JP6344734B2 - 踏切物体検知装置 - Google Patents

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Description

この発明は、鉄道の複線区間や単線区間の踏切に設置される踏切保安装置に組み込まれて踏切道上の物体を検知する踏切物体検知装置に関し、詳しくは、検知した物体が列車なのか踏切障害物なのかの判別まで行うことにより、警報終止点に係るいわゆる煽り対策を強化して踏切警報終止条件を適性化するとともに、踏切障害物検知装置のマスク条件をも適正化することにより、踏切警報制御の質の向上に資する踏切物体検知装置に関する。
鉄道の線路の踏切に設置される踏切保安装置は(例えば非特許文献1,2,特許文献1,2参照)、列車を検知するための踏切制御子と、音響にて警報を発するためのスピーカとせん光にて警報を発するための警報灯を装備した踏切警報機と、第3種の踏切には無いが第1種の踏切では踏切遮断機と、踏切制御子の検知結果に基づいて踏切警報機や踏切遮断機の動作を制御する踏切制御装置とを具えている。
そして、踏切道の手前の警報始動点に設置された踏切制御子で列車を検知すると、踏切警報機にて警報を発するとともに、少し時間をおいて第1種の踏切では踏切遮断機を降下させ、踏切道の先の即ち踏切通過後位置の警報終止点に設置された踏切制御子で列車通過を検知すると、警報等を止めるとともに、第1種の踏切では踏切遮断機を上昇させるようになっている。
警報終止点用の踏切制御子は列車が踏切道を通過したことを検知する役割を持っているので、従来の踏切保安装置では、複線区間においては列車の進行方向に対して踏切道の先に即ち踏切通過後位置に設置するのが妥当で一般的である。一方、単線区間においては、設備費の節減のために踏切道のどちらか片側にひとつの警報終止点用の踏切制御子を設置し、上り及び下りに共用する。従って、列車の進行方向に対して、踏切道の手前側に警報終止点用の踏切制御子が位置する場合があるが、この場合には、後述する警報停止に割り付けられた遅延、具体的には警報停止の時素により、列車が踏切道を通過中に警報停止することを回避している。
一般に(例えば特許文献2参照)、警報始動点には、短小軌道回路の一種である閉電路形の踏切制御子が用いられるのに対し、警報終止点には、やはり短小軌道回路の一種であるが特性の異なる開電路形の踏切制御子が用いられている。警報始動点には(例えば非特許文献2の51〜52ページ参照)、ATS車上装置からの常時発振信号を受けて動作する踏切バックアップ装置が並設されることもあり、この場合、列車の前頭車の床下に取り付けられたATS車上装置の車上子から踏切バックアップ装置の地上子へ発振信号が届くことによっても、警報終止点への列車到来が検知される。
また、赤外光・レーザ光での送受光に係る遮断の有無やレーダ方式で測定した距離の遠近などに応じて踏切道上の障害物を検知する踏切障害物検知装置が多くの踏切に設置されている(例えば非特許文献2や特許文献2参照)。
踏切障害物検知装置は、踏切道上に滞留する物体を、列車の走行を阻害する障害物として検知した場合に、別途の特殊信号発光機を制御し前記踏切に接近して来る列車に対して停止信号を現示することが目的であり、通常の速度で踏切道を通行(移動)する人や自動車を障害物として過剰に検知することを回避するために、物体を連続して検知することを条件として障害物と判断している。具体的には、確認期間(連続検知)用として4〜6sの障害物検知の時素が割り付けられている。
また、踏切道を通過している列車を障害物として誤検知しないように、踏切障害物検知をマスク・抑制する障検マスク区間を規定するマスク条件が踏切障害物検知装置に課されているが、そのマスク条件を低コストで実現するために従来の踏切保安装置では、踏切警報終止用の踏切制御子が列車を検知したことをマスク条件としているのが一般的である。
そのため、列車の進行方向に対して、踏切道の前方側に警報終止点用の踏切制御子が位置する場合、幅員の大きな踏切道を列車が通常より極めて低速で走行すると、4〜6sの障害物検知の時素以内にマスク条件となる踏切警報終止用の踏切制御子に到達しないことが発生し、このときにはマスク条件が成立しないので、列車を障害物として誤検知してしまう、という課題があった。そして、この課題を解決するために、踏切道の幅員の全体が障検マスク区間内に完全に収まるように障検マスク区間を拡張するために、軌道に対する警報終止用の踏切制御子の打ち込み点を切り替えて踏切道の前後で列車検知を行うようになった踏切制御切替装置や踏切保安装置が発明されている(例えば特許文献2参照)。
もっとも、このような障検マスク区間を拡張した踏切保安装置であれ、それ以前の踏切保安装置であれ、踏切障害物検知装置が踏切制御・警報制御に対して積極的・能動的に関わるようにはなっていなかった。すなわち、従来の踏切保安装置は、警報終止用の踏切制御子による列車検知と踏切障害物検知装置による列車検知との連係・共同によって、列車が踏切道に進入し、その後進出したことを検知し、列車が踏切道を確実に通過したことをもって、踏切警報を停止しようとする、ということまで行うものではなかった。
従来の踏切保安装置では、警報始動用の踏切制御子による列車検知に応じて踏切警報を開始し、それに続く警報終止用の踏切制御子による列車検知とその後の列車不検知とに応じて踏切警報を停止するようになっており、踏切障害物検知装置の検知結果に応じて踏切警報を停止するようにはなっていなかった。そして、警報始動点への列車進入と警報終止点への列車進入および列車進出とが的確に検知されれば踏切警報が適切に発せられるよう、警報停止に適宜な遅延、具体的には警報停止の時素が割り付けられていて、該当する時素を超えて同じ列車不検知が継続して初めて警報停止することになっていた。
警報終止用の踏切制御子に係る警報停止の時素は、いわゆる煽り対策が重要であり、踏切制御子が正常であっても発生しうる列車検知不良に起因する誤作動を防止・抑制することを主要な観点として設定されている。
詳述すると、踏切制御のための列車検知装置として多用されている上述の踏切制御子や他の一般的な軌道回路は、列車の車輪と線路のレールとが接触して電気導通可能な短絡状態になることを前提として列車検知を行うため、列車走行の位置や状態によって不定期に一時的な接触不良が発生すると、踏切制御子に異常が無くても、そして警報終止点に係る踏切制御の列車検知区間に列車が在線しているにも拘わらず、列車検知の成立を示すべき終止点検知結果に、列車検知の不成立を示す状態への揺らぎが発現する。これがいわゆる“煽り”であり、その悪影響を軽減する試み等が煽り対策と呼ばれている。
そして、そのような踏切制御子による終止点検知結果の一時的な揺らぎ・不所望な変動が短時間であれば、踏切制御装置の制御による踏切警報は、適切に発せられる。
これに対し、終止点検知結果の一時的な揺らぎ・不所望な変動が警報停止の時素の時間より長いと、列車の踏切通過完了前に踏切警報が早過ぎるタイミングで停止してしまうことになる。
もっとも、そのような不所望な事態の発生は、警報停止の時素を適切な値に設定することで、防止・回避されている。上述したような“煽り”すなわち警報終止点に係る一時的な列車検知の不成立は、レール踏頂面(踏面)に錆が発生していたり昆虫の体内からの脂肪分などが付着していたり、さらには列車の揺れ等で車輪がレールから浮き上がったりすることで、生じるのが大半であるが、そのようなことが原因で列車の車輪と線路のレールとが電気導通不能に陥る時間は上記の各時素を超えて長時間に及ぶことが想定しえないほど短いため、各時素の設定値の決定や調整は比較的容易であった。
特開2007−015645号公報 特開2013−095151号公報 特願2013−084642号
鉄道技術者のための信号概論 信号シリーズ1 「鉄道信号一般」社団法人日本鉄道電気技術協会2005年3月18日発行、改訂版p.107〜118 鉄道技術者のための電気概論 信号シリーズ8 「踏切保安装置」社団法人日本鉄道電気技術協会2007年10月30日発行、4版p.35〜120
ところが、列車車両の軽量化や列車運行の高速化が進んだことにより、レール踏頂面から錆や脂肪分などの絶縁物を車両の重みで破壊や除去する能力が低下する一方、レールからの車輪浮上は頻度も時間長も増加傾向にある。
このため、警報終止点に係る一時的な列車検知の不成立による不所望な事態の発生を防止・回避する煽り対策に利用されている踏切制御装置の警報停止の時素について、時間長を増やす対策を採ることになるので、調整代が減る傾向にあり、それだけに頼るのでは適正値の設定が難しくなりかねない。また、警報停止の時素を長くすると、列車が踏切を通過してから踏切が開くまでの時間まで延びるので、踏切通行の円滑化の要請に反することとなる。
