以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
図1は、本発明のある実施形態に係るクライオポンプシステムを模式的に示す図である。クライオポンプシステムは、クライオポンプ10と、クライオポンプ10の真空排気運転及び再生運転を制御するクライオポンプ制御部100と、を備える。クライオポンプ10は、例えばイオン注入装置やスパッタリング装置等の真空チャンバに取り付けられて、真空チャンバ内部の真空度を所望のプロセスに要求されるレベルまで高めるために使用される。クライオポンプ制御部100は、クライオポンプ10に一体に設けられていてもよいし、クライオポンプ10とは別体の制御装置として構成されていてもよい。
クライオポンプ10は、気体を受け入れるための吸気口12を有する。吸気口12はクライオポンプ10の内部空間14への入口である。クライオポンプ10が取り付けられた真空チャンバから吸気口12を通じて、排気されるべき気体がクライオポンプ10の内部空間14に進入する。
なお以下では、クライオポンプ10の構成要素の位置関係をわかりやすく表すために、「軸方向」、「径方向」との用語を使用することがある。軸方向は吸気口12を通る方向を表し、径方向は吸気口12に沿う方向を表す。便宜上、軸方向に関して吸気口12に相対的に近いことを「上」、相対的に遠いことを「下」と呼ぶことがある。つまり、クライオポンプ10の底部から相対的に遠いことを「上」、相対的に近いことを「下」と呼ぶことがある。径方向に関しては、吸気口12の中心に近いことを「内」、吸気口12の周縁に近いことを「外」と呼ぶことがある。なお、こうした表現はクライオポンプ10が真空チャンバに取り付けられたときの配置とは関係しない。例えば、クライオポンプ10は鉛直方向に吸気口12を下向きにして真空チャンバに取り付けられてもよい。
クライオポンプ10は、低温クライオパネル18と、高温クライオパネル19と、を備える。また、クライオポンプ10は、高温クライオパネル19及び低温クライオパネル18を冷却する冷却システムを備える。この冷却システムは、冷凍機16と、圧縮機36と、を備える。
冷凍機16は、例えばギフォード・マクマホン式冷凍機(いわゆるGM冷凍機)などの極低温冷凍機である。冷凍機16は、第1ステージ20、第2ステージ21、第1シリンダ22、第2シリンダ23、第1ディスプレーサ24、及び第2ディスプレーサ25を備える二段式の冷凍機である。よって、冷凍機16の高温段は、第1ステージ20、第1シリンダ22、及び第1ディスプレーサ24を備える。冷凍機16の低温段は、第2ステージ21、第2シリンダ23、及び第2ディスプレーサ25を備える。
第1シリンダ22と第2シリンダ23は直列に接続されている。第1ステージ20は、第1シリンダ22と第2シリンダ23との結合部に設置されている。第2シリンダ23は第1ステージ20と第2ステージ21とを連結する。第2ステージ21は、第2シリンダ23の末端に設置されている。第1シリンダ22及び第2シリンダ23それぞれの内部には第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25が冷凍機16の長手方向(図1において左右方向)に移動可能に配設されている。第1ディスプレーサ24と第2ディスプレーサ25とは一体に移動可能に連結されている。第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25にはそれぞれ第1蓄冷器及び第2蓄冷器(図示せず)が組み込まれている。
冷凍機16は、第1シリンダ22の高温端に設けられている駆動機構17を備える。駆動機構17は、第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25がそれぞれ第1シリンダ22及び第2シリンダ23の内部を往復動可能であるように第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25に接続されている。また駆動機構17は、作動気体の供給と排出を周期的に繰り返すよう作動気体の流路を切り替える流路切替機構を含む。流路切替機構は例えばバルブ部とバルブ部を駆動する駆動部とを含む。バルブ部は例えばロータリーバルブを含み、駆動部はロータリーバルブを回転させるためのモータを含む。モータは、例えばACモータまたはDCモータであってもよい。また流路切替機構はリニアモータにより駆動される直動式の機構であってもよい。
冷凍機16は高圧導管34及び低圧導管35を介して圧縮機36に接続される。冷凍機16は、圧縮機36から供給される高圧の作動気体(例えばヘリウム)を内部で膨張させて第1ステージ20及び第2ステージ21に寒冷を発生させる。圧縮機36は、冷凍機16で膨張した作動気体を回収し再び加圧して冷凍機16に供給する。
