以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る原子力プラントAPの一例を示す概略構成図である。原子力プラントAPは、原子炉1を備えている。原子炉1は、原子炉格納容器2と、原子炉格納容器2に格納される原子炉容器3とを有する。原子炉容器3は、炉心4を収容する。
原子力プラントAPは、原子力を使って発電する原子力発電プラントであり、原子炉1を含む原子炉系CS1と、蒸気タービン5及び発電機6を含むタービン系CS2とを有する。原子炉系CS1の少なくとも一部は、原子炉建屋33に配置される。タービン系CS2の少なくとも一部は、タービン建屋34に配置される。
本実施形態において、原子炉1は、炉心冷却材及び中性子減速材として軽水を使用する軽水炉である。原子炉系CS1は、1次冷却水が循環する1次冷却系を含む。タービン系CS2は、2次冷却水が循環する2次冷却系を含む。原子炉系(1次冷却系)CS1と、タービン系(2次冷却系)CS2とは、蒸気発生器7で分離される。1次冷却水及び2次冷却水のそれぞれは、軽水である。
本実施形態において、原子炉系CS1は、高温高圧な1次冷却水(熱水)を生成し、その熱水を蒸気発生器7に供給して、蒸気発生器7において1次冷却水(熱水)と2次冷却水との熱交換を行うことにより2次冷却水の蒸気を生成する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)を含む。本実施形態において、原子力プラントAPは、加圧水型原子力発電プラントである。
原子炉系CS1は、1次冷却水を加圧してその1次冷却水の沸点を上昇させた状態で、原子核反応により生じた熱エネルギーで1次冷却水を加熱する。原子炉系CS1は、加圧された加圧水を加熱して高温高圧な熱水を生成し、その熱水を蒸気発生器7に供給する。原子炉系CS1において、1次冷却水は沸騰しないように加熱される。タービン系CS2は、1次冷却水(熱水)との熱交換により2次冷却水を高温高圧な蒸気に変換する。その蒸気により、蒸気タービン5が作動する。蒸気タービン5の作動により、発電機6が作動して発電する。
原子炉系CS1は、原子核反応により生じた熱エネルギーで1次冷却水を加熱する炉心4を収容する原子炉容器3と、原子炉容器3及び蒸気発生器7のそれぞれと接続され、原子炉容器3で加熱された高温の1次冷却水が流れる配管8と、配管8に接続され、1次冷却水を加圧する加圧器9と、原子炉容器3及び蒸気発生器7のそれぞれと接続され、蒸気発生器7で熱交換された低温の1次冷却水が流れる配管10と、配管10に配置され、1次冷却水を原子炉容器3に供給する1次冷却水ポンプ11と、を備えている。原子炉容器3、配管8、加圧器9、蒸気発生器7、配管10、及び1次冷却水ポンプ11のそれぞれは、原子炉格納容器2に格納される。1次冷却水は、原子炉容器3、配管8、蒸気発生器7、及び配管10を含む1次冷却系(循環系)を循環する。
タービン系CS2は、蒸気発生器7及び蒸気タービン5のそれぞれと接続され、蒸気発生器7で生成された高温高圧な蒸気が流れる配管12と、配管12に配置された隔離弁16と、蒸気発生器7からの蒸気により作動する蒸気タービン5と、湿分分離加熱器17と、蒸気タービン5により作動する発電機6と、蒸気タービン5で仕事をした蒸気を冷却して水に戻す復水器13と、復水器13及び蒸気発生器7のそれぞれと接続され、復水器13からの2次冷却水が流れる配管14と、2次冷却水を蒸気発生器7に送る主給水ポンプ15と、復水ピット32の水を蒸気発生器7に供給可能な補助給水ポンプ31と、を備えている。2次冷却水は、蒸気発生器7、配管12、蒸気タービン5、復水器13、及び配管14を含む2次冷却系(循環系)を循環する。
蒸気タービン5は、高圧タービン5A及び低圧タービン5Bを含み、蒸気発生器7からの蒸気により駆動する。湿分分離加熱器17は、蒸気に含まれる湿分を除去し、その湿分が除去された蒸気を加熱する。湿分分離加熱器17は、再熱管18Aを介して高圧タービン5Aと接続され、再熱管18Bを介して低圧タービン5Bと接続される。また、湿分分離加熱器17は、分岐配管19を介して、配管12と接続される。
