JP6359365B2 - アミノ酸のアミノ基及びカルボキシル基を対象としたプレカラム誘導体化lc−ms分析法 - Google Patents

アミノ酸のアミノ基及びカルボキシル基を対象としたプレカラム誘導体化lc−ms分析法 Download PDF

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本発明は、アミノ酸の検出および分析に関し、特に、試料中に含まれる各種のアミノ酸をLC-MS分析法を用いて分析する際の、アミノ酸のプレカラム誘導体化方法に関する。
近年、臨床検査分野において、測定結果が測定機器や臨床検査薬、検査機関によらない結果を得られるよう、認証標準物質(Certified Reference Material;CRM)の開発が求められている。タンパク質を対象とした臨床検査も例外でなく、各国の計量標準機関において、タンパク質のCRM開発に注力している。
タンパク質認証標準物質は、通常、当該タンパク質を含む溶液の形で提供される。そのため、タンパク質認証標準物質を開発するにあたっては、当該溶液中に含まれるタンパク質の濃度を精確に特定することが求められる。
このような、アミノ酸組成の分かっているタンパク質の濃度の定量方法の一つとして、当該タンパク質を構成するアミノ酸を定量する方法が知られている。この方法は、当該タンパク質をアミノ酸にまで完全に加水分解し、得られる各種アミノ酸混合物中の特定のアミノ酸を定量することにより、元のタンパク質を定量するものであり、正確を期するため、通常は、元のタンパク質に含まれる数種類のアミノ酸について定量が行われる。
このような、試料中に含まれる各種のアミノ酸を定量する方法としては、当該試料中の各種アミノ酸を液体クロマトグラフィー(LC)によって分離し、分離されたそれぞれのアミノ酸を質量分析(MS)により同定・定量する手法が知られている(特許文献1、非特許文献1、2)。
この手法では、LCによる各種アミノ酸の分離を良好に行い、MSによる同定感度を向上させるために、試料をLCにかける前にあらかじめ誘導体化する(プレカラム誘導体化)。誘導体化は、例えば 6-アミノキノリル-N-ヒドロキシスクシニルイミド(AQC)などのアミノ基修飾試薬を用いて、アミノ酸のアミノ基を修飾することにより行われる。
分離された各種アミノ酸の定量は、試料に安定同位体で標識された規定量の各種アミノ酸を内部標準として加え、試料中に含まれるアミノ酸とともにLC-MS分析を行い、得られた質量スペクトルの強度比に基づいて行う、安定同位体標識希釈質量分析法によって行われる。
技術の進展に伴い、より多様なタンパク質について認定標準試料の開発が求められ、また、より低濃度のタンパク質でも精確に定量する技術が求められている。このためには、より多様なアミノ酸について、より高感度な測定を行うことが必要とされる。
特開2013−137320号公報
Rapid Commun. Mass Spectrom.,2012,26,1165-1174 ANALYTICAL SCIENCES SEPTEMBER 2010,VOL.26,1007-1010
本発明は、上述のLC-MS法を用いて、より多様なアミノ酸について、より高感度な測定を行う方法を提供することを課題とする。
本発明者は、1-ブロモブタンを用いてアミノ酸の誘導体化を行うことにより、アミノ酸に含まれるアミノ基とカルボキシル基の双方を誘導体化することができること、そして、複数のアミノ酸を含む試料中の各種アミノ酸をこのようにしてプレカラム誘導体化してLC-MS分析することにより、各種アミノ酸がよりよく分離され、検出感度が向上することを見いだした。本発明は、この知見に基づき、完成されたものである。
本発明の、1-ブロモブタンによるアミノ酸の誘導体化反応は、以下のとおりである。
Figure 0006359365
上記誘導体化反応は、化1に示した条件以外でも、一般に、有機溶媒中、塩基性条件下で1-ブロモブタンとアミノ酸を反応させることにより進行する。反応速度を高めるためには、18-Crown-6等のクラウン化合物などが触媒として用いられる。反応に当たっては、Na2SO4などの脱水剤が必要に応じて使用される。
