JP6353255B2 - 発光素子用エピタキシャル基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子に関し、特に、多重量子井戸構造を有する発光素子に関する。
13族窒化物(III族窒化物)からなる発光層を有する発光ダイオード(LED)は、長寿命・高効率の白色光源として利用可能であり、近年、従来の各種光源からLED光源への置き換えも進んでいる。バックライトや電球などの低輝度LED光源はすでに十分に普及段階にあり、さらにプロジェクターや自動車用ヘッドライトなどの高輝度用途へと展開されつつある。
LEDの発光領域である再結合層にInGaN層が含まれるようにする場合、InGaN層におけるIn組成を高めるには、成長温度を下げるのが一般的である。これは、In組成が高いと高温還元雰囲気下で分解されやすいためである。また、成膜時にインジウム(In)が凝集する現象により、InGaN層にはIn組成が局所的に高い領域が存在することも既に公知である(例えば、特許文献1参照)。
13族窒化物を用いてLEDを作製するにあたっては、n型領域から注入された電子が活性層を超えてp型領域へリークすると発光効率が低下するため、LED積層構造内に種々の工夫がなされている。例えば、p−GaN層と活性層の間にバンドギャップエネルギーがGaNよりも大きいAlGaNなどを用いた電子ブロッキング層を配置し、電子のp型領域へのリークを抑制する構造などが既に公知である(例えば、特許文献2参照)。
また、インジウムを含む窒化物半導体層をHガスにてエッチングし、量子箱を形成する方法も既に公知である(例えば、特許文献3参照)。
一方で、LEDにおいては、高駆動電流(例えば電流密度200A/cm以上)で駆動させたときに発光効率が低下する「効率ドループ」という現象が発生することも既に公知である(例えば、非特許文献1参照)。
特開2001−196632号公報 特開2009−218235号公報 特許第3773713号公報
"Efficiency droop in nitride-based light-emitting diodes" Joachim Piprek, physica status solidi (a)., Volume 207, Issue 10, pages 2217-2225, October 2010.
高駆動電流時においても十分な発光効率が確保されたLEDを実現するには、効率ドループの発生を抑制する必要がある。効率ドループは、駆動電流の電流密度を増加させるにつれて、n型領域からp型領域への活性層を超えた電子のリークがより顕著に発生することが、原因の1つであると考えられている。これは、特許文献3に開示されているような電子ブロッキング層を設けただけでは、効率ドループへの対応としては十分ではないことを意味している。
高駆動電流時の発光効率低下を抑制するためには、高駆動電流時でも多重量子井戸層に正孔が注入される確率を増加させることが有効と考えられる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高駆動電流時においても十分な発光効率が確保された発光素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、発光素子用のエピタキシャル基板の製造方法であって、GaNからなる下地基板の上に活性層を形成する活性層形成工程、を備え、前記活性層形成工程においては、前記下地基板を所定の加熱状態としてInGa1−xN(0<x≦1)からなる井戸層をエピタキシャル形成する井戸層形成工程と、前記下地基板の前記加熱状態を維持しつつ前記井戸層の表面を窒素ガスおよび水素ガスを含む雰囲気ガスにてアニールするアニール処理を行うことによって前記井戸層の表面に複数のピットを分散形成させるアニール処理工程と、前記下地基板の前記加熱状態を維持しつつ前記アニール処理後の前記井戸層の上にGaNからなる障壁層をエピタキシャル形成する障壁層形成工程と、をこの順に繰り返すことにより、多重量子井戸構造を有する前記活性層を形成し、前記アニール処理工程においては、前記井戸層における前記複数のピットの存在割合が2%以上25%以下となるように前記アニール処理を行う、ことを特徴とする。

