JP6371603B2 - 複合発電システム用電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のタイプの発電設備を接続可能な複合発電システムのための電力変換装置に関し、特に、交流電力系統と、回転動力に基づいて発電する発電設備との間に設けられる複合発電システム用電力変換装置に関する。
近年、例えば、ガスタービン発電機やバイナリー発電機等の原動機発電機および燃料電池等の発電設備さらには蓄電設備を含む、複数の種類の電源設備を複数接続した電力供給システムが研究されている。例えば、特定のエリアにおいて、上記のような発電設備を複数含む分散型発電設備を用い、当該発電設備から複数の負荷へ電力供給を行うマイクログリッドと呼ばれるシステムが提案されている。このようなマイクログリッドは、商用電力系統とは独立して運用される形態と、商用電力系統と連系して運用される形態とが含まれる。このようなマイクログリッド等の複合発電システムにおいては、複数の発電設備を接続する際に、発電設備と電源系統との間に電力変換装置を接続して、当該発電設備が各発電設備と連系した動作を可能としている。
また、離島や新興国等の僻地において、大規模な商用電力系統と接続されていない場所では、ディーゼル発電機等の比較的小規模な原動機発電設備を使用して自立した発電システムを構築する場合がある。特に、このような僻地では、燃料の輸送費が高くなり、発電単価が高くなる傾向にあるため、温泉等、比較的温度の低い熱源がある場所では、地熱を利用したバイナリー発電機の導入が注目されている。バイナリー発電機を導入する際、バイナリー発電機は、バイナリー発電単独での自立運転させることが想定されるが、非常時やメンテナンス時等においては他の原動機発電設備等との連系運転が可能であることが望まれる。
バイナリー発電機等の回転動力に基づいて発電する発電設備を含む複数の発電設備において連系運転と自立運転とを制御方式を変更することなく切り替えられる構成として特許文献1のような構成が提案されている。特許文献1においては、交流電力系統に電力変換器を介して蓄電デバイスが接続された構成において、当該電力変換器の交流側(交流電力系統側)の電圧および電流を計測し、これらの計測値を用いて、電力変換器および蓄電デバイスの代わりに仮想の発電機が交流電力系統に接続されているとみなして交流電力系統の負荷変化に応じた出力制御を行っている。
国際公開2013/008413号
しかし、回転動力に基づいて発電する発電設備においては、構造上、負荷変化が生じてから出力変更制御を行うまでの応答速度が遅い問題がある。特に、上述したような僻地における発電システムでは、電力システムにおいて必要な全電力に対して1つの発電設備あたりの発電量の変化の割合が高くなる。すなわち、1箇所当たりの負荷変動が系統全体に影響を与える割合が高くなる。このため、特許文献1に記載されたような制御方法では複合発電システムの環境によっては応答速度が遅くなる場合がある。
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、出力調整を迅速かつ適正に行うことにより、発電設備の自立運転を適正に行うことができる複合発電システム用電力変換装置を提供することにある。
本発明の一態様に係る複合発電システム用電力変換装置は、交流電力系統と、回転機の回転動力に基づいて発電する発電設備との間に設けられる複合発電システム用電力変換装置であって、前記発電設備からの交流電力を直流電力に変換する発電設備側電力変換器と、前記発電設備側電力変換器の直流側端子に直流リンク部を介して接続され、前記発電設備側電力変換器によって変換された直流電力を交流電力に変換する系統側電力変換器と、前記直流リンク部に、DC/DCコンバータを介して接続される蓄電設備と、を備え、前記系統側電力変換器は、当該系統側電力変換器の交流側の電圧および電流を計測し、これらの計測値を用いて、前記系統側電力変換器の代わりに仮想の発電機が前記交流電力系統に接続されているとみなして前記交流電力系統への出力制御を行うように構成され、前記発電設備側電力変換器は、前記回転機の回転速度に応じて前記直流リンク部の直流電圧(以下、直流中間電圧)を変化させる電圧制御を行うように構成され、前記DC/DCコンバータは、前記直流中間電圧の変化に応じて前記蓄電設備の充放電量を変化させるように構成される。
上記構成によれば、系統側電力変換器と発電設備側電力変換器との間の直流リンク部に、DC/DCコンバータを介して蓄電設備が接続される。系統側電力変換器が当該系統側電力変換器の代わりに仮想の発電機が交流電力系統に接続されているとみなして電力を交流電力系統へ出力する制御を行う。これにより、系統との連系運転と自立運転との切り替えを制御方式を変更せずに実現できる。また、他の発電機の運転を必要とせず、電力変換装置のみでの自立運転が可能となる。さらに、交流電力系統において負荷の変動が生じることにより、直流リンク部における直流中間電圧が変化することに伴い、発電設備側電力変換器は、回転機の回転速度に応じて直流中間電圧を変化させる電圧制御を行う。この際、DC/DCコンバータは、直流中間電圧の変化に応じて蓄電設備からの充放電量を変化させる。これにより、発電設備の速度一定制御が立ち上がってくるまでの間(応答が遅れている間)、DC/DCコンバータが直流中間電圧の増減を補うように電圧制御を行うことで発電設備が追従できない負荷変動分を蓄電設備が補っている。ここで、DC/DCコンバータにおいてはDC/DCコンバータ目標電圧と直流中間電圧との間に偏差が残るように充放電を調整(制御)する。この偏差は、DC/DCコンバータの充放電制御の後から立ち上がってきた発電設備の速度一定制御により修正される。すなわち、発電設備における速度一定制御の応答遅れを、時間遅れを伴わないDC/DCコンバータの充放電制御により時間的に補い、DC/DCコンバータの充放電制御における目標中間電圧との偏差を、発電設備における速度一定制御により補う。したがって、上記構成によれば、負荷の変動を発電設備側電力変換器およびDC/DCコンバータが相互に補い合うことにより、出力調整を迅速かつ適正に行うことができ、発電設備の自立運転を適正に行うことができる。また、発電設備側電力変換器、DC/DCコンバータおよび系統側電力変換器はそれぞれ独立して自律的に制御動作を行う。このため、発電設備、蓄電設備、および電力変換装置の制御系を個別に調整できる等、設計の自由度が高く、電源構成が自由に変更できる等、運用も容易となる。
前記発電設備側電力変換器は、前記直流中間電圧が所定の目標電圧(以下、発電機側電力変換器目標中間電圧)となるように電圧制御を行うように構成されてもよい。また、前記発電機側電力変換器目標中間電圧は、前記回転機の回転速度と予め定めた回転速度指令値との偏差に基づいた値に予め定めた直流電圧基準値を加算して算出されたものであってもよい。この構成によれば、発電設備側電力変換器は、直流中間電圧が設定された発電機側電力変換器目標中間電圧となるように電圧制御される。また、回転機の回転速度が変化すると、発電設備側電力変換器はこの発電設備側電力変換器目標中間電圧を変化させる。したがって、DC/DCコンバータの電圧制御によって生じる定常偏差は、DC/DCコンバータの電圧制御の後から立ち上がってきた発電設備の速度一定制御と発電機の回転速度に応じて変化した発電設備側電力変換器目標中間電圧による発電設備側電力変換器の電圧一定制御により修正される。
前記発電設備側電力変換器は、前記回転機の回転速度と予め定めた回転速度指令値との偏差に基づいた値に予め定めた直流電圧基準値を加算して前記発電機側電力変換器目標中間電圧を演算し、前記発電機側電力変換器目標中間電圧と第2電圧計測器で計測された直流中間電圧との偏差を比例および積分して前記発電設備側電力変換器に入力される前記発電設備の出力電流の指令値(以下、第1電流指令値)を演算し、前記第1電流指令値を用いて前記発電設備側電力変換器における電力変換を行って、前記電圧制御を行ってもよい。
前記発電設備側電力変換器は、当該発電設備側電力変換器の交流側の電圧を計測する第1電圧計測器と、当該発電設備側電力変換器の直流側の電圧を計測する第2電圧計測器と、第1制御装置とを備え、前記第1制御装置は、前記第1電圧計測器で計測された前記交流側の電圧から、前記発電設備の前記回転機の回転速度を演算する回転速度演算部と、所定の回転速度指令値と前記回転速度との偏差に基づいた値に所定の直流電圧基準値を加算して前記発電機側電力変換器目標中間電圧を演算する目標中間電圧演算部と、前記発電機側電力変換器目標中間電圧と前記第2電圧計測器で計測された前記直流側の電圧との偏差を比例および積分して前記発電設備側電力変換器の直流側への出力電流の指令値(以下、第1電流指令値)を演算する第1電流指令値演算部と、を含み、前記第1電流指令値を用いて前記発電設備側電力変換器における電力変換を行って、前記電圧制御を行ってもよい。これにより、発電設備の回転機の回転速度が所定の回転速度指令値に対して変化した場合に、当該変化量に応じて直流リンク部の発電機側電力変換器目標中間電圧を変化させ、直流中間電圧が当該目標中間電圧となるように出力制御が行われる。
前記DC/DCコンバータは、前記直流中間電圧と所定の目標電圧(以下、DC/DCコンバータ目標電圧)との偏差に基づいて前記蓄電設備の充放電量を調節してもよい。
前記DC/DCコンバータは、前記直流中間電圧と前記直流リンク部側への出力電流との関係が垂下特性を有するように、制御されてもよい。これにより、DC/DCコンバータによる直流リンク部への出力制御を安定的に行うことができる。
前記DC/DCコンバータは、前記直流中間電圧が比例制御により制御されてもよい。これにより、DC/DCコンバータの直流中間電圧と出力電流との関係が垂下特性を有する構成を容易に実現することができる。
前記DC/DCコンバータは、前記蓄電設備の充電状態(state of charge)に応じて前記DC/DCコンバータ目標電圧を変化させてもよい。これにより、蓄電設備に蓄えられている電力が直流リンク部への出力調整の際になくならないように蓄電設備の充電状態が適正に維持される。このように、蓄電設備の充放電を直流リンク部への出力制御と同時に管理することができる。
