最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る1次放射器は、曲面形状の反射面を有する反射部と、第1の導波管とを備えるアンテナにおいて用いられる1次放射器であって、放射部と、上記放射部と上記第1の導波管との間に接続される第2の導波管とを備え、上記第1の導波管および上記第2の導波管の接続部分が、上記反射部に対して上記反射面側に位置し、上記第1の導波管が上記反射部を貫通する。
このような構成により、たとえば、第1の導波管の軸方向から見て外周面から突出する部品が第1の導波管の一方の端部側に設けられている場合においても、より大きい径の穴を反射部に設けることなく他方の端部側から第1の導波管を反射部に貫通させ、第1の導波管および第2の導波管を接続してアンテナの導波管を作成することができる。これにより、アンテナにおいて大きい径の穴が設けられることによる特性の劣化を補うための新たな部品を用いることなく特性を維持することができるので、電波の伝送特性を維持しながらアンテナの製造コストの上昇を抑制することができる。
(2)好ましくは、上記1次放射器は、さらに、上記第1の導波管および上記第2の導波管を接続する袋ナットを備える。
このように、第1の導波管および第2の導波管の軸方向から見て外周面からはみ出る面積が小さい袋ナットを用いて第1の導波管および第2の導波管を接続する構成により、外周面からはみ出る面積がより大きいフランジ等を用いる場合と比べて、第1の導波管を挿通するための穴の径をより小さくすることができる。また、放射部と反射面との間の空間における電波の伝送の障害物をより小さくすることができるので、アンテナの特性の劣化を抑制することができる。
(3)好ましくは、上記接続部分における上記第1の導波管および上記第2の導波管は円筒形状を有しており、上記1次放射器は、さらに、上記第1の導波管および上記第2の導波管の各々の周方向の位置関係を規定する位置決め部を備える。
このような構成により、1次放射器と第1の導波管とを周方向の正しい位置関係で接続することができるので、アンテナの特性の劣化を抑制することができる。
(4)より好ましくは、上記1次放射器は、さらに、上記第1の導波管および上記第2の導波管を接続する袋ナットを備え、上記位置決め部は、上記第1の導波管または上記第2の導波管に設けられた凸部と、上記第1の導波管および上記第2の導波管のうち上記凸部が設けられていない導波管に設けられ、上記第1の導波管および上記第2の導波管が接続された状態において上記凸部と嵌合する凹部とを含み、上記第1の導波管および上記第2の導波管のいずれか一方の導波管は、外周面において雄ねじを有し、上記袋ナットには、上記第1の導波管および上記第2の導波管のうち上記雄ねじを有しない導波管であるねじ無し導波管の上記接続部分における外径より大きい径の穴が形成されており、上記袋ナットは、上記雄ねじと螺合する雌ねじと、円筒形状の支持部とを有し、かつ上記穴を規定する内壁部を含み、上記袋ナットは、上記ねじ無し導波管から離間する方向への移動が制限され、上記凸部および上記凹部が一部嵌合した状態において上記雄ねじおよび上記雌ねじが接触を開始する。
このような構成により、第1の導波管と第2の導波管とが周方向の正しい位置関係を保ったまま袋ナットを操作して第1の導波管と第2の導波管とを接続することができるので、第1の導波管と第2の導波管とが周方向の誤った位置関係で接続されたり、接続部分が破損してしまったりすることを回避することができる。
また、雄ねじおよび雌ねじが接触を開始する前に、凸部および凹部を一部嵌合させることができるので、第1の導波管および第2の導波管の周方向の正しい位置合わせを容易に行うことができる。
(5)好ましくは、上記1次放射器は、さらに、上記接続部分において、上記第1の導波管および上記第2の導波管との間をシールするシール部材を備える。
このような構成により、たとえば中継車の屋上またはビルの屋上等の屋外においてアンテナを使用する場合において、接続部分から導波管の内部空間へのゴミまたは水等の侵入を防止することができるので、導波管の内部空間において良好な気密性を保つことができる。したがって、FPUに適したアンテナを提供することができる。
(6)好ましくは、上記アンテナは、さらに、上記反射部に対して上記反射面の反対側に設けられ、かつ上記反射部を通信装置に脱着可能に接続する第1の固定部を備え、上記通信装置は、上記第1の固定部と脱着可能に接続される第2の固定部を備え、上記第1の固定部および上記第2の固定部はバイヨネット構造を有し、上記第1の固定部および上記第2の固定部には、上記第1の固定部および上記第2の固定部を貫通する穴がそれぞれ形成されており、上記第1の導波管は、上記第1の固定部における上記穴および上記第2の固定部における上記穴に挿通されており、上記第1の導波管は、上記通信装置に接続される第1端、および上記第2の導波管に接続される第2端を有する。
このような構成により、通信装置、反射部および1次放射器を別個に分けることができるので、運搬を容易に行うことができる。また、たとえば、第1の導波管に設けられている端子等の部品を通信装置の筐体内に収めることができるので、屋外での使用における耐候性を高めることができる。したがって、中継車の屋上またはビルの屋上等にアンテナを容易に設置できるので、FPUに適したアンテナを提供することができる。
(7)好ましくは、上記1次放射器は、さらに、上記第1の導波管および上記第2の導波管を接続する袋ナットを備え、上記袋ナットと上記第1の導波管および上記第2の導波管とが接触する部分において、上記袋ナットと上記第1の導波管および上記第2の導波管とが異なる種類の金属で形成されている。
このような構成により、袋ナットと第1の導波管および第2の導波管とが接触する部分における焼き付きを防止することができる。
(8)好ましくは、上記1次放射器は、複偏波の電波を伝送可能である。
このような構成により、複偏波の電波の伝送に導波管を用いるアンテナにおいて、特性の劣化を補うための新たな部品を用いることなく特性を維持し、複偏波の電波の伝送特性を維持しながらアンテナの製造コストの上昇を抑制することができる。
(9)本発明の実施の形態に係るアンテナは、曲面形状の反射面を有する反射部と、上記反射部に対して上記反射面の反対側に設けられ、かつ上記反射部を他の部品に脱着可能に接続する固定部と、導波管と、上記導波管に接続され、上記反射部に対して上記反射面側に設けられた放射部とを備え、上記固定部はバイヨネット構造を有し、上記固定部には、径が規定値であり、かつ上記固定部を貫通する穴が形成されており、上記導波管は、上記反射部を貫通し、かつ上記固定部における上記穴に挿通されている。
このような構成により、たとえば、導波管の軸方向から見て外周面から突出する部品が導波管の一方の端部側に設けられている場合においても、より大きい径の穴が形成されている特注のバイヨネット構造を有する固定部を用いることなく、他方の端部側から導波管を反射部に貫通させることができる。これにより、アンテナにより大きい径の穴が設けられることによる特性の劣化を補うための新たな部品、および特注のバイヨネット構造を有する固定部を用いることなく特性を維持することができるので、電波の伝送特性を維持しながらアンテナの製造コストの上昇を抑制することができる。また、標準品のバイヨネット構造を有する固定部を用いることができるので、反射部および他の部品の互換性を保つことができる。
(10)本発明の実施の形態に係るアンテナは、曲面形状の反射面を有する反射部と、導波管と、上記導波管に接続され、上記反射部に対して上記反射面側に設けられた放射部とを備え、上記導波管には、上記導波管の軸方向から見て上記導波管の外周面から突出し、電波を伝送するための伝送部材と上記導波管とを接続するための突出部が形成されており、上記導波管が上記反射部を貫通しており、上記反射部における上記導波管の貫通穴の径は、上記突出部を含めた上記導波管の幅より小さく、上記突出部は、上記反射部に対して上記反射面の反対側に位置している。
このような構成により、より大きい径の穴を反射部に設けることなく、突出部が設けられていない端部側から導波管を反射部に貫通させることができる。これにより、アンテナにより大きい径の穴が設けられることによる特性の劣化を補うための新たな部品を用いることなく特性を維持することができるので、電波の伝送特性を維持しながらアンテナの製造コストの上昇を抑制することができる。
(11)本発明の実施の形態に係るアンテナは、曲面形状の反射面を有する反射部と、第1の導波管と、放射部と、上記放射部と上記第1の導波管との間に接続される第2の導波管とを備え、上記第1の導波管および上記第2の導波管の接続部分が、上記反射部に対して上記反射面側に位置し、上記第1の導波管が上記反射部を貫通する。
このような構成により、たとえば、第1の導波管の軸方向から見て外周面から突出する部品が第1の導波管の一方の端部側に設けられている場合においても、より大きい径の穴を反射部に設けることなく他方の端部側から第1の導波管を反射部に貫通させ、第1の導波管および第2の導波管を接続してアンテナの導波管を作成することができる。これにより、アンテナにおいて大きい径の穴が設けられることによる特性の劣化を補うための新たな部品を用いることなく特性を維持することができるので、電波の伝送特性を維持しながらアンテナの製造コストの上昇を抑制することができる。
(12)本発明の実施の形態に係るアンテナの製造方法は、曲面形状の反射面を有する反射部と、第1の導波管と、第2の導波管を含む1次放射器とを備えるアンテナの製造方法であって、上記反射部に上記第1の導波管を貫通させるステップと、上記第1の導波管および上記第2の導波管を上記反射部に対して上記反射面側において接続するステップとを含む。
