以下に、本発明の実施の形態にかかる管理装置、コアネットワーク装置、地上基地局、無線通信システムおよび無線リソース割当方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。以下の説明において、地上無線通信システムとして3GPP(3rd Generation Partnership Project)などで規定される携帯電話システムを前提に説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施の形態1.
本実施の形態では、コアネットワーク装置が、地上基地局とコアネットワーク装置との間のパス状態を監視し、管理装置が、パスの切り替えの割合で無線リソース割当を決定することで、輻輳を抑制して地上無線通信システムと衛星通信システム間で適切に無線リソースを再割当できる方法について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる地上無線通信システムおよび衛星通信システムから構成される周波数共用無線通信システム50の構成例を示す図である。無線通信システムである周波数共用無線通信システム50において、地上基地局10a,10b,10cから送信される地上無線信号12a,12b,12cによって、携帯電話システムである地上無線通信システムのサービスエリア11a,11b,11cが構築されている。地上無線通信システムを構成する地上基地局10a,10b,10cでは、地上基地局10aと移動機30aとは地上無線信号12aで接続されている。地上基地局10cと移動機30cとは地上無線信号12cで接続されている。地上基地局10bはサービスエリア11b内に移動してきた移動機と地上無線信号12bで接続する。周波数共用無線通信システム50では、地上無線通信システムの地上無線信号12と衛星通信システムのサービスリンクの衛星無線信号22bは、同一周波数帯を共用している。
以降の説明において、地上基地局10a,10b,10cを区別しないときは地上基地局10と称することがある。同様に、サービスエリア11a,11b,11cを区別しないときはサービスエリア11と称することがあり、地上無線信号12a,12b、12cを区別しないときは地上無線信号12と称することがあり、移動機30a,30cを区別しないときは移動機30と称することがある。
移動機30は、ここでは、地上無線通信システムおよび衛星通信システムの両方と通信可能な無線端末とするが、どちらか一方の通信システムでのみ通信可能な無線端末でも、周波数共用無線通信システム50を利用することが可能である。
コアネットワーク装置13は、地上基地局10と移動機30の呼制御および認証を行う装置であり、さらに、地上基地局10と管理装置15との間の通信を中継する装置である。地上基地局10とコアネットワーク装置13との間は、有線接続された有線回線14により接続される。ここで、有線回線14は、障害発生時以外に使用される通信回線であり、主回線とも呼ぶ。コアネットワーク装置13は、地上基地局10と有線回線14による通信回線で接続し、また、地上基地局10と衛星通信システムを構成する衛星20経由の衛星回線による通信回線で接続し、複数の地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパスである通信経路を監視する。
管理装置15は、地上無線通信システムと衛星通信システムの各装置の管理および共用する周波数割り当ての制御を行う装置である。管理装置15は、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパスである通信経路で使用されている通信回線の情報に基づいて、無線通信で使用する周波数帯域を共用する地上無線通信システムおよび衛星通信システムへの無線リソースの割り当てを制御する。通信回線の情報とは、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間で、有線回線14が使用されているのかまたは衛星回線が使用されているのかを示す情報である。なお、管理装置15は、周波数共用無線通信システム50内で1つの装置でよいが、これに限定されるものではなく、各々の通信システムで異なる装置として構成されてもよい。管理装置15は、複数の地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパスである通信経路で使用されている通信回線の情報に基づいて、無線通信で使用する周波数帯域を共用する地上無線通信システムおよび衛星通信システムへの無線リソースの割り当てを制御する。
衛星通信システムでは、衛星20から送信される衛星ビームによって衛星通信システムのサービスエリア21が構築される。衛星基地局23は、衛星20とフィーダリンクの回線による衛星無線信号22aを介して接続される。また、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間の有線回線14のバックアップ回線で衛星回線を利用するため、地上基地局10a,10b,10cは、衛星用端末31a,31b,31cと接続する。衛星用端末31a〜31cは、衛星20とサービスリンクの回線による衛星無線信号22bで接続される。
以降の説明において、衛星用端末31a,31b,31cを区別しないときは衛星用端末31と称することがある。
なお、地上基地局10、コアネットワーク装置13、有線回線14、管理装置15および衛星基地局23間の接続は、例えば、IP(Internet Protocol)ネットワーク、ATM(Asynchronous Transfer Mode)ネットワークなどの接続方法により構築されるが、これらに限定されるものでない。実施の形態1では、IPネットワークによる接続を前提として説明する。
図2は、実施の形態1にかかる地上基地局10および衛星用端末31の構成例を示すブロック図である。
地上基地局10において、有線インターフェース(以下、IF(Interface)とする)部100は、有線回線14によりコアネットワーク装置13および管理装置15と接続する第1の有線インターフェースである。有線IF部101は、衛星用端末31と有線により接続する第2の有線インターフェースである。監視機能部102は、有線IF部100,101の接続状態を監視し、コアネットワーク装置13との間の通信経路の切り替えを行う。アンテナ(以下、ANT(Antenna)とする)部107は、移動機30と地上無線信号12の電波を送受信する。無線IF部103は、地上無線信号12の送受信処理を行う。通信制御部104は、移動機30と無線接続のための制御を行う。電源部105は、地上基地局10内の各構成に電源を供給する。記憶部106は、地上基地局10の運用に必要な内部情報を記憶する。
衛星用端末31において、有線IF部200は、地上基地局10と有線により接続する。バッテリー部201は、衛星用端末31の各構成に電力供給を行う。ANT部205は、衛星20とサービスリンク上の衛星無線信号22bを送受信する。無線IF部202は、衛星無線信号22bの送受信処理を行う。通信制御部203は、衛星通信における無線接続のための制御を行う。記憶部204は、衛星用端末31の動作に必要な内部情報を記憶する。なお、バッテリー部201は災害時などの非常用電源として用いられるようにして、通常時は地上基地局10の電源部105または外部の電源装置から電力供給を受けるようにしてもよい。
実施の形態1では、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間の有線回線14のバックアップ回線を、地上基地局10の外部に設置された衛星用端末31を介した衛星回線とする。なお、衛星用端末31を地上基地局10の外部に設置する構成は一例であり、衛星用端末31が保有する衛星通信機能を地上基地局10に内蔵してもよい。
図3は、実施の形態1にかかるコアネットワーク装置13および管理装置15の構成例を示すブロック図である。
コアネットワーク装置13において、有線IF部300は、複数の地上基地局10、衛星基地局23および管理装置15と接続する。監視機能部301は、地上基地局10および衛星基地局23とコアネットワーク装置13との間のパスの監視を行い、パス確立状態を管理装置15に通知する。呼制御部302は、移動機30と、地上基地局10または衛星基地局23を介して呼制御および認証の処理を行う。電源部303は、コアネットワーク装置13の各構成に電源を供給する。記憶部304は、コアネットワーク装置13の運用に必要な内部情報を記憶する。なお、有線IF部300は、例えば、インターフェースボードなどのインターフェース機能を有するデバイスであるインターフェースカード1枚で構成されてもよいし、複数枚のインターフェースカードで構成されてもよい。また、本実施の形態においてコアネットワーク装置13は、パス監視を行う監視機能部301を内蔵しているが、ルータなどの外部装置として実現することも可能である。また、コアネットワーク装置13が仮想装置として構成される場合は、複数の仮想装置を集積する形態で構成してもよい。
地上基地局10とコアネットワーク装置13とが有線回線14および衛星通信システムを構成する衛星20経由の衛星回線で接続されている。監視機能部301は、複数の地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパスである通信経路を監視する。
また、記憶部304は、監視機能部301が監視した結果である複数の地上基地局10との間の通信経路で使用されている通信回線の情報を記憶する。監視機能部301は、記憶部304に記憶されている複数の地上基地局10との間の通信経路で使用されている通信回線の情報を管理装置15へ通知する。
