特許文献1のミスト発生装置によれば、遠心力で跳ね飛ばされた液体は衝突壁に衝突する度に微細化されるので、衝突壁との衝突回数を多くすることで微細化が促進され、より小さな径のミストを得ることができる。また、衝突壁との衝突回数を多くすることで、微細化されにくい高粘度の液体であっても、微細化されたミストを得ることができる。しかし、特許文献1のミスト発生装置では、液体を遠心力で外向きに跳ね飛ばして衝突壁に衝突させることにより、微細化されたミストを生成している。つまり、液体や液滴を2次元平面に沿って跳ね飛ばしながらミスト化しているに過ぎない。そのため、液体や液滴の衝突回数を増やしてミストを微細化しようとすると、円盤状のベース部の直径寸法が大きくならざるをえず、ミスト発生装置が大型化してしまう。また、衝突壁の配置密度を大きくして液滴の衝突回数を増やす場合には、回転基板の構造を複雑化する必要があるので、コストが嵩むのを避けられない。
本発明の目的は、ミスト生成体が大径化し、あるいはミスト生成体の構造が複雑化するのを解消しながら、液体の衝突回数を増加して微細化されたミストを得ることができるミスト発生装置を提供することにある。
本発明の目的は、液体を3次元方向へ跳ね飛ばしてミスト化することにより、液体の壁面に対する衝突回数とミスト化経路長さを増加して、微細化されたミストを得ることができるミスト発生装置を提供することにある。
本発明は、ミスト生成体3の回転による遠心力で液体を跳ね飛ばしてミスト化する遠心式のミスト発生装置を対象とする。ミスト生成体3が、連続気孔型の多孔質体で構成されていることを特徴とする。
ミスト生成体3は、回転中心部分に液体導入部36を有し、回転周面部分にミスト放出部37を備えた円形の盤状体からなる。ミスト生成体3の径方向寸法Bを、ミスト生成体3の厚み寸法t1よりも大きく設定する。
ミスト生成体3の上下面のそれぞれに、ミスト生成体3の上面および下面を覆う第1遮蔽板40と第2遮蔽板41とを固定する。
第1遮蔽板40の厚み寸法t2および第2遮蔽板41の厚み寸法t3を、ミスト生成体3の厚み寸法t1よりも小さく設定する。
ミスト生成体3は、モーター2で回転駆動する。第2遮蔽板41の厚み寸法t3を、ミスト生成体3の厚み寸法t1よりも小さく設定し、第1遮蔽板40の厚み寸法t2を、第2遮蔽板41の厚み寸法t3よりも小さく設定する。モーター2の駆動軸29を第2遮蔽板41に連結する。
ミスト生成体3の上面と第1遮蔽板40との境界面、およびミスト生成体3の下面と第2遮蔽板41との境界面に、前記各境界面を伝って液体が外向きに移動するのを阻止する止水壁44を設ける。
第1遮蔽板40および第2遮蔽板41は、ミスト生成体3の上面および下面にそれぞれ接着剤49で接着固定する。ミスト生成体3の上面および下面に凹み形成された挿入溝38に前記接着剤49の一部を充填することにより、突条からなる止水壁44を形成する。
第1遮蔽板40および第2遮蔽板41のそれぞれに、ミスト生成体3に向かって突出する突条からなる止水壁44を一体に設ける。ミスト生成体3の上面および下面に、第1遮蔽板40および第2遮蔽板41の止水壁44を受け入れる挿入溝38を設ける。
止水壁44を無端リング状に形成する。
液体導入部36の内周面36aを、V字底36bを有するそろばん玉形状に形成する。
ミスト生成体3を構成する多孔質体の半径方向の密度を、液体導入部36から外側に向かうにつれて高くなるように設定する。
ミスト生成体3の厚み寸法t1を、半径方向外側に向かうにつれて大きくなるように設定する。
ミスト生成体3は、上端から下端に行くにしたがって窄まる逆円錐状に形成する。ミスト生成体3の下端を、タンク4に収容された液体に浸漬する。
ミスト生成体3の上端側に、連続気孔型の多孔質体で構成されたミスト微細化体61を設ける。ミスト微細化体61を円形の盤状体で形成して、ミスト生成体3と一体で構成する。
ミスト生成体3の上端側に、連続気孔型の多孔質体で構成されたミスト微細化体61を設ける。ミスト微細化体61は、ミスト微細化体61の回転中心に、導入孔68を開口して円環状に形成する。ミスト生成体3の上端部の周面部と導入孔68の内周面とが所定の隙間を介して対向するように、ミスト微細化体61を設ける。
本発明のミスト発生装置においては、ミスト生成体3を連続気孔型の多孔質体で構成したので、ミスト生成体3内で液体を遠心力で外向きに跳ね飛ばしながら次々と連続気孔の周囲を囲む壁面(以下、適宜に壁面と言う。)に衝突させることができる。従って、液体をより多くの壁面に衝突させることができ、ミスト生成体3が大径化することなく、液体の衝突回数を増加して微細化されたミストを得ることができる。また、連続気孔の壁面は様々な向きや角度に形成されているため、壁面に衝突した液体は、上下方向の変位を含む3次元方向へ跳ね飛ばされる。このように、液体を3次元方向へ跳ね飛ばしてミスト化することにより、液体の壁面に対する衝突回数とミスト化経路長さを増加して、微細化されたミストを得ることができる。さらに、液体の壁面に対する衝突回数を増加させることができるので、高粘度の液体であっても確実に微細化されたミストを得ることができる。
連続気孔型の多孔質体で構成されるミスト生成体3は、金属や樹脂などの原材料を発泡法、あるいは焼結法などを用いて比較的容易に、しかも安価に製造することができる。従って、ミスト生成体3の構造を複雑化することなく、壁面に液体を充分に衝突させて細かく微細化されたミストを得ることができる。また、液体を2次元平面に沿って跳ね飛ばしながらミスト化していた従来のミスト発生装置に比べて、ミスト生成体3の構造を著しく簡素化して、装置全体の製造コストを低減することができる。さらに、連続気孔を構成する単位気孔の平均直径を大小に変化させることで、生成されるミストの径を自在に設定することができる点でも有利である。
