以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機を示す斜視図である。この複写機は、画像形成手段としての画像形成部1と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定された画像読取装置としてのスキャナー150と、これに支持される原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
画像形成手段としての画像形成部1は、周知の電子写真プロセスによって記録シートに画像を形成するものである。具体的には、次のようにして画像を形成する。即ち、図示しない給紙カセットから送り出した記録シートを給紙路に進入させる。給送路に進入した記録シートは、レジストローラ対のニップに突き当たって搬送が一時中断される。画像形成部1は、図示しない光書込装置、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像をそれぞれ個別に形成する4つの作像ユニット、転写ユニット、シート搬送ユニット、定着装置などを備えている。そして、光書込装置内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、4つの作像ユニットにそれぞれ具備されるドラム状の感光体に向けてレーザー光を照射する。この照射により、K,Y,C,M用の感光体の表面には静電潜像が形成され、これらの潜像は周知の現像プロセスによってK,Y,C,Mトナー像に現像される。
転写ユニットは、複数のローラによって張架した中間転写ベルトを、K,Y,C,M用の感光体に当接させながら無端移動させる。これにより、K,Y,C,M用の感光体と、無端状の中間転写ベルトとが当接するK,Y,M,C用の1次転写ニップが形成されている。K,Y,C,M用の感光体に形成されたK,Y,C,Mトナー像は、中間転写ベルトに重ね合わせて一次転写された後、記録シートに一括二次転写されてフルカラートナー像になる。その後、記録シートは定着装置を経由して、フルカラートナー像が定着される。
画像形成部1の上に固定されたスキャナー150は、後述する移動照射部を有している。図示の第2コンタクトガラス154の直下が、移動照射部のホームポジションになっている。光源や、反射ミラーなどからなる光学系を具備する移動照射部は、図中左右方向である副走査方向に移動することができる。そして、光源から発した光を、ADF51によって第2コンタクトガラス上に搬送されてくる図示しない原稿の原稿面で反射させた後、反射ミラーを経由させて、スキャナー本体に固定された画像読取センサーに受光させる。なお、移動照射部は、ホームポジションから移動して、スキャナー150のケーシング上壁に固定された第1コンタクトガラス155の直下に位置することも可能である。
スキャナー150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿を載置するための原稿載置台53を保持している。加えて、シート状の原稿を搬送するための搬送ユニット54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55なども保持しており、スキャナー150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナー150の上面の第2コンタクトガラス154や第1コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図示のように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第1コンタクトガラス155上に載せた後、ADF51を閉じる。そして、図示しないコピースタートボタンを押す。すると、スキャナー150の移動照射部(152)は、移動照射部(152)が第2コンタクトガラス154の直下のホームポジションから第1コンタクトガラス155の直下に向けて移動し始める。そして、光源から発した光を第1コンタクトガラス155上の原稿の原稿面で反射させて、反射光を画像センサーに向けて導く。これにより、原稿の画像が画像センサーによって読み取られていく。なお、ADF51の下面には、原稿台たる第1コンタクトガラス155上に載置された原稿を第1コンタクトガラス155に向けて押さえ付ける圧板56が固定されている。
原稿が互いに独立した複数の原稿を単に積み重ねた原稿束である場合には、その原稿をADF51によって1枚ずつ第2コンタクトガラス154上に自動搬送しながら、その画像をスキャナー150に順次読み取らせていくことができる。この場合、ユーザーは原稿束を原稿載置台53上にセットした後、図示しないコピースタートボタンを押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿を上から順に搬送ユニット54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿を反転させながらスキャナー150の第2コンタクトガラス154の真上に通す。これにより、原稿MSの第1面の画像が上述したホームポジションで停止したままの状態の移動照射部(152)によって走査されて画像センサーに読み取られる。
ADF51とスキャナー150とを具備する画像読取ユニット50は、ADF51の開閉角度を検知するロータリーエンコーダー等からなる開閉センサー157を有している。以下、ADF51の開閉角度について、ADF51がスキャナー150の第1コンタクトガラス155に接触して第1コンタクトガラス155を完全に覆う状態の開閉角度を0[°]として説明する。また、ADF51がほぼ鉛直方向に延在する姿勢になるまで開かれた状態の開閉角度を90[°]として説明する。
図2は、第1コンタクトガラス155上に載置される原稿の位置と、原稿のサイズとを説明するための平面模式図である。同図は、第1コンタクトガラス155を鉛直方向の上方から示しており、第1コンタクトガラス155の下に、移動照射部152、第1副走査サイズセンサー161、第2副走査サイズセンサー162などが配設されている。
