JP6353811B2 - 熱伝導性硬化物、該硬化物を有する粘着テープ及び粘着シート - Google Patents

熱伝導性硬化物、該硬化物を有する粘着テープ及び粘着シート Download PDF

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本発明は、電子部品の冷却のために、発熱性電子部品の熱境界面とヒートシンク又は回路基板などの発熱部材との界面に介在し得る熱伝達材料に関する。詳細には、熱伝導性及び粘着性を有する熱伝導性硬化物、及び該硬化物を有する粘着テープ及び粘着フィルムに関する。
コンバーター、電源などの電子機器に使用されるトランジスタ及びダイオード、並びに照明やディスプレイの光源となるLED素子などの半導体は、高性能化・高速化・小型化・高集積化に伴い、それ自身が大量の熱を発生するようになっている。半導体が発生する熱により機器の温度が上昇し、動作不良、または破壊を引き起こすという問題がある。そのため、動作中の半導体の温度上昇を抑制するための、多くの熱放散方法及び熱放散部材が開発されている。
電子機器等において動作中の半導体の温度上昇を抑えるために、従来、アルミニウムや銅等、熱伝導率の高い金属板を用いたヒートシンクや筐体などの冷却部材と半導体との間に熱伝導性材料を介在させ、半導体から発生する熱を冷却部材に伝え、雰囲気との温度差により外部に放熱させていた。熱伝導性材料としては絶縁性を有する熱伝導性シートが多く用いられている。冷却部材と半導体を固定するためにはビスやクリップなどが用いられており、熱伝導性シートもビスやクリップによる押圧で固定されている。しかしビスやクリップで固定する方法は、ビスやクリップを準備し、筐体、半導体素子、及び基板などにビス止めのための穴を開けて固定するという工程を経なければならず、部品点数及び工程共に増えてしまう。その為、製造効率を考えた場合、非常に不利である。また、ビスやクリップといった部品のせいで電子機器自体の小型化や薄型化が阻まれてしまい、製品設計上でも非常に不利である。
そこで、冷却部材と半導体との間に介在させる熱伝導性シートに粘着性を付与し、筐体と半導体素子を固定する方法が考えられている。例えば特許文献1には、熱伝導性シートの両面に粘着剤を塗布した粘着剤付き熱伝導性シートが記載されている。しかし、粘着剤自体に熱伝導性がないため、粘着剤を有する熱伝導性シートは熱の伝わりが著しく悪くなる。そこで、粘着剤に熱伝導性充填剤を配合した熱伝導性組成物が開発されており、得られる硬化物の耐熱性、耐寒性、及び耐久性の点から、シリコーンをポリマーとして用いた熱伝導性組成物が開発されている。例えば、特許文献2には自己粘着性を有するシリコーン放熱シートが記載されている。特許文献3には粘着剤に熱伝導性充填剤を高充填した放熱部材用粘着性シリコーン組成物が記載されている。また、特許文献4には熱伝導性及び粘着性を有するシリコーン硬化物が記載されている。
特開2005−60594号公報 特開2008−112894号公報 特開2004−099842号公報 特開2008−260798号公報
しかし熱伝導性と粘着力は背反関係にあり、粘着剤に熱伝導性充填剤を配合するとその粘着性が損なわれてしまう。そのため上記特許文献に記載されるような熱伝導性粘着テープを用いて半導体素子を固定するためには高い圧力をある一定時間与える必要がある。しかし半導体素子は精密部品であるので、固定される際に素子に圧力が掛かると破損する可能性があり、高い圧力を掛けることは避けたい。また、上記のように半導体素子を固定させるための時間が必要とされるため製造効率の観点から不利になる。そのため、低圧力で且つ短時間で半導体素子を固定できる熱伝導性粘着テープが望まれている。即ち、高いタック力を有する熱伝導性粘着テープの開発が望まれている。
本発明は、所望の熱伝導性を有し、且つ、高いタック力を有する熱伝導性硬化物、及び該硬化物を備える粘着テープ及び粘着フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記事情に鑑み鋭意検討した結果、熱伝導性充填剤を含む付加反応硬化型シリコーン組成物にシリコーンレジンを配合し、さらに、シリコーンレジンとアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとの配合比率を特定範囲とすることにより、所望の熱伝導性を有し、且つ、高いタック力を有する熱伝導性硬化物を提供できることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち本発明は、下記(a)〜(d)及び(f)成分を含むシリコーン組成物を硬化させてなる熱伝導性硬化物であって、
(a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(b)熱伝導性充填剤 300〜900質量部、
(c)オルガノハイドロジェンポリシロキサン (a)成分中のアルケニル基の個数に対する(c)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の個数の比が0.5〜3となる量、
(d)付加反応触媒 触媒量、及び
(f)シリコーンレジン
