JP6368396B2 - 水素ガスの冷却方法及び水素ガスの冷却システム - Google Patents

水素ガスの冷却方法及び水素ガスの冷却システム Download PDF

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Description

本発明は、水素ガスの冷却方法及び水素ガスの冷却システムに関するものである。
燃料電池車に水素ガスを供給する水素ステーションでは、燃料電池車への水素ガスの充填効率を高めるため、水素ガスを充填前に高圧に圧縮する。この圧縮された水素ガスを燃料電池車のタンクへ充填する際、タンク内の圧力上昇に伴って圧縮熱が生じるため、その圧縮熱によるタンクの昇温を避けるために水素ステーションで高圧にされた水素ガスを冷却してから燃料電池車へ供給する。下記特許文献1及び下記特許文献2には、このような燃料電池車への供給前に水素ガスを冷却するための冷却方法及び冷却システムの一例が開示されている。
下記特許文献1では、金属粉を含む伝熱媒体が充填された充填槽を内部に有する容器と、その容器の外部から充填槽に引き込まれて螺旋状をなすガス流路及び伝熱媒体流路とを有する熱交換器を備えた冷却システムが用いられている。ガス流路と伝熱媒体流路とは、互いに沿うように近接した状態で配設されている。ガス流路には、水素ガスが流され、伝熱媒体流路には、充填槽に充填された伝熱媒体とは異なる低温の伝熱媒体が流される。水素ガスは、ガス流路を流れながら、伝熱媒体流路を流れる伝熱媒体との間で直接的に又は充填槽中の伝熱媒体を介して熱交換することにより冷却される。
また、下記特許文献2では、水素ガスと冷媒を流通させる二重管を有する熱交換器を備えた冷却システムが用いられている。この冷却システムでは、伝熱効率を向上させるため、水素供給路と冷媒供給路の圧力を同程度にした二重管を用いることで、両供給路の境界を構成する内管の管壁の薄肉化を実現し、熱交換器の伝熱抵抗を低減するとともに熱交換器を小型化している。
特開2010−121657号公報 特開2011−80495号公報
上記特許文献1に開示された水素ガスの冷却方法では、充填槽に多量の伝熱媒体を充填する必要があり、伝熱媒体の使用量が増大する。また、充填槽に充填された多量の伝熱媒体の熱抵抗は大きいため、この冷却方法で水素ガスの十分な冷却を行うためには、伝熱媒体流路に流す伝熱媒体をより低温にする必要があり、その伝熱媒体の冷却に要するエネルギが増大する。
一方、上記特許文献2に開示された水素ガスの冷却方法では、上記特許文献1の冷却方法に比べて伝熱媒体としての冷媒の使用量は減らすことができるものの、水素ガスの冷却処理量を増加するためには例えば二重管の本数を増やす必要がある。二重管の本数を増やす場合には、熱交換器が大型化する。また、上記特許文献2では、伝熱効率を向上させるため、水素供給路と冷媒供給路の圧力を同程度にすることが示されているが、実際には、高圧の水素ガスを燃料電池車に充填する際、水素ガスの圧力は刻々と変化する。このため、水素供給路に流す水素ガスの圧力制御を行ったとしても、実際には水素供給路と冷媒供給路との差圧は大きくなる。従って、この大きくなる差圧を考慮して安全率を有した管の肉厚の決定が必要となる。このため、結局は管の肉厚を大きくせざるを得ず、その結果、管の熱抵抗が大きくなる。この場合には、外管内の冷媒供給路に流す冷媒をより低温にしなければ、内管内の水素供給路を流れる水素ガスを十分に冷却することができなくなるため、冷媒の冷却に要するエネルギが増大する。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、熱交換器の小型化及び水素ガスの冷却処理量の確保を両立しながら、水素ガスの冷却に用いる伝熱媒体としてのブラインの使用量を削減するとともに、ブラインの冷却に要するエネルギの増大を抑制し、且つ、水素ガスを十分に冷却できるようにすることである。
上記目的を達成するために、本発明による水素ガスの冷却方法は、非蒸発性の不凍液であるブラインを用いて水素ガスを冷却する方法であって、微細流路である複数の第1流路が配列された第1層と微細流路である複数の第2流路が配列された第2層とが積層された積層体を備える熱交換器であって、前記複数の第2流路が、前記第2層の幅方向の中心から一方側に配置された一方の群の第2流路と、前記第2層の幅方向の中心から他方側に配置された他方の群の第2流路とを含み、前記一方の群の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心側から前記第2層の幅方向の前記一方側の端縁側へ直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第2層の幅方向の中心側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、前記他方の群の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心側から前記第2層の幅方向の前記他方側の端縁側へ直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第2層の幅方向の中心側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、前記複数の第1流路が、前記第2層の幅方向と同方向である前記第1層の幅方向の一方側から他方側へ前記一方の群の第2流路が配置された領域と前記他方の群の第2流路が配置された領域とに跨るように直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第1層の幅方向の前記他方側から前記一方側へ前記他方の群の第2流路が配置された領域と前記一方の群の第2流路が配置された領域とに跨るように直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有するものを用意する工程と、前記各第1流路に水素ガスを流通させるとともに前記各第2流路に水素ガスよりも低温のブラインを流通させて前記第1流路を流れる水素ガスと前記第2流路を流れるブラインとの間で熱交換させることにより水素ガスを冷却する冷却工程とを備え、前記冷却工程では、前記各第1流路を流れる水素ガスが前記第1層及び前記第2層の積層方向に直交する特定方向において一方側から他方側へ向かうとともに前記各第2流路を流れるブラインが前記特定方向において前記他方側から前記一方側へ向かうように前記各第1流路に水素ガスを導入するとともに前記各第2流路にブラインを導入して、水素ガスを前記各第1流路の蛇行した形状に沿ってその第1流路に流通させるとともにブラインを前記各第2流路の蛇行した形状に沿ってその第2流路に流通させ、前記第2流路の出口でのブラインの温度が前記第1流路の出口での水素ガスの温度よりも高くなるように前記各第2流路に導入するブラインの温度及び流量を制御する。