高圧タービン5Aは、蒸気発生器7から配管12を介して供給された蒸気により駆動する。高圧タービン5Aで仕事をした蒸気は、再熱管18Aを介して、湿分分離加熱器17に供給される。また、蒸気発生器7からの蒸気の少なくとも一部も、分岐配管19を介して、湿分分離加熱器17に供給される。湿分分離加熱器17で加熱された蒸気は、再熱管18Bを介して、低圧タービン5Bに供給される。低圧タービン5Bは、湿分分離加熱器17から再熱管18Bを介して供給された蒸気により作動する。
復水器13は、蒸気タービン5で仕事をした蒸気を冷却して水に戻す。復水器13は、循環水ポンプ20Pの作動により取水管20を介して供給された海水と蒸気との熱交換を行って、蒸気を水に戻す。蒸気と熱交換した後の海水は、排水管21を介して、海に排出される。本実施形態において、配管12と復水器13とがバイパス配管22を介して接続される。バイパス配管22にバイパス弁22Bが配置されている。
配管14は、復水器13と蒸気発生器7とを接続するように配置される。復水器13で水(液体)に戻された2次冷却水は、配管14を介して、蒸気発生器7に供給される。
主給水ポンプ15は、2次冷却水がタービン系CS2を循環するように作動する。本実施形態において、2次冷却ポンプ15は、配管14に配置される。主給水ポンプ15は、復水器13からの2次冷却水が蒸気発生器7に供給されるように作動する。
本実施形態において、配管14には、復水ポンプ23、グランドコンデンサ24、復水脱塩装置25、復水ブースタポンプ26、及び低圧給水加熱器27が配置される。また、配管14には、脱気器28が連結される。また、配管14には、高圧給水加熱器29、及び給水制御弁30が設けられている。
補助給水ポンプ31は、復水ピット32の水が蒸気発生器7に供給されるように作動する。補助給水ポンプ31は、配管33に配置される。配管33は、配管14と接続される。補助給水ポンプ31の作動により、復水ピット32の水は、配管33及び配管14を介して蒸気発生器7に供給される。
蒸気発生器7は、1次冷却水(熱水)と2次冷却水との熱交換を行う。蒸気発生器7は、熱交換器として機能する。原子炉容器3で加熱され、加圧器9によって加圧された高温高圧な1次冷却水(熱水)は、配管8を介して、蒸気発生器7に供給される。復水器13(又は復水ピット32)からの2次冷却水は、配管14を介して、蒸気発生器7に供給される。1次冷却水と2次冷却水との熱交換により、蒸気発生器7において2次冷却水の蒸気が生成される。
循環水ポンプ20P、復水ポンプ23、復水ブースタポンプ26、主給水ポンプ15、及び補助給水ポンプ31は、電源装置から供給される電力により駆動する。例えば、津波及び地震のような自然災害により電源装置の機能が喪失した場合、2次冷却水は2次冷却系を循環できない。例えば、電源装置から主給水ポンプ15及び補助給水ポンプ31に対する電力の供給が停止した場合、2次冷却水は蒸気発生器7に供給されず、蒸気発生器7が冷却されない。
本実施形態においては、既設のポンプ(主給水ポンプ15及び補助給水ポンプ31)に異常が生じた場合、給水装置40が配管14(又は配管33)に接続され、その給水装置40が蒸気発生器7に対する給水を行う。既設のポンプの異常は、既設の電源装置の機能が喪失して既設のポンプに電力が供給されない状態、既設のポンプが動作不良となった状態、及び既設のポンプが故障した状態の少なくとも一つを含む。給水装置40を使った給水作業の間に復旧作業が行われる。
次に、本実施形態に係る給水装置40の一例について説明する。図2は、本実施形態に係る原子力プラントAP及び給水装置40の一例を示す図である。原子炉プラントAPは、原子炉系CS1の少なくとも一部が配置される原子炉建屋33と、タービン系CS2の少なくとも一部が配置されるタービン建屋34とを有する。原子炉系CS1とタービン系CS2とを接続する配管14(又は配管33)の少なくとも一部は、原子力建屋33及びタービン建屋34の外側に配置される。配管14は、原子力建屋33とタービン建屋34とを接続するように配置される。