上記(a)成分の質量と上記(f)成分の質量の比が、(a)成分/(f)成分=0.7〜0.9であり、JIS Z 3284に準拠して測定される厚み30μmにおけるタック力100gf以上を有する、前記熱伝導性硬化物を提供する。
さらに本発明は、シート状基材と、該基材の少なくとも1面に積層されている上記熱伝導性硬化物の層とを有する、熱伝導性粘着テープ及び粘着フィルムを提供する。
本発明の熱伝導性硬化物は、所望の熱伝導率を有し、且つ、高いタック力を有する。そのため低圧力及び短時間で半導体を固定することができ、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。さらに製造効率を挙げることもできる。従って、本発明の熱伝導性硬化物は、冷却部材と半導体との間に介在させる熱伝導性部材として好適に使用することができる。
以下、本発明のシリコーン組成物について詳細に説明する。
(a)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは付加反応硬化型シリコーン組成物に使用されるものであればよく特に制限されない。詳細には、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するものである。該オルガノポリシロキサンは、主鎖部分がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる直鎖状構造、該分子構造の一部に分枝鎖を含んだ構造、または環状体構造であってもよい。中でも、硬化物の機械的強度等、物性の点から、直鎖状のオルガノポリシロキサンが好ましい。
上記アルケニル基は、炭素原子数2〜10、好ましくは2〜8であるのがよい。例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、及びシクロヘキセニル基等が挙げられる。中でも、ビニル基、アリル基等の低級アルケニル基が好ましく、特にはビニル基が好ましい。
上記アルケニル基以外のケイ素原子に結合する官能基は、非置換又は置換の脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基であればよい。該1価炭化水素基は、炭素原子数1〜12、好ましくは1〜10、さらには1〜6を有するものがよい。たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基;ならびに、これらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、及び臭素等のハロゲン原子、またはシアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、及び3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。中でも、非置換または置換の、炭素原子数1〜3のアルキル基、非置換または置換のフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、フェニル基、クロロフェニル基、及びフルオロフェニル基等が好適に使用される。また、ケイ素原子に結合したアルケニル基以外の官能基は全てが同一であってもよいし、2以上の官能基の組合せであってもよい。
該オルガノポリシロキサンは、25℃において10〜100,000mm/s、特には500〜50,000mm/sの範囲にある動粘度を有するのが好ましい。動粘度が上記下限値未満では、熱伝導性シリコーン組成物の保存安定性が悪くなる。また、動粘度が上記上限値超では、熱伝導性シリコーン組成物の伸展性が悪くなるおそれがある。上記動粘度はキャノンフェンスケ粘度計により測定することができる。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、例えば、下記式で示される。
Figure 0006353811
式中、Rは、互いに独立に、非置換又は置換の脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基であり、Rは、互いに独立に、アルケニル基である。R及びRの詳細は上記した通りである。aは0〜3の整数であり、好ましくは1であり、特には両末端においてa=1であるのがよい。pは0以上の整数であり、但しaとpは同時に0にならない。qは1以上の整数であり、p+qは、上記オルガノポリシロキサンの25℃における動粘度が10〜100000mm/s、特には500〜50000mm/sとなる値である。qは好ましくは10〜100000の整数であり、さらには50〜2000の整数であり、特には100〜1000の整数である。pは0≦p/(p+q)≦0.5を満たすのがよく、さらには0≦p/(p+q)≦0.1を満たすのがよい。
上記オルガノポリシロキサンは1種単独でも、粘度や構造が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)熱伝導性充填剤
