本発明は、光学歪みを低減したフォトクロミック(光互変性の)二色性膜を製造する方法に係り、この方法は、外層としての第2の溶融層と第3の溶融層との間に介在させた(フォトクロミック二色性化合物を含む)第1の溶融層を含む溶融押出物を形成し、溶融押出物を冷却して、多層膜を形成し、多層膜から第2の外層と第3の外層を除去し、その内層としての第1の層を保持することを含み、保持された第1の層がフォトクロミック二色性膜を形成する。
サングラスや直線偏光フィルタのための直線偏光レンズなどの従来の直線偏光素子は、一般的に、必要に応じて、二色性染料などの二色性材料を含む一軸延伸ポリマーシートから形成される。よって、従来の直線偏光素子は、単一の直線偏光状態を有する静的素子である。したがって、従来の直線偏光素子がランダムに偏光された放射線又は適切な波長の反射放射線のいずれかに露光される場合、これらの素子を透過する放射線が直線偏光される割合が一部にすぎないという問題があった。
更に、従来の直線偏光素子は通常、色味を帯びている。典型的には、従来の直線偏光素子は、静的又は固定された着色剤を含有していることにて、その吸収スペクトルは化学線に反応しても変化しなかった。従来の直線偏光素子のカラーは素子を形成するために使用される静的な着色剤、最も一般的に、(たとえば、茶色、青、又は灰色の)中間色、に依存する。これにより、従来の直線偏光素子は、その静的な色味によって、反射光グレアを低減するには有用であったが、一般的には、低光条件下での使用にあまり適さなかった。更に、従来の直線偏光素子は単一の、薄く色味を帯びた直線偏光状態になるだけなので、情報を保存したりディスプレイしたりする能力に限界があった。
従来の熱可逆性フォトクロミック材料を用いて形成される、フォトクロミックレンズなどの従来のフォトクロミック素子は、一般に、化学線に反応して、第1の状態、たとえば、「無色状態」から、第2の状態、たとえば、「着色状態」に変換し、熱エネルギに反応して、第1の状態に戻ることが可能である。したがって、従来のフォトクロミック素子は一般に低光条件と明光条件の両方における使用に好適であった。しかしながら、従来のフォトクロミック素子は、直線偏光フィルタを含んでいないことにて、一般に、放射線を直線偏光することが不可能であった。よって、従来のフォトクロミック素子の吸収率は、いずれの状態(条件)でも、実質的に2未満であった。したがって、従来のフォトクロミック素子は、従来の直線偏光素子と同様に、反射光のグレアを減少させることができなかった。更に、従来のフォトクロミック素子には、情報の保存やディスプレイに限界があった。
フォトクロミック二色性化合物及び材料が開発されている。フォトクロミック二色性化合物及び材料は、適正にかつ少なくとも十分に整合されていれば、フォトクロミック特性と二色性特性の両方をもたらす。少なくとも十分に整合されているフォトクロミック二色性化合物は、化学線に露光された際、典型的に、着色(又は陰影)と入射光の直線偏光の組み合わせを提供する。
一つ以上のフォトクロミック二色性化合物を含む膜を形成することは知られている。このようなフォトクロミック二色性膜は、たとえば、ラミネート法やインモールド膜注入法により、フォトクロミック特性と二色性特性を有する光学物品を形成するために使用することができる。このようなフォトクロミック二色性膜の形成は、多くの場合、フォトクロミック二色性膜に光学歪みを生み出すという望ましくない結果をもたらした。この光学歪みによって、オブジェクト及び/又は直接及び/又は間接光源を、膜を通して見たときに、濃淡ムラ、均一でない直線偏光特性や視認可能な歪みなどの望ましくない特性を有するフォトクロミック二色性膜が生み出されうるという問題があった。
よって、光学的歪みを低減又は最小にしたフォトクロミック二色性膜を形成する新たな方法を開発することが望ましい。このような新たに開発されたプロセスが望ましいレベルのフォトクロミック特性と直線偏光特性を有するフォトクロミック二色性膜を提供することが更に望ましい。
本発明は、第1の熱可塑性ポリマーとフォトクロミック二色性化合物を含む第1の溶融熱可塑性組成物を形成するステップと、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の溶融熱可塑性組成物を形成するステップと、第3の熱可塑性ポリマーを含む第3の溶融熱可塑性組成物を形成するステップと、を含むフォトクロミック二色性膜を製造する方法を提供する。この方法は、終端スロットを有するダイへ、第1の溶融熱可塑性組成物、第2の溶融熱可塑性組成物、及び第3の溶融熱可塑性組成物を導入するステップを更に含む。溶融押出物はダイの終端スロットから除去される。溶融押出物は、(i)第1の溶融熱可塑性組成物を含む第1の溶融層と、(ii)第2の溶融熱可塑性組成物を含む第2の溶融層と、(iii)第3の溶融熱可塑性組成物を含む第3の溶融層と、を含む。溶融押出物中、第1の溶融層を、第2の溶融層と第3の溶融層の間に介在させる。この方法は、溶融押出物を冷却し、第1の溶融層から形成された第1の層と第2の溶融層から形成された第2の層と第3の溶融層から形成された第3の層とを含む多層膜を形成するステップを更に含む。多層膜中、第1の層を、第2の層と第3の層との間に介在させる。更に、この方法は、第1の層から第2の層と第3の層を除去するステップを含む。保持された第1の層は、フォトクロミック二色性化合物を含むことにて、フォトクロミック二色性膜を形成する。
本発明の一部の実施形態による、溶融押出物がダイから除去されている状態と多層膜が同ダイから形成されている状態を概略的に示す図である。
本発明の一部の実施形態による、フォトクロミック二色膜を製造するために使用可能な押出アセンブリを概略的に示す図である。
図2の押出アセンブリの回転ロール、連続ベルト、及び巻取りロールを概略的に示す図である。
(化学線により活性化した後の可視波長領域上の)波長の関数としての平均デルタ吸収率をグラフィカルに示す図であって、フォトクロミック二色性化合物を含むフォトクロミック二色性層に対して二つの直交平面内で求められる二つの平均吸収差スペクトルを描いた図である。
発明の詳細な説明
特に断り書きがない限り、図1〜4において、同様の構造的特徴及び構成素子には同様の参照番号を付す。
本明細書における使用では、用語「化学線」、及びこれと同様の用語「活性光」は、材料に反応を起こさせる、たとえば、これに限定されないが、以下に更に詳細に説明するように、フォトクロミック材料を一つの形態又は状態から別の状態へ変換させることが可能な電磁放射線を意味する。
本明細書における使用では、用語「フォトクロミック」及びこれに関連する用語、例えば、「フォトクロミック化合物」は、少なくとも化学線の吸収に反応して変化する少なくとも可視光に対して吸収スペクトルを有することを意味する。更に、本明細書における使用では、用語「フォトクロミック材料」は、フォトクロミック特性を示すように用いられ(即ち、少なくとも化学線の吸収に反応して変化する少なくとも可視放射線に対する吸収スペクトルを有するように用いられ)、かつ、少なくとも一つのフォトクロミック化合物を含む物質を指す。
本明細書における使用では、用語「フォトクロミック化合物/材料」は、熱可逆性フォトクロミック化合物/材料及び非熱可逆性フォトクロミック化合物/材料を含む。本明細書における使用では、用語「熱可逆性フォトクロミック化合物/材料」は、化学線に反応して、「無色状態」などの第1の状態から、「着色状態」などの第2の状態に変換され、かつ、熱エネルギに反応して第1の状態に戻ることが可能な化合物/材料を指す。本明細書における使用では、用語「非熱可逆性フォトクロミック化合物/材料」は、化学線に反応して、「無色状態」などの第1の状態から、「着色状態」などの第2の状態に変換され、かつ、着色状態の吸収波長と略同じ波長の化学線に反応して第1の状態へ戻る(たとえば、このような化学線への露光を中断する)ことが可能な化合物/材料を指す。
本明細書における使用では、用語「二色性」は、一つが他の成分より高い強度の透過光の二つの直交平面偏光成分のうちの一つを吸収可能であることを意味する。
本明細書における使用では、用語「フォトクロミック二色性」、及び、同様の用語、たとえば、「フォトクロミック二色性材料」及び「フォトクロミック二色性化合物」は、フォトクロミック特性(即ち、少なくとも化学線に反応して変化する少なくとも可視の放射線に対して吸収スペクトルを有する特性)と、二色性特性(即ち、少なくとも一つの成分が他の成分より高い強度の透過光から成る二つの直交平面偏光成分の一つを吸収することが可能な特性)の両特性を所有し及び/又は提供する材料及び化合物を意味する。
本明細書における使用では、用語「吸収率」は、第1の平面内で直線偏光された放射線の吸収度に対する第1の平面に直交する平面内で直線偏光された同じ波長の放射線の吸収度の比率を指し、ここで、第1の平面は極大吸収率を有する平面とされる。
本明細書における使用では、用語「状態」、用語「第1の」及び「第2の」を変更することは、特定の順序や時間的配列を指すことを意図していないが、代わりに、二つの異なる条件や特性を指している。限定されない例示目的において、フォトクロミック二色性層のフォトクロミック二色性化合物の第1の状態と第2の状態は、少なくとも一つの光学特性、これに限定されないが、たとえば、可視及び/又は紫外線の吸収又は直線偏光に対して、異なりうる。よって、本明細書に開示されている様々な限定されない実施形態によれば、フォトクロミック二色性層のフォトクロミック二色性化合物は、第1及び第2の状態の各々において異なる吸収スペクトルを有しうる。たとえば、本明細書ではこれに限定されないが、フォトクロミック二色性層のフォトクロミック二色性化合物は第1の状態では無色であり、第2の状態では着色される。或いは、フォトクロミック二色性層のフォトクロミック二色性化合物は、第1の状態で第1のカラーを有し、第2の状態で第2のカラーを有しうる。更に、以下により詳細に説明するように、フォトクロミック二色性層のフォトクロミック二色性化合物は第1の状態では非直線偏光(又は「無偏光」)であり、第2の状態では、直線偏光でありうる。
本明細書における使用では、用語「光学」は光及び/又は視覚に関わること又はこれらに関連付けられることを意味する。たとえば、本明細書に開示されている様々な限定されない実施形態によれば、光学的物品又は素子又はデバイスは、眼科用物品、素子、及びデバイス、ディスプレイ物品、素子及びデバイス、窓、鏡、及び能動的及び受動的な液晶セル物品、素子及びデバイスから選択することができる。
本明細書における使用では、用語「眼科」は、目や視覚に関わること又はこれらに関連付けられることを意味する。眼科用物品又は素子の限定されない例としては、(これらに限定されないが、二焦点レンズ、三焦点レンズ及び累進レンズなどの)セグメント化又は非セグメント化された多焦点レンズであってよい単焦点又は多焦点レンズを含む矯正及び非矯正レンズ、ならびに、これらに限定されないが、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、及び保護レンズ又はバイザーを含む、(美容や他の目的で)視力の補強、保護、又は向上させるために使用される他の素子が挙げられる。
本明細書における使用では、用語「眼科用基板」とは、レンズ、部分的に形成されたレンズ、及びレンズブランクを意味する。
本明細書における使用では、用語「ディスプレイ」は、言葉、数字、シンボル、デザイン又は図において情報の視認可能な又はマシンリーダブルな表現を指す。ディスプレイ物品、素子、及びデバイスの限定されない例として、スクリーン、モニタ、及び、セキュリティマークなどのセキュリティ素子が挙げられる。
本明細書における使用では、用語「窓」は、放射線(光)を透過可能にするように用いられる開孔を指す。窓の限定されない例としては、自動車及び航空機の透明材、フィルタ、シャッタ、及び光スイッチが挙げられる。
本明細書における使用では、用語「液晶セル」は、秩序化できる液晶材料を含む構造を指す。アクティブ液晶セルは、液晶材料が、秩序状態と無秩序状態の間で、又は、電場又は磁場などの外力の印加により、二つの秩序状態を可逆的にかつ制御可能に切換可能又は変換可能なセルである。パッシブ液晶セルは、液晶材料が秩序状態を維持するセルである。アクティブ液晶セル素子又はデバイスの限定されない例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。
本明細書における使用では、用語「コーティング」はその厚さが均一であってもなくてもよい、具体的には、ポリマーシートを除いた、液体粒子又は固体粒子の流動性組成物に由来する支持膜を指す。限定されない例示目的において、固体粒子の流動性組成物の例としては粉末コーティング組成物が挙げられる。本発明の方法により製造される一つ以上の予め形成されたフォトクロミック二色性膜や層を含むほかに、本発明によるフォトクロミック二色性物品は、(一部の実施形態によれば、各々独立に、コーティングであるか又はコーティング組成物から形成される)一つ以上の任意の更なる層、例えば、任意のプライマー層及び任意のトップコート層を含むことができる。
本明細書における使用では、用語「シート」は、一般的に均一な厚さを有し、自己支持能力のある予め形成された膜を指す。
本明細書における使用では、用語「連結」は、少なくとも一つがオブジェクトに直接接触している一つ以上の他の構造体又は材料を介して、オブジェクトに直接的又は間接的に接触していることを意味する。限定されない例示目的において、本発明の方法により製造される予め形成されたフォトクロミック二色性膜又は層は、たとえば、少なくとも基板の一部に直接接触(たとえば、当接接触)し、又は、カップリング又は接着剤のプライマー層及び/又は単分子層などの一つ以上の他に介在させた構造体や材料を介して、基板の少なくとも一部に間接的に接触可能である。たとえば、本明細書中では限定はされないが、予め形成されたフォトクロミック二色性膜又は層は、少なくとも一部が基板の少なくとも一部に直接接触している一つ以上の他に介在させたコーティング、ポリマーシートやそれらの組合せに接触することができる。
本明細書における使用では、用語「感光性材料」は、これらに限定されないが、燐光材料と蛍光材料を含む電磁放射に物理的又は化学的に反応する材料を指す。
本明細書における使用では、用語「非感光性材料」は、これに限定されないが、静的染料を含む電磁放射に物理的にも化学的にも反応しない材料を指す。
本明細書における使用では、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及びz平均分子量(Mz)などのポリマーの分子量値は、ポリスチレン標準などの適切な標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって求められる。
本明細書における使用では、多分散指数(PDI)値は、ポリマーの数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率(即ち、Mw/Mn)を表す。
本明細書における使用では、用語「ポリマー」は、(たとえば、単一モノマー種から調製される)ホモポリマー、(たとえば、複数の単量体種から調製される)共重合体、ブロック共重合体、及び、これらに限定されないが、櫛型グラフト重合体、星型グラフト重合体、及び樹状グラフト重合体を含むグラフト重合体を指す。
本明細書における使用では、「(メタ)アクリル酸エステル」などの用語「(メタ)アクリレート」及び同様の用語は、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。本明細書における使用では、用語「(メタ)アクリル酸」はメタクリル酸及び/又はアクリル酸を指す。
特に指示のない限り、本明細書に開示されている全ての範囲又は比率は、これに含まれるいずれか及び全ての部分範囲又は部分比率を包含していることを理解されたい。たとえば、「1〜10」という所定の範囲又は比率は、最小値1〜最大値10まで(及びこれらを含む値)のいずれか及び全ての部分範囲、即ち、これに限定されないが、1〜6.1、3.5〜7.8及び5.5〜10などの1以上の最小値から始まり10未満の最大値に至るまでの全ての部分範囲又は部分比率を含むと考えられたい。
本明細書における使用では、特に指示のない限り、二価の連結基などの連結基の「左→右」の表現には、これに限定されないが、他の適切な配向、例えば、「右→左」の配向などが含まれている。限定されない例示目的において、二価の連結基の「左→右」の表示:
又は同等の―C(O)O−の表示は、その「右→左」の表示:
又は同等の―O(O)C―又は―OC(O)―の表現が含まれている。
本明細書における使用では、不定冠詞”a””an”及び定冠詞”the”は、特に単数(即ち一つ)の冠詞に明示的かつ明解に指示されていない限り、「複数の」指示冠詞を含む。
本明細書における使用では、特に指示されてない限り、「パーセント透過率」は、分光計のユーザ向け手引きに提供されている指示に従って、HunderLab.(ハンターラボ)から市販されているULTRASCAN PRO(ウルトラスキャンプロ)(製品名)分光計などの当該技術分野において承認されている器具を用いて、求めることができる。
本明細書における使用では、用語「直線偏光」は、「一つの方向又は平面に対して、光の波などの電磁波の電気ベクトルの振動を制限することを意味する。
動作上の実施例以外に、又は、特に指示されていない場合、実施例以外、明細書及び特許請求の範囲において使用されている成分の量、反応条件、以下同様を表す全ての数字は用語「約」によってあらゆる場合において変更され得るものであることを理解されたい。
本明細書における使用では、「右」、「左」、「内」、「外」、「上」、「下」などの空間や方向を指示する用語は、図面に描かれているように本発明に係る。しかしながら、本発明は、これに代わる様々な代替の配向が想定されることから、このような用語は本発明を限定するものではないことを理解されたい。
用語「上に形成された」、「上に蒸着された」、「上に設けられた」、「上に塗布された」、「上に存在する」、又は「上に位置決めされた」は下層素子又は下層素子の表面に形成、蒸着、配設、塗布、存在、又は位置決めされるが、必ずしも、これらに直接接触(又は当接)されるわけではないことを意味する。たとえば、基板「上に位置決めされた」層は位置決め又は形成された層と基板との間に配置された同じ又は異なる組成物の一つ以上の他の層、コーティング、又は膜の存在を排除しない。
これに限定されないが、本明細書中で参照されている発行済みの特許及び特許出願などの文献は全て、特に明記しない限り、「参照することによってその全体が」本明細書中に組み込まれていることを認識されたい。
本発明の方法は、第1の熱可塑性ポリマー及びフォトクロミック二色性化合物を含む第1の溶融熱可塑性組成物を形成し、第2の熱可塑性ポリマーを含む第2の溶融熱可塑性組成物を形成し、第3の熱可塑性ポリマーを含む第3の溶融熱可塑性組成物を形成するステップを含む。第1、第2及び第3の熱可塑性ポリマーは各々独立に単一の熱可塑性ポリマー又は複数の熱可塑性ポリマーの組合せを含んでよい。
一部の実施形態によれば、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物(及び同様に、第2及び第3の溶融層、ならびに第2及び第3の層)は各々、第1の溶融熱可塑性組成物、第1の溶融層、及び/又は第1の層に関して本明細書に更に説明されているように、一つ以上のフォトクロミック二色性化合物、一つ以上のフォトクロミック化合物、及び一つ以上の添加剤の、少なくとも一つを含む。一部の実施形態によれば、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物(及び同様に、第2及び第3の溶融層、第2及び第3の層)は各々フォトクロミック二色性化合物を含まない。更に一部の実施形態によれば、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物(及び同様に、第2及び第3の溶融層、第2及び第3の層)は各々、フォトクロミック二色性化合物及びフォトクロミック化合物を含まない。
一部の実施形態によれば、第1、第2及び第3の熱可塑性ポリマーは各々独立に多種多様な熱可塑性ポリマーから選択することができる。このような熱可塑性ポリマーの限定されない例としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、多環式アルケン、ポリウレタン、ポリ(尿素)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(尿素)ウレタン、ポリオール(アリルカーボネート)、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリアルケン、ポリアルキレンビニルアセテート(たとえば、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリ(エーテル−アミド)ブロック共重合体、ポリシロキサン共重合体、それらの混合物、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明に有用な熱可塑性ポリマーは、これらに限定されないが、付加重合や縮合重合などの当該技術分野において承認された方法により製造することができる。重合方法のより具体的な例としては、これらに限定されないが、フリーラジカル重合、リビング重合、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合、原子移動ラジカル重合、及び単一電子リビングラジカル重合が挙げられる。
一部の実施形態によれば、熱可塑性ポリマーは各々独立に、たとえば、直鎖状構造、分岐構造、櫛型構造、星形構造、樹状構造、及びそれらの組み合わせから選択される構造を有している。一部の実施形態によれば、2種以上の異なるモノマーから形成される場合、各熱可塑性ポリマーは、ランダム熱可塑性共重合体、熱可塑性ブロック共重合体、それらの組み合わせ、及び同じ熱可塑性ポリマー分子内でのこれらの組み合わせから選択することができる。限定されない例示目的において、一部の実施形態によれば、櫛型構造を有する熱可塑性共重合体は骨格セグメントを有しているとして記載することができ、この骨格セグメントから、二つ以上の歯状セグメントが延出し、また、骨格セグメントはランダム又はブロック共重合体構造を有しており、歯が各々独立に、ランダム又はブロック共重合体構造を有している。
一部の実施形態によれば、第1、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物の第1、第2及び第3の熱可塑性ポリマーが各々独立に、これらに限定されないが、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基(又はオキシラン基)、ヒドロキシル基、チオール基、カルバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロックイソシアネート基を含む)、メルカプタン基、エチレン性不飽和を有する基(たとえば、アクリレート基)、ビニル基、及びそれらの組み合わせを含む一つ以上の官能基を含むことができる。
一部の実施形態によれば、第1、第2及び第3の熱可塑性ポリマーの一つ以上は各々独立に、熱可塑性ポリアミド−ポリアルキル(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体から選択することができる。熱可塑性ポリアミド−ポリアルキル(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体の例としては、これらに限定されないが、その内容が参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第7,282,551B2号の第4段24行目〜第9段18行目に記載されている共重合体が挙げられる。本発明の一部の実施形態によれば、第1、第2及び/又は第3の熱可塑性ポリマーが各々独立に選択される熱可塑性ポリマーの更なる例としては、その内容が参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第6,096,375号第18段8行目〜第19段5行目に記載されているものが挙げられる。