給水装置40は、原子力プラントAPにおいて稼動する。図2に示すように、原子力建屋33及びタービン建屋34の外側で、配管14と給水装置40の少なくとも一部とが接続される。
図3は、本実施形態に係る給水装置40の一例を示す側面図である。図4は、本実施形態に係る給水装置40の一例を示す上面図である。図5は、本実施形態に係る給水装置40の一例を示す背面図である。
図2、図3、図4、及び図5に示すように、給水装置40は、走行装置41及び走行装置41に支持される車体42を有する車両43と、車体42の荷台44に配置される竪型ポンプ50と、荷台44に配置される制御盤70と、荷台44に配置される発電機80とを備えている。
車両43は、荷台44を有する自動車(トラック)である。車両43は、ディーゼルエンジンのようなエンジンを有する。走行装置41は、そのエンジンにより駆動する。走行装置41は、車輪と、車輪を回転可能に支持する車軸と、車輪に支持されるタイヤとを含み、走行面(地面)を走行可能である。
車体42は、作業者が搭乗する運転席45と、荷台44とを有する。本実施形態において、車両43は、作業者の操作により移動する有人車両である。なお、車両43が、無線通信により移動する無人車両でもよい。
竪型ポンプ(竪型多段ポンプ)50は、配管14に接続された状態で蒸気発生器7に給水する。竪型ポンプ50は、発電機80から供給される電力により駆動する。竪型ポンプ50は、荷台44に固定される。荷台44に、竪型ポンプ50を支持する支持部材(フレーム部材)46が設けられる。支持部材46は、荷台44に固定されている。
制御盤70は、竪型ポンプ50を制御する。竪型ポンプ50は、制御盤70からの制御信号に基づいて駆動する。制御盤70は、発電機80から供給される電力により作動する。制御盤70は、発電機80を制御してもよい。制御盤70は、荷台44に固定される。
発電機80は、発生した電力を竪型ポンプ50に供給する。発電機80は、制御盤70にも電力を供給する。発電機80の動力源は、発電機80が有するエンジンでもよいし、車両43が有するエンジンでもよい。発電機80は、荷台44に固定される。
本実施形態においては、竪型ポンプ50、制御盤70、及び発電機80のうち、竪型ポンプ50が荷台44の最も前部(運転席45に近い位置)に配置され、竪型ポンプ50に次いで制御盤70が荷台44の前部に配置され、発電機80が荷台44の最も後部(運転席45から遠い位置)に配置される。なお、荷台44における竪型ポンプ50と制御盤70と発電機80との相対位置は適宜定めることができる。竪型ポンプ50、制御盤70、及び発電機80が荷台44に固定されることにより、竪型ポンプ50、制御盤70、及び発電機80は、荷台44を介してユニット化される。
本実施形態において、竪型ポンプ50は、第1竪型ポンプ51と、第1竪型ポンプ51と並列で接続される第2竪型ポンプ52とを含む。第1竪型ポンプ51と第2竪型ポンプ52とは配管システム60を介して接続される。以下の説明においては、第1竪型ポンプ51、第2竪型ポンプ52、及び配管システム60を合わせて適宜、ポンプユニット500、と称する。ポンプユニット500は、荷台44に配置される。
図6は、本実施形態に係るポンプユニット500の一例を示す模式図である。ポンプユニット500は、水を吸い込む吸込口61と、水を吐出する吐出口62とを有する。吸込口61及び吐出口62は、配管システム60に設けられる。配管システム60は、吸込口61の周囲に配置されたフランジ部61Fを有する吸込管63と、吐出口62の周囲に配置されたフランジ部62Fを有する吐出管64と、吸込管63と吐出管62との間に配置された第1配管65及び第2配管66とを有する。第1配管65及び第2配管66は、吸込管63から分岐し、吐出管64で集合するように設けられる。第1配管65と第2配管66とは並列に設けられる。
