諸実施形態の光学素子は、第1の可視色波長と第2の可視色波長との間の視覚不感受性を矯正することができる。一実施形態では、光学素子は、第1の可視色波長に対応する発光帯域幅内の透過率を増強することによって視覚不感受性を矯正する。第1の可視色波長は、可視波長光の赤色、橙色、黄色、緑色、または青色領域内にあり得る。一実施形態では、第1の可視色波長は、赤色帯域幅内にある波長を含む。一実施形態では、第1の可視色波長は、約530nm〜約800nm、約560nm〜約720nm、約580nm〜約710nm、約600nm〜約700nm、約530nm〜約720nm、約540nm〜約710nm、または約550nm〜約700nmの範囲内にある。一部の実施形態では、ルミネセント化合物は、第1の可視色波長内の発光を増強することができる。
第2の可視色波長は、可視波長光の赤色、黄色、橙色、緑色、または青色領域内にあり得る。一実施形態では、第2の可視色波長は、緑色帯域幅内にある波長を含む。例えば、赤緑色覚欠損を罹患している個体については、緑色波長光に対する知覚を任意選択で低下させる一方で、赤色波長光に対する知覚を増大させることが有益であるはずである。一実施形態では、第2の可視色波長は、約450nm〜約600nm、約500nm〜約580nm、または約520nm〜約550nmの範囲内である。
光学素子を形成するのに実質的に透明なマトリックス材料中に存在するルミネセント化合物の量は、様々であり得る。光学素子内で、第1の可視色波長の発光を増大させ、第2の可視色波長の発光を増大させ、第1の色の波長のピーク発光波長を第2の色の波長からさらに分離し、またはピーク発光波長を増大させ、かつ分離し、その結果、第1の可視色波長が、色覚異常の個体にとってより容易に識別されるルミネセント化合物の任意の量が適している。一実施形態では、ルミネセント化合物は、光学素子内で第1の可視波長で90%超である透過率をもたらすように選択された量で存在する。これは、特に光学素子が光吸収染料も含む場合、意外である。
光吸収染料の吸収帯は、ルミネセント化合物の発光帯と重なる場合があり、この場合、緑色波長における100%未満の透過率をもたらす。一実施形態では、ルミネセント化合物は、光学素子内で第1の可視波長において、95%超、100%超、101%超、102%超、103%超、104%超、または105%超である透過率をもたらす量で存在する。一実施形態では、ルミネセント化合物は、第1の可視色波長と実質的に重なる発光波長、および第2の可視色波長と実質的に重なる吸収波長を有し得る。
用語ベンゾイミダゾール−2−イルは、環系:
を指し、式中、R
Aは、基H、C
1〜C
3アルキル、それだけに限らないが、フェニルおよびナフチルを含めた任意選択で置換されたアリールから選択される。
用語1−(フェニルメチル)ベンゾイミダゾール−2−イルは、環系:
を指す。
用語1−フェニルベンゾイミダゾール−2−イルは、環系:
を指す。
用語ベンゾオキサゾール−2−イルは、環系:
を指す。
用語ベンゾチアゾール(benzthiozol)−2−イルは、環系:
を指す。
用語「カルバゾリル」は、環系:
を指し、これは、それだけに限らないが、
および
(式中、R
Bは独立して、H、任意選択で置換されたC
1〜C
6アルキル、任意選択で置換されたC
1〜C
6アルキルC
6〜C
10アリール、任意選択で置換されたC
6〜C
10アリールC
1〜C
6アルキル、任意選択で置換されたC
6〜C
10アリール、およびC
1〜3ペルフルオロアルキルから選択され得る)を含む。
用語「フェニルカルバゾリル」は、環系:
を指し、式中、R
Cは独立して、H、任意選択で置換されたC
1〜C
6アルキル、任意選択で置換されたC
1〜C
6アルキルC
6〜C
10アリール、任意選択で置換されたC
6〜C
10アリール、およびC
1〜3ペルフルオロアルキルから選択され得る。
用語「フェニルナフチルアミン」は、環系:
を指す。
用語「フェニルナフチルアミン」は、環系:
を指し、式中、R
Dは独立して、H、任意選択で置換されたC
1〜C
6アルキル、およびC
1〜6ペルフルオロアルキルから選択され得る。一部の実施形態では、R
Dは、イソプロピルおよびイソブチルであり得る。
一実施形態では、ルミネセント化合物は、第1のピーク発光波長を第2のピーク発光波長に対して少なくとも約1nm、2nm、5nm、または8nmシフトし、さらに分離する量で存在する。一実施形態では、ルミネセント化合物は、強度を増大させ、第1のピーク発光波長を第2のピーク発光波長に対して少なくとも1nm、2nm、5nm、または8nmシフトし、さらに分離する量で存在する。
ルミネセント化合物は、組成物の重量に基づいて、約0.01重量%〜約30重量%、約0.01重量%〜約20重量%、約0.01重量%〜約15重量%、約1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約15重量%、約2重量%〜約12重量%、約5重量%〜約10重量%、もしくは約10重量%の範囲内の量で、またはこれらの値のいずれかによって囲まれた、もしくはこれらの値のいずれかの間の範囲内の任意の量で実質的に透明なマトリックス材料中に存在し得る。
光学素子内に使用されるルミネセント染料は、様々であり得る。適当なルミネセント化合物の例としては、その全体が参照により組み込まれている、2013年1月5日に出願された米国仮出願第61/749,225号に記載されているものがある。一実施形態では、第1の可視色波長と第2の可視色波長との間の視覚不感受性を矯正するための光学素子であって、実質的に透明なマトリックス材料、および実質的に透明なマトリックス材料内に分散したルミネセント化合物を備え、ルミネセント化合物は、第1の可視色波長と実質的に重なる吸収波長および第2の可視色波長と実質的に重なる発光波長を有し、第1の可視色波長は、緑色であり、第2の可視色波長は、赤色であり、ルミネセント化合物は、一般式(1):
(式中、R
1およびR
2は、任意選択で置換されたジフェニルアミン、任意選択で置換されたフェニルナフチルアミン、任意選択で置換されたカルバゾリル、および任意選択で置換されたフェニルアルキルアミンから選択することができ、
R
3は、C
1〜C
6アルキルであり得、
R
4は、C
1〜C
6アルキル、エーテル、またはポリエーテルから選択され得る)
によって表される、光学素子が提供される。
一部の実施形態では、R
1およびR
2は、
から選択される。
一部の実施形態では、RBは、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルキルC6〜C10アリール、および任意選択で置換されたC6〜C10アリールから選択され得る。一部の実施形態では、RBは、任意選択で置換されたフェニルである。一部の実施形態では、RDは独立して、H、任意選択で置換されたC1〜C10アルキル、およびC1〜3ペルフルオロアルキルから選択され得る。一部の実施形態では、RDは、C1〜C6アルキルから選択される。一部の実施形態では、RDは、任意選択で置換されたイソプロピルおよびイソブチルから選択される。
一部の実施形態では、R3は、任意選択で置換されたC1〜C6アルキルであり得る。一部の実施形態では、R3は、任意選択で置換されたイソプロピルおよびイソブチルから選択され得る。
一部の実施形態では、R
4は、任意選択で置換されたC
1〜C
6アルキル、エーテル、およびポリエーテルから選択され得る。一部の実施形態では、エーテルは、R
5−O−R
6であり得、式中、R
5およびR
6は独立して、C
1〜C
6アルキルから選択され得る。一部の実施形態では、R
4は、:
から選択され得る。
一部の実施形態では、ルミネセント化合物は、
から選択され得る。
別段に示されていない限り、構造、名称、または任意の他の手段による本明細書での化合物への任意の言及は、双性イオン形態を含めた塩;代替の固体形態、例えば、多形、溶媒和物、水和物など;互変異性体;または化合物が本明細書に記載するように使用される条件下で本明細書に記載の化合物に迅速に変換することができる任意の他の化学種を含む。
本明細書に使用される化合物の任意の構造または名称は、任意の立体異性体または立体異性体の任意の混合物を指すことができる。
別段に示されてない限り、化合物または化学的な構造的特徴、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリール、アリールアルキル、ペリレンなどが「任意選択で置換された」と呼ばれる場合、これは、置換基を有さない(すなわち、「非置換の」)特徴、または特徴が1つもしくは複数の置換基を有することを意味する「置換された」特徴を含む。用語「置換基」は、当業者に公知の通常の意味を有し、親化合物または構造的特徴に付着した1個または複数の水素原子を置き換える部分を含む。一部の実施形態では、置換基は、当技術分野で公知の通常の有機部分であり得、これは、15g/mol〜50g/mol、15g/mol〜100g/mol、15g/mol〜150g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜300g/mol、または15g/mol〜500g/molの分子量(例えば、置換基の原子の原子質量の合計)を有し得る。一部の実施形態では、置換基は、0〜30、0〜20、0〜10、または0〜5個の炭素原子、および独立してN、O、S、Si、F、Cl、Br、またはIから選択される0〜30、0〜20、0〜10、または0〜5個のヘテロ原子を含み、ただし、置換基は、C、N、O、S、Si、F、Cl、Br、またはIから選択される少なくとも1種の原子を含む。一部の実施形態では、置換基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の非水素原子、および任意の必要な水素原子からなり得る。いくつかの非水素原子として、C、N、O、S、Si、F、Cl、Br、I、Pなどを挙げることができる。
置換基の例としては、それだけに限らないが、アルキル(直鎖状、分岐状、およびシクロアルキルを含む)、アルケニル(直鎖状、分岐状、およびシクロアルケニルを含む)、アルキニル(直鎖状、分岐状、およびシクロアルキニルを含む)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、複素環式置換基(ヘテロアリールおよびヘテロ脂環式置換基を含む)、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルオキシ、アルキルカルボキシレート、カルボキシレート、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシル、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、ならびに一置換および二置換アミノ基を含めたアミノ、ならびにこれらの保護された誘導体など、またはこれらの組合せがある。先のリスト中の用語「これらの組合せ」は、置換基が、一置換基の水素原子が別の置換基によって置き換えられている、上記置換基のいずれかの組合せも含み得ることを示す。例えば、置換基は、アルキルとアリール(例えば、CH2−フェニルなどのアリールアルキル、またはC2H4−ヘテロアリール(heteraryl)などのヘテロアリールアルキルなど)、アルキルと複素環式置換基(例えば、ヘテロシクリルアルキル)、アルキルとアルコキシ(例えば、CH2OCH3)、アルキルとハロ(例えば、C2H4Cl、C3H6Fなど)、アシルとヒドロキシル(例えば、−COCH2OH)などの組合せであり得る。
便宜上、用語「分子量」は、分子の部分または一部中の原子の原子質量の合計を示すのに、それが完全な分子でない場合であっても、分子の部分または一部に関して使用される。「分子量」は、完全な分子にも言及し得る。
本明細書に参照される化学名のいくつかに関連する構造を以下に表す。これらの構造は、以下に示すように非置換であってもよく、または置換基は独立して、構造が非置換である場合に水素原子によって通常占有されている任意の位置にあり得る。
付着点が
によって示されていない限り、付着は、水素原子によって通常占有されている任意の位置で起こり得る。
本明細書において、用語「アルキル」は、当技術分野で一般に理解されている最も広い意味を有し、二重結合または三重結合を含有しない炭素および水素から構成される部分を含み得る。アルキルは、直鎖状アルキル、分岐状アルキル、シクロアルキル、またはこれらの組合せであり得、一部の実施形態では、1〜35個の炭素原子を含有し得る。一部の実施形態では、アルキルとして、C1〜10直鎖状アルキル、例えば、メチル(−CH3)、エチル(−CH2CH3)、n−プロピル(−CH2CH2CH3)、n−ブチル(−CH2CH2CH2CH3)、n−ペンチル(−CH2CH2CH2CH2CH3)、n−ヘキシル(−CH2CH2CH2CH2CH2CH3)など;C3〜10分岐状アルキル、例えば、C3H7(例えば、イソプロピル)、C4H9(例えば、分岐状ブチル異性体)、C5H11(例えば、分岐状ペンチル異性体)、C6H13(例えば、分岐状ヘキシル異性体)、C7H15(例えば、ヘプチル異性体)など;C3〜10シクロアルキル、例えば、C3H5(例えば、シクロプロピル)、C4H7(例えば、シクロブチル異性体、例えば、シクロブチル、メチルシクロプロピルなど)、C5H9、(例えば、シクロペンチル異性体、例えば、シクロペンチル、メチルシクロブチル、ジメチルシクロプロピルなど)、C6H11(例えば、シクロヘキシル異性体)、C7H13(例えば、シクロヘプチル異性体)など;および同様のものを挙げることができる。一部の実施形態では、アルキル基として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソヘキシル、イソオクチル、2−エチル−ヘキシルなどを挙げることができる。
アルコキシ基も、直鎖状、分岐状、または環式であり得る。有用なアルコキシ基のいくつかの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシがある。アルコキシアルキル基も、直鎖状または分岐状であり得る。有用なアルコキシアルキル基のいくつかの例としては、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、およびプロポキシプロピルがある。
