光ファイバを伝送媒体とする光通信技術は、信号の伝送距離を飛躍的に長延化し、これによって、大規模な光通信網が構築されてきた。近年では、インターネットが広範に普及するのに伴って、通信トラフィックが急速に増大しており、通信網に対する大容量化、高速化、高機能化、低消費電力化の要求が高まっている。さらに、通信トラフィックが増大した場合に備えて、拡張性や増設性が求められるようになっている。
これまでに、波長の異なる複数の光信号を1本の光ファイバ伝送路で同時に伝送する波長多重通信技術の導入によって、二地点間の伝送容量を増大することが可能となった。
さらに、通信網の中継ノードにおいても、光信号を一旦電気信号に変換することなく、経路設定(ルーティング)や経路切換(スイッチング)の処理を行なう方式を用いることによって、ノードのスループットを拡長するとともに、ノード装置の消費電力を大幅に削減することができるようになっている。
このような方式を用いた光ノードシステムとして、光クロスコネクト(OXC)システムや、再構成可能光アド/ドロップ多重(ROADM)システムがある。
OXCシステムは、各ノードに複数の入力側光ファイバ伝送路(以下、「入力方路」と称する)と、複数の出力側光ファイバ伝送路(以下、「出力方路」と称する)が接続され、任意の入力方路から入力された波長多重光信号のうちの任意の波長の光信号を、任意の出力方路へ出力することができるシステムである。(ただし、異なる入力方路から入力された同じ波長の光信号を、同一の出力方路へ同時に出力することはない)。
図6に、従来のOXCシステムのノード構成例を示す概念図である。
図6に示す構成では、D本(Dは、D≧2の整数)の入力方路60(#1,#2,#3,・・・#D)と、D本の出力方路62(#1,#2,#3,・・・#D)がOXCノード64に接続されている。各入力方路60(#1,#2,#3,・・・#D)には、1入力K出力(Kは、K≧2の整数)の波長選択スイッチWSSi(#1,#2,#3,・・・#D)がそれぞれ接続されており、各出力方路62(#1,#2,#3,・・・#D)には、K入力1出力の波長選択スイッチWSSo(#1,#2,#3,・・・#D)がそれぞれ接続されている。
したがって、OXCノード64全体では、入力方路60側にD個の1入力K出力の波長選択スイッチWSSi(#1,#2,#3,・・・#D)があり、出力方路62側にD個のK入力1出力の波長選択スイッチWSSo(#1,#2,#3,・・・#D)がある。そして、入力方路60側の波長選択スイッチWSSi(#1,#2,#3,・・・#D)は、出力方路62側のうちの任意のK個の波長選択スイッチWSSoと交差接続されている。
ここで、波長選択スイッチWSSi(#1,#2,#3,・・・#D)は、入力された波長多重光信号のうち任意の波長の光信号を、どの出力ポート66(#1_1,#1_2,・・・,#1_K)へ出力するかを任意に設定することができる。各出力ポート66は、対応する波長選択スイッチWSSiが交差接続する波長選択スイッチWSSoの入力ポート68に接続されている。また、1本の出力ポート66に、複数の波長の光信号を同時に出力することも可能である。
また、波長選択スイッチWSSo(#1,#2,#3,・・・#D)は、いずれかの入力ポート68に入力された光信号のうち任意の波長の光信号を波長多重して出力することができる。
この構成において、K=Dの場合、任意の入力方路60から入力された波長多重信号のうち任意の波長の信号を、任意の出力方路62へ出力することが可能である。なお、ある入力方路60から入力された光信号を、ある出力方路62には出力する必要がない場合(例えば、入力方路60(#1)と出力方路62(#1)が同じ隣接ノードに接続されていて、入力方路60(#1)から入力された光信号を出力方路62(#1)へループバックする必要がない場合)には、該当する波長選択スイッチの接続、すなわち波長選択スイッチWSSi(#1)と波長選択スイッチWSSo(#1)との間の接続を省略することができる。
次に、多方路ROADMシステムについて説明する。多方路ROADMシステムは、OXCシステムの各ノードに端局装置が接続された構成であり、任意の入出力方路間で接続経路を切り替えることができることに加えて、任意の入出力方路の任意の波長を端局装置に接続することが可能なシステムである。
図7に、このような従来の多方路ROADMシステムのノード構成例を示す概念図である。
すなわち、従来の多方路ROADMシステムの一例は、図7にその構成を示すように、D本の入力方路60(#1,#2,#3,・・・#D)と、D本の出力方路62(#1,#2,#3,・・・#D)がROADMノード74に接続されている。各入力方路60(#1,#2,#3,・・・#D)には、1入力K出力の波長選択スイッチWSSi(#1,#2,#3,・・・#D)がそれぞれ接続されており、各出力方路62(#1,#2,#3,・・・#D)には、K入力1出力の波長選択スイッチWSSo(#1,#2,#3,・・・#D)それぞれが接続されている。
したがって、ROADMノード74全体では、入力方路60側にD個の1入力K出力の波長選択スイッチWSSi(#1,#2,#3,・・・#D)があり、出力方路62側にD個のK入力1出力の波長選択スイッチWSSo(#1,#2,#3,・・・#D)がある。
1個の入力方路60側の波長選択スイッチ(例えば、波長選択スイッチWSSi(#1))に着目すると、そのK本の出力ポート66のうち(D−1)本は、それぞれ異なる出力方路62側の波長選択スイッチWSSo(#2,#3,・・・#D)の入力ポート68に交差接続されており(ただし、例えば、波長選択スイッチWSSi(#1)と波長選択スイッチWSSo(#1)のように、入力方路60と同じ番号の出力方路62に接続された波長選択スイッチWSSo(#1)には接続されていない)、残りの(K−D+1)本の出力ポート66は端局装置(トランスポンダ)側へ接続されている(ドロップポート)。
また、1個の出力方路62(#1)側の波長選択スイッチWSSo(#1)に着目すると、そのK本の入力ポート68のうち(D−1)本は、異なる入力方路60(#2,#3,・・・#D)側の波長選択スイッチWSSi(#2,#3,・・・#D)の出力ポート66に交差接続されており、残りの(K−D+1)本の入力ポート68は図示しない端局装置(トランスポンダ)側へ接続されている(アドポート)。
この構成により、任意の入力方路60から入力された波長多重信号のうち任意の波長の信号を、任意の出力方路62へ出力するか、あるいは端局装置側に接続するかを任意に選択することが可能である。また、出力方路62には、任意の入力方路60から入力された波長多重信号のうち任意の波長の信号に加えて、端局装置側から入力された光信号を波長多重して合流させることが可能である(ただし、入力方路60からの光信号と同じ波長の光信号が、端局装置側から合流されることはない)。
図7の構成では、各入力方路60(#1,#2,#3,・・・#D)について(K−D+1)本のドロップポート66(#1_D,・・・#1_K,#2_D,・・・#2_K,#3_D,・・・#3_K,#D_D,・・・・・・#D_K)と、各出力方路62(#1,#2,#3,・・・#D)について(K−D+1)本のアドポート68(#1_D,・・・#1_K,#2_D,・・・#2_K,#3_D,・・・#3_K,#D_D,・・・・・・#D_K)がある。これらのドロップポート66(#1_D,・・・#1_K,#2_D,・・・#2_K,#3_D,・・・#3_K,・・・#D_D,・・・#D_K)およびアドポート68(#1_D,・・・#1_K,#2_D,・・・#2_K,#3_D,・・・#3_K,・・・#D_D,・・・#D_K)には、それぞれ、複数の波長の光信号を同時に入出力することができる。
