JP6365977B2 - 三次元形状計測装置、三次元形状計測方法及び薄膜計測装置 - Google Patents

三次元形状計測装置、三次元形状計測方法及び薄膜計測装置 Download PDF

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Description

本発明は、三次元形状計測装置、三次元形状計測方法及び薄膜計測装置に関する。
近年、実物体をデジタル化する技術を用いて、三次元物体の色、形、質感を復元、コンピュータグラフィックによる映像コンテンツを作成する取り組みが、様々な用途で利用されている。しかしながら、多くの複雑な反射特性を持つ物体があり、これらをデジタル化する技術が日々研究されている。
例えば、ある下地層に層状の媒体が積層されている場合において、物体表面に入射する光は、層の中と表面で反射する光に分かれる。層の中に入った光は下地で跳ね返り、光路差により位相のずれた光として表面から出射する。この二つの光が干渉することにより、虹色の光を作り出す。このような光を構造色という。このような構造色を持つものとして、表面に薄膜が形成された実物体がある。
ところで、三次元形状計測の分野では拡散反射物体などの形状を計測するものと、レーザーレンジセンサーやパターン投影による形状計測、又は、ステレオ撮影による形状計測等がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−233547号公報
しかしながら、表面に薄膜等が形成されて構造色を有する実物体を計測の対象物とした場合、レーザー等を照射して対象物表面における拡散反射光により形状を計測する三次元形状計測装置では、正確に三次元形状を計測できない場合がある。また、ステレオ撮影による二種類の画像情報から三次元形状を推定する三次元形状計測装置では、撮影される方位に応じて構造色の色合いが変化するため、精度よく三次元形状を計測できない場合がある。
この発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであって、表面に薄膜が形成されて構造色を有する対象物の三次元形状を精度よく計測可能な三次元形状計測装置、三次元形状計測方法及び薄膜計測装置を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、表面に薄膜が形成された対象物に対し、所定の基準軸に平行な偏光成分のみを有する照射光を、当該対象物の全方位から均一に照射する偏光照射部と、前記対象物の前記基準軸上に設けられ、前記対象物の表面で反射して生成された干渉光のうち前記基準軸と直交する面内の特定方位に平行な偏光成分を、異なる複数の前記特定方位ごとに受光するとともに、受光した前記干渉光の受光強度及び分光スペクトルを、内部に配列された複数の画素ごとに取得する分光撮像部と、前記画素の各々において最大の受光強度を与える波長に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸に対する角度を特定する天頂角演算部と、前記画素の各々において最大の受光強度を与える前記特定方位に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸の周方向の角度を特定する方位角演算部と、を備える三次元形状計測装置である。
また、本発明の一態様は、上述の三次元形状計測装置において、前記偏光照射部が、表面に薄膜が形成された対象物に対し、照射光を、当該対象物の全方位から均一に照射する全方位照射部と、前記全方位照射部と前記対象物との間に設けられ、前記全方位照射部が照射した前記照射光のうち前記基準軸に平行な偏光成分のみを透過させる固定偏光部と、を有する。
また、本発明の一態様は、上述の三次元形状計測装置において、前記分光撮像部が、前記基準軸と直交する面内で回転可能に設けられ、前記干渉光のうち回転角度に応じた方位に平行な偏光成分のみを透過させる可変偏光部を有する。
また、本発明の一態様は、上述の三次元形状計測装置において、前記天頂角演算部が、最大の受光強度を与える波長の当該受光強度と、当該波長の光の前記対象物の表面に対する入射角と、の関係を示す理論式に基づいて前記入射角を特定することで、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸に対する角度を特定することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上述の三次元形状計測装置において、前記方位角演算部が、更に、前記周方向の角度を、前記表面部位の各々の、前記対象物を前記分光撮像部からみた場合における当該対象物の外縁との位置関係に基づいて特定することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上述の三次元形状計測装置において、前記分光撮像部の画素ごとに取得された前記分光スペクトルと、前記照射光の入射角と、前記対象物の表面に形成された薄膜の膜厚及び屈折率と、の関係を示す理論式に基づいて、前記表面部位ごとの、前記薄膜の膜厚及び屈折率を算出する薄膜特性演算部をさらに備える。
また、本発明の一態様は、表面に薄膜が形成された対象物に対し、所定の基準軸に平行な偏光成分のみを有する照射光を、当該対象物の全方位から均一に照射するステップと、前記対象物の前記基準軸上において、前記対象物の表面で反射して生成された干渉光のうち前記基準軸と直交する面内の特定方位に平行な偏光成分を、異なる複数の前記特定方位ごとに受光するステップと、受光した前記干渉光の受光強度及び分光スペクトルを、配列された複数の画素ごとに取得するステップと、前記画素の各々において最大の受光強度を与える波長に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸に対する角度を特定するステップと、前記画素の各々において最大の受光強度を与える前記特定方位に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸の周方向の角度を特定するステップと、を有する三次元形状計測方法である。