一部の実施形態によれば、第1、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物の第1、第2及び第3の熱可塑性ポリマーは各々独立に、少なくとも部分的に、一つ以上の熱可塑性弾性ポリマーを含む。本明細書における使用では、用語「熱可塑性弾性ポリマー」は、少なくとも部分的に可逆的な変形や伸長が可能であるように高弾力又は高弾性の熱可塑性ポリマーを指す。一部の実施形態によれば、延伸されると、熱可塑性弾性ポリマーの分子が整合し(又は整合可能になり)、結晶配列の形態を採ることができ、延伸が解除されると、熱可塑性弾性ポリマーは、少なくともある程度、無秩序状態に戻る。
第1、第2及び/又は第3の熱可塑性ポリマーが各々独立に選択される熱可塑性弾性ポリマーのクラスは、熱可塑性エラストマー系ブロック共重合体を含む。本発明の一部の実施形態により使用することができる熱可塑性エラストマー系ブロック共重合体は、エーテルブロック、アミドブロック、ウレタンブロック、エステルブロック、尿素ブロック、及びこれらの二つ以上の組み合わせから選択されるブロック(又はセグメント)を有する。本発明の一部の実施形態によれば、第1、第2及び/又は第3の熱可塑性ポリマーが各々独立に選択されうる熱可塑性エラストマー系ブロック共重合体の例としては、これらに限定されないが、ポリ(エーテル−アミド)ブロック共重合体、ポリ(エステル−エーテル)ブロック共重合体、ポリ(エーテル−ウレタン)ブロック共重合体、ポリ(エステル−ウレタン)ブロック共重合体、及び/又はポリ(エーテル−尿素)ブロック共重合体が挙げられる。一部の実施形態によれば、第1、第2及び/又は第3の熱可塑性ポリマーが各々独立に選択可能な市販の熱可塑性エラストマー系ブロック共重合体の例としては、これらに限定されないが、バイエルマテリアルサイエンス社(Bayer Material Science LLC)製の商品名DESMOPAN(デスモパン)及びTEXIN(テキシン)、ロイヤルディーエスエム社(Royal DSM)製の商品名アーニテル(ARNITEL)、アトフィナケミカルズ社(Atofina Chemicals)又はコーディス社(Cordis Corporation)製の商品名ペバックス(PEBAX)が挙げられる。いかなる理論にも縛られるわけではないが、一部の実施形態によれば、熱可塑性エラストマー系ブロック共重合体は、一軸及び/又は二軸延伸を受けると、本発明のフォトクロミック二色性膜の延伸比を維持し安定させるように作用する水素結合を表すと考えられている。
本発明の一部の実施形態によれば、第1、第2及び/又は第3の熱可塑性ポリマーは各々独立に、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性(メタ)アクリレート、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ポリスルホン、熱可塑性ポリ(アミド−エーテル)ブロック共重合体、熱可塑性のポリ(エステル−エーテル)ブロック共重合体、熱可塑性ポリ(エーテル−ウレタン)ブロック共重合体、熱可塑性ポリ(エステル−ウレタン)ブロック共重合体、及び熱可塑性ポリ(エーテル−尿素)ブロック共重合体の少なくとも一つを含む。
第1、第2、及び第3の溶融熱可塑性組成物は各々独立に、適切な方法によって調製される。限定されない例示目的において、第1の溶融熱可塑性組成物に関して、その成分、たとえば、第1の熱可塑性ポリマー、フォトクロミック二色性化合物、及び任意の添加剤は、一部の実施形態によれば、適切な乾燥混合機、たとえば、双子円筒形乾燥混合機(ツインシェルドライブレンダ)を使用して、共に乾燥混合することができる。一部の実施形態によれば、限定されない例示目的において、及び第1の溶融熱可塑性組成物に関して、その成分、たとえば、第1の熱可塑性ポリマー、フォトクロミック二色性化合物、及び任意の添加剤は、適切な装置、たとえば、ハンマーミル又はジェットミルにおいて、たとえば、液体窒素の存在下で、極低温混合により共に結合することができる。組成物の成分が十分に乾燥混合され、そうでなければ、共に結合/混合された後、必要に応じて、更なる混合の条件下、たとえば、機械的な混合の条件下において、上昇した温度を受ける。上昇した温度は通常、乾燥混合された組成物が結果的に溶融熱可塑性組成物に変換されるように選択される。上昇温度へ露出している間の機械的混合は、たとえば、パドル、ブレード、螺旋ブレード、インペラ、単軸スクリューミキサー、単往復スクリューミキサー、二軸スクリュー共回転ミキサー、ツインスクリュー反回転ミキサー、及びそれらの組み合わせによって実現する。
一部の実施形態によれば、第1の溶融熱可塑性組成物は、以下により詳細に説明するように、一つ以上の熱可塑性ポリマーに、フォトクロミック二色性化合物と、任意の一つ以上の添加剤と、を含むフォトクロミック二色性マスターバッチを、組み合わせることによって形成される。一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性マスターバッチは、一つ以上の熱可塑性ポリマー、フォトクロミック二色性化合物、及び任意の一つ以上の添加剤から構成される。フォトクロミック二色性化合物及び任意の添加剤は、フォトクロミック二色性マスターバッチの全重量に基づいて、たとえば、重量パーセントで表される、得られる第1の溶融熱可塑性組成物より重い量で、フォトクロミック二色性マスターバッチ中に含まれる。同様に、一部の実施形態によれば、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物は各々独立に、一つ以上の熱可塑性ポリマーに、一つ以上の添加剤と一つ以上の熱可塑性ポリマーを含む添加剤マスターバッチを組み合わせることによって形成される。添加剤は、添加剤マスターバッチの全重量に基づいて、たとえば、重量パーセントで表される、得られる第1及び/又は第2の溶融熱可塑性組成物よりも重い量で、添加剤マスターバッチ中に含まれる。
本発明の方法は、第1の溶融熱可塑性組成物、第2の溶融熱可塑性組成物、及び第3の溶融熱可塑性組成物を、終端スロットを有するダイへ導入するステップを含む。一部の実施形態によれば、第1の溶融熱可塑性組成物、第2の溶融熱可塑性組成物、及び第3の溶融熱可塑性組成物は各々、導管を通って、たとえば、複数の導管を通って、ダイへ搬送及び導入される。一部の実施形態によれば、ダイは、このダイから出る前に、第1、第2、及び/又は第3の溶融熱可塑性組成物が通過する一つ以上のフィルタを含む。一部の実施例体によれば、ダイ内のフィルタは、通過中の第1、第2、及び/又は第3の溶融熱可塑性組成物から樹脂製のゲル状粒子などの粒子を除去するように作用する。一部の実施形態によれば、ダイは、第1、第2、及び/又は第3の溶融熱可塑性組成物の一つ以上を案内し、必要に応じて、分割するように作用する複数の内部流路を含む。一部の実施形態によれば、これに加えてあるいはこれに代えて、ダイの内部流路は、第1、第2、及び/又は第3の溶融熱可塑性組成物を一緒に結合して、ダイの終端スロットにおいて溶融抽出物を形成するように作用する。ダイの終端スロットは、細長い形、楕円形、正方形、長方形、及びそれらの二つ以上を組み合わせた適切な形状を有することができる。
本発明の方法は、押出ダイであってよいダイの終端スロットから溶融押出物を除去するステップを更に含む。溶融押出物は、第1の溶融熱可塑性組成物を含む第1の溶融層と、第2の溶融熱可塑性組成物を含む第2の溶融層と、第3の溶融熱可塑性組成物を含む第3の溶融層と、を含む。溶融押出物の第1の溶融層は、第2の溶融層と第3の溶融層の間に介在される。一部の実施形態によれば、溶融押出物は、ダイの終端スロットから連続的に除去され又は引き出される。
溶融押出物の第1、第2、及び第3の溶融熱可塑性層は各々独立に、単一の溶融層又は二つ以上の溶融層を有するか又は含むことができる。一部の実施形態によれば、溶融押出物の第1、第2、及び第3の溶融熱可塑性層は各々単一の溶融層を有するか又は含む。
図1を参照すると、溶融押出物17は、ダイ53の終端スロット113から除去されている。一部の実施形態によれば、溶融押出物17は、下向きに配向された場合、重力の作用によって、及び/又は、終端スロット113から溶融押出物17を引っ張るか又は引き出すように作用する一つ以上のローラ(図示せず)によって、終端スロット113から除去される。溶融押出物17は、第1の溶融熱可塑性樹脂組成物を含む第1の溶融層29、第2の溶融熱可塑性組成物を含む第2の溶融層26、及び第3の溶融熱可塑性樹脂組成物を含む第3の溶融層32を含む。第1の溶融層29は第2の溶融層26と第3の溶融層32の間に介在される。一部の実施形態によれば、また、図1に示されているように、第1の溶融層29は、溶融押出物17の第2の溶融層26と第3の溶融層32の各々に挟まれかつこれらに当接している。
溶融押出物17は、第1及び第2の外面などの外面を有している。図1を参照するとともに、一部の実施形態によれば、溶融押出物17は、第1の外面95及び第2の外面98を有している。第1の外面95及び第2の外面98は、実質的に対向して配置されている。一部の実施形態によれば、第1の外面95は第2の溶融層26の外面によって形成され、第2の外面98は第3の溶融層32の外面によって形成される。
一部の実施形態によれば、本発明の方法は、溶融押出物を冷却して、第1の溶融層から形成された第1の層と、第2の溶融層から形成された第2の層と、第3の溶融層から形成された第3の層と、を含む多層膜を形成するステップを更に含む。多層膜の第1の層は第2の層と第3の層の間に介在される。
多層膜の第1、第2、及び第3の層は各々独立に単層又は複数の層を有するか又は含むことができる。一部の実施形態によれば、多層膜の第1、第2、及び第3の層は各々、単層を有するか又は含む。
図1を参照すると、溶融押出物17は対応する多層膜23を形成するために冷却される。多層膜23を形成するための溶融押出物17の冷却は、図1に示したように、溶融押出物17と多層膜23との間の代表的な中間エリア116で発生する。一部の実施形態によれば、溶融押出物17の冷却は、溶融押出物17の一外面又は両外面の少なくとも一部などの少なくとも一部を、分離した熱交換表面及び/又は熱交換流体に、接触させることによって行われる。一部の実施形態によれば、溶融押出物17の第1の外面95及び/又は第2の外面98は、図2及び図3の回転ロール11などの一つ以上の温度調整された表面ゾーンを有する冷却ロールの表面に接触されうる。冷却ロールとの接触に代えて又はこれに加えて、一部の実施形態によれば、溶融押出物の一外面又は両外面は、温度が低下した気体及び/又は液体などの熱交換流体に接触されうる。一部の実施形態によれば、たとえば、空気などの気体又は窒素などの不活性ガスは、上昇した流量で、溶融押出物の外面へ突き当たる。一部の実施形態によれば、気体との接触に代えて又はこれに加えて、溶融押出物は、温度が低下した水性の熱交換流体などの熱交換流体への浸漬によって通過されうる。一部の実施形態によれば、熱交換流体は、熱交換流体の流れるカーテンなどの浴槽やカーテンの形態をとることができる。
更に、図1を参照するに、多層膜23は、第1の溶融層29から形成される第1の層29’、第2の溶融層26から形成される第2の層26’、及び第3の溶融層32から形成される第3の層32’を含む。一部の実施形態によれば、第1の層29’は多層膜23の第2の層26’と第3の層32’との間に介在されている。更に一部の実施形態によれば、また、図1に示したように、第1の層29’は、多層膜23の第2の層26’と第3の層32’の間に挟まれ、かつ、これらの各々に当接している。
一部の実施形態によれば、本発明の方法は、第1の層から第2層と第3層の両方を除去し第1の層を保持することを更に含む。保持された第1の層は本発明の方法によって製造されるフォトクロミック二色性膜を形成する。
多層膜の第2及び第3の層は、(保持されて、フォトクロミック二色性膜を形成する)第1の層内で不要なレベルの光学歪みを生じる原因となる損傷から下層/内層/挟まれた第1の層を保護する保護層として作用する。フォトクロミック二色性膜の形成及び/又は処理によって膜内に応力及び/又は欠陥が引き起こされ、それがまた、望ましくない光学歪みを増大させる。欠陥及び/又は応力は、膜を構成する溶融ストリームが反回転ロール同士の間を圧縮されながら通過する際、フォトクロミック膜内へもたらされる。これに代えて又はこれに加えて、欠陥及び/又は応力は、回転ロールから引き外す動作及び/又は回収ロールへ回収する動作と協働してフォトクロミック二色性膜へもたらされる。本発明の一部の実施形態による方法は、第1の層が第2の層と第3の層の間にサンドイッチ状に被挟持された多層膜を形成するステップを含む。一部の実施形態によれば、形成中及び/又は形成後の処理に伴って発生する欠陥及び/又は応力は、各々外層としての第2及び第3の層によって受け止められ及び/又はブロックされることにて、このような欠陥が第1の層にもたらされ/強い影響を受けることが抑制され防止される。保持されている第1の層から第2及び第3の層が除去された後、第1の層がフォトクロミック二色性膜を画定(形成)する。
限定されない例示のため、及び、図1を参照するに、第2の層26’と第3層32’の両層が多層膜23の第1の層29’から除去されている状態が示されている。一部の実施形態によれば、多層膜の第1の層から第2及び第3の層を除去するステップは、最初に第1の層から第2及び第3の層を分離させ、これによって、第1の層からの第2及び第3の層のその後の除去が容易になる。一部の実施形態によれば、第1の層から第2及び第3の層を分離するステップは、多層膜に一軸延伸及び/又は2軸延伸などの分離処理を受けさせることにて達成され、これによって、第2の層と第1の層との界面での分離、及び、第3の層と第1の層との界面での分離が得られる。一部の実施形態によれば、第1の層が分離回転ロールに回収されている間(図示せず)、第2の層と第3の層は各々分離回転ロール(図示せず)に回収することによって除去される。一部の実施形態によれば、第2及び第3の層を第1の層から除去することは連続的に行うことができる。
第2及び第3の層は各々独立に、一部の実施形態によれば、これらに限定されないが、急激な温度低下又はコールドショックトリートメントなどの温度低下、溶媒膨潤、溶媒溶解、一軸延伸、二軸延伸、第2の層と第1の層の互いからの物理的剥離、第3の層と第1の層の互いからの物理的剥離、及びこれらの複数の組合せを含む方法によって、第1の層から順次分離されうる。
一部の実施形態によれば、本発明の方法は、多層膜に一軸延伸及び/又は二軸延伸から選択される延伸を受けさせるステップを更に含み、この延伸によって第1の層から第2の層が分離され、第1の層から第3の層が分離され、よって、第1の層から第2及び第3の層が容易に除去できる。一部の実施形態によれば、多層膜の二軸延伸は、両方向で同時延伸されるか、又は、第1の方向の延伸後に第2の方向の延伸が連続的に行われる。
多層膜は、多層膜の形成の実質的に直後に、又は、多層膜の回収及び任意の保存(以下の更に詳細に説明するように、回収ロールへの回収とその後の巻取られたロールの任意の保存など)の後の将来の時点で一軸延伸及び/又は二軸延伸を受けることができる。
一部の実施形態によれば、本発明の方法により形成された多層膜の第1、第2、及び第3の層は各々独立に、本明細書中に先に列挙されたクラス及び実施例から選択される一つ以上の熱可塑性ポリマーを含む。
一部の実施形態によれば、多層膜の第1、第2及び第3の層の熱可塑性ポリマーは各々独立に、多層膜が一軸延伸及び/又は二軸延伸を受けた際、第2及び第3の層が第1層から分離するように選択される。一部の実施形態によれば、第1の層は、熱可塑性ブロック共重合体を含み、第2及び第3の層は各々、熱可塑性ブロック共重合体を含まない。更に一部の実施形態によれば、第1の層は、たとえば、熱可塑性ポリ(エーテル−アミド)ブロック共重合体、熱可塑性ポリ(エステル−エーテル)ブロック共重合体、熱可塑性ポリ(エーテル−ウレタン)ブロック共重合体、熱可塑性ポリ(エステル−ウレタン)ブロック共重合体、熱可塑性ポリ(エーテル−尿素)ブロック共重合体、及びこれらの複数の組み合わせから選択される熱可塑性ブロック共重合体を含む。一部の実施形態によれば、第2及び第3の層は各々、熱可塑性ブロック共重合体を含まないが、各々独立に、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、(熱可塑性ポリアルキレン、熱可塑性酢酸ビニル、及び熱可塑アルキレン−酢酸ビニル共重合体などの)熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性(メタ)アクリレート、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ポリスルホン、及びこれらの複数の組み合わせから選択される熱可塑性ポリマーを含む。また更なる実施形態によれば、第2及び第3の層は各々、熱可塑性ブロック共重合体を含まないが、各々独立に、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体などの熱可塑性ポリ(C2−C8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン−酢酸ビニル)共重合体から選択される熱可塑性ランダム共重合体を含む。
一部の実施形態によれば、溶融押出物の第1の溶融層は、溶融熱可塑性ポリ(エーテルアミド)ブロック共重合体などの溶融熱可塑性ブロック共重合体を含み、第2の溶融層及び第3の溶融層は各々独立に、溶融熱可塑性ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体などの、溶融熱可塑性ポリ(C2−C8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン−酢酸ビニル)共重合体などの、溶融熱可塑性ポリ(アルキレン−酢酸ビニル)共重合体を含む。更に一部の実施形態によれば、第2及び第3の溶融層は各々、溶融熱可塑性ブロック共重合体を含まない。
本発明の一部の実施形態により形成された多層膜は、熱可塑性ポリ(エーテル−アミド)ブロック共重合体などの少なくとも一つの熱可塑性ブロック共重合体を含む第1の層と、熱可塑性ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体などの、熱可塑性ポリ(C2−C8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン−酢酸ビニル)共重合体などの、少なくとも一つの熱可塑性ポリ(アルキレン−酢酸ビニル)共重合体を含む第2の層と、熱可塑性ポリ(C2−C8の直鎖又は分枝鎖のアルキレン−酢酸ビニル)共重合体などの少なくとも一つの熱可塑性ポリ(アルキレン−酢酸ビニル)共重合体を含む第3の層と、を含み、第1の層が第2の層と第3の層の間に介在される。更に一部の実施形態によれば、第2の層と第3の層は熱可塑性ブロック共重合体を含まない。
本発明の一部の実施形態による方法において使用されうる熱可塑性ポリ(エーテル−アミド)ブロック共重合体の例としては、これらに限定されないが、アルケマ社(Arkema Inc.)から市販されているPEBAX(ペバックス)熱可塑性ブロック共重合体、たとえば、PEBAX 5533 SA 01の熱可塑性ポリ(エーテル−アミド)ブロック共重合体を含む。本発明の一部の実施形態による方法において使用されうる熱可塑性ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体は、これらに限定されないが、アルケマ社から市販されているEVATANE熱可塑性ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体、たとえば、EVATANE20−20の熱可塑性ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体を含む。
一部の実施形態によれば、第1の層は、多層膜の第2層及び第3層の各々よりも大きい厚さを有している。一部の実施形態によれば、第1の層の厚さは、第2の層及び第3の層の各々の厚さより、以下の倍数分だけ大きい:少なくとも1.2、又は少なくとも1.5、又は少なくとも2.0、又は少なくとも2.5、又は少なくとも3.0;50以下、20以下、又は15以下、又は12以下、又は10以下;及び上に引用した閾値の上限値から下限値までのいずれかを組合せた値を含む。
一部の実施形態によれば、第1の層の厚さは、50〜500μm、又は75〜300μm、又は100〜250μmであり、第2の層及び第3の層の厚さは各々独立に、1〜100μm、又は5〜40μm、又は10〜30μm(これらの記載した値を含む)である。
一部の実施形態によれば、及び本明細書中に以下に更に詳細に説明するように、多層膜は、回収ロールなどに回収され、保存され、その後に、第2及び第3の層の第1の層からの分離が行われる。更に一部の実施形態によれば、第2及び第3の層の第1の層からの分離は、多層膜の保存がないときは、多層膜が形成される時にインラインで実行することができる。
一部の実施形態によれば、第1、第2、及び第3の溶融熱可塑性組成物は各々独立に、たとえば、複数の分離した押出機などの押出機において形成される。本発明の一部の実施形態によれば、第1の溶融熱可塑性組成物は終端部を有する第1の押出機において形成され、第2の溶融熱可塑性組成物は終端部を有する第2の押出機において形成され、第3の溶融熱可塑性組成物は終端部を有する第3の押出機において形成される。更に、一部の実施形態によれば、第1の押出機、第2の押出機、及び第3の押出機の各終端部は、押出ダイであってよい、ダイと流体連通している。
一部の実施形態によれば、第1、第2、及び第3の溶融熱可塑性組成物は各々異なる組成物を有しており、これらはそれぞれ別々の押出機で形成される。一部の実施形態によれば、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物は同じ組成物を含み、その場合、これらは共に同じ押出機で形成され、これに応じて、第1、第2、及び第3の溶融熱可塑性組成物の形成には二つの別々の押出機が使用される。
限定されない例示目的において、図2を参照するに、終端部38を有する第1の押出機35を含む押出アセンブリ1が示されている。一部の実施形態によれば、(少なくとも一つのフォトクロミック二色性化合物を含む)第1の溶融熱可塑性組成物は、第1の押出機35に形成されている。第1の溶融熱可塑性組成物を形成するために使用される供給材料、たとえば、第1の供給組成物は、その長さに沿って、たとえば、供給ポート36を介して、一つ以上のポイントで、第1の押出機35内へ導入されうる。第1の押出機35は、一軸押出機、二軸押出機、及び二軸逆回転押出機から選択されうる。一部の実施形態によれば、第1の押出機35は、一つ以上の温度調整ゾーンを有する加熱バレルを含むことができる。第1の供給組成物が第1の押出機35の加熱ゾーンを通過する際、第1の供給組成物は溶融、混合され、第1の溶融熱可塑性組成物として終端部38から射出される。第1の押出機35の終端部38は、第1の導管41を介してダイ53と流体連通している。第1の溶融熱可塑性組成物は、第1の押出機35の終端部38から、第1の導管41を通過して、ダイ53に入る。一部の実施形態によれば、第1の溶融熱可塑性組成物は、第1の押出機35内のネジ又は複数のネジの回転から生じる圧力によって第1の導管41介して駆動される。一部の実施形態によれば、第1の導管41は、第1の溶融熱可塑性組成物が第1の導管41を介してダイ53へ送られ又はこれを通過する推進を補助するポンプ(図示せず)を含む。一部の実施形態によれば、第1の導管41はこれを通過する第1の溶融熱可塑性組成物を溶融状態に維持するように作用する加熱ジャケット(図示せず)を含む。
更に一部の実施形態では、フォトクロミック二色性化合物と任意の添加剤は、加熱されたバレルの長さに沿って、一つ以上のポイント、たとえば、更なる供給ポート(図示せず)から第1の押出機35へ導入される。フォトクロミック二色性化合物と任意の添加剤は各々、一つ以上のマスターバッチの形態の第1の押出機35の加熱バレルの長さに沿って導入することができる。