なお、ドロップポート66(#1_D,・・・#1_K,#2_D,・・・#2_K,#3_D,・・・#3_K,#D_D,・・・・・・#D_K)およびアドポート68(#1_D,・・・#1_K,#2_D,・・・#2_K,#3_D,・・・#3_K,#D_D,・・・・・・#D_K)と端局装置の光送受信機との間には、それらの光信号を分離・多重するための光デバイスが接続されるが、図7では、これらの図示を省略している。
次に、図8を用いて、従来の多方路ROADMシステムの別のノード構成例を説明する。
図8に示す構成は、図7に示したROADMノード74において、K=Dとした例である。したがって、各入力方路60(#1,#2,#3,・・・#D)についてそれぞれ1本のドロップポート66(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)と、各出力方路62(#1,#2,#3,・・・#D)についてそれぞれ1本のアドポート68(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)があり、ROADMノード74全体では、D本のドロップポートとD本のアドポートがある。
さらに、図8の構成では、各ドロップポート66(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)にはそれぞれ、1個の1入力N出力の波長分波器80(#1,#2,#3,・・・#D)が接続されており、その各出力ポート81は図示しない端局装置のトランスポンダの受信側に接続される。また、各アドポート68(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)にはそれぞれ、1個のN入力1出力の波長合波器82(#1,#2,#3,・・・#D)が接続されており、その各入力ポート83は図示しない端局装置のトランスポンダの送信側に接続される。
この構成により、ドロップポート66(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)に入力された波長多重光信号を波長分離して、端局装置のトランスポンダで受信することができる。また、端局装置のトランスポンダから送信された光信号を波長多重して、アドポート68(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)へ出力することができる。
しかしながら、この構成では、各トランスポンダに接続される光信号の波長は、トランスポンダが、波長分波器80および波長合波器82のどの出力ポート81および入力ポート83に接続されているかによって決まってしまう。また、各トランスポンダで送受信される光信号がどの方路に接続されるかも、トランスポンダが、ROADMノード74のどのドロップポート66(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)およびアドポート68(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)に接続されているかによって決まってしまう。
次に、図9を用いて、従来の多方路ROADMシステムのさらに別のノード構成の例を説明する。
図9の構成では、図8に示したROADMノード74の各ドロップポート66(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)のそれぞれに、1個の1入力N出力の波長分波器80(#1,#2,#3,・・・#D)の代わりに、1個の1入力N出力の波長選択スイッチ90(#1,#2,#3,・・・#D)が接続され、各アドポート68(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)のそれぞれには、1個のN入力1出力の波長合波器82(#1,#2,#3,・・・#D)の代わりに、1個のN入力1出力の波長選択スイッチ92(#1,#2,#3,・・・#D)が接続されている。
波長選択スイッチ90(#1,#2,#3,・・・#D)はそれぞれN個の出力ポート91(例えば、波長選択スイッチ90(#1)の場合、出力ポート91(#1_1,・・・,#1_N))を有し、波長選択スイッチ92(#1,#2,#3,・・・#D)はそれぞれN個の入力ポート93(例えば、波長選択スイッチ92(#1)の場合、入力ポート93(#1_1,・・・,#1_N))を有し、これらのポートを介して、トランスポンダに接続されている。
この構成により、各トランスポンダに接続される光信号の波長を、ドロップポート側の波長選択スイッチ90およびアドポート側の波長選択スイッチ92によって任意に設定することができる(カラーレス機能)。
しかしながら、各トランスポンダで送受信される光信号がどの方路に接続されるかは、トランスポンダが接続されているドロップポート側の波長選択スイッチ90およびアドポート側の波長選択スイッチ92が、どの方路のドロップポート66(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)およびアドポート68(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)に接続されているかによって決まってしまう。
次に、図10を用いて、従来の多方路ROADMシステムのさらにまた別のノード構成例を示す。
図10の構成では、図8に示したROADMノード74において、各ドロップポート66(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)にそれぞれ接続されたD個の1入力N出力の波長分波器80(#1,#2,#3,・・・#D)の代わりに、D本のドロップポート66(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)に、1個のL入力N出力のマルチキャストスイッチ100が接続されており(ここでは、D≦Lとする)、その各出力ポート104(#1,#2,#3,・・・#N)は、波長可変フィルタ106(#1,#2,#3,・・・#N)をそれぞれ介してトランスポンダの受信側に接続されている。また、図8において各アドポート68(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)にそれぞれ接続されたD個のN入力1出力の波長合波器82(#1,#2,#3,・・・#D)の代わりに、D本のアドポート68(#1_K,#2_K,#3_K,・・・#D_K)に、1個のN入力L出力のマルチキャストスイッチ110が接続されており、その各入力ポート112(#1,#2,#3,・・・#N)にトランスポンダの出力側が接続されている。