熱伝導性充填剤は、熱伝導性組成物に配合される従来公知の熱伝導性充填剤を使用することができる。例えば、非磁性の銅やアルミニウム等の金属、アルミナ、シリカ、マグネシア、ベンガラ、ベリリア、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化硼素等の金属窒化物、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、人工ダイヤモンド、及び炭化珪素等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。絶縁性を必要とする粘着テープを製造する場合には、金属酸化物、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素が好ましい。より好ましくはアルミナである。
熱伝導性充填剤は、平均粒径20μm未満を有することが好ましく、より好ましくは10μm未満を有するのがよい。本発明における平均粒径は、レーザー回折・散乱式の粒子径分布測定装置であるマイクロトラックMT3300EX(日機装)を用いて測定される体積基準の値である。
さらに、該熱伝導性充填剤において、好ましくは45μm以上の粒径を有する粒子の含有量が0.5wt%以下であり、さらに好ましくは45μm以上の粒径を有する粒子の含有量が0.3wt%以下であり、さらには0.2wt%以下であり、且つ、75μm以上の粒径を有する粒子の含有量が0%であることが好ましい。45μm以上の粒径を有する粒子(所謂、粗粒)の含有量が上記値より多いと、得られる熱伝導性硬化物の表面粗さが悪化してしまう恐れがある。特に、厚み50μm以下の硬化物を有するテープを製造する場合において、粒径が硬化物の厚みよりも大きい粒子を含むと、該粒子が硬化物表面に突出してしまい、表面精度を悪化させる。表面精度が悪くなると、被着体との接触面積が小さくなるため、十分なタック力が得られず、また熱伝導性も損なわれるため好ましくない。
本発明のシリコーン組成物に配合される熱伝導性充填剤の量は、上記(a)成分100質量部に対して、300〜900質量が好ましく、より好ましくは300質量部〜700質量部である。熱伝導性充填剤の量が上記下限値未満であると、硬化物に十分な熱伝導性を与えることができない。また熱伝導性充填剤の量が上記上限値超であると硬化物のタック力が低下してしまうため好ましくない。
(c)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは架橋剤であり、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上有する。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、又は環状であってよい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度1〜5,000mPa・sを有することが好ましく、さらに好ましくは5〜500mPa・sがよい。上記粘度はBM型回転粘度計を用いて測定することができる。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、従来公知のものを使用することができる。
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記式で示す、直鎖状シロキサン及び環状シロキサンが挙げられる。
Figure 0006353811
Figure 0006353811
式中、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、bは0または1であり、r及びsは0以上の整数であり、但し、該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度が1〜5,000mPa・s、好ましくは5〜500mPa・sとなる値である。また、b+rは、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上有する値である。tは2以上の整数であり、vは0以上の整数であり、かつt+v≧3であり、好ましくは8≧t+v≧3である。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは2種以上の混合物であってもよい。
は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜7の1価炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基及びトリル基などのアリール基、及び、ビニル基及びアリル基などのアルケニル基が挙げられる。特には、メチル基又はフェニル基が好ましい。
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたメチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独であっても2種以上の併用であってもよい。
本発明のシリコーン組成物における(c)成分の配合量は、(a)成分中のアルケニル基の個数に対する(c)成分中のSiH基の個数の比が0.5〜3となる量であり、好ましくは0.8〜2.5となる量である。(c)成分中のSiH基の量が上記下限値未満では、熱伝導性組成物が十分に硬化せず、硬化物の強度が不十分である、成形体または複合体として取り扱うことができない等の問題が発生する。上記上限値を超えると、硬化物表面の粘着性が不十分となるため好ましくない。