周波数共用無線通信システム50において、伝送路網の物理的な構成が通信回線であり、伝送路網の論理的な通信経路がパスである。地上基地局10およびコアネットワーク装置13は、主回線である有線回線14またはバックアップ回線である衛星回線のいずれかの通信回線で確立したパスを用いて通信を行う。
管理装置15において、有線IF部400は、コアネットワーク装置13と接続する。無線リソース割当制御部401は、地上無線通信システムおよび衛星通信システムへの無線リソースの割り当てを制御する。電源部402は、管理装置15の各構成に電源を供給する。記憶部403は、管理装置15の運用に必要な内部情報を記憶する。
具体的に、記憶部403は、コアネットワーク装置13から取得された、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間の通信経路であるパスで使用されている通信回線の情報を記憶する。
また、無線リソースの割り当てを制御する無線リソース割当制御部401は、記憶部403に記憶されている、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパスである通信経路で使用されている通信回線の情報に基づいて、無線通信で使用する周波数帯域を共用する地上無線通信システムおよび衛星通信システムへの無線リソースの割り当てを制御する周波数割当制御部である。
つづいて、地上基地局10の監視機能部102が、有線IF部100および有線回線14を介して、コアネットワーク装置13の監視機能部301と、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパスが確立しているか否かを判定するためのパス監視を開始および終了する手順について説明する。図4は、実施の形態1にかかる地上基地局10およびコアネットワーク装置13においてパス監視を開始および終了する手順の一例を示すシーケンス図である。
地上基地局10、衛星基地局23および管理装置15において装置起動後、地上基地局10の通信制御部104および衛星基地局23は、装置運用に必要となる周波数帯域などの運用情報を取得するための運用情報取得の通知を管理装置15へ送信する(ステップST100)。
地上基地局10および衛星基地局23から運用情報取得の通知を受けた管理装置15は、無線リソース割当制御部401が記憶部403に格納されている地上基地局10の運用情報と衛星基地局23の運用情報の配信を行う(ステップST101)。
地上基地局10では、運用情報の取得に成功すると、通信制御部104および監視機能部102が、運用情報に含まれている利用する周波数情報、送信電力情報、パス監視を行う上位装置であるコアネットワーク装置13との接続情報を用いて携帯電話サービスを開始する。コアネットワーク装置13との接続情報とは、例えば、コアネットワーク装置13のIPアドレスなどの情報である。また、衛星基地局23は、運用情報の取得に成功すると、地上基地局10の運用情報に加えて、さらに運用情報に含まれる衛星基地局23についての運用情報である、衛星ビーム配置、ビーム毎の周波数割り当て、電力割り当てなどの衛星通信サービスに特有の情報を用いて衛星通信サービスを開始する。
地上基地局10の監視機能部102は、取得した運用情報を用いてサービス開始可能な状態となると、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間の通信経路であるパスを監視するためにパス確立を開始する(ステップST102)。パス監視の手段として代表的なものに、トランスポート層のプロトコルであるSCTP(Stream Control Transmission Protocol)などがあるが、これに限定されるものではない。以降の説明において使用されるパス確立要求、パス確立応答、パス監視要求およびパス監視応答の各メッセージはSCTPに基づくものとする。また、パス確立要求、パス確立応答、パス監視要求およびパス監視応答をまとめて監視信号と称することがある。
地上基地局10の監視機能部102は、コアネットワーク装置13との主回線である有線回線14と接続する有線IF部100の地上系のパス情報1、バックアップ回線である衛星用端末31と接続する有線IF部101の衛星系のパス情報2を含むパス確立要求を生成し、コアネットワーク装置13の監視機能部301へ送信する(ステップST103)。実施の形態1におけるパス情報1,2は各有線IF部のIPアドレスを前提に説明するが、これに限定されるものではない。また、コアネットワーク装置13の監視機能部301では、地上基地局10との間の地上系の通信回線と衛星系の通信回線とにおいてどちらが主回線でどちらがバックアップ回線かの判断について、パス確立要求を受信した通信回線にかかるパス情報を主回線と判断する方法、また、パスを確立した順序により主回線を判断する方法などがあるが、これらに限定されるものではない。
パス確立要求を受信したコアネットワーク装置13の監視機能部301は、地上基地局10の監視機能部102へパス確立要求の応答であるパス確立応答を生成して送信し(ステップST104)、パス確立が完了すると(ステップST105)、記憶部304に格納されているパス管理テーブルのパス監視情報に受信したパス情報を登録する(ステップST106)。
図5は、実施の形態1にかかるコアネットワーク装置13のパス管理テーブルの構成例を示す図である。パス管理テーブルは、複数の地上基地局10の地上基地局識別子に関連付けて、パス状態と、パス種別と、パス情報と、を含むパス監視情報を記憶する。地上基地局識別子は、複数の地上基地局10について、コアネットワーク装置13とパス確立した各地上基地局10を一意に識別できる識別子である。パス状態は、各地上基地局10との間でパス確立しているか否かを示す情報である。パス種別は、パス確立している場合に主回線かバックアップ回線かを示す情報である。パス情報は、主回線およびバックアップ回線の識別子および確立可能なパス数を示す情報である。例えば、地上基地局識別子1の地上基地局10では、有線IF部のIPアドレスが「10.1.1.1」のパス情報1の主回線および有線IF部のIPアドレスが「10.2.1.1」のパス情報2のバックアップ回線の2種類のパスの確立が可能であり、現在はパス情報1の主回線でパスが確立していることを示す。
地上基地局10の監視機能部102は、コアネットワーク装置13の監視機能部301からパス確立応答を受信し(ステップST104)、パス確立が完了すると(ステップST105)、パスの状態を監視するパス監視を開始する(ステップST107)。
現在はパス情報1の主回線でパスが確立していることから、地上基地局10の監視機能部102は、周期的にパスを監視するための監視信号であるパス監視要求を生成し、有線IF部100より有線回線14経由で、コアネットワーク装置13の監視機能部301へ周期的に送信する(ステップST108)。前述のようにSCTPによる監視の場合、監視機能部102は、宛先をコアネットワーク装置13、送信元を自装置とし、種別がパス監視のためのHEARTBEATを示す情報を含むパケットであるパス監視要求を生成して送信する。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス監視要求を受信すると、パス監視要求への応答であるパス監視応答を生成し、有線回線14経由で地上基地局10の監視機能部102へ送信する(ステップST109)。前述のようにSCTPによる監視の場合、監視機能部301は、宛先を地上基地局10、送信元を自装置とし、種別がHEARTBEATに対するパスが正常であることの応答であるHEARTBEAT ACKを示す情報を含むパケットであるパス監視応答を生成して送信する。
これにより、地上基地局10の監視機能部102およびコアネットワーク装置13の監視機能部301では、パス監視要求およびパス監視応答が送受信されたことにより、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間でパスが確立していることを確認できる(ステップST110)。地上基地局10の監視機能部102は、周期的にパス監視要求を送信することで、パス確立状態を監視する。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス監視が開始されたため、記憶部304のパス管理テーブルのパス監視情報を更新し(ステップST111)、パス監視情報を含むパス監視情報通知を生成し、管理装置15の無線リソース割当制御部401へ送信する(ステップST112)。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、コアネットワーク装置13からパス監視情報通知を受信すると、パス監視情報通知に含まれるパス監視情報に基づいて、記憶部403に格納されている割当判定テーブルの割当判定情報を更新する。具体的に、管理装置15の無線リソース割当制御部401では、パス監視情報通知に含まれるパス監視情報に基づいて、割当判定情報として、後述するパス情報1およびパス情報2を含むパス数の情報を更新する。
図6は、実施の形態1にかかる管理装置15の割当判定テーブルの構成例を示す図である。割当判定テーブルには、複数の地上基地局10がバックアップ回線として接続する衛星回線のビーム番号と関連付けて、複数の地上基地局10とコアネットワーク装置13との間で確立している主回線およびバックアップ回線におけるパス数が含まれている。また、割当判定テーブルには、無線リソース再割当を判定する際に使用する閾値である判定閾値と、無線リソース再割当判定後の手順を開始する再割当方法と、無線リソース再割当時にアクセス規制を設定するか否かおよびアクセス規制を設定する場合のアクセス種別の情報を含むアクセス規制情報が含まれている。アクセス規制を設定する場合のアクセス種別は、例えば、「1.全サービスのアクセス規制率を80%に設定」、「2.パケット通信サービスのアクセス規制率を100%に設定」などの項目を設定する。