請求項の発明は、請求項に記載の発光素子用エピタキシャル基板の製造方法であって、前記アニール処理工程においては、前記井戸層における前記複数のピットの存在割合が8%以上25%以下となるように前記アニール処理を行う、ことを特徴とする。
請求項1および請求項の発明によれば、活性層が多重量子井戸構造を有する発光素子において、井戸層に複数のピットを分散形成させることで、正孔と電子の再結合領域を活性層全体に分散させることができる。これにより、発光強度を確保しつつ、効率ドループを抑制することができるので、高駆動電流時においても十分な発光効率が確保された発光素子を得ることが出来る。
エピタキシャル基板10の構成を概略的に示す図である。 エピタキシャル基板10を用いて作製した発光素子20の構成を概略的に示す図である。 エピタキシャル基板10の一例についての断面TEM(透過電子顕微鏡)像である。 AFM測定により得られたピット評価用基板の断面プロファイルを例示する図である。
本明細書中に示す周期表の族番号は、1989年国際純正応用化学連合会(International Union of Pure Applied Chemistry:IUPAC)による無機化学命名法改訂版による1〜18の族番号表示によるものであり、13族とはアルミニウム(Al)・ガリウム(Ga)・インジウム(In)等を指し、15族とは窒素(N)・リン(P)・ヒ素(As)・アンチモン(Sb)等を指す。
<発光素子の概要>
図1は、本実施の形態に係る発光素子の作製に用いるエピタキシャル基板10の構成を概略的に示す図である。また、図2は、エピタキシャル基板10を用いて作製した発光素子20の構成を概略的に示す図である。
エピタキシャル基板10は、概略、MOCVD法などの公知のエピタキシャル成長手法によって、GaN下地基板1の上に、n型GaN層2と、多重量子井戸構造(MQW構造)を有する活性層(発光層)3と、p型クラッド層4と、p型GaN層5とを、この順に積層形成された(エピタキシャル形成された)ものである。なお、以降の説明においては、各層の形成をMOCVD法を用いて行う場合について説明する。
また、発光素子20は、いわゆる母基板の状態にあるエピタキシャル基板10に、公知のフォトリソグラフィー技術、エッチング技術、および、成膜技術を用いて、個々の発光素子20においてアノード電極部6およびカソード電極部7となる電極パターンを形成後、ダイサーなどによって所定の素子サイズに個片化したものである。
GaN下地基板1としては、c面つまりは(0001)面を主面とする、表面が原子レベルで平坦なものを用いる。GaN下地基板1のサイズに特段の制限はないが、取り扱いの容易さという点からは、直径が数インチ程度で、厚みが数百μm〜数mm程度のものが好適である。
n型GaN層2は、例えばSiなどのn型のドーパントがドープされてなるGaNからなる層である。n型GaN層2は例えば、TMG(トリメチルガリウム)ガスをGa原料ガスとし、シランガスをSiドーパント原料ガスとし、アンモニアガスをN原料ガスとし、窒素ガスと水素ガスとをキャリアガスとして、1050℃〜1150℃の形成温度にて1μm〜10μm程度の厚みに形成されてなるのが好適である。また、Siのドープ濃度は、2×1018/cm〜2×1019/cm程度であるのが好適である。なお、以降も含め、本明細書において、形成温度とは、対象となる層を形成する際のGaN下地基板1に対する加熱温度を意味している。
活性層3は、発光素子20において発光を担う層であり、InGa1−xN(0<x≦1)からなる井戸層(第1単位層)31とGaNからなる障壁層(第2単位層)32とを繰り返し交互に積層してなる多重量子井戸構造(MQW構造)を有する層である。
活性層3は、700℃〜850℃の形成温度にて形成するのが好適である。具体的には、井戸層31は、TMGガスをGa原料ガスとし、TMI(トリメチルインジウム)ガスをIn原料ガスとし、アンモニアガスをN原料ガスとし、窒素ガスをキャリアガスとして、2nm〜10nm程度の厚みに形成されるのが好適であり、障壁層32は、TMGガスをGa原料ガスとし、アンモニアガスをN原料ガスとし、窒素ガスをキャリアガスとして、5nm〜15nm程度の厚みに形成されるのが好適である。また、井戸層31と障壁層32の積層の繰り返し数Nは、3〜10であるのが好適である。
