以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、実施の形態における医療情報検索装置1を含む医療機関内に構築された通信ネットワークNの全体構成を示すブロック図である。
通信ネットワークNは、医療機関内におけるバックボーンたる基幹LANN1と、当該基幹LANN1に接続される枝葉となる2つのLANである第1のLAN100、第2のLAN200とから構成されている。これら第1のLAN100、第2のLAN200は、例えば、各科においてそれぞれ構築されている個別のLANであり、それぞれのLANに接続される装置は互いに有線で接続されている。
なお、図1においては第1のLAN100、第2のLAN200の2つの個別のLANのみを示しているが、基幹LANN1に接続する個別のLANの数に制限はない。
第1のLAN100、第2のLAN200は、それぞれ第1のルータR1、第2のルータR2を介して基幹LANN1に接続している。第1のルータR1、或いは、第2のルータR2(以下、適宜これらをまとめて「ルータR」と表わす)は、通信ネットワークNを構成する複数の個別LANの間における医療情報のやり取りを中継する。
また、第1のLAN100、第2のLAN200といった個別のLANにはそれぞれ各LANに接続する際のアクセスポイントとなる無線通信機器W1,W2が接続されている。従って、無線通信機器W1,W2(以下、これらをまとめて適宜「無線通信機器W」と表わす。)の働きにより、それぞれ第1のLAN100、第2のLAN200を構成する各装置と医療情報検索装置1との間で接続(通信回線の確保)が可能とされるため、同じように例えば医用画像に関する情報のやりとりが可能となる。
通信ネットワークNの例としては、有線LANや、例えば図1における全体図においては示していないが、インターネット等のネットワークも挙げることができる。また、この通信ネットワークNで使用される通信規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
第1のLAN100には、第1の無線通信機器W1と、2台の医用画像診断装置101,102と1台のワークステーション103が接続されている。一方、第2のLAN200には、第2の無線通信機器W2と、1台の医用画像診断装置201と2台のワークステーション202,203が接続されている。
但し、1つのLANに接続される医用画像診断装置やワークステーションの数は特定されず、任意である。また、図1に示されている第1の無線通信機器W1と、第2の無線通信機器W2については、例えば、「Wi−Fi(登録商標)」といった規格を備えていても良い。
医用画像診断装置やワークステーションは、それぞれが接続するLANを介して、例えば、医用画像診断装置において生成された医用画像をやり取りしたり、或いは、ワークステーションからの指示が医用画像診断装置へと送信される。
以下では医用画像、検査情報、各医用画像診断装置において行われた検査や検査結果を示す情報やこれらをまとめたリスト、ワークステーションから医用画像診断装置へと送信される指示といった、通信ネットワークN上においてやり取りされる情報をまとめて「医療情報」と表わす。また、LANに接続されている医用画像診断装置、或いは、ワークステーションをまとめて、適宜「医用装置」と表わす。
なお、以上のような構成をもって通信ネットワークNが形成される場合、基幹LANN1或いは、各LANに接続されている各医用装置は、例えば、病院情報管理システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった医療機関内に構築された各種管理システムの全て、或いは、その一部を構成するようにされていても良い。
LANに接続されている医用画像診断装置は、例えば被検体を撮影してその内部情報を取得する、或いは、取得された情報を利用して医用画像を生成する装置である。この医用画像診断装置としては、例えば、上述したようにX線CT装置や磁気共鳴診断装置等が該当する。
ワークステーションは、医師等が医用画像を利用して患者の診察を行ったり、或いは、医用画像の読影を行う際に使用される医用装置である。医師等の利用者は、このワークステーションにおいて生成した要求をLANを介して対象となる医用画像診断装置へと送信することによって、必要とする医療情報を取得する。
次に、これら各LANに接続されている医用装置に接続し、必要な医療情報を検索、取得する装置が医療情報検索装置1である。医療情報検索装置1は、無線を利用してアクセスポイントである無線通信機器Wに接続する。