この水素ガスの冷却方法では、熱交換器の積層体内において微細流路である各第1流路を流れる水素ガスと微細流路である各第2流路を流れるブラインとの間での熱交換により水素ガスが冷却されるため、従来の充填槽に充填された伝熱媒体を介しての熱交換による水素ガスの冷却方法や従来の二重管内での冷媒と水素ガスとの間での熱交換による水素ガスの冷却方法に比べて、ブラインの単位体積当たりでの水素ガスとの熱交換効率が高くなり、その結果、ブラインの単位体積当たりでの水素ガスの冷却効率を高めることができる。また、第1流路を流れる水素ガスは下流側へ向かうに従って降温し、第2流路を流れるブラインは下流側、すなわち第1流路の水素ガスの入口側へ向かうに従って昇温するが、この水素ガスの冷却方法では、各第1流路を流れる水素ガスが積層体の各層の積層方向に直交する特定方向において一方側から他方側へ向かうとともに各第2流路を流れるブラインが前記他方側から前記一方側へ向かうように各第1流路に水素ガスを導入するとともに各第2流路にブラインを導入するため、水素ガスは、第1流路を下流側へ流れるに従って、第2流路の上流側のより低温のブラインとの間で熱交換することができる。このため、水素ガスの冷却効率をより高めることができる。さらに、この水素ガスの冷却方法では、第2流路の出口でのブラインの温度が第1流路の出口での水素ガスの温度よりも高くなるように各第2流路に導入するブラインの温度及び流量を制御するため、第2流路の出口でのブラインの温度が第1流路の出口での水素ガスの温度以下になる場合に比べてブラインから水素ガスへ与えられるブライン流量(単位体積)あたりの冷熱が大きくなり、水素ガスをより有効に冷却することができる。以上のように、本冷却方法では、水素ガスの冷却効率を高めることができることから、ブラインの使用量を削減したとしても、また、ブラインを過剰に低温まで冷却しなくても、水素ガスを十分に冷却することができる。また、熱交換器の積層体内に微細流路である複数の第1流路と微細流路である複数の第2流路を集積することができるので、熱交換器の小型化を図りつつ水素ガスの冷却処理量を十分に確保することができる。従って、本冷却方法では、熱交換器の小型化及び水素ガスの冷却処理量の確保を両立しながら、水素ガスの冷却に用いるブラインの使用量を削減するとともに、ブラインの冷却に要するエネルギの増大を抑制でき、且つ、水素ガスを十分に冷却することができる。
また、この水素ガスの冷却方法では、例えば流路が直線状に形成されている場合に比べて1つの層あたりに設けられる流路本数は少なくなるものの各流路の長さを大きくすることができ、積層体における第1流路と第2流路の伝熱面積を十分に確保することができる。また、1つの層あたりに設けられる流路本数が少なくなることによって、それらの流路に流す流体の総流量が同じである場合でも各流路をそれぞれ流れる流体の流速を上げることができる。一般的に、流路を流れる流体の流速が上がると、その流路内での流体の乱れが大きくなり、その結果、伝熱性能が向上する。従って、この水素ガスの冷却方法では、第1流路と第2流路の伝熱面積を十分に確保しつつ、各第1流路を流れる水素ガスの流速と各第2流路を流れるブラインの流速を上げてそれらの水素ガスとブラインとの間での伝熱性能を向上することができ、水素ガスをより有効に冷却することができる。
上記水素ガスの冷却方法において、前記冷却工程では、前記第2流路の出口でのブラインの温度がその第2流路の入口でのブラインの温度よりも10℃以上高くなるように前記各第2流路に導入するブラインの流量を制御することが好ましい。
この構成によれば、熱交換器の積層体内において第2流路を流れるブラインから第1流路を流れる水素ガスへ与えられる冷熱を十分に大きくすることが可能な各第2流路へのブラインの導入流量の具体的な条件を設定することができる。
上記水素ガスの冷却方法において、前記冷却工程では、前記第2流路の入口でのブラインの温度が−40℃になるように前記各第2流路に導入するブラインの温度を制御することが好ましい。
この構成によれば、熱交換器の積層体の水素脆化を抑制しつつ、水素ガスを有効に冷却可能な各第2流路へ導入するブラインの温度条件を設定することができる。
本発明による水素ガスの冷却システムは、非蒸発性の不凍液であるブラインを用いて水素ガスを冷却する冷却システムであって、ブラインを冷却する冷凍機と、前記冷凍機との間でブラインが循環するように前記冷凍機に接続され、水素ガスを前記冷凍機から供給されたブラインとの間で熱交換させることにより冷却する熱交換器と、前記冷凍機で冷却されたブラインを前記熱交換器へ送出するポンプとを備え、前記熱交換器は、水素ガスが導入されて流れる微細流路である複数の第1流路が配列された第1層とブラインが導入されて流れる微細流路である複数の第2流路が配列された第2層とが積層された積層体を有していて、前記第1流路を流れる水素ガスと前記第2流路を流れるブラインとの間で熱交換させ、前記複数の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心から一方側に配置された一方の群の第2流路と、前記第2層の幅方向の中心から他方側に配置された他方の群の第2流路とを含み、前記一方の群の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心側から前記第2層の幅方向の前記一方側の端縁側へ直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第2層の幅方向の中心側