JP6346801B2 - 電界強度推定方法および電界強度推定装置 - Google Patents

電界強度推定方法および電界強度推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、送信点から建物の開口部を通って受信点に受信される電波の電界強度推定方法および電界強度推定装置に関する。
移動体通信において、建物の内部における移動局での下りリンクの電波の電界強度を推定すなわち計算すること、および基地局での上りリンクの電波の電界強度を推定すなわち計算することは、加入者へのサービスのために重要であり、例えば、基地局を配置する位置の決定に利用される。建物の外部の基地局と、建物の内部の移動局は、建物の開口部(例えば窓)を通る電波により通信する。したがって、建物の内部の移動局に関する電界強度の推定にあたっては、開口部を考慮しなければならない。
従来の建物の内部の移動局に関する電界強度の推定方法の一つとして、屋外送信点から屋内受信点まで、開口部の枠(例えば窓枠)での回折を考慮したレイトレーシング(ray tracing)方法がある。この方法では、屋外送信点から屋内受信点まで、開口部の枠上の複数の点を含む複数の点を通る複数のレイを想定し、これらのレイの受信点での受信電界強度を合計する。以下、この方法を方法1と呼ぶ。
また、非特許文献1には、屋外から屋内へ侵入するテレビジョン放送の電波の屋内での受信電界強度を計算する方法が開示されている。この方法は、開口部から屋内に電波が再放射されるという仮定の下、屋外送信点から、開口部を分割して得られる複数の分割領域を通過して屋内受信点に伝搬する電波の電界強度を、開口部上の複数の分割領域にわたって積分することによって、屋内受信点での受信電界強度を計算する。以下、この方法を方法2と呼ぶ。
多賀登喜雄、"室内におけるUHF-TV電波の到来波特性の推定(I) -窓を開口とする侵入波の幾何光学計算法"、電子情報通信学会技術研究報告. A・P、アンテナ・伝播 106(110)、pp.25-30、一般社団法人電子情報通信学会、2006年06月15日
しかし、方法1では、送信点と受信点の少なくとも一方の位置が変更されると、レイのトレースを再度実施する必要がある。
方法2では、開口部の分割数(分割領域の数)が少ない場合には演算精度が良好ではなく、分割数が多い場合には演算処理量が増加する。しかも、適切な分割数を予測することは困難である。
そこで、本発明は、送信点と受信点の変更に容易に対処でき、演算精度を大きく損なうことなく、演算処理量の削減を図ることができる電界強度推定方法および電界強度推定装置を提供する。
本発明に係る電界強度推定方法は、送信点から放出され建物の開口部を通って受信点に到達する電波の前記受信点における電界強度を推定する電界強度推定方法であって、前記送信点から前記開口部までの距離と電波の波長に応じて、前記開口部での複数の仮想受信点の位置を決定することと、前記送信点からの複数の第1のレイの各前記仮想受信点での複数の第1の電界強度を計算することと、前記開口部から前記受信点までの距離と電波の波長に応じて、前記開口部での複数の仮想送信点の位置を、前記仮想受信点の位置と異なるように、決定することと、各前記仮想送信点からの複数の第2のレイの前記受信点での複数の第2の電界強度を計算することと、前記複数の仮想受信点の群と前記複数の仮想送信点の群のうち、数が少ない方の群に属する一点に数が多い方に属する複数の点が対応するように、かつ、対応付けられる点間の距離が対応付けられない点間の距離よりも短くなるように、各前記仮想受信点を前記仮想送信点のいずれかを対応付けすることと、前記送信点から放出され前記受信点に到達する1つのレイが、ある仮想受信点およびその仮想受信点に対応する仮想送信点を通って前記受信点に到達するという想定の下、前記仮想受信点と前記仮想送信点の対応付けに従って、前記複数の第1の電界強度の各々に前記複数の第2の電界強度のうちその第1の電界強度に対応する第2の電界強度と重み付け係数を乗算して得られる各レイの前記受信点での受信電界強度の合計を計算することとを有する。
本発明に係る電界強度推定装置は、送信点から放出され建物の開口部を通って受信点に到達する電波の前記受信点における電界強度を推定する電界強度推定装置であって、前記送信点から前記開口部までの距離と電波の波長に応じて、前記開口部での複数の仮想受信点の位置を決定する仮想受信点決定部と、前記送信点からの複数の第1のレイの各前記仮想受信点での複数の第1の電界強度を計算する第1の電界強度計算部と、前記開口部から前記受信点までの距離と電波の波長に応じて、前記開口部に複数の仮想送信点の位置を、前記仮想受信点の位置と異なるように、決定する仮想送信点決定部と、各前記仮想送信点からの複数の第2のレイの前記受信点での複数の第2の電界強度を計算する第2の電界強度計算部と、前記複数の仮想受信点の群と前記複数の仮想送信点の群のうち、数が少ない方の群に属する一点に数が多い方に属する複数の点が対応するように、かつ、対応付けられる点間の距離が対応付けられない点間の距離よりも短くなるように、各前記仮想受信点を前記仮想送信点のいずれかを対応付けする点対応付け部と、前記送信点から放出され前記受信点に到達する1つのレイが、ある仮想受信点およびその仮想受信点に対応する仮想送信点を通って前記受信点に到達するという想定の下、前記仮想受信点と前記仮想送信点の対応付けに従って、前記複数の第1の電界強度の各々に前記複数の第2の電界強度のうちその第1の電界強度に対応する第2の電界強度と重み付け係数を乗算して得られる各レイの前記受信点での受信電界強度の合計を計算する合計受信電界強度計算部とを備える。