前記DC/DCコンバータ目標電圧は、前記蓄電設備の充電状態に基づく値(以下、SOC値)と所定のSOC指令値との偏差に基づき算出されたSOC電圧補正値を前記直流電圧基準値に加算したものであってもよい。
前記DC/DCコンバータは、当該DC/DCコンバータの前記直流中間電圧を計測する第3電圧計測器と、前記SOC値を取得するSOC値取得部と、第2制御装置とを備え、前記第2制御装置は、所定のSOC指令値と前記SOC値取得部で取得されたSOC値との偏差に基づいてSOC電圧補正値を演算するSOC電圧補正値演算部と、予め定めた直流電圧基準値に前記SOC電圧補正値を加算したDC/DCコンバータ目標電圧と前記第3電圧計測器で計測された前記直流中間電圧とを比例演算して前記DC/DCコンバータの前記直流リンク部側への出力電流の指令値(以下、第2電流指令値)を演算する第2電流指令値演算部と、を含み、前記第2電流指令値を用いて前記DC/DCコンバータにおける電力変換を行いながら前記蓄電設備の充放電させる制御を行ってもよい。これにより、直流リンク部側の電圧が所定の直流電圧基準値に対して変化した場合に、当該直流リンク部の電圧変化量に応じて直流リンク部への出力電流を増減させる制御が行われる。さらに、出力電流の増減により、蓄電設備のSOC値が変化した場合には、当該SOC値の変化量に応じて直流リンク部の電圧変化量に補正を加える。すなわち、蓄電設備に蓄えられた電力を直流リンク部に放電した分、蓄電設備を充電し、直流リンク部から蓄電設備へ過剰に充電された分、蓄電設備を放電するように制御される。これにより、SOC値の一定制御および直流リンク部の出力調整を同時かつ容易に実現することができる。
前記系統側電力変換器は、当該系統側電力変換器の交流側の電圧を計測する第4電圧計測器と、当該系統側電力変換器の交流側の電流を計測する電流計測器と、第3制御装置とを備え、前記第3制御装置は、前記第4電圧計測器で計測された電圧および前記電流計測器で計測された電流から、前記系統側電力変換器の交流側における有効電力および無効電力を演算する電力演算部と、所定の有効電力指令値と前記有効電力との偏差を比例演算し、その結果に所定の基準周波数を加算して周波数指令値を演算する周波数指令値演算部と、前記系統側電力変換器の交流側の周波数を取得する周波数取得部と、前記周波数取得部で取得された前記周波数と、前記周波数指令値との偏差を積分して内部相差角を演算する内部相差角演算部と、所定の無効電力指令値と前記無効電力との偏差を比例演算し、その結果に所定の基準電圧を加算して内部起電圧指令値を演算する内部起電圧指令値演算部と、前記内部相差角と、前記内部起電圧指令値と、前記第4電圧計測器で計測された前記交流側の電圧とを用いて、前記系統側電力変換器の交流側への出力電流の指令値(以下、第3電流指令値)を演算する第3電流指令値演算部と、を含み、前記第3電流指令値を用いて前記系統側電力変換器における電力変換制御を行ってもよい。
これによれば、交流電力系統に接続される発電設備および蓄電設備を内部起電力と内部インピーダンスを有する発電機として捉えて、系統側電力変換器の交流側の電圧および電流から当該仮想の発電機の内部起電圧指令値および内部相差角を求め、これらの値から求められる電流値(仮想の発電機における電機子電流値)を系統側電力変換器の出力電流として系統側電力変換器の交流側へ出力する。このように、系統側電力変換器に仮想発電機モデル制御を組み込むことにより、当該系統側電力変換器は、原動機発電機と同等の特性を有するようになり、他の発電機との間で系統連系運転と自立運転とをシームレスに切り替えることができる。
前記発電設備は、前記回転動力を生じさせる回転機の回転速度が一定となるように制御されてもよい。また、発電設備は、ランキンサイクルを利用した発電設備であってもよい。さらに、前記ランキンサイクルを利用した発電設備は、バイナリー発電設備であってもよい。
前記系統側電力変換器は、前記発電設備が発電を停止している状態から起動させる場合に、前記仮想の発電機が負の電力を発生するような制御を行い、前記DC/DCコンバータが前記蓄電設備を充電するよう構成され、前記発電設備は、前記蓄電設備に充電された電力を用いて自立的に起動するように構成されてもよい。これによれば、発電設備の起動時において、系統側電力変換装置の仮想発電機モデル制御において、一時的に仮想の発電機が負の電力を出力するように設定することにより、交流電力系統を停電させることなく交流電力系統の電力を用いて蓄電設備を充電し、発電設備を起動させることができる。また、発電設備の起動の際に、起動用の別の構成を設ける必要がなく、電力変換装置単体での発電設備の起動が可能である。
本発明によれば、出力調整を迅速かつ適正に行うことにより、発電設備の自立運転を適正に行うことができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る複合発電システム用電力変換装置が適用された複合発電システムの概略構成を示すブロック図である。 図2は、図1に示す複合発電システム用電力変換装置のより具体的な構成例を示すブロック図である。 図3は、図2に示す発電設備の概略構成を示すブロック図である。 図4は、図3に示す発電設備のガバナ制御演算部における演算の概要を示す模式図である。 図5は、図2に示す発電設備側電力変換器のより具体的な構成例を示すブロック図である。 図6は、図5に示す発電設備側電力変換器の回転速度・位相演算部における演算の概要を示す模式図である。 図7は、図5に示す発電設備側電力変換器の目標中間電圧演算部における演算の概要を示す模式図である。 図8は、図5に示す発電設備側電力変換器の第1電流指令値演算部における演算の概要を示す模式図である。 図9は、図2に示すDC−DCコンバータのより具体的な構成例を示すブロック図である。 図10は、図9に示すDC−DCコンバータのSOC電圧補正値演算部における演算の概要を示す模式図である。 図11は、図9に示すDC−DCコンバータの第2電流指令値演算部における演算の概要を示す模式図で得ある。 図12は、図2に示す系統側電力変換器のより具体的な構成例を示すブロック図である。 図13は、図12に示す系統側電力変換器の周波数指令値演算部における演算の概要を示す模式図である。 図14は、図12に示す系統側電力変換器の内部相差角演算部における演算の概要を示す模式図である。 図15は、図12に示す系統側電力変換器の内部起電圧指令値演算部における演算の概要を示す模式図である。 図16は、本実施形態における仮想的な電圧制御型電力変換装置の一例を示す系統図である。 図17は、図12に示す系統側電力変換器の第3電流指令値演算部における演算の概要を示す模式図である。 図18Aは、本実施形態における電力変換装置において交流電力系統の負荷が変動した時の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図18Bは、本実施形態における電力変換装置において交流電力系統の負荷が変動した時の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図18Cは、本実施形態における電力変換装置において交流電力系統の負荷が変動した時の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図18Dは、本実施形態における電力変換装置において交流電力系統の負荷が変動した時の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図18Eは、本実施形態における電力変換装置において交流電力系統の負荷が変動した時の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図19Aは、図18A〜図18Eに示す負荷分担動作に伴う直流中間電圧の変化を示すグラフである。 図19Bは、図18A〜図18Eに示す負荷分担動作に伴う系統側、発電設備側および蓄電設備側の各電力の変化を示す図である。 図19Cは、図18A〜図18Eに示す負荷分担動作に伴う発電設備の回転速度の変化を示す図である。 図20Aは、本実施形態において発電設備がトリップした場合の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図20Bは、本実施形態において発電設備がトリップした場合の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図20Cは、本実施形態において発電設備がトリップした場合の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図20Dは、本実施形態において発電設備がトリップした場合の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図21Aは、本実施形態において発電設備が停止状態から起動する際の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図21Bは、本実施形態において発電設備が停止状態から起動する際の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図21Cは、本実施形態において発電設備が停止状態から起動する際の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。 図21Dは、本実施形態において発電設備が停止状態から起動する際の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
<全体構成>
まず、本発明の一実施形態に係る複合発電システム用電力変換装置の全体構成について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る複合発電システム用電力変換装置が適用された複合発電システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態における複合発電システム用電力変換装置1は、交流電力系統2と、回転動力に基づいて発電する発電設備3との間に設けられる。交流電力系統2には、少なくとも1つの系統負荷4と、他の発電機として原動機発電機5とが接続されている。また、図示していないが、交流電力系統2には、二次電池等の蓄電設備が接続されていてもよいし、商用電力系統が接続されていてもよい。このように、本発明にいう「複合発電システム」とは、複数の発電設備と負荷設備とから構成された電源系統であって、商用の電力系統と連系をしていてもよいし、商用の電力系統と連系をしていない自立電源系統であってもよい。