有用なシクロアルキル基のいくつかの例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチル(cyloheptyl)がある。有用なアリール基のいくつかの例としては、フェニル、ジフェニル、トリル、ナフチル、フェナントリル、およびアントラセニルがある。有用なアリールアルキル基のいくつかの例としては、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリチル、ナフチルメチル、フェナンチルメチル(phenanthylmethyl)、およびアントラニルメチルがある。
いくつかの任意選択で置換されたビストリアゾリルベンゼンは、式1によって表され得る。
一実施形態では、ルミネセント化合物は、(化合物8):
を含む。
光学素子は、光学素子の吸収および発光スペクトルがルミネセント化合物の1種のものと異なり得るように1種を超えるルミネセント化合物を備え得る。例えば、光学素子のスペクトルは、個々の染料のスペクトルの濃度に関連した和などの組合せであり得る。
一部の実施形態では、ルミネセント化合物または光学素子は、吸収波長で光を吸収し、発光波長で光を発光することができ、ヒト錐体光色素は、吸収波長より発光波長に対して実質的に感受性である。例えば、ヒト錐体光色素は、それが吸収波長に対して感受性であるより、少なくとも約1.5、約2、約3、もしくは約4倍;および/または最大約10倍、約20倍、約50倍、もしくは約100倍、発光波長に対して感受性である場合がある。一部の実施形態では、ヒト錐体光色素は、ルミネセント化合物によって発光される可視光と比較して、ルミネセント化合物によって吸収される可視光の少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%、および/または最大約100%、感受性が低い。
感受性の増強は、任意の光色素、例えば、正常なヒト錐体中間波長感受性(M)光色素、変異ヒト錐体中間波長感受性(MV)光色素、正常なヒト錐体長波長感受性(L)光色素、変異ヒト錐体長波長感受性(LV)光色素、または正常なヒト錐体短波長感受性(S)光色素などに関するものであり得、ただし、吸収および発光感受性は、同じ光色素に関して比較される。
一部の実施形態では、ルミネセント機能体(luminescent feature)、例えば、光学素子、ルミネセント化合物、またはルミネセント化合物の組合せは、約380nm〜約450nm、約420nm〜約480nm、約510nm〜約550nm、約520nm〜約540nm、または約530nm〜約550nmの範囲内で、可視吸収の中央波長、可視吸収の平均波長、可視吸収のピーク波長、可視吸収の最大波長、またはその可視吸収の少なくとも約20%、約50%、約70%、もしくは約90%を有する。一部の実施形態では、ルミネセント機能体は、約500nm〜約600nm、約540nm〜約580nm、約550nm〜約570nm、または約560nm〜約580nmの範囲内で、可視発光の中央波長、可視発光の平均波長、可視発光のピーク波長、可視発光の最大波長、またはその可視吸収の少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、もしくは少なくとも約90%を有する。
可視吸収の中央波長は、中央波長より長い波長を有する吸収される可視光子の数が、中央波長より短い波長を有する吸収される可視光子の数と実質的に同じである波長である。可視発光の中央波長は、中央波長より長い波長を有する発光される可視光子の数が、中央波長より短い波長を有する発光される可視光子の数と実質的に同じである波長である。中央波長は、可視スペクトルの面積を2つの実質的に等しい半分に分割する波長を選択することによってスペクトル上で視覚的に推定され得る。可視吸収(または可視発光)の平均波長は、可視範囲内のすべての光子の平均波長である。可視吸収または可視発光のピーク波長は、可視範囲内のスペクトルのピークである。可視吸収または可視発光の最大波長は、可視スペクトル内の最高ピーク波長である。本明細書において、用語「吸収」、「吸収する」、またはこれらの用語の一形態は、「可視吸収の中央波長、可視吸収の平均波長、可視吸収のピーク波長、可視吸収の最大波長、または可視光吸収の少なくとも約50%、約80%、もしくは約90%が起こる波長範囲」の略記として使用される。本明細書において、用語「発光」、「発光する」、またはこれらの用語の一形態は、「可視発光の中央波長、可視発光の平均波長、可視発光のピーク波長、可視発光の最大波長、または可視光発光の少なくとも約50%、約80%、もしくは約90%が起こる波長範囲」の略記として使用される。
一部の実施形態では、光学素子は、Mヒト錐体光色素のピーク感受性付近の波長範囲、例えば、相対感受性(表4)が、少なくとも約0.9(例えば、約510nm〜約550nm)、約0.93、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99、または約1.0である波長範囲の中の光を吸収し、Lヒト錐体光色素のピーク感受性付近の波長範囲、例えば、相対感受性(表4)が、少なくとも約0.9(例えば、Mヒト錐体光色素について約540nm〜約580nm)、約0.93、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99、または約1.0である波長範囲の中のより長い波長の光を発光することができる。光学素子は一般に、それが吸収するより高い波長、例えば、少なくとも約5nm、約10nm、約20nm、または約30nm高い波長で一般に発光し得る。一部の実施形態では、光学素子は、Mヒト錐体光色素のピーク感受性に関してわずかに赤方偏移した吸収を有し得、Lヒト錐体光色素のピーク感受性に関してわずかに青方偏移した発光を有し得る。
M、L、S、MV、およびLVヒト光色素の相対感受性は、表4に列挙されている。相対感受性は、各光色素の1.00の最大感受性に対して決められている。光学素子、ルミネセント化合物、またはルミネセント化合物の組合せの適当な吸収および発光範囲は、表4の任意のセットの値から導出することができる。例えば、ルミネセント化合物は、M光色素の低感受性範囲、例えば、約384nm〜約440nm、約380nm〜約410nm、またはこれらの範囲内の表4中の任意の値によって定義される任意の他の範囲の中で吸収することができ、M光色素の高感受性範囲、例えば、約465nm〜約585nm、約510nm〜約550nm、またはこれらの範囲内の表4中の任意の値によって定義される任意の他の範囲の中で発光することができる。一部の実施形態では、ルミネセント化合物は、L光色素の低感受性範囲、例えば、約384nm〜約460nm、約380nm〜約430nm、またはこれらの範囲内の表4中の任意の値によって定義される任意の他の範囲の中で吸収することができ、L光色素の高感受性範囲、例えば、約495nm〜約620nm、約540nm〜約580nm、またはこれらの範囲内の表4中の任意の値によって定義される任意の他の範囲の中で発光することができる。
光学素子、ルミネセント化合物、またはルミネセント化合物の組合せの吸収および発光の適当な範囲は、表4からの感受性値からも導出することができる。例えば、所与の光色素について、吸収範囲は、約0.15、約0.2、約0.25、または約0.3未満の感受性値を有する波長に対応し得、発光範囲は、表4からの約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、または約1超の感受性値を有する波長に対応し得る。表4から導出される範囲は、中央可視波長範囲、平均可視波長範囲、ピーク可視波長範囲、最大可視波長範囲などを含み得、または可視スペクトル内の光子の少なくとも約50%、約70%、約80%、もしくは約90%が発光または吸収される範囲を含み得る。一部の実施形態では、吸収は、M光色素の少なくとも約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、最大約1の感受性値に対応し得る。
一部の実施形態では、光学素子は、約530nm〜約540nm、約534nm〜約537nm、約535nm〜約536nm、約545nm〜約565nm、約549nm〜約562nm、約535nm、約536nm、約549nm、約557nm、または約562nmで吸収することができ、これらの範囲の1つ内で約90%、約85%、または約80%未満の透過率を有し得る。
一部の実施形態では、光学素子は、約540nm〜約550nm、約545nm〜約550nm、もしくは約547nmで吸収することができ、かつ/または約560nm〜約580nm、約565nm〜約575nm、もしくは約569nmで発光することができる。
一部の実施形態では、光学素子は、光を吸収および発光し、例えば、より短い波長の光を吸収し、より長い波長の光を発光するように構成されており、その結果、第1のセットの色座標を有する第1の色は、第2のセットの色座標を有する第2の色に変換される。一部の実施形態では、第1のセットの色座標と第2のセットの色座標との間の距離は、少なくとも約0.005、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、または約0.05色座標単位であり得る。2つのセットの色座標、(x
1,y
1)と(x
2,y
2)の間の距離Δは、式:
によって得ることができる。
色を識別する能力の障害を有する個体について、第1のセットの色座標と第1のセットの色座標に最も近い混同色線に垂直な方向内にある第2のセットの色座標との間の距離(今後「垂直距離」と呼ばれる)は、少なくとも約0.02、約0.03、約0.04、または約0.05色座標単位であり得る。「色座標単位(color coordination unit)」は、CIE色三角上の距離を指す。CIE(1932).Commission Internationale de l’Eclairage proceedings、1931.、Cambridge University Press、Cambridge。この典型的な基準は、1931 CIE XYZ色空間として当技術分野で公知であり、国際照明委員会によって設定された。例えば、CIE色(0.332、345)は、y軸からの距離における0.332色座標単位およびx軸からの距離における0.345色座標単位である。本開示の目的に関して、CIE色三角内の2つの色座標(x、y)は、「x色座標」および「y色座標」と呼ばれることになる。
例えば、表5は、色を識別する能力の障害を有する個体に使用するために、色が光学素子によってどのように変換され得るかを示す。いくつかの光学素子は、色Aを色A’に変換することができ、かつ/または色Bを色B’に変換することができる。垂直距離は、第2の色座標の混同色線に垂直な距離から第1の色座標の混同色線に垂直な距離を減じることによって得ることができる。負の(−)距離値は、その点が混同色線より低いy値を有することを示し、正の距離値は、その点が混同色線より高いy値を有することを示す。Aの色座標に最も近い混同色線に垂直な方向内のAとA’の色座標間の距離は、約0.0095である。Bの座標に最も近い混同色線に垂直な方向内のBとB’の色座標間の距離は、約0.0133である。
一部の実施形態では、x色座標は、約0.290〜約0.295、約0.325〜約0.335、約0.330〜約0.335、約0.370〜約0.375、約0.375〜約0.385、約0.380〜約0.385、約0.475〜約0.485、約0.475〜約0.480、約0.51〜約0.52、約0.520〜約0.525、約0.520〜約0.523、約0.56〜約0.57、約0.570〜約0.575、約0.293、約0.332、約0.37、約0.371、約0.379、約0.476、約0.478、約0.482、約0.514、約0.566、もしくは約0.573であり得、かつ/またはy色座標は、約0.34〜約0.35、約0.385〜約0.395、約0.395〜約0.400、約0.41〜約0.42、約0.465〜約0.470、約0.465〜約0.475、約0.48〜約0.49、約0.495〜約0.50、約0.46〜約0.47、約0.344、約0.345、約0.39、約0.398、約0.463、約0.468、約0.47、約0.486、もしくは約0.497であり得る。
一部の実施形態では、第1のセットの色座標は、約(0.375〜0.380、0.485〜0.490)、約(0.475〜0.480、0.410〜0.415)、約(0.330〜0.335、0.340〜0.345)、約(0.570〜0.575、0.340〜0.345)、約(0.510〜0.515、0.340〜0.344)、約(0.480〜0.485、0.388〜0.392)、約(0.475〜0.480、0.468〜0.473)、約(0.565〜0.570、0.395〜0.400)、約(0.290〜0.295、0.495〜0.500)、約(0.368〜0.373、0.485〜0.490)、または約(0.370〜0.375、0.460〜0.465)であり得る。
一部の実施形態では、第1のセットの色座標は、AもしくはBであり、かつ/または第2のセットの色座標は、A’もしくはB’である。一部の実施形態では、第1のセットの色座標は、表6中の色1〜9の1つである。
混同色線は、色覚異常状態を有する人が色を区別することに困難を有するCIE色三角上の任意の線を含む。2型2色覚の混同色線のいくつかの例を表7に示し、1型2色覚の混同色線のいくつかの例を表8に示す。混同色線は、式y=mx+bを有し、mは、勾配であり、bは、y切片である。一部の実施形態では、第1のセットの色座標に最も近い混同色線は、表7に示したように、2型2色覚混同色線1、2型2色覚混同色線2、2型2色覚混同色線3、2型2色覚混同色線4、2型2色覚混同色線5、2型2色覚混同色線6、2型2色覚混同色線7、2型2色覚混同色線8、または2型2色覚混同色線9である。一部の実施形態では、第1のセットの色座標に最も近い混同色線は、表8に示したように、1型2色覚混同色線1、1型2色覚混同色線2、1型2色覚混同色線3、1型2色覚混同色線4、1型2色覚混同色線5、1型2色覚混同色線6、1型2色覚混同色線7、1型2色覚混同色線8、1型2色覚混同色線9、または1型2色覚混同色線10である。