本発明においては、送信点の位置が変更されたときは、送信点から開口部の仮想受信点までのレイを再度トレースすれば、開口部の仮想送信点から受信点までのレイの計算結果をそのまま使って、受信点での受信電界強度の合計を計算することができるので、容易に受信点での受信電界強度を推定することができる。また、受信点の位置が変更されたときは、開口部から受信点までのレイを再度トレースすれば、送信点から開口部の仮想受信点までのレイの計算結果をそのまま使って、受信点での受信電界強度の合計を計算することができるので、容易に受信点での受信電界強度を推定することができる。また、適切な数の仮想受信点と仮想送信点を決定することができるので、演算精度を大きく損なうことなく演算処理量の削減を図ることができる。
屋外の基地局からの電波の伝搬を示す概略図である。 屋内の移動局への電波の伝搬を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係る電界強度推定方法で決定される開口部の仮想受信点を示す図である。 仮想受信点の位置を決定する手法の根拠を説明するための図である。 仮想受信点に到来するレイを示す概略図である。 実施の形態に係る電界強度推定方法で決定される開口部の仮想送信点を示す図である。 仮想送信点の位置を決定する手法の根拠を説明するための図である。 仮想受信点に到来するレイと仮想送信点から放射されるレイを示す概略図である。 仮想受信点の決定のために得られる分割領域と、仮想送信点の決定のために得られる分割領域の例を示す図である。 仮想受信点と仮想送信点の対応付けの例を示す図である。 実施の形態で使用される重み付け係数の計算の手法を説明するための図である。 重み付け係数の計算の手法の根拠を説明するための図である。 実施の形態の電界強度推定装置を示すブロック図である。 実施の形態の電界強度推定方法の流れを示すフローチャートである。 比較方法1を示す図である。 比較方法2を示す図である。 実施の形態の効果を実証するために使用したシミュレーションモデルである建物を示す概略図である。 シミュレーションモデルの受信点が配置される範囲を示す平面図である。 シミュレーションモデルについて比較方法2によって計算された電界強度の分布を示す図である。 シミュレーションモデルについて比較方法2によって計算された電界強度の分布を示す図である。 シミュレーションモデルについて実施の形態の方法によって計算された電界強度の分布を示す図である。 比較方法2と実施の形態の方法の誤差を示すグラフである。 比較方法2と実施の形態の方法の相対演算時間を示すグラフである。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。
図1に示すように、屋外の基地局BS(送信点)から放出された電波は、様々な経路(マルチパス)を経て屋内の受信点である移動局に到達する。例えば、電波は基地局BSから移動局が存在する建物BDの開口部OP(例えば窓)に直接侵入することもあるし、他の構造物Stなどで反射して開口部OPに到達することもある。
図2に示すように、建物BDの開口部OPを通った電波は、様々な経路(マルチパス)を経て移動局MS(受信点)に到達する。例えば、電波は開口部OPから直接移動局MSに到達することもあるし、建物BDの壁面などで反射および回折して移動局MSに到達することもある。
このように、基地局BSを送信点、移動局MSを受信点と考えた場合、基地局BSからの電波は屋外の様々な経路を経て開口部OPを通り、開口部OPから屋内の様々な経路を経て移動局MSに到達する。本発明の実施の形態では、開口部から屋内に電波が再放射されるという仮定の下、屋内の受信点での受信電界強度の合計を計算する。
まず、電波が侵入する開口部OP内に複数の仮想受信点の位置を決定する。図3に示す開口部OPの中心0(x0,y0,0)を原点とするxyz座標系において、開口部OPがz座標0の平面に存在すると想定する。ここでは、送信点S(xs,ys,zs)から開口部OPの中心0(x0,y0,0)までの距離ds(図3参照)と電波の波長λに応じて、開口部OPでの複数の仮想受信点IRPを決定する。より具体的には、開口部OPを分割して得られる複数の分割領域の幅W、高さLを式(1)に従って計算し、これらの分割領域の中心点を仮想受信点IRPとして決定する。例えば、図3の例では、幅W、高さLを有する開口部OPが4つの分割領域に等分割され、4つの仮想受信点IRPが決定されている。
Figure 0006346801
図4を参照し、式(1)の根拠を説明する。送信点S(xs,ys,zs)から開口部OPのある点Q(x, y, 0)までの距離rsは、式(2)で表せる。
Figure 0006346801
ここで、点Qの電界において、振幅を式(2)の最右辺第1項dsで近似し、位相を式(2)の最右辺第3項までで近似するのがフレネル近似であり、位相を式(2)の最右辺第2項までで近似するのが遠方界近似(フランホーファ近似)である。式(2)の最右辺第3項の最大値(x0=y0=0の場合)に対する位相変化がπ/8以下であれば、点Qについて遠方界近似が成立つと仮定すると、以下の条件が導き出せる。
2+y2≦d・λ/8 ...(3)
この条件は、中心Oから点Qまでの距離r0を用いて、式(4)の場合に満たされる。
Figure 0006346801
遠方界近似の成立つ領域では必ずフレネル近似が成立することに鑑みて、開口部OPを分割して得られる複数の分割領域の幅Wsおよび高さLsは、式(4)の上限値を用いて、式(1)で計算される。
但し、開口部OPの幅Wが式(1)で得られる複数の分割領域の幅Wsで割り切れない場合には、いずれかまたはすべての微少領域の幅Wsは、式(5)に従って計算される。
Figure 0006346801
開口部OPの高さLが式(1)で得られる複数の分割領域の高さLsで割り切れない場合には、いずれかまたはすべての微少領域の高さLsは、式(6)に従って計算される。