発電設備3は、回転機6を有し、当該回転機6の回転動力に基づいて発電する。発電設備3には、例えば地熱による発電設備、および、海水の温度差を用いた海洋温度差発電機等が含まれる。地熱による発電設備には、例えばバイナリー発電機、蒸気タービン発電機等のランキンサイクルを利用した発電設備、および、ガスタービン発電機等が含まれる。以下では、発電設備3としてバイナリー発電機を用いた場合を例示している。
複合発電システム用電力変換装置1は、発電設備3からの交流電力を直流電力に変換する発電設備側電力変換器7と、発電設備側電力変換器7の直流側端子に直流リンク部11を介して接続され、発電設備側電力変換器7によって変換された直流電力を交流電力に変換する系統側電力変換器8とを備えている。すなわち、発電設備側電力変換器7の直流側端子と系統側電力変換器8の直流側端子とは、直流リンク部11により接続されている。直流リンク部11は、例えば、発電設備側変換器7の直流側端子と系統側電力変換器8の直流側端子とを接続する配線として構成される。発電設備側電力変換器7と系統側電力変換器8との間の直流リンク部11には、DC/DCコンバータ9を介して蓄電設備10が接続される。蓄電設備10は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池および電気二重層キャパシタ等のキャパシタを含む。DC/DCコンバータ9は、例えば昇降圧チョッパ等により構成される。
図2は図1に示す複合発電システム用電力変換装置のより具体的な構成例を示すブロック図である。
発電設備側電力変換器7は、回転機6の回転速度ωbinに応じて直流リンク部11の直流電圧(以下、直流中間電圧)Vdcを変化させる電圧制御を行う。より具体的には、発電設備側電力変換器7は、回転機6の回転速度ωbinに応じて目標中間電圧(以下、発電機側電力変換器目標中間電圧)Vdc_ref_binを変化させ、直流中間電圧Vdcが所定の発電機側電力変換器目標中間電圧となるように直流リンク部11への出力制御を行う。
本実施形態においては、図2に示すように、発電設備側電力変換器7は、発電設備3の交流電力を直流電力に変換する第1変換回路12、当該発電設備側電力変換器7の交流側の電圧(すなわち、発電設備3の出力電圧)として直軸電圧Vd_bin,横軸電圧Vq_binを計測する第1電圧計測器13と、当該発電設備側電力変換器7の直流側の電圧(直流中間電圧)Vdcを計測する第2電圧計測器14と、第1電圧計測器13および第2電圧計測器14の計測結果に基づいて第1変換回路12の出力調整を行う第1制御装置15と、を備えている。さらに、発電設備側電力変換器7は、当該発電設備側電力変換器7の交流側の電流(すなわち、発電設備3の出力電流)として直軸電流Id_bin,横軸電流Iq_binを計測する発電設備側電流計測器16を備えている。
また、DC/DCコンバータ9は、直流中間電圧Vdcと所定の目標電圧(以下DC/DCコンバータ目標電圧)Vdcoとの偏差に基づいて蓄電設備10の充放電量を調節する。DC/DCコンバータ9は、直流中間電圧Vdcに対して比例制御を行うことにより蓄電設備10を充放電させる。さらに、DC/DCコンバータ9は、蓄電設備10の充電状態(state of charge)に応じて比例制御におけるDC/DCコンバータ目標電圧Vdcoを変化させるように構成される。
本実施形態においては、図2に示すように、DC/DCコンバータ9は、蓄電設備10の電力を用いて直流リンク部11の電圧を変化させる第2変換回路17と、DC/DCコンバータ9の直流リンク部11側の電圧(直流中間電圧)Vdcを計測する第3電圧計測器18と、蓄電設備10の充電状態に基づく値(以下、SOC値)を取得するSOC値取得部19と、第3電圧計測器18の計測結果およびSOC値取得部19で取得されたSOC値に基づいて第2変換回路17の出力調整を行う第2制御装置20とを備えている。
さらに、DC/DCコンバータ9は、当該DC/DCコンバータの直流リンク部11側の電流Idc_battを計測する中間電流計測器21を備えている。SOC値取得部19は、蓄電設備10の電圧、電流、温度、圧力等の状態を監視、検出するよう構成されている。SOC値取得部19は、蓄電設備10の状態を監視する他、検出した値から蓄電設備10の充電状態、すなわち、SOC(State Of Charge)値の演算を行う。SOC値取得部19が蓄電設備10において異常を検知した場合、第2制御装置20は、第2変換回路17の運転を停止する。
なお、本実施形態において、SOC値取得部19は、第2制御装置20とは別の装置として構成され、SOC値取得部19内で検出された値からSOC値を演算する構成としている。しかし、本発明はこれに限られず、例えば蓄電設備10の状態を計測器を用いて計測し、計測した値が第2制御装置20に送られ、第2制御装置20が当該計測値からSOC値を演算することとしてもよい。
また、系統側電力変換器8は、当該系統側電力変換器8の交流側の直軸電圧Vd_grid,横軸電圧Vq_gridおよび直軸電流Id_grid,横軸電流Iq_gridを計測し、これらの計測値を用いて、系統側電力変換器8の代わりに仮想の発電機が交流電力系統2に接続されているとみなして交流電力系統2への出力制御を行う(仮想発電機モデル制御を行う)ように構成される。
本実施形態においては、図2に示すように、系統側電力変換器8は直流リンク部11の直流電力を交流電力に変換する第3変換回路22と、系統側電力変換器8の交流側の直軸電圧Vd_grid,横軸電圧Vq_gridを計測する第4電圧計測器23と、系統側電力変換器8の交流側の直軸電流Id_grid,横軸電流Iq_gridを計測する系統側電流計測器24と、第4電圧計測器23および電流計測器24の計測結果に基づいて第3変換回路22の出力調整を行う第3制御装置25と、を備えている。
第1変換回路12、第2変換回路17および第3変換回路22は、それぞれパワー半導体素子を用いてスイッチングを行うインバータ回路を備えている。交流電圧を計測する第1電圧計測器13および第4電圧計測器23は、変成器(PT:Potential Transformer)により実現され、交流電流を計測する発電設備側電流計測器16および系統側電流計測器24は、変流器(CT:Current Transformer)により実現される。第1制御装置15、第2制御装置20および第3制御装置25は、例えばマイクロコントローラ、コンピュータ端末等、後述する各種演算を行い得るコンピュータ装置により実現される。なお、本実施形態において、第1制御装置15、第2制御装置20および第3制御装置25は、別の構成として図示されているが、共通の制御装置が各制御装置として機能することとしてもよい。
上記構成によれば、系統側電力変換器8と発電設備側電力変換器7との間の直流リンク部11に、DC/DCコンバータ9を介して蓄電設備10が接続される。系統側電力変換器8が当該系統側電力変換器8の代わりに仮想の発電機が交流電力系統2に接続されているとみなして直流リンク部11の電力を交流電力系統2へ出力する制御を行う。これにより、発電設備3において、交流電力系統2との連系運転と、自立運転との切り替えを制御方式を変更せずに実現できる。また、他の発電機5の運転を必要とせず、電力変換装置1のみでの自立運転が可能となる。さらに、交流電力系統2において負荷の変動が生じることにより、直流リンク部11における直流中間電圧Vdcが変化した場合に、発電設備側電力変換器7が電圧一定制御を行いつつ、DC/DCコンバータ9が蓄電設備10に充電された電力を用いて直流中間電圧Vdcを比例制御しながら蓄電設備10を充放電させる。これにより、回転機6の速度一定制御が追従してくるまでの間(応答が遅れている間)、DC/DCコンバータ9が直流中間電圧Vdcの増減を補うように電圧制御を行う。
ここで、DC/DCコンバータ9においては直流中間電圧Vdcに対して比例制御を行うことにより、出力電流と出力電圧(直流中間電圧Vdc)との間に垂下特性を持たせている。これにより、DC/DCコンバータ9による直流リンク部11への出力制御を安定的に行うことができる。その一方、この垂下特性により、DC/DCコンバータ目標電圧に基づいて出力される出力電流に応じた出力電圧には、直流中間電圧に対して偏差が発生する。
この偏差は、DC/DCコンバータ9の比例制御の後から立ち上がってきた回転機6の速度一定制御と、回転機6の回転速度により変化する発電機側電力変換器目標中間電圧に従った発電設備側電力変換器7の電圧一定制御とにより修正される。すなわち、回転機6における速度一定制御の応答遅れを、時間遅れを伴わないDC/DCコンバータ9の比例制御により時間的に補い、DC/DCコンバータ9の比例制御におけるDC/DCコンバータ目標電圧との偏差を、回転機6における回転速度一定制御により補う。
したがって、上記構成によれば、負荷の変動を発電設備側電力変換器7およびDC/DCコンバータ9が相互に補い合うことにより、出力調整を迅速かつ適正に行うことができ、発電設備3の自立運転を適正に行うことができる。また、発電設備側電力変換器7、DC/DCコンバータ9および系統側電力変換器8はそれぞれ独立して自律的に制御動作を行う。このため、発電設備3、蓄電設備10を個別に調整できる等、設計の自由度が高く、電源構成が自由に変更できる等、運用も容易となる。特に、発電設備3が地熱を利用する発電機(例えば、バイナリー発電機、蒸気タービン発電機)の場合等においては、発電設備3は熱源の近くに設置されるため、原動機発電機5との距離が離れている場合がある。このような場合でも、系統側電力変換器8の特性を原動機発電機5の特性に合わせることにより、それぞれの発電設備が自律的に負荷分担を調整することができ、運用し易い。
以下、各構成についてより具体的に説明する。
<発電設備>