これに対しては、車輪とレールとの短絡によらない列車検知装置が求められ、例えば車軸検知装置が実用化されているが、これは、設備費が高いことや、レールに検知器を取り付けなければならないので保線の保全作業に支障が生じることなどの理由から、さほど普及していない。
他の列車検知装置についても、レールの短絡によらない装置は、ほぼ同様の理由で、やはり普及していない。
さらに(例えば特許文献1参照)、列車を非接触センサで検知して、そのセンサ出力状態と終止点条件とにより、踏切列車通過を判定するようになった踏切列車通過検知装置も、提案されているが、この装置は、踏切道を列車の最後尾が通過し終わるのをいち早く検知することを目的として開発されたものなので、非接触センサが踏切道から外れた所に設置されており、その非接触センサの検知出力の立ち下がり即ち列車検知の成立から不成立への状態遷移に応じて直ちに列車踏切通過を判定するようになっている。
しかも、この装置では、非接触センサの検知出力の立ち下がり時に踏切列車通過を判定するに際して終止点条件が列車の存在を示していることを条件とすること以外は、終止点条件の役目が非接触センサの故障判定に変更されていて、踏切警報停止の条件として踏切道への列車の進入および進出に係るシーケンスチェックを終止点条件でなく非接触センサの検知出力に基づいて行うようになっており、終止点条件に係る列車検知の不成立は、最早、列車の踏切道の完全通過の確認に用いられるものでは無くなっている。このように警報終止点に係る一時的な列車検知の不成立による悪影響は考慮されていないので、終止点用踏切制御子による列車検知が煽った場合、非接触センサが列車を検知しているときに警報終止点での列車検知が一時的だが時素より長い時間に亘って不成立になると、非接触センサが故障したとの誤判定が下されてしまう。
さらに、この装置でも、上述した車軸検知装置が検知器を追加設置しなければならないのと同様、踏切道を通る障害物を非接触で検知できる踏切障害物検知装置が踏切に設置されている場合でも、非接触センサは別に設けなければならない。
そこで、車輪とレールとの短絡を前提にした列車検知を行うのであっても警報終止点に係る一時的な列車検知の不成立による悪影響が少ない踏切制御を可能とする踏切物体検知装置を踏切道上の物体有無の検知結果の利用にて簡便に実現することが、基本的な課題となる。
そして(特許文献3参照)、このような基本課題を解決するために、次のような踏切物体検知装置が新たなに案出されている。すなわち、踏切道上に滞留する物体を、列車の走行を阻害する障害物として検知する踏切障害物検知装置を、障害物検知としての機能を維持しつつ、列車が前記踏切道を通過したことを検知し、これを踏切警報停止条件として踏切制御装置に提供することにより、踏切警報制御支援機能を発揮することを特徴とする踏切物体検知装置が創案されている。
この踏切物体検知装置にあっては、踏切障害物検知装置として機能する踏切物体検知装置に踏切警報制御支援機能も持たせたことにより、踏切道上の物体を検知する踏切物体検知装置が有れば、踏切道から外れた所の物体を検知する非接触センサや車軸検知装置を追加設置しなくても、列車の踏切進入および踏切進出を論理判定にて検知することができる。踏切障害物検知装置用のセンサは一般に非接触センサであって列車の煽りの影響を受け難いので、列車の煽りの影響を受け易い接触式の踏切制御子で得た終止点検知結果だけから踏切警報停止条件を確定するのに比べ、警報停止の時素を長くするまでもなく、列車の踏切進出をより的確に検知することができる。そのため、上記の基本課題が解決されるのである。
このような踏切物体検知装置は、踏切障害物検知装置による列車検知と、警報終止用の踏切制御子による列車検知との協同により、列車が踏切道に進入し、その後進出したことを検知し、列車が踏切道を確実に通過したことをもって、踏切警報を停止しようとするものであり、これによって煽り対策が従来よりも強化されている。
しかしながら、この踏切物体検知装置の具体化では、警報終止点が踏切道より先に即ち踏切通過後位置に設定されていることを想定して、列車の踏切道通過完了を警報終止用の踏切制御子による列車検知に基づいて確認するようになっていたため、煽り対策が強化されたといっても、煽りの影響を払拭しきるには至っていない。
また、踏切障害物検知装置のマスク条件に関しては、従来の踏切保安装置と同様であり、上述の課題(すなわち、列車の進行方向に対して、踏切道の前方側に警報終止点用の踏切制御子が位置する場合、幅員の大きな踏切道を列車が通常より極めて低速で走行すると、4〜6sの障害物検知の時素以内にマスク条件となる踏切警報終止用の踏切制御子に到達しないことが発生し、このときにはマスク条件が成立しないので、列車を障害物として誤検知してしまう、という課題)は、解決されていない。
そこで、踏切障害物検知装置による列車検知と警報終止用の踏切制御子による列車検知とを協同させて踏切警報の停止を的確化する踏切物体検知装置を更に改良することにより、煽り対策を一層強化するとともに踏切障害物検知装置のマスク条件を適正化することが第1課題となる。
本発明の踏切物体検知装置は(解決手段1,出願当初請求項1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、鉄道の線路に設置された踏切の踏切道上における物体の有無を検知する感応部から物体検知結果を取得する手段と、前記踏切から列車進入側へ且つ列車長より遠くへ離れて前記線路に設定された警報始動点に係る列車検知結果である始動点検知結果を取得する手段と、前記踏切から列車長より近くへ離れて前記線路に設定された警報終止点に係る列車検知結果である終止点検知結果を取得する手段と、前記物体検知結果と前記始動点検知結果と前記終止点検知結果とに基づいて前記警報始動点への列車進入とその後の前記踏切への列車進入とその後の前記踏切からの列車進出とを検知する物体検知論理判定部とを備えた踏切物体検知装置であって、前記物体検知論理判定部は、前記警報始動点への列車進入の検知から前記踏切への列車進入の検知までの間は前記感応部の検知した物体を障害物と判定し、前記踏切への列車進入の検知から前記踏切からの列車進出の検知までの間は前記感応部の検知した物体を列車と判定することにより、前記感応部にて検知された物体が障害物であるか列車であるかを弁別するようになっており、更に、前記警報始動点への列車進入の検知後に前記物体検知結果と前記終止点検知結果との双方が成立したことに応じて前記踏切への列車進入を検知し、前記踏切への列車進入の検知後に前記物体検知結果が不成立に転じたことに応じて前記踏切からの列車進出を検知するようになっていることを特徴とする。
また、本発明の踏切物体検知装置は(解決手段1最良実施態様,出願当初請求項2)、上述した解決手段1の踏切物体検知装置であって、前記警報終止点が前記警報始動点と前記踏切との間に設置されていることを特徴とする。
このような本発明の踏切物体検知装置にあっては(解決手段1)、先に創案された上述の踏切物体検知装置を踏襲しているので、上述の基本課題が解決される。すなわち、踏切道上の物体を検知する感応部が、始動点検知結果と終止点検知結果とに基づく論理判定での弁別によって踏切障害物の検知と踏切通過列車の検知とに共用されるとともに、始動点検知結果に基づく警報始動点への列車進入の検知に後続する踏切への列車進入および列車進出の検知が、終止点検知結果だけでなく感応部の物体検知結果も用いる論理判定にて行われるようにしたことにより、踏切道から外れた所の物体を検知する非接触センサや車軸検知装置を追加設置しなくても、列車の踏切進入および踏切進出を的確に検知することができる。
詳述すると、感応部のセンサは、踏切障害物検知用でもあるので踏切横断を邪魔しないよう一般に非接触センサが採用されることから、その物体検知結果が列車の煽りの影響を受け難いため、列車の煽りの影響を受け易い接触式の踏切制御子で得た終止点検知結果だけから踏切警報停止条件を確定していた従来に比べ、本発明では、異質な両方式での検知結果を論理判定にて統合して障害物と列車とを弁別したうえで列車の踏切進出を確定していることも相まって、例え踏切制御用の警報停止時素や踏切障害物検知用の障害物検知時素が従来のままであっても、列車の踏切進出の検知確度が向上することとなる。