Figure 0006346801
次に、屋外の送信点から各仮想受信点IRPまでの複数の屋外レイ(第1のレイ)をトレースし、各第1のレイの電界強度(第1の電界強度)Ei (m)を計算する。ここで、iは仮想受信点IRPの番号であり、mは第1のレイの番号である。図5に示すように、各仮想受信点IRPは複数の第1のレイを受信すると考えることができる。各第1のレイの電界強度の計算には、公知のレイトレーシング方法のいずれかが使用される。レイトレーシング方法は電波の反射、回折を考慮した方法でもよいし、これらを考慮しない方法でもよい。送信点が基地局である場合には、基地局の送信電界強度が既知であるので、各第1のレイの電界強度は基地局の送信電界強度に基づいて絶対電界強度として計算することができる。但し、各第1のレイの電界強度は、相対電界強度(送信点での送信電界強度に対する仮想受信点IRPでの受信電界強度の比率)として計算してもよい。
次に、開口部OP内に複数の仮想送信点の位置を決定する。ここでは、開口部OPの中心0(x0,y0,0)から受信点P(xp,yp,zp)までの距離dp(図6参照)と電波の波長λに応じて、開口部OPでの複数の仮想送信点ITPを決定する。より具体的には、開口部OPを分割して得られる複数の分割領域の幅W、高さLを式(7)に従って計算し、これらの分割領域の中心点を仮想送信点ITPとして決定する。例えば、図6の例では、幅W、高さLを有する開口部OPが16の分割領域に等分割され、16の仮想送信点ITPが決定されている。
Figure 0006346801
図7を参照し、式(7)の根拠を説明する。開口部OPのある点Q(x, y, 0)から受信点P(xp,yp,zp)までの距離rpは、式(8)で表せる。
Figure 0006346801
したがって、上記と同様の理論により、開口部OPの中心0(x0,y0,0)を原点とする座標系において、中心Oから点Qまでの距離r0は、式(9)を満たすことが好ましい。
Figure 0006346801
開口部OPを分割して得られる複数の分割領域の幅Wpおよび高さLpは、式(9)の上限値を用いて、式(7)で計算される。
但し、開口部OPの幅Wが式(7)で得られる複数の分割領域の幅Wpで割り切れない場合には、いずれかまたはすべての微少領域の幅Wpは、式(10)に従って計算される。
Figure 0006346801
開口部OPの高さLが式(7)で得られる複数の分割領域の高さLpで割り切れない場合には、いずれかまたはすべての微少領域の高さLpは、式(11)に従って計算される。
Figure 0006346801
次に、各仮想送信点ITPから屋内の受信点までの複数の屋内レイ(第2のレイ)をトレースし、受信点での各第2のレイの電界強度(第2の電界強度)ΔEj (n)を計算する。ここで、jは仮想送信点ITPの番号であり、nは第2のレイの番号である。図8に示すように、受信点Pは仮想送信点ITPの各々から複数の第2のレイを受信すると考えることができる。各第2のレイの電界強度の計算には、公知のレイトレーシング方法のいずれかが使用される。レイトレーシング方法は電波の反射、回折を考慮した方法でもよいし、これらを考慮しない方法でもよい。仮想送信点ITPでの送信電界強度は未知であるから、各第2のレイの電界強度は相対電界強度(仮想送信点ITPでの送信電界強度に対する受信点Pでの受信電界強度の比率)としてのみ計算することができる。
この実施の形態では、図8に示すように、送信点Sから放出された電波が開口部OPの仮想受信点IRPで受信され、各仮想受信点IRPの近傍にある仮想送信点ITPから屋内に電波が再放射されて、屋内の受信点Pに電波が到達するという仮定を利用し、受信点Pでの受信電界強度の合計を計算する。このため、各仮想受信点IRPをその近傍にあるいずれかの仮想送信点ITPと対応付けし、仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの組に重み付けを与える。
仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの対応付けにおいては、複数の仮想受信点IRPの群と複数の仮想送信点ITPの群のうち、数が少ない方の群に属する一点に数が多い方に属する複数の点が対応するように、かつ、対応付けられる点間の距離が対応付けられない点間の距離よりも短くなるようにする。屋外の基地局BSを送信点S、屋内の移動局MSを受信点Pと考えた場合、一般に、送信点Sから開口部OPの距離dsは、開口部OPから受信点Pまでの距離dpよりも大きい。したがって、図9に示すように、仮想受信点IRPの決定のために得られる分割領域の数は、仮想送信点ITPの決定のために得られる分割領域の数より小さく、仮想受信点IRPの数は、仮想送信点ITPの数より小さい。
図9の例において、仮想受信点IRPの決定のために得られる分割領域をA,B,C,Dとし、仮想送信点ITPの決定のために得られる分割領域をA1〜A4,B1〜B4,C1〜C4,D1〜D4とする。図10に示すように、対応付けられる点間の距離が対応付けられない点間の距離よりも短くなるように、分割領域A内の仮想送信点には分割領域A1〜A4内の仮想送信点が対応付けられ、分割領域B内の仮想送信点には分割領域B1〜B4内の仮想送信点が対応付けられ、分割領域C内の仮想送信点には分割領域C1〜C4内の仮想送信点が対応付けられ、分割領域D内の仮想送信点には分割領域D1〜D4内の仮想送信点が対応付けられる。