混同色線に垂直な方向内の2つのセットの色座標間の距離を判定するのに使用され得る多くの方法が存在し得るが、一方法を図1に示す。第1のセットの色座標215を取込み、またはこれに交差し、混同色線220に平行である第1の線210が計算される。第2のセットの色座標235を取込み、またはこれに交差し、混同色線220に平行である第2の線230が計算される。
第1の線210および第2の線230は、混同色線と同じ勾配を有する。y切片b1は、第1のセットの色座標215から決定することができ、y切片b2は、第2のセットの色座標235から決定することができる。例えば、第2のセットの色座標が(x2,y2)である場合、y切片b2は、
b2=y2−mx2、
であるはずであり、式中、mは、混同色線(および混同色線に平行な任意の線)の勾配である。
第1の線210と第2の線230との間の最短距離Dは、混同色線に垂直な方向内の2つのセットの色座標間の距離に等しい。この距離は、以下の式:
を使用して決定することができ、式中、Dは、2つの平行線間の距離、または混同色線に垂直な方向内の距離であり、b
2は、第2のセットの色座標を取り込む線のy切片であり、b
1は、第1のセットの色座標を取り込む線のy切片であり、mは、混同色線の勾配である。表2および3は、b
2−b
1の様々な値でのいくつかの混同色線のDの値を示す。距離は、線をプロットし、線同士間の距離を測定することによっても推定され得る。一部の実施形態では、b
2−b
1は、少なくとも約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、または約0.06であり得る。
光学素子は、光吸収染料も含むことができ、この染料はまた、実質的に透明なマトリックス材料中に分散され得る。一実施形態では、光吸収染料は、第2の可視色波長と実質的に重なる吸収帯を有する。第1の可視光波長で光を発光するルミネセント化合物と第2の可視光波長で光を吸収する光吸収染料との組合せは、2つの色の間の区別を改善するのに役立ち得る。例えば、赤色波長可視光を吸収する光吸収染料と組み合わせて使用される可視光の緑色波長で発光するルミネセント化合物は、赤色と緑色の色調を区別するユーザーの能力を改善し得る。
光吸収染料は、赤色などの1つの色を吸収することができ、すべての他の波長の光に対して透明である。光吸収染料は、蛍光性であっても、蛍光性でなくてもよい。一実施形態では、光吸収染料の目的は、フィルターを通して眺めたとき、染料の吸収帯と同じ色の物体をより暗く見せることである。公知の光吸収染料を使用することができる。一実施形態では、光吸収染料は、フタロシアニン染料、例えば、Epolight 6661および/またはEpolight6084などを含み、これらはともに、Epolin,Inc(Newark、NJ、USA)の製品である。2種以上の光吸収染料を使用することができる。しかし、光学素子の実質的な透明性が維持されるべきである。
光学素子は、本明細書に提供される教示によって導かれているように、公知の膜形成技法またはレンズ形成技法によって製造することができる。ルミネセント化合物および/または光吸収染料は、適切な重量比で実質的に透明なマトリックス材料と組み合わせることができる。成分は、超音波処理を任意選択で使用して、トルエンなどの適切な溶媒中に溶解され得る。次いで溶液を、膜中、または任意の実質的に透明な基板上にスピンコートすることができる。得られた膜を加熱して溶媒を蒸発させると、矯正光学素子がもたらされ、これは、色覚異常者の眼と彼らが眺めている物体の間に有効であるように配置することができる。
特に低光量設定においてフィルターの有効性を増強するために、いくつかのルミネセント化合物は、可能な限り狭い吸収帯(複数可)を有し得る。いくつかのルミネセント化合物は、例えば、約150nm未満または約120nm未満の狭いストークスシフトを有し得る。ストークスシフトは、同じ電子遷移の吸収および発光スペクトルのバンド最大値の位置間の差異(波長または振動数単位における)である。例えば、化合物が約485nmの吸収ピーク波長および約550nmの発光ピーク波長を有する場合、その化合物は、約65nmのストークスシフトを有する。
一実施形態では、ルミネセント化合物は、UV/青色吸収スペクトル内から吸収し、緑色発光スペクトル内で発光し、知覚される発光緑色光を増強する。一実施形態では、ルミネセント化合物は、緑色吸収スペクトル内から吸収し、赤色発光スペクトル内で発光し、知覚される発光赤色光を増強する。一実施形態では、ルミネセント化合物は、UVまたは青色吸収スペクトル内から吸収し、赤色発光スペクトル内で発光し、知覚される発光赤色光を増強する。一部の実施形態では、ルミネセント化合物は、光吸収染料であり得る。一部の実施形態では、光吸収染料は、約200〜約450nmの範囲内でUVまたは青色光の波長に接近する色を吸収して、色コントラストを増大させ、色の識別力を改善する一方、このような短い高エネルギー波長への長い曝露に付随する疲労および視覚的ストレスを最小限にすることができる。一実施形態では、これは、望ましくないUV照射からユーザーを保護するという追加の効果を有し得る。いくつかの望ましくないUV波長は、約290〜約320nmの範囲の中波長領域UVB、および約320〜約400nmの範囲の長波長領域UVAとして分類される。一部の実施形態では、レンズに使用するためのUV吸収材料は、米国特許第8,106,108号および米国特許第5,621,052号に記載され、本明細書に参照により組み込まれている、ベンゾフェノンおよびベンゾトリアゾール、ならびにこれらの誘導体であり得る。一部の実施形態では、光学素子は、UV吸収材料で浸透または層状化されてもよい。
一部の実施形態では、ルミネセント化合物は、約120nm未満、約110nm未満、約100nm未満、約90nm未満、約80nm未満、50nm未満、30nm未満、20nm未満、10nm未満、約50nm〜約120nm、約50nm〜約110nm、約50nm〜約100nm、約50nm〜約90nm、約60nm〜約80nm、または約70nmであるストークスシフトを有する。
一部の実施形態では、ルミネセント化合物は、反ストークスシフトまたは青方偏移を有する。反ストークスシフト(shif)は、複数の光子が吸収され、または1個の光子が熱エネルギーとともに吸収され、光子がより短い波長で発光され得る光子アップコンバージョンによって起こり得る。これによりIR光を可視(visable)波長に変換させることができる。IRの可視光への変換は、暗視をもたらし得る。反ストークスシフトを有するルミネセント化合物(comounds)として、dおよびfブロック元素、または第5および第6周期元素、例えば、オスミウム、レニウム、タングステン、金、イットリウム、およびガドリニウム、ならびに潜在的に、周期表(periotic table)の同じ2つの周期上の他の元素を含有する化合物を挙げることができる。一部の実施形態では、青方偏移を有するルミネセント化合物として、オキシ硫化ガドリニウムをドープされたオキシ硫化イットリウムを挙げることができる。
一実施形態では、ルミネセント化合物は、狭い吸収帯を有する。半値全幅(FWHM)は、バンドの最大吸収値または最大強度値の半分である吸収強度または発光強度におけるナノメートルでの吸収帯または発光帯の幅である。一実施形態では、ルミネセント化合物は、前記実質的に透明なマトリックス中に分散されているとき、約100nm以下、約90nm以下、または約85nm以下、約75nm以下であるFWHM値を伴った吸収帯を有する。ルミネセント化合物の吸収ピークは、様々となり得る。一実施形態では、ルミネセント化合物の吸収帯ピークは、約445nm〜約525nm、約445nm〜約505nm、約475nm〜約490nmの範囲内、または約483nmである。
一部の実施形態では、ルミネセント化合物は、第1の可視色波長での最大発光波長を伴って高い量子収率を有し得る。例えば、第1の可視色波長が緑色である場合、緑色波長内で最大発光を有するルミネセント化合物が使用され得る。一部の実施形態では、ルミネセント化合物は、約450nm〜約600nm、約500nm〜約580nm、または約520nm〜約560nmの範囲内の波長でピーク発光を有する。可視光によって励起されると、ルミネセント化合物は、第1の色の波長内での発光強度を増強する。一部の実施形態では、ルミネセント化合物は、約75%、約80%、約85%、または約90%超である量子収率を有する。
一部の実施形態では、光学素子は、発光素子をさらに備える。発光素子は、ルミネセント化合物と光学的に連通してルミネセント化合物の励起源をもたらすことができる。一実施形態では、発光素子は、ルミネセント化合物の吸収帯範囲内で最大発光ピークを有する発光薄膜を備える。吸収帯範囲は、それだけに限らないが、吸収ピーク波長の、かつ/または発光ピークスペクトルの肩に沿った約10nm〜約20nmを含む。一実施形態では、発光素子は、無機または有機発光ダイオード(LED)を備える。発光ダイオードの例としては、例えば、Nichia(日本)によって作製された無機青色発光LED、米国特許出願公開第2010/0326526号および同第2011/0140093号に記載された有機発光ダイオード、ならびに米国特許出願第13/166,246号に記載された有機発光ダイオードがある。それぞれの文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。一般に、フレキシブル導波路付きの薄いフレキシブルポリマー膜を有するエッジ型LEDなどの任意の薄膜フレキシブル発光素子を使用することができる。一部の実施形態では、光学素子は、ルミネセント素子および発光素子と光学的に連通した光導波路をさらに備える。
本明細書に記載の光学素子は、その形態において限定されない。好ましくは、光学素子は、それがユーザーの眼と知覚される任意の物体または画像との間に公知の様式で配置され得るように設計することができる。一実施形態では、光学素子は、膜を備える。膜は、様々な厚さを有し得る。一実施形態では、膜は、アイウェアの一部に付着される。例えば、光学素子は、レンズを備えることができる。ルミネセント化合物は、レンズ材料内に分散され得、またはこれは、レンズ材料に付着された膜内で分散され得る。一実施形態では、レンズは、コンタクトレンズまたは眼鏡レンズを含む。実質的に透明なマトリックスは、任意の適当な材料から構成され得る。
いくつかの光学素子は、ポリマーの透明なマトリックス、およびローダミン6Gなどのルミネセント化合物としてのローダミンまたはローダミン誘導体を備えることができ、ポリマーは、C
1〜6エステルまたはC
1〜6アセタールペンダント基を含むポリビニルアルコールまたはその誘導体を含む。一部の実施形態では、ポリビニルアルコール誘導体は、反復単位a、反復単位b、反復単位c、またはこれらの組合せを含み得る。
反復単位aに関して、Roは、HまたはC1〜5アルキル、例えば、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、C5H11、C3−シクロアルキル、C4−シクロアルキル、C5−シクロアルキルなどであり得る。一部の実施形態では、Roは、n−プロピルである。
反復単位cに関して、Rpは、HまたはC1〜5アルキル、例えば、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、C5H11、C3−シクロアルキル、C4−シクロアルキル、C5−シクロアルキルなどであり得る。一部の実施形態では、Rpは、メチルである。
一部の実施形態では、反復単位aは、ポリマーの重量の約70%〜約90%、または約80%であり得る。
一部の実施形態では、反復単位bは、ポリマーの重量の約5%〜約30%、または約17%〜約20%であり得る。
一部の実施形態では、反復単位cは、ポリマーの重量の約0.01%〜約3%、または約5%であり得る。
いくつかの組成物は、ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−酢酸ビニル)(PVBAA)、CAS番号27360−07−2、反復単位a、反復単位b、および反復単位cを含むポリマーを含み得る。一部の実施形態では、PVBAAは、約50,000g/mol〜約1,000,000g/mol、約100,000g/mol〜約50,000g/mol、または約170,000g/mol〜約250,000g/molの範囲内の平均分子量を有する。1つの市販のPVBAAがSigma−Aldrich(Milwaukee、WI#418420)から入手可能であり、これは、170,000〜250,000g/molの平均分子量を有し、0〜2.5wt.%の酢酸エステル、17.5〜20wt%のヒドロキシル、および80wt%のビニルブチラールを含む。
いくつかの組成物は、約1%(w/w)〜約20%、約2%(w/w)〜約10%(w/w)、約4%(w/w)〜約6%(w/w)、または約5%(w/w)のローダミン6G、および約80%(w/w)〜約99%(w/w)、約90%(w/w)〜約99%(w/w)、約90%(w/w)〜約95%(w/w)、約94%(w/w)〜約96%(w/w)、または約95%(w/w)のPVBAAであり得る。いくつかの組成物は、約5%(w/w)のローダミン6Gおよび約95%(w/w)のPVBAAであり得る。
一部の実施形態では、光学素子が薄膜などの膜を備えるとき、薄膜は、他の慣例的な光学機器上に積層することができ、この光学機器には、それだけに限らないが、眼鏡、コンタクトレンズ、ゴーグル、鏡、LEDスクリーン(携帯電話スクリーン、IPODのスクリーン、PDAのスクリーンなど)、コンピュータースクリーン、および/またはフロントガラスが含まれる。一実施形態では、実質的に透明なマトリックス材料は、ポリカーボネートを含む。
一実施形態では、光学素子は、実質的に透明なマトリックス材料を備え、これは、膜またはレンズを作製するのに有用な任意の材料であり得る。「実質的に透明な」材料は、ユーザーが見通すことができる任意の材料である。例えば、「実質的に透明な」材料は、材料の反対側の物体または画像が見られ得るように光を透過することができる。「実質的に透明な」材料は、ある程度の濃淡を任意選択で有することができ、完全に透明である必要はない。透明度は、可視波長範囲全体、例えば、約380nm〜約780nmにわたってマルチチャネル光検出器を用いて全透過率を最初に測定することによって計算することができる。透明百分率は、約380nm〜約780nmの1nm波長増分で記録された各透過百分率値の算術平均から報告され得る。このような場合では、平均を計算するのに400データ点が使用される。一実施形態では、光学素子は、少なくとも約70%、約80%、または約90%である透明度を有する。
