JP6360372B2 - 軽油基材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、直留軽油に接触分解軽油を混合した原料油を、水素化精製触媒を用いて形成された複数の触媒床に接触させて水素化精製処理する軽油基材の製造方法に関する。
製品としての軽油は、主に、常圧蒸留装置によって原油の蒸留から得られる直留軽油留分を水素存在下において、水素化精製触媒と接触することにより精製する、いわゆる水素化精製と呼ばれる方法によって製造されている。
原油から得られる直留軽油留分には限りがあり、需要に見合った軽油基材を得るためには、直留軽油に、接触分解装置から得られる接触分解軽油、水素化分解油、熱分解油等、他のプロセスで得られる軽油留分と混合したものを原料油として用いて水素化精製する技術が提案されている(特許文献1、2参照)。
しかし、水素化精製触媒に接触分解軽油を通油すると、水素化精製して得られる脱硫軽油基材が着色する問題が生じたり、水素化精製触媒の劣化が早まったりすることがある。このため、直留軽油に接触分解軽油を混合した原料油を用いた水素化精製処理においては、依然として改良の余地があった。
特許第5417329号公報 特開2012−31333号公報
本発明は、直留軽油に接触分解軽油を混合した原料油を用いた水素化精製処理において、得られる水素化脱硫軽油基材の色相悪化を防止するとともに、水素化脱硫触媒の脱硫活性の低下を抑止することができ、原料油における接触分解軽油の混合比率を高めることができる軽油基材の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、水素化精製処理によって得られる水素化脱硫軽油の色相悪化が、原料油中の接触分解軽油に含まれる重質油留分に基づくものであることを見出した。また、接触分解軽油に含まれる重質油留分、特にピレン類の濃度が、原料油中における接触分解軽油の混合比率に影響を及ぼしていることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。すなわち、本発明は、下記の軽油基材の製造方法を提供するものである。
[1] 常圧蒸留装置から得られる直留軽油と接触分解装置から得られる接触分解軽油とを含む原料油を、反応塔の内部に水素化精製触媒を用いて形成された複数の触媒床に接触させて水素化精製処理する軽油基材の製造方法であって、
該直留軽油が下記の性状を有し、
(a)90%留出温度が305℃以上380℃以下
(b)15℃における密度が0.810g/cm3以上0.870g/cm3以下
(c)硫黄含有量が該直留軽油の全質量基準で0.02質量%以上1.80質量%以下
(d)窒素含有量が該直留軽油の全質量基準で20質量ppm以上300質量ppm以下
該接触分解軽油が下記の性状を有し、
(A)90%留出温度が315℃以上370℃以下
(B)15℃における密度が0.880g/cm3以上0.960g/cm3以下
(C)硫黄含有量が該接触分解軽油の全質量基準で0.02質量%以上1.00質量%以下
(D)塩基性窒素の含有量が該接触分解軽油の全質量基準で10質量ppm以上100質量ppm以下
(E)目詰まり点が−40℃以上0℃以下
(F)ピレン量が接触分解軽油全量基準で2.0質量%以下
水素化精製処理において、該原料油の処理条件を下記のように設定するとともに、
(i)水素圧力が3.8MPa以上7.0MPa以下
(ii)LHSVが0.3h-1以上1.5h-1以下
(iii)平均反応温度が280℃以上420℃以下
(iv)水素/原料油比が230Nm3/kL以上500Nm3/kL以下であり、かつ、下記式を満たす
(水素/原料油比)≧(原料油の全容量基準における接触分解軽油の容量%)×4.2+230
(v)該原料油中における該接触分解軽油の通油比率(単位:容量%)(V1)が下記式で表される
V1≦25.0/(接触分解軽油におけるピレン濃度(質量%))、
複数の触媒床の間の第一の箇所と、該第一の箇所よりも該反応塔の出口側の第二の箇所のうち、少なくとも1箇所からクエンチガスを導入する軽油基材の製造方法。
[2]前記直留軽油の性状のうち、(c)硫黄含有量が前記直留軽油の全質量基準で0.05質量%以上1.70質量%以下である[1]に記載の軽油基材の製造方法。
[3]前記直留軽油の性状のうち、(c)硫黄含有量が前記直留軽油の全質量基準で0.10質量%以上1.60質量%以下である[1]に記載の軽油基材の製造方法。
[4]前記直留軽油の性状のうち、(d)窒素含有量が前記直留軽油の全質量基準で40質量ppm以上260質量ppm以下である[1]〜[3]に記載の軽油基材の製造方法。
[5]前記直留軽油の性状のうち、(d)窒素含有量が前記直留軽油の全質量基準で60質量ppm以上220質量ppm以下である[1]〜[3]に記載の軽油基材の製造方法。
[6]前記水素化精製処理における前記処理条件のうち、(ii)LHSVが0.4h-1以上1.0h-1以下である[1]〜[5]に記載の軽油基材の製造方法。
[7]前記接触分解軽油には、ピレンが接触分解油全質量基準で0.2質量%以上2.0質量%以下含まれる[1]〜[6]のいずれかに記載の軽油基材の製造方法。
