JP6344759B2 - 酸化物ナノ粒子含有ペースト、色素増感太陽電池用光電極、および色素増感太陽電池 - Google Patents
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Description
(チタニア半導体粒子懸濁液の調製)
オルトチタン酸テトライソプロピル56.8gを、イオン交換水200mL中によく撹拌しながら滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けることでオルトチタン酸テトライソプロピルの加水分解を完結させ、目的とする水酸化チタンの沈殿物を得た。濾紙を用いて沈殿物を濾別し、イオン交換水で沈殿物を十分に洗浄した。
エタノール懸濁液〔A〕およびエタノール懸濁液〔B〕について、各々のチタニア粒子の濃度を以下のように測定した。るつぼの質量(W)を電子天秤で量った。るつぼにエタノール懸濁液を取り、るつぼとエタノール懸濁液の総質量(W1)を量った。エタノール懸濁液が入ったるつぼを電気炉内に入れ、150℃で2時間保持してエタノール懸濁液の溶媒を完全に除去した。再びるつぼの質量(W2)を量った。これらの質量の値から、式{チタニア粒子の濃度(質量%)=(W2−W)/(W1−W)×100}を用いてチタニア粒子の濃度を求めた。
(酸化物ナノ粒子含有ペーストの調製)
エバポレーターを用いて材料ペースト〔1〕の溶媒を1−ブタノールに置換し、置換後の溶液を濃縮した。これにより、最終的に、チタニア粒子濃度が30質量%であって1−ブタノールを媒体とする酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕を得た。
酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕と同様の方法により、チタニア粒子濃度が30質量%であって媒体を1−ヘキサノールに変更した酸化物ナノ粒子含有ペースト〔2〕を得た。
酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕と同様の方法により、チタニア粒子濃度が30質量%であって媒体を1−ヘキサノールとtert−ブタノールとを質量比が1:1となるように混合した溶媒に変更した酸化物ナノ粒子含有ペースト〔3〕を得た。
酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕と同様の方法により、チタニア粒子濃度が30質量%であって媒体をエタノールに変更した材料ペースト〔2〕を得た。
酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕と同様の方法により、チタニア粒子濃度が30質量%であって媒体を1−プロパノールに変更した材料ペースト〔3〕を得た。
(バインダーを含む材料ペーストの調製)
水を媒体とする材料ペースト〔1〕にポリエチレングリコール600(和光純薬製)をチタニアの質量に対して2.5質量%を添加し、材料ペースト〔4〕を得た。
水を媒体とする材料ペースト〔1〕にポリエチレングリコール600をチタニアの質量に対して5.0質量%を添加し、材料ペースト〔5〕を得た。
酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕〜〔3〕の粘度および材料ペースト〔1〕〜〔5〕の粘度を、振動式粘度計を用いて、25℃環境下において測定した。
スクリーンメッシュST500を用いて、5cm×0.8cmの矩形を5本描画可能なスクリーン版を用意した(設計面積:20cm2)。このスクリーン版を使用し、酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕〜〔3〕および材料ペースト〔1〕〜〔5〕を用いて各々スクリーン印刷を行い、機能性半導体層を作製した。この際、膜厚が6μmに満たない場合は、6μmに達するまでスクリーン印刷を繰り返し行った。デジタルマイクロスコープおよび校正スケールを用い、実際の描画面積(測定面積)と設計面積との比較を行った。測定面積は、スクリーン印刷の実施後30分経過した後に測定した。測定面積が設計面積の80%以上120%以下の範囲内に収まる場合を印刷適正があると判断した。
(電池性能の確認)
材料ペースト〔1〕を、ドクターブレード法により、シート抵抗13Ω/□のITO/PEN(ポリエチレンナフタレート)基板(王子トービ製)から構成される透光性基板上で、0.5cm×0.5cmの大きさの作用極領域に塗布した。塗布後、室温で透光性基板を乾燥させて、塗膜を形成した。特許文献2に記載の方法を用いて、塗膜に対して、ロールプレス処理を行い、120MPaの加圧処理を行った。前記方法により、透光性基板上に機能性半導体層が形成された光電極構造体を得た。