医療情報検索装置1は、例えば、医師や看護師等といった利用者が診察、看護等において医療情報が必要となった場合に使用され、無線で無線通信機器Wに接続し、各LANに接続されている、例えば医用画像診断装置から必要な医療情報を検索、取得する。
なお、この医療情報検索装置1は、有線、或いは無線でそれぞれのLANに接続することが可能とされていれば、例えば、据え置き型の情報端末であってもタブレット等の携帯情報端末であっても良い。
図2は、実施の形態における医療情報検索装置1の内部構成を示すブロック図である。
医療情報検索装置1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、表示部1gと、通信制御部1hと、記憶部1iと、リムーバブルディスク1jとが接続されている。また、入出力インターフェイス1dを介して、ネットワーク接続部10と、検索特定部20と、医療情報取得部30も接続されている。
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bから医療情報検索装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、図2において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。
さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、医療情報の取得のための処理やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
入力部1fは、医療情報検索装置1の利用者が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。また、入力部1fがタッチパネルであっても良い。
表示部1gは、例えば液晶ディスプレイである。この表示部1gは、CPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、例えば利用者が必要とする医療情報の検索を行うに当たっての条件設定に必要な画像、取得した医療情報等、或いはCPU1aの処理結果等を表示する。
通信制御部1hは、LANカードやモデム等の手段であり、医療情報検索装置1を無線LANやインターネット等の通信ネットワークNに接続することを可能とする手段である。通信制御部1hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
記憶部1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
リムーバブルディスク1jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。なお、医療情報検索装置1が携帯情報端末である場合には、当該リムーバブルディスク1jは設けられていなくても良い。
ネットワーク接続部10は、医療情報検索装置1を通信ネットワークNに接続し所望の医療情報を保持する医用装置との間で通信回線を確保する機能を果たす。すなわち、アクセスポイントとなる無線通信機器Wに接続要求の信号を無線で送信し、所望の医療情報を備える医用画像診断装置等の各医用装置に医療情報検索装置1を接続させる。
後述するように、医療情報検索装置1を所望の医療情報を保持する医用装置に接続させる場合には、通信ネットワークNを構成する接続可能な無線通信機器Wを検索し、その検索の結果見つかった複数の無線通信機器Wのうちいずれかに接続する。その上で、その無線通信機器Wを介して所望の医療情報を取得するために通信回線を確保する必要がある医用装置との間で通信が可能か確認する。当該医用装置に接続できない場合には、医療情報検索装置1は改めて別の無線通信機器Wに接続し、上記確認を繰り返して医用装置との通信が可能な無線通信機器Wを特定する。
図3は、実施の形態における検索特定部20の内部構成を示すブロック図である。検索特定部20は、受信部21と、確認部22と、計時部23と、装置特定部24と、送信部25とから構成される。これら検索特定部20を構成する各部の詳しい機能については、後述する医療情報検索装置1が必要とする医療情報を取得する流れの中で順次説明する。
医療情報取得部30は、医療情報検索装置1が通信ネットワークNに接続された後、接続された通信ネットワークNに接続されている医用画像診断装置等から必要な医療情報を医療情報検索装置1に取得する。
図4は、実施の形態における医療情報取得部30の内部構成を示すブロック図である。医療情報取得部30は、受信部31と、医療情報要求部32と、判断部33と、装置確認部34と、送信部35とから構成される。これら医療情報取得部30の機能についても後述する医療情報検索装置1が必要とする医療情報を取得する流れの中で順次説明する。
