JP6365288B2 - フェライトコア、電子部品、及び、電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、100℃近傍における飽和磁束密度が高く、かつ、強度が高いフェライトコアに関する。
電源用トランス、チョークコイルなどの電子部品の磁心材料として、フェライト焼結体が使用されている。コア(磁心)を形成するフェライト焼結体は、フェライトコアと呼ばれ、Mn及びZnを含有するMnZn系フェライトが広く使用されている。近年は電源の小型化に伴いフェライトコアにも小型化、低背化が要求され、これに対応するため、駆動温度の100℃近傍において高い飽和磁束密度を有するフェライトコアが求められている。また、フェライトコアは製造時、輸送時、あるいは実装時などに割れや欠けが発生してしまい、製品品質への信頼性を大きく低下させることがあった。そのため、フェライトコアに対しては高強度化の要求が高まっていた。
フェライトコアの飽和磁束密度を高める方法として、例えば先行文献1にはFe63〜80mol%の組成において焼結密度を高くし、且つFe2+量を制御することによって100℃近傍における飽和磁束密度を高める技術が記載されている。
一方、フェライトコアの強度を高める方法として、例えば先行文献2には、主成分としてZnOを10.0〜15.0mol%、Feを52.0〜54.0mol%、及びMnOを残部とする組成からなるMnZn系フェライトに、副成分としてBiを50〜200ppmを含有させることにより、磁気損失をほとんど変化させることなしに高強度化する技術が記載されている。
また、先行文献3には、酸化鉄をFe 換算で50〜80mol%含有し、残部がMnO,ZnO,NiOから選択される1種以上を、MnO、ZnO、NiO換算で20〜50mol%含むフェライト焼結体において、未加工の表面部における結晶粒子の円形度を0.90以下とすることにより高強度化させる技術が記載されている。
特開2005−187232号公報 特開2001−233667号公報 特開2014−80344号公報
しかし、先行文献1に記載の技術で得られるフェライトコアは、焼結密度を高くし、且つFe2+量を制御することによって100℃近傍で高い飽和磁束密度が得られる一方、高強度化に関しては十分でなく、強度が高いフェライトコアを得ることは難しい。また、先行文献2に記載の技術で得られるフェライトコアは飽和磁束密度が小さいため、高い磁束密度が印加される用途においては使用が困難であった。また、先行文献3に記載の技術は、結晶粒子の円形度を低くすることによって結晶粒子間の接合強度を高めていると考えられるが、結晶粒子自体の強度が不十分であり、さらなる高強度化が求められていた。
本発明はこのような実状のもとに創案されたものであって、100℃近傍における飽和磁束密度が高く、かつ高い強度を有するフェライトコアを提案することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らが鋭意研究を行った結果、MnZn系フェライトの主成分及び副成分の組成を適正範囲に制御し、かつ、粒界および結晶粒子内のCaとSiの組成分布を制御することが重要であることを見出した。本発明は掛かる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明に係るフェライトコアは、主成分として酸化鉄をFe換算で64.0〜72.5mol%、酸化亜鉛をZnO換算で7.5〜20.0mol%、酸化ニッケルをNiO換算で0.01〜5.0mol%、残部が酸化マンガンである組成からなり、第1副成分として酸化カルシウムをCaCO換算で200〜3000ppm、及び酸化ケイ素をSiO換算で50〜300ppm含むMnZn系フェライトであって、前記MnZn系フェライトはスピネル構造を有する多結晶体であり、その粒界が非晶質からなり、前記粒界のCa濃度が最大となる点AにおけるCa/Si比Xが下記式(1)を満たし、かつ、前記粒界の点Aから結晶粒子内へ5nmの点BにおけるCa/Si比Yが下記式(2)を満たすことを特徴とする。
0.5≦X≦1.0 …式(1)
X+0.05≦Y≦X+0.5 …式(2)