また、本発明の一態様は、表面に薄膜が形成された対象物に対し、所定の基準軸に平行な偏光成分のみを有する照射光を、当該対象物の全方位から均一に照射する偏光照射部と、前記対象物の前記基準軸上に設けられ、前記対象物の表面で反射して生成された干渉光を受光するとともに、受光した前記干渉光の受光強度及び分光スペクトルを、内部に配列された複数の画素ごとに取得する分光撮像部と、前記画素の各々において最大の受光強度を与える波長に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとにおける前記照射光の入射角を特定する入射角演算部と、前記分光撮像部の画素ごとに取得された前記分光スペクトルと、前記照射光の入射角と、前記対象物の表面に形成された薄膜の膜厚及び屈折率と、の関係を示す理論式に基づいて、前記対象物の特定の表面部位に形成された前記薄膜の膜厚及び屈折率を算出する薄膜特性演算部と、を備える薄膜計測装置である。
上述の三次元形状計測装置、三次元形状計測方法及び薄膜計測装置によれば、表面に薄膜が形成されて構造色を有する対象物の三次元形状を精度よく計測することができる。
第1の実施形態に係る三次元形状計測装置の機能構成を示す図である。 第1の実施形態に係る偏光照射部の機能を説明する図である。 第1の実施形態に係る分光撮像部の機能を説明する第1の図である。 第1の実施形態に係る分光撮像部の機能を説明する第2の図である。 第1の実施形態に係る計算処理部の機能構成を示す図である。 第1の実施形態に係る計算処理部の処理フローを示す図である。 第1の実施形態に係る天頂角演算部の機能を説明する第1の図である。 第1の実施形態に係る天頂角演算部の機能を説明する第2の図である。 第1の実施形態に係る方位角演算部の機能を説明する図である。 第1の実施形態に係る撮像データ及び膜厚分布の例を示す図である。
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る三次元形状計測装置について、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る三次元形状計測装置の機能構成を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る三次元形状計測装置1は、計算処理部10と、偏光照射部11と、分光撮像部12と、を備えている。三次元形状計測装置1は、表面に薄膜が積層された立体的形状(三次元形状)を有する対象物Gの当該立体的形状を、光学的手段により精度よく計測可能な三次元形状計測装置である。
計算処理部10は、三次元形状計測装置1全体の動作を制御する。計測処理部10は、後述する偏光照射部11、分光撮像部12に所定の制御信号を出力しながら、当該偏光照射部11による照射光の照射、分光撮像部12による撮像処理等を制御する。また、計測処理部10は、分光撮像部12が取得した対象物Gの撮像データに基づいて、各種算出処理を実行し、対象物Gの立体的形状(三次元形状)を計測する。
偏光照射部11は、対象物Gに対し、天頂方向(地表面に対する垂直方向(図1の+Z方向))に沿って配される基準軸Oに平行な偏光成分のみを有する照射光P1’を、当該対象物Gの全方位から均一に照射する。
具体的には、偏光照射部11は、図1に示すように、複数の光源110と、拡散板111と、固定偏光部112と、を有して構成される。
光源110は、対象物Gの周囲に複数設けられ、分光分布がほぼ均一な白色光である光(照射光P1)を出射する。
拡散板111は、対象物Gを中心とする球状に形成された球体の板である。拡散板111は、球体の外部に配される複数の光源110が出射する照射光P1を取り込んで板内部で拡散させ、照射光P1の強度分布を球面方向に均一化して球体の内部に放射する。
光源110及び拡散板111は、以上のような構成により、照射光P1を、対象物Gの全方位から均一に照射する全方位照射部として機能する。
なお、全方位照射部は、照射光P1を、対象物Gの全方位から均一に照射する態様であれば、上述の態様に限定されない。例えば、全方位照射部は、一つの光源から入射した照射光P1を球体の内部において均一に拡散可能な積分球光源を用いてもよいし、一つ又は複数の光源を、対象物Gを中心とする球面に沿って移動させながら、照射光P1の全方位からの照射を実現するものであってもよい。
また、上述の「対象物Gの全方位から均一に照射する」との文言は、必ずしも対象物Gの“全ての方位”から照射される意味に限定されず、三次元形状計測装置1による三次元形状の計測精度が許容される限度において一部の方位(例えば、分光撮像部12が配される方位、及びその対極の方位)からの照射光P1の照射がなされない態様であってもよい。
固定偏光部112は、基準軸Oに沿って延在する筒状に形成された直線偏光フィルタである。固定偏光部112は、光源110及び拡散板111と、対象物Gと、の間に設けられ、光源110が拡散板111を介して照射した照射光P1のうち、基準軸Oに平行な偏光成分のみを透過させる。
分光撮像部12は、対象物Gの基準軸O上に設けられた撮像装置(固定カメラ)である。分光撮像部12は、照射光P1’が対象物Gの表面で反射することで生成された干渉光P2のうち基準軸Oと直交する面内の特定方位に平行な偏光成分を、異なる複数の特定方位ごとに受光する。分光撮像部12は、更に、受光した干渉光P2の受光強度及び分光スペクトルを、内部に配列された複数の画素122ごとに取得する。
具体的には、分光撮像部12は、図1に示すように、本体部120と、可変偏光部121と、複数の画素122と、を有して構成される。
