JP6355727B2 - Chi92タンパク質の新たな用途及びChi92タンパク質発現菌株 - Google Patents
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Description
一、組み換えプラスミドの構築
1、アエロモナスB565のゲノムDNAを抽出する。
2、ステップ1で抽出されたゲノムDNAをテンプレートとして、F1とR1からなるプライマー対でPCR増幅を行い、PCR増幅産物を得る。
F1:5’−GGAGAATTCGCGGCGCCCGGCAAGCC−3’
R1:5’−GGAGCGGCCGCTTATTTACAACTGGCGGCTCCCACATCCTG−3’。
3、限定的エンドヌクレアーゼEcoRI及びNotIでステップ2のPCR増幅産物を二重酵素消化し、酵素消化産物を回収する。
4、限定的エンドヌクレアーゼEcoRI及びNotIでピキアパストリス発現ベクターpPIC9を二重酵素消化し、約9.3kbのベクター骨格を回収する。
5、ステップ3の酵素消化産物とステップ4のベクター骨格を接続し、組み換えプラスミドを得る。配列決定結果により、組み換えプラスミドの構造を以下のように記載する:ピキアパストリス発現ベクターpPIC9のEcoRI及びNotIの酵素消化部位の間に配列表の配列番号2における5’末端からの第70−2595位のヌクレオチドで示す二重鎖DNA分子が挿入されている。
1、ステップ一で構築された組み換えプラスミドをピキアパストリスGS115のコンピテント細胞に導入し、そしてMD固形培地プレートをコーティングし、滅菌した爪楊枝で単一のコロニーを取り、番号に従って新たなMD固形培地プレートに接種する。計96個の単クローンを得る。
2、番号に従って単クローンを取り、3mLのBMGY液体培地に接種し、30℃、250−280rpmで2−3日発振培養し、そして4500rpmで5分間遠心し、沈殿(できるだけ上澄みを完全に除去する)を取り、沈殿に1mLのBMMY液体培地を加え、30℃、250−280rpmで48時間発振培養し、遠心して上澄み液を収集する。
1、組み換えプラスミドの代わりに、ピキアパストリス発現ベクターpPIC9でステップ二の1を行い、30個の単クローンを得る。
2、ステップ二の2と同じである。
1、1%コロイドキチンの製造
4℃で、10gのキチンを取りすり鉢に入れ、40mLのアセトンを加えて10分間研磨し、研磨しながら400mLの冷たい濃HClを徐々に添加し、完全に研磨することにより、ペーストにし、そして、4℃で24時間静置し、その後、グラスウールで濾過し、濾液を収集した。濾液を2000mlの50%(体積分率)エタノール水溶液が装入されているビーカに徐々に添加し、添加しながら激しく撹拌し、そして、静置し、コロイド状キチンを析出した後上澄みを除去し、コロイドキチンを収集し、蒸留水でコロイドキチンをpH7.0まで洗浄し、蒸留水で1000mlまで定容積し、冷蔵しておく。
2、標準曲線の作成
pH7.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液でN−アセチルグルコサミンを異なる濃度の溶液に配合し、0.5mLの各溶液(N−アセチルグルコサミンの含有量がそれぞれ5.5μmol、7.1μmol、8.3μmol、10.0μmol、12.5μmol、又は16.7μmolである)をそれぞれ1mLのDNS溶液と混合した後5分間沸騰水浴して呈色させ、そして蒸留水で2.5mLまで補足し、室温に冷却した後540nmでOD値を測定し、標準曲線を作成し、標準曲線及び標準曲線方程式を図1(後続の実施例における標準曲線はいずれも本標準曲線と指す)に示す。
3、ステップ二で得られた各上澄み液、ステップ三で得られた各上澄み液のキチナーゼ酵素活性をそれぞれ検出する。
(1)4つの試験管を取り、0.25mLの被測定溶液と0.25mLの1%コロイドキチンをそれぞれ添加し、3つの試験管を40℃で1時間水浴し、残り1つは4℃で置き、対照とする。