図3は図2に示す発電設備の概略構成を示すブロック図である。図3には、発電設備3として水より沸点の低い液体(ペンタン等)を熱媒体として用いるバイナリー発電機が例示されている。発電設備3は、回転機6であるタービンに熱媒体を供給する循環経路を備えている。循環経路には、熱媒体を循環させるための循環ポンプ81と、回転機6の上流側で熱媒体を蒸発させる蒸発器82と、回転機6の下流側で熱媒体を凝縮させる凝縮器83とを備えている。蒸発器82には、熱媒体とは別の循環経路に所定の熱源(例えば地熱等)により加熱された温水が流れ、蒸発器82は、この温水を用いて熱媒体を蒸発させる。蒸発した熱媒体は、回転機6(タービン)に吹き付けられ、熱媒体の圧力により回転機6が回転する。これにより、回転機6に接続された発電機84が回転機6の回転動力に伴って発電を行う。発電設備3は、2つの回転機6を備え、発電機84の両側にそれぞれ1つの回転機6が設けられるように構成されている。回転機6への蒸気量は、熱媒体の制御弁等からなるガバナ部85により調整され、これにより回転機6の回転速度ωbinが調整される。ガバナ部85への制御指令値は、ガバナ制御演算部86によって演算される。本実施形態において、発電設備3は、回転機6の回転速度ωbinを計測する回転速度計測器87を備え、ガバナ制御演算部86は、回転速度ωbinを一定にする制御(回転速度一定制御)を行う。回転機6を通過した熱媒体は凝縮器83で冷却される。凝縮器83には、熱媒体とは別の循環経路に所定の冷却源により冷却された冷却水が流れ、凝縮器83は、この冷却水を用いて熱媒体を冷却する。
図4は図3に示す発電設備のガバナ制御演算部における演算の概要を示す模式図である。図4に示すように、ガバナ制御演算部86は、発電設備3の回転機6の回転速度ωbinを計測し、当該回転速度ωbinと所定の回転速度指令値ωref_binとの偏差を比例・積分演算してガバナ部85への指令値(制御弁開度)Ogを演算する。
具体的には、減算器87により、予め定められた回転速度指令値ωref_binから回転速度ωbinが減算され、その偏差がPI制御器88に入力される。PI制御器88は、入力された偏差に基づいて、所定の比例ゲインKおよび積分時間Tを用いて制御弁開度Ogを出力する。
このように、本実施形態において、発電設備3であるバイナリー発電機は、回転機6の回転速度を一定にする制御を行う。
<発電設備側電力変換器>
図5は図2に示す発電設備側電力変換器のより具体的な構成例を示すブロック図である。図5に示すように、発電設備側電力変換器7の第1制御装置15は、第1電圧計測器13の計測結果から発電設備3の回転機6の回転速度ωbinおよび回転機6の位相φbinを演算する回転速度・位相演算部26と、発電設備側電流計測器16の計測結果から発電設備3の直軸電流Id_bin,横軸電流Iq_binを演算する電流演算部27とを備えている。さらに、第1制御装置15は、目標中間電圧演算部28、第1電流指令値演算部29および変換回路制御部30を備えている。
(1)回転速度・位相演算部
図6は図5に示す発電設備側電力変換器の回転速度・位相演算部における演算の概要を示す模式図である。回転速度・位相演算部26は、第1電圧計測器13において計測された計測信号から発電設備3の出力電圧(線間電圧)Vd_bin,Vq_binを演算する。さらに、回転速度・位相演算部26は、これらの電圧値からPLL演算を行い、発電設備3の回転機6の回転速度ωbinおよび位相φbinを推定する。
より具体的に説明する。まず、第1電圧検出器13により発電設備3から出力される三相交流電力線R,S,Tにおける各線間電圧の瞬時値vRS,vSTが計測される。回転速度・位相演算部26は、この電圧の瞬時値vRS,vSTを用いてPLL演算を行い、発電設備3の周波数および位相の推定演算を行う。
図6に示すように、回転速度・位相演算部26は、線間電圧値(vRS,vST)から位相φを算出するαβ変換器91と、αβ変換器91により算出された位相φと推定された位相φbinとの偏差(位相偏差)を求める位相比較器92と、位相偏差から発電設備3の回転機6の周波数(回転速度)ωbinを推定するループフィルタ(Loop Filter)93と、推定された回転速度ωbinを積分し、推定位相φbinを算出する積分器94とを備えている。
発電設備3の各相R,S,Tの相電圧の瞬時値をvR,vS,vTとしたとき、瞬時値ベクトルvαβは次式のように定義される。
Figure 0006371603
オイラーの式(ejφ=cosφ+j・sinφ)より瞬時値ベクトルvαβは以下のように表現することができる。
Figure 0006371603
Figure 0006371603
ここで瞬時値ベクトルvαβはα相を基準にした固定座標系(αβ軸)を回転速度(角速度)ωbinで回転するベクトルとなる。
第1電圧検出器13で計測された瞬時線間電圧vRS,vSTと、瞬時相電圧vR,vS,vTとは、vRS=vR−vSおよびvST=vS−vTという関係を有している。したがって、瞬時値ベクトルvαβの各成分vα,vβは、上記関係から、以下のように表せる。
Figure 0006371603
また、位相φbinは、瞬時値ベクトルvαβの各成分vα,vβを用いて以下のように表せる。
Figure 0006371603
位相比較器92は、発電設備3からの電圧の瞬時値から求められる位相φと回転速度・位相演算部26の出力である位相φbinとの偏差(位相偏差)を演算する。すなわち、位相偏差φ−φbinは、オイラーの式より、sin(φ−φbin)=sinφcosφbin−cosφsinφbinで求められる。φ−φbinが十分に小さければ、sin(φ−φbin)の値が位相偏差φ−φbinとみなされる。
ループフィルタ93は、位相比較器92で求められた位相偏差から、発電設備3の回転機6の回転速度ωbinを出力する。ループフィルタ93の伝達関数G(s)は次式で表される。
Figure 0006371603
積分器94は、推定された回転速度ωbinを積分して、推定位相角φbinを出力する。ここで、αβ座標系に対してωtで回転するdq座標系を想定し、発電設備3の電圧をdq変換により演算する。すなわち、dq座標系での電圧Vd_bin,Vq_binは、vα,vβを用いて以下のように表せる。
Figure 0006371603
以上より、回転速度・位相演算部26は、第1電圧検出器13からの線間電圧の瞬時値vRS,vSTから、発電設備3の電圧Vd_bin,Vq_bin、回転速度ωbin、位相φbinを算出する。
なお、発電設備側電力変換器7において上記のように回転機6の回転速度ωbinを算出する代わりに、発電設備3の回転速度計測器87により計測された回転機6の回転速度ωbinが発電設備側電力変換器7に送られるよう構成され、発電設備側電力変換器7が回転速度計測器87により計測された値をそのまま用いることとしてもよい。
(2)電流演算部
電流演算部27は、回転速度・位相演算部26で演算された位相φbinと、発電設備側電流計測器16で計測された電流(iR,iS,iT)とを用いて、電流Id_bin,Iq_binを演算する。なお、各相の電流iR,iS,iTには、iR+iS+iT=0の関係があるため、発電設備側電流計測器16で計測される電流は、三相のうち何れか二相でよい。電流Id_bin,Iq_binは、以下の式で表される。
Figure 0006371603
(3)目標中間電圧演算部
図7は図5に示す発電設備側電力変換器の目標中間電圧演算部における演算の概要を示す模式図である。図7に示すように、目標中間電圧演算部28は、予め定められた回転速度指令値ωref_binと回転速度・移相演算部26で演算された回転機6の回転速度ωbinとの偏差に基づいた値に予め定められた直流電圧基準値Vdc_refを加算して発電機側電力変換器目標中間電圧(以下、<発電機側電力変換器>の項において、単に目標中間電圧という)Vdc_ref_binを演算する。
具体的には、減算器31により、予め定められた回転速度指令値ωref_binから回転速度ωbinが減算され、その偏差が比例制御器32に入力される。比例制御器32は、当該偏差に負のゲイン(−K)を掛けて出力する。この出力値と、予め定められた直流電圧基準値Vdc_refとが加算器33で加算されることにより、目標中間電圧Vdc_ref_binが出力される。このように、目標中間電圧演算部28は、発電設備3の回転機6の回転速度ωbinの変化に応じて直流中間電圧Vdcの目標値Vdc_ref_binを演算する。
(4)第1電流指令値演算部
図8は図5に示す発電設備側電力変換器の第1電流指令値演算部における演算の概要を示す模式図である。図8に示すように、第1電流指令値演算部29は、目標中間電圧Vdc_ref_binと第2電圧計測器14で計測された直流中間電圧Vdcとの偏差を比例および積分して発電設備側電力変換器7の第1変換回路12に入力される発電設備3の出力電流の指令値(第1電流指令値)Id_ref_bin,Iq_ref_binを演算する。
具体的には、減算器34により、目標中間電圧演算部28で演算された目標中間電圧Vdc_ref_binから第2電圧計測器14で計測された直流中間電圧Vdcが減算され、その偏差がPI制御器35に入力される。PI制御器35は、入力された偏差に基づいて、所定の比例ゲインKおよび積分時間Tを用いてd軸(直軸)の第1電流指令値Id_ref_binを出力する。なお、q軸(横軸)の第1電流指令値Iq_ref_binは偏差によらず0を出力する。
(5)変換回路制御部
変換回路制御部30は、第1電流指令値演算部29で得られた第1電流指令値Id_ref_bin,Iq_ref_binに基づいて第1変換回路12への電流制御信号を生成する。本実施形態において、変換回路制御部30は、上記第1電流指令値Id_ref_bin,Iq_ref_binと、電流演算部27で得られた発電設備3の出力電流Id_bin,Iq_binと、回転速度・位相演算部26で得られた発電設備3の位相φbinとを用いて、第1変換回路12のパワー半導体素子のゲート制御信号として電流制御信号を生成する。電流制御信号は、例えばPWM信号である。
このように、本実施形態の発電設備側電力変換器7によれば、発電設備3の回転機6の回転速度ωbinが所定の回転速度指令値ωref_binに対して変化した場合に、当該変化量に応じて直流リンク部11の目標中間電圧Vdc_ref_binを変化させ、直流中間電圧Vdcが当該目標中間電圧Vdc_ref_binとなるように第1変換回路12の出力制御(電圧一定制御)が行われる。
