JP6076085B2 - 踏切制御回路 - Google Patents

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Description

この発明は、鉄道の複線区間や単線区間の踏切に設置される踏切保安装置の核心的役割を担う踏切制御回路であって、線路に設定された始動点と終止点とで列車の在線/非在線を検知して踏切警報に係る制御を行うものの改良に関し、特に終止点での列車検知を車輪とレールの短絡すなわち列車の車輪とレールの踏面との接触による電気導通に基づいて行うようになっている踏切制御回路の改良に関する。
鉄道の線路の踏切に設置される踏切保安装置は(例えば非特許文献1,2参照)、列車を検知するための踏切制御子と、音響にて警報を発するためのスピーカとせん光にて警報を発するための警報灯を装備した踏切警報機と、第3種の踏切には無いが第1種の踏切では踏切遮断機と、踏切制御子の検知結果に基づいて踏切警報機や踏切遮断機の動作を制御する踏切制御装置とを具えている。そして、踏切の手前の始動点(踏切始動点)に設置された踏切制御子(始動点用踏切制御子)で列車を検知すると、踏切警報機にて警報を発するとともに、少し時間をおいて第1種の踏切では踏切遮断機を降下させ、踏切通過後の終止点(警報終止点)に設置された踏切制御子(終止点用踏切制御子)で列車通過を検知すると、警報等を止めるとともに、第1種の踏切では踏切遮断機を上昇させる。
図10,図11は、そのような従来の踏切保安装置20を説明するためのものであり、そのうち図10(a)は、下りと上りの線路10,10が並走する複線区間における始動点ADC,CDCや終止点BDC,DDCさらには警報灯12などの配置図である。なお、図中で、警報灯12は、踏切11の踏切道の両端のうち一方にしか図示しなかったが、通常は両方に設置されている。同じく図中で、踏切11と斜交する二点鎖線は、踏切障害物検知装置29が障害物を検知する検知ビーム等をイメージしたものである。
また、図10は、(b)が単線区間における一の配置例に係る始動点ADC,CDCや終止点BDCの配置図、(c)が単線区間における他の配置例に係る始動点ADC,CDCや終止点DDCの配置図である。何れの配置も、コストを考慮して実際の現場に採用されているものである。さらに、図10は、(d)が複線用の踏切保安装置20のうち制御部分のブロック図、(e)が踏切制御装置25の論理回路27の機能ブロック図、(f)が下り列車(上り列車)走行時のタイムチャートである。また、図11は、踏切保安装置20による幾つかの区間(列車検知区間,障検マスク区間,踏切制御区間)の分布状態を示し、(a)が複線区間の下り線に係る区間分布、(b)が複線区間の上り線と単線区間の上り線とに係る区間分布、(c)が単線区間の下り線に係る区間分布である。
複線区間の踏切11に係る踏切保安装置20では(図10(a),(d)参照)、下り側の線路10について踏切11の起点側で手前位置の下り始動点ADCに始動点用踏切制御子21が設置されるとともに踏切11の終点側で列車通過後位置の下り終止点BDCに終止点用踏切制御子22が設置されるばかりか、上り側の線路10についても踏切11の終点側で手前位置の上り始動点CDCに始動点用踏切制御子23が設置されるとともに踏切11の起点側で列車通過後位置の上り終止点DDCに終止点用踏切制御子24が設置される。警報始動点ADC,CDCは、踏切警報を発してから列車が踏切11に到達するまでの時間を確保するために、例えば駅中間の踏切で列車の走行速度が100km/Hの場合には踏切11から700〜800m程の遠くに設定されるが、警報終止点BDC,DDCは、踏切横断物等による誤作動を避けつつも列車の通過を早く検出するために、踏切11から例えば20〜25m程の近くに設定されることが多い。
これに対し(図10(b),(c)参照)、線路10が一つしかない単線区間に設けられた踏切11に係る踏切保安装置では、同じ線路10に対し、踏切11の両側に分かれて下り始動点ADCと上り始動点CDCとが設定され、下り始動点ADCには始動点用踏切制御子21が設置される一方、上り始動点CDCには始動点用踏切制御子23が設定される。また、同じ線路10に対し、下り終止点BDCと上り終止点DDCとのうち何れか一方だけが上り下り共用の終止点として設定され、その共用終止点には終止点用踏切制御子が設置される。このように、単線区間の踏切保安装置では、踏切11に近い終止点については共用化を図ることによって、設備費の過大化を抑制している。
具体的には(図10(b),(d)参照)、共用終止点に下り終止点BDCが選択されて、それが踏切11と上り始動点CDCとの間に設定された場合、そこに終止点用踏切制御子22が接続され、上り終止点DDCは設定されないので、踏切制御子24は設置されない。また(図10(c),(d)参照)、共用終止点に上り終止点DDCが選択されて、それが踏切11と下り始動点ADCとの間に設定された場合、そこに終止点用踏切制御子24が接続され、下り終止点BDCは設定されないので、終止点用踏切制御子22は設置されない。