本体部120は、基準軸Oを光軸とする集光レンズ120aを備え、集光レンズ120aを介して干渉光P2を内部に取り込む。
可変偏光部121は、対象物Gと本体部120の集光レンズ120aとの間において基準軸Oと直交する面内で回転可能に設けられ、干渉光P2のうち回転角度に応じた方位に平行な偏光成分のみを透過させる直線偏光フィルタである。この可変偏光部121が所望の回転角度に回転することで、分光撮像部120は、干渉光P2のうち基準軸Oと直交する面内の特定方位に平行な偏光成分を、回転角度に応じた異なる複数の特定方位ごとに受光することができる。
なお、以下の説明においても、三次元形状計測装置1は、基準軸Oが天頂方向を向くように配されるものとして説明するが、他の実施形態に係る三次元形状計測装置1においてはこの態様に限定されず、基準軸Oをいかなる方位にも取り得る。
図2は、第1の実施形態に係る偏光照射部の機能を説明する図である。
図2(a)は、偏光照射部11の固定偏光部112を上方(+Z方向側)から見た場合の模式図である。
図2(a)に示すように、固定偏光部112は、基準軸Oに延在するように筒状に形成されながら、内部に対象物Gを配している。光源110及び拡散板111(図2(a)には図示せず)から出射された照射光P1は、固定偏光部112を介して、全方位から対象物Gに照射される。
ここで、上述したように、固定偏光部112は、基準軸Oと平行な偏光成分のみを透過させる線偏光フィルタである。したがって、各方位から照射される照射光P1の全ては、固定偏光部112を透過して、基準軸Oに平行な方位に振動する線偏光(照射光P1’)となって対象物Gに照射される。
例えば、図2(b)に示すように、光源110(及び拡散板111)により、−X方向から+X方向に向けて出射される照射光P1には、基準軸Oに平行な方向(±Z方向)に振動する線偏光成分の他、例えば、基準軸Oに直交する方向(±Y方向)に振動する線偏光成分等が含まれている(それ以外の直線偏光成分や、円偏光成分等も含まれ得る)。このような照射光P1が固定偏光部112に入射すると、基準軸Oに平行な方向に振動する線偏光成分のみが透過し、それ以外の偏光成分は遮断される。したがって、基準軸Oに平行な偏光成分のみからなる照射光P1’が、固定偏光部112の内部に配された対象物Gに照射する。
図3は、第1の実施形態に係る分光撮像部の機能を説明する第1の図である。
以下、図3に示す反射の例を参照しながら、分光撮像部12の画素122が受光可能な干渉光P2について説明する。
図3に示すように、対象物Gの表面の一部である表面部位g1に対し、ある入射角θから入射した照射光P1’は、当該表面部位g1において反射角θで反射し、干渉光P2となって進行する(“干渉光”についての説明は後述する)。この照射光P1’及び干渉光P2は、上述した固定偏光部112の機能により、いずれも基準軸O(±Z軸)と平行な面内(入射面Qの面内)で振動する偏光成分のみを有して進行する。なお、一般的な反射特性として入射面Qと反射面(表面部位g1)とは、互いに直交する関係にあり、したがって、入射面Qには、表面部位g1の法線方向を示す法線ベクトルNも含まれる(図3参照)。
ここで、干渉光P2が基準軸Oに沿って天頂方向(+Z方向)に進行する場合、図3に示すように、干渉光P2は、まず可変偏光部121に入射する。上述したように、可変偏光部121は、基準軸Oと直交する面内(XY平面内)で回転可能に設けられ、その回転角度に応じた方位nの偏光成分のみを透過させる。したがって、XY平面内における方位nが干渉光P2の偏光成分の振動方向と一致したとき、即ち、方位nが入射面Qと平行な位置関係となったときに、干渉光P2が可変偏光部121を透過する。なお、この場合、表面部位g1で反射した反射光(干渉光P2)は、表面部位g1に対応する画素122において受光される。
すなわち、法線ベクトルNのXY平面内方向成分が可変偏光部121の方位nが示す方位と一致する表面部位において反射した反射光(干渉光P2)のみが、各々の表面部位に対応する画素122に受光される。したがって、各画素122において最大受光強度を与える可変偏光部121の方位n(回転角度)が分かれば、当該画素122に対応する表面部位における法線ベクトルNのXY平面内方向成分、即ち、方位角(基準軸Oの周方向の角度)を特定することができる。
例えば、図3においては、画素122において最大受光強度を与える可変偏光部121の方位n(回転角度)が、画素122に対応する表面部位g1における法線ベクトルNの方位角と一致する。
可変偏光部121は、後述する計算処理部10による制御により、回転角度を、0〜180度で連続的に回転させる。所定ステップごとに異なる複数の回転角度で取得された撮像データは、直ちに、計測処理部10に備えられた記憶部108に記憶される。
なお、分光撮像部12の構造は、図1に示した態様に限定されない。例えば、分光撮像部12は、集光レンズ120aと可変偏光部121とが一体に設けられた態様を成していてもよい。その他、分光撮像部12は、干渉光P2のうち特定方位に平行な偏光成分を、異なる複数の当該特定方位別に受光可能とするものであれば、他の如何なる態様であっても構わない。
図4は、第1の実施形態に係る分光撮像部の機能を説明する第2の図である。
また、分光撮像部12は、受光した干渉光P2の受光強度及び分光スペクトルを、画素122ごとに取得する機能を有している。
図4(a)に示すように、対象物Gの下地層には、膜厚dの薄膜層Fが積層されている。ここで想定する対象物Gとは、例えば、蒸着またはコーティングされた加飾材やセキリティ材等である。なお、本実施形態に係る三次元形状計測装置1の計測対象となる対象物Gにおいて、薄膜層Fの膜厚dは未知であってよく、また、均一に形成されていなくともよい。