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、前記他方の群の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心側から前記第2層の幅方向の前記他方側の端縁側へ直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第2層の幅方向の中心側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、前記複数の第1流路は、前記第2層の幅方向と同方向である前記第1層の幅方向の一方側から他方側へ前記一方の群の第2流路が配置された領域と前記他方の群の第2流路が配置された領域とに跨るように直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第1層の幅方向の前記他方側から前記一方側へ前記他方の群の第2流路が配置された領域と前記一方の群の第2流路が配置された領域とに跨るように直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、前記各第1流路の水素ガスの入口及び出口は、その入口から導入されて当該第1流路を流れる水素ガスが前記第1層及び前記第2層の積層方向に直交する特定方向において一方側から他方側へ向かうように配置され、前記各第2流路のブラインの入口及び出口は、その入口から導入されて当該第2流路を流れるブラインが前記特定方向において前記他方側から前記一方側へ向かうように配置され、前記第2流路の出口でのブラインの温度が前記第1流路の出口での水素ガスの温度よりも高くなるように、前記冷凍機が前記各第2流路へ供給するブラインの温度を制御するとともに前記ポンプが前記各第2流路へ送出するブラインの流量を制御する。
この水素ガスの冷却システムでは、上記水素ガスの冷却方法と同様の理由により、熱交換器の小型化及び水素ガスの冷却処理量の確保を両立しながら、水素ガスの冷却に用いるブラインの使用量を削減するとともに、ブラインの冷却に要するエネルギの増大を抑制でき、且つ、水素ガスを十分に冷却することができる。
また、この水素ガスの冷却システムでは、例えば流路が直線状に形成されている場合に比べて1つの層あたりに設けられる流路本数は少なくなるものの各流路の長さを大きくすることができ、積層体における第1流路と第2流路の伝熱面積を十分に確保することができる。また、1つの層あたりに設けられる流路本数が少なくなることによって、それらの流路に流す流体の総流量が同じである場合でも各流路をそれぞれ流れる流体の流速を上げることができる。一般的に、流路を流れる流体の流速が上がると、その流路内での流体の乱れが大きくなり、その結果、伝熱性能が向上する。従って、この水素ガスの冷却システムでは、第1流路と第2流路の伝熱面積を十分に確保しつつ、各第1流路を流れる水素ガスの流速と各第2流路を流れるブラインの流速を上げてそれらの水素ガスとブラインとの間での伝熱性能を向上することができ、水素ガスをより有効に冷却することができる。
上記水素ガスの冷却システムにおいて、前記ポンプは、前記第2流路の出口でのブラインの温度がその第2流路の入口でのブラインの温度よりも10℃以上高くなる流量でブラインが前記各第2流路を流れるようにブラインを送出することが好ましい。
この構成によれば、熱交換器の積層体内において第2流路を流れるブラインから第1流路を流れる水素ガスへ与えられる冷熱を十分に大きくすることが可能なポンプのブラインの送出流量を具体的に設定することができる。
上記水素ガスの冷却システムにおいて、前記冷凍機は、前記第2流路の入口でのブラインの温度が−40℃になるように前記各第2流路へ供給するブラインの温度を制御することが好ましい。
この構成によれば、熱交換器の積層体の水素脆化を抑制しつつ、水素ガスを有効に冷却可能な冷凍機のブラインの冷却温度を具体的に設定することができる。
以上説明したように、本発明によれば、熱交換器の小型化及び水素ガスの冷却処理量の確保を両立しながら、水素ガスの冷却に用いるブラインの使用量を削減するとともに、ブラインの冷却に要するエネルギの増大を抑制でき、且つ、水素ガスを十分に冷却することができる。
本発明の一実施形態による水素ガスの冷却システムの全体構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態による水素ガスの冷却システムに用いる熱交換器を基板積層方向における一方側から見た正面図である。 図2に示した熱交換器を図2における右側から見た側面図である。 図3に示した熱交換器の積層体の部分的な断面図である。 図3に示した熱交換器の積層体において第1流路を形成する第1基板の概略的な平面図である。 図3に示した熱交換器の積層体において第2流路を形成する第2基板の概略的な平面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
まず、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による水素ガスの冷却方法に用いる冷却システムの構成について説明する。
この冷却システムは、例えば水素ステーションにおいて燃料電池車90(図1参照)に供給する水素ガスを冷却するために用いられるものである。水素ステーションでは、燃料電池車90への水素ガスの充填効率を高めるために、水素ガスを高圧に圧縮した上で燃料電池車90へ供給するが、この水素ガスの圧縮に伴って圧縮熱が生じる。本実施形態の冷却システムは、この圧縮熱による水素ガスの昇温を避けるため、圧縮後の高圧の水素ガスを燃料電池車90への充填前に低温に冷却するものである。
本実施形態の冷却システムは、図1に示すように、冷凍機2と、タンク4と、第1ポンプ6と、第2ポンプ8と、熱交換器10とを備える。
