JP6373117B2 - ブラシカオレラセア種植物およびその製造方法 - Google Patents

ブラシカオレラセア種植物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ブラシカ オレラセア種植物およびその製造方法に関する。
ブラシカ オレラセア種植物(Brassica oleracea)の中でも、いわゆるハボタン(Brassica oleracea var. acephala f. tricolor)は、茎長が長く、葉が白色や紅色に着色して牡丹のような外観である。このため、お正月の生け花等、特に観賞用植物としての需要が高い。
しかし、ハボタンは、生育が遅いため、十分な茎長を有し且つ葉が着色する段階にまで栽培して12月中旬頃に出荷するには、7月中旬頃に播種を行い、約150日程度の栽培期間を要する。しかしながら、近年の夏期の高温化により、発芽の不良および生育障害が生じ、品質低下が問題視されている(非特許文献1)。一方、高温回避のためには、播種期を遅らせることが考えられるが、播種期を遅らせると、12月中旬の出荷時までに十分な茎長を確保することが困難である(非特許文献2)。また、夏期の播種は、生産者にとっても労力を要するものである。
農林水産省生産局(平成20年) 「平成19年夏季高温障害対策レポート」 和歌山県農林水産部農林水産総務課研究推進室 平成24年度和歌山県農林水産試験研究成果情報(平成25年) 「切り花ハボタンの切り花長確保のための定植時期と電照栽培による草丈伸長効果」
そこで、本発明は、茎の伸長が速いブラシカ オレラセア種植物およびその製造方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のブラシカ オレラセア種植物は、茎長の短いハボタン品種と同じ条件で栽培した場合、同じ栽培期間経過時において、茎長が、前記ハボタン品種の茎長と比較して1.3倍以上長くなることを特徴とする。
本発明のブラシカ オレラセア種植物の製造方法は、第1の親系統と第2の親系統とを交雑することにより、後代系統のブラシカ オレラセア種植物を得る交雑工程を含み、
前記第1の親系統が、前記本発明のブラシカ オレラセア種植物であり、
前記第2の親系統が、ブラシカ オレラセア(Brassica oleracea)種植物であることを特徴とする。
本発明のブラシカ オレラセア種植物は、流通しているブラシカ オレラセア種植物と比較して、茎の伸長が速い。このため、播種から出荷までの期間を短縮できる。また、年末の出荷の場合、ブラシカ オレラセア種植物は、通常、十分な茎長を得るには、7月中旬頃の盛夏期に播種する必要があるが、本発明の場合、前述のように、播種から出荷までの期間を短縮できるため、盛夏期を過ぎた9月頃に播種しても、年末には十分な茎長を得ることができる。このため、本発明によれば、ブラシカ オレラセア種植物の製造における労力を低減し、市場への供給が容易となる。
図1は、胚軸長、茎長を説明する図である。 図2は、実施例2における本発明のハボタン植物の幼苗を示す写真である。 図3は、実施例3における親系統A−1の製造スキームを示す図である。 図4は、実施例4における本発明ブラシカ オレラセア植物を示す写真である。 図5は、実施例5における本発明のブラシカ オレラセア植物の日本の温暖地での播種から出荷期を示す。
(1)ブラシカ オレラセア種植物
本発明のブラシカ オレラセア種植物は、前述のように、茎長の短いハボタン品種と同じ条件で栽培した場合、同じ栽培期間経過時において、茎長が、前記ハボタン品種の茎長と比較して1.3倍以上長くなることを特徴とする。
本発明において、「ブラシカ オレラセア種植物」(Brassica oleracea)は、特に制限されず、例えば、以下のものがあげられる。前記ブラシカ オレラセア種植物は、例えば、観賞用である。
ハボタン(Brassica oleracea var. acephala f. tricolor)
ハボタン変種(Brassica oleracea L. var. acephala DC.)
ケール変種(Brassica oleracea L. convar. acephala (DC) Alef. var. sabellica L.)
飼料用ケール変種(Brassica oleracea L. convar. acephala (DC) Alef. var. viridis L.)
カリフラワー変種(Brassica oleracea L. convar. botrytis (L.) Alef. var. botrytis)
ブロッコリー変種(Brassica oleracea L. convar. botrytis (L.) Alef. var. cymosa Duch.)