ただし、X、Y=Ca濃度(at%)/Si濃度(at%)
また、本発明のフェライトコアは、好ましい様態として、第2副成分として、主成分に対して、NbをNb換算で50〜750ppm、TaをTa換算で50〜1500ppm、VをV換算で50〜1000ppm、ZrをZrO換算で、50〜400ppm、及びSnをSnO換算で500〜8000ppmの1種以上含むことを特徴とする。
本発明の電子部品は上記フェライトコアを用いて構成される。
本発明の電源装置は上記電子部品を備えることを特徴とする。
本発明によれば、100℃近傍における高飽和磁束密度特性に優れ、かつ、高い強度を有するフェライトコアが得られるため、大電流に対応でき、かつ、機械的破損による品質低下の小さい電子部品および電源の提供が可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
はじめに、本発明における成分の限定理由を説明する。本発明のフェライトコアは、主成分として酸化鉄をFe換算で64.0〜72.5mol%、(好ましくは、65〜70mol%、より好ましくは、66〜69mol%)、酸化亜鉛をZnO換算で7.5〜20mol%(好ましくは、9〜18mol%、より好ましくは、10〜17mol%)、酸化ニッケルをNiO換算で0.01〜5mol%(好ましくは、0.2〜4mol%、より好ましくは、0.4〜2mol%)、残部が酸化マンガン(MnO)を含有している。
上記の主組成において、Fe量を増やすと飽和磁束密度を高め、かつ強度が向上する効果がある。Fe量が64mol%未満であると飽和磁束密度、強度ともに不十分となる傾向にある。一方、Fe量が72.5mol%を超えると飽和磁束密度が低下する傾向にある。
上記の主成分組成において、ZnO量が7.5mol%未満においては、飽和磁束密度が不十分となる傾向にある。一方、ZnO量が20mol%を超えると飽和磁束密度が低下する傾向にある。
上記の主成分組成において、NiO量を増やすと強度を高める効果がある。NiO量が0.01mol%未満であると、強度が不十分になる傾向にあり、NiO量が5mol%を超えると飽和磁束密度が低下する傾向にある。
上記の主成分組成において、残部としているMnO量が2.5mol%未満、あるいは28.49mol%を超えると飽和磁束密度が低下する傾向にある。
次に、本発明における副成分について説明する。本発明のフェライトコアは上記の主成分に加えて、第1副成分として酸化カルシウムと酸化ケイ素を含有している。
酸化カルシウムは焼結助剤として焼結密度を向上させ、高飽和磁束密度化に寄与する。さらに、酸化カルシウムは粒界への偏析によって粒界の強度を向上させるとともに、その濃度分布がフェライトコアの強度に大きく影響する。酸化カルシウムの含有量は、主成分の酸化物の合計質量に対するCaCOの質量として、200〜3000ppm、好ましくは400〜2000ppm、より好ましくは500〜1500ppmである。酸化カルシウムの含有量(CaCO換算)が200ppm未満であると、飽和磁束密度および強度が不十分になる傾向がある。他方、酸化カルシウムの含有量(CaCO換算)が3000ppmを超えると、異常粒成長を引き起こし、その結果、強度が低下するという不具合が生じる。
酸化ケイ素は酸化カルシウムと同様、焼結助剤として焼結密度を向上させ、高飽和磁束密度化に寄与する。さらに、酸化ケイ素は粒界への偏析によって粒界の強度を向上させる効果を有する。酸化ケイ素の含有量は、主成分の酸化物の合計質量に対するSiOの質量として、50〜300ppm、好ましくは50〜150ppm、より好ましくは75〜125ppmである。酸化ケイ素の含有量(SiO換算)が50ppm未満であると飽和磁束密度および強度が不十分となる傾向がある。他方、酸化ケイ素の含有量(SiO換算)が300ppmを超えると、異常粒成長を引き起こし、その結果、強度が低下するという不具合が生じる。