図5、図6は、第1の実施の形態において必要な医療情報を備える医用画像診断装置が判明している際の当該医療情報を取得するまでの各機器の間での情報のやりとりを示すシーケンス図である。図5、或いは、図6に示すシーケンス図においては、真ん中に医療情報検索装置1の機能が示されており、左側に第1のLAN100があり、右側に第2のLAN200が示されている。
ここでは、医療情報検索装置1を使用する利用者が必要とする医療情報の在処を、利用者自身が把握している場合を例に挙げて説明する。すなわち、利用者は、所望の医療情報がいずれの医用装置(ここでは医用画像診断装置)に保持されているかを認識しており、医療情報検索装置1を当該医用画像診断装置に接続させて、所望の医療情報を取得する場合である。
まず医療情報検索装置1は、利用者によって検索対象となる医療情報の基となる患者情報が入力されたことを確認する(ST1)。例えば、医療情報検索装置1の利用者である医師が、患者の診察を行っている際にある医療情報が必要となった場合に、医療情報検索装置1を使用して所望の医療情報を検索、取得する。
このような場合、診察を行っている患者に関する医療情報を検索することになることから、利用者は、まず患者情報を入力する。この患者情報としては、例えば、患者氏名、医療機関から患者に割り当てられている患者ID等、患者を一意に特定することができる情報であればどのような情報であっても良い。
患者情報が入力されることによって、例えば、当該患者がこれまで受診してきた検査等に関する情報の概略を取得することができる。この概略からは、例えば、検査が行われた日時、担当者、検査等を受診した際に用いられた医用画像診断装置等に関する情報を入手することができることも多い。
そこで、医療情報検索装置1では、入力された患者情報を基に、当該患者の医療情報を備える医用画像診断装置を特定する(ST2)。ここでは説明の都合上、特定された医用画像診断装置を第1のLAN100に接続している医用画像診断装置102とする。なおこの医用画像診断装置の特定に当たっては、CPU1aが行っても良く、或いは、検索特定部20において行っても良い。
利用者が所望する医療情報を保持する医用画像診断装置が特定できると、医療情報検索装置1のネットワーク接続部10は、接続可能な無線通信機器Wを検索し、当該検索の結果見つかった複数の無線通信機器Wのうち手近な無線通信機器Wに接続を開始する(ST3)。
ここではまず、第2の無線通信機器W2をアクセスポイントとして第2のLAN200に接続する。医療情報検索装置1が第2の無線通信機器W2に接続すると、検索特定部20の確認部22が、第2の無線通信機器W2を介して、既に特定された医用画像診断装置102に対してDICOM ECHOを送信する(ST4)。
この「DICOM ECHO」とは、医療情報のやり取りを行う装置間においてDICOM規格の医療情報のやり取りができるか、すなわち、通信可能であるか否かを確認するための信号(通信要求)である。従って、通信ネットワークNに接続されている各装置がDICOM規格の情報を取り扱えるだけではなく、医療情報検索装置1についてもDICOM規格の情報を取り扱うことができることが前提となる。
医療情報検索装置1からDICOM ECHOが送信されると、第2の無線通信機器W2(第2のLAN200)から第2のルータR2、及び第1のルータ100を介して第1のLAN100に接続している医用画像診断装置102へとこのDICOM ECHOが送信される。すなわち、検索特定部20によって、医用画像診断装置102が検索されることになる。
通常、DICOM ECHOが送信され送信先となる装置が受信すると、返信を送信元となる装置に送り返すことになる。ここではある時間内に当該返信が戻って来るかをチェックすることで、送信先となる装置からの返信の有無を判断する。
そこで確認部22が、DICOM ECHOを医用画像診断装置102に向けて送信すると同時に、計時部23に対して、時間の計測を開始するよう指示する。また、確認部22は、予め設定されている所定の時間が経過したか否か、計時部23の計時を適宜確認する(ST5)。
確認部22は、所定の時間が経過した後(ST5のYES)、DICOM ECHOを送信した医用画像診断装置102からの返信があったか否か、つまり、医用画像診断装置102と医療情報検索装置1との間で接続ができたか否か確認する(ST6)。