同図において、実線の枠で囲まれたA5T、A5Y、B5T、B5Y、A4T、A4Y、B4T、B4Y、A3Tという文字は、それぞれ第1コンタクトガラス155上における原稿の載置態様を示している。それらの文字に末尾に付されているTという添字は、原稿の載置姿勢について縦であることを示しており、縦は原稿の長手方向を副走査方向に沿わせる姿勢である。また、文字の末尾に付されているYという添字は、原稿の載置姿勢について横であることを示しており、横は原稿の長手方向を主走査方向に沿わせる姿勢である。また、同図において、点線で囲まれたS0、S1、S2、S3という文字は、それぞれ後述する長さ特定処理の実施時における主走査方向の受光量判定領域を示している。
第1コンタクトガラス155は、自らの平面の短手方向を原稿読取の際の原稿走査における主走査方向に沿わせつつ、長手方向を副走査方向に沿わせる姿勢で配設されている。そして、移動照射部152は、その長手方向を主走査方向に沿わせた姿勢で配設されており、図示しない移動機構によって副走査方向に移動することが可能になっている。つまり、移動照射部152は、第1コンタクトガラス155の長手方向に沿って往復移動することが可能である。第1コンタクトガラス155上に載置された原稿の画像を読み取る際には、移動照射部152は、副走査方向において、図中の左側から右側に向けて移動する。以下、原稿を読み取る際の副走査方向における図中の左側を読取時上流側という。また、図中の右側を読取時下流側という。
実施形態に係る複写機では、図中の太矢印の先端位置を原稿基準位置としている。この原稿基準位置は、第1コンタクトガラス155の2次元平面上にある4つのコーナーのうち、1つのコーナーと同じところに位置している。そして、このコーナーは、第1コンタクトガラス155の副走査方向における全域のうち、読取時の副走査方向の上流端に存在している。
図3は、スキャナー150の構成を説明するための概略構成図である。スキャナー150は、筺体の中に、移動照射部152、移動ミラーユニット158、光学レンズ177、CCD等からなる画像センサー153などを有している。また、第1副走査サイズセンサー(図2の161)や、第2副走査サイズセンサー(図2の162)なども有している。
移動照射部152は、第2コンタクトガラス154あるいは第1コンタクトガラス155を介して原稿面を光照射するための光源152aと、第1ミラー152bとを有しており、副走査方向(図中左右方向)に移動することができる。移動照射部152は、図示のように、第2コンタクトガラス154の直下の位置を、副走査方向におけるホームポジションとしており、通常モードでは図示のようにホームポジションで待機する。ADF(51)は、自らのセットされた原稿を搬送しながら、第2コンタクトガラス154の真上に通す。この際、ホームポジションにある移動照射部152が原稿面を光照射することにより、自動搬送される原稿の画像が読み取られる。
移動照射部152の図中左側方に配設された移動ミラーユニット158は、第2ミラー159及び第3ミラー160を具備しており、副走査方向に移動することができる。以下、移動照射部152や移動ミラーユニット158の移動について、図中左側から右側に向けての移動を往動、図中右側から左側に向けての移動を復動という。往動の際には、移動ミラーユニット158が移動照射部152の半分の速度で移動することから、図中右端に近づくにつれて、移動ミラーユニット158と移動照射部152との距離が大きくなっていく。
原稿の画像を読み取るモードとしては、載置読取モードと自動搬送読取モードとがある。載置読取モードは、ユーザーによって第1コンタクトガラス155上に載置された原稿の画像を読み取るモードである。また、自動搬送読取モードは、ADF(51)にセットされた原稿をADFによってスキャナー150のホームポジションに位置している移動照射部152の真上に自動搬送しながら、その原稿の画像を読み取るモードである。載置読取モードの場合には、スキャナー150が後述する長さ特定処理を実施して、原稿の主走査方向(同図の紙面に直交する方向)における長さを特定する。また、自動搬送読取モードでは、ADFが自らに設けられた複数の光学センサーによって原稿の主走査方向の長さを特定する。
ブック原稿のように、複数枚の原稿が重ねられた状態でその面方向の片側が綴じられた片綴じ原稿では、個々の原稿をADFで自動搬送することができないことから、自動搬送読取モードを行うことができない。このため、載置読取モードによる読み取りとなる。載置読取モードの際には、移動照射部152及び移動ミラーユニット158を往動させて第1コンタクトガラス155上の図示しない原稿の原稿面を図中左側から右側に向けて順次照射しながら、原稿の画像を読み取っていく。原稿面で反射した反射光は、第1ミラー152b、第2ミラー159及び第3ミラー160で順次反射した後、光学レンズ177によって画像センサー153の撮像素子表面に結像される。画像センサー153は、結像された反射光像を光電変換してアナログ画像信号とする。
また、自動搬送読取モードの際には、移動照射部152が図示のようにホームポジションで停止し、且つ移動ミラーユニット158が移動照射部152の図中左側方で停止したまま、第2コンタクトガラス154上を通過する原稿の画像が読み取られる。
図4は、実施形態に係る複写機のスキャナー(150)における電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御手段としての読取制御部170は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などからなる。読取制御部170には、開閉センサー157、第1副走査サイズセンサー161、第2副走査サイズセンサー162、LED駆動回路172、モーター駆動回路173、基準位置センサー175、モーター電源176などが接続されている。同図に示される開閉センサー157、光源152a、画像センサー153の役割については、既に述べた通りであるので説明を省略する。
基準位置センサー175は、反射型フォトセンサー等からなり、移動照射部(152)について後述する基準位置にあるか否かを検知して、その検知結果を読取制御部170に出力するものである。また、LED駆動回路172は、読取制御部170からの信号に基づいて、光源152aのLED素子における点灯の入切を制御するものである。また、駆動源としの移動モーター174は、移動照射部(152)を副走査方向に移動させるためのものであって、ステッピングモーターからなっている。この移動モーター174に対する励磁はモーター駆動回路173によって制御されるが、駆動量や駆動方向などについては読取制御部170によって制御される。モーター電源176は、モーター駆動回路173に対して電源を供給するものであり、モーター駆動回路173に対する電源供給が休止されると、移動モーター174に対する電源供給も休止される。
