JP6383597B2 - 防水シート用改質アスファルト組成物および自己粘着防水シート - Google Patents

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Description

本発明は、屋上、ベランダ、床等に敷設できる自己粘着防水シートに使用可能な改質アスファルト組成物に関する。
建築物或いは構造物の防水工事では、現場で防水工事用アスファルトを溶解し、アスファルトルーフィングを貼りつけて防水層を形成する工法(アスファルト防水工法)や、トーチバーナーで改質アスファルトシートを溶融させ下地に貼りつける工法(トーチ工法)、改質アスファルトを用いた自己粘着性のルーフィングシートによって防水層を形成する方法(自着冷工法)などが一般的に採用されている。中でも、自着冷工法は、環境負荷低減という観点から積極的に開発が成されている。
このような防水工法に使用する改質アスファルト組成物としては、例えば、アスファルテンの重量平均分子量が2000〜8000の範囲であるアスファルト、ナフテン系鉱物油、および重量平均分子量が20万以上のスチレン系ブロック共重合体よりなるルーフィング用ポリマー改質アスファルト組成物が知られている(特許文献1)。
またアスファルトと種々のゴムとを混合する技術として、例えば、特許文献2には、アスファルトに溶解しやすいゴム・アスファルトマスターバッチの製造方法に関する技術が記載されており、ブタジエンゴムを使用した例が挙げられている。
特開2009−191176号公報 特開昭49−35445号公報
一般的に、防水シートは、例えば構造物の立ち上がり面や屋根勾配面等に施工するところ、種々の機能を備えることが求められる。例えば、時間条件(経過時間)や温度条件(高温)等の影響により、防水シート内に含まれる改質アスファルト組成物が下方向へ動く現象(だれ)を抑制し、さらに防水シート自体が下方向へずれる現象(ずれ)を抑制することが求められる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、自己粘着性を有し、防水シートに用いる際のだれ及びずれを抑制可能な改質アスファルト組成物を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、特定のプロセスオイル(ナフテン系オイル)とともに用いる場合、ブタジエンゴムのゴム特性によって改質アスファルト組成物の性質が変化するという知見を得た。そこで、所定のゴム特性を示すブタジエンゴムと、ナフテン系オイルとを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、アスファルト、ナフテン系オイル、及び、ブタジエンゴムを有し、上記ブタジエンゴムは、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が36〜50の範囲内であり、かつ、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が72〜100の範囲内であることを特徴とする改質アスファルト組成物を提供する。
本発明によれば、改質アスファルト組成物が、特定のゴム特性を有するブタジエンゴムと、特定のプロセスオイル(ナフテン系オイル)とを含むことにより、自己粘着性を有し、また防水シート中で使用される際に、時間条件や温度条件に起因するだれの発生を抑制することができ、さらに防水シート自体のずれも抑制することができる。
上記発明においては、上記5%トルエン溶液粘度(Tcp)と上記ムーニー粘度(ML1+4)との比(Tcp/ML1+4)が2.00以下であることが好ましい。
上記発明においては、上記ナフテン系オイルは、クルツ法を用いた環分析によるナフテン系炭化水素含有量(CN)が41%〜49%であることが好ましい。
また、本発明においては、上述した改質アスファルト組成物を含むアスファルトコンパウンド層を有することを特徴とする自己粘着防水シートを提供する。
本発明によれば、上述した改質アスファルト組成物を含むアスファルトコンパウンド層を有することで、だれ及びずれを抑制可能な自己粘着防水シートとすることができる。そのため、構造物の立ち上がり面や屋根勾配面に敷設する際に、作業性が良好で、防水性能に優れた防水構造体を形成することができる。
本発明の改質アスファルト組成物は、自己粘着性を有することから、下地面と接着する防水シートの最下層に積層することにより、自己粘着性を有する防水シートを形成することができる。該防水シートを構造物の立ち上がり面や屋根勾配面に敷設することにより防水シートと構造物を一体化することができる。これにより、防水性能に優れた防水構造体を形成することができる。
本発明の改質アスファルト組成物は、自己粘着性を有し、防水シートに用いる際のだれ及びずれを抑制することができるという効果を奏する。
本発明の自己粘着防水シートの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の改質アスファルト組成物、及び自己粘着防水シートについて、詳細に説明する。
1.改質アスファルト組成物