また、上記誘導体化反応は、一般式CnH2n+1Br(ここで n=1〜8)で表されるブロモアルキル化合物を用いても、同様に行うことができる。
この反応により、各種のアミノ酸に含まれるアミノ基およびカルボキシル基(側鎖に存在するものを含む)を誘導体化することができ、また、従来のアミノ基を誘導体化する方法では誘導体化させることができなかった、N,N-ジメチルグリシン(DG)などのような、アミノ基がブロックされたアミノ酸についても、そのカルボキシル基を誘導体化することができる(実施例1、表1参照、表1の Number of derivatization欄には、アミノ酸に含まれるアミノ基、カルボキシル基の誘導体化の総数が示される)。
また、上記反応によりプレカラム誘導体化された各種アミノ酸は、LCの逆相クロマトグラフィーにおいて良好に保持され、かつ、シャープなピークで分離される(実施例1、図1参照)。この特性を利用して、タンパク質試料を酸加水分解し、得られた各種アミノ酸を上記反応によりプレカラム誘導体化し、内部標準とともにLC-MS分析することで、元のタンパク質の濃度を精度よく決定することができる(実施例2)。
これに対し、従来のアミノ酸のアミノ基を誘導体化する方法でプレカラム誘導体化された各種アミノ酸は、同様の条件下でのLCの逆相クロマトグラフィーにおいて、一部のアミノ酸が良好に保持されず、また、シャープなピークで分離されない(実施例3、図3参照)。
これは、従来のアミノ酸のプレカラム誘導体化は、アミノ酸のアミノ基に対し、MS応答性を高める構造を修飾する方法であるため、一部の、比較的高極性なアミノ酸、例えばセリンやヒスチジンなど、に関して、十分に極性を下げることができず、これにより、アミノ酸の分離に使用される逆相カラムへの保持を十分に行うことができないのに対し、本発明のプレカラム誘導体化においては、アミノ酸のアミノ基及びカルボキシル基のどちらも誘導体化されるため、高極性なアミノ酸に対しても、十分な低極性化が可能であり、これにより、逆相カラムへの良好な保持を達成できるためと考えられる。
このような一部のアミノ酸のLCによる保持・分離が改善されたことを反映し、本発明によるプレカラム誘導体化を受けたアミノ酸のLC-MS分析の感度は総じて高く、特に上述の比較的高極性なアミノ酸については、従来法によりプレカラム誘導体化を行った場合と比べて、顕著な高感度化が達成された(実施例3、表4参照)。
LC-MS法によりアミノ酸組成の分かっているタンパク質の濃度を決定する際は、当該タンパク質を構成する全てのアミノ酸について定量する必要は必ずしもないが、本発明により、LC-MS法により精確に定量することができるアミノ酸の種類を増やすことができたことは、より多様なタンパク質について、例えば認証標準物質を開発する際などにおいて、精確な定量を行うことにつながるものである。
また、本発明によるアミノ酸の誘導体化において、誘導体化試薬として n=1〜4のブロモ低級アルキル化合物を用いた場合は、低沸点であり、あるいは揮発性を有する(1-ブロモブタン)ため、誘導体化反応後に残存する余剰の誘導体化試薬を系から容易に除去することができる。これに対して、従来のアミノ基を誘導体化させる方法では、使用する誘導化剤は一般に低沸点や揮発性ではなく、系から除去するのが非常に難しい。このため、従来法により多検体を分析する際は、MSへ誘導体化試薬が蓄積することとなり、分析の精度の低下が懸念される。
本出願は、具体的には、以下の発明を提供する。
〈1〉アミノ酸を一般式CnH2n+1Br(ここで n=1〜8)で表されるブロモアルキル化合物と反応させて、アミノ基とカルボキシル基における水素原子をアルキル基(CnH2n+1, n=1〜8)で置換することにより、または、アミノ基が他の置換基によりブロックされ、水素原子を有さない場合は、カルボキシル基における水素原子をアルキル基(CnH2n+1, n=1〜8)で置換することにより、アミノ酸を誘導体化することを特徴とする、アミノ酸の誘導体化方法。
〈2〉〈1〉に記載の方法により誘導体化された、アミノ酸誘導体。
