以下、本発明による無線通信方式検出装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による無線通信方式検出装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による無線通信方式検出装置は、スペクトログラムにおける時間変動の大きい時点を無線通信の送信開始時点、送信終了時点とし、その送信開始時点から送信終了時点までのスペクトログラムにおける周波数スペクトルを用いて無線通信方式を検出するものである。
図1は、本実施の形態による無線通信方式検出装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による無線通信方式検出装置1は、受信部11と、スペクトログラム取得部12と、時点検出部13と、スペクトル取得部14と、特徴量取得部15と、記憶部16と、無線通信方式検出部17と、出力部18とを備える。この無線通信方式検出装置1は、例えば、ステーションやモバイルノード等の端末装置であってもよく、1以上の端末装置と無線通信を行うアクセスポイント等の無線基地局であってもよく、無線信号を受信するその他の装置であってもよい。また、無線通信方式検出装置1は、自律分散型無線ネットワークにおいて無線通信を行う装置であってもよく、または、そうでなくてもよい。また、その無線ネットワークは、他の無線システムと混在する環境であってもよい。すなわち、多数の無線通信機器が、同一周波数帯を共用していてもよい。
受信部11は、無線通信による受信信号を受信する。なお、受信部11は、複数の無線通信による無線信号を受信してもよい。すなわち、受信部11は、複数の無線信号源からの無線信号を受信してもよい。その無線信号は、無線により伝搬するどのような信号であってもよい。その無線信号は、例えば、無線LAN(IEEE802.11の規格による無線通信)の無線信号であってもよく、Bluetooth(登録商標)の無線信号であってもよく、ZigBee(IEEE802.15.4の規格による無線通信)の無線信号であってもよく、その他の方式による無線信号であってもよい。また、その無線信号の周波数は問わない。その無線信号の周波数は、例えば、ISM帯であってもよく、その他の周波数であってもよい。無線信号を受信する受信部11は、例えば、図2で示されるように、低雑音増幅部21と、周波数変換部22と、局部発振部23と、フィルタ部24と、AD変換部25とを備えてもよい。低雑音増幅部21は、アンテナを介してアナログ受信信号を受信し、その受信した信号を増幅する。周波数変換部22は、局部発振部23によって生成された信号を用いて、増幅された受信信号を周波数変換し、AD変換部25で変換できる等価ベースバンド帯域受信信号に変換する。局部発振部23は、その周波数変換部22での周波数変換のための信号を生成する。フィルタ部24は、あらかじめ決められた周波数帯域のみを通過させるフィルタである。その周波数帯域は、例えば、無線通信方式検出部17における検出の対象としたい無線通信に対応した周波数帯域に設定されてもよい。フィルタ部24は、例えば、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、バンドパスフィルタであってもよい。AD変換部25は、等価ベースバンド帯域受信信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。なお、そのAD変換後のデジタル信号も、受信信号と呼ぶものとする。また、受信部11の構成は一例であり、受信部11は、これ以外の構成であってもよい。
スペクトログラム取得部12は、受信部11が受信した受信信号に関するスペクトログラムを取得する。そのスペクトログラムは、各時刻の周波数特性を時系列に並べたものである。その周波数特性は、受信された受信信号の周波数領域における何らかの特性量であり、例えば、単位周波数あたりの電力であってもよく、電力及び位相に関連する何らかの特性量であってもよい。したがって、そのスペクトログラムは、周波数領域と時間領域とにおいて、受信された受信信号に関する電力を示すもの(周波数電力スペクトログラム)であってもよい。本実施の形態では、スペクトログラムが周波数電力スペクトログラムである場合について主に説明する。スペクトログラム取得部12は、例えば、受信された受信信号を所定の時間ごとにフーリエ変換することによって、スペクトログラムを取得してもよい。そのフーリエ変換は、例えば、離散フーリエ変換(DFT)であってもよく、高速フーリエ変換(FFT)であってもよい。また、スペクトログラム取得部12は、複数のバンドパスフィルタの透過電力を計測することによってスペクトログラムを取得してもよい。また、取得されたスペクトログラムは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
時点検出部13は、スペクトログラム取得部12が取得したスペクトログラムの時間方向の変化において、閾値より大きい増加が周波数方向に連続している送信開始時点、及び閾値より大きい減少が周波数方向に連続している送信終了時点を検出する。その増加や減少は、厳密には、スペクトログラムの信号(例えば、電力値)の増加や減少である。また、閾値より大きい減少とは、減少量の絶対値が閾値より大きい減少のことである。増加に関する判断で用いられる閾値と、減少に関する判断で用いられる閾値とは、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。後者の場合であっても、両閾値は近似した値であることが好適である。この時点検出部13の処理について、具体的に説明する。
まず、時点検出部13は、スペクトログラムにおける時間方向の変動(以下、「時間変動」と呼ぶこともある)を算出する。その時間変動は、スペクトログラムにおける時間方向の電力値の増加や減少などの変化がわかるものであれば、どのようなものであってもよく、例えば、時間方向の隣接する電力値の比や差であってもよく、時間方向の電力値の微分値などであってもよい。例えば、時間変動Δtpi,j(dB)は、次式のものであってもよい。なお、算出された時間変動Δtpi,jは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