回転中心部分に液体導入部36を有し、回転周面部分にミスト放出部37を備えた円形の盤状体からなるミスト生成体3によれば、液体は遠心力により外向きに跳ね飛ばされるので、ミスト生成体3内を半径方向に横切るように液体を通過させることができ、液体導入部36からミスト放出部37に至る間のミスト化経路長さを大きくすることができる。また、液体は遠心力により外向きに跳ね飛ばされるため、上下方向の移動量よりも外向きの移動量の方が大きいので、ミスト生成体3の径方向寸法Bを、ミスト生成体3の厚み寸法t1よりも大きく設定すると、ミスト生成体3の厚み寸法の増加を抑制しながら、ミスト化経路長さを充分に大きくできる。従って、液体の衝突回数を増加することができ、ミストの微細化を促進させることができる。
ミスト生成体3の上下面のそれぞれに、ミスト生成体3の上面および下面を覆う第1遮蔽板40と第2遮蔽板41とを固定すると、ミスト化された液体の一部がミスト生成体3の上面および下面から放出されるのを防いで、ミスト放出部37から放出できるので、ミスト生成体3によるミストの生成を効果的に行える。また、ミスト生成体3の中途部の上面および下面から放出されるミストの径は、ミスト放出部37から放出されるミストに比べて大きくなる傾向があるが、こうしたミスト径のばらつきを抑えて、均質で微細なミストを得ることができる。
第1遮蔽板40の厚み寸法t2および第2遮蔽板41の厚み寸法t3をミスト生成体3の厚み寸法t1よりも小さく設定すると、液体のミスト化に殆ど寄与しない第1遮蔽板40および第2遮蔽板41をできるだけ薄くしながら、ミスト生成体3の厚みを大きくすることができる。従って、ミスト生成体3によるミストの生成を効果的に行うことができる。
第2遮蔽板41の厚み寸法t3をミスト生成体3の厚み寸法t1よりも小さく設定し、第1遮蔽板40の厚み寸法t2を第2遮蔽板41の厚み寸法t3よりも小さく設定し、モーター2の駆動軸29を第2遮蔽板41に連結した。つまり、ミスト生成体3の厚み寸法t1と、第1遮蔽板40の厚み寸法t2と、第2遮蔽板41の厚み寸法t3とが、t1>t3>t2の関係を満たすように設定した。これによれば、ミスト生成体3と第1および第2の遮蔽板40・41を加えた全体の厚み寸法の増加を抑制しながら、ミスト生成体3を回転駆動するモーター2の駆動軸29が連結される第2遮蔽板41の強度を確保して、ミスト生成体3を確りと連結した状態で回転駆動することができる。また、モーター2の駆動軸29から遠く離れた第1遮蔽板40の中心位置が、駆動軸29の中心位置に対してずれていると、回転モーメントにばらつきが生じ、ミスト生成体3の回転中心軸が揺れ動いて振動の原因となることがある。しかし、第1遮蔽板40が薄く形成してあると、回転モーメントとそのばらつきを小さくできるので、ミスト生成体3の回転中心軸が揺れ動くのをよく防止して、振動の発生を抑制できる。とくに、ミスト生成体3が高速度で回転駆動される場合であっても、回転中心軸が揺れ動くことに伴う振動の発生をよく防止できる。
ミスト生成体3の上面と第1遮蔽板40との境界面、およびミスト生成体3の下面と第2遮蔽板41との境界面を伝って液体が外向きに移動するのを阻止する止水壁44を設けると、液体が境界面を伝って移動しミスト化されずにミスト放出部37の上下縁部から放出されるのを防ぐことができる。詳しくは、液体が境界面を伝うと、液体はミスト生成体3の壁面に衝突せずにミスト放出部37の上下縁部に至るためミストが微細化されない。しかし、境界面に止水壁44を設けることにより、境界面を伝う液体の移動を止水壁44で阻止したのち、強制的にミスト生成体3の側へ液体を移動させて液体を壁面に衝突させてミストを微細化することができる。
第1遮蔽板40および第2遮蔽板41をミスト生成体3に接着固定する接着剤49の一部を挿入溝38に充填することで止水壁44を設けると、接着固定する工程と同時に止水壁44を形成することができる。従って、予め止水壁44を形成する必要がなく、部品形状の簡素化や部品点数、および製造コストの削減を図ることができる。
第1遮蔽板40および第2遮蔽板41のそれぞれに突条からなる止水壁44を一体に設け、ミスト生成体3の上面および下面に止水壁44を受け入れる挿入溝38を設けた。これによれば、予め、両遮蔽板40・41のそれぞれに止水壁44を一体に設けるので、接着剤49の一部を挿入溝38に充填して止水壁44を設ける場合に比べて、止水壁44の仕上がり形状精度を向上して、境界面における液体の止水作用を常に適正に行わせることができる。
無端リング状に止水壁44を形成すると、ミスト生成体3と第1および第2の遮蔽板40・41との各境界面を伝って外向きに移動する液体を全方位方向にわたって受止めることができる。従って、液体が各境界面を伝ってミストが微細化されずにミスト放出部37の上下縁部から放出されるのをさらに確実に防ぐことができる。
液体導入部36の内周面36aを、V字底36bを有するそろばん玉形状に形成すると、液体導入部36に送給された液体は、遠心力で液体導入部36の上下端からV字底36bに向かう傾斜面を移動したのち、V字底36bからミスト生成体3内に導入される。これにより、液体はV字底36bから外向きに跳ね飛ばされながら次第に上下方向へ拡散し、液体は充分に3次元方向へ跳ね飛ばされるので、均質で微細化されたミストを得ることができる。また、液体導入部36内の液体はV字底36bへ向かって流動案内されるので、先の液体が各遮蔽板40・41とミスト生成体3との各境界面へ向かって流込むのをよく防止できる。