具体的には、まず駆動機構17が高圧導管34と冷凍機16の内部空間とを連通させる。圧縮機36から高圧導管34を通じて冷凍機16に高圧の作動気体が供給される。冷凍機16の内部空間が高圧の作動気体で満たされると、駆動機構17は冷凍機16の内部空間を低圧導管35に連通させるよう流路を切り替える。これにより作動気体は膨張する。膨張した作動気体は圧縮機36へと回収される。こうした作動気体の給排に同期して、第1ディスプレーサ24及び第2ディスプレーサ25がそれぞれ第1シリンダ22及び第2シリンダ23の内部を往復動する。このような熱サイクルを繰り返すことで冷凍機16は第1ステージ20及び第2ステージ21に寒冷を発生させる。
冷凍機16は、第1ステージ20を第1温度レベルに冷却し、第2ステージ21を第2温度レベルに冷却するよう構成されている。第2温度レベルは第1温度レベルよりも低温である。例えば、第1ステージ20は65K〜120K程度、好ましくは80K〜100Kに冷却され、第2ステージ21は10K〜20K程度に冷却される。
図1は、クライオポンプ10の内部空間14の中心軸と、冷凍機16の中心軸とを含む断面を示す。図1に示されるクライオポンプ10は、いわゆる横型のクライオポンプである。横型のクライオポンプとは一般に、冷凍機16がクライオポンプ10の内部空間14の中心軸に交差する(通常は直交する)よう配設されているクライオポンプである。本発明はいわゆる縦型のクライオポンプにも同様に適用することができる。縦型のクライオポンプとは、冷凍機がクライオポンプの軸方向に沿って配設されているクライオポンプである。
低温クライオパネル18は、クライオポンプ10の内部空間14の中心部に設けられている。低温クライオパネル18は例えば、複数のパネル部材26を含む。パネル部材26は例えば、それぞれが円すい台の側面の形状、いわば傘状の形状を有する。各パネル部材26には通常活性炭等の吸着剤27が設けられている。吸着剤27は例えばパネル部材26の裏面に接着されている。このようにして、低温クライオパネル18は、気体分子を吸着するための吸着領域を備える。
パネル部材26はパネル取付部材28に取り付けられている。パネル取付部材28は第2ステージ21に取り付けられている。このようにして、低温クライオパネル18は、第2ステージ21に熱的に接続されている。よって、低温クライオパネル18は第2温度レベルに冷却される。
高温クライオパネル19は、放射シールド30と入口クライオパネル32とを備える。高温クライオパネル19は、低温クライオパネル18を包囲するよう低温クライオパネル18の外側に設けられている。高温クライオパネル19は第1ステージ20に熱的に接続されており、高温クライオパネル19は第1温度レベルに冷却される。
放射シールド30は主として、クライオポンプ10のハウジング38からの輻射熱から低温クライオパネル18を保護するために設けられている。放射シールド30は、ハウジング38と低温クライオパネル18との間にあり、低温クライオパネル18を囲む。放射シールド30は、吸気口12に向けて軸方向上端が開放されている。放射シールド30は、軸方向下端が閉塞された筒形(例えば円筒)の形状を有し、カップ状に形成されている。放射シールド30の側面には冷凍機16の取付のための孔があり、そこから第2ステージ21が放射シールド30の中に挿入されている。その取付孔の外周部にて放射シールド30の外面に第1ステージ20が固定されている。こうして放射シールド30は第1ステージ20に熱的に接続されている。
入口クライオパネル32は、吸気口12において径方向に沿って配置されている。入口クライオパネル32は、シールド開口端31に配設されている。入口クライオパネル32はその外周部がシールド開口端31に固定されて、放射シールド30に熱的に接続されている。入口クライオパネル32は、低温クライオパネル18から軸方向上方に離れて設けられている。入口クライオパネル32は、例えば、ルーバ構造やシェブロン構造に形成される。入口クライオパネル32は、放射シールド30の中心軸を中心とする同心円状に形成されていてもよいし、あるいは格子状等他の形状に形成されていてもよい。
入口クライオパネル32は、吸気口12に入る気体を排気するために設けられている。入口クライオパネル32の温度で凝縮する気体(例えば水分)がその表面に捕捉される。また、入口クライオパネル32は、クライオポンプ10の外部の熱源(例えば、クライオポンプ10が取り付けられる真空チャンバ内の熱源)からの輻射熱から低温クライオパネル18を保護するために設けられている。輻射熱だけではなく気体分子の進入も制限される。入口クライオパネル32は、吸気口12を通じた内部空間14への気体流入を所望量に制限するように吸気口12の開口面積の一部を占有する。
クライオポンプ10は、ハウジング38を備える。ハウジング38は、クライオポンプ10の内部と外部とを隔てるための真空容器である。ハウジング38は、クライオポンプ10の内部空間14を気密に保持するよう構成されている。ハウジング38は、高温クライオパネル19の外側に設けられており、高温クライオパネル19を囲む。また、ハウジング38は冷凍機16を収容する。つまり、ハウジング38は、高温クライオパネル19及び低温クライオパネル18を収容するクライオポンプ容器である。
ハウジング38は、高温クライオパネル19及び冷凍機16の低温部に非接触であるように、外部環境温度の部位(例えば冷凍機16の高温部)に固定されている。ハウジング38の外面は外部環境にさらされており、冷却されている高温クライオパネル19よりも温度が高い(例えば室温程度)。