より詳細にいえば、図1および図2においては図示を省略しているものの、本実施の形態に係るエピタキシャル基板10(および発光素子20)においては、それぞれの井戸層31が、その上面(積層方向上方における隣接層との界面)側に開口する複数のピット(窪み)P(図3参照)が分散させて設けられてなる。ピットPは、井戸層31の形成後、障壁層32の形成前に、アニール処理を行うことによって形成されたものである。ピットPおよび活性層3にピットPが備わることの詳細については後述する。
p型クラッド層4は、例えばMgなどのp型のドーパントがドープされてなるAlGa1−yN(0<y≦1)からなる層である。p型クラッド層4は、TMGガスをGa原料ガスとし、TMA(トリメチルアルミニウム)ガスをAl原料ガスとし、CpMg(ビズ(シクロペンタジエニル)マグネシウム)ガスをMgドーパント原料ガスとし、アンモニアガスをN原料ガスとし、窒素ガスと水素ガスとをキャリアガスとして、950℃〜1050℃の形成温度にて5nm〜60nm程度の厚みに形成されてなるのが好適である。また、Mgのドープ濃度は、1×1018/cm〜1×1020/cm程度であるのが好適である。なお、p型クラッド層4を設けることは必須の態様ではなく、活性層3に隣接してp型GaN層5が設けられる態様であってもよい。
p型GaN5層は、例えばMgなどのp型のドーパントがドープされてなるGaNからなる層である。p型GaN5層は、TMGガスをGa原料ガスとし、CpMgガスをMgドーパント原料ガスとし、アンモニアガスをN原料ガスとし、窒素ガスと水素ガスとをキャリアガスとして、900℃〜1050℃の形成温度にて50nm〜300nm程度の厚みに形成されてなるのが好適である。また、Mgのドープ濃度は、1×1019/cm〜1×1020/cm程度であるのが好適である。
なお、p型クラッド層4およびp型GaN層5にMgドープを行った場合は、両層が形成された後のエピタキシャル基板10を、窒素雰囲気中で750℃〜950℃の温度で5分〜30分加熱する活性化処理を行うようにする。
発光素子20に備わるアノード電極部6は、p型GaN層5の上面にNi/Au積層膜として形成されてなるのが好適な一例である。アノード電極層6は、フォトリソグラフィープロセスと真空蒸着法とによって、個片化前のエピタキシャル基板10の所定位置にパターニングすることで、形成可能である。
アノード電極層6となるNi/Au積層膜を構成するNi膜、Au膜の厚みはそれぞれ、0.01μm〜0.05μm、0.05μm〜0.5μm程度であるのが好ましい。
なお、アノード電極部6となるNi/Au多層膜の形成後には、オーム性接触特性を良好なものとするために、窒素雰囲気中での500℃以上の温度での熱処理を数分間施すのが好ましい。
発光素子20に備わるカソード電極部7は、Ti/Al/Ni/Au多層膜として形成するのが好適である。カソード電極部7は、フォトリソグラフィープロセスとRIE(反応性イオンエッチング)とによって、個片化前のエピタキシャル基板10の所定位置においてn型GaN層2の一部を露出させたうえで、当該露出部分にフォトリソグラフィープロセスと真空蒸着法とによってパターニングすることで、形成可能である。なお、カソード電極部7のことをカソード電極パッド7と称することがある。
カソード電極部7となるTi/Al/Ni/Au多層膜を構成するTi膜、Al膜、Ni膜、Au膜の厚みは、それぞれ、0.01μm〜0.05μm、0.1μm〜1μm、0.02μm〜0.1μm、0.05μm〜0.3μm程度であるのが好ましい。
なお、カソード電極部7となるTi/Al/Ni/Au多層膜の形成後には、オーム性接触特性を良好なものとするために、窒素雰囲気中での900℃以上の温度での熱処理を、好ましくは1000℃での熱処理を数十秒間から数分間施すのが好ましい。
以上のような構成を有する発光素子20においては、アノード電極部6とカソード電極部7の間に電流を流すことで、発光波長が450nm以上460nm以下の範囲にある発光が得られる。具体的な発光波長は、井戸層31の組成に応じて定まる。
