JP6364671B1 - サイズ調整された指輪及び指輪のサイズ調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 リング本体4をカットし、それらカット端4a,4b同士を接合するか、あるいはカット部分に延長部材8を介在させて上記カット端4a,4bと延長部材8とを接合して、リング本体4のサイズを調整してなる指輪において、上記カット端4a,4b同士、あるいは上記カット端4a,4bと延長部材8との接合面S1の周囲に溶接溝6が形成されるとともに、この溶接溝6がレーザーで溶融した溶加材7で埋められて上記接合面が接合されるとともに、溶接溝から外周方向に膨らんだ上記溶加材部分7が加圧鍛錬されたことを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
指輪のサイズ調整の際には、図7に示すようなリング本体1をカットして、その周の長さを調整してからカット端1a,1b間をロウ付けし、再度リング本体を形成するようにしていた。
そして、ロウ付け後に、図8のように接合面からはみ出したロウ材3を研磨して表面を整えていた。
もしも、リング本体が変形してしまえば、見た目の印象も変わってしまい、初期のデザイン効果が得られない。そのうえ、リング本体に宝石を保持した石枠が設けられていた場合には、リング本体の歪みが石枠などにも影響して、宝石が外れてしまうようなことも起こる。
つまり、リング本体が変形しやすい指輪は様々な問題があった。
そこで、変形し難くいリング本体として、鍛造製のリング本体が形成されることがある。
鍛造製のリング本体は、鋳造製のものと比べて強度が高くなるため、装着時の圧力によって変形しにくい。
リング本体が変形しなければ、その歪みが石枠に及んで宝石が外れてしまったり、指輪全体のデザインの印象が変化してしまったりすることもない。
また、ロウ材を溶融させるガスバーナーの熱が、鍛造製のリング本体部分にも及び、ロウ付け部分の外側まで、熱作用によって強度が低下してしまうこともあった。
つまり、鍛造製にすることで強度を高くした鍛造製のリング本体が、サイズ調整をすることによって部分的に強度低下してしまい、鍛造製のリング本体における変形しにくいという特徴が損なわれてしまうという問題があった。
この発明の目的は、変形しにくいという、鍛造製のリング本体の特徴を損なうことなく、サイズ調整された指輪を提供することである。
第3の発明は、上記溶接溝における、上記リング本体の周に沿った断面が、上記接合面の外周からリング本体外周の開口に向かって大きくなるテーパー状であることを特徴とする。
上記溶加材による接合部は、リング本体と同質の材料で構成されるとともに加圧鍛錬されているので、ロウ材を用いた従来のように、接合部の強度を著しく低下させることがなく、鍛造製のリング本体の他の部分に近い強度が得られる。
また、接合面の周囲に溶接溝を形成しているので、溶加材がリング本体の太さの中心部まで届き易く、溶加材が接合面の外周を隙間なく囲んでカット端同士、あるいはカット端と延長部材とを確実に接合できる。
また、レーザーを用いているので、熱をピンポイントで作用させることができ、溶接溝の外側の広い範囲に熱が作用することを防止できる。したがって、リング本体における溶接溝の外側部分を、熱の作用で強度を低下させるようなことがない。
したがって、リング本体の一部をカットしてサイズ調整しても、鍛造製のリング本体の、変形しにくいという特徴は維持されたままで、サイズが合った指輪を提供できる。
また、リング本体と同質の溶加材を用いることで、接合部の色や艶が他の部分と異なって違和感を与えるようなこともない。
第4の発明によれば、サイズ調整しても、サイズ調整前の鍛造製のリング本体の強度を最大限に維持することができる。また、接合部の色や艶が他の部分と異なって違和感を与えることもない。
図1は、サイズ調整をする前の指輪で、鍛造製のリング本体4に装飾部5を備えたものである。上記装飾部5は、宝石5aを石枠5bで保持したものである。石枠5bは、鍛造製でも鋳造製でもよいが、鋳造で形成したほうが繊細なデザインを実現しやすい。
まず、リング本体4の一部をカットする。カットする部位は特に限定されないが、図1のように装飾部5を備えた指輪では、装飾部5から最も離れた部位をカットすることが好ましい。装飾部5にリング本体4の歪みが及ばないようにするためである。
この第1実施形態では、サイズを小さくするため、余分な長さd1分を取り除くようにしてカット端4a,4bでカットしている。