このような構成により、たとえば、第1の導波管の軸方向から見て外周面から突出する部品が第1の導波管の一方の端部側に設けられている場合においても、より大きい径の穴を反射部に設けることなく他方の端部側から第1の導波管を反射部に貫通させ、第1の導波管および第2の導波管を接続してアンテナの導波管を作成することができる。これにより、アンテナにおいて大きい径の穴が設けられることによる特性の劣化を補うための新たな部品を用いることなく特性を維持することができるので、電波の伝送特性を維持しながらアンテナの製造コストの上昇を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、通信システム201は、アンテナ151と、通信装置131とを備える。アンテナ151は、反射部1と、第1の導波管11と、1次放射器101とを備える。以下、第1の導波管を単に導波管11とも称する。
アンテナ151は、たとえば、第1の偏波を有する電波および第2の偏波を有する電波すなわち複偏波の送信または受信の少なくともいずれか一方を行うことが可能である。1次放射器101は、複偏波の電波を伝送可能である。
通信装置131は、たとえば、電波を伝送する伝送部材である同軸ケーブルCBLh,CBLvを介してアンテナ151へCDバンドの電波を出力する。また、通信装置131は、たとえば、同軸ケーブルCBLh,CBLvを介してアンテナ151からCDバンドの電波を受ける。なお、同軸ケーブルCBLh,CBLvの代わりに、電波を伝送する伝送部材として導波管を用いてもよい。
同軸ケーブルCBLhは、たとえば、通信装置131における対応の端子に接続される第1端と、N型コネクタ用のプラグNphが取り付けられた第2端とを有する。同軸ケーブルCBLvは、たとえば、通信装置131における対応の端子に接続される第1端と、N型コネクタ用のプラグNpvが取り付けられた第2端とを有する。以下、プラグNph,Npvの各々をプラグNpとも称する。同軸ケーブルCBLh,CBLvの各々を同軸ケーブルCBLとも称する。
[導波管11の概要]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る第1の導波管の側面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る第1の導波管の図2におけるIII−III線に沿う断面を示す断面図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係る第1の導波管を開口部側から見た図である。
図2〜図4を参照して、導波管11は、端子台(突出部)12v,12hと、フランジ部13と、スペーサ14a,14bと、減衰棒15と、キャップ16と、凸部(位置決め部)21と、雄ねじ22と、レセプタクル(突出部)Nrv,Nrhとを含む。以下、端子台12v,12hの各々を端子台12とも称する。また、スペーサ14a,14bの各々をスペーサ14とも称する。レセプタクルNrh,Nrvの各々をレセプタクルNrとも称する。レセプタクルNrは、放射電極Nrrを含む。
導波管11は、たとえば、断面が円形である円形導波管であり、アルミニウムにより形成されている。これにより、導波管11の重量を軽くすることができる。
導波管11は、たとえば、アルミニウム等の金属により形成されたキャップ16により閉じられた第1端11aと、開口した第2端11bとを有する。キャップ16は、たとえば、溶接により導波管11に固定されている。以下、導波管11の第2端11bの開口面における端面23をシール接触面23とも称する。
フランジ部13は、たとえば、導波管11の外径より若干大きい径を有する円筒形の穴13chが中心部に形成された円筒形状の部材であり、穴13chに挿通される導波管11の外面に溶接、ろう付け、またはバンドおよびねじ等を用いて固定されている。
フランジ部13には、穴13chと同じ中心を有しかつ穴13chの径より大きい径の円周上において、45度間隔で8つの穴13shが形成されている。また、フランジ部13には、穴13chと同じ中心を有しかつ穴13shが形成されている円周の径と略同じ径の円周上において、180度間隔で2つのねじ穴13thが形成されている。
スペーサ14a,14bは、たとえば、反射部1に対する導波管11の位置を調整するために用いられ、導波管11の外径より大きい径を有する円筒形の穴が中心部に形成され、かつフランジ部13の外径と略同じ外径を有する円筒形状の部材である。
スペーサ14bは、たとえば外周面が揃うようにフランジ部13と接続されている。スペーサ14aは、たとえば互いの外周面が揃うようにスペーサ14bと接続されている。なお、スペーサ14bを用いずに、スペーサ14aがフランジ部13と接続されてもよい。また、スペーサ14a,14bがフランジ部13と接続されなくてもよい。
スペーサ14a,14bには、フランジ部13における穴13shおよびねじ穴13thに対応する位置に穴14shおよび穴14fhがそれぞれ形成されている。スペーサ14aにおける穴14fhには、ねじの頭部を埋め込むための座グリ処理が施されている。
スペーサ14a,14bは、たとえばスペーサ14a,14bにおける穴14fhを通したねじをフランジ部13におけるねじ穴13thと螺合させることによりフランジ部13に固定される。
[端子台12の方向および位置]
導波管11は、第1の偏波を有する電波の入出力部として、たとえば、端子台12vと、レセプタクルNrvとを備える。また、導波管11は、第2の偏波を有する電波の入出力部として、たとえば、端子台12hと、レセプタクルNrhとを備える。
より詳細には、端子台12v,12hは、導波管11の軸方向から見て導波管11の外周面から突出するように設けられている。より詳細には、端子台12v,12hは、導波管11の軸方向から見て、突出する方向のなす角が略直角になるように設けられている。具体的には、端子台12vが突出する方向は、たとえば、図4に示すように第2端11b側から導波管11の軸方向に沿って見た場合において、端子台12hが突出する方向に対して時計回りに略90度ずれている。なお、端子台12vが突出する方向は、たとえば、第2端11b側から導波管11の軸方向に沿って見た場合において、端子台12hが突出する方向に対して反時計回りに略90度ずれていてもよい。
ここで、導波管11の軸と平行な軸であって導波管11の第1端11aから第2端11bへの方向に向いた軸をz軸と定義する。また、z軸と垂直な軸であって端子台12vが突出する方向に向いた軸をx軸と定義する。また、z軸と垂直な軸であって端子台12hが突出する方向に向いた軸をy軸と定義する。したがって、x軸,y軸,z軸は、右手系の座標軸を形成するような向きを有する。
端子台12v,12hは、z軸方向において異なる位置に設けられている。具体的には、端子台12hは、端子台12vのz軸方向における位置よりも第1端11a側の位置に設けられている。より詳細には、端子台12hは、フランジ部13に対して第1端11a側の位置に設けられている。また、端子台12vは、端子台12hとフランジ部13との間の位置に設けられている。
端子台12vには、溝12gと、ねじ穴12thと、電極穴12ehとが形成されている。端子台12hにおいても、溝12gと、ねじ穴12thと、電極穴12ehとが端子台12vと同様に形成されている。なお、図2では、端子台12における溝12g、ねじ穴12thおよび電極穴12ehの説明のためにレセプタクルNrvが設けられていない端子台12vが図示されている。
より詳細には、たとえば、端子台12hには、N型コネクタ用のレセプタクルNrhが固定される。この場合、端子台12hにおける溝12gには、たとえばOリングが設けられる。また、レセプタクルNrhは、ねじ穴12thに螺合するねじを用いて端子台12hに固定されてもよいし、溶接または接着等により端子台12hに固定されてもよい。
端子台12vには、N型コネクタ用のレセプタクルNrvがレセプタクルNrhと同様に固定される。
レセプタクルNrhは、同軸ケーブルCBLhの第2端すなわちプラグNphと脱着可能に接続される。また、レセプタクルNrvは、同軸ケーブルCBLvの第2端すなわちプラグNpvと脱着可能に接続される。
レセプタクルNrにおける放射電極Nrrは、電極穴12ehの軸に沿って導波管11の内部空間20に突出している。より詳細には、図4に示すように、端子台12vに固定されたレセプタクルNrvでは、放射電極Nrrが、端子台12vが突出する方向すなわちx軸方向と平行に導波管11の内部空間20に突出している。同様に、端子台12hに固定されたレセプタクルNrhでは、放射電極Nrrは、端子台12hが突出する方向すなわちy軸方向と平行に導波管11の内部空間20に突出している。
放射電極Nrrは、具体的には、アンテナとして機能する電極であり、レセプタクルNrおよびプラグNpを介して同軸ケーブルCBLの内部導体と電気的に接続され、当該内部導体経由で通信装置131から受ける電波を導波管11の内部空間20へ放射することが可能である。また、放射電極Nrrは、導波管11の内部空間20から受けた電波を同軸ケーブルCBLの内部導体へレセプタクルNrおよびプラグNpを介して出力することが可能である。
より詳細には、図1に示すように、端子台12vに固定されたレセプタクルNrvは、プラグNpvと接続されることにより、同軸ケーブルCBLvを介して通信装置131における端子と接続されている。レセプタクルNrvにおける放射電極Nrrは、たとえば、同軸ケーブルCBLv経由で通信装置131から受ける電波を、電界方向がx軸方向(以下、垂直偏波とも称する)の電波として導波管11の内部空間20へ放射する。
減衰棒15は、たとえば、導波管11の内径より小さい直径を有しかつ金属で形成された棒であり、端子台12vおよび端子台12hの間において、x軸と平行に導波管11の内部空間20に設けられている。減衰棒15および導波管11は、導通している。減衰棒15は、垂直偏波の電波を反射する一方、電界方向がy軸方向(以下、水平偏波とも称する)の電波には影響を与えない。
レセプタクルNrvにおける放射電極Nrrから放射された垂直偏波の電波のうち、減衰棒15へ伝搬する電波は減衰棒15によって反射されるので、減衰棒15より第1端11a側へは伝搬しない。このため、レセプタクルNrvにおける放射電極Nrrから放射された垂直偏波の電波は、すべて導波管11の第2端11bから放射される。
これにより、TE11モードの垂直偏波の電波が導波管11の内部空間20において生成される。また、レセプタクルNrvにおける放射電極Nrrは、たとえば、導波管11の内部空間20における垂直偏波のTE11モードの電波を受けて、受けた電波を同軸ケーブルCBLv経由で通信装置131へ出力する。