まず、本発明の改質アスファルト組成物について説明する。本発明の改質アスファルト組成物は、アスファルト、ナフテン系オイル、及び、ブタジエンゴムを有し、上記ブタジエンゴムは、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が36〜50の範囲内であり、かつ、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が72〜100の範囲内であることを特徴とするものである。
(1)アスファルト
まず本発明におけるアスファルトについて説明する。本発明におけるアスファルトは、一般的な防水シートに使用されるアスファルトであれば特に限定されるものではなく、目的とする改質アスファルト組成物に応じて適宜選択されるものである。本発明においては、少なくともストレートアスファルトを含むものであることが好ましい。
ここで、本発明におけるストレートアスファルトとしては、原油を常圧又は減圧蒸留してガソリン、灯油、軽油、潤滑油などを取り除いて得られるものであり、針入度(25℃)が10〜250程度のストレートアスファルトを好適に使用できる。
なお、上記針入度(25℃)とは、JIS K 2207−1996「石油アスファルト」に準拠して測定した値である。
また本発明においては、上記ストレートアスファルトの配合割合が、改質アスファルト組成物100質量%中に、例えば25質量%以上とすることができ、25質量%〜35質量%の範囲内とすることが好ましい。
本発明においては、ストレートアスファルトにブローンアスファルトを合わせて用いても良い。ここで、本発明に用いられるブローンアスファルトは、ストレートアスファルトに高温の空気を吹き込み、軟化点を高くしたものであり、ストレートアスファルトと組み合わせることで、アスファルトのせん断力を改善することができる。一方で、ブローンアスファルトの配合割合が大きくなるほど、例えばアスファルトの相溶性等が低下する傾向がみられる。これより、本発明におけるブローンアスファルトの配合割合としては、改質アスファルト組成物100質量%中に、例えば20質量%以下とすることができる。
(2)ナフテン系オイル
次に、本発明におけるナフテン系オイルについて説明する。ここで、本明細書において、ナフテン系オイルは、一般的なゴムの製品化工程に使用されるプロセスオイルの一種であり、具体的には、ゴム成分、フィラー、その他配合剤を混合する際に滑剤として作用し、混合時のゴム組成物の粘度を下げ、配合剤の分散を改善するものである。
本発明におけるナフテン系オイルは、上記プロセスオイルの中で、クルツ法による環分析により得られる芳香族系炭化水素、パラフィン系炭化水素およびナフテン系炭化水素のうち、ナフテン系炭化水素を主体として含有するものである。ナフテン系オイルの配合量としては、プロセスオイルとしての性能を発揮できる程度であれば特に限定されるものではなく、例えば改質アスファルト組成物100質量%中に、20質量%以上とすることができ、25質量%〜35質量%の範囲内、また27質量%〜31質量%の範囲内とすることが好ましい。
また本発明においては、ナフテン系オイルに含まれる芳香族系炭化水素、パラフィン系炭化水素、およびナフテン系炭化水素の含有量の重量百分率をそれぞれCA、CP、CNと表す場合に、CNがCAおよびCPのいずれの値よりも大きいものであれば特に限定されるものではなく、例えば、41質量%〜49質量%の範囲内であることが好ましく、43質量%〜47質量%の範囲内であることより好ましい。
また上記ナフテン系オイルにおけるCAおよびCPは、CNより小さい値であれば特に限定されるものではない。このようなナフテン系オイルとしては、例えば、CNが41質量%〜49質量%、CAが11質量%〜19質量%、およびCPが37質量%〜45質量%となるものを好適に使用することができ、またCNが43質量%〜47質量%、CAが13質量%〜17質量%、およびCPが39質量%〜43質量%となるものを特に好適に使用することができる。
なお、クルツ法による環分析は、STEWART S.KURTZ,RICHARD W.KING,WILLIAM J.STOUT,DOROTHY G.PARTIKIAN,and E.A.SKRABEK,ANALYTICAL CHEMISTRY,VOLUME28,NO.12,DECEMBER1956に記載されている「Relationship between Carbon−Type Composition, Viscosity−Gravity Constant, and Refractivity Intercept of Viscous Fractions of Petroleum」に準じて測定できる。
(3)ブタジエンゴム
次に、本発明におけるブタジエンゴムについて説明する。本発明におけるブタジエンゴムは、1,3−ブタジエンを重合することにより得られる汎用合成ゴムの一種である。本発明においては、ブタジエンゴムがアスファルトを改質可能な程度に配合されていれば特に限定されるものではなく、改質アスファルト組成物100質量%中に、例えば5質量%以上とすることができ、5質量%〜9質量%の範囲内、さらに6質量%〜8質量%の範囲内となるように配合されることが好ましい。