Δtpi,j=pi,j+1−pi,j[dB]
ここで、pi,j(dB)は、スペクトログラム取得部12が取得したスペクトログラムにおける、周波数がiであり、時間がjである電力値である。なお、iが1ずつ増えることにより、周波数が増加してもよく、減少してもよい。本実施の形態では、前者の場合について主に説明する。また、iが1だけ増減した際の周波数の変化量は、一定であることが好適である。また、jが1ずつ増えることにより、時間が増加してもよく、減少してもよい。本実施の形態では、前者の場合について主に説明する。また、jが1だけ増減した際の時間の変化量は、一定であることが好適である。このΔtpi,jにより、スペクトログラムの時間方向の増加、減少が算出されたことになる。なお、Δtpi,jが正である場合には増加となり、Δtpi,jが負である場合には減少となる。また、Δtpi,jが0である場合には、増加も減少もしていないことになる。また、上式では、電力値を対数表示(dB)にしているため減算となっているが、電力値を対数でない表示(W)にした場合には、Δtpi,j=pi,j+1/pi,jのように、電力値の変動比を示すものとなる。したがって、上式の時間変動は、電力値の時間方向の変動比を示すものであるといえる。
また、時点検出部13は、次のsi,jを取得する。その取得されたsi,jは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。なお、si,j=1である時間jの電力値は、時間方向において閾値Δtpthより大きく増加しており、si,j=−1である時刻jの電力値は、時間方向において閾値Δtpthより大きく減少していることになる。したがって、si,jが取得されることによって、スペクトログラムの各周波数及び各時間が、電力値の閾値より大きい増加(si,j=+1)と減少(si,j=−1)、それ以外(si,j=0)に分類されることになる。なお、Δtpthは、正の実数である。
また、時点検出部13は、取得したsi,jを用いて、あらかじめ設定されている周波数帯域ごとに、次のnjを算出する。その周波数帯域は、各無線通信方式に対応した周波数帯域である。また、ある無線通信方式に対応する周波数帯域は、その無線通信方式の無線信号の周波数をすべて含む帯域に設定されることが好適である。また、ある無線通信方式が2以上のチャネルを有する場合には、その周波数帯域は、そのチャネルごとの周波数帯域であってもよい。その複数の周波数帯域には、例えば、包含関係にある周波数帯域が含まれていてもよく、少なくとも一部の周波数が重複している周波数帯域が含まれていてもよい。
ここで、iminは、周波数帯域の下限の周波数に応じた周波数iの値であり、imaxは、その周波数帯域の上限の周波数に応じた周波数iの値である。このnjは、時間jのiminからimaxまでの周波数帯域において、電力値の閾値より大きい、時間方向の増加や減少が連続している程度を示す値である。したがって、このnjは、ある周波数帯域における電力値の閾値より大きい時間変動の周波数方向の連続指数であると考えることができる。このnjが閾値より大きい時間j、すなわちnj>nthである時間jにおいては、閾値よりも大きい時間方向の増加が周波数方向に連続していることになるため、その時間jを、無線信号の送信開始時点(立ち上がり時点)と考えることができる。したがって、時点検出部13は、nj>nthとなる時間jである送信開始時点を検出する。また、このnjが閾値より小さい時間j、すなわちnj<−nthである時間jにおいては、閾値よりも大きい時間方向の減少が周波数方向に連続していることになるため、その時間jを、無線信号の送信終了時点(立ち下がり時点)と考えることができる。したがって、時点検出部13は、nj<−nthとなる時間jである送信終了時点を検出する。なお、時点を検出するとは、例えば、その時点に対応するjの値を図示しない記録媒体に蓄積することであってもよく、または、その時点に対応するjに、検出されたことを示す情報(フラグ等)を設定することであってもよい。また、閾値nthは、正の実数である。より具体的には、閾値nthは、imax−imin以下の値であり、imax−iminに近い値であることが好適である。したがって、閾値nthは、通常、周波数帯域ごとに異なる値となる。また、ある周波数帯域において、閾値よりも大きい増加や減少が連続しているとは、その周波数帯域のすべてにおいて、時間方向の変動が、閾値よりも大きい増加や、閾値よりも大きい減少であることであってもよく、または、その周波数帯域のすべてではない広い範囲において、時間方向の変動が、閾値よりも大きい増加や、閾値よりも大きい減少であることであってもよい。後者の場合には、その周波数帯域の一部には、si,j=0となる周波数が含まれていてもよい。
スペクトル取得部14は、時点検出部13によって検出された送信開始時点から送信終了時点までのスペクトログラムにおいて、各周波数での最大値に応じた周波数スペクトルを取得する。なお、その周波数スペクトルの取得は、通常、送信開始時点や送信終了時点を取得した際に用いられた周波数帯域において行われる。例えば、その周波数帯域の周波数がiminからimaxまでであり、送信開始時点がjminであり、送信終了時点がjmaxであるとすると、スペクトル取得部14は、iminからimaxまでの各周波数について、jminからjmaxまでの期間の電力値pi,jの最大値pi maxをそれぞれ取得する。そのようにして取得された、iminからimaxまでの各周波数での最大値pi maxの集合が、周波数スペクトルとなる。なお、以下、説明の便宜上、その最大値pi maxを単にpiと記載することがある。また、ある周波数帯域に対して、送信開始時点と送信終了時点とがそれぞれ複数、検出された場合には、スペクトル取得部14は、送信開始時点と、それ以後の直近の送信終了時点との間の各期間について、周波数スペクトルを取得する処理を繰り返してもよい。なお、送信開始時点から、それ以後の直近の送信終了時点までの期間が、あらかじめ決められた閾値よりも短い場合には、その期間について周波数スペクトルの取得が行われなくてもよい。データ数が少ない場合には、周波数スペクトルを適切に取得できないからである。また、複数の周波数帯域について送信開始時点等の検出が行われた場合には、スペクトル取得部14は、送信開始時点や送信終了時点の取得された周波数帯域ごとに、その周波数スペクトルを取得する処理を繰り返してもよい。
