JP6353503B2 - 雑音を用いた防虫方法及び防虫装置 - Google Patents
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しかしながら、高濃度の合成性フェロモンを利用した交信かく乱剤は多大な生産コストのために適用が可能な種は限定される。また黄色LED ライトを用いた防蛾灯は西日本において果樹カメムシ(ツヤアオカメムシ)を誘引してしまうといった問題を有する。
そのため、地域を問わず利用可能な、農園芸作物を加害するヨトウガ類害虫の防除に有効な新規技術が渇望されている。
[1]
雑音を用いて、ヨトウガ類害虫の農園芸作物栽培圃場及び/又は施設への飛来を抑止する方法であって、前記ヨトウガ類害虫の行動を阻害する、前記雑音の音響パラメータが下記ア)〜エ)に示されるパラメータである合成波である雑音を前記農園芸作物栽培圃場及び/又は施設に適用し、前記ヨトウガ類害虫の成虫の飛翔行動を阻害することを含む方法:
ア)パルス長1〜200 ms
イ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)5〜400 ms
ウ)構成周波数10〜100 kHz
エ)音圧60 dB SPL 以上(測定距離50 cm;0 dB SPL = 20 μPa);
ただし雑音とは、ランダムな値の系列により生成される音を意味する。
[2]
ヨトウガ類害虫がハスモンヨトウ、ヨトウガ、シロイチモジヨトウ及びスジキリヨトウからの1種又は2種以上である[1]の方法。
[3]
ウ)構成周波数が15kHzから25kHz、25kHzから35kHz、35kHzから45kHz、45kHzから55kHz及び55kHzから65kHzのいずれかを含む[1]又は[2]の方法。
[4]
ウ)構成周波数が10〜65 kHzの周波数の音を含む広帯域雑音である[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5]
農園芸作物栽培圃場及び/又は施設においてヨトウガ類害虫を防除する方法であって、[1]〜[4]のいずれかの方法により前記圃場及び/又は施設への前記ヨトウガ類害虫の飛来を阻害することを含む方法。
[6]
雑音の音響パラメータのうち、イ)パルス間間隔が10〜100 msである[5]の方法。
[7]
上記[1]〜[4]のいずれかの方法及び/又は[5]もしくは[6]の方法を実施するための、雑音を発生する装置。
ある決まったパターンの音を使用した場合、防除対象害虫における学習の効果により忌避効果が減る場合がある。ヨトウガ類害虫においても、雑音を感知すると飛翔行動等の行動を一時的に中止するが、特定のパターンの音の連続的な提示によりその効果は低下し得る。本発明の方法においては雑音が用いられるため、音の時間的な特性に規則性はないことから、ヨトウガ類害虫における学習効果を低減又は回避することができる。
このような特長により、本発明の方法は、従来技術を上回る効果を奏するのである。
また、音の種類として純音、周波数変調音及び雑音があるところ、従来チョウ目害虫の防除のために検討されていたのは純音と周波数変調音のみであり、雑音が試されることはなかった。
すなわち本発明によるヨトウガ類害虫を防除する方法は、従来技術とは全く異なる画期的な方法なのである。
雑音を用いて、ヨトウガ類害虫の農園芸作物栽培圃場及び/又は施設への飛来を抑止する方法であって、前記ヨトウガ類害虫の行動を阻害する、前記雑音の音響パラメータが下記ア)〜エ)に示されるパラメータである合成波である雑音を前記農園芸作物栽培圃場及び/又は施設に適用し、前記ヨトウガ類害虫の成虫の飛翔行動を阻害することを含む方法:
ア)パルス長1〜200 ms
イ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)5〜400 ms
ウ)構成周波数10〜100 kHz
エ)音圧60 dB SPL 以上(測定距離50 cm;0 dB SPL = 20 μPa);
ただし雑音とは、ランダムな値の系列により生成される音を意味する、
方法である。
「雑音」は、短時間に2種又は3種以上の周波数の音から構成され、その周波数または位相がランダムに変わる音と定義することもできる。すなわち雑音とは、特定の周波数の音のみからなる音である純音や、一定の周波数の音が規則的にある特定の周期により反復される周波数変調音とは異なる音全般を意味するものである。