次に、仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの組に重み付け係数Ul (m, n)が与えられる。ここでlは、仮想受信点IRPの決定のために得られる分割領域の群と、仮想送信点ITPの決定のために得られる分割領域の群のうち、数が多い方の群に属する分割領域(多数派分割領域)の番号である。図9および図10の例では、lは仮想送信点ITPの決定のために得られる分割領域の数である。mはその多数派分割領域に受信される第1のレイの番号であり、nはその多数派分割領域から放出される第2のレイの番号である。この実施の形態では、各多数派分割領域に対応する仮想受信点IRPに複数の第1のレイが受信され、各多数派領域に対応する仮想送信点ITPから複数の第2のレイが放出されると考える。屋外の基地局BSを送信点S、屋内の移動局MSを受信点Pと考えた場合、仮想送信点ITPは多数派分割領域の中心にある一方、仮想受信点IRPは多数派分割領域の中心にはないが、受信点Pでの受信電界強度の計算を簡易にするには、仮想送信点ITPと仮想受信点IRPを対応付けるこの考え方が便利である。重み付け係数Ul (m, n)の詳細については後述する。
次に、仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの対応付けに従って、複数の第1の電界強度の各々に複数の第2の電界強度のうちその第1の電界強度に対応する第2の電界強度と重み付け係数を乗算して得られる各レイの受信点での受信電界強度の合計を計算する。具体的には、受信電界強度の合計Eは式(12)で計算される。
Figure 0006346801
ここで、Ltは多数派分割領域の総数であり、Mは各仮想受信点IRPに受信される第1のレイの総数(計算上の総数)であり、Nは各仮想送信点ITPから送信される第2のレイの総数(計算上の総数)である。El (m, n)は、送信点Sからある多数派分割領域(番号l)を通って受信点Pに到達するレイの受信点Pでの受信電界強度である。
l (m, n)は式(13)で計算される。
Figure 0006346801
Ei (m)は、その多数派分割領域に最も近い(その多数派分割領域に含まれてもよい)仮想受信点IRP(番号i)での第1のレイ(番号m)の絶対受信電界強度(第1の電界強度)であり、ΔEj (n)は、その多数派分割領域に最も近い(その多数派分割領域に含まれてもよい)仮想送信点ITP(番号j)からの第2のレイ(番号n)の受信点Pでの相対受信電界強度(第2の電界強度)である。
図11を参照し、仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの組に与えられる重み付け係数Ul (m, n)の計算を説明する。図11において、lは多数派分割領域を示し、iは多数派分割領域lに対応する仮想受信点を示し、jは多数派分割領域lに対応する仮想送信点を示す。多数派分割領域lは幅Wと長さLを有する。d(l)は、送信点Sから多数派分割領域lの中心点0lまでの距離を示し、d(i)は、送信点Sから仮想受信点iまでの距離を示す。d(l)は、多数派分割領域lの中心点0lから受信点Pまでの距離を示し、d(j)は、仮想送信点jから受信点Pまでの距離を示す。仮想受信点iまたは仮想送信点jは、多数派分割領域lの中心点0lに一致するが、一般化のため、d(l)はd(i)と異なることがあり、d(l)はd(j)と異なることがあると想定する。矢印が付いたnは、開口部OPの法線ベクトルである。
上記のように、対応付けられる仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの位置が異なるため、重み付け係数Ul (m, n)は、仮想受信点IRPの位置と仮想送信点ITPの位置に基づいて計算される。重み付け係数Ul (m, n)は、送信点Sと受信点Pの位置にも基づいて計算される。
重み付け係数Ul (m, n)は、重み付け係数の計算に使用される仮想受信点と仮想送信点に対応する第1の電界強度Ei (m)と第2の電界強度ΔEj (n)に乗算される。重み付け係数Ul (m, n)の演算は、その多数派分割領域に受信されるすべての計算上の第1のレイ(1≦m≦M)に対して同様であり、その多数派分割領域から放出されるすべての計算上の第2のレイ(1≦n≦N)に対して同様である。そこで、以下では、送信点から多数派分割領域まで反射・回折を伴わない第1のレイと多数派分割領域から受信点まで反射・回折を伴わない第2のレイに対する重み付け係数Ul (m, n)をUlと表記し、以下にその演算法を示す。重み付け係数Ulは式(14)で計算される。
Figure 0006346801
ここで、Qは式(15)で計算される。
Figure 0006346801
cos(・)の()内を矢印付きのa,b(ベクトル)で表すと、その意味は下記の通りである。
Figure 0006346801
式(14)において、
Figure 0006346801
である。
式(14)において、F(・)はフレネル積分であり、その定義と引数は下記で与えられる。
Figure 0006346801
以上のように、仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの組に、仮想受信点IRP、仮想送信点ITP、送信点Sおよび受信点Pの位置に基づいて計算される重み付け係数が与えられる。すなわち、仮想受信点IRPと仮想送信点ITPに対応する第1の電界強度と第2の電界強度に重み付け係数が乗算される。これにより、仮想受信点IRPでの複数の第1の電界強度とその仮想受信点IRPから離れた位置にある仮想送信点ITPに関する複数の第2の電界強度に基づいて、受信点Pでの受信電界強度の合計を適切に計算することが可能である。
図12を参照し、式(14)の根拠を説明する。送信点Sから放射された電波が開口部OPを通って受信点Pに、開口部OPでの反射または回折を伴わずに到来する場合を考えると、開口部OPの寄与による受信点Pでの電界強度は、フレネル−キルヒホッフ回折公式より、式(16)で与えられる。