一部の実施形態によれば、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物は各々、一つ以上の更なる押出機において形成することができる。図2を更に参照するに、押出アセンブリ1は、終端部47を有している第2の押出機44を更に含む。一部の実施形態によれば、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物は、同じ組成物を有している場合、第2の押出機と第3の押出機が同じ押出機、たとえば、第2の押出機44において形成される。図2を参照するに、第2及び第3の溶融熱可塑性組成物は第2の押出機44において形成されている。第2及び第3の溶融熱可塑性組成物を形成するために使用される供給材料、たとえば、第2の供給組成物は、その長さに沿って、たとえば、供給ポート45を介して、一つ以上のポイントで、第2の押出機44内へ導入されうる。第2の押出機44は、一軸押出機、二軸押出機、及び二軸逆回転押出機から選択されうる。一部の実施形態によれば、第2の押出機44は、一つ以上の温度調整ゾーンを有している加熱バレルを含むことができる。第2の供給組成物が第2の押出機44の加熱ゾーンを通過する際、第2の供給組成物は溶融、混合され、第2の(及び/又は第3の)溶融熱可塑性組成物として終端部47から射出される。第2の押出機44の終端部47は、第2の導管50を介してダイ53と流体連通している。第2の溶融熱可塑性組成物は、第2の押出機44の終端部47から、第2の導管50を通過して、ダイ53に入る。一部の実施形態によれば、第2の溶融熱可塑性組成物は、第2の押出機44内のネジ又は複数のネジの回転から生じる圧力によって第2の導管50を介して駆動される。一部の実施形態によれば、第2の導管50は、第2の溶融熱可塑性組成物が第2の導管44を介してダイ53へ送られ又はこれを通過する推進を補助するポンプ(図示せず)を含む。一部の実施形態によれば、第2の導管50は、これを通過する第2の溶融熱可塑性組成物を溶融状態に維持するように作用する加熱ジャケット(図示せず)を含む。
更に一部の実施形態によれば、任意の添加剤は、加熱されたバレルの長さに沿って、一つ以上のポイント、たとえば、更なる供給ポート(図示せず)において第2の押出機44内へ導入される。任意の添加剤は各々、一つ以上のマスターバッチの形態の第2の抽出機44の加熱バレルの長さに沿って導入することができる。
本明細書中で先に説明したように、ダイ53は、このダイを通過する第1、第2、及び第3の溶融層を含む溶融押出物内へ第1、第2、及び第3の溶融熱可塑性組成物を形成するように作用する。一部の実施形態によれば、本明細書中で先に説明したように、ダイ53は、溶融押出物17が除去された終端スロット113と流体連通している複数の内部流路(図示せず)を含むことができる。
一部の実施形態によれば、本発明の方法は、多層膜を回収ロール上に回収することにて巻取りロールを形成するステップと、任意に、巻取りロールを保存するステップを更に含む。一部の実施形態によれば、回収及び任意の保存ステップは、第1の層から第2の層と第3の層の両方を除去する前に、実行される。本発明の更なる実施形態によれば、第2の層は、多層膜の第1の外層を形成し、第3の層は多層膜の第2の外面を形成し、第1の外面及び/又は第2の外面は微細溝を含む。一部の実施形態によれば、微細溝の大きさは巻取りロールにある多層膜のオーバーラップ層同士の間から気体を逃すように決定される。
一部の実施形態によれば、分離した中間層は巻取りロールにある多層膜のオーバーラップ層同士の間に介在される。一部の実施形態によれば、中間層は紙で構成してよい。一部の実施形態によれば、中間層厚さは0.01〜5μmである。
図2及び図3を参照するに、一部の実施形態によれば、回収ロール(図示せず)及びこれに対応する巻取りロール(図示せず)は、矢印65に示した方向に沿って、押出アセンブリ1に相対して、プロセスの更に下流に位置決めされる。
巻取りロールのオーバーラップ層同士の間から気体を逃すことによって、光学歪みを低減又は最小にしたフォトクロミック二色性膜が得られる。いかなる理論にも左右されないが、巻取りロールのオーバーラップ層/当接層同士の間に捕捉された(たとえば、気泡の形態の)気体の存在によって、多層膜の一つ以上へ、特に、最終の又は保持されていたフォトクロミック二色性膜に対応している、多層膜の第1の層へ、物理的応力及び/又は歪みが生じると考えられている。このような物理的歪みの存在によって結果的に、保持されている又は最終のフォトクロミック二色性膜の内部に望ましくないレベルの光学的歪みが生じる。一部の実施形態によれば、微細溝の少なくとも一部が、微細溝がある第2及び/又は第3の層のエッジと流体的に連通しており、これにより、巻取りロールのオーバーラップ層/当接層同士の間で捕捉された気体をオーバーラップ層/当接層同士の間から逃すことができる。
図1、図2、及び図3を参照するに、限定されない例示目的において、第2の層26’は多層膜23の第1の外層95’を形成し、第3の層32’は多層膜23の第2の外層98’を形成する。第1の外層95’及び/又は第2の外層98’は各々独立に微細溝(図示せず)を含む。微細溝は、一つ以上の反復パターン、一つ以上のランダムパターン及びその組合せの形態で存在しうる。
微細溝は、これらに限定されないが、エッチング(たとえば、化学エッチング及び/又はレーザエッチング及び/又はエネルギビームエッチングなどの化学線エッチング)及び/又はインプリントを含む方法によって多層膜の第2の層及び/又は第3の層の外層に形成することができる。一部の実施形態によれば、微細溝インプリントは、(溶融押出物17などの)溶融押出物の少なくとも一つの外面(外面95及び/又は98など)を、その接触面の微細溝パターンの反転画像を有するロール及び/又は連続ベルトに接触させることによって、達成されうる。一部の実施形態によれば、(本明細書において更に説明するように)溶融押出物に接触する連続ベルトの外面及び/又は回転ロールの外面は各々独立に、内部に微細溝パターンの反転画像を有している。連続ベルト及び/又は回転ロールに代えて又はこれに加えて、一つ以上の更なるロール及び/又は連続ベルト(図示せず)を溶融押出物の外面及び/又は多層膜に接触させて、第1及び/又は第2の外面内に一つ以上の微細溝を形成することができる。多層膜の第1の層の外面及び/又は第2の層の外面に接触されたとき、更なるロール及び/又は更なる連続ベルトを加熱することにて、外面内へ微細溝パターンをインプリントするのを助けることができる。
一部の実施形態によれば、本発明の方法は、溶融押出物が回転ロールと移動中の連続ベルトの間をこれらの両方に接触しながら通過するステップを含む。一部の実施形態によれば、回転ロールは第1の方向へ回転し、連続ベルトは第2の方向へ移動し、第1の方向と第2の方向は各々同じ相対方向に対応している。
図2を参照するに、また、限定されない例示目的において、溶融押出物17は、回転ロール11と移動中の連続ベルト14の間をこれらの両方に接触しながら通過する。回転ロール11は円弧形矢印59で示される第1の方向に回転し、連続ベルト14は矢印56によって示される第2の方向に移動する。ロール11の第1の方向59と連続ベルト14の第2の方向56は各々、矢印62によって示される同じ相対方向に対応している。本発明の一部の実施形態によれば、回転ロール11と連続ベルト14は各々同じ相対方向62へ移動するが、反対方向に移動しない。
一部の実施形態によれば、連続ベルトは、溶融押出物が回転ロールと連続ベルトの間をこれらの両方に接触しながら通過する際、溶融押出物に実質的に均一な圧力を付与する。一部の実施形態によれば、連続ベルトは、溶融押出物が回転ロールと連続ベルトの間をこれらに接触しながら通過する際、溶融押出物の幅方向及び/又は溶融押出物の長さ方向に実質的に均一な圧力を付与する。一部の実施形態によれば、連続ベルトは、溶融押出物が回転ロールと連続ベルトの間をこれらに接触しながら通過する際、溶融押出物の幅方向と溶融押出物の長さ方向に実質的に均一な圧力を付与する。更に一部の実施形態によれば、連続ベルトは、溶融押出物が回転ロールと連続ベルトの間を接触しながら通過する際、溶融押出物のいずれかの2点(又はその間)に対して実質的に均一な圧力を付与する。
一部の実施形態によれば、連続ベルトによって付与される圧力は、接触圧力センサをロールの外面の様々な位置において同時に又は連続して位置決めし、その後、接触センサがロールと連続ベルトの間で圧縮配置されるようにロールと連続ベルトを位置決めして、求めることができる。一部の実施形態によれば、接触圧力センサは、ロールの少なくとも一部に一時的に配置された弾性ポリマーシート内に埋設され、これによって、弾性ポリマーシートがロールと連続ベルトの間に実質的に均一な厚さを提供できる。接触圧力の測定は静的に(ロールとベルトが動作しない状態)又は動的に(ロールと連続ベルトの両方が動作している状態)得ることができる。一部の実施形態によれば、接触圧力の測定は、ロールと連続ベルトとの間を通過する溶融押出物の有無に応じて、求められる。ロールの外面の様々なポイントで求めた圧力測定値を比較することができる。
一部の実施形態によれば、用語「実質的に均一な圧力」は、(ロールと連続ベルトの間に存在する)ロールの外面上のいずれかの2点間の圧力が、1%以下、0.5%以下、0.25%以下、0.15%以下、0.1%以下、0.05%以下、又は0%から上に引用した値の上限パーセント値までのいずれかの値で、変化することを意味する。同様に、連続ベルトが溶融押出物へ印加する実質的に均一な圧力は、(ロールと連続ベルトの間にある)溶融押出物上のいずれかの2点に相対して(これらの2点間で)、1%以下、0.5%以下、0.25%以下、0.15%以下、0.1%以下、0.05%以下、又は0%から上に引用した値の上限パーセント値までのいずれかの値で、変化する。
一部の実施形態によれば、本発明の方法によって製造されたフォトクロミック二色性膜は実質的に均一な厚さを有する。フォトクロミック二色性膜はその幅方向及び/又はその長さ方向で実質的に均一な厚さを有しうる。一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜はその幅方向及びその長さ方向共に実質的に均一な厚さを有する。一部の実施形態によれば、用語「実質的に均一な厚さ」は、フォトクロミック二色性膜上のいずれかの2点間で厚さが、5%以下、2.5%以下、2.0%以下、1.5%以下、1.0%以下、0.5%以下、0.25%以下、0.2%以下、0.15%以下、0.1%以下、0.05%以下、変化することを意味する。フォトクロミック二色性膜の厚さのばらつきは0%であってよいが、一部の実施形態によれば、ばらつきは0%より大であり、たとえば、0%から上に引用した値の上限パーセント値までのいずれかの値を含む。フォトクロミック二色性膜の厚さは、これらに限定されないが、当該技術分野において承認されている装置、たとえば、コンタクトゲージ及び非コンタクトゲージによって測定される。
本発明の一部の実施形態によって製造されるフォトクロミック二色性膜は、一部の実施形態によれば、1〜1000μm、2〜400μm、3〜200μm、又は、5〜50μm(上記した値を含む)の厚さを有することができる。
一部の実施形態によれば、多層膜は実質的に均一な厚さを有しており、用語「実質的に均一な厚さ」は、一部の実施形態によれば、多層膜上のいずれかの2点間の厚さが5%以下、2.5%以下、2.0%以下、1.5%以下、1.0%以下、0.5%以下、0.25%以下、0.2%以下、0.15%以下、0.1%以下、0.05%以下、変化することを意味する。多層膜の厚さのばらつきは0%であってよいが、一部の実施形態によれば、ばらつきは0%より大であり、たとえば、0%から上に引用した上限パーセント値までのいずれかの値を含む。多層膜の厚さは、これらに限定されないが、当該技術分野において承認されている装置、たとえば、コンタクトゲージ及び非コンタクトゲージによって測定される。
本発明の一部の実施形態によって製造される多層膜の各層は各々独立に、0.25〜1000μm、0.5〜200μm、0.75〜100μm、又は、1〜20μm(上記した値を含む)の厚さを有する。
一部の実施形態によれば、回転ロールは外面を有しており、連続ベルトは外面を有している。回転ロールの外面の一部と連続ベルトの外面の一部は互いに対向している。これに対応して、溶融押出物は、互いに対向している回転ロールの外面の一部と連続ベルトの外面の一部の間をこれらに接触しながら通過する。
限定されない例示目的において、図3を参照するに、回転ロール11は外面68を有しており、連続ベルト14は外面71を有している。回転ロール11の外面68の一部と連続ベルト14の外面71の一部は互いに対向している。回転ロール11の外面68の一部(両方向矢印74で示す)と連続ベルト14の外面71の一部(両方向矢印77で示す)は互いに対向している。溶融押出物17は、互いに対向している回転ロール11の外面68の一部74と連続ベルト14の外面71の一部77との間をこれらに接触しながら通過する。
本発明の方法の一部の実施形態によって使用される連続ベルト装置は、当該技術分野において承認されている方法により直線的にかつ連続的に移動することができる。一部の実施形態によれば、連続ベルトの内面は、少なくとも一つがモータ(図示せず)に回転可能に連結されている少なくとも3個のローラと接触しながら、その上を直線的に移動する。連続ベルトの外面に対向している回転ロールの外面の量を調節できるように、各ローラは独立に位置決めすることが可能である。更に図3を参照するに、連続ベルト14の内面89は3個のローラ80、83、86上を直線的に移動する。ローラ80、83、86の一つ以上はローラを回転させるモータに回転可能に連結され、これによって、連続ベルト14の線形運動が発生する。これに加えて又はその代わりに、連続ベルトは、(たとえば、一つ以上の位置決めローラによって)反対方向に移動可能であり、一部の実施形態によれば、回転ロール(たとえば、回転ロール11)の回転軸(たとえば、92)は連続ベルト(たとえば14)に対して反対方向に位置決めできる。一部の実施形態によれば、回転ロールの回転軸は連続ベルトに相対して実質的に固定されている。
一部の実施形態によれば、10%〜75%(又は20〜70%又は30〜60%)の割合で、回転ロールの外面が連続ベルトの外面と対向している。限定されない例示目的において、図3を参照するに、本発明の方法の一部の実施形態によれば、10〜75%の割合で、回転ロール11の外面68が連続ベルト14の外面71に対向している。
本発明の一部の実施形態によれば、回転ロールの外面と連続ベルトの外面の表面粗さ値(Ra)は各々独立に、50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下、5μm以下、又は、0μmよりも大であり、例えば、0.01μmから上に引用した値の上限値までのいずれかの値を含む。
一部の実施形態によれば、多層膜の各外面の表面粗さ値(Ra)は、独立に、50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下、5μm以下、又は、0μmよりも大であり、たとえば、0.01μmから上に引用した値の上限値までのいずれかの値を含む。限定されない例示目的において、図1を参照するに、多層膜23は第1の外面95’と第2の外面98’を有しており、一部の実施形態によれば、各外面の表面粗さ値(Ra)は50μm以下である。
一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜の各外面の表面粗さ値(Ra)は、独立に、50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下、5μm以下、又は、0μmよりも大であり、たとえば、0.01μmから引用した値の上限値までのいずれかの値を含む。限定されない例示目的において、図1を参照するに、フォトクロミック二色性膜を形成する第1の層29’は、第1の外面119と第2の外面122を有しており、一部の実施形態によれば、各外面の表面粗さ値(Ra)は50μm以下である。
一部の実施形態によれば、回転ロールの外面と連続ベルトの外面は各々独立に、弾性ポリマー、金属、及びその組合せによって形成される。回転ロールの外面及び/又は連続ベルトの外面を形成することができる弾性ポリマーの例としては、これらに限定されないが、シリコーンゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、及びその組み合わせが挙げられる。
一部の実施形態によれば、回転ロールの外面と連続ベルトの外面は各々独立に、金属により形成される。更に一部の限定されない実施形態によれば、回転ロールの外面と連続ベルトの外面は各々独立に、ステンレス鋼により形成される。更に一部の実施形態によれば、回転ロールの外面と連続ベルトの外面は各々独立に、ニッケルコーティングされたステンレス鋼により形成される。限定されない例示目的において、図2を参照するに、回転ロール11は外面68を有し、連続ベルト14は外面71を有している。
一部の実施形態によれば、回転ロールは周速度で回転し、連続ベルトは線速度で移動する。回転ロールの周速度と連続ベルトの線速度は実質的に同等である。回転ロールの周速度は、回転ロールの外面(たとえば、回転ロール11の外面68)が回転する速度である。一部の実施形態によれば、回転ロールの周速度と連続ベルトの線速度を実質的に同等に維持することによって、溶融押出物が回転ロールと連続ベルトの間を通過する時に掛かる応力の量が最小限になり、これによって、光学歪みを低減又は最小にしたフォトクロミック二色性膜が形成される。一部の実施形態によれば、回転ロールの周速度と連続ベルトの線速度は各々、レーザなどで直接測定することができる。
一部の実施形態によれば、回転ロールの周速度と連続ベルトの線速度について、用語「実質的に同等である」は、それらの速度が10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下又は0.1%以下、変化することを意味する。一部の実施形態によれば、回転ロールの周速度と連続ベルトの線速度は同等でもよいが、その場合、両速度のばらつきの割合は、0%か、又は、0%より大きな値(たとえば0.01%、0.02%、又は0.05%)から前に引用した値の上限値までのいずれかの値で、変化する。
本発明の一部の実施形態によれば、溶融押出物は、200℃〜350℃又は250℃〜325℃などの150℃〜400℃など(上記した値を含む)の上昇温度を有している。一部の実施形態によれば、溶融押出物を固体多層膜に変換するのを補助するために、回転ロールは、150℃未満、100℃未満、50℃未満、又は25℃未満などの多層膜の溶融又は変形温度以下の温度まで冷却される。一部の実施形態によれば、一つ以上の熱伝達流体は、回転ロールの一つ以上の内部チャンバに導入されうる。一部の実施形態によれば、回転ロールは、各々が異なる温度で維持される複数の表面積ゾーンを有している。限定されない例示目的において、図3を参照するに、その部分74を介して溶融押出物17が回転ロール11の外面と接触している回転ロール11の外面の部分は、回転ロール11の外面の他の部分より高い温度で保つことができる。また、この温度は、多層膜23の溶融温度や変形温度より低い一つ以上の温度に保つことができる。一部の実施形態によれば、回転ロール11又は任意の巻取りロール20から除去された多層膜は、多層膜23の溶融温度又は変形温度以上の温度を有しており、このような多層膜は、当該技術分野において承認されているクェンチ冷却(図示せず)などの一つ以上の更なる冷却ステップを受けることによって、多層膜23が形成される。
一部の実施形態によれば、回転ロールと連続ベルトの間から多層膜を得るのを補助するために、押出アセンブリは、回転ロールから多層膜を除去するように作用する一つ以上の巻き取りロールを更に含みうる。一部の実施形態によれば、一つ以上の巻取りロールに代えて又はこれに加えて、回転ロール14から多層膜23を剥離させるか及び/又は除去するために一つ以上のブレード(図示せず)が、たとえば、円弧状の矢印59の近傍で回転ロール14の外面68の一部に接触して設けられる。
限定されない例示目的において、図2及び図3を参照するに、押出アセンブリ1は任意の巻取りロール20を更に含む。円弧形矢印101によって示したように、巻取りロール20は、回転ロール11の反対方向に回転する。一部の実施形態によれば、巻取りロール20は回転ロール11の実質的に同じ周速度で回転する。巻取りロール20は回転ロール11に隣り合って配置されているがこれに当接してはいない。多層膜23は回転ロール11に接触することによって巻取りロール20に伝達され、その後、巻取りロール20から剥離され、回収ロール(図示せず)に回収するためなどの更なる処理のために、矢印65で示した方向に転送される。一部の実施形態によれば、巻取りロール20の表面は、たとえば、一つ以上の熱交換流体を一つ以上の内部チャンバへ導入することによって温度調節されうる。
本発明の一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は、実質的に形成直後に、眼科用レンズなどの透明材やレンズなどの製品にするために更に処理され及び/又は組み込まれる。更に一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は保存され、その後、製品にするために処理され及び/又は組み込まれる。本発明の方法によって製造されるフォトクロミック二色性膜が受けうる更なる処理の例としては、これらに限定されないが、切断;成形;一軸延伸;二軸延伸;一つ以上のフォトクロミック化合物、一つ以上のフォトクロミック二色性化合物、及び/又は一つ以上の静的な色味又は染料による吸収;及びこれらの2つ以上の組合せが挙げられる。
一部の実施形態によれば、一つ以上のフォトクロミック化合物、一つ以上のフォトクロミック二色性化合物、及び/又は、一つ以上の静的な色味又は染料を、フォトクロミック二色性膜へ吸収させるステップは、キャリア流体(又は溶媒)及び一つ以上のフォトクロミック二色性化合物、及び/又は一つ以上の静的な色味又は染料を含む溶液又は混合物を、加熱するしないに拘わらず、フォトクロミック二色性膜の表面に、塗布することを含む。塗布された溶液又は混合物は、ある期間にわたって(その間、化合物の一部が膜に吸収される)、フォトクロミック二色性膜の表面に接触させた状態で放置し、その後、膜の表面に残っている過剰な材料を洗い流す。
本発明の方法により製造されたフォトクロミック二色性膜により、これに限定されないが、他の方法、たとえば、二つの対向する回転ロールの間に溶融押出物を通過させるステップを含む方法によって製造されたフォトクロミック二色性膜よりも、光学歪みが低減され又は最小となった。一部の実施形態によれば、光学的歪みのレベルは、フォトクロミック二色性膜の目視検査によって主観的に決定される。一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜の目視検査は、たとえば、白などの中間色を有する置き台の上方に配置したアーク灯などの照明源を含むレンズ検査装置を用いて行う。一部の実施形態によれば、照明源は、基礎となる置き台に向かって下方へ照明を方向付けるように位置決めされ、垂直方向に調整が可能となる。フォトクロミック二色性膜は、置き台の上又は置き台と照明源との間に位置決めされ、典型的には、照明源の上方にいる観察者により視認できる。このようなレンズ検査装置により視認される光学歪み欠陥には、これらに限定されないが、陰影、渦、反射、屈折、干渉、回折、及びこれらの複数の組み合わせが含まれる。一部の実施形態によれば、光学的歪み欠陥が目視検査されるフォトクロミック二色性膜は、一つ以上の更なる層を存在させないフォトクロミック二色性層単独で形成される。本発明の方法により製造されるフォトクロミック二色性膜などのフォトクロミック二色性膜を目視検査するために使用されるレンズ検査システムは、たとえば、プラクティカルシステム社(Practical Systems Inc.)により市販されているレンズ検査システム(アーク灯)モデルBTX75LISIIである。