キャベツ亜種(Brassica oleracea L. convar. capitata (L.) Alef.)
メキャベツ(Brassica oleracea (L.) var. gemmifera Zenker)
本発明において、「植物」は、植物全体を示す植物個体および前記植物個体の部分のいずれの意味であってもよい。前記植物個体の部分は、例えば、器官、組織、細胞または栄養繁殖体等があげられ、いずれでもよい。前記器官は、例えば、花弁、花冠、花、葉、種子、果実、茎、根等があげられる。前記組織は、例えば、前記器官の部分である。前記植物体の部分は、例えば、一種類の器官、組織および/または細胞でもよいし、二種類以上の器官、組織および/または細胞でもよい。
本発明において、前記茎長の短いハボタン品種(以下、「比較ハボタン品種」ともいう)との比較を行うための前記栽培条件は、特に制限されず、同じ栽培条件であればよい。前記比較のための栽培条件は、例えば、以下のように例示できる。
本発明において、前記比較ハボタン品種との茎長の比較は、同じ栽培条件で栽培し、同じ栽培期間経過時に行う。前記比較を行う栽培期間経過時は、特に制限されず、例えば、以下のように例示できる。
本発明において、前記茎長とは、例えば、地際部から茎頂部(茎の生長点部分)までの長さを意味する。本発明のブラシカ オレラセア種植物の茎長は、前記比較ハボタン品種の茎長と比較して、前述のように1.3倍以上であり、例えば、1.4倍以上、1.5倍以上、1.8倍以上である。
本発明において、前記茎長の比較は、例えば、苗の段階で行ってもよいし、圃場や栽培容器に移植、定植した後の段階で行ってもよいし、葉が着色した段階で行ってもよい。ここでいう葉が着色した段階とは緑色以外の葉色が目視で確認できる状態を指す。具体例として、播種を1日目として、約20日目から35日目に移植および定植を行い、約60日目以上(例えば、90日目以上)で着色始める場合、本発明における前記茎長の比較は、例えば、播種を1日目として、10日目から35日目までの期間、36日目から60日目までの期間、61日目から100日目までの期間に行う。
本発明において、前記比較ハボタン品種との茎長の比較を行うにあたって、前記栽培は、例えば、葉表面に矮化剤を散布する工程を含んでもよい。本発明のブラシカ オレラセア種植物は、前記矮化剤によっても茎の伸長が阻害され難い。このため、本発明のブラシカ オレラセア種植物は、例えば、前記矮化剤の散布を含む同条件の栽培を行った場合、同じ栽培期間経過時において、茎長が、前記比較ハボタン品種の茎長と比較して1.3倍以上長くなる。前記茎長の倍率は、例えば、1.4以上、1.5倍以上、1.8倍以上である。
前記矮化剤の散布の時期は、特に制限されず、例えば、播種を1日目として、4日目から10日目までの期間中、11日目から35日目までの期間中に行う。一般的に、播種を
1日目として、発芽後に子葉が展開するのが、約3日目であるため、矮化剤の撒布は、前述のように4日目以降であることが好ましい。本前記矮化剤の散布は、例えば、1個体に対して、1回でもよいし、複数回でもよい。複数回の場合、例えば、10日ごとに、1日あたり1回の散布を行う。
前記矮化剤は、特に制限されず、例えば、有効成分として、N−(ジメチルアミノ)−スクシンアミド酸(ダミノジッドともいう)があげられ、市販品として、例えば、ビーナイン(商標、商品名、日本曹達株式会社)が例示できる。散布に使用する前記矮化剤における前記有効の濃度は、例えば、0.1〜0.2w/v%、0.3〜0.4w/v%、0.5〜0.8w/v%である。本発明におけるブラシカ オレラセア種植物が、例えば、ハボタンの場合、前記矮化剤の量は、例えば、前述のような範囲が好ましい。他方、ハボタン以外の場合、前記矮化剤の量は、例えば、0.8〜0.016w/v%である。
前記矮化剤の散布は、特に制限されず、例えば、播種した後、得られた苗の葉表面に矮化剤を散布する。1個体に対する1回の前記矮化剤の散布量は、特に制限されず、葉表面の面積葉面積1cmあたり、例えば、0.5〜3mg、3〜10mg、10〜20mgである。