図4(a)では、対象物Gに対して大気層Aを通じて照射光P1’が入射角θで入射する例を示している。この場合、図4(a)に示すように、照射光P1’は、大気層Aの屈折率n(n=1.0)、薄膜Fの屈折率n、対象物Gの屈折率n、及び、入射角θに応じて、薄膜層Fの内部で反射を繰り返しながら、種々の反射光P21、P22、P23、P24、・・・を出射する。ここで、θ、θはそれぞれ薄膜層F、対象物Gにおける屈折角である。このとき、例えば、薄膜Fの表面で反射した反射光P21と、薄膜Fの内部に透過して下地(対象物G)で反射して再度大気層Aを進行する反射光P22と、の光路差Lにより、強めあう波長と弱めあう波長が生じ、結果として、反射光P21、P22、・・・の総和である反射光(干渉光P2)の分光分布が均一でなくなる。ここで、光路差Lは、図4(a)に示すBC間の距離とCD間の距離との和となるため、式(1)で与えられる。
式(1)より、反射光P21と反射光P22との位相差Δは、式(2)により求められる。
ここで、λは、照射光P1’及び反射光P21の特定の波長である。即ち、位相差Δが2πの自然数倍となる条件を満たす波長λの分光成分が強め合って観測される。
一方、照射光P1’の強度(光の強さの度合い)を強度Eとすると、干渉光P2の強度Eは、反射光P1、P2、・・・の各々の強度E、E、・・・の総和となる。この反射光(干渉光P2)の強度Eは、照射光P1’の強度E、フレネル反射係数r12、r23及びr21、及び、フレネル透過係数t12、t21によって、式(3)のように近似される。
ここで、フレネル反射係数r12及びフレネル反射係数r23は、それぞれ、大気層Aから薄膜層Fに入射しようとする光の反射係数、及び、薄膜層Fから対象物Gに入射しようとする光の反射係数である。また、フレネル反射係数r21は、薄膜層Fから大気層Aに入射しようとする光の反射係数である。同様に、フレネル透過係数t12及びフレネル透過係数t21は、それぞれ、大気層Aから薄膜層Fに入射しようとする光の透過係数、及び、薄膜層Fから大気層Aに入射しようとする光の透過係数である。
式(1)から反射率Rの絶対値に変換すると、照射光P1’に対する干渉光P2の反射率Rが次の式(4)で表される。
ここで、s波のフレネル反射係数r及びフレネル透過係数tが式(5)で表され、p波のフレネル反射係数r及びフレネル透過係数tが式(6)で表されることを用いて変換している。
なお、式(5)、式(6)におけるi、jは自然数である。
図4(b)は、横軸に波長λを、縦軸に波長λごとの受光強度Iを示すグラフであり、照射光P1’の薄膜層Fにおける反射によって生じた干渉光P2の分光スペクトルの例を示している。なお、干渉光P2そのものの画素122における受光強度Iaは、分光スペクトルにおける波長λごとの受光強度Iを積分することで求められる。
図4(b)に示すように、分光撮像部12は、薄膜Fを介した反射により生成された干渉光P2の受光強度Ia及びその分光スペクトルを、受光した画素122ごとに取得する。分光撮像部12は、例えば、可視波長380nm〜780nmの間の分光スペクトルを取得し、計算処理部10に設けられた記憶部108等に撮像データとして記録する。
図5は、第1の実施形態に係る計算処理部の機能構成を示す図である。
図5に示すように、計算処理部10は、CPU(Central Processing Unit)100と、操作部106と、外部接続インターフェイス107と、記憶部108と、を備えている。計算処理部10は、汎用のパーソナルコンピュータ等であってよい。
CPU100は、三次元形状計測装置1の処理全体の制御を司る。CPU100は、所定の記憶領域(記憶部108等)に読み込まれた制御・計測用プログラムに基づいて動作することで、撮像制御部101、天頂角演算部102、方位角演算部103、三次元形状構築部104及び薄膜特性演算部105としての機能を発揮する。
操作部106は、例えばマウス、キーボード、タッチパネル等の入力インターフェイスであって、三次元形状計測装置1のオペレータによる各種操作の入力を受け付ける。
記憶部108は、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶デバイスである。記憶部108には、複数の画素122ごとに取得された分光スペクトル等が撮像データとして記録される。
外部接続インターフェイス107は、外部装置との通信を行うための通信インターフェイスであり、外部接続インターフェイス107は、専用の通信ケーブル等を介して偏光照射部11及び分光撮像部12に接続されている。
また、CPU100は、次の各機能部として機能する。
撮像制御部101は、外部接続インターフェイス107を介して接続された偏光照射部11、分光撮像部12に所定の制御信号を出力しながら、当該偏光照射部11による照射光の照射、分光撮像部12による撮像処理等を制御する。
例えば、撮像制御部101は、偏光照射部11に対し対象物G(図1)への照射光P1’の照射を実施させながら、分光撮像部12に対し、撮像データ(画素122ごとの分光スペクトル)を取得させる。このとき、撮像制御部101は、所定の制御信号を通じて、分光撮像部12の可変偏光部121の回転角度を所定ステップごとに変化させながら、その都度、撮像データを取得させる。このようにすることで、分光撮像部120は、干渉光P2のうち、上記所定ステップごとに異なる複数の方位n(図3)に平行な偏光成分ごとの分光スペクトルを、自動的に取得することができる。
天頂角演算部102は、画素122の各々において最大の受光強度を与える波長に基づいて、当該画素122に対応する対象物Gの表面部位ごとの法線の、基準軸Oに対する角度(天頂角)を特定する。
方位角演算部103は、画素122の各々において最大の受光強度を与える可変偏光部121の回転角度(方位n)に基づいて、当該画素122に対応する対象物Gの表面部位ごとの法線の方位角を特定する。
三次元形状構築部104は、天頂角演算部102及び方位角演算部103によって特定された表面部位ごとの法線(法線ベクトル)の向く方位に基づいて、対象物Gを構成する表面部位ごとの面の向きを特定しながら、撮像データを有する各画素122に対応する表面部位を全て繋ぎ合わせることで、対象物Gの三次元形状を構築する。