本実施形態において、吸込口61(フランジ部61F)は、車両43の幅方向に関して一側に配置され、吐出口62(フランジ部62F)は、車両43の幅方向に関して他側に配置される。また、吸込口61は、車両43の幅方向に関して荷台44から一側に突出するように配置され、吐出口62は、車両43の幅方向に関して荷台44から他側に突出するように配置される。吸込口61及び吐出口62のそれぞれは、荷台44の上面とほぼ同じ高さにおいて、横を向くように配置される。
第1竪型ポンプ51は、第1配管65に配置される。第2竪型ポンプ52は、第2配管66に配置される。第1竪型ポンプ51と第2竪型ポンプ52とは同時に駆動する。第1竪型ポンプ51及び第2竪型ポンプ52が駆動することにより、吸込口61から水が吸い込まれる。吸込管63の吸込口61に流入した水の少なくとも一部は、第1竪型ポンプ51の作動により、第1配管65を流れ、吐出管64の吐出口62から吐出される。また、吸込管63の吸込口61に流入した水の少なくとも一部は、第2竪型ポンプ52の作動により、第2配管66を流れ、吐出管64の吐出口62から吐出される。
第1配管65に、流量センサ67A、逆止弁68A、及び流量調整装置69Aが配置される。流量センサ67Aは、第1配管65を流れる単位時間当たりの水の流量を検出する。流量調整装置69Aは、バルブ機構を含み、第1配管65を流れる単位時間当たりの水の流量を調整する。吸込口61と吐出口62との間の配管システム60の流路において、第1竪型ポンプ51、流量センサ67A、逆止弁68A、及び流量調整装置69Aのうち、第1竪型ポンプ51が吸込口61の最も近くに配置され、第1竪型ポンプ51に次いで流量センサ67Aが吸込口61の近くに配置され、流量センサ67Aに次いで逆止弁68Aが吸込口61の近くに配置され、流量調整装置69Aが吐出口62の最も近くに配置される。
第2配管66に、流量センサ67B、逆止弁68B、及び流量調整装置69Bが配置される。流量センサ67Bは、第2配管66を流れる単位時間当たりの水の流量を検出する。流量調整装置69Bは、バルブ機構を含み、第2配管66を流れる単位時間当たりの水の流量を調整する。吸込口61と吐出口62との間の配管システム60の流路において、第2竪型ポンプ52、流量センサ67B、逆止弁68B、及び流量調整装置69Bのうち、第2竪型ポンプ52が吸込口61の最も近くに配置され、第2竪型ポンプ52に次いで流量センサ67Bが吸込口61の近くに配置され、流量センサ67Bに次いで逆止弁68Bが吸込口61の近くに配置され、流量調整装置69Bが吐出口62の最も近くに配置される。
次に、本実施形態に係る給水装置40を用いて給水する方法の一例について説明する。原子力プラントAPの既設のポンプが正常な状態(通常な状態)において、給水装置40は、自然災害の影響が少ない所定の保管場所(高台など)に保管される。原子力プラントAPの既設のポンプに異常が生じた場合、代替のポンプユニット500が既設のポンプに代わって給水するように、給水装置40が保管場所から目標場所まで移動する。本実施形態において、目標場所は、既設のポンプとの交換のために給水装置40が設置される設置場所(交換場所)を含む。本実施形態において、給水装置40は有人車両を含み、運転席45に搭乗した作業者の操作により、給水装置40が保管場所から目標場所まで移動する。給水装置40の車両43は、エンジン(駆動源)と、エンジンにより駆動する走行装置41とを有し、保管場所から目標場所まで迅速に移動可能である。
以下の説明においては、既設の主給水ポンプ15及び補助給水ポンプ31に異常が生じ、原子力建屋33及びタービン建屋34の外側で、原子力建屋33とタービン建屋34とを接続する配管14に、給水装置40のポンプユニット500が接続される例について説明する。
給水装置40が設置場所に移動した後、車両43に設けられているアウトリガーが地面と接触するように配置される。これにより、車両43がアウトリガーで支持される。