〈3〉タンパク質を当該タンパク質を構成する各種アミノ酸にまで酸加水分解し、得られた各種アミノ酸を〈1〉に記載の方法により誘導体化し、誘導体化された各種アミノ酸を含む試料を逆相クロマトグラフィーによりそれぞれの誘導体化アミノ酸に分離し、質量分析することにより、タンパク質に含まれるアミノ酸を分析する方法。
〈4〉〈3〉に記載の方法において、タンパク質の酸加水分解により得られた各種アミノ酸に、さらに、当該アミノ酸の少なくとも1種と同種の安定同位体標識されたアミノ酸を少なくとも1種、規定量添加し、これらのアミノ酸を誘導体化し、逆相クロマトグラフィーにより分離し、質量分析し、当該少なくとも1種の安定同位体標識されたアミノ酸の添加量と、当該少なくとも1種のアミノ酸の質量分析検出値と当該少なくとも1種の安定同位体標識されたアミノ酸の質量分析検出値の比率とから、もとのタンパク質に含まれていた当該少なくとも1種のアミノ酸の量を定量し、これにより、もとのタンパク質の量を定量することを特徴とする、タンパク質の定量方法。
本発明の誘導体化方法によれば、アミノ酸のアミノ基及びカルボキシル基のどちらも誘導体化することができ、これにより、高極性なアミノ酸に対しても、十分な低極性化が可能であり、これによって、コンベンショナルに使われる逆相カラムによる良好な保持・分離が可能となり、これらのアミノ酸について、MSに対する応答性を向上させることができる。
また、本発明の誘導体化方法は、アミノ基がブロックされているアミノ酸に関しても適用可能であり、通常のアミノ酸とアミノ基がブロックされているアミノ酸が混在する試料においても、どちらのアミノ酸もプレカラム誘導体化LC-MS法により同時に分析することが可能である。
また、本発明において誘導体化試薬として 1-ブロモブタンなどのブロモ低級アルキル化合物を用いる場合は、低沸点ないし揮発性であるため、誘導体化反応後、余剰の誘導体化試薬を蒸発ないし揮発させることにより、容易に除去が可能である。
本発明によりプレカラム誘導体化された各種アミノ酸を含む試料の逆相クロマトグラフィーにより得られたクロマトグラム。 本発明により誘導体化された各種アミノ酸誘導体の構造式(その1)。 本発明により誘導体化された各種アミノ酸誘導体の構造式(その2)。 本発明により誘導体化された各種アミノ酸誘導体の構造式(その3)。 本発明により誘導体化された各種アミノ酸誘導体の構造式(その4)。 本発明により誘導体化された各種アミノ酸誘導体の構造式(その5)。 タンパク質認証標準物質(NIST-SRM 927d)について、本発明によるプレカラム誘導体化LC-MS法によって得られたアミノ酸の定量結果と認証値とを対比する図。 従来法によりプレカラム誘導体化された各種アミノ酸を含む試料の逆相クロマトグラフィーにより得られたクロマトグラム。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
実施例1 試料に含まれるアミノ酸の分離分析法
以下の手順で、複数のアミノ酸を含むアミノ酸試料中の各アミノ酸を誘導体化し、誘導体化されたアミノ酸試料中の各アミノ酸を液相クロマトグラフィー(LC)による逆相クロマトグラフィーによって分離し、分離した各誘導体化アミノ酸について、タンデム四重極型質量分析装置(MS)により質量分析した。
(1)アミノ酸の誘導体化法
蒸発乾固したアミノ酸試料(アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、バリン及び、4種のアミノ基修飾アミノ酸:N,N-dimethylglycine、N-formyl-L-methionine、L-pyroglutamic acid、sarcosineを、各1nmol含む)を200mM 18-Crown-6のCH3CN溶液100μLで溶解し、Na2SO4及びK2CO3の粉末をそれぞれ20mg加え撹拌し、1-bromobutaneを80μL加え80℃で30分加熱する。反応後蒸発乾固し、水に再溶解し、以下のLC-MS/MS分析用試料とした。
(2)LC条件