薄膜特性演算部105は、画素122ごとに取得された分光スペクトル(図4(b)参照)と、照射光P1’の入射角(入射角θ、図4(a)参照)と、薄膜層Fの膜厚d及び屈折率n(図4(a))と、の関係を示す理論式に基づいて、対象物Gの表面部位ごとの、薄膜層Fの膜厚d及び屈折率nを算出する。
図6は、第1の実施形態に係る計算処理部の処理フローを示す図である。
以下、計算処理部10(CPU100)の各機能構成による具体的な処理フローについて、図6及び以下に示す図7〜図9を用いて説明する。
まず、撮像制御部101は、操作部106を通じてオペレータから計測開始の指示を受け付けると、偏光照射部11による対象物Gへの照射処理、及び、分光撮像部12による撮像処理を実施し、撮像データを取得する(ステップS1)。このとき、撮像制御部101は、分光撮像部12の可変偏光部121の回転角度を所定ステップごとに変更しながら連続的に撮像データを複数取得する。撮像制御部101は、分光撮像部12により取得された撮像データを逐次記憶部13に記録する。
次に、天頂角演算部102は、取得された撮像データから、撮像データを構成する画素122ごとに対応する対象物Gの各表面部位における法線の天頂角を算出する(ステップS2)。天頂角演算部102によるステップS2の処理について、以下の図7、図8を参照しながら詳細に説明する。
図7は、第1の実施形態に係る天頂角演算部の機能を説明する第1の図である。
図7は、対象物Gの一部を側面側(−Y方向側)からみた場合の様子を示している。
図7に示すように、天頂角演算部102は、対象物Gの表面部位ごとの法線ベクトルの方位を特定する。例えば、天頂角演算部102は、対象物Gのある表面部位g1に対応する画素122において取得された分光スペクトルに基づいて、表面部位g1の法線ベクトルNの天頂角θを特定する。同様に、天頂角演算部102は、表面部位g1’に対応する画素122において取得された分光スペクトルに基づいて、法線ベクトルN’の天頂角θ’を特定する。このようにして、天頂角演算部102は、対象物Gの全表面部位に対応する法線の天頂角を特定する。
具体的には、天頂角演算部102は、以下に説明するように、最大の受光強度を与える波長(ピーク波長λ)の受光強度Itと、当該ピーク波長λの光の対象物Gの表面に対する入射角θと、の関係を示す理論式に基づいて、実測値(分光スペクトル)から入射角θを特定することで、天頂角θを特定する。
図8は、第1の実施形態に係る天頂角演算部の機能を説明する第2の図である。
ここで、図8(a)は、横軸に波長λを、縦軸に反射率Rを示すグラフである。ここで、縦軸の反射率Rは、事前に実施される測定により、受光強度Iと一対一に対応付けられている。
上述の図4(a)に示したように、薄膜層Fを有する表面で反射する各反射光P21、P22、・・・の光路差Lは、入射角θ(屈折角θ)に依存して変化する(式(1)参照)ため、強め合う波長λは、当該入射角θに対応する。したがって、図8(a)に示すように、入射角θが、10度、30度、60度と大きくなるにつれ、ピーク波長λは、λ、λ、λ(λ>λ>λ)と、シフトする。また、ピーク波長λの受光強度Itに対応する反射率Rtは、R3、R2、R1(R3<R2<R1)と徐々に大きくなる傾向が示される。
ここで、大気層A、薄膜層F及び下地層(対象物G)の各屈折率n、n、nが、n<n<nの条件を満たす場合、ピーク波長λにおける位相差Δが2πになるため、層の屈折率nが未知であっても式(4)を、次の式(7)のように近似することができる。
ここで、図8(b)は、横軸に入射角θを、縦軸にピーク波長λの反射率Rtを示すグラフであり、式(7)の理論式により与えられるグラフである。
天頂角演算部102は、下地層(対象物G)の屈折率nが既知であれば、薄膜層Fの屈折率nが未知であっても、実測により得られた受光強度It(反射率Rt)を式(7)に当てはめることで、入射角θを特定することができる。また、画素122ごとに求められた入射角θは、その表面部位における反射角である天頂角θに一致する(図3参照)。したがって、天頂角演算部102は、ピーク波長λの受光強度Itと、当該ピーク波長λの光の対象物Gの表面に対する入射角θと、の関係を示す理論式(式(7))に基づいて、各表面部位における法線の天頂角θを特定することができる。
天頂角演算部102が、各表面部位における法線の天頂角θを特定すると、次いで、方位角演算部103が、ステップS1で取得された撮像データから、撮像データを構成する画素122ごとに対応する対象物Gの各表面部位における法線の方位角を算出する(図6、ステップS3)。方位角演算部103によるステップS3の処理について、以下の図9を参照しながら詳細に説明する。
図9は、第1の実施形態に係る方位角演算部の機能を説明する図である。
図9(a)は、対象物Gを分光撮像部12側(+Z方向側)からみた場合の図である。
方位角演算部103は、対象物Gの表面部位ごとに、干渉光P2の最大の受光強度を与える可変偏光部121の回転角度(即ち、可変偏光部121が透過させる特定の偏光成分の方位n)に基づいて、対象物Gの表面部位ごとの法線の方位角φを特定する。
例えば、図9(a)に示すように、方位角演算部103は、表面部位g1に対応する画素122において受光した干渉光P2の受光強度の最大値を与える可変偏光部121の回転角度に基づいて、当該表面部位g1における法線ベクトルN1の方位角φを特定する。同様に、方位角演算部103は、表面部位g2、g3、g4、・・・の各々に対応する画素122において受光した干渉光P2の受光強度の最大値を与える回転角度に基づいて、当該表面部位g2、g3、g4、・・・の各々における法線ベクトルN2、N3、N4、・・・の方位角φ、φ、φ、・・・を特定する。