通常モードでユーザーからの命令を待機している時には、移動照射部152は上述したホームポジションに位置している。図2において、このホームポジションは第1コンタクトガラス155よりも図中の左側に存在するため、図示されていない。通常は、図示しないADF(51)が完全に閉じられていて第1コンタクトガラス155を覆っている状態になっている。ユーザーは、第1コンタクトガラス155の上に原稿を載置するためには、ADF(51)を開く必要がある。ユーザーによってADF(51)が開かれ始めて、ADF(51)の開閉角度がそれまでの0[°]から上昇して30[°]まで到達すると、スキャナー150に搭載された読取制御部170は、ADF(51)の開操作がなされ始めたことを認識する。そして、その認識に基づいて、移動照射部152をホームポジションから図中の原稿サイズ検知位置DPまで移動させる。なお、本明細書では、移動照射部152の副走査方向における読取時上流側の端を、移動照射部152の副走査方向の位置基準として説明している。このため、原稿サイズ検知位置DPに移動した移動照射部152は、その副走査方向における読取時上流側の端を図中の原稿サイズ検知位置DPに位置させる。
第1副走査サイズセンサー161、第2副走査サイズセンサー162は、それぞれ反射型フォトセンサーからなる。そして、第1コンタクトガラス155の真下に位置した状態で、第1コンタクトガラス155に向けて光を照射する。ADF(51)が開かれた後の状態では、第1副走査サイズセンサー161の発光素子から出射された光が、第1コンタクトガラス155を通じて鉛直方向の真上に向けて進んでいく。このため、第1副走査サイズセンサー161は、自らの発光素子から発した光を反射光として受光素子で検知することがない。一方、第1コンタクトガラス155の平面上における全域のうち、第1副走査サイズセンサー161の真上の領域に原稿が置かれると、第1副走査サイズセンサー161の発光素子から出射された光が原稿面で反射して反射光となる。そして、この反射光が第1副走査サイズセンサー161の受光素子に受光される。このように、第1副走査サイズセンサー161は、自らの真上に原稿が存在している場合には、自らの受光素子によって所定の閾値を超える量の光を受光する(原稿を検知する)。これに対し、自らの真上に原稿が存在していない場合には、受光素子による受光量が閾値を下回る(原稿を検知しない)。第2副走査サイズセンサー162も同様に、その真上における原稿の存否に応じて原稿を検知したり、検知しなかったりする。
ユーザーは、どのようなサイズの原稿であっても、図示のように、その原稿の副走査方向における先端に存在する角を、第1コンタクトガラス155の原稿基準位置に位置させる状態で、原稿を第1コンタクトガラス155上に載置する。このとき、原稿のサイズと姿勢との組み合わせに応じて、原稿が、次に説明する3つの状態の何れかの状態になる。即ち、第1の状態は、原稿の副走査方向における読取時下流側の端部を、第1副走査サイズセンサー161、及び第2副走査サイズセンサー162の両方の真上にそれぞれ位置させる状態である。この状態では、第1副走査サイズセンサー161及び第2副走査サイズセンサー162の両方がそれぞれ原稿を検知する。第2の状態は、原稿が副走査方向における読取時下流側の端部を、2つのセンサーのうち、第1副走査サイズセンサー161の真上だけに位置させる状態である。この状態では、2つのセンサーのうち、第1副走査サイズセンサー161だけが原稿を検知する。第3の状態は、原稿が副走査方向における読取時下流側の端部を、2つのセンサーにおける何れの真上にも位置させない状態である。この状態では、2つのセンサーがそれぞれ原稿を検知しない。
原稿サイズ検知位置DPに位置している移動照射部152は、原稿が第1コンタクトガラス155上に載置されると、その原稿の副走査方向における読取時上流側の端部に対向する。つまり、原稿サイズ検知位置DPは、移動照射部152に対し、第1コンタクトガラス155上に載置された原稿の読取時上流側の端部を対向させる位置になっている。
ユーザーが第1コンタクトガラス155の上に原稿を載置した後、図示しないADF(51)を閉じ始めると、ADF(51)の開閉角度が90[°]から低下し始める。そして、やがて開閉センサー(157)による開閉角度の検知結果が70[°]まで低下する。読取制御部(170)は、開閉角度が70[°]まで低下すると、ADF(51)の閉操作がなされ始めたと判断する。そして、その判断に基づいて、原稿の載置態様を特定するための載置態様特定処理を開始する。
載置態様特定処理を開始した読取制御部(170)は、まず、移動照射部152や移動ミラーユニット158の復動を開始する。そして、第1副走査サイズセンサー161及び第2副走査サイズセンサー162について、上述した3つの状態のうち、何れの状態であるのかを判定する(以下、この判定結果を「状態判定結果」という)。また、光源152aの点灯による原稿の主走査方向の長さを特定するための長さ特定処理を開始する。この長さ特定処理では、まず、光源152aに具備されるLED素子を点灯させる。そして、画像センサー(153)に具備される複数の撮像素子のうち、基準判定領域S0に対応する撮像素子からの出力(受光量)を取得し、その結果に基づいて主走査方向の基準判定領域S0における原稿の存否を判定する。
主走査方向において、基準判定領域S0は原稿基準位置の近傍に位置している。このため、ユーザーが原稿を原稿基準位置に合わせて第1コンタクトガラス155上に載置した場合には、その原稿は主走査方向において必ず基準判定領域S0の上に存在することになる。長さ特定処理において、読取制御部(170)がまず始めに基準判定領域S0における原稿の存否を判定するのは、第1コンタクトガラス155上に原稿が置かれているか否かを判定することを目的にしている。画像センサー(153)による基準判定領域S0における受光量が所定の閾値以上でない場合には、原稿について、第1コンタクトガラス155上に載置されていないと判断する。そして、「原稿がコンタクトガラス上に載置されていません。もしくは原稿の載置位置が不適切です。」というエラーメッセージを画像形成部(1)の操作表示部(10)に表示させる。これに対し、画像センサー(153)による基準判定領域S0における受光量が所定の閾値以上である場合には、原稿について、第1コンタクトガラス155上に載置されていると判断して、長さ特定処理を続行する。