本発明によれば、直留軽油に接触分解軽油を混合した原料油を用いた水素化精製処理において、得られる水素化脱硫軽油基材の色相悪化を防止するとともに、水素化脱硫触媒の脱硫活性の低下を抑止することができ、原料油における接触分解軽油の混合比率を高めることができる軽油基材の製造方法を提供できる。
図1は、本発明の実施形態に係る軽油基材の製造方法を実現するための水素化精製装置を説明する概略図である。
[軽油基材の製造方法]
本発明の実施形態に係る軽油基材の製造方法は、常圧蒸留装置から得られる直留軽油と接触分解装置から得られる接触分解軽油とを含む原料油を、反応塔の内部に水素化精製触媒を用いて形成された複数の触媒床に接触させて水素化精製処理する軽油基材の製造方法であって、
該直留軽油が下記の性状を有し、
(a)90%留出温度が305℃以上380℃以下
(b)15℃における密度が0.810g/cm3以上0.870g/cm3以下
(c)硫黄含有量が該直留軽油の全質量基準で0.02質量%以上1.80質量%以下
(d)窒素含有量が該直留軽油の全質量基準で20質量ppm以上300質量ppm以下
該接触分解軽油が下記の性状を有し、
(A)90%留出温度が315℃以上370℃以下
(B)15℃における密度が0.880g/cm3以上0.960g/cm3以下
(C)硫黄含有量が該接触分解軽油の全質量基準で0.02質量%以上1.00質量%以下
(D)塩基性窒素の含有量が該接触分解軽油の全質量基準で10質量ppm以上100質量ppm以下
(E)目詰まり点が−40℃以上0℃以下
(F)ピレン量が接触分解軽油全量基準で2.0質量%以下
水素化精製処理において、該原料油の処理条件を下記のように設定するとともに、
(i)水素圧力が3.8MPa以上7.0MPa以下
(ii)LHSVが0.3h-1以上1.5h-1以下
(iii)平均反応温度が280℃以上420℃以下
(iv)水素/原料油比が230Nm3/kL以上500Nm3/kL以下であり、かつ、下記式を満たす
(水素/原料油比)≧(原料油の全容量基準における接触分解軽油の容量%)×4.2+230
(v)該原料油中における該接触分解軽油の通油比率(単位:容量%)(V1)が下記式で表される
V1≦25.0/(接触分解軽油全量基準におけるピレン濃度(質量%))、
複数の触媒床の間の第一の箇所と、該第一の箇所よりも該反応塔の出口側の第二の箇所のうち、少なくとも1箇所からクエンチガスを導入する。
また、本実施形態に係る軽油基材の製造方法においては、(vi)クエンチ水素の導入量が、5Nm3/kL以上350Nm3/kL以下に設定されることが好ましい。
<水素化精製装置>
本発明に係る軽油基材の製造方法を実現する水素化精製装置の一例を、図1に示す。図1に示す水素化精製装置は、反応塔を2基有する。反応塔の数は、3基以上あってもよい。図1では、反応塔に含まれる触媒床は、反応塔毎に2段に分かれているが、1段であっても3段以上に分かれていてもよい。
水素化精製装置の運転管理や劣化防止の観点から、反応塔内には反応熱を除去するためのクエンチガス導入口が設けられている。反応塔は、ダウンフロー(トリクルフロー)、アップフローいずれの反応形式をとることができる。ダウンフロー(トリクルフロー)では、液の流れがプラグフローに近く高い脱硫率が得られることから、この形式が最も好適である。
図1に示す水素化精製装置において、原料油1は、水素ガス2と混合され、原料油−生成油熱交換器3に供給されて昇温される。この後、水素ガス2と混合された原料油1は、加熱炉4で加熱され、第1の反応塔5中の触媒6、7及び第2の反応塔8中の触媒9、10によって水素化精製処理される。さらにこの後、原料油−生成油熱交換器3に導入され、原料油1との熱交換により降温された後、生成油11として取り出される。
水素ガス2の導入は、運転制御の効率上、原料油−生成油熱交換器3の前が好ましい。
原料油1は、常圧蒸留装置から得られる直留軽油と接触分解装置から得られる接触分解軽油とを含む。直留軽油は、上述の性状を有するものである。また、原料油として用いることのできる直留軽油と接触分解軽油の詳細は、後述する。
また、図1に示す水素化精製装置では、水素化精製処理における原料油の処理条件を上述したように設定する。水素化精製処理における原料油の処理条件についての詳細は、後述する。
上記条件とともに、クエンチガス12が、反応塔5及び反応塔8に配置される複数の触媒床の間の第一の箇所と、該第一の箇所よりも反応塔の出口側の第二の箇所の少なくとも1箇所から導入される。クエンチガス12としては、水素ガスを用いることができる。
図1に示した通り、反応塔入口に供給する水素ガスとクエンチガスとは、同じものを用いるのが好適である。ただし、クエンチガスは、触媒層の温度低下を目的としているため、その導入量は、水素流量換算値ではなく、クエンチガス量/原料油比(Nm3/kL)で表す。
クエンチガスは、触媒BEDと触媒BEDの間に少なくとも1箇所導入することが好ましい。触媒の発熱が最も顕著な反応塔の内部又は反応塔と反応塔との間に導入されるのが好適である。例えば、図1に示す水素化精製装置では、反応塔5の途中、反応塔8の途中、及び反応塔5と反応塔8との間のうち、1箇所以上に導入することが好ましい。
クエンチガスの導入量は、反応塔の入口温度と反応塔の出口温度の差が50℃以下となるように設定することが好適である。これにより、触媒層の平均温度と反応塔出口温度の乖離を低減でき、生成油11の着色を抑制することができる。
