JP6387124B2 - 電気防食用電極の設置方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋コンクリート構造物に、鉄筋の腐食を防止するための電気防食用電極を設置するための設置方法に関する。
鉄筋コンクリート構造物は、設置場所によっては、塩害等により埋設されている鉄筋とともに表面側のコンクリートも劣化する。そうなると、鉄筋コンクリート構造物の表面側の修復(以下、「断面修復」と称する)が必要になる。断面修復の際には、鉄筋の腐食を防止するための電気防食用電極(電気防食用帯状陽極)を、修復用のモルタルに埋設することがある。
電気防食用電極の設置は、次のようにして行われる。すなわち、鉄筋コンクリート構造物の表面のコンクリートを必要な面積だけはつり取って鉄筋を露出させ、露出させた鉄筋の錆取り作業(ケレン)を行い、錆取りされた鉄筋を覆うように、モルタルを設定厚みとなるよう打設する。そしてモルタル硬化後に、電気防食用電極の設置予定部位を切削して設置溝を形成し、設置溝の底面に沿って電気防食用電極を倣わせた状態で、設置溝にモルタルで埋める。
また、既設の鉄筋コンクリート構造物の表面側に電気防食用電極を設置する方法として、下記特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1の技術は、鉄筋コンクリート構造物において、電気防食用電極の設置予定部位を切削して設置溝を形成し、設置溝の底面に沿って電気防食用電極を倣わせた状態で設置溝をモルタルで埋めるというものである。
特開2012−214824号公報
上記従来の技術において、断面修復に伴って電気防食用電極を設置する場合でも、断面修復を伴わずに電気防食用電極を設置する場合でも、電気防食用電極が設置される設置溝を切削して加工するという作業が伴う。そして切削は、モルタル(コンクリート)に対して行うので粉塵が発生してしまい、作業環境の悪化が指摘される。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、作業環境の悪化を抑制しつつ電気防食用電極の設置ができる電気防食用電極の設置方法の提供を目的とする。
本発明の電気防食用電極の設置方法は、鉄筋コンクリート構造物の表面側の鉄筋を露出させるようコンクリートをはつるはつり工程と、前記コンクリートのはつり面に対し、露出させた鉄筋を覆うよう吹付けによって第一モルタルを打設する第一打設工程と、該第一打設工程により打設された第一モルタルに対して第二モルタルを吹付けによって打設する第二打設工程と、前記第一打設工程と第二打設工程の間の工程であって、前記第二モルタルの天端面に電気防食用電極の設置のための凹部が形成されるように、該凹部の型となる型部材を設置する型部材設置工程と、該型部材設置工程で形成された前記凹部に電気防食用電極を設置する設置工程、とを備えたことを特徴としている。
本発明の電気防食用電極の設置方法によれば、作業環境の悪化を抑制しつつ電気防食用電極の設置ができる。
図1(a)は、本発明の一実施形態を表す電気防食用電極の設置方法のはつり工程の説明図、(b)は同じく設計厚み表示工程の説明図、(c)は同じく第一打設工程の説明図、(d)は同じく墨打工程の説明図である。 同じく糸張工程の説明図である。 同じく挿入部材の全体構成を表した説明図である。 図4(a)は、同じく型部材設置工程の説明図(断面図)、(b)は説明図(正面図)である。 図5(a)は、同じく図4(b)におけるX−X線断面矢視図、図5(b)は、同じく図4(b)におけるY−Y線断面矢視図である。 図6(a)(b)(c)は、同じく順に第二打設工程の説明図である。 図7(a)(b)は、同じく順に型部材取外工程の説明図である。 図8(a)(b)(c)は、同じく順に電極設置工程の説明図である。
以下、本発明の一実施形態に係る電気防食用電極の設置方法(以下、単に「電極設置方法」と称する)を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電極設置方法では、既設の鉄筋コンクリート構造物(以下、単に「構造物」と称する)Aにおいて、塩害等により腐食した構造物Aの鉄筋R、およびその外側の表面コンクリート部Cを断面修復する際に、併せて電気防食用電極(以下「電極」と称する)Eを設置するようにしている。