吸込口61と給水管91とが接続される。給水管91は、フランジ部91Fを有し、吸込管63のフランジ部61Fと、給水管91のフランジ部91Fとが接続される。給水管91は、水の貯蔵タンクのような水の供給源92と接続され、供給源92の水が、給水管91を介して吸込口61に供給される。
吐出口62と接続管93とが接続される。接続管93は、フランジ部93Fを有し、吐出管64のフランジ部62Fと、接続管93のフランジ部93Fとが接続される。接続管93は、配管14と吐出管64とを接続するように配置され、吐出口62から吐出された水が、接続管93を介して配管14に供給される。
本実施形態においては、吸込口61(フランジ部61F)は、車両43の幅方向に関して一側に配置され、車両43の幅方向に関して荷台44から一側に突出するように配置される。また、吸込口61は、荷台44の上面とほぼ同じ高さにおいて、横を向くように配置される。そのため、作業者は、荷台44にのぼったり台を設置したりすることなく、吸込管63と給水管91との接続作業を円滑に行うことができる。同様に、吐出口62(フランジ部62F)は、車両43の幅方向に関して他側に配置され、車両43の幅方向に関して荷台44から他側に突出するように配置される。また、吐出口62は、荷台44の上面とほぼ同じ高さにおいて、横を向くように配置される。そのため、作業者は、荷台44にのぼったり台を設置したりすることなく、吐出管64と接続管93との接続作業を円滑に行うことができる。
発電機80の作動により、ポンプユニット500の第1竪型ポンプ51及び第2竪型ポンプ52が駆動される。これにより、供給源92からの水が吸込口61から吸い込まれる。吸込口61に流入した水の少なくとも一部は、第1竪型ポンプ51の作動により、第1配管65を流れ、吐出口62より吐出される。また、吸込口61に流入した水の少なくとも一部は、第2竪型ポンプ52の作動により、第2配管66を流れ、吐出口62より吐出される。
ポンプユニット500の吐出口62から吐出された水は、配管14を介して蒸気発生器7に供給される。これにより、蒸気発生器7が、ポンプユニット500から供給された水で冷却される。
ポンプユニット500の駆動時において、車両43がアウトリガーで支持されることにより、ポンプユニット500の駆動による振動を抑制することができる。
流量センサ67A及び流量センサ67Bそれぞれの検出結果は制御盤70に出力される。制御盤70は、流量センサ67A及び流量センサ67Bそれぞれの検出結果に基づいて、第1配管65の水の流量及び第2配管66の水の流量のそれぞれが目標値になるように、流量調整装置69A及び流量調整装置69Bを制御する。なお、流量調整装置69A及び流量調整装置69Bが作業者により操作されてもよい。
給水装置40の給水作業の間に復旧作業が行われる。復旧作業により既存のポンプが駆動可能な状態になった後、給水装置40は保管場所に戻される。給水装置40を保管場所に戻すとき、ポンプユニット500の駆動が停止され、吸込管63と給水管91との接続の解除、及び吐出管64と接続管93との接続の解除が行われる。
以上説明したように、本実施形態によれば、走行装置41を有する車両43によって、車体42の荷台44に配置された竪型ポンプ50、制御盤70、及び発電機80は目標場所(設置場所)まで迅速に移動することができる。本実施形態においては、竪型ポンプ50及び配管システム60を含むポンプユニット500、制御盤70、及び発電機80がユニット化された状態で車両43の荷台44に搭載される。したがって、給水装置40は、原子力プラントAPにおいて目的場所まで迅速に移動することができる。
また、ポンプユニット500、制御盤70、及び発電機80をユニット化して1台の車両43に搭載するようにしたので、例えば、ポンプユニット500、制御盤70、及び発電機80を別々の車両に搭載する場合に比べて保管が容易であり、コストの増大を抑制することができる。