実質的に透明なマトリックス材料は、ルミネセント化合物と組み合わせて様々な組合せでガラスまたは様々なタイプのポリマーを含む組成物を含み得る。材料は、非有害で頑強であることが望ましい場合がある。一実施形態では、実質的に透明なマトリックス材料は、それだけに限らないが、ガラス;チオウレタン;PC;アリルジグリコールカーボネート(CR−39など);ポリアクリル酸、ポリアルクアクリル酸(polyalkacrylic acid)(メタクリル酸を含む)、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸のエステル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルエステルなど、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、かつポリアクリレートヒドロゲルを含めたポリアクリレート;ポリビニルピロリジノン;ヘキサフルオロアセトン−テトラフルオロエチレン−エチレンの1種または複数のターポリマー(HFA/TFE/Eターポリマー)、PMMA、PVB、エチレンビニルアセテート、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリウレタン、オルガノシロキサン、ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−酢酸ビニル)、およびこれらの組合せを含めた材料含む。
いくつかの光学素子は、基板層でコーティングされた実質的に透明なコンポーネントを備え得る。基板層は、実質的に透明な層および透明層内に分散されたルミネセント化合物を含む層でコーティングされ得る。基板層は、任意の適当なポリマー材料、例えば:ポリ(エチレンテレフタレート(ethylene teraphthalate))(PET)、セルローストリアセテートTAC、チオウレタン;ポリカーボネート(PC);アリルジグリコールカーボネート(CR−39など);ポリアクリル酸、ポリアルクアクリル酸(メタクリル酸を含む)、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸のエステル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルエステルなど、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、かつポリアクリレートヒドロゲルを含めたポリアクリレート;ポリビニルピロリジノン;ヘキサフルオロアセトン−テトラフルオロエチレン−エチレンの1種または複数のターポリマー(HFA/TFE/Eターポリマー)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレンビニルアセテート、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリウレタン、オルガノシロキサン、ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−酢酸ビニル)、およびこれらの組合せを含み得る。
眼鏡またはサングラスなどのアイウェアの形態でのデバイスについては、レンズまたは光学素子は、任意の光学的に適当なプラスチックから構成され得、またはこれらは、ガラスもしくは他のガラス質材料から主に構成され得る。適当な光学プラスチックの中に含まれるのは、ポリ(ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート))を含めた熱可塑性合成樹脂;ジエチレングリコールポリオールを含むポリウレタン;イソシアネートおよびポリチオールからのチオウレタン樹脂;アクリレート、例えば、メタクリル酸のC1〜6アルキルエステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルなどを含む)、アクリル酸のC1〜6アルキルエステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどを含む)、および関連アクリル樹脂のポリマー;ポリスチレンホモポリマーおよびスチレンとアクリロニトリト(acrylonitrite)のコポリマー、ポリブタジエン修飾ポリスチレンなどを含めたポリスチレン;ポリカーボネート;ビニル樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなど;イオノマーおよびモノクロロトリフルオロエチレン樹脂;酢酸セルロース、硝酸セルロース、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロースなどを含めたセルロース誘導体;エポキシ;ポリエステル樹脂;などである。
接眼レンズ、例えば、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、または眼内レンズ(「接眼レンズ」と本明細書で一括して呼ばれる)の形態でのデバイスについては、レンズまたは光学素子のマトリックス材料は、眼用ポリマーを含み得る。
ソフトコンタクトレンズなどのより柔らかい接眼レンズについては、ソフトモノマーを眼用ポリマー中に組み込んでもよい。ハードコンタクトレンズなどのより硬いレンズについては、ハードモノマーを眼用ポリマー中に組み込んでもよい。多くの接眼レンズは、ソフトおよびハードモノマーの組合せを組み込んでいる場合があり、またはこの組合せを含む混合物の反応生成物であり得る。一部の実施形態では、接眼レンズは、ソフトおよび/またはハードモノマーを含む混合物の反応の生成物である眼用ポリマーを含み得、架橋剤、他の重合性モノマー、開始剤、および/または他の材料を任意選択でさらに含み得る。
ソフトモノマーとして、ヒドロゲル形成モノマー、またはヒドロゲルポリマーを形成するモノマーを挙げることができる。ヒドロゲルポリマーは、平衡状態で水を吸収および保持することができるポリマー系を含む。ヒドロゲルポリマーは、親水性アクリレート、例えば、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシルアルキル、アクリル酸、メタクリル酸などを含めたヒドロゲル形成モノマー;非置換の1−ビニル−2−ピロリジノンなどの任意選択で置換されたN−ビニルピロリドンを含めたビニルラクタム;メタクリルアミドおよびN,N−ジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド;などを組み込むことができる。いくつかのヒドロゲルポリマーは、任意選択の架橋剤ならびに:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、HEMA、およびメタクリル酸;HEMAおよび1−ビニル−2−ピロリジノン;HEMAおよび1−ビニル−2−ピロリジノンおよびメタクリル酸;HEMAおよび1−ビニル−2−ピロリジノンおよびメタクリル酸メチル;HEMAおよびN−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド;または1−ビニル−2−ピロリジノンおよびメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸アリルを含む重合反応の反応生成物であり得る。
ハードモノマーとしては、エステルのCO2基以外の親水性官能基を欠くアクリレートモノマー、例えば、アクリル酸アルキルモノマーまたはメタクリル酸アルキルモノマーがある。他のハードモノマーとして、酢酸酪酸セルロースなどのセルロース誘導体、およびスチレンを挙げることができる。
ハードアクリル酸アルキルモノマーとして、アクリル酸のアルキルエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸イソブチル、n−ペンチルアクリレート、tert−ペンチルアクリレート、アクリル酸ヘキシル、2−メチルブチルアクリレート、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシルなどを挙げることができる。メタクリル酸アルキルモノマーとして、メタクリル酸のアルキルエステル、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸イソブチル、n−ペンチルメタクリレート、tert−ペンチルメタクリレート、メタクリル酸ヘキシル、2−メチルブチルメタクリレート、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、2−エチルヘキシルメタクリレート、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソプロピル、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルアクリレートなどを挙げることができる。いくつかのアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルでは、アルキルエステルのアルキル基は、1、2、3、または4個の炭素原子を含有し得る。いくつかの接眼レンズポリマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、ブチルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、またはメタクリル酸ブチルを含む重合反応の生成物である。
いくつかの接眼レンズについて、アクリル酸アルキルおよび/またはメタクリル酸アルキルに由来する反復単位は、眼用ポリマーの重量の少なくとも約10%、約20%、約30%であり、最大で約90%、約95%、約99%であり、または約100%に接近し得る。
他のハードアクリレートモノマーとして、メタクリル酸フェニル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸アリルなどを挙げることができる。
架橋剤の例として、エチレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、アリルアクリレート、ビニルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリロイルオキシエチルアクリレート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、ジビニルアジペート、α−メチレン−N−ビニルピロリドン、4−ビニルベンジルアクリレート、3−ビニルベンジルアクリレート、2,2−ビス(アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(アクリロイルオキシフェニル)プロパン、1,2−ビス(2−(アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メタクリロイルオキシエチルメタクリレート、4−ビニルベンジルメタクリレート、3−ビニルベンジルメタクリレート、2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、1,2−ビス(2−(メタクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(メタクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(メタクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、N,N’−ビス−アクリロイルシスタミン、N,N’−ビス−メタクリロイルシスタミン、メチレンビス−アクリルアミド、またはメチレンビス−メタクリロイルシスタミンを挙げることができる。いくつかのアクリル酸ポリマーは、架橋剤としてジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ブタンジオール、4−ビニルベンジルメタクリレート、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ブタンジオール、および/または4−ビニルベンジルメタクリレートを含む混合物の重合反応の生成物である。いくつかのアクリル酸ポリマーについて、架橋剤は、重合反応混合物の重量の約0.001重量%〜15重量%、または約0.1%〜10%である。一部の実施形態では、架橋剤を過剰に使用すると、接眼レンズが脆くなり得る。
1種または複数の追加の重合性モノマーを、重合反応混合物に任意選択で添加してもよい。一部の実施形態では、アクリレートモノマーでない重合性モノマーは、重合反応混合物の約90重量%、約80重量%、約50重量%、約30重量%、約20重量%、約10重量%、または約5重量%未満であり得る。
ヒドロゲル形成モノマー混合物の具体例は、架橋モノマーとして少量のジエチレングリコールジメタクリレートを含む2−ヒドロキシエチルメタクリレートから主に構成されるポリマコンである。
追加の重合性モノマーの例として、ケイ素含有メタクリレートモノマー、ケイ素含有スチレンの誘導体、フッ素含有スチレンの誘導体、フッ素含有アクリレートモノマー、ケイ素含有マクロモノマーなどを挙げることができる。これらのタイプの重合性モノマーは、眼用ポリマーにおける酸素透過率および/または耐汚染性を改善し得る。スチレンは、接眼レンズなどの眼科用レンズの機械的強度および硬度を改善するのに添加され得る。