ここで、図9(b)は、横軸に可変偏光部121の回転角度kを、縦軸に干渉光P2の受光強度Iaを表したグラフである。受光強度Iaは、画素122ごとに取得された分光スペクトル(図4(b)参照)から求められる。
例えば、方位角演算部103は、ある表面部位g1に対応する画素122において、可変偏光部121の複数の異なる回転角度kごとに取得された複数の受光強度Iaを比較して、最大の受光強度Ia1を特定する。ここで、表面部位g1に対応する画素122において、当該表面部位g1で反射した干渉光P2を最大限に受光可能となる条件は、可変偏光部121の方位nが当該干渉光P2の偏光成分の振動方向に一致する場合である(図3参照)。したがって、方位角演算部103は、図9(b)において最大の受光強度Ia1を与える可変偏光部121の回転角度k1が、干渉光P2の偏光成分の振動方向に一致し、更に、表面部位g1の法線ベクトルN1の方位角φに一致するものとみなす。このようにして、方位角演算部103は、各表面部位に対応する各画素122において最大の受光強度Iaを与える回転角度kを、当該表面部位ごとに特定し、対象物Gの各表面部位における法線ベクトルNの方位角φを特定する。
なお、上述の方法の場合、最大の受光強度Ia1を与える回転角度k1を特定したとしても、対応する表面部位g1における方位角φは、回転角度k1と一致する角度か、回転角度k1から180°回転した角度か、を特定することができない。
したがって、本実施形態に係る方位角演算部103は、方位角φを、各表面部位の、対象物Gを分光撮像部12からみた場合における当該対象物Gの外縁との位置関係に基づいて一意に特定する。具体的には、方位角演算部103は、図9(a)に示すように、対象物Gの外縁を示す輪郭線Gcを抽出する。輪郭線Gcは、対象物Gの領域と、当該対象物Gが存在しない大気層Aの領域と、を区画する境界である。ここで、輪郭線Gcの各所における表面部位の法線ベクトルNが向く方位は、当該輪郭線Gcの各所において対象物Gの領域から大気層Aの領域に向かう方位に一致する。したがって、本実施形態に係る方位角演算部103は、輪郭線Gcの区画内に配される他の表面部位の法線ベクトルは、当該表面部位から近い側に配される輪郭線Gcの所定箇所における法線ベクトルと同じ方位を向いているものと仮定して、方位角φを一意に特定する。
例えば、方位角演算部103は、まず、図9(a)における表面部位g1における方位角φが、回転角度k1、又は、回転角度k1+180°の何れかであるところまで特定する。次に、方位角演算部103は、表面部位g1の位置から方位角φ=k1の方位に位置する輪郭線Gcまでの距離と、表面部位g1から方位角φ=k1+180°の方位に位置する輪郭線Gcまでの距離と、を比較する。そして、方位角演算部103は、比較の結果、上記距離が短かった方の輪郭線Gcを向く方位となるように方位角φを特定する。
天頂角演算部102により対象物Gの各表面部位における天頂角θを特定され、方位角演算部103により同表面部位における法線の方位角φを特定されたことで、各表面部位に対応する法線ベクトルNの三次元空間上の方位、即ち、画素122ごとに対応する表面部位ごとの面の向きが特定される。三次元形状構築部104は、ステップS2〜S3の処理によって特定された表面部位ごとの面の向きを参照しながら各表面部位を連結しながら三次元形状を構築する(ステップS4)。
以上の処理により、計算処理部10は、分光撮像部12により取得された複数の撮像データに基づいて、対象物Gの三次元形状の計測を完了する。
更に、本実施形態に係る計算処理部10は、薄膜特性演算部105の機能により、対象物Gの表面に形成された薄膜層F(図4(a))の特性も取得することができる。薄膜特性演算部105は、ステップS2で天頂角演算部102により特定された表面部位ごとの天頂角θを利用して、当該表面部位の各々に形成された薄膜層Fの膜厚d及び屈折率n(図4(a))を算出する(図6、ステップS5)。
以下、次に、以下に示す各数式を参照しながら、薄膜特性演算部105の機能について説明する。まず、上述した式(1)、(2)より、波長λと位相差Δとの関係を示す一般式は、式(8)のように表される。
なお、式(8)のθは、屈折角θ(図4(a))である。
ここで、干渉光P2のうち強め合いを起こす分光成分の波長(ピーク波長λ)においては、その位相差Δが、2πの自然数m(m=1、2、・・・)倍になる。これと、式(8)より、強め合いを起こす分光成分の位相差Δは次の式(9)のように表される。
となる。cosθ=1−sinθと、スネルの法則より、式(9)は、式(10)のように変形される。
式(10)より、薄膜層Fの膜厚dは、式(11)となる。
よって、式(8)の位相差Δは、式(12)のように表される。
そして、式(12)と式(5)と、を式(4)に代入すると、未知となる係数は薄膜層Fの屈折率nと自然数mである。ここで、入射角θは、天頂角演算部102が実測値(分光スペクトル)に基づいて特定した天頂角θの導出の際に既知となっている。また、ピーク波長λは、画素122において取得された実測値(分光スペクトル)により既知となっている。
屈折率nは大気層Aの屈折率n(=1.0)より大きく下地層(対象物G)の屈折率nより小さいことが想定されている。また、膜厚dは1000nm以下であることが想定される場合、自然数mが取り得る値は、2、3種類程度に限定される。薄膜特性演算部105は、このような制約条件を用いて、理論式に基づいて導かれる理論上の反射率Rと、実際に画素122において計測された反射率Rと、の二乗誤差を式(13)のように最小化する屈折率nと自然数mを算出する。例えば、薄膜特性演算部105は、可視波長380〜780nmの間で上記誤差が最小となるように、屈折率nと自然数mとを推定する。
推定された自然数mと薄膜層Fの屈折率nにより、薄膜層Fの膜厚dが、式(11)を通じて特定される。薄膜特性演算部105は、薄膜特性演算部105は、このようにして、対象物Gの表面上に形成された薄膜層Fの膜厚dと屈折率nの面内分布を算出する(ステップS5)。