本実施形態では、接触分解軽油の処理量を可能な限り増加させることを目的としていることから、反応塔の入口温度と反応塔の出口温度の差が50℃以下となるように、クエンチガスを導入する。
また、クエンチガス配管への原料油の逆流を防止するため、各々のクエンチガスの導入量の下限は5Nm3/kLに設定することが好ましい。また、クエンチガスの導入の目的は脱硫軽油の色相改善を目的とした冷却であり、過剰に入れると、クエンチガスに含まれる水素により、好ましくないアロマの水素化反応が過度に進行すること、ならびに反応塔出口温度低下により省エネ効率が低下するなどの不具合が生じるため、クエンチガス12の導入量の上限は350Nm3/kLが好ましい。
<水素化精製条件>
(i)水素圧力
本実施形態に係る軽油基材の製造方法において、水素圧力とは、反応塔下流の分離槽の絶対圧(MPaA)に反応塔入口水素ガス中の水素濃度(mol%)を乗じたものである。水素化精製処理の水素圧力は、3.8MPa以上7.0MPa以下である。水素化精製処理における水素圧力が、3.8MPa未満であると、触媒の脱硫活性が低下し得られる水素化脱硫軽油の硫黄含有量を規定量にすることが困難になる。また、劣化速度が大きくなりすぎる問題点がある。水素化精製処理における水素圧力が7.0MPaを超えると、水素消費量が大きくなりすぎるために好ましくない。
この観点から、水素化精製処理における水素圧力は、好ましくは3.9MPa以上、より好ましくは、4.0MPa以上である。また、水素圧力は、好ましくは、6.9MPa以下、より好ましくは、6.8MPa以下である。
(ii)LHSV
本実施形態に係る軽油基材の製造方法において、LHSVの条件は、0.3h-1以上1.5h-1である。LHSVが0.3h-1未満では、軽油を製造するための反応装置が大きくなり過ぎ、LHSVが1.5h-1を超えると、軽油の硫黄分を規定量にするための反応温度が高くなり過ぎて、触媒の劣化が促進されるため好ましくない。
この観点から、水素化精製処理におけるLHSVは、好ましくは0.35h-1以上、より好ましくは、0.4h-1以上である。また、LHSVは、好ましくは、1.4h-1以下、より好ましくは、1.2h-1以下であり、最も好ましくは、1.0h-1以下である。
(iii)反応温度
本実施形態に係る軽油基材の製造方法において、平均反応温度(あるいは単に反応温度と記す場合がある)とは、各反応塔単位で計算される平均反応温度の単純平均である。
また、各反応塔の平均温度は、[(1/3)×反応塔入口温度+(2/3)×反応塔出口温度]で定義される。
水素化精製処理の平均反応温度は、280℃以上420℃以下である。水素化精製処理の反応温度が280℃未満であると、脱硫活性が不足するために、好ましくない。また、反応温度が420℃を超えると、水素化処理油の色相が悪化する(着色が顕著になる)ため、また触媒の劣化が著しくなるため好ましくない。この観点から、水素化精製処理の反応温度は、好ましくは、290℃以上、より好ましくは、300℃以上、更に好ましくは、310℃以上である。また、水素化精製処理の反応温度は、好ましくは、415℃以下、より好ましくは、410℃以下、更に好ましくは、405℃以下であり、最も好ましくは、395℃以下である。
(iv)水素/原料油比
本実施形態に係る軽油基材の製造方法では、反応塔に供給する原料炭化水素油の通油量に応じて、反応塔の入口に導入する水素ガスの供給量を決定する。水素ガスの供給量と原料炭化水素油の通油量の比、いわゆる水素/原料油比は、230Nm3/kL以上、500Nm3/kL以下であり、230Nm3/kL以上の場合には、分解軽油の通油比率に応じて、水素/原料油比の最小値を設定する。すなわち、下記式を満たす水素ガスを供給する。なお、水素/原料油比の最小値を水素ガス必要量という。
(水素/原料油比)≧(原料油の全容量基準における接触分解軽油の容量%)×4.2+230
水素/原料油比が230Nm3/kL未満であると、原料油が触媒を流れにくくなり、触媒の脱硫効率が低下するため好ましくない。また、軽油の硫黄分を規定量以下にすることが困難であり、かつ触媒の劣化が大きくなりすぎる問題点がある。
上式は、原料油中に接触分解軽油が0%、つまり、直留軽油100%の場合、水素供給量は230Nm3/kLであることを意味する。この理由は、接触分解軽油はオレフィン分やアロマ分を豊富に含むため、より多くの水素供給を必要とするためである。
水素/原料油比の上限が、500Nm3/kLを超えると、脱硫性能の向上が頭打ちになること、クエンチ水素導入による冷却効果が低下すること、水素を消費量が過剰になるためコストが嵩むため、経済的な軽油の製造が困難になる。
この観点から、水素化精製処理における水素/原料油比は、好ましくは、240Nm3/kL以上、より好ましくは、250Nm3/kL以上である。
<水素化精製触媒>
本実施形態に係る水素化精製装置に用いられる水素化精製触媒は、通常の水素化精製に用いられている触媒であれば、特に支障はない。例えば、コバルト,ニッケル,モリブデンから成る1種類以上の金属を含む触媒が好適であり、コバルトの含有量が1〜10質量%、ニッケルの含有量が1〜10質量%、モリブデンの含有量が2〜30質量%のものが好ましい。