また、ハウジング38はその開口端から径方向外側に向けて延びる吸気口フランジ56を備える。吸気口フランジ56は、クライオポンプ10を真空チャンバに取り付けるためのフランジである。真空チャンバの開口にはゲートバルブが設けられており(図示せず)、吸気口フランジ56はそのゲートバルブに取り付けられる。そのようにして入口クライオパネル32の軸方向上方にゲートバルブが位置する。例えばクライオポンプ10を再生するときにゲートバルブは閉とされ、クライオポンプ10が真空チャンバを排気するときに開とされる。
ハウジング38には、ベントバルブ70、粗引きバルブ72、及びパージバルブ74が取り付けられている。
ベントバルブ70は、クライオポンプ10の内部から外部環境へと流体を排出するための排出ライン80の例えば末端に設けられている。ベントバルブ70を開くことにより排出ライン80の流れが許容され、ベントバルブ70を閉じることにより排出ライン80の流れが遮断される。排出される流体は基本的にはガスであるが、液体または気液の混合物であってもよい。例えばクライオポンプ10に凝縮されたガスの液化物が排出流体に混在していてもよい。ベントバルブ70が開弁されることにより、ハウジング38の内部に生じた陽圧を外部に解放することができる。
粗引きバルブ72は、粗引きポンプ73に接続される。粗引きバルブ72の開閉により、粗引きポンプ73とクライオポンプ10とが連通または遮断される。粗引きバルブ72を開くことにより粗引きポンプ73とハウジング38とが連通され、粗引きバルブ72を閉じることにより粗引きポンプ73とハウジング38とが遮断される。粗引きバルブ72を開きかつ粗引きポンプ73を動作させることにより、クライオポンプ10の内部を減圧することができる。
粗引きポンプ73は、クライオポンプ10の真空引きをするための真空ポンプである。粗引きポンプ73は、クライオポンプ10の動作圧力範囲の低真空領域、言い替えればクライオポンプ10の動作開始圧力であるベース圧レベルをクライオポンプ10に提供するための真空ポンプである。粗引きポンプ73は、大気圧からベース圧レベルまでハウジング38を減圧することができる。ベース圧レベルは、粗引きポンプ73の高真空領域にあたり、粗引きポンプ73とクライオポンプ10の動作圧力範囲の重なり部分に含まれる。ベース圧レベルは、例えば1Pa以上50Pa以下(例えば10Pa程度)の範囲である。
粗引きポンプ73は典型的にはクライオポンプ10とは別の真空装置として設けられ、例えばクライオポンプ10が接続される真空チャンバを含む真空システムの一部を構成する。クライオポンプ10は真空チャンバのための主ポンプであり、粗引きポンプ73は補助ポンプである。
パージバルブ74はパージガス源75を含むパージガス供給装置に接続される。パージバルブ74の開閉によりパージガス源75とクライオポンプ10とが連通または遮断され、パージガスのクライオポンプ10への供給が制御される。パージバルブ74を開くことにより、パージガス源75からハウジング38へのパージガス流れが許容される。パージバルブ74を閉じることにより、パージガス源75からハウジング38へのパージガス流れが遮断される。パージバルブ74を開きパージガス源75からパージガスをハウジング38に導入することにより、クライオポンプ10の内部を昇圧することができる。供給されたパージガスは、ベントバルブ70または粗引きバルブ72を通じてクライオポンプ10から排出される。
パージガスの温度は、本実施形態では室温に調整されているが、ある実施形態においてはパージガスは、室温より高温に加熱されたガス、または、室温よりいくらか低温のガスであってもよい。本書において室温は、10℃〜30℃の範囲または15℃〜25℃の範囲から選択される温度であり、例えば約20℃である。パージガスは例えば窒素ガスである。パージガスは、乾燥したガスであってもよい。
クライオポンプ10は、第1ステージ20の温度を測定するための第1温度センサ90と、第2ステージ21の温度を測定するための第2温度センサ92と、を備える。第1温度センサ90は、第1ステージ20に取り付けられている。第2温度センサ92は、第2ステージ21に取り付けられている。第1温度センサ90は、第1ステージ20の温度を定期的に測定し、測定温度を示す信号をクライオポンプ制御部100に出力する。第1温度センサ90はその出力を通信可能にクライオポンプ制御部100に接続されている。第2温度センサ92についても同様に構成されている。第1温度センサ90及び第2温度センサ92の測定温度がそれぞれ高温クライオパネル19及び低温クライオパネル18の温度としてクライオポンプ制御部100において用いられてもよい。
また、ハウジング38の内部に圧力センサ94が設けられている。圧力センサ94は例えば、高温クライオパネル19の外側で冷凍機16の近傍に設けられている。圧力センサ94は、ハウジング38の圧力を定期的に測定し、測定圧力を示す信号をクライオポンプ制御部100に出力する。圧力センサ94はその出力を通信可能にクライオポンプ制御部100に接続されている。