ケイ素含有アクリレートモノマーとして、ペンタメチルジシロキサニルメチルアクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピルアクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアクリレート、モノ[メチル−ビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアクリレート、トリス[メチル−ビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルプロピルアクリレート、メチル−ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリンアクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリンアクリレート、モノ[メチル−ビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリンアクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキサニルプロピルグリセリンアクリレート、トリメチルシリルメチルアクリレート、トリメチルシリルプロピルアクリレート、トリメチルシリルプロピルグリセリンアクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピルグリセリンアクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキサニルメチルアクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキサニルプロピルアクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアクリレートペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピルメタクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、モノ[メチル−ビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、トリス[メチル−ビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルプロピルメタクリレート、メチル−ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリンメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリンメタクリレート、モノ[メチル−ビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリンメタクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキサニルプロピルグリセリンメタクリレート、トリメチルシリルメチルメタクリレート、トリメチルシリルプロピルメタクリレート、トリメチルシリルプロピルグリセリンメタクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピルグリセリンメタクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキサニルプロピルメタクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートなどを挙げることができる。
スチレンのケイ素含有誘導体の例として、トリメチルシリルスチレン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレンなどを挙げることができる。
ケイ素含有マクロモノマーには、ウレタン結合によってビニル含有モノマーに結合したポリシロキサンマクロマの両端で重合性基(polymerzible groups)を有するポリシロキサンマクロマ(macro)などのケイ素(Si)含有マクロモノマーが含まれる。
いくつかの重合反応混合物は、シリコーン含有モノマーを含み得、これは、重合混合物中で反応してシリコーンヒドロゲルコポリマーを形成し得る。シリコーン含有モノマーの例としては、単一の活性化二重結合を含むモノマー、例えば、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)メタクリロキシプロピルシラン、メチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリロキシメチルシラン、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、および3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート;ならびに多官能性のエチレン的に「末端封止された」シロキサン含有モノマー、特に、2つの活性化二重結合を有する二官能性モノマーがある。
スチレンのフッ素含有誘導体の例として、o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、ペルフルオロスチレン、p−トリフルオロメチルスチレン、o−トリフルオロメチルスチレン、およびm−トリフルオロメチルスチレンなどを挙げることができる。
フッ素含有アクリレートモノマーの例としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−tert−ペンチルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−tert−ヘキシルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロヘキシルアクリレート、2,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ペンチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロオクチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロデシルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−オクタデカフルオロウンデシルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ノナデカフルオロウンデシルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12−エイコサフルオロドデシルアクリレート、2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,7,7,7−オクタフルオロ−6−トリフルオロメチルヘプチルアクリレート、2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,9,9,9−ドデカフルオロ−8−トリフルオロメチルノニルアクリレート、および2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,11,11,11−ヘキサデカフルオロ−10−トリフルオロ−メチルウンデシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−tert−ペンチルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−tert−ヘキシルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロヘキシルメタクリレート、2,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロオクチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロデシルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−オクタデカフルオロウンデシルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ノナデカフルオロウンデシルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12−エイコサフルオロドデシルメタクリレート、2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,7,7,7−オクタフルオロ−6−トリフルオロメチルヘプチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,9,9,9−ドデカフルオロ−8−トリフルオロメチルノニルメタクリレート、および2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,11,11,11−ヘキサデカフルオロ−10−トリフルオロ−メチルウンデシルメタクリレートなどがある。
スチレンの例としては、非置換のスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、トリメチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ペルブロモスチレン、ジメチルアミノスチレン、α−メチルスチレンなどがある。
反応混合物の重合は、熱重合によって達成され得る。例えば、重合反応混合物は、重合開始剤が重合反応混合物中に存在するとき、高温、例えば、約50℃〜約300℃、約100℃〜約200℃、または約100℃〜約150℃に加熱され得る。熱重合は、他の重合法と比較して重合後の変色または退色を低減することができる。代わりに、重合反応は、電磁放射線、例えば、マイクロ波、紫外線、放射線(γ線)などへの曝露などによって光重合してもよい。
重合開始剤は、使用される重合の方法に基づいて選択され得る。例えば、熱重合が使用される場合、ラジカル重合開始剤が使用され得る。重合が電磁放射線への曝露によって実現される場合、光重合開始剤または光増感剤が使用され得る。重合は、塩基もしくは酸触媒によって、または求電子剤もしくは求核剤によって開始されてもよい。
任意の適当なラジカル重合開始剤を使用することができる。ラジカル重合開始剤の例として、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどを挙げることができる。
任意の適当な光重合開始剤を、重合反応混合物の光重合反応において使用することができる。光重合開始剤の例としては、ベンゾイン系光重合開始剤、例えば、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、メチルベンゾイルホルメート、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテルなど;フェノン光重合開始剤、例えは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、N,N−テトラエチル−4,4−ジアミノベンゾフェノンなど;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム;チオキサントン光重合開始剤、例えば、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなど;ジベンゾスベロン;2−エチルアントラキノン;ベンゾフェノンアクリレート;ベンゾフェノン;ベンジル;などがある。
ポリマー反応混合物100重量部当たり少なくとも約0.005重量部または少なくとも約0.01重量部などの、任意の適当な量の重合開始剤を使用することができる。一部の実施形態では、重合開始剤の量は、重合反応混合物100重量部当たり約2重量部、または1重量部未満であり得る。
いくつかの方法のうちのいずれかを接眼レンズを形成するのに使用することができる。例えば、切断法を使用することができる。切断法では、ポリマーは、切断、粉砕などの機械加工法によって所望の構成に形成することができる。接眼レンズは、成形法を使用して形成することもできる。成形法では、重合反応混合物を金型の空洞内に入れることができ、所望の形状を、金型の空洞内での重合反応混合物の反応によって得ることができる。他の形成法も使用することができる。さらに、成形法および切断法を組み合わせてもよい。
ルミネセント化合物は、レンズをキャスティングするとき眼用ポリマー中に組み込んでもよく、または完成したレンズを、ルミネセント化合物含有溶液中に浸漬し、もしくはこの溶液でコーティングするなどによってルミネセント化合物で処理することができる。
任意選択で、重合されてヒドロゲルコポリマーになるモノマーの混合物は、シリコーンヒドロゲルコポリマーを形成するためにシリコーン含有モノマーを含み得る。シリコーン含有モノマーの例としては、単一の活性化二重結合を含むモノマー、例えば、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)メタクリロキシプロピルシラン、メチルジ(methyidi)(トリメチルシロキシ)メタクリロキシメチルシラン、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、および3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート;ならびに多官能性のエチレン的に「末端封止された」シロキサン含有モノマー、特に、2つの活性化二重結合を有する二官能性モノマーがある。
一部の実施形態では、デバイスの光学素子は、耐スクラッチコーティングなどのコーティングを備えることができ、実質的に透明なマトリックスは、耐スクラッチ材料を含み、ルミネセント材料は、耐スクラッチ材料中に分散され得る。酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、三酢酸セルロース、硬質アクリレート(上述した硬質アクリレートなど)、ポリアルキレン、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、任意選択で置換されたポリスチレン、ポリブタジエン、ナイロン、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリカーボネート、スチレン−ブタジエンコポリマー樹脂、ポリウレタン、例えば、軽度に架橋された熱可塑性ポリウレタン、ポリ尿素ウレタン、ポリシロキサン、ポリシラン、フルオロポリマー、例えば、フルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン))のポリマーまたはコポリマー、エポキシ官能性アルコキシシラン、オキシ窒化ケイ素PECVD膜、金属酸化物などの耐スクラッチ材料の例。