図10は、第1の実施形態に係る撮像データ及び膜厚分布の例を示す図である。
図10(a)は、分光撮像部12が干渉光P2を取り込んで、画素122ごとに取得した分光スペクトルにより構成された画像(撮像データ)の例である。
図10(a)に示す撮像データは、分光撮像部12により取得される対象物Gの撮像データである。円柱状の対象物Gの各表面部位において生じた干渉光P2が、対応する画素122の各々において取り込まれる。撮像データ(図10(a))は、画素122ごとに観測されたピーク波長λを、当該画素122において表示する色情報(R、G、B各々の数値の組み合わせからなる情報)に対応させた画像情報である(撮像データは、虹色に分布した画像情報となる)。
図10(b)は、図10(a)のように取得された分光スペクトルに基づいて、薄膜特性演算部105が算出した薄膜層Fの膜厚分布である。本実施形態に係る三次元形状計測装置1は、対象物Gの三次元形状だけでなく、図10(b)に示すような、当該対象物Gの表面に形成された薄膜層Fの特性(膜厚d、屈折率n)の分布を推定することができる。
以上、第1の実施形態に係る三次元形状計測装置1によれば、上述した天頂角演算部102及び方位角演算部103の機能により対象物Gの表面部位ごとの法線の向く方位を一意に特定するので、表面に薄膜が形成されて構造色を有する実物体の三次元形状を精度よく、当該対象物の三次元形状を計測することができる。
また、第1の実施形態に係る三次元形状計測装置1は、天頂角演算部102により、ピーク波長λの受光強度Ia(反射率R)と、当該ピーク波長λの光の対象物Gの表面に対する入射角θと、の関係を示す理論式(式(7))に基づいて入射角を特定することを特徴としている。これにより、三次元形状計測装置1は、薄膜層Fの特性(膜厚d、屈折率n)が未知のままであっても、天頂角(入射角θ)を特定することが可能となる。
なお、他の実施形態に係る三次元形状計測装置1は、薄膜層Fの特性(膜厚d、屈折率n)が既知であることを前提として、分光スペクトルに基づいて天頂角を特定するものであってもよい。薄膜層Fの特性が既知の場合、天頂角演算部102は、単に、観測されたピーク波長λから式(11)等に基づいて天頂角(入射角θ)を特定するものであってもよい。
また、第1の実施形態に係る三次元形状計測装置1は、薄膜特性演算部105により、画素122ごとに取得された分光スペクトルと、入射角θと、薄膜層Fの特性(膜厚d及び屈折率n)と、の関係を示す理論式に基づいて、対象物Gの各表面部位における薄膜層Fの当該特性を推定可能としている。
これにより、三次元形状計測装置1は、対象物Gの三次元形状だけでなく、当該対象物Gの表面に形成された薄膜層Fの特性(膜厚d、屈折率n)の分布を推定することができる。
以上、第1の実施形態に係る三次元形状計測装置1について詳細に説明したが、本実施形態に係る三次元形状計測装置1の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
例えば、他の実施形態に係る三次元形状計測装置1は、三次元形状を有する対象物Gの表面に形成された薄膜層Fの特性を計測する薄膜計測装置として機能するものであってもよい。この場合、当該薄膜計測装置としての三次元形状計測装置1は、方位角φを特定する機能を有していなくともよく、したがって、方位角演算部103、及び、方位角を特定するために必要な可変偏光部121を具備しなくともよい。ただし、当該他の実施形態に係る三次元形状計測装置1の他の機能構成は、第1の実施形態(図1)と同様である。
即ち、他の実施形態に係る三次元形状計測装置1(薄膜計測装置)は、表面に薄膜層Fが形成された対象物Gに対し、所定の基準軸Oに平行な偏光成分のみを有する照射光P1’を、当該対象物Gの全方位から均一に照射する偏光照射部11と、対象物Gの基準軸O上に設けられ、当該対象物Gの表面で反射して生成された干渉光P2を受光するとともに、受光した干渉光P2の受光強度及び分光スペクトルを、内部に配列された複数の画素122ごとに取得する分光撮像部12と、を備えている。
さらに、三次元形状計測装置1(薄膜計測装置)は、画素122の各々において最大の受光強度を与える波長(ピーク波長λt)に基づいて、当該画素122に対応する対象物Gの表面部位ごとにおける照射光P1’の入射角θ1を特定する入射角演算部と、分光撮像部12の画素122ごとに取得された分光スペクトルと、照射光P1’の入射角θ1と、対象物Gの表面に形成された薄膜の膜厚d及び屈折率n2と、の関係を示す理論式に基づいて、対象物Gの特定の表面部位に形成された薄膜の膜厚d及び屈折率n2を算出する薄膜特性演算部105と、を備えている。ここで、入射角演算部は、第1の実施形態に係る天頂角演算部102と同様の機能構成により実現される(図7、図8等を参照)。
従来、薄膜の膜厚を計測する手段としては、分光干渉法やエリプソメトリ等が代表的である。しかしながら、これらの手段はいずれも、スポット光が照射された小領域の膜厚しか測定することができず、また、複雑な凹凸の表面上に形成された薄膜の膜厚を計測することは困難である。
一方、本実施形態に係る薄膜計測装置によれば、複雑な表面形状を有する対象物に対する1回の分光撮影だけで、下地層(対象物G)に積層された薄膜層Fの屈折率n2と膜厚dの面内分布を全て計測することができる。したがって、複雑な三次元形状の表面上に形成された薄膜の特性を簡素に把握することができる。
また、上述の各実施形態においては、CPU100の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各手順を行うものとしている。ここで、上述したCPU100の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、CPU100の各機能構成が、ネットワークで接続される複数の装置に渡って具備される態様であってもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