前記矮化剤を散布した場合、茎長の比較は、例えば、前記矮化剤の散布を1日目として、5日目から9日目までの期間、10日目から20日目までの期間、21日目から35日目までの期間に行う。
本発明のブラシカ オレラセア種植物について、茎長の伸長速度以外の特徴、例えば、形質的、生態的特徴等は、特に限定されない。
本発明のブラシカ オレラセア種植物は、例えば、一例として、受託番号FERM P−22274で寄託されたハボタン科植物またはその後代系統があげられる。寄託の情報を以下に示す。
寄託の種類:国内寄託
寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター
あて名:日本国 〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 120号室
受託番号:FERM P−22274
識別のための表示:Takii 6
受領日:2014年5月30日
本発明において、前記後代系統とは、例えば、自殖交雑後代でもよいし、戻し交雑後代でもよい。
前記比較ハボタン品種は、特に制限されず、例えば、ハボタン品種初夢、ハボタン品種白寿等があげられる。
(2)ブラシカ オレラセア種植物の製造方法
本発明のブラシカ オレラセア種植物の製造方法は、前述のように、第1の親系統と第2の親系統とを交雑することにより、後代系統のブラシカ オレラセア種植物を得る交雑工程を含み、
前記第1の親系統が、前記本発明のブラシカ オレラセア種植物であり、
前記第2の親系統が、ブラシカ オレラセア(Brassica oleracea)種植物であることを特徴とする。
本発明によれば、例えば、茎の伸長が速いブラシカ オレラセア種植物を得ることができる。本発明の製造方法は、前記本発明のブラシカ オレラセア種植物を、第1の親系統として使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、何ら制限されない。本発明の製造方法は、例えば、育成方法または育種方法ということもできる。
本発明において、前記第1の親系統と前記第2の親系統との交雑は、例えば、同一個体間の交雑(正自家受粉)でもよいし、同一クローン個体間または近交系で維持されている系統の個体間の交雑(準自家受粉)でもよいし、異なる個体間の交雑(他家受粉)でもよい。前記正自家受粉の場合、前記第1の親系統および前記第2の親系統は、例えば、いずれか一方が同一個体における雌器官であり、他方が、同一個体における花粉である。前記準自家受粉とは、例えば、自家不和合性に関するS遺伝子型が同じである場合があげられ、前記他家受粉は、例えば、自家不和合性に関するS遺伝子型が異なる場合があげられる。ブラシカ オレラセア種植物の交雑においては、前記第1の親系統と前記第2の親系統とが、異なるS遺伝子型であり、前記交雑が他家受粉であることが好ましい。
本発明において、前記第1の親系統は、前記本発明のブラシカ オレラセア種植物であり、例えば、前述のような受託番号FERM P−22274で寄託されたハボタン植物またはその後代系統が使用できる。
本発明の製造方法は、例えば、前記交雑工程の後、さらに、前記交雑工程で得られた後代系統を育成する工程を有してもよい。
本発明の製造方法は、さらに、前記交雑工程において得られた後代系統について、茎長を確認し、所定の伸長能を有するものを選抜する工程を含んでもよい。
前記選抜工程における茎の伸長能の確認は、例えば、前記比較ハボタン品種との比較により行うことができ、前記本発明のブラシカ オレラセア種植物における説明を援用できる。
具体的には、本発明の製造方法は、例えば、さらに選抜工程を含み、前記選抜工程が、前記交雑工程で得られた後代系統を、前記比較ハボタン品種と同じ条件で栽培し、同じ栽培期間経過時において、茎長が、前記比較ハボタン品種の茎長と比較して1.3倍以上長いものを選抜する工程である。
