JP6357978B2 - 遷移金属複合水酸化物粒子とその製造方法、非水系電解質二次電池用正極活物質および非水系電解質二次電池 - Google Patents
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Description
本発明の遷移金属複合水酸化物粒子(以下、「複合水酸化物粒子」という)の製造方法は、(1)晶析反応により、一般式(A):M1-aNa(OH)b(ただし、0<a≦0.2、b=(1−a)×(Mの平均価数)+a×(Nの平均価数)、Mは主要金属元素であり、Ni、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種を含み、Nは添加元素であり、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群から選択される少なくとも1種を含む)で表される複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る晶析工程と、(2)この複合水酸化物粒子を、主要金属元素の平均価数を2.20以下に制御した状態で洗浄する洗浄工程とを備えることを特徴とする。以下、工程ごとに、本発明の複合水酸化物粒子の製造方法を詳細に説明する。
晶析工程は、晶析反応により、上述した一般式(A)で表される複合水酸化物粒子を得る工程である。より具体的には、主要金属元素Mおよび添加元素Nを含む混合水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液およびアンモニア水などの錯化剤を供給することにより反応水溶液を形成し、一般式(A)で表される複合水酸化物粒子を晶析させ、この複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る工程である。
本発明において、晶析工程における条件は特に制限されることなく、目的とする複合水酸化物粒子の組成、粒子構造または粉体特性などに応じて適宜選択する必要がある。たとえば、一般式:(Ni1/3Co1/3Mn1/3)1-aNa(OH)2(ただし、0<a≦0.2、Nは添加元素であり、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群から選択される少なくとも1種を含む)で表され、微細一次粒子からなる中心部と、中心部の外側に、この微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子からなる外殻部とからなる粒子構造を備えた複合水酸化物粒子を得ようとする場合、特開2012−254889号公報などに記載されるような晶析条件を選択する必要がある。
晶析工程で得られた複合水酸化物粒子は、これを含むスラリーのpH値が高いほど酸化が進行しやすくなる。このため、スラリーのpH値は、液温25℃基準で13.0以下とすることが好ましく、12.5以下とすることがより好ましく、12.0以下とすることがさらに好ましい。スラリーのpH値をこのような範囲に制御することにより、複合水酸化物粒子の酸化が抑制され、添加元素の溶出量を低減することができる。ただし、スラリーのpH値は、液温25℃基準で10.5以上とすることが好ましく、11.0以上とすることがより好ましい。スラリーのpH値の下限値をこのような範囲に制御することにより、スラリー中の複合水酸化物粒子の損傷を抑制することができる。
晶析工程終了時点において、晶析した複合水酸化物粒子を構成する主要金属元素Mの平均価数は、概ね2.00〜2.15の範囲にあるが、酸素が存在する雰囲気中では、複合水酸化物粒子は容易に酸化するため、時間の経過とともに主要金属元素Mの平均価数が上昇する。この平均価数が2.20を超えると、複合水酸化物粒子はオキシ水酸化物粒子へと変化し、洗浄工程中に、この複合水酸化物粒子を構成する添加元素Nが溶出しやすくなるため、得られる複合水酸化物粒子およびこれを前駆体とする正極活物質の添加元素品位にばらつきが生じる。
上述したように、晶析工程で得られた複合水酸化物粒子は、酸素が存在する雰囲気中では、直ちに酸化が進行し、オキシ水酸化物粒子に変化する。特に、酸素を高濃度で含有する雰囲気中や高温雰囲気中では、酸化速度が速く、オキシ水酸化物粒子の割合が急激に増加する。このため、晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでに長時間を要する場合はもちろんのこと、晶析工程後、直ぐに洗浄工程を行う場合であっても、洗浄工程を開始する時点において、複合水酸化物粒子を構成する主要金属元素の平均価数を2.20以下、好ましくは2.15以下、より好ましくは2.11以下に制御することが重要となる。これにより、洗浄工程における添加元素Nの溶出を抑制しつつ、ナトリウムなどの不純物を除去することが可能となる。
本発明の複合水酸化物粒子は、上述した製造方法により得られ、一般式(A):M1-aNa(OH)b(ただし、0<a≦0.2、b=(1−a)×(Mの平均価数)+a×(Nの平均価数)、Mは主要金属元素であり、Ni、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種を含み、Nは添加元素であり、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群から選択される少なくとも1種を含む)で表され、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなることを特徴とする。なお、本発明の複合水酸化物粒子は、洗浄工程終了時点では、主要金属元素Mの平均価数が2.20以下の範囲にあるが、その後は、経時的に酸化が進行するため、必ずしも平均価数がこの範囲にあるわけではない。
[主要金属元素]