(2)ステップ(1)を完成した試験管を取り、各試験管に1mLのDNS溶液を添加し、5分間沸騰水浴し、そして蒸留水で2.5mlまで補足し、遠心して上澄み液を取り、540nmでOD値を測定し、標準曲線方程式と対照して酵素活性を計算する。
ステップ二で得られた96個の単クローンのうち、24個の単クローンで得られた上澄み液のキチナーゼ酵素活性は、順次に7.584、8.873、9.609、16.788、32.251、32.803、33.907、33.907、34.460、35.288、37.497、37.681、37.865、37.957、38.509、38.601、38.693、38.970、39.154、39.890、41.087、41.179、41.731及び66.398U/mlである。キチナーゼ酵素活性の最高の上澄み液の対応する菌株を遺伝子操作菌とし、ピキアパストリスpPIC9/Chi92と命名する。
ステップ三で得られた30個の単クローンのうち、上澄み液のキチナーゼ酵素活性はいずれも0U/mLである。
ピキアパストリス(Pichia pastoris)pPIC9/Chi92は、既に2013年5月23日に中国微生物菌株寄託管理委員会の一般微生物センタ(略称CGMCC、住所:北京市朝陽区北辰西路1号院3号)に寄託され、寄託番号がCGMCC No.7634である。
一、Chi92タンパク質の調製及び精製
1、ピキアパストリスpPIC9/Chi92を200mLのBMGY液体培地が装入されている1000mL三角フラスコに接種し、30℃、250−280rpmで2日発振培養し、4500rpmで5分間遠心し、沈殿(できるだけ上澄みを完全に除去する)を取り、沈殿に100mLのBMMY液体培地を加え、30℃、250−280rpmで48時間発振培養し、培養システムにおけるメタノール濃度が0.5%(体積比)に達するまで、12時間ごとにメタノールを加え、遠心して上澄み液を収集する。
2、0℃で、ステップ1で得られた上澄み液を10kDa膜セルで濃縮し、そして脱イオン水を透析液として透析し、最後に冷凍乾燥し、乾燥粉末を得る。
3、ステップ2で得られた乾燥粉末を取り、脱イオン水に溶解した後SDS−PAGEを行い、図2に示すように、分子量が約92kDaの単一バンドが表示され、予測分子量に近い。目標バンドを切り取り、天津生物チップ技術有限会社に依頼して二級質量スペクトル分析を行い、分析結果から該目標バンドがChi92タンパク質であることが分かる。
1、ステップ一の2で得られた50mgの乾燥粉末を10mLのpH6.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液に溶解し、被測定溶液を得る。
2、1%コロイドキチンの調製
実施例1のステップ四の1と同じである。
3、1%エビ殻粉末の調製
実施例5のステップ一の4と同じである。
4、1%大麦β−グルカンの調製
実施例5のステップ一の2と同じである。
5、クマシーブリリアントブルー法によりステップ1で得られた被測定溶液におけるタンパク質含有量を検出する。
6、ステップ1で得られた被測定溶液のキチナーゼ酵素活性を検出し、方法は実施例1のステップ四の3と同じである。被測定溶液のキチナーゼの酵素活性は69.423U/mLであり、Chi92タンパク質の比活性が809.207U/mgである。
7、測定したChi92タンパク質の一級反応時間が60分間であり、それぞれ異なる濃度の異なる基質(基質がそれぞれコロイドキチン、エビ殻粉末又は大麦β−グルカンであり、各種の基質の濃度がそれぞれ1%、0.8%、0.7%、0.6%、0.4%、0.3%又は0.1%である)を採用し、その他は実施例1のステップ四の3と同じであり、対応する反応速度を計算して、ミカエリスメンテン式二重逆数法でKm値及びVmaxを求める。二重逆数プロット法(Lineweaver−Burk法)によりミカエリスメンテン式を
1、ステップ一の2で得られた50mgの乾燥粉末を10mLのpH6.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液に溶解し、被測定溶液を得る。
2、1%コロイドキチンの調製
実施例1のステップ四の1と同じである。