しかも、それに加えて、本発明の踏切物体検知装置にあっては、警報始動点への列車進入の検知に後続する踏切への列車進入および列車進出の検知手法を具体化するに際し、更なる改良が施されている。すなわち、列車の踏切進入については、物体検知結果と終止点検知結果の双方成立を条件としたことにより、踏切障害物と踏切通過列車の判別機能を損なうことなく、列車の踏切進入を的確に検知することができる。また、列車の踏切進出については、列車の踏切進入の検知に後続する物体検知結果の不成立を条件としたことにより、煽りの影響が断ち切られるので、上述した煽りについての第1課題が解決される。
しかも、物体検知結果の不成立を列車の踏切進出の検知条件としたことにより次のような更なる作用効果まで奏するものとなる。すなわち、列車の踏切道通過後に素早く踏切警報を停止することができることに加え、警報終止点に係る踏切制御子による列車検知の位置を踏切道の手前に持ってくることが可能になる。
そして、そのようにすると(解決手段1最良実施態様,出願当初請求項2)、踏切道の手前に設置した警報終止点に係る踏切制御子による列車検知と踏切障害物検知装置による物体検知結果との双方が成立したことにより踏切への列車進入を検知するようになるが、これを踏切障害物検知装置のマスク条件とすることにより、踏切道の手前からマスク条件が成立するので、列車を障害物として誤検知してしまうことは完全に防止でき、上述の踏切障害物検知装置のマスク条件についての第1課題が解決される。
さらに、一般に、警報始動点に進入した列車が最高速度で走行して踏切に到達するまでの時間である警報時間が、下り警報が開始してから第1種の踏切であれば遮断機によって遮断されるまでの時間(踏切道を通る線路数(跨線数)などによって異なるが、20秒弱であり、ここではこの20秒を遮断完了時間と呼ぶ)に、その後に列車が踏切道に到達するまでの時間(標準20秒)を加えた値になるように、警報始動点と踏切道との離隔距離が規定されているところ、警報始動点への列車進入の検知後に踏切への列車進入を検知する際に、物体検知結果と終止点検知結果との双方が成立したことに加えて上記の遮断完了時間(20s)が経過したことも条件にすることにより、早すぎる誤検知が無視されるので、列車の踏切進入に係る検知の的確性を一層高めることができる。
本発明の実施例1について、踏切物体検知装置の構造を示し、(a)が複線区間の下り線における踏切制御子等の配置を示す記号図、(b)が踏切物体検知装置のリレー回路図である。 踏切物体検知装置の動作状態を示し、(a)が複線区間の下り線を走行する列車の進行状態を示す記号図、(b)がリレー信号のタイムチャートである。 本発明の実施例2について、踏切物体検知装置の設置態様等を示し、(a),(b)何れも複線区間の下り線における踏切制御子等の配置と列車の進行状態を示す記号図であり、(a)がATS車上装置の稼動時で、(b)がATS車上装置の停止時である。 本発明の実施例3について、単線用の踏切物体検知装置の設置態様等を示し、(a),(b)何れも単線区間における踏切制御子等の配置を示す記号図であり、(a)がATS車上装置の稼動時で、(b)がATS車上装置の停止時である。 単線用の踏切物体検知装置のリレー回路図である。
[発明が解決しようとする第2課題]
上記解決手段1の踏切物体検知装置は、物体検知結果を利用することで列車の踏切進出を的確に検知するようになっているが、軌道の不正短絡までは考慮されていない。軌道の不正短絡の状況によっては、列車が来ていないにもかかわらず、不成立であるべき終止点検知結果が成立することがあり、その場合、不正短絡に起因した終止点検知結果の不所望な成立と、人間や自動車の踏切道通過に応じた物体検知結果の成立および不成立とにより、タイミングによっては踏切警報が不正に停止することがある。不正短絡に起因して終止点検知結果が不所望に成立し続けている状態で、踏切道を人間や自動車が横断して物体検知結果が成立すると、列車の踏切進入が誤検知される。その後、人間や自動車が踏切道を進出すると、物体検知結果が不成立に転じるので、列車の踏切進出が誤検知され、これに応じて踏切警報が停止してしまう。軌道の不正短絡ではないが、列車が終止点用踏切制御子の列車検知区間に進入し、車両故障やダイヤ乱れにより、同区間に長時間停車した場合など、同様に不所望な事態になることがある。
[第2課題を解決するための手段]
本発明の踏切物体検知装置は(解決手段2,当初請求項3)、このような第2課題を解決するために創案されたものであり、上記解決手段1の踏切物体検知装置であって、前記踏切からの列車進出を検知する際、前記踏切への列車進入の検知後に前記物体検知結果と前記終止点検知結果との双方が不成立になったことに応じて前記踏切からの列車進出を検知するようになっていることを特徴とする。
[解決手段2の効果]
このような本発明の踏切物体検知装置にあっては(解決手段2)、列車の踏切進出の検知に際して物体検知結果に加えて終止点検知結果も利用するようにしたことにより、物体検知結果利用による煽り対策などの利点を損なうことなく、軌道の不正短絡や終止点用踏切制御子の列車検知区間での不所望な列車在線などに起因する上述した踏切警報の早過ぎる停止を簡便かつ的確に回避することができる。
[発明が解決しようとする第3課題]
上記解決手段1,2の踏切物体検知装置は、終止点検知結果と物体検知結果とを利用することで列車の踏切進入を的確に検知するようになっているが、軌道の短絡不能までは考慮されていない。上記装置は、警報終止点に係る列車検知を軌道回路形の踏切制御子にて行うことを前提としているため、落ち葉がレールに降り積もって絶縁被膜状態になったような場合など、軌道が列車の車軸で全く短絡されない状態になることが稀にあるが、そのような軌道の短絡不能が発生すると、列車が踏切道に進入しことを検知できないので、列車が踏切を通過しても、踏切警報が停止されなくなり、不所望な警報持続となる。
[第3課題を解決するための手段]
本発明の踏切物体検知装置は(解決手段3,当初請求項4)、このような第3課題を解決するために創案されたものであり、上記解決手段1,2の踏切物体検知装置であって、前記踏切から列車長より近くへ離れて前記線路に設置されたATS利用の踏切バックアップ装置の列車検知結果であるバックアップ検知結果を取得する手段を具備しており、且つ、前記踏切への列車進入を検知する際、前記警報始動点への列車進入の検知後に(実用では更に20sほど経過した遮断完了時間後に),前記バックアップ検知結果および前記終止点検知結果のうち何れか一方または双方が成立したことと,前記物体検知結果が成立したこととが,共に満たされたことに応じて前記踏切への列車進入を検知するようになっていることを特徴とする。
[解決手段3の効果]
踏切バックアップ装置は、列車の前頭車の床下に取り付けられたATS装置の車上子から踏切バックアップ装置の地上子へ発振信号が届くことによって列車到来を検知するものであり、列車の最後部が地上子を通過したことは検知できないので、従来の踏切保安装置における警報終止点には使用できない。しかし、本踏切物体検知装置では、踏切障害物検知装置の物体検知結果との協同で列車進入を検知する用途として使用できる。
このような本発明の踏切物体検知装置にあっては(解決手段3)、軌道の短絡不能に影響されない踏切バックアップ装置の列車検知結果が流用できる又は利用可能にすることを前提として、そのバックアップ検知結果と踏切制御子による終止点検知結果との論理和を物体検知結果との論理積に供するようにしたことにより、踏切制御子の検知不足が踏切バックアップ装置の異質な検知によって補われるので、軌道の短絡不能に起因する上述した不所望な警報持続を簡便かつ的確に回避することができる。
[発明が解決しようとする第4課題]
解決手段1の効果の欄で上述したように、本発明の踏切物体検知装置にあっては警報終止点に係る踏切制御子による列車検知の位置を踏切道の手前に持ってくることが可能であり、そのようにした方が判定や弁別をより素早く且つ的確に行えるようになる。
しかしながら、既存の複線区間では警報終止用の踏切制御子の打ち込み点である警報終止点が踏切道より先に即ち踏切通過後位置に設定されている。
このため、警報終止点を踏切道の手前に設定するには、踏切制御子の追設か打ち込み点の移設が必要になるので、少々面倒である。
そこで、より簡便に性能向上を実現することが第4課題となる。
[第4課題を解決するための手段]
本発明の踏切物体検知装置は(解決手段4,当初請求項5)、このような第4課題を解決するために創案されたものであり、上記解決手段3(当初請求項4)の踏切物体検知装置であって、前記終止点検知結果を取得する手段が検知結果取得先にしている前記警報終止点と,前記バックアップ検知結果を取得する手段が検知結果取得先にしている前記踏切バックアップ装置とが,前記踏切道の両側に分かれて前記線路に設けられていることを特徴とする。
[解決手段4の効果]