(d)付加反応触媒
付加反応触媒は、上記(a)成分中のアルケニル基と(c)成分中のSiH基とを付加反応させ、本発明の組成物を硬化させるものであり、従来公知の付加反応触媒であってよく、白金族金属系触媒を使用することが好ましい。該白金族金属系触媒としては、例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体、HPtCl・nHO、HPtCl・nHO、NaHPtCl・nHO、KHPtCl・nHO、NaPtCl・nHO、KPtCl・nHO、PtCl・nHO、PtCl、NaHPtCl・nHO(但し、式中のnは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス、白金黒、パラジウム等の白金族金属を、アルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの、ロジウム−オレフィンコンプレックス、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用しても良い。
触媒の添加量は触媒量であればよい。触媒量とは上記(a)成分と(c)成分との付加反応を進行させるための有効量である。通常は、(a)成分の質量に対し、白金族金属元素の質量換算で0.1〜1,000ppm、好ましくは0.5〜500ppmである。
(e)反応制御剤
本発明のシリコーン組成物は任意成分として反応制御剤を含有することができる。反応制御剤は上記付加反応の速度を調整するためのものである。反応制御剤は、シリコーン組成物を調合して基材に塗工する際に、加熱硬化する前に組成物が増粘したりゲル化しないようにするために機能するものであり、従来公知の反応制御剤を使用することができる。例えば、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、エチニルメチリデンカルビノール、3−ブチン−1−オール等のアセチレン化合物、窒素化合物、有機りん化合物、硫黄化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が挙げられる。これらの付加反応抑制剤は、単独で使用することも2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明のシリコーン組成物における(e)成分の配合量は、(d)成分の使用量に応じ、上記付加反応の進行を所望の反応速度にするように適宜調整されればよい。通常、(a)成分の質量に対して、10〜50,000ppm程度とするのがよい。(e)成分の配合量が少なすぎると本発明の組成物の保存安定性が不十分となり、十分な使用可能時間を確保することができないおそれがある。多すぎると、本発明の組成物の硬化性が低下するため好ましくない。
(f)シリコーンレジン
シリコーンレジンは本発明の硬化物表面に粘着性を付与するために機能する。該シリコーンレジンは特には、RSiO1/2単位(M単位)及びSiO4/2単位(Q単位)を有する三次元架橋構造を有するオルガノポリシロキサンである。該構造を有するものであれば従来公知のシリコーンレジンであってよい。好ましくは、M単位とQ単位の比(モル比)が、M/Q=0.5〜1.5であるのがよく、さらには0.6〜1.4であるのが好ましく、特には0.7〜1.3であるのが好ましい。M単位とQ単位のモル比が上記範囲内にあることにより、硬化物に所望の粘着力を付与することができる。
上記式中のRは、互いに独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない、非置換又は置換の1価炭化水素基である。好ましくは炭素原子数1〜12、さらには炭素原子数1〜10、特には炭素原子数1〜6であるのがよい。Rで示される基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、及びビフェニリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、及びメチルベンジル基等のアラルキル基、並びにこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、及び臭素等のハロゲン原子、またはシアノ基等で置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、及びシアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。上記の中でも、炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基、及び非置換又は置換のフェニル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、フェニル基、クロロフェニル基、及びフルオロフェニル基等が好適に使用できる。特には、耐溶剤性等の特殊な特性を要求されない限り、コスト、その入手のし易さ、化学的安定性、環境負荷等の観点から、全てのRがメチル基であることが好ましい。