具体的には、リング本体4と同質の金属製線材の先端を溶接溝6の開口6aに臨ませた状態で、上記金属製線材をレーザーで溶融させて溶加材7とする。この溶加材7を、溶接溝6内に盛るようにして溶接溝6を埋めていく。
このように溶接溝6を埋めた溶加材7が固化すれば、溶加材7によって上記カット端4a,4bからなる接合面S1が接合され、リング本体4が再形成される。
なお、上記溶加材7を溶融させる際に、上記接合面S1に対してピンポイントでレーザーを照射して接合面S1を溶融して接合することができる。
その後、必要に応じて、研磨や彫刻などによって、表面を整える。
さらに、レーザーはピンポイントでの加熱が可能なので、接合面S1や溶加材の溶融時に、熱の影響を受ける範囲を小さくでき、接合部の周囲が熱の作用によって強度低下することを防止できる。
また、この第1実施形態では、溶加材7の部分を加圧鍛錬しているので、溶加材7からなる接合部の強度を鍛造に近づけ、変形しにくい鍛造製のリング本体4の特徴を維持できる。
例えば、図8に示す従来のように、溶接溝が形成されていなければ、接合面S1間に溶加材を流し込まなければならないが、接合面S1の面積が大きくなればなるほどその中心まで溶加材を到達させることが難しくなる。そして、溶加材が介在しない接合面S1の面積が大きくなれば、接合面S1の結合力が弱くなってしまう。
また、仮に接合面S1をレーザー溶接しなくても、接合面S1の周囲を囲む溶加材7によって接合面S1を接合させることもできる。
上記延長部材8は、リング本体4と同質の材料を用いて鍛造で形成した部材である。この延長部材8の端面8a,8bに、テーパー状にしたリング本体4のカット端4a,4bを突き合せ、この突き合せ面を接合面S2,S3としている。
そして、上記溶接溝9,10に、リング本体4及び延長部材8と同質金属をレーザーによって溶融させた溶加材を埋め込んで、上記接合面S2,S3を結合する。
その後、第1実施形態と同様に、溶加材部分を加圧鍛錬し、表面を整える。
また、レーザーを用いたピンポイントの加熱が可能なため、接合部以外の部分が熱作用によって強度低下することを防止できる。さらに、相対的に面積が小さい接合面S2,S3をピンポイントで加熱して溶接することもできる。
なお、この第2実施形態では、延長部材8の両端面8a,8b側は、テーパー状にしていないが、端面8a,8b側をテーパー状にして、リング本体4側を平坦面としてもよいし、両側をテーパー状にしてもよい。両側をテーパー状にした場合には、溶接溝9,10が大きくなる。
第3実施形態では、リング本体4のカット端4a,4b側を削ってリング本体4の断面よりも小面積の接合面S4を形成しながら、その周囲に断面が四角形の溶接溝11を形成している。
この溶接溝11に溶加材を埋め込んで、接合面S4を結合させる。
なお、溶接溝の形状は、溶加材を埋め込むことができれば、どのようなものでも構わない。
ただし、溝の底部である接合面の外周から開口に向かって断面が大きくなる形状が、溶加材が中心部まで入り込みやすいため、接合の作業性の点で有利である。
さらに、この発明は、装飾部5を備えずに、リング本体4のみからなる指輪にも適用できる。
4a,4b カット端
6,9,10,11 溶接溝
6a 開口
7 溶加材
8 延長部材
8a,8b 端面
F 圧力
S1〜S4 接合面
Claims (4)
- 鍛造製のリング本体をカットし、それらカット端同士を接合するか、あるいはカット部分に延長部材を介在させて上記カット端と延長部材とを接合して、リング本体のサイズを調整してなる指輪において、
上記カット端同士、あるいは上記カット端と延長部材との接合面の周囲に溶接溝が形成されるとともに、
この溶接溝が、上記リング本体と同質の金属を溶融した溶加材で埋められて上記接合面が接合されるとともに、上記溶接溝から外周方向に膨らんだ上記溶加材部分が加圧鍛錬されたことを特徴とする
サイズ調整された指輪。 - 上記接合面を溶融して接合した請求項1に記載のサイズ調整された指輪。
- 上記溶接溝における、上記リング本体の周に沿った断面が、上記接合面の外周からリング本体外周の開口に向かって大きくなるテーパー状である請求項1又は2に記載のサイズ調整された指輪。
- 鍛造製のリング本体をカットし、
上記カット端同士、あるいは上記カット端とカット部分に介在させる延長部材との接合面の周囲に溶接溝を形成し、
上記溶接溝に、上記リング本体と同質の金属をレーザーで溶融した溶加材を盛るようにして上記溶接溝を埋め、
上記溶接溝から外周方向に膨らんだ溶加材の部分を外側から叩いて表面を整形して加圧鍛錬する
指輪のサイズ調整方法。
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