このような本発明の踏切物体検知装置にあっては(解決手段4)、踏切道より先に即ち踏切通過後位置に既に設けられている警報終止用の踏切制御子はそのまま利用し続け、踏切制御子に比べて設置も移設も容易な踏切バックアップ装置を踏切道の手前に配置するといった工事を付加実施することにより、簡便に、踏切の設備が所望のものに更新される。
そして、踏切バックアップ装置が有効に機能しているときには、警報終止用の踏切制御子の位置を踏切道の手前に持って来た場合と同様の高い作用効果を奏し、一方、万一踏切バックアップ装置が機能しなかったときでも、警報終止用の踏切制御子により警報停止の機能が働き、従来の踏切保安装置と同一レベルの性能が確保できるので、従来よりは優れた作用効果を奏する。
[発明が解決しようとする第5課題]
上述した解決手段1〜4の踏切物体検知装置では、複線の下り線に係る踏切制御や,複線の上り線に係る踏切制御,単線における下り列車に対する踏切制御,単線における上り列車に対する踏切制御が的確に遂行されるが、単線では下り列車と上り列車が同じ軌道を走行するとは言っても踏切通過時刻を異にするため、単線の踏切に設置される踏切物体検知装置は、物体検知論理判定部を下り用と上り用とに複数装備するよりも下り上りへの部分的な共用化を図れる余地があるので、簡素化や実装規模縮小が第5課題となる。
[第5課題を解決するための手段]
本発明の踏切物体検知装置は(解決手段5,当初請求項6)、このような第5課題を上記の第1,3,4課題および解決手段1,3,4に対応したレベルで解決するために創案されたものであり、鉄道の単線の線路に設置された踏切の踏切道上における物体の有無を検知する感応部から物体検知結果を取得する手段と、前記踏切から起点側へ且つ列車長より遠くへ離れて前記線路に設定された下り警報始動点に係る列車検知結果である下り始動点検知結果を取得する手段と、前記踏切から終点側へ且つ列車長より遠くへ離れて前記線路に設定された上り警報始動点に係る列車検知結果である上り始動点検知結果を取得する手段と、前記踏切から列車長より近くへ離れて前記線路に設定された警報終止点に係る列車検知結果である終止点検知結果を取得する手段と、前記踏切から列車長より近くへ離れて前記線路に設置されたATS利用の踏切バックアップ装置の列車検知結果であるバックアップ検知結果を取得する手段と、前記物体検知結果と前記下り始動点検知結果と前記上り始動点検知結果と前記終止点検知結果と前記バックアップ検知結果とに基づいて前記下り警報始動点および前記上り警報始動点への列車進入とその後の前記踏切への列車進入とその後の前記踏切からの列車進出とを検知する物体検知論理判定部とを備えた踏切物体検知装置であって、前記終止点検知結果を取得する手段が検知結果取得先にしている前記警報終止点と,前記バックアップ検知結果を取得する手段が検知結果取得先にしている前記踏切バックアップ装置とが,前記踏切道の両側に分かれて前記線路に設けられており、前記物体検知論理判定部は、前記下り警報始動点への列車進入と前記上り警報始動点への列車進入とのうち何れかでも検知されるとそのときから前記踏切への列車進入の検知までの間は前記感応部の検知した物体を障害物と判定し、前記踏切への列車進入の検知から前記踏切からの列車進出の検知までの間は前記感応部の検知した物体を列車と判定することにより、前記感応部にて検知された物体が障害物であるか列車であるかを弁別するようになっており、更に、前記警報始動点への列車進入の検知後に(実用では更に20sほど経過した遮断完了時間後に),前記バックアップ検知結果および前記終止点検知結果のうち何れか一方または双方が成立したことと,前記物体検知結果が成立したこととが,共に満たされたことに応じて前記踏切への列車進入を検知し、前記踏切への列車進入の検知後に前記物体検知結果が不成立に転じたことに応じて前記踏切からの列車進出を検知するようになっていることを特徴とする。
また、本発明の踏切物体検知装置は(解決手段6,当初請求項7)、上述した第5課題を上記の第1,3,4課題および解決手段1,3,4に加えて上記の第2課題および解決手段2にも対応したレベルで解決するために創案されたものであり、上記解決手段5(当初請求項6)の踏切物体検知装置であって、前記踏切からの列車進出を検知する際、前記踏切への列車進入の検知後に前記物体検知結果と前記終止点検知結果との双方が不成立になったことに応じて前記踏切からの列車進出を検知するようになっていることを特徴とする。
[発明を実施するための具体的な形態]
このような本発明の踏切物体検知装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜3により説明する。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1〜3(出願当初の請求項1〜4)を具現化したものであり、図3に示した実施例2は、上述した解決手段4(出願当初の請求項5)を具現化したものであり、図4〜5に示した実施例3は、上述した解決手段5〜6(出願当初の請求項6〜7)を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、筐体や機械部などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に記号図や回路図を多用した。
本発明の踏切物体検知装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が複線区間の線路10のうち下り線11に係る踏切制御子(ADC,BDC)等の配置を示す記号図であり、(b)が下り踏切物体検知装置20のリレー回路図である。
ここで例示する下り踏切物体検知装置20は、複線区間の踏切13に係る踏切保安装置に組み込まれており、踏切制御装置に加えて踏切障害物検知装置が設けられている場合はそれらを部分改造した形で分散設置されたり、既存装置の改造は信号提供程度にとどめて別ユニットを追加する形で設置されたり、既存の踏切障害物検知装置を取り外して或いは新規な踏切障害物検知装置の追加に代えて本装置20を追加する形で設置されたり、種々の態様で設置しうるので、ここでは、踏切保安装置の各部材の配置状態と、リレーを用いて具体化された下り踏切物体検知装置20の回路構成とを説明する。
下り踏切物体検知装置20の設置先は(図1(a)参照)、複線区間の線路10のうち下りの線路(下り線)11であり、それと並走する上り線(上りの線路)12には本例では同様な別の踏切物体検知装置が設置されているものとする。踏切13の踏切道や警報灯14は下り列車と上り列車とに共用されるが、下り線11や,下り終止点BDC(警報終止点),下り踏切バックアップ装置BBu,下り感応部15+16は、上り列車には使用されず、下り列車だけに使用される。なお、それらの部材の下り列車専用化は絶対的なものでなく、後述する単線の場合や、複線でも多少改造した場合など、共用できることがある。
このような下り線11については、踏切13の起点側で手前位置の下り始動点ADCに、閉電路形の踏切制御子が接続されるのに加え、下り始動点ADCと踏切13との中間位置に下り終止点BDCが設定されて、そこに開電路形の踏切制御子が接続されるとともに、下り踏切バックアップ装置BBuが設置される。その際、下り始動点ADCの列車検知区間Saも下り終止点BDCの列車検知区間Sbも踏切道に掛からないよう、何れの踏切制御子も踏切道から離れた所に打ち込まれるが、下り始動点ADCは、踏切警報を発してから20〜600m程度の編成長の列車が踏切13に到達するまでの警報時間(第1種、第3種の踏切の別、跨線数などにより異なるが、概ね25秒〜40秒)を確保するために、列車の最高速度にもよるが踏切13から650〜850m程の遠くに設定される。
これに対し、下り終止点BDCは、踏切横断物等による誤作動を避けつつも踏切への列車進入を的確なタイミングで検出するために、具体的には列車の先頭が最接近したタイミングで踏切への列車進入を検知できるよう、踏切13の踏切道の手前で踏切道の近くに設定されるが、警報終止用の踏切制御子の列車検知長の半分すなわち列車検知区間Sbの幅の半分の長さ約15mよりは遠くに設定される。そして、そこに設置された踏切制御子は、踏切13から手前へ列車長より近くへ離れて下り線11に設定された下り終止点BDC(警報終止点)に係る列車検知を行うものとなる。なお、下り踏切バックアップ装置BBuの地上子は、踏切横断物等による誤作動がないので、踏切13から手前へ1〜2m程度の至近位置に設置される。この位置は、踏切13から列車長より近くへ離れた所であり、ATS装置の車上子が地上子と正対したときに、列車の最先頭が踏切道上に差し掛かり、踏切障害物検知装置が最先頭を物体と検知する距離関係になる。すなわち両者のAND条件が成立する。
