JP6383597B2 - 防水シート用改質アスファルト組成物および自己粘着防水シート - Google Patents
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Description
まず、本発明の改質アスファルト組成物について説明する。本発明の改質アスファルト組成物は、アスファルト、ナフテン系オイル、及び、ブタジエンゴムを有し、上記ブタジエンゴムは、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が36〜50の範囲内であり、かつ、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が72〜100の範囲内であることを特徴とするものである。
まず本発明におけるアスファルトについて説明する。本発明におけるアスファルトは、一般的な防水シートに使用されるアスファルトであれば特に限定されるものではなく、目的とする改質アスファルト組成物に応じて適宜選択されるものである。本発明においては、少なくともストレートアスファルトを含むものであることが好ましい。
ここで、本発明におけるストレートアスファルトとしては、原油を常圧又は減圧蒸留してガソリン、灯油、軽油、潤滑油などを取り除いて得られるものであり、針入度(25℃)が10〜250程度のストレートアスファルトを好適に使用できる。
なお、上記針入度(25℃)とは、JIS K 2207−1996「石油アスファルト」に準拠して測定した値である。
次に、本発明におけるナフテン系オイルについて説明する。ここで、本明細書において、ナフテン系オイルは、一般的なゴムの製品化工程に使用されるプロセスオイルの一種であり、具体的には、ゴム成分、フィラー、その他配合剤を混合する際に滑剤として作用し、混合時のゴム組成物の粘度を下げ、配合剤の分散を改善するものである。
本発明におけるナフテン系オイルは、上記プロセスオイルの中で、クルツ法による環分析により得られる芳香族系炭化水素、パラフィン系炭化水素およびナフテン系炭化水素のうち、ナフテン系炭化水素を主体として含有するものである。ナフテン系オイルの配合量としては、プロセスオイルとしての性能を発揮できる程度であれば特に限定されるものではなく、例えば改質アスファルト組成物100質量%中に、20質量%以上とすることができ、25質量%〜35質量%の範囲内、また27質量%〜31質量%の範囲内とすることが好ましい。
また上記ナフテン系オイルにおけるCAおよびCPは、CNより小さい値であれば特に限定されるものではない。このようなナフテン系オイルとしては、例えば、CNが41質量%〜49質量%、CAが11質量%〜19質量%、およびCPが37質量%〜45質量%となるものを好適に使用することができ、またCNが43質量%〜47質量%、CAが13質量%〜17質量%、およびCPが39質量%〜43質量%となるものを特に好適に使用することができる。
次に、本発明におけるブタジエンゴムについて説明する。本発明におけるブタジエンゴムは、1,3−ブタジエンを重合することにより得られる汎用合成ゴムの一種である。本発明においては、ブタジエンゴムがアスファルトを改質可能な程度に配合されていれば特に限定されるものではなく、改質アスファルト組成物100質量%中に、例えば5質量%以上とすることができ、5質量%〜9質量%の範囲内、さらに6質量%〜8質量%の範囲内となるように配合されることが好ましい。
本発明の改質アスファルト組成物は、本発明の特性を損なわない範囲で、他の添加材をさらに含むものであっても良い。このような添加材は、所望の改質アスファルト組成物に応じて適宜選択されるものであり、具体的には、増量材、発泡剤、架橋剤等を挙げることができる。上述した添加材としては、一般的な改質アスファルト組成物に使用可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、増量材としては、タルク、シリカ、クレー、炭酸カルシウム等を使用することができ、発泡剤としては、蓚酸、クエン酸、酒石酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を使用することができ、架橋剤としては、硫黄系架橋剤、チラウム系架橋剤、樹脂系架橋剤等を使用することができる。
本発明の自己粘着防水シート(以下、単に防水シートと称して説明することがある。)は、「A.改質アスファルト組成物」に記載の改質アスファルト組成物を含むアスファルトコンパウンド層を有することを特徴とするものである。
(改質アスファルト組成物の調製)
まず、ストレートアスファルト(針入度(25℃):89dmm、配合比:26.9質量%)、ブローンアスファルト(針入度(25℃):14dmm、配合比:10.9質量%)、ナフテン系オイル(CN:44.5%、配合比:29.2質量%)、ブタジエンゴムB(下表1参照、配合比:7.7質量%)、及び添加材等(配合比:25.3質量%)を含む原材料を準備した。なお、各配合比は、改質アスファルト組成物の原材料の合計量100質量%における質量割合である。
次に、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、及びナフテン系オイルをビーカーに投入し、加熱しながら攪拌して溶解を確認した。その後、ブタジエンゴムB等の残りの原材料を投入し、攪拌、溶解させて、改質アスファルト組成物を得た。
幅0.3m、長さ1.5mのポリエステルスパンボンド(不織布)にブローンアスファルトを680g/m2含浸させた基材層と72g/m2の剥離紙との間に、得られた改質アスファルト組成物を160℃に加熱して厚み1.0mmのアスファルトコンパウンド層を形成し、評価用防水シートを作製した。