その結果、医用画像診断装置102からの返信を受信した場合には(ST6のYES)、第2の無線通信機器W2を介して第1のLAN100に接続されている医用画像診断装置102との間で通信が可能であると判断できる。そこで装置特定部24は医用画像診断装置102との間で通信回線が確保できたことをもって医用画像診断装置102を医療情報検索装置1との間で通信を行う対象として特定し、通信を開始する(ST7)。
一方、医療情報検索装置1(装置特定部24)がDICOM ECHOに対する医用画像診断装置102からの返信を受信しない場合には(ST6のNO)、第2の無線通信機器W2を介しての医用画像診断装置102との通信は不可能であると判断できる。
例えば、第1のLAN100と基幹LANN1とをつなぐ第1のルータR1において何らかのセキュリティが設定されている場合、第2の無線通信機器W2(第2のLAN200)経由で第1のLAN100に接続している医用画像診断装置102へとDICOM ECHOを送信しても、第1のルータR1においてブロックされてしまうような場合である。この場合には、ネットワーク接続部10において別の無線通信機器Wに接続し直した上で、改めて医用画像診断装置102との間で通信を開始することができるか否か確認する必要がある。
そこで医療情報検索装置1のネットワーク接続部10は、再度別の無線通信機器Wに接続する処理を開始する(ST8)。ここでは第1のLAN100を構成する第1の無線通信機器W1への接続を試みる。医療情報検索装置1が第1の無線通信機器W1(第1のLAN100)に接続された後、検索特定部20の確認部22は、上述したように、第1のLAN100に接続されている医用画像診断装置102に対してDICOM ECHOを送信する(ST9)。その上で、確認部22からの指示に基づいて計時部23が所定の時間の計測を開始し、確認部22は当該所定の時間が経過するまで待機となる(図6のST10のNO)。
所定の時間が経過すると(ST10のYES)、装置特定部24は、第1のLAN100に接続されている医用画像診断装置102から返信があったか否かを確認する(ST11)。もし返信がなかった場合は(ST11のNO)、ネットワーク接続部10を介してさらに別の無線通信機器Wとの間で接続確認を行い、この無線通信機器Wを介して医用画像診断装置102と通信可能であるか否かを確認する(ST12)。
但し、ここではさらに別の無線通信機器Wとの間で接続確認を行うことはなく、説明の都合上、第1のLAN100に接続されている医用画像診断装置102からの返信があったことを前提に説明を続ける。
医用画像診断装置102から返信があったということは、第1の無線通信機器W1を介してこの医用画像診断装置102と医療情報検索装置1との間で通信回線が確保され(ST13)、両装置の間で通信が可能であるということである。そこで装置特定部24は、医用画像診断装置102を医療情報検索装置1との間で通信を行う医用装置であると特定し、両装置の間で通信が開始される(ST14)。
ここでの説明の前提は、医療情報検索装置1が無線通信機器Wを用いて医療情報を取得するに当たって、当該医療情報がいずれの医用画像診断装置に保持されているか、事前に特定されている。従って、検索特定部20から医用画像診断装置102との間で通信が開始されたことを示す信号を受信した医療情報取得部30の医療情報要求部32は、当該医用画像診断装置102に対して、医師等の利用者が所望とする医療情報の要求を出す(ST15)。
医療情報要求部32からの要求信号を受信した医用画像診断装置102は、自身が保持している医療情報の中から要求された医療情報を検索する(ST16)。そして検索された医療情報を医療情報検索装置1に対して送信する(ST17)。
このような処理を通して、医療情報検索装置1の利用者は、自身が要求する医療情報を適切に取得することができる。特に医療情報検索装置1は、自動で通信ネットワークNを構成する各無線通信機器Wに接続し、対象となる医用画像診断装置との間で接続確認を行う。これにより利用者は手動でアクセスポイントを手動で切り替えることなく医療の現場において簡易、迅速に所望の医療情報を取得することができる。
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
第2の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態場合とは異なる場合を例に挙げて医療情報検索装置1が無線通信機器Wを介して医用画像診断装置と接続し所望の医療情報を取得する流れについて説明する。
これまでは、利用者が所望する医療情報がいずれの医用装置に保持されているか判明していることを前提として説明してきた。第2の実施の形態においては、医療情報検索装置1が必要とする医療情報が通信ネットワークNに接続されているいずれの医用装置に保持されているか不明な場合を例に挙げて説明する。