本実施形態に係る電極設置方法は、次の(1)〜(9)の工程を備える。すなわち、
(1).はつり工程…N1
(2).設計厚み表示工程…N2
(3).第一打設工程…N3
(4).墨打工程…N4
(5).糸張工程…N5
(6).型部材設置工程…N6
(7).第二打設工程…N7
(8).型部材取外工程…N8
(9).電極設置工程…N9
を備える電極設置方法である。
電極設置方法は、(1).はつり工程N1から(9).電極設置工程N9へ順次行われる工程であり、以下、各工程を具体的に説明する。なお、上記各工程は、作業者が必要に応じた工具等を用いて行うものである。
(1).〔はつり工程〕
〔はつり工程N1〕は、塩害等により腐食した表面コンクリート部Cをはつることで、構造物Aの表面側の腐食した鉄筋Rを露出させる工程である。図1(a)では、便宜上、構造物Aの一部の表面コンクリート部Cをはつる場合を示している。しかしながら、同図に破線で示すように、現場に応じて構造物Aの一面全部の表面コンクリート部Cをはつる場合もある。
〔はつり工程N1〕では、表面側の鉄筋Rが露出するまで表面コンクリート部Cをはつることで、はつり面C1を形成する。〔はつり工程N1〕は、露出させた鉄筋Rの錆を除去する(ケレンする)、錆除去作業を含むものとする。錆の除去は、ワイヤーブラシやサンダー等を用いて行われる。
(2).〔設計厚み表示工程〕
〔設計厚み表示工程N2〕は、設定された基準面を設定する工程である。この基準面は、後述する第二モルタルm2(図6、7参照)によって最終的に形成される第二モルタルm2の天端面m2aに面一の面でもあり、構造物Aの本来の表面位置A1に相当する。図1(b)に示すように、基準面は、杆状部材1を用いてその天端面1aとして設定する。杆状部材1としては特に限定されるものではないが、本実施形態では、発泡スチロール製の杆状部材1を用いており、角柱状で所定長さに形成されている。そして、杆状部材1を、〔はつり工程N1〕で得られたはつり面C1に対し、垂直方向に沿うよう立設する。
杆状部材1の天端面1aから所定距離(例えば、35mm)だけはつり面C1側に移動した位置には、設定位置用目印2が施されている。設定位置用目印2は、後に詳述する挿入部材3の底面の位置に相当する位置に施されている。杆状部材1は、表面コンクリート部Cをはつった面積や距離に応じて必要本数用いられ、互いに等間隔だけ置いて配置されることが好ましい。なお、杆状部材1をはつり面C1に対して垂直方向に沿うよう立設するためには、接着剤等を用いて、はつり面C1や鉄筋Rに固定することが考えられる。
(3).〔第一打設工程〕
〔第一打設工程N3〕は、図1(c)に示すように、はつり面C1に対し、第一モルタルm1を打設する工程である。第一モルタルm1の打設は、吹付ノズルからの吹付けによって行われる。吹付けるモルタルは、乾式モルタル、湿式モルタルの何れでもよいが、本実施形態では乾式モルタルが用いられる。乾式モルタルは吹付けにより、設定位置用目印2の高さ位置まで打設される。設定位置用目印2の高さ位置まで打設された第一モルタルm1の天端面m1aは、後に詳述するように、陽極である帯状の電極Eの設置位置(設置高さ)の目処として用いられる。なお、電極Eとして、チタン製のリボンメッシュが用いられる。吹付けられた第一モルタルm1の天端面m1aは、定規ずりされ、鏝等を用いて均される。
(4).〔墨打ち工程〕
〔墨打工程N4〕は、〔第一打設工程N3〕で得られた第一モルタルm1が硬化した後、その天端面m1aに、図1(d)に示すように墨m1bを打つ工程である。墨m1bを打つ位置および長手方向距離は、帯状の電極Eを伸ばして付設する位置に相当する。このため墨m1bは、はつり面C1の面方向に沿って施される。墨m1bは、断面修復の面積に応じて、すなわち設置する電極Eの枚数に応じて、複数条打たれる。
(5).〔糸張り工程〕
〔糸張工程N5〕は、図2に示すように、〔墨打工程N4〕によって施された墨m1bに倣って、且つ墨m1bから離れた(浮いた)位置に糸4を張る工程である。〔糸張工程N5〕では、墨m1bの位置に一致するよう、且つ所定間隔置き(例えば10m間隔置き)に糸張用コンクリートビス5がねじ込まれ、これら糸張用コンクリートビス5に、糸4が掛けられる。
