JP6360290B2 - 累進屈折力レンズ - Google Patents
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Description
遠用度数測定基準点2は、眼鏡レンズ1における遠用度数を測定する位置である。フィッティングポイント3は、上述の通り、装用者が正面視をしたときに視線が通過する位置である。近用アイポイント4は、近用部における内寄せ量(インセット)及び累進帯長を示す役割を担う。近用度数測定基準点5は、眼鏡レンズ1における近用度数を測定する位置である。
また、累進屈折力レンズの幾何中心Oの水平方向には隠しマークHが施されている。隠しマークHは、永久マークとして入れられているマークで、上記各種の点の位置を特定するための基準となるマークとして用いられる。
着座位置が高い場所にある自動車を運転手が運転する場合、運転手にとって前方の視野が広くなる。そのため、運転手が正面視した際に遠方視となるのはもちろんのこと、正面視から30°下方の視線角度までの範囲においても、自車の直前から数台先を走行する先行車の動きを確認するなどの遠方視を行う必要が生じる。
図2を見ると、フィッティングポイント3の直下から下方に向けて既に加入度数の増加が始まっている。
(1)左右方向も含めた遠方視を良好に確保すべく、少なくとも、フィッティングポイントを通過する水平線上の所定の部分では非点収差及び相対平均度数の分布の数値を低めないしゼロに設定しておく。
(2)それと共に、累進屈折力レンズの装用者(例えば大型車両の運転手)が遠方視する場合の視線が累進屈折力レンズを通過する箇所においては、加入度数の作用を抑えておく。そして、累進屈折力レンズの装用者(例えば大型車両の運転手)が遠方視する下方の限界(例えば大型車両のフロントガラスの下端に対応する位置)を超えた部分から加入度数を作用させる。
という知見を、本発明者は得た。
また、「非点収差」とは、累進レンズの遠用度数の乱視度数を基準としたレンズ各位置における相対的な乱視度数の偏差のことである。
本発明の第1の態様は、
上方から下方にかけて、遠用部、累進部及び近用部が形成されており、装用者が正面視をしたときに視線が通過するフィッティングポイントが予め設定されている累進屈折力レンズにおいて、
累進屈折力レンズを装用する際に鼻側となる方向を内側、耳側となる方向を外側とすると、フィッティングポイントを通過する水平線上の部分であって、フィッティングポイントから少なくとも20mm内側へ離れた位置から、フィッティングポイントから少なくとも20mm外側へ離れた位置までの間では、非点収差及び相対平均度数の分布を0.50D未満とし、
フィッティングポイントから少なくとも5mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の10%以下とした、累進屈折力レンズである。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、
フィッティングポイントから少なくとも6mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の15%以下とした、累進屈折力レンズである。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の発明において、
フィッティングポイントから少なくとも4mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の5%以下とした、累進屈折力レンズである。
本発明の第4の態様は、第1ないし3のいずれかの態様に記載の発明において、
フィッティングポイントから少なくとも10mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の50%以下とした、累進屈折力レンズである。
本発明の第5の態様は、第1ないし4のいずれかの態様に記載の発明において、
フィッティングポイントから少なくとも4mm下方までの加入度数を0.10D以下とした、累進屈折力レンズである。
本発明の第6の態様は、第1ないし5のいずれかの態様に記載の発明において、
フィッティングポイントから少なくとも5mm下方までの加入度数を0.25D以下とした、累進屈折力レンズである。
本実施形態においては、次の順序で説明を行う。
1.累進屈折力レンズ
(1)非点収差及び相対平均度数の分布の設定
(2)加入度数の設定
2.実施の形態による効果
3.変形例
本実施形態においては、累進屈折力レンズを内面累進レンズとした場合について述べる。以降、特記のない限り、第1面を凸面、第2面を凹面とした眼鏡レンズ1を用いて説明する。また、累進屈折力を有する面のことを「累進面」とも言う。また、第1面を累進面とした外面累進レンズ、並びに、第1面及び第2面共に累進面とした両面累進レンズや第1面に垂直方向の累進成分を持つ非球面を持ち、第2面に水平方向の累進成分を持つ非球面を持つ様な両面を複合させて累進屈折力レンズとする「両面複合累進レンズ」については<3.変形例>にて述べる。