長さ特定処理を続行した読取制御部(170)は、次に、画像センサー153に具備される複数の撮像素子のうち、第1判定領域S1に対応する撮像素子からの出力をそれぞれ取得し、その結果に基づいて主走査方向の第1判定領域S1における原稿の存否を判定する。前述の結果が所定の閾値以上である場合には、主走査方向における第1判定領域S1の真上に原稿が存在していることになる。このため、読取制御部は原稿の主走査方向の寸法について、B5短手方向寸法に相当する182mm以下でないと判定して、長さ特定処理を続行する。一方、前述の結果が所定の閾値以上でない場合には、原稿の主走査方向の長さについて、A5短手方向寸法に相当する148mm、又はB5短手方向に相当する182mmであると特定する。それらのうち、何れの長さであるのかについては、第1副走査サイズセンサー161による原稿の検知結果に基づいて判断する。より詳しくは、前述の検知結果が原稿有りである場合には182mmであると判断するのに対し、原稿無しである場合には148mmであると判断する。そして、光源152aを消灯させて長さ特定処理を終了する。その後、原稿の主走査方向における長さの特定結果と、先に得ておいた「状態判定結果」との組み合わせに基づいて、原稿の載置態様を特定した後に、載置態様特定処理を終了する。
原稿の主走査方向の長さが182mm以下でなかった場合、読取制御部(170)は、画像センサー(153)に具備される複数の撮像素子のうち、第2判定領域S2に対応する撮像素子からの出力をそれぞれ取得する。更に、その結果に基づいて主走査方向の第2判定領域S2における原稿の存否を判定し、その結果に基づいて原稿の主走査方向の長さについてA5長手方向やA4短手方向に相当する210mmであるか否かを判定する。より詳しくは、第2判定領域S2における原稿の存否を原稿無しであると判定した場合には、原稿の主走査方向の長さを210mmであると特定するのに対し、原稿有りであると判定した場合には、原稿の主走査方向の長さを210mmでないと判定する。そして、210mmであった場合には、光源152aを消灯させた後に、長さ特定処理を終了する。その後、長さの特定結果と、先に得ておいた「状態判定結果」との組み合わせに基づいて、原稿の載置態様を特定した後、載置態様特定処理を終了する。
原稿の主走査方向の長さが210mmでなかった場合には、読取制御部(170)は、画像センサー(153)に具備される複数の撮像素子のうち、第3判定領域S3に対応する撮像素子からの出力を取得する。更に、その結果に基づいて主走査方向の第3判定領域S3における原稿の存否を判定し、その結果に基づいて原稿の主走査方向の長さについてB5長手方向やB4短手方向に相当する257mmであるか否かを判定する。より詳しくは、第3判定領域S3における原稿の存否を原稿無しであると判定した場合には、原稿の主走査方向の長さを257mmであると特定する。これに対し、原稿の存否を原稿有りであると判定した場合には、原稿の主走査方向の長さを、A4長手方向寸法やA3短手方向寸法に相当する297mmであると特定する。その後、光源152aを消灯させて長さ特定処理を終了した後、長さの特定結果と、先に得ておいた「状態判定結果」との組み合わせに基づいて、原稿の載置態様を特定してから載置態様特定処理を終了する。
図5は、移動照射部152の移動態様を説明するための説明図である。なお、同図においては、便宜上、移動ミラーユニット(158)の図示を省略している。読取制御部(170)は、図中矢印で示されるように、移動照射部152を復動させながら載置態様特定処理(長さ特定処理を含む)を実施する。載置態様特定処理の開始時には、原則として、移動照射部152を図中実線で示されるように、移動照射部152を原稿サイズ検知位置DPに位置させている。この状態で移動照射部152の復動や載置態様特定処理を開始した読取制御部は、画像センサー(153)の各撮像素子からの出力値を、所定の時間間隔で取得及び記憶していく。この取得及び記憶は、移動照射部152の検知時移動範囲の一端から他端までの移動に要する期間だけ行われる。そして、各撮像素子からの出力値について、その期間に記憶した出力値の平均値を求め、その結果に基づいて原稿面での反射光の有無を判定し、その結果に基づいて原稿MSの主走査方向の長さを特定する。
このように、移動照射部152を検知時移動範囲の一端から他端まで移動させるまでに取得した複数の出力値の平均値に基づいて原稿MSの主走査方向の長さを特定することで、長さの特定精度を向上させることができる。具体的には、移動照射部152を移動させずに各撮像素子に対応する領域での原稿面反射光の有無を判定する場合、原稿面における原稿サイズ検知位置DPが偶然に汚れていると、その汚れによって原稿面での反射光量が低下する。これにより、原稿なしが誤検知されてしまうおそれがある。これに対し、移動照射部152を移動させながら、原稿面における検知時移動範囲での反射光の平均値をとることで、原稿MSの汚れに起因する原稿なしの誤検知の発生を抑えることが可能になる。これにより、原稿MSの長さの特定精度を向上させることができる。
第1コンタクトガラス155と第2コンタクトガラス154との間には、原稿分離板156が設けられている。自動搬送読取モードの際には、この原稿分離板156により、第2コンタクトガラス154上に自動搬送されてきた原稿の第2コンタクトガラス154からの分離が促される。
載置読取モードにおいて、ADFが閉じられ始めたことに基づいて載置態様特定処理を開始した時に、移動照射部152が図示のように原稿サイズ検知位置DPに正しく位置しているとする。この場合、各撮像素子からの出力値の取得及び記憶を完了した時点で、移動照射部152を、まだ、原稿分離板156よりも手前側に位置させている。そして、このように移動照射部152を原稿分離板156よりも手前側に位置させている段階で、載置態様特定処理を完了することができる。その後、移動照射部152は、原稿分離板156の下に進入して、基準位置SPに至る。この基準位置SPは、ホームポジションHPと原稿サイズ検知位置DPとの間に存在しており、移動照射部152が基準位置SPに位置した瞬間に、移動照射部152が基準位置センサー(図4の175)に検知される。その後、復動を継続する移動照射部152は、ホームポジションHPに至って停止する。