ここで、このような周波数スペクトルを取得するメリットについて簡単に説明する。通常、ある通信信号について、ある時点の周波数方向の電力値である周波数スペクトルを取得することによって、その通信信号の周波数スペクトルを取得できると考えられるが、変調やフェージング等の影響によって、ある時点の周波数スペクトルが理想的なものと異なっている可能性がある。一方、上述の説明のように、各周波数での最大値を集めて周波数スペクトルを構成することによって、変調やフェージングに影響されずに、無線通信方式の特徴を適切に示す理想的な周波数スペクトルを取得することができる。なお、スペクトル取得部14が取得した周波数スペクトルは、後述するように、無線通信方式を検出するために用いられる。したがって、無線通信方式の特徴を適切に表している理想的な周波数スペクトルを取得することによって、精度の高い無線通信方式の検出を実現できることになる。
特徴量取得部15は、スペクトル取得部14が取得した周波数スペクトルから、周波数スペクトルに対応する無線通信の特徴量を取得する。複数の周波数スペクトルが取得された場合には、特徴量取得部15は、その周波数スペクトルごとに特徴量を取得してもよい。特徴量には、例えば、周波数スペクトルの周波数方向の変動が含まれてもよく、周波数スペクトルの中心周波数が含まれてもよく、周波数スペクトルの形状から得られる情報(例えば、−3dBでの帯域幅等)が含まれてもよく、周波数スペクトルから取得できるそれ以外の情報が含まれてもよい。また、特徴量には、周波数スペクトルから取得できる情報以外の情報が含まれてもよい。その情報は、例えば、無線信号の送信開始時点から送信終了時点までの期間であってもよく、その他の情報であってもよい。なお、本実施の形態では、その特徴量が、スペクトル取得部14が取得した周波数スペクトルの周波数方向の変動である場合について主に説明する。以下、その変動のことを「周波数変動」と呼ぶこともある。その周波数変動は、周波数スペクトルにおける周波数方向の電力値の変化がわかるものであれば、どのようなものであってもよく、例えば、周波数方向の隣接する電力値の比や差であってもよく、周波数方向の電力値の微分値などであってもよい。周波数変動は、周波数スペクトルにおける周波数方向の電力値の増減を示すものである。例えば、周波数変動Δfpi(dB)は、次式のものであってもよい。
Δfpi=pi+1−pi[dB]
ここで、pi(dB)は、スペクトル取得部14が取得した周波数スペクトルにおける、周波数がiである電力値である。また、上式では、電力値を対数表示(dB)にしているため減算となっているが、電力値を対数でない表示(W)では、Δfpi=pi+1/piとなることは時間変動の場合と同様である。したがって、上式の周波数変動は、電力値の周波数方向の変動比を示すものであるといえる。
記憶部16では、特徴量の範囲を示す範囲情報が無線通信方式ごとに記憶される。後述するように、特徴量取得部15が取得した特徴量が、ある範囲情報に含まれた場合に、その特徴量に対応する無線通信の通信方式が、その特徴量に対応する無線通信方式であると検出されることになる。したがって、その範囲情報は、例えば、その範囲情報に対応する無線通信方式による無線通信に関する多くの受信信号に対応する特徴量のすべてが含まれると共に、他の無線通信方式による無線通信に関する受信信号に対応する特徴量は含まれないように設定されてもよい。また、範囲情報は、特徴量が含む情報ごとの範囲を示す情報であることが好適である。例えば、特徴量に周波数スペクトルの中心周波数が含まれる場合には、範囲情報は、その範囲情報に対応する無線通信方式に応じた中心周波数の下限値及び上限値を有する情報であってもよい。また、特徴量に周波数スペクトルの周波数方向の変動が含まれる場合には、範囲情報は、その範囲情報に対応する無線通信方式に応じた周波数スペクトルの周波数方向の変動に関する周波数ごとの上限閾値及び下限閾値を有する情報であってもよい。具体的には、無線通信方式Aに対応する範囲情報によって、図5Aで示されるように、各周波数について、周波数変動(dB)の上限閾値Δfpi maxと、下限閾値Δfpi minとを有していてもよい。なお、そのような場合に、範囲情報は、その範囲情報に対応する無線通信方式の周波数帯域におけるすべての周波数iについて、上限閾値と下限閾値とを有していてもよく、または、一部の周波数iについてのみ、上限閾値と下限閾値とを有していてもよい。後者の場合に、範囲情報に含まれる周波数変動の上限閾値と下限閾値に対応する周波数は、均等であってもよく、または、そうでなくてもよい。後者の場合には、例えば、特徴的な部分については細かい周波数ごとに上限閾値と下限閾値とが設定され、特徴的でない部分については粗い周波数ごとに上限閾値と下限閾値とが設定されてもよい。
なお、例えば、無線LANのように複数のチャネルが存在する場合には、通常、その範囲情報は、周波数方向のシフト量以外、チャネルごとに同様の範囲になると考えられる。したがって、そのような場合には、複数のチャネルに応じた範囲情報は、あるチャネルに対応した範囲情報と、他のチャネルに対応する、その範囲情報の周波数方向のシフト量とであってもよい。