本実施形態における累進屈折力レンズは、物体側表面である第1面と眼球側表面である第2面とを有し、且つ、遠方視のための遠用部と近方視のための近用部と遠用部と近用部との間に設けられた中間視のための累進部とを有する。そして、上述の通り、本実施形態においては第2面に累進面を設定している。また、本実施形態においては左眼用の累進屈折力レンズを一例として挙げる。
また、本明細書において、「累進レイアウト」とは、図3のような非点収差分布や、図4のような相対平均度数分布を含む。
なお、右眼用の累進屈折力レンズでは、装用者の処方にもよるが、累進レイアウトは左眼用の累進屈折力レンズに対して左右略対称となる。
(1)フィッティングポイント3を通過する水平線上の部分であって、フィッティングポイント3から少なくとも20mm内側へ離れた位置から、フィッティングポイント3から少なくとも20mm外側へ離れた位置までの間では、非点収差及び相対平均度数の分布を0.50D未満とする。
(2)フィッティングポイント3から少なくとも5mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の10%以下とする。
先にも述べたように、大型車両の運転席から左右のドアミラーを見る場合は、右ドアミラーは右方向30°で下方10°、左ドアミラーは左方向60°で下方5°程度の視線方向で確認する。これは、左右の水平に近い視線方向である。そして、大型車両の運転手は、左右のドアミラーに移った自車の後方の像を見るが、このミラーは平面鏡ではなく、ミラーに映る範囲を広くするために緩いカーブの凸面鏡を使用している。そして、このミラーに映った後方の像を見ることは運転手の眼から像までの距離を想定すると ドアミラーに見える後方の像はミラーの面よりも遠い位置にできるため、運転手に近い位置にある方の運転席側のドアミラーで見た場合でも 遠方視に該当する。そこで、従来の累進屈折力レンズとは異なり、本実施形態においては、フィッティングポイント3から少なくとも20mm内側及び外側の間の部分(以降、単に「内外20mmの部分」とも言う。)では、非点収差及び相対平均度数の分布を0.50D未満としている。非点収差及び相対平均度数の分布が0.50D未満ならば、大型車両の運転手がドアミラーで後方を確認する際に与える疲労を少なくすることが可能となる。
しかしながら、本発明者はこのしわ寄せを乗り越え、フィッティングポイント3の下方において、以下の構成を採用している。
先にも述べたように、大型車両の運転手の着座位置は、小型車両(例えば家庭用乗用車)に比べて極めて高い。そのため、運転手が正面視した際に遠方視となるのはもちろんのこと、正面視から30°下方の視線角度までの範囲においても遠方視を行う必要が生じる。そこで、本実施形態においては、フィッティングポイント3から少なくとも5mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の10%以下としている。なお、5mm下方というのは、運転手の眼の高さが地上から2.4m以上となる通常の大型車両を運転する運転手が前方を見る際、フロントガラスの下端に対応する位置である。本実施形態においては、この位置が、大型車両の運転手が遠方視する下方の限界としている。
なお、ここで言う「累進屈折力レンズにて設定された加入度数」とは、フィッティングポイント3から近用度数測定基準点5までの度数の増加量のことを指す。
(条件2−2)フィッティングポイント3から少なくとも6mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の15%以下(好ましくは12%以下)とする。
(条件2−3)フィッティングポイント3から少なくとも4mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の5%以下(好ましくは4%以下)とする。
(条件2−4)フィッティングポイント3から少なくとも10mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の50%以下(好ましくは35%以下)とする。
(条件2−5)フィッティングポイント3から少なくとも4mm下方までの加入度数を0.10D(好ましくは0.06D以下)以下とする。
(条件2−6)フィッティングポイント3から少なくとも5mm下方までの加入度数を0.25D以下(好ましくは0.16D以下)とする。
加入度数を作用させるための具体的な設計の例としては、以下のものがある。