ここでは、管理装置15において、地上基地局10の識別子と地上基地局10に接続される衛星用端末31とが在圏する衛星ビームの衛星ビーム番号の対応が事前に設定されることを前提としているが、これに限定されるものではなく、衛星用端末31が取得した衛星ビーム番号をパス監視要求やバックアップ回線を通じてコアネットワーク装置13または管理装置15へ通知してもよく、主回線およびバックアップ回線のIPアドレスの生成時または地上基地局10の識別子の生成時に、衛星ビーム番号に関する情報をIPアドレスまたは地上基地局10の識別子を通知する情報に付与する方法を採用してもよい。
地上基地局10において運用停止などによりパス切断を開始する場合(ステップST113)、地上基地局10の監視機能部102は、通信経路であるパスの切断を要求するパス切断要求を生成し、有線IF部100より有線回線14経由で、コアネットワーク装置13の監視機能部301に送信する(ステップST114)。前述のようにSCTPによる監視の場合、監視機能部102は、宛先をコアネットワーク装置13、送信元を自装置とし、種別がパス切断のためのSHUTDOWNを示す情報を含むパケットであるパス切断要求を生成して送信する。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス切断要求への応答であるパス切断応答を生成し、有線回線14経由で地上基地局10の監視機能部102へ送信し(ステップST115)、記憶部304に格納されているパス管理テーブルのパス監視情報からパス切断にかかる地上基地局10のパス情報を削除する(ステップST116)。前述のようにSCTPによる監視の場合、監視機能部301は、宛先を地上基地局10、送信元を自装置とし、種別がSHUTDOWNに対する切断承認の応答であるSHUTDOWN ACKを示す情報を含むパケットであるパス切断応答を生成して送信する。
図7は、実施の形態1にかかる地上基地局10および衛星基地局23の装置起動後の地上無線通信システムおよび衛星通信システムへの無線リソース割り当ての一例を示す図である。管理装置15の無線リソース割当制御部401は、周波数共用無線通信システム50で共用可能な全周波数帯域40のうち、地上無線通信システムの地上基地局10に周波数帯域41aの無線リソースを割り当て、衛星通信システムの衛星基地局23の衛星ビーム番号1には周波数帯域41bの無線リソースを割り当てる。特に記載しない場合、地上基地局10は衛星通信システムの衛星ビーム番号1の衛星無線信号照射エリアに存在していることとする。
つづいて、地上基地局10の監視機能部102が、パス断の検出によりパスの切り替えを開始する手順について説明する。図8は、実施の形態1にかかる地上基地局10がパス断の検出によりパスの切り替えを開始する手順の一例を示すシーケンス図である。
地上基地局10の監視機能部102は、周期的にパス監視要求を生成し、コアネットワーク装置13の監視機能部301へ送信する(ステップST200)。
地上基地局10の監視機能部102は、災害発生時における有線回線14の切断、装置の倒壊または停電により正常に通信を行うことができない状況が発生すると、パス監視要求を複数回再送してもパス監視要求へのパス監視応答を受信できないため、通信経路であるパスが切断されたとしてパス断を検出する(ステップST201)。地上基地局10の監視機能部102は、例えば、パス監視要求を複数回再送してもパス監視応答を受信できない回数が規定された閾値を超えた場合、パス断を検出するものとする。
パス断を検出した地上基地局10の監視機能部102は、パス情報2にかかるバックアップ回線である衛星回線を利用したパスの確立およびパスの監視を行うためにパスの切り替えを開始する(ステップST202)。地上基地局10の監視機能部102は、パス監視要求を生成し、これまで有線IF部100へ送信していたパス監視要求を、有線IF部101から衛星用端末31へ送信する(ステップST203)。
衛星用端末31では、有線IF部200が地上基地局10の有線IF部101から送信されたパス監視要求を受信すると、通信制御部203が、無線IF部202を介して衛星回線にパス監視要求を送信するため、衛星基地局23とコアネットワーク装置13との衛星回線の確立を行う(ステップST204)。
衛星用端末31の通信制御部203は、衛星回線確立後、地上基地局10から受信したパス監視要求を、無線IF部202から衛星20および衛星基地局23を介して衛星回線からコアネットワーク装置13へ送信する(ステップST205)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、有線IF部300で受信したパス監視要求がバックアップ回線の衛星回線経由であったことからパスの切り替えの発生を検出する(ステップST206)。コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス監視応答を生成し、パス監視要求を受信した経路であるバックアップ回線へパス監視応答を送信する(ステップST207)。これにより、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間で、バックアップ回線の衛星回線によるパス確立が完了する(ステップST208)。
地上基地局10の監視機能部102は、コアネットワーク装置13の監視機能部301からバックアップ回線の衛星回線を介してパス監視応答を受信し(ステップST207)、パス確立が完了すると(ステップST208)、パス切り替え後の通信回線を使用してパス監視を継続する(ステップST209)。地上基地局10の監視機能部102は、パス監視要求を生成し、衛星回線からコアネットワーク装置13の監視機能部301へ送信する(ステップST210)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、衛星回線からパス監視要求を受信すると、パス監視応答を生成し、パス監視応答を衛星回線から地上基地局10の監視機能部102へ送信する(ステップST211)。
これにより、地上基地局10の監視機能部102およびコアネットワーク装置13の監視機能部301では、地上基地局10とコアネットワーク装置13の間で衛星回線によるパスが確立していることを確認できる(ステップST212)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス切り替え後のパス監視が開始されたため、記憶部304のパス管理テーブルのパス監視情報を更新し(ステップST213)、パス監視情報を含むパス監視情報通知を生成し、管理装置15の無線リソース割当制御部401へ送信する(ステップST214)。すなわち、コアネットワーク装置13の監視機能部301は、複数の地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパスである通信経路で使用している更新された通信回線の情報を管理装置15へ通知する。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、コアネットワーク装置13からパス監視情報通知を受信すると、パス監視情報通知に含まれるパス監視情報に基づいて、記憶部403に格納されている割当判定テーブルの割当判定情報を更新し、無線リソース再割当判定処理を行う(ステップST215)。無線リソース割当制御部401は、コアネットワーク装置13から取得した、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間の通信経路であるパスで使用されている更新された通信回線の情報に基づいて、地上無線通信システムおよび衛星通信システムへの無線リソースの割り当てを変更するか否かを判定し、無線リソースの割り当てを制御する。無線リソース再割当の処理については後述する。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、無線リソース再割当を行った場合は、無線リソース再割当情報およびアクセス規制の情報を含む運用情報更新を生成し、地上基地局10および衛星基地局23へ運用情報更新を指示する(ステップST216)。
図9は、実施の形態1にかかる地上基地局10と衛星基地局23の災害発生後の地上無線通信システムおよび衛星通信システムへの無線リソース再割当の一例を示す図である。管理装置15の無線リソース割当制御部401は、共用可能な全周波数帯域40のうち、地上無線通信システムの地上基地局10には周波数帯域41a’、すなわち無線リソースを割り当てず、衛星通信システムの衛星基地局23の衛星ビーム番号1に周波数帯域41b’を割り当てる。管理装置15の無線リソース割当制御部401は、衛星ビーム番号1に周波数共用無線通信システム50で利用可能な全周波数帯域40の無線リソースを集中させることで、衛星回線の無線容量を増加させる。