さらに、L入力N出力のマルチキャストスイッチ100は、1入力N出力のL個の光スプリッタ101(#1,#2,#3,・・・#L)と、N個のL入力1出力の光スイッチ103(#1,#2,#3,・・・#L)とから構成される。1個の光スプリッタ(例えば、光スプリッタ101(#1))に着目すると、その各出力ポート102(#1)は、各光スイッチ103の入力ポートに交差接続されている。ドロップポート側のマルチキャストスイッチ100の各入力ポート107(#1,#2,#3,・・・#L)に入力された光信号は、それぞれ対応する光スプリッタ101(#1,#2,#3,・・・#L)によってN分岐され、各出力ポート102(#1,#2,#3,・・・#L)に分配された後、各出力ポート102(#1,#2,#3,・・・#L)において所望の入力ポート107(#1,#2,#3,・・・#L)からの波長多重光信号が各光スイッチ103(#1,#2,#3,・・・#N)によって選択される。
なお、マルチキャストスイッチ100では、1つの入力ポート(例えば、入力ポート107(#1))に入力された光信号を複数の出力ポートへ同時に出力することも可能である。
各光スイッチ103(#1,#2,#3,・・・#N)の出力ポート104(#1,#2,#3,・・・#N)から出力された波長多重光信号のうち、所望の波長の光信号のみが各波長可変フィルタ106(#1,#2,#3,・・・#N)によって選択されてトランスポンダに接続される。
一方、N入力L出力のマルチキャストスイッチ110は、N個の1入力L出力の光スイッチ111(#1,#2,#3,・・・#N)と、L個のN入力1出力の光カプラ114(#1,#2,#3,・・・#L)とから構成される。各光スイッチ各出力ポート113は、各光カプラの入力ポート115(#1,#2,#3,・・・#L)に交差接続されている。これは、L入力N出力のマルチキャストスイッチ100の入出力を入れ替えた構成である。
トランスポンダから、マルチキャストスイッチ110の各入力ポート112(#1,#2,#3,・・・#N)に入力された光信号は、それぞれ対応する光スイッチ111(#1,#2,#3,・・・#N)によって所望の出力ポート113(#1,#2,#3,・・・#N)が選択された後、光カプラ114(#1,#2,#3,・・・#N)によってN個の出力ポート113(#1,#2,#3,・・・#N)からの光信号が合流されて、各出力ポート117(#1,#2,#3,・・・#N)から出力される。
この構成により、D≦Lの場合には、カラーレス機能に加えて、任意の入力方路60からドロップされた光信号を、任意のトランスポンダで受信することが可能となり、また、任意のトランスポンダから送信された光信号を、任意の出力方路62へアド出力することもが可能となる(ディレクションレス機能)。また、異なる方路から同じ波長の光信号がアド/ドロップされることもあるが、その場合でも、アド/ドロップポートとトランスポンダの間で、異なる接続経路が確保されるので、同じ波長の光信号が衝突することはない(コンテンションレス機能)。
しかしながら、ネットワーク規模の拡長に伴い、ROADMノード74に接続される入出力方路の数が増加していき、D>Lになると、全ての入出力方路に対してディレクションレス機能を維持するためには、ドロップポート側では、L入力N出力のマルチキャストスイッチ100を、D入力N出力のマルチキャストスイッチに更改しなければならず、アドポート側では、N入力L出力のマルチキャストスイッチ110をN入力D出力のマルチキャストスイッチに更改しなければならない。
これに関して、入出力方路の増設が可能なマルチキャストスイッチが報告されている(非特許文献1)。
図11は、入力方路の増設が可能な従来のマルチキャストスイッチの構成例を示す概念図である。
図11に示すマルチキャストスイッチ200は、L本の入力ポート202(#1,#2,#3,・・・#L)とN本の出力ポート204(#1,#2,#3,・・・#N)に加えてN本の拡張入力ポート206(#1,#2,#3,・・・#N)を備え、図10に示したROADMノード74のドロップポート側において、L入力N出力のマルチキャストスイッチ100の代わりに用いられる。このマルチキャストスイッチ200は、L個の1入力N出力の光スプリッタ208(#1,#2,#3,・・・#L)と、N個の(L+1)入力1出力の光スイッチ210(#1,#2,#3,・・・#N)とから構成される。
1個の光スプリッタ(例えば、208(#1))に着目すると、その出力ポート203(#1)は、各光スイッチ210(#1,#2,#3,・・・#N)の入力ポート205(#1,#2,#3,・・・#N)に交差接続されている。そして、各光スイッチ210(#1,#2,#3,・・・#N)の(L+1)本の入力ポート205のうち、光スプリッタ208に接続されていない1本を、拡張入力ポート206(#1,#2,#3,・・・#N)として利用することができる。
図11の構成を利用することにより、ネットワーク規模の拡長に伴い、ROADMノード74に接続される入力方路60の数が増加した場合、図12に示すように、拡張入力ポート206(#1,#2,#3,・・・#N)にL入力N出力のマルチキャストスイッチ300を増設することで、既存のドロップ光信号に影響を与えることなく、カラーレス・ディレクションレス・コンテンションレス機能(以下、CDC機能という)を維持したまま、入力方路60の数を、L本の入力方路60(#A)と、L本の入力方路60(#B)との合計2L本まで拡長することができる。
マルチキャストスイッチ300は、L個の1入力N出力の光スプリッタ308(#1,#2,#3,・・・#L)と、N個の(L+1)入力1出力の光スイッチ310(#1,#2,#3,・・・#N)とから構成される。
さらに、拡張入力ポート206(#1,#2,#3,・・・#N)に増設するマルチキャストスイッチとして、図12に示すようなマルチキャストスイッチ300に代えて、図11で説明したような入力方路の増設可能なマルチキャストスイッチ200を用いることもできる。これによって、図13に示すように、各マルチキャストスイッチの拡張入力ポート206に、図11に示すマルチキャストスイッチ200(#A,#B),300を順次増設できるようになり、既存のドロップ光信号に影響を与えることなく、CDC機能を維持したまま、入力方路60の数をL(入力方路60(#A)のみ)、2L(入力方路60(#A)+入力方路60(#B))、3L(入力方路60(#A)+入力方路60(#B)+入力方路60(#C))、・・・と拡張できるようになる。
同様の構成は、ROADMノード74のアドポート側でも用いることができる。
図14は、出力方路62の増設が可能な従来のマルチキャストスイッチの構成例を示す概念図である。
すなわち、図14に示すマルチキャストスイッチ400は、N本の入力ポート402(#1,#2,#3,・・・#N)と、L本の出力ポート404(#1,#2,#3,・・・#L)に加えて、N本の拡張出力ポート406(#1,#2,#3,・・・#N)を備え、図10に示したROADMノード74のアドポート側において、N入力L出力のマルチキャストスイッチ110の代わりに用いられる。このマルチキャストスイッチ400は、N個の1入力(L+1)出力の光スイッチ410(#1,#2,#3,・・・#N)と、L個のN入力1出力の光カプラ412(#1,#2,#3,・・・#L)から構成される。1個の光スイッチ(例えば、光スイッチ410(#1))に着目すると、その(L+1)本の出力ポート403(#1)のうちL本の出力ポートは、各光カプラ412(#1,#2,#3,・・・#L)の入力ポート405(#1,#2,#3,・・・#L)に交差接続されている。そして、各光スイッチ410の(L+1)本の出力ポート403のうち、光カプラ412に接続されていない1本を、拡張出力ポート406として利用することが可能である。これは、図11に示したドロップポート側のマルチキャストスイッチ200の入力と出力を入れ替えた構成である。