また、図1に示すように、端子台12hに固定されたレセプタクルNrhは、プラグNphと接続されることにより、同軸ケーブルCBLhを介して通信装置131における端子と接続されている。レセプタクルNrhにおける放射電極Nrrは、たとえば、同軸ケーブルCBLh経由で通信装置131から受ける電波を、水平偏波の電波として導波管11の内部空間20へ放射する。
レセプタクルNrhにおける放射電極Nrrから放射された水平偏波の電波のうち、導波管11の第1端11aへ伝搬する電波はキャップ16によって反射される。また、上述したように、減衰棒15は、水平偏波の電波には影響を与えない。このため、レセプタクルNrhにおける放射電極Nrrから放射された水平偏波の電波は、すべて導波管11の第2端11bから放射される。
これにより、TE11モードの水平偏波の電波が導波管11の内部空間20において生成される。また、レセプタクルNrhにおける放射電極Nrrは、たとえば、導波管11の内部空間20における水平偏波のTE11モードの電波を受けて、受けた電波を同軸ケーブルCBLh経由で通信装置131へ出力する。
したがって、端子台12およびレセプタクルNrは、同軸ケーブルCBLと導波管11とを電気的かつ機械的に接続する。
また、導波管11では、第2端11bの開口部において、導波管11の内径より大きい内径を有する嵌め合い部24が形成されている。嵌め合い部24の内周面では、周方向に90度間隔で4つの凸部21が形成されている。
4つの凸部21のうち対角に位置する2つの凸部21は、並ぶ方向が電波の偏波方向となるように形成されている。具体的には、4つの凸部21のうち対角に位置する2つの凸部21が並ぶ方向は、x軸方向またはy軸方向である。
導波管11では、嵌め合い部24とフランジ部13との間の外周面において、導波管11の軸と平行な軸を有する雄ねじ22が形成されている。雄ねじ22および凸部21の詳細については後述する。
[治具]
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る治具の正面図である。図6は、図5に示す治具の背面図である。図7は、図5に示す治具の側面図であり、当該治具の図5におけるVII−VII線に沿う断面の一部を示す図である。
図5〜図7を参照して、治具301は、ベース部302と、導波管固定部303と、反射鏡固定部304と、補強部305とを備える。
治具301におけるベース部302は、たとえば、金属製の板状部材をL字状に折り曲げることにより形成され、底部302bと、側部302sとを含む。底部302bおよび側部302sは、L字状の板状部材の谷線を介して連続している。
側部302sは、谷側の第1端面302saと、山側の第2端面302sbとを有する。底部302bは、谷側の第1端面302baと、山側の第2端面302bbとを有する。
第1端面302saの略中央には、穴302chが形成されている。また、第1端面302saには、穴302chと同じ中心を有しかつ穴302chの径より大きい径の円周上において、60度間隔で6つの穴302shが形成されている。
補強部305は、たとえば、2つのL字型の部材であり、ベース部302における谷の両端において第1端面302saから第1端面302baにわたってそれぞれ設けられている。
補強部305は、第1端面302baに固定される第1端面305aと、第1端面302saに固定される第2端面305bとを有する。第1端面305aおよび第2端面305bには、それぞれ3つのねじ穴305thが設けられている。
側部302sにおける第1端面302saには、補強部305の第2端面305bにおけるねじ穴305thに対応する位置に穴が設けられている。たとえば当該穴を通したねじ305bsを第2端面305bに形成されたねじ穴305thに螺合させることにより、補強部305は、側部302sに固定される。
また、図示しないが、底部302bにおける第1端面302baには、補強部305の第1端面305aにおけるねじ穴305thに対応する位置に穴が設けられている。たとえば当該穴を通したねじ305bsを第1端面305aに形成されたねじ穴305thに螺合させることにより、補強部305は、底部302bに固定される。
なお、補強部305の側部302sおよび底部302bへの固定は、溶接または接着等により行われてもよい。補強部305は、ベース部302全体の強度を増強している。
導波管固定部303は、たとえば金属製の円筒形の部材であり、側部302sにおける第2端面302sbと接続する第1端面303aと、第2端面303bとを有する。
第1端面303aには、6つのねじ穴303thcが側部302sにおける穴302shに対応する位置に形成されている。導波管固定部303は、たとえば穴302shを通したねじをねじ穴303thcと螺合させることにより側部302sに固定される。なお、導波管固定部303は、溶接または接着等により側部302sに固定されてもよい。
また、第1端面303aには、穴302chと同じ中心を有し、穴302chの径より小さくかつ導波管11の外径より大きい径の穴303chが形成されている。
また、第1端面303aには、穴302chと同じ中心を有しかつフランジ部13における穴13shが形成されている円周の径と同じ径の円周上において、45度間隔で8つのねじ穴303thaが形成されている。
第2端面303bには、穴302chと同じ中心を有しかつねじ穴303thaが形成されている円周の径より大きい径の円周上において、45度間隔で8つのねじ穴303thbが形成されている。
反射鏡固定部304は、たとえば金属製の円筒形の部材であり、導波管固定部303における第2端面303bと接続される第1端面304aと、第2端面304bとを有する。また、反射鏡固定部304は、バイヨネット構造を有する。
第1端面304aには、穴302chと同じ中心を有しかつ導波管固定部303における穴303chの径と略同じ径の穴304chaが形成されている。
第2端面304bには、穴304chaと同じ中心を有しかつ穴304chaの径より大きい径の凹部304chbが形成されている。凹部304chbは、穴304chaと接続されている。
また、第2端面304bには、8つの穴304shが導波管固定部303におけるねじ穴303thbに対応する位置に形成されている。8つの穴304shには、ねじの頭部を埋め込むための座グリ処理が第2端面304b側において施されている。
8つの穴304shのうち対角線上に位置する2つの穴304shには、図7に示すように、ピン304pが突出するように設けられている。ピン304pでは、第2端面304bから突出した部分である突出部分において、第2端面304bに近い側に小径部304pnが形成されている。また、ピン304pでは、上記突出部分において、小径部304pnの径より大きい径を有する大径部304pwが、小径部304pnに対して第2端面304bの反対側に形成されている。
また、ピン304pには、ピン304pの軸に沿って穴304shと略同じ径を有する穴304phが形成されている。また、穴304phには、ねじの頭部を埋め込むための座グリ処理が施されている。
反射鏡固定部304は、たとえば、ピン304pが設けられていない穴304shを通したねじ、ならびに穴304phおよびピン304pが設けられている穴304shを通したねじを導波管固定部303におけるねじ穴303thbと螺合させることにより導波管固定部303に固定される。なお、反射鏡固定部304は、溶接または接着等により導波管固定部303に固定されてもよい。
反射鏡固定部304の外周面には、第2端面304bと平行な面であって第2端面304bと連続する面を有する板状の爪部304mが、穴304chaの軸方向から見て120度間隔で3つ設けられている。爪部304mの外周は、反射鏡固定部304の外径より大きい径の円における、中心角が略60度の円弧に沿っている。爪部304mの板厚は、反射鏡固定部304より薄い。
以下、反射鏡固定部304の外周において、爪部304mが設けられていない空間を非爪空間304nとも称する。
反射鏡固定部304における3つの爪部304mおよび2つピン304pは、バイヨネット構造のオス端子として機能する。以下、反射鏡固定部304をバイヨネットオス端子304とも称する。
[反射部1の構成]
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る反射部の側面図である。図9は、本発明の第1の実施の形態に係る反射部における固定部の正面図である。図10は、本発明の第1の実施の形態に係る第1の導波管の側面図である。
図10では、導波管11および反射部1が治具301に固定されている状況を説明するために、反射部1の一部、および治具301を点線で図示している。
図8〜図10を参照して、反射部1は、反射鏡本体1bと、固定部351とを有する。反射鏡本体1bには、曲面形状の反射面1mが形成されている。反射面1mの形状は、たとえば、パラボラ形状等の2次曲面形状である。ここでは、反射面1mの形状はパラボラ形状であり、この場合、反射面1mは放物面である。当該放物面の軸であって当該放物面の頂点1vから焦点1fへの方向に向いた軸は、z軸方向を向いている。
図10に示すように、反射鏡本体1bの中央には、たとえば、導波管11の外径より大きい径を有する穴1chが形成されている。
なお、反射面1mは、放物面に限らず、球面の一部であってもよい。また、反射面1mの形状は、たとえば2次曲面形状の一部を含む形状であってもよい。
図9に示すように、固定部351は、ベース部352と、円筒部353と、ハンドル部354とを含む。
固定部351は、治具301におけるバイヨネットオス端子304と脱着可能に接続し、反射部1における反射面1mに対して反対側に設けられている。また、固定部351は、バイヨネット構造を有する。
より詳細には、固定部351におけるベース部352は、たとえば、径が規定値であり、固定部351を貫通する穴352chが形成されている。具体的には、ベース部352は、たとえば、導波管11の外径より大きい径を有する円筒形の穴352chが中心部に形成された円筒形状の部材であり、軸がz軸に沿うように反射鏡本体1bに接続されている。