カラムは Kinetex(R)core-shell XB-C18 (150×2.1mm i.d., 2.6μm, Phenomenex)を使用し、カラム恒温槽を40℃に設定した。移動相は、移動相A(1% CH3COOH in H2O)及び移動相B(1% CH3COOH in CH3CN)によるグラジエント溶離(0-20分にかけてA 99%, B 1%からA 25%, B 75%へ変化)を行った。流速は0.3mL/minに設定した。試料注入量は10μLとした。
この条件で、上記誘導体化アミノ酸試料について逆相クロマトグラフィーを行うことにより、図1に示す、シャープなピークを有するクロマトグラムが得られた。
(3)MS/MS条件
装置はタンデム四重極型MS(Quattro Ultima, Waters)を用い、ESIポジティブ検出を行い、MS/MS分析を行った。キャピラリー電圧は2.0kV、コーン電圧は5V、イオン源の温度は120℃、脱溶媒温度は400℃、コーンガスは50L/h、脱溶媒ガスは570L/hに設定した。
この条件で、上記クロマトグラムの各ピークについて順次質量分析を行うことにより、図1に示す各ピークが図1に記載した各アミノ酸に対応するものであることが確認された。
上記質量分析により得られたMRMトランジションを以下の表1に示す。なお、表1には、この実施例では用いていない各アミノ酸の誘導体化された同位体アミノ酸の分析値も併せて記載している。
Figure 0006359365
表1においては、各Q1の測定値から、対応するアミノ酸、及び、その誘導体化数が決定されている。例えば、アラニンについては、Q1の電荷数 z=+1から、誘導体の分子量201が算出され、誘導体化数1につき分子量の増加が56であることから、アミノ酸がアラニン(分子量89)であること、誘導体化数が2であることがわかる。
表1に示した各種アミノ酸誘導体の誘導体化された部位は、MSスペクトル、および、MS/MSスペクトルを解析した結果、図2〜6に示すとおりであることが、確認された。
(4)結果:
図1に示すとおり、各アミノ酸を本発明の手法によって誘導体化することにより、逆相カラムにおいて良好な保持分離がなされ、得られたシャープな各ピークをMSにより同定することで、試料に含まれる17種類のアミノ酸及び4種類のアミノ基修飾アミノ酸の全てについて、20分以内に分離分析することが可能であった。
実施例2 タンパク質の定量分析への応用
本発明によるアミノ酸の誘導体化および当該誘導体化アミノ酸をLC-MS法で分析することにより、タンパク質に含まれる各アミノ酸の定量を精確に行うことができることを確認するために、以下の実験を行った。
試料としてタンパク質認証標準物質であるウシ血清アルブミン(BSA)NIST-SRM 927d (認証値 65.41±0.82g/L)を用い、酸加水分解を行った後、本発明によるアミノ酸の誘導体化を行い、誘導体化された各アミノ酸をLC-MS法により分析した。各アミノ酸の定量は、試料に規定量の同位体アミノ酸を加え、同様に誘導体化を行い、同時に分析することによる、同位体希釈質量分析法(IDMS)によって行った。また、ここで使用する同位体アミノ酸自体の定量は、以下の表2に示す、対応するアミノ酸認証標準物質(表2)を校正物とし、同様の手法で行った。
Figure 0006359365
(1)タンパク質試料の酸加水分解:
タンパク質試料に対し、安定同位体アミノ酸(アラニン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、アルギニン、リシン、チロシン、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸)を添加し、6M塩酸、0.1%フェノールを加え、Microwave加熱(150℃、3時間)による加水分解を行う。加水分解後、蒸発乾固し、以下の誘導体化反応に用いた。
(2)アミノ酸の誘導体化法:
上で得られたアミノ酸試料を誘導体化した。手順、条件は、実施例1に同じ。
(3)LC条件:
上で得られた誘導体化アミノ酸試料中の各誘導体化アミノ酸を逆相クロマトグラフィーにより分離した。手順、条件は、実施例1に同じ。
(4)MS/MS条件:
逆相クロマトグラフィーにより得られたクロマトグラムの各ピークについて順次質量分析を行った。手順、条件は、実施例1に同じ。
(5)結果:
得られた結果を図7に示す。図7中の実線は、ウシ血清アルブミン(BSA) NIST-SRM 927dの認証値 65.41(g/L)を示し、その上下の点線は±0.82の誤差範囲を示す。また、同じく各点およびその上下の幅は、本発明の上記手法により定量された各アミノ酸の濃度およびその標準偏差範囲を示す。
図7に示すとおり、本発明の方法を用いた結果、上記タンパク質認証標準物質について測定した12種類のアミノ酸の定量値を平均した定量値は 65.98±0.94となり、認証値 65.41±0.82とほぼ一致した値を得ることができた。この結果より、本発明の方法はタンパク質の定量に適用することができ、これにより、精確な定量が可能であることが示された。
実施例3 従来技術との検出感度の比較
従来技術における代表的な誘導体化試薬である、AQCを用いて誘導体化されたアミノ酸について、LC-MS分析を行い、本発明によるアミノ酸の誘導体化を行った場合との、アミノ酸の検出感度の比較を行った。
AQC(6-アミノキノリル-N-ヒドロキシスクシニルイミド)の化学構造式は、以下のとおりである。
Figure 0006359365
<AQC法>
AQCを誘導体化試薬とするLC-MS分析は、以下の手順で行った。
(1)アミノ酸の誘導体化:
蒸発乾固したアミノ酸試料(アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、バリンを各1nmol含む)をpH8.4のホウ酸緩衝液70μLに溶解し、20mM AQCのCH3CN溶液30μLを加え、55℃で10分間加熱する。反応後蒸発乾固し、水に再溶解し、LC-MS/MS分析用試料とした。
(2)LC条件
実施例1に同じ。
(3)MS/MS条件
MRMトラジッション以外、実施例1に同じ。MRMトラジッションを以下の表3に示す。
Figure 0006359365
(4)結果
AQC法で得られたクロマトグラムを図8に示し、また、AQC法及び本発明の方法で得られた検出感度の対比を以下の表4に示す。検出限界は、シグナルとノイズの比が3になるときの物質量とする。
本発明によれば、いずれのアミノ酸に関しても、総じて良好な感度を得ることができた。特に、セリンやヒスチジン等の高極性アミノ酸に関しては、AQC法では感度が悪いのに対し、高感度化の効果が顕著に見られた。
Figure 0006359365

Claims (2)

  1. タンパク質を当該タンパク質を構成する各種アミノ酸にまで酸加水分解し、得られた各種アミノ酸を一般式C n H 2n+1 Br(ここで n=1〜8)で表されるブロモアルキル化合物と反応させて、アミノ基とカルボキシル基における水素原子をアルキル基(C n H 2n+1 , n=1〜8)で置換することにより、または、アミノ基が他の置換基によりブロックされ、水素原子を有さない場合は、カルボキシル基における水素原子をアルキル基(C n H 2n+1 , n=1〜8)で置換することにより、アミノ酸を誘導体化し、誘導体化された各種アミノ酸を含む試料を逆相液体クロマトグラフィーによりそれぞれの誘導体化アミノ酸に分離し、質量分析することにより、タンパク質に含まれるアミノ酸を分析する方法。
  2. 請求項に記載の方法において、タンパク質の酸加水分解により得られた各種アミノ酸に、さらに、当該アミノ酸の少なくとも1種と同種の安定同位体標識されたアミノ酸を少なくとも1種、規定量添加し、これらのアミノ酸を誘導体化し、逆相液体クロマトグラフィーにより分離し、質量分析し、当該少なくとも1種の安定同位体標識されたアミノ酸の添加量と、当該少なくとも1種のアミノ酸の質量分析検出値と当該少なくとも1種の安定同位体標識されたアミノ酸の質量分析検出値の比率とから、もとのタンパク質に含まれていた当該少なくとも1種のアミノ酸の量を定量し、これにより、もとのタンパク質の量を定量することを特徴とする、タンパク質の定量方法。
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