増感色素として、シス−ビス(イソチオシアナート)−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ビス−テトラブチルアンモニウムを用いた。この増感色素をエタノール中に0.2mMの濃度で溶解させて色素溶液を得た。この色素溶液中に機能性半導体層を形成した上記光電極構造体を24時間浸漬させ、機能性半導体層に増感色素が担持された光電変換層を備えた光電極〔1〕を得た。
電解質溶液として、ヨウ素、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、およびt−ブチルピリジンが溶解された3−メトキシプロピオニトリル溶液を用いた。これらの物質はそれぞれ0.05M、0.1M、0.6M、および0.5Mになるよう窒素雰囲気下でアセトニトリルに溶解された。
FTOガラス(日本板硝子社製)のFTO層上に、スパッタ法を用いて触媒層としてのPt層を形成し、このPt層を導電層とした。その際、用いたスパッタ条件は、60W、Arガス:4sccm、0.6Pa、1minである。
光電極〔1〕に、厚さ30μmの絶縁スペーサー、対極をこの順に重ね合わせた。光電極〔1〕と対極との間にマイクロシリンジで電解質溶液を注入した。これにより、色素増感太陽電池〔B1〕を作製した。
機能性半導体層を形成するペーストに酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕を用いた以外、その他の条件は比較例Aと同様にして、色素増感太陽電池〔A1〕を作製した。
機能性半導体層を形成するペーストに酸化物ナノ粒子含有ペースト〔2〕を用いた以外、その他の条件は比較例Aと同様にして、色素増感太陽電池〔A2〕を作製した。
機能性半導体層を形成するペーストに酸化物ナノ粒子含有ペースト〔3〕を用いた以外、その他の条件は比較例Aと同様にして、色素増感太陽電池〔A3〕を作製した。
機能性半導体層を形成するペーストに材料ペースト〔2〕を用いた以外、その他の条件は比較例Aと同様にして、色素増感太陽電池〔B2〕を作製した。
機能性半導体層を形成するペーストに材料ペースト〔3〕を用いた以外、その他の条件は比較例Aと同様にして、色素増感太陽電池〔B3〕を作製した。
機能性半導体層を形成するペーストに材料ペースト〔4〕を用いた以外、その他の条件は比較例Aと同様にして、色素増感太陽電池〔B4〕を作製した。
機能性半導体層を形成するペーストに材料ペースト〔5〕を用いた以外、その他の条件は比較例Aと同様にして、色素増感太陽電池〔B5〕を作製した。
色素増感太陽電池〔A1〕〜〔A3〕および〔B1〕〜〔B5〕の各々に、「ソーラーシミュレータ」(ペクセル社製)を用いて、AM1.5、100mW/cm2の擬似太陽光を照射しながら、「2400型ソースメータ」(KEITHLEY社製)を用いてI−V特性を測定し、短絡電流、開放電圧、形状因子FFの値を得た。これらの値を用いて下記の式(1)により、光電変換効率を算出した。
(大面積化した色素増感太陽電池の作製・性能評価)
酸化物ナノ粒子含有ペースト〔2〕を用いて、スクリーンメッシュST500により5cm×0.8cmの矩形を5本描画可能なスクリーン版を用いて、膜厚6μmの塗膜を透光性基板上に作製した。特許文献2に記載の方法を用いて、塗膜に対して、ロールプレス処理を行い、120MPaの加圧処理を行った。前記方法により、透光性基板上に機能性半導体層が形成された光電極構造体を得た。光電極構造体に対して比較例1と同様の操作を行い、光電変換層を備えた光電極を得た。次に、スクリーン印刷を用いて、特許文献3に記載されている材料を用いて、矩形の間に集電配線を作製した。Pt層付きのTi箔と光電極とを組み合わせ、Ti箔と光電極との間に電解液を注入し、Ti箔と光電極との周囲を樹脂により封止した。これにより、色素増感太陽電池〔A4〕を作製した。Pt層付きのTi箔には、膜厚50μmのTi箔上に、スパッタ法を用いて触媒層としてのPt層が形成され、このPt層を導電層とした。この際、用いたスパッタ条件は、60W、Arガス:4sccm、0.6Pa、1minである。電解質溶液として、ヨウ素、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、およびt−ブチルピリジンが溶解された3−メトキシプロピオニトリル溶液を用いた。これらの物質はそれぞれ0.05M、0.1M、0.6M、および0.5Mになるよう窒素雰囲気下でアセトニトリルに溶解された。色素増感太陽電池〔A4〕の性能評価は、上記の比較例Aなどと同様の方法を用いて行った。得られた変換効率は3.5%であった。