本発明の方法により製造されたフォトクロミック二色性膜は、フォトクロミック及び/又は二色性の性質を表すことが可能である。波長又は波長の範囲及び/又は入射する電磁エネルギのエネルギ(又は強度)によって、本発明の方法により製造されたフォトクロミック二色性膜は多種多様なフォトクロミック及び/又は二色性の反応を生じ、これによって、多種多様な観察可能なカラー、色強度、及び/又は分極効果をもたらすことができる。本発明の方法によって製造されるフォトクロミック二色性膜のフォトクロミック二色性化合物は各々独立に、フォトクロミック活性化(たとえば、着色状態への変換)及び/又は二色性活性化(結果的に入射電磁放射線の少なくとも部分的な直線偏光を生じる)の組合せを受ける。
一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物又はその少なくとも一部は、フォトクロミック二色性膜が太陽光に直接露光したときなどに、フォトクロミック活性化(たとえば、着色状態へ変換される)及び二色性活性化を受ける。一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物又はその少なくとも一部は、フォトクロミック二色性膜が限定された範囲の波長を有する化学線に露光された時、たとえば、自動車のフロントガラス又は窓などのガラスパネルが化学線の光源とフォトクロミック二色性膜との間に介在したときなどに、フォトクロミック活性化(たとえば、着色状態へ変換される)及び/又は二色性活性化を受ける。更に一部の実施形態よれば、たとえば、フォトクロミック二色性膜が蛍光灯などの室内周囲光に露光されたとき、フォトクロミック二色性化合物は、実質的に、フォトクロミック活性化と二色性活性化のどちらの活性化も受けない。
本発明の一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は、第1の状態では偏光せず(即ち、一方向に向かう光波の電気ベクトルの振動を閉じ込めない)、第2の状態で透過放射線に対して直線偏光することができる。本明細書における使用では、用語「透過放射線」は、オブジェクトの少なくとも一部を通過する放射線を指す。本明細書においてこれらに限定されないが、透過放射線は、紫外線、可視光、赤外線、又はそれらのいずれかの組み合わせであってよい。したがって、本発明の限定されない様々な実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は、第1の状態では偏光せず、第2の状態で直線偏光することによって、直線偏光された紫外線、直線偏光された可視光、又はこれらの組合せは、第2の状態において、透過される。
更に他の限定されない実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は、第1の状態で第1の吸収スペクトルを、第2の状態で第2の吸収スペクトルを有することにて、第1と第2の両状態において直線偏光することができる。
一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は、少なくとも一つの状態において、少なくとも1.5の平均吸収率を有することができる。更に一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は、少なくとも一つの状態において、少なくとも1.5〜50(又はそれ以上)におよぶ平均吸収率を有することができる。用語「吸収率」は、第1の平面内で直線偏光された放射線の吸光度の、第1の平面に直交する平面内で直線偏光された放射線の吸光度に対する、比率を指し、第1の平面は極大吸収度を有する平面として考えられる。したがって、吸収率(及び後述する平均吸収率)は、放射線の二つの直交平面偏光成分の一方がフォトクロミック二色性膜などのオブジェクト又は材料によってどのくらい強く吸収されるかを示す。
フォトクロミック二色性化合物を含むフォトクロミック二色性膜(又は層)の平均吸収率は、以下に説明するように求めることができる。たとえば、フォトクロミック二色性化合物を含むフォトクロミック二色性層の平均吸収率を求めるには、フォトクロミック二色性層を有する基板を光学ベンチ上に位置決めし、フォトクロミック二色性層はフォトクロミック二色性化合物の活性化によって直線偏光状態に入る。活性化は、飽和又は実質的に飽和状態(即ち、層の吸収特性が測定される時間間隔にわたって実質的に変化しない状態)に達するまでフォトクロミック二色性膜を紫外線に露光することによって達成される。吸収率の測定は、光学ベンチに垂直な平面内で(0°偏光面又は方向と呼ばれる)直線偏光される光と、光学ベンチに平行な平面内で(90°の偏光面又は方向と呼ばれる)直線偏光される光に対して、3秒ごとに一定時間(一般に10〜300秒)にわたって、以下のシーケンス:0°、90°、90°、0°などで行われる。フォトクロミック二色性層によって直線偏光した光の吸光度は、試験される全波長に対して各々一定の時間間隔をおいて測定され、同じ波長範囲で活性化されない吸光度(即ち、未活性化状態でのコーティングの吸収度)は、0°と90°偏光面の各々において活性化状態にあるフォトクロミック二色性層に対する吸収スペクトルを得るために引き算され、これにより、飽和又は実質的に飽和状態のコーティングのための各偏光面における平均差吸収スペクトルが得られる。
限定されない例示目的において、図4を参照するに、フォトクロミック二色性層を表す一つの偏光面において(一般に、参照番号104を付した)平均差吸収スペクトルが示されている。(一般に、参照番号107を付した)平均差吸収スペクトルは直交偏光面において同じフォトクロミック二色性層に対して求められる平均差吸収スペクトルである。
フォトクロミック二色性層に対して求められた平均差吸収スペクトルに基づいて、フォトクロミック二色性層の平均吸収率は、以下のように得られる。(図4において参照番号110で示した)λmax−vis(極大吸収波長−可視領域)+/−5nmに対応する所定の波長範囲内の各波長におけるフォトクロミック二色性膜の吸収率(ここで、λmax−visはいずれかの平面に置いて極大の平均吸収度を有していた波長)は、以下の等式(1)に従って算出される:
[数1]
等式(1)を参照すると、ARλiは、波長λiでの吸収率であり、Ab1 λiは、極大吸収率を有している偏光方向(即ち、0°又は90°)における波長λiにおける平均吸収率であり、Ab2 λiは他の偏光方向における波長λiにおける平均吸収率である。前述のように、「吸収率」は、第1の平面において直線偏光された放射線の吸収度の、第1の平面に直交する平面において直線偏光された同じ波長の放射線の吸収度に対する、比率を指し、第1の平面は極大吸収度を有する平面として考えられる。
次に、フォトクロミック二色性層に対する平均吸収率(「AR」)は、所定の波長範囲(即ち、λmax−vis(極大吸収波長−可視領域)+/−5nm)に対する個別の吸収率を平均することによって、以下の等式(2)に従って、算出される:
[数2]
等式(2)を参照すると、ARは層に対する平均吸収率であり、ARλiは、(上の等式(1)で求めたように)所定の波長範囲の波長ごとの個別の吸収率であり、niは、個々の平均化された吸収率の数である。平均吸収率を求めるこの方法の更に詳細な説明は、参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第7,256,921号の実施例(第102段38行目〜第103段15行目)に開示されている。
一部の実施形態によれば、本発明の第1/フォトクロミック二色性膜のフォトクロミック二色性化合物は各々が独立に、少なくとも部分的に整合されうる。前述したように、用語「フォトクロミック二色性」とは、その特性が計装により少なくとも検出可能なある条件下においてフォトクロミック特性と二色性特性(即ち、直線偏光)の両方の特性を表示することを意味する。用語「フォトクロミック二色性化合物」とは、その特性が計装により少なくとも検出可能なある条件下においてフォトクロミック特性と二色性特性(即ち、直線偏光)の両方の特性を表示する化合物を意味する。したがって、フォトクロミック二色性化合物は、少なくとも化学線に応答して変化するとともに、一方が他より強い少なくとも透過する放射線の二つの直交平面偏光構成素子の一つを吸収することができる少なくとも可視の放射線のために吸収スペクトルを有している。更に、本明細書に説明した従来のフォトクロミック化合物と同様、本明細書中に開示されるフォトクロミック二色性化合物も各々独立に熱可逆性である。即ち、フォトクロミック二色性化合物は各々独立に、化学線に反応して第1の状態から第2の状態に切り替わり、熱エネルギに反応して、第1の状態に戻る。一部の実施形態によれば、本明細書における使用では、用語「化合物」は、複数の素子、構成素子、成分、又は部分の結合によって形成される物質を意味し、限定されないが、複数の素子、構成素子、成分、又は部分の結合によって形成される分子及び巨大分子(たとえば、ポリマー及びオリゴマー)を含む。
限定されない例示目的において、本発明のフォトクロミック二色性膜は、第1の吸収スペクトルを有する第1の状態と、第1の吸収スペクトルとは異なる第2の吸収スペクトルを有する第2の状態と、を有し、少なくとも化学線に反応して、第1の状態から第2の状態に切り替わり、熱エネルギに反応して第1の状態に戻るように用いられうる。更に、フォトクロミック二色性化合物は、第1と第2の状態の一つ又は両方において二色性(即ち、直線偏光)であってよい。たとえば、必須ではないが、フォトクロミック二色性化合物は各々独立に、活性化状態で直線偏光され、無色又は褪色状態では偏光しない(非活性化又は未活性化状態)。本明細書における使用では、用語「活性化状態」は、フォトクロミック二色性化合物が、十分な量の化学線に露光した際、その少なくとも一部が、第1の状態から第2の状態に切り替わることを意味する。必須ではないが、更に、フォトクロミック二色性化合物は第1と第2の両状態において二色性であってよい。限定されないが、たとえば、フォトクロミック二色性化合物は各々、活性化状態と無色状態の両方において、可視光線を直線偏光することができる。更に、フォトクロミック二色性化合物は、活性化状態で可視光を直線偏光することができ、無色状態で紫外線を直線偏光することができる。
必須ではないが、本発明の様々な限定されない実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜のフォトクロミック二色性化合物は、「二色比試験方法」に沿って活性化状態で求めた平均吸収率は、少なくとも1.5でありうる。本発明の他の限定されない実施形態によれば、「二色比試験方法」に沿って活性化状態で求めた平均吸収率は、2.3より大でありうる。更に他の限定されない実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜の少なくとも部分的に整合したフォトクロミック二色性化合物の「二色比試験方法」に沿って活性化状態で求めた平均吸収率は、1.5〜50でありうる。本発明の他の限定されない実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜の少なくとも部分的に整合したフォトクロミック二色性化合物の「二色比試験方法」に沿って活性化状態で求めた平均吸収率は、4〜20、3〜30、又は2.5〜50でありうる。しかしながら、より一般的には、少なくとも部分的に整合したフォトクロミック二色性化合物の平均吸収率は、本発明のフォトクロミック二色性膜に所望の特性を付与するのに十分ないずれかの平均吸収率でありうる。一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜のフォトクロミック二色性化合物を選択することが可能な好適なフォトクロミック二色性化合物の限定されない例が以下に詳細に記載されている。
フォトクロミック二色性化合物の平均吸収率を求めるための「二色比試験方法」は、コーティングされた基板の吸収度を測定する代わりに、整合された液晶材料を含むセル集合体と特定のフォトクロミック二色性化合物を試験したことを除いては、このようなフォトクロミック二色性化合物を含むフォトクロミック二色性膜又は層の平均吸収率を求めるために使用される方法と本質的には同じである。一部の実施形態によれば、「二色比試験方法」は、本明細書の実施例に更に詳細に記載された手順によって行われる。
一部の実施形態によれば、限定されない例示目的において、セル集合体は、20μ+/−1μだけ互いに離間された2つの対向するガラス基板を含むことができる。基板は2つの対向するエッジに封止されてセルを形成する。ガラス基板の各々の内面はポリイミドコーティングで塗膜され、コーティングされた表面は少なくとも部分的に摩擦によって既に秩序化されている。フォトクロミック二色性化合物の整合はフォトクロミック二色性化合物と液晶媒体をセル集合体へ導入し、液晶媒体を摩擦されたポリイミド表面に整合させることによって達成される。液晶媒体とフォトクロミック二色性化合物とが整合されると、セル集合体は光学ベンチ(「実施例」において詳細に記載している)上に置かれ、コーティングされた基板に対する平均吸収率が、(セル集合体の非活性化吸収度が平均差吸収スペクトルを得るために活性化吸収度から引き算されることを除いて)前述した方法によって求められる。
二色性化合物は、平面偏光した二つの直交する光の成分のうち一つを優先的に吸収することが可能であるが、正味の直線偏光効果を実現するには、二色性化合物の分子を適切に位置決め又は配置することが一般的に必要である。同様に、正味の直線偏光効果を実現するには、フォトクロミック二色性化合物の分子を適切に位置決め又は配置することが一般的に必要である。即ち、活性化状態におけるフォトクロミック二色性化合物の分子の長軸が互いに対して実質的に平行になるようにフォトクロミック二色性化合物の分子を整合させることが一般的に必要である。このように、本明細書に開示されている様々な限定されない実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は少なくとも部分的に整合される。更に、フォトクロミック二色性化合物の活性化状態がこれを含む材料の二色性の状態に対応している場合、フォトクロミック二色性化合物は、活性化状態のフォトクロミック二色性化合物の分子の長軸が整合されるように、少なくとも部分的に整合されうる。本発明における使用では、用語「整合」は、別の物質、化合物又は構造と相互作用することによって適切な配列や位置に化合物を配置させることを意味する。
更に、これに限定されないが、フォトクロミック二色性膜は、複数のフォトクロミック二色性化合物を含むことができる。これに限定さないが、複数のフォトクロミック二色性化合物を組み合わせて使用する場合、フォトクロミック二色性化合物は、所望されるカラーや色相を生成するために互いを相補するように選択されうる。本発明の一部の限定されない実施形態によれば、たとえば、実質的に中性色の灰色又は実質的に中性色の茶色などの特定の活性化カラーを得るためにフォトクロミック二色性化合物を混合したものを使用することができる。たとえば、参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第5,645,767号(第12段66行目〜第13段19行目)は、中性色の灰色と茶色を得るパラメータについて記載している。これに加えて又はこれに代えて、本発明のフォトクロミック二色性膜は、相補的な直線偏光状態を有するフォトクロミック二色性化合物の混合物を含むことができる。たとえば、フォトクロミック二色性化合物は、所望の波長範囲にわたって光を偏光することが可能なフォトクロミック二色性膜を提供するために、所望の波長範囲にわたって相補的な直線偏光状態を有するように選択することができる。また、更に、達成される全体的な直線偏光を強化し又は向上させるために、同じ波長において本質的に同じ偏光状態を有する相補的なフォトクロミック二色性化合物の混合物を選択することができる。たとえば、一部の限定されない実施形態によれば、本発明のフォトクロミック二色性膜は、少なくとも部分的に整合したフォトクロミック二色性化合物の各々が相補カラー;及び/又は相補的な直線偏光状態を有している少なくとも2つの少なくとも部分的に整合したフォトクロミック二色性化合物を含むことができる。
更に、本発明の方法によって製造される多層膜の第1、第2、第3の層は各々独立に、このような層の処理、特性、又は性能の一つ以上を容易にする少なくとも一つの添加剤を更に含むことができる。このような添加剤の限定されない例としては、染料、重合禁止剤、溶媒、可塑剤、光安定剤(たとえば、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)などの紫外線吸収剤及び光安定剤)、熱安定剤、離型剤、レオロジー調整剤、レベリング剤(これに限定されないが、たとえば、界面活性剤)、フリーラジカルスカベンジャー、接着促進剤(たとえば、ヘキサンジオールジアクリレート及びカップリング剤)、整合促進剤、水平配向剤、及び運動増強添加剤が挙げられる。
本発明の一部の実施形態によれば、添加剤は独立に、0〜40重量%、0.1〜25重量%、0.5〜15重量%、0.75〜10重量%、又は1〜5重量%の量で多層膜の各層に提供されることができ、これらの量は各々、層の重さに基づいて求められ、記載した値を含み、その上限値から下限値までのいずれかを組合せた値を含む。
多層膜の第1/フォトクロミック二色性層及び/又は第2及び/又は第3の層に提供されうる染料の例としては、これらに限定されないが、特定の層に所望のカラー又は他の光学特性を付与することが可能な有機染料が挙げられる。一部の実施形態によれば、第2及び/又は第3の層は、化学線の量を下位の第1/フォトクロミック二色性層に到達しないようにするか又は最小にすることによって多層膜を保存している間にフォトクロミック二色性化合物の活性化を最小にするか又は回避するように作用する、一つ以上の染料及び/又は一つ以上の紫外線吸収剤を含む。本発明の一部の実施形態によれば、保存の間に下位の第1/フォトクロミック二色性層のフォトクロミック二色性化合物の活性化を最小にするか又は回避することで、第2及び第3の層が第1/フォトクロミック二色性層から剥離された後に、その中のフォトクロミック二色性化合物の使用寿命を延長することができる。
用語「整合促進剤」は、それが添加される材料の整合の速度及び均一性の少なくとも一つを容易にすることができる添加剤を指す。フォトクロミック二色性層中に存在しうる整合促進剤の限定されない例は、参照することによって本明細書中に具体的に組み込まれている米国特許第6,338,808号及び米国特許出願公開第2002/0039627号に記載されている。
本発明の一部の実施形態によれば、層、たとえば、第1/フォトクロミック二色性層に提供されうる水平整合剤(又は配向剤)は、フォトクロミック二色性化合物の長手軸が第1/フォトクロミック二色性層などの水平面に実質的に平行に位置合わせされるのを補助する。本発明の一部の実施形態によって使用される水平整合剤の例は、これらに限定されないが、参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第7,315,341B2号の第13段58行目から第23段2行目に開示されている。
本発明の方法により製造された多層膜の層、たとえば、第1/フォトクロミック二色性膜に提供され得る運動増強添加剤の限定されない例は、エポキシ含有化合物、有機ポリオール、及び/又は可塑剤を含む。このような運動増強添加剤のより具体的な例は、参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第6,433,043号及び米国特許公開第2003/0045612号に開示されている。
たとえば、溶融された第1/フォトクロミック二色性層及び/又は第2及び/又は第3の溶融層における本発明の多層膜の一つ以上の層を形成する際に提供されうる溶媒の例は、これらに限定されないが、様々な溶融熱可塑性組成物の固体成分を溶解させることを補助する溶媒である。これらに限定されないが、溶媒の例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその誘導体(DOWANOL(ドワノール)(登録商標)工業用溶媒として販売されている)、アセトン、プロピオン酸アミル、アニソール、ベンゼン、酢酸ブチル、シクロヘキサン、エチレングリコールのジアルキルエーテル、たとえば、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びその誘導体(CELLOSOLVE(セロソルブ)(登録商標)工業用溶媒として販売されている)、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメトキシベンゼン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピオン酸メチル、炭酸プロピレン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、2−メトキシエチルエーテル、3−プロピレングリコールメチルエーテル、及びそれらの混合物を含む。
一部の実施形態によれば、一つ以上の溶媒が、第1、第2及び/又は第3の溶融熱可塑性組成物が形成される前駆体の熱可塑性組成物内に提供される。一部の実施形態によれば、溶媒は、第1、第2、及び/又は第3の溶融熱可塑性組成物の形成より前に及び/又はこれと同時に除去することができる。一部の実施形態によれば、溶媒は、蒸留、減圧条件下の蒸留、薄膜蒸発などの当該技術分野において承認された方法によって、関連する溶融熱可塑性組成物を形成する前に、前駆体の熱可塑性組成物から除去することができる。更に一部の実施形態によれば、溶媒は、脱揮押出機などの当該技術分野において承認されている方法によって、関連する溶融熱可塑性組成物を形成すると同時に、前駆体の熱可塑性組成物から除去することができる。
限定されない更なる実施形態によれば、一つ以上の層、たとえば、第1/フォトクロミック二色性層が少なくとも一つの従来の二色性化合物を含む。好適な従来の二色性化合物の例は、これらに限定されないが、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン、キノフタロン染料、ペリレン、フタロペリン、トリフェノジオキサジン、インドロキノキサリン、イミダゾトリアジン、テトラジン、アゾ及び(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン及び(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン、ヨウ素及びヨウ素酸塩を含む。更なる限定されない実施形態によれば、二色性材料は他の材料で少なくとも一つの共有結合を形成することが可能な少なくとも一つの反応性官能基を含むことができる。一部の実施形態によれば、二色性材料が有しうるこのような官能基の例は、アルコキシ、ポリアルコキシ、アルキル、末端に少なくとも一つの重合性基を有するポリアルキル置換基、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態によれば、第2及び/又は第3の更なる層は各々独立に、一つ以上のこのような従来の二色性化合物を含むことができる。
本発明の一部の実施形態によれば、一つ以上の従来の二色性化合物は、少なくとも0.1重量%、25重量%以下、たとえば、0.5〜20重量%、又は1〜5重量%の量で、多層膜の層、たとえば、第1の層に提供され、パーセント重量は各々、層の全体重さなどの層の総量に基づいて求められる。