冷凍機2は、ブラインを冷却するものであり、ブラインの温度を制御する機能を備えている。ブラインは、非蒸発性の不凍液であり、例えば、エチレングリコール水や、フッ素系の液体等が用いられる。冷凍機2は、熱交換器10で水素ガスと熱交換して昇温したブラインが導入される導入部2aと、当該冷凍機2が冷却した後のブラインを吐出する吐出部2bとを有する。冷凍機2は、導入部2aから当該冷凍機2に導入されたブラインを低温の代替フロン等の冷媒との間で熱交換させることにより、そのブラインを冷却し、冷却後のブラインを吐出部2bから吐出する。冷凍機2は、冷媒の温度を変更可能に構成されており、その冷媒の温度を変更することによってブラインの冷却後の温度を制御するようになっている。冷凍機2には、例えば−30℃のブラインが導入され、そのブラインを例えば−40℃以下にまで冷却する。
タンク4は、ブラインを貯留するためのものである。タンク4内には、冷凍機2から吐出された冷却後のブラインを貯留するための冷却後ブライン貯留室12と、熱交換器10から排出された熱交換後のブラインを貯留するための熱交換後ブライン貯留室14とが設けられている。冷却後ブライン貯留室12は、配管18を介して冷凍機2の吐出部2bに接続されているとともに、配管20を介して熱交換器10の後述する供給ヘッダ28に接続されている。熱交換後ブライン貯留室14は、配管22を介して熱交換器10の後述する排出ヘッダ30に接続されているとともに、配管24を介して冷凍機2の導入部2aに接続されている。冷却後ブライン貯留室12と熱交換後ブライン貯留室14との間には、仕切壁16が設けられており、冷却後ブライン貯留室12に貯留された冷却後のブラインと熱交換後ブライン貯留室14に貯留された熱交換後のブラインとが混ざらないようになっている。また、仕切壁16は、高断熱性の材料によって形成されており、冷却後ブライン貯留室12に貯留されたブラインと熱交換後ブライン貯留室14に貯留されたブラインとの間で熱交換が生じるのを防いでいる。
第1ポンプ6は、冷却後ブライン貯留室12の出口に繋がる配管20に設けられており、冷却後ブライン貯留室12に貯留されたブラインを吸引するとともに熱交換器10へ送出するものである。この第1ポンプ6は、単位時間当たりのブラインの送出流量を変更可能に構成されている。
第2ポンプ8は、熱交換後ブライン貯留室14の出口に繋がる配管24に設けられており、熱交換後ブライン貯留室14に貯留されたブラインを吸引するとともに冷凍機2の導入部2aへ送出するものである。この第2ポンプ8は、単位時間当たりのブラインの送出流量を変更可能に構成されている。
熱交換器10は、圧縮機100で圧縮されて高圧となった水素ガスを低温のブラインとの間で熱交換させて冷却するものである。この熱交換器10は、多数のマイクロチャネル(微細流路)を有し、その各マイクロチャネルにそれぞれ流体を流通させながら、その流体同士の間で熱交換を行わせる、いわゆるマイクロチャネル熱交換器である。
熱交換器10は、多数の流路が内部に設けられた積層体26と、積層体26内の後述する第2流路34にブラインを供給するための供給ヘッダ28と、後述する第2流路34からブラインを排出するための排出ヘッダ30とを有する。
積層体26は、直方体状の外形を有している。積層体26の内部には、図4に示すように、マイクロチャネル(微細流路)である多数の第1流路32と、マイクロチャネル(微細流路)である多数の第2流路34とが設けられている。第1流路32は、水素ガスを流通させるものであり、第2流路34は、水素ガスを冷却するためのブラインを流通させるものである。
積層体26は、図3に示すように、複数の第1基板38と、複数の第2基板40と、一対の端板42とによって形成されている。具体的には、第1基板38と第2基板40とが交互に繰り返し積層され、その積層方向の両端に一対の端板42が分かれて積層されることによって積層体26が形成されている。積層体26では、第1基板38の厚み方向の両側に第2基板40がそれぞれ積層されている。各第1基板38には、複数の第1流路32がそれぞれ配列され、各第2基板40には、複数の第2流路34がそれぞれ配列されている。各基板38,40は、例えばステンレス鋼等によって形成された薄い平板である。積層された基板38,40は、それらの互いに接触する板面同士が拡散接合されることによって一体化されている。なお、第1基板38は、本発明の第1層の一例であり、第2基板40は、本発明の第2層の一例である。
各第1基板38の厚み方向における一方の板面(図5参照)には、複数の第1流路32を形成するための複数の第1流路用溝部48が形成されている。なお、図5では、第1基板38に形成された複数の第1流路用溝部48全体の外形を示しており、第1流路用溝部48の1本ずつの図示については省略しているが、図5に示した外形内に複数の第1流路用溝部48が並列配置されている。第1基板38の前記一方の板面における複数の第1流路用溝部48の開口がその板面上に積層された第2基板40で封止されることによって、その一方の板面側に配列されるとともにその一方の板面に沿うように複数の第1流路32が形成されている。
積層体26のうち第1基板38の長手方向の一端近傍(積層体26の上端近傍)で且つ第1基板38の幅方向の一端近傍の位置には、各第1流路32へ水素ガスを導入するための第1導入口50が形成されている。この第1導入口50は、本発明による第1流路の入口の一例である。第1導入口50は、各基板38,40と一対の端板42のうちの一方の端板42とを同じ位置で厚み方向に貫通して連通する貫通穴によって形成されている。これにより、第1導入口50は、基板38,40の積層方向に連続し、前記一方の端板42の表側の板面において開口した穴となっている。また、各第1基板38に形成された複数の第1流路32は、全て、この第1導入口50に繋がっている。すなわち、第1導入口50は、積層体26内に設けられた全ての第1流路32に共通の水素ガスの導入口となっている。
積層体26のうち第1基板38の長手方向及び幅方向において第1導入口50と反対側の端部近傍の位置には、各第1流路32を流れた水素ガスを排出するための第1排出口52が形成されている。この第1排出口52は、本発明による第1流路の出口の一例である。第1排出口52は、第1導入口50と同様、各基板38,40と前記一方の端板42を同じ位置で厚み方向に貫通して連通する貫通穴によって形成されている。また、第1排出口52は、第1導入口50と同様、積層体26内に設けられた全ての第1流路32に共通の水素ガスの排出口となっている。