糸4は、糸張用コンクリートビス5上にあって、第一モルタルm1の天端面m1aから、前記所定距離(例えば、35mm)だけ離間した位置に配置される。この糸4の高さ位置が、後述する型部材6の天端面である広幅面6aの設定位置であり、第一モルタルm1の天端面m1aに対する広幅面6aの高さ位置である。
(6).〔型部材設置工程〕
〔型部材設置工程N6〕は、〔糸張工程N5〕で張られた糸4と、〔墨打工程N4〕で施した墨m1bとの間に、図3に示すような型部材(「面木」とも称される)6を設置する工程である。
前記挿入部材3は、型部材6と伸縮材7とから構成されている。型部材6は硬質材から形成され、弾性的に伸縮可能な伸縮材7と一体的に構成されている。この場合、型部材6は、長手方向断面が台形状で長尺(例えば、糸張用コンクリートビス5の間の長さ)に形成されている。型部材6には、木材や発泡樹脂等が用いられる。型部材6の狭幅面6bが伸縮材7に貼着されることで、型部材6と伸縮材7とが一体的に構成されている。伸縮材7は、長手方向断面が正方形状に形成されている。伸縮材7は、アスファルト系材料であるエラスタイト(登録商標)により形成されている。
図4(b)に示すように、伸縮材7は、型部材6に対し所定間隔置きに配置されている。この所定間隔は、後述する固定用コンクリートビス8(図4、5参照)が配置される間隔である。型部材6と伸縮材7を合わせた挿入部材3全体の高さは、第一モルタルm1の天端面m1aから糸4までの距離よりもわずかに高く設定しておくことが好ましい。すなわち、墨m1bを打った天端面m1aと糸4との間に、伸縮材7を天端面m1a側にして挿入部材3を設置すると、図4(a)に示すように、直線状に張られた糸4が、挿入部材3の型部材6によって、第一モルタルm1の天端面m1aに対してわずかに持ち上げられる。
〔型部材設置工程N6〕は、保持工程をさらに含んでいる。該保持工程は、図4(b)に示すように、前記固定用コンクリートビス8を、伸縮材7に対応する位置において挿入部材3に螺入することで、挿入部材3を第一モルタルm1の天端面m1aに保持固定する工程である。固定用コンクリートビス8は、糸張用コンクリートビス5とは別であり、糸張用コンクリートビス5の間に配置されるものである。
〔型部材設置工程N6〕は、締付工程をさらに含んでいる。締付工程は、図5(a)(b)に示すように、挿入部材3によって持ち上げられた糸4が直線状になるまで、すなわち直線状に復元するまで、固定用コンクリートビス8を第一モルタルm1に螺入して型部材6を設置する工程である。固定用コンクリートビス8が第一モルタルm1に螺入されるのに伴い、伸縮材7が型部材6によって押圧されて、伸縮材7の高さが減少するから、型部材6の天端面である広幅面6aの位置を、第一モルタルm1の天端面m1aから直線状に張られた糸4の高さとすることができる。
型部材6の広幅面6aから伸縮材7の底面7aまでの距離、すなわち、挿入部材3全体の高さは、例えば、40mmに設定しておく。具体的には、型部材6の高さを20mm、伸縮材7の高さを20mmに設定しておく。そして、固定用コンクリートビス8の螺入によって伸縮材7の高さが15mm程度まで潰される場合を例示できる。このように、容易に変形しない型部材6とともに容易に弾性変形可能な伸縮材7を用い、伸縮材7の高さを減少させるようにすることで、第一モルタルm1の天端面m1aから型部材6の広幅面6aまでの距離を変更でき、したがって、例えば天端面m1aの位置の精度が正確でなくても、その天端面m1の位置に応じて、広幅面6aを正確な位置に調節することができる。なお、型部材6の広幅面6aの位置を、第一モルタルm1の天端面m1aから直線状に張られた糸4の高さ位置にした後は、糸張用コンクリートビス5および糸4は取外す。
(7).〔第二打設工程〕
〔第二打設工程N7〕は、図6(a)(b)に示すように、前記保持工程で保持された型部材6が没するよう、〔第一打設工程N3〕で打設された第一モルタルm1に重ねて第二モルタルm2を打設する工程である。
第二モルタルm2の打設は、第一モルタルm1の打設と同様、吹付ノズルからの吹付けによって行われる。吹付けるモルタルは、乾式モルタル、湿式モルタルの何れでもよいが、本実施形態では乾式モルタルが用いられる。ここで、型部材6が没するとは、型部材6の広幅面6a以外の面である狭幅面6b、側面6c,6cが埋められる状態である。