記憶部16に無線通信方式ごとの範囲情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して範囲情報が記憶部16で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された範囲情報が記憶部16で記憶されるようになってもよく、または、入力デバイスを介して入力された範囲情報が記憶部16で記憶されるようになってもよい。記憶部16での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。記憶部16は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスクなど)によって実現されうる。
無線通信方式検出部17は、スペクトル取得部14が取得した周波数スペクトルに対応する無線通信方式を検出する。具体的には、特徴量取得部15が周波数スペクトルから取得した特徴量が、ある範囲情報の示す範囲に含まれる場合に、無線通信方式検出部17は、その範囲情報に対応する無線通信方式を、その周波数スペクトルに対応する無線信号の無線通信方式として検出する。例えば、図5Bで示されるように、特徴量である周波数変動が、各周波数の上限閾値と下限閾値との範囲内に存在する場合には、無線通信方式検出部17は、その特徴量に対応する無線通信方式として、その範囲情報に対応する無線通信方式Aを検出する。なお、特徴量が周波数変動を含んでいる場合に、すべての周波数の周波数変動が、範囲情報の示す周波数ごとの範囲に含まれるときに、その特徴量が範囲情報の示す範囲に含まれると判断されてもよく、または、閾値以上の割合(例えば、9割以上など)の周波数の周波数変動が、範囲情報の示す周波数ごとの範囲に含まれるときに、その特徴量が範囲情報の示す範囲に含まれると判断されてもよい。無線通信方式を検出することによって、受信信号に応じた無線通信の種類(方式)が特定されることになる。例えば、無線通信方式検出部17は、特徴量取得部15の取得した特徴量が、ある範囲情報に含まれる場合に、受信信号に対応する無線通信方式として、その範囲情報に対応する「IEEE802.11g CH7」を検出してもよい。なお、無線通信方式を検出するとは、例えば、その無線通信方式を示す情報を図示しない記録媒体に蓄積することであってもよく、または、その無線通信方式を示す情報に、検出されたことを示す情報(フラグ等)を設定することであってもよい。検出された無線通信方式は、その検出に用いられた特徴量の取得元となる周波数スペクトルに対応する周波数帯域、並びに送信開始時点及び送信終了時点によって特定される送信期間と対応付けられてもよい。
出力部18は、無線通信方式検出部17による検出結果を出力する。具体的には、出力部18は、無線通信方式検出部17によって検出された無線通信方式を識別する情報(例えば、無線通信方式の名称など)を出力してもよい。また、その無線通信方式を識別する情報と共に、その検出の対象となったスペクトログラムの領域を示す情報も出力されてもよい。スペクトログラムの領域を示す情報は、例えば、時間の範囲と周波数の範囲を示す情報であってもよく、または、スペクトログラムにおける領域を示す図形(例えば、その領域を囲む矩形等の図形)であってもよい。なお、無線通信方式の検出の対象となったスペクトログラムの領域は、その検出に用いられた特徴量の取得元となる周波数スペクトルに対応する周波数帯域と、その周波数スペクトルが取得された期間とに対応する領域である。
ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、スピーカによる音声出力でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、出力部18は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部18は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
次に、無線通信方式検出装置1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)受信部11は、受信信号を受信する。なお、取得対象のスペクトログラムの時間領域の長さが決まっている場合には、受信部11は、その長さに応じた受信を行ってもよい。また、この受信された受信信号は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。例えば、AD変換部25によるAD変換後の受信信号が、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS102)スペクトログラム取得部12は、受信された受信信号に関するスペクトログラムを取得する。なお、取得されたスペクトログラムは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS103)時点検出部13は、取得されたスペクトログラムにおいて、時間変動を取得する。その時間変動は、各周波数について取得されることが好適である。なお、取得された時間変動は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS104)時点検出部13は、取得した時間変動から、閾値より大きい増加や、閾値より大きい減少を特定する。具体的には、時点検出部13は、上述のsi,jを取得してもよい。
(ステップS105)無線通信方式検出部17等は、受信された受信信号に対応する無線通信方式を検出する。この処理の詳細については、図4A等のフローチャートを用いて後述する。
(ステップS106)出力部18は、無線通信方式検出部17が検出した無線通信方式に関する出力を行う。そして、受信信号に応じた無線通信方式を検出する一連の処理が終了となる。
なお、図3のフローチャートの処理は、例えば、定期的に繰り返して実行されてもよい。
図4Aは、図3のフローチャートにおける無線通信方式の検出の処理(ステップS105)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS201)時点検出部13は、カウンタkを1に設定する。