まず、図3および4に示すように、遠用度数測定基準点2、フィッティングポイント3、近用アイポイント4、近用度数測定基準点5を設定する。なお、これらの点の配置は、大型車両の運転手と計器類との距離や運転手の姿勢に基づいている。即ち、運転手からスピードメータ等の計器類までの距離は80cm程度であり、下方40°の方向にある。そして、運転手は、計器類を見るときに顔を15°下方へと向けることを想定している。それを反映させて、フィッティングポイント3を通過する水平線上の部分であって、フィッティングポイント3から少なくとも20mm内側へ離れた位置から、フィッティングポイント3から少なくとも20mm外側へ離れた位置までの間では、非点収差及び相対平均度数の分布を0.50D未満としている。
また、図5に示すように、特許文献5(図2)とは異なり、フィッティングポイント3から少なくとも5mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の10%以下としている。この数値の算出方法について、以下、説明する。図5に示すように、フィッティングポイント3からの距離Yが5mmのときの加入度数は、Y=4〜7.33の値と加入度数0.06〜0.25との関係におけるグラフの傾きから計算すると、0.12Dとなる。そして、累進屈折力レンズに設定された加入度数が1.50Dに対し、この値の割合は7.8%となり、条件を満たす。以降、図中の表に記載のないYの値に対応する加入度数は、上記の手法を用いて計算している。
フィッティングポイント3から少なくとも6mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の15%以下とするところ、加入度数ADD=1.50Dの場合、図5から算出すると、Y=6.0の場合、加入度数は0.174Dとなり、割合は11.6%となり、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも4mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の5%以下とするところ、加入度数ADD=1.50Dの場合、図5から算出すると、Y=4.0の場合、加入度数は0.06Dとなり、割合は4.0%となり、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも10mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の50%以下とするところ、加入度数ADD=1.50Dの場合、図5から算出すると、Y=10.0の場合、加入度数は0.491Dとなり、割合は32.6%となり、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも4mm下方までの加入度数を0.10D以下とするところ、加入度数ADD=1.50Dの場合、図5から算出すると、Y=4.0の場合、加入度数は0.06Dとなっていることから、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも5mm下方までの加入度数を0.25D以下とするところ、加入度数ADD=1.50Dの場合、図5から算出すると、Y=5.0の場合、加入度数は0.12Dとなっていることから、条件を満たす。
本例においても、フィッティングポイント3を通過する水平線上の部分であって、フィッティングポイント3から少なくとも20mm内側へ離れた位置から、フィッティングポイント3から少なくとも20mm外側へ離れた位置までの間では、非点収差及び相対平均度数の分布を0.50D未満としている。
また、図8に示すように、フィッティングポイント3からの距離Yが5mmのときの加入度数は、Y=4〜6.617の値と加入度数0.06〜0.25との関係におけるグラフの傾きから計算すると、0.13Dとなる。そして、累進屈折力レンズに設定された加入度数が2.00Dに対し、この値の割合は6.6%となる。その結果、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の10%以下という条件を満たしている。
フィッティングポイント3から少なくとも6mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の15%以下とするところ、加入度数ADD=2.00Dの場合、図8から算出すると、Y=6.0の場合、加入度数は0.174Dとなり、割合は10.3%となり、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも4mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の5%以下とするところ、加入度数ADD=2.00Dの場合、図8から算出すると、Y=4.0の場合、加入度数は0.06Dとなり、割合は3%となり、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも10mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の50%以下とするところ、加入度数ADD=2.00Dの場合、図8から算出すると、Y=10.0の場合、加入度数は0.652Dとなり、割合は32.6%となり、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも4mm下方までの加入度数を0.10D以下とするところ、加入度数ADD=2.00Dの場合、図8から算出すると、Y=4.0の場合、加入度数は0.06Dとなっていることから、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも5mm下方までの加入度数を0.25D以下とするところ、加入度数ADD=2.00Dの場合、図8から算出すると、Y=5.0の場合、加入度数は0.13Dとなっていることから、条件を満たす。
本例においても、フィッティングポイント3を通過する水平線上の部分であって、フィッティングポイント3から少なくとも20mm内側へ離れた位置から、フィッティングポイント3から少なくとも20mm外側へ離れた位置までの間では、非点収差及び相対平均度数の分布を0.50D未満としている。
また、図11に示すように、フィッティングポイント3からの距離Yが5mmのときの加入度数は、Y=4〜6の値と加入度数0.06〜0.25との関係におけるグラフの傾きから計算すると、0.16Dとなる。そして、累進屈折力レンズに設定された加入度数が2.50Dに対し、この値の割合は6.2%となる。その結果、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の10%以下という条件を満たしている。
フィッティングポイント3から少なくとも6mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の15%以下とするところ、加入度数ADD=2.50Dの場合、図11から算出すると、Y=6.0の場合、加入度数は0.25Dとなり、割合は10.0%となり、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも4mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の5%以下とするところ、加入度数ADD=2.50Dの場合、図11から算出すると、Y=4.0の場合、加入度数は0.06Dとなり、割合は2.4%となり、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも10mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の50%以下とするところ、加入度数ADD=2.50Dの場合、図11から算出すると、Y=10.0の場合、加入度数は0.831Dとなり、割合は33.3%となり、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも4mm下方までの加入度数を0.10D以下とするところ、加入度数ADD=2.50Dの場合、図11から算出すると、Y=4.0の場合、加入度数は0.06Dとなっていることから、条件を満たす。
フィッティングポイント3から少なくとも5mm下方までの加入度数を0.25D以下とするところ、加入度数ADD=2.50Dの場合、図11から算出すると、Y=6.0の場合、加入度数は0.16Dとなっていることから、条件を満たす。
本実施形態との対比のために、特許文献5に記載の累進屈折力レンズは、(条件2−1)を満たしているか否かについて述べる。
特許文献5に記載の累進屈折力レンズを示す図2を見ると、加入度数が0.90Dという低い値であっても、Y=5.0の地点では、加入度数は約0.25Dとなっており、割合は27.8%となり、数値的には上記の(条件2−1)を満たさない。なお、特許文献5の図6には加入度数が1.25Dの場合のグラフが記載されているが、このグラフにおいても同様に上記の(条件2−1)を満たしていない。
また、他の条件、詳しく言うと(条件2−6)以外の条件に関しては、以下のように条件を満たさない。
セミフィニッシュレンズは、累進屈折力レンズの基となる基材である。累進屈折力レンズを製造することができるのならば、どのような材質や形状を有していても構わないし、公知のセミフィニッシュレンズを用いても構わない。本実施形態のセミフィニッシュレンズは、略円盤状であり、累進屈折力レンズの第1面となる部分には、所定のベースカーブを有する球面形状が形成されている。また、ベースカーブを有する面と対向する面は、未加工面としている。
本実施形態においては、セミフィニッシュレンズの未加工面が、累進屈折力レンズの第2面となり、累進面となる。なお、ベースカーブの選択は、公知の方法を用いれば良い。ここで選択されたベースカーブを有するセミフィニッシュレンズを選択する。その後、実際にセミフィニッシュレンズへの加工が行われる。