一部の実施形態によれば、多層膜の一つ以上の層、たとえば、第1/フォトクロミック二色性層は少なくとも一つの従来のフォトクロミック化合物を含む。本明細書における使用では、用語「従来のフォトクロミック化合物」は、熱可逆性と非熱可逆性(たとえば、化学線可逆性、たとえば、光可逆性の)フォトクロミック化合物を含む。一般に、本明細書中で限定されないが、複数の従来のフォトクロミック材料が互いに使用される場合、又は、フォトクロミック二色性化合物と共に使用する場合、所望のカラーや色相を生成するために互いを相補するために様々な材料を選択することができる。本発明の一部の限定されない実施形態によれば、たとえば、実質的に中性色の灰色又は実質的に中性色の茶色などの特定の活性化カラーを得るためにフォトクロミック化合物の混合物を使用することができる。たとえば、参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第5,645,767号(第12段66行目〜第13段19行目)は中性色の灰色と茶色を得るパラメータについて記載している。一部の実施形態によれば、第2及び/又は第3の層は各々独立に、一つ以上のこのような従来のフォトクロミック化合物を含むことができる。
本発明の一部の実施形態によれば、一つ以上の従来のフォトクロミック化合物は、0.1〜25重量%、たとえば、0.5〜20重量%、又は1〜5重量%の量で、多層膜の層に提供されることができ、パーセント重量は各々、層の全体重さに基づいて求められる。
一部の実施形態によれば、第1/フォトクロミック二色性層は、従来のフォトクロミック化合物を含まない。更に一部の実施形態によれば、多層膜の第1、第2、及び第3の層は各々、従来のフォトクロミック化合物を含まない。
本発明の、多層フィルムの第1/フォトクロミック二色性層に含むことができるフォトクロミック二色性化合物の限定されない例、及びそれに対応するフォトクロミック二色性膜としては、限定されないが、以下のものを挙げることができる。
(PCDC−1) 3−フェニル−3−(4−(4−(3−ピペリジン−4−イル−プロピル)ピペリジノ)フェニル)−13,13−ジメチル−3H,13−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−2) 3−フェニル−3−(4−(4−(3−(1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−4−イル)プロピル)ピペリジノ)フェニル)−13,13−ジメチル−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−3) 3−フェニル−3−(4−(4−(4−ブチル−フェニルカルバモイル)−ピペリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−4) 3−フェニル−3−(4−([1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−([1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−5) 3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−6) 3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4’−オクチルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−7) 3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−8) 3−フェニル−3−(4−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−9) 3−フェニル−3−(4−(4−フェニルピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4’−オクチルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−10) 3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルオキシフェニルカルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−11) 3−フェニル−3−(4−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(2−フルオロベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−12) 3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13−ヒドロキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−13) 3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−14) 3−フェニル−3−(4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−15) 3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル))フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(3−フェニルプロパ−2−イノイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−16) 3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−エチル−13−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−17) 3−フェニル−3−{4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシ]−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペラジン−1−イル)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−18) 3−フェニル−3−(4−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−フェニル)−13−エチル−13−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−{4−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ]−ピペリジン−1−イル}−)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−19) 3−フェニル−3−{4−(ピロリジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(3−フェニル−3−{4−(ピロリジン−1−イル)フェニル}−13,13−ジメチル−6−メトキシ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン−7−イル)−ピペラジン−1−イル)オキシカルボニル)フェニル)フェニル)カボニルオキシ)−3H,13H−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−20) 3−{2−メチルフェニル}−3−フェニル−5−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン、
(PCDC−21) 3−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−3−フェニル−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン、
(PCDC−22) 3−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−3−フェニル−7−(4−フェニル−(フェン−1−オキシ)カルボニル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン、
(PCDC−23) 3−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−3−フェニル−7−(N−(4−((4−ジメチルアミノ)フェニル)ジアゼニル)フェニル)カルバモイル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン、
(PCDC−24) 2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−ベンゾフロ[3’,2’:7,8]ベンゾ[b]ピラン、
(PCDC−25) 2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−ベンゾチエノ[3’,2’:7,8]ベンゾ[b]ピラン、
(PCDC−26) 7−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}−2−フェニル−2−(4−ピロリジン−1−イル−フェニル)−6−メトキシカルボニル−2H−ベンゾ[b]ピラン、
(PCDC−27) 2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−メトキシカルボニル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−28) 2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−(N−(4−ブチル−フェニル))カルバモイル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−29) 2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−9−ヒドロキシ−8−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−30) 1,3,3−トリメチル−6’−(4−エトキシカルボニル)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−31) 1,3,3−トリメチル−6’−(4−[N−(4−ブチルフェニル)カルバモイル]−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−32) 1,3,3−トリメチル−6’−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−33) 1,3,3−トリメチル−6’−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−34) 1,3,3,5,6−ペンタメチル−7’−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル))−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−35) 1,3−ジエチル−3−メチル−5−メトキシ−6’−(4−(4’−ヘキシルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−36) 1,3−ジエチル−3−メチル−5−[4−(4−ペンタデカフルオロヘプチルオキシ−フェニルカルバモイル)−ベンジルオキシ]−6’−(4−(4’−ヘキシルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−37) 2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−5−カルボメトキシ−8−(N−(4−フェニル)フェニル)カルバモイル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−38) 2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−5−カルボメトキシ−8−(N−(4−フェニル)フェニル)カルバモイル−2H−フルオアンテノ[1,2−b]ピラン、
(PCDC−39) 2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−5−カルボメトキシ−11−(4−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}フェニル)−2H−フルオアンテノ[1,2−b]ピラン、
(PCDC−40) 1−(4−カルボキシブチル)−6−(4−(4−プロピルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−3,3−ジメチル−6’−(4−エトキシカルボニル)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[(1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4’,5’:6,7]インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−41) 1−(4−カルボキシブチル)−6−(4−(4−プロピルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−3,3−ジメチル−7’−(4−エトキシカルボニル)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[(1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4’,5’:6,7]インドリン−2,3’−3H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−42) 1,3−ジエチル−3−メチル−5−(4−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}フェニル)−6’−(4−(4’−ヘキシルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[2,1−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−43) 1−ブチル−3−エチル−3−メチル−5−メトキシ−7’−(4−(4’−ヘキシルオキシ−ビフェニル−4−カルボニルオキシ)−ピペリジン−1−イル)−スピロ[インドリン−2,3’−3H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン]、
(PCDC−44) 2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2H−9−(4−(4−プロピルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−(1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4’,5’:6,7])ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−45) 3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−エチル−13−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−(4−(4−プロピルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−3H,13H−[1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4”,5”:6,7][インデノ[2’,3’:3,4]]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−46) 3−フェニル−3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−13−エチル−13−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−(4−(4−ヘキシルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−3H,13H−[1,2−ジヒドロ−9H−ジオキソラノ[4”,5”:5,6][インデノ[2’,3’:3,4]]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−47) 4−(4−((4−シクロヘキシリデン−1−エチル−2,5−ジオキソピロリン−3−イリデン)エチル)−2−チエニル)フェニル−(4−プロピル)ベンゾアート、
(PCDC−48) 4−(4−((4−アダマンタン−2−イリデン−1−(4−(4−ヘキシルフェニル)カルボニルオキシ)フェニル)−2,5−ジオキソピロリン−3−イリデン)エチル)−2−チエニル)フェニル−(4−プロピル)ベンゾアート、
(PCDC−49) 4−(4−((4−アダマンタン−2−イリデン−2,5−ジオキソ−1−(4−(4−(4−プロピルフェニル)ピペラジニル)フェニル)ピロリン−3−イリデン)エチル)−2−チエニル)フェニル(4−プロピル)ベンゾアート、
(PCDC−50) 4−(4−((4−アダマンタン−2−イリデン−2,5−ジオキソ−1−(4−(4−(4−プロピルフェニル)ピペラジニル)フェニル)ピロリン−3−イリデン)エチル)−1−メチルピロール−2−イル)フェニル(4−プロピル)ベンゾアート、
(PCDC−51) 4−(4−((4−アダマンタン−2−イリデン−2,5−ジオキソ−1−(4−{17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}フェニル)ピロリン−3−イリデン)エチル)−1−メチルピロール−2−イル)フェニル(4−プロピル)ベンゾアート、
(PCDC−52) 4−(4−メチル−5,7−ジオキソ−6−(4−(4−(4−プロピルフェニル)ピペラジニル)フェニル)スピロ[8,7a−ジヒドロチアフェノ[4,5−f]イソインドール−8,2’−アダメンタン]−2−イル)フェニル(4−プロピル)フェニルベンゾアート、
(PCDC−53) N−(4−{17−(1.5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルオキシ}フェニル−6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン)、
(PCDC−54) N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(4−(4−(4−プロピルフェニル)ピペラジニル)フェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン)、
(PCDC−55) N−フェニルエチル−6,7−ジヒドロ−2−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン)、
(PCDC−56) N−フェニルエチル−6,7−ジヒドロ−2−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル−4−シクロプロピルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン)、
(PCDC−57) N−フェニルエチル−6,7−ジヒドロ−2−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル−4−シクロプロピルスピロ(5,6−ベンゾ[b]フロジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン)、
(PCDC−58) N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−(4−(4−(4−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン)、
(PCDC−59) N−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニル−6,7−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)フェニル−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン)、
(PCDC−60) N−シアノメチル−2−(4−(6−(4−ブチルフェニル)カルボニルオキシ−(4,8−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタ−2−イル))オキシカルボニル)フェニル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン)、
(PCDC−61) 6,7−ジヒドロ−N−メトキシカルボニルメチル−4−(4−(6−(4−ブチルフェニル)カルボニルオキシ−(4,8−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタ−2−イル))オキシカルボニル)フェニル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ[b]チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ[3.3.1.1]デカン)、及び
(PCDC−62) 3−フェニル−3−(4−ピロリジニルフェニル)−13,13−ジメチル−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(4−(6−(4−(4−(4−ノニルフェニルカルボニルオキシ)フェニル)オキシカルボニル)フェノキシ)ヘキシルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン。
一部の更なる実施形態では、本発明の多層膜の第1/フォトクロミック二色性層のフォトクロミック二色性化合物(複数可)、及びそれに対応するフォトクロミック二色性膜は、以下の1つ又は複数から選択することができる。