なお、発光素子20においては、p型クラッド層4を構成するAlGa1−yNのバンドギャップエネルギーの方が、p型GaN層5を構成するGaNのバンドギャップエネルギーが大きいことから、p型クラッド層4は電子ブロッキング層として機能するものとなっている。
<ピットの形成とその作用効果>
次に、活性層3の井戸層31に設けられるピットPについて、その形成態様および作用効果を説明する。
図3は、本実施の形態に係るエピタキシャル基板10の一例についての断面TEM(透過電子顕微鏡)像である。図3に例示したエピタキシャル基板10は、井戸層31をIn0.1Ga0.9Nにて形成し、障壁層32をGaNにて形成し、繰り返し数Nを5としたものである。図3のTEM像において、図面視左右方向に延在してなる、その上下の部分に比してより黒く見える線状の領域が、井戸層31である。そして、図3において係る井戸層31の途中に存在する、当該線状領域の不連続な部分や幅狭の部分が、ピットPの形成箇所である。ピットPは、通常、井戸層31を貫通する態様にて存在する。ピットPの内側の領域のコントラストが薄いのは、直上に形成されてなる障壁層32をなすGaNがピットP内にまで埋入しているからである。すなわち、ピットPの形成箇所においては、上下の障壁層32が接触した状態となっている。なお、障壁層32の上面(積層方向上方における隣接層との界面)側は平坦になっている。また、上述した障壁層32の厚みには、ピットPに埋入してなる部分を含まないものとする。ピットPは、概ね数十nm程度の平面サイズを有しており、各井戸層31において均一に分散して存在する。
このようなピットPは、上述のように、井戸層31を形成した後、これに続く障壁層32の形成の前に、アニール処理を行うことによって形成される。具体的には、係るアニール処理は、所定のMOCVD装置を用いたエピタキシャル基板10の形成過程において、所定厚みの井戸層31の形成を終了(TMGおよびTMIガスの供給を停止)した後、GaN下地基板1に対する加熱状態は井戸層31形成時と同じに維持しつつ、少なくとも窒素ガスと水素ガスとをアニール雰囲気ガスとしてMOCVD装置内に流すことによって実現される。なお、アニール雰囲気ガスはさらにアンモニアガスを含んでいてもよい。アニール処理終了後は、直ちに、雰囲気ガスを障壁層32の形成に適したガス種および流量に切り替えて、障壁層32を形成する。その際、GaN下地基板1に対する加熱状態は引き続き維持される。
係るアニール処理によるピットPの形成は、特許文献1に開示されているような、InGa1−xNからなる井戸層31においてIn組成が局所的に高い領域が散在して形成されるという性質、および、高In組成の領域ほど高温還元雰囲気下にてエッチングされやすいという性質を利用している。すなわち、井戸層31の形成に引き続いてアニール処理を行うことによるピットPの形成は、井戸層31のなかで、周囲に比してIn組成比が高い領域が優先的にエッチングされることによって実現されるものである。
通常は、アニール処理の時間を長くするほど、井戸層31におけるピットの存在割合(ピット割合)は大きくなる傾向がある。
本実施の形態に係る発光素子20においては、このように井戸層31にピットPを設けたことで、高駆動電流時の効率ドループ(発光効率低下)の抑制が実現される。これは、一般に、発光素子20のようにn型層、多重量子井戸構造を有する活性層、p型層という順序で層が構成された発光素子においては、正孔の移動速度が遅いために、発光(正孔と電子の再結合)が活性層のうちp型層寄りの領域で生じやすい傾向があるところ、本実施の形態に係る発光素子20においては、井戸層31にピットPを分散させることによって、活性層3内において正孔が移動しやすい状態が実現され、これによって、正孔と電子の再結合領域が、MQW構造を有する活性層3の内部全体に分散することにより奏する効果である。例えば、好適な条件でピットPを設けた発光素子20においては、ピットPを設けていない他は構成が共通する発光素子に比して、発光強度を確保しつつ、発光効率の低下度合いがおおよそ1/2以下にまで低減される。すなわち、効率ドループの抑制が実現される。