<DC−DCコンバータ>
図9は図2に示すDC−DCコンバータのより具体的な構成例を示すブロック図である。図9に示すように、DC−DCコンバータ9の第2制御装置20は、SOC電圧補正値演算部36、第2電流指令値演算部37および変換回路制御部38を備えている。
(1)SOC電圧補正値演算部
図10は図9に示すDC−DCコンバータのSOC電圧補正値演算部における演算の概要を示す模式図である。図10に示すように、SOC電圧補正値演算部36は、所定のSOC指令値SOCrefとSOC値取得部19で取得されたSOC値との偏差に基づいてSOC電圧補正値Vsoc_cmpを演算する。
具体的には、減算器39により、予め定められたSOC指令値SOCrefからSOC値が減算され、その偏差SOCdiffが補正値演算器40に入力される。補正値演算器40には、予め偏差SOCdiffとSOC電圧補正値Vsoc_cmpとの間で対応関係が定められている。この対応関係は、偏差SOCdiffが正の向きに大きいほど(SOC値がSOC指令値SOCrefに対して小さいほど)SOC電圧補正値Vsoc_cmpを負の方向に大きく(充電量が大きく)なるような値にし、偏差SOCdiffが負の向きに大きいほど(SOC値がSOC指令値SOCrefに対して大きいほど)SOC電圧補正値Vsoc_cmpを正の方向に大きく(放電量が大きく)なるような値にする。補正演算器40は、このような対応関係に基づいて、入力された偏差SOCdiffに対応するSOC電圧補正値Vsoc_cmpを出力する。
(2)第2電流指令値演算部
図11は図9に示すDC−DCコンバータの第2電流指令値演算部における演算の概要を示す模式図である。図11に示すように、第2電流指令値演算部37は、予め定められた直流電圧基準値Vdc_refにSOC電圧補正値Vsoc_cmpを加えたDC/DCコンバータ目標電圧(以下、<DC−DCコンバータ>の項において、単に目標電圧という)Vdcoと第3電圧計測器18で計測された直流中間電圧Vdcとを比例演算してDC/DCコンバータ9の直流リンク部11側への出力電流の指令値(第2電流指令値)Idc_ref_battを演算する。
具体的には、加算器41aにより、予め定められた直流電圧基準値Vdc_refにSOC電圧補正値Vsoc_cmpを加算した目標電圧Vdcoが算出される。さらに、減算器41bにより、当該目標電圧Vdcoから第3電圧計測器18で計測された直流中間電圧Vdcが減算されることにより、当該目標電圧Vdcoに対する直流中間電圧Vdcの偏差が算出される。なお、図11の例においては、直流電圧基準値Vdc_refおよびSOC電圧補正値Vsoc_cmpを加算して目標電圧Vdcoを算出した後、当該目標中間電圧Vdcoから直流中間電圧Vdcを減算している。これに代えて、目標電圧Vdcoの演算および当該目標電圧Vdcoに対する直流中間電圧Vdcの偏差の演算を同時に算出してもよい。この電圧偏差が比例制御器42に入力される。比例制御器42は、当該電圧偏差に比例ゲインKを掛けて出力する。この出力値が第2電流指令値Idc_ref_battとなる。比例制御器42の比例ゲインKは、入力される直流中間電圧Vdcと出力する第2電流指令値Idc_ref_battとの関係が垂下特性を有するように設定される。これにより、DC/DCコンバータ9による直流リンク部11への出力制御を安定的に行うことができる。
(3)変換回路制御部
変換回路制御部38は、第2電流指令値演算部37で得られた第2電流指令値Idc_ref_battに基づいて第2変換回路17への電流制御信号を生成する。本実施形態において、変換回路制御部38は、中間電流計測器21で計測された直流中間電流Idc_battが上記第2電流指令値Idc_ref_battに追従するように、第2変換回路17のパワー半導体素子のゲート制御信号として電流制御信号を生成する。電流制御信号は、例えばPWM信号である。
このように、本実施形態のDC/DCコンバータ9によれば、直流リンク部11側の電圧Vdcが所定の直流電圧基準値Vdc_refに対して変化した場合に、当該直流リンク部11の電圧変化量に応じて直流リンク部11への出力電流を増減させる制御が行われる。さらに、出力電流の増減により、蓄電設備11のSOC値が変化した場合には、当該SOC値の変化量に応じて直流リンク部11の電圧変化量に補正を加える。すなわち、蓄電設備10に蓄えられた電力を直流リンク部11に放電した分、蓄電設備10を充電し、直流リンク部11から蓄電設備10へ過剰に充電された分、蓄電設備10を放電するように制御される。これにより、SOC値の一定制御および直流リンク部11の出力調整を同時かつ容易に実現することができる。
さらに、DC/DCコンバータ9は、第2電流指令値演算部37においてPI制御器ではなく比例制御器42を用いている。すなわち、DC/DCコンバータ9は、直流リンク部11の出力調整として比例制御を行う。一方、発電設備側電力変換器7の第1電流指令値演算部29は、直流リンク部11の出力調整として比例制御において生じる残留偏差を解消可能なPI制御を行う。
このように、DC/DCコンバータ9は、直流リンク部11の出力調整を時間遅れすることなく迅速に開始するとともに、前述した発電設備側電力変換器7における電圧一定制御が介入する余地を残している。発電設備側電力変換器7における電圧一定制御の立ち上がり時点では、直流中間電圧Vdcと直流電圧基準値Vdc_refとの偏差がDC/DCコンバータ9の出力調整によりある程度小さくなっている。そして、発電設備側電力変換器7がDC/DCコンバータ9の出力調整における偏差を解消するように出力調整するため、最終的に直流リンク部11の出力調整を実現しつつ、全体として応答速度を高めることができる。
なお、SOC値取得部19は、蓄電設備10の監視装置として機能し、蓄電設備10の異常を検出した場合、異常信号を第2制御装置20の変換回路制御部38に送り、ゲート制御信号の送出を停止して、第2変換回路17の作動を停止させる。これにより、蓄電設備10の保護を図ることができる。蓄電設備10の異常としては、例えば過電流、電圧低下、過電圧、過充電、過放電、電池温度異常、電池圧力異常、装置異常等がある。
<系統側電力変換器>
図12は図2に示す系統側電力変換器のより具体的な構成例を示すブロック図である。図12に示すように、系統側電力変換器7の第3制御装置25は、第4電圧計測器23の計測結果から仮想発電機の回転速度ωgrid、仮想発電機の位相φgridおよび仮想発電機の出力交流電圧Vd_grid,Vq_gridを演算する電圧・周波数・位相演算器43と、系統側電力計測器24が計測した信号に基づいて、系統側電力変換器8の交流側の電流Id_grid,Iq_gridを演算する電流演算部44と、これらの電圧・電流値に基づいて有効電力および無効電力を演算する電力演算部45とを備えている。さらに、第3制御装置25は、周波数指令値演算部46、内部相差角演算部47、内部起電圧指令値演算部48、第3電流指令値演算部49および変換回路制御部50を備えている。
電圧・周波数・位相演算部43は、発電設備側電力変換器7における回転速度・位相演算部26と同様の演算を行い、仮想の発電機における電圧Vd_grid,Vq_grid、周波数(回転速度)ωgridおよび位相φgridを出力する。したがって、本実施形態において、電圧・周波数・位相演算部43は、周波数取得部として機能する。また、電流演算部44は、発電設備側電力変換器7における電流演算部27と同様の演算を行い、仮想の発電機における電流Id_grid,Iq_gridを出力する。
(1)電力演算部
電力演算部45は、電圧・周波数・位相演算部43で演算された電圧Vd_grid,Vq_gridと、電流演算部44で演算された電流Id_grid,Iq_gridとを用いて下記の式の通りに有効電力Pgridおよび無効電力Qgridを演算する。
Figure 0006371603
(2)周波数指令値演算部
図13は図12に示す系統側電力変換器の周波数指令値演算部における演算の概要を示す模式図である。図13に示すように、周波数指令値演算部46は、所定の有効電力指令値Prefと電力演算部45で演算された有効電力Pgridとの偏差を比例演算し、その結果ωdrに所定の基準周波数ω0を加算して周波数指令値ωrefを演算する。
具体的には、減算器51により予め定められた有効電力指令値Prefから有効電力Pgridが減算され、その偏差が比例制御器52に入力される。比例制御器52は、当該偏差に比例ゲインDrを掛けて出力する。比例ゲインDrは有効電力Pgridと周波数との間で垂下特性を有するように設定される。比例制御器52の出力には、一次遅れ演算器53が接続される。
一次遅れ演算器53における時間遅れの大きさは、例えば交流電力系統2に接続された原動機発電機5の慣性モーメントに基づいた値が設定される。具体的には、例えば一次遅れ演算器53の時定数を原動機発電機5の応答の時定数としてもよい。また、一次遅れ演算器53の前段または後段に制限器を設けて、出力値を制限してもよい。また、一次遅れ演算器53を含む時間遅れ演算器は、場合によっては設けなくてもよい。
一次遅れ演算器53の出力には、上下限リミッタ54が接続される。上下限リミッタ54は、比例制御器52の出力を上限値ωdr_maxと下限値ωdr_min(=−ωdr_max)の間に制限して、値ωdrを出力する。上下限リミッタ54の出力値ωdrは、加算器55に入力される。なお、上下限リミッタ54は、一次遅れ演算器53の前に設けてもよく、また省略してもよい。加算器55は、当該出力値ωdrと所定の周波数基準値ωoとを加算して、周波数指令値ωrefを演算する。周波数基準値ωoは、例えば60Hzである。
(3)内部相差角演算部
図14は図12に示す系統側電力変換器の内部相差角演算部における演算の概要を示す模式図である。図14に示すように、内部相差角演算部47は、周波数取得部で取得された(電圧・周波数・位相演算部43で演算された)周波数ωgridと、周波数指令値演算部46で演算された周波数指令値ωrefとの偏差を積分して内部相差角θを演算する。