また、本実施形態においては、竪型ポンプ50が採用される。竪型ポンプ50の占有面積(据付面積)は、横型ポンプの占有面積に比べて小さい。そのため、車体42の小型化が図られ、車両43は迅速に移動可能である。また、占有面積が小さい竪型ポンプ50を採用したので、ユニット化されたポンプユニット500、制御盤70、及び発電機80を1台の車両43に搭載することができる。
給水装置40には、蒸気発生器7に水を円滑に注入できる程度の性能を有することが要求される。すなわち、給水装置40には、高出力であること(高圧水を供給可能であること)が要求される。給水装置40のポンプとして高出力の横型ポンプを採用すると、ポンプの占有面積は増大する。本実施形態においては、給水装置40のポンプとして竪型ポンプ50を採用したので、高出力の竪型ポンプ50でも、ポンプの占有面積の増大が抑制される。すなわち、竪型ポンプ50を採用することにより、ポンプの高揚程化と省スペース化との両立を実現することができる。
また、本実施形態においては、ポンプユニット500、制御盤70、及び発電機80がユニット化されているため、既設の電源装置の機能が喪失しても、荷台44に配置された発電機80から竪型ポンプ50に電力を供給して、竪型ポンプ50を駆動することができる。また、竪型ポンプ50は制御盤70からの制御信号に基づいて適切に駆動することができる。
また、本実施形態においては、給水装置40は、原子力プラントAPにおいて稼動する。これにより、原子力プラントAPに異常が生じても、給水装置40によって給水開始を迅速に行うことができるため、被害の拡大を抑制することができる。
本実施形態においては、ポンプユニット500は、並列で配置される第1竪型ポンプ51と第2竪型ポンプ52とを有する。複数の竪型ポンプ50が並列で配置され、それら複数の竪型ポンプ50が同時に作動することにより、給水装置40が給水可能な単位時間当たりの給水量を増大することができる。
なお、本実施形態においては、2つの竪型ポンプ50を並列に配置することとしたが、もちろん、3つ以上の複数の竪型ポンプ50を並列に配置してもよい。本実施形態においては、占有面積が小さい竪型ポンプ50が採用されているため、3つ以上の複数の竪型ポンプ50を荷台44に搭載することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図7は、本実施形態に係る給水装置40Bのポンプユニット500Bの一例を示す図である。図7に示すように、ポンプユニット500Bは、第1竪型ポンプ51と、第1竪型ポンプ51と直列で接続される第2竪型ポンプ52とを有する。第1竪型ポンプ51と第2竪型ポンプ52とは配管システム60Bを介して接続される。
配管システム60Bは、水を吸い込む吸込口61Bと、水を吐出する吐出口62Bと、吸込口61Bの周囲に配置されたフランジ部61BFと、吐出口62Bの周囲に配置されたフランジ部62BFと、吸込口61Bと吐出口62Bとを結ぶ流路を有する配管600とを有する。
本実施形態において、配管600は、折り返し部を有し、吸込口61B(フランジ部61BF)及び吐出口62B(フランジ部62BF)のそれぞれは、車両43の幅方向に関して一側に配置される。また、吸込口61B及び吐出口62Bのそれぞれは、車両43の幅方向に関して荷台44から一側に突出するように配置される。また、吸込口61B及び吐出口62Bのそれぞれは、荷台44の上面とほぼ同じ高さにおいて、横を向くように配置される。
第1竪型ポンプ51及び第2竪型ポンプ52は、配管600に配置される。第1竪型ポンプ51と第2竪型ポンプ52とは同時に駆動する。第1竪型ポンプ51及び第2竪型ポンプ52が駆動することにより、吸込口61Bから水が吸い込まれる。吸込口61Bに流入した水の少なくとも一部は、第1竪型ポンプ51及び第2竪型ポンプ52の作動により、配管600を流れ、吐出口62Bより吐出される。