また、この触媒の他に1種以上の水素化精製触媒を組み合わせて反応装置内で積層させて用いてよい。組み合わせる水素化精製触媒としては、NiMo触媒、CoMo触媒、NiCoMo触媒、NiW触媒等、活性金属元素として、モリブデン及び/又はタングステン並びにコバルト及び/又はニッケルを含む多孔質体のものが好適であり、特には、コバルト及びニッケル合計の含有量が1〜10質量%、モリブデン及びタングステンの含有量が2〜30質量%のものが好ましい。
これらの水素化精製触媒は、リン、ホウ素等の元素を含んでもよいし、さらにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、ニトリロ三酢酸、クエン酸、ポリエチレングリコール等のキレート性の有機化合物などを含んだものも好適である。
水素化精製触媒は、メソポアの中央細孔直径が4〜20nmのものが好ましく、さらには、4〜15nmのものが好ましい。また、比表面積は30〜800m2/gのものが好ましく、さらには、50〜600m2/gのものが好ましい。
また、水素化精製触媒は、粉体ではなく、成形体が好ましい。成形体の形状や成形方法に特に制限はないが、球状や柱状の形状が好ましい。球状の場合は、直径が0.5〜20mmのものが好ましい。また、柱状の場合の断面形状は、特に制限はないが、円型、三つ葉型、四つ葉型が好ましい。柱状の場合における成形体の寸法は、断面の直径が1.0〜3.0mm、長さ0.5〜20mm程度であることが好ましい。
水素化精製触媒の製造方法には特に制限はないが、多孔質無機酸化物担体に上述の活性金属元素やリン等の添加元素を含ませて製造することが好ましい。多孔質無機酸化物としては、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、ジルコニア等の酸化物、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシア、シリカ−アルミナ−チタニア、シリカ−アルミナ−ジルコニア等の複合酸化物、Y型ゼオライト、安定化Y型ゼオライト、βゼオライト、モルデナイト型ゼオライト及びMCM‐22等のゼオライトから選ばれる1種又は2種以上からなるものが好ましい。
<水素化精製装置におけるその他の構成>
図1には示されていないが、原料油−生成油熱交換器3の後段に、生成油11とガス分とを分離するための気液分離装置を有することが好ましい。生成油は、精留塔などによって分留され、水素化精製軽油留分が回収される。
反応塔には、クエンチゾーン、気液分散器(ディストリビュータトレイ)、メッシュスクリーン、チムニー、不活性充填物、配管類、あるいは気液分離装置等のいずれのすくなくとも一つが、任意の位置で区切られていてもよい。
クエンチゾーンは、水素化精製反応にて発生する反応熱により下流部分の温度が過剰に上昇することを防ぐために設置されるものであり、通常、反応塔内又は反応塔間のある空間で仕切り、この空間に外部から反応流体より低い温度のガスや液体を導入することで反応流体の温度を下げる(反応熱を除去する)役目を果たす。クエンチゾーンには、クエンチ導入ラインの他、液を再分散させるためのトレイあるいは気液分散器(ディストリビュータ)等を備えていることがある。トレイあるいは気液分散器(ディストリビュータ)は、クエンチガスや液体と反応流体との気液接触の効率を上げ、下流における反応流体の流れを反応塔水平方向に均一に分散させる目的で、通常、触媒層上部に設けられた水平な棚(段)状の構造物である。効果的な分散能力を付与するため、様々な形状の分散器が提案されている。このクエンチゾーンが本発明におけるクエンチ注入位置に相当する。
メッシュスクリーンは、主として触媒が充填された触媒床を支え、仕切るための網状あるいは平板に細かい穴を多数開けたスクリーンである。また、不活性充填物は反応塔内で、触媒が充填されていない空間に充填されることがある。これは、触媒層の下部や反応塔最下部などに、反応塔内部構造物を支える目的や、あるいは気液の分散性を良くする目的で用いられる。一般的にはセラミックやアルミナによる充填物であるが、不活性充填物の形状や大きさは装置の設計や使用条件に応じて任意に選ぶことができる。
クエンチガスは、通常、水素をリッチに含むガスで、第1の目的は冷却であるが、下流の水素化精製反応を促進する作用がある。このクエンチガスとしては、水素製造装置等で製造される水素をリッチに含むガス、当該軽油脱硫プロセスで使用したガスをリサイクルしたガス、あるいは他の石油精製プロセスで生成するプロセスガス等を使用することができる。また、クエンチガス中には、メタン、エタン、プロパン等の低級炭化水素や一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、硫化水素、塩酸等のガスが水素と共存する場合もあり、本発明においては特に支障はないが、クエンチガス中の水素純度として、30容量%以上、特には50容量%以上、最も好ましくは80容量%以上のものが好ましい。
クエンチの目的は、内部流体の温度低下と水素化処理により消費された水素の供給であることから、クエンチに用いるガスは、通常、反応塔入口に供給する水素ガスと同じものを用いることが一般的に行われる。この反応塔入口またはクエンチ用に供給される水素ガスは、通常、水素発生装置(接触改質装置、水素製造装置)から供給される水素ガスと、当該軽油脱硫装置で使用した水素ガスをリサイクルコンプレッサーで昇圧したものである。クエンチガスには、この水素ガス以外にも、上記の水素発生装置から供給される水素ガスを用いることも可能である。
