JP6644299B2 - 果菜類栽培施設へのチョウ目害虫の飛翔行動を合成超音波により阻害する方法 - Google Patents
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しかしながら、高濃度の合成性フェロモンを利用した交信かく乱剤は多大な生産コストのために適用が可能な種は限定される。また黄色LED ライトを用いた防蛾灯は西日本において果樹カメムシ(ツヤアオカメムシ)を誘引してしまうほか、栽培施設の被覆素材によっては効果を発揮しないといった問題を有する。
また、チョウ目害虫の大部分はコウモリからの捕食を回避するために聴覚器官を獲得しており、一般に超音波を検知すると飛翔や歩行の中止、飛翔中の急旋回等の行動を示す。一方コウモリは捕食効率を上げるため、主要な餌資源であるチョウ目昆虫が検知しにくい音を発することによって、上記チョウ目害虫の行動に対抗している。したがって、単にコウモリの発する超音波を模倣しただけでは、チョウ目害虫の忌避行動を効果的に誘発できない可能性がある。このことはハスモンヨトウにも当てはまることである。
ハスモンヨトウは、幼虫が野菜、花き、果樹など多種多様な農作物を加害し、その主要な防除には化学合成殺虫剤が使用されている。しかしながら、成虫が海外から毎年飛来することに加え、卵や若齢幼虫以外は殺虫剤への感受性が低いことから、その防除は容易ではない。さらに、気候の温暖化にともない、被害期間の延長が報告されるとともに、発生量の増加が懸念されている。
近年の減農薬志向と環境保全への関心、農作物の輸出に向けた取り組みのみならず、農薬の散布労力の軽減と害虫における殺虫剤抵抗性の発達を抑止するためには、化学合成殺虫剤に代替する害虫防除技術の開発が社会的に求められている。例えば、高濃度の合成性フェロモンを含浸させた交信かく乱剤は上市されており、剤を設置した範囲においてハスモンヨトウの交尾を阻害する。しかしながら、ハスモンヨトウは高い飛翔能力を持ち、剤の有効範囲の外で交尾したメスが飛来するため、被害を顕著に抑えることはできていない。
また、夜行性チョウ目の視覚に明順応を引き起こして行動を抑制する黄色防蛾灯や緑色防蛾灯は特に花き栽培と果樹栽培において普及しつつある。しかしながら、防除効果を発揮するには防蛾灯を広範囲に設置する必要があり、成功事例は大規模農家もしくは近隣農家と協同して広域に設置している地域に限られる。合成超音波を用いたチョウ目害虫の防除技術も着目され始めているが、重要害虫であるハスモンヨトウの野外個体群が忌避する超音波パルスについては、これまで精査されていない。
したがって、最も忌避する超音波パルスを特定するためには、防除対象となるチョウ目害虫の種ごとに様々なパルス長とパルス間間隔の組合せを提示し、網羅的に忌避行動の有無を検定する必要がある。ハスモンヨトウに対して有効な超音波パルスについては、先行研究が数例あるのみである(特許文献9等)。とくに野外個体群が忌避しやすい音響パラメータに関するデータは不足しており、単一周波数で構成された超音波パルスのうち、パルス長とパルス間間隔の少数の組合せに対する忌避行動が解析されているのみである。したがって、合成超音波を経済的に実用可能な害虫防除技術として応用するためには、すなわちハスモンヨトウが忌避する超音波を発生する装置の設置台数が少数に済むようにするためには、ハスモンヨトウの忌避行動を最大限に誘起する超音波パルスのパラメータを明らかにする必要があると考えられた。
より具体的には、ハスモンヨトウは、産卵時に栽培圃場や園地の外から寄主植物体上へ飛来してくるため、より効果的な超音波パルスにより産卵に付随する飛翔行動を阻害すれば、同種による被害を効率よく抑えることが可能となることに着目した。
(1)
下記のア)〜ウ)に示される音響パラメータを有する合成超音波を用いて、ハスモンヨトウの果菜類栽培圃場への飛来を抑止する方法:
ア)構成周波数10〜80 kHzの広帯域ノイズ(単一周波数ではなく、10〜80 kHzの構成周波数の超音波が合成されたもの)
イ)パルス長2〜9 ms
ウ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)35〜170 ms。
(2)
合成超音波が音響パラメータとして
エ)音圧60 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
をさらに有する、上記(1)に記載の方法。