第1流路32は、第1導入口50と第1排出口52の間で、第1基板38の幅方向の一方側から他方側へ直線的に延びる部分と、その部分から折り返されて第1基板38の幅方向の前記他方側から前記一方側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有する。
各第2基板40の厚み方向における一方の板面(図6参照)には、複数の第2流路34を形成するための複数の第2流路用溝部54が形成されている。なお、図6では、図5と同様、第2基板40に形成された複数の第2流路用溝部54全体の外形を示しており、第2流路用溝部54の1本ずつの図示については省略しているが、図6に示した外形内に複数の第2流路用溝部54が並列配置されている。第2基板40の前記一方の板面における複数の第2流路用溝部54の開口がその板面上に積層された第1基板38で封止されることによって、その一方の板面側に配列されるとともにその一方の板面に沿うように複数の第2流路34が形成されている。
各第2基板40に形成された複数の第2流路34は、2系統に分かれている。具体的には、この複数の第2流路34は、第2基板40の幅方向の中心から一方側に配置された一方の群の第2流路34と、第2基板40の幅方向の中心から他方側に配置された他方の群の第2流路34とによって構成されている。前記一方の群の第2流路34は、第2基板40の幅方向の中心側からその第2基板40の幅方向の前記一方側の端縁側へ直線的に延びる部分と、その部分から折り返されて第2基板40の幅方向の中心側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有する。また、前記他方の群の第2流路34は、前記一方の群の第2流路34と第2基板40の幅方向の中心に対して対称となる蛇行した形状を有する。
第2基板40に形成された各第2流路34の一端は、第2基板40の長手方向に沿う積層体26の長手方向の一方側の端面、具体的には前記第1排出口52が配置された側の端面において開口している。これらの開口は、各第2流路34へブラインを導入するための第2導入口34aとなっている。第2導入口34aは、本発明による第2流路の入口の一例である。第2基板40に形成された各第2流路34の第2導入口34aと反対側の端部は、第2基板40の長手方向に沿う積層体26長手方向の他方側の端面、具体的には前記第1導入口50が配置された側の端面において開口している。これらの開口は、各第2流路34からブラインを排出するための第2排出口34bとなっている。第2排出口34bは、本発明による第2流路の出口の一例である。
以上のように構成された積層体26において、第1基板38の一方の板面側に配列された複数の第1流路32のうち第1基板38の幅方向に直線的に延びる部分の形成領域と、第2基板40の一方の板面側に配列された複数の第2流路34のうち第2基板40の幅方向に直線的に延びる部分の形成領域とは、基板38,40の積層方向から見て互いに重なって一致している。また、熱交換器10(積層体26)は、第1導入口50及び第2排出口34bが上側に位置するとともに第1排出口52及び第2導入口34aが下側に位置し、且つ、積層体26の長手方向(各基板38,40の長手方向)が上下方向に一致するように配置される。すなわち、熱交換器10の積層体26では、各第1流路32の第1導入口50及び第1排出口52が、第1導入口50から導入されて各第1流路32を第1排出口52側へ流れる水素ガスが総体的には第1基板38及び第2基板40の積層方向に直交する鉛直方向において上側から下側へ向かうように配置されている。また、各第2流路34の第2導入口34a及び第2排出口34bが、第2導入口34aから導入されて各第2流路34を第2排出口34b側へ流れるブラインが総体的には鉛直方向において下側から上側へ向かうように配置されている。
供給ヘッダ28は、積層体26のうち第2導入口34aが形成された端面に取り付けられている。供給ヘッダ28には、配管20(図1参照)が接続されており、第1ポンプ6から送出されたブラインが配管20を通じて供給されるようになっている。供給ヘッダ28内には、供給されたブラインが通る内部空間が設けられており、この内部空間は、供給ヘッダ28が積層体26に取り付けられた状態で、積層体26に設けられた全ての第2流路34の第2導入口34aと連通するようになっている。すなわち、供給ヘッダ28に供給されたブラインは、その内部空間から各第2流路34の第2導入口34aに分配されて導入されるようになっている。
排出ヘッダ30は、積層体26のうち第2排出口34bが形成された端面に取り付けられている。排出ヘッダ30には、配管22(図1参照)が接続されている。排出ヘッダ30内には、当該排出ヘッダ30が積層体26に取り付けられた状態で、積層体26に設けられた全ての第2流路34の第2排出口34bと連通する内部空間が設けられている。各第2流路34を流れたブラインは、それら各第2流路34の第2排出口34bから排出ヘッダ30の内部空間に流出し、その内部空間から配管22へ排出されるようになっている。
供給ヘッダ28には、第2流路34の第2導入口34aに導入されるブラインの温度を検出するブライン入口温度検出部60(図1及び図2参照)が接続されており、排出ヘッダ30には、第2流路34の第2排出口34bから排出されるブラインの温度を検出するブライン出口温度検出部62(図1及び図2参照)が接続されている。また、第1流路32の第1排出口52には、その第1排出口52から排出される水素ガスの温度を検出する水素ガス出口温度検出部64(図1及び図2参照)が接続されている。ブライン入口温度検出部60、ブライン出口温度検出部62及び水素ガス出口温度検出部64の各検出温度のデータは、第1ポンプ6に入力されるようになっており、第1ポンプ6は、それらの入力された検出温度のデータに基づいてブラインの送出流量の制御を行う。また、ブライン入口温度検出部60の検出温度のデータは、冷凍機2に入力されるようになっており、冷凍機2は、その入力された検出温度のデータに基づいてブラインの冷却温度を制御する。
また、本実施形態による冷却システムの熱交換器10は、要求される熱交換量をQ(kW)とし、熱交換器の形態に起因する値である総括伝熱係数をU(kW/m・℃)とし、熱交換器内の伝熱面積をA(m)とし、第2流路34の第2導入口34aでのブラインの温度と第2流路34の第2排出口34bでのブラインの温度とから求められる対数平均温度をdT(℃)とした場合に、次式(1)を満たすように、流路32,34の形状、サイズ及び本数、積層体26を構成する基板38,40の積層数等の構造が設計されている。