また、下り感応部15+16は、下り線11に対しても踏切13の踏切道に対しても両側に分かれて設置された投光器15と受光器16とからなるものを図示したが、赤外光・レーザ光での送受光に係る遮断の有無や(例えば非特許文献2参照)、レーダ方式で測定した距離の遠近(例えば特許文献2参照)などに応じて、踏切道を通る人や車などの障害物と列車とを非接触で検知できるものであれば良いが、列車が少しでも踏切道に掛かっていれば列車検知結果が成立するよう線路と踏切道に対し平面視で傾斜しており、踏切障害物検知装置が設けられている場合、大抵は、その感応部を流用することが可能である。警報始動点用や警報終止点用の踏切制御子も、ATS利用の下り踏切バックアップ装置BBuも、既述した既存品や公知品で良いが、下り終止点BDCと下り踏切バックアップ装置BBuの位置は、踏切道の手前になっているのが望ましいので、本例ではそのようになっている。
下り踏切物体検知装置20は(図1(b)参照)、それらの地上設備から検知結果を取得するために下り始動点検知結果取得部21と下り終止点検知結果取得部22と下りバックアップ検知結果取得部23と下り物体検知結果取得部24とを具備するとともに、それらの検知結果に基づいて下り始動点ADC(警報始動点)への下り列車の進入とその後の踏切13への下り列車の進入とその後の踏切13からの下り列車の進出とを検知する下り物体検知論理判定部25〜30と具備しており、この実施例では、何れもリレー回路で具現化されている。
下り始動点検知結果取得部21は、警報始動用の踏切制御子のリレー出力を条件とする中継リレーを主体とした回路からなり、下り始動点ADC(警報始動点)に係る列車検知結果である下り始動点検知結果APRを中継リレーで取得して出力するようになっている。
下り終止点検知結果取得部22は、警報終止用の踏切制御子のリレー出力を条件とする中継リレーを主体とした回路からなり、下り終止点BDC(警報終止点)に係る列車検知結果である下り終止点検知結果BPRを中継リレーで取得して出力するようになっている。
下りバックアップ検知結果取得部23は、下り踏切バックアップ装置BBuのリレー出力を条件とする中継リレーを主体とした回路からなり、下り踏切バックアップ装置BBuの列車検知結果である下りバックアップ検知結果BBuRを中継リレーで取得して出力するようになっている。
下り物体検知結果取得部24は、下り感応部15+16のリレー出力である下り障検Rを条件とする中継リレーを主体とした回路からなり、下り線11における踏切道上の物体検知結果を下り感応部15+16から取得して、それを下り障検PRとして出力するようになっている。これには過剰検知回避のため約1s(1秒)の緩放性が付与されている。
下り物体検知論理判定部25〜30は、下り警報検知部25と所定時間経過検知部26と踏切進入検知部27と踏切警報制御部28と踏切警報停止部29と物体弁別部30とを具備していて、上述した下り始動点検知結果APRと下り終止点検知結果BPRと下りバックアップ検知結果BBuRと下り障検PR(物体検知結果)とに基づき、下り列車の進行に伴う検知結果の遷移に応じて下り始動点ADC(警報始動点)への列車進入とその後の踏切13への列車進入とその後の踏切13からの列車進出とを論理判定にて検知するようになっている。さらに、判定結果の一つとして後述の警報Rを出して警報灯14や在れば踏切遮断機の動作制御に供するとともに、もう一つの判定結果としてやはり後述の特発制御EURを出して特殊信号発光器や障検警報用ブザー等の動作制御に供するようになっている。
下り警報検知部25は、上述の下り始動点検知結果APRとここの下りSRと後述の下り警報停止Rとを条件とする下りSR信号用リレーを主体とした回路からなり、下り始動点検知結果APRの成立(リレー落下)にて警報始動点への列車進入を検知して下りSRを成立(リレー落下)させるとともに、その下りSR成立状態を下り警報停止Rの成立(リレー動作)時まで維持するようになっている。
所定時間経過検知部26は、上述の下りSRを条件とする下りSLPR信号用リレーを主体とした回路からなり、下りSLPRに20s(20秒)の緩放性を持たせることで、下りSRの成立(警報開始)から上述の遮断完了時間(20s)だけ遅れて下りSLPRが成立(リレー落下)するとともに、下りSRの不成立(リレー動作)に伴って下りSLPRも不成立状態に戻るようになっている。
踏切進入検知部27は、後述の下り警報停止Rと上述の下りSLPRと上述の下り終止点検知結果BPRと上述の下りバックアップ検知結果BBuRとここの下り障検列車進入検知Rと上述の下り障検PR(物体検知結果)とを条件とする下り障検列車進入検知R信号用リレーを主体とした回路からなり、下りSLPRの成立(リレー落下)によって下り始動点ADCへの列車進入から上述の遮断完了時間(20s)が経過した後であることが確認されていることと、下り終止点検知結果BPR及び下りバックアップ検知結果BBuRのうち何れか一方または双方が成立(リレー動作)したことと、下り障検PR(物体検知結果)が成立(リレー落下)したこととが、全て満たされたときに、下り障検列車進入検知Rを成立(リレー動作)させることで、踏切13への列車進入を検知するとともに、その下り障検列車進入検知R成立状態を下り警報停止Rの成立(リレー動作)時まで維持するようになっている。
踏切警報制御部28は、上述の下りSRと上り側の同様な上りSRとを条件とする警報R信号用リレーを主体とした回路からなり、下りSRと上りSRの何れか一方でも成立(リレー落下)している間は警報Rを成立(リレー落下)させることで、下り列車が下り始動点ADCに進入してから踏切13を通過し終えるまで、更には同様に上り列車の警報始動点進入から踏切進出までも、警報灯14に踏切警報を出させるようになっている。
踏切警報停止部29は、何れも上述した下り障検列車進入検知Rと下り障検PR(物体検知結果)と下り終止点検知結果BPRとを条件とする下り警報停止R信号用リレーを主体とした回路からなり、下り障検列車進入検知Rが成立(リレー動作)していることに基づいて踏切13への列車進入が検知された後であることと、下り終止点検知結果BPRが不成立(リレー落下)になっていることと、下り障検PR(物体検知結果)が不成立(リレー動作)になったこととが、全て満たされたときに、踏切13からの列車進出を検知して、下り警報停止Rを成立(リレー動作)させるようになっている。
物体弁別部30は、上述の警報Rと上述の下り障検PR(物体検知結果)と上述の下り障検列車進入検知Rと上り側も同様になっていればその上り障検PR及び上り障検列車進入検知Rとを条件とする特発制御EUR信号用リレーを主体とした回路からなり、警報Rが成立(リレー落下)していて警報灯14が踏切警報を出しているときのうち、下り障検列車進入検知Rが不成立(リレー落下)になっているとき、即ち下り始動点ADC(警報始動点)への列車進入の検知から踏切13への列車進入の検知までの間は、下り感応部15+16が踏切道上の物体を検知して下り障検R又は下り障検PR(物体検知結果)が落下すると、下り感応部15+16の検知した物体を障害物と判定して、過剰検知回避用の緩放性による4〜6sの確認期間の経過後に特発制御EURを成立(リレー落下)させることで踏切障害物検知装置に障検警報を出させるようになっている。これに対し、それ以外のときは、特に警報Rの成立(リレー落下)時であっても、下り障検列車進入検知Rが成立(リレー動作)しているときは、すなわち踏切への列車進入の検知から踏切からの列車進出の検知までの間は、下り感応部15+16の検知した物体を列車と判定して、特発制御EURを不成立(リレー動作)状態にすることで、踏切障害物検知装置に障検警報を出させないようになっている。
この実施例1の下り踏切物体検知装置20について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。
図2は、(a)が複線区間の下り線を走行する列車の進行状態を示す記号図であり、(b)が下り踏切物体検知装置20の動作状態を示すリレー信号のタイムチャートである。
これから詳述する基本動作からも確認されるように(図2(a)参照)、下り始動点ADCの列車検知区間Saの起点側の端から踏切13の踏切道の終点側の端までが、警報Rの成立(リレー落下)する下りの踏切制御区間になり、踏切13の踏切道の起点側の端から終点側の端までが、踏切障害物検知をマスク・抑制するマスク条件として使用される下り障検列車進入検知Rの成立(リレー動作)する下りの障検マスク区間になるので、下り列車が下りの踏切制御区間より起点側を走行して踏切13に向かっているところから説明を始める。