そのような警報始動点や警報終止点の設定状態に基づき、複線区間の踏切11に係る踏切保安装置20は(図10(d)参照)、下り側の線路10の下り始動点ADC及び下り終止点BDCそれぞれに対して設置された始動点用踏切制御子21及び終止点用踏切制御子22と、上り側の線路10の上り始動点CDC及び上り終止点DDCそれぞれに対して設置された始動点用踏切制御子23及び終止点用踏切制御子24と、それらの踏切制御子21,22,23,24それぞれからリレーで出力された列車検知結果APR,BPR,CPR,DPRを入力しそれに基づく論理判定にて列車の踏切への接近および通過と列車運転方向とを認知する踏切制御装置25と、音響にて警報を発するための図示しないスピーカと、せん光にて警報を発するための警報灯12と、第1種の踏切では図示しない踏切遮断機と、踏切道に滞留している障害物を検知して障検警報を発する踏切障害物検知装置29とを具えている。なお、単線用の踏切保安装置は、踏切制御子22,24についてはそれらのうち共用終止点BDC又はDDCに係る何れか一つだけを具えている。
故障時のフェールセーフのため(例えば非特許文献2参照)、始動点用踏切制御子21,23には、それぞれ対応する警報始動点ADC,CDCの両側二カ所で線路10に接続された閉電路形の踏切制御子が用いられ、終止点用踏切制御子22,24には、それぞれ対応する警報終止点BDC,DDCの一カ所で線路10に接続された開電路形の踏切制御子が用いられる。一般的な複軌条軌道の線路10に対する各接続箇所(打込み点,検知点)では、各踏切制御子から出た一対の接続線の一端が線路10の一対のレールそれぞれに溶接等で取り付けられ、接続線を介して線路10に伝送された照査用発振信号が車輪とレールとの短絡/解放に応じて開電路形では検出/不検出となり閉電路形では不検出/検出となる。各踏切制御子の列車検知長は、踏切制御子に内蔵された又は外付けされた適宜な調整器で照査用発振信号のレベルを調整する等のことで、約30m程にされる。
そのため(図11参照)、下り始動点ADCに係る列車検知区間Kaも、下り終止点BDCに係る列車検知区間Kbも、上り始動点CDCに係る列車検知区間Kcも、上り終止点DDCに係る列車検知区間Kdも、約30mの区間となる。そして、列車が警報始動点ADC,CDCや警報終止点BDC,DDCに進入すると、より正確には列車の先頭車両における最前の車輪のレール接触部位が対応する列車検知区間に入ると、対応する踏切制御子による列車検知が成立する。また、列車が警報始動点ADC,CDCや警報終止点BDC,DDCから進出すると、より正確には列車の最後尾車両における最後の車輪のレール接触部位が列車検知区間から出ると、対応する踏切制御子による列車検知が成立しなくて不成立となる。
踏切制御装置25は(図10(d)参照)、例えば電子踏切制御装置の場合、適宜な信号レベル変換回路やラッチ回路などを具備していて踏切制御子21,22,23,24の列車検知結果APR,BPR,CPR,DPRを取得する入力回路26と、マイクロプロセッサシステム(MPU)及び/又はロジックアレイ(FPLA)といったプログラマブルな論理演算回路や同期式デジタル回路からなり列車検知結果APR,BPR,CPR,DPRに基づいて踏切警報指示KRと下り列車在線情報DSRと上り列車在線情報USRと下り側障検マスクDSMと上り側障検マスクUSMといった指令・信号を生成する論理回路27と、適宜なレジスタやドライブ回路などを具備していて踏切警報指示KRに応じて警報灯12やスピーカ等を駆動するとともに上記の列車在線情報DSR,USRと障検マスクDSM,USMとを踏切障害物検知装置29に送出するようになっている。
論理回路27は(図10(e)参照)、幾つかの論理機能や制御機能が適宜なプログラム及び/又は専用回路などで具体化されており、列車検知結果APR,BPR,CPR,DPRに基づいて警報始動点ADC,CDCや警報終止点BDC,DDCに係る列車検知を行う具体的には列車の進入および進出を検知する列車検知手段と、その列車検知に際して各列車検知結果の短時間の変動はいわゆる列車の煽りによる不所望な雑音として無視する処理を行う煽り対策手段と、各列車検知結果の変化を時系列で追って列車在線情報DSR,USRを生成しながら列車進行状態を確認する列車追跡手段と、その追跡状況に基づいて踏切警報指示KRを生成する警報制御手段と、列車検知結果BPRをほぼそのまま下り側障検マスクDSMとし列車検知結果DPRをほぼそのまま上り側障検マスクUSMとし更に上記の下り列車在線情報DSRと上り列車在線情報USRも加えてそれらを踏切障害物検知装置29へ送出する障害物検知装置制御手段とを具備している。