任意の適当なポリカーボネート、例えば、ホモポリカーボネート、コ−ポリカーボネート、分岐状ポリカーボネート、またはこれらの混合物を使用することができる。いくつかのポリカーボネートは、ホスゲンなどの炭酸誘導体およびジヒドロキシ化合物の反応によって調製され得る。有用なジヒドロキシ化合物としては、式S:
によって表され得るビスフェノール化合物がある。
RA1は、H、あるいは式CaHa+1もしくはCaHaを有する直鎖状もしくは分岐状アルキル、または式CaHa−1もしくはCaHa−2を有するシクロアルキルを含めたC1〜12アルキル(式中、aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である)、例えば、式:CH3、C2H5、C3H7、C4H9、C5H11、C6H13、C7H15、C8H17、C9H19、C10H21などの直鎖状もしくは分岐状アルキル、または式:C3H5、C4H7、C5H9、C6H11、C7H13、C8H15、C9H17、C10H19などのシクロアルキルであり得る。
RA2は、H、あるいは式CaHa+1もしくはCaHaを有する直鎖状もしくは分岐状アルキル、または式CaHa−1もしくはCaHa−2を有するシクロアルキルを含めたC1〜12アルキル(式中、aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である)、例えば、式:CH3、C2H5、C3H7、C4H9、C5H11、C6H13、C7H15、C8H17、C9H19、C10H21などの直鎖状もしくは分岐状アルキル、または式:C3H5、C4H7、C5H9、C6H11、C7H13、C8H15、C9H17、C10H19などのシクロアルキルであり得る。
一部の実施形態では、R
A1およびR
A2は、水素、メチル、プロピル、もしくはフェニルであり、または
は、
である。一部の実施形態では、R
A1およびR
A2は、メチルである。ポリカーボネートは、任意の適当な分子量を有し得る。一部の実施形態では、ポリカーボネートは、約10,000g/mol〜約200,000g/molまたは約20,000g/mol〜約80,000g/molの分子量を有し得る。
一般に、ポリウレタンには、ポリイソシアネートおよびポリオールの反応によって形成され得るポリマーが含まれる。ポリ尿素ウレタンには、ポリイソシアネート、ポリオール、およびポリアミンの反応によって形成され得るポリマーが含まれる。
ポリイソシアネートには、2個以上のイソシアネート官能基を有する有機イソシアネートが含まれる。いくつかのポリイソシアネートは、1分子当たり平均で約2〜約3個のイソシアネート官能基を有し得る。ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート、イソシアナト基の1個もしくは複数が脂環式環に直接付着している脂環式ポリイソシアネート、イソシアナト基の1個もしくは複数が脂環式環に直接付着していない脂環式ポリイソシアネート、イソシアナト基の1つもしくは複数が、芳香族環に直接付着している芳香族ポリイソシアネート、イソシアナト基の1つもしくは複数が芳香族環に直接付着していない芳香族ポリイソシアネート、またはこれらの混合物であり得る。適当なポリイソシアネートの非限定例としては、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、例えば、2,4−および2,6−メチルシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体および異性体の混合物、例えば、トランス−トランス、シス−シス、およびシス−トランス異性体、ヘキサヒドロトルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネート、フェニルシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどがある。
ポリアミンは、2個以上の第1級(例えば、−NH2)および/または第2級アミノ官能基、例えば、2個の第1級アミノ官能基、2個の第2級アミノ官能基、または1個の第1級アミノ官能基および1個の第2級アミノ官能基を含む任意の化合物であり得る。適当なポリアミンのいくつかの例としては、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンなどの脂肪族ポリアミン、例えば、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、および1,10−デカンジアミンなど;脂環式ポリアミン;芳香族ポリアミン、例えば、1,2−ベンゼンジアミン、1,3−ベンゼンジアミン、1,4−ベンゼンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、1,8−ナフタレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,5−トルエンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、4,4’−メチレンビス(アニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン);アルキル基がそれぞれ1〜3個の炭素原子を含有するジアルキルトルエンジアミン、例えば、3,5−ジメチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチル−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジイソプロピル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジイソプロピル−2,6−トルエンジアミンなど;アルキル基がそれぞれ1〜3個の炭素原子を含有する4,4’−メチレン−ビス(ジアルキルアニリン)、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン(methylanili−ne))、および4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチル−3−クロロアニリン)などがある。ジアルキルトルエンジアミンは、異性体混合物、例えば、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミンおよび3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミンの異性体混合物として販売されている場合がある。ポリアミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびテトラエチレンペンタミンなど、2個超のアミノ基を含有する場合もある。
ポリウレタンまたはポリ尿素ウレタンは、ポリウレタンまたはポリ尿素ウレタンを形成するのに使用されるポリオールのタイプを参照して、ポリエーテル系ポリウレタンもしくはポリ尿素ウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタンもしくはポリ尿素ウレタン、またはポリエステル系ポリウレタンもしくはポリ尿素ウレタンであり得る。
ポリエーテルポリオールの例としては、それだけに限らないが、ポリオキシアルキレンポリオール、およびポリアルコキシル化ポリオールがある。ポリオキシアルキレンポリオールには、多価開始剤または多価開始剤の混合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどを使用して、アルキレンオキシドまたはアルキレンオキシドの混合物を反応させることによって調製され得るポリオールが含まれる。アルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アミレンオキシド、アラルキレンオキシド、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物などがある。アルキレンオキシドの混合物を用いて調製されるポリオキシアルキレンポリオールは、ランダムな、または段階的なオキシアルキル化を使用して調製することができる。このようなポリオキシアルキレンポリオールの例としては、ポリオキシエチレン、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン、例えば、ポリプロピレングリコールがある。ポリアルコキシル化ポリオールには、C1〜8アルキレンジオールなどのジオール、ジヒドロキシベンゼンなどを、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどと反応させることによって調製され得るポリオールが含まれる。
ポリエーテルポリオールは、任意の適当な分子量を有し得る。例えば、いくつかのポリエーテルポリオールは、約500g/mol〜約3000g/mol、約650g/mol〜約2000g/mol、約650g/mol〜約1400g/mol、約850g/mol〜約1000g/mol、または約1200g/molの重量平均分子量を有し得る。
ポリカーボネートポリオールには、有機グリコール、例えば、グリコールなどのジオール、および炭酸ジアルキルの反応によって調製され得るポリオールが含まれる。いくつかのポリカーボネートポリオールは、式H−(O−C(O)−O−(CH2)m)n−OHによって表すことができ、式中、mは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、nは、4〜24、4〜10、または5〜7である。一部の実施形態では、炭酸ジアルキルは、ポリヘキサメチレンカーボネートであり、この場合、mは6である。ポリカーボネートポリオールは、約500g/mol〜3500g/mol、または約650g/mol〜約1000g/molの数平均分子量などの任意の適当な分子量を有し得る。
グリコールとしては、低分子量ポリオール、例えば、500g/mol未満の分子量を有するポリオール、例えば、低分子量ジオールおよびトリオールがある。いくつかのグリコールは、2〜16、2〜6、または10個の炭素原子を含有する。グリコールの非限定例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−、1,3−、および1,4−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、1,3−、2,4−、および1,5−ペンタンジオール、2,5−および1,6−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)−シクロヘキサン、グリセリン、テトラメチロールメタン、例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、およびトリメチロールプロパンがある。これらのグリコールの他の異性体も使用され得る。ポリエーテルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールコンポーネントに関して使用されるグリコールの量は、3〜20重量パーセントで変動し得る。
ポリエステルポリオールには、飽和ジカルボン酸もしくはこれらの無水物(または酸と無水物の組合せ)の多価アルコールとのエステル化によって調製され得るポリオール;ポリラクトン、例えば、少量の二官能性活性水素化合物、例えば、水または低分子グリコール、例えば、1,4−ブタンジオールの存在下で、イプシロンカプロラクトンまたはデルタバレロラクトンなどのラクトンを重合することによって調製され得るポリカプロラクトンおよびポリバレロラクトンが含まれる。
飽和ジカルボン酸としては、4〜10個の炭素原子または6〜9個の炭素原子を含有するもの、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などがある。
多価アルコールとしては、少なくとも2個のヒドロキシ基を含有する脂肪族アルコール、例えば、2〜10個または4〜8個の炭素原子を含有する直鎖グリコールがある。非限定例には、上述したグリコールが含まれる。一部の実施形態では、多価アルコールは、1,4−ブタンジオールである。
ポリエステルポリオールは、任意の適当な分子量、例えば、約1000g/mol〜約3000g/mol、または約1000g/mol〜約2000g/molの数平均分子量を有し得る。ポリエステルポリオールの非限定例としては、ポリ(ブタンジオール−1,4−アジペート)、ポリ(ブタンジオール−1,4−スクシネート)、ポリ(ブタンジオール−1,4−グルタレート)、ポリ(ブタンジオール−1,4−ピメレート)、ポリ(ブタンジオール−1,4−スベレート)、ポリ(ブタンジオール−1,4−アゼレート)、ポリ(ブタンジオール−1,4−セバケート)、およびポリ(イプシロンカプロラクトン)がある。
耐スクラッチコーティングは、組成物の総重量に基づいて、0〜20重量パーセントまたは約1〜約90重量パーセントの金属酸化物、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど、またはこれらの混合物を含み得る。
耐スクラッチコーティングは、任意の適当な厚さ、例えば、約1ミル〜約20ミル(約0.025mm〜約0.5mm)または約5ミル〜約10ミル(約0.125mm〜約0.25mm)の厚さを有する。耐スクラッチコーティングは、別の材料に直接塗布されてもよく、または接着剤層、例えば、25ミクロン未満、約0.1ミクロン〜約10ミクロン、約0.1ミクロン〜約5ミクロン、または約1ミクロンの厚さを有する実質的に透明な層を使用して塗布されてもよい。