(ステップS202)時点検出部13は、k番目の周波数帯域における増加や減少の総和を算出する。具体的には、時点検出部13は、k番目の周波数帯域において、前述のsi,jの総和であるnjを算出してもよい。そのnjは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS203)時点検出部13は、k番目の周波数帯域において、周波数方向に閾値より大きい増加が連続している時点である送信開始時点と、周波数方向に閾値より大きい減少が連続している時点である送信終了時点とを検出する。具体的には、時点検出部13は、nj>nthとなる送信開始時点や、nj<−nthとなる送信終了時点を検出してもよい。その送信開始時点や送信終了時点を示す情報は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS204)スペクトル取得部14は、カウンタmを1に設定する。
(ステップS205)スペクトル取得部14は、k番目の周波数帯域に、m番目の無線信号が存在するかどうか判断する。そして、存在する場合には、ステップS206に進み、そうでない場合には、ステップS211に進む。なお、無線信号とは、送信開始時点から、それ以降の直近の送信終了時点までの信号のことである。また、前述のように、その期間があらかじめ決められた閾値より小さい場合には、スペクトル取得部14は、その期間には無線信号が存在しないと判断してもよい。
(ステップS206)スペクトル取得部14は、m番目の無線信号に対応する周波数スペクトルを取得する。この処理の詳細は、図4Bのフローチャートを用いて後述する。取得された周波数スペクトルは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS207)特徴量取得部15は、スペクトル取得部14が取得した周波数スペクトルから特徴量を取得する。取得された特徴量は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS208)無線通信方式検出部17は、取得された特徴量を含む範囲を示す範囲情報が、記憶部16で記憶されているかどうか判断する。そして、記憶されている場合には、ステップS209に進み、そうでない場合には、ステップS210に進む。なお、この処理の詳細については、図4Cのフローチャートを用いて後述する。
(ステップS209)無線通信方式検出部17は、k番目の周波数帯域におけるm番目の無線信号の無線通信方式として、ステップS208において、特徴量を含むと判断された範囲情報に対応する無線通信方式を検出する。その検出された無線通信方式を識別する情報は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。また、その情報と共に、m番目の無線信号の周波数帯域と送信期間も、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS210)スペクトル取得部14は、カウンタmを1だけインクリメントする。そして、ステップS205に戻る。
(ステップS211)時点検出部13は、カウンタkを1だけインクリメントする。
(ステップS212)時点検出部13は、k番目の周波数帯域が存在するかどうか判断する。そして、k番目の周波数帯域が存在する場合には、ステップS202に戻り、そうでない場合には、図3のフローチャートに戻る。
図4Bは、図4Aのフローチャートにおけるスペクトルの取得の処理(ステップS206)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS301)スペクトル取得部14は、周波数のカウンタiを、図4Aのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の最低周波数iminに設定する。
(ステップS302)スペクトル取得部14は、周波数iの電力の最大値pi maxを初期値に設定する。その初期値は、十分に小さい値、例えば、背景雑音程度の電力値またはそれより小さい電力値に設定されることが好適である。
(ステップS303)スペクトル取得部14は、時間のカウンタjを、図4Aのフローチャートのk番目の周波数帯域におけるm番目の無線信号の送信開始時点の時間jminに設定する。
(ステップS304)スペクトル取得部14は、スペクトログラムにおけるpi,jが最大値pi maxより大きいかどうか判断する。そして、pi,jが最大値pi maxより大きい場合には、ステップS305に進み、そうでない場合には、ステップS306に進む。
(ステップS305)スペクトル取得部14は、周波数iの電力の最大値pi maxをpi,jに更新する。
(ステップS306)スペクトル取得部14は、時間のカウンタjを1だけインクリメントする。
(ステップS307)スペクトル取得部14は、時間のカウンタjが、図4Aのフローチャートのk番目の周波数帯域におけるm番目の無線信号の送信終了時点の時間jmaxを超えたかどうか判断する。そして、時間のカウンタjがjmaxを超えた場合には、ステップS308に進み、そうでない場合には、ステップS304に戻る。
(ステップS308)スペクトル取得部14は、周波数のカウンタiを1だけインクリメントする。
(ステップS309)スペクトル取得部14は、周波数のカウンタiが、図4Aのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の最高周波数imaxを超えたかどうか判断する。そして、周波数のカウンタiが、最高周波数imaxを超えた場合には、図4Aのフローチャートに戻り、そうでない場合には、ステップS302に戻る。