上記オルガノポリシロキサンは2種以上の併用であってもよい。また、本発明の特性を損なわない範囲でRSiO1.5単位及び/又はRSiO単位を有していても良い。Rは上記の通りである。
本発明はシリコーン組成物における該シリコーンレジンの含有量と上記(a)成分の含有量の比が特定範囲内にあることを特徴とする。詳細には、(f)成分の質量に対する(a)成分の質量の比が0.7以上0.9以下、好ましくは0.75以上0.85以下であることを特徴とする。該比率が上記下限値未満では、硬化物は十分なタック力を有することができない。また上記上限値超では、硬化物の強度が低下するため、取扱いが難しくなる。
尚、上記シリコーンレジンは、通常、室温で固体又は粘稠な液体である。本発明においてはシリコーンレジンを溶剤に溶解した状態で使用することも可能である。その場合、組成物中に含まれる溶剤分を除いたシリコーンレジンの量が上記範囲を満たすように配合されればよい。該溶剤としては後述する有機溶剤が使用できる。
(g)オルガノポリシロキサン
本発明の組成物は、さらに下記式
Figure 0006353811
で表されるオルガノポリシロキサンを配合することができる。これにより、充填剤とシリコーン成分の濡れ性を向上させることができる。
上記式においてRは、互いに独立に、非置換又は置換の、炭素数1〜18、好ましくは1〜10の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、例えば、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル等が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。分岐鎖状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基等が挙げられる。中でも、Rは好ましくはメチル基、フェニル基である。
上記式においてRは、互いに独立に、炭素数1〜5の、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、又はアシル基である。アルキル基としては、例えば、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基が挙げられ、上記でRのために例示したものが挙げられる。アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、メトキシプロピル基が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基、オクタノイル基が挙げられる。中でも、Rはアルキル基であることが好ましく、特にはメチル基、エチル基であることが好ましい。
上記式においてxは5〜100の整数であり、好ましくは10〜80の整数である。cは1〜3の整数であり、好ましくは3である。
上記式で表されるオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記の化合物を挙げることができる。
Figure 0006353811
上記オルガノポリシロキサンの配合量は、(a)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜200質量部であり、より好ましくは0.01〜150質量部である。該オルガノポリシロキサンの量が上記下限値より少ないと濡れ性を十分付与できないおそれがある。また、配合量を上記上限値より多くしても濡れ性を付与する効果が増大することはなく、不経済である。
本発明のシリコーン組成物は、塗工の際の粘度を下げるために有機溶剤を添加してもよい。該有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン、オクタン、イソパラフィンなどの脂肪族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤などが使用される。
本発明のシリコーン組成物には、上記した各成分以外にさらに任意成分を添加することができる。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルジフェニルシロキサンなどの非反応性のポリオルガノシロキサン;フェノール系、キノン系、アミン系、リン系、ホスファイト系、イオウ系、チオエーテル系などの酸化防止剤;トリアゾール系、ベンゾフェノン系などの光安定剤;リン酸エステル系、ハロゲン系、リン系、アンチモン系などの難燃剤;カチオン活性剤、アニオン活性剤、非イオン系活性剤などの帯電防止剤が挙げられる。
本発明のシリコーン組成物は、上記した各成分を均一に混合することにより調製される。調製方法は従来公知の方法に従えばよい。組成物の硬化条件は、特に制限されるものでない。例えば、60〜150℃、好ましくは80〜150℃で、30秒〜30分、好ましくは1〜20分であるのがよい。
[熱伝導率]