本発明の複合水酸化物粒子は、主要金属元素Mとして、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)の群から選択される少なくとも1種を含む。本発明は、これらの主要金属元素Mの組成比は制限されることはなく、コバルト複合水酸化物粒子、ニッケル複合水酸化物粒子、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子、マンガン複合水酸化物粒子、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子などの遷移金属複合水酸化物粒子に対して適用することが可能である。たとえば、本発明をニッケルコバルトマンガン複合水酸化物粒子に対して適用する場合、主要金属元素Mの合計原子数(M=Ni+Co+Mn)に対する、各主要金属元素Mの原子数(Ni、Co、Mn)の比を以下のような範囲とすることが好ましい。
本発明の複合水酸化物粒子は、上述した主要金属元素Mのほかに、添加元素Nを含有するように調整される。添加元素Nを含有することで、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質を用いた二次電池の充放電容量や出力特性などを向上させることができる。このような添加元素Nとしては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)の群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
本発明の複合水酸化物粒子に含まれる水酸基(OH)の含有量を示すbの値は、主要金属元素Mおよび添加元素Nの平均価数によって制御され、下記の式によって求めることができる。
b=(1−a)×(Mの平均価数)+a×(Nの平均価数)
本発明の複合水酸化物粒子を上述した製造方法で製造した場合であっても、その一部は、一般式(B):MaNb(OOH)c(ただし、0<a≦0.2、c=(1−a)×(Mの平均価数)+a×(Nの平均価数)/3、Mは主要金属元素であり、Ni、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種を含み、Nは添加元素であり、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群から選択される少なくとも1種を含む)で表されるオキシ水酸化物粒子に変化していると考えらえる。しかしながら、後述するように、複合水酸化物粒子の平均価数を2.20以下に制御することにより、オキシ水酸化物粒子への変化を抑制し、添加元素Nの溶出量を低減することができる。
本発明の複合水酸化物粒子は、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子から構成される限り、その粒子構造が制限されることはない。しかしながら、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質を用いた二次電池の出力特性をより向上させるためには、複合水酸化物粒子が、微細一次粒子によって構成される中心部と、中心部の外側に、この微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子によって構成される外殻部とからなる粒子構造を備えることが好ましい。すなわち、このような粒子構造を備えた複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質は中空構造を備えたものとなり、二次電池を構成した場合に電解液との接触面積を十分に確保することができるため、その出力特性を大幅に向上させることが可能となる。
複合水酸化物粒子の粉体特性は、上述した晶析工程における条件によって調整することができる。また、粉体特性は、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質に引き継がれることとなる。すなわち、複合水酸化物粒子の粉体特性は、目的とする正極活物質に要求される粉体特性に応じて、晶析工程における条件を調整することにより制御することが必要となる。たとえば、平均粒径が3μm〜20μmの正極活物質を得ようとする場合、その前駆体である複合水酸化物粒子では、平均粒径を3μm〜20μmに制御することが好ましく、3μm〜15μmに制御することがより好ましい。これにより、平均粒径が上述した範囲にある正極活物質を容易に得ることができる。なお、本発明において平均粒径とは、体積基準による平均粒径を意味し、たとえば、レーザ回折散乱法により求めることができる。
(1)非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」という)の製造方法は、前駆体として、上述した複合水酸化物粒子を用いること以外、従来技術と同様である。すなわち、本発明の非水系電解質二次電池は、上述した複合水酸化物粒子とリチウム化合物を混合した後(混合工程)、得られたリチウム混合物を焼成することにより得られる(焼成工程)。なお、このような正極活物質の製造方法において、上記工程のほかに、必要に応じて、熱処理工程、仮焼工程および解砕工程などを適宜行うことも可能である。
熱処理工程は、上述のようにして得られた複合水酸化物粒子を、酸化性雰囲気中、105℃〜750℃で加熱することで複合水酸化物粒子に含まれる水分を除去し、熱処理粒子とする工程である。ここで、熱処理粒子には、熱処理工程において余剰水分を除去された複合水酸化物粒子のみならず、熱処理工程によって転換された遷移金属複合酸化物粒子(以下、「複合酸化物粒子」という)、または、これらの混合物も含まれる。
混合工程は、複合水酸化物粒子または熱処理粒子に、リチウム化合物を混合し、リチウム混合物を得る工程である。