このとき、すなわち下り列車が下りの踏切制御区間に在線していないときには(図2(b)の左端部を参照)、下り始動点検知結果APRが不成立(リレー動作)になり、下り終止点検知結果BPRも下りバックアップ検知結果BBuRも不成立(リレー落下)になっている。また、踏切横断中のものが無ければ下り障検R,PR(物体検知結果)が不成立(リレー動作)になり、踏切横断の有無にかかわらず下り障検列車進入検知Rも下り警報停止Rも不成立(リレー落下)になっている。さらに、下りSRも下りSLPRも警報Rも不成立(リレー動作)になっているので、警報灯14は踏切警報を発せず、踏切障害物検知装置は障検警報を発せず、踏切道の通行が認容される。
そして、下り列車が下り始動点ADCに到達して列車検知区間Saに進入すると(図2(a)参照)、そのとき(図2(b)時刻T1参照)、下り始動点検知結果APRが成立(リレー落下)し、それに応じて下りSRが成立(リレー落下)し、さらには警報Rも成立(リレー落下)するので、警報灯14から踏切警報が発せられる。下り列車が下り始動点ADCを通過してからも暫くは(図2時刻T2参照)、下り始動点ADCへの列車進入の検知後の状態が継続するが、その検知から上述の遮断完了時間(20s)が経過すると、下りSLPRが成立(リレー落下)して、踏切13への列車進入を検知する態勢が整う。
遮断完了時間(20s)は、上述したように1種踏切において遮断機により踏切が遮断されるまでの時間であり、踏切警報機や踏切しゃ断機により踏切が遮断され、通常は道路通行人や自動車が踏切道に侵入することができなくなるまでの期間である。警報始動点への列車進入から上記の遮断完了時間(20s)が経過したことは、下り列車が踏切13の踏切道の間近に接近した状態になっている或いはなりつつあることを意味する。そのため、踏切13への列車進入の検知結果である障検列車進入検知Rの条件に、下りSRに20秒程の緩放時素を付加した下りSLPRの成立(リレー落下)条件を追加することにより、踏切への列車進入を示す信号の不所望な成立の機会を的確に限定して誤検知を少なくすることができる。
それから、下り列車が下り終止点BDCまで進むと下り終止点検知結果BPRが成立(リレー動作)し、下り列車が下り踏切バックアップ装置BBuまで進むと下りバックアップ検知結果BBuRが成立(リレー動作)し、更に下り列車の先頭が踏切13の踏切道に差し掛かると(図2時刻T3参照)、下り障検R,PR(物体検知結果)が成立(リレー落下)する。これで、警報始動点への列車進入の検知後に必要な遮断完了時間(20s)が経過したことと、終止点検知結果かバックアップ検知結果かが成立したことと、踏切道上の物体検知結果が成立したこととが、全て満たされる。そのため、下り障検列車進入検知Rが成立(リレー動作)して、踏切13への列車進入が検知されることとなる。
更に下り列車が走行して、その最後尾が踏切13の踏切道上を通過する直前には、下り終止点検知結果BPRが不成立(リレー落下)となり、次いで下りバックアップ検知結果BBuRが不成立(リレー落下)となる。そして、下り列車が最後尾まで踏切13の踏切道を完全に通過し終えると(図2時刻T4参照)、下り障検R,PR(物体検知結果)が不成立(リレー動作)に戻り、それに応じて下り警報停止Rが一時だけ成立(リレー動作)し、それに緩放性の100msだけ遅れて下り障検列車進入検知Rが不成立(リレー落下)になる。このように、踏切13への列車進入の検知後に、下り終止点検知結果BPRと下り障検PR(物体検知結果)との双方が不成立になったことに応じて、下り障検列車進入検知Rが不成立になることで、踏切13からの列車進出が検知されることとなる。
それに加え、下り警報停止Rの成立(リレー動作)に応じて、下りSRも下りSLPRも警報Rも不成立(リレー動作)状態になって(図2(b)の右端部を参照)、下り列車が下りの踏切制御区間に在線していないときの状態に下り踏切物体検知装置20の動作状態が戻るので(図2(b)の左端部を参照)、次の下り列車を迎えることができる。
以上は下り列車が定常速度で走行するとともに警報終止用踏切制御子も下り踏切バックアップ装置BBuも的確に検知動作を遂行したときに行われる下り踏切物体検知装置20の基本動作であるが、以下、何れかに不都合が生じた場合を説明する。各場合の動作と上述の基本動作との相違は大きくないので、各場合の図示は割愛して、簡潔に説明する。
先ず、下り終止点BDCに係る警報終止用の踏切制御子が煽った場合、下り終止点検知結果BPRが成立(リレー動作)状態を維持されるはずのときに(図2(b)時刻T4の辺りを参照)、下り終止点検知結果BPRが一時的にでも不成立(リレー落下)になると、下り終止点検知結果BPRの不成立(リレー落下)にて列車の踏切進出を検知していた従来の踏切保安装置では、列車の踏切通過途中に踏切警報が停止する恐れがあったが、この下り踏切物体検知装置20にあっては、下り終止点検知結果BPRの不成立(リレー落下)だけでなく、下り障検列車進入検知Rの不成立(リレー落下)も条件にしているので、煽りに影響されることなく、列車の踏切進出を的確に検知することができる。しかも、下り障検列車進入検知Rの不成立(リレー落下)だけでなく下り終止点検知結果BPRの不成立(リレー落下)も列車の踏切進出の検知条件にしているので、軌道の不正短絡や下り終止点BDCの列車検知区間Sbに係わる列車の長時間停車などによる踏切警報の不正停止も防止される。
また、従来の踏切保安装置では、下り終止点BDCが踏切13の先に即ち踏切通過後位置に設置されるとともに、煽り対策で警報R信号用リレーに警報停止遅延手段として2〜4秒程度の緩動時素が付加されていたため、列車の最後部が踏切13を通過してから下り終止点BDCの列車検知区間Sbも通過し終えて更に上記の警報停止遅延時素が経過して初めて警報Rが不成立(リレー動作)に戻るので、列車が踏切道を通過し終えてもそれから暫く(3〜6秒程度)しないと踏切警報が停止しなかった。
これに対し、この実施例1の下り踏切物体検知装置20にあっては、下り終止点BDCが踏切13の手前に移っているうえ、警報Rから不要になった警報停止遅延用の緩動時素が取り外されているので、列車が踏切道を通過し終えると速やかに踏切警報が停止する。
さらに、従来の踏切保安装置では、踏切障害物検知装置が自爆しない条件すなわち自列車を障害物として誤検知しないマスク条件として、マスク条件を簡便に実現するべく踏切道の先に即ち踏切通過後位置に設定された下り終止点BDCへの列車進入の検知が用いられていたためと、物体を連続して検知したときに障害物として判定することのために、特発制御EUR信号用リレーに障害物検知遅延手段として6秒程の緩放時素が付加されていたことから、列車が踏切道を不所望に低速で走行すると下り終止点BDCの列車検知区間Sbへ障害物検知の遅延時素以内に到達することができず、その場合、マスク条件が成立しないので、自列車を障害物として誤検知してしまう。この自爆は踏切道の幅員が広いほど発生しやすい。これに対し、この実施例1の下り踏切物体検知装置20の場合、下り終止点BDCが踏切13の手前に移っているうえ、下り終止点BDCに係る踏切制御子の下り終止点検知結果BPRだけでなく下り感応部15+16の下り障検R,PR(物体検知結果)を条件とする下り障検列車進入検知Rにて踏切13への列車進入の検知とマスク条件の成立とを行っているので、上述のような自爆のおそれが無いうえ、障害物検知の遅延時素を障害物確認の観点からだけで簡便に決めることができる。
また、この下り踏切物体検知装置20にあっては、レール短絡による軌道回路方式の警報終止用踏切制御子から下り終止点BDCに係る下り終止点検知結果BPRを取得するのに加え、下り終止点BDCと同様に踏切13の手前に設置されているが検知方式が無線交信等でレール短絡によらない非接触方式である下り踏切バックアップ装置BBuから下りバックアップ検知結果BBuRを取得して、その検知結果が片方でも成立すれば、下り障検列車進入検知Rの成立も条件として、踏切13への列車進入を検知するようになっているので、例え枯葉や昆虫等の油脂成分がレールの踏頂面を覆うなどして、終止点用踏切制御子が列車を全く検知できなくなったような場合でも、列車のATS車上装置が動作していて、それが下り踏切バックアップ装置BBuによって検知されれば、不所望な警報持続が回避される。
本発明の踏切物体検知装置の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図3は、上述した下り踏切物体検知装置20に係る他の設置態様等を示し、(a),(b)何れも複線区間の下り線11における踏切制御子等の配置と列車の進行状態を示す記号図であり、そのうち(a)がATS車上装置の稼動時の状態を示し、(b)がATS車上装置の停止時の状態を示している。