第1面及び第2面が形成された累進屈折力レンズに対し、その他の諸々の工程を行う。例えば、表面検査、染色、ハードコート膜の形成、反射防止膜の形成、レンズ光学性能検査、外観検査、マーキング、ヤゲン加工、洗浄等を行う。こうして、本実施形態における累進屈折力レンズが製造される。
本実施形態においては、以下の効果を奏する。
本実施形態の累進屈折力レンズならば、フィッティングポイント3から下方が累進帯にもかかわらず、フィッティングポイント3の直下においては加入度数が働きにくくなっている。そのため、累進屈折力レンズの中でも度数の増加が抑えられている部分において、本実施形態の累進屈折力レンズの装用者(例えば大型車両の運転手)は遠方視を行うことが可能となる。その結果、本実施形態の累進屈折力レンズは、着座位置が非常に高い大型車両を運転する際の遠方視から近方視へと移行する際の眼の調節を、適切に補助することが可能となる。そして、大型車両の運転手に対して所望の視力を与えつつ、大型車両の運転手の眼に対する負担を軽減することが可能となる。また、頻繁に視線を向ける先行車両の後部を見る際の疲労を軽減できていることから、大型車両の運転中、運転手が他の位置(遠方視が必要な位置又は近方視が必要な位置)へと視線を移したとしても、従来に比べて飛躍的に運転手の疲労を軽減することが可能となる。しかも、運転手が高齢者の場合だと、所望の光学特性を高齢者に提供しつつも、視線の移動の際の負担を飛躍的に軽減することが可能となる。
また、従来の累進屈折力レンズを装用したときのように、大型車両の運転手が顎を強く引いて、累進レンズの上側の領域の加入屈折作用の無い領域を使って先行車両を見る必要もなくなる。そうなると、大型車両の運転手は自然な姿勢で運転することが可能となり、大型車両の運転手の疲労を著しく軽減することが可能となる。
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
一方、非点収差及び相対平均度数の分布を更に小さくするのも、より好ましい。具体的に言うと、内外20mmの部分で非点収差及び相対平均度数の分布を0.50D未満とする代わりに、0.25D未満とするのが、より好ましい。こうすることにより、大型車両の運転手に与える疲労を極めて少なくすることが可能となる。
また、本実施形態においては大型車両(運転手の眼の高さが地上から2.4m以上)を想定して「5mm下方」という条件設定を行った。その一方、もちろん、大型車両の場合よりも俯瞰の度合いが小さくなる中型車両(運転手の眼の高さが地上から2.0m以上)を想定した場合であっても、上記の(1)及び(2−1)の条件を満たせば、本発明の効果を享受することが可能となる。
2 遠用度数測定基準点
3 フィッティングポイント
4 近用アイポイント
5 近用度数測定基準点
Claims (6)
- 上方から下方にかけて、遠用部、累進部及び近用部が形成されており、装用者が正面視をしたときに視線が通過するフィッティングポイントが予め設定されている累進屈折力レンズにおいて、
累進屈折力レンズを装用する際に鼻側となる方向を内側、耳側となる方向を外側とすると、フィッティングポイントを通過する水平線上の部分であって、フィッティングポイントから少なくとも20mm内側へ離れた位置から、フィッティングポイントから少なくとも20mm外側へ離れた位置までの間では、非点収差及び相対平均度数の分布を0.50D未満とし、
累進屈折力レンズにて設定された加入度数は2.00〜2.50Dであり、
フィッティングポイントから少なくとも5mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の10%以下とした、累進屈折力レンズ。 - フィッティングポイントから少なくとも10mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の35%以下とした、請求項1に記載の累進屈折力レンズ。
- フィッティングポイントから少なくとも6mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の15%以下とした、請求項1または2のいずれかに記載の累進屈折力レンズ。
- フィッティングポイントから少なくとも4mm下方までの加入度数の割合を、累進屈折力レンズにて設定された加入度数の5%以下とした、請求項1ないし3のいずれかに記載の累進屈折力レンズ。
- フィッティングポイントから少なくとも4mm下方までの加入度数を0.10D以下とした、請求項1ないし4のいずれかに記載の累進屈折力レンズ。
- フィッティングポイントから少なくとも5mm下方までの加入度数を0.25D以下とした、請求項1ないし5のいずれかに記載の累進屈折力レンズ。
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