なお、ピットPの過剰形成は、正孔と電子の再結合を生じさせにくくし、発光強度自体を低下させることになるため、好ましくない。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、活性層が多重量子井戸構造を有する発光素子において、井戸層に複数のピットを分散形成させることで、正孔と電子の再結合領域を活性層全体に分散させることができる。これにより、発光強度を確保しつつ、効率ドループを抑制することができるので、高駆動電流時においても十分な発光効率が確保された発光素子を得ることが出来る。
アニール処理の条件を違えた全22種類のエピタキシャル基板10を作製し、さらに、それぞれのエピタキシャル基板10を用いて発光素子20を作製した。得られた発光素子20について、発光強度を測定し、発光効率低下率を算出した。
まず、エピタキシャル基板10の形成にあたっては、GaN下地基板1として、直径4インチで500μm厚のc面GaN基板を用意した。係るGaN下地基板1をMOCVD炉(有機金属気相成長炉)内に入れ、水素・窒素混合雰囲気中で1100℃まで加熱した後、窒素と水素をキャリアガスとして、TMGガス、アンモニアガス、シランガスを供給して、n型GaN層2を3μmの厚さに成長させた。
次に、基板温度を750℃まで低下させた後、活性層3の形成を行った。その途中、井戸層31の形成後には、アニール処理を行った。活性層3としては、In0.10Ga0.90Nからなる厚さ2nmの井戸層31と、GaNからなる厚さ10nmの障壁層32とを5層ずつ交互に形成した。
井戸層31の形成は、流量が16slmの窒素ガスをキャリアガスとしてTMGガスとTMIガスとアンモニアガスとを流すことにより行った。なお、アンモニアガスの流量は6slmとした。水素ガスは用いなかった。一方、これに続くアニール処理については、アニール雰囲気ガスの成分および流量を以下の5水準に違えた。
(条件1)窒素ガス16slm、水素ガス0slm、アンモニアガス6slm;
(条件2)窒素ガス16slm、水素ガス1slm、アンモニアガス5slm;
(条件3)窒素ガス16slm、水素ガス3slm、アンモニアガス3slm;
(条件4)窒素ガス16slm、水素ガス5slm、アンモニアガス1slm;
(条件5)窒素ガス16slm、水素ガス6slm、アンモニアガス0slm。
さらに、条件1では、アニール処理時間を0秒(アニール処理なし)、600秒、1200秒、3600秒の4水準に違えた(試料1−1〜1−4)。条件2では、アニール処理時間を60秒、120秒、240秒、480秒の4水準に違えた(試料2−1〜2−4)。条件3では、アニール処理時間を15秒、30秒、60秒、150秒、180秒、210秒の6水準に違えた(試料3−1〜3−6)。条件4では、アニール処理時間を30秒、60秒、90秒、120秒、150秒の5水準に違えた(試料4−1〜4−5)。条件5では、アニール処理時間を5秒、10秒、15秒の3水準に違えた(試料5−1〜5−3)。
また、障壁層32の形成は、流量が16slmの窒素ガスをキャリアガスとしてTMGガスとアンモニアガスとを流すことにより行った。なお、アンモニアガスの流量は6slmとした。水素ガスは用いなかった。
さらに、活性層3の形成後、基板温度を再び1080℃まで上げた後、窒素と水素をキャリアガスとして、TMAガス、TMGガス、アンモニアガス、CpMgガスをMg濃度が5×1018/cmとなるように供給して、Al0.10Ga0.90Nからなるp型クラッド層4を20nmの厚さに形成し、続いて、窒素と水素をキャリアガスとして、TMGガス、アンモニアガス、CpMgガスをMg濃度が1×1019/cmとなるように供給して、p型GaN層5を80nmの厚さに形成した。p型GaN層5を形成後、窒素雰囲気にて温度を室温まで低下させ、エピタキシャル基板10をMOCVD炉から取り出した。続いて、得られたエピタキシャル基板10を高速アニール炉(RTA)を用いて窒素雰囲気中で800℃10分間加熱処理することで、Mgの活性化処理を行った。
次に、得られたそれぞれのエピタキシャル基板10を用いて、発光素子20を作成した。
まず、エピタキシャル基板10に対し、フォトリソグラフィープロセスとRIEとによって、n型GaN層2の一部を露出させた。なお、非エッチング領域の概略寸法は0.3mm×0.3mmとした。