連続気孔を構成する単位気孔の径が同じである場合、単位気孔の形成数が少ないほど多孔質体の密度は高くなる。また、連続気孔を構成する単位気孔の形成数が同じである場合、単位気孔の径が小さいほど多孔質体の密度は高くなる。従って、単位気孔の形成数を少なく、あるいは単位気孔の径を小さくして多孔質体の密度を高くすると、多孔質体の単位体積のうち連続気孔が占める割合を小さくして、多孔質体の単位体積内に連続気孔周囲を囲む壁面を多く存在させることができる。これは、単位気孔の形成数が多く、あるいは単位気孔の径が大きい場合には、隣接する単位気孔どうしの重なり量が増加して、その分単位気孔の周囲を囲む壁面が減少するからである。従って、ミスト生成体3を構成する多孔質体の半径方向の密度を、液体導入部36から外側に向かうにつれて高くなるように設定すると、遠心力が小さな液体導入部36側では連続気孔が占める割合を大きくして、液体がミスト生成体3に導入されやすくすることができる。また、ミスト発生装置を停止させたときに液体導入部36に残った液体を、連続気孔が占める割合が大きな液体導入部36側のミスト生成体3内に吸収して保持し、ミスト発生装置が転倒した場合などに液体がミスト発生装置の外にこぼれるのを防ぐことができる。
ミスト生成体3の厚み寸法t1を、半径方向外側に向かうにつれて大きくなるように形成すると、液体導入部36から導入された液体は、外側に移動しながら3次元方向へ跳ね飛ばされて次第に上下に拡散するので、ミスト生成体3の形状と液体が上下に拡散する状態とを一致させることができ、液体と壁面との衝突頻度の少ない部分が生じるのを解消できる。従って、ミスト生成体3の小型化および軽量化を図ることができる。また、小型化されたミスト生成体3であっても、液体は充分に3次元方向へ跳ね飛ばされるので、均質で微細化されたミストを得ることができる。
逆円錐状に形成されたミスト生成体3の先端を、タンク4に収容された液体に浸漬すると、多孔質体が発揮する毛細管現象で液体をミスト生成体3内に吸上げ、遠心力の大きな基端側で液体を壁面に衝突させて微細化されたミストを生成することができる。従って、ミスト生成体3自身が液体送給手段5の機能を発揮できるので、別途液体送給手段5を設ける必要がなく、ミスト発生装置をコンパクトにしながら、装置全体の製造コストを低減することができる。また、ミスト発生装置の使用後に、タンク4に液体が残っている場合や、タンク4の壁面に付着した液滴が流れ落ちてタンク4の底に溜まった場合には、ミスト発生装置が転倒すると、タンク4内の液体がこぼれるおそれがある。しかし、ミスト発生装置が停止すると、ミスト生成体3は、タンク4内の液体を毛細管現象により先端から内部に吸上げて、液体をミスト生成体3内に保持するので、ミスト発生装置が転倒した場合でも液体がこぼれるのを防ぐことができる。
ミスト生成体3の上端部に設けた円環状のミスト微細化体61をミスト生成体3と一体で構成すると、ミスト生成体3の上端部で微細化されたミストを、ミスト微細化体61に導入して再度微細化することができ、より微細化されたミストを得ることができる。
ミスト生成体3の上端部の周面部と導入孔68の内周面とが所定の隙間を介して対向するように、ミスト生成体3の上端部にミスト微細化体61を設けると、ミスト生成体3の上端部で微細化されたミストを、ミスト微細化体61に導入して再度微細化することができ、より微細化されたミストを得ることができる。
(第1実施形態) 図1から図5に、本発明に係るミスト発生装置の第1実施形態を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において符号1は本体ケースであり、本体ケース1の内部には、メインモーター(モーター)2で回転駆動されるミスト生成体3と、ミスト生成用の水(液体)を収容するタンク4と、タンク4に収容された水をミスト生成体3に送給する送液ポンプ(液体送給手段)5を含む液体送給部6などが配置されている。符号7は電池、符号8はミスト発生装置の制御部である。電池7はメインモーター2、制御部8、および送液ポンプ5を駆動するポンプモーター22に電力を供給する。制御部8は、本体ケース1の前面に設けたメインスイッチ9からの信号を受けて、ミスト発生装置を起動あるいは停止する。
ミスト生成体3は、メインモーター2で回転駆動されることにより、送液ポンプ5で送給された水を遠心力で跳ね飛ばしてミストを生成するが、その詳細については後述する。本体ケース1の上部には、ミスト生成体3で生成したミストが周囲に飛散するのを防ぐフード12と、フード12で案内されたミストを含む空気の流れを上向きに送出するノズル13とが設けられている。フード12は、後述する送風ファン28の導風筒を兼ねており、その内部の下半側にミスト生成体3が配置されている。ミスト生成体3の上端に臨むフード12の内面には、円盤状の支持壁14と、同壁14を支持する4個の放射枠15とが設けられている。これら両者14・15はフード12と一体に成形されている。フード12の下端開口にはドレンパン16が設けられており、ミストがフード12の内面に衝突して液滴化した場合に、その水をドレンパン16で受止めて本体ケース1の内部が水濡れするのを防止している。ドレンパン16で受止められた水は、ドレンパン16とタンク4とを結ぶドレン回収通路17でタンク4に戻される。
タンク4は、本体ケース1の下部の装填部19に対して着脱自在に装着されており、その上部中央に水の出入口20が開口されている。符号21はシールリングである。液体送給部6は、出入口20の上方に配置された送液ポンプ5と、送液ポンプ5を駆動するポンプモーター22と、送液ポンプ5の吸込口からタンク4の内底に向かって伸びる吸込通路23と、送液ポンプ5の吐出口とミスト生成体3との間に配置される吐出通路24とで構成されている。吐出通路24は、送液ポンプ5の吐出口からフード12の支持壁14にわたって配置される送液チューブ25と、送液チューブ25に連通してミスト生成体3に向かって下方へ伸びる給液管26とで構成されている。タンク4に収容されたミスト生成用の水は、ポンプモーター22を起動して送液ポンプ5を駆動することにより、吸込通路23で吸上げられ、送液チューブ25および給液管26を介してミスト生成体3に送給される。