Figure 0006346801
ここで、E0は送信点Sの近傍の電界強度であり、Qは微小領域dxdyにおける傾斜因子であって、式(17)で与えられる。
Figure 0006346801
rsは、送信点Sから微小領域dxdy(x, y, 0)までの距離であり、rpは微小領域dxdy(x, y, 0)から受信点Pまでの距離である。kは電波の波長λから下記のように与えられる。
k=2π/λ
多数派分割領域lの中心点0lに最も近い仮想受信点をi(xi, yi, 0)とし、中心点0lに最も近い仮想送信点をj(xj, yj, 0)と想定する。すると、式(16)のrsとrpは式(18)および式(19)で表すことができる。
Figure 0006346801
微小領域dxdyの電界の振幅を式(18)の最右辺第1項ds(i)で近似し、受信点Pの電界の振幅を式(19)の最右辺第1項dp(j)で近似すると、式(16)は式(20)に変形される。
Figure 0006346801
ここで、
Figure 0006346801
と表せる。
式(21)において、Eiは送信点Sから仮想受信点iに到来するレイの電界強度を表し、ΔEjは仮想送信点jから受信点Pに到来するレイの相対電界強度を表す。式(22)で与えられるUlは多数派分割領域lの重み付け係数を表す。
式(17)の傾斜因子Qを多数派分割領域lの中心点0lでの傾斜因子Q、すなわち式(14)で計算される傾斜因子Qで近似し、rsを式(18)の最右辺第3項までで近似し、rpを式(19)の最右辺第3項までで近似すると、式(22)は式(14)に変形される。
上記の説明から明らかなように、重み付け係数Ulを計算する式(14)では屋外における送信点から開口部OPまでの反射または回折、屋内における開口部OPから受信点までの反射または回折は考慮されていない。しかし、屋外での反射を伴うレイの重み付け係数を計算するには開口部OPに到達直前のレイの反射点を送信点Sの代わりに用い、屋内での反射を伴うレイの重み付け係数を計算するには開口部OPに侵入直後のレイの反射点を受信点Pの代わりに用いればよい。屋外での回折を伴うレイの重み付け係数を計算するには開口部OPに到達直前のレイの回折点を送信点Sの代わりに用い、屋内での回折を伴うレイの重み付け係数を計算するには開口部OPに侵入直後のレイの回折点を受信点Pの代わりに用いればよい。
図13を参照し、本発明に係る実施の形態の電界強度推定装置を説明する。電界強度推定装置10は、例えばデスクトップ型コンピュータまたはラップトップ型コンピュータなどの情報処理装置であり、プロセッサ12と記憶部14とマンマシンインターフェース16を備える。
記憶部14は、例えばハードディスクのような情報記憶媒体であり、電界強度推定方法を実行するためのプログラムを記憶し、プロセッサ12はそのプログラムに従って動作する。また、プロセッサ12は電界強度推定結果(計算結果)およびその他の計算結果を記憶部14に記憶する。但し、計算結果が記憶される情報記憶媒体はプログラムが記憶される情報記憶媒体と別個に設けられてもよい。
マンマシンインターフェース16は、受信点での受信電界強度の合計を計算するための各種の条件(例えば、送信点Sの近傍での電界強度、建物の寸法、開口部OPの寸法、送信点Sの1つ以上の候補の位置、受信点Pの1つ以上の候補の位置など)を人がプロセッサ12に入力するために使用される。また、マンマシンインターフェース16は、受信点での受信電界強度の合計を出力されるために使用される。
図14を参照し、電界強度推定装置10で実行される電界強度推定方法の流れを説明する。まず、プロセッサ12はマンマシンインターフェース16による条件の入力を受け付ける(ステップS1)。
ステップS2で、プロセッサ12は、仮想受信点決定部として機能し、送信点Sの候補から開口部OPの中心0までの距離dsと電波の波長λに応じて、開口部OPでの複数の仮想受信点IRPの位置を決定し、これらの仮想受信点IRPの位置を記憶部14に記憶する。ステップS3で、プロセッサ12は、第1の電界強度計算部として機能し、送信点Sの候補からの複数の第1のレイの各仮想受信点IRPでの複数の第1の電界強度を計算する。ステップS4で、プロセッサ12は、その送信点Sの候補に関する複数の第1の電界強度を記憶部14に記憶する。ここまでで使用された送信点Sの候補が電界強度推定に使用される最初の候補である場合には、ステップS5の判断が肯定的であり、処理はステップS6に進む。
ステップS6で、プロセッサ12は、仮想送信点決定部として機能し、開口部OPの中心0から受信点Pの候補までの距離dpと電波の波長λに応じて、開口部OPでの複数の仮想送信点ITPの位置を決定し、これらの仮想送信点ITPの位置を記憶部14に記憶する。ステップS7で、プロセッサ12は、第2の電界強度計算部として機能し、各仮想送信点ITPからの複数の第2のレイの受信点Pの候補での複数の第2の電界強度を計算する。ステップS8で、プロセッサ12は、その受信点Pの候補に関する複数の第2の電界強度を記憶部14に記憶する。
ステップS9で、プロセッサ12は、点対応付け部として機能し、上記のように仮想受信点IRPと仮想送信点ITPを対応付ける。ステップS10で、プロセッサ12は、重み付け係数計算部として機能し、上記のように重み付け係数Ul (m, n)を計算する。ステップS11で、プロセッサ12は、合計受信電界強度計算部として機能し、上記の式(12)に従って、仮想受信点と仮想送信点の対応付けに従って、複数の第1の電界強度の各々にその第1の電界強度に対応する第2の電界強度と重み付け係数を乗算して得られる受信点Pの候補での受信電界強度の合計Eを計算する。ステップS12で、プロセッサ12は、受信点Pの候補での受信電界強度の合計Eを記憶部14に記憶する。