図7ないし図9は、第2の実施の形態において必要な医療情報を備える医用画像診断装置が不明である場合に、医療情報検索装置1が当該医療情報を取得するまでの流れを示すフローチャートである。
まず利用者が必要とする医療情報がいずれの患者の医療情報であるかを特定するための患者情報が医療情報検索装置1に入力される。医療情報検索装置1では患者情報が入力されたことを確認する(ST21)。この患者情報が入力されなければ、必要とする医療情報を検索し取得することができないからである。
ここではこの患者情報のみで、この患者に関する医療情報を備える医用画像診断装置が特定されることなく、ネットワーク接続部10はすぐに無線通信機器Wに接続する(ST22)。ここでは説明の都合上、利用者が必要とする医療情報を備える医用画像診断装置が接続している第1の無線通信機器W1(第1のLAN100)に医療情報検索装置1がすぐに接続した場合を例に挙げて説明する。
上述したように、必要とする医療情報がいずれの医用画像診断装置に保持されているか特定できているのであれば、ネットワーク接続部10による無線通信機器W1への接続を介して検索特定部20はその医用画像診断装置との通信を開始する。しかしいずれの医用画像診断装置に必要とする医療情報が保持されているか不明な場合には、通信ネットワークNに接続されている全ての医用画像診断装置に対して必要とする医療情報を保持しているか否か順に問い合わせをしていく必要がある。
そこで検索特定部20は、第1の無線通信機器W1を介して第1のLAN100に接続されている医用画像診断装置に対してDICOM ECHOを送信し(ST23)、所定の時間が経過するまで待機し(ST24)、第1のLAN100に接続されているいずれかの医用画像診断装置から返信があるか否か確認する(ST25)。
なお、第1の実施の形態においては、必要とする医療情報がいずれの医用画像診断装置に保持されているか事前に把握されていたことから、装置特定部24がすぐに医療情報検索装置1が接続する医用装置(医用画像診断装置102)を特定することができた。
一方で、第2の実施の形態においては、上述したように、いずれの医用画像診断装置に必要とする医療情報が保持されているか不明であることを前提としている。従って、ここでは装置特定部24がすぐに接続の対象となる医用画像診断装置を特定するわけにはいかず、確認部22が医用画像診断装置から返信があるか否か確認する。
確認部22が第1のルータR1においてセキュリティの条件から接続が拒否され返信がなかったと判断した場合には(ST25のNO)、ネットワーク接続部10による別の無線通信機器Wとの間で改めて接続確認の処理を行う(ST26)。
一方確認部22が医用画像診断装置からの返信を受信した場合(ST25のYES)には、当該医用画像診断装置が接続されているLANの無線通信機器W(ここでは第1のLAN100の第1の無線通信機器W1)に接続し、第1のLAN100に接続されている医用画像診断装置との間で通信を開始する(ST27)。
医療情報検索装置1は、第1のLAN100に接続されている医用画像診断装置のうち接続の対象となる医用装置を特定することなく、最初の医用画像診断装置との間で通信を開始する。医療情報取得部30は、当該最初の医用画像診断装置に対して医療情報リストを要求する(ST28)。
ここで医療情報検索装置1は、第1の無線通信機器W1を介して第1のLAN100に接続されている全ての医用画像診断装置に対して医療情報リストの要求を行う。この要求は、医療情報検索装置1が必要とする医療情報が全て取得できるまで続けられる。従って、第1のLAN100に接続されている全ての医用画像診断装置に対して順々に要求することになる。
つまり、この要求を最初に送信する対象となる医用画像診断装置は第1のLAN100に接続されている医用画像診断装置であればいずれであっても良い。ここではこのように医療情報検索装置1から最初に要求を受信する医用画像診断装置を「第1の医用画像診断装置」と表わし、便宜上図1に示す医用画像診断装置101とする。
また、「医療情報リスト」とは、医療情報検索装置1からの問い合わせに対して医用画像診断装置が提出(送信)するものであり、当該医用画像診断装置が保持している医療情報の全てが示されているものである。従ってここでは「医療情報リスト」と表わしているが、必ずしも「リスト」形式にされている必要はない。