ベース部352は、反射鏡本体1bと対向する第1端面と、反射鏡本体1bと対向しない第2端面352bとを有する。
第2端面352bには、バイヨネットオス端子304に設けられているピン304pの大径部304pwの径より大きい径のピン穴352pがピン304pに対応する位置に形成されている。
また、第2端面352bには、ピン304pの大径部304pwの径より小さくかつ小径部304pnの径より大きい幅を有する長穴352sが周方向に沿って形成されている。長穴352sは、ピン穴352pと接続されている。
ピン穴352pおよび長穴352sは、ピン304pに対応して形成されているので、穴352chの径の上限は制限されている。たとえば、穴352chの径は、バイヨネット構造に関する規格で定められた大きさである。
また、穴352chの径は、たとえば端子台12v,12hを含めた導波管11の幅より小さい。また、穴352chの径は、たとえば端子台12v,12hおよびレセプタクルNrv,Nrhを含めた導波管11の幅より小さい。また、穴352chの径は、たとえばフランジ部13の外径より小さい。
ハンドル部354は、4つのハンドル354hを含み、ハンドル354hを操作することによりz軸を回転軸として回転可能である。
円筒部353は、たとえば、ハンドル部354に固定されており、ハンドル354hを操作することによりxy平面における円筒部353とベース部352とのなす角度を変更することが可能である。
円筒部353は、バイヨネットオス端子304に設けられている爪部304mの外周より大きい径を有する円筒形の穴353chが中心部に形成された円筒形状の部材であり、ベース部352における第2端面352bと対向する第1端面と、第2端面352bと対向しない第2端面353bとを有する。
円筒部353の内周面には、第2端面353bと平行な面であって第2端面353bと連続する面を有する板状の突出部353mが、穴353chの軸方向から見て120度間隔で3つ設けられている。突出部353mの内周は、爪部304mが設けられていない部分のバイヨネットオス端子304の外径すなわち非爪空間304nに対応するバイヨネットオス端子304の部分の外径より大きい径の円における、中心角が略60度の円弧に沿っている。突出部353mの板厚は、円筒部353より薄い。
突出部353mとベース部352における第2端面352bとの間には、バイヨネットオス端子304における爪部304mの板厚より若干厚い溝353gが形成されている。溝353gには、爪部304mが進入可能である。
以下、円筒部353の内周において、突出部353mが設けられていない空間を非突出空間353nとも称する。
円筒部353における3つの突出部353m、2つのピン穴352pおよび2つ長穴352sは、バイヨネット構造のメス端子として機能する。以下、固定部351をバイヨネットメス端子351とも称する。バイヨネットメス端子351は、バイヨネットオス端子304と脱着可能に接続される。
[導波管11の治具301への固定]
図2に示すように、スペーサ14a,14bはフランジ部13に固定されている。導波管11は、第2端11b側から図7に示す治具301における穴302ch,303ch,304chaに挿入される。そして、図10に示すように、スペーサ14aの第2端11b側の表面と導波管固定部303における第1端面303aとが密着した状態になる。
この状態において、フランジ部13における穴13sh、スペーサ14bにおける穴14shおよびスペーサ14aにおける穴13sh(図3参照)を挿入したねじ13s(図10参照)をねじ穴303tha(図6参照)と螺合させることにより、図10に示すように、導波管11は導波管固定部303に固定される、すなわち治具301に固定される。
[反射部1の治具301への固定]
反射部1は、バイヨネットメス端子351と治具301におけるバイヨネットオス端子304とを結合させることにより治具301に固定される。
より詳細には、反射部1における穴1ch(図10参照)、およびバイヨネットメス端子351における穴352ch(図9参照)に導波管11を第2端11b側から挿入することにより、バイヨネットメス端子351とバイヨネットオス端子304とが対向する状態となる。
この状態において、爪部304m(図5参照)および突出部353m(図9参照)が非突出空間353nおよび非爪空間304nをそれぞれ通過し、かつバイヨネットオス端子304におけるピン304pがバイヨネットメス端子351におけるピン穴352pに挿入されるようにバイヨネットメス端子351およびバイヨネットオス端子304を接近させる。
バイヨネットオス端子304における第2端面304bがベース部352における第2端面352bと接触すると、z軸を回転軸としてベース部352すなわち反射鏡本体1bを回転させてピン304pにおける小径部304pnを長穴352sに挿入する。
そして、ハンドル部354におけるハンドル354hを操作して溝353gに爪部304mを挿入させることにより反射部1が治具301に固定される。このとき、図10に示すように、導波管11は、反射部1を貫通している。
なお、治具301に導波管11を固定した後、治具301に反射部1を固定する構成に限らず、治具301に反射部1を固定した後、治具301に導波管11を固定する構成であってもよい。
[1次放射器101の構成]
再び図1を参照して、1次輻射器101は、第2の導波管31と、接続部51と、放射部71とを含む。放射部71は、絶縁部72と、小径反射部73とを含む。以下、第2の導波管31を単に導波管31とも称する。
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る第2の導波管の側面図である。図12は、本発明の第1の実施の形態に係る第2の導波管を第1端側から見た図である。図13は、本発明の第1の実施の形態に係る第2の導波管の図11におけるXIII−XIII線に沿う断面を示す断面図である。
[導波管31の概要]
図11〜図13を参照して、導波管31は、凹部(位置決め部)41を含む。導波管31は、たとえば、導波管11の外径と略同じ外径を有する円形導波管であり、アルミニウムにより形成されている。これにより、導波管31の重量を軽くすることができる。
導波管31は、放射部71と導波管11との間に接続され、導波管11の第2端11bに接続される第1端31aと、放射部71に接続される第2端31bとを有する。導波管31と導波管11との接続、および導波管31と放射部71との接続については後述する。
導波管31の第1端31aおよび第2端31bは、開口している。導波管31は、導波管11から受けた電波を放射部71へ伝送し、また、放射部71から受けた電波を導波管11へ伝送する。
導波管31では、外周面においてCリング溝32が導波管31の周方向に沿って形成されている。また、導波管31では、Cリング溝32に対して第1端31a側の外周面において、シール溝33が導波管31の周方向に沿って形成されている。以下、シール溝33における第2端31b側の側面35をシール接触面35とも称する。
導波管31では、シール溝33の第1端31a側には、シール溝33の外径より大きくかつ導波管11に形成されている嵌め合い部24の内径より若干小さい外径を有する嵌め合い部34が形成されている。嵌め合い部34は、嵌め合い部24に収まることが可能である。
嵌め合い部34の外周面では、周方向に90度間隔で4つの凹部41が形成されている。凹部41は、導波管11に形成されている凸部21と嵌合することが可能である。
[放射部71の固定]
放射部71は、導波管31に接続され、反射部1に対して反射面1m側に設けられる。
より詳細には、導波管31には、たとえば、Cリング溝32に対して第2端31b側において、固定用ねじ75を挿通するための穴31hが導波管31の周方向に90度間隔で4つ設けられている。固定用ねじ75は、絶縁部72を導波管31に固定する。
4つの穴31hが形成される導波管31の周方向の位置は、4つの凹部41の周方向の位置に対応している。また、穴31hは、挿通される固定用ねじ75の軸が、嵌め合い部34において対角に位置する2つの凹部41が並ぶ方向と平行になるように設けられている。
再び図1を参照して、絶縁部72は、たとえば、誘電損失が小さいPTFE(polytetrafluoroethylene)を用いて無垢で形成されており、ボウル部72Aと、ベース部72Bとを含む。
絶縁部72におけるベース部72Bは、たとえば、円柱形状の部材であり、その一部が導波管31の第2端31b側から内部空間40へ挿入され、穴31hを通した固定用ねじ75により導波管31に固定されている。
ボウル部72Aは、たとえば、椀形状の部材であり、ベース部72Bの断面と略同じ断面を有しかつベース部72Bのうち導波管31の外部空間側の端面に接続されている小径端面と、小径端面より大きい径を有する大径端面とを有する。当該大径端面の径は、たとえば穴352chの径より大きい。
小径反射部73は、金属製の円板形状の部材であり、反射部1における反射面1mの外径より小さい径を有している。小径反射部73は、たとえば固定用ねじ74を用いてボウル部72Aにおける大径端面に接続されている。小径反射部73の径は、たとえば穴352chの径より大きい。また、図示しないが、小径反射部73の外周部には、たとえばx方向およびy方向の少なくともいずれか一方を示す刻印が施されている。このような刻印を施す構成により、電波の偏波方向を簡易に認識することができる。
放射部71は、導波管31から受ける電波の反射面1mへの放射、および反射面1mによって収束された電波の導波管31への出力の少なくともいずれか一方を行う。
[接続部の構成]
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る1次輻射器におけるCリングの断面図および側面図である。図15は、本発明の第1の実施の形態に係る1次輻射器における袋ナットの断面図および側面図である。図16は、本発明の第1の実施の形態に係る第2の導波管に接続部が取り付けられた状態を示す断面図である。
図14〜図16を参照して、接続部51は、袋ナット52と、Cリング53と、シール部材54とを含む。