図4に示される読取制御部170は、ユーザーからの命令を所定時間以上継続して受信しないという休止条件が成立すると、モーター駆動回路173に対する電源供給を休止した状態でユーザーからの命令を待機する休止待機処理(休止待機モード)を実施する。移動モーター174に対する電源供給を行わずにその分だけ電力消費を低減することから、省電力を図ることができる。但し、休止待機モードから通常モードに復帰した直後には、ホーミングが必要になる都合上、原稿サイズ検知エラーを引き起こし易くなる。このため、休止待機モードにおいて、モーター駆動回路173に対する電源供給を休止するのに先立って、移動照射部152を原稿サイズ検知位置DPまで移動させておく。そして、休止待機処理の実施中に、開閉センサー157によってADF(51)の開動作が検知された場合には、直ちに通常モードに復帰してモーター駆動回路173に対する電源供給を再開する。その後、開閉センサー157によってADFの閉動作開始が検知されると、直ちに移動照射部152の復動を開始するとともに、載置態様特定処理を開始する。これにより、原稿サイズ検知エラーの発生を抑えることができる。
しかしながら、休止待機モードにおいては、移動照射部152aを衝撃等によって原稿サイズ検知位置DPから大きく移動させてしまっている可能性がある。このため、休止待機モードから通常モードに復帰した時点で、移動照射部152aが原稿サイズ検知位置DPに正しく位置しているとは限らない。例えば、図6に示されるように、原稿サイズ検知位置DPよりも基準位置SP側に大きく移動している可能性もある。この状態で載置態様特定処理を開始すると、移動照射部152aを原稿分離板156の真下に移動させても、各撮像素子からの出力値の取得を継続することになる。原稿分離板156の下面には、シェーディング補正用の白色板178が固定されていることから、白色板178により、主走査方向の全域において反射光が得られてしまう。これにより、原稿MSの主走査方向の長さについて、最大の297mmであると誤検知されてしまうおそれがある。誤検知したままでコピーを実施すると、本来であれば画像形成部(1)がA4サイズ紙に画像を形成すべきところ、A3サイズ紙に画像を形成してしまう。
また、休止待機モードから通常モードに復帰した時点で、図7に示されるように、移動照射部152が副走査方向における原稿MSの存在しない領域まで大きく移動している可能性もある。この状態で載置態様特定処理を実施すると、第1コンタクトガラス155条に原稿MSが存在しているにもかかわらず、原稿面での反射光が全く得られないことから、原稿なしを誤検知してしまう。すると、原稿MSを正しくセットしているにもかかわらず、ユーザーに対して原稿なしのエラーメッセージを報知して、ユーザーに不信感を抱かれてしまう。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
載置読取モードを実施させるためには、ユーザーは、ADF51を開き、原稿MSを第1コンタクトガラス155上にセットし、ADF51を閉じてから操作表示部10のコピースタートキーを押すという一連の動作を行う必要がある。スキャナー150が通常モードで待機している場合であっても、休止待機モードで待機している場合であっても、その一連の動作が必要になってくる。そして、その一連の動作は、一般にはある程度の秒数で行われるが、ユーザーが意識的に素速い動作をした場合には、ごく短時間で行われることも希にある。この場合、通常モードであっても、ホームポジションHPから原稿サイズ検知位置DPへの移動照射部152の移動が間に合わず、原稿サイズ検知エラーを引き起こしてしまう。
そこで、通常モードにおいても、休止待機モードと同様に、移動照射部152を原稿サイズ検知位置DPまで移動させた状態でユーザーからの命令を待機すれば、原稿サイズ検知エラーの発生をより抑えることができるようになる。しかし、本複写機は、そのようになっておらず、通常モードでは移動照射部152をホームポジションHPに位置させた状態でユーザーからの命令を待機している。これは次に説明する理由による。即ち、自動搬送読取モードにおいて、ADF51に対する原稿MSのセットは、原稿載置台53の上に原稿MSを載せるだけという単純な作業で済む。このため、ユーザーが原稿をADF51にセットしてからコピースタートキーを押すまでの時間は非常に短時間になる。そして、ADF51による原稿MSの搬送は非常に高速になされるので、コピースタートキーが押された時点で移動照射部152が原稿サイズ検知位置DPにあると、移動照射部152よりも原稿MSの方が早くホームポジションHP上に到達してしまう。これにより、原稿MSの搬送を一時中断する必要が生じて、読取時間を長期化させてしまう。一方、載置読取モードでは、多くの場合、上述の一連の動作にある程度の時間がかかるので、ユーザーが素速く動作しない限り、その時間内で、移動照射部152をホームポジションHPから原稿サイズ検知位置DPまで移動させることが可能である。このため、通常モードでは、自動搬送読取モードで原稿MSの読み取りを迅速に開始できるように、移動照射部152をホームポジションHPに位置させて待機させている。
かかる構成においては、載置態様特定処理が2種類存在する。1種類目は、通常モードでの待機中に、ADF51の閉動作を検知したことに基づいて開始されるものであり、開始時には移動照射部152が正しく原稿サイズ検知位置DPに位置している。以下、この載置態様特定処理において実施される長さ特定処理を、特に「非休止時原稿長さ特定処理」という。
2種類目は、休止待機モードから通常モードに復帰した直後に、ADF51の閉動作を検知したことに基づいて開始されるものであり、開始時には移動照射部152が正しく原稿サイズ検知位置DPに位置していない可能性がある。以下、この載置態様特定処理において実施される長さ特定処理を、特に「休止後原稿長さ特定処理」という。
図6を用いて説明した原稿長さの誤検知は、図7を用いて説明した原稿なしの誤検知は、何れも「休止後原稿長さ特定処理」にて生ずるものであり、「非休止時原稿長さ特定処理」では生じない。「休止後原稿長さ特定処理」にて、移動照射部152の復動開始から、基準位置センサー175による移動照射部152の検知までに要した移動照射部152の移動量(以下、「復動時基準到達移動量」という)が所定の「許容範囲」になかったとする。この場合、移動照射部152が原稿サイズ検知位置DPを含む所定の検知可能領域に位置していないことを意味する。よって、読取制御部170は、原稿MSの長さの特定を中止する処理を実施する。「復動時基準到達移動量」については、移動に要した時間又は駆動量(ステッピングモーターからなる移動モーター174に対するステップ数)に基づいて把握する。