続いて、フォトリソグラフィープロセスと真空蒸着法とによって、n型GaN層2の露出部分に、カソード電極パッド7としてのTi/Al/Ni/Au多層膜をパターニングした。それぞれの膜の厚みはTi膜から順に15nm、220nm、40nm、75nmとした。その後、オーム性接触特性を良好なものとするために、窒素雰囲気中での700℃の熱処理を30秒間行った。
さらに、フォトリソグラフィープロセスと真空蒸着法とによって、アノード電極層6としてのNi/Au積層膜をパターニングした。それぞれの膜の厚みは、20nm、200nmとした。その後、オーム性接触特性を良好なものとするために、窒素雰囲気中での500℃の熱処理を5分間行った。
その後、ダイサーにより個片化することによって、発光素子20を得た。
得られた全22種の発光素子20について、発光強度を計測した。具体的には、アノード電極パッド6とカソード電極パッド7との間にマニュアルプローバーを介して電流を流した状態で、光パワーメータにより発光強度を測定し、その結果から、効率ドループの度合いを表す指標である発光効率低下率を求めた。
発光強度の測定は、電流密度を20A/cmとして発光素子20を駆動した場合と200A/cmとして発光素子20を駆動した場合の2通りについて行った。なお、以下においては、20A/cmという電流密度を基準電流密度と称し、その10倍である200A/cmという電流密度を10倍電流密度と称することとする。また、基準電流密度で発光素子20を駆動したときの発光強度をWaとし、10倍電流密度で発光素子20を駆動したときの発光強度をWbとする。なお、20A/cmという電流密度の値は、いずれの試料においても発光効率がほぼ最大となる条件であるという点から設定したものである。
発光効率低下率は、WaおよびWbを基準電流密度あたりの発光強度に規格化(実際には、Waはそのままの値とし、Wbは10で割る)し、得られた2つの値の差分値の、基準電流密度での発光強度Waに対する比として求めた。このようにして求まる発光効率低下率は、基準電流密度の実数倍(本実施例では10倍)の電流密度で発光素子20を駆動したときの発光強度の、基準電流密度で駆動したときの発光強度の当該実数倍の値からの低下割合を示しており、値が大きいほど、基準電流密度で駆動したときよりも発光効率が低下している、ということを表すものである。換言すれば、発光効率低下率が小さいほど、効率ドループが抑制されていることになる。
さらには、エピタキシャル基板10を作製したときと同じく、全22通りの条件でMQW構造の形成までを行った後、それぞれのMQW構造の上に、MQW構造形成時と同じ条件で井戸層31の形成とアニール処理とを行って、全22種類のピット評価用基板を作製した。そして、係るピット評価用基板を対象に、AFM(原子間力顕微鏡)によるアニール処理後の井戸層31の表面形状の測定を行い、その結果に基づいてピット割合の算出を行った。AFMによる測定は、3μm角の領域について行った。
また、ピット割合は、AFMによる形状測定範囲のうちの任意の箇所(走査位置)における断面プロファイルに基づいて特定した。具体的には、係る断面プロファイルの全範囲に対する、最深部との深さの差が0.3nm以下の範囲に属する部分の割合を、ピット割合として求めた。
図4は、試料3−3のピット評価用基板についての係る断面プロファイルを例示する図である。図4においては、最深部を高さの基準点として断面プロファイルを表している。図4からは、数百μm程度の間隔でピットPが形成されていることが確認される。なお、図4に示す試料3−3のピット割合は10%であった。
井戸層31形成時のアニール処理の条件(アニール雰囲気ガスの流量およびアニール処理時間)と、それぞれの条件についての、ピット評価用基板におけるピット割合と、基準電流密度あたりの発光強度と、発光効率低下率とを、一覧にしたものを表1に示す。なお、表1の試料1−1は、アニール処理を行っていない場合に相当する。また、ピット評価用基板に基づいて求めたピット割合は、同一条件で作製したMQW構造を有する発光素子20においても同程度であるとみなすことができる。
表1に示すように、水素ガスを含めずに窒素ガスとアンモニアガスのみをアニール雰囲気ガスとしてアニール処理を行った試料1−2〜1−4の場合は、アニール処理時間によらず、アニール処理を行わない試料1−1の場合(発光効率低下率55%)と発光効率低下率は大差がなかった。これに対して、アニール雰囲気ガスに水素を含めた他の試料の場合は、試料1−1の場合よりも発光効率低下率が小さくなった。