管理装置15の無線リソース割当制御部401による無線リソース再割当内容は、事前に記憶部403に登録された複数の無線リソース割当ケースから選択してもよく、パス情報1のパス数とパス情報2のパス数の比率により無線リソース再割当量を決定してもよい。無線リソース割当ケースとは、有線回線14が使用できる場合、または有線回線14が使用できない場合など、想定される通信状態に対して予め設定された、共用可能な全周波数帯域40のうち、地上無線通信システムの地上基地局10に割り当てる周波数帯域の比率、および衛星通信システムの衛星基地局23の各衛星ビーム番号に割り当てる周波数帯域の比率の情報である。また、パス情報1のパス数とパス情報2のパス数の比率により無線リソース再割当量を決定するとは、例えば、無線リソース再割当の際の主回線のパス情報1のパス数が300、バックアップ回線のパス情報2のパス数が700の場合、地上無線通信システムの地上基地局10に共用可能な全周波数帯域40の30%、衛星通信システムの衛星基地局23の衛星ビーム番号1に共用可能な全周波数帯域40の70%とする。実施の形態1では、無線リソース再割当について、管理装置15の記憶部403において事前に図9に示す無線リソース割当ケースが登録されていたものとする。
管理装置15から運用情報更新の指示を受信した地上基地局10の通信制御部104はサービス停止、すなわち停波する(ステップST217)。
管理装置15から運用情報更新の指示を受信した衛星基地局23は、無線リソース割当情報を更新する(ステップST218)。そして、衛星基地局23は、衛星ビーム番号1に割り当てられた周波数帯域41b’を利用してサービスエリアを再構築する。
図10は、実施の形態1にかかる管理装置15において主回線からバックアップ回線へのパス切り替え時の無線リソース再割当判定処理の一例を示すフローチャートである。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、コアネットワーク装置13の監視機能部301から受信したパス監視情報通知より、パスの切り替えが発生した衛星ビーム番号の情報を取得する(ステップS100)。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、パスの切り替えが発生したパス情報により記憶部403の割当判定テーブルにおいてパスの切り替えが発生した衛星ビーム番号の割当判定情報のパス情報を更新し、主回線についてのパス情報1のパス数と判定閾値との比較を行う(ステップS101)。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、パスの切り替えが発生した衛星ビーム番号のパス情報1のパス数が判定閾値未満の場合(ステップS101:Yes)、衛星ビーム番号1の配下の地上基地局10が災害などの要因によりサービス継続不可と判定し、地上無線通信システムと衛星通信システムの無線リソース再割当を開始する(ステップS102)。管理装置15の無線リソース割当制御部401は、例えば、前述のように無線リソース割当ケースが登録されている場合、主回線が正常に使用できる状態、すなわちパス情報1のパス数が判定閾値以上の状態では、地上無線通信システムで利用する周波数帯域および衛星通信システムで利用する周波数帯域を、パス情報1のパス数が判定閾値以上の状態において使用する無線リソース割当ケースとして登録されていた図7に示す割当で運用することを決定する。管理装置15の無線リソース割当制御部401は、災害発生などによって無線リソース再割当する場合、すなわち、パス情報1のパス数が判定閾値未満になった場合、地上無線通信システムで利用する周波数帯域および衛星通信システムで利用する周波数帯域を、パス情報1のパス数が判定閾値未満になった場合に使用する無線リソース割当ケースとして登録されていた図9に示す割当に変更する。または、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、パス情報1のパス数が判定閾値未満になった場合、前述のように、その時点のパス情報1のパス数とパス情報2のパス数の比率により無線リソース再割当量を決定してもよい。なお、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、パスの切り替えが発生した衛星ビーム番号のパス情報1のパス数が判定閾値以上の場合(ステップS101:No)、無線リソース再割当をせずに処理を終了する。
無線リソース再割当を開始する場合、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、衛星通信システムにアクセス規制を設定するか判定する(ステップS103)。管理装置15の無線リソース割当制御部401は、無線リソース再割当時に衛星ビーム番号1のサービスエリアの特徴、例えば、サービスエリアが都市部ではユーザからのアクセス集中が想定されるため、割当判定情報にアクセス規制情報を設定する場合(ステップS103:Yes)、地上基地局10および衛星基地局23に送信する運用情報更新の指示にアクセス規制情報を設定する(ステップS104)。アクセス規制情報は、全サービスまたは音声やパケット通信などの個々のサービス毎に設定してもよく、アクセス規制の割合を設定可能としてもよい。なお、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、衛星通信システムにアクセス規制を設定しない場合(ステップS103:No)、ステップS104の処理を省略してステップS105の処理へ進む。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、無線リソース再割当情報およびアクセス規制の情報を含む運用情報更新を生成すると、衛星ビーム番号1に対する運用情報更新を衛星基地局23へ指示する(ステップS105)。同様に、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、運用情報更新を衛星ビーム番号1の配下の地上基地局10へ指示する(ステップS106)。
図11は、実施の形態1にかかる地上基地局10におけるサービス停止処理の一例を示すフローチャートである。地上基地局10の通信制御部104は、管理装置15から無線リソース割当無しおよびサービス停止の運用情報更新を受信すると、通信中の移動機30と地上基地局10のサービスエリア11に在圏する移動機30に対してサービス利用不可であることを通知するためにアクセス規制を開始する(ステップS200)。地上基地局10の通信制御部104は、ステップS201において、通信中の全ての移動機30が呼解放するまで待機し(ステップS201:No)、通信中の全ての移動機30が呼解放すると(ステップS201:Yes)、電力放射を停波してサービスの運用を停止する(ステップS202)。
このように、図4および図8のフローチャートの処理の手順に従えば、周波数共用無線通信システム50では、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパスの切り替え状態を監視することで、災害時に発生する主回線のパスの切り替えを契機にして無線リソース再割当をすることができる。
つぎに、地上無線通信システムが復旧した場合のパスの切り替えの手順について説明する。図12は、実施の形態1にかかるコアネットワーク装置13が主回線の通信回線復旧の検出によりパスの切り替えを開始する手順の一例を示すシーケンス図である。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、イーサネット(登録商標)などの規格に基づくパス再確立の処理により地上基地局10との間の主回線である有線回線14によるパスが復旧(ステップST300)してパス復旧を検出すると(ステップST301)、パス監視要求を生成し、主回線である有線回線14から、地上基地局10の監視機能部102へパス監視要求を送信する(ステップST302)。
地上基地局10の監視機能部102は、コアネットワーク装置13から有線IF部100を介してパス監視要求を受信することでパスの切り替えを検出し(ステップST303)、バックアップ回線である衛星回線から主回線である有線回線14へのパスの切り替えを開始する(ステップST304)。
地上基地局10の監視機能部102は、パス監視要求へのパス監視応答を生成し、有線IF部100から主回線である有線回線14を介して、コアネットワーク装置13の監視機能部301へ送信する(ステップST305)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、有線回線14から有線IF部300を介してパス監視応答を受信することでパスの切り替えを検出する(ステップST306)。以降は、地上基地局10の監視機能部102とコアネットワーク装置13の監視機能部301との間で主回線である有線回線14によるパス監視を行う。
パスの切り替えにより、これまでパス監視に使用されていたバックアップ回線である衛星回線は、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパス監視要求およびパス監視応答の送受信が停止するため、自動的に切断される(ステップST307)。なお、地上基地局10またはコアネットワーク装置13から明示的に衛星回線の切断手順を開始してもよい。
パスの切り替え処理が完了すると、地上基地局10の監視機能部102は、主回線の有線回線14を用いたパス監視を再開させ(ステップST308)、パス監視要求を生成し、有線IF部100からコアネットワーク装置13の監視機能部301へパス監視要求を送信する(ステップST309)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、地上基地局10の監視機能部102から有線回線14を介してパス監視要求を受信すると、パス監視応答を生成し、有線回線14を介して地上基地局10の監視機能部102へ送信する(ステップST310)。