ここに設置して使用される下り踏切物体検知装置20は、実施例1で上述したものと同じもので良く、特に回路部分21〜30は全く同じ良いが(図1(b)参照)、その設置先の地上設備が(図3参照)、上述のものと(図1(a)参照)、少し異なっている。具体的には(図3参照)、下り終止点BDC(警報終止点)の設定位置が、下り列車から見て踏切13の手前でなく、踏切13の先に即ち踏切通過後位置になっている。
なお、下り終止点BDCの踏切13からの距離は実施例1のときと同じで良い。
この場合、下りの踏切制御区間と下りの障検マスク区間の終端が、踏切道の終点側の端(図1(a)参照)でなく、下り終止点BDCの終点側の端になるので(図3(a)参照)、実施例1と比べると、列車が踏切道を通過し終えると素早く踏切警報が停止するという効果は低減されるが、他の効果は同様に奏することとなる。
また、列車のATS車上装置が動作しないときや地上の下り踏切バックアップ装置BBuが故障したときには、下りの障検マスク区間の始端が下り終止点BDCの起点側の端になってしまうが(図3(b)参照)、これは現行の設備配置と同じなので、少なくとも従来の踏切保安装置と同レベルの安全性が確保されたうえで、物体検知や列車検知の論理判定手法の改良による煽り対策の強化などの利点を享受することができる。
さらに、下り終止点BDCを打ち込み点とする警報終止用踏切制御子が既存の踏切保安装置に既に組み込まれている状況で、そこに下り踏切物体検知装置20を導入する場合、下り踏切バックアップ装置BBuの追加設置は必要であるが、既存の警報終止用踏切制御子をそのまま使用することができるので、改造工事が短時間で済む。
既存の踏切保安装置を実施例1の形に改造する場合でも、一旦この実施例2の形で暫時運用し、その後に警報終止用踏切制御子の打ち込み先の変更工事を行うことで、工期の確保の自由度が増すうえ動作確認も分けて行えるので、施工負担が軽減される。
本発明の踏切物体検知装置の実施例3について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図4は、単線用の踏切物体検知装置40の設置態様等を示し、(a),(b)何れも単線区間における踏切制御子等の配置を示す記号図であり、そのうち(a)がATS車上装置の稼動時の状態を示し、(b)がATS車上装置の停止時の状態を示している。また、図5は、単線用の踏切物体検知装置40のリレー回路図である。
この踏切物体検知装置40が上述した実施例1の下り踏切物体検知装置20と相違するのは、設置先の地上設備が単線用になっている点と(図4参照)、踏切物体検知装置40も単線用になっている点である(図5参照)。
詳述すると、地上設備については(図4参照)、下り列車だけでなく上り列車も同じ線路10を走行するので、踏切13から終点側へ即ち上り列車の進入側へ列車長より遠くへ離れた所で線路10に上り始動点CDC(警報始動点)が設定されており、そこにもう一つの警報始動用踏切制御子が接続されている。下り始動点ADCや踏切バックアップ装置BBuは実施例1と同じく踏切13より起点側に在るが、下り終止点BDCは踏切バックアップ装置BBuの反対側の終点側に在って、両者が踏切13の両側に分かれている。なお、下り終止点BDCは上りにも使用されるので、以下、警報終止点BDCと呼ぶ。踏切バックアップ装置BBuについても同様である。
踏切物体検知装置40が下り踏切物体検知装置20と相違するのは、上り始動点検知結果取得部41が追加された点と、下り物体検知結果取得部24が信号名変更によって物体検知結果取得部44になった点と、下り物体検知論理判定部25〜30が追加や改造によって物体検知論理判定部25〜50になっている点である。物体検知論理判定部25〜50は、新たに追加された上り警報検知部45を具備するとともに、下り警報検知部25と踏切警報制御部28とを改造なしでそのまま引き継いでおり、残りの下り物体検知結果取得部24と所定時間経過検知部26と踏切進入検知部27と踏切警報停止部29と物体弁別部30が一部改造されて夫々物体検知結果取得部44と所定時間経過検知部46と踏切進入検知部47と踏切警報停止部49と物体弁別部50になっている。
上り始動点検知結果取得部41は、警報始動用の踏切制御子のリレー出力を条件とする中継リレーを主体とした回路からなり、上り始動点CDC(警報始動点)に係る列車検知結果である上り始動点検知結果CPRを中継リレーで取得して出力するようになっている。
物体検知結果取得部44は、下り列車と上り列車とに共用されることに対応して、その名称から下りが無くなるとともに、物体検知結果取得部24では下り障検R,PRだった物体検知結果の信号名称がそれぞれ障検R,PRに変更されているが、それ以外は下り物体検知結果取得部24と同じである。
上り警報検知部45は、上述の上り始動点検知結果CPRとここの上りSRと後述の警報停止Rとを条件とする上りSR信号用リレーを主体とした回路からなり、上り始動点検知結果CPRの成立(リレー落下)にて上り始動点(警報始動点)への列車進入を検知して上りSRを成立(リレー落下)させるとともに、その上りSR成立状態を警報停止Rの成立(リレー動作)時まで維持するようになっている。
所定時間経過検知部46は、所定時間経過検知部26では下りSRだった条件が警報Rに変更されるとともに、下りSLPRだった信号名称が警報RLPRに変更されて、下り列車と上り列車とに共用されるようになっている。
踏切進入検知部47は、下り列車と上り列車とに共用されることに対応して、踏切進入検知部27では下り警報停止Rと下りSLPRと下り障検列車進入検知Rと下り障検PRと下り障検列車進入検知Rだった信号名称がそれぞれ警報停止Rと警報RLPRと障検列車進入検知Rと障検PRと障検列車進入検知Rに変更されているが、それ以外は踏切進入検知部27と同じである。
踏切警報停止部49は、下り列車と上り列車とに共用されることに対応して、踏切警報停止部29では下り障検列車進入検知R,下り障検PR,下り警報停止Rだった信号名称がそれぞれ障検列車進入検知R,障検PR,警報停止Rに変更されているが、それ以外は踏切警報停止部29と同じである。
物体弁別部50は、二つの物体検知結果である下り障検PRと上り障検PRとが他の回路で一つの障検PRに纏められるとともに、踏切への列車進入に係る二つの検知結果である下り障検列車進入検知Rと上り障検列車進入検知Rとが他の回路で一つの障検列車進入検知Rに纏められていることに基づいて物体弁別部30よりも簡素化されている。
詳述すると、物体弁別部50は、警報Rが成立しているときのうち、障検列車進入検知Rが不成立になっているとき、即ち下り始動点ADC又は上り始動点CDCへの列車進入の検知から踏切13への列車進入の検知までの間は、上り下り共用になった感応部15+16が踏切道上の物体を検知して障検R,PR(物体検知結果)が成立すると、感応部15+16の検知した物体を障害物と判定して、過剰検知回避用の緩放性による4〜6sの確認期間の経過後に特発制御EURを成立させることで踏切障害物検知装置に障検警報を出させるが、それ以外のときは、特に警報Rの成立時であっても、障検列車進入検知Rが成立しているときは、すなわち踏切への列車進入の検知から踏切からの列車進出の検知までの間は、感応部15+16の検知した物体を列車と判定して、特発制御EURを不成立状態にすることで、踏切障害物検知装置に不所望な障検警報を出させないようになっている。
このような踏切物体検知装置40にあっては、下り列車も上り列車も的確に検知して何れに係るものであれ踏切警報と障検警報を適切に出させることができるうえ、多くの回路22,23,24,44,46,47,28,50が下り列車と上り列車とに対して共用されるので、上り下り別個で二台の踏切物体検知装置(20,20)を設置するよりも、設備の簡素化を進めることができる。
また、この場合(図4(a)参照)、下り始動点ADCの列車検知区間Saの起点側の端から警報終止点BDCの列車検知区間Sbの終点側の端までが、下りの踏切制御区間になり、踏切13の踏切道の起点側の端から警報終止点BDCの列車検知区間Sbの終点側の端までが、下りの障検マスク区間になるので、下り列車については実施例2で上述したのと同様の利点を有する。踏切バックアップ装置BBuが列車検知不能のときには、下りの障検マスク区間の始端が警報終止点BDCの起点側の端になってしまうが(図4(b)参照)、これも、実施例2と同様で、煽り対策強化の利点は享受することができる。