図1に示すように、メインモーター2の上側の出力軸2Aには、上端寄りに送風ファン28が一体に形成された駆動軸29が連結されており、駆動軸29はドレンパン16の中央に開口した貫通孔30に隙間を介して挿通されている。送風ファン28は複数個のファンブレード31と、ファンブレード31を囲むように形成された保護リング32とで形成されている。送風ファン28は、駆動軸29と貫通孔30との隙間から吸い込んだ空気をノズル13に向かって送出する。ドレンパン16の底壁を中央に向かって上り傾斜するように形成し、貫通孔30の上縁に周回状の堰33を形成することにより、ドレンパン16で受止めた水が貫通孔30を介して本体ケース1の内部に漏れ出るのを防止している。
図1および図4に示すように、メインモーター2の上方にはミスト生成体3が配置されている。ミスト生成体3は、連続気孔型の多孔質体で構成されており、回転中心部分に液体導入孔(液体導入部)36を有し、回転周面部分にミスト放出面(ミスト放出部)37を備えた円形の盤状体からなる。送液ポンプ5で送給された水は、液体導入孔36からミスト生成体3内に導入される。液体導入孔36からミスト生成体3内に導入された水は、遠心力によりミスト生成体3の内部でミスト化されて、ミスト放出面37から放出されるようになっている。具体的には、ミスト生成体3内に導入された水は、遠心力で外向きに跳ね飛ばされながら連続気孔の周囲を囲む壁面に次々と衝突するたびに徐々に微細化されたのち、ミスト放出面37から放出される。連続気孔の壁面は様々な向きや角度に形成されているため、壁面に衝突した液体は、上下方向の変位を含む3次元方向へ跳ね飛ばされる。回転中心部分の液体導入部36から回転周面部分のミスト放出部37へと至る間に液体はミスト化されるので、ミスト生成体3内を半径方向に横切るように液体を通過させることで、ミスト化経路長さを大きくすることができる。
図4に示すように、ミスト生成体3の径方向寸法Bは、ミスト生成体3の厚み寸法t1よりも大きく設定されている。具体的には、ミスト生成体3の径方向寸法Bは15mmであり、ミスト生成体3の厚み寸法t1は3mmである。上述したように、壁面に衝突した液体は、上下方向の変位を含む3次元方向へ跳ね飛ばされるが、遠心力により外向きに跳ね飛ばされる水の移動量は、上下方向の移動量よりも外向きの移動量の方が大きい。従って、ミスト生成体3の径方向寸法Bを、ミスト生成体3の厚み寸法t1よりも大きく設定すると、ミスト生成体3の厚み寸法の増加を抑制しながら、ミスト化経路長さを充分に大きくでき、液体の衝突回数を増加して、ミストの微細化を促進させることができる。
ミスト生成体3を構成する多孔質体の半径方向の密度は、液体導入部36から外側に向かうにつれて高くなるように設定されている。多孔質体の密度は、連続気孔を構成する単位気孔の径が同じである場合、単位気孔の形成数が少ないほど多孔質体の密度は高くなる。また、連続気孔を構成する単位気孔の形成数が同じである場合、単位気孔の径が小さいほど多孔質体の密度は高くなる。従って、単位気孔の形成数を少なく、あるいは単位気孔の径を小さくして多孔質体の密度を高くすると、多孔質体の単位体積のうち連続気孔が占める割合を小さくして、多孔質体の単位体積内に連続気孔周囲を囲む壁面を多く存在させることができる。これは、単位気孔の形成数を多く、あるいは単位気孔の径が大きい場合には、隣接する単位気孔どうしの重なり量が増加して、その分単位気孔の周囲を囲む壁面が減少するからである。従って、ミスト生成体3を構成する多孔質体の半径方向の密度を、液体導入部36から外側に向かうにつれて高くなるように設定したミスト生成体3によれば、遠心力が小さな液体導入部36側では連続気孔が占める割合を大きくして、液体がミスト生成体3に導入されやすくすることができる。また、ミスト発生装置を停止させたときに液体導入部36に残った液体を、連続気孔が占める割合が大きな液体導入部36側のミスト生成体3内に吸収して保持し、ミスト発生装置が転倒した場合などに液体がミスト発生装置の外にこぼれるのを防ぐことができる。本実施形態では、連続気孔を構成する単位気孔の径を同じとし、単位気孔の形成数が液体導入孔36からミスト放出面37に向かうにつれて連続的に少なくなるように構成して、多孔質体の半径方向の密度を変化させた。なお、単位気孔の形成数を液体導入孔36からミスト放出面37に向かうにつれて段階的に少なくなるように構成して、多孔質体の半径方向の密度を変化させてもよい。
ミスト生成体3の上面および下面には、各面を覆うカバー板(第1遮蔽板)40とベース板(第2遮蔽板)41とが固定されている。ミスト生成体3の上面側に固定されるカバー板40は、回転中心部分に挿入孔42が形成されて、円環状に形成されており、挿入孔42の内周面は、中央に向かって下り傾斜するように形成されている。挿入孔42の直径寸法は、液体導入孔36の上面側直径寸法よりも小さく設定されている。これにより、液体導入孔36に送給された水が遠心力で跳ね飛ばされた際に、挿入孔42から飛び出すのを防いでいる。ミスト生成体3の下面側に固定されるベース板41は円盤状に形成されており、その底面の中央に駆動軸29が固定される連結凹部43が凹み形成されている。このように、ミスト化された液体の一部がミスト生成体3の上面および下面から放出されるのを防いで、ミスト放出面37から放出できるので、ミスト生成体3によるミストの生成を効果的に行える。また、ミスト生成体3の中途部の上面および下面から放出されるミストの径は、ミスト放出面37から放出されるミストに比べて大きくなる傾向があるが、こうしたミスト径のばらつきを抑えて、均質で微細なミストを得ることができる。
カバー板40の下面およびベース板41の上面には、それぞれ止水壁44が突出形成されており、カバー板40には1個、ベース板41には2個の無端リング状の止水壁44が、同心円状に形成されている。止水壁44は、それぞれ異なる直径に形成されており、カバー板40には、ベース板41の2個の止水壁44の直径の中間の直径の止水壁44が形成されている。ミスト生成体3の上面および下面には、止水壁44を受け入れる挿入溝38が同心円状に凹み形成されており、上面に1個、下面に2個の挿入溝38が止水壁44に対応する位置に形成されている。