(3)
合成超音波が音響パラメータとして下記の1つ、2つ又は3つを有する、上記(1)又は(2)に記載の方法:
ア’)構成周波数20〜70 kHzの広帯域ノイズ
イ’)パルス長3〜6 ms
ウ’)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)60〜100 ms。
(4)
合成超音波が音響パラメータとして下記の1つ、2つ又は3つを有する上記(3)に記載の方法:
ア”)構成周波数20〜50 kHzの広帯域ノイズ
イ”)パルス長6 ms
ウ”)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)94 ms。
(5)
合成超音波が音響パラメータとして
エ’)音圧66 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
を有する、上記(2)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)
合成超音波が音響パラメータとして
ア”)構成周波数20〜50 kHzの広帯域ノイズ
イ”)パルス長6 ms
ウ”)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)94 ms
エ’)音圧66 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
を有する、上記(5)に記載の方法。
(7) 合成超音波が音響パラメータとして
エ”)音圧78 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
を有する、上記(6)に記載の方法。
(8)
果菜類栽培圃場においてハスモンヨトウを防除する方法であって、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法により前記圃場への前記ハスモンヨトウの飛来を阻害することを含む方法。
ハスモンヨトウの行動を阻害する超音波については、上記各文献のいくつかにも記載のとおりすでに知られている。しかしながら、同各文献に記載されているのはコウモリが発する超音波やオスの超音波により同種のオス個体の行動が阻害されることに留まり、メスによる行動が同種のオスの超音波により阻害されることは知られていない。これに対して本発明の方法は、オスならびにメスの飛来・侵入行動及び交尾行動のみならず既交尾メスの産卵に先立つ飛翔行動も阻害する。したがって、作物上への産卵を阻害することで、孵化幼虫及び生育ステージが進んだ幼虫がもたらす作物への被害を抑止し、また続く世代の増殖を一層効率的に阻害する。そのため、本発明の方法は、従来技術を上回る効果を奏するのである。
また、従来技術における超音波によるハスモンヨトウを防除するための方法においては、圃場等において周囲で防除に必要な音圧を維持するには5〜8 m間隔で超音波発生装置を設置しなければならないのに対し、本発明のハスモンヨトウを防除する方法によれば、より小さい音圧によって防除が可能であるため、より少ない超音波発生装置の設置台数によってハスモンヨトウを防除することが可能である。なお、ハスモンヨトウの忌避行動を誘起する超音波パルスとして雑音の利用が特許文献9において提唱されている。これに対し本発明は、ハスモンヨトウの忌避行動を最大限に誘起する超音波パルスのパラメータを明らかにすることを目的とし、ハスモンヨトウの忌避行動を誘起する超音波パルスのパラメータとしての構成周波数、パルス長及びパルス間間隔の特性を種々の試験を重ねることにより明らかにし、ハスモンヨトウの忌避行動を一層効率的に誘起することに至ったものである。また、本発明において用いられる超音波パルスの上記各パラメータ及びそれらの組み合わせは、同文献には記載されていない。例えば本発明における構成周波数10〜80 kHzの広帯域ノイズは、10〜80 kHzの構成周波数の超音波が合成されたものである。これに対し、特許文献9に記載されている方法に用いられる雑音の構成周波数は、いずれも10〜80 kHzとは異なるものである。すなわち、本発明は発明の目的、構成及び効果のいずれにおいても特許文献9に記載の発明とは異なるものであるから、本願発明は同文献に記載の発明と同一の発明ではない。
下記のア)〜ウ)に示される音響パラメータを有する合成超音波を用いて、ハスモンヨトウの果菜類栽培圃場への飛来を抑止する方法:
ア)構成周波数10〜80 kHzの広帯域ノイズ(単一周波数ではなく、10〜80 kHzの構成周波数の超音波が合成されたもの)
イ)パルス長2〜9 ms
ウ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)35〜170 ms。
他の音響パラメータとしてパルス反復率や音圧が上げられるところ、本発明の方法においては合成超音波が上記ア)、イ)及びウ)の音響パラメータを有せばパルス反復率や音圧といった他の音響パラメータにとくに制限はなく、本技術分野における通常のものを用いることができる。
本発明の方法に用いられる広帯域超音波パルスの時間構造の例を図1に示した。本例におけるパルス長は6 ms、パルス間間隔は94 msであり、パルス反復率(1秒あたりのパルス数)は10 Hzである。
例えば合成超音波の音圧はエ)音圧60 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)が好ましく、66 dB SPL (対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)も好ましい。72 dB SPL (対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)以上はより好ましく、78 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)は一層より好ましく、84 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)はさらに一層より好ましい。音圧が90 dB SPL(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)である本発明の方法は、もっとも好ましい。
音圧を78 dB SPL 以上とすることにより、飛翔停止を効率的に誘起できる。
ア’)構成周波数20〜70 kHzの広帯域ノイズ
イ’)パルス長3〜6 ms
ウ’)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)60〜100 ms。
ア”)構成周波数20〜50 kHzの広帯域ノイズ
イ”)パルス長6 ms
ウ”)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)94 ms。
エ’)音圧66 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
を有する方法も好ましい。
本発明の方法において一群のパルスからなる合成超音波を発生させ続ける回数はとくに限定されず1時間当たり10回以上が例示される。合成超音波の発生は、ハスモンヨトウの飛来を抑止するべき全期間にわたり、継続して行うことが好ましい。
ア”)構成周波数20〜50 kHzの広帯域ノイズ
イ”)パルス長6 ms
ウ”)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)94 ms
エ’)音圧66 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
を有する方法は、ハスモンヨトウ成虫の忌避行動をより確実に誘起できるため好ましい。 かかる方法のうち、
エ”)音圧78 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
である方法は、ハスモンヨトウ成虫の飛翔行動をより確実に抑止できるため、より好ましい。
設置される出力装置の個数は、圃場の広さに応じて適宜決定してよい。
例えばハスモンヨトウのメス成虫は、性フェロモンを主に暗期前半のうちに放出する。したがって、同種の防除においては、この時間帯に超音波を出力することは好ましい。
本発明の防除方法において一群のパルスからなる合成超音波を発生させ続ける回数はとくに限定されず1時間当たり10回以上が例示される。合成超音波の発生は、ハスモンヨトウを防除するべき全期間にわたり、継続して行うことが好ましい。
[実施例1]広帯域ノイズによる効果確認及びパルス長及びパルス間間隔の検討
●(材料と方法)
下記のパラメータを有する合成超音波パルスを対象個体の位置で90 dB SPLの音圧で2秒間出力し、ハスモンヨトウ成虫(未交尾オス16頭、未交尾メス13頭、既交尾メス17頭)の行動における反応の有無と反応の態様(飛翔停止、旋回)を調べた:
ア−1)構成周波数0〜96 kHzの広帯域ノイズ(単一周波数ではなく、0〜96 kHzの構成周波数の音波が合成されたもの。このうち、スピーカーの特性のため、実際に出力された周波数成分のうち、音圧の大きい20〜70 kHzの広帯域ノイズが主として供試されている。すなわち、ハスモンヨトウの行動に対する効果が奏された場合、20〜70 kHzの広帯域ノイズが有効であったことが示されたことになる)
イ−1)パルス長6 ms
ウ−1)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)94 ms(パルスの反復率10 Hz = 1秒間に10パルス)
エ−1)音圧66 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)。
ノイズについては、0〜96kHzの全周波数を均一に含むホワイトノイズをソフトウェア上で合成したものであった。
●(結果)
その結果、特定のパルス長及びパルス間間隔の超音波パルスによりハスモンヨトウ成虫の飛翔を60%以上の率で停止させることができた。組み合わせによっては、90%以上の高率で飛翔を停止させることができた(図2A及びB)。
図2Aの左から10番目のバーに示される組み合わせ(パルス長5 ms、パルス間間隔95 ms(図1に示した時間構造についてパルス長を1 ms長くし、パルス間間隔を1 ms短くしたもの))においては飛翔停止の率は80%であった。
これに対し左から12番目(パルス長5 ms、パルス間間隔20 ms)のバー、13番目(パルス長5 ms、パルス間間隔7.5 ms)のバー、24番目(パルス長20 ms、パルス間間隔30 ms)のバー、及び29番目(パルス長40 ms、パルス間間隔10 ms)のバーに示される組み合わせにおいては、飛翔の停止の率は低かった。
なお、左から10番目のバーに示される組み合わせ(パルス長5 ms、パルス間間隔95 ms)は連続音より高い効果を示した。すなわち、5 ms程度のパルス長の合成超音波を、特定の間隔により生じさせると、ハスモンヨトウに対する高い飛翔停止効果が得られることが明らかになった。
ほぼすべての試験例において60%以上の飛翔停止率が示され、パルス長2〜9 ms及びパルス間間隔35〜170 msの超音波パルスにおいて効果が認められた。
とくに左から4番目〜8番目、14番目(パルス長5〜6 ms、パルス間間隔70〜100 msの超音波パルスに相当)のバーに示される組み合わせにおいては、一層顕著に行動が抑制された。
実施例1に示した合成超音波パルスの一つ(パルス長6 ms、パルス間間隔94 ms)を60〜90 dB SPLの音圧で2秒間出力し、ハスモンヨトウ成虫の反応の有無と反応の態様(飛翔停止、旋回)を調べた。具体的には、小型クリップでハスモンヨトウ成虫(未交尾オス8頭、未交尾メス8頭、既交尾メス8頭)の腹部背面を吊るし、飛翔させた状態で正面から、6タイプの音圧の超音波パルスを提示した場合の行動における反応を調べ、音圧の大きさの相違によるハスモンヨトウに対する影響における相違を調べた。
その結果、60 dB SPL以上の音圧で忌避反応が誘起された。すなわち、60 dB SPL以上の音圧で飛翔の旋回が、78 dB SPL以上の音圧で飛翔の停止が、それぞれ顕著に誘起された(図3)。
また、66 dB SPL以上の音圧で100%の忌避が誘起された。一方、従来技術(非特許文献10)においては75 dB SPL以上が必要である。したがって、本発明によれば、従来技術におけるパルスより小さい音圧のパルスによってハスモンヨトウを防除することが可能であると考えられた。
実施例1に示した合成超音波パルス(パルス長6 ms、パルス間間隔94 ms)を90 dB SPLの音圧(測定距離10 cm)を用いて、ハスモンヨトウの既交尾メス成虫に対する効果を調査した。
上記合成超音波を10分間出力した際の、風洞(長さ66 cm、直径11.5 cm、風速0.25 cm/秒)の風上に設置した縦・横10 cmの粘着板とイチゴ生葉への、ハスモンヨトウのメス成虫(前日に交尾したメス成虫、2〜4頭 × 4〜5反復)の10分間の飛来率(トラップ率)を調べた。
その結果、ハスモンヨトウメス成虫のうち既交尾個体による産卵のための寄主植物(イチゴ)への飛翔行動が、無処理区との比較により顕著に抑制された(図4のa)。