クライオポンプ制御部100は、クライオポンプ10の真空排気運転及び再生運転のために冷凍機16を制御するよう構成されている。クライオポンプ制御部100には、第1温度センサ90、第2温度センサ92、及び圧力センサ94を含む各種センサの測定結果を受信するよう構成されている。クライオポンプ制御部100は、そうした測定結果に基づいて、冷凍機16及び各種バルブに与える制御指令を演算する。
例えば、真空排気運転においては、クライオポンプ制御部100は、ステージ温度(例えば第1ステージ温度)が目標の冷却温度に追従するように冷凍機16を制御する。第1ステージ20の目標温度は通常、一定値に設定される。第1ステージ20の目標温度は例えば、クライオポンプ10が取り付けられる真空チャンバで行われるプロセスに応じて仕様として定められる。また、クライオポンプ制御部100は、クライオポンプ10の再生のためにハウジング38からの排気とハウジング38へのパージガスの供給とを制御するよう構成されている。クライオポンプ制御部100は、ベントバルブ70、粗引きバルブ72、及びパージバルブ74の開閉を再生中に制御する。
上記の構成のクライオポンプ10による動作を以下に説明する。クライオポンプ10の作動に際しては、まずその作動前に粗引きバルブ72を通じて粗引きポンプ73でクライオポンプ10の内部を動作開始圧力(例えば1Paないし10Pa程度)まで粗引きする。その後クライオポンプ10を作動させる。クライオポンプ制御部100による制御のもとで、冷凍機16の駆動により第1ステージ20及び第2ステージ21が冷却され、これらに熱的に接続されている高温クライオパネル19、低温クライオパネル18も冷却される。
入口クライオパネル32は、真空チャンバからクライオポンプ10内部へ向かって飛来する気体分子を冷却し、その冷却温度で蒸気圧が充分に低くなる気体(例えば水分など)を表面に凝縮させて排気する。入口クライオパネル32の冷却温度では蒸気圧が充分に低くならない気体は入口クライオパネル32を通過して放射シールド30内部へと進入する。進入した気体分子のうち低温クライオパネル18の冷却温度で蒸気圧が充分に低くなる気体は、その表面に凝縮されて排気される。その冷却温度でも蒸気圧が充分に低くならない気体(例えば水素など)は、低温クライオパネル18の表面に接着され冷却されている吸着剤27により吸着されて排気される。このようにしてクライオポンプ10が取り付けられている真空チャンバの真空度を所望のレベルに到達させることができる。
排気運転が継続されることによりクライオポンプ10には気体が蓄積されていく。蓄積した気体を外部に排出するために、クライオポンプ10の再生が行われる。クライオポンプ制御部100は、所定の再生開始条件が満たされたか否かを判定し、当該条件が満たされた場合には再生を開始する。当該条件が満たされていない場合には、クライオポンプ制御部100は再生を開始せず、真空排気運転を継続する。再生開始条件は例えば、真空排気運転が開始されてから所定時間が経過したことを含んでもよい。
図2は、本発明のある実施形態に係るクライオポンプ制御部100の構成を概略的に示す図である。こうした制御装置は、ハードウエア、ソフトウエア、またはそれらの組合せによって実現される。また、図2においては、関連するクライオポンプ10の一部の構成を概略的に示す。
クライオポンプ制御部100は、再生制御部102、記憶部104、入力部106、及び出力部108を備える。
再生制御部102は、昇温処理、排出処理、及びクールダウン処理を含む再生シーケンスに従ってクライオポンプ10を制御するよう構成されている。再生シーケンスは例えば、クライオポンプ10のフル再生を提供する。フル再生においては、高温クライオパネル19及び低温クライオパネル18を含むすべてのクライオパネルが再生される。なお、再生制御部102は、部分再生を表す再生シーケンスに従ってクライオポンプ10を制御してもよい。
記憶部104は、クライオポンプ10の制御に関連する情報を記憶するよう構成されている。入力部106は、ユーザまたは他の装置からの入力を受け付けるよう構成されている。入力部106は例えば、ユーザからの入力を受け付けるためのマウスやキーボード等の入力手段、及び/または、他の装置との通信をするための通信手段を含む。出力部108は、クライオポンプ10の制御に関連する情報を出力するよう構成され、ディスプレイやプリンタ等の出力手段を含む。記憶部104、入力部106、及び出力部108はそれぞれ再生制御部102と通信可能に接続されている。
再生制御部102は、温度制御部110、第1判定部112、第2判定部114、リーク検出部116、及び凝縮物検出部118を備える。温度制御部110は、再生シーケンスにおいて定められた目標温度に低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19の温度を制御するようにクライオポンプ10を制御するよう構成されている。温度制御部110は、低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19の温度として第1温度センサ90及び/または第2温度センサ92の測定温度を使用する。また、再生制御部102は、ベントバルブ70、粗引きバルブ72、及び/または、パージバルブ74を再生シーケンスに従って開閉するよう構成されている。第1判定部112、第2判定部114、リーク検出部116、及び凝縮物検出部118については後述する。