ブタジエンゴムとして、表1に記載のブタジエンゴムC、Dをそれぞれ使用したこと以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物及び評価用防水シートを作製した。
ブタジエンゴムとして、表1に記載のブタジエンゴムA、E〜Gをそれぞれ使用したこと以外は、実施例1と同様にして、改質アスファルト組成物及び評価用防水シートを作製した。
(改質アスファルト組成物の評価)
得られた改質アスファルト組成物を以下の試験方法で評価した。その結果を表2に示す。
(1)粘度測定
実施例1〜3、比較例1〜4で得られた改質アスファルト組成物(160℃)を、B型粘度計を用いて測定した。なお、ローターは、No.34を用いて、回転数は3rpmとした。
(2)針入度測定
JIS K 2207:1996「石油アスファルト」に準拠して、実施例1〜3、比較例1〜2で得られた改質アスファルト組成物の針入度(dmm)を測定した。
(3)軟化点測定
JIS K 2207:1996「石油アスファルト」に準拠して、実施例1〜3、比較例1〜2で得られた改質アスファルト組成物の軟化点(℃)を測定した。
(評価用防水シートの評価)
(1)だれ・ずれ試験
作製した防水シートを幅25mm×長さ50mmにカットし、幅50mm×長さ125mmのステンレス板表面を♯150研磨紙で仕上げを施しアセトンにて脱脂し、ステンレス板上部より25mmの位置に防水シートを張付け、24時間室温にて養生をした後、70℃、80℃の恒温槽に垂直に立てかけて、各材齢における防水シートのずれ(mm)を測定した。
また、80℃、90℃の恒温槽にて、ずれの試験体のシート上部10mmを耐熱性粘着テープにて動きを拘束し、各材齢における防水シートからの改質アスファルト組成物のだれ(mm)を測定した。
これらの結果を表3に示す。表3に示すように、評価用防水シートのずれは、経過時間に伴って大きくなる傾向であることが確認できた。また温度条件が高くなると、当該ずれは大きくなることが確認できた。なお、評価用防水シートにおけるアスファルトコンパウンド層のだれはいずれも観察されなかった。
実施例1〜3、比較例1〜4の結果から、特定のムーニー粘度および5%トルエン溶液粘度を示すブタジエンゴムと、ナフテン系オイルとを組み合わせてなる改質アスファルト組成物を用いる場合、防水シート製造時(施工後)のずれおよびだれのいずれも抑制できることが確認できた。すなわち、だれ試験においては、実施例1〜3および比較例1〜4のいずれも、90℃環境下における7日経過後でもだれは確認されなかった。一方、ずれ試験においては、実施例1〜3のように、ナフテン系オイルと、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が36〜50の範囲内であり、かつ、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が72〜100の範囲内であるブタジエンゴムとを含む改質アスファルト組成物を使用する場合、80℃環境下における7日後のずれが、8.0mm以下となった。これに対して、比較例1〜4のように、ナフテン系オイルと当該粘度を示さないブタジエンゴムとを含む改質アスファルト組成物を使用する場合、80℃環境下における7日後のずれは9.5mm以上となった。
これより、ナフテン系オイルと組み合わせて改質アスファルト組成物を調製する場合、使用するブタジエンゴムの特性がシートのずれに影響を与える要因の一つであると推定される。
恒温槽で養生した25mm幅の評価用防水シートを5mm径の金属棒で折り曲げ、アスファルトコンパウンド層に亀裂が入ったときの温度を測定した。その結果を表3に示す。表3に示すように、実施例1〜3では、低温折り曲げ亀裂温度が−40℃以下となることが確認できた。
低温で評価用防水シートを折り曲げ、分断したアスファルトコンパウンド層の断面を偏光顕微鏡(Nikon 社製、OPTIPHOT−2)で観察し、アスファルトの分散性を確認した。その結果を表3に示す。表3に示すように、実施例1〜3では、アスファルトの分散状態が良好であることが確認できた。
2 … 基材層
3 … 剥離層
10 … 自己粘着防水シート
Claims (4)
- アスファルト、ナフテン系オイル、及び、ブタジエンゴムを有し、
前記ブタジエンゴムは、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が36〜50の範囲内であり、かつ、25℃における5%トルエン溶液粘度(Tcp)が72〜100の範囲内であることを特徴とする防水シート用改質アスファルト組成物。 - 前記5%トルエン溶液粘度(Tcp)と前記ムーニー粘度(ML1+4)との比(Tcp/ML1+4)が2.00以下であることを特徴とする請求項1に記載の防水シート用改質アスファルト組成物。
- 前記ナフテン系オイルは、クルツ法を用いた環分析によるナフテン系炭化水素含有量(CN)が41%〜49%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防水シート用改質アスファルト組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の防水シート用改質アスファルト組成物を含むアスファルトコンパウンド層を有することを特徴とする自己粘着防水シート。
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