<原料油>
次に、本実施形態に係る軽油基材の製造方法に用いることのできる原料油の詳細について説明する。原料油として、常圧蒸留装置から得られる直留軽油と、接触分解装置から得られる接触分解軽油とを混合して用いることができる。
(直留軽油)
直留軽油は、上述した(a)〜(d)の性状を有する。直留軽油は、90%留出温度が305℃以上380℃以下である。直留軽油の90%留出温度が305℃未満であると、原油中に含まれる直留軽油(LGO)を十分に回収していないことを意味するため好ましくなく、380℃を超えると脱硫しにくい重質硫黄分や被毒物質となる重質窒素分が増加し触媒の劣化が顕著になるため、好ましくない。この観点から、直留軽油の90%留出温度は、310℃以上375℃以下であることが好ましく、315℃以上370℃以下であることがより好ましい。
直留軽油の15℃における密度は、0.810g/cm3以上0.870g/cm3以下である。直留軽油の15℃における密度が0.810g/cm3未満であると、原油中に含まれるLGOを回収していないことを意味するため好ましくなく、0.870g/cm3を超えると触媒の劣化が顕著になるため好ましくない。この観点から、15℃における密度は、0.815g/cm3以上0.865g/cm3以下であることが好ましく、より好ましくは、0.820g/cm3以上0.860g/cm3以下である。
直留軽油に含まれる硫黄の含有量は、直留軽油の全質量基準で0.02質量%以上1.80質量%以下である。直留軽油に含まれる硫黄の含有量が、直留軽油の全質量基準で0.02質量%未満であると、コバルト、ニッケル、モリブデンから成り使用中には硫化物の形態で存在する脱硫触媒の活性金属が還元され、触媒性能が低下するという問題点がある。1.80質量%を超えると、硫黄分が多すぎるため脱硫が困難となる。この観点から、直留軽油に含まれる硫黄の含有量は、直留軽油の全質量基準で0.05質量%以上1.70質量%以下が好ましく、0.10質量%以上1.60質量%以下がより好ましい。
直留軽油に含まれる窒素の含有量は、直留軽油の全質量基準で20質量ppm以上300質量ppm以下である。直留軽油に含まれる窒素の含有量が、直留軽油の全質量基準で20質量ppm未満であると、逆に、水素化反応が促進されすぎ、水素消費量が大きくなりすぎる問題点がある。窒素分が300質量ppm%を超えると、脱硫反応が抑制され過ぎ必要な脱硫性能が発揮されない。
この観点から、直留軽油に含まれる窒素の含有量は、直留軽油の全質量基準で40質量ppm以上260質量ppm以下が好ましく、60質量ppm以上220質量ppm以下がより好ましい。
直留軽油の好ましい蒸留性状は、下記のとおりである。すなわち、10%留出温度が、225℃以上280℃以下であることが好ましく、より好ましくは、230℃以上270℃以下である。
50%留出温度が、280℃以上320℃以下であることが好ましく、より好ましくは、285℃以上315℃以下である。
90%留出温度が、320℃以上385℃以下であることが好ましく、より好ましくは、325℃以上380℃以下である。特に好ましくは、330℃以上375℃以下である。
(接触分解軽油)
接触分解軽油(以下、LCOと表記する場合がある)は、上述した(A)〜(F)の性状を有する。
すなわち、90%留出温度は、315℃以上370℃以下である。90%留出温度に下限があるのは、温度が低すぎると、分解軽油留分がボトム油に落ちているということを意味するためである。よって、90%留出温度は320℃以上がより好ましく、325℃以上が特に好ましい。90%留出温度に上限があるのは、温度が高くなると、沸点393℃以上の4環アロマ類(ピレン類)の混入量が指数的に増加し、このような分解軽油をブレンドすると触媒が顕著に劣化するためである。
また、接触分解軽油の15℃における密度は、0.880g/cm3以上0.960g/cm3以下である。密度が低すぎると、分解軽油留分がボトム油に落ちてしまっていることを意味するため好ましくない。密度が高すぎると、分解軽油留分に重質アロマ分が増加することを意味し、触媒が顕著に劣化するため好ましくない。密度の下限値は0.90g/cm3がより好ましく、0.92g/cm3が特に好ましい。密度の上限値は0.955g/cm3がより好ましく、0.950g/cm3が特に好ましい。
また、接触分解軽油の硫黄含有量は、接触分解軽油の全質量基準で0.02質量%以上1.0質量%以下である。分解軽油の硫黄分が少なすぎると、ブレンド油の硫黄分が低くなりすぎ、触媒が還元されるおそれがあるため、好ましくない。硫黄分が多すぎると、脱硫しにくい硫黄分の含有量が増加するため好ましくない。よって、硫黄含有量の上限値は、0.8質量%以下がより好ましく、0.6質量%以下がさらに好ましく、0.4質量%以下が特に好ましい。
さらにまた、接触分解軽油の塩基性窒素の含有量は、接触分解軽油の全質量基準で10質量ppm以上100質量ppm以下である。塩基性窒素分が10質量ppm未満では、少なすぎて、水素化反応が進行しすぎるため好ましくない。塩基性窒素分が100質量ppmを超えると、多すぎて、脱硫反応が顕著に抑制されるため好ましくない。この観点から、塩基性窒素分は20質量ppm〜90質量ppmがより好ましい。