図1は、本発明に係るフェライトコアの断面の模式図である。図1に示すように、フェライトコアは、スピネル構造を有する結晶粒子1と非晶質構造を有する粒界2から形成されている。この粒界2の法線方向に沿ったCaとSiの組成分布において、Ca濃度が最大となる点をA、点Aから粒子内部方向に5nm離れた点をBとする。ただし、点Aおよび点Bの位置を決める際に、3個以上の結晶粒子が共有する粒界の位置は避け、2個の結晶粒子を共有する粒界の位置を選択する。これは、多数の結晶粒子が共有する粒界を選択した場合、2個の結晶粒子を共有する粒界とはCaやSiの偏析状態が異なることが予想され、また、粒界法線方向を1つに定められないためである。
上記点A、点BにおけるCaおよびSiの組成比(Ca/Si比)をそれぞれX、Yとし、Xが下記式(1)を満たし、かつ、Yが下記式(2)を満たす場合にフェライトコアの強度が向上することを、本発明者らは見出した。下記式(1)および(2)を同時に満たす場合、粒界から結晶粒子内部に向かってCaがSiに比べ緩やかに減衰する組成分布を有するため、粒界から結晶粒子に加わる応力が緩和されることによってフェライトコアの強度が向上するものと考えられる。
0.5≦X≦1.0 式(1)
X+0.05≦Y≦X+0.5 式(2)
上記式(1)および式(2)を同時に満たさない場合、フェライトコアの強度が不十分になる傾向がある。
本発明のフェライトコアは、上述したように、MnZn系フェライトの主成分及び副成分の組成を適正範囲に制御し、かつ、粒界および結晶粒子内のCaとSiの組成分布を制御することによって、100℃近傍における高飽和磁束密度特性に優れ、かつ高い強度を有するフェライトコアを得ることができる。
本発明のフェライトコアは、上記の主成分および第1副成分に加え、第2副成分として酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化ジルコニウム、酸化スズのうち少なくとも1種以上を含有することができる。
本発明のフェライトコアは、第2副成分として、主成分の酸化物の合計質量に対し、酸化ニオブをNb換算で50〜750ppm及び酸化タンタルをTa換算で50〜1500ppmの範囲内で含むことができる。酸化ニオブ及び酸化タンタルは粒界抵抗を高める働きがある成分である。酸化ニオブがNb換算で50ppm未満、あるいは酸化タンタルがTaを換算で50ppm未満では改善効果がない。また、酸化ニオブがNb換算で750ppmを超え、あるいは酸化タンタルがTa換算で1500ppmを超えると異常粒成長により磁気損失が大きくなるため、酸化ニオブをNb換算で50〜750ppm、酸化タンタルをTa換算で50〜1500ppmの範囲に限定した。含有量が多くなると異常粒成長を起こしやすいため酸化ニオブをNb換算で100〜300ppm、酸化タンタルをTa換算で100〜500ppmの範囲で含有させるのが好ましい。
本発明のフェライトコアは、第2副成分として、酸化バナジウムをV換算で50〜1000ppmの範囲内で含むことができる。酸化バナジウムは粒界抵抗を高める働きがある成分である。酸化バナジウムがV換算で50ppm未満では改善効果がない。また、酸化バナジウムがV換算で1000ppmを超えると異常粒成長により磁気損失が大きくなるため、酸化バナジウムをV換算で50〜1000ppmの範囲に限定した。含有量が多くなると異常粒成長を起こしやすいため、酸化バナジウムをV換算で100〜500ppmの範囲で含有させるのが好ましい。
本発明のフェライトコアは、第2副成分として、酸化ジルコニウムをZrO換算で50〜400ppmの範囲内で含むことができる。酸化ジルコニウムは粒界抵抗を高める働きがある成分である。酸化ジルコニウムがZrO換算で50ppm未満では改善効果がない。また、酸化ジルコニウムがZrO換算で400ppmを超えると異常粒成長により磁気損失が大きくなるため、酸化ジルコニウムがZrO換算で50〜400ppmの範囲に限定した。含有量が多くなると異常粒成長を起こしやすいため酸化ジルコニウムがZrO換算で50〜400ppmの範囲で含有させるのが好ましい。
本発明のフェライトコアは、第2副成分として、酸化スズをSnO換算で500〜8000ppm含むことができる。酸化スズは、一部粒界に存在し焼結後の冷却過程で粒界再酸化を助長して磁気損失を低下させる成分である。Snは4価のイオンとしてスピネル格子の原子とも置換してボトム温度を低下させる働きもある。しかしながら、添加量が多すぎると異常粒成長を引き起こして磁気損失が高くなるため、酸化スズはSnO換算で500〜8000ppmの範囲で含有させる。好ましくは、酸化スズをSnO換算で1000〜3000ppmの範囲で含有させる。なお、これらの成分は必ずしも酸化物の形で添加する必要はなく、たとえば、炭酸塩の形で混合してもかまわない。