また本発明におけるブタジエンゴムは、通常、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が36〜50の範囲内であり、かつ、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が72〜100の範囲内である。また本発明においては、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が37〜50の範囲内、また38〜49の範囲内、さらに39〜48の範囲内、特に39〜47の範囲内であることが好ましい。また本発明においては、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が、74〜95の範囲内、また75〜91の範囲内、さらに76〜88の範囲内であることが好ましい。100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)および25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が上記範囲に満たない場合、防水シート施工後にコンパウンドダレやシートずれ等の不具合が生じる可能性があるからである。一方で、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)および25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が上記範囲を超える場合、コンパウンドにおけるアスファルトおよびブタジエンゴムの分散性が低下する可能性があるからである。
本発明においては、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)および100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)の比(Tcp/ML1+4)が、例えば2.30未満であることが好ましく、2.00以下であることがより好ましく、1.78〜1.85の範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)の測定方法としては、例えば、JIS−K6300に準拠する方法等が挙げられる。また25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)の測定方法としては、例えば25℃において、5%になるようにトルエンに溶解して、キャノンフェンスケ粘度計を用いて測定する方法等を挙げることができる。
また本発明においては、上記ブタジエンゴムと合わせてスチレン−ブタジエン共重合体を用いても良い。上記スチレン−ブタジエン共重合体としては、アスファルトの改質剤として機能するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合樹脂(SBS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を挙げることができる。なお、上記スチレン−ブタジエン共重合体の配合割合は、目的とする改質アスファルト組成物に応じて適宜調整されるものであり、改質アスファルト組成物100質量%中に、好ましくは1質量%〜5質量%の範囲内、特に好ましくは2質量%〜4質量%の範囲内とすることができる。
(4)改質アスファルト組成物
本発明の改質アスファルト組成物は、本発明の特性を損なわない範囲で、他の添加材をさらに含むものであっても良い。このような添加材は、所望の改質アスファルト組成物に応じて適宜選択されるものであり、具体的には、増量材、発泡剤、架橋剤等を挙げることができる。上述した添加材としては、一般的な改質アスファルト組成物に使用可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、増量材としては、タルク、シリカ、クレー、炭酸カルシウム等を使用することができ、発泡剤としては、蓚酸、クエン酸、酒石酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を使用することができ、架橋剤としては、硫黄系架橋剤、チラウム系架橋剤、樹脂系架橋剤等を使用することができる。
アスファルト系防水シートの製造・加工性及び燃料費等の点から改質アスファルト組成物の軟化点は、好ましくは77℃〜96℃であり、より好ましくは80℃〜90℃であり、特に好ましくは86℃〜87℃である。
また、改質アスファルト組成物の粘度(160℃)は、好ましくは50000〜100000mPa・sであり、さらに好ましくは54000〜80000mPa・sであり、特に好ましくは60000〜75000mPa・sである。
さらに、改質アスファルト組成物の針入度(25℃)は、好ましくは192〜250であり、さらに好ましくは225〜235であり、特に好ましくは227〜233である。
ここで、軟化点とは、JIS K 2207−1996「石油アスファルト」に準拠して測定した値である。また、粘度(160℃)とは、改質アスファルト組成物が160℃の時、B型粘度計を用いてローターNo.34を用いて回転数3rpmで得た値である。