昇温処理は、クライオポンプ10の低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19を極低温度Tbから第1再生温度T0に加熱する再生の第1工程である。極低温度Tbは、クライオポンプ10の標準運転温度であり、高温クライオパネル19の運転温度Tb1と低温クライオパネル18の運転温度Tb2を含む。上述のように高温クライオパネル19の運転温度Tb1は例えば65K〜120Kの範囲から選択され、低温クライオパネル18の運転温度Tb2は例えば10K〜20Kの範囲から選択される。
第1再生温度T0は、昇温処理におけるクライオパネル目標温度であり、第1凝縮物の融点またはそれより高い温度である。第1凝縮物はクライオポンプ10に蓄積された凝縮物の主成分またはある1つの成分である。第1凝縮物は例えば水であり、その場合第1再生温度T0は273K以上である。第1再生温度T0は、室温またはそれより高い温度であってもよい。第1再生温度T0は、クライオポンプ10の耐熱温度またはそれより低い温度であってもよい。クライオポンプ10の耐熱温度は例えば320K〜340K程度(例えば約330K)であってもよい。
温度制御部110は、低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19の温度を目標温度に制御するようクライオポンプ10に設けられた少なくとも1つの熱源を制御する。例えば、温度制御部110は、昇温処理においてハウジング38にパージガスを供給するようパージバルブ74を開放してもよい。また、温度制御部110は、ハウジング38へのパージガスの供給を停止するようパージバルブ74を閉鎖してもよい。このようにして、昇温処理において低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19を加熱するための第1の熱源としてパージガスが使用されてもよい。
低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19を加熱するために、パージガスとは異なる第2の熱源が使用されてもよい。例えば、温度制御部110は、冷凍機16の昇温運転を制御してもよい。冷凍機16は、駆動機構17が冷却運転とは逆方向に動作するとき作動気体に断熱圧縮が生じるよう構成されている。こうして得られる圧縮熱で冷凍機16は第1ステージ20及び第2ステージ21を加熱する。このような加熱は冷凍機16の逆転昇温とも呼ばれる。高温クライオパネル19及び低温クライオパネル18はそれぞれ第1ステージ20及び第2ステージ21を熱源として加熱される。あるいは、冷凍機16に設置されたヒータが熱源として使用されてもよい。この場合、温度制御部110は、冷凍機16の運転から独立してヒータを制御することができる。
昇温処理において、第1及び第2の熱源の一方が単独で使用され、または両方が同時に使用されてもよい。排出工程においても同様に、第1及び第2の熱源の一方が単独で使用され、または両方が同時に使用されてもよい。温度制御部110は、第1の熱源と第2の熱源とを切り替えて、または、第1の熱源と第2の熱源とを併用して、低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19の温度を目標温度に制御してもよい。
温度制御部110は、クライオパネル温度の測定値が目標温度に達したか否かを判定する。温度制御部110は、目標温度に達するまでは昇温を継続し、目標温度に達した場合には昇温処理を終了する。昇温処理が終了すると、再生制御部102は、排出処理を開始する。
昇温処理において、低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19上の凝縮物及び/または吸着物が、例えば、第1凝縮物の蒸気圧より高い蒸気圧を有する他の凝縮物成分が、クライオポンプ10から排出されてもよい。再生制御部102は、ハウジング38から凝縮物及び/または吸着物を排出するために、ベントバルブ70及び/または粗引きバルブ72を開放し、その後適時に閉鎖してもよい。
排出処理は、クライオポンプ10から凝縮物及び/または吸着物を排出する再生の第2工程である。極低温度Tbにおいて凝縮物及び/または吸着物は低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19上にある。極低温度Tbから第1再生温度T0に加熱される過程において凝縮物及び/または吸着物は再び気化される。温度制御部110は、第1再生温度T0または他の目標温度への低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19の温調を排出工程において継続する。