ミスト生成体3、カバー板40、ベース板41の3者の直径は同一に設定されており、ベース板41に設けた3個のピン45を、このピン45に対応するようにミスト生成体3およびカバー板40に設けた挿通穴46・47にそれぞれ挿通したのち、カバー板40の上面に突出したピン45をかしめることにより3者を一体化している。ミスト生成体3、カバー板40、ベース板41の3者を一体化したのち、駆動軸29の先端に突出形成した連結突起48を連結凹部43に差込んで接着固定することにより、ミスト生成体3は送風ファン28と一体化されて、メインモーター2で回転駆動することができる。ミスト生成体3、カバー板40、ベース板41の3者は、止水壁44が挿入溝38に嵌まり込んで確りと位置決めされた状態で一体化されるので、ミスト生成体3の回転駆動時にがたつくことがない。
カバー板40の厚み寸法t2およびベース板41の厚み寸法t3は、ミスト生成体3の厚み寸法t1よりも小さく設定しており、また、カバー板40の厚み寸法t2は、ベース板41の厚み寸法t3よりも小さく設定している。具体的には、カバー板40の厚み寸法t2は1mmであり、ベース板41の厚み寸法t3は2mmである。このように、ミスト生成体3の厚み寸法t1よりもカバー板40の厚み寸法t2およびベース板41の厚み寸法t3を小さく設定することにより、液体のミスト化に殆ど寄与しないカバー板40およびベース板41をできるだけ薄くしながら、ミスト生成体3の厚みを大きくすることができる。従って、ミスト生成体3によるミストの生成を効果的に行うことができる。
また、ミスト生成体3の厚み寸法t1よりもベース板41の厚み寸法t3を小さく設定し、さらに厚み寸法t3よりもカバー板40の厚み寸法t2を小さく設定することにより、ミスト生成体3とカバー板40およびベース板41を加えた全体の厚み寸法の増加を抑制しながら、駆動軸29が連結されるベース板41の強度を確保して、ミスト生成体3を確りと連結した状態で回転駆動することができる。また、モーター2の駆動軸29から遠く離れたカバー板40の中心位置が、駆動軸29の中心位置に対してずれていると、回転モーメントにばらつきが生じ、ミスト生成体3の回転中心軸が揺れ動いて振動の原因となることがある。しかし、カバー板40が薄く形成してあると、回転モーメントとそのばらつきを小さくできるので、ミスト生成体3の回転中心軸が揺れ動くのをよく防止して、振動の発生を抑制できる。とくに、ミスト生成体3が高速度で回転駆動される場合であっても、回転中心軸が揺れ動くことに伴う振動の発生をよく防止できる。
図4に示すように、先に説明した給液管26は、上方からカバー板40の挿入孔42を介して液体導入孔36に挿入されており、同管26の下端がミスト生成体3の厚み方向の中央部より下側に位置するように配置されている。送液ポンプ5でミスト生成体3へ送給されたタンク4の水は、給液管26の下端からベース板41の中央上面に滴下され、滴下された水は、遠心力によりベース板41の上面を伝いながら液体導入孔36の内周面36aの下端に接触する。液体導入孔36の内周面36aはそろばん玉形状に形成されているので、水は内周面36aの下端から上方に向かって上り傾斜する傾斜面を上昇し、ミスト生成体3の厚み方向の中央位置にあるV字底36bへと至り、V字底36b部分からミスト生成体3内に導入される。このとき、多孔質体が発揮する毛細管現象により、傾斜面を上昇する水の一部は傾斜面からミスト生成体3内に導入される。ミスト生成体3に導入された水は、外向きに跳ね飛ばされながら、連続気孔の周囲を囲む壁面に次々と衝突してミスト化され、ミスト放出面37から放出される。ミスト放出面37から放出されたミストは、送風ファン28で生起された気流により、フード12内を上昇しノズル13から本体ケース1外に放出される。
上記のように、液体導入孔36の内周面36aを、V字底36bを有するそろばん玉形状に形成すると、液体導入孔36に送給された水は、遠心力で液体導入孔36の下端からV字底36bに向かう傾斜面を移動したのち、V字底36bからミスト生成体3内に導入されるので、水はV字底36bから外向きに跳ね飛ばされながら次第に上下方向へ拡散し、液体は充分に3次元方向へ跳ね飛ばされるので、均質で微細化されたミストを得ることができる。また、液体導入部36内の液体はV字底36bへ向かって流動案内されるので、水が各板40・41とミスト生成体3との各境界面へ向かって流込むのをよく防止できる。
液体導入孔36の内周面36aをそろばん玉形状に形成し、水をV字底36bからミスト生成体3内に導入されるようにして、各板40・41とミスト生成体3との各境界面へ向かって流込むのを防止したが、水はミスト生成体3の内部を上下方向にも移動しながら外向きに移動するので、その過程で各板40・41とミスト生成体3との各境界面に接触する場合がある。この場合、カバー板40あるいはベース板41に接触した水は、水と各板40・41との間の表面張力により各境界面を伝うので、ミスト生成体3の壁面に衝突せずに外向きに移動してしまう。これを防止するために各境界面にミスト生成体3側に向かって突出する止水壁44が設けてある。止水壁44の断面形状は四角形状に形成している。
止水壁44は、カバー板40およびベース板41のミスト生成体3との境界面側に、ミスト生成体3に向かって突出するように形成されているため、境界面を伝って外向きに移動してきた水は、止水壁44で堰き止められて径方向外向きの移動が阻止される。外向きの移動を阻止された水は、止水壁44の内周壁面を伝ってミスト生成体3の厚み方向中央側へと強制的に移動させられ、再度ミスト生成体3内へ導入される。これにより、水が各境界面を伝って移動し、ミストが微細化されずにミスト放出面37の上下縁部から放出されるのを防ぐことができる。止水壁44は無端リング状に形成されているので、各境界面を伝って外向きに移動する水を全方位方向にわたって受止めることができる。止水壁44は、予め両板40・41のそれぞれに一体に設けるので、止水壁44の仕上がり形状精度を向上して、境界面における液体の止水作用を常に適正に行わせることができる。