本発明のフェライトコアは、上述した第2副成分を適宜選択することにより100℃における磁気損失を抑えることができる。
次に、本発明によるフェライトコアにとって好適な製造方法を説明する。
主成分の原料としては、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的には、Fe粉末、Mn粉末、ZnO粉末及びNiO粉末等を用いることができる。各原料粉末の平均粒径は0.1〜3μmの範囲で適宜選択すればよい。主成分の原料粉末を湿式混合した後、仮焼きを行う。仮焼きの温度は800〜1100℃の範囲内での所定温度とすればよい。仮焼きの安定時間は0.5〜5時間の範囲で適宜選択すればよい。仮焼き後、仮焼き材を例えば、平均粒径0.5〜3μm程度まで粉砕する。なお、本発明では、上述の主成分の原料に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を主成分の原料としてもよい。例えば、塩化鉄、塩化マンガンを含有する水溶液を酸化培焼することによりFe、Mnを含む複合酸化物の粉末が得られる。この粉末とZnO粉末を混合して主成分原料としてもよい。このような場合には、仮焼きは不要である。
仮焼き後に副成分を添加する。仮焼き後の添加には、仮焼き材に副成分の原料を添加して上記粉砕を行ってもよいし、仮焼き材の粉砕後に副成分の原料を添加、混合することができる。ただし、NiO、SnOについては、主成分の原料とともに仮焼きに供することもできる。副成分の原料として、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いることもできる。具体的には、NiO粉末、SnO粉末、CaCO粉末、Nb粉末、Ta粉末等を用いることができる。
主成分及び副成分からなる混合粉末は、後の成型工程を円滑に実行するために顆粒に造粒される。造粒は例えばスプレードライヤを用いて行うことができる。混合粉末に適当な結合材、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加し、これをスプレードライヤで噴霧、乾燥する。得られる顆粒の粒径は80〜300μm程度とすることが好ましい。
得られた顆粒は、例えば所定形状の金型を有するプレスを用いて所望の形状に成型され、この成型体は焼成工程に供される。焼成工程においては、焼成温度と焼成雰囲気を制御する必要がある。焼成温度は1200〜1500℃の範囲から適宜選択することができるが、本発明のフェライトコアの効果を十分引き出すには、1300〜1400℃の範囲で焼成することが好ましい。焼成雰囲気は、窒素と酸素の混合雰囲気において、酸素分圧を適宜調整すればよい。
焼成工程における最大温度から950℃まで冷却し、950℃において2時間の温度保持を行う。一定温度に保持することで、添加元素であるSi、Ca、Nb等を含有した非晶質粒界層の形成を行う。次に、再度1200℃まで昇温させ、1200℃において10〜30分の温度を保持した後、室温まで冷却する。この1200℃での温度保持操作によって酸化カルシウムが結晶粒子内に適度に固溶した状態を実現でき、その結果、粒界から結晶粒子に加わる応力を緩和することができる。1200℃での保持時間が短いと酸化カルシウムの結晶粒子内への固溶が不十分となるため、粒界から結晶粒子に加わる応力が増加してしまい、強度向上の効果を得ることができない。他方、1200℃での保持時間が長いと、酸化カルシウムが結晶粒子内へ固溶しすぎるために粒界形成が不十分となり、強度の低下および磁気損失の増加を招いてしまう。
焼成された本発明によるフェライトコアは、93%以上、さらに好ましくは95%以上の相対密度を得ることができる。本発明により得られたフェライトコアはチョークコイルに用いることが可能であり、本発明により得られたチョークコイルは、スイッチング電源装置に用いることが可能である。