1 三次元形状計測装置(薄膜計測装置)
10 計算処理部
100 CPU
101 撮像制御部
102 天頂角演算部(入射角演算部)
103 方位角演算部
104 三次元形状構築部
105 薄膜特性演算部
106 操作部
107 外部接続インターフェイス
108 記憶部
11 偏光照射部
110 光源(全方位照射部)
111 拡散板(全方位照射部)
112 固定偏光部
12 分光撮像部
120 本体部
121 可変偏光部
122 画素
G 対象物
g1 表面部位
O 基準軸
A 大気層
F 薄膜層
P1、P1’ 照射光
P2 干渉光

Claims (8)

  1. 表面に薄膜が形成された対象物に対し、所定の基準軸に平行な偏光成分のみを有する照射光を、当該対象物の全方位から均一に照射する偏光照射部と、
    前記対象物の前記基準軸上に設けられ、前記対象物の表面で反射して生成された干渉光のうち前記基準軸と直交する面内の特定方位に平行な偏光成分を、異なる複数の前記特定方位ごとに受光するとともに、受光した前記干渉光の受光強度及び分光スペクトルを、内部に配列された複数の画素ごとに取得する分光撮像部と、
    前記画素の各々において最大の受光強度を与える波長に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸に対する角度を特定する天頂角演算部と、
    前記画素の各々において最大の受光強度を与える前記特定方位に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸の周方向の角度を特定する方位角演算部と、
    を備える三次元形状計測装置。
  2. 前記偏光照射部は、
    表面に薄膜が形成された対象物に対し、照射光を、当該対象物の全方位から均一に照射する全方位照射部と、
    前記全方位照射部と前記対象物との間に設けられ、前記全方位照射部が照射した前記照射光のうち前記基準軸に平行な偏光成分のみを透過させる固定偏光部と、
    を有する請求項1に記載の三次元形状計測装置。
  3. 前記分光撮像部は、
    前記基準軸と直交する面内で回転可能に設けられ、前記干渉光のうち回転角度に応じた方位に平行な偏光成分のみを透過させる可変偏光部を有する
    請求項1または請求項2に記載の三次元形状計測装置。
  4. 前記天頂角演算部は、
    最大の受光強度を与える波長の当該受光強度と、当該波長の光の前記対象物の表面に対する入射角と、の関係を示す理論式に基づいて前記入射角を特定することで、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸に対する角度を特定する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の三次元形状計測装置。
  5. 前記方位角演算部は、更に、
    前記周方向の角度を、前記表面部位の各々の、前記対象物を前記分光撮像部からみた場合における当該対象物の外縁との位置関係に基づいて特定する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の三次元形状計測装置。
  6. 前記分光撮像部の画素ごとに取得された前記分光スペクトルと、前記照射光の入射角と、前記対象物の表面に形成された薄膜の膜厚及び屈折率と、の関係を示す理論式に基づいて、前記表面部位ごとの、前記薄膜の膜厚及び屈折率を算出する薄膜特性演算部をさらに備える
    請求項1から請求項5の何れか一項に記載の三次元形状計測装置。
  7. 表面に薄膜が形成された対象物に対し、所定の基準軸に平行な偏光成分のみを有する照射光を、当該対象物の全方位から均一に照射するステップと、
    前記対象物の前記基準軸上において、前記対象物の表面で反射して生成された干渉光のうち前記基準軸と直交する面内の特定方位に平行な偏光成分を、異なる複数の前記特定方位ごとに受光するステップと、
    受光した前記干渉光の受光強度及び分光スペクトルを、配列された複数の画素ごとに取得するステップと、
    前記画素の各々において最大の受光強度を与える波長に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸に対する角度を特定するステップと、
    前記画素の各々において最大の受光強度を与える前記特定方位に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとの法線の、前記基準軸の周方向の角度を特定するステップと、
    を有する三次元形状計測方法。
  8. 表面に薄膜が形成された対象物に対し、所定の基準軸に平行な偏光成分のみを有する照射光を、当該対象物の全方位から均一に照射する偏光照射部と、
    前記対象物の前記基準軸上に設けられ、前記対象物の表面で反射して生成された干渉光を受光するとともに、受光した前記干渉光の受光強度及び分光スペクトルを、内部に配列された複数の画素ごとに取得する分光撮像部と、
    前記画素の各々において最大の受光強度を与える波長に基づいて、当該画素に対応する前記対象物の表面部位ごとにおける前記照射光の入射角を特定する入射角演算部と、
    前記分光撮像部の画素ごとに取得された前記分光スペクトルと、前記照射光の入射角と、前記対象物の表面に形成された薄膜の膜厚及び屈折率と、の関係を示す理論式に基づいて、前記対象物の特定の表面部位に形成された前記薄膜の膜厚及び屈折率を算出する薄膜特性演算部と、
    を備える薄膜計測装置。
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