以上のとおり、本実施形態に係る改質アスファルト組成物は、上述したアスファルト、ナフテン系オイル、およびブタジエンゴムを有することを特徴とする。これにより、防水シート施工後におけるシートずれやだれを抑制可能な改質アスファルト組成物を得ることができる。
B.自己粘着防水シート
本発明の自己粘着防水シート(以下、単に防水シートと称して説明することがある。)は、「A.改質アスファルト組成物」に記載の改質アスファルト組成物を含むアスファルトコンパウンド層を有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の自己粘着防水シートの一例を示すものである。図1に示すように、自己粘着防水シート10は、上述した改質アスファルト組成物を含むアスファルトコンパウンド層1が、基材層2と剥離層3との間に形成されたものである。
本発明によれば、アスファルトコンパウンド層が上述した改質アスファルト組成物を含むことから、自己粘着性を有し、アスファルトコンパウンド層における改質アスファルト組成物のだれや、防水シートのずれを抑制可能な自己粘着防水シートとすることができる。
本発明におけるアスファルトコンパウンド層は、上述した改質アスファルト組成物を含むものであれば特に限定されるものではない。アスファルトコンパウンド層の厚みは、目的とする自己粘着防水シートに応じて適宜決定することができ、例えば、0.3mm〜2.0mmの範囲内とすることができる。
本発明の防水シートは、少なくとも上述したアスファルトコンパウンド層を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて、他の構成を有していても良い。
このような他の構成としては、例えば、基材層が挙げられる。本発明において用いられる基材層としては、アスファルトコンパウンド層の補強性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、織布、不織布、フィルム等が挙げられる。ここで、上記不織布、織布は合成樹脂繊維または化学繊維からなるもので、特に合成樹脂繊維からなる不織布であることが好ましい。ここで、合成樹脂としては、目的とする防水シートに応じて適宜選択できるものであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族系ポリエステル等のポリエステル、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン等を挙げることができる。これらの繊維は単独または併用して使用することができる。
上記基材層として用いる不織布または織布の目付は、目的とする防水シートに応じて適宜調整できるものであり、例えば30g/m〜200g/mの範囲内であり、30g/m〜180g/mの範囲内であることが好ましい。上記範囲内とすることで、可撓性を有し、施工作業性が良好になる可能性があるからである。
本発明の防水シートは、剥離層を備えていても良い。このような剥離層としては、一般的な防水シートが有するものを使用することができ、例えば、剥離紙、剥離フィルム等を挙げることができ、中でも、クレープ加工されたもので伸縮性に優れたものを好適に用いることができる。ここで、本発明に使用される剥離紙としては、目的とする防水シートに応じて適宜選択できるものであり、例えば、製紙に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムを積層した剥離紙や、該剥離紙にさらにシリコーン処理を行った剥離紙が挙げられる。剥離性能の点から、シリコーン処理を行った剥離紙が好ましい。また本発明に使用される剥離フィルムとしては、目的とする防水シートに応じて適宜選択できるものであり、例えば、合成樹脂フィルムを用いることができる。具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ナイロン6等のポリアミドフィルムが挙げられる。合成樹脂フィルムとしては、低密度ポリエチレンが柔軟性に優れているため好ましい。また、合成樹脂フィルムは、一軸延伸又は二軸延伸した延伸フィルムであっても、無延伸フィルムであってもよい。合成樹脂フィルムとして、フィルムを2層以上に積層した積層フィルムを用いることもできる。また本発明における剥離フィルムとしては、合成樹脂フィルムに剥離性を付与するためにシリコーン処理を行ったものを用いることができる。また、より良好な剥離性を付与するためにポリエチレン等の樹脂によってラミネート加工されたものを用い、この剥離層にシリコーン処理を行ったものを用いることがさらに好ましい。
上記剥離層の厚みとしては、製造時に支障がなく、施工時又は使用時に損傷を受けにくい適度な厚さであればよく、好ましくは5μm〜500μmの範囲内、より好ましくは10μm〜400μmの範囲内、更に好ましくは20μm〜300μmの範囲内である。温発明においては、アスファルトコンパウンド層に含まれるアスファルトを透過し難いこと、施工者の衣服及び靴、建築部材、屋根部材等を汚さないこと等の点から、上記範囲内とすることが好ましい。