図2(a)は、本実施形態に係るE字型フェライトコア(磁心)を示す斜視図である。図2(a)に示すように、E字型のフェライトコア100は、E型コアなどと呼ばれ、チョークコイルなどに使用される。フェライトコア101のようなE型コアが採用されたチョークコイルとしては、図2(b)に示すような、内部に2つのE型コアが対向配置されたものが知られている。
図3は、スイッチング電源装置の構成を示すブロック図である。
図3に示すスイッチング電源装置200は、直流入力電圧Vinを直流出力電圧Vout
に変換するための装置(DC/DCコンバーター)であり、直流出力電圧Vinに含まれるノイズ成分を除去する入力フィルタ201と、入力フィルタ201の出力を交流に変換するスイッチング回路202と、スイッチング回路202の出力を変圧するトランス203と、トランス203の出力を直流に変換する整流回路204と、整流回路の出力を平滑化する平滑回路205とを備えている。このような構成を有するスイッチング電源装置200において、平滑回路205のコアとして本発明によるコアを用いれば、平滑回路205にてチョークコイルの大電流化あるいは小型化が図れるとともに、機械的破損による品質低下を防止できることから、スイッチング電源装置200の信頼性を高めることが可能となる。
図3に示したスイッチング電源装置200は、特に自動車用のスイッチング電源装置として利用することが好適である。
図4は、スイッチング電源装置200を備えた自動車の主要部分を概略的に示すブロック図である。
図4に示すように、スイッチング電源装置200を自動車用に用いた場合、スイッチング電源装置200は、高圧バッテリー210と電気機器220及び低圧バッテリー230との間に設けられ、高圧バッテリー210より供給される約144Vや約288Vの高電圧を約14Vに降圧してこれを電気機器220に供給するとともに、低圧バッテリー230を充電する役割を果たす。電気機器220としては、自動車に備えられるエアコンやオーディオ等が挙げられる。
高圧バッテリー210への充電は、発電装置240より供給される電力によって行われる。また、高圧バッテリー210の出力はモータ250にも供給され、モータ250は、高圧バッテリー210より供給される高電圧(約144Vや約288V)に基づいて駆動系260を駆動する。尚、燃料電池車においては燃料電池本体が発電装置240となり、ハイブリッド車においてはモータ250が発電装置240を兼ねることになる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
各成分原料を最終的に表1及び表2に示した組成になるように秤量し、これに500mLのイオン交換水を溶媒として加えて、鋼鉄製ボールミルを用いて16時間湿式混合した。原材料混合物を乾燥させた後、大気雰囲気中において、900℃の温度で1時間仮焼きした。得られた仮焼き粉及び副成分を秤量し、これに500mLのイオン交換水を溶媒として加えて、鋼鉄製ボールミルを用いて3時間湿式粉砕を行った。副成分については、表1においてはSiO、CaCOを表中に示した添加量で加え、Nbを150ppm添加した。表2においては添加した副成分は表2に記載した通りである。
得られた粉砕物スラリーを乾燥し、この粉砕粉にバインダを加えて造粒した後、得られた顆粒を磁気特性測定用としてトロイダル形状に、強度試験用としてI字型形状に加圧成形した。
得られた成型体を酸素分圧制御下において次の条件で焼成した。1300℃、酸素分圧1.0体積%において5時間温度を保持した後、950℃まで冷却し、950℃において2時間温度保持を行った。次に、再度1200℃まで昇温させ、1200℃において10〜30分間温度を保持した後、室温まで冷却した。焼成プロファイルの代表例を図6に示す。
このようにして、トロイダル形状のフェライトコア(外径20mm、内径10mm、厚さ5mm)、およびI字型形状のフェライトコア(長さ40mm、幅4mm、厚さ3mm)を得た。
フェライトコアの飽和磁束密度Bsは、トロイダル形状のコアを直流BHトレーサー(型式SK110,メトロン技研製)により測定し、100℃、外部磁界1194A/mにおける磁束密度の値を飽和磁束密度Bsとした。