図14の構成を利用することにより、ネットワーク規模の拡長に伴い、ROADMノード74に接続される出力方路62の数が増加した場合、図15に示すように、拡張出力ポート406(#1,#2,#3,・・・#N)にN入力L出力のマルチキャストスイッチ500を増設することで、既存のアド光信号に影響を与えることなく、CDC機能を維持したまま、出力方路62の数を、出力方路62(#A)のL本と、出力方路62(#B)のL本とを加えた合計2L本まで拡長することができる。
マルチキャストスイッチ500は、N個の1入力L出力の光スイッチ510(#1,#2,#3,・・・#N)と、L個のN入力1出力の光カプラ512(#1,#2,#3,・・・#L)とから構成される。
さらに、拡張出力ポート406(#1,#2,#3,・・・#N)に増設するマルチキャストスイッチとして、図15に示すようなマルチキャストスイッチ500に代えて、図14で説明したような出力方路62の増設可能なマルチキャストスイッチ400を用いることもできる。これによって、図16に示すように、マルチキャストスイッチの各拡張出力ポート406に、図14に示すマルチキャストスイッチ400(#A,#B),500を順次増設することによって、既存のアド光信号に影響を与えることなく、CDC機能を維持したまま、出力方路62の数をL(出力方路62(#A)のみ)、2L(出力方路62(#A)+出力方路62(#B))、3L(出力方路62(#A)+出力方路62(#B)+出力方路62(#C))、・・・と拡張できるようになる。
しかしながら、マルチキャストスイッチは、光スプリッタあるいは光カプラを用いて構成されているため、光分岐に伴う原理的な挿入損失があるという欠点がある。
マルチキャストスイッチの構成において、光スプリッタと可変波長フィルタ、あるいは光カプラの代わりに、波長選択スイッチを用いれば、原理的な挿入損失のない構成が可能である。波長選択スイッチは、一般に空間光学系を用いて構成されるため、平面光波回路を用いた集積化が可能な光スプリッタや光カプラ、光スイッチに比べて、デバイスのサイズが大きく、高価であった。しかし、最近では、空間光学系と平面光波回路を用いて、多連の波長選択スイッチを集積化する技術が報告されており、それを用いた多入力多出力の波長選択切換装置が報告されている(非特許文献2)。
図17は、このような従来の波長選択切換装置の構成例を示す概念図である。この波長選択切換装置550は、一例としてL入力N出力のタイプである。
波長選択切換装置550は、図10に示したROADMノード74のドロップポート側において、L入力N出力のマルチキャストスイッチ100の代わりに用いられる。このL入力N出力の波長選択切換装置550は、L個の1入力N出力の波長選択スイッチ560(#1,#2,#3,・・・#L)と、N個のL入力1出力の光スイッチ570(#1,#2,#3,・・・#N)とから構成される。例えば、1つの波長選択スイッチ560(#1)に着目すると、1つの入力ポート558(#1)と、複数の出力ポート562(#1)とを有している。各出力ポート562(#1,#2,#3,・・・#N)は、それぞれ異なる光スイッチ570(#1,#2,#3,・・・#N)の入力ポート572(#1,#2,#3,・・・#N)と交差接続されている。
このような構成により、入力ポート558(#1,#2,#3,・・・#L)から波長選択スイッチ560(#1,#2,#3,・・・#L)に入力された光信号は、波長選択スイッチ560(#1,#2,#3,・・・#L)によって、所望の波長が、所望の入力ポート572(#1,#2,#3,・・・#N)を介して、所望の光スイッチ570(#1,#2,#3,・・・#N)へ入力される。そして、光スイッチ570(#1,#2,#3,・・・#N)によって、所望の波長選択スイッチ560(#1,#2,#3,・・・#L)からの光信号が選択され、出力ポート574(#1,#2,#3,・・・#N)を介してトランスポンダへ出力される。
このような構成により、任意の入力方路60からドロップされた任意の波長の光信号を、任意のトランスポンダで受信することが可能となる。
同様の構成は、ROADMノード74のアドポート側に適用することも可能である。
図18は、アドポート側に適用された従来の波長選択切換装置600の構成例を示す概念図である。この波長選択切換装置600は、一例としてN入力L出力のタイプである。
図18に示す波長選択切換装置600は、図10に示したROADMノード74のアドポート側において、N入力L出力のマルチキャストスイッチ110の代わりに用いられる。このN入力L出力の波長選択切換装置600は、N個の1入力L出力の光スイッチ610(#1,#2,#3,・・・#N)と、L個のN入力1出力の波長選択スイッチ620(#1,#2,#3,・・・#N)から構成される。例えば、光スイッチ610(#1)のような1個の光スイッチに着目すると、光スイッチ610(#1)は、入力ポート608(#1)と、複数の出力ポート612(#1)とを有している。これら複数の出力ポート612(#1)は、各波長選択スイッチ620(#1,#2,#3,・・・#L)の入力ポート622(#1,#2,#3,・・・#L)に交差接続されている。
すなわち、N入力L出力の波長選択切換装置600は、図17に示したドロップポート側のL入力N出力の波長選択切換装置550の入力と出力を入れ替えた構成である。
このような構成により、トランスポンダから、各入力ポート608(#1,#2,#3,・・・#N)に入力された光信号は、対応する光スイッチ610(#1,#2,#3,・・・#N)によって所望の出力ポート612(#1,#2,#3,・・・#N)が選択された後、波長選択スイッチ620(#1,#2,#3,・・・#L)によって光信号が合流されて、各出力ポート624(#1,#2,#3,・・・#L)から出力される。
このような構成により、任意のトランスポンダから送信された光信号を、任意の出力方路62へとアド出力することが可能となる。
図17および図18に示す多入力多出力の波長選択切換装置550,600は、図10に示したマルチキャストスイッチ100,110とは異なり、光スプリッタ101も光カプラ114も用いずに構成されているため、光分岐に伴う原理的な挿入損失がないという利点がある。
以下に、本発明の実施形態に係る波長選択切換装置を、図面を参照して説明する。
なお、従来技術で説明したものと同一箇所については、同一番号を付すことによって、その詳細な説明を避ける。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る波長選択切換装置の構成例を示す概念図である。
すなわち、本実施形態に係る波長選択切換装置10は、1個の(L+M)入力L出力のマトリクス光スイッチ12と、L個の1入力N出力の波長選択スイッチ18(#1,#2,#3,・・・#L)と、N個のL入力1出力の光スイッチ21(#1,#2,#3,・・・#N)からなる。
なお、L、M、Nは何れも整数であって、L≧2、M≧1、N≧2であり、N≦Lの関係が成立する。
1個の(L+M)入力L出力のマトリクス光スイッチ12はさらに、(L+M)個の1入力L出力の光スイッチ11(#1,#2,・・・,#L,#L+1,・・・,#L+M)と、L個の(L+M)入力1出力の光スイッチ14(#1,#2,・・・,#L)とを備えている。