(PCDC−a1) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド)フェニル]−13,13−ジメチル−12−ブロモ−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a2) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−10−[4−((4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ)カルボニル)フェニル]−6,13,13−トリメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a3) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ピペリジノフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルロメチル−11,13,13−トリメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a4) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド)フェニル]−5,7−ジフルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a5) 3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−ピペリジノフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−5,7−ジフルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a6) 3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−モルホリノフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−5,7−ジフルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a7) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ピペリジノフェニル)−10−[4−((4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ)カルボニル)フェニル]−12−ブロモ−5,7−ジフルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a8) 3−フェニル−3−(4−ピペリジノフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−12−ブロモ−5,7−ジフルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a9) 3−フェニル−3−(4−ピペリジノフェニル)−10−[4−((4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ)カルボニル)フェニル]−12−ブロモ−5,7−ジフルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a10) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ピペリジノフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−12−ブロモ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a11) 3,3−ビス(4−メトキシジノフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−12−ブロモ−6,7−ジメトキシ−11,13,13−トリメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a12) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルロメチル−12−ブロモ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a13) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−10,12−ビス[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a14) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−5,7−ジフルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a15) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a16) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−5,7−ジフルオロ−12−ブロモ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a17) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−モルホリノフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルオロメチル−13−メチル−13−ブチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a18) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−モルホリノフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−5,7−ジフルオロ−12−ブロモ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a19) 3−フェニル−3−(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルオロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a20) 3−フェニル−3−(4−モルホリノフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルオロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a21) 3,3−ビス(4−フルオロフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルオロメチル−12−ブロモ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a22) 3,3−ビス(4−フルオロフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルオロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a23) 3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−ブトキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルオロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a24) 3−(4−フルオロフェニル)−13,13−ジメチル−3−(4−モルホリノフェニル)−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a25) 3−(4−ブトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a26) 3−(4−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3−フェニル−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a27) 3−(4−ブトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−(((トランス,トランス−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−イル)オキシ)カルボニル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a28) 3−(4−フルオロフェニル)−13−ヒドロキシ−13−メチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3−(4−ブトキシフェニル)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロインデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a29) 3−(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a30) 3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−6−トリフルロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a31) 3−(4−モルホリノフェニル)−3−フェニル−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a32) 3−(4−モルホリノフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a40) 12−ブロモ−3−(4−ブトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−((4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニル)オキシ)ベンズアミド)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a41) 3−(4−ブトキシフェニル)−5,7−ジクロロ−11−メトキシ−3−(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a42) 3−(4−ブトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−((4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニル)オキシ)ベンズアミド)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a43) 5,7−ジクロロ−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−11−メトキシ−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a44) 6,8−ジクロロ−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−11−メトキシ−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a45) 3−(4−ブトキシフェニル)−5,8−ジフルオロ−3−(4−フルオロフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a46) 3−(4−ブトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニル)ピペラジン−1−イル)−6−(トリフルオロメチル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a47) 3−(4−モルホリノフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−10,7−ビス[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)フェニル]−5−フルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a48) 3−(4−モルホリノフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a49) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a50) 3−(4−モルホリノフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−10−[4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンズアミド)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a51) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−10−(2−メチル−4−(トランス−4−((4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニル−4−イルオキシ)カルボニル)シクロヘキサンカルボキサミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a52) 3−(4−(4−(4−ブチルフェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニル−4−イルカルボキサミド)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a53) 3−(4−(4−(4−ブチルフェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−10−(2−メチル−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニル−4−イルカルボキサミド)フェニル)−7−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a54) 3−(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−7,10−ビス(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニル−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3−フェニル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a55) 3−p−トリル−3−(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−13,13−ジメチル−7−(4’−(トランス,トランス−4’−ペンチルビ(シクロヘキサン−4−)カルボニルオキシ)ビフェニルカルボニルオキシ)−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニル−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a56) 10−(4−(((3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−17−((R)−6−メチルヘプタン−2−イル)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシ)カルボニル)ピペラジン−1−イル)−3−(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−3−(4−モルホリノフェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a57) 6−メトキシ−3−(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−3−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニル−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−a58) 6−メトキシ−3−(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−3−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)−7−(4’−(トランス,トランス−4’−ペンチルビ(シクロヘキサン−4−)カルボニルオキシ)ビフェニルカルボニルオキシ)−10−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニル−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、及び
(PCDC−a59) 6−メトキシ−3−(4−メトキシフェニル)−13,13−ジメチル−3−(4−((S)−2−メチルブトキシ)フェニル)−10−(4−(((3R,3aS,6S,6aS)−6−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニルカルボニルオキシ)ヘキサヒドロフロ[3,2−b]フラン−3−イルオキシ)カルボニル)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン。
一部の更なる実施形態では、本発明の多層膜の第1/フォトクロミック二色性層のフォトクロミック二色性化合物(複数可)、及びそれに対応するフォトクロミック二色性膜は、以下の1つ又は複数から選択することができる。
(PCDC−b1) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4’−((4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾイル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b2) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−(4’−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)ベンゾイルオキシ))−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b3) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4’−((4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾイル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b4) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4−(4’−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)ベンゾイルオキシ))−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b5) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4’−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ))−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b6) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−((トランス,トランス)−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b7) 3,3−ビス(4−フルオロフェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4’−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b8) 3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4’−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b9) 3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−モルホリノフェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4’−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b10) 3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−3−フェニル−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(4’−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾイルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボニルオキシ)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b11) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(3−フェニルプロピオロイルオキシ)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b12) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−13−メトキシ−13−エチル−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b13) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6,13−ジメトキシ−7−(4−(4−(トランス,トランス−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1イル)−13−トリフルオロメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b14) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−(トランス,トランス−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1イル)−13−ヒドロキシ−13−トリフルオロメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b15) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6,7−ジ(4−(4−(トランス,トランス−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1イル)−13−メトキシ−13−トリフルオロメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b16) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−((トランス,トランス)−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−13−フルオロ−13−トリフルオロメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b17) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−7−(2−メチル−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−11−トリフルオロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b18) 3−(4−ブトキシフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−7−(2−メチル−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−11−トリフルオロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b19) 