図14に示すCリング53は、C字形状の断面を有する部材であり、リン青銅等のばね性を有する金属により形成されている。Cリング53の内径は、導波管31の外周面に形成されたCリング溝32における外径より大きくかつ導波管31の外径より小さい。Cリング53の外径は、導波管31の外径より大きい。Cリング53の幅は、Cリング溝32の幅より若干小さい。
Cリング53の径は、力を加えることにより広げたり、狭めたりすることが可能である。Cリング53は、図16に示すように、内周面がCリング溝32に収まるように導波管31に組み付けられている。
また、図16に示すように、Cリング53の内周面とCリング溝32の外周面との間には、袋ナット52を導波管31に取り付ける場合に、Cリング53の一部または全部を一時的に収容する収容空間53sが形成されている。
図16に示すシール部材54は、具体的にはシリコンゴム等の弾性体により形成されたOリングであり、内周面が導波管31におけるシール溝33に収まるように導波管31に組み付けられている。
図15に示す袋ナット52は、円筒形状の部材であり、表面全体にNiめっきが施された真鍮により形成されている。袋ナット52は、反射面1mと対向する第1端52aと、小径反射部73と対向する第2端52bとを有する。
袋ナット52の外周面では、たとえば、ローレット加工が施されている滑り止め部52kが第1端52a側において形成されている。これにより、袋ナット52に手でトルクを与えるときに滑ってしまうことを抑制することができる。なお、外周面の第1端52a側において滑り止め部52kが形成される構成に限らず、外周面の全部または一部に滑り止め部52kが形成される構成であればよい。
袋ナット52では、導波管31の外径より大きい径を有する穴52chが形成されている。より詳細には、袋ナット52は、穴52chを規定する内壁部52iを含む。穴52chにおける内壁部52iでは、第2端52b側において、導波管31の外径より大きくかつCリング53の外径より小さい内径を有する円筒形状の支持部52sが形成されている。以下、支持部52sにおける第1端52a側の端面52saを支持面52saとも称する。
また、穴52chの内壁部52iでは、支持部52sに対して第1端52a側において支持部52sと接続され、かつCリング53の外径より大きい内径を有する円筒形状のCリング空間形成部52cが形成されている。
また、穴52chの内壁部52iでは、Cリング空間形成部52cに対して第1端52a側においてCリング空間形成部52cと接続され、かつ支持部52sの内径と略同じ内径を有する円筒形状の抜け止め部52rが形成されている。以下、抜け止め部52rにおける第1端52a側の端面52raを保持面52raとも称する。抜け止め部52rにおける第2端52b側の端面52rbを防止面52rbとも称する。
また、穴52chの内壁部52iでは、抜け止め部52rに対して第1端52a側において抜け止め部52rと接続され、かつシール部材54の外径より大きい内径を有する円筒形状のシール空間形成部52pが形成されている。
また、穴52chの内壁部52iでは、シール空間形成部52pに対して第1端52a側においてシール空間形成部52pと接続され、かつ導波管11に形成された雄ねじ22と螺合する雌ねじ52fsが形成されている。
袋ナット52は、図16に示すように、袋ナット52における穴52chに導波管31を挿入した状態において、導波管31から離間する方向への移動範囲が制限された上で導波管31の軸に沿って移動可能である。
より詳細には、たとえば、袋ナット52を導波管31に取り付ける場合、Cリング53の径を狭めることによりCリング53の一部または全部を収容空間53sに収容している状態において、袋ナット52を第2端52b側から導波管31に挿通し、支持部52sがCリング53を通過したタイミングでCリング53の径を狭める前の径に戻す。
Cリング53の径を狭める前の径に戻した後の状態において、袋ナット52は、支持面52sa、Cリング空間形成部52cの内周面、防止面52rbおよび導波管31の外周面により形成されたCリング収容空間52csに、Cリング溝32に収まっているCリング53が収容されるように導波管31に組み付けられている。
袋ナット52は、図16に示すように、導波管31に組み付けられているCリング53の側面のうち第2端31b側の側面である制限面53bと支持面52saとが接触した状態において、導波管31から離間する方向すなわち第2端31bから第1端31aへの方向への移動範囲が制限される。
また、袋ナット52は、Cリング53の側面のうち第1端31a側の側面である制限面53aと防止面52rbとが接触した状態において、導波管31に挿通される方向すなわち第1端31aから第2端31bへの方向への移動範囲が制限される。
袋ナット52が導波管31の軸に沿って移動する場合において、シール溝33に収まっているシールは、シール空間形成部52pの内周面と導波管31の外周面との間に形成されたシール収容空間52psに収容されている。
ここで、導波管31の外周面には袋ナット52に形成されている雌ねじ52fsと螺合する雄ねじ、具体的には、導波管11に形成されている雄ねじ22が形成されていないので、導波管31がねじ無し導波管に相当する。
[接続部分81]
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る第1の導波管および第2の導波管が接続されている状態の側面図である。図17では、図10と同様に、反射部1の一部、および治具301を点線で図示している。
図18は、本発明の第1の実施の形態に係る第1の導波管および第2の導波管の接続部分の断面図である。
図17および図18を参照して、導波管11および導波管31の接続部分81、具体的には、接続部51、および導波管11における雄ねじ22を含む部分は、反射部1に対して反射面1m側に位置する。そして、袋ナット52は、導波管11および導波管31を脱着可能に接続する。
ここで、シール接触面35とシール接触面23との距離を距離Lcと定義する。また、支持面52saと制限面53bとの距離を距離Gsと定義する。また、防止面52rbと制限面53aとの距離を距離Grと定義する。
図18では、導波管11,31が接続されている状態であるので、距離Gsはゼロとなり、また、距離Grは最大のGrmaxである。また、距離Lcは、最小のLcminである。
[袋ナット52の移動範囲]
図19は、本発明の第1の実施の形態に係る袋ナットの接続可能位置の一例を示す図である。
図19を参照して、袋ナット52の移動範囲には、凸部21および凹部41が一部嵌合した状態において雄ねじ22および雌ねじ52fsが接触を開始する位置である締め付け可能位置が含まれる。具体的には、図19に示す袋ナット52の位置が、締め付け可能位置の一例である。
より詳細には、凸部21および凹部41が一部嵌合した状態は、導波管11,31の軸を回転軸とする場合における導波管11,31の相対的な回転運動が制限されている状態であって、接続距離LcがLcminより大きい状態である。
また、雄ねじ22および雌ねじ52fsが接触を開始することは、導波管11および袋ナット52の各々の周方向の位置関係を維持したまま、袋ナット52を導波管11に近づけていったときに、雌ねじ52fsのねじ山の一部と雄ねじ22のねじ山の一部が接触することを意味する。
言い換えると、袋ナット52の移動範囲には、導波管11の第2端11bと導波管31の第1端31aとを対向させながら導波管11,31を近づけていく場合において、凸部21および凹部41が一部嵌合した後、雄ねじ22および雌ねじ52fsが接触を開始する位置である締め付け可能位置が含まれる。
たとえば、凸部21および凹部41が嵌合しないまま袋ナット52を締めると、導波管11および導波管31の各々の周方向の位置関係が不適切な状態で導波管11,31が接続されてしまうことがある。具体的には、たとえば、接続距離LcをLcminまで詰めることができないためシール性を確保することができなくなってしまったり、凸部21が嵌め合い部34の一部を破壊してしまったりする。
これに対して、袋ナット52の移動範囲に締め付け可能位置が含まれる構成により、導波管11および導波管31の各々の周方向の位置関係を維持したまま、雄ねじ22および雌ねじ52fsを(Lc−Lcmin)とGsとを合わせた距離分、締め込むことができるので、導波管11および導波管31の各々の周方向の位置関係が適切な状態で導波管11,31を接続することができる。
[導波管11,31の接続]
再び図18を参照して、接続部分81では、袋ナット52における支持面52saが、Cリング53を介して導波管31に接続され、また、袋ナット52における雌ねじ52fsが、導波管11における雄ねじ22と螺合することより導波管11に接続される。
雌ねじ52fsおよび雄ねじ22が螺合しているので、導波管11の軸を回転軸として袋ナット52を回転させることにより、袋ナット52は当該軸に沿って移動する。
以下、導波管11の軸を回転軸として袋ナット52を回転させて袋ナット52を導波管31から導波管11への方向に移動させることを、「袋ナット52を締める」とも称する。
また、導波管11の軸を回転軸として袋ナット52を回転させて袋ナット52を導波管11から導波管31への方向に移動させることを、「袋ナット52を緩める」とも称する。
たとえば、袋ナット52を締める場合、締める量の増加に伴って支持面52saおよび雄ねじ22間の距離すなわち導波管31および雄ねじ22間の距離が短くなり、袋ナット52に十分なトルクを与えた状態が、導波管11および導波管31が接続された状態である。導波管11および導波管31が接続された状態において、導波管31の軸は、z軸すなわち導波管11の軸と平行である。
逆に、たとえば、袋ナット52を緩める場合、緩める量の増加に伴って支持面52saおよび雄ねじ22間の距離が長くなり、雌ねじ52fsおよび雄ねじ22が螺合しなくなった与えた状態が、導波管11および導波管31の接続が解除された状態である。