なお、前日に交尾したメスをプラスチックカップに1頭ずつ導入し、1時間間隔で産卵した時刻を調べたところ、交尾後のハスモンヨトウのメス成虫の75%は、日没後の2時間において産卵を開始した(図4のb)。したがって、交尾後のハスモンヨトウのメス成虫は、日没後の2時間において積極的に寄主植物へ飛来するものと考えられるため、この間に超音波を出力することにより、省力的かつ効率的な防除を行える可能性が示された。
実施例1に示した合成超音波パルス(パルス長6 ms、パルス間間隔94 ms)を90 dB SPLの音圧(測定距離10 cm)で10分間出力した。より詳細には、実施例3と同じ風洞を用い誘引源にハスモンヨトウのメス成虫の性フェロモン化合物の0.1メス等量を用い、未交尾のハスモンヨトウのオス(6〜9頭 × 3反復)の誘引源への飛来率を調べた。
その結果、ハスモンヨトウのオス成虫による交尾のための性フェロモン物質への飛翔行動は、無処理区との比較により顕著に抑制された(図5のa)。
なお30 cm四方のメッシュケージに未交尾の雌雄5〜10ペアを暗期直前に導入し、交尾(交接)した時刻を調べたところ、交尾ペアの80%以上は、日没後の2時間において交尾を開始した(図5のb)。したがって、ハスモンヨトウのオス成虫は、日没後の2時間において積極的にメス成虫へ飛来するものと考えられるため、この間に超音波を出力するのが省力的かつ効率的な防除を行える可能性が示された。
野外網室内に寄主植物であるイチゴの苗32株を地植えし、横に長いメッシュケージ(長さ140 cm、高さ45 cm、幅45 cm)の短辺がイチゴ苗と接するように設置した。交尾後のハスモンヨトウのメス成虫を、メッシュケージ内のうち、イチゴ苗と反対側に放飼した(6〜9頭 × 5〜6反復)。網室に実施例1に示した合成超音波パルス(パルス長6 ms、パルス間間隔94 ms)を、84 dB SPLの音圧(測定距離10 cm)で、イチゴ苗からメッシュケージの方へ向けて夜間に17時間継続して出力し、メッシュケージ内における寄主植物側への定位をカウントした。
その結果、ハスモンヨトウのメス成虫のうち既交尾個体による産卵のための寄主植物(イチゴ)への定位は無処理区より顕著に少なかった(図6)。
すなわち、本発明の方法により、ハスモンヨトウ成虫の寄主植物への飛来が抑制され、同種の防除が可能であることが示された。
Claims (7)
- 下記のア)〜エ)に示される音響パラメータを有する合成超音波を用いて、ハスモンヨトウの果菜類栽培圃場への飛来を抑止する方法:
ア)構成周波数20〜70 kHzの広帯域ノイズ
イ)パルス長2〜9 ms
ウ)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)35〜170 ms
エ)音圧60 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)。 - 合成超音波が音響パラメータとして下記の1つ又は2つを有する、請求項1に記載の方法:
イ’)パルス長3〜6 ms
ウ’)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)60〜100 ms。 - 合成超音波が音響パラメータとして下記の1つ又は2つを有する請求項2に記載の方法:
イ”)パルス長6 ms
ウ”)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)94 ms。 - 合成超音波が音響パラメータとして
エ’)音圧66 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 - 合成超音波が音響パラメータとして
イ”)パルス長6 ms
ウ”)パルス間間隔(パルス間の静音部の長さ)94 ms
エ’)音圧66 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
を有する、請求項4に記載の方法。 - 合成超音波が音響パラメータとして
エ”)音圧78 dB SPL 以上(対象個体の位置における音圧; 0 dB SPL = 20 μPa)
を有する、請求項4に記載の方法。 - 果菜類栽培圃場においてハスモンヨトウを防除する方法であって、請求項1〜6のいずれかに記載の方法により前記圃場への前記ハスモンヨトウの飛来を阻害することを含む方法。
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