(L+M)個の1入力L出力の光スイッチ11(#1,#2,・・・,#L,#L+1,・・・,#L+M)はそれぞれ、1つの入力ポート8(#1,#2,・・・,#L,#L+1,・・・,#L+M)を備えている。例えば、光スイッチ11(#1)は、1つの入力ポート8(#1)を備えているという具合である。これら入力ポート8(#1,#2,・・・,#L,#L+1,・・・,#L+M)は、本実施形態に係る波長選択切換装置10の外部入力ポートとなり、L本の入力ポート8(#1,#2,・・・,#L)は、L本の入力方路60(#A)に接続され、M本の入力ポート8(#L+1,・・・,#L+M)は、M本の入力方路60(#B)に接続されている。
光スイッチ11(#1,#2,・・・,#L,#L+1,・・・,#L+M)のすべてと、光スイッチ14(#1,#2,・・・,#L)のすべてとは交差接続している。このため、例えば、光スイッチ11(#1)は、L本の出力ポート9(#1)を有しており、これらL本の出力ポート9(#1)のおのおのは、L個の光スイッチ14(#1,#2,・・・,#L)の何れかの入力ポート13(#1,#2,・・・,#L)と接続している。他の出力ポート9(#2,・・・,#L,#L+1,・・・,#L+M)も同様に、L個の光スイッチ14(#1,#2,・・・,#L)のうちの何れかの入力ポート13(#1,#2,・・・,#L)と接続している。
光スイッチ14(#1,#2,・・・,#L)は、それぞれ(L+M)本の入力ポート13と、1本の出力ポート15とを有している。例えば、光スイッチ14(#1)は、(L+M)本の入力ポート13(#1)と、1本の出力ポート15(#1)を有しているという具合である。
波長選択スイッチ18(#1,#2,・・・,#L)はおのおの1本の入力ポート16(#1,#2,・・・,#L)を有している。そして、各入力ポート16(#1,#2,・・・,#L)は、対応する出力ポート15(#1,#2,・・・,#L)と1対1に接続される。例えば、波長選択スイッチ18(#1)は、出力ポート15(#1)に1対1で接続される1本の入力ポート16(#1)を有し、波長選択スイッチ18(#L)は、出力ポート15(#L)に1対1で接続される1本の入力ポート16(#L)を有しているという具合である。
また、L個の波長選択スイッチ18(#1,#2,・・・,#L)のすべては、N個の光スイッチ21(#1,#2,・・・,#N)のすべてと交差接続している。このために、波長選択スイッチ18(#1,#2,・・・,#L)は、各々がN本の出力ポート19を有している。例えば、波長選択スイッチ18(#1)が有する出力ポート19(#1)はN本であり、他の波長選択スイッチ18(#2,・・・,#L)も、それぞれN本の出力ポート19を有する。
N個の光スイッチ21(#1,#2,・・・,#N)は、それぞれL本の入力ポート20(#1,#2,・・・,#N)と、1本の出力ポート22(#1,#2,・・・,#N)とを有している。例えば、光スイッチ21(#1)は、L本の入力ポート20(#1)と、1本の出力ポート22(#1)を有しているという具合である。
これら出力ポート22(#1,#2,・・・,#N)は、本実施形態に係る波長選択切換装置10の外部出力ポートとなる。
このような構成をなす波長選択切換装置10によれば、1個の光スイッチ11(#1)に着目すると、そのL個の各出力ポート9(#1)は、異なるL個の光スイッチ14(#1,#2,・・・,#L)の各入力ポート13(#1,#2,・・・,#L)に接続されている。
このようなマトリクス光スイッチ12では、光スイッチ14(#1,#2,・・・,#L)のおのおのにおける(L+M)本の各入力ポート13は全て等価であり、これら各入力ポート13のうちの任意の入力ポートに入力された光信号を、L本の出力ポートのうちの任意の1本に接続することができる。
図1に示す波長選択切換装置10は、(L+M)本の外部入力ポート8(#1,#2,・・・,#L,#L+1,・・・,#L+M)とN本の外部出力ポート22(#1,#2,・・・,#N)とを有し、図10に示したROADMノード74のドロップポート側において、マルチキャストスイッチ100の代わりに用いられる。
本実施形態に係る波長選択切換装置10によれば、ネットワーク規模の拡長に伴い、ROADMノード74に接続される入力方路60(#A)の数がL本から増加した場合であっても、増加した入力方路60(#B)のドロップポートを、空いている外部入力ポート(例えば、外部入力ポート8(#L+1,・・・,#L+M)のうちの何れか)に接続することができるので、これによって、既存のドロップ光信号に影響を与えることなく、入力方路60の数をL本から(L+M)本まで拡長することが可能となる。
しかも、ドロップポートの方路数をL本から(L+M)本に拡長する際に、波長選択スイッチではなく、波長選択性のないマトリクス光スイッチ12を用いることによって実現することができる。したがって、小型で廉価なユニットのみの増設により、入力方路60の数をL本から(L+M)本へと拡長することが可能となる。
また、図1の構成の入出力を入れ替えれば、ROADMノード74のアドポート側に適用することも可能である。
アドポート側に適用する場合であっても、波長選択スイッチではなく、波長選択性のないマトリクス光スイッチ12を用いて、アドポートの方路数をL本から(L+M)本に拡長することができるので、ドロップポート側に用いる場合と同様に、小型で廉価なユニットのみの増設により、出力方路の数を拡長することが可能となる。
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る波長選択切換装置の構成例を示す概念図である。
図2に示す第2の実施形態に係る波長選択切換装置30は、図1に示す第1の実施形態に係る波長選択切換装置10の変形例であるので、ここでは、同一箇所については、同一番号を付すことによって、詳細な説明を避け、異なる点を詳細に説明する。
すなわち、本実施形態に係る波長選択切換装置30は、図1に示されている波長選択切換装置10に備えられているマトリクス光スイッチ12に代えて、1個の(L+P)入力L出力のマトリクス光スイッチ32を備えている。さらには、1個のM入力P出力のマトリクス光スイッチ34を備えている。
マトリクス光スイッチ32はさらに、マトリクス光スイッチ12と同様に、交差接続された光スイッチ11と光スイッチ14とから構成される。光スイッチ11は、図1と同様に1入力L出力であるが、個数が(L+P)個である。また、図2における光スイッチ14は、図1と同様にL個であるが、(L+P)入力1出力である。
また、マトリクス光スイッチ34も、マトリクス光スイッチ12と同様に、交差接続された光スイッチ35と光スイッチ36とから構成される。光スイッチ35は、1入力P出力であり、個数がM個である。また、光スイッチ36は、M入力1出力であり、個数がP個である。
そしてP個の光スイッチ36(#1,#2,・・・#P)のおのおのが、光スイッチ11(#L+1,#L+2,・・・#L+P)に1対1に接続されている。
なお、Lは、L≧2の整数、Pは、P≧1の整数、Mは、M≧2の整数であり、L≦P<Mの関係を有する。
このような構成において、光スイッチ11(#1,・・・,#L)に接続されたL本の入力ポート8(#1,・・・,#L)を外部基本入力ポートとし、光スイッチ35(#1,・・・,#M)に接続されたM本の入力ポート37(#1,・・・,#M)を、外部拡張ポートとする。