図8は、余裕距離L3を説明するための説明図である。同図において、距離L1は、基準位置SPから白色板178における原稿サイズ検知位置DPの側の端位置CPまでの距離である。同図に示されるように、休止待機モードから通常モードに復帰した時点で、移動照射部152が原稿サイズ検知位置DPに正しく位置していたとする。この場合、「休止後長さ特定処理」が完了した時点で、移動照射部152は原稿サイズ検知位置DPよりも検知時移動範囲L2の分だけ基準位置SPに近づいているが、白色板178の下にはまだ到達していない。その時点における白色板178の端位置CPと、移動照射部152の先端との距離が余裕距離L3である。
同図に示される状態とは異なり、休止待機モードから通常モードに復帰した時点で、移動照射部152が原稿サイズ検知位置DPよりも基準位置SPの側に移動していたとする。その移動量が、余裕距離L3を超えていると、「休止後長さ特定処理」が完了した時点で移動照射部152が白色板178の下に進入していて、長さを最大サイズの297mmとして誤検知してしまうおそれがでてくる。
そこで、本複写機においては、上述した「許容範囲」における最小値として、基準位置SPから白色板178の端位置CPまでの距離L1と、検知時移動範囲L2との合計と同等以上の値を採用している。かかる構成では、「復動時基準到達移動量」が、距離L1と検知時移動範囲L2との合計よりも小さくなった場合には、「休止後原稿長さ特定処理」における原稿MSの長さの特定が中止される。「復動時基準到達移動量」が、距離L1と検知時移動範囲L2との合計よりも小さくなることは、図9に示されるように、「休止後原稿長さ特定処理」が完了した時点で移動照射部152が白色板178の下に到達していることを意味する。本複写機では、このような場合に、長さ特定処理を中止することで、白色板178の下に移動照射部152を進入させた状態で各撮像素子の出力値を取得することによる原稿長さの誤検知の発生を回避することができる。
また、上述した「許容範囲」における最大値としては、基準位置SPから原稿サイズ検知位置DPまでの距離に対し、数mm程度の定数を加算した値を採用している。かかる構成において、休止待機モードから通常モードに復帰した時点で、移動照射部152が原稿サイズ検知位置DPから往動下流側に向けて定数を超えて移動している場合には、「休止後原稿長さ特定処理」において、原稿MSの長さの特定が中止される。前述した定数を数mm程度の小さな値にしたのは、次に説明する理由による。即ち、移動照射部152が原稿サイズ検知位置DPよりも往動下流側に移動して原稿面のベタ画像形成領域に対向していると、ベタ画像によって原稿面での反射光量が本来よりも低下することから、原稿MSの長さが正しく特定されなくなるおそれがある。つまり、移動照射部152が原稿サイズ検知位置DPよりも往動下流側に移動した場合には、たとえ原稿MSに対向していたとしても、原稿の長さの誤検知を引き起こすおそれがある。検知時移動範囲L2は、一般的な原稿前端マージンよりも少し小さな値に設定されている。移動照射部152が原稿サイズ検知位置DPよりも往動下流側にずれた場合には、そのずれが僅かであっても、移動照射部152を原稿面のベタ画像形成領域に対向させる可能性がある。このため、上述した定数を数mm程度という比較的小さな値にしているのである。このような設定により、原稿なしの誤検知を回避するとともに、ベタ画像による原稿長さの誤検知の発生を抑えることができる。
図10は、読取制御部170によって実施される、上述した2種類目の載置態様特定処理の処理フローを示すフローチャートである。この2種類目の載置態様特定処理には「休止後原稿長さ特定処理が含まれている。一方、上述した1種類目の載置態様特定処理には「非休止時原稿長さ特定処理」が含まれている。
読取制御部170は、休止待機モードから通常モードに復帰した直後に、開閉センサー157によってADF51の閉動作開始が検知されたことに基づいて、2種類目の載置態様特定処理を開始する。そして、まず、移動照射部152の復動を開始する(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。このとき、1種類目の載置態様特定処理に比べて遅い速度で、移動照射部152を復動させる。これは、1種類目の載置態様特定処理ではホーミングが不要であるのに対し、2種類目の載置態様特定処理ではホーミングが必要だからである。
移動照射部152の復動を開始した読取制御部170は、次に、移動照射部152の移動量Laの計測を開始する(S2)。移動量Laの計測は、移動時間又は移動モーター174の駆動量に基づいて行われる。その後、読取制御部170は、各撮像素子の出力値のサンプリング(取得及び記憶)を開始した後(S3)、移動量Laについて、検知時移動範囲L2以上になったか否かを判定する(S4)。そして、移動量Laが検知時移動範囲L2以上でない場合(S4でN)には、移動照射部152について基準位置センサー175によって検知されたか否かを判定する(S6)。一方、移動量Laが検知時移動範囲L2以上である場合(S4でY)には、サンプリングを終了した後に(S5)、前述したS6の工程に進む。
S6の工程において、移動照射部152が基準位置センサー175によって検知されていない場合(S6でN)、読取制御部170は、処理フローをS4にループさせて、移動量Laの判定を再び実施する。これに対し、移動照射部152が基準位置センサー175によって検知されている場合(S6でY)には、そのときの移動量Laを「復動時基準到達移動量Lb」として記憶すると同時に、移動量Laをゼロにリセットする(S7)。このリセットにより、ホーミングが行われ、移動照射部152が基準位置センサー175に検知された基準タイミングを基準にして、それ以降の移動量Laに基づいて、移動照射部152の副走査方向の位置が把握される。
読取制御部170は、ホーミングの後に、サンプリングについて終了済みであるか否かを判定する(S8)。そして、終了済みでない場合(S8でN)には、処理フローをS4の工程にループさせるのに対し、終了済みである場合(S8でY)には、処理フローを後述するS9の工程以降に進める。