本発明の熱伝導性硬化物は、熱伝導率0.5W/mK以上、特には熱伝導率0.5W/mK以上3W/mK以下、好ましくは0.5W/mK以上2W/mK以下を有することができる。熱伝導率が上記下限値よりも低いと、十分な熱伝導性を発揮することができない。熱伝導率は高ければ高いほど好ましいが、上記上限値超の熱伝導率を得るためには熱伝導性充填剤の含有量を多量にする必要がある。しかし熱伝導性充填剤の量が多すぎると、硬化物が十分なタック力を有することができないため好ましくない。尚、本発明における熱伝導率は、30μm厚の熱伝導性硬化物と50μm厚の熱伝導性硬化物の夫々を有する粘着テープを、夫々アルミプレートで挟み込み、レーザーフラッシュ法により各硬化物層の熱抵抗を測定し、硬化物の厚みと熱抵抗の関係から求めることができる。尚、厚みと熱抵抗の値を基に直線又は線形近似曲線を引き、得られる直線の傾きの逆数が熱伝導率となる。
[タック力]
本発明の熱伝導性硬化物は高いタック力を有することができる。好ましくは、低圧力及び短時間で半導体素子を固定するために必要とされる高いタック力を有することができる。より詳細には、30μm厚を有する熱伝導性硬化物において100gf以上であるタック力、特には100gf以上500gf以下であるタック力を有することができる。タック力が上記下限値未満であると低応力で半導体素子を固定することができず、高い圧力が必要となる。タック力は高ければ高いほどいいが、高すぎると、得られる粘着テープや粘着フィルムの強度が不十分となる場合があり、粘着テープや粘着フィルムの取扱い性又は作業性に問題が起こるおそれがある。尚、上記タック力は熱伝導性硬化物の厚みに依存し、硬化物が厚いほどタック力は高くなる傾向にある。その為、高いタック力を得るために硬化物の厚みを厚くすることが考えられる。しかし硬化物の厚みが厚くなると熱伝導性が損なわれてしまうため好ましくない。所望の熱伝導性を確保するために好ましい硬化物の厚さは20〜500μm、特には30〜300μm、さらに特には30〜200μmである。上記タック力は、JIS Z 3284「ソルダペースト−第3部:印刷性、粘度特性、だれ及び粘着性試験」(定圧侵入方式)に準拠して測定されたものである。該タック力は、タッキネステスターTK−1(マルコム製)を用いて測定することができる。
本発明のシリコーン組成物を種々のシート状基材に塗工し、所定の条件にて硬化させることにより、熱伝導性硬化物層(粘着剤層)を有する粘着テープ又は粘着フィルムを得ることができる。シリコーン組成物を塗工する基材は、特に制限されるものでない。例えば、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム;アルミニウム箔、銅箔などの金属箔;和紙、合成紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙;布;ガラス繊維;これらのうちの複数を積層してなる複合基材等のシート状基材が挙げられる。シリコーン粘着剤層とこれらの基材との密着性を向上させるために、基材に予めプライマー処理、コロナ処理、エッチング処理、又はプラズマ処理してもよい。また、上記基材を実装時に粘着剤層から剥がす場合(即ち、基材をセパレーターとして用いる場合)には、該基材は予めフッ素系離型剤で表面処理されていてもよい。例えば、パーフロロアルキル基や、パーフロロポリエーテル基等のフッ素置換基を主鎖に持つ変性シリコーンが挙げられる。市販品としては、信越化学工業(株)製のX−70−201、X−70−258等が挙げられる。
粘着テープ及び粘着フィルムの製造方法は従来公知の方法に従えばよい。例えば、上記基材の一面にシリコーン組成物を塗工し硬化して製造することができる。組成物を上記溶剤で希釈した場合は、組成物を基材に塗工した後、硬化前に溶剤を揮発させるのが好ましい。塗工方法は特に制限されるものでないが、バーコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スピンコーター等を用いて、基材上に液状の材料を薄膜状に塗布する方法が挙げられる。また、剥離コーティングを行った剥離フィルムや剥離紙にシリコーン組成物を塗工し、硬化を行った後、上記基材に該フィルムの粘着層面を貼り合わせること(所謂、転写法)により製造することもできる。
組成物の塗工量は、得られる硬化物の厚みが20〜500μm、特には30〜300μm、さらに特には30〜200μmとなる量であるのが好ましい。硬化物の厚さが上記下限値未満では、取り扱いが悪く、また粘着性が低下する恐れがある。硬化物の厚さが上記上限値超では、所望の熱伝導性を得られないおそれがあるため好ましくない。
本発明の粘着テープ及び粘着フィルムの使用態様としては、例えば、該粘着テープ又は粘着フィルムの硬化物層面に半導体素子を固定し、その後基材を剥離する。露出された硬化物層のもう一方の面に冷却部材を固定することにより、半導体素子と冷却部材との間に本発明の硬化物を介在させることができる。上記の通り、本発明の硬化物は熱伝導性が良く、且つ、高いタック性を有する。その為、低応力及び短時間で半導体素子や冷却部材を固定することができる。従って、本発明の硬化物は熱伝導部材として好適に使用される。