また、前記選抜工程は、例えば、矮化剤の散布を含む工程でもよい。具体的には、本発明の製造方法は、例えば、さらに、選抜工程を含み、前記選抜工程が、前記交雑工程で得られた後代系統を栽培し、前記後代系統の葉表面に矮化剤を散布し、前記矮化剤の散布から所定日数経過時における茎長を測定し、同じ条件で栽培および前記矮化剤の散布を行った前記比較ハボタン品種の茎長と比較して1.3倍以上長いものを選抜する工程であり、前記矮化剤の散布を、前記後代系統の播種を1日目として、4日目から10日目までの期間中に行い、前記茎長の測定を、前記矮化剤の散布を1日目として、10日目から20日目までの期間に行う。
前記選抜工程は、前記茎の伸長速度の特性に加え、さらにその他の特性による選抜を行ってもよい。前記特性としては、例えば、一般的なブラシカ オレラセア種植物、系統、品種の選抜等と同様に行えばよく、具体例としては、葉の形、大きさ、葉柄の主茎に対する角度、葉色の変色状態等があげられる。
本発明のブラシカ オレラセア種植物は、例えば、前記本発明の製造方法により得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に記載された態様に限定されるものではない。
またハボタンの葉色の変化は、低温に遭遇することで、白色系品種では生長点付近の未発達の葉が、葉緑素合成が阻害されたまま白色葉として発達するものであり、赤色、紅色系品種ではアントシアニン色素合成が促進されるためであることは一般的に知られている。前記のハボタンの葉色変化はおおよそ平均気温が15℃、最低気温が10℃以下になる時期を中心に生じ始めることも広く知られている。
[実施例1]
本発明のハボタン植物である系統A(Brassica oleracea var. acephala f. tricolor、受託番号FERM P−22274)と、市販のハボタン品種「白寿」(品種登録番号第1570号、有限会社石井育種場)、「初夢」(タキイ種苗株式会社)との栽培期間中の茎長を比較した。
(実施例1−1)
育苗時における、系統Aと、白寿および初夢との茎長比較を行った。
9月1日に、200穴のセル成型苗育苗トレイ(商品名:タキイ根巻防止セルトレイM型、タキイ種苗株式会社)3枚に、培土(商品名:たねまき培土、タキイ種苗株式会社製)を充填し、各トレイに、系統A、白寿および初夢の種子を、それぞれ200粒ずつ播種した。そして、前記セル成型苗の慣行の育苗方法に準じて、それぞれを育苗した後、胚軸長および茎長を確認した。播種後2日間、約20℃の恒温室で管理し、その後、農業用ビニールハウス内で育苗した。前記育苗トレイ中の培土への灌水は、以下のように行った。すなわち、晴天時には、1日2回、前記トレイの底穴から水がしみ出る程度に十分に行い、曇雨天時には、苗の萎凋程度等の状態を見て、適宜灌水した。日長管理は、自然状態とし、外気温は、下記表1に示す通りとした。
播種から20日後に、胚軸長および茎長を確認した結果を、表2に示す。また、図1に、幼苗の写真を示し、胚軸長および茎長の意味を説明する。図1に示すように、胚軸とは、子葉より下部の茎を意味し、胚軸長は、地際部から子葉までの茎長を意味し、茎長は、胚軸長と、子葉より上部の茎の長さとを含めた長さを意味する。
(実施例1−2)
定植1ヶ月後および収穫時における、系統Aと、白寿および初夢との茎長比較
農業用ビニールハウス内の耕土に、10アールあたり、基肥として窒素成分8kg、リン酸成分6kg、カリウム成分8kgおよび苦石灰70kgを添加した後、耕耘し、幅150cmの畝を作った。播種25日後の各系統品種の苗を60株ずつ、株間12cm、5条植えで定植した(9月25日)。そして、定植から1か月後の10月25日と、定植から約3か月後の12月20日の収穫時に、これらの茎長およびその比率を測定した。これらの結果を、下記表3および4に示す。
前記表3および4に示すように、本発明のハボタン植物である系統Aは、同じ条件の栽培期間において、初夢および白寿に比べて、茎長が1.3倍以上長かった。
[実施例2]
矮化剤ビーナイン処理を行い、系統Aと、白寿および初夢の茎長比較を行った。