接触分解軽油の目詰まり点は、−40℃以上、0℃以下である。目詰まり点が−40℃未満であることは、軽質分の含有量が多いことを意味し、水素化脱硫油の軽油としての品質が劣ることを意味するため好ましくない。0℃を超えると、流動点の調整が必要になり、灯油のブレンドがより一層必要となるため好ましくない。
また、接触分解軽油に含まれるピレン量は、2.0質量%以下である。接触分解軽油中のピレン濃度が2.0質量%を超えることは、高沸点留分の割合が多いことに通じ、特に重質な難脱窒素化合物が多く含まれ、触媒の脱硫活性が大きく阻害される。このように、ピレンは、軽油水素化脱硫触媒の主要な劣化原因を占める物質であるため、少ないほど好ましい。この観点から、ピレン濃度は、好ましくは1.8質量%以下であり、より好ましくは、1.6質量%以下である。
接触分解軽油中のピレン濃度は、脱硫触媒の劣化を防止するという観点で、低ければ低いほどよいが、ピレン濃度が低すぎると、中間留分としての分解軽油がボトム油に落ちることを意味するため、好ましくない。その観点から、ピレン濃度は0.2質量%以上が好ましく、より好ましくは0.3質量%であり、さらに好ましくは0.4質量%以上である。ただし、ピレン濃度が0.25質量%以下であれば、軽油水素化脱硫触媒への影響は実質的にない。
接触分解軽油の蒸留性状は、下記に挙げるものであることが好ましい。すなわち、10%留出温度が、220℃以上270℃以下であることが好ましく、より好ましくは、225℃以上265℃以下である。
50%留出温度が、260℃以上315℃以下であることが好ましく、より好ましくは、265℃以上310℃以下である。
90%留出温度が、315℃以上370℃以下であることが好ましく、より好ましくは、320℃以上365℃以下である。特に好ましくは、325℃以上360℃以下である。
(その他の軽油留分)
また、本実施形態に係る軽油基材の製造方法では、原料油として、直留軽油及び接触分解軽油のほか、水素化分解油、熱分解油等他のプロセスで得られる軽油留分が含まれていてもよい。
(原料油組成)
原料油中における接触分解軽油の含有量を制約するのは、劣化原因物質であるピレンの量と接触分解軽油に由来する触媒層の発熱のためである。ピレンの濃度が低い接触分解軽油であれば触媒の劣化速度が小さいのでより多く通油することが可能であり、ピレンの濃度が高い接触分解軽油であればより少なく通油せざるを得なくなる。また、接触分解軽油の含有量が高くなると、反応塔における発熱がより顕著になるため、通油量を低くする必要が生じる。具体的には、脱硫触媒の劣化を防止する観点から、接触分解軽油中のピレン濃度に基づく接触分解軽油の通油比率の上限は、下記式で表される。
LCOmax(容量%)=25.0/(接触分解軽油におけるピレン濃度(質量%))
つまり、原料油中における該接触分解軽油の通油比率(単位:容量%)(V1)が下記式で表される。
V1≦25.0/(接触分解軽油におけるピレン濃度(質量%))
ピレン濃度が低い接触分解軽油であれば脱硫触媒の劣化防止という観点で通油比率を高めることができる。しかし、逆に、接触分解軽油に多く含まれるオレフィン分や芳香族分が水素化される触媒層で、顕著な発熱が起こり、触媒層の平均温度が高くなりすぎるという問題が生じることがある。触媒層で顕著な発熱が起こると、触媒層の平均温度が420℃より高くなり、脱硫軽油留分が顕著に着色するため好ましくない。
よって、LCOの通油比率を高めるためには、クエンチ水素量を増加することにより触媒層の発熱(ΔT=反応塔出口温度−反応塔入口温度)を50℃以下にして、反応塔出口温度を420℃以下にすることが好ましい。クエンチ水素の導入だけで反応温度を420℃以下にできない場合は、通油量(LHSV)を低下させ、脱硫に必要な平均温度を低下させる必要がある。
[製品軽油の調整]
本発明に係る水素化精製方法によって得られる軽油留分は、そのまま軽油製品として用いることができるが、他の基材と混合して軽油製品を調製するための軽油基材として用いることが好ましい。
上述の軽油基材と混合される他の軽油基材としては、例えば、原油を精製して生産される灯油、フィッシャー・トロプシュ法等で誘導される合成軽油、水素化分解軽油、あるいはそれらの半製品、中間製品等の配合用基材が挙げられる。また、植物油メチルエステル、エーテル類等も他の軽油基材として配合することができる。
本実施形態に係る軽油基材の製造方法によって得られる軽油基材と他の軽油基材とを配合して、製品軽油を調製する場合、所望の品質の軽油となるように適宜配合割合を選定する。例えば、接触分解軽油の通油比率が特に高い場合、該軽油基材のセタン価等の品質が軽油規格に満足しない場合があるため、接触分解軽油の比率の低い他の基材と混合する必要がある。
また、これらの軽油基材には、添加剤として、低温流動性向上剤、耐摩耗性向上剤、セタン価向上剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、腐食防止剤等の公知の燃料添加剤を添加してよい。低温流動性向上剤としては、エチレン共重合体等を用いることができるが、特には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等の飽和脂肪酸のビニルエステルが好ましく用いられる。また、耐摩耗性向上剤としては、長鎖(例えば、炭素数12〜24)の脂肪酸又はその脂肪酸エステルが好ましく用いられ、10〜500質量ppm、好ましくは、50〜100質量ppmの添加量で十分に耐摩耗性を向上させることができる。