本発明の防水シートは、上述したアスファルトコンパウンド層を備えるものであれば特に限定されるものではなく、目的とする防水シートに応じて適宜層構成を調整できるものであり、一例として、基材層、アスファルトコンパウンド層および剥離層がこの順に構成(積層)されるものを挙げることができる(図1参照)。また本発明の防水シートは、その特性を損なわない範囲で、基材層、アスファルトコンパウンド層および剥離層以外の構成を備えていても良い。このような他の構成としては、一般的な防水シートが有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、自己粘着性を有していない改質アスファルト組成物等の他の改質アスファルト組成物を含む層、シート層、及び粒状物層等を挙げることができる。本発明においては、このような他の構成を単独または2つ以上組み合わせて使用することができる。
防水シートのアスファルトコンパウンド層は、未使用時において自着を防ぐために剥離層を貼り合わせ、敷設時にその剥離層を剥がしながら下地と接着させるため、剥離層との剥離性が優れていることが作業性の面から好ましい。ここで、優れた剥離性とは、剥離層とアスファルトコンパウンド層との界面で剥離し、剥離層に改質アスファルト組成物が付着しない状態である。
本発明の防水シートとしては、上述した自己粘着性を有する改質アスファルト組成物を含むアスファルトコンパウンド層を有することから、構造物の立ち上がり面や屋根勾配面に施工する場合、時間条件(経過時間)や温度条件(高温)の影響により自己粘着層を形成する改質アスファルト組成物が下方向へ動き(だれ)、それにより防水シートが下方向にずれることを抑制する必要がある。垂直に設置したステンレス板に粘着した幅25mm×長さ50mmの防水シートは、70℃の環境下において施工7日後に、下方向へのずれが3.0mm以下であることが好ましく、また1.0mm以下であることがさらに好ましい。また80℃の環境下において、施工7日後に、下方向へのずれが9.5mm以下であることが好ましく、また8.0mm以下であることがさらに好ましく、7.0mm以下であることが特に好ましい。また、同条件で粘着した防水シートの上部を固定した場合の自己粘着性を有する改質アスファルト組成物は、80℃の環境下において施工7日後に、下方向へのだれは、2.0mm以下であることが好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例及び比較例を示して本発明の内容をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(改質アスファルト組成物の調製)
まず、ストレートアスファルト(針入度(25℃):89dmm、配合比:26.9質量%)、ブローンアスファルト(針入度(25℃):14dmm、配合比:10.9質量%)、ナフテン系オイル(CN:44.5%、配合比:29.2質量%)、ブタジエンゴムB(下表1参照、配合比:7.7質量%)、及び添加材等(配合比:25.3質量%)を含む原材料を準備した。なお、各配合比は、改質アスファルト組成物の原材料の合計量100質量%における質量割合である。
次に、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、及びナフテン系オイルをビーカーに投入し、加熱しながら攪拌して溶解を確認した。その後、ブタジエンゴムB等の残りの原材料を投入し、攪拌、溶解させて、改質アスファルト組成物を得た。
Figure 0006383597
ここで、100℃におけるブタジエンゴムA〜Gのムーニー粘度(ML1+4)は、JIS−K6300に準拠する方法により測定した値である。また上記ブタジエンゴムA〜Gの25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)〔cps〕は、5%になるようにブタジエンゴムをトルエンに溶解して、キャノンフェンスケ粘度計を用いて測定した値である。
(評価用防水シートの作成)
幅0.3m、長さ1.5mのポリエステルスパンボンド(不織布)にブローンアスファルトを680g/m含浸させた基材層と72g/mの剥離紙との間に、得られた改質アスファルト組成物を160℃に加熱して厚み1.0mmのアスファルトコンパウンド層を形成し、評価用防水シートを作製した。
[実施例2〜3]
ブタジエンゴムとして、表1に記載のブタジエンゴムC、Dをそれぞれ使用したこと以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物及び評価用防水シートを作製した。
[比較例1〜4]
ブタジエンゴムとして、表1に記載のブタジエンゴムA、E〜Gをそれぞれ使用したこと以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物及び評価用防水シートを作製した。
[評価1]
(改質アスファルト組成物の評価)
得られた改質アスファルト組成物を以下の試験方法で評価した。その結果を表2に示す。
(1)粘度測定
実施例1〜3、比較例1〜4で得られた改質アスファルト組成物(160℃)を、B型粘度計を用いて測定した。なお、ローターは、No.34を用いて、回転数は3rpmとした。
(2)針入度測定