これに対し、上り列車については(図4参照)、上り始動点CDCの列車検知区間Scの終点側の端から踏切13の踏切道の起点側の端までが、上りの踏切制御区間になり、踏切13の踏切道の終点側の端から起点側の端までが、上りの障検マスク区間になるので、実施例1で上述したのに準じた利点を有する。実施例1の場合と異なり、踏切バックアップ装置BBuが踏切13より起点側に位置しているので、警報終止点BDCに係る警報終止用踏切制御子の検知能力が落ち葉などで完全に損なわれたとき、更に上り列車の踏切通過速度が遅くて踏切バックアップ装置BBuによる上り列車の検知タイミングが大きく遅れると、列車を障害物と誤検知することがあるが、遅れてでも踏切への列車進入が検知されるので、それすら出来なかった状況よりは改善されている。
[その他]
上記実施例では、警報始動点ADC,CDCや警報終止点BDCで列車を検知するものとして、列車検知長の短い軌道回路である踏切制御子を挙げたが、列車検知長の長い一般的な軌道回路の使用が排除される訳ではない。
上記実施例では、踏切物体検知装置がリレー回路で具体化されていたが、リレーは電磁リレーでも半導体リレーでも良い。また、デジタル回路やプログラマブルなマイクロプロセッサといった電子回路で踏切物体検知装置を具体化しても良い。
上記実施例では、複線区間の下り線の踏切と単線区間の踏切とに係る踏切保安装置への適用例を述べたが、本発明の踏切物体検知装置は、それらに限られる訳でなく、複線区間の上り線の踏切に係る踏切保安装置にも適用することができる。その際、下り線と上り線の夫々に感応部を設けるのが直截的であるが、両線を跨ぐように感応部を設けて共用するのも状況にもよるが可能である。
また、単線区間の踏切に係る踏切保安装置への適用態様も、上記実施例3で述べたような専用の踏切物体検知装置に限られる訳でなく、例えば下り線用の踏切物体検知装置と上り線用の踏切物体検知装置といった複数台を併用するのでも良い。
10…線路、11…下り線、12…上り線、13…踏切、14…警報灯、
15+16…感応部、15…投光器、16…受光器、
ADC…下り始動点(警報始動点)、BDC…下り終止点(警報終止点)、
CDC…上り始動点(警報始動点)、Sa,Sb,Sc…列車検知区間(検知長)、
20…下り踏切物体検知装置、
21…下り始動点検知結果取得部、22…下り終止点検知結果取得部、
23…下りバックアップ検知結果取得部、24…下り物体検知結果取得部、
25〜30…下り物体検知論理判定部、
25…下り警報検知部、26…所定時間経過検知部、27…踏切進入検知部、
28…踏切警報制御部、29…踏切警報停止部、30…物体弁別部、
40…踏切物体検知装置、
41…上り始動点検知結果取得部、44…物体検知結果取得部、
25〜50…物体検知論理判定部、
45…上り警報検知部、46…所定時間経過検知部、
47…踏切進入検知部、49…踏切警報停止部、50…物体弁別部

Claims (7)

  1. 鉄道の線路に設置された踏切の踏切道上における物体の有無を検知する感応部から物体検知結果を取得する手段と、前記踏切から列車進入側へ且つ列車長より遠くへ離れて前記線路に設定された警報始動点に係る列車検知結果である始動点検知結果を取得する手段と、前記踏切から列車長より近くへ離れて前記線路に設定された警報終止点に係る列車検知結果である終止点検知結果を取得する手段と、前記物体検知結果と前記始動点検知結果と前記終止点検知結果とに基づいて前記警報始動点への列車進入とその後の前記踏切への列車進入とその後の前記踏切からの列車進出とを検知する物体検知論理判定部とを備えた踏切物体検知装置であって、前記物体検知論理判定部は、前記警報始動点への列車進入の検知から前記踏切への列車進入の検知までの間は前記感応部の検知した物体を障害物と判定し、前記踏切への列車進入の検知から前記踏切からの列車進出の検知までの間は前記感応部の検知した物体を列車と判定することにより、前記感応部にて検知された物体が障害物であるか列車であるかを弁別するようになっており、更に、前記始動点検知結果が成立したことに応じて前記警報始動点への列車進入を検知し、前記警報始動点への列車進入の検知後に前記物体検知結果と前記終止点検知結果との双方が成立したことに応じて前記踏切への列車進入を検知し、前記踏切への列車進入の検知後に前記物体検知結果が不成立に転じたことに応じて前記踏切からの列車進出を検知するようになっていることを特徴とする踏切物体検知装置。
  2. 前記警報終止点が前記警報始動点と前記踏切との間に設置されていることを特徴とする請求項1記載の踏切物体検知装置。
  3. 前記踏切からの列車進出を検知する際、前記踏切への列車進入の検知後に前記物体検知結果と前記終止点検知結果との双方が不成立になったことに応じて前記踏切からの列車進出を検知するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された踏切物体検知装置。
  4. 前記踏切から列車長より近くへ離れて前記線路に設置されたATS利用の踏切バックアップ装置の列車検知結果であるバックアップ検知結果を取得する手段を具備しており、且つ、前記踏切への列車進入を検知する際、前記警報始動点への列車進入の検知後に,前記バックアップ検知結果および前記終止点検知結果のうち何れか一方または双方が成立したことと,前記物体検知結果が成立したこととが,共に満たされたことに応じて前記踏切への列車進入を検知するようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載された踏切物体検知装置。
  5. 前記終止点検知結果を取得する手段が検知結果取得先にしている前記警報終止点と,前記バックアップ検知結果を取得する手段が検知結果取得先にしている前記踏切バックアップ装置とが,前記踏切道の両側に分かれて前記線路に設けられていることを特徴とする請求項4記載の踏切物体検知装置。
  6. 鉄道の単線の線路に設置された踏切の踏切道上における物体の有無を検知する感応部から物体検知結果を取得する手段と、前記踏切から起点側へ且つ列車長より遠くへ離れて前記線路に設定された下り警報始動点に係る列車検知結果である下り始動点検知結果を取得する手段と、前記踏切から終点側へ且つ列車長より遠くへ離れて前記線路に設定された上り警報始動点に係る列車検知結果である上り始動点検知結果を取得する手段と、前記踏切から列車長より近くへ離れて前記線路に設定された警報終止点に係る列車検知結果である終止点検知結果を取得する手段と、前記踏切から列車長より近くへ離れて前記線路に設置されたATS利用の踏切バックアップ装置の列車検知結果であるバックアップ検知結果を取得する手段と、前記物体検知結果と前記下り始動点検知結果と前記上り始動点検知結果と前記終止点検知結果と前記バックアップ検知結果とに基づいて前記下り警報始動点および前記上り警報始動点への列車進入とその後の前記踏切への列車進入とその後の前記踏切からの列車進出とを検知する物体検知論理判定部とを備えた踏切物体検知装置であって、前記終止点検知結果を取得する手段が検知結果取得先にしている前記警報終止点と,前記バックアップ検知結果を取得する手段が検知結果取得先にしている前記踏切バックアップ装置とが,前記踏切道の両側に分かれて前記線路に設けられており、前記物体検知論理判定部は、前記下り警報始動点への列車進入と前記上り警報始動点への列車進入とのうち何れかでも検知されるとそのときから前記踏切への列車進入の検知までの間は前記感応部の検知した物体を障害物と判定し、前記踏切への列車進入の検知から前記踏切からの列車進出の検知までの間は前記感応部の検知した物体を列車と判定することにより、前記感応部にて検知された物体が障害物であるか列車であるかを弁別するようになっており、更に、前記下り始動点検知結果が成立したことに応じて前記下り警報始動点への列車進入を検知し、前記上り始動点検知結果が成立したことに応じて前記上り警報始動点への列車進入を検知し、前記下り警報始動点または前記上り警報始動点への列車進入の検知後に,前記バックアップ検知結果および前記終止点検知結果のうち何れか一方または双方が成立したことと,前記物体検知結果が成立したこととが,共に満たされたことに応じて前記踏切への列車進入を検知し、前記踏切への列車進入の検知後に前記物体検知結果が不成立に転じたことに応じて前記踏切からの列車進出を検知するようになっていることを特徴とする踏切物体検知装置。
  7. 前記踏切からの列車進出を検知する際、前記踏切への列車進入の検知後に前記物体検知結果と前記終止点検知結果との双方が不成立になったことに応じて前記踏切からの列車進出を検知するようになっていることを特徴とする請求項6記載の踏切物体検知装置。
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