そして(図10(f)参照)、下り列車(又は上り列車)が下り始動点ADC(又は上り始動点CDC)に進入すると、それを列車検知結果APR(又はCPR)が列車検知の不成立から成立に変化することで検知し(追跡事項S1)、下り列車(又は上り列車)が下り始動点ADC(又は上り始動点CDC)から進出すると、それを列車検知結果APR(又はCPR)が列車検知の成立から不成立に変化することで検知し(追跡事項S2)、下り列車(又は上り列車)が下り終止点BDC(又は上り終止点DDC)に進入すると、それを列車検知結果BPR(又はDPR)が列車検知の不成立から成立に変化することで検知し(追跡事項S3)、下り列車(又は上り列車)が下り終止点BDC(又は上り終止点DDC)から進出すると、それを列車検知結果BPR(又はDPR)が列車検知の成立から不成立に変化することで検知するようになっている(追跡事項S4)。
また、それらの追跡事項S1〜S4がその順に検知されたことをもって列車の踏切通過が正しく行われたと判定して次の列車追跡に備えるが、そうでないときには異常処理を行うようになっている。さらに、細かな遅延やタイミング調整による相違を無視して概要を述べると、下り列車在線情報DSRと上り列車在線情報USRが、追跡事項S1から追跡事項S3までの時間は列車在線を示し、他のときは列車非在線を示すようにされる。また、踏切警報指示KRは、追跡事項S1から追跡事項S4までの時間に警報遅延時素TC(遅延時間)を加えた時間は警報出力を指示し、他のときは警報停止を指示するようにされる。これにより(図11参照)、下り列車が下り始動点ADCに係る列車検知区間Kaに進入してから下り終止点BDCに係る列車検知区間Kbを進出するまでが下りの踏切制御区間Faとなり、上り列車が上り始動点CDCに係る列車検知区間Kcに進入してから上り終止点DDCを進出するまでが上りの踏切制御区間Fcとなる。なお、単線区間では、上記の警報終止点BDC,DDCが何れか一方だけを採用した共用終止点になる。
踏切障害物検知装置29は(図10(a),(d)参照)、詳細な図示は割愛したが、赤外光・レーザ光での送受光に係る遮断の有無や(例えば非特許文献2参照)、レーダ方式で測定した距離の遠近(例えば特許文献1参照)などに応じて、踏切の中の障害物を検知するものである。障害物検知時の警報を踏切道閉鎖時に限定するために、踏切保安装置20から下り列車在線情報DSR(下りの列車運転方向指示,リレー回路では下りSRリレー出力)と上り列車在線情報USR(上りの列車運転方向指示,リレー回路では上りSRリレー出力)とを警報認容条件として入力するとともに、設置先の踏切11の踏切道を通過している列車を検知したときに障害物と誤認して不所望に障検警報を発するのを回避するために、やはり踏切保安装置20から下り側障検マスクDSMと上り側障検マスクUSMとを警報抑制条件として入力するようになっている。
そして、列車在線情報DSR,USRが列車在線を示しており且つ障検マスクDSM,USMが列車の踏切通過中を示していないときだけ、障害物の検知に応じて障検警報を発する。そのため(図11参照)、下り列車については、下り始動点ADCに係る列車検知区間Kaへの列車進入から下り終止点BDCに係る列車検知区間Kbへの列車進入までが下りの障検警報区間Saとなり、列車検知区間Kbへの列車進入から列車検知区間Kbからの列車進出までが下りの障検マスク区間Sbとなっている。また、上り列車については、上り始動点CDCに係る列車検知区間Kcへの列車進入から上り終止点DDCに係る列車検知区間Kdへの列車進入までが上りの障検警報区間Scとなり、列車検知区間Kdへの列車進入から列車検知区間Kdからの列車進出までが上りの障検マスク区間Sdとなっている。なお、単線区間では、上記の警報終止点BDC,DDCが共用終止点になる。
特開2006−214961号公報 特願2012−199348号
鉄道技術者のための信号概論 信号シリーズ1 「鉄道信号一般」社団法人日本鉄道電気技術協会2005年3月18日発行、改訂版p.107〜118 鉄道技術者のための電気概論 信号シリーズ8 「踏切保安装置」社団法人日本鉄道電気技術協会2007年10月30日発行、4版p.35〜120
このような現行の踏切保安装置では、踏切通行体によるレール短絡を誤って列車進入と誤判定するのを回避するために、警報終止点BDC,DDCに係る列車検知区間Kb,Kdが踏切11の踏切道から外れる状態で線路10に設定されている(図11(a),(b)参照)。具体的には、警報終止点BDC,DDCに係るレールへの打込み点(接続線取付箇所,接続点,検知点)は、踏切道の縁端から約20m〜25m離れ、そこを中心として約30mの幅を持つ言い換えれば片側15m程の終止点用踏切制御子22,24の列車検知区間Kb,Kdの近端すなわち両端のうち踏切道に近い方の端は、踏切道の縁端から約5m〜