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。本発明は下記の実施例に限定されない。実施例及び比較例の供試軽油基材とその製造方法による触媒劣化、消費水素量、及び余剰水素量を下記方法により測定した。また、得られた水素化脱硫軽油の色相を測定した。
<基材の性状>
・蒸留性状:JIS K 2254
・硫黄:JIS K 2541−6「原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第6部:紫外蛍光法」により測定される値である。
・密度(15℃):JIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される密度である。
・窒素:JIS K 2609
・動粘度:JIS K 2283
・飽和分、アロマ分(一環、二環、三環、及び三環以上)、オレフィン分:石油学会法JPI−5S−49−97
・目詰まり点(CFPP)温度:JIS K 2288
・ピレン濃度:二次元ガスクロ
二次元ガスクロは、通常のFIDガスクロに加え、ほぼ同一の沸点成分を極性毎に分離する点を除けば通常のガスクロマトグラフ法と変わりがない。ただし、ピレン濃度を求めるには、次に述べる方法を使用する必要がある。分解軽油を二次元ガスクロに注入すると、x軸方向に沸点順に、y軸方向に極性順に、二次元平面で展開され、濃度は濃淡を意味する数値で表現される。ピレン類は沸点が390℃以上であり、分解軽油に含まれる成分としては最も沸点と極性が高いため、ガスクロチャート上は、右上(高沸点、高極性領域)にプロットされる。この領域には、ピレン類とフルオランテン類が展開され、この領域に含まれる炭素分を積算し、全領域を積算した全炭素分に含まれる割合を基に、[ピレン+フルオランテン]類の質量%(A)を求める。ここで、側鎖の付いていないピレンとフルオランテンは試薬が入手でき同定可能なので、ピレンの質量%(B)とフルオランテンの質量%(C)を基に、ピレン類の質量%(D)を、次式で算出するものとする。フルオランテン類は軽油水素化脱硫反応における劣化原因物質ではないので、(A)からフルオランテン類の寄与を除くことにより、軽油水素化脱硫反応における触媒劣化を適切に反映するピレン類の質量%を求めることができる。
ピレン類の質量%D=A×B÷(B+C)質量%
測定装置は、ガスクロマトグラフィー ゲステル株式会社製、装置名「Zoex KT2006」と、アジレントテクノロジー株式会社製、装置名「Agilent 6890N」、及びアジレントテクノロジー株式会社製、装置名「Agilent 5975MSD」を組み合わせて使用した。
また、測定条件は、下記のとおりとした
ファーストカラム:Restek Rxi−5ms(30m×0.25mmID×0.25μm)、セカンドカラム:BPX−50(1.8m×0.1mmID×0.1μm)
インジェクション温度:300℃、昇温速度:50℃から310℃まで3℃/分
キャリアガス:Constant ガス流速 2.7mL/分
スプリット比: 200:1
モジュレーション時間:8sec
検出器:FID 310℃、MS四重極EI
<触媒劣化速度>
触媒劣化速度を下記の方法により評価した。
容積100ccの高圧固定床流通式のベンチ反応器を用い、水素化脱硫試験を実施した。触媒は60ミリリットル充填した。原料油は水素ガス(ボンベの純水素を昇圧して使用)とともに反応管の上段から導入するダウンフロー(トリクルフロー)形式で流通させて反応評価を行った。前処理として、DMDS(ジメチルジスルフィド)を添加し硫黄濃度を2.0質量%に調整した、密度0.844g/cm3の中東系軽油をベースとする予備硫化油を水素ガスとともに流通させて温度240℃で4時間、290℃で9時間予備硫化を行なった。予備硫化後、硫黄分1.1質量%、密度0.846g/cm3の中東系原油に切り替え、310℃で24時間原料油硫化を行なった。
次に、各種原料油に切替え、水素化脱硫試験を行なった。原料油の種類、通油量、反応評価条件一定の下で、硫黄分が8質量ppmに一定となるように触媒層の温度を調整することにより、触媒の劣化速度を計測した。ただし、本試験は等温反応器による評価であるため、各条件における触媒層の発熱をLCOの通油比率、性状から計算で求め、必要なクエンチ水素合計量とその量のクエンチ水素を導入した場合の触媒層の発熱(ΔT)を算出した。
水素消費量は、水素化脱硫軽油中の水素含有量から原料油中の水素含有量を差し引くことにより求めた。
ΔT(℃)=反応塔導入口温度−反応塔出口温度(℃)
<ASTM色相>
軽油基材のASTM色相を下記の方法により測定した。
JIS K 2580(ASTM D 1500)
[実施例及び比較例]
第1表に示す性状を有する直留軽油と、第2表に示す性状を有する接触分解軽油とを用いて原料油を作製した。