クライオパネル表面から再気化した気体はクライオポンプ10の外部へ排出される。再気化した気体は例えば排出ライン80を通じて、または粗引きポンプ73を使用して、外部に排出される。再気化した気体は、必要に応じて導入されるパージガスとともにクライオポンプ10から排出される。
再生制御部102は、排出完了条件が満たされるまで排出処理を続行する。排出完了条件は、クライオポンプ10内の圧力、例えば圧力センサ94の測定圧力に基づく。例えば、再生制御部102は、ハウジング38内の測定圧力が所定のしきい値を超えている間は、凝縮物がクライオポンプ10に残存すると判定する。よって、クライオポンプ10は排出処理を継続する。再生制御部102は、ハウジング38内の測定圧力がしきい値を下回る場合に、凝縮物の排出が完了したと判定する。この場合、再生制御部102は、排出処理を終了しクールダウン処理を開始する。
再生制御部102は、いわゆるビルドアップテストを実行してもよい。クライオポンプ再生におけるビルドアップテストは、判定開始時点の圧力からの圧力上昇勾配がしきい値を超えない場合に、クライオポンプ10から凝縮物が排出されたと判定する処理である。これは、RoR(Rate-of-Rise)法とも呼ばれる。よって、再生制御部102は、ベース圧レベルにおける単位時間あたりの圧力上昇量がしきい値を下回る場合に排出処理を終了してもよい。
再生制御部102の第1判定部112は、排出完了条件が満たされるか否かを繰り返し判定するよう構成されている。第1判定部112は、ビルドアップテストが合格である場合に、排出完了条件が満たされると判定してもよい。つまり、第1判定部112は、圧力センサ94によって測定されるハウジング38の圧力がクライオポンプ10の動作開始圧力またはそれより低圧に所定時間保持される場合に、排出完了条件が満たされると判定してもよい。
第2判定部114は、排出完了条件の判定回数が第1しきい値A以上であるか否かを判定するよう構成されている。第1しきい値Aは、排出完了条件の標準判定回数aより大きい。標準判定回数aは、再生シーケンスにおいてクライオポンプ10から第1凝縮物が除去されるまでに標準的に必要とされる判定回数である。例えば、あるクライオポンプがその仕様上、所与の再生シーケンスにおいて排出完了条件がa回判定される間にその凝縮物の排出が完了すると仮定する。この場合、第1しきい値Aは標準回数aより大きい値(例えば、A=a+1)に設定される。標準判定回数aは、経験的にまたは実験により適宜取得することができる。
温度制御部110は、排出完了条件の判定回数が第1しきい値A以上である場合に、クライオポンプ10の予備冷却を実行するよう構成されている。クライオポンプ10の予備冷却は、低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19を第2再生温度Taに予備的に冷却する処理である。第2再生温度Taは、予備冷却処理におけるクライオパネル目標温度であり、クライオポンプ10の標準運転温度より高く、第1凝縮物の融点より低い。第2再生温度Taは、約200Kより高く約273Kより低くてもよい。
第1判定部112は排出完了条件が満たされるか否かを繰り返し判定するから、クライオポンプ10の予備冷却中に第1判定部112は排出完了条件が満たされるか否かを再び判定する。凝縮物検出部118は、クライオポンプ10の予備冷却中に排出完了条件が満たされる場合に第2凝縮物の残存を検出するよう構成されている。第2凝縮物は、第1凝縮物と異なる物質であり、第1凝縮物の蒸気圧より低い蒸気圧を有する。第2凝縮物は例えば、有機凝縮物である。凝縮物検出部118は、検出結果を出力部108に出力してもよい。
第2判定部114は、クライオポンプ10の予備冷却中に排出完了条件の判定回数が第2しきい値A’以上であるか否かを判定する。第2しきい値A’は、第1しきい値Aと同じであってもよいし、異なっていてもよい。リーク検出部116は、排出完了条件の判定回数が第2しきい値A’以上である場合にクライオポンプ10のリークを検出するよう構成されている。リーク検出部116は、検出結果を出力部108に出力してもよい。
記憶部104は、再生シーケンスを定義するための再生パラメータを記憶する。再生パラメータは、実験的にまたは経験的に予め定められ、入力部106から入力される。再生パラメータは、クライオパネル目標温度、排出完了条件、第1しきい値、及び第2しきい値を含む。クライオパネル目標温度は、第1再生温度T0、第2再生温度Ta、極低温度Tbを含む。第1再生温度T0、第2再生温度Ta、及び極低温度Tbはそれぞれ、ある単一の温度として設定されてもよいし、ある温度帯として設定されてもよい。
クールダウン処理は、クライオポンプ10を極低温度Tbに再冷却する再生の最終工程である。極低温度Tbはクールダウン処理におけるクライオパネル目標温度である。排出完了条件が満たされる場合に、排出処理が完了されクールダウン処理が開始される。冷凍機16の冷却運転が開始される。温度制御部110は、目標温度に到達するまではクールダウン処理を継続し、目標温度に達した場合にはクールダウン処理を終了する。こうして再生処理は完了する。クライオポンプ10の真空排気運転が再開される。温度制御部110は、真空排気運転において低温クライオパネル18または高温クライオパネル19の温度を目標温度に維持する冷凍機16の温調運転を実行するよう構成されていてもよい。