図4Cは、図4Aのフローチャートにおける特徴量を含む範囲情報があるかどうか判断するための処理(ステップS208)の詳細を示すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、特徴量が周波数変動である場合について説明する。また、このフローチャートでは、各周波数iについて、上限閾値及び下限閾値が設定されているものとする。また、このフローチャートは、ある範囲情報に特徴量が含まれるかどうかを判断するものである。したがって、無線通信方式検出部17は、記憶部16で記憶されている各範囲情報について、このフローチャートの処理を行ってもよい。なお、無線通信方式検出部17は、図4Aのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の無線通信方式に対応する範囲情報についてのみ、このフローチャートの処理を行うことが好適である。ある周波数帯域には、通常、1以上の範囲情報が対応しているため、無線通信方式検出部17は、その1以上の範囲情報のそれぞれについて、図4Cのフローチャートの処理を行えばよいことになる。なお、同じ周波数帯域に対応している複数の範囲情報は、例えば、周波数帯域は同じであるが、プロトコルが異なる複数の無線通信方式にそれぞれ対応する複数の範囲情報であってもよい。
(ステップS401)無線通信方式検出部17は、周波数のカウンタiを、図4Aのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の最低周波数iminに設定する。
(ステップS402)無線通信方式検出部17は、記憶部16で記憶されている範囲情報で示される周波数iの上限閾値Δfpi max及び下限閾値Δfpi minを読み出し、周波数変動における周波数iの値Δfpiが、その上限閾値と下限閾値の範囲に含まれるかどうか、すなわち、Δfpi max<Δfpi<Δfpi minであるかどうか判断する。そして、周波数変動における周波数iの値がその範囲に含まれる場合には、ステップS403に進み、そうでない場合には、ステップS406に進む。なお、その不等号の少なくとも一方は、等号付きの不等号(≦)であってもよい。
(ステップS403)無線通信方式検出部17は、周波数のカウンタiを1だけインクリメントする。
(ステップS404)無線通信方式検出部17は、周波数のカウンタiが、図4Aのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の最高周波数imaxを超えたかどうか判断する。そして、周波数のカウンタiが、最高周波数imaxを超えた場合には、ステップS405に進み、そうでない場合には、ステップS402に戻る。
(ステップS405)無線通信方式検出部17は、特徴量である周波数変動が、判断対象の範囲情報の示す範囲に含まれると判断する。そして、その特徴量が、その範囲情報に含まれるかどうかの判断の処理は終了となる。
(ステップS406)無線通信方式検出部17は、特徴量である周波数変動が、判断対象の範囲情報の示す範囲に含まれないと判断する。そして、その特徴量が、その範囲情報に含まれるかどうかの判断の処理は終了となる。
なお、図4Cのフローチャートでは、注目している周波数帯域におけるすべての周波数iについて、周波数変動の値が範囲情報の示す範囲に含まれる場合に、特徴量が範囲情報に含まれると判断される場合について説明したが、前述のように、閾値より多くの周波数iについて、周波数変動の値が範囲情報の示す範囲に含まれる場合に、特徴量が範囲情報に含まれると判断されてもよい。
次に、本実施の形態による無線通信方式検出装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、IEEE802.11gの周波数チャネルCH07の無線LAN(以下、単に「無線LAN」と呼ぶことがある)の信号と、IEEE802.15.4の周波数チャネルCH18(以下、単に「15.4」と呼ぶことがある)の信号との2種類の無線信号が混在している状況において受信部11が受信信号を受信したとする(ステップS101)。そして、スペクトログラム取得部12が、受信部11が受信した受信信号から、図6で示される周波数電力スペクトログラムを取得したとする(ステップS102)。図6で示されるスペクトログラムは、サンプリング周波数120Mspsのサンプリングデータを基に、長さ960点のFFTでオーバーラップ率1/2のピリオドグラム処理により取得したスペクトログラムに対して、周波数方向に8点ずつ区切り、平均化を行ったものである。最終的に取得したスペクトログラムの周波数解像度は1MHz、時間解像度は4マイクロ秒となっている。
次に、時点検出部13は、図6で示されるスペクトログラムにおいて、各周波数、各時間における時間変動Δtpi,jを算出し(ステップS103)、その時間変動が閾値より大きい周波数及び時間を特定するため、si,jを取得する(ステップS104)。その後に、スペクトログラムから各無線信号を抽出し、その無線信号に対応する無線通信方式を特定する処理が行われる(ステップS105)。
具体的には、まず、時点検出部13が、図6の破線の枠で示される15.4に対応する周波数帯域について、図7で示されるように、各時間のnjを算出したとする(ステップS201,S202)。なお、図7で示されるnjは、Δtpthを3dBとして算出されたものである。また、時点検出部13は、図7で示されるように、nj>nthとなる送信開始時点と、nj<−nthとなる送信終了時点とを特定する(ステップS203)。また、図7において、閾値を破線で示している。また、時点検出部13は、送信開始時点から送信終了時点までの期間が短い場合には、それらの時点を送信開始時点等としない。すなわち、図7において、上下方向の細い矢印の時点は、送信開始時点や送信終了時点とはならない。そのため、図7では、白抜きの矢印の始点側で示される送信開始時点から、黒塗りの矢印の終点側で示される送信終了時点までの5個の無線信号が特定されたことになる。ただし、図7では、5個目の信号の送信終了時点は図示されていない。