シール部材54は、接続部分81において、導波管11と導波管31との間をシールしている。具体的には、導波管11および導波管31が接続されている状態において、シール接触面23とシール接触面35とが対向してシール部材54を両端から挟み込むことにより、導波管11と導波管31との間がシールされる。
また、接続部分81では、導波管11および導波管31が接続されている状態において、嵌め合い部34が嵌め合い部24に収まるとともに、嵌め合い部34に形成されている凹部41は、嵌め合い部24に形成されている凸部21と嵌合する。
凸部21および凹部41は、導波管11および導波管31の各々の周方向の位置関係を規定する。
具体的には、上述したように、導波管31における4つの穴31hのうち対角に位置する2つの穴31hが並ぶ方向は、4つの凹部41のうち対角に位置する2つの凹部41が並ぶ方向と平行である。また、4つの凸部21のうち対角に位置する2つの凸部21が並ぶ方向は、垂直偏波の電波の偏波方向であるx軸または水平偏波の電波の偏波方向であるy軸と平行になる。
したがって、凹部41と凸部21とが嵌合して導波管11および導波管31が接続されている状態において、穴31hのうち対角に位置する2つの穴31hが並ぶ方向は、x軸またはy軸と平行になる。すなわち、4つの穴31hのうち対角に位置する2つの穴31hが並ぶ方向は、導波管11,31を伝送される電波の偏波方向に対して平行な方向または直交する方向になる様に凹部41および凸部21により決定される。
たとえば、導波管11,31の内部空間20,40の形状が回転対称でない場合、内部空間20,40を伝わる電波の偏波方向が乱れてしまうことがある。具体的には、導波管11,31の内部空間20,40へ突出する4つの金属製の固定用ねじ75のうち、対角に位置する2つの金属製の固定用ねじ75が並ぶ方向がx軸またはy軸と平行でない場合、内部空間20,40を伝わる電波の偏波方向が乱れてしまう。
より詳細には、たとえば、嵌め合い部24,34において凸部21および凹部41それぞれが形成されていないと仮定した場合、対角に位置する2つの穴31hが並ぶ方向がx軸またはy軸と平行にならないことがある。このような場合においてたとえば金属製の固定用ねじ75が穴31hに挿通されると、導波管31の内部空間40を伝わる電波の偏波方向が乱れてしまう。
これに対して、嵌め合い部24,34において凸部21および凹部41それぞれが形成され、対角に位置する2つの穴31hが並ぶ方向がx軸またはy軸と平行になる構成により、導波管31の内部空間40を伝わる電波の偏波方向が乱れてしまうことを防ぐことができる。これにより、レセプタクルNrvにおける放射電極Nrrが送受信する電波と、レセプタクルNrhにおける放射電極Nrrが送受信する電波とが互いに干渉してしまうことを抑制することができる。
なお、凹部41と凸部21とが嵌合した状態において、対角に位置する2つの凹部41および凸部21が並ぶ方向は、x軸またはy軸と平行になる構成であるとしたが、これに限定するものではない。導波管11および導波管31が接続されている状態において、凹部41および凸部21は、導波管11,31の内部空間20,40に存在しない。このため、たとえば、導波管11および導波管31が接続されている状態において、穴31hのうち対角に位置する2つの穴31hが並ぶ方向が、x軸またはy軸と平行になる構成であれば、対角に位置する2つの凹部41または凸部21が並ぶ方向が、x軸またはy軸と平行にならない構成であってもよい。
また、4つの凸部21が、嵌め合い部24の内周面において周方向に90度間隔で形成され、かつ、当該4つの凸部21と嵌合する4つの凹部41が、嵌め合い部34の外周面において周方向に90度間隔で形成されることで、導波管11,31の接続において4種類の周方向の位置関係が可能な構成であるとしたが、これに限定するものではない。1つ以上の凸部21、および当該1つ以上の凸部21と嵌合する凹部41が、導波管11,31の接続において、1種類または複数種類の周方向の位置関係が可能な構成であってもよい。
また、4つの穴31hが形成される導波管31の周方向の位置は、4つの凹部41の周方向の位置に対応して設けられる構成であるとしたが、これに限定されるものではない。4つの穴31hが形成される導波管31の周方向の位置は、導波管31を伝送される電波の偏波方向に対して平行な方向または直交する方向に設けられる構成であれば、4つの凹部41の周方向の位置に対応して設けられない構成であってもよい。
また、袋ナット52が表面全体にNiめっきが施された真鍮により形成されているので、アルミニウムにより形成されている導波管11,31との接触が異種金属同士の接触となることから、袋ナット52と導波管11,31との接触部分において焼き付きが発生することを回避することができる。
また、アルミニウムと真鍮との接触により発生しやすい電蝕をNiめっきにより防止することができる。また、袋ナット52の表面全体にNiめっきが施されている構成に限らず、袋ナット52の表面のうち、導波管11,31との接触部分にNiめっきが施されている構成であってもよい。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る導波管11,31は、アルミニウムにより形成されている構成であるとしたが、これに限定するものではない。導波管11,31は、アルミニウム以外の金属により形成されている構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る袋ナット52は、Niめっきが施された真鍮により形成されている構成であるとしたが、これに限定するものではない。袋ナット52は、Niめっきが施されていない真鍮により形成される構成であってもよいし、真鍮以外の金属により形成されている構成であってもよい。
たとえば、アンテナ151の軽量化を優先する場合、アンテナ151は、アルミニウムにより形成されている導波管11,31と、アルミニウムにより形成されている袋ナット52とを備える構成であってもよい。
一方、アルミニウムは柔らかいため、たとえば、袋ナット52における雌ねじ52fsと導波管11における雄ねじ22とを螺合させると、金属粉が発生し、ねじがすり減ることがある。また、アルミニウムは柔らかく、かつ粘りを有するため、ねじの形状が変形しやすく、焼き付きが発生しやすい。
したがって、雌ねじ52fsと雄ねじ22との螺合による締結および締結解除を繰り返す回数が多い場合、アンテナ151は、たとえば、アルミニウムにより形成されている導波管11,31と、真鍮により形成されている袋ナット52とを備える構成が好ましい。なお、袋ナット52には、Niめっきが施されていてもよい。これにより、電蝕を防止することができる。
また、雌ねじ52fsと雄ねじ22との螺合による締結および締結解除を繰り返す回数がより多い場合、アンテナ151は、たとえば、真鍮により形成されている導波管11と、真鍮により形成されている袋ナット52とを備える構成が好ましい。なお、導波管11は、雄ねじ22が真鍮により形成され、かつ雄ねじ22以外の部分が真鍮以外の金属で形成されている構成であってもよい。また、導波管11および袋ナット52の少なくともいずれか一方に、Niめっきが施されていてもよい。これにより、電蝕を防止することができる。
また、袋ナット52と導波管11,31とが同種の金属により形成されている場合、袋ナット52と導波管11,31との接触部分において焼き付きが発生する可能性が高まるので、袋ナット52と導波管11,31とが異種の金属により形成されている構成が好ましい。
また、たとえば、袋ナット52と導波管11,31とがアルミニウムにより形成されている場合においても、袋ナット52全体にNiめっきを施すことにより、袋ナット52と導波管11,31との接触部分において焼き付きが発生することを回避することができる。
また、袋ナット52全体にめっきを施す構成に限らず、袋ナット52と導波管11,31とが接触する部分に限定してめっきを施す構成であってもよい。すなわち、袋ナット52と導波管11,31とが接触する部分において、袋ナット52と導波管11,31とが異なる種類の金属で形成されている構成であれば、焼き付きが発生することを回避することができる。
[アンテナの製造方法]
図20は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナを製造する方法を定めたフローチャートである。
図20を参照して、まず、製造者は、治具301に導波管11を固定する(ステップS102)。
次に、製造者は、反射部1に導波管11を貫通させて、反射部1を治具301に固定する(ステップS104)。
次に、製造者は、導波管31に放射部71を取り付ける(ステップS106)。
次に、製造者は、袋ナット52を用いて、導波管31および導波管11を反射部1に対して反射面1m側において接続する(ステップS108)。