これにより、地上基地局10の監視機能部102およびコアネットワーク装置13の監視機能部301では、地上基地局10とコアネットワーク装置13の間で主回線の有線回線14により正常に通信を行うことができる、すなわち、パスが確立していることを確認できる(ステップST311)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、正常にパスの切り替え後のパス監視が開始されたため、記憶部304のパス管理テーブルのパス監視情報を更新し(ステップST312)、パス監視情報を含むパス監視情報通知を生成し、管理装置15の無線リソース割当制御部401へ送信する(ステップST313)。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、コアネットワーク装置13からパス監視情報通知を受信すると、パス監視情報通知に含まれるパス監視情報に基づいて、記憶部403に格納されている割当判定テーブルの割当判定情報を更新し、無線リソース再割当判定処理を行う(ステップST314)。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、無線リソース再割当を行った場合は、無線リソース再割当情報およびアクセス規制の情報を含む運用情報更新を生成し、地上基地局10および衛星基地局23へ運用情報更新を指示する(ステップST315)。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間の有線回線14が復旧したことを契機に無線リソース再割当を決定した場合、図7に示す無線リソース再割当を行う。すなわち、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、図7に示す無線リソース割当を災害などの要因によって図9に示す無線リソース割当に変更した後、無線リソース割当を変更した災害などの要因が解消した場合、変更前の図7に示す無線リソース割当に戻す。
管理装置15から運用情報更新の指示を受信した地上基地局10の通信制御部104は、無線リソース割当情報を更新し(ステップST316)、周波数帯域41aを用いてサービスエリア11を再構築してサービスを再開する(ステップST317)。
管理装置15から運用情報更新の指示を受信した衛星基地局23は、無線リソース割当情報を更新する(ステップST318)。そして、衛星基地局23は、衛星ビーム番号1に割り当てる周波数帯域を周波数帯域41b’から周波数帯域41bに変更してサービスエリアを再構築する。
なお、上記の手順では、主回線の復旧はコアネットワーク装置13の監視機能部301が検出しているが、地上基地局10の監視機能部102が、バックアップ回線を使用したパス監視を実行中に、主回線に対してもパス監視要求を定期的に転送することで、主回線の復旧時に有線回線14から受信したパス監視応答のパス情報から判断してもよい。
図13は、実施の形態1にかかる管理装置15においてバックアップ回線から主回線へのパス切り替え時の無線リソース再割当判定処理の一例を示すフローチャートである。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、コアネットワーク装置13の監視機能部301から受信したパス監視情報通知より、パスの切り替えが発生した衛星ビーム番号の情報を取得する(ステップS300)。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、パスの切り替えが発生したパス情報により記憶部403の割当判定テーブルの割当判定情報のパス情報を更新し、主回線についてのパス情報1のパス数と判定閾値との比較を行う(ステップS301)。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、パス情報1のパス数が判定閾値以上の場合(ステップS301:Yes)、衛星ビーム番号1の配下の地上基地局10がサービス継続できない状態から復旧したと判定し、地上無線通信システムと衛星通信システムの無線リソース再割当を開始する。無線リソース再割当の内容は、図7に示す無線リソースの内容である。なお、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、パス情報1のパス数が判定閾値未満の場合(ステップS301:No)、無線リソース再割当をせずに処理を終了する。
無線リソース再割当を開始する場合、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、衛星通信システムにアクセス規制を設定済みか判定する(ステップS302)。管理装置15の無線リソース割当制御部401は、衛星通信システムにアクセス規制を設定済みの場合(ステップS302:Yes)、衛星基地局23に送信する運用情報更新の指示にアクセス規制解除を設定する(ステップS303)。実施の形態1では、地上基地局10のサービスを停止させているため、図13に示すフローチャートの処理では、衛星通信システムに対してのみアクセス規制設定を判定しているが、地上基地局10がサービスを継続しており、さらにアクセス規制が適用されている場合は、地上基地局10への運用情報更新の指示にアクセス規制解除を設定する。なお、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、衛星通信システムにアクセス規制が設定されていない場合(ステップS302:No)、ステップS303の処理を省略してステップS304の処理へ進む。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、無線リソース再割当情報およびアクセス規制解除の情報を含む運用情報更新を生成すると、衛星ビーム番号1への運用情報更新を衛星基地局23へ指示する(ステップS304)。同様に、管理装置15の無線リソース割当制御部401は、運用情報更新を衛星ビーム番号1の配下の地上基地局10へ指示する(ステップS305)。
このように、図12のフローチャートの処理の手順に従えば、周波数共用無線通信システム50では、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間の主回線の接続が復旧した場合においても、パスの切り替え状態を監視することで、主回線のパスの切り替えを契機にして無線リソース再割当をすることができる。
ここで、図2および図3に示す地上基地局10、衛星用端末31、コアネットワーク装置13および管理装置15のブロック図の各構成を実現するハードウェア構成について説明する。地上基地局10において、有線IF部100,101および無線IF部103はインターフェースカード、監視機能部102はCPU(Central Processing Unit)等から構成される電子回路、通信制御部104はモデム、電源部105は電源回路、記憶部106はメモリ、ANT部107は信号を送受信するアンテナ素子である。また、衛星用端末31において、有線IF部200および無線IF部202はインターフェースカード、バッテリー部201は蓄電池、通信制御部203はモデム、記憶部204はメモリ、ANT部205は信号を送受信するアンテナ素子である。また、コアネットワーク装置13において、有線IF部300はインターフェースカード、監視機能部301および呼制御部302は電子回路、電源部303は電源回路、記憶部304はメモリである。また、管理装置15において、有線IF部400はインターフェースカード、無線リソース割当制御部401は電子回路、電源部402は電源回路、記憶部403はメモリである。
なお、図2および図3に示す地上基地局10、衛星用端末31、コアネットワーク装置13、および管理装置15において、一部の構成はソフトウェアにより構成してもよい。図14は、実施の形態1にかかる地上基地局10、衛星用端末31、コアネットワーク装置13および管理装置15において一部の構成を実現する制御回路90を示す図である。地上基地局10、衛星用端末31、コアネットワーク装置13および管理装置15において一部の構成は、プロセッサ91がメモリ92に記憶された各構成用のプログラムを実行することにより実現され、データ入力回路である入力部93およびデータ出力回路である出力部94により他の構成との間でデータの受け渡しを行う。プロセッサ91、メモリ92、入力部93および出力部94は、システムバス95により接続されている。複数のプロセッサ91および複数のメモリ92が連携して図2または図3のブロック図に示す各構成の機能を実行してもよい。管理装置15については、CPU、記憶部、メモリ、LAN(Local Area Network)などを具備したコンピュータと、CPU上で動作するプログラムにより実現できる。なお、以降の実施の形態で説明する地上基地局、衛星用端末、コアネットワーク装置および管理装置の各装置の一部の構成については、同様に図14に示す制御回路90により実現することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、周波数共用無線通信システム50では、地上基地局10とコアネットワーク装置13との間のパス状態を衛星ビーム毎に監視し、災害時に主回線である有線回線14が不通となったことをバックアップ回線である衛星回線にパスの切り替えを行うことで検知し、管理装置15がパスの切り替えの割合により無線リソース割当を決定することとした。これにより、ユーザからのトラヒック集中による輻輳が発生する前に無線リソース割当の変更が可能となり、輻輳を抑制して地上無線通信システムと衛星通信システム間で適切に無線リソースを再割当することができる。また、周波数共用無線通信システム50における周波数の利用効率を改善することができる。
実施の形態2.