伸縮材7は型部材6に対して第一モルタルm1側にあるから、第一モルタルm1に重ねて第二モルタルm2を打設すると、伸縮材7の全体が第二モルタルm2に埋められる。また、伸縮材7は、型部材6に対し所定間隔置きに配置されていて、その間は空間であるから、該空間にも第二モルタルm2が充填される。この場合、吹付ノズルを必要方向に移動させて吹付けるようにすれば、前記空間が第二モルタルm2により容易に充填される。
〔第二打設工程N7〕は、第二モルタルm2の天端面m2aを均す均し工程を含んでいる。上記したように吹付けて打設された第二モルタルm2は、図6(b)(c)に示すように、定規9による定規ずりで余分な第二モルタルm2が除去され、鏝10を用いて均される。
(8).〔型部材取外し工程〕
〔型部材取外工程N8〕は、図7に示すように、挿入部材3を第二モルタルm2から取外す工程である。第二モルタルm2の硬化後に、固定用コンクリートビス8を取外し、挿入部材3を第二モルタルm2から引き剥がすようにして取外す。挿入部材3を第二モルタルm2から取外すには、例えばバール、ドライバー、カワスキ等が用いられる。このようにすることで、第二モルタルm2の天端面m2aに挿入部材3の外形形状に応じた凹部11が形成される。
詳述すれば、図7(b)に示すように、凹部11は、奥側(第一モルタルm1側)にあって、伸縮材7の外形に応じた奥側凹部11aと、第二モルタルm2の天端面m2a側の天端側凹部11bとを備えている。伸縮材7は間欠的に配置されていることから、奥側凹部11aもまた、間欠的に形成されている。型部材6は長尺に形成されているから、天端側凹部11bもまた、長尺に形成されている。なお、奥側凹部11aおよび天端側凹部11bは、連設されている。
(9).〔電極設置工程〕
〔電極設置工程N9〕は、凹部11に電極Eを設置する工程である。はじめに、図8(a)に示すように、凹部11の底に、第三モルタルm3を敷く。この場合の第三モルタルm3は、接着性の高いものが好ましい。一例として、商品名:エルガードモルタルRMが用いられる。
なお、第三モルタルm3は、奥側凹部11aにも充填されたうえで、凹部11の底に塗布される。第三モルタルm3の塗布が終了すれば、図8(b)に示すように、電極Eを直ちに凹部11の長手方向に倣うように、第三モルタルm3に取付ける。すなわち、第一モルタルm1の天端面m1aを電極Eの設置位置(設置高さ)の目処として用いる。そして、第三モルタルm3が硬化したら、図8(c)に示すように、第四モルタルm4を凹部11に充填し、第四モルタルm4の表面仕上げをする。第四モルタルm4の一例として、商品名:エルガードモルタルSPが用いられる。
以上のようにして電極Eを構造物Aに設置するようにすれば、凹部11を形成するためにモルタルを切削する必要がないことから、切削に伴う粉塵の発生がなく、作業者は良好な環境のなかで、電極Eを構造物Aに設置することができる。また、第一モルタルm1、第二モルタルm2を吹付けにより打設するようにしたことにより、従来のように、塩害等により腐食した表面コンクリート部Cをはつった後にモルタルで修復し、モルタルの硬化後に凹部を切削により形成する場合に比べて、断面修復のための作業や、電極Eの設置作業が楽になるとともに、施工時間の短縮化を図ることができる。
本発明の電気防食用電極の設置方法は、コンクリートをはつるはつり工程と、電気防食用電極の設置のための凹部の型となる型部材をコンクリートのはつり面から所定の距離だけ離間する位置に保持させる保持工程と、型部材が没するようコンクリートのはつり面に対しモルタルを打設する打設工程と、硬化後のモルタルから型部材を取外すことでモルタルに形成される凹部に電気防食用電極を設置する設置工程とを備えたことを特徴としている。
上記電気防食用電極の設置方法では、コンクリートをはつり、電気防食用電極の設置のための凹部の型となる型部材をコンクリートのはつり面から所定の距離だけ離間する位置に保持させた状態で、コンクリートのはつり面に対し型部材が没する厚みにモルタルを打設し、硬化後のモルタルから型部材を取外してモルタルに残留する凹部に電気防食用電極を設置することにより、電気防食用電極を設置するための凹部を、コンクリートを切削して形成するといった作業がないことから粉塵の発生がなく、したがって作業環境の悪化を抑制しつつ電気防食用電極の設置ができる。