メインスイッチ9が操作されたときの、メインモーター2およびポンプモーター22の動作を、図5のタイミングチャートを用いて説明する。制御部8(図2参照)は、メインスイッチ9からオン信号が入力されると、まずメインモーター2を起動し、それから所定時間が経過したのち、ポンプモーター22を起動する。このように、ポンプモーター22に対してメインモーター2を先行して起動し、送液ポンプ5よりもミスト生成体2を先に駆動させると、ミスト生成体2内に水が残留していたとしても、送液ポンプ5から水が送給されてくるまでの間に、残留した水をミスト化できるので、ミスト発生装置の使用開始時に大径のミストが形成されるのを防止できる。
一方、制御部8は、メインスイッチ9からオフ信号が入力されると、まずポンプモーター22を停止し、それから所定時間が経過したのち、メインモーター2を停止する。このように、ポンプモーター22に対してメインモーター2を遅れて停止し、送液ポンプ5が停止した後にミスト生成体3を停止すると、送液ポンプ5から送給された水を、ミスト生成体3内に残すことなくミスト化して放出できるので、ミスト生成体3内に水が残留したまま放置されるのを解消できる。したがって、次にミスト発生装置を使用するときに、大径のミストが形成されるのを防止できる。
以上のように、本実施形態のミスト発生装置においては、ミスト生成体3を連続気孔型の多孔質体で構成したので、ミスト生成体3内で液体を遠心力で外向きに跳ね飛ばしながら次々と連続気孔の周囲を囲む壁面に衝突させることができる。従って、水をより多くの壁面に衝突させることができ、ミスト生成体3が大径化することなく、水の衝突回数を増加して微細化されたミストを得ることができる。また、連続気孔の壁面は様々な向きや角度に形成されているため、壁面に衝突した水は、上下方向の変位を含む3次元方向へ跳ね飛ばされる。このように、水を3次元方向へ跳ね飛ばしてミスト化することにより、液体の壁面に対する衝突回数とミスト化経路長さを増加して、微細化されたミストを得ることができる。なお、超音波振動子により液体をミスト化するミスト発生装置においては、液体の粘度が数十mPa・Sになるとミスト化が難しくなるが、遠心力を利用して液体をミスト化する遠心式のミスト発生装置においては、1000mPa・S以上の高粘度の液体であってもミスト化が可能である。従って、本実施形態のように連続気孔型の多孔質体からなるミスト生成体を回転させることで液体をミスト化するミスト発生装置によれば、化粧水などの高粘度の液体であっても確実に微細化されたミストを得ることができ、例えば、顔肌をケアする美容機器として好適に用いることができる。
連続気孔型の多孔質体で構成されるミスト生成体3は、金属や樹脂などの原材料を発泡法、あるいは焼結法などを用いて比較的容易に、しかも安価に製造することができる。従って、ミスト生成体3の構造を複雑化することなく、壁面に水を充分に衝突させて細かく微細化されたミストを得ることができる。また、液体を2次元平面に沿って跳ね飛ばしながらミスト化していた従来のミスト発生装置に比べて、ミスト生成体3の構造を著しく簡素化して、装置全体の製造コストを低減することができる。さらに、連続気孔を構成する単位気孔の平均直径を大小に変化させることで、生成されるミストの径を自在に設定することができる点でも有利である。
本実施形態では、液体導入部36を貫通孔で形成したがその必要はなく、上面が開口する凹みで形成してもよい。この場合には、凹みの深さはミスト生成体3の厚み寸法t1の半分に設定することにより、ミスト生成体3の厚み方向の中央部分から水をミスト生成体3内に導入することができる。ミスト生成体4の回転駆動手段は、メインモーター2に限られず、手動式の回転体駆動手段であってもよい。具体的には、押圧式レバーに設けられるラックギヤと、同ラックギヤと噛み合うピニオンギヤと、同ピニオンギヤと回転体との間に設けられるワンウェイクラッチを含んで構成される手動式の回転体駆動手段であってもよく、或いは、ゼンマイ方式の回転体駆動手段であってもよい。
(第2実施形態) 図6に、本発明に係るミスト発生装置の第2実施形態を示す。本実施形態においては、ミスト生成体3、カバー板40、ベース板41の3者の固定方法を変更した点と、カバー板40およびベース板41に止水壁44を一体に突出形成せず、他の方法で止水壁44を形成した点が第1実施形態と異なる。図6に示すように、ミスト生成体3、カバー板40、ベース板41の3者の固定を、接着剤49による接着固定で一体化するようにした。3者3・40・41の接着固定は、ミスト生成体3の上面および下面に接着剤49を塗布するが、このとき、ミスト生成体3の上面および下面に凹み形成した挿入溝38内にも接着剤49が充満するように塗布する。そして、ミスト生成体3の上面および下面にカバー板40とベース板41を貼り付け、接着剤49を硬化させることにより接着固定が完了する。挿入溝38内で硬化した接着剤49が止水壁44として機能して、各境界面を伝い流れる水の移動を阻止する。他は第1実施形態と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施形態においても同じとする。
上記のように、カバー板40およびベース板41をミスト生成体3に接着固定する接着剤49の一部を挿入溝38に充填することで止水壁44を設けると、接着固定する工程と同時に止水壁44を形成することができる。従って、カバー板40およびベース板41に止水壁44を形成する必要がなく、部品形状の簡素化や部品点数、および製造コストの削減を図ることができる。