地上基地局から衛星用端末への監視信号の送信方法は実施の形態1で説明した方法に限定されない。実施の形態2では、実施の形態1とは異なる、衛星用端末のパス確立要求およびパス監視要求の取得方法、衛星用端末の衛星回線へのパス確立要求およびパス監視要求の送信方法、およびコアネットワーク装置のパス監視方法について説明する。なお、地上基地局および衛星基地局への無線リソース再割当処理は実施の形態1と同様である。
図15は、実施の形態2にかかる地上基地局10dおよび衛星用端末31dの構成例を示すブロック図である。
地上基地局10dは、図2に示す実施の形態1の地上基地局10から、有線IF部101を削除し、有線IF部100に替えて有線IF部100aを備えている。地上基地局10dでは、有線IF部100aを介して、コアネットワーク装置13および管理装置15と有線回線14により接続し、さらに、衛星用端末31dと有線IF部100aにより接続している。衛星用端末31dは、図2に示す実施の形態1の衛星用端末31の構成に、衛星回線へのパス監視要求の監視と送信契機の調整を行う監視機能部206を追加している。その他の構成は実施の形態1と同様である。また、図1に示す周波数共用無線通信システム50の構成において、地上基地局10を地上基地局10dに置き換え、衛星用端末31を衛星用端末31dに置き換えることで、同様の周波数共用無線通信システムを構成することができる。
図16は、実施の形態2にかかる地上基地局10dとコアネットワーク装置13においてパス監視を開始する手順の一例を示すシーケンス図である。
地上基地局10d、衛星基地局23および管理装置15が装置起動後、地上基地局10dの通信制御部104および衛星基地局23は、装置運用に必要となる周波数帯域などの運用情報を取得するための運用情報取得の通知を管理装置15へ送信する(ステップST400)。
地上基地局10dおよび衛星基地局23から運用情報取得の通知を受けた管理装置15は、無線リソース割当制御部401が記憶部403に格納されている地上基地局10dの運用情報と衛星基地局23の運用情報の配信を行う(ステップST401)。ステップST400およびステップST401の処理は、図4に示すステップST100およびステップST101の処理と同様である。
地上基地局10dの監視機能部102は、サービス開始可能な状態となると、地上基地局10dとコアネットワーク装置13との間のパス監視のためにパス確立を開始する(ステップST402)。
地上基地局10dの監視機能部102は、コアネットワーク装置13との主回線である有線回線14と接続する有線IF部100aのパス情報を含むパス確立要求を生成し、コアネットワーク装置13の監視機能部301へ送信する(ステップST403)。
パス確立要求を受信したコアネットワーク装置13の監視機能部301は、地上基地局10dの監視機能部102へパス確立応答を生成して送信し(ステップST404)、有線回線14によるパス確立が完了すると(ステップST405)、記憶部304に格納されているパス管理テーブルのパス監視情報に受信したパス情報を登録する(ステップST406)。
図17は、実施の形態2にかかるコアネットワーク装置13のパス管理テーブルの構成例を示す図である。パス管理テーブルには、パス状態、パス種別、パス情報の各情報が含まれ、コアネットワーク装置13とパス確立した地上基地局10dを一意に識別できる識別子に関連付けられる。さらに、実施の形態2にかかるパス管理テーブルには、コアネットワーク装置13の監視機能部301において、監視機能部301が備えるパス断検出タイマを用いて主回線のパス断検出を行うためのタイマ値が含まれている。パス断検出タイマは、監視機能部301において、パス断検出タイマ値で規定された期間、主回線からパス監視要求を受信しない場合に主回線のパス断検出を判定する際に使用する、監視機能部301が備えるタイマである。コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス確立要求を受信するとパス確立要求が有線回線14経由か衛星回線経由かを判別してパス情報との対応付けを行う。衛星回線から送信されるパス確立要求およびパス監視要求は、衛星基地局23とコアネットワーク装置13との間に確立されたIPトンネル内を転送されるため、コアネットワーク装置13の監視機能部301では、経路を判定することが可能である。
ここで、地上基地局10dの監視機能部102がパス確立要求を有線IF部100aからコアネットワーク装置13へ送信した場合(ステップST403)、有線IF部100aはコアネットワーク装置13とともに衛星用端末31dと接続しているため、衛星用端末31dは、地上基地局10dから送信されたパス確立要求を受信する(ステップST407)。
有線IF部200よりパス確立要求を受信した衛星用端末31dでは、監視機能部206においてパス確立要求の送信判定をしてから無線IF部202を介して衛星回線へ送信するため、通信制御部203が、衛星基地局23との間で衛星回線を確立する(ステップST408)。衛星回線を確立後、衛星用端末31dの監視機能部206は、地上基地局10dから受信したパス確立要求を、無線IF部202から衛星20、衛星基地局23を介してコアネットワーク装置13へ送信する(ステップST409)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、有線IF部300で受信したパス確立要求は衛星回線経由であったので、パス確立応答を生成し、衛星回線経由で地上基地局10dへ送信する(ステップST410)。コアネットワーク装置13の監視機能部301は、衛星回線によるパス確立が完了すると(ステップST411)、記憶部304に格納されているパス管理テーブルにおいて既に登録済みの地上基地局10dについてのパス監視情報に、衛星回線の情報を追加で登録する(ステップST412)。
地上基地局10dの監視機能部102は、コアネットワーク装置13の監視機能部301からパス確立応答を衛星回線経由で受信し(ステップST410)、衛星回線によるパス確立を完了すると(ステップST411)、パス監視を開始する(ステップST413)。
地上基地局10dの監視機能部102は、周期的にパス監視要求を生成し、コアネットワーク装置13の監視機能部301へ周期的に送信する(ステップST414)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス監視要求を受信すると、パス監視応答を生成し、地上基地局10dの監視機能部102へ送信する(ステップST415)。
これにより、地上基地局10dの監視機能部102およびコアネットワーク装置13の監視機能部301では、地上基地局10dとコアネットワーク装置13の間で有線回線14によりパスが確立していることを確認できる(ステップST416)。地上基地局10dの監視機能部102は、周期的にパス監視要求を送信することで、パス確立状態を監視する。
衛星用端末31dの監視機能部206は、地上基地局10dの監視機能部102からパス監視要求を受信すると(ステップST417)、衛星回線のトラヒック抑制のため、地上基地局10dがパス監視要求を送信する送信周期である第1の周期よりも長い送信周期である第2の周期で送信するための送信周期判定を行う(ステップST418)。
衛星用端末31dの監視機能部206は、送信周期判定において送信可能と判定すると、地上基地局10dから受信したパス監視要求を、衛星回線を介してコアネットワーク装置13の監視機能部301へ送信する(ステップST419)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス監視要求を受信すると、パス監視応答を生成し、衛星回線経由で地上基地局10dの監視機能部102へ送信する(ステップST420)。
これにより、地上基地局10dの監視機能部102およびコアネットワーク装置13の監視機能部301では、地上基地局10dとコアネットワーク装置13の間で衛星回線によりパスが確立していることを確認できる(ステップST421)。
図18は、衛星用端末31dにおける送信周期判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
衛星用端末31dの監視機能部206は、地上基地局10dの監視機能部102からパス監視要求を受信すると(ステップS400)、送信周期タイマが実行中か否かを確認する(ステップS401)。