医療情報検索装置1は、第1のLAN100に接続されている第1の医用画像診断装置に対して医療情報リストを要求し、当該要求に応答して第1の医用画像診断装置である医用画像診断装置101から送信された医療情報リストを受信する(ST29)。当該医療情報リストは、医療情報取得部30において受信され、医療情報要求部32から判断部33へと渡される。
判断部33では、医療情報要求部32から受信した医療情報リストを基に、当該医療情報リストの中に必要とする医療情報が含まれているか判断する(ST30)。その結果、当該医療情報リスト内に必要とする医療情報が含まれている場合には(ST30のYES)、その旨医療情報要求部32へ回答し、医療情報要求部32が当該医療情報リストを送信してきた医用画像診断装置101(第1の医用画像診断装置)に対して所望の医療情報を要求する(ST31)。
なお、併せて判断部33の判断結果は、検索特定部20の装置特定部24へと送信され、この判断結果をもって、医療情報検索装置1との間で通信の対象となる装置が特定されることになる。
第1の医用画像診断装置である医用画像診断装置101は、医療情報検索装置1からの送信要求を受信し、該当する医療情報を検索した上で、医療情報検索装置1へ送信(返信)する(図8のST32)。医療情報検索装置1は、医用画像診断装置101から送信されて来た所望の医療情報を受信する(ST33)。
これで医療情報検索装置1は、医療情報検索装置1が必要とする医療情報のうち、少なくとも第1の医用画像診断装置が備えている医療情報を取得したことになる。但し、取得した医療情報が医療情報検索装置1が必要とする医療情報の全てであるか否かは確認する必要がある。
すなわち、医療情報検索装置1が必要とする医療情報の全てを第1の医用画像診断装置が保持していなかった場合には、第1の医用画像診断装置以外の医用画像診断装置が医療情報検索装置1が必要とする医療情報の一部を保持している可能性が高いと考えられる。この場合は、依然として医療情報検索装置1が必要とする医療情報は揃っていないことになり、さらなる医療情報の取得が必要となる。
そこで医療情報取得部30の判断部33は、医療情報検索装置1が、必要とする医療情報の全てが揃ったか否か(取得できたか否か)確認する(ST34)。第1の医用画像診断装置が保持している医療情報のみで医療情報検索装置1が必要とする医療情報の全てが取得できたと判断した場合には(ST34のYES)、この段階で医療情報の取得処理は終了する(符号Dで図9の「エンド」につながる)。
一方、判断部33が医療情報検索装置1が必要とする医療情報の不足の有無を判断した結果、不足があると判断した場合には(ST34のNO)、その旨医療情報要求部32へ送信する。
医療情報要求部32は、現在接続しているLAN(ここでは第1のLAN100)に接続されている、他の医用画像診断装置全てに対して医療情報リストの送付要求をしているか装置確認部34に確認させる(ST35)。
装置確認部34では、各LANに接続されている医用画像診断装置を把握しており、いずれの医用画像診断装置に医療情報リストの送信要求を行い、いずれの医用画像診断装置に医療情報リストの送信要求を行っていないか把握している。そこで、医療情報要求部32からの指示に従い、次に医療情報リストの送信要求の対象とする医用画像診断装置を特定し、医療情報要求部32へ返信する。
医療情報要求部32は、装置確認部34からの結果を受信し、次に医療情報の送信要求先となる第nの医用画像診断装置を決定する。その上で医療情報要求部32は、装置確認部34からの信号に基づいて、第1のLAN100に接続されている医用画像診断装置のうち、第nの医用画像診断装置に対して医療情報リストの要求を行う(ST36)。
ここで医療情報リストの要求を行う先の医用画像診断装置を「第nの医用画像診断装置」と表わしているのは、現在接続されているLANに接続されている全ての医用画像診断装置に対して、医療情報検索装置1が必要とする医療情報の全てが揃ったと判断できるまで順に要求を送信するからである。
ここまでで医療情報検索装置1は、第1の医用画像診断装置である医用画像診断装置101から必要とする医療情報を取得したが、その一部に留まっている状態である。そこで、第1のLAN100に接続されている2つ目の医用画像診断装置(第2の医用画像診断装置)に対して第1の医用画像診断装置に対して行った処理を繰り返して不足する医療情報を充足させることができるか否か確認することになる。
すなわちここでは、「第n」は「第2」であってn=2となる。図1に示す第1のLAN100には、医用画像診断装置101の他、もう1つ医用画像診断装置が接続されている。そこでここでは、第2の医用画像診断装置は、医用画像診断装置102となる。