S9の工程において、読取制御部170は、先に記憶した「復動時基準到達移動量Lb」について、許容範囲内であるか否かを判定する。そして、許容範囲内である場合(S9でY)には、サンプリングデータに基づいて原稿MSの長さを特定した後(S11)、原稿MSの載置態様を特定する(S12)。その後、処理フローを後述するS13以降の工程に進める。これに対し、「復動時基準到達移動量Lb」が許容範囲内でない場合(S9でN)には、エラーフラグをセットした後(S10)、原稿MSの長さや載置態様を特定することなく、処理フローをS13以降の工程に進める。即ち、原稿MSの長さの特定を中止するのである。
S13の工程において、読取制御部170は、移動量Laが所定の値に達した時点で移動照射部152の復動を停止させる。かかる時点で復動を停止させることで、移動照射部152を正しくホームポジションHPに位置させることができる。なお、上記S7の工程でホーミングを行った後、移動照射部152をホームポジションHPに停止させるまでの期間においては、移動照射部152の復動の速度を1種類目の載置態様特定処理と同等の値まで速めてもよい。
読取制御部170は、その後、移動量Laの計測を終了してから(S14)、エラーフラグについてセット中であるか否か、即ち、「復動時基準到達移動量Lb」について、許容範囲であったか否かを判定する(S15)。そして、エラーフラグがセット中である場合(S15でY)には、エラーメッセージを操作表示部10に表示させ(S16)、更にエラーフラグを解除してから(S17)、一連の処理フローを終了する。これに対し、エラーフラグがセット中でない場合(S15でN)には、直ちに一連の処理フローを終了する。
エラーメッセージとしては、「原稿の長さが正しく検知できなかったので、ADFをもう一度開いた後、数秒経過してからADFを閉じて下さい。」というように、ユーザーに対してADF51の開閉の実施を促すものを表示させる。このため、エラーが発生した場合には、その後、ADF51がユーザーによって開閉されることで、コピーに先立って、1種類目の載置態様特定処理を実施して、原稿MSの載置態様を正しく特定することができる。
なお、休止後原稿長さ特定処理の開始時に移動照射部152が所定の検知可能領域になかったと推定される場合に、休止後原稿長さ特定処理における長さの特定を中止する構成について説明したが、次のようにしてもよい。即ち、移動照射部152を基準位置SPに到達させるのに先立って原稿の長さを特定しておく。そして、移動照射部152を基準位置SPに到達させて復動時基準到達移動量Lbを求め、その結果に基づいて休止後原稿長さ特定処理の開始時における移動照射部152の位置を推定する。この推定結果が所定の検知可能領域になかったと推定される場合に、原稿の長さについての先の特定結果を取り消して、移動照射部152をホームポジションHPに到達させた時点で、ADF51の開閉操作を促すメッセージを表示するのである。
次に、各変形例に係る複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各変形例に係る複写機の構成は実施形態と同様である。
図11は、第1変形例に係る複写機のスキャナー150を示す概略構成図である。このスキャナー150は、移動ミラーユニットを有しておらず、移動照射部152に、光源152a、複数の反射ミラー、光学レンズ152c、及び画像センサー152dを有している。このように、光学レンズ152cや画像センサー152dを移動照射部152に搭載した一体型Md方式を採用してもよい。
図12は、第2変形例に係る複写機のスキャナー150を示す概略構成図である。このスキャナー150も移動ミラーユニットを有していない。また、第1変形例に係る複写機とは異なり、複数の反射ミラーや光学レンズを移動照射部152に搭載していない。その代わりに、移動照射部152に搭載した画像センサー153として、等倍撮影可能なCIS方式のものを用いている。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、原稿(例えば原稿MS)を載置する原稿台(例えば第1コンタクトガラス155)と、原稿を前記原稿台の表面に向けて押さえる原稿押さえ手段(例えばADF51)と、前記原稿押さえ手段の前記原稿台に対する開閉動作を検知する開閉検知手段(例えば開閉センサー157)と、光源から発した光を前記原稿台上の原稿に向けて照射しながら、前記原稿台の表面に沿った副走査方向に移動する移動照射手段(例えば移動照射部152)と、前記移動照射手段を移動させる駆動力を発揮する駆動源(例えば移動モーター174)と、原稿面での反射光を受光して原稿の画像を読み取る画像センサー(例えば画像センサー153)と、前記移動照射手段の移動を制御する制御手段(例えば読取制御部170)とを備え、前記制御手段が、所定の休止条件の成立に基づいて、前記移動照射手段を副走査方向における待機位置から前記原稿サイズ検知位置まで移動させてから、前記駆動源に対する電源供給を休止した状態でユーザーからの命令を待つ休止待機処理と、前記休止待機処理の実施中における前記開閉検知手段による開動作の検知に基づいて、前記駆動源への電源供給を再開して前記光源を点灯させながら前記画像センサーによる読取結果に基づいて原稿の主走査方向における長さを特定する休止後原稿長さ特定処理とを実施するものである画像読取装置(例えばスキャナー150)において、前記休止後原稿長さ特定処理を開始した時点における前記移動照射手段の副走査方向の位置を推定する位置推定手段を設け、前記位置推定手段による推定結果が副走査方向における前記原稿サイズ検知位置を含む検知可能領域内にない場合には、前記休止後原稿長さ特定処理における長さの特定を中止するか、あるいは、前記休止後原稿長さ特定処理における長さの特定結果を取り消すかする処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
かかる構成では、休止後原稿長さ特定処理を開始すると、既に原稿サイズ検知位置まで移動している移動照射部の光源を点灯させて直ちに原稿の長さを特定することが可能なので、サイズ検知不能エラーの発生を抑えることができる。