係る結果は、少なくとも窒素ガスと水素ガスとを含むアニール雰囲気で井戸層31の表面をアニール処理し、ピットPを形成することが、効率ドループの抑制に有効であることを指し示している。具体的には、試料2−1の結果を鑑みれば、少なくともピット割合が2%以上となるようにアニール処理を行えば、発光素子20における効率ドループの抑制という効果が得られるといえる。
特に、表1に示す結果からは、ピット割合が大きくなるほど発光効率低下率は小さくなり、効率ドループの低下は抑制されるという傾向が認められる。例えば、ピット割合が8%以上となるようにアニール処理を行った場合には、発光効率低下率が20%以下にまで低減されてなる。
ただし、その一方で、ピット割合が大きくなりすぎると発光強度自体が小さくなってしまうという傾向があることも見出せる。係る観点からは、アニール処理は、ピット割合が25%以下となる範囲で行うことが好ましいといえる。係る範囲をみたす場合、基準電流密度で駆動したときの発光強度として、アニール処理を行わない試料1−1の場合の発光強度である90mWと概ね同程度かそれ以上の80mW〜105mWという値が得られるとともに、効率ドループが抑制されてなる。
すなわち、表1に示す結果からは、アニール処理は、ピット割合が2%以上25%以下となる条件で行うのが好ましく、8%以上25%以下となる条件で行うのがより好ましいといえる。この場合、基準電流密度で駆動したときの発光強度を、アニール処理を行わない場合の発光強度と同等以上か、わずかに小さくなる程度に保ちつつ、効率ドループを好適に抑制することが出来る。
また、表1からは、アニール雰囲気ガスにおける水素ガスの流量が大きく、アンモニアガスの流量が小さいほど、短いアニール処理時間でもピット割合が大きくなり、これに応じて発光効率低下率も低減される傾向があることも見出される。係る結果からは、アニール雰囲気ガスにおける水素ガスの流量比率をアンモニアガスの流量比率よりも大きくするほど、短いアニール処理時間で効果的に効率ドループを抑制出来るということがいえる。
なお実際に発光素子20を作製し、使用する際には、ピット割合が上述の範囲をみたすように、処理条件(アニール雰囲気ガスの流量比や処理時間)を調整したうえでアニール処理を行い、発光素子を得るようにすればよい。
1 下地基板
2 n型GaN層
3 活性層
4 p型クラッド層
5 p型GaN層
6 アノード電極部
7 カソード電極部(カソード電極パッド)
10 エピタキシャル基板
20 発光素子
31 井戸層
32 障壁層
P ピット

Claims (2)

  1. 発光素子用のエピタキシャル基板の製造方法であって、
    GaNからなる下地基板の上に活性層を形成する活性層形成工程、
    を備え、
    前記活性層形成工程においては、
    前記下地基板を所定の加熱状態としてInGa1−xN(0<x≦1)からなる井戸層をエピタキシャル形成する井戸層形成工程と、
    前記下地基板の前記加熱状態を維持しつつ前記井戸層の表面を窒素ガスおよび水素ガスを含む雰囲気ガスにてアニールするアニール処理を行うことによって前記井戸層の表面に複数のピットを分散形成させるアニール処理工程と、
    前記下地基板の前記加熱状態を維持しつつ前記アニール処理後の前記井戸層の上にGaNからなる障壁層をエピタキシャル形成する障壁層形成工程と、
    をこの順に繰り返すことにより、多重量子井戸構造を有する前記活性層を形成し、
    前記アニール処理工程においては、前記井戸層における前記複数のピットの存在割合が2%以上25%以下となるように前記アニール処理を行う、
    ことを特徴とする発光素子用エピタキシャル基板の製造方法。
  2. 請求項に記載の発光素子用エピタキシャル基板の製造方法であって、
    前記アニール処理工程においては、前記井戸層における前記複数のピットの存在割合が8%以上25%以下となるように前記アニール処理を行う、
    ことを特徴とする発光素子用エピタキシャル基板の製造方法。
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