フェライトコアの磁気損失Pcvは、トロイダル形状のコアをB−Hアナライザー(型式:SY−8217,岩通計測製)により測定し、100℃、磁束密度200mT、周波数100kHzにおける磁気損失Pcvの値を得た。
SiとCaの組成分析は収束イオンビーム(FIB)加工装置および、エネルギー分散型X線分析装置(EDS:JED−2300T)を付設した透過型電子顕微鏡(TEM:JEM−2100F)を用いて行った。また、TEM観察には平均結晶粒径以上の粒子をFIB加工装置で薄片化したものを用いた。平均結晶粒径は光学顕微鏡を用いてコア中心部の断面観察を行い、1mm×1mmの視野内にある全ての結晶のheywood径を測定し平均を算出した。図5に(a)フェライトコアの断面の光学顕微鏡写真と(b)TEM観察像および組成分析箇所を示した。組成分析は薄片試料面にほぼ垂直な2粒子粒界において粒界法線方向に線分析を行い、Ca濃度が最大となる点をA、点Aから粒子内部方向に5nm進んだ点をBとし、各点におけるCa濃度およびSi濃度の値を得た。その際、電子線のスポットサイズは1nm以下とした。また、1試料につき10ヶ所測定を行い、点AにおけるCa濃度が最大のものと最小のものを除く8ヶ所についてCa濃度およびSi濃度の平均値を算出し、これらの値をXおよびYとした。
フェライトコアの強度評価として3点曲げ強度を測定した。JISR1601に記載の方法に従い、試験治具3p−30及び全長40mmのI字型形状のコアを用いて測定を行い、その値を曲げ強度σb3とした。
表1および表2に測定結果を示す。なお、各試料において、飽和磁束密度が480mT以上を満たし、かつ、曲げ強度が120MPa以上を満たすものを実施例とし、これを満たさないものは比較例とした。
注)添加成分としてNb:150ppmを含む
以上の測定結果より、以下のことが判る。なお、表2中の「−」はその材料を添加していないことを示している。
(表1)
1200℃での保持時間が長い(比較例1、4、7参照)と、結晶粒子内への酸化カルシウムの固溶が過剰となるため、Xの値が0.5より小さく、あるいはYの値がX+0.5よりも大きくなり、曲げ強度が120MPaより低くなってしまう。一方、1200℃での保持時間が短い(比較例2、5、8、9)と、結晶粒子内への酸化カルシウムの固溶が不十分となるため、Yの値がX+0.05より小さくなり、曲げ強度が120MPaより低くなってしまう。特に、950〜1200℃への再昇温操作を行わずに通常の冷却プロファイルで作製した場合(比較例3、6、10)、酸化カルシウムの粒界偏析が過剰となるため、Xの値が1.0より大きく、あるいはYの値がX+0.05より小さくなり、曲げ強度が120MPaより低くなってしまう。
また、Fe量が64.0mol%未満(比較例11、16参照)だと100℃における飽和磁束密度Bs(以下、100℃における、は省略)が480mTより低くなってしまう。一方、Fe量が72.5mol%を超える(比較例12参照)と飽和磁束密度Bsが480mTより低くなってしまう。また、ZnO量が7.5mol%未満(比較例13参照)だと飽和磁束密度Bsが480mTより低くなってしまい、一方、ZnO量が20mol%を超えても(比較例14、15参照)飽和磁束密度Bsが480mTより低くなってしまう。また、MnO量が2.5mol%未満(比較例15参照)だと飽和磁束密度Bsが480mTより低くなってしまい、一方、MnO量が28.49mol%を超えても(比較例16参照)飽和磁束密度Bsが480mTより低くなってしまう。また、NiO量が0.01mol%未満(比較例17参照)だと飽和磁束密度Bsが480mTより低くなってしまい、一方、NiO量が5mol%を超えても(比較例18参照)飽和磁束密度Bsが480mTより低くなってしまう。また、SiO量が50ppm未満(比較例19、20)だと曲げ強度が120MPaより低くなってしまい、一方、SiO量が300ppmを超えても(比較例23、24参照)曲げ強度が120MPaより低くなってしまう。また、CaCO量が200ppm未満(比較例19、21参照)だと曲げ強度が120MPaより低くなってしまい、一方、CaCO量が3000ppmを超えても(比較例22、24)曲げ強度が120MPaより低くなってしまう。