スクラッチングに対するコーティングの耐性は、ロータリースチールウール試験によって測定することができ、この試験では、コーティングが規定された圧力、通常12または24psiで0000グレードスチールウールのパッド5回転に曝される。スクラッチング摩耗耐性は、摩耗に由来する曇りの増大を測定することによって格付けされる。ASTM D−1044などの試験法は、摩耗に対する透明プラスチック材料の耐性を光学的に測定するために開発された。耐摩耗性の他の標準的な試験は、ASTM D−1004−56に記載されているテーバー摩耗試験である。
多くの用途では、靭性および衝撃に対する耐性は、耐スクラッチコーティングにとって重要であり得る。コーティングの靱性または衝撃摩耗耐性は一般に、「落砂」試験(ASTM D968−51)によって測定される。良好なスクラッチ摩耗耐性を有するコーティングは、必ずしも良好な衝撃摩耗耐性を有さない場合がある。落砂試験では、砂が所定の高さからコーティング上に注がれ、一方、コーティングの厚さが観察される。結果は、10分の1ミルのコーティング厚を摩耗するのに要求される砂のリットル数の観点から表現される。
光学素子は、電子ディスプレー、光学素子、およびタッチスクリーンコンポーネントを備える電子デバイス中に統合され得る。このようなデバイス10の例は、図2に表されている。このタイプのデバイスでは、タッチスクリーンコンポーネント30は、電子ディスプレー20上に配置することができる。光学素子15も含められる。光学素子15は、図2に示したようにタッチスクリーンコンポーネント30上に配置してもよく、または光学素子15は、図3に示したように電子ディスプレー20とタッチスクリーンコンポーネント30との間に、もしくは電子ディスプレー20からの光を光学素子15に通過させる別の位置に配置してもよい。タッチスクリーン素子30は、第1の導電層40、第2の導電層50、および第1の導電層40と第2の導電層50の間に配置されたスペーサー60を備える。図2Aに示したように、ユーザーとデバイス10との間に接触がないとき、第1の導電層40と第2の導電層50との間に電気接触はない。図2Bに示したように、ユーザーによる接触80により、第1の導電層40を第2の導電層50に接触させることができ、それにより第1の導電層40と第2の導電層50との間に電気的接触を作り出すことができる。これは、第1の導電層40と第2の導電層50との間に電流を流れさせることができる。したがって、タッチスクリーンコンポーネントは、ユーザーのタッチに感受性であるオン/オフスイッチとして作用し得る。ディスプレー20から発光された光70は、タッチスクリーンコンポーネント30を通過し、光学素子15を通過する。光学素子30は、ディスプレー20からの光70の色を修正することができる。
図4で表したように、タッチスクリーンコンポーネント、例えば、タッチスクリーンコンポーネント30は、第1の支持層90などの第1の支持層をさらに備え得る。第1の支持層90は、第1の導電層40がスペーサー60と第1の支持層90との間に配置されるように位置することができる。さらに、タッチスクリーンコンポーネントは、第2の支持層、例えば、第2の支持層100をさらに備え得る。第2の支持層100は、第2の導電層50がスペーサー60と第2の支持層100との間に配置されるように位置することができる。図5に表したように、タッチスクリーンコンポーネントは、第1の誘電体層110などの第1の誘電体層も備える場合があり、これは、第1の導電層40と第1の支持層90との間に配置され得る。タッチスクリーンコンポーネント30は、第2の誘電体層120などの第2の誘電体層も備える場合があり、これは、第2の導電層50と第2の支持層100との間に配置され得る。
タッチスクリーン素子30などのタッチスクリーン素子は、タッチスクリーン素子を通して眺められるようにディスプレー20などのディスプレーに対して十分に透明であるべきである。
第1の導電層40または第2の導電層50などの導電層は、任意の導電性材料から構成され得る。第1の導電層および第2の導電層は、同じ材料から構成されていてもよく、または異なる材料から構成されていてもよい。使用され得る導電性材料の例としては、それだけに限らないが、金属、例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、スズなど、およびこれらの合金;金属酸化物、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化カドミウム、およびこれらの混合物などがある。銅ヨウ素などの他の金属化合物も使用され得る。一部の実施形態では、導電層は、酸化スズを含有する酸化インジウム、またはアンチモンを含有する酸化スズを含む。導電層は、約10nm〜約300nmなどの膜が十分に導電性であり、十分に透明であることを可能にする任意の厚さを有し得る。
スペーサー、例えば、スペーサー60は、真空であってもよく、または任意の非導電性材料、例えば、空気、窒素、アルゴン、もしくは別の不活性ガスなどで構成されていてもよい。スペーサーは、約10μm〜約500μm、約100μm〜約200μm、または約150μmなどの任意の適当な厚さのものであり得る。
支持層は、導電層の所望の機能を促進する任意の層であり得る。第1の支持層、例えば、第1の支持層90、および第2の支持層、例えば、第2の支持層100は、同じであっても、異なっていてもよく、同じまたは異なる材料から構成され得る。適当な支持材の例としては、それだけに限らないが、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などがある。一部の実施形態では、支持層は、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、またはポリオレフィン系樹脂を含む。支持層は、約75μm〜約400μm、約100μm〜約200μm、約2μm〜約300μm、または約10μm〜約130μmなどの任意の適当な厚さを有し得る。
誘電体層は、任意の誘電材料から構成され得る。第1の誘電体層、例えば、第1の誘電体層110、および第2の誘電体層、例えば、第2の誘電体層120は、同じであっても、異なっていてもよく、同じまたは異なる材料から構成され得る。非限定例としては、NaF、Na3AlF6、LiF、MgF2、CaF2、BaF2、SiO2、LaF3、CeF3、Al2O3などがある。誘電体層は、約10nm〜約300nm、約10nm〜約200nm、約10nm〜約120nm、または約15nm〜約60nmなどの任意の適当な厚さを有し得る。
本明細書に記載の光学素子は、哺乳動物における視覚不感受性を矯正するための方法において有用である。一実施形態では、本方法は、第1の可視色波長と第2の可視色波長との間に視覚不感受性を有する個体を同定することを含む。一実施形態では、本方法は、視覚不感受性を矯正する本明細書に記載の光学素子を選択することを含む。一実施形態では、本方法は、個体に光学素子を提供し、または提供するように手配することを含む。一実施形態では、視覚不感受性は、2型3色覚を含む。
一実施形態では、第1の可視色波長と第2の可視色波長との間に視覚不感受性を有する個体を同定することは、遺伝子型判定を含む。例えば、視覚不感受性を有する個体を同定することは、アミノ酸配列決定と併せて使用される少なくとも1つの医療対象サンプリング用スワブ(medical subject sampling swab)を有するサンプリングキットを使用することを含み得る。標準化された配列表(Neitz,Jayら、The genetics of normal and defective color vision、Vision Res.、51(2011):633〜651;Neitz,Maureenら、Molecular Genetics of Color Vision and Color Vision Defects、Arch Ophthalmol、118:691〜700(2000))と比較すると、正常なまたは機能障害性の配列との対象のアミノ酸配列の整合または非整合に関する遺伝子型情報がもたらされ得る。任意の適当な配列決定手順および判定がこのような判定を行うのに適切である。例えば、その全体が参照により組み込まれている米国特許第5,837,461号を参照。これらの方法による錐体光受容体ベース視覚障害の診断は、赤および緑光色素遺伝子の中の少なくとも18の二形性のヌクレオチド位置のすべて、またはサブセットの同一性を検査するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含めた標準的な分子生物学法を使用することができる。ヌクレオチド差異のパターンにより、視覚障害の存在または非存在が予測される。ヌクレオチド同一性の異なるパターンは、異なる障害、および障害の1クラス内の異なる程度の重症度に対応する。
一例示的方法では、試験は、赤色および緑色錐体光色素のエクソン2中の65位、111位、および116位、エクソン3中の153位、171位、174位、178位、および180位、エクソン4中の230位、233位、および236位、ならびにエクソン5中の274位、275位、277位、279位、285位、298位、309位に指定されるアミノ酸を判定し、視覚障害の診断において、これらの位置のアミノ酸の「有毒な」組合せを探す。診断を行うのに18個の二形性の位置のすべてを検査する必要はない。例えば、エクソン5中の二形性の位置は、しっかりと連結されているので、一般に、遺伝子が赤色または緑色錐体光色素をコードすると最初に同定するのに、エクソン5内のコドン位置の1つを検査しなければならないだけである。エクソン2、3、および4中でコードされる二形性の位置は、好ましくはすべて検査される。しかし、いくつかの障害は、すべての位置が点検されることを必要としない。
現在、赤および緑光色素遺伝子のDNA配列の検査を可能にする、様々な分子生物学的方法が利用可能である。例えば、遺伝子断片を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅することができる。赤および緑色素遺伝子は、以前に記載されたように別個に、かつ選択的に増幅することができる(J.Neitz、M.Neitz、およびGrishok、Vision Research 35:2395〜2407、1995)。
増幅された遺伝子断片は、DNA配列についての情報をもたらす以下の手順の1つまたは複数に付すことができる:1)以前に記載されたPCR産物の直接的なDNA配列(J.Neitz、M.Neitz、およびGrishok、上記、1995)、および/または2)制限消化分析(J.Neitz、M.Neitz、およびGrishok、上記、1995で以前に記載された)。上記に示したアミノ酸置換のいくつかは、制限部位多型性を伴っている。例えば、180位のアミノ酸は、セリンまたはアラニンである。アラニンがコードされる場合、DNA断片は、セリンがコードされるアミノ酸である場合存在しないBsoFI制限部位を含有する。したがって、PCR増幅されたDNA断片は、適切な制限酵素で消化することができ、消化産物は、電気泳動で分離されることになる。この断片のサイズを判定することができる。観察される断片のサイズに基づいて、DNA配列についての、したがってアミノ酸配列についての情報が推定されることになる。3)一本鎖立体配座多型または他の同様の手順。増幅されたDNA断片は、蛍光で、または放射活性物質で末端標識され、一本鎖に変性され、鎖は、電気泳動で分離される。電場内での鎖の移動度に基づいて、DNA配列についての情報を推定することができる。
上述したコドン位置で指定されるアミノ酸を判定した後、このアミノ酸データを様々な色覚欠損を示唆する以前に判定されたアミノ酸組合せと比較することができる。米国特許第5,837,461を参照。Genevolve Vision Diagnostics,Inc.(Albuquerque、New Mexico、USA)によって提供されている「eyedox」ブランド遺伝子型試験キットおよび配列決定サービスは、このような情報を保証する別の適当な様式である。
一部の実施形態では、第1の可視色波長と第2の可視色波長との間に視覚不感受性を有する個体を同定することは、個体を表現型的に判定することを含む。一部の実施形態では、これらの表現型判定は、カラー写真またはプレートを呈示し、対象に、プレートに表された各人が見るものを示すように尋ねることによって実現することができる。一実施形態では、哺乳動物における視覚不感受性を矯正するための方法は、標準化された検査を提供することを含む。一実施形態では、哺乳動物における視覚不感受性を矯正するための方法は、検査のスコアを視覚障害と相関させることを含む。当業者は、これらとしては、アイソクロミック(isochromic)試験プレート、ならびにこれらの使用、例えば、Ishihara 14/24/38プレート版(Kanehara Trading、Tokyo JP、2009)、Hardy Rand and Ritterシュードアイソクロミックプレート試験、第4版;Dvorine 第2版、American Optical Company、1965;および/またはRichmond HRRシュードアイソクロミックプレート、(1991版)があることを認識する。別の適当な例としては、A New Mass Screening Test for Color−Vision Defiencies in Children、Neity、Maureenら、Color Research and Application、増補、26巻、S239〜S249(2000)に記載された筆記試験がある。他の計測装置、例えば、Farnswarth 100色相検査(Richmond Products, Inc.、Albuquerque、NM、USA)、ハイデルベルグマルチカラー(HMC)アノマロスコープ(Oculus,Inc.、Lynwood、WA、USA)も、このような視覚欠損判定を行うのに利用可能である。視覚欠損の存在および/またはこのような欠損の重症度の判定は、上記計測装置もしくは方法、および/またはこれらの組合せによって果たすことができる。
一部の実施形態では、欠損は、少なくとも2種の光色素の間のスペクトル分離の差異で判定および記述される。一部の実施形態では、少なくとも2種の光色素は、L光色素、M光色素、および/またはLもしくはM光色素の組合せ、ハイブリッド、もしくはバリアントである。一部の実施形態では、スペクトル分離は、スペクトル励起の差異として記述され、少なくとも2種の光色素は、L光色素、M光色素、および/またはLもしくはM光色素の組合せ、ハイブリッド、もしくはバリアントである。