外部出力ポートは、図1と同様に、出力ポート22(#1,・・・,#N)とする。
このような波長選択切換装置30もまた、第1の実施形態と同様に、図10に示したROADMノード74のドロップポート側において、マルチキャストスイッチ100の代わりに用いることができる。そして、ネットワーク規模の拡長に伴い、ROADMノード74に接続される入力方路60の数がLより大きくなった時点で、マトリクス光スイッチ34を増設することにより、入力方路60の数をL本(入力方路60(#A))から(L+M)本(入力方路60(#A)+入力方路60(#B))へ拡長することが可能となる。
また、図2の構成の入出力を入れ替えれば、ROADMノード74のアドポート側に用いることも可能である。
以上説明したように、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様に、小型で廉価なユニットのみの増設により、入力方路および出力方路の数を拡長することが可能となる。
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る波長選択切換装置の構成例を示す概念図である。
図3に示す第3の実施形態に係る波長選択切換装置40は、図1に示す第1の実施形態に係る波長選択切換装置10の変形例であるので、ここでは、同一箇所については、同一番号を付すことによって、詳細な説明を避け、異なる点を詳細に説明する。
すなわち、本実施形態に係る波長選択切換装置40は、図1に示されている波長選択切換装置10に備えられているマトリクス光スイッチ12に代えて、1個の(L+M)入力L出力のマトリクス光スイッチ42を備えている。
さらに、このマトリクス光スイッチ42は、マトリクス光スイッチ12と同様に、交差接続された光スイッチ44と光スイッチ46とから構成される。光スイッチ44は、図1と同様に1入力L出力であるが、個数がM個である。
また、光スイッチ46は、図1と同様にL個であるが、(M+1)入力1出力である。このため、光スイッチ46(#1,#2,・・・#L)はおのおの(M+1)本の入力ポート45を有しており、そのうちM本の入力ポート45が、M個の光スイッチ44のおのおのとの接続に用いられ、1本の入力ポート48が、外部基本入力ポートとして使用される。光スイッチ46はL個あるので、図3では、合計してL個の入力ポート48(#1,#2,・・・#L)が外部基本入力ポートとして使用されることを示している。
一方、M個の1入力L出力の光スイッチ44(#1,#2,・・・#M)の入力ポート43(#1,#2,・・・#M)が、外部拡張入力ポートとなる。
また、外部出力ポートは、図1と同様に、出力ポート22(#1,・・・,#N)となる。
このような構成の波長選択切換装置40もまた、L本の外部基本入力ポートとなる入力ポート48(#1,#2,・・・#L)と、N本の外部出力ポートとなる出力ポート22(#1,#2,・・・#N)とに加えて、M本の外部拡張入力ポートとなる入力ポート43(#1,#2,・・・#M)を備えることができる。
したがって、第1および第2の実施形態と同様に、図10に示したROADMノード74のドロップポート側において、マルチキャストスイッチ100の代わりに用いることが可能である。
したがって、同様に、ネットワーク規模の拡長に伴い、ROADMノード74に接続される入力方路60の数が増加した場合に、増加した方路のドロップポートを外部拡張入力ポート43(#1,#2,・・・#M)に接続することで、既存のドロップ光信号に影響を与えることなく、入力方路60を、入力方路60(#A)のみによるL本から、さらに入力方路60(#B)を加えることによって、(L+M)本まで拡長することができる。なお、入力方路60の数を拡長するにあたっては、図2と同様に、マトリクス光スイッチ42を順次増設しながら、拡長していくことも可能である。
また、図3に示すマトリクス光スイッチ42は、図1に示すマトリクス光スイッチ12に比べて、光スイッチ素子の規模を小さくすることができるという利点がある。これは、図3の構成では、マトリクス光スイッチ42において、L本の各外部基本入力ポートである入力ポート48(#1,#2,・・・#L)のおのおのを、それぞれ1つの光スイッチ46(#1,#2,・・・#L)にしか接続できないという制限を設けていることによる。例えば、入力ポート48(#1)は、光スイッチ46(#1)のみにしか接続されないように制限され、入力ポート48(#L)は、光スイッチ46(#L)のみにしか接続されないように制限されるという具合である。
このように、図3に示すような本実施形態に係る波長選択切換装置40では、L本の各外部基本入力ポートである入力ポート48(#1,#2,・・・#L)のおのおのは、L個の1入力N出力の波長選択スイッチ18(#1,#2,・・・#L)のうち、1個のみにしか接続できないことになる。しかしながら、波長選択スイッチ18の後段に、光スイッチ21があるため、外部基本入力ポートである入力ポート48(#1,#2,・・・#L)は、全ての外部出力ポート22(#1,#2,・・・#N)に接続することが可能となる。
また、図3の構成の入出力を入れ替えれば、ROADMノード74のアドポート側に用いることも可能である。
以上説明したように、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様に、小型で廉価なユニットのみの増設により、入力方路および出力方路の数を拡長することが可能となる。
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態に係る波長選択切換装置の構成例を示す概念図である。
図4に示す第4の実施形態に係る波長選択切換装置50は、図1に示す第1の実施形態に係る波長選択切換装置10の変形例であるので、ここでは、同一箇所については、同一番号を付すことによって、詳細な説明を避け、異なる点を詳細に説明する。
すなわち、本実施形態に係る波長選択切換装置50は、図1に示されている波長選択切換装置10に備えられているマトリクス光スイッチ12に代えて、1個のM入力L出力のマトリクス光スイッチ52と、L個の2入力1出力光スイッチ58(#1,#2,・・・#L)とを備えている。
さらに、M入力L出力のマトリクス光スイッチ52は、M個の1入力L出力の光スイッチ54(#1,#2,・・・#M)と、L個のM入力1出力の光スイッチ56(#1,#2,・・・#L)とを備えてなる。
マトリクス光スイッチ52において、光スイッチ54(#1,#2,・・・#M)と光スイッチ56(#1,#2,・・・#L)とは、マトリクス光スイッチ12における光スイッチ11および光スイッチ14と同様に、交差接続している。
さらに、光スイッチ54(#1,#2,・・・#M)はおのおの、1本の入力ポート53(#1,#2,・・・#M)を備えている。これらM本の入力ポート53(#1,#2,・・・#M)は、外部拡張入力ポートとなる。
また、光スイッチ56(#1,#2,・・・#L)の出力ポート55(#1,#2,・・・#L)はそれぞれ、L個の2入力1出力の光スイッチ58(#1,#2,・・・#L)の入力ポート57(#1,#2,・・・#L)のおのおのと1対1に接続されている。例えば、光スイッチ56(#1)の出力ポート55(#1)は、光スイッチ58(#1)の入力ポート57(#1)に接続され、光スイッチ56(#L)の出力ポート55(#L)は、光スイッチ58(#L)の入力ポート57(#L)に接続されているという具合である。