リチウム化合物として、水酸化リチウムや炭酸リチウムを使用する場合には、混合工程後焼成工程前に、リチウム混合物を、焼成温度より低く、かつ、350℃〜800℃、好ましくは450℃〜780℃、すなわち、水酸化リチウムや炭酸リチウムと複合酸化物粒子との反応温度(仮焼温度)で仮焼してもよい。これにより、複合水酸化物粒子内へのリチウムの拡散が促進され、より均一なリチウム複合酸化物粒子を得ることができる。
焼成工程は、混合工程で得られたリチウム混合物を、所定温度で焼成し、リチウム遷移金属複合酸化物粒子(以下、「リチウム複合酸化物粒子」という)からなる正極活物質を合成する工程である。
焼成工程後の正極活物質は、凝集または軽度の焼結が生じている場合がある。このような場合、正極活物質の凝集体または焼結体を解砕することが好ましく、これにより、正極活物質の平均粒径や粒度分布などを好適な範囲に調整することができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキングなどにより生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギを投入して、二次粒子自体をほとんど破壊することなく二次粒子を分離させて、凝集体をほぐす操作のことである。
本発明の正極活物質は、一般式(C):LiuM1-aNaO2またはLiuM1-aNaO4(ただし、0.95≦u≦1.50、0≦a≦0.2、Mは主要金属元素であり、Ni、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種を含み、Nは添加元素であり、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群から選択される少なくとも1種を含む)で表されるリチウム複合酸化物粒子からなる。
上述した一般式(C)において、リチウム(Li)の含有量を示すuの値は、0.95〜1.50、好ましくは1.00〜1.35、より好ましくは1.00〜1.20の範囲に制御される。uの値が0.95未満では、この正極活物質を用いた二次電池の正極抵抗が大きくなるため、電池の出力が低くなってしまう。一方、uの値が1.50を超えると、この正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量が低下してしまう。
本発明の正極活物質は、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子から構成される限り、その粒子構造が制限されることはない。ただし、優れた出力特性を備える二次電池を得ようとする場合、正極活物質の粒子構造を中空構造とすることが好ましい。
本発明の正極活物質の粉体特性は、目的とする二次電池の用途や要求される性能に応じて調整されるべきものであり、特に制限されることはない。たとえば、高容量の二次電池を得ようとする場合、正極活物質の平均粒径を、3μm〜20μmに調整することが好ましく、3μm〜15μmに調整することが好ましい。これによって、正極活物質の充填性を高めることができ、高容量の二次電池が実現される。
本発明の非水系電解質二次電池は、正極、負極、セパレータ、非水系電解液などの、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成される。なお、以下に説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明の非水系電解質二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基づいて、種々の変更、改良を施した形態に適用することも可能である。
[正極]
本発明の正極活物質を用いて、たとえば、以下のようにして非水系電解質二次電池の正極を作製する。
負極には、金属リチウムやリチウム合金など、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明の非水系電解質二次電池は、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リードなどを用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
はじめに、反応槽(60L)に、その容積の1/3の量の水を供給した後、槽内温度を50℃まで加温した。この状態で、反応槽内に窒素を流通し、酸素分圧を988Paに調整した。同時に、イオン交換水に、硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを、これら含まれるニッケル、コバルトおよびマンガンの原子数比が、Ni:Co:Mn=1:1:1となるように溶解し、2.0mоl/Lの混合水溶液を作製した。また、別のイオン交換水に、タングステン酸ナトリウムを溶解し、0.3mоl/Lのタングステン水溶液を作製した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを、大気雰囲気(酸素分圧:21273Pa)中で2時間、撹拌しながら保持したこと以外は実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを4時間、撹拌しながら保持したこと以外は実施例2と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。この結果を表1、図1および図2に示す。