一実施形態では、本方法は、視覚不感受性を矯正する本明細書に記載の光学素子を提供することを含む。一部の実施形態では、光学素子を提供することは、第1の可視色波長と第2の可視色波長との間の視覚感受性を増大させるのに十分な量の蛍光化合物を光学素子中に組み込むことをさらに含む。
一部の実施形態では、光学素子を提供することは、第1の可視色波長と第2の可視色波長との間の視覚感受性を増大させるのに十分な量の第2の蛍光化合物を光学素子中に組み込むことをさらに含む。
本明細書に記載の光学素子の実施形態は、第1の色を異なる波長を有する第2の色と区別する色覚異常個体の能力を改善することが発見された。これらの利益を、以下の実施例によってさらに示す。これらは、本開示の実施形態を例示するように意図されているが、範囲または基礎をなす原理を限定するように決して意図されていない。
〔実施例1〕
(ルミネセント染料)
ルミネセント染料、Red−1を、以下のプロセスで合成した:
(化合物1):
ベンゾトリアゾール(11.91g、100mmol)、1−ヨード−2−メチルプロパン(13.8mL、120mmol)、炭酸カリウム(41.46g、300mmol)、およびジメチルホルムアミド(200mL)の混合物を、アルゴン下で約40℃にて2日間撹拌および加熱した。反応混合物を氷/水(1L)中に注ぎ、トルエン/ヘキサン(2:1、2×500mL)で抽出した。抽出物を1N HCl(2×200mL)で、その後ブライン(100mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣をヘキサン(200mL)でトリチュレートし、室温にて約2時間放置した。沈殿物を分離および廃棄し、溶液をシリカゲル(200g)の層に通して濾過した。シリカゲルをヘキサン/ジクロロメタン/酢酸エチル(37:50:3、2L)で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、溶媒を減圧下で除去して、2−イソブチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(化合物1)(8.81g、50%の収率)を油状生成物として得た。
(化合物2):
2−イソブチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(化合物1)(8.80g、50mmol)、臭素(7.7mL、150mmol)、および48% HBr(50mL)の混合物を、HBrトラップと接続された還流冷却器下で約130℃にて約24時間加熱した。反応混合物を氷/水(200mL)中に注ぎ、5N NaOH(100mL)で処理し、ジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。抽出物を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧下で除去した。ヘキサン/ジクロロメタン(1:1、200mL)中の残渣の溶液を、シリカゲルの層に通して濾過し、濃縮して、4,7−ジブロモ−2−イソブチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール、化合物2(11.14g、63%の収率)を油状物として得た。これは、室温で貯蔵すると徐々に固化した。
(化合物3):
4,7−ジブロモ−2−イソブチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(化合物2)(17.8g、53mmol)を、予混合した発煙HNO3(7.0mL)およびTFMSA(110g)を約0〜5℃にて少しずつ添加し、約10分後に、反応混合物を油浴中に置き、約55℃にて約8時間加熱し、次いで冷却し、次いで氷/水500mL中に注いだ。得られた固体を水で、その後MeOHで徹底的に洗浄し、真空オーブン内で乾燥させて、7−ジブロモ−2−イソブチル−5,6−ジニトロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(化合物3)を黄色がかった固体として得た(20.4g、91%)。
(化合物4):
4−ブロモトリフェニルアミン(65.0g、200mmol)を、磁気撹拌子、低温温度計、およびアルゴン吸気口を備えた500mlの乾燥した3つ口RBフラスコ内に入れた。テトラヒドロフランを、カニューレ(200ml)を使用して反応フラスコに移し、ドライアイスアセトン浴中で−78℃に冷却し、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、130mL)を約30分の期間にわたって滴加した。反応混合物を同じ温度にて約30分にわたって撹拌したままにし、次いで塩化トリブチルスズ(65.0mL)を約30分にわたって滴加した。得られた混合物を一晩撹拌したままにし、室温まで徐々に加温させた。次いでこれを氷冷水(約500mL)中に注ぎ、ジエチルエーテル(2×250mL)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥させ、溶媒を蒸発によって除去して、化合物4 106.5gを1H NMRによって約95%純粋な黄色がかった油状物として得た。
(化合物5):
化合物3および4を、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドの存在下で1:2の比で合わせることによって、化合物5を形成した。無水1,4−ジオキサン100mlを、化合物4(6.80g、12.7mmol)を含有するフラスコに添加し、アルゴンを溶液に通してバブリングさせた。化合物3(2.12g、5mmol)、その後、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.448g、0.640mmol)を添加し、アルゴンをさらに10分間溶液に通して連続してバブリングさせた。次いでフラスコを2時間、約100℃に加熱した。次いで反応混合物を分液漏斗中に注ぎ、ブラインと酢酸エチルの間で分配した。有機層を分離し、濃縮して乾燥させ、次いで最小限のジクロロメタン中に溶解させ、メタノール中に注ぎ、その後沈殿物を濾過し、乾燥させて、化合物5 3.51g(93%)を暗赤色固体として得た。
(化合物6):
化合物6のジアミンを、氷酢酸(75ml)中に化合物5(3.51g、4.6mmol)を溶解させ、次いで鉄粉末(2.8g、10当量)を添加することによって調製した。反応器をアルゴンでパージし、次いで約130℃に加熱した。130℃にて3時間後、反応混合物を氷中に注ぎ、黄色沈殿物を真空濾過によって収集した。濾液を水で洗浄し、次いで真空下で乾燥させた。乾燥した生成物を、ジクロロメタン中にこれを溶解させ、シリカゲルのプラグに通して濾過することによってさらに精製した。溶媒を除去した後、化合物6 3.16g(98%)を黄色固体として得た。
(化合物7):
化合物6のジアミンを、酢酸の存在下で亜硝酸ナトリウムでこれを処理することによって、化合物7の対応するベンゾトリアゾールに変換した。化合物6(3.03g、4.38mmol)をTHF(20ml)中に溶解させ、氷酢酸(10ml)を添加した。混合物を氷浴中で約0℃に冷却し、水(6ml)中の亜硝酸ナトリウム(0.363g、5.26mmol)の溶液を磁気撹拌しながら滴加した。約10分間撹拌した後、反応器を氷浴から取り出し、室温にてさらに20分間撹拌させた。次いで得られた鮮赤色混合物を分液漏斗中の炭酸水素ナトリウムの溶液中に注ぎ、ジクロロメタンを添加して有機生成物を抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで濾過し、濃縮して、化合物7 3g(97%)を赤色固体として得た。
(化合物8(Red−1)):
化合物8を、N,N−ジメチルホルムアミド中の塩基性条件下で、化合物7を2−ブトキシエチル4−メチルベンゼンスルホネートと反応させることによって形成した。化合物7(3g)を、丸底フラスコ中でN,N−ジメチルホルムアミドおよび炭酸カリウム(2.4g)と合わせた。DMF中の2−ブトキシエチル4−メチルベンゼンスルホネート(1.5g)の溶液を撹拌溶液に徐々に添加した。混合物を80℃にて3時間撹拌し、次いで冷却させた。これを、水を含有する分液漏斗中に注ぎ、有機生成物をジクロロメタンで抽出した。硫酸マグネシウムで有機部分を乾燥させた後、これを濾過し、真空下で乾燥させた。移動相としてヘキサンおよび酢酸エチルを用いて、Teledyne Isco CombiFlash RF200クロマトグラフィーシステムを使用して、最終生成物を精製した。生成物含有画分をプールし、乾燥させた後、赤色微粉末700mgを収集した。ジクロロメタンおよびメタノールから再結晶によってこの材料をさらに精製して、化合物8(Red−1)600mg(18%)を、LCMSによって98%の純度を有する赤色粉末として得た。
(光学素子)
実施例1に従って作製したルミネセント染料、化合物8をさらに抽出または精製することなく使用し、1:1 N−メチルピロリドン:シクロペンタノン中5wt% PVBの溶液と混ぜ、次いでガラス上に2000RPMで約10秒間スピンコートし、その後ホットプレート上で100℃にて約10分間乾燥させた。図6に示した透過率スペクトルが見出された:
得られた光学素子の全光線透過率を、照明光源としてPhotal MC−2530 UV/Vis Light Source I2ランプを使用して、Photal MCPD−7000(Otsuka Electronics、Osaka、JP)で測定した。
(結果)
したがって、一部の実施形態では、光学素子は、図6に表したものと同様の吸収および/または発光プロファイルを有し得る。例えば、光学素子は、約425nm〜約500nm、約440nm〜約500nm、約450nm、または約530nmの波長を有する光を吸収し得る。一部の実施形態では、光学素子は、約510nm〜約585nm、約515nm〜約575mm、約530nm、または約560nmの波長を有する光を発光し得る。同様に、一部の実施形態では、光学素子は、図7のものに対して透過率スペクトルを有し得る。例えば、光学素子は、約500nm〜約700nm、約510nm〜約550nm、約550nm〜約620nm、または約640nm〜約720nmの波長で透過率ピークを有し得る。一部の実施形態では、ピークの透過率は、約90%、約95%、または約100%超であり得る。
別段に示されていない限り、本明細書および請求の範囲で使用される成分の量、分子量などの性質、反応条件などを表現するすべての数値は、用語「約」によってすべての場合において修飾されていると理解されるべきである。したがって、それとは反対に示されていない限り、本明細書および添付の請求の範囲に示した数値パラメータは、得られようとされている所望の性質に応じて変動し得る近似である。最低限でも、かつ請求の範囲の範囲に対する均等物の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告される有効桁の数値を踏まえて、かつ通常の丸め技法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
本発明を記載することとの関連で(特に以下の請求の範囲との関連で)使用される用語「a」、「an」、「the」、および同様の指示対象は、本明細書で別段に示されていない限り、または脈絡によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方に及ぶと解釈されるべきである。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で別段に示されていない限り、または脈絡によって明らかに矛盾しない限り、任意の適当な順序で実施することができる。任意およびすべての例、または例示的な言い回し(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良好に明確にするように意図されており、任意の請求項の範囲に限定をもたらさない。本明細書中のどの言い回しも、本発明の実行に本質的な任意の非請求の要素を示すとして解釈されるべきでない。
本明細書に開示の代替の要素または実施形態のグループ分けは、限定として解釈されるべきでない。各グループメンバーは、個々に、または本明細書に見出されるグループの他のメンバーもしくは他の要素との任意の組合せで言及され、主張され得る。グループの1つまたは複数のメンバーは、利便性の理由でグループ内に含められる場合があり、またはグループから削除される場合があることが予想される。任意のこのような包含または削除が行われる場合、明細書は、改変されたグループを含有すると見なされ、したがって添付の請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュ群の書面による記載を満たす。
本発明を実施するのに本発明者らが知っているベストモードを含む、ある特定の実施形態が本明細書に記載されている。もちろん、これらの記載された実施形態に対するバリエーションは、上記の記載を読むと当業者に明らかとなる。本発明者は、当業者が必要に応じてこのようなバリエーションを使用することを予期し、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されたのと別の方法で実行されることを意図する。したがって、請求の範囲は、適用法によって許容される請求の範囲に列挙された主題のすべての改変および均等物を含む。さらに、そのすべての可能なバリエーションにおける上述した要素の任意の組合せが、本明細書で別段に示されていない限り、または脈絡によって明らかに矛盾しない限り、企図されている。
締めくくりに、本明細書に開示の実施形態は、請求の範囲の原理を例示するものであることが理解されるべきである。使用され得る他の改変は、請求の範囲の範囲内である。したがって、例としてあるが限定するものでなく、代替の実施形態が本明細書の教示に従って利用され得る。したがって、請求の範囲は、まさに示し、記載した実施形態に限定されない。