本発明の電気防食用電極の設置方法では、前記はつり工程は、既設の鉄筋コンクリート構造物において、その表面側に配置された鉄筋を露出させ、露出させた鉄筋の錆を除去する作業を含む工程を採用できる。
上記電気防食用電極の設置方法では、コンクリートをはつった後に、露出させた鉄筋の錆を除去することで、鉄筋を確実に、電気防食用電極の対極の電極として用いることができる。
本発明の電気防食用電極の設置方法では、前記打設工程は、第一打設工程と第二打設工程とを備え、前記保持工程は第一打設工程によって打設されたモルタルを基準として用いて第一打設工程に続いて行われる工程であり、前記第二打設工程は、保持工程で保持された型部材が没するよう、第一打設工程で打設されたモルタルに重ねてモルタルを打設する工程として採用できる。
上記電気防食用電極の設置方法では、第一打設工程でコンクリートのはつり面に対して打設されたモルタルを基準に型部材を保持するので型部材を設定位置に近い位置で位置決めできるため、型部材を正確に位置決めし易く、モルタルは第一打設工程と第二打設工程とに分けて打設するので、一度で全てのモルタルを打設する場合に比べて、打設するモルタルの厚みが調整し易い。
本発明の電気防食用電極の設置方法では、前記打設工程は、吹付けによってモルタルを打設する工程として採用できる。
上記電気防食用電極の設置方法では、グラウトによるモルタルの打設に比べて容易な作業となり、しかもモルタルの厚みを調整し易い。
本発明は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、断面修復のために、第一モルタルm1、第二モルタルm2の吹付けを分けるように、経時的に用いた。これは、モルタルを〔第一打設工程〕と〔第二打設工程〕とを経時的に分けて打設することで、作業のし易さを図る方法である。しかしながら、場合によっては、はつり面C1に対し、モルタルを分けずに一度の打設工程で吹付けて、断面修復をすることも可能である。この場合では、型部材は、はつり面C1や露出させた鉄筋Rに、図示しない保持部材を介して保持させるようにする。そして、モルタルの硬化後に、型部材をモルタルから取外し、型部材を取外すことによって形成される凹部に、電極を設置することができる。
なお、上記実施形態では、断面台形状の型部材を用いたがこれに限定されるものではなく、硬化したモルタルから容易に取外すことができ、電極を設置できる断面形状であれば、例えば断面正方形、あるいは半円形状や半楕円形状であってもよい。
1…杆状部材、1a…天端面、2…設定位置用目印、3…挿入部材、4…糸、5…糸張用コンクリートビス、6…型部材、7…伸縮材、8…固定用コンクリートビス、11…凹部、11a…奥側凹部、11b…天端側凹部、A…構造物、A1…表面位置、C1…はつり面、E…電極、m1…第一モルタル、m1a…天端面、m1b…墨、m2…第二モルタル、m2a…天端面、N1…はつり工程、N2…設計厚み表示工程、N3…第一打設工程、N4…墨打工程、N5…糸張工程、N6…型部材設置工程、N7…第二打設工程、N8…型部材取外工程、N9…電極設置工程、R…鉄筋

Claims (1)

  1. 鉄筋コンクリート構造物の表面側の鉄筋を露出させるようコンクリートをはつるはつり工程と、
    前記コンクリートのはつり面に対し、露出させた鉄筋を覆うよう吹付けによって第一モルタルを打設する第一打設工程と、
    該第一打設工程により打設された第一モルタルに対して第二モルタルを吹付けによって打設する第二打設工程と、
    前記第一打設工程と第二打設工程の間の工程であって、前記第二モルタルの天端面に電気防食用電極の設置のための凹部が形成されるように、該凹部の型となる型部材を設置する型部材設置工程と、該型部材設置工程で形成された前記凹部に電気防食用電極を設置する設置工程、とを備えたことを特徴とする電気防食用電極の設置方法。
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