以上に対して、酸化鉄をFe換算で64.0〜72.5mol%、酸化亜鉛をZnO換算で7.5〜20.0mol%、酸化ニッケルをNiO換算で0.01〜5.0mol%、残部が酸化マンガンである組成からなり、副成分として酸化カルシウムをCaCO換算で200〜3000ppm、及び酸化ケイ素をSiO換算で50〜300ppm含み、0.5≦X≦1.0、X+0.05≦Y≦X+0.5の関係を満たす場合に、100℃における飽和磁束密度Bsが480mT以上、曲げ強度が120MPa以上という特性を得ることができる。
(表2)
他の副成分については以下の通りである。Nb及びTaを添加することにより、磁気損失Pcvを低減することができる(実施例25〜33参照)。しかし、添加しすぎると磁気損失が悪くなるので、最適な添加量の範囲はNbを50〜750ppm以下、Taを50〜1500ppm以下とする。また、Vを添加することにより、磁気損失Pcvを低減することができる(実施例34〜37参照)。しかし、添加しすぎると磁気損失が悪くなるので、最適な添加量の範囲はVを50〜1000ppm以下とする。また、ZrOを添加することにより、磁気損失Pcvを低減することができる(実施例38〜41参照)。しかし、添加しすぎると磁気損失が悪くなるので、最適な添加量の範囲はZrOを50〜500ppm以下とする。また、SnOを添加することにより、磁気損失Pcvを低減することができる(実施例42〜45参照)。しかし、添加しすぎると磁気損失が悪くなるので、最適な添加量の範囲はSnOを500〜8000ppm以下とする。
以上のように、本発明に係るフェライトコアは100℃近傍における飽和磁束密度が高く、かつ、高い強度を有するので、チョークコイルなどの部品に好適に用いることができる。特にスイッチング電源用のチョークコイルに好適である。
本発明の実施形態に係るフェライトコアの断面の一部を拡大した模式図である。 (a)本発明の実施形態に係るE字型のフェライトコアを示す斜視図である。(b)本発明の実施形態に係るチョークコイルの一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る、スイッチング電源装置の構成を示すブロック図である。 スイッチング電源装置200を備えた自動車の主要部分を概略的に示すブロック図である。 (a)はフェライトコアの断面写真であり、(b)TEM観察像及び組成分析箇所である。 本発明の実施形態に係る、焼成パターンを示す図である。
1 結晶粒子
2 粒界
100 フェライトコア(磁心)
101 中脚部
102 コイル

Claims (4)

  1. 主成分として酸化鉄をFe換算で64.0〜72.5mol%、酸化亜鉛をZnO換算で7.5〜20.0mol%、酸化ニッケルをNiO換算で0.01〜5.0mol%、残部が酸化マンガンである組成からなり、第1副成分として酸化カルシウムをCaCO換算で200〜3000ppm、および酸化ケイ素をSiO換算で50〜300ppm含むMnZn系フェライトであって、前記MnZn系フェライトはスピネル構造を有する多結晶体であり、その粒界が非晶質からなり、前記粒界のCa濃度が最大となる点AにおけるCa/Si比Xが下記式(1)を満たし、かつ、前記粒界の点Aから結晶粒子内へ5nmの点BにおけるCa/Si比Yが下記式(2)を満たすことを特徴とするフェライトコア。
    0.5≦X≦1.0 …式(1)
    X+0.05≦Y≦X+0.5 …式(2)
    ただし、X、Y=Ca濃度(at%)/Si濃度(at%)
  2. 前記主成分に対し、第2副成分として、NbをNb換算で50〜750ppm、TaをTa換算で50〜1500ppm、VをV換算で50〜1000ppm、ZrをZrO換算で、50〜400ppm、及びSnをSnO換算で500〜8000ppmの1種以上を含むことを特徴とするフェライトコア。
  3. 請求項1または請求項2に記載のフェライトコアを用いて構成される電子部品
  4. 請求項3に記載の電子部品を備えた電源装置。
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