本発明はさらに補強層を有する粘着テープ及び粘着フィルムを提供する。該態様は、上記した粘着テープ及び粘着フィルムの少なくとも1つが、補強層の片面に上記熱伝導性硬化物層を介して積層されてなる構造、または少なくとも2つの粘着テープまたは粘着フィルムが、補強層の両面に各々上記熱伝導性硬化物層を介して積層されてなる構造を有するものである。該態様においては、補強層を有する粘着テープ及び粘着フィルムから基材を剥離することで、熱伝導性硬化物層と補強層とからなる積層体を得ることができる。後述するように該積層体を熱伝導性部材として使用することで、熱伝導性部材の強度が増し、より信頼性の高い半導体装置を提供できる。
補強層は、金属、プラスチック、ガラスクロス、及びグラファイトクロスなどから選ぶことが出来る。熱伝導性粘着テープの用途を考えた場合、プラスチックフィルムが良好であり、中でも、絶縁性と耐熱性に優れたポリイミドフィルムが好ましい。ポリイミドフィルムの厚みは5μm以上100μm以下が好ましい。5μmより薄いと十分な強度や絶縁性が得られないおそれがある。また100μm以上を有すると十分な強度と絶縁性は得られるが、熱伝導性部材全体としての熱伝導性が低下しまう。
該補強層を有する粘着テープ及び粘着フィルムの製造方法は特に制限されるものでない。例えば、上記の方法により製造された少なくとも1つの粘着テープの熱伝導性硬化物層を補強層の片面上に置き、圧着することで、補強層の片面に熱伝導性硬化物層が積層されている構造を有する粘着テープが製造される。また、少なくとも2枚の粘着テープを使用して、補強層の両方の面に夫々の熱伝導性硬化物層を圧着することで、補強層の両面に熱伝導性硬化物層が積層されている構造を有する粘着テープを得ることができる。圧着する条件は特に制限されるものでないが、通常90℃×2Kg/cm×1min.である。
該補強層を有する粘着テープ及び粘着フィルムの使用態様は、上記した使用態様と同様である。例えば補強層の両面に熱伝導性硬化物層が積層されている構造を有する粘着テープ及び粘着フィルムの場合、先ず片面にある粘着テープの基材を剥離し、露出された熱伝導性硬化物層面に半導体素子を固定する。その後もう一方の面にある粘着テープの基材を剥離し、露出された熱伝導性硬化物層面に冷却部材を固定する。これにより、熱伝導性硬化物層の間に補強層を有する積層体で半導体素子と冷却部材を介在することができる。補強層を熱伝導性硬化物層の間に有する積層体とすることで熱伝導性部材の強度が増し、より信頼性の高い半導体装置を提供できる。また、補強層の片面に熱伝導性硬化物層が積層された構造を有する粘着テープ及び粘着フィルムの場合、粘着テープの基材を剥離して露出された熱伝導性硬化物層面に半導体素子を固定する。粘着テープを有さない補強層のもう一方の面は冷却部材と接するようにする。該態様では補強層の片側(補強層と冷却部材が接する面)に粘着層がないことにより、リワークが可能になる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
下記実施例及び比較例で使用した各成分は以下の通りである。
(a)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
(a−1)下記式(a)で表され、25℃での動粘度600mm/sを有する、両末端ビニル基(Vi)含有オルガノポリシロキサン
Figure 0006353811
(a−2)上記式(a)で表され、25℃での動粘度30,000mm/sを有する、両末端ビニル基(Vi)含有オルガノポリシロキサン
(b)熱伝導性充填剤
(b−1)体積平均粒径1μmを有する酸化アルミニウム(アルミナ)粉末
粒径45μm以上を有する粒子の含有量:0.3wt%
粒径75μm以上を有する粒子の含有量:0wt%
(b−2)体積平均粒径0.6μmを有する酸化亜鉛粉末
粒径45μm以上を有する粒子の含有量:0.3wt%
粒径75μm以上を有する粒子の含有量:0wt%
(c)下記式で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン:
Figure 0006353811
式中、mは16.8(平均重合度)であり、kは6.3(平均重合度)である。
(d)付加反応触媒:5% 塩化白金酸の2−エチルヘキサノール溶液
(e)反応制御剤:エチニルメチリデンカルビノール
(f)シリコーンレジン:実質的に、MeSiO0.5単位(M単位)とSiO単位(Q単位)のみからなるシリコーンレジン(M/Qモル比は1.15)のトルエン溶液(不揮発分70%:粘度30mm/s)
(g)下記式で表されるジメチルポリシロキサン
Figure 0006353811
式中、sは30(平均重合度)である。
[実施例1〜6及び比較例1〜5]
上記各成分を表1及び2に記載の量で配合し、均一に混合してシリコーン組成物を調製した。混合はプラネタリーミキサーを用いて行った。得られたシリコーン組成物にトルエンを適量添加し、フッ素系離型剤(信越化学工業株式会社製:X−70−201)で表面処理されたPETフィルム2枚上に塗工した。塗工にはコンマコーターを使用した。80℃でトルエンを揮発させた後、120℃で5分間硬化させて、厚さ30μmの熱伝導性硬化物層を有する粘着テープと、厚さ50μmの熱伝導性硬化物層を有する粘着テープとを得た。
[評価方法]