3、ステップ1で得られた500μlの被測定溶液とステップ2で得られた500μlの1%コロイドキチンとを混合して40℃で1時間静置反応し、そして、100℃で10分間沸騰まで加熱し、12000rpmで10分間遠心するとともに上澄みを取り、即ち試験組の反応産物とする。ステップ1で得られた500μlの被測定溶液とステップ2で得られた500μlの1%コロイドキチンを混合した後100℃で10分間沸騰まで加熱し、そして12000rpmで10分間遠心し、上澄みを取り、即ち対照組の反応産物とする。
DGX9053−B−2ブラスト乾燥炉(上海福瑪)、P−1型層拡張シリンダ(二重スロット)(100mm*200mm)、GF254シリカゲルプレート(100mm*200mm)。拡張剤:n−ブタノール:イソプロパノール:酢酸:水=7:5:2:4(体積比)。呈色試薬は、アニリン4ml、ジフェニルアミン4g、85%リン酸30ml、アセトン200ml。105℃でオーブンにより5分間乾燥させて呈色させる。
結果を図3に示す。Chi92タンパク質でコロイドキチンを分解した産物はキトビオースであり、スポッティング穴1、2、3、4、5、6はそれぞれGlc(NAG)6、Glc(NAG)5、Glc(NAG)4、Glc(NAG)3、Glc(NAG)2及びGlc(NAG)の標準品であり、7は試験組の反応産物であり、8は対照組の反応産物であり、9はGlc(NAG)6、Glc(NAG)5、Glc(NAG)4、Glc(NAG)3、Glc(NAG)2及びGlc(NAG)の標準品の混合物である。結果から、Chi92タンパク質でコロイドキチンを分解した産物はキトビオースであることが分かる。
処理方法はステップ三と同じである。
800μlの反応産物と1/3体積の陰陽樹脂粒子とを渦巻きで均一に混合し、室温で30分間静置し、脱塩反応産物として上澄み500μlを取る。脱塩反応産物を中科院化学研究所に依頼してESI−MS分析を行い、結果を図4に示す。N−アセチル−D−グルコサミンとキトビオースの理論分子量はそれぞれ221.21と424.4である。ESI−MSの過程において、電気噴霧剤としてクロロホルムを採用するので、糖の構造にCl−イオンが導入され、キチンオリゴ糖におけるOH−と水素結合を形成し、カラムと組み合わせて、ピークパターンを生成することに有利である。このため、図に示すピークパターンはCl−を加えた分子量である。N−アセチル−D−グルコサミンとキトビオースのCl−を加えた分子量はそれぞれ256.21と459.4であり、ピークパターンの結果と一致する。ESI−MS過程において、加えたCl−は2種の形式があり、それぞれ35Cl−と37Cl−であり、理論的には、35Cl−を加えたピーク高さは37Cl−を加えたピーク高さの3倍である。ピークパターンにおいて、255.9と459.2のピークの後の2つの質量電荷比の位置にそれぞれピーク高さがその1/3のピークがあり、このピークパターンがCl−を加えたピークパターンであることを更に証明できる。同図におけるピーク高さから分かるように、キトビオースの濃度が明らかにN−アセチル−D−グルコサミンよりも高い。ESI−MSの検出解像度が約1ngであり、TLC検出解像度が約5ngであるので、TLC方法では濃度が低いN−アセチル−D−グルコサミンが検出されていない。
実施例2のステップ一の2で得られた乾燥粉末を被測定乾燥粉末(主な成分がChi92タンパク質である)として、本実施例の試験を行う。
1、1%コロイドキチンの調製
4℃で、10gのキチンを取ってすり鉢に入れ、アセトン40mLを加えて10分間研磨し、研磨しながら冷たい濃HCl 400mLを徐々に添加し、完全に研磨することにより、ペーストにし、そして4℃で24時間置き、その後グラスウールで濾過し、濾液を収集し、濾液を2000mLの50%(体積分率)エタノール水溶液が装入されているビーカに徐々に添加し、添加しながら激しく撹拌し、そして静置し、コロイド状キチンを析出した後上澄みを除去し、コロイドキチンを収集し、緩衝液でコロイドキチンを洗浄し、同じ緩衝液で1000mlに定容積し、冷蔵しておく。