なお、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ151では、導波管11,31が、袋ナット52を用いて接続される構成であるとしたが、これに限定するものではない。導波管11,31は、溶接または接着等により接続される構成であってもよい。また、導波管11,31は、袋ナット52の代わりに、フランジ、クランプまたはバンド等を用いて接続される構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る導波管は、円形導波管である構成であるとしたが、これに限定するものではない。導波管は、接続部分81において円形であればよく、他の部分が方形等の他の形状であってもよい。また、導波管は、接続部分81において外形が円形の導波管であれば、内部空間の断面が方形等の導波管でもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナでは、凸部21および凹部41は、導波管11および導波管31にそれぞれ設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。凸部21および凹部41は、導波管31および導波管11にそれぞれ設けられる構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナでは、凸部21および凹部41は、導波管11の内周面および導波管31の外周面にそれぞれ形成される構成であるとしたが、これに限定するものではない。凸部21および凹部41は、導波管11の外周面および導波管31の内周面にそれぞれ形成される構成であってもよいし、導波管の端面に形成される構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナでは、凸部21および凹部41が嵌合することにより、導波管11および導波管31の各々の周方向の位置関係を規定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。アンテナは、凸部21および凹部41の代わりに、導波管11,31の外周面に設けられる刻印等を位置決め部として備える構成であってもよい。すなわち、導波管11および導波管31の各々の周方向の位置関係を規定する位置決め部を備える構成であれば、1次放射器101と導波管11とを周方向の正しい位置関係で接続することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナでは、導波管11に雄ねじ22が形成され、また、導波管31に袋ナット52が取り付けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。導波管31に雄ねじ22が形成され、また、導波管11に袋ナット52が取り付けられる構成であってもよい。一方、袋ナット52の外径は導波管11の外径より大きいため、反射部1に形成される穴1ch,352chをより小さくできる、導波管31に袋ナット52が取り付けられる構成が好ましい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナでは、袋ナット52は、導波管31から離間する方向への移動範囲が制限された上で導波管31の軸に沿って移動可能であり、かつ、当該移動範囲には、凸部21および凹部41が一部嵌合した状態において雄ねじ22および雌ねじ52fsが接触を開始する位置である締め付け可能位置が含まれる構成であるとしたが、これに限定するものではない。アンテナでは、袋ナット52が、導波管31から離間する方向への移動が制限され、かつ、凸部21および凹部41が一部嵌合した状態において雄ねじ22および雌ねじ52fsが接触を開始する構成であればよい。
具体的には、たとえば、凸部21および凹部41が嵌合する部分の導波管11,31に沿った方向の長さを長く形成することにより、導波管11の第2端11bと導波管31の第1端31aとを対向させながら導波管11,31を近づけていく場合において、凸部21および凹部41が一部嵌合した後、雄ねじ22および雌ねじ52fsが接触を開始する。
一方、袋ナット52の移動範囲が無いかもしくは少ない場合、または、凸部21および凹部41の一部が嵌合していない状態において雄ねじ22および雌ねじ52fsが接触を開始する場合、袋ナット52における雌ねじ52fsに負担がかかるため、ねじの摩耗を早め、雄ねじ22および雌ねじ52fsを適切に締結することが可能な回数が減少することがある。このため、袋ナット52が移動可能な構成が好ましい。
ところで、たとえば、1次放射器において複偏波の電波を伝送することは、特許文献1および2に記載の同軸型1次放射器では困難であり、導波管を用いる構成が考えられる。しかしながら、複偏波の電波の伝送に導波管を用いる構成では、導波管により多くの部品を設ける必要があり、アンテナの特性に大きな影響を与えることがある。このような場合、たとえば、アンテナの特性を維持するための新たな部品を設ける必要があり、アンテナの製造コストが上がってしまう。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る1次放射器は、曲面形状の反射面1mを有する反射部1と、導波管11とを備えるアンテナにおいて用いられる。1次放射器101は、放射部71と、放射部71と導波管11との間に接続される導波管31とを備える。そして、導波管11および導波管31の接続部分81が、反射部1に対して反射面1m側に位置し、導波管11が反射部1を貫通する。
このような構成により、たとえば、導波管11の軸方向から見て外周面から突出する部品が導波管11の一方の端部側に設けられている場合においても、より大きい径の穴を反射部1に設けることなく他方の端部側から導波管11を反射部1に貫通させ、導波管11および導波管31を接続してアンテナ151の導波管を作成することができる。これにより、アンテナ151において大きい径の穴が設けられることによる特性の劣化を補うための新たな部品を用いることなく特性を維持することができるので、電波の伝送特性を維持しながらアンテナ151の製造コストの上昇を抑制することができる。
このような最小構成により、電波の伝送特性を維持しながらコストを抑制するという本発明の目的を達成することが可能となる。たとえば、アンテナは、バイヨネット構造を有する固定部351を備えない構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る1次放射器では、袋ナット52は、導波管11および導波管31を接続する。
このように、導波管11,31の軸方向から見て外周面からはみ出る面積が小さい袋ナット52を用いて導波管11および導波管31を接続する構成により、外周面からはみ出る面積がより大きいフランジ等を用いる場合と比べて、導波管11を挿通するための穴の径をより小さくすることができる。また、放射部71と反射面1mとの間の空間における電波の伝送の障害物をより小さくすることができるので、アンテナの特性の劣化を抑制することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る1次放射器では、接続部分81における導波管11および導波管31は円筒形状を有している。凸部21および凹部41は、導波管11および導波管31の各々の周方向の位置関係を規定する。
このような構成により、1次放射器101と導波管11とを周方向の正しい位置関係で接続することができるので、アンテナの特性の劣化を抑制することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る1次放射器では、凸部21は、導波管11に設けられる。凹部41は、導波管31に設けられ、導波管11および導波管31が接続された状態において凸部21と嵌合する。導波管11は、外周面において雄ねじ22を有する。袋ナット52には、導波管31の接続部分81における外径より大きい径の穴52chが形成されている。袋ナット52は、雄ねじ22と螺合する雌ねじ52fsと、円筒形状の支持部52sとを有し、かつ穴52chを規定する内壁部52iを含む。袋ナット52は、導波管31から離間する方向への移動が制限される。そして、凸部21および凹部41が一部嵌合した状態において雄ねじ22および雌ねじ52fsが接触を開始する。
このような構成により、導波管11と導波管31とが周方向の正しい位置関係を保ったまま袋ナット52を操作して導波管11と導波管31とを接続することができるので、導波管11と導波管31とが周方向の誤った位置関係で接続されたり、接続部分81が破損してしまったりすることを回避することができる。
また、雄ねじ22および雌ねじ52fsが接触を開始する前に、凸部21および凹部41を一部嵌合させることができるので、導波管11および導波管31の周方向の正しい位置合わせを容易に行うことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る1次放射器では、シール部材54は、接続部分81において、導波管11および導波管31との間をシールする。
このような構成により、たとえば中継車の屋上またはビルの屋上等の屋外においてアンテナ151を使用する場合において、接続部分81から導波管11,31の内部空間へのゴミまたは水等の侵入を防止することができるので、導波管11,31の内部空間において良好な気密性を保つことができる。したがって、FPUに適したアンテナ151を提供することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る1次放射器では、袋ナット52と導波管11および導波管31とが接触する部分において、袋ナット52と導波管11および導波管31とが異なる種類の金属で形成されている。
このような構成により、袋ナット52と導波管11および導波管31とが接触する部分における焼き付きを防止することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る1次放射器は、複偏波の電波を伝送可能である。
このような構成により、複偏波の電波の伝送に導波管11,31を用いるアンテナ151において、特性の劣化を補うための新たな部品を用いることなく特性を維持し、複偏波の電波の伝送特性を維持しながらアンテナ151の製造コストの上昇を抑制することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナは、曲面形状の反射面1mを有する反射部1と、反射部1に対して反射面1mの反対側に設けられ、かつ反射部1を治具301に脱着可能に接続する固定部351と、導波管と、導波管に接続され、反射部1に対して反射面1m側に設けられた放射部71とを備える。固定部351はバイヨネット構造を有する。固定部351には、径が規定値であり、かつ固定部351を貫通する穴352chが形成されている。導波管は、反射部1を貫通し、かつ固定部351における穴352chに挿通されている。
このような構成により、たとえば、導波管の軸方向から見て外周面から突出する部品が導波管の一方の端部側に設けられている場合においても、より大きい径の穴が形成されている特注のバイヨネット構造を有する固定部を用いることなく、他方の端部側から導波管を反射部1に貫通させることができる。これにより、アンテナ151により大きい径の穴が設けられることによる特性の劣化を補うための新たな部品、および特注のバイヨネット構造を有する固定部を用いることなく特性を維持することができるので、電波の伝送特性を維持しながらアンテナ151の製造コストの上昇を抑制することができる。また、標準品のバイヨネット構造を有する固定部を用いることができるので、反射部1および治具301の互換性を保つことができる。