ここでは、その5個の信号のうち、3番目の信号に関する処理について説明する。スペクトル取得部14は、その3番目の信号について周波数スペクトルを取得する(ステップS205,S206,S301〜S309)。その周波数スペクトルは、図8で示される15.4のスペクトルである。次に、特徴量取得部15は、その15.4の周波数スペクトルから周波数変動である特徴量を取得する(ステップS207)。その周波数変動は、図9で示される15.4の周波数変動である。なお、図8、図9では、スペクトログラムの帯域幅に応じた周波数スペクトルや周波数変動である周波数方向の電力変動比を示しているが、実際には、各周波数帯域に応じた周波数スペクトルや電力変動比が取得されることになる。その後、無線通信方式検出部17は、取得された15.4の周波数変動が、記憶部16で記憶されている15.4の周波数帯域に対応する範囲情報に含まれるかどうか判断する(ステップS208)。この場合には、図5Bで示される状況と同様に、15.4に対応する範囲情報に、周波数変動の各周波数の値が含まれたとする(ステップS401〜S405)。その結果、無線通信方式検出部17は、図7で示される3番目の信号が、15.4の無線信号であると判断する(ステップS209)。なお、図7で示されるそれ以外の信号は、無線LANの信号であるため、15.4の周波数帯域に応じた周波数スペクトルが取得され、それに応じた周波数変動が取得されても、それは15.4に対応する範囲情報には含まれない。その結果、それらの信号については、無線通信方式が検出されないことになる。また、同様にして、無線LANの周波数帯域についても、送信開始時点や送信終了時点の検出、周波数スペクトルの取得、特徴量の取得、無線通信方式の検出が行われる。その場合には、15.4の無線信号については、送信開始時点や送信終了時点においてnj>nthやnj<−nthとならないため、15.4に対応する送信開始時点等は検出されない。なお、無線LANの判断処理で用いられる閾値nthは、15.4の判断処理で用いられる閾値nthとは異なる値である。無線LANと15.4との周波数帯域幅(iの個数)が異なるからである。また、それら以外の周波数帯域について送信開始時点の検出等の処理が行われても、それらの周波数帯域については、送信開始時点や送信終了時点は検出されない。その結果、それらの周波数帯域については無線信号が存在しないと判断され(ステップS205)、無線通信方式が検出されないことになる。
最後に、出力部18は、検出された無線通信方式と、その無線通信方式の無線信号が送信された期間とを出力する(ステップS106)。その結果、スペクトログラムの各期間において、どのような無線システムが通信を行っていたのかについて知ることができるようになる。
以上のように、本実施の形態による無線通信方式検出装置1によれば、スペクトログラムの時間方向における増加や減少を閾値と比較することによって、送信開始時点や送信終了時点を検出するため、電力検出閾値を用いた場合よりも、送信開始時点等をより適切に検出することができる。したがって、複数の無線信号を1個の無線信号と誤判断したり、電力の低い無線信号が検出できなくなったりする事態を回避することができる。また、簡易な演算(例えば、差の演算や総和の演算、数値の比較等)により、無線信号を検出できるため、非特許文献2の方法によって無線信号を検出する場合よりも少ない演算量や記憶容量で無線信号を検出できうることになる。また、そのようにして特定された無線信号に応じた無線通信方式を検出する際に周波数変動を用いることによって、受信電力に依存しない無線通信方式の検出が可能となる。なぜなら、例えば図8で示されるように、無線LANの受信電力に大きな差が存在していても、図9で示されるように、無線LANの周波数変動は、ほぼ同じになるからである。
また、無線通信方式検出装置1において行われる各処理の周波数解像度が検出対象の無線通信方式の周波数帯域幅に比べて十分小さい(例えば、数分の1以下など)場合には、各無線通信方式を検出できることになる。したがって、例えば、Bluetooth(登録商標)のように周波数ホッピングを行う無線通信方式についても、各チャネルに応じた周波数帯域について送信開始時点等の検出や周波数スペクトルの取得等を行うことによって、検出が可能となる。一方、各処理の周波数解像度があまり高くない場合には、例えば、周波数帯域幅の広い無線通信方式については、上記説明の手法を用いて検出を行い、Bluetooth(登録商標)のように周波数帯域幅の狭い無線通信方式については、例えば、上記非特許文献2の手法を用いて検出を行ってもよい。その場合に、例えば、時点検出部13が検出した送信開始時点(送信開始時刻)を送信間隔で除した剰余を用いることによって、Bluetooth(登録商標)の検出をより精度高く実現することができる。
なお、本実施の形態では、無線通信方式検出部17が、取得された周波数変動が、範囲情報によって示される周波数ごとの上限閾値及び下限閾値の範囲に含まれるかどうかによって無線通信方式を検出する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、無線通信方式検出部17は、無線通信方式ごとの条件を、取得された周波数変動が満たすかどうかを判断し、周波数変動が満たす条件に対応する無線通信方式を、その周波数変動に対応する無線通信方式として検出してもよい。その条件は、例えば、周波数変動における下向きのピークの周波数と、上向きのピークの周波数との差に関する条件であってもよく、その他の条件であってもよい。
また、特徴量取得部15が、周波数変動以外の特徴量を取得する場合であっても、無線通信方式検出部17は、その特徴量が範囲情報の示す範囲に含まれるかどうかを判断することにより、または、その特徴量が条件を満たすかどうかを判断することによって、その特徴量に対応する無線通信方式を検出するようにしてもよい。後者の場合には、例えば、無線通信方式ごとの条件が記憶部16で記憶されていてもよい。