ステップS13で、プロセッサ12は、受信電界強度の合計Eを計算する他の受信点Pの候補があるか否か判断する。ステップS13の判断が否定的であれば、プロセッサ12は、ステップS15で他の送信点Sの候補があるか否か判断する。ステップS15の判断が否定的であれば、プロセッサ12は、ステップS17で受信電界強度の合計Eの計算結果をマンマシンインターフェース16に出力して、処理が終了する。
ステップS13の判断が肯定的であれば(受信電界強度の合計Eを計算する他の受信点Pの候補があれば)、プロセッサ12は、送信点Sの候補のために既に計算された複数の仮想受信点IRPの位置および複数の第1のレイの各仮想受信点IRPでの複数の第1の電界強度を記憶部14から読み出す(ステップS14)。この後、プロセッサ12は、開口部OPの中心0から新たな受信点Pの候補までの距離dpと電波の波長λに応じて、開口部OPでの複数の新たな仮想送信点ITPの位置を決定し、これらの仮想送信点ITPの位置を記憶部14に記憶し(ステップS6)、各仮想送信点ITPからの複数の第2のレイの受信点Pの候補での複数の第2の電界強度を計算する(ステップS7)。そして、プロセッサ12は、過去の仮想受信点IRPと現在の仮想送信点ITPを対応付け(ステップS9)、重み付け係数Ul (m, n)を計算し(ステップS10)、過去の複数の第1の電界強度の各々にその第1の電界強度に対応する現在の第2の電界強度と重み付け係数を乗算して得られる受信点Pの候補での受信電界強度の合計Eを計算する(ステップS11)。
記憶部14には、ステップS4で複数の第1のレイの各仮想受信点IRPでの複数の第1の電界強度が記憶されるため、プロセッサ12は、これらの第1の電界強度をステップS14で読み出して、既に計算に使用された送信点Sの候補から放出される電波の他の受信点Pの候補での受信電界強度の合計Eの計算のために使用することができる。このように、受信点Pの候補の位置が変更されたときは、開口部から受信点Pの候補までのレイを再度トレースすれば、送信点Sから開口部の仮想受信点までのレイの計算結果をそのまま使って、受信点Pの候補での受信電界強度の合計Eを計算することができる。
ステップS15の判断が肯定的であれば(他の送信点Sの候補があれば)、プロセッサ12は、受信点Pの候補のために既に計算された複数の仮想送信点ITPの位置および受信点Pの候補に関する複数の第2の電界強度を記憶部14から読み出す(ステップS16)。この後、プロセッサ12は、新たな送信点Sの候補から開口部OPの中心0までの距離dsと電波の波長λに応じて、開口部OPでの複数の新たな仮想受信点IRPの位置を決定し、これらの仮想受信点IRPの位置を記憶部14に記憶し(ステップS2)、送信点Sの候補からの複数の第1のレイの各仮想受信点IRPでの複数の第1の電界強度を計算する(ステップS3)。この場合、ステップS2およびステップS3で使用された送信点Sの候補は電界強度推定に使用される最初の候補ではないので、ステップS5の判断は否定的であり、プロセッサ12は、現在の仮想受信点IRPと過去の仮想送信点ITPを対応付け(ステップS9)、重み付け係数Ul (m, n)を計算し(ステップS10)、現在の複数の第1の電界強度の各々にその第1の電界強度に対応する過去の第2の電界強度と重み付け係数を乗算して得られる受信点Pの候補での受信電界強度の合計Eを計算する(ステップS11)。
記憶部14には、ステップS8で各仮想送信点ITPからの複数の第2のレイの受信点Pの候補での複数の第2の電界強度が記憶されるため、プロセッサ12は、これらの第2の電界強度をステップS16で読み出して、他の送信点Sの候補から放出される電波の受信点Pの候補での受信電界強度の合計Eの計算のために使用することができる。このように、送信点Sの候補の位置が変更されたときは、送信点Sの候補から開口部の仮想受信点までのレイを再度トレースすれば、開口部の仮想送信点から受信点Pまでのレイの計算結果をそのまま使って、受信点Pでの受信電界強度の合計Eを計算することができる。
本発明に係る方法の順序は、図14のフローチャートのステップの順序に限定されない。例えば、仮想受信点の決定および第1の電界強度の計算は、仮想送信点の決定および第2の電界強度の計算の後に実行してもよい。
次に他の技術と、本発明の実施の形態を比較する。送信点Sから受信点Pまで開口部OPの枠での回折を考慮したレイトレーシング方法がある(比較方法1)。比較方法1では、図15に示すように、送信点Sから受信点Pまで、開口部OPの枠上の複数の点を含む複数の点を通る複数のレイを想定し、これらのレイの受信点Pでの受信電界強度を合計する。比較方法1では、送信点と受信点の少なくとも一方の位置が変更されると、レイのトレースを再度実施する必要がある。
他方、本発明の実施の形態では、送信点Sの候補の位置が変更されたときは、送信点Sの候補から開口部の仮想受信点までのレイを再度トレースすれば、開口部の仮想送信点から受信点Pまでのレイの計算結果をそのまま使って、受信点Pでの受信電界強度の合計Eを計算することができるので、容易に受信点Pでの受信電界強度を推定することができる。受信点Pの候補の位置が変更されたときは、開口部から受信点Pの候補までのレイを再度トレースすれば、送信点Sから開口部の仮想受信点までのレイの計算結果をそのまま使って、受信点Pの候補での受信電界強度の合計Eを計算することができるので、容易に受信点Pの候補での受信電界強度を推定することができる。
