメントの硬化物に吸収させることを特徴とするアンモニア吸収方法。
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