(第3実施形態) 図7に、本発明に係るミスト発生装置の第3実施形態を示す。本実施形態においては、ミスト生成体3の断面形状を変更し、それに伴いカバー板40およびベース板41の断面形状も変更した点と、ミスト生成体3、カバー板40、ベース板41の3者の固定方法を変更した点が第1実施形態と異なる。図7に示すように、ミスト生成体3は、液体導入孔36からミスト放出面37に向かって厚み方向の寸法t1が徐々に大きくなるように形成されている。また、カバー板40およびベース板41は、ミスト生成体3の上面および下面の形状に対応するようにそれぞれ皿状に形成されている。ミスト生成体3、カバー板40、ベース板41の3者は、第2実施形態と同様に接着剤49で接着固定して一体化されており、止水壁44を3者3・40・41の接着固定と同時に形成した。
上記のように、ミスト生成体3の厚み寸法t1を、液体導入孔36からミスト放出面37に向かうにつれ、すなわち半径方向外側に向かうにつれて大きくなるように形成すると、液体導入孔36から導入された水は、外側に移動しながら3次元方向へ跳ね飛ばされて次第に上下に拡散するので、ミスト生成体3の形状と水が上下に拡散する状態とを一致させることができ、水と壁面との衝突頻度の少ない部分が生じるのを解消できる。従って、ミスト生成体3の小型化および軽量化を図ることができる。また、小型化されたミスト生成体3であっても、水は充分に3次元方向へ跳ね飛ばされるので、均質で微細化されたミストを得ることができる。
(第4実施形態) 図8および図9に、本発明に係るミスト発生装置の第4実施形態を示す。図8のミスト発生装置は、本体ケース1の内部に、メインモーター2、ミスト生成体3、タンク4、電池7、制御部8などが配置されている。本体ケース1の上部には、メインモーター2を支持する下面が開口した筒状のモーター支持枠51と、同枠51の周囲を囲みミスト生成体3で生成したミストが周囲に飛散するのを防ぐフード52と、支持枠51とフード52とを連結する複数の放射枠53とが配置されている。
メインモーター2は、上下端のそれぞれに出力軸2A・2Bを備えた両軸タイプのモーターからなる。メインモーター2はその上半部がモーター支持枠51で覆われ、下半部がモーターカバー55で覆われている。メインモーター2の上側の出力軸2Aは、モーター支持枠51を貫通して、モーター支持枠51の上方に配置された軸流ファン型の送風ファン56に連結されている。送風ファン56が回転すると、フード52の内周面に沿う上向きの気流が生起される。メインモーター2の下側の出力軸2Bは、モーターカバー55を貫通しており、同軸2Bの先端に駆動軸29が連結される。
メインモーター2の下方には、ミスト生成体3が配置されており、その周囲を囲むようにタンク4が配置されている。タンク4の上端縁は、フード52の下端縁と連結されており、その内周面どうしは面一状になっている。タンク4の底壁はすり鉢状に形成されており、その中心にミスト生成体3の下端を僅かな隙間を介して囲む円錐形状の凹部57が形成されている。タンク4の後面には、水を補給するための給水管58が設けられており、給水管58の先端は本体ケース1の後面に露出している。符号59は、給水管58の給水口を塞ぐゴムキャップである。
ミスト生成体3は、上端から下端に行くにしたがって窄まる逆円錐状に形成されている。ミスト生成体3の上端側には、連続気孔型の多孔質体で構成されたミスト微細化体61を設けている。ミスト生成体3およびミスト微細化体61のそれぞれは、全体の密度が均一に設定された多孔質体で構成されており、ミスト生成体3およびミスト微細化体61は同一密度の多孔質体で構成している。ミスト微細化体61の回転中心部分には、上側の小径孔62と下側の大径孔63とからなる導入孔64が貫通状に開口されて、円環状に形成されている。小径孔62はミスト生成体3の上端側の形状に対応しており、導入孔64の上方からミスト生成体3を差込むことにより一体に構成される。ミスト微細化体61の外周面はミスト放出面65となっている。
タンク4に水を補給した状態では、ミスト生成体3の下端は、タンク4に収容された水に浸漬している。これにより、下端側で毛細管現象により水をミスト生成体3内に吸上げることができ、ミスト生成体3自身に液体送給手段5の機能を発揮させることができる。また、ミスト生成体3を回転駆動すると、ミスト生成体3の下端外周面に接している水に、遠心力と重力の合成力からなる上向き方向の分力が作用し、水は外周面を伝って上向きに上昇する。このように遠心力により水に作用する上向きの分力によっても、水を吸上げることができ、ミスト生成体3自身に液体送給手段5の機能を発揮させることができる。
ミスト微細化体61の上面には円盤状のベース板41が固定されており、下面には回転中心部分に挿入孔42が開口され円環状に形成されたカバー板40が固定されている。ベース板41は、ミスト生成体3の上方向への移動を規制して、ミスト生成体3とミスト微細化体61とが分離するのを防いでいる。カバー板40の挿入孔42の直径寸法は、挿入孔42の位置におけるミスト生成体3の直径寸法よりもわずかに大きく設定されており、大径孔63の直径寸法よりも小さく設定されている。カバー板40の上面およびベース板41の下面には、それぞれ止水壁44が突出形成されており、ミスト微細化体61の上面および下面には、カバー板40およびベース板41の止水壁44に対応する挿入溝66が凹み形成されている。ミスト微細化体61、カバー板40、ベース板41の3者は、ベース板41に設けた複数のピン45で一体に固定されている。ベース板41は、メインモーター2の出力軸2Bに連結された駆動軸29に固定されており、メインモーター2を起動することによりミスト生成体3およびミスト微細化体61を回転駆動してミストを生成する。