図3及び図4は、本発明のある実施形態に係るクライオポンプ再生方法の要部を示すフローチャートである。図3及び図4にはフル再生における排出処理が示されている。上述のように、温度制御部110は、低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19の目標温度を第1再生温度T0に設定する(S10)。また、再生制御部102は、粗引きバルブ72を開放するとともにパージバルブ74を閉じる(S11)。こうしてハウジング38の粗引きが行われる。なおベントバルブ70は以降の処理において閉じられている。
第1判定部112は、ベース圧判定を実行する(S12)。すなわち、第1判定部112は、所定時間内にベース圧レベルまでハウジング38が減圧されるか否かを判定する。例えば、第1判定部112は、粗引き開始から時間X[min]が経過したとき圧力センサ94の測定圧力がY[Pa]以下である場合に、ベース圧判定に合格と判定する。そうでない場合には、第1判定部112は、ベース圧判定に不合格と判定する。しきい値のY[Pa]はベース圧レベルの圧力である。
ベース圧判定が不合格となる理由、つまりクライオポンプ10内の圧力が充分に低下しない理由は、ハウジング38の中に凝縮物がまだ多量にあり、減圧下でこれが気化するためと考えられる。よって、ベース圧判定が不合格である場合には(S12のN)、ハウジング38の粗引き(S11)及びベース圧判定(S12)がもう一度行われる。粗引きによって凝縮物が更に排出される。なお、粗引きの前に、及び/または、粗引きとともに、ハウジング38にパージガスが供給されてもよい。
ベース圧判定が合格である場合には(S12のY)、再生制御部102は、粗引きバルブ72を閉じる(S14)。こうしてハウジング38は外部との接続が遮断され、ハウジング38の内部は真空に封じられる。なお、再生制御部102は、ベース圧判定の結果にかかわらずベース圧判定の実行後に粗引きバルブ72を閉じてもよい。
ハウジング38の内部が真空に保持された状態で、第1判定部112は、排出完了条件が満たされているか否かを判定するために、RoR判定を実行する(S16)。例えば、第1判定部112は、判定開始時点から時間X’[min]が経過したとき圧力センサ94の測定圧力がZ[Pa]以下である場合に、RoR判定に合格と判定する。そうでない場合には、第1判定部112は、RoR判定に不合格と判定する。しきい値のZ[Pa]はベース圧判定のしきい値Y[Pa]より大きい。ただし、Z[Pa]もベース圧レベルの圧力である。判定時間X’[min]は、ベース圧判定の時間X[min]より短くてもよい。
RoR判定が不合格である場合には(S16のN)、第2判定部114は、RoR判定回数を更新する(S20)。すなわち、第2判定部114は、既存のRoR判定回数に1を加算する。更新されたRoR判定回数は記憶部104に保存されてもよい。
第2判定部114は、RoR判定回数が第1しきい値A以上であるか否かを判定する(S22)。RoR判定回数がA回より少ない場合には(S22のN)、ベース圧判定が不合格である場合(S12のN)と同様に、ハウジング38の粗引き(S11)及びベース圧判定(S12)がもう一度行われる。
RoR判定回数がA回以上である場合には(S22のY)、温度制御部110は、クライオパネル目標温度を第1再生温度T0から第2再生温度Taに変更する(S24)。こうして、低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19の予備冷却処理が開始される。第2判定部114は、クライオパネル目標温度が変更されるときに、RoR判定回数をリセットしてもよい。
また、RoR判定が合格である場合には(S16のY)、温度制御部110は、クライオパネル目標温度を第1再生温度T0から極低温度Tbに変更する(S18)。こうして、再生制御部102は、排出処理を終了しクールダウン処理を開始する。
図4には、図3のS24に続くクライオポンプ10の予備冷却処理が示されている。予備冷却処理におけるいくつかの処理は図3を参照して説明したものと同様であり、それらについては同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
上述のように、温度制御部110は、低温クライオパネル18及び/または高温クライオパネル19の目標温度を第2再生温度Taに設定する(S10’)。また、再生制御部102は、粗引きバルブ72を開放するとともにパージバルブ74を閉じる(S11)。
第1判定部112は、ベース圧判定を再び実行する(S12)。予備冷却中のベース圧判定で使用されるしきい値は、予備冷却前のそれらと同じである。ただし、異なるしきい値が使用されてもよい。再生制御部102は、ベース圧判定の実行後に粗引きバルブ72を閉じる(S14)。ベース圧判定が不合格である場合には(S12のN)、ハウジング38の粗引き(S11)及びベース圧判定(S12)がもう一度行われる。