具体的には、減算器56により周波数演算部46で演算された周波数指令値ωrefから周波数ωgridが減算され、その偏差が積分器57に入力される。積分器57は、偏差を積分して内部相差角θを演算する。
(4)内部起電圧指令値演算部
図15は図12に示す系統側電力変換器の内部起電圧指令値演算部における演算の概要を示す模式図である。図15に示すように、内部起電圧指令値演算部48は、所定の無効電力指令値Qrefと電力演算部45で演算された無効電力Qgridとの偏差を比例演算し、その結果Vdrに所定の基準電圧Voを加算して内部起電圧指令値Efを演算する。
具体的には、減算器58により予め定められた無効電力指令値Qrefから無効電力Qが減算され、その偏差が比例制御器59に入力される。比例制御器59は、当該偏差に比例ゲインDrを掛けて出力する。比例ゲインDrは無効電力Qgridと出力電圧との間で垂下特性を有するように設定される。比例制御器59の出力には、一次遅れ演算器60が接続される。内部起電圧指令値演算部48においても、周波数指令値演算部46の一次遅れ演算器53と同様に、一次遅れ演算に代えて他の時間遅れ演算を行ってもよいし、時間遅れ演算を行わなくてもよい。
一次遅れ演算器60の出力には、上下限リミッタ61が接続される。上下限リミッタ61は、一次遅れ演算器60の出力を上限値Vdr_maxと下限値Vdr_min(=−Vdr_max)の間に制限して、値Vdrを出力する。上下限リミッタ61の出力値Vdrは、加算器62に入力される。加算器62は、当該出力値Vdrと所定の電圧基準値Voとを加算して、電圧目標値Vrefを演算する。加算器62から出力される電圧目標値Vrefは、第1の関数演算器63に入力される。
第1の関数演算器63は、以下の式に示されるベクトル演算を行い、内部起電圧指令値Efを出力する。
Figure 0006371603
図16は本実施形態における仮想的な電圧制御型電力変換装置の一例を示す系統図である。図16に示すように、上記式で求められる内部起電圧指令値Efは、加算器62の出力である電圧目標値Vrefから、仮想の発電機における蓄電設備の内部インピーダンスri,xiと、仮想の発電機と交流電力系統2との間の外部インピーダンスre,xeとの和である総合インピーダンス(r,x)=(ri+re,xi+xe)による電圧降下を差し引いて求めたものということができる。
(5)電流指令値演算部
図17は図12に示す系統側電力変換器の第3電流指令値演算部における演算の概要を示す模式図である。図17に示すように、第3電流指令値演算部49は、内部相差角演算部47で演算された内部相差角θと、内部起電圧指令値演算部48で演算された内部起電圧指令値Efと、第4電圧計測器23で計測された電圧Vd_grid,Vq_gridとを用いて、系統側電力変換器8の交流側への出力電流の指令値(第3電流指令値)Id_ref_grid,Iq_ref_gridを演算する。
具体的には、第3電流指令値演算部49において、内部相差角θと、内部起電圧指令値Efと、電圧Vd_grid,Vq_gridとが第2の関数演算器64に入力される。第2の関数演算器64は、以下の式に示されるベクトル演算を行い、第3電流指令値Id_ref_grid,Iq_ref_gridを出力する。
Figure 0006371603
上記式で求められる電流Id_ref_grid,Iq_ref_gridは、第4電圧計測器23により計測された系統電圧の電源と内部起電圧指令値Efの電源との間に、上記総合インピーダンス(r,x)が接続されたと仮定した場合に、総合インピーダンスに流れる電流値を表す。この電流値は第3電流指令値Id_ref_grid,Iq_ref_gridとして第3電流指令値演算部49から出力される。
ところで、実際の蓄電装置の内部インピーダンスri,xiは略ゼロに等しく、総合インピーダンス(r,x)=(ri+re,xi+xe)は略外部インピーダンスre,xeに等しい。しかしながら、本実施形態においては、前述のとおり、内部起電圧指令値Efおよび第3電流指令値Id_ref_grid,Iq_ref_gridを演算する際に、仮想の発電機における蓄電設備の内部インピーダンスri,xiを含む総合インピーダンス(r,x)を用いている。
この際、特に、内部インピーダンスri,xiを仮想的に大きくして、総合インピーダンスを求め、この仮想インピーダンスを用いて内部起電圧指令値Efおよび電流指令値Id_ref_grid,Iq_ref_gridを演算することとしてもよい。このように、内部インピーダンスri,xiを仮想的に大きくして算出を行うことにより、系統側電力変換器8の安定した運転が可能となる。
複数の電圧制御型電力変換装置を並列運転した場合、電力変換器間のわずかな電圧差で大きく出力バランスが崩れてしまうのは、電力変換器(交流電力系統−発電機間)のインピーダンスが低いことが原因である。ここで、第3電流指令値演算部49が演算する第3電流指令値は、仮想的な発電機が内部起電圧を発生させた場合に交流電力系統2に出力されると推定される電流値である。すなわち、第3電流指令値を演算するためのインピーダンスとして、内部インピーダンスri,xiを含む総合インピーダンスを用い、内部インピーダンスri,xiを仮想的に大きくすることにより、仮想の発電機における見かけ上のインピーダンスが上昇する。これにより、交流電力系統2との連系運転または複数の発電機間での並列運転においてシステムが不安定になることが抑制される。
(6)変換回路制御部
変換回路制御部50は、第3電流指令値演算部49で得られた第3電流指令値Id_ref_grid,Iq_ref_gridに基づいて第3変換回路22への電流制御信号を生成する。本実施形態において、変換回路制御部50は、上記第3電流指令値Id_ref_grid,Iq_ref_gridと、電流演算部44で得られた交流側の電流値Id_grid,Iq_gridと、電圧・周波数・位相演算部43で得られた交流側の位相φgridとを用いて、第3変換回路22のパワー半導体素子のゲート制御信号として電流制御信号を生成する。電流制御信号は、例えばPWM信号である。
このように、本実施形態の系統側電力変換器8によれば、交流電力系統2に接続される発電設備3および蓄電設備10を、内部起電力と内部インピーダンスとを有する仮想の発電機として捉えて、系統側電力変換器8の交流側の電圧Vd_grid,Vq_gridおよび電流Id_grid,Iq_gridから当該仮想の発電機の内部起電圧指令値Efおよび内部相差角θを求め、これらの値から求められる電流値(仮想の発電機における電機子電流値)を系統側電力変換器8の出力電流として系統側電力変換器8の交流側へ出力する。すなわち、第3電力変換回路22に出力電流の指令値が出力されることにより、第3電力変換回路22の有効電力および交流電力系統2の周波数の閉ループ制御系と、第3電力変換回路22の無効電力および交流電力系統2の電圧の閉ループ制御系とが形成され、これらの制御量(被制御量)がフィーバック制御される。したがって、系統側電力変換器8は、電流制御型および電圧制御型の双方の機能を有し、自立運転から連系運転に切り替えるときに、制御方式の変更をする必要のない電力変換器となる。このように、系統側電力変換器8に仮想発電機モデル制御を組み込むことにより、当該系統側電力変換器8は、原動機発電機と同等の特性を有するようになり、他の発電機との間で系統連系運転と自立運転とをシームレスに切り替えることができる。
特に離島等でこのような発電設備3および電力変換装置1を運用する場合、発電設備3のメンテナンスや系統負荷4の変動に対応するために、交流電力系統2を停電させることなく、発電設備3の構成変更を行う必要がある。このため、本実施形態においては、系統側電力変換器8において仮想発電機モデル制御を行うことにより、系統連系運転においては、自律的に負荷分担を行うことができ、発電設備3における構成変更や、負荷分担制御を容易に行える。
<系統負荷変動時の動作>
以下に、本実施形態の電力変換装置1において交流電力系統2における負荷が変動した場合の動作について説明する。図18A〜図18Eは、本実施形態における電力変換装置において交流電力系統の負荷が変動した時の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。図18A〜図18Eは、縦軸が直流リンク部11における電圧(直流中間電圧)Vdcを示し、横軸が直流中間電圧Vdcを発電設備3と蓄電設備10とで負荷分担する際の分担状態を示す。横軸方向中央より右側のPbinary領域にある系統負荷4の電力(以下、負荷電力)Pに対し、発電設備3が負担する負荷電力を示し、横軸中央より左側のPbatt領域にある負荷電力Pに対し、蓄電設備10が負担する負荷電力を示す。DC−DCコンバータ9は、直流リンク部11側への出力電圧と出力電流との関係が垂下特性を有しているため、図18A〜図18EにおけるPbatt領域は、直流中間電圧Vdcの低下に応じてPbattが増加するように変化する。一方、Pbinary領域はPI制御による電圧一定制御のため、負荷負担割合の変化に依存していない。
まず、図18Aは、負荷電力Pが静定している状態(このときの負荷Pは例えば65kW)を示している。例えば、直流中間電圧はVdc=712.5Vであり、発電設備3の回転機6の回転速度は1[PU]である。このとき、負荷電力Pは、発電設備3がすべて負担しており(図18Aにおいて矢符P1−0で示される)、蓄電設備10の充放電電力(DC/DCコンバータ9の出力)は0kWである。
ここで、負荷電力PがP’(>P)に変動した場合(例えばP=65kWからP’=100kWに変動した場合)を考える。図18Bは、系統負荷の変動直後の状態を示している。負荷変動直後は、発電設備3の回転速度ωbinは変化しないため、発電設備側電力変換器7の目標中間電圧Vdc_ref_binは、変化しない。一方で、系統負荷の増加に伴い、直流中間電圧Vdcは、低下する。このため、発電設備側電力変換器7における第1電流指令値演算部29がPI制御を行い、発電設備3の出力電力を上昇させて、直流中間電圧Vdcを系統負荷の変動前と同じ値(Vdc_ref=712.5V)に維持する。直流中間電圧Vdc(基準値Vdc_ref)は変化しないため、DC/DCコンバータ9の出力は0kWのままである。このように、負荷変動直後は、発電設備3が一時的に負荷変動をすべて負担する(図18Bにおいて矢符P1−1で示される)。