それぞれpH3.0−8.0の0.2mol/Lクエン酸−リン酸水素二ナトリウム緩衝液、pH8.0−9.0の0.2mol/LのTris−HCl緩衝液及びpH9.0−11.0の0.2mol/Lグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液を採用する。
2、被測定乾燥粉末50mgを10mlの緩衝液(ステップ1と同じ緩衝液)に溶解し、被測定溶液を得る。
3、ステップ2で得られた被測定溶液のキチナーゼ酵素活性を検出し、方法は実施例1のステップ四の3と同じである。
pH8.0のTris−HCl緩衝液を採用する際、Chi92タンパク質の酵素活性が最高で、被測定溶液の酵素活性が67.640U/mlである。他の緩衝液を採用する際の被測定溶液の最高酵素活性に対する相対的酵素活性を計算し、図5に示す。pH6.0−9.0である場合、Chi92タンパク質は80%以上の相対的酵素活性を保持している。
1、緩衝液で被測定乾燥粉末(5mgの乾燥粉末につき1mlの緩衝液に溶解する)を溶解し、4℃で2時間静置した後に被測定溶液とする。それぞれpH3.0−8.0の0.2mmol/Lのクエン酸−リン酸水素二ナトリウム緩衝液及びpH9.0−12.0の0.2mol/Lのグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液を採用する。
2、1%コロイドキチンの調製
実施例1のステップ四の1と同じである。
3、ステップ1で得られた被測定溶液のキチナーゼ酵素活性を検出し、方法は実施例1のステップ四の3と同じである。
相対的酵素活性結果を図6に示す。Chi92タンパク質はpH範囲が4.0−9.0の間にいずれも安定的であり、70%以上の酵素活性を保持している。
1、50mgの被測定乾燥粉末を10mLのpH6.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液に溶解し、被測定溶液を得る。
2、1%コロイドキチンの調製
実施例1のステップ四の1と同じである。
3、ステップ1で得られた被測定溶液のキチナーゼ酵素活性を検出し、方法は実施例1のステップ四の3(差異は異なる反応温度を採用するのみにある)を参照する。
40℃の反応温度を採用する際、Chi92タンパク質の酵素活性が最も高く、被測定溶液の酵素活性が86.861U/mlである。他の反応温度を採用する際の被測定溶液の最高酵素活性に対する相対的酵素活性を計算し、図7に示す。30℃−45℃である場合、Chi92タンパク質は60%以上の相対的酵素活性を保持する。
1、50mgの被測定乾燥粉末を10mLのpH6.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液に溶解し、異なる温度(40℃又は50℃)でそれぞれ20、40、60、80、100又は120分間保温した後、被測定溶液とする。
2、1%コロイドキチンの調製
実施例1のステップ四の1と同じである。
3、ステップ1で得られた被測定溶液のキチナーゼ酵素活性を検出し、方法は実施例1のステップ四の3と同じである。
相対的酵素活性の結果を図8に示す。40℃で60分間処理した後、Chi92タンパク質は依然として80%以上の相対的酵素活性を保留し、温度安定性が良い。
実施例2のステップ一の2で得られた乾燥粉末を被測定乾燥粉末(主な成分がChi92タンパク質である)として、本実施例の試験を行う。
2、1%コロイドキチンの調製
実施例1のステップ四の1と同じである。
3、ステップ2で製造された1%コロイドキチンに化合物を加え、化合物の濃度を1mmol/L又は5mmol/Lにする。それぞれ以下の化合物を採用する:KCl(K+を提供する)、NaCl(Na+を提供する)、CaCl2(Ca2+を提供する)、LiCl(Li+を提供する)、CoCl2(Co2+を提供する)、CrCl3(Cr3+を提供する)、NiCl2(Ni2+を提供する)、CuCl2(Cu2+を提供する)、MgCl2(Mg2+を提供する)、FeCl3(Fe3+を提供する)、MnCl2(Mn2+を提供する)、PbCl(Pb+を提供する)、ZnCl2(Zn2+を提供する)、AgNO3(Ag+を提供する)、EDTA、SDS及びβ−メルカプトエタノール。