9月1日に、200穴のセル成型苗育苗トレイ(商品名:タキイ根巻防止セルトレイ M型、タキイ種苗株式会社製)2枚に、培土(商品名:たねまき培土、タキイ種苗株式会社製)を充填し、各トレイに、系統A、初夢(タキイ種苗株式会社)、白寿(品種登録番号第1570号、有限会社石井育種場)、紅寿(品種登録番号第1569号、有限会社石井育種場)の種子を、それぞれ50粒ずつ播種した。そして、これらの育苗は、実施例1と同様に行った。播種から7日目に、前記育苗トレイ2枚のうち一方を、矮化剤未処理群、他方を、矮化剤処理群とし、前者には、矮化剤の散布を行った。前記矮化剤は、ビーナイン(商標)顆粒水溶剤(商品名、日本曹達株式会社製、ダミジット含量80w/w%)を水道水に200倍となるように溶解したものを使用した。前記矮化剤の散布は、噴霧器を使用して、栽培した植物体の葉表面に行い、葉1cmあたりダミジット7.2±2.2mg/cmとした。
播種から20日目に、前記矮化剤未処理群と前記矮化処理群の胚軸長および茎長を測定した。これらの結果を、表5に示す。表5において、(A)は、前記未処理群の結果であり、(B)は、前記矮化処理群の結果である。また、図2に、前記系統Aおよび初夢について、播種から20日目における前記未処理群と前記矮化処理群の写真を示し、(A)が、前記未処理群であり、(B)が、前記矮化処理群である。
前記表5に示すように、前記未処理群においても、前記矮化処理群においても、本発明のハボタン植物である系統Aの茎長は、初夢の1.3倍以上であった。特に、表5の(B)に示すように、矮化処理群の場合、それぞれの未処理群と比較して、初夢、白寿および紅寿は、著しく茎長が低下した。これに対して、系統Aは、初夢の2.62倍もの茎長を示した。
[実施例3]
系統Aと既存品種(固定種)を利用して、親系統となる後代を製造した。
(1)親系統A−1の製造
図3のスキームに示すようにして、親系統A−1を製造した。すなわち、系統Aとハボタン品種「瀬戸の日の出」(白色系、品種登録番号3467号、タキイ種苗株式会社)とを交雑し、F1を製造した。次に、前記F1に「瀬戸の日の出」を戻し交雑して、BC1を製造し、さらに、前記BC1に「瀬戸の日の出」を戻し交雑して、BC2を製造した。前記BC2を自殖し、前記BC2のF2種子(BC2F2)を採種した。
得られたBC2F2種子150粒および「瀬戸の日の出」の種子50粒を、それぞれ、実施例2と同様にして、育苗し、また、播種から7日目に矮化剤処理を行った。矮化剤処理後14日目(播種から21日目)に、茎長を測定し、BC2F2について、「瀬戸の日の出」の茎長(20株の平均)と比べて2倍以上の茎長を示し、かつ、苗の葉形等からハボタン親系統として所望の特性(0034段落参照)を持つ6個体を選抜した。そして、前記選抜個体(BC2F3)の自殖を2回繰り返すことによって、最終的に、遺伝的にほぼ固定された1系統BC2F5を製造し、親系統A−1とした。
(2)親系統A−2の製造
ハボタン品種「瀬戸の日の出」に代えて、「瀬戸の舞姫」(紅色系、品種登録番号5145号、タキイ種苗株式会社)を使用した以外は、前記(1)と同様にして、系統Aとの交雑を行い、親系統A−2(紅系)を製造した。
[実施例4]
前記実施例3で得られた親系統A−1およびA―2と、既存品種(固定種)との交雑によりF1を製造し、初夢および白寿との茎長比較を行った。
前記親系統A−1と「瀬戸の日の出」とを交雑し、ハボタンF1(以下、「A−1F1白」という)を製造した。また、前記親系統A−2と「瀬戸の舞姫」とを交雑し、ハボタンF1(以下、「A−2F1紅」という)を製造した。
前記実施例1−2と同様にして、前記A−1F1白、前記A−2F1紅および初夢を栽培し、茎長を比較した。播種日は9月初旬とし、茎長調査は12月初旬とした。これらの結果を、下記表6に示す。下記表6に示すように、ハボタン植物A−1F1白およびA−2F1紅は、茎伸長にすぐれ、初夢に比べ1.3以上の茎長を示した。また、図4に、茎長調査(12月20日)前の12月初旬における初夢とハボタン植物A−1F1白との比較写真を示す。
[実施例5]
本発明のハボタン植物である系統A(Brassica oleracea var. acephala f. tricolor、受託番号FERM P−22274)、市販のハボタン品種「白寿」(品種登録番号第1570号、有限会社石井育種場)および「初夢」(タキイ種苗株式会社)を、年間平均気温12〜15℃の日本の温暖地(滋賀県)において、播種し、出荷期を比較した。