また、ある周波数帯域しか含まない雑音は帯域ノイズ(帯域雑音)と称される。帯域雑音のうち周波数帯域幅が広いものは広帯域雑音と称され、反対に周波数帯域幅が狭いものは狭帯域雑音と称される。広帯域と狭帯域の境界とされる周波数は明確に決まっていないが、例えば音響・騒音などの分野では帯域雑音の中心周波数に対して1/3オクターブ以内だと狭帯域雑音と、1/3オクターブ以上だと広帯域雑音と呼ばれる。かかる定義に従い、本発明においては、例えば10kHzから100kHz程度までの周波数の音を含む雑音、及び15kHzから65kHzしか含まれない雑音はいずれも広帯域雑音(周波数帯域のみにパワーを持つランダムな系列)という。スピーカを通して再生・発生された音はそのスピーカの特性によりある帯域のみが音として発生されるため帯域雑音になる。
本発明の方法においては、帯域雑音(広帯域雑音及び狭帯域雑音)、ならびに白色雑音のいずれをも用いることができる。
疑似雑音についてさらに説明するに、種類としてはM系列信号ならびにゴールド系列信号があげられる。またこれらの疑似雑音を発生させるには、回路を用いてもよいし、PC内で発生させてもよい。また、疑似雑音を発生させるには、疑似雑音をそのまま送信してもよいし、搬送波を位相変調させた波形を用いてもよい。 なお、上記M系列やゴールド系列はランダムな0、1の系列となり、この0と1とが正弦波の位相を0度または180度とし、波形を作成することができる。この正弦波のことを搬送波と呼ぶ。このような疑似雑音の発生方法は、狭帯域のスピーカ(40kHz±数kHz)で疑似雑音を使用したいときに用いる手法として有用である(図17)。
本発明の方法が適用されるヨトウガ類害虫はとくに限定されず、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、シロイチモジヨトウ及びスジキリヨトウが例示される。なお、本発明におけるヨトウガ類にはオオタバコガも包含される。
本発明の方法における雑音のパルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)は5〜400 msであればとくに限定されないところ、10〜400 msが好ましく、10〜300 msがより好ましく、10〜200 msがとくに好ましく、10〜100 msが一層好ましい。
なお、ヨトウガ類害虫においては、雑音を検知すると飛翔行動等の行動を一時的に中止するが、雑音の連続的な提示によりその効果は低下することが分かっている(慣れ又は学習効果)。雑音のパルス間間隔を上記のような間隔とすることにより、上記のような慣れ又は学習効果が生じるのを一層効率的に回避することができる。
本発明の方法における雑音の音圧は60 dB SPL (測定距離50 cm;0 dB SPL = 20 μPa)以上であればとくに限定されないところ、70 dB SPL(測定距離50 cm;0 dB SPL = 20 μPa)以上が好ましく、80 dB SPL(測定距離50 cm;0 dB SPL = 20 μPa)以上はより好ましい。
本発明の方法における、特定のパルス長及びパルス間間隔により連続的に発生させる雑音(以下において「雑音のグループ」ということがある)の持続時間は限定されず、例えば約1秒間〜約30秒間であってよい。本発明の方法において、かかる持続時間として約1秒間〜約20秒間は好ましく、約2秒間〜約20秒間は好ましく、約2秒間〜約15秒間はより好ましい。
ア)パルス長1〜100 ms
イ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)10〜400 ms
ウ)構成周波数15〜100 kHz
エ)音圧80 dB SPL 以上(測定距離5 cm;0 dB SPL = 20 μPa)。
含まれる音の周波数として、15kHzから35kHz、25kHzから45kHz、35kHzから55kHz、45kHzから65kHz、55kHzから75kHz及び65kHzから85kHzのいずれかを含むものは好ましい。この場合、雑音はこれらいずれかの波長域の雑音のみであってよく、35kHzから65kHz 25kHzから45kHzのみの雑音である本発明の方法はとくに好ましい。
含まれる音の周波数として、15kHzから45kHz、35kHzから65kHz及び55kHzから85kHzのいずれかを含むものは好ましい。この場合、雑音はこれらいずれかの波長域の雑音のみであってよく、雑音が15kHzから45kHzのみの雑音又は35kHzから65kHzのみの雑音である本発明の方法はとくに好ましい。
含まれる音の周波数として、15kHzから55kHz及び35kHzから75kHzのいずれかを含むものは好ましい。この場合、雑音はこれらいずれかの波長域の雑音のみであってよく、雑音が35kHzから75kHzのみの雑音である本発明の方法はとくに好ましい。
さらに、10kHzから100kHz程度までが送信される広帯域雑音及び実質的に20kHzから100kHz程度までが送信される広帯域雑音は、ヨトウガ類に対する忌避行動をより効率的に誘導するため好ましい。
本発明による防除方法は、ハスモンヨトウ及びオオタバコガにとくに高い効果を奏する。
(実施例1)ハスモンヨトウに対する効果(純音との比較)
<材料と方法>