ここで、送信周期タイマは衛星回線のトラヒック抑制のために使用する、監視機能部206が備えるタイマである。衛星用端末31dの監視機能部206は、送信周期タイマの満了前に受信したパス監視要求については、廃棄して衛星回線に送信しない制御を行う。衛星用端末31dの監視機能部206は、送信周期タイマが実行されていない場合は、送信周期タイマに関わらずパス監視要求を衛星回線へ送信する。
衛星用端末31dの監視機能部206は、送信周期タイマが実行中の場合(ステップS401:Yes)、送信周期タイマによる待機時間が満了しているか否かを確認する(ステップS402)。衛星用端末31dの監視機能部206は、待機時間が満了していない場合(ステップS402:No)、受信したパス監視要求を廃棄する(ステップS403)。
衛星用端末31dの監視機能部206は、送信周期タイマが実行中ではない場合(ステップS401:No)、または送信周期タイマの待機時間が満了の場合(ステップS402:Yes)、衛星回線に、地上基地局10dから受信したパス監視要求を送信する(ステップS404)。衛星用端末31dの監視機能部206は、送信周期タイマが実行中でなかったときは送信周期タイマを実行し、送信周期タイマが実行中のときは送信周期タイマを初期化後に再開する(ステップS405)。
図18に示すフローチャートの処理では、監視信号としてパス監視要求のみを対象としているが、パス確立要求などに対して適用してもよい。また、送信周期タイマのタイマ値の情報は、管理装置15が、衛星基地局23から衛星無線信号を利用して通知してもよいが、これに限定されるものではない。
図19は、実施の形態2にかかるコアネットワーク装置13において主回線のパス断検出および無線リソース再割当処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
地上基地局10dの監視機能部102は、周期的にパス監視要求を生成し、コアネットワーク装置13の監視機能部301へ送信する(ステップST500)。
パス監視要求を受信した衛星用端末31dの監視機能部206は、図18のフローチャートに示す送信周期判定の処理を行う(ステップST501)。衛星用端末31dの監視機能部206は、送信周期タイマが実行中ではない、または送信周期タイマが満了していたときはパス監視要求をコアネットワーク装置13の監視機能部301へ送信する(ステップST502)。この場合、コアネットワーク装置13の監視機能部301がパス監視応答を生成し、衛星回線から地上基地局10dの監視機能部102へ送信する(ステップST503)。これにより、地上基地局10dの監視機能部102およびコアネットワーク装置13の監視機能部301では、地上基地局10dとコアネットワーク装置13の間で衛星回線によるパスが確立していることを確認できる(ステップST504)。
一方、衛星用端末31dの監視機能部206は、送信周期タイマが実行中で満了していないときは、受信したパス監視要求を廃棄する(ステップST505)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、災害発生時における有線回線14の切断や装置の倒壊、停電により正常に通信を行うことができない状況が発生すると、有線回線14からのパス監視要求を受信できず、衛星回線からのみパス監視要求を受信する。コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス断検出タイマにおいて、主回線からのパス監視要求をパス管理テーブルによるパス断検出タイマ値が示す時間以上受信できない状態を検出すると、主回路のパスが遮断された、すなわち主回線のパス断を検出する(ステップST506)。コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス断検出タイマを、パス監視要求を受信する毎に初期化して再開する。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス断を検出した地上基地局10dについて、記憶部304のパス管理テーブルのパス監視情報を更新し(ステップST507)、パス監視情報を含むパス監視情報通知を生成し、管理装置15の無線リソース割当制御部401へ送信する(ステップST508)。
管理装置15の無線リソース割当制御部401は、コアネットワーク装置13からパス監視情報通知を受信すると、パス監視情報通知に含まれるパス監視情報に基づいて、記憶部403に格納されている割当判定テーブルの割当判定情報を更新し、無線リソース再割当判定処理を行う(ステップST509)。以降のステップST510からST512の処理は、実施の形態1の図8のフローチャートに示すステップST216からST218と同様である。
図20は、実施の形態2にかかるコアネットワーク装置13において主回線のパス断検出の処理の一例を示すフローチャートである。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、地上基地局10dの監視機能部102からパス監視要求を受信すると(ステップS501)、パス監視要求を受信した同じ通信回線を使用してパス監視応答を送信し(ステップS502)、パス監視要求を主回線から受信したか否かを確認する(ステップS503)。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス監視要求を主回線から受信していた場合(ステップS503:Yes)、パス断検出タイマを開始する(ステップS504)。なお、コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス断検出タイマ実行中はパス断検出タイマを初期化してから再開する。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス監視要求を主回線から受信していない場合(ステップS503:No)、パス断検出タイマが満了しているか否かを確認する(ステップS505)。コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス断検出タイマが満了していない場合(ステップS505:No)、ステップS501の処理へ戻る。
コアネットワーク装置13の監視機能部301は、パス断検出タイマが満了していた場合(ステップS505:Yes)、主回線のパス断を検出したと判定し(ステップS506)、記憶部304のパス管理テーブルのパス監視情報を更新して(ステップS507)、管理装置15へパス監視情報通知を送信する(ステップS508)。ここでは、パス断検出タイマは満了後、自動的に再開せずに満了した状態を維持する。
このように、図16および図19のフローチャートの処理の手順に従えば、周波数共用無線通信システム50では、地上基地局10dとコアネットワーク装置13との間のパスの切り替え状態を監視することで、災害時に発生する主回線のパスの切り替えを契機にして無線リソースの再割当をすることができる。
地上基地局10dが、パスである通信経路を監視するための信号である監視信号を、有線回線14から第1の周期でコアネットワーク装置13へ送信する。地上基地局10dと接続する衛星用端末31dが、地上基地局10dから送信された監視信号を、衛星回線から第1の周期より長い第2の周期でコアネットワーク装置13へ送信する。この場合において、コアネットワーク装置13の監視機能部301は、有線回線14における監視信号の受信状態および衛星回線における監視信号の受信状態に基づいて、地上基地局10dとコアネットワーク装置13との間の有線回線14および衛星回線の接続状態を判定する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、周波数共用無線通信システム50では、地上基地局10dとコアネットワーク装置13との間のパス状態を衛星ビーム毎に監視し、災害時に主回線である有線回線14が不通となったことを、有線回線14および衛星回線による冗長経路でのパス監視要求の受信状況から検知し、管理装置15がパスの切り替えの割合により無線リソース割当を決定することとした。これにより、コアネットワーク装置13側で有線回線14の不通を検知できることから、実施の形態1と比較して、さらに早く無線リソース割当の変更が可能となる。
実施の形態3.