3−(4−(N−モルホリニル)フェニル)−3−フェニル−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジフルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b20) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジフルオロ−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b21) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b22) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b23) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド)フェニル)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b24) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド)ベンズアミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b25) 3−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b26) 3−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド)フェニル)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b27) 3−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(4−((トランス,トランス)−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボキサミド)ベンズアミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b28) 3−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(トランス−4−(((4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)オキシ)カルボニル)シクロヘキサンカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b29) 3−(4−N−モルホリニルフェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b30) 3−(4−N−モルホリノフェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(トランス−4−(((4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)オキシ)カルボニル)シクロヘキサンカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b31) 3−(4−N−モルホリノフェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b32) 3−(4−N−モルホリノフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(2−メチル−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b33) 3−(4−N−モルホリノフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b34) 3−フェニル−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b35) 3,3−ビス(4−フルオロフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b36) 3,3−ビス(4−フルオロフェニル)−6−メトキシ−7−(トランス−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルオキシカルボニル)シクロヘキサンカルボニルオキシ)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b37) 3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(トランス−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルオキシカルボニル)シクロヘキサンカルボニルオキシ)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b38) 3−(4−(N−モルホリノ)フェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(トランス−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルオキシカルボニル)シクロヘキサンカルボニルオキシ)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b39) 3−(4−(N−モルホリノ)フェニル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(4−(4−((トランス,トランス)−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ベンゾイルオキシ)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b40) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−((トランス,トランス)−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ベンゾイルオキシ)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b41) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−((トランス,トランス)−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ベンゾイルオキシ)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b42) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−6−メトキシ−7−(トランス−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルオキシカルボニル)シクロヘキサンカルボニルオキシ)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b43) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6,13−ジメトキシ−7−(トランス−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルオキシカルボニル)シクロヘキサンカルボニルオキシ)−13−エチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b44) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−(トランス,トランス−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b45) 3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−(トランス,トランス−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b46) 3,3−ビス(4−フルオロフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−(トランス,トランス−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b47) 3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−N−モルホリノフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−(トランス,トランス−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b48) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−(トランス−4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルオキシカルボニル)シクロヘキサンカルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b49) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−(トランス−4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−フェニルオキシカルボニル)−シクロヘキサンカルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−10,12−ジ(トリフルオロメチル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b50) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−7−(4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシカルボニル)フェニル)−11−メチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b51) 3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イル)フェニル)−6−メチル−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−11−トリフルオロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b52) 3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−6−メチル−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イルカルボキサミド)フェニル)−11−トリフルオロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b53) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−メトキシ−7−(4−(4−(トランス,トランス−4’−ペンチル−[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−4−カルボニルオキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)−11−トリフルオロメチル−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、
(PCDC−b54) 3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)−3−フェニル−6−メトキシ−7−(4−((4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェノキシ)カルボニル)フェニルオキシカルボニル)−13,13−ジメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、及び
(PCDC−b55) 3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−7−(4−([1,1’:4’,1”−テルフェニル]−4−イルカルバモイル)ピペラジン−1−イル)−6,13−ジメトキシ−13−トリフルオロメチル−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン。
より一般的には、多層膜、即ち、本発明によって製造されるフォトクロミック二色性膜の第1/フォトクロミック二色性層に含まれるフォトクロミック二色性化合物は、(a)たとえば、ピラン、オキサジン、及びフルギドから選択することができる少なくとも一つのフォトクロミック基(PC)と、(b)フォトクロミック基に取り付けられた少なくとも一つの延命剤又は延命基と、を含む。このようなフォトクロミック二色性化合物は、その引用部分が参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第7,342,112B1号の第5段35行目〜第14段54行目、及び表1に詳細に記載されている。他の好適なフォトクロミック化合物及びこれを製造するための反応スキームは、その引用部分が参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第7,342,112B1号の第23段37行目〜第78段13行目に見つけることができる。
フォトクロミック二色性化合物のフォトクロミック(PC)基を選択可能な熱可逆性フォトクロミックピランの限定されない例としては、ベンゾピラン、ナフトピラン、たとえば、米国特許第5,645,767号に開示されているナフト[1,2−b]ピラン、ナフト[2,1−b]ピラン、インデノ縮合ナフトピラン、及び、参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第5,723,072号、5,698,141号、6,153,126号、及び6,022,497号に開示されている複素環式縮合ナフトピラン;スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピランなどのスピロフルオレノ[1,2−b]ピラン;フェナントロピラン;キノピラン;フルオロアンテノピラン;スピロピラン、たとえば、スピロ(ベンジンドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)キノピラン及びスピロ(インドリン)ピランが挙げられる。ナフトピラン及び相補的な有機フォトクロミック物質のより具体的な例としては、参照することによって本明細書中に具体的に組み込まれている米国特許第5,658,501号に記載されている物が挙げられる。スピロ(インドリン)ピランは、本明細書において参照することによって具体的に組み込まれている、GlennH.Brown(グレン・H・ブラウン)編集、”Techniques in Chemistry”と題されたテキスト、第III巻、「フォトクロミズム」、第3章、John Wiley and Sons,Inc.(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社)、ニューヨーク、1971年、にも記載されている。
PC(フォトクロミック)基が選択されうるフォトクロミックオキサジンの限定されない例としては、ベンゾオキサジン、ナフトオキサジン、及びスピロオキサジン、たとえば、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンジンドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンジンドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ベンゾオキサジン、スピロ(インドリン)フルオロアンテンオキサジン、及びスピロ(インドリン)キノオキサジンが挙げられる。PCが選択されうるフォトクロミックフルギドの限定されない例としては、フルギミド、及び(参照することによって本明細書中に具体的に組み込まれている)米国特許第4,931,220号に開示されている3−フリル及び3−チエニルフルギド及びフルギミド、ならびに前述のフォトクロミック材料/化合物のいずれかの混合物が挙げられる。
一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は少なくとも二つのフォトクロミック化合物(PC)を含み、ここで、PCは個別のPC上の連結置換基を介して互いに連結することができる。たとえば、PCは、ホスト材料と相溶性があるように適合される重合性フォトクロミック基又はフォトクロミック基(「相溶性フォトクロミック基」)であってよい。PCを選択することができ、本発明の様々な限定されない実施形態に関連して有用な重合性フォトクロミック基の限定されない例は、参照することによって本明細書中に具体的に組み込まれている米国特許第6,113,814号に開示されている。PCを選択することができ、本発明の様々な限定されない実施形態に関連して有用な相溶性フォトクロミック基の限定されない例は、参照することによって本明細書中に具体的に組み込まれている米国特許第6,555,028号に開示されている。
他の適切なフォトクロミック基及び相補性フォトクロミック基については、参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第6,080,338号第2段21行目〜第14段43行目;米国特許第6,136,968号第2段43行目〜第20段67行目;米国特許第6,296,785号第2段47行目〜第31段5行目;米国特許第6,348,604号第3段26行目〜第17段15行目;米国特許第6,353,102号第1段62行目〜第11段64行目;及び米国特許第6,630,597号第2段16行目〜第16段23行目に記載されている。
本発明の一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は、少なくとも一つの第1のフォトクロミック部分(又は第1のPC部分/基)を含み、及び各フォトクロミック部分は、独立に、インデノ縮合ナフトピラン、ナフト[1,2−b]ピラン、ナフト[2,1−b]ピラン、スピロフルオレノ[1,2−b]ピラン、フェナントロピラン、キノリノピラン、フルオロアンテノピラン、スピロピラン、ベンゾオキサジン、ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(インドリン)フルオランテンオキサジン、スピロ(インドリン)キノオキサジン、フルギド、フルギミド、ジアリールエテン、ジアリールアルキルエテン、ジアリールアルケニルエテン、熱可逆性フォトクロミック化合物、及び非熱可逆性フォトクロミック化合物、及びそれらの混合物から選択される。
フォトクロミック二色性化合物は、フォトクロミック二色性膜が所望のレベルのフォトクロミックな活性度又は所望のレベルの二色性活性度などの所望される光学特性を提供できる量や比率で、第1の層及び関連するフォトクロミック二色性膜内に含まれうる。一部の実施形態によれば、第1の層及び関連するフォトクロミック二色性膜内に含まれるフォトクロミック二色性化合物の具体的な量は、少なくとも所望の効果を得られるだけの量であればよい。限定されない例示目的において、たとえば、第1の層及び関連するフォトクロミック二色性膜内に含まれるフォトクロミック二色性化合物の量は、これらに限定されないが、特定のフォトクロミック二色性化合物の吸収特性、フォトクロミックな活性化の際の特定のフォトクロミック二色性化合物のカラーや強度、及び二色性活性化の際の特定のフォトクロミック二色性化合物の二色性活性度のレベルなどのさまざまな要因に応じて変化しうる。
一部の実施形態によれば、本発明のフォトクロミック二色性膜は、一つ以上のフォトクロミック二色性化合物を含むことができ、その量は、フォトクロミック二色性膜の全体重さに基づいて、0.01〜40重量%、又は0.05〜15、又は0.1〜5重量%である。
本発明の第1の層及び関連するフォトクロミック二色性膜のフォトクロミック二色性化合物は、当該技術分野において承認されている方法で製造することができる。一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性化合物は、参照することによって本明細書中に組み込まれている米国特許第7,256,921号の第35段28行目〜第66段60行目までの記載に基づいて製造することができる。
一部の実施形態によれば、第1の層及び関連するフォトクロミック二色性膜は、少なくとも部分的に秩序化されたマトリックス相;及び少なくとも部分的に秩序化されたゲスト相を含む相分離型ポリマーを更に含む。フォトクロミック二色性膜のゲスト相は、フォトクロミック二色性化合物を含み、フォトクロミック二色性化合物は、上述のフォトクロミック二色性層のゲスト相の少なくとも一部に少なくとも部分的に整合されている。
本発明の更なる実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は、少なくとも部分的に秩序化された異方性材料とポリマー材料を含む相互貫入型ポリマーネットワークを更に含む。フォトクロミック二色性膜の異方性材料は、フォトクロミック二色性化合物を含み、フォトクロミック二色性化合物は、少なくとも部分的に、フォトクロミック二色性層の異方性物質の少なくとも一部と少なくとも部分的に整合される。
本発明の一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は異方性材料を更に含む。本明細書における使用では、用語「異方性」は、少なくとも一つの異なる方向で測定した際に値が異なる少なくとも一つの特性を有することを意味する。したがって、「異方性材料」とは、少なくとも一つの異なる方向で測定した際に値が異なる少なくとも一つの特性を有する材料である。フォトクロミック二色性膜に含まれる異方性材料の例は、これらに限定されないが、本明細書に更に記載される液晶材料を含む。
一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜の異方性材料は液晶材料を含む。液晶材料のクラスは、これらに限定されないが、液晶オリゴマー、液晶ポリマー、メソゲン化合物、及びこれらの組み合わせを含む。
液晶材料は、通常、その構造から、一般的な(共通の)方向をとるように秩序化され又は整合されることが可能である。より具体的には、液晶分子は、棒状又は円盤状構造、強固な長軸、及び強力な双極子を有しているため、分子の長軸が共通軸に実質的に平行な配向をとるように外力や他の構造と相互作用することによって、秩序化され又は整合されることが可能となる。たとえば、液晶材料の分子は、磁場、電場、直線偏光赤外線、直線偏光紫外線、直線偏光可視光、又は剪断力に整合させることが可能である。また、液晶分子は、配向した面に整合させることも可能である。たとえば、液晶分子は、摩擦、溝加工、又は光配向法によって配向された面に塗布され、その後、液晶分子の各々の長軸は、面の一般的な配向方向に実質的に平行な配向をとるように整合することが可能である。異方性材料としての使用に好適な液晶材料の例として、これらに限定されないが、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、液晶単量体、及び液晶メソゲンが挙げられる。本明細書における使用では、用語「プレポリマー」は部分的に重合した材料を意味する。
異方性材料を選択されうる液晶ポリマー及びプレポリマーは、これらに限定されないが、主鎖型液晶ポリマー及びプレポリマーと側鎖型液晶ポリマー及びプレポリマーを含む。主鎖型液晶ポリマー及びプレポリマーの場合、棒状又は円盤状液晶性メソゲンが主としてポリマー骨格内に配置される。側鎖型液晶ポリマー及びプレポリマーの場合、棒状又は円盤状液晶性メソゲンが主としてポリマー側鎖内に配置される。