3、ステップ2で得られた各種の異なるシステムに対し、以下のように検出する:
(1)4つの試験管を取り、それぞれ被測定0.25mLの溶液とステップ2で得られた0.25mLのシステムを添加し、3つの試験管を40℃で1時間水浴し、また、残りの1つを対照として4℃で置く。
(2)ステップ(1)を完成した試験管を取り、各管に1mLのDNS溶液を加え、5分間沸騰水浴し、そして蒸留水で2.5mlに補足し、遠心して上澄み液を取り、540nmでOD値を測定し、標準曲線方程式を対照して酵素活性を計算する。
4、CK組:ステップ1で得られた被測定溶液のキチナーゼ酵素活性を検出し、方法は実施例1のステップ四の3と同じである。
各組の処理における被測定溶液のキチナーゼ酵素活性とCK組の被測定溶液のキチナーゼ酵素活性との比値を相対的酵素活性とし、結果を表2に示す。Mn2+イオンはChi92タンパク質の酵素活性に対して一定の促進作用があり、Cr3+、Cu2+等はChi92タンパク質の酵素活性に対して一定の抑制作用があり、高濃度(5mM)のEDTA(キレート剤)はChi92タンパク質の酵素活性をほとんど完全に抑制するが、低濃度(1mM)である場合、Chi92タンパク質の酵素活性に基本的に影響しない。
一、基質の調製
1、1%コロイドキチンの調製
実施例1のステップ四の1と同じである。
2、1%大麦β−グルカンの調製
1gの大麦β−グルカンを100mlの蒸留水に溶解し、100℃で3分間水浴し、室温まで静置し、5000rpmで5分間遠心し、沈殿を除去し、上澄みの混濁物は1%大麦β−グルカンであり、4℃で保管する。
3、1%カルボキシメチルセルロース
1gのカルボキシメチルセルロースを100mlの蒸留水に徐々に添加し、添加しながら磁気撹拌機で撹拌し、均一な混濁物を得、1%カルボキシメチルセルロースであり、4℃で保管する。
4、エビ殻粉末と蟹殻粉末の調製
エビ殻又は蟹殻を取り、洗浄、乾燥した後粉末に粉砕し、100メッシュの篩で濾過し、粉末を取り、そして、5%のHCl水溶液で2時間粉末を浸漬することによりCa2+を除去し、中性まで水で洗浄し、乾燥させる。そして10%のNaOH水溶液で粉末を浸漬し、2時間沸騰水浴してタンパク質を除去し、中性まで水で洗浄し、乾燥し、得られた粉末はエビ殻粉末又は蟹殻粉末である。
1、実施例2のステップ一の2で得られた50mgの乾燥粉末を10mLのpH6.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液に溶解し、被測定溶液を得る。
2、ステップ一で調製した各種の基質、キチン、カルボキシメチルセルロース、キトサン、グリコールキチン、又は大麦β−グルカンにより1%コロイドキチンを代替し、方法は実施例1のステップ四の3を参照する。
結果を表3に示す。結果から、Chi92タンパク質が1%コロイドキチン、1%大麦β−グルカン、1%カルボキシメチルセルロースに対して異なる程度の分解能力を有し、カルボキシメチルセルロース粉末、キトサン粉末、エビ殻粉末、キチン粉末、大麦β−グルカン粉末及びグリコールキチン粉末に対して微弱な分解能力が有するが、蟹殻粉末と反応した後還元糖の生成が検出されていないことが分かる。
実施例2のステップ一の2で得られた乾燥粉末を被測定乾燥粉末(主な成分がChi92タンパク質である)として、本実施例の試験を行う。
2、テラピア腸液の調製
スーパーマーケットから購入したテラピアを取り、解剖し、PBS緩衝液(NaCl 8g/L、KCl 0.2g/L、Na2HPO4 1.44g/L、KH2PO4 0.24g/Lで、溶剤が蒸留水で、pHが7.2である)で腸管を洗浄し、洗浄液(PBS緩衝液に溶解する腸管内容物を含有する)を収集し、テラピア腸液である。使用する際、PBS緩衝液によりテラピア腸液を目標濃度(濃度がタンパク質濃度で計算する)に希釈する。
3、50mgの被測定乾燥粉末を10mLのpH6.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液に溶解し、被測定溶液を得る。