[材料及び試験系]
ガ(ハスモンヨトウ、羽化後数日を経過した成虫。雌雄は区別せず)を糸で吊るし,超音波(雑音)をフレキシブル・スピーカから送信し、マイク(knowles, FG)でエコーを受信した。
糸の固定具とスピーカまでの距離を60cmとした。ガは30cmから90cmの範囲で飛行した。
ガの動きをビデオカメラで上側から撮影し、PC上で自動トラッキングを行った(図1)。
[信号の生成]
波形発生装置としてのPCにより発生させたデジタル信号をDA変換器によりアナログ信号(電圧出力)に変換し、当該アナログ信号をアンプにより増幅してスピーカから音(雑音)を発した。用いられた音の種類は以下のとおりであった:
・白色雑音(周波数10kHzから100kHz程度。ただし、スピーカの特性によって帯域雑音として適用された)
・帯域雑音:20-30kHz、25-35kHz、・・・
・純音(比較例):周波数20、25、30、・・・、60kHz
本実施例においては、PCで作製された雑音はホワイトノイズ(白色雑音。周波数10kHzから100kHz程度)であり、すべての周波数(サンプリング周波数の半分まで)を含んでいた。一方、当該雑音をスピーカを通して再生させると、スピーカの特性によりある特定の帯域のみが音として発生される(図2)。
[信号の送信]
音(雑音)の持続時間は0.1秒で、0.2秒間隔で10秒間指定の音を送信した。
その指定の音の前にビデオカメラ上に実験開始と終了の合図のための音を送信した。
指定された音の1秒前に4000Hzの音を0.1秒送信し、そのあとに指定音の種類を表す音を送信した。
加えて、指定された音の終了1秒後に、終わりの合図のための音(3500+4000Hz)の音を送信した。またコントロール刺激として無音の時間帯(200ms)を設けた。
上記10秒間の雑音の送信を、試験に供試されたガの個体が十分な羽ばたきを続け、羽ばたきが停止されるまで行った。より具体的には、10回〜30回、数分の間隔で上記10秒間の雑音を与えた(図3)。
送信信号として、PCから送信された信号及びスピーカーの特性が反映された信号のそれぞれを、図4及び図5に示す。
[解析方法] ビデオカメラで撮影された動画を確認し、羽ばたきを停止した時間を記録(詳細な時刻を決める場合は、動画のフレームレートを下げて再生し判断)した。連続して数秒以上羽ばたきを停止した個体を、停止した個体とした。また、音の送信前の飛翔に比べて、飛翔速度が速くなる等の飛翔変化を示した個体を、忌避行動した個体とした。
純音に比べて、広帯域雑音は忌避行動を引き起こす率が高かった(図6、表1)。すなわち、本発明の方法においては63%の個体が停止又は忌避を示したのに対し、純音の場合において停止又は忌避を示す個体は13%にすぎなかった。
個体差が生じた理由として、
1.今回は実験に用いたガ(ハスモンヨトウ成虫)はオス・メスの判別をせずに実験を行ったこと、及び
2.今回用いたガは業者から購入(野生のガに比べて天敵の影響が小さくなっている可能性)、
が考えられた。
その結果、純音でも停止する場合もあったが、停止までにかかる時間が広帯域雑音のほうが純音にくらべてはるかに短かった(図9)。このことから、雑音によるガに対する忌避効果は純音よりはるかに高いことが明らかになった。
<材料と方法>
[材料及び試験系]
ガ(ハスモンヨトウ、雌雄別々に飼育し、羽化後数日を経過した成虫。)を糸で吊るし、超音波を超音波スピーカから送信した。
糸の固定具とスピーカまでの距離を40cmとした。ガは30cmから50cmの範囲で飛行した。
ガの動きをビデオカメラで上側から撮影した(図1)。
[信号の生成]
波形発生装置としてのPCにより発生させたデジタル信号をDA変換器によりアナログ信号(電圧出力)に変換し、当該アナログ信号をアンプにより増幅してスピーカから音(雑音)を発した。用いられた音の種類は以下のとおりであった:
・白色雑音(スピーカの特性によって10kHz〜100kHzの帯域雑音として適用された)
・帯域雑音1:15-25kHz、25-35kHz、・・・、75-85kHz
・帯域雑音2:15-35kHz、25-45kHz、・・・、65-85kHz
・帯域雑音3:15-45kHz、35-65kHz、55-85kHz
・帯域雑音4:15-55kHz、35-75kHz
・帯域雑音5(1/3オクターブ帯域雑音):18-22kHz、27-33kHz、・・・、81-99 kHz
・疑似雑音:疑似雑音系列(9次511ビット)を40kHzで位相変調した雑音(図17)
送信信号の音圧レベルは70、80、90 dB SPLとし、各試験の目的に応じて適宜選択して用いた。
[信号の送信]
音(雑音)の持続時間は1ミリ秒から200ミリ秒で、3ミリ秒から0.4秒間隔で3秒間指定の音を送信した。
その指定の音の前にビデオカメラ上に実験開始と終了の合図のための音を送信した。