また、開口部から電波が再放射されるという仮定の下、送信点Sから、開口部OPを分割して得られる複数の分割領域を通過して受信点Pに伝搬する電波の電界強度を、開口部OP上の複数の分割領域にわたって積分することによって、受信点Pでの受信電界強度を計算する方法がある(比較方法2)。比較方法2は、本発明の実施の形態に対して、仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの位置が一致するという点で異なる(図16)。また比較方法2では、本発明の実施の形態と異なり、仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの位置は任意である。比較方法2では、開口部の分割数(分割領域の数)が少ない場合には演算精度が良好ではなく、分割数が多い場合には演算処理量が増加する。しかも、適切な分割数を予測することは困難である。
以下、比較方法2に対する実施の形態の効果を説明する。図17および図18は効果の実証のために使用したシミュレーションのモデルを示す。このモデルの建物は、幅6m、奥行き12m、高さ3mを有し、壁面、天井、床の材質が全てコンクリート(比誘電率6.76、導電率0.023S/m)である。建物の正面の中央には、幅4m、高さ2mの開口部OPが形成されている。基地局BSの送信アンテナ(送信点S)の高さは10mと想定し、移動局の受信アンテナ(受信点P)の高さは1.5mと想定した。図18に示す5m×6mの範囲に、図18の縦方向に0.1m間隔、横方向に0.1m間隔おいて、5500の受信点Pを想定した。
図19および図20は、シミュレーションモデルについて比較方法2によって計算された電界強度の分布を示し、図21は実施の形態によって計算された電界強度の分布を示す。屋外のレイトレーシング計算において電波の反射または回折は考慮しない設定にし、屋内のレイトレーシング計算においては最大反射数7回に設定した。図19は、開口部OPを2500(縦50、横50)の分割領域に分割したときの結果を示す。図20は、開口部OPを1(縦1、横1)の分割領域に分割したとき、つまり分割しなかったときの結果を示す。図において、a1は最も高い電界強度の箇所を示す、a2は2番目に高い電界強度の箇所を示す。幅4m、高さ2mの開口部OPに対して、2500の分割数は非常に多く、図19の結果は高い精度を有すると考えられる。他方、開口部OPを分割しない図20の結果は、低い精度を有することが明らかである。
図21は、シミュレーションモデルについて実施の形態によって計算された電界強度の分布を示す。図19と図21を比較すると明らかなように、実施の形態の結果は、2500の分割数の比較方法2の結果とほぼ同じである。つまり、図21の結果は高い精度を有すると考えられる。
図22は、比較方法2と実施の形態の方法の誤差を示すグラフである。図22においては、分割数N=2500の比較方法2の結果を真と仮定し、誤差に対する累積確率を示す。Nの値が示された線は比較方法2に対応する。比較方法2に関しては、Nの値が大きいほど、精度が高い(線が垂直に近くなる)。実施の形態の結果は、N=64の比較方法2の結果とN=16の比較方法2の結果の間にある。
図23は、比較方法2と実施の形態の方法の相対演算時間を示すグラフである。図23においては、分割数N=2500の比較方法2の所要演算時間を1として、演算時間を正規化してある。比較方法2に関しては、Nの値が大きいほど、所要演算時間が長い(演算処理量が多い)。実施の形態の方法の所要演算時間は、N=36の比較結果とほぼ同等である。図22と図23から明らかなように、比較方法2では、演算精度と演算時間が分割数についてトレードオフの関係にある。図22と図23を総合的に考慮すると、適切な分割数は36〜64である。しかし、これは、図22のための調査と図23のための調査を行ったから判明したことであり、比較方法2の適切な分割数は予測できない。これに対して、実施の形態では、送信点Sから開口部OPまでの距離と電波の波長に応じて、適切な数の仮想受信点を決定し、開口部OPから受信点Pまでの距離と電波の波長に応じて、適切な数の仮想送信点を決定することができるので、演算精度を大きく損なうことなく演算処理量の削減を図ることができる。図23から明らかなように、分割数N=2500の比較方法2の所要演算時間に対して、実施の形態の方法のそれは約1.5%である。
以上、建物が1つの開口部OPを有する場合の電界強度推定方法を説明した。建物が複数の開口部を有する場合には、各開口部に関する結果を合計することにより、受信点Pでの電界強度の合計を計算することができる。
以上の実施の形態では、重み付け係数Ulは式(14)で計算されるが、対応付けられた仮想受信点IRPと仮想送信点ITPの位置および送信点Sと受信点Pの位置に基づいて他の手法で、重み付け係数Ulを計算してもよい。
以上の実施の形態では、屋外の基地局BS(送信点)から放出された電波に関する屋内の移動局MS(受信点)での電界強度が推定されるが、上記の方法は、移動体通信での受信点での電界強度推定に限らず、テレビジョン放送などの放送電波に関する電界強度推定にも使用することができる。この場合、送信点は放送電波の送信局であり、受信点はテレビジョンまたはラジオの受信機である。また、上記の方法は、他の無線通信での電波に関する電界強度推定にも使用することができる。
以上の実施の形態では、屋外の基地局BSを送信点、屋内の移動局MSを受信点とする下りリンクの電波に関する受信点での電界強度が推定されるが、上記の方法は、屋外の基地局BSを受信点、屋内の移動局MSを送信点とする上りリンクの電波に関する受信点での電界強度推定にも使用することができる。屋内の基地局BSを受信点P、屋外の移動局MSを送信点Sと考えた場合、一般に、送信点Sから開口部OPの距離dsは、開口部OPから受信点Pまでの距離dpよりも小さい。したがって、この場合、図9とは逆に、仮想受信点IRPの決定のために得られる分割領域の数は、仮想送信点ITPの決定のために得られる分割領域の数より大きく、仮想受信点IRPの数は、仮想送信点ITPの数より大きい。