Q=U×A×dT・・・(1)
次に、本実施形態による水素ガスの冷却方法について説明する。
本実施形態による水素ガスの冷却方法では、上記の冷却システムを用意する。そして、冷凍機2(図1参照)がブラインを低温の冷媒との間で熱交換させることにより冷却し、その冷却後のブラインは吐出部2bから配管18を通じてタンク4の冷却後ブライン貯留室12へ送られる。冷却後ブライン貯留室12に導入されたブラインは、その貯留室12において一時的に貯留されるとともに、第1ポンプ6の吸引力により配管20へ排出される。このブラインは、第1ポンプ6により熱交換器10へ送られ、供給ヘッダ28(図2及び図3参照)の内部空間を通じて積層体26内の各第2流路34(図6参照)へそれらの第2導入口34aから導入される。
冷凍機2は、第2導入口34aでのブラインの温度が−40℃になるようにブラインの冷却温度を制御する。具体的には、冷凍機2は、ブライン入口温度検出部60による検出温度が−40℃になるように冷媒の温度を調節してブラインの冷却温度を制御する。
各第2流路34に導入されたブラインは、第2導入口34aから第2排出口34b側へ向かってその第2流路34を流れる。この各第2流路34を流れるブラインは、全体的には、積層体26の基板38,40の積層方向に直交する鉛直方向において下側から上側へ向かって移動する。
一方、圧縮機100(図1参照)では、水素ガスが圧縮され、その圧縮後の高圧の水素ガスが、圧縮機100から熱交換器10の第1導入口50へ導入される。この第1導入口50に導入される水素ガスは、圧縮機100での圧縮後、冷却水により冷却されてその温度が40℃になっている。そして、第1導入口50に導入された水素ガスは、積層体26内の各第1流路32(図5参照)へ分配されて供給される。各第1流路32に供給された水素ガスは、第1導入口50側から第1排出口52側へ向かってその第1流路32を流れ、全体的には、鉛直方向において上側から下側へ向かって移動する。この過程において、各第1流路32(図4参照)を流れる水素ガスとその第1流路32に対して隣り合う第2流路34(図4参照)を流れるブラインとの間で、積層体26のうちその両流路32,34間に位置する部分を介して熱交換が行われる。これにより、水素ガスが冷却される。この際、水素ガスは、各第1流路32の下流側(第1排出口52側)へ流れるに従って漸次降温し、第1排出口52における水素ガスの温度は−37℃になる。
一方、ブラインは、各第2流路34の下流側(第2排出口34b側)へ流れるに従って漸次昇温する。この時のブラインの昇温の度合いは、第2流路34に導入されるブラインの温度及び流量によって異なるが、本実施形態では、第2排出口34bでのブラインの温度が第1排出口52での水素ガスの温度(−37℃)よりも高くなり、且つ、第2排出口34bでのブラインの温度が第2導入口34aでのブラインの温度(−40℃)よりも10℃以上高くなるように、各第2流路34に導入するブラインの流量、すなわち第1ポンプ6によるブラインの送出流量が制御される。具体的には、第1ポンプ6によるブラインの送出流量は、第2排出口34bでのブラインの温度が−30℃になるように制御される。
この時の第1ポンプ6によるブラインの送出流量の制御は、水素ガス出口温度検出部64による検出温度と、ブライン入口温度検出部60による検出温度と、ブライン出口温度検出部62による検出温度とに基づいて行われる。第1ポンプ6は、水素ガス出口温度検出部64による検出温度とブライン出口温度検出部62による検出温度とを比較して、ブライン出口温度検出部62による検出温度が水素ガス出口温度検出部64による検出温度以下である場合には、ブライン出口温度検出部62による検出温度が水素ガス出口温度検出部64による検出温度よりも高くなるまでブラインの送出流量を減少させる。また、第1ポンプ6は、ブライン出口温度検出部62による検出温度とブライン入口温度検出部60による検出温度との温度差が10℃よりも小さい場合には、その温度差が10℃以上になるまでブラインの送出流量を減少させ、より具体的にはブライン出口温度検出部62による検出温度が−30℃になるようにブラインの送出流量を制御する。
冷却後の水素ガスは、各第1流路32の第1排出口52(図2及び図5参照)を通じて排出され、燃料電池車90(図1参照)へ供給される。一方、熱交換後のブラインは、各第2流路34の第2排出口34bから排出ヘッダ30の内部空間を通じて配管22(図1参照)へ排出されるとともに、その配管22を通じてタンク4の熱交換後ブライン貯留室14へ導入されて貯留される。熱交換後ブライン貯留室14に貯留された熱交換後のブラインは、第2ポンプ8により配管24を通じて吸引されるとともに冷凍機2へ送られ、その導入部2aから冷凍機2へ導入される。冷凍機2に導入された熱交換後のブラインは、再度冷却されて冷凍機2から熱交換器10へ供給される。
以上のようにして本実施形態による水素ガスの冷却方法が実施される。
本実施形態では、熱交換器10の積層体26内においてマイクロチャネルである各第1流路32を流れる水素ガスとマイクロチャネルである各第2流路34を流れるブラインとの間での熱交換により水素ガスが冷却されるため、ブラインの単位体積当たりでの水素ガスとの熱交換効率を高めて水素ガスの冷却効率を高めることができる。また、第1流路32を流れる水素ガスは下流側へ向かうに従って降温し、第2流路34を流れるブラインは下流側、すなわち第1流路32の第1導入口50側へ向かうに従って昇温するが、本実施形態では、各第1流路32を流れる水素ガスが全体的に上側から下側へ向かって移動するとともに各第2流路34を流れるブラインが全体的に下側から上側へ向かって移動するため、水素ガスは、第1流路32の下流側へ流れるに従って第2流路34の上流側のより低温のブラインとの間で熱交換することができる。このため、水素ガスの冷却効率をより高めることができる。さらに、本実施形態では、第2流路34の第2排出口34bでのブラインの温度が第1流路32の第1排出口52での水素ガスの温度よりも高くなるように各第2流路34に導入するブラインの温度及び流量を制御するため、第2流路34の第2排出口34bでのブラインの温度が第1流路32の第1排出口52での水素ガスの温度以下になる場合に比べて熱交換器10でブラインから水素ガスへ与えられるブライン流量(単位体積)あたりの冷熱が大きくなり、水素ガスをより有効に冷却することができる。以上のように、本実施形態では、水素ガスの冷却効率を高めることができることから、ブラインの使用量を削減したとしても、また、ブラインを過剰に低温まで冷却しなくても、水素ガスを十分に冷却することができる。