得られた各粘着テープについて以下の試験を行った。
(1)タック力:30μm厚の熱伝導性硬化物層を有する粘着テープを用いて、JIS Z 3284に準拠して熱伝導性硬化物層のタック力(gf/30μm)を測定した。測定にはタッキネステスターTK−1(マルコム製)を使用した。結果を表1及び2に示す。
(2)熱伝導率:30μm厚の熱伝導性硬化物層を有する粘着テープと50μm厚の熱伝導性硬化物層を有する粘着テープの各々をアルミプレートに挟み込み、レーザーフラッシュ法で熱抵抗を測定した。硬化物の厚みと熱抵抗の関係から熱伝導率を導いた。尚、厚みと熱抵抗の値を基に直線を引き、得られる直線の傾きの逆数が熱伝導率となる。
結果を表1及び2に示す。
Figure 0006353811
Figure 0006353811
表2に示すように、(a)成分/(f)成分(質量比)が本発明の下限値未満である比較例1の硬化物は十分なタック力を有さない。また、(a)成分/(f)成分(質量比)が本発明の上限値超である比較例3及び5の硬化物は、テープの強度が低下して形状を保持できず、取り扱い不能となり、熱伝導性及びタック力を測定できなかった。さらに、熱伝導性充填剤の量が本発明の上限値超である比較例2の硬化物は、高い熱伝導率を有するが、タック力に劣る。熱伝導性充填剤の量が本発明の下限値未満である比較例4の硬化物は、高いタック力を有するが熱伝導率が不十分である。これに対し、本発明の熱伝導性硬化物は、高い熱伝導率を有し、且つ、高いタック力も有する。
本発明の熱伝導性硬化物は、高い熱伝導率を有し、且つ、高いタック力を有する。そのため低圧力及び短時間で半導体素子を固定することができ、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。さらに製造効率を上げることもできる。従って、本発明の熱伝導性硬化物は、冷却部材と半導体素子との間に介在させる熱伝導性部材として好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. 下記(a)〜(d)及び(f)成分を含むシリコーン組成物を硬化させてなる熱伝導性硬化物であって、
    (a)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
    (b)熱伝導性充填剤 300〜900質量部、
    (c)オルガノハイドロジェンポリシロキサン (a)成分中のアルケニル基の個数に対する(c)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の個数の比が0.5〜3となる量、
    (d)付加反応触媒 触媒量、及び
    (f)シリコーンレジン
    上記(a)成分の質量と上記(f)成分の質量の比が、(a)成分/(f)成分=0.7〜0.9であり、JIS Z 3284に準拠して測定される厚み30μmにおけるタック力100gf以上を有する、前記熱伝導性硬化物。
  2. シリコーンレジンが、RSiO1/2単位(式中、Rは脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基である)及びSiO4/2単位とを含み、RSiO1/2単位とSiO4/2単位とのモル比が0.5〜1.5である、請求項1記載の熱伝導性硬化物。
  3. 熱伝導性充填剤が平均粒径20μm未満を有し、粒径45μm以上を有する粒子の含有量が0.5wt%以下であり、且つ、粒径75μm以上を有する粒子の含有量が0wt%である、請求項1または2記載の熱伝導性硬化物。
  4. シリコーン組成物が(e)反応制御剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の熱伝導性硬化物。
  5. 熱伝導性充填剤がアルミナである、請求項1〜4のいずれか1項記載の熱伝導性硬化物。
  6. 熱伝導率0.5W/mK以上を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の熱伝導性硬化物。
  7. シート状基材と、該基材の少なくとも1面に積層されている請求項1〜のいずれか1項記載の熱伝導性硬化物の層とを有する、粘着テープ。
  8. シート状基材と、該基材の少なくとも1面に積層されている請求項1〜のいずれか1項記載の熱伝導性硬化物の層とを有する、粘着フィルム。
  9. 補強層の片面に請求項記載の粘着テープの少なくとも1つが前記熱伝導性硬化物層を介して積層されてなる、または補強層の両面に請求項記載の粘着テープの少なくとも2つが各々前記熱伝導性硬化物層を介して積層されてなる、粘着テープ。
  10. 補強層の片面に請求項記載の粘着フィルムの少なくとも1つが前記熱伝導性硬化物層を介して積層されてなる、または、補強層の両面に請求項記載の粘着フィルムの少なくとも2つが各々前記熱伝導性硬化物層を介して積層されてなる、粘着フィルム。
  11. 補強層がポリイミドフィルムである、請求項記載の粘着テープ。
  12. 補強層がポリイミドフィルムである、請求項10記載の粘着フィルム。
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