晶析工程で得られた複合水酸化物粒子を含むスラリーを、窒素雰囲気(酸素分圧:988Pa)中で、別途用意した容器に分取した後、保持することなく洗浄したこと以外は実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを、窒素雰囲気(酸素分圧:988Pa)中で4時間、撹拌しながら保持したこと以外は実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを24時間、撹拌しながら保持したこと以外は実施例5と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを32時間、撹拌しながら保持したこと以外は実施例5と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを96時間、撹拌しながら保持したこと以外は実施例5と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを、大気雰囲気(酸素分圧:21273Pa)中で8時間、撹拌しながら保持したこと以外は実施例1と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを24時間、撹拌しながら保持したこと以外は比較例1と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを32時間、撹拌しながら保持したこと以外は比較例1と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
晶析工程終了後から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子を含むスラリーを96時間、撹拌しながら保持したこと以外は比較例1と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、その組成およびタングステン品位を評価した。
表1、図1および図2より、洗浄工程の開始時点における複合水酸化物粒子を構成する主要金属元素Mの平均価数が大きくなるほど、最終的に得られる複合水酸化物粒子の添加元素品位および添加元素の含有量が、直線的に低下することが確認される。特に、平均価数が2.20を超えると、添加元素品位が0.81質量%を下回るようになることが確認される。
Claims (9)
- 晶析反応により、一般式(A):M1-aNa(OH)b(ただし、0<a≦0.2、b=(1−a)×(Mの平均価数)+a×(Nの平均価数)、Mは主要金属元素であり、Ni、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種を含み、Nは添加元素であり、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群から選択される少なくとも1種を含む)で表される遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る晶析工程と、
前記主要金属元素の平均価数を2.15以下に制御した状態で、前記遷移金属複合水酸化物粒子の洗浄を開始する洗浄工程と
を備えることを特徴とする、遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。 - 前記晶析工程後洗浄工程前に、前記遷移金属複合水酸化物粒子を、前記主要金属元素の平均価数を2.15以下に制御した状態で保持する保持工程をさらに備える、請求項1に記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 前記保持工程において、前記遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを酸素分圧が1013Pa以下に制御された非酸化性雰囲気中で保持する、請求項2に記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 前記保持工程において、前記遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを大気雰囲気中で4時間以下保持する、請求項2に記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 前記晶析工程において、前記遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーのpH値を、液温25℃基準で10.5〜13.0の範囲に保持する、請求項1〜4のいずれかに記載の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
- 一般式(A):M1-aNa(OH)b(ただし、0<a≦0.2、b=(1−a)×(Mの平均価数)+a×(Nの平均価数)、Mは主要金属元素であり、Ni、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種を含み、Nは添加元素であり、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群から選択される少なくとも1種を含む)で表され、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、かつ、前記主要金属元素Mの平気価数が2.15以下である、遷移金属複合水酸化物粒子。
- 微細一次粒子によって構成される中心部と、該中心部の外側に、該微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子によって構成される外殻部とからなる粒子構造を備える、請求項6に記載の遷移金属複合水酸化物粒子。
- 請求項6または7に記載の遷移金属複合水酸化物粒子を前駆体とする遷移金属複合酸化物粒子からなる、非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 正極と、負極と、セパレータと、非水系電解質とを備え、前記正極の正極材料として、請求項8に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質が用いられている、非水系電解質二次電池。
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