その後、発電設備3の負担が上昇したことにより、発電設備3の回転速度ωbinが低下する。図18Cは、発電設備3の回転速度ωbin低下時の状態を示している。発電設備3の回転速度ωbinの低下に伴い、発電設備側電力変換器7の目標中間電圧Vdc_ref_binが低下し、直流中間電圧Vdcが低下する。直流中間電圧Vdcが低下することにより、DC/DCコンバータ9の放電電力が増加する。この結果、負荷電力P’の一部が蓄電設備10に移行する(図18Cにおいて矢符P2−2で示される)。これにより、発電設備3の負荷分担が低減され(図18Cにおいて矢符P2−1で示される)、回転速度ωbinの低下が抑制される。
発電設備3の回転速度ωbinが低下したことにより、発電設備3の回転速度一定制御に基づいて、発電設備3の回転速度ωbinが上昇し始める。具体的には、発電設備3のガバナ部85への指令値(制御弁開度)Ogが上昇することにより、発電設備3の回転速度ωbinが上昇し始める。この結果、図18Dに示すように、発電設備側電力変換器7の目標中間電圧Vdc_ref_binが上昇し、負荷電力P’の負荷分担が発電設備3側に移行し始める。蓄電設備10が、負荷電力P’の一部を負担したことにより、蓄電設備10のSOC値が低下するため、SOC電圧補正値Vsoc_cmpも低下する。このため、DC/DCコンバータ9の充電電力が増加する(図18DのP2−3で示す)。発電設備3は、DC/DCコンバータ9を介して蓄電設備10を充電するために、系統負荷電力P’と蓄電設備10への充電電力とを負担する(図18Dにおいて矢符P1−3(>P’)で示される)。
発電設備3の回転速度ωbinが回転速度指令値ωref_binに復帰し、蓄電設備10への充電が完了すると、図18Eに示すように、再び静定状態となる。このとき、発電設備3が負荷電力P’をすべて負担する(図18Eにおいて矢符P1−4で示される)。DC/DCコンバータ9の出力は再び0kWとなる。このとき、蓄電設備10のSOC値およびSOC電圧補正値Vsoc_cmpも元の状態に復帰する。
図19Aは図18A〜図18Eに示す負荷分担動作に伴う直流中間電圧の変化を示すグラフであり、図19Bは図18A〜図18Eに示す負荷分担動作に伴う系統側、発電設備側および蓄電設備側の各電力の変化を示す図であり、図19Cは図18A〜図18Eに示す負荷分担動作に伴う発電設備の回転速度の変化を示す図である。図19A〜図19CにおけるA〜Eは、それぞれ図18A〜図18Eの各状態に対応する箇所を示している。
図19Cに示すように、系統負荷4の負荷変動に基づいて発電設備3の回転速度ωbinが変化し、これを発電設備3の回転速度一定制御により復帰させるのにはある程度の時間が必要である。一方、発電機側電力変換器7の目標中間電圧Vdc_ref_binは目標中間電圧演算部28により発電設備3の回転速度ωbinに連動して変化する。このため、図19Bに示すように、発電設備側電力変換器7が電圧一定制御により直流中間電圧Vdcは回転速度ωbinに連動して変化する。これに対し、蓄電設備10を用いたDC/DCコンバータ9の充放電制御(比例制御)は垂下特性を有するため、直流中間電圧Vdcの変化、すなわち、回転速度ωbinの変化に対し、変化を抑制するように充放電制御が行われる。このため、系統負荷4の負荷変動に伴う直流中間電圧Vdcの変動をDC−DCコンバータ9の比例制御により抑制させることができる。また、これにより、発電設備3の回転速度ωbinの変動も低減させることができ、系統負荷4の負荷変動に対する負荷追従能力も高めることができる。
なお、上記例においては、負荷電力PがP’に増加した場合について説明したが、負荷電力Pが減少した場合についても同様に動作する。すなわち、負荷電力Pが減少することにより、発電設備3の回転速度が上昇し、これに伴って蓄電設備10が充電される。蓄電設備10が充電されることによりSOC値が上昇し、SOC電圧補正値Vsoc_cmpも上昇する。これにより、蓄電設備10は放電に転ずる。また、発電設備3の回転速度一定制御により、発電設備3の回転速度ωbinが復帰(減少)し、発電設備側電力変換器7の目標中間電圧Vdc_ref_binが復帰(減少)する。
<発電設備トリップ時の動作>
以下に、本実施形態の電力変換装置1において発電設備3がトリップした場合の動作について説明する。図20A〜図20Dは本実施形態において発電設備がトリップした場合の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。
図20Aは、図18Aと同様であり、静定状態を示している。この状態から発電設備3がトリップすると、発電設備側電力変換器7からの給電が停止し、系統負荷4の電力Pは、DC/DCコンバータ9を介して蓄電設備10が負担することとなる(図20Bにおいて矢符P2−1で示される)。図20Bに示すように、発電設備3のトリップ直後は、直流中間電圧Vdcは、ほとんど変化しない。しかし、DC/DCコンバータ9が比例制御を行うことにより、ドループ特性に応じて直流中間電圧Vdcが低下する(図20Cにおいて矢符P2−2で示される)。DC/DCコンバータ9の比例制御により蓄電設備10の放電が進むと、SOC値が低下し、SOC電圧補正値Vsoc_cmpが低下する。これに伴い、図20Dに示すように、直流中間電圧Vdcも低下する(図20Dにおいて矢符P2−3)。
この間、系統側電力変換器8は、直流リンク部11における電圧変動に関係なく、所要の電力を交流電力系統2に供給し続ける。したがって、発電設備3の回転機6がトリップしても、蓄電設備10に蓄積されている電力によって、交流電力系統2を停電させることなく給電を継続させることができる。実際の運用では、発電設備3のトリップ後、他の原動機発電機5等の補助発電機を起動し、給電を開始するため、蓄電設備10は補助発電機が起動するまでの間、給電(直流リンク部11への放電)を継続する。
このように、発電設備3が何らかの異常によりトリップした場合でも、蓄電設備10に蓄えられた電力を用いて比例制御を行うDC/DCコンバータ9と仮想発電機モデル制御を行う系統側電力変換器8とが協調的に動作し、交流電力系統2への給電を継続することができる。このため、発電設備3がトリップすることにより、交流電力系統2が停電することを防止することができる。
<発電設備の起動>
次に、上記のように発電設備3がトリップし、蓄電設備10の放電により給電が継続された後に、発電設備3を再起動する際の動作について説明する。なお、トリップ後の再起動に限られず、発電設備3の構成変更後の起動時も同様の動作を行い得る。図21A〜図21Dは本実施形態において発電設備が停止状態から起動する際の負荷分担動作のシミュレーション結果を示す図である。
発電設備3の起動開始時の状態としては、発電設備3は回転機6が停止し、補助発電機が系統負荷に給電を行っている状態を想定している。この状態において、系統側電力変換器8は、仮想の発電機が負の電力を発生するような制御を行い、DC/DCコンバータ9が蓄電設備10を充電する。具体的には、系統側電力変換装置8の周波数指令値演算部46(図13)に入力される有効電力指令値Prefが負の値に設定される。有効電力指令値Prefの設定は、オペレータにより手動で行われてもよいし、再起動のために予め定められた動作プログラムをオペレータが実行するまたは自動的に実行することにより、自動で設定されてもよい。
有効電力指令値Prefが負の値に設定されることにより、系統側電力変換器8は交流電力系統2から電力を受電する状態になり、受電した電力で蓄電設備10の充電が行われる(図21Aの矢符P2−0で示される)。充電の際、オペレータまたは上記動作プログラムにより、SOC指令値SOCrefは、発電設備3の起動に必要な電力を供給可能となるようなSOC値に設定される。
蓄電設備10の充電が進むと、図21Bに示すように、SOC値およびSOC電圧補正値Vsoc_cmpが上昇する。蓄電設備10のSOC値が上記のように設定されたSOC指令値SOCrefに達すると、オペレータまたは上記動作プログラムにより、有効電力指令値Prefとして発電設備3の起動に必要な有効電力値が設定される。発電設備3の起動に必要な電力は、ポンプ等、発電設備3に付帯する補機類を駆動するために必要な電力を意味する。このような補機類は、交流電力系統2に接続されている。したがって、系統側電力変換器8は、系統側電力変換装置8から交流電力系統2へ発電設備3の起動に必要な電力を出力するような制御を行う。発電設備3は、蓄電設備10に充電された電力を用いて自立的に起動する。
なお、発電設備3の起動中は、交流電力系統2に接続されている補助発電機(原動機発電機5等)からも電力を受電する。例えば、発電設備3の停止時においては、交流電力系統2に接続された原動機発電機5が系統負荷への電力を供給することになる。これに加えて、発電設備3を起動するのに必要な電力を原動機発電機5のみで賄うとすると、原動機発電機5の発電能力を超える過負荷の状態になる可能性がある。そこで、蓄電設備10に充電された電力を交流電力系統2に供給することにより、原動機発電機5を過負荷の状態にすることを防止しつつ、発電設備3の起動を有効に行うことができる。
発電設備3の起動後、発電機側電力変換装置7は通常時の制御に復帰する。また、系統側電力変換装置8の有効電力指令値Prefも通常時の値に変更される。蓄電設備10は発電設備3の起動のために放電を行ったことにより、SOC値が低下し、SOC電圧補正値Vsoc_cmpが低下する。発電設備3は、図21Dに示すように、交流電力系統2に必要な電力を供給しながら、蓄電設備10への充電も行う(図21Dの矢符P1−3(>P)で示される)。
このように、発電設備3の起動時において、系統側電力変換装置8の仮想発電機モデル制御において、一時的に仮想の発電機が負の電力を出力するように設定することにより、交流電力系統2を停電させることなく交流電力系統2の電力を用いて蓄電設備10を充電し、発電設備3を起動させることができる。また、発電設備3の起動の際に、起動用の別の構成を設ける必要がなく、電力変換装置1単体での発電設備3の起動が可能である。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