原料油を水素化精製処理して得られた水素化脱硫軽油の性状と、水素化精製処理における触媒劣化及び水素消費量を第3表に示す。なお、水素化精製試験は前記ベンチ反応器を用いたが、表3では、図1に示した装置にてクエンチガスが反応塔5と反応塔8との間に導入されたパイロット装置に換算した結果を示す。
ベンチ反応器では、クエンチ水素を導入できないため、触媒層の発熱温度の差、すなわち、反応塔出口温度−反応塔入口温度が50℃以下になるように導入するときの導入量を算出した。
[評価結果]
第3表に示す結果から、実施例1で用いた原料油では、接触分解軽油に含まれるピレン類の濃度が0.3質量%と低いため、水素/原料油比が(LCO容量%×4.2+230)未満とならないよう反応塔入口に水素を供給すれば、劣化速度を2℃以下に抑制でき、水素化脱硫軽油の色相も1.6と良好である。比較例1では、水素/原料油比が(LCO容量%×4.2+230)以上を満足しないため、劣化速度が6.6℃/30日と非常に大きくなった。
実施例2、3では、接触分解軽油に含まれるピレン濃度の制約によりそれぞれ、接触分解軽油2が20容量%まで、接触分解軽油3が15容量%まで通油可能であることを示している。一方、比較例2では、接触分解軽油3を20容量%まで増加すると、接触分解軽油に含まれるピレン類の濃度が増加し、基準を満たさなくなるため、劣化速度と水素化脱硫軽油の色相が顕著に悪化し、反応塔入口で水素を十分に供給したとしても、実装置では実用的に運転できないことがわかる。
1…原料油、 2…塔頂ガス、 3…原料油−生成油熱交換器、 4…加熱炉、 5…第1反応塔、 6,7,9,10…水素化精製触媒、 8…第2反応塔、 11…生成油、 12…クエンチガス

Claims (7)

  1. 常圧蒸留装置から得られる直留軽油と接触分解装置から得られる接触分解軽油とを含む原料油を、反応塔の内部に水素化精製触媒を用いて形成された複数の触媒床に接触させて水素化精製処理する軽油基材の製造方法であって、
    該直留軽油が下記の性状を有し、
    (a)90%留出温度が305℃以上380℃以下
    (b)15℃における密度が0.810g/cm以上0.870g/cm以下
    (c)硫黄含有量が該直留軽油の全質量基準で0.02質量%以上1.80質量%以下
    (d)窒素含有量が該直留軽油の全質量基準で20質量ppm以上300質量ppm以下
    該接触分解軽油が下記の性状を有し、
    (A)90%留出温度が315℃以上370℃以下であり、10%留出温度が220℃以上270℃以下
    (B)15℃における密度が0.880g/cm以上0.960g/cm以下
    (C)硫黄含有量が該接触分解軽油の全質量基準で0.02質量%以上1.00質量%以下
    (D)塩基性窒素の含有量が該接触分解軽油の全質量基準で10質量ppm以上100質量ppm以下
    (E)目詰まり点が−40℃以上0℃以下
    (F)ピレン量が接触分解軽油全量基準で2.0質量%以下
    水素化精製処理において、該原料油の処理条件を下記のように設定するとともに、
    (i)水素圧力が3.8MPa以上7.0MPa以下
    (ii)LHSVが0.3h−1以上1.5h−1以下
    (iii)平均反応温度が280℃以上420℃以下
    (iv)水素/原料油比が230Nm/kL以上500Nm/kL以下であり、かつ、下記式を満たす
    (水素/原料油比)≧(原料油の全容量基準における接触分解軽油の容量%)×4.2+230
    (v)該原料油中における該接触分解軽油の通油比率(単位:容量%)(V1)が下記式で表される
    V1≦25.0/(接触分解軽油におけるピレン濃度(質量%))、
    複数の触媒床の間の第一の箇所と、該第一の箇所よりも該反応塔の出口側の第二の箇所のうち、少なくとも1箇所からクエンチガスを導入する軽油基材の製造方法。
  2. 前記直留軽油の性状のうち、(c)硫黄含有量が前記直留軽油の全質量基準で0.05質量%以上1.70質量%以下である請求項1に記載の軽油基材の製造方法。
  3. 前記直留軽油の性状のうち、(c)硫黄含有量が前記直留軽油の全質量基準で0.10質量%以上1.60質量%以下である請求項1に記載の軽油基材の製造方法。
  4. 前記直留軽油の性状のうち、(d)窒素含有量が前記直留軽油の全質量基準で40質量ppm以上260質量ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽油基材の製造方法。
  5. 前記直留軽油の性状のうち、(d)窒素含有量が前記直留軽油の全質量基準で60質量ppm以上220質量ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の軽油基材の製造方法。
  6. 前記水素化精製処理における前記処理条件のうち、(ii)LHSVが0.4h−1以上1.0h−1以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の軽油基材の製造方法。
  7. 前記接触分解軽油には、ピレンが接触分解油全質量基準で0.2質量%以上2.0質量%以下含まれる請求項1〜6のいずれか1項に記載の軽油基材の製造方法。
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