指定された音の1秒前に3000から5000Hzに周波数変調する音を0.1秒送信し、そのあとに指定音の種類を表す音を送信した。
加えて、指定された音の終了1秒後に、終わりの合図のための音(3500+4000Hz)の音を送信した。
上記3秒間の雑音を20回から94回、数秒以上の間隔で与えた。
[解析方法]
実験中のガの状態を目視で確認し、必要に応じてビデオカメラの動画も確認した。3秒間の音送信中に羽ばたきを停止した個体を、停止個体とした。また、音の送信前の飛翔に比べて、飛翔速度が速くなる等の飛翔変化を示した個体を、忌避行動した個体とした。
実験には7個体(オスが3個体、メスが4個体)と用いた。停止率及び忌避行動率を、停止した個体数及び忌避行動が引き起こされた個体数の全供試個体における割合として求めた。
結果を図10〜図15に示す。
用いられた各パルス長(持続時間:図10)及び雑音の送信周期(図11)において、本発明の方法によりハスモンヨトウの行動に対する影響が確認された。
また70及び80 dB SPLのいずれの音圧においても、上記帯域雑音1〜4において、本発明の方法によりハスモンヨトウの行動に対する影響が確認された(図12及び図13)。
さらに狭帯域の雑音(音圧80 dB SPL)を用いた場合にも、本発明の方法によりハスモンヨトウの行動に対する影響が確認された(図14)。疑似雑音についても同様であった(図15)。
実施例1及び2に示した結果から、本発明の方法はハスモンヨトウに対して、純音に比べてはるかに高い効果を奏する防虫方法(装置)を奏することが明らかになった。
なお、広帯域雑音だけでなく、10kHz程度の周波数幅をもつ帯域雑音でも、本発明の方法は効果があることも示された。
実施例2において用いた方法により、オオタバコガに対する本発明の方法の効果を調べた。
<材料と方法>
1個体のオオタバコガ成虫に対し、以下の試験の条件により行動における影響を調べた:
・雑音音の種類:白色雑音(スピーカの特性によって10kHz〜100kHzの帯域雑音として適用された)
・音圧レベル:80dB SPL
・個々の雑音発生の持続時間:1msから80ms
・雑音発生の間隔(無音の時間):下記表4に示すとおり、各持続時間に対応した無音の時間をそれぞれ設定し、これら複数の無音の時間を順番に置いて各所定の持続時間の雑音を与えた。
実験中のオオタバコガの状態を目視で確認し、3秒間の音送信中に羽ばたきを停止した場合を停止したと判定とした。また音の送信前の飛翔に比べて、飛翔速度が速くなる等の飛翔変化を示した場合を、忌避行動をしたと判定とした。
各持続時間(パルス長:1、3、15、20、40及び80ms)について、4種類の雑音発生の間隔のうち忌避行動をした場合の割合を忌避行動率として求めた。
<結果>
オオタバコガにおいても忌避行動が確認された(図16)。したがって、本発明の方法はオオタバコガにも効果を奏することが明らかになった。
実施例1〜3の結果から、本発明の方法及び装置は、ハスモンヨトウやオオタバコガといったヨトウガ類に対し、優れた効果を示すと考えられる。
Claims (6)
- 雑音を用いて、ヨトウガ類害虫の農園芸作物栽培圃場及び/又は施設への飛来を抑止する方法であって、前記ヨトウガ類害虫の行動を阻害する、前記雑音の音響パラメータが下記ア)〜エ)に示されるパラメータである合成波である雑音を前記農園芸作物栽培圃場及び/又は施設に適用し、前記ヨトウガ類害虫の成虫の飛翔行動を阻害することを含む方法:
ア)パルス長1〜200 ms
イ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)5〜400 ms
ウ)構成周波数10〜100 kHz
エ)音圧60 dB SPL 以上(測定距離50 cm;0 dB SPL = 20 μPa);
ただし雑音とは、ランダムな値の系列により生成される音を意味する。 - ヨトウガ類害虫がハスモンヨトウ、ヨトウガ、シロイチモジヨトウ及びスジキリヨトウからの1種又は2種以上である請求項1に記載の方法。
- ウ)構成周波数が15kHzから25kHz、25kHzから35kHz、35kHzから45kHz、45kHzから55kHz及び55kHzから65kHzのいずれかを含む請求項1又は2に記載の方法。
- ウ)構成周波数が10〜65 kHzの周波数の音を含む広帯域雑音である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 農園芸作物栽培圃場においてヨトウガ類害虫を防除する方法であって、請求項1〜4のいずれかに記載の方法により前記圃場への前記ヨトウガ類害虫の飛来を阻害することを含む方法。
- 雑音の音響パラメータのうち、イ)パルス間間隔が10〜100 msである請求項5に記載の方法。
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