また、本実施形態では、熱交換器10の積層体26内にマイクロチャネルである多数の第1流路32とマイクロチャネルである多数の第2流路34を集積することができるので、熱交換器10の小型化を図りつつ水素ガスの冷却処理量を十分に確保することができる。従って、本実施形態では、熱交換器10の小型化及び水素ガスの冷却処理量の確保を両立しながら、水素ガスの冷却に用いるブラインの使用量を削減するとともに、冷凍機2でブラインの冷却に要するエネルギ(冷媒の冷却に要するエネルギ)の増大を抑制でき、且つ、水素ガスを十分に冷却することができる。また、ブラインの使用量を削減できることによって、冷凍機2と熱交換器10との間でブラインを循環させるための第1ポンプ6及び第2ポンプ8の駆動に要するエネルギを削減することができる。
また、本実施形態では、各第1流路32と各第2流路34が蛇行した形状で形成されているため、例えばそれらの流路が直線状に形成されている場合に比べて各基板38,40の1枚あたりに設けられる流路32,34の本数は少なくなるものの各流路32,34の長さを大きくすることができ、積層体26における第1流路32と第2流路34の伝熱面積を十分に確保することができる。また、各基板38,40の1枚あたりに設けられる流路32,34の本数が少なくなることによって、それらの流路32,34に流す流体の総流量が同じである場合でも各流路32,34をそれぞれ流れる流体の流速を上げることができる。一般的に、流路を流れる流体の流速が上がると、その流路内での流体の乱れが大きくなり、その結果、伝熱性能が向上する。従って、本実施形態では、第1流路32と第2流路34の伝熱面積を十分に確保しつつ、各第1流路32を流れる水素ガスの流速と各第2流路34を流れるブラインの流速を上げてそれらの水素ガスとブラインとの間での伝熱性能を向上することができ、水素ガスをより有効に冷却することができる。
また、本実施形態では、第2流路34の第2排出口34bでのブラインの温度がその第2流路34の第2導入口34aでのブラインの温度よりも10℃以上高くなるように各第2流路34に導入するブラインの流量を制御するため、熱交換器10において第2流路34を流れるブラインから第1流路32を流れる水素ガスへ与えられる冷熱を十分に大きくすることができ、水素ガスの冷却効率をより高めることができる。
また、本実施形態では、第2流路34の第2導入口34aでのブラインの温度が−40℃になるように各第2流路34に導入するブラインの温度を制御するため、熱交換器10の積層体26の水素脆化を抑制しつつ、水素ガスを十分に冷却することができる。具体的に、積層体26を構成する各基板38,40の材料であるステンレス鋼は−40℃よりも低温に冷却された状態で水素ガスと接触していると水素脆化が著しくなることが知られている。このため、本実施形態のように第2導入口34aでのブラインの温度が−40℃になるように各第2流路34に導入するブラインの温度を制御することにより、積層体26は−40℃以上の温度になり、水素脆化を抑制することができる。そして、第2導入口34aに−40℃のブラインを導入することで、積層体26の水素脆化を抑制しつつ第1流路32を流れる水素ガスを十分に冷却することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、第1流路及び第2流路の形状としては、上記以外の様々な形状を適用することができる。例えば、第1流路及び第2流路は、上記のような折り返しを繰り返す蛇行形状をなすものに限定されず、例えば、直線状に延びるものであってもよい。
また、1枚の第1基板に形成される第1流路の数及び1枚の第2基板に形成される第2流路の数は、自由に設定可能である。また、各第1流路の幅及び断面形状と、各第2流路の幅及び断面形状についても自由に設定可能である。
また、上記実施形態では、第1流路が配列された第1基板と第2流路が配列された第2基板とが交互に積層されているが、積層の形態はこれに限定されない。例えば、水素ガスを流通させる第1流路が配列された1枚の第1基板に対して、ブラインを流通させる第2流路が配列された2枚以上の第2基板が積層されてもよい。
また、熱交換器(積層体)の配置の向きは、上記のように基板の長手方向が上下方向に一致する向きに限定されない。例えば、基板の長手方向が水平方向に一致する向きや、その他、斜め向き等に熱交換器(積層体)を配置してもよい。
6 第1ポンプ
10 熱交換器
26 積層体
32 第1流路
34 第2流路
34a 第2導入口(入口)
34b 第2排出口(出口)
38 第1基板(第1層)
40 第2基板(第2層)
50 第1導入口(入口)
52 第1排出口(出口)

Claims (6)

  1. 非蒸発性の不凍液であるブラインを用いて水素ガスを冷却する方法であって、