JIS K 2207:1996「石油アスファルト」に準拠して、実施例1〜3、比較例1〜2で得られた改質アスファルト組成物の針入度(dmm)を測定した。
(3)軟化点測定
JIS K 2207:1996「石油アスファルト」に準拠して、実施例1〜3、比較例1〜2で得られた改質アスファルト組成物の軟化点(℃)を測定した。
Figure 0006383597
[評価2]
(評価用防水シートの評価)
(1)だれ・ずれ試験
作製した防水シートを幅25mm×長さ50mmにカットし、幅50mm×長さ125mmのステンレス板表面を♯150研磨紙で仕上げを施しアセトンにて脱脂し、ステンレス板上部より25mmの位置に防水シートを張付け、24時間室温にて養生をした後、70℃、80℃の恒温槽に垂直に立てかけて、各材齢における防水シートのずれ(mm)を測定した。
また、80℃、90℃の恒温槽にて、ずれの試験体のシート上部10mmを耐熱性粘着テープにて動きを拘束し、各材齢における防水シートからの改質アスファルト組成物のだれ(mm)を測定した。
これらの結果を表3に示す。表3に示すように、評価用防水シートのずれは、経過時間に伴って大きくなる傾向であることが確認できた。また温度条件が高くなると、当該ずれは大きくなることが確認できた。なお、評価用防水シートにおけるアスファルトコンパウンド層のだれはいずれも観察されなかった。
実施例1〜3、比較例1〜4の結果から、特定のムーニー粘度および5%トルエン溶液粘度を示すブタジエンゴムと、ナフテン系オイルとを組み合わせてなる改質アスファルト組成物を用いる場合、防水シート製造時(施工後)のずれおよびだれのいずれも抑制できることが確認できた。すなわち、だれ試験においては、実施例1〜3および比較例1〜4のいずれも、90℃環境下における7日経過後でもだれは確認されなかった。一方、ずれ試験においては、実施例1〜3のように、ナフテン系オイルと、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が36〜50の範囲内であり、かつ、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が72〜100の範囲内であるブタジエンゴムとを含む改質アスファルト組成物を使用する場合、80℃環境下における7日後のずれが、8.0mm以下となった。これに対して、比較例1〜4のように、ナフテン系オイルと当該粘度を示さないブタジエンゴムとを含む改質アスファルト組成物を使用する場合、80℃環境下における7日後のずれは9.5mm以上となった。
これより、ナフテン系オイルと組み合わせて改質アスファルト組成物を調製する場合、使用するブタジエンゴムの特性がシートのずれに影響を与える要因の一つであると推定される。
Figure 0006383597
(2)低温折り曲げ亀裂温度測定
恒温槽で養生した25mm幅の評価用防水シートを5mm径の金属棒で折り曲げ、アスファルトコンパウンド層に亀裂が入ったときの温度を測定した。その結果を表3に示す。表3に示すように、実施例1〜3では、低温折り曲げ亀裂温度が−40℃以下となることが確認できた。
(3)分散性評価試験
低温で評価用防水シートを折り曲げ、分断したアスファルトコンパウンド層の断面を偏光顕微鏡(Nikon 社製、OPTIPHOT−2)で観察し、アスファルトの分散性を確認した。その結果を表3に示す。表3に示すように、実施例1〜3では、アスファルトの分散状態が良好であることが確認できた。
以上のように、本発明によれば、自己粘着性を有し、防水シートに用いる際のだれ及びずれを抑制する改質アスファルト組成物、および当該改質アスファルト組成物を含むアスファルトコンパウンド層を有する防水シートを提供することができる。
1 … アスファルトコンパウンド層
2 … 基材層
3 … 剥離層
10 … 自己粘着防水シート

Claims (4)

  1. アスファルト、ナフテン系オイル、及び、ブタジエンゴムを有し、
    前記ブタジエンゴムは、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が36〜50の範囲内であり、かつ、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が72〜100の範囲内であることを特徴とする防水シート用改質アスファルト組成物。
  2. 前記5%トルエン溶液粘度(Tcp)と前記ムーニー粘度(ML1+4)との比(Tcp/ML1+4)が2.00以下であることを特徴とする請求項1に記載の防水シート用改質アスファルト組成物。
  3. 前記ナフテン系オイルは、クルツ法を用いた環分析によるナフテン系炭化水素含有量(CN)が41%〜49%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防水シート用改質アスファルト組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の防水シート用改質アスファルト組成物を含むアスファルトコンパウンド層を有することを特徴とする自己粘着防水シート。
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