なお、上記実施形態においては、ゲインK,Dr、時定数T等の制御パラメータを複数の構成(例えば、第1電流指令値演算部29、第2電流指令値演算部37、周波数指令値演算部46、内部起電圧指令値演算部48等)について同じ記号を用いて説明した。しかしながら、これらの制御パラメータは、各構成において適宜異なる値を用いることが可能である。すなわち、これらの制御パラメータは、各構成間で関連性はなく、構成ごとに最適な値に設定すればよい。
本発明の複合発電システム用電力変換装置は出力調整を迅速かつ適正に行うことにより、発電設備の自立運転を適正に行うために有用である。
1 電力変換装置
2 交流電力系統
3 発電設備
4 系統負荷
5 他の発電設備(原動機発電機)
6 回転機
7 発電設備側電力変換器
8 系統側電力変換器
9 DC/DCコンバータ
10 蓄電設備
11 直流リンク部
12 第1変換回路
13 第1電圧計測器
14 第2電圧計測器
15 第1制御装置
16 発電設備側電流計測器
17 第2変換回路
18 第3電圧計測器
19 SOC値取得部
20 第2制御装置
21 中間電流計測器
22 第3変換回路
23 第4電圧計測器
24 系統側電流計測器
25 第3制御装置
26 回転速度・位相演算部
27,44 電流演算部
28 目標中間電圧演算部
29 第1電流指令値演算部
30,38,50 変換回路制御部
31,34,39,41b,51,56,58,87 減算器
32,42,52,59 比例制御器
33,41a,55,62 加算器
35,88 PI制御器
36 SOC電圧補正値演算部
37 第2電流指令値演算部
40 補正値演算器
43 電圧・周波数・位相演算器
45 電力演算部
46 周波数指令値演算部
47 内部相差角演算部
48 内部起電圧指令値演算部
49 第3電流指令値演算部
53,60 一次遅れ演算器
54,61 上下限リミッタ
57,94 積分器
63 第1の関数演算器
64 第2の関数演算器
81 循環ポンプ
82 蒸発器
83 凝縮器
84 発電機
85 ガバナ部
86 ガバナ制御演算部
87 回転速度計測器
91 αβ演算器
92 位相比較器
93 ループフィルタ

Claims (16)

  1. 交流電力系統と、回転機の回転動力に基づいて発電する発電設備との間に設けられる複合発電システム用電力変換装置であって、
    前記発電設備からの交流電力を直流電力に変換する発電設備側電力変換器と、
    前記発電設備側電力変換器の直流側端子に直流リンク部を介して接続され、前記発電設備側電力変換器によって変換された直流電力を交流電力に変換する系統側電力変換器と、
    前記直流リンク部に、DC/DCコンバータを介して接続される蓄電設備と、を備え、
    前記系統側電力変換器は、当該系統側電力変換器の交流側の電圧および電流を計測し、これらの計測値を用いて、前記系統側電力変換器の代わりに仮想の発電機が前記交流電力系統に接続されているとみなして前記交流電力系統への出力制御を行うように構成され、
    前記発電設備側電力変換器は、前記回転機の回転速度に応じて前記直流リンク部の直流電圧(以下、直流中間電圧)を変化させる電圧制御を行うように構成され、
    前記DC/DCコンバータは、前記直流中間電圧の変化に応じて前記蓄電設備の充放電量を変化させるように構成される、複合発電システム用電力変換装置。
  2. 前記発電設備側電力変換器は、
    前記直流中間電圧が所定の目標電圧(以下、発電機側電力変換器目標中間電圧)となるように電圧制御を行うように構成される、請求項1に記載の複合発電システム用電力変換装置。
  3. 前記発電機側電力変換器目標中間電圧は、前記回転機の回転速度と予め定めた回転速度指令値との偏差に基づいた値に予め定めた直流電圧基準値を加算して算出されたものである、請求項2に記載の複合発電システム用電力変換装置。
  4. 前記発電設備側電力変換器は、
    前記回転機の回転速度と予め定めた回転速度指令値との偏差に基づいた値に予め定めた直流電圧基準値を加算して前記発電機側電力変換器目標中間電圧を演算し、
    前記発電機側電力変換器目標中間電圧と第2電圧計測器で計測された直流中間電圧との偏差を比例および積分して前記発電設備側電力変換器に入力される前記発電設備の出力電流の指令値(以下、第1電流指令値)を演算し、
    前記第1電流指令値を用いて前記発電設備側電力変換器における電力変換を行って、前記電圧制御を行う、請求項2または3に記載の複合発電システム用電力変換装置。
  5. 前記発電設備側電力変換器は、
    当該発電設備側電力変換器の交流側の電圧を計測する第1電圧計測器と、
    当該発電設備側電力変換器の直流側の電圧を計測する第2電圧計測器と、
    第1制御装置とを備え、
    前記第1制御装置は、
    前記第1電圧計測器で計測された前記交流側の電圧から、前記発電設備の前記回転機の回転速度を演算する回転速度演算部と、
    所定の回転速度指令値と前記回転速度との偏差に基づいた値に所定の直流電圧基準値を加算して前記発電機側電力変換器目標中間電圧を演算する目標中間電圧演算部と、
    前記発電機側電力変換器目標中間電圧と前記第2電圧計測器で計測された前記直流側の電圧との偏差を比例および積分して前記発電設備側電力変換器に入力される第1電流指令値を演算する第1電流指令値演算部と、を含み、
    前記第1電流指令値を用いて前記発電設備側電力変換器における電力変換を行って、前記電圧制御を行う、請求項2から4の何れかに記載の複合発電システム用電力変換装置。
  6. 前記DC/DCコンバータは、前記直流中間電圧と所定の目標電圧(以下、DC/DCコンバータ目標電圧)との偏差に基づいて前記蓄電設備の充放電量を調節する、請求項1から4の何れかに記載の複合発電システム用電力変換装置。
  7. 前記DC/DCコンバータは、前記直流中間電圧と前記直流リンク部側への出力電流との関係が垂下特性を有するように、制御される、請求項6に記載の複合発電システム用電力変換装置。
  8. 前記DC/DCコンバータは、前記直流中間電圧が比例制御により制御される、請求項7に記載の複合発電システム用電力変換装置。
  9. 前記DC/DCコンバータは、前記蓄電設備の充電状態に応じて前記DC/DCコンバータ目標電圧を変化させる、請求項8に記載の複合発電システム用電力変換装置。
  10. 前記DC/DCコンバータ目標電圧は、前記蓄電設備の充電状態に基づく値(以下、SOC値)と所定のSOC指令値との偏差に基づき算出されたSOC電圧補正値を予め定めた直流電圧基準値に加算したものである、請求項6から9のいずれかに記載の複合発電システム用電力変換装置。
  11. 前記DC/DCコンバータは、
    当該DC/DCコンバータの前記直流中間電圧を計測する第3電圧計測器と、
    前記SOC値を取得するSOC値取得部と、
    第2制御装置とを備え、
    前記第2制御装置は、
    所定のSOC指令値と前記SOC値取得部で取得されたSOC値との偏差に基づいてSOC電圧補正値を演算するSOC電圧補正値演算部と、
    予め定めた直流電圧基準値に前記SOC電圧補正値を加算したDC/DCコンバータ目標電圧と前記第3電圧計測器で計測された前記直流中間電圧とを比例演算して前記DC/DCコンバータの前記直流リンク部側への出力電流の指令値(以下、第2電流指令値)を演算する第2電流指令値演算部と、を含み、
    前記第2電流指令値を用いて前記DC/DCコンバータにおける電力変換を行いながら前記蓄電設備の充放電させる制御を行う、請求項10に記載の複合発電システム用電力変換装置。
  12. 前記系統側電力変換器は、
    当該系統側電力変換器の交流側の電圧を計測する第4電圧計測器と、
    当該系統側電力変換器の交流側の電流を計測する第1電流計測器と、
    第3制御装置とを備え、
    前記第3制御装置は、
    前記第4電圧計測器で計測された電圧および前記第1電流計測器で計測された電流から、前記系統側電力変換器の交流側における有効電力および無効電力を演算する電力演算部と、
    所定の有効電力指令値と前記有効電力との偏差を比例演算し、その結果に所定の基準周波数を加算して周波数指令値を演算する周波数指令値演算部と、
    前記系統側電力変換器の交流側の周波数を取得する周波数取得部と、
    前記周波数取得部で取得された前記周波数と、前記周波数指令値との偏差を積分して内部相差角を演算する内部相差角演算部と、
    所定の無効電力指令値と前記無効電力との偏差を比例演算し、その結果に所定の基準電圧を加算して内部起電圧指令値を演算する内部起電圧指令値演算部と、
    前記内部相差角と、前記内部起電圧指令値と、前記第4電圧計測器で計測された前記交流側の電圧とを用いて、前記系統側電力変換器の交流側への出力電流の指令値(以下、第3電流指令値)を演算する第3電流指令値演算部と、を含み、
    前記第3電流指令値を用いて前記系統側電力変換器における電力変換制御を行う、請求項1から11の何れかに記載の複合発電システム用電力変換装置。
  13. 前記発電設備は、前記回転動力を生じさせる回転機の回転速度が一定となるように制御される、請求項1から12の何れかに記載の複合発電システム用電力変換装置。
  14. 前記発電設備は、ランキンサイクルを利用した発電設備である、請求項1から13の何れかに記載の複合発電システム用電力変換装置。
  15. 前記ランキンサイクルを利用した発電設備は、バイナリー発電設備である、請求項14に記載の複合発電システム用電力変換装置。
  16. 前記系統側電力変換器は、前記発電設備が発電を停止している状態から起動させる場合に、前記仮想の発電機が負の電力を発生するような制御を行い、前記DC/DCコンバータが前記蓄電設備を充電するよう構成され、前記発電設備は、前記蓄電設備に充電された電力を用いて自立的に起動する、請求項1から15の何れかに記載の複合発電システム用電力変換装置。
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