ベース圧判定が合格である場合には(S12のY)、第1判定部112は、RoR判定を再び実行する(S16)。予備冷却中のRoR判定で使用されるしきい値は、予備冷却前のそれらと同じである。ただし、異なるしきい値が使用されてもよい。
RoR判定が不合格である場合には(S16のN)、第2判定部114は、RoR判定回数を更新する(S20)。第2判定部114は、RoR判定回数が第2しきい値A’以上であるか否かを判定する(S26)。RoR判定回数がA’回より少ない場合には(S26のN)、ベース圧判定が不合格である場合(S12のN)と同様に、ハウジング38の粗引き(S11)及びベース圧判定(S12)がもう一度行われる。
一方、RoR判定回数がA’回以上である場合には(S26のY)、リーク検出部116は、クライオポンプ10に微小リークが発生していることを検出する(S28)。リーク検出部116は、検出結果を記憶部104に保存し及び/または出力部108に出力してもよい。再生制御部102は、微小リークの発生をユーザに警告し、及び/または、再生シーケンスを中止してもよい。
RoR判定が合格である場合には(S16のY)、温度制御部110は、クライオパネル目標温度を第2再生温度Taから極低温度Tbに変更する(S18)。この場合、凝縮物検出部118は、微量の凝縮物が残存することを検出し(S19)、これを記憶部104に保存し及び/または出力部108に出力してもよい。こうして、再生制御部102は、排出処理を終了しクールダウン処理を開始する。
図3においてRoR判定が不合格となる理由、つまりクライオポンプ10内の圧力がベース圧レベルに保持されない理由は、減圧下で気化しうる少量の物質がハウジング38の中に残存するためと考えられる。水素、アルゴン、またはその他の高蒸気圧の凝縮物は既に排出されているはずであるから、残存する物質は水またはその他の低蒸気圧の凝縮物であろう。残存する物質は、クライオポンプ10が取り付けられる真空チャンバにおける真空プロセスに起因する有機物かもしれない。
そもそもフル再生の再生シーケンスは、水をクライオポンプ10から効率的に排出するよう設計されている。したがって、水についてはRoR判定の不合格を何回か繰り返すうちにクライオポンプ10から除去されるはずである。その結果、次回のRoR判定は合格となり、排出処理からクールダウン処理に移行することができる。
ところが、水よりも低い蒸気圧をもつ未知の凝縮物がもしクライオポンプ10に残存するとしたら、その凝縮物は、RoR判定のためにハウジング38を減圧するたびに蒸発しうる。その結果、RoR判定に合格するまでに繰り返されるRoR判定回数は、そうした凝縮物を想定しない標準の判定回数を大幅に超えるかもしれない。そうすると、再生シーケンスは、標準の所要時間では完了せずに大幅に延長されるかもしれない。再生時間はクライオポンプ10のダウンタイムであるので、再生時間の延長は望まれない。
そこで、本実施形態においては、RoR判定を一定回数繰り返したうえで、クライオポンプ10の予備冷却が行われる。RoR判定を反復する間に、水の排出を完了することができる。そのうえで、水の融点よりも低温にクライオポンプ10を冷却し、残存する凝縮物の蒸発を抑制することができる。こうしてRoR判定の不必要な反復を防ぎ、再生時間の過剰な延長を防止することができる。
本実施形態に係る再生シーケンスは、予備冷却からクールダウン処理に移行する。その後、クライオポンプ10の真空排気運転が行われる。次回の再生までクライオポンプ10は冷却されることになる。こうした極低温環境において残存凝縮物はクライオポンプ10内に安定的に保持される。したがって、残存凝縮物は真空排気運転に何ら悪影響を及ぼさないか、または少なくとも顕著な悪影響は及ぼさない。
また、クライオポンプ10内の圧力を監視するだけでは、凝縮物の残存と微小リークの発生とを判別することは不可能であるか、困難である。しかしながら、本実施形態によると、上述のようにこれら2つの異なる現象を判別することができる。リークがある場合にクライオポンプ10の運転をそのまま継続することは望まれないから、これについて適切に警告することができる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
排出完了条件の判定回数は、排出処理の継続時間を表している。そこで、ある実施形態においては、再生制御部102は、排出完了条件の判定回数に代えて、排出処理の継続時間を用いてもよい。このようにしても、排出完了条件の判定回数を用いる場合と同様に、再生時間を短縮することができる。
第2判定部114は、排出処理の継続時間が第1しきい値以上であるか否かを判定してもよい。第1しきい値は、再生シーケンスにおいてクライオポンプ10から第1凝縮物を除去するために必要とされる排出処理の標準継続時間より大きくてもよい。温度制御部110は、排出処理の継続時間が第1しきい値以上である場合にクライオポンプ10の予備冷却を実行してもよい。
第2判定部114は、クライオポンプ10の予備冷却中に排出処理の継続時間が第2しきい値以上であるか否かを判定してもよい。リーク検出部116は、排出処理の継続時間が第2しきい値以上である場合にクライオポンプ10のリークを検出してもよい。