(酸化物ナノ粒子含有ペースト中の酸化物ナノ粒子の濃度の影響評価)
酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕および酸化物ナノ粒子含有ペースト〔2〕について、同一の媒体を用いて、酸化チタンの濃度を低下させたペーストを作製し、スクリーン印刷を行った。酸化物ナノ粒子含有ペースト〔1〕の酸化チタンの濃度を低下させた場合、すなわち1−ブタノールを媒体として用いた場合では、酸化チタンの濃度が20質量%のときに、ペーストの粘度が25℃において1.5Pa・secであった。このとき、設計値に対する実際の測定面積の割合は110%であり、形状を維持したまま、スクリーン印刷を行うことが可能であった。また、酸化物ナノ粒子含有ペースト〔2〕の酸化チタンの濃度を低下させた場合、すなわち1−ヘキサノールを媒体として用いた場合では、酸化チタンの濃度が20質量%のときに、ペーストの粘度が25℃において1.5Pa・secであった。このとき、設計値に対する実際の測定面積の割合は110%であり、形状を維持したまま、スクリーン印刷を行うことが可能であった。1−ブタノールを媒体として用いた場合および1−ヘキサノールを媒体として用いた場合ともに、酸化チタンの濃度をさらに低下させてペーストの粘度を1.5Pa・sec未満にすることで、急激に測定面積が増加した。このため、酸化チタンの濃度の下限は20質量%であると考えられる。
10 光電極(色素増感太陽電池用光電極)
11 透光性基板(基板)
11a 基材
11b 透明導電層
12 光電変換層
20 対極(色素増感太陽電池用対極)
21 導電層
30 電解質部分(電解液層)
40 配線
Claims (9)
- 酸化物ナノ粒子と、アルコールを少なくとも1種類含有するアルコール系溶媒とからなり、前記酸化物ナノ粒子が前記アルコール系溶媒に分散された酸化物ナノ粒子含有ペーストであって、
前記酸化物ナノ粒子含有ペーストは、前記酸化物ナノ粒子を前記酸化物ナノ粒子含有ペーストの全質量に対して20質量%以上50質量%以下含有し、かつ、前記アルコール系溶媒を前記酸化物ナノ粒子含有ペーストの全質量に対して50質量%以上80質量%以下含有し、
前記酸化物ナノ粒子含有ペーストの粘度は、25℃において、1.5Pa・sec以上である
酸化物ナノ粒子含有ペースト。 - 請求項1に記載の酸化物ナノ粒子含有ペーストであって、
前記アルコール系溶媒が含有する前記アルコールのうち少なくとも1種類は、炭素数が4から10であるアルコールであり、
前記アルコール系溶媒は、25℃において液体である
酸化物ナノ粒子含有ペースト。 - 請求項1または2に記載の酸化物ナノ粒子含有ペーストであって、
前記酸化物ナノ粒子は、
第1の平均粒子径を有する第1の酸化物ナノ粒子と、
前記第1の平均粒子径と異なる第2の平均粒子径を有する第2の酸化物ナノ粒子と、
を含有し、
前記第1の平均粒子径は30nm以下であり、
前記第2の平均粒子径は50nm以上である
酸化物ナノ粒子含有ペースト。 - 請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の酸化物ナノ粒子含有ペーストであって、
前記酸化物ナノ粒子は酸化チタンである
酸化物ナノ粒子含有ペースト。 - 請求項1に記載の酸化物ナノ粒子含有ペーストであって、
前記粘度は、25℃において、4Pa・sec以上である
酸化物ナノ粒子含有ペースト。 - 請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の酸化物ナノ粒子含有ペーストを用いて作製された光電変換層を備える色素増感太陽電池用光電極。
- 請求項6に記載の色素増感太陽電池用光電極であって、
プラスチック材料により形成された基板をさらに備え、
前記光電変換層は前記基板の上に形成される
色素増感太陽電池用光電極。 - 請求項7に記載の色素増感太陽電池用光電極であって、
前記光電変換層は、スクリーン印刷により前記基板の上に配置された前記酸化物ナノ粒子含有ペーストをロールプレス処理で加圧することにより作製される
色素増感太陽電池用光電極。 - 請求項6から8のうちのいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用光電極を備える色素増感太陽電池。
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