    微細流路である複数の第1流路が配列された第1層と微細流路である複数の第2流路が配列された第2層とが積層された積層体を備える熱交換器であって、前記複数の第2流路が、前記第2層の幅方向の中心から一方側に配置された一方の群の第2流路と、前記第2層の幅方向の中心から他方側に配置された他方の群の第2流路とを含み、前記一方の群の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心側から前記第2層の幅方向の前記一方側の端縁側へ直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第2層の幅方向の中心側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、前記他方の群の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心側から前記第2層の幅方向の前記他方側の端縁側へ直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第2層の幅方向の中心側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、前記複数の第1流路が、前記第2層の幅方向と同方向である前記第1層の幅方向の一方側から他方側へ前記一方の群の第2流路が配置された領域と前記他方の群の第2流路が配置された領域とに跨るように直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第1層の幅方向の前記他方側から前記一方側へ前記他方の群の第2流路が配置された領域と前記一方の群の第2流路が配置された領域とに跨るように直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有するものを用意する工程と、
    前記各第1流路に水素ガスを流通させるとともに前記各第2流路に水素ガスよりも低温のブラインを流通させて前記第1流路を流れる水素ガスと前記第2流路を流れるブラインとの間で熱交換させることにより水素ガスを冷却する冷却工程とを備え、
    前記冷却工程では、前記各第1流路を流れる水素ガスが前記第1層及び前記第2層の積層方向に直交する特定方向において一方側から他方側へ向かうとともに前記各第2流路を流れるブラインが前記特定方向において前記他方側から前記一方側へ向かうように前記各第1流路に水素ガスを導入するとともに前記各第2流路にブラインを導入して、水素ガスを前記各第1流路の蛇行した形状に沿ってその第1流路に流通させるとともにブラインを前記各第2流路の蛇行した形状に沿ってその第2流路に流通させ、前記第2流路の出口でのブラインの温度が前記第1流路の出口での水素ガスの温度よりも高くなるように前記各第2流路に導入するブラインの温度及び流量を制御する、水素ガスの冷却方法。
  2. 前記冷却工程では、前記第2流路の出口でのブラインの温度がその第2流路の入口でのブラインの温度よりも10℃以上高くなるように前記各第2流路に導入するブラインの流量を制御する、請求項1に記載の水素ガスの冷却方法。
  3. 前記冷却工程では、前記第2流路の入口でのブラインの温度が−40℃になるように前記各第2流路に導入するブラインの温度を制御する、請求項1又は2に記載の水素ガスの冷却方法。
  4. 非蒸発性の不凍液であるブラインを用いて水素ガスを冷却する冷却システムであって、
    ブラインを冷却する冷凍機と、
    前記冷凍機との間でブラインが循環するように前記冷凍機に接続され、水素ガスを前記冷凍機から供給されたブラインとの間で熱交換させることにより冷却する熱交換器と、
    前記冷凍機で冷却されたブラインを前記熱交換器へ送出するポンプとを備え、
    前記熱交換器は、水素ガスが導入されて流れる微細流路である複数の第1流路が配列された第1層とブラインが導入されて流れる微細流路である複数の第2流路が配列された第2層とが積層された積層体を有していて、前記第1流路を流れる水素ガスと前記第2流路を流れるブラインとの間で熱交換させ、
    前記複数の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心から一方側に配置された一方の群の第2流路と、前記第2層の幅方向の中心から他方側に配置された他方の群の第2流路とを含み、
    前記一方の群の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心側から前記第2層の幅方向の前記一方側の端縁側へ直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第2層の幅方向の中心側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、
    前記他方の群の第2流路は、前記第2層の幅方向の中心側から前記第2層の幅方向の前記他方側の端縁側へ直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第2層の幅方向の中心側へ直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、
    前記複数の第1流路は、前記第2層の幅方向と同方向である前記第1層の幅方向の一方側から他方側へ前記一方の群の第2流路が配置された領域と前記他方の群の第2流路が配置された領域とに跨るように直線的に延びる部分と、当該部分から折り返されて前記第1層の幅方向の前記他方側から前記一方側へ前記他方の群の第2流路が配置された領域と前記一方の群の第2流路が配置された領域とに跨るように直線的に延びる部分とが繰り返し設けられた蛇行した形状を有し、
    前記各第1流路の水素ガスの入口及び出口は、その入口から導入されて当該第1流路を流れる水素ガスが前記第1層及び前記第2層の積層方向に直交する特定方向において一方側から他方側へ向かうように配置され、
    前記各第2流路のブラインの入口及び出口は、その入口から導入されて当該第2流路を流れるブラインが前記特定方向において前記他方側から前記一方側へ向かうように配置され、
    前記第2流路の出口でのブラインの温度が前記第1流路の出口での水素ガスの温度よりも高くなるように、前記冷凍機が前記各第2流路へ供給するブラインの温度を制御するとともに前記ポンプが前記各第2流路へ送出するブラインの流量を制御する、水素ガスの冷却システム。
  5. 前記ポンプは、前記第2流路の出口でのブラインの温度がその第2流路の入口でのブラインの温度よりも10℃以上高くなる流量でブラインが前記各第2流路を流れるようにブラインを送出する、請求項4に記載の水素ガスの冷却システム。
  6. 前記冷凍機は、前記第2流路の入口でのブラインの温度が−40℃になるように前記各第2流路へ供給するブラインの温度を制御する、請求項4又は5に記載の水素ガスの冷却システム。
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