異方性材料を選択されうる液晶ポリマー及びプレポリマーの例としては、これらに限定されないが、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、水酸化物、イソシアネート、ブロックイソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテル、及びこれらの混合物から選択される官能基を有する主鎖型及び側鎖型ポリマー及びプレポリマーが挙げられる。異方性材料が選択されうる光架橋性液晶ポリマーやプレポリマーの例としては、これらに限定されないが、アクリレート、メタクリレート、アルキン、エポキシド、チオール及びこれらの混合物から選択される官能基を有するものが挙げられる。
異方性材料が選択されうる液晶メソゲンは、これらに限定されないが、サーモトロピック液晶メソゲン及びリオトロピック液晶メソゲンを含む。第1及び第2の整合層に独立に含まれうる液晶メソゲンの更なるクラスは、これらに限定されないが、コルマチック型(又は棒状)液晶メソゲン及びディスク型(又は円盤状)液晶メソゲンを含む。
一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は、各々、参照することにより本明細書中に組み込まれている米国特許第7,910,019B2号の第43〜90段、表1に開示されている、(i)単量体メソゲン化合物から少なくとも部分的に製造される液晶オリゴマー及び/又はポリマー;及び/又は、(ii)メソゲン化合物を含む。
本発明の一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜のフォトクロミック二色性化合物は、それ自体が部分的に秩序化されるフォトクロミック二色性膜の異方性材料と相互作用することによって少なくとも部分的に整合される。限定されない例示目的において、フォトクロミック二色性化合物の少なくとも一部は、二色性状態のフォトクロミック二色性化合物の長軸がフォトクロミック二色性膜の異方性材料の一般的な方向に本質的に平行になるように整合することができる。更に、必要条件ではないが、フォトクロミック二色性化合物は、フォトクロミック二色性膜の少なくとも部分的に秩序化された異方性材料の少なくとも一部に結合されるか又はこれに反応することができる。
フォトクロミック二色性膜の異方性材料を秩序化する又はこれに秩序を導入する方法は、これらに限定されないが、磁場、電場、直線偏光紫外線、直線偏光赤外線、直線偏光可視光、及び剪断力の少なくとも一つに異方性材料を露光させることを含む。
異方性材料の少なくとも一部を秩序づけることによって、フォトクロミック二色性膜の異方性材料に含有されているか又はこれに連結しているフォトクロミック二色性化合物の少なくとも一部に少なくとも部分的に整合することが可能になる。必須ではないが、フォトクロミック二色性化合物が活性化状態にある間、フォトクロミック二色性化合物を少なくとも部分的に整合させることができる。一部の実施形態によれば、異方性材料の秩序化及び/又はフォトクロミック二色性化合物の整合は各々独立に、第1の層及び関連するフォトクロミック二色性膜の形成後、形成中、形成前に行うことができる。
フォトクロミック二色性化合物及び関連する異方性材料は各々独立に、第1/フォトクロミック二色性層が形成されるときに整合され秩序化されうる。一部の実施形態によれば、第1/フォトクロミック二色性層は、形成されている間(その融点未満に冷却される前に)及び/又は形成された後(その融点未満に冷却された後)に、一軸延伸又は二軸延伸などの延伸を受けることができる。一部の実施形態によれば、回転ロールと連続ベルトによって付与される剪断力によってフォトクロミック二色性化合物及び関連する異方性材料が整合されうる。更なる実施形態によれば、溶融押出物が回転ロールと接触する前に垂直降下する際に化学線へ露光されることによってフォトクロミック二色性化合物が活性化状態へ変換され、活性化状態にある間に同化合物の少なくとも部分的な整合が達成されうる。
一部の実施形態によれば、異方性材料は、フォトクロミック二色性化合物を所望の速度で第1の状態から第2の状態に切り替えるために用いることができる。一般に、従来のフォトクロミック化合物は、各々が特徴的な吸収スペクトルを有する異性体の形態において、化学線に反応して、一つの異性体形状から別の異性体形状への変換を受けることができる。本発明の第1/フォトクロミック二色性層及び関連するフォトクロミック二色性膜のフォトクロミック二色性化合物も、同様の異性体の変換を受けることができる。いかなる理論にもとらわれる意図はないが、この異性体変換(及び逆変換)が起こる速さや速度は、一部において、特定のフォトクロミック二色性化合物を取り巻く局所的な環境(「ホスト」と呼ばれうる)の特性に依存すると考えられる。これに限定されないが、フォトクロミック二色性化合物の変換速度は、一部において、各々のホストの鎖セグメントのフレキシビリティに依存し、より具体的には、手近な証拠によると、各ホストの鎖セグメントのモビリティ(可動性)や粘度に依存すると、考えられている。したがって、なんらかの理論にとらわれる意図はないが、フォトクロミック二色性化合物の変換速度は、堅牢又は剛性の鎖セグメントを有するホストより、フレキシブルな鎖セグメントを有するホストにおける方が一般的に速いと考えられている。このように、一部の実施形態によれば、異方性材料がホストの場合、異方性材料は、フォトクロミック二色性化合物を様々な異性体状態の間で所望の速度において変換させるように用いることができる。たとえば、異方性材料は、異方性材料の分子量を調整することによって用いることができる。
一部の実施形態によれば、第1/フォトクロミック二色性層及び関連するフォトクロミック二色性膜のフォトクロミック二色性化合物は、液晶材料などの相対的にフレキシブルな鎖セグメントを有する異方性材料により封入又はオーバーコートすることができ、その後、相対的に剛性の鎖セグメントを有する他の材料へ拡散分布させることができる。封入された異方性材料は少なくとも部分的に秩序を持たせることができる。たとえば、封入されたフォトクロミック二色性化合物は、相対的に剛性の鎖セグメントを有する液晶ポリマーへ拡散分布させることができ、その後、第1の溶融熱可塑性組成物中へ混合物が取り入れられることができる。
本発明のフォトクロミック二色性膜は数多くのフォトクロミック二色性物品、又はその一部を製造するために使用することができる。このようなフォトクロミック二色性物品の例としては、これらに限定されないが、眼科用物品又は素子、ディスプレイ物品又は素子、窓、鏡、シュリンクラップなどの包装材料、及びアクティブ及びパッシブ液晶セル物品又は素子が挙げられる。
フォトクロミック二色性物品は、これらに限定されないが、積層法、膜インサート成形法、及びこれらの組み合わせを含む方法により、本発明のフォトクロミック二色性膜を用いて製造することができる。一部の実施形態によれば、積層方法は、基板の一つ以上の表面へ一つ以上のフォトクロミック二色性膜を塗布することにて、フォトクロミック二色性物品の形成を得る。一つ以上の接着剤層は、必要に応じて、基板とフォトクロミック二色性膜間に提供されうる。一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性膜は、高温及び/又は高圧を印加することによって基板に付着(蒸着)させることができる。一部の実施形態によれば、膜インサート成形法は、金型に一つ以上のフォトクロミック二色性膜をインサートし、金型に熱可塑性及び/又は熱硬化性組成物を導入(たとえば、注入)し、金型から成形されたフォトクロミック二色性物品を除去することを含む。フォトクロミック二色性膜は、金型の内面に当接し;及び/又は金型の内部で浮遊するように配置することができる。
眼科用物品又は素子の例としては、これらに限定されないが、二焦点レンズ、三焦点レンズ及び累進レンズなどのセグメント化又は非セグメント化された多焦点レンズであってよい単焦点又は多焦点レンズを含む矯正及び非矯正レンズ、ならびに、これらに限定されないが、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、保護レンズ、及び保護バイザーなどのバイザーを含む、(美容目的や他の目的で)視力を補正、保護、又は高めるために使用される他の素子が挙げられる。
ディスプレイ物品、素子、及びデバイスの例としては、これらに限定されないが、スクリーン、モニタ、及び、これらに限定されないが、セキュリティマーク及び認証マークを含むセキュリティ素子が挙げられる。
窓の例としては、これらに限定されないが、自動車及び航空機の透明部分、フィルタ、シャッタ、及び光スイッチが挙げられる。
一部の実施形態によれば、フォトクロミック二色性物品はセキュリティ素子であってもよい。これらに限定されないが、セキュリティ素子の例としては、切符、バッジ、身分証明書や会員カード、デビットカードなどのアクセスカードやパス;振出手形、小切手、債券、約束手形、預金証書、株券などの流通証券及び非流通証券;通貨、免許証、身分証明書カード、ベネフィットカード、ビザ、パスポート、公式証明書、権利証書などの政府発行文書;ソフトウェア、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、電化製品、家電、スポーツ用品、車などの消費財;クレジットカード;及び商品タグ、ラベル及びパッケージなどの基板の少なくとも一部に連結するセキュリティマークや認証マークが挙げられる。
更なる実施形態によれば、セキュリティ素子は、透明基板と反射性基板から選択される基板の少なくとも一部に連結することができる。或いは、意図される用途に対して基板が無反射性あるいは反射性が十分でない場合、反射性基板が必要とされる更なる実施形態によれば、セキュリティマークを塗布する前に、反射材料を基板の少なくとも一部に塗布することができる。たとえば、反射アルミニウムコーティングは、セキュリティ素子をその上に形成する前に、基板の少なくとも一部に塗布することができる。これに加えて又はこれに代えて、セキュリティ素子は無着色基板、有着色基板、フォトクロミック基板、有着色フォトクロミック基板、直線偏光、円偏光基板、及び楕円偏光基板から選択される基板の少なくとも一部に連結することができる。
更に、上述の実施形態によるセキュリティ素子は、米国特許第6,641,874号に記載されるような視野角依存性特性を有する多層反射セキュリティ素子を形成するために一つ以上の他のコーティング又は膜又はシートを含むことができる。
本発明は、以下の実施例においてより具体的に記載されているが、これらの実施例は例示のみを目的としており、数多くの変更や変形が可能であることは当業者にとって明らかである。特に断りがなければ、全ての部は重量部であり、全ての%は重量%である。
パート1は、多層の共押出膜の製造について記載している。実施例1及び2はフォトクロミック二色性染料を含む多層膜について記載している。実施例3は外層がコア層から除去された多層膜について記載している。パート2は以下に記載した二色性比率試験方法に基づいた実施例1及び2の多層膜の二色性試験結果について記載している。
パート1:共押出多層膜の製造
(実施例1)
この実施例は、フォトクロミック二色性染料を含むULTRAMID B33L(ウルトラミッド)(登録商標)(BASF(バスフ)社から購入した「潤滑ポリアミド6」)とPEBAX(ペバックス)(登録商標))5533 SA 01(Arkema(アルケマ)社から購入したポリエーテルブロックアミド材料)の共押出膜の製造を記載している。共押出膜は以下のような構成であった:外層:コア層:外層=ULTRAMID B33L:PEBAX 5533 SA 01:ULTRAMID B33L。
PEBAX 5533 SA 01のバッチを4重量%のフォトクロミック二色性染料とブレンドすることによって調整した。染料組成物は、以下の材料で構成される:
84%の3−(4−(4−メトキシフェニル)ピペラジニルフェニル)−3−フェニル−6メトキシ−7−(4−(4’−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル)ベンゾイロキシ))−13−エチル−13−メトキシ−3,13−ジヒドロ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピラン、13%の2,2−ジフェニル−5,6−ビス(メトキシカルボニル)−8−[4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアミド)フェニル]−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、3%の2,2−ジ(4−フルオロフェニル)−5−((1−(メトキシカルボノイル)メチロキシ)カルボニル)−6−メチル−8−[4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾキシカルボニル)フェニル]−2H−ナフト[1,2−b]ピラン。4%の染料をブレンドしたPEBAX 5533 SA 01は、COLLIN(コリン)(登録商標)型E16Tの単軸押出機を用いて押出された。押出機温度は以下の通りであった:ゾーン1=170℃、ゾーン2=180℃、ゾーン3=190℃。ULTRAMID B33Lは、第2のCOLLIN型E16T単軸押出機を用いて押出した:すべてのゾーンの温度が260℃であった。2台の押出機は、溶融ポリマーを、COLLIN TEACH−LINE(コリンティーチ−ライン)(登録商標)の共押出ブロックとダイへ、ダイ温度230℃で、同時に送った。得られた膜をCOLLIN型CR 72−Tカレンダへキャストした:温度は17℃であった。ポリマーフィード速度及びカレンダロール速度は、以下のおおよその膜厚比:ULTRAMID B33L:PEBAX 5533 SA 01:ULTRAMID B33L=20μm:200μm:20μmを維持するために、変化させた。次に、得られた膜は、COLLIN MDO−ATとMDO−BTの加熱されたロールスタンドを使用して延伸した。延伸温度は、アニーリング(焼鈍)温度130℃で70℃であった。延伸前ローラ速度はカレンダ速度と一致するように調整した。延伸後ローラ速度は、膜をアニール延伸倍率が元の長さの3倍(3X)、4倍(4X)、及び5倍(5X)になるように配向するために変化させた。
(実施例2)
この実施例は、フォトクロミック二色性染料を含むEVATANE(エヴァタン)(登録商標)20−20(アルケマ社から購入したエチレンと酢酸ビニルとのランダム共重合体)とPEBAX(登録商標)5533 SA 01(アルケマ社から購入したポリエーテルブロックアミド材料)の共押出膜の製造を記載している。この共押出膜の構成は、外層:コア層:外層=EVATANE20−20:PEBAX5533 SA 01:EVATANE20−20であった。
PEBAX5533 SA 01は、溶融ポンプを有するCOLLIN型ZK25,42Dの二軸押出機を用いて押出した。最高温度210℃を有する温度傾斜プロファイルを使用した。2,2−ジ(4−フルオロフェニル)−5−((1−(メトキシカルボノイル)メチロキシ)カルボニル)−6−メチル−8−[4−(4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾキシカルボニル)フェニル]−2H−ナフト)[1,2−b]ピランのフォトクロミック二色性染料を二軸押出機上のポリマーフィード領域へ直接添加した。EVATANE20−20の外層を0.3cm3/Uの溶融ポンプを有するCOLLIN型E16Tの単軸押出機を使用して押出した。最高温度200℃を有する温度傾斜プロファイルを使用した。2台の押出機は、溶融ポンプを介して、COLLINティーチラインの共押出ブロックとダイへ同時に送った。得られた膜をCOLLIN型CR 72−Tのカレンダへキャストした。ポリマーフィード速度とカレンダロール速度を、以下のおおよその膜厚比:EVATANE20−20:PEBAX5533 SA 01:EVATANE20−20=40μm:200μm:40μmを維持するために変化させた。
その後、得られた膜を、加熱されたロールスタンドCOLLIN MDO−ATとMDO−BTを使用してインラインで延伸した。延伸温度は、アニール温度50℃で50℃であった。延伸前ローラ速度をカレンダ速度に合わせて変化させ、延伸後ローラ速度を、アニール延伸倍率がもとの長さの5倍(5X)になるように膜を配向するために調整された。
次に、延伸膜を、COLLIN E−300P型のプラテンプレス上のマイラーPETシート間で熱圧着した。膜は、室温でプレス内のマイラーシート間に介在させた。膜積層体はプラテンプレスで印加した40バールの圧力で共挟持し、100℃まで加熱し、プレスは挟持力のリリース前に室温まで冷却した。熱圧着サイクルは、一般に押出によって引き起こされる光学的欠陥レベルが減少した共押出ラミネートを製造した。マイラーシートは、以下で述べる更なる分析を行う前に、共押出した膜から剥離した。
(実施例3)
この実施例は、着脱可能な外層を有するEVATANE20−20とPEBAX 5533 SA 01の共押出膜の製造について記載している。共押出膜の構成は、外層:コア層:外層=EVATANE 20−20:PEBAX5533 SA 01:EVATANE 20−20であった。
PEBAX 5533 SA 01は、最高温度216℃を有する温度傾斜プロファイルを採用して、COLLIN45mmの単軸押出機を使用して、押出した。EVATANE20−20の外層は、最高温度200℃を有する温度傾斜プロファイルを採用して、COLLIN25mmの単軸押出機を使用して、押出した。2台の押出機は同時に溶融ポリマーを共押出ブロックとダイへ送った。
得られた共押出膜を回転金属冷却ロールと張力下における艶出し連続金属ベルトからなるカレンダへ送り、一定速度で維持した。カレンダの冷却ロール温度を20℃に維持した。スリーブと冷却ロールとの間の狭持力を100N(ニュートン)に維持し、スリーブの張力を70Nに維持した。おおよその膜厚は、PEBAX5533 SA 01が200μm、EVATANE20−20の各側面の厚さが20μmであった。
カレンダ上で形成して冷却した後、膜をフィルム巻取り機により回収した。外層EVATANE20−20膜をPEBAX 5533 SA 01の内層から剥離して簡単に除去した。PEBAXの内層には元の3層膜に比べて視認可能な欠陥が殆ど観察されず光学的品質が高かったことに注目された。
パート2:フォトクロミック二色性膜の試験手順
二色比試験方法
以下のように、「二色比試験方法」では、光学ベンチを使用して、実施例1及び2で製造したサンプルの各々について平均二色比(DR)を測定した。試験前、サンプルの各々を少なくとも7×4cmの切片にカットしアルミフレームクランプで保持した。狭持したサンプルを、スペクトロニクス社(Spectronics Corp.)製の4個のUVチューブBLE−7900Bのバンクから15cm離したところで活性化放射線に5分間露光した。その後、サンプルを、ゼネラルエレクトリック社(General Electric)製の4個のUVなしチューブのバンクから15cm離れたところに30分間置いた。最後に、暗所で少なくとも30分間保持した。その後、狭持したサンプルを、光学ベンチ上のバネ荷重ホルダに入れた。光学ベンチは、迷光がデータ収集プロセスを干渉しないようにデータ収集中に一時的に閉じたMelles Griot(メレスグリオ)04 IES 211の高速コンピュータ制御シャッタを搭載した、活性化光源であるOriel(オリエル)モデル66011 300W(ワット)のキセノン(Xenon)アークランプと、短波長放射線を除去したSchott(ショット)3mmKG−2帯域フィルタと、光強度減衰用のニュートラルデンシティフィルタ(中性フィルタ)と、サンプルの表面に対して入射角300°で位置決めされたビーム平行化集光レンズと、を備えていた。
反応測定を監視するために使用された光ファイバケーブルを備えたオーシャンオプティクス社(Ocean Optics)製のHL−2000タングステンハロゲンランプをサンプルの表面に垂直に配置した。光源の直線偏光は、ケーブルの終端部からコンピュータ駆動のモータ式回転ステージ(ポリテック社(Polytech,Pl)製のモデルM−061−PD)に保持されたMoxtek(モクステック社)製Proflux(プロフラックス)偏光子へ光を通過させることによって行った。監視ビームは、一方の偏光面(0°)が光ベンチテーブルの面に垂直であり、第2の偏光面(90°)が光ベンチテーブルの面に平行になるようにセットした。サンプルをラボ空調システムによって保持された室温(73°F±5°F)で空気中に放置した。
測定を行うために、サンプルを5〜15分間UVAに露光してフォトクロミック二色性化合物を活性化させた。サンプルごとに使用される照射力を表1に示した。各試験の前に、露光を確認するために、検出器システム(モデルSED033検出器、Bフィルタ、及び拡散器)を有する国際光研究放射計(モデルIL−1700)を使用した。その後、0°の偏光面において偏光された監視光源からの光をサンプルに通過させ、単機能光ファイバケーブルによりオーシャンオプティクス2000分光光度計に連結している2″積分球に焦点を合わせた。サンプルを通過した後のスペクトル情報は、オーシャンオプティクスOOIベース32及びOOIカラーソフトウェア、及びPPGプロプライエタリソフトウェアを用いて収集した。フォトクロミック二色性化合物の活性化中、偏光シートの位置を前後に回転移動させて、監視光源からの光を90°偏光面へ偏光して、また戻した。活性化の間、データを3秒間隔で収集した。試験ごとに、偏光面の偏光子を、以下のシーケンス:0°、90°、90°、0°の回転で調整してデータを集めた。
非活性化即ち脱色状態と活性化即ち着色状態との間の光学濃度の変化についての反応測定は、初期の非活性化透過率を設定し、キセノンランプのシャッタを開き、選択した時間間隔で活性化透過率を測定して行った。実際の透過率測定を行っている間、キセノンビームを一時的に閉じて、光の散乱を防止した。
吸収スペクトルを求め、これを、(ウェーブメトリックス社(WaveMetrics)から入手可能な)イゴールプロ(IgorPro)ソフトウェアを使用して、サンプルごとに分析した。サンプルごとの吸光度の変化は、試験を行った波長ごとの0時間(即ち、非活性化)のときの吸収測定値を減算して計算した。平均吸光度の値は、フォトクロミック反応が飽和したか又は実質的に飽和した活性プロファイルの領域(即ち、経時的に吸光度が増加しなかった又は殆ど増加しなかった領域)においてサンプルごとに時間間隔をおいて取った吸光度を平均して求めた(5〜100個のデータポイントで波長ごとに抽出したものを平均した)。最大可視+/−5nmに対応する所定範囲の波長の平均吸光度値を、0°と90°偏光角で抽出し、この範囲の波長ごとの光吸収率は、大きい平均吸光度を小さい平均吸光度で除算して算出した。抽出した波長ごとに5〜100のデータポイントで吸光度を平均した。サンプルごとの平均光吸収率をこれらの個別の吸収率を平均して算出した。以下に表示したラムダ(λ)の極大即ち最大値は、吸光度のピークが交差偏光状態のサンプルに対して観察された波長であった(サンプル偏光方向はモクステック社製プロフラックス偏光子に対して90度であった)。その結果を以下の表1に示した。第1のフェードハーフライフ(「T1/2」)値は、サンプル中のフォトクロミック二色性材料の活性化形態のΔODに対する時間間隔(秒)であり、活性化光源を除去した後、73.4°F(23℃)でΔOD最大値の1/2に到達した。第2のフェードハーフライフ(「第2のT1/2」)の値は、サンプル中のフォトクロミック材料の活性化形態のΔODに対する時間間隔(秒)であり、活性化光源を除去した後、73.4°F(23℃)でΔOD最大値の1/4に到達した。その結果を以下の表1に示した。
[表1]
表1.延伸された多層膜に対する二色比試験の結果
本発明の特定の実施形態による具体的な詳細を説明してきた。これらの発明の詳細な説明は、添付した特許請求に範囲に含まれる範囲を逸脱しない限りにおいて、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。