また、無線通信方式検出部17は、スペクトル取得部14が取得した周波数スペクトルそのものを用いて、その周波数スペクトルに対応する無線通信方式を検出してもよい。その場合にも、例えば、周波数スペクトルがあらかじめ設定されている条件を満たすかどうか判断し、その周波数スペクトルがある条件を満たす場合に、その条件に対応する無線通信方式を検出してもよい。その条件は、例えば、中心周波数に関する条件や、周波数スペクトルの立ち上がりから立ち下がりまでの周波数の幅に関する条件等であってもよい。また、例えば、無線通信方式ごとの条件が記憶部16で記憶されていてもよい。また、無線通信方式検出部17は、例えば、パターンマッチングによって、取得された周波数スペクトルに対応する無線通信方式を検出してもよい。具体的には、無線通信方式検出部17は、取得された周波数スペクトルとマッチングするパターンを特定し、その特定したパターンに対応する無線通信方式を検出してもよい。その場合には、例えば、無線通信方式ごとのパターンが記憶部16で記憶されていてもよい。また、このように、特徴量を用いないで周波数スペクトルに対応する無線通信方式を検出する場合には、無線通信方式検出装置1は、特徴量取得部15を備えていなくてもよい。
また、本実施の形態では、2以上の無線通信方式による無線信号が重複していない場合の処理について説明したが、そのような重複が存在する場合にも、各無線通信方式を検出することも可能である。例えば、そのような重複の存在した場合には、周波数スペクトルから取得された特徴量である周波数変動は、図9における15.4の周波数変動と、無線LANの周波数変動とが重なった形状となる。そのような場合でも、15.4については、通常どおり、検出することが可能である。一方、無線LANの周波数帯域に応じた無線通信方式の検出を行う場合には、すでに検出されている15.4に応じた周波数帯域以外の周波数帯域において、周波数変動が範囲情報の示す範囲に含まれるかどうか判断し、含まれる場合には、その無線LANに応じた無線通信が行われていることを検出してもよい。なお、このような無線信号の重複に応じた検出処理を行う場合には、周波数帯域の狭い順に検出の処理を行うことが好適である。そして、無線通信方式検出部17は、ある無線信号について無線通信方式を検出する場合に、その無線信号についてすでに検出されている無線通信方式に応じた周波数帯域を除いた周波数帯域において、特徴量が範囲情報に含まれるかどうかを判断してもよい。
また、本実施の形態では、無線通信方式に対応する周波数帯域ごとに各処理を行う場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、ある無線通信方式による無線通信が行われているかどうかのみを判断する場合には、その無線通信方式に対応する周波数帯域、または、その周波数帯域を含む周波数帯域において、その無線通信方式を検出する処理を行ってもよい。そして、検出された場合には、その無線通信方式による無線通信が行われていることになり、検出されなかった場合には、その無線通信方式による無線通信が行われていないことになる。
また、本実施の形態では、受信部11が、無線通信方式の検出のために無線信号を受信する場合について主に説明したが、受信部11は、それ以外の目的のためにも無線信号を受信してもよい。また、無線通信方式検出装置1は、無線信号の送信を行ってもよい。
また、本実施の形態では、スペクトログラムが周波数電力スペクトログラムである場合について主に説明したが、それ以外のスペクトログラムであってもよいことは前述の通りである。スペクトログラムが周波数電力スペクトログラムでない場合には、上記説明におけるスペクトログラムの電力値は、スペクトログラムの電力以外の特性値であると考えてもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、無線通信方式検出装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態における無線通信方式検出装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、受信された受信信号に関するスペクトログラムを取得するスペクトログラム取得部、スペクトログラム取得部が取得したスペクトログラムの時間方向の変化において、閾値より大きい増加が周波数方向に連続している送信開始時点、及び閾値より大きい減少が周波数方向に連続している送信終了時点を検出する時点検出部、時点検出部によって検出された送信開始時点から送信終了時点までのスペクトログラムにおいて、各周波数での最大値に応じた周波数スペクトルを取得するスペクトル取得部、スペクトル取得部が取得した周波数スペクトルに対応する無線通信方式を検出する無線通信方式検出部、無線通信方式検出部による検出結果を出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を取得する取得部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
図10は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による無線通信方式検出装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
図10において、コンピュータシステム900は、CD−ROMドライブ905を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
図11は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図11において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による無線通信方式検出装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921に記憶されて、CD−ROMドライブ905に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。また、CD−ROM921に代えて他の記録媒体(例えば、DVD等)を介して、プログラムがコンピュータシステム900に読み込まれてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による無線通信方式検出装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。