また、態様Aにおいては、休止後原稿長さ特定処理を開始した時点における移動照射手段の副走査方向の位置が検知可能領域内にない場合に、休止後原稿長さ特定処理における長さの特定を中止するか、あるいは長さの特定結果を取り消すかする。これにより、原稿なしの誤検知の発生を抑えることができる。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、副走査方向における前記待機位置と前記原稿サイズ検知位置との間に存在する基準位置に移動した前記移動照射手段を検知する基準位置センサー(例えば基準位置センサー175)と、前記画像センサーに対してシェーディング補正用の白色ベタ像を読み取らせるために、副走査方向における前記基準位置と前記原稿サイズ読取位置との間に配設された白色部材(例えば白色板178)とを設け、且つ、前記休止後長さ特定処理にて、前記移動照射手段を前記原稿サイズ検知位置から前記待機位置に向けて移動させながら前記画像センサーによる読取結果を取得する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、移動照射手段を待機位置と原稿サイズ検知位置との間で移動させている過程で白色部材との対向位置に通す際に、シェーディング補正を実施することができる。また、休止後原稿長さ特定処理で移動照射手段を移動させながら画像センサーによる読取結果を取得することで、実施形態で説明したように、原稿面にベタ画像などが存在することによる原稿長さの誤検知の発生を抑えることができる。加えて、原稿長さの誤検知の発生を抑えることもできる。具体的には、休止後原稿長さ特定処理の開始時に、移動照射部が白色部材との対向位置まで移動していると、白色部材が主走査方向の全域で光源からの光を良好に反射させる。これにより、原稿の主走査方向の長さについて、使用可能な最大サイズの主走査方向の長さと同じであると誤検知されてしまう。態様Bについては、移動照射部が白色部材の対向位置まで移動していると、位置推定手段によって移動照射部の位置について検知可能領域内にないと推定されて、長さの特定が中止されるか、あるいは長さの特定結果が取り消される。これにより、原稿長さの誤検知の発生を抑えることができるのである。
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記休止後原稿長さ特定処理にて前記移動照射手段の前記待機位置に向けての移動が開始されてから、前記基準位置センサーによって前記移動照射手段が検知されるまでに要した前記移動照射手段の移動量に基づいて、前記休止後原稿長さ特定処理を開始した時点における前記移動照射手段の副走査方向の位置を推定する処理を実施するように、前記位置推定手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、副走査方向における検知可能領域の全域で移動照射手段を検知することが可能な長尺の検知センサーを設けることなく、休止後原稿長さ処理の開始時における移動照射手段の位置について検知可能領域内であるか否かを推定することができる。
[態様D]
態様Dは、態様Cにおいて、前記移動量が所定範囲内にない場合に、前記休止後原稿長さ特定処理を開始した時点における前記移動照射手段の副走査方向の位置について、前記検知可能領域内にないと推定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、移動量について所定範囲内にあるか否かを判定するという簡単な処理により、休止後原稿長さ処理の開始時における移動照射手段の位置について検知可能領域内であるか否かを推定することができる。
[態様E]
態様Eは、態様Dにおいて、前記所定範囲内における最小値として、前記基準位置から前記白色部材における前記原稿サイズ検知位置の側の端までの距離と、前記休止後原稿長さ特定処理の実施中における前記移動照射手段の移動範囲との合計と同等以上の値を採用したことを特徴とするものである。かかる構成では、実施形態で説明したように、休止後原稿長さ特定処理を終える直前で移動照射部が白色部材との対向領域まで移動している場合には、確実に原稿の長さの特定を中止して、長さの誤検知の発生を抑えることができる。
[態様F]
態様Fは、態様D又はEにおいて、前記開閉検知手段による開動作の検知に基づいて、前記待機位置にある前記移動照射手段を前記原稿サイズ検知位置まで移動させる開時移動処理と、前記休止待機処理を実施していないときの前記開閉検知手段による開動作の検知に基づいて、前記移動照射手段を前記原稿検知位置から前記待機位置に向けて移動させながら、原稿の主走査方向における長さを前記画像センサーによる読取結果に基づいて特定する非休止時原稿長さ特定処理とを実施し、且つ、前記休止後原稿長さ特定処理で原稿の長さの特定を中止するか、あるいは前記休止後原稿長さ特定処理における長さの特定結果を取り消すかした場合に、前記基準位置センサーによる前記移動照射手段の検知タイミング(例えば基準タイミング)を参考にして前記移動照射手段を前記待機位置まで移動させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、基準タイミングからの移動照射手段の移動量に基づいて、移動照射手段を精度良く待機位置に停止させることができる。
[態様G]
態様Gは、態様Fにおいて、前記休止後原稿長さ特定処理で原稿の長さの特定を中止するか、あるいは前記休止後原稿長さ特定処理における長さの特定結果を取り消すかした場合に、前記移動照射手段を前記待機位置まで移動させた後に、前記原稿押さえ手段の開閉の実施をユーザーに促すメッセージ(例えばエラーメッセージ)を報知する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、原稿サイズ検知エラーが発生した場合に、ユーザーに原稿押さえ手段を開閉してもらうことで、非休止時原稿長さ特定処理の実施を可能にして、原稿の長さの特定を再実行することができる。
[態様H]
態様Hは、態様Dにおいて、前記休止後原稿長さ特定処理には、前記非休止時原稿長さ特定処理の場合よりも遅い速度で、前記移動照射手段を前記待機位置に向けて移動させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、休止後原稿長さ特定処理において、移動照射手段を低速で移動させることで、原稿の長さを特定した後、移動照射手段を基準位置に進入させるのに伴ってホーミングを行うことができる。
[態様I]
態様Iは、原稿の画像を読み取る画像読取手段(例えばスキャナー150)と、前記画像読取手段による画像の読取結果に基づいて記録部材に画像を形成する画像形成手段(例えば画像形成部1)とを備える画像形成装置(例えば複写機)において、前記画像読取手段として、態様A〜Hの何れかのものを用いたことを特徴とするものである。