このような最小構成により、電波の伝送特性を維持しながらコストを抑制するという本発明の目的を達成することが可能となる。たとえば、上記導波管は、一体型の導波管であってもよいし、導波管11,31のように別体の導波管であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナは、曲面形状の反射面1mを有する反射部1と、導波管と、導波管に接続され、反射部1に対して反射面1m側に設けられた放射部71とを備える。導波管には、導波管の軸方向から見て導波管の外周面から突出し、電波を伝送するための同軸ケーブルCBLと導波管とを接続するための端子台12およびレセプタクルNrが形成されている。導波管が反射部1を貫通している。反射部1における導波管の穴352chおよび穴1chの径は、端子台12およびレセプタクルNrを含めた導波管の幅より小さい。端子台12およびレセプタクルNrは、反射部1に対して反射面1mの反対側に位置している。
このような構成により、より大きい径の穴を反射部1に設けることなく、端子台12およびレセプタクルNrが設けられていない端部側から導波管を反射部1に貫通させることができる。これにより、アンテナ151により大きい径の穴が設けられることによる特性の劣化を補うための新たな部品を用いることなく特性を維持することができるので、電波の伝送特性を維持しながらアンテナ151の製造コストの上昇を抑制することができる。
このような最小構成により、電波の伝送特性を維持しながらコストを抑制するという本発明の目的を達成することが可能となる。たとえば、アンテナは、バイヨネット構造を有する固定部351を備えない構成であってもよい。また、たとえば、上記導波管は、一体型の導波管であってもよいし、導波管11,31のように別体の導波管であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナは、曲面形状の反射面1mを有する反射部1と、導波管11と、放射部71と、放射部71と導波管11との間に接続される導波管31とを備える。そして、導波管11および導波管31の接続部分81が、反射部1に対して反射面1m側に位置し、導波管11が反射部1を貫通する。
このような構成により、たとえば、導波管11の軸方向から見て外周面から突出する部品が導波管11の一方の端部側に設けられている場合においても、より大きい径の穴を反射部1に設けることなく他方の端部側から導波管11を反射部1に貫通させ、導波管11および導波管31を接続してアンテナ151の導波管を作成することができる。これにより、アンテナ151において大きい径の穴が設けられることによる特性の劣化を補うための新たな部品を用いることなく特性を維持することができるので、電波の伝送特性を維持しながらアンテナ151の製造コストの上昇を抑制することができる。
このような最小構成により、電波の伝送特性を維持しながらコストを抑制するという本発明の目的を達成することが可能となる。たとえば、アンテナは、バイヨネット構造を有する固定部351を備えない構成であってもよい。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る1次放射器と比べて、通信装置に直接固定されている第1の導波管と接続する1次放射器に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る1次放射器と同様である。
[構成および基本動作]
図21は、本発明の第2の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図21を参照して、通信システム202は、本発明の第1の実施の形態に係る通信システム201と比べて、通信装置131の代わりに、通信装置132を備える。
図22は、本発明の第2の実施の形態に係る通信装置に直接固定されている第1の導波管の側面図である。図22では、第1の導波管および第2の導波管が接続されていない状態すなわち分割されている状態が示されている。また、図22では、反射部1の一部、導波管固定部303および反射鏡固定部304ならびに導波管11の一部であって通信装置132に収容されている一部を点線で図示している。
図21および図22を参照して、通信装置132は、固定部351と脱着可能に接続され、かつバイヨネット構造を有する反射鏡固定部304を備える。また、導波管11の第1端11aは、通信装置132に接続される。また、導波管11の第2端11bは、導波管31に接続される。
具体的には、通信装置132には、たとえば、図7に示す治具301における導波管固定部303が設けられている。
導波管固定部303には、図7に示す場合と同様に、反射鏡固定部304が接続されている。
反射部1は、固定部351を介して反射鏡固定部304と脱着可能に接続されている。
導波管11は、図17に示す場合と同様に、導波管固定部303に固定される、すなわち通信装置132に固定される。このとき、導波管11は、図9に示す固定部351における穴352ch、図5に示す反射鏡固定部304における穴304cha、および導波管固定部303における穴303chに挿通されている。
なお、導波管11における端子台12では、N型コネクタ用のレセプタクルNrの代わりに、より小型のSMA型のレセプタクルが設けられていてもよい。これにより、通信装置132の内部空間における配線の設置を容易に行うことができる。
また、通信システム202では、端子台12およびレセプタクルNrを通信装置132の筐体内に設けることができるので、端子台12とレセプタクルNrとの接続面における防水のための構成を簡素化することができる。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る1次放射器では、固定部351は、反射部1に対して反射面1mの反対側に設けられ、かつ反射部1を通信装置132に脱着可能に接続する。通信装置132は、固定部351と脱着可能に接続される反射鏡固定部304を備える。固定部351および反射鏡固定部304はバイヨネット構造を有している。固定部351および反射鏡固定部304には、穴352chおよび穴304chaがそれぞれ形成されている。導波管11は、固定部351における穴352chおよび反射鏡固定部304における穴304chaに挿通されている。そして、導波管11は、通信装置132に接続される第1端11a、および導波管31に接続される第2端11bを有する。
このような構成により、導波管11が固定されている通信装置132、反射部1および1次放射器101を別個に分けることができるので、運搬を容易に行うことができる。また、たとえば、導波管11に設けられている端子等の部品を通信装置132の筐体内に収めることができるので、屋外での使用における耐候性を高めることができる。したがって、中継車の屋上またはビルの屋上等にアンテナ151を容易に設置できるので、FPUに適したアンテナ151を提供することができる。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る1次放射器と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
曲面形状の反射面を有する反射部と、第1の導波管とを備えるアンテナにおいて用いられる1次放射器であって、
放射部と、
前記放射部と前記第1の導波管との間に接続される第2の導波管とを備え、
前記第1の導波管および前記第2の導波管の接続部分が、前記反射部に対して前記反射面側に位置し、前記第1の導波管が前記反射部を貫通し、
前記反射面の形状は、パラボラ形状であり、
前記第1の導波管および前記第2の導波管は、アルミニウムで形成された円形導波管であり、
前記第1の導波管の軸および前記第2の導波管の軸は、前記反射面の軸と平行である、1次放射器。
[付記2]
曲面形状の反射面を有する反射部と、
前記反射部に対して前記反射面の反対側に設けられ、かつ前記反射部を他の部品に脱着可能に接続する固定部と、
導波管と、
前記導波管に接続され、前記反射部に対して前記反射面側に設けられた放射部とを備え、
前記固定部はバイヨネット構造を有し、
前記固定部には、径が規定値であり、かつ前記固定部を貫通する穴が形成されており、
前記導波管は、前記反射部を貫通し、かつ前記固定部における前記穴に挿通されており、
前記反射面の形状は、パラボラ形状であり、
前記導波管は、アルミニウムで形成された円形導波管であり、
前記導波管の軸は、前記反射面の軸と平行であり、
前記固定部における前記穴は、バイヨネット構造に関する規格で定められた大きさを有する、アンテナ。
[付記3]
曲面形状の反射面を有する反射部と、
導波管と、
前記導波管に接続され、前記反射部に対して前記反射面側に設けられた放射部とを備え、
前記導波管には、前記導波管の軸方向から見て前記導波管の外周面から突出し、電波を伝送するための伝送部材と前記導波管とを接続するための突出部が形成されており、
前記導波管が前記反射部を貫通しており、
前記反射部における前記導波管の貫通穴の径は、前記突出部を含めた前記導波管の幅より小さく、
前記突出部は、前記反射部に対して前記反射面の反対側に位置しており、
前記反射面の形状は、パラボラ形状であり、
前記導波管は、アルミニウムで形成された円形導波管であり、
前記導波管の軸は、前記反射面の軸と平行であり、
前記伝送部材は、同軸ケーブルであり、
前記突出部は、端子台およびN型コネクタ用のレセプタクルを含む、アンテナ。
[付記4]
曲面形状の反射面を有する反射部と、
第1の導波管と、
放射部と、
前記放射部と前記第1の導波管との間に接続される第2の導波管とを備え、
前記第1の導波管および前記第2の導波管の接続部分が、前記反射部に対して前記反射面側に位置し、前記第1の導波管が前記反射部を貫通し、
前記反射面の形状は、パラボラ形状であり、
前記第1の導波管および前記第2の導波管は、アルミニウムで形成された円形導波管であり、
前記第1の導波管の軸および前記第2の導波管の軸は、前記反射面の軸と平行である、アンテナ。