4、1%コロイドキチンの調製
実施例1のステップ四の1と同じである。
5、ステップ4で調製された1%コロイドキチンにタンパク質酵素溶液又はテラピア腸液を付加する。
6、酵素活性の検出
(1)12本の試験管を取り、それぞれ0.25mLの被測定溶液とステップ5で得られた0.25mLの溶液(タンパク質酵素又はテラピア腸液でのタンパク質とChi92タンパク質との質量比が1:10である)に入れ、試験管1−3は40℃で0分間水浴し、試験管4は4℃で0分間(対照)置き、試験管5−7は40℃で30分間水浴し、試験管8は4℃で30分間(対照)置き、試験管9−11は40℃で60分間水浴し、試験管12は4℃で60分間(対照)置く。
(2)ステップ(1)を完成した試験管を取り、各管に1mLのDNS溶液を添加し、5分間沸騰水浴し、そして蒸留水により2.5mlまで補足し、遠心して上澄み液を取り、540nmでOD値を測定し、標準曲線方程式を対照して酵素活性を計算する。
7、CK組:ステップ3で得られた被測定溶液のキチナーゼ酵素活性を検出し、方法は実施例1のステップ四の3と同じである。
各組の処理における被測定溶液のキチナーゼ酵素活性とCK組の被測定溶液のキチナーゼ酵素活性との比値を相対的酵素活性とし、結果を図9に示す。ペプシンとトリプシンはChi92タンパク質の酵素活性に基本的に影響せず、α−キモトリプシンとテラピア腸液が60分間作用した後Chi92タンパク質は依然として40%以上の相対的酵素活性を保持していることから、Chi92タンパク質は養殖業での飼料添加剤として、飼料におけるキチン類物質(例えばエビ殻粉末、酵母菌粉末等であり、エビ殻粉末と酵母菌粉末はいずれも魚類飼料での一般的な成分である)を分解して、動物飼料のコストを低下できることが明らかである。
1、実施例2のステップ一の2で得られた50mgの乾燥粉末を10mLのpH6.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液に溶解し、被測定溶液を得る。
2、ChiCD3タンパク質乾燥粉末の調製方法:特許「キチナーゼChiCD3及びそのコード遺伝子並びに応用」(中国出願番号が201110092079.1である)における実施例2のステップ一の2の(2)で調製したChiCD3タンパク質液を取り、冷凍乾燥し、ChiCD3タンパク質乾燥粉末を得る。ChiCD3タンパク質乾燥粉末を、10mLのpH6.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液に溶解し、被測定溶液を得る。
3、C6137タンパク質はSigma会社から購入したキチナーゼタンパク質である。C6137タンパク質を10mLのpH6.0、0.1mol/Lのリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液に溶解し、被測定溶液を得る。
4、酵母菌粉末の調製:ピキアパストリスGS115の単一コロニーを20mLのYPD液体培地に接種し、30℃、180rpmで48時間発振培養し、そして0.1%(体積比)の接種量で200mLのYPD液体培地が装入されている1Lの三角フラスコに転移し、30℃、180rpmで2d発振培養し、培養システム全体を取り、10℃、12000rpmで10分間遠心し、菌体の沈殿を収集し、PBS緩衝液で2回洗浄し、そして真空冷凍乾燥機で乾燥し、得られた粉末は酵母菌粉末である。酵母菌粉末を80℃でオーブンにより30分間処理した後、熱不活化酵母粉末を得る。1gの酵母菌粉末を100mLの蒸留水に溶解し、1%酵母菌粉末溶液を得る。1gの熱不活化酵母粉末を100mLの蒸留水に溶解し、1%熱不活化酵母粉末溶液を得る。
5、キチナーゼで酵母菌粉末を分解するキチナーゼ活性の測定
それぞれステップ1で調製された被測定溶液、ステップ2で調製された被測定溶液及びステップ3で調製された被測定溶液に対し、以下のように測定する:
(1)12本の試験管を取り、それぞれ0.25mLの被測定溶液と0.25mLの1%熱不活化酵母粉末溶液を添加し、試験管1−3は40℃で0時間水浴し、試験管4は4℃で0時間(対照)置き、試験管5−7は40℃で1.5時間水浴し、試験管8は4℃で1.5時間(対照)置き、試験管9−11は40℃で3時間水浴し、試験管12は4℃で3時間(対照)置く。
(2)ステップ(1)を完成した試験管を取り、各管に1mLのDNS溶液を添加し、5分間沸騰水浴し、そして蒸留水で2.5mlに補足し、遠心して上澄み液を取り、540nmでOD値を測定し、標準曲線方程式を対照して還元糖濃度を得る。
還元糖の含有量濃度を図10に示す。1.5時間と3時間反応した後、Chi92タンパク質組の還元糖含有量は、C6137タンパク質組とChiCD3タンパク質組よりも高くなり、即ちChi92タンパク質は酵母細胞乾燥粉末を分解する能力を有し、且つその能力はC6137タンパク質とChiCD3タンパク質よりも高い。
1%熱不活化酵母粉末溶液の代わりに、1%酵母菌粉末溶液により上記ステップを行い、Chi92タンパク質、C6137タンパク質及びChiCD3タンパク質はいずれも酵母細胞乾燥粉末を分解する能力がない。
6、Chi92タンパク質の熱不活化酵母粉末を分解する能力
(1)18本の試験管を取り、それぞれにステップ1で調製された0.25mLの被測定溶液と0.25mLの1%熱不活化酵母粉末溶液を添加し、試験管1−3と試験管10−12は40℃で0時間水浴し、試験管4−6と試験管13−15は40℃で1.5時間水浴し、試験管7−9と試験管16−18は40℃で3時間水浴する。
(2)ステップ(1)を完成した試験管1−9を取り、各試験管に1mLのDNS溶液を付加し、5分間沸騰水浴し、そして蒸留水で2.5mlに補足し、遠心して上澄み液を取り、540nmでOD値を測定し、標準曲線方程式を対照して還元糖濃度を得る。
(3)ステップ(1)を完成した試験管10−18を取り、10000rpmで10分間遠心し、上澄みを取り、グルコース検出キット(北京利文生物技術有限会社、製品標準番号:YZB/京0748−2009)でグルコース濃度を検出する。
非グルコースの還元糖の濃度=還元糖濃度−グルコース濃度。
結果を図11に示す。1.5時間と3時間反応する際、グルコースの産量はそれぞれ総還元糖産量の約18%と25%である。非グルコースの還元糖の産量はグルコースの産量よりも明らかに高い。
7、Chi92タンパク質のキチナーゼとしての熱不活化酵母粉末を分解した分解産物の調製と特徴
実施例7のステップ1の500μLのChi92タンパク質溶液と500μLの1%熱不活化酵母粉末溶液を取って混合し、40℃の水浴で0時間、1.5時間又は3時間インキュベートし、そして、10分間沸騰水浴し、室温まで冷却した後、10000rpmで10分間遠心し、沈殿を収集し、真空冷凍乾燥機で乾燥して、乾燥粉末を収集し、走査電子顕微鏡の分析を行う。
結果を図12に示し、A、B、Cは、それぞれ水浴で0時間、1.5時間及び3時間インキュベートした後得られた乾燥粉末であり、1と2はそれぞれ3000倍と8000倍拡大したものであり、矢印で示すのは細胞壁に出現した小さな穴である。0時間の熱不活化酵母粉末に、少量の細胞表面に孔状が存在する。水浴で1.5時間インキュベートした後、細胞壁の表面の小さな穴の数が増加する。水浴で3時間インキュベートした後、細胞壁の表面の小さな穴の数と深さがいずれも明らかに増加する。
結果から、Chi92タンパク質は養殖業での飼料添加剤として、飼料における酵母菌粉末等(酵母菌粉末が魚類飼料での一般的な成分である)を分解して、動物飼料のコストを低下できることが分かる。
Claims (2)
- 寄託番号がCGMCC No.7634であるピキアパストリス(Pichia pastoris)菌株pPIC9/Chi92。
- Chi92タンパク質は、配列表における配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質(a)である請求項1に記載の菌株のChi92タンパク質の生産での応用。
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