7月中旬、200穴のセル成型苗育苗トレイ(商品名:タキイ根巻防止セルトレイM型、タキイ種苗株式会社)3枚に、培土(商品名:たねまき培土、タキイ種苗株式会社製)を充填し、前記トレイに、白寿および初夢の種子を播種した。そして、前記セル成型苗の慣行の育苗方法に準じて、それぞれを育苗した。他方、農業用ビニールハウス内の耕土に、10アールあたり、基肥として窒素成分8kg、リン酸成分6kg、カリウム成分8kgおよび苦石灰70kgを添加した後、耕耘し、幅150cmの畝を作った。そして、8月中旬、播種してから25日後の白寿および初夢の苗を、株間12cm、5条植えで定植した。その結果、12月初旬から中旬にかけて、観賞用として出荷可能な茎長となったハボタンが得られた。
系統Aについては、9月初旬に播種を行った以外は、前述と同様にして、ハボタンの育種を行った。その結果、白寿および初夢と同様に、12月初旬から中旬にかけて、観賞用として出荷可能な茎長となったハボタンが得られた。
これらの結果を、図5に示す。図5は、播種と出荷期を示す概略図である。このように、系統Aは、白寿および初夢よりも1.5か月後の8月下旬に播種を開始したにもかかわらず、同時期に、観賞用として出荷可能な茎長にまで生育することができた。
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
以上のように、本発明のブラシカ オレラセア種植物は、流通しているブラシカ オレラセア種植物と比較して、茎の伸長が速い。このため、播種から出荷までの期間を短縮できる。また、年末の出荷の場合、ブラシカ オレラセア種植物は、通常、十分な茎長を得るには、7月中旬頃の盛夏期に播種する必要があるが、本発明の場合、前述のように、播種から出荷までの期間を短縮できるため、盛夏期を過ぎた9月頃に播種しても、年末には十分な茎長を得ることができる。このため、本発明によれば、ブラシカ オレラセア種植物の製造における労力を低減し、市場への供給を容易にすることができる。

Claims (6)

  1. 受託番号FERM P−22274で特定されるブラシカ オレラセア種植物またはその後代系統であることを特徴とする、ブラシカ オレラセア種植物。
  2. 茎長の短いハボタン品種と同じ条件で栽培した場合、同じ栽培期間経過時において、茎長が、前記ハボタン品種の茎長と比較して1.3倍以上長くなり、
    受託番号FERM P−22274で特定されるブラシカ オレラセア種植物またはその後代系統であることを特徴とするブラシカ オレラセア種植物。
  3. 第1の親系統と第2の親系統とを交雑することにより、後代系統のブラシカ オレラセア種植物を得る交雑工程を含み、
    前記第1の親系統が、請求項1または2記載のブラシカ オレラセア種植物であり、
    前記第2の親系統が、ブラシカ オレラセア(Brassica oleracea)種植物であることを特徴とするブラシカ オレラセア種植物の製造方法。
  4. さらに、選抜工程を含み、
    前記選抜工程が、前記交雑工程で得られた後代系統を、茎長の短いハボタン品種と同じ条件で栽培し、同じ栽培期間経過時において、茎長が、前記ハボタン品種の茎長と比較して1.3倍以上長いものを選抜する工程である、請求項3記載の製造方法。
  5. さらに、選抜工程を含み、
    前記選抜工程が、前記交雑工程で得られた後代系統を栽培し、前記後代系統の葉表面に矮化剤を散布し、前記矮化剤の散布から所定日数経過時における茎長を測定し、同じ条件で栽培および前記矮化剤の散布を行った茎長の短いハボタン品種の茎長と比較して1.3倍以上長いものを選抜する工程であり、
    前記矮化剤の散布を、前記後代系統の播種を1日目として、4日目から10日目までの期間中に行い、
    前記茎長の測定を、前記矮化剤の散布を1日目として、10日目から20日目までの期間に行う、請求項3または4記載の製造方法。
  6. 前記矮化剤が、N−(ジメチルアミノ)−スクシンアミド酸である、請求項5記載の製造方法。
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