給水管58から水を補給したのち、メインスイッチ9を操作してメインモーター2を起動すると、ミスト生成体3およびミスト微細化体61が回転駆動されると同時に送風ファン56が回転駆動される。ミスト生成部3が回転すると、水は毛細管現象でミスト生成部3の内部を上向きに吸上げられる。吸上げられた水は、ミスト生成体3の上端部に近づくにつれ、徐々に大きくなる遠心力でミスト化される。また、ミスト生成体3の外周面を伝って上向きに吸上げられた水は、ミスト生成体3の上端付近で遠心力によりミストとして振り飛ばされる。これらのミストは、充分微細化されていないのでミストの径はまだ大きく、従って、ミスト微細化体61で再度微細化を行う。ミスト生成体3の内部で生成されたミストは、小径孔62の内周面62aからミスト微細化体61内へ導入され、振り飛ばされて生成されたミストは、大径孔63の内周面63aから導入される。ミスト微細化体61内へ導入された径の大きなミストは、遠心力で外向きに跳ね飛ばされて壁面に衝突して再度微細化され、より細かく微細化されたミストとしてミスト放出面65から放出される。ミスト放出面65から放出されたミストは、送風ファン56で生起された気流により、フード52内を上昇しノズル13から本体ケース1外に放出される。
上記のように、逆円錐状に形成されたミスト生成体3の下端を、タンク4に収容された水に浸漬すると、多孔質体が発揮する毛細管現象で水をミスト生成体3内に吸上げ、遠心力の大きな上端側で水を壁面に衝突させてミストを生成することができる。また、ミスト生成体3の下端外周面に接している水を、遠心力と重力の合成力からなる上向き方向の分力で吸上げ、ミスト生成体3の上端付近で振り飛ばしてミストを生成することができる。従って、ミスト生成体3自身が液体送給手段5の機能を発揮できるので、別途液体送給手段5を設ける必要がなく、ミスト発生装置をコンパクトにしながら、装置全体の製造コストを低減することができる。また、ミスト発生装置の使用後に、タンク4に水が残っている場合や、タンク4の壁面に付着した液滴が流れ落ちてタンク4の底に溜まった場合には、ミスト発生装置が転倒すると、タンク4内の水がこぼれるおそれがある。しかし、ミスト発生装置が停止すると、ミスト生成体3は、タンク4内の液体を毛細管現象により先端から内部に吸上げて、水をミスト生成体3内に保持するので、ミスト発生装置が転倒した場合でも液体がこぼれるのを防ぐことができる。
また、ミスト生成体3の上端部に設けた円環状のミスト微細化体61をミスト生成体3と一体で構成すると、ミスト生成体3の基端部で微細化されたミストを、ミスト微細化体61に導入して再度微細化することができ、より微細化されたミストを得ることができる。
本実施形態では、導入孔64は貫通孔で形成したが、その必要はなく、下向きに開口する凹みであってもよい。ミスト生成体3とミスト微細化体61は、1個の部品として形成することができる。
(第5実施形態) 図10に、本発明に係るミスト発生装置の第5実施形態を示す。本実施形態では、第4実施形態のミスト生成体3とミスト微細化体61とを、所定の隙間を介して配置した点が異なる。図10に示すように、ミスト微細化体61は、その回転中心に、導入孔68が貫通状に開口されて円環状に形成されている。ミスト生成体3の上端側は、逆円錐状の上端に連続する円筒状に形成されている。ミスト生成体3とミスト微細化体61とは、ミスト生成体3の円筒状部分が導入孔68の内周面と所定の隙間を介して対向するように設けられている。ミスト微細化体61、カバー板40、ベース板41の3者は、ベース板41に設けた複数のピン45で一体に固定されており、ミスト生成体3は、接着剤によりベース板41の下面の回転中心部分に接着固定されている。
ミスト生成時には、吸上げられた水は、ミスト生成体3の上端部に近づくにつれ、徐々に大きくなる遠心力でミスト化される。また、ミスト生成体3の外周面を伝って上向きに吸上げられた水は、ミスト生成体3の上端付近で遠心力によりミストとして振り飛ばされる。これらのミストは、充分微細化されていないのでミストの径はまだ大きく、従って、ミスト微細化体61で再度微細化を行う。ミスト生成体3の内部で生成されたミスト、および振り飛ばされて生成されたミストは、導入孔68の内周面から導入される。ミスト微細化体61内へ導入された径の大きなミストは、遠心力で外向きに跳ね飛ばされて壁面に衝突して再度微細化され、より細かく微細化されたミストとしてミスト放出面65から放出される。ミスト放出面65から放出されたミストは、送風ファン56で生起された気流により、フード52内を上昇しノズル13から本体ケース1外に放出される。
ミスト生成体3の円筒状部分の外周面から放出されたミストの径は大小様々でばらつきが多いので、この状態のミストをミスト微細化体61で再度微細化したとしても、依然ミストの径のばらつきは残ったままである。しかし、所定の隙間を介してミスト生成体61の上端部の周面部と導入孔68の内周面とを対向させると、径の大きなミストは重力によりタンク4へと落下し、径の小さなミストは外向きに移動する勢いがなく、導入孔68の内周面には到達しない。これにより、導入孔68の内周面から導入されるミストの径を選別することができ、従って、生成されるミストの径を均質化することができる。
第4および第5実施形態では、全体の密度が均一に設定された多孔質体でミスト生成体3およびミスト微細化体61のそれぞれを構成したが、部位により密度の異なる多孔質体を使用して両者3・61を構成してもよい。また、ミスト生成体3およびミスト微細化体61は同一密度の多孔質体である必要はなく、異なる密度の多孔質体でそれぞれを構成してもよい。
上記の各実施形態では、ミスト生成体3あるいはミスト微細化体61の外周形状を円状に形成したがその必要はなく、多角形状に形成することができる。止水壁44の断面形状は四角形状に限らず、三角形、多角形、あるいは半円形状などに形成することができる。