基地局BS(送信点)、移動局MS(受信点)、BD 建物、OP 開口部、St 構造物、S 送信点、IRP 仮想受信点、ITP 仮想送信点、P 受信点、10 電界強度推定装置、12 プロセッサ、14 記憶部、16 マンマシンインターフェース

Claims (8)

  1. 送信点から放出され建物の開口部を通って受信点に到達する電波の前記受信点における電界強度を推定する電界強度推定方法であって、
    前記送信点から前記開口部までの距離と電波の波長に応じて、前記開口部での複数の仮想受信点の位置を決定することと、
    前記送信点からの複数の第1のレイの各前記仮想受信点での複数の第1の電界強度を計算することと、
    前記開口部から前記受信点までの距離と電波の波長に応じて、前記開口部での複数の仮想送信点の位置を、前記仮想受信点の位置と異なるように、決定することと、
    各前記仮想送信点からの複数の第2のレイの前記受信点での複数の第2の電界強度を計算することと、
    前記複数の仮想受信点の群と前記複数の仮想送信点の群のうち、数が少ない方の群に属する一点に数が多い方に属する複数の点が対応するように、かつ、対応付けられる点間の距離が対応付けられない点間の距離よりも短くなるように、各前記仮想受信点を前記仮想送信点のいずれかを対応付けすることと、
    前記送信点から放出され前記受信点に到達する1つのレイが、ある仮想受信点およびその仮想受信点に対応する仮想送信点を通って前記受信点に到達するという想定の下、前記仮想受信点と前記仮想送信点の対応付けに従って、前記複数の第1の電界強度の各々に前記複数の第2の電界強度のうちその第1の電界強度に対応する第2の電界強度と重み付け係数を乗算して得られる各レイの前記受信点での受信電界強度の合計を計算すること
    とを有する電界強度推定方法。
  2. 対応付けられた仮想受信点と仮想送信点の位置ならびに前記送信点と前記受信点の位置に基づいて前記重み付け係数を計算することをさらに備え、
    前記重み付け係数は、前記重み付け係数の計算に使用される前記仮想受信点と前記仮想送信点に対応する第1の電界強度と第2の電界強度に乗算されることを特徴とする請求項1に記載の電界強度推定方法。
  3. 前記複数の第1のレイの各前記仮想受信点での前記複数の第1の電界強度を、前記送信点から放出される電波の他の受信点での受信電界強度の合計の計算のために、記憶することをさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電界強度推定方法。
  4. 各前記仮想送信点からの前記複数の第2のレイの前記受信点での前記複数の第2の電界強度を、他の送信点から放出される電波の前記受信点での受信電界強度の合計の計算のために、記憶することをさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電界強度推定方法。
  5. 送信点から放出され建物の開口部を通って受信点に到達する電波の前記受信点における電界強度を推定する電界強度推定装置であって、
    前記送信点から前記開口部までの距離と電波の波長に応じて、前記開口部での複数の仮想受信点の位置を決定する仮想受信点決定部と、
    前記送信点からの複数の第1のレイの各前記仮想受信点での複数の第1の電界強度を計算する第1の電界強度計算部と、
    前記開口部から前記受信点までの距離と電波の波長に応じて、前記開口部に複数の仮想送信点の位置を、前記仮想受信点の位置と異なるように、決定する仮想送信点決定部と、
    各前記仮想送信点からの複数の第2のレイの前記受信点での複数の第2の電界強度を計算する第2の電界強度計算部と、
    前記複数の仮想受信点の群と前記複数の仮想送信点の群のうち、数が少ない方の群に属する一点に数が多い方に属する複数の点が対応するように、かつ、対応付けられる点間の距離が対応付けられない点間の距離よりも短くなるように、各前記仮想受信点を前記仮想送信点のいずれかを対応付けする点対応付け部と、
    前記送信点から放出され前記受信点に到達する1つのレイが、ある仮想受信点およびその仮想受信点に対応する仮想送信点を通って前記受信点に到達するという想定の下、前記仮想受信点と前記仮想送信点の対応付けに従って、前記複数の第1の電界強度の各々に前記複数の第2の電界強度のうちその第1の電界強度に対応する第2の電界強度と重み付け係数を乗算して得られる各レイの前記受信点での受信電界強度の合計を計算する合計受信電界強度計算部
    とを備える電界強度推定装置。
  6. 対応付けられた仮想受信点と仮想送信点の位置ならびに前記送信点と前記受信点の位置に基づいて前記重み付け係数を計算する重み付け係数計算部をさらに備え、
    前記合計受信電界強度計算部は、前記重み付け係数の計算に使用される前記仮想受信点と前記仮想送信点に対応する第1の電界強度と第2の電界強度に前記重み付け係数を乗算することを特徴とする請求項5に記載の電界強度推定装置
  7. 前記複数の第1のレイの各前記仮想受信点での前記複数の第1の電界強度を、前記送信点から放出される電波の他の受信点での受信電界強度の合計の計算のために、記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電界強度推定装置
  8. 各前記仮想送信点からの前記複数の第2のレイの前記受信点での前記複数の第2の電界強度を、他の送信点から放出される電波の前記受信点での受信電界強度の合計の計算のために、記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電界強度推定装置
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