実施の形態1,2では管理装置が無線リソース再割当判定を行っていた。実施の形態3では、コアネットワーク装置が無線リソース再割当判定を行う場合について説明する。
図21は、実施の形態3にかかるコアネットワーク装置13aおよび管理装置15aの構成例を示すブロック図である。
コアネットワーク装置13aは、図3に示す実施の形態1のコアネットワーク装置13の監視機能部301および記憶部304を監視機能部301aおよび記憶部304aに置き換えたものである。監視機能部301aは、実施の形態1の機能に加えて、無線リソース割当判定の機能を追加したものである。記憶部304aは、実施の形態1で説明したパス管理テーブルとともに、後述する割当判定テーブルを格納する。
管理装置15aは、図3に示す実施の形態1の管理装置15の無線リソース割当制御部401を無線リソース割当制御部401aに置き換えたものである。無線リソース割当制御部401aは、実施の形態1の機能から、無線リソース割当判定の機能を削除したものである。
図22は、実施の形態3にかかるコアネットワーク装置13aの割当判定テーブルの一例を示す図である。コアネットワーク装置13aの割当判定テーブルには、実施の形態1,2における管理装置15の記憶部403で格納している図6に示す割当判定テーブルの割当判定情報のうち、無線リソース再割当判定に必要となる地上基地局10とコアネットワーク装置13aとの間で確立中のパス数の情報および判定閾値の情報が含まれる。コアネットワーク装置13aの監視機能部301aでは、記憶部304aに格納されている図22に示す割当判定テーブルの割当判定情報を用いることにより、実施の形態1,2の管理装置15の無線リソース割当制御部401が担当していた無線リソース再割当判定を行うことができる。
図23は、実施の形態3にかかるコアネットワーク装置13aから管理装置15aに送信されるパス監視情報通知の一例を示す図である。衛星ビーム番号ごとに、主回線およびバックアップ回線でパス確立している数を示すパス数、および登録している地上基地局10の数および識別子を示すものである。
実施の形態1,2では地上基地局10ごとのパス監視情報を管理装置15に送信していたが、実施の形態3では、無線リソース再割当判定処理をコアネットワーク装置13aの監視機能部301aで行う。そのため、コアネットワーク装置13aの監視機能部301aが、無線リソース再割当対象となる地上基地局10および衛星基地局23の衛星ビーム番号を含むパス監視情報通知を管理装置15aへ送信する。これにより、管理装置15aの無線リソース割当制御部401aは、無線リソース再割当制御の対象となる衛星基地局23の衛星ビーム番号と、パス確立している主回線およびバックアップ回線のパス情報が取得でき、無線リソース再割当を行い、無線リソース再割当をした結果に基づく運用情報更新を、地上基地局10および衛星基地局23へ送信することができる。
図24は、実施の形態3にかかるコアネットワーク装置13aにおける無線リソース再割当判定の処理の一例を示すフローチャートである。
コアネットワーク装置13aの監視機能部301aにおけるパス断検出方法は実施の形態1,2の監視機能部301と同様である。コアネットワーク装置13aの監視機能部301aは、地上基地局10における主回線のパス断を検出すると(ステップS601)、記憶部304aのパス管理テーブルにおいてパス断が検出された衛星ビーム番号のパス監視情報を更新し(ステップS602)、パス断が検出された衛星ビーム番号のパス情報1のパス数と判定閾値との比較を行う(ステップS603)。
コアネットワーク装置13aの監視機能部301aは、パス断が検出された衛星ビーム番号のパス情報1のパス数が判定閾値未満の場合(ステップS603:Yes)、衛星ビーム番号1の配下の地上基地局10が災害などの要因によりサービス継続不可と判定し、管理装置15aに対して地上無線通信システムと衛星通信システムの無線リソース再割当の開始を要求するためのパス監視情報通知を生成し(ステップS604)、パス監視情報通知を管理装置15aへ送信する(ステップS605)。なお、コアネットワーク装置13aの監視機能部301aは、パス断が検出された衛星ビーム番号のパス情報1のパス数が判定閾値以上の場合(ステップS603:No)、ステップS601の処理に戻る。
このように、コアネットワーク装置13aの監視機能部301aは、複数の地上基地局10とコアネットワーク装置13aとの間のパスである通信経路で使用している更新された通信回線の情報に基づいて、管理装置15aにおいて地上無線通信システムおよび衛星通信システムへの無線リソースの割り当てを変更するか否かを判定し、判定した結果を管理装置15aへ通知する。
パス監視情報通知を受信した管理装置15aの無線リソース割当制御部401aは、パス監視情報通知に含まれる地上基地局10と衛星基地局23に対して無線リソース再割当を行い、運用情報更新を指示する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、コアネットワーク装置13aが無線リソース再割当判定を行うこととした。これにより、実施の形態1,2と同様の効果を得るとともに、コアネットワーク装置13aと管理装置15aとの間の信号量を低減する効果が得られる。
実施の形態4.
実施の形態1から3で説明した地上無線通信システムと衛星通信システムへの無線リソース再割当方法では、各システムで使用する無線リソースとして周波数帯域の再調整を行っていた。本実施の形態では、各システムにおいて送信電力を考慮した無線リソース割当を行う方法について説明する。
図25は、実施の形態4にかかる無線リソース再割当の一例を示す図である。パス断検出および無線リソース再割当判定処理は、実施の形態1,2と同様である。
一般的に、移動機30における、地上無線通信システムの地上基地局10から送信された地上無線信号12の受信電力と、衛星20から送信された衛星ビームの衛星無線信号22bの受信電力とを比較すると、地上無線信号12の受信電力の方が大きい。また、移動機30において、地上基地局10と移動機30との間の電波伝搬距離および衛星20と移動機30との間の電波伝搬距離の差から、地上基地局10から送信された地上無線信号12の受信電力の方が、衛星20から送信された衛星無線信号22bの受信電力よりも大きく、受信電力の電力差も大きい。そのため、衛星20と通信を行う移動機30では、地上基地局10から送信された地上無線信号12の受信電力が干渉となり、大きな影響を受ける。
そのため、管理装置15は、災害発生時に地上無線通信システムで利用可能なサービスを、例えば、低い変調方式を使用する音声サービスまたはメッセージサービスに制限して通信に要求される品質を下げることで、地上基地局10から送信される地上無線信号12の送信電力を低減させる無線リソース再割当を行う。これにより、地上無線通信システムと衛星通信システム間の干渉を低減できる。
実施の形態4における無線リソース再割当の内容は、周波数共用無線通信システム50で利用可能な全周波数帯40のうち、地上無線システムの地上基地局10には周波数帯域41a’’と通常の送信電力42から電力を低減した送信電力42’’を無線リソースとして割り当て、衛星通信システムの衛星基地局23の衛星ビーム番号1には周波数帯域41b’’を割り当てる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、周波数共用無線通信システム50では、無線リソース再割当において、地上無線通信システムに対して、サービスを制限して通信の所要品質を下げることで、無線リソース再割当において送信電力を低減することとした。これにより、衛星通信システムへの干渉を低減することが可能となり、周波数共用無線通信システム50における周波数利用効率を向上させることができる。
なお、実施の形態4では、管理装置15による無線リソース再割当内容は周波数帯域および送信電力としているが、フレーム単位またはスロット単位などにより通信可能な時間帯を割り当てる際に用いる時間リソースを利用してもよい。管理装置15の無線リソース割当制御部401は、無線リソースの割り当てにおいて、周波数帯域とともに、送信電力および時間リソースの一方または両方を制御対象とする。
以上のように、本発明にかかる周波数共用無線通信システム50における無線リソース割当方法は、災害時において地上無線通信システムと衛星通信システムで周波数共用を行う周波数共用無線通信システムに有用である。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。