配管600に、流量センサ67、逆止弁68、及び流量調整装置69が配置される。流量センサ67は、単位時間当たりの配管600の水の流量を検出する。流量調整装置69は、バルブ機構を含み、単位時間当たりの配管600の水の流量を調整する。吸込口61Bと吐出口62Bとの間の配管システム60Bの流路において、第1竪型ポンプ51、第2竪型ポンプ52、流量センサ67、逆止弁68、及び流量調整装置69のうち、第1竪型ポンプ51が吸込口61Bの最も近くに配置され、第1竪型ポンプ51に次いで第2竪型ポンプ52が吸込口61Bの近くに配置され、第2竪型ポンプ52に次いで流量センサ67が吸込口61Bの近くに配置され、流量センサ67に次いで逆止弁68が吸込口61Bの近く位置に配置され、流量調整装置69が吐出口62Bの最も近くに配置される。
蒸気発生器7に給水する場合、吸込口61Bと供給源92とが給水管91を介して接続され、吐出口62Bと配管14の少なくとも一部とが接続管93を介して接続される。
発電機80の作動により、ポンプユニット500Bの第1竪型ポンプ51及び第2竪型ポンプ52が駆動される。これにより、供給源92からの水が吸込口61Bから吸い込まれる。吸込口61Bに流入した水の少なくとも一部は、第1竪型ポンプ51及び第2竪型ポンプ52の作動により、配管600を流れ、吐出口62Bより吐出される。ポンプユニット500Bの吐出口62Bから吐出された水は、配管14を介して、蒸気発生器7に供給される。これにより、蒸気発生器7が、ポンプユニット500Bから供給された水によって冷却される。
流量センサ67の検出結果は、制御盤70に出力される。制御盤70は、流量センサ67の検出結果に基づいて、配管600の水の流量のそれぞれが目標値になるように、流量調整装置69を制御する。なお、流量調整装置69が作業者により操作されてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1竪型ポンプ51と第2竪型ポンプ52とが直列で接続されるため、それら第1竪型ポンプ51と第2竪型ポンプ52とが同時に駆動することにより、ポンプユニット500Bは、高い圧力の水を供給することができる。
なお、本実施形態においては、2つの竪型ポンプ50を直列に配置することとしたが、もちろん、3つ以上の複数の竪型ポンプ50を直列に配置してもよい。本実施形態においては、占有面積が小さい竪型ポンプ50が採用されているため、3つ以上の複数の竪型ポンプ50を荷台44に搭載することができる。
なお、上述の各実施形態において、ポンプユニット(500など)が、並列に接続された複数の竪型ポンプ50と、直列に接続された複数の竪型ポンプ50との両方を含んでもよい。すなわち、竪型ポンプ50は、要求される吐出量(流量)及び揚程(圧力)に応じて、その数を適宜決定されてもよいし、並列に配置されてもよいし、直列に配置されてもよい。本実施形態においては、要求に応じて、複数の竪型ポンプ50を柔軟に組み合わせることができる。
なお、上述の各実施形態においては、既設のポンプ(主給水ポンプ15及び補助給水ポンプ31)の異常時に、そのポンプの代替として給水装置40を設置することとした。既設のポンプに異常が生じてなくても、給水装置40を設置してもよい。例えば、既設のポンプのメンテナンス又は定期点検のときに、給水装置40を既設のポンプと交換してもよい。
なお、上述の各実施形態において、給水装置40は、保管場所に保管されなくてもよく、例えば、原子炉建屋33に保管されてもよいし、タービン建屋34に保管されてもよいし、原子炉建屋33及びタービン建屋34の外側であって、原子炉建屋33及びタービン建屋34の少なくとも一方の近傍に保管(待機)されてもよい。これにより、既設のポンプと給水装置40との交換を短時間で行うことができる。
なお、上述の各実施形態においては、原子力プラントAPが加圧水型原子炉を含むこととした。原子力プラントAPは、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)を含んでもよい。