医療情報検索装置1の医療情報要求部32は、上述したように、医用画像診断装置102に対して医用画像診断装置102が保持している医療情報のリストを医療情報検索装置1に送信するよう要求する。そして医用画像診断装置102は自身が保持している医療情報に関する情報をまとめて医療情報検索装置1に送信する。医療情報検索装置1は、第2の医用画像診断装置(医用画像診断装置102)が備える医療情報リストを受信する(ST37)。
医療情報要求部32は、受信した医用画像診断装置102からの医療情報リストを判断部33へ送信する。判断部33では、当該医療情報リストの中に医療情報検索装置1において必要とする医療情報のうちここまで不足していた医療情報が含まれているか否か確認する(ST38)。
判断部33が確認した結果、第2の医用画像診断装置である医用画像診断装置102から送信された医療情報リストに不足していた所望の医療情報が含まれていた場合には(ST38のYES)、その旨、判断部33から医療情報要求部32へと判断結果が伝えられる。医療情報要求部32では、当該結果に基づき医用画像診断装置102から受信した医療情報リストの中から所望の医療情報を選択し、医用画像診断装置102(第2の医用画像診断装置)へ送信要求を送信する(ST39)。
また、併せて判断部33の判断結果は、検索特定部20の装置特定部24へと送信され、この判断結果をもって、医療情報検索装置1が通信の対象となる医用画像診断装置102(第2の医用画像診断装置)が特定されることになる。
第2の医用画像診断装置である医用画像診断装置102では、医療情報検索装置1からの送信要求を受信し、該当する医療情報を検索した上で、医療情報検索装置1へ送信(返信)する(図9のST40)。医療情報検索装置1は、医用画像診断装置102から送信されて来た所望の医療情報を受信する(ST41)。
これで第1及び第2の医用画像診断装置から医療情報検索装置1が必要とする医療情報を取得することができた。そこで再度判断部33は、所望の医療情報の全てが揃ったか否か判断する(ST42)。その結果、全ての医療情報が揃ったと判断できた場合には(ST42のYES)、これで医療情報検索装置1における医療情報の取得処理は完了する。
一方、判断部33が判断した結果、未だ医療情報検索装置1が必要とする医療情報の全てが取得できていない場合(ST42のNO)、判断部33はその旨医療情報要求部32に伝える。医療情報要求部32では、この結果を基に、次に医療情報の送信要求を行う先となる医用画像診断装置を装置確認部34に確認する(符号Bで図8のステップST35に戻る)。
装置確認部34が確認した結果、既に現在医療情報検索装置1が接続しているLANに接続されている医用画像診断装置の全てに対して医療情報リストの送信要求を行っている場合には(ST35のYES)、今度はネットワーク接続部10によって別のLANに接続するよう処理を行う(符号Cで図7のステップST22に戻る)。
このように医療情報検索装置の接続先となった各医用画像診断装置に対してそれぞれが保持する医療情報の情報(医療情報リスト)の送信を要求する。そして、当該要求に基づいて送信された医療情報リストを医療情報検索装置に保持されている必要とする医療情報との比較を行い、不足がある場合には、別の医用画像診断装置に同じように医療情報リストの送信要求を行う。
さらに必要とする医療情報の全てが揃うまで順々に同じ無線LANに接続されている他の医用画像診断装置に対しても同様の処理を行うとともに、同じ無線LANに接続されている医用画像診断装置には必要とする医療情報が存在しない場合には、他の無線LANに接続し、さらに検索を継続する。このような処理を医療情報検索装置が自動で行うことで、漏れなく必要とする医療情報の検索、取得をすることができる。
また、これまで説明したように、医療情報検索装置を提供する医療情報検索装置が自動で無線通信機器に接続し、当該無線通信機器に接続されている全ての医用画像診断装置に対して順々に必要とする医療情報の検索、取得を試みることによって、医療の現場において簡易、迅速に必要とする医療情報を取得することができる医療情報検索装置を提供する。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
例えば、これまでは特に第2の実施の形態において、必要とする医療情報の保持の有無をそれぞれの医用画像診断装置に対して順々に問い合わせていたが、各医用画像診断装置が保持する医療情報に関する情報の送信を、例えば、1つの無線LANに接続されている全ての医用画像診断装置に対して一斉に行う処理を行っても良い。
この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。