2入力1出力の光スイッチ58(#1,#2,・・・#L)のおのおののもう1本の入力ポート59(#1,#2,・・・#L)は、外部基本入力ポートとなる。
また、外部出力ポートは、図1と同様に、出力ポート22(#1,・・・,#N)となる。
このような構成の波長選択切換装置50もまた、L本の外部基本入力ポートとなる入力ポート59(#1,#2,・・・#L)と、N本の外部出力ポートとなる出力ポート22(#1,#2,・・・#N)とに加えて、M本の外部拡張入力ポートとなる入力ポート53(#1,#2,・・・#M)をも備えることができる。
したがって、他の実施形態と同様に、図10に示したROADMノード74のドロップポート側において、マルチキャストスイッチ100の代わりに用いることが可能である。
また同様に、ネットワーク規模の拡長に伴い、ROADMノード74に接続される入力方路60の数がLより大きくなった時点で、マトリクス光スイッチ52を増設することで、入力方路60の数を、L本(入力方路60(#A))から、(L+M)本(入力方路60(#A)+入力方路60(#B))まで拡長することができる。なお、入力方路60の数を拡長するにあたっては、図2と同様に、マトリクス光スイッチ52を順次増設しながら、入力方路60の数を拡長していくことも可能である。
また、図4の構成の入出力を入れ替えれば、ROADMノードのアドポート側に用いることも可能である。
以上説明したように、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様に、小型で廉価なユニットのみの増設により、入力方路および出力方路の数を拡長することが可能となる。
以上述べた本発明の第1乃至第4の実施形態において、整数L、M、N、Pは、ネットワークの規模や光デバイスの集積度に応じて、任意に定めることができる。しかしながら、(L+M)本の外部入力ポートに入力された波長多重信号のうち任意のN個の光信号を、N本の外部出力ポートに1個ずつ、ブロッキングすることなく接続するためには、整数L、NがN≦Lを満たすことが必要である。これは、N個の光信号の入力方路60が全て異なる場合には、少なくともN個の1入力N出力の波長選択スイッチ18が必要となるためである。
以下の実施例1乃至4では、このような数値関係を満足する典型的な構成について説明する。
図1の構成において、L=8、M=8、N=8とした波長選択切換装置10について説明する。
このような波長選択切換装置10を作製するために、平面光波回路を用いて、16個の1入力8出力の光スイッチ11のすべてと、8個の16入力1出力の光スイッチ14のすべてとを交差接続させることによって、1個の16入力8出力のマトリクス光スイッチ12を作製した。また、空間光学系と平面光波回路を用いて、8個の1入力8出力の波長選択スイッチ18のすべてと、8個の8入力1出力の光スイッチ21のすべてとを交差接続させた。
次に、8個の光スイッチ14の各出力ポート15を、対応する8個の波長選択スイッチ18の各入力ポート16と、1対1に接続した。
このようにして作製された波長選択切換装置10において、16入力8出力のマトリクス光スイッチ12の16本の入力ポート8のうち、任意の入力ポート8から入力された50GHz間隔の88チャネルの波長多重光のうち任意の波長の光信号が、8つの光スイッチ21からの合計8本の出力ポート22のうちの任意の1本から出力されることが確認された。
逆に、8個の光スイッチ21の8本の出力ポート22のうちの任意の出力ポート22から入力された50GHz間隔の88チャネルの波長多重光のうちの任意の1波長の光信号が、マトリクス光スイッチ12の16本の入力ポート8のうちの任意の1本から出力されることが確認された。
図2の構成において、L=8、M=16、P=8、N=8とした波長選択切換装置30について説明する。
このような波長選択切換装置30を作製するために、実施例1と同様に、平面光波回路を用いて、16個の1入力8出力の光スイッチ35のすべてと、8個の16入力1出力の光スイッチ36のすべてとを交差接続させることによって、1個の16入力8出力のマトリクス光スイッチ34を作製した。
また、実施例1の16入力8出力のマトリクス光スイッチ12と同様に、1個の16入力8出力のマトリクス光スイッチ32を作製した。さらに、実施例1と同様に、8個の1入力8出力の波長選択スイッチ18のすべてと、8個の8入力1出力の光スイッチ21のすべてとを交差接続させた。
次に、8個の16入力1出力の光スイッチ36の各出力ポートを、16個の1入力8出力の光スイッチ11の何れかの入力ポートに接続した。
さらに、実施例1と同様に、8個の16入力1出力の光スイッチ14の各出力ポート15と、対応する8個の1入力8出力の波長選択スイッチ18の各入力ポート16とを接続した。
このようにして作製された波長選択切換装置30において、マトリクス光スイッチ32の有する16個の光スイッチ11のおのおのが1本ずつ備える16本の入力ポート8のうち、外部基本入力ポートに相当する8本の入力ポート8と、16入力8出力のマトリクス光スイッチ34の16本の入力ポート37とからなる合計24本の任意の入力ポートから入力された50GHz間隔の88チャネルの波長多重光のうち任意の1波長の光信号が、光スイッチ21からの8本の出力ポート22のうち任意の1本から出力されることが確認された。
逆に、8本の出力ポート22のうちの何れかから入力された50GHz間隔の88チャネルの波長多重光のうちの任意の1波長の光信号が、マトリクス光スイッチ34の16本の入力ポート37、およびマトリクス光スイッチ32のうち、外部基本入力ポートとして使用されている(光スイッチ36との接続に使用されていない)8本の入力ポート8からなる計24本の入力ポートのうちの任意の1本から出力されることが確認された。
図3の構成において、L=8、M=8、N=8とした波長選択切換装置40について説明する。
このような波長選択切換装置40を作製するために、平面光波回路を用いて、8個の1入力8出力の光スイッチ44のすべてと、8個の9入力1出力の光スイッチ46のすべてとを交差接続させた。さらに、各光スイッチ46の残りの1本の入力ポート48、すなわち計8本の入力ポート48は、光スイッチ44と接続されないスルーポートとした。そして、このスルーポートを、外部基本入力ポートとして利用することとした。なお、8本のスルーポート48と、8個の9入力1出力の光スイッチ46との間では、任意のパス接続が可能であり、パス非設定時は、j番目(jは1≦j≦8の整数)の入力ポート48に入力される光信号は、j番目のスルーポートに接続される。
また、各光スイッチ44の1本の入力ポート43、すなわち計8本の入力ポート43は、外部拡張入力ポートとして利用することとした。
このようにして、1個の16入力8出力のマトリクス光スイッチ42を作製した。
次に、実施例1と同様に、空間光学系と平面光波回路を用いて、8個の1入力8出力の波長選択スイッチ18のすべてと、8個の8×1光スイッチ21のすべてとを交差接続させた。
そして、各光スイッチ46の各出力ポート47を、対応する波長選択スイッチ18の各入力ポート16と1対1に接続した。
このようにして作製された波長選択切換装置40において、マトリクス光スイッチ42の16本の任意の入力ポート43,48から入力された50GHz間隔の88チャネルの波長多重光のうち任意の波長の光信号を、光スイッチ21からの8本の出力ポート22のうちの任意の1本から出力されることが確認された。
逆に、8本の出力ポート22のうちの何れかの出力ポート22から入力された50GHz間隔の88チャネルの波長多重光のうちの任意の1波長の光信号が、入力ポート43,48のうち任意の1本から出力されることが確認された。
図4の構成において、L=8、M=8、N=8とした波長選択切換装置50について説明する。
このような波長選択切換装置50を作製するために、平面光波回路を用いて、8個の1入力8出力の光スイッチ54のすべてと、8個の8入力1出力の光スイッチ56のすべてとを交差接続させることによって、1個の8入力8出力のマトリクス光スイッチ52を作製した。さらに、8個の8入力1出力の光スイッチ56の出力ポート55を、対応する8個の2入力1出力の光スイッチ58の各入力ポート57と、1対1に接続した。
次に、実施例1と同様に、空間光学系と平面光波回路を用いて、8個の1入力8出力の波長選択スイッチ18のすべてと、8個の8×1光スイッチ21のすべてとを交差接続させた。
さらに、8個の2入力1出力の光スイッチ58の各出力ポートを、対応する8個の1入力8出力の波長選択スイッチ18の各入力ポート16と、1対1に接続した。
図5は、このようにして作製された波長選択切換装置50を、平面光波回路1301と空間光学系1302とによって構成した一例を示す概念図である。
図5に示すような波長選択切換装置1300では、平面光波回路1301上に、8個の2入力1出力の光スイッチ1331〜1338、9個の空間ビーム変換器1340〜1348、8個の8入力1出力の光スイッチ1381〜1388が集積されている。
また、空間光学系1302は、回折格子1351、レンズ1361、光偏向スイッチアレイ1371から構成される。光スイッチ1331は、入力ポート1311および1321から入力された光信号のうちいずれか一方を選択する。
光スイッチ1332は、入力ポート1312および1322から入力された光信号のうちいずれか一方を選択する。
以下、同様に、他の光スイッチ1333,・・・・,1338も、対応する2つの入力ポートから入力された光信号のうちいずれか一方を選択する。
光スイッチ1331によって選択された光信号は、空間ビーム変換器1340から空間光学系1302へ出射され、回折格子1351によって紙面垂直方向へ各波長に分波された後、レンズ1361によって光偏向スイッチアレイ1371上に集光される。
光偏向スイッチアレイ1371で反射された光信号は再びレンズ1361を通り、回折格子1351で合波されて、平面光波回路1301へ戻るが、光偏向スイッチアレイ1371による反射角度を制御することによって、空間ビーム変換器1341〜1348のうち任意の1つが選択される。このとき、空間ビーム変換器1341〜1348への入射角度は、空間ビーム変換器1340から出射されたときと同じ角度となる。この構成によって、光スイッチ1331によって選択された光信号のうちの任意の波長の光信号を、空間ビーム変換器1341〜1348のうちの任意の1つへ接続することができる。
同様に、光スイッチ1332によって選択された光信号は、空間ビーム変換器1340から空間光学系1302へ出射されるが、このとき、光スイッチ1331によって選択された光信号とは異なる角度で空間ビーム変換器1340から出射される。その結果、回折格子1351によって紙面垂直方向へ各波長に分波された後、レンズ1361によって光偏向スイッチアレイ1371上に集光される際に、光スイッチ1331によって選択された光信号とは異なる位置に集光される。
光偏向スイッチアレイ1371で反射された光信号は、再びレンズ1361を通り、回折格子1351で合波されて、平面光波回路1301へ戻るが、光偏向スイッチアレイ1371による反射角度を制御することによって、空間ビーム変換器1341〜1348のうち任意の1つが選択される。このとき、空間ビーム変換器1341〜1348への入射角度は、空間ビーム変換器1340から出射されたときと同じ角度となるから、光スイッチ1331によって選択された光信号とは異なる角度で入射される。
この構成によって、光スイッチ1332によって選択された光信号のうちの任意の波長の光信号を、光スイッチ1331によって選択された光信号とは独立して、空間ビーム変換器1341〜1348のうちの任意の1つへ接続することができる。
以下、同様に、光スイッチ1333,・・・,1338によって選択された光信号のうちの任意の波長の光信号を、それぞれ、他の光スイッチによって選択された光信号とは独立して、空間ビーム変換器1341〜1348のうちの任意の1つへ接続することができる。
このようにして、空間ビーム変換器1341からは、光スイッチ1331〜1338によって選択された光信号のうちの任意の波長の光信号が、それぞれ異なる光導波路から出力されるが、8入力1出力の光スイッチ1381によって、それらのうちの任意の1つを選択して出力ポート1391から出力することができる。
同様に、他の空間ビーム変換器1342,・・・・,1348からも、光スイッチ1331〜1338によって選択された光信号のうちの任意の波長の光信号が、それぞれ異なる光導波路から出力されるが、対応する8入力1出力の光スイッチ1382,・・・,1388によって、それらのうちの任意の1つを選択して出力ポート1392,・・・,1398から出力することができる。
この波長選択切換装置1300において、各光スイッチ1331〜1338の2心側のポートの一方に8入力8出力のマトリクス光スイッチ(図示せず)を接続する。
このようにして構成された16入力8出力の波長選択切換装置1300において、光スイッチ1331〜1338の(2心側のポートのうち8入力8出力のマトリクス光スイッチに接続していない方の)計8本と、図示しない8入力8出力のマトリクス光スイッチからの8本とからなる計16本の任意のポートから入力した50GHz間隔の88チャネルの波長多重光のうち任意の波長の光信号を、8入力1出力の光スイッチ側の8本のポートのうち任意の1本から出力できることを確認した。
逆に、8入力1出力の光スイッチ側の8本の任意のポートから入力した50GHz間隔の88チャネルのうちの任意の1波長の光信号を、前述した計16本のポートのうちの任意の1本から出力されることを確認した。
このように、第1乃至4の実施形態の具体的な構成例である実施例1乃至4に係る波長選択切換装置は、ドロップポート側あるいはアドポート側に配置された場合であっても、正しく機能する。
前述したような本発明に係る波長選択切換装置は、限定されるものではないが、空間光学系と平面光波回路を用いて、多連の波長選択切換装置を小型に集積化する技術を用いることが望ましい。
また、増設ユニットを構成する波長選択性のない光スイッチとしては、光ファイバとの整合性が良く、挿入損失が低いことに加えて、原理的な偏波依存性が小さく、構成材料が物理的、化学的に安定で信頼性に優れている、石英系光導波路をベースとする熱光学スイッチが、実用性が最も高く、本発明の実施に適している。
もちろん、これらに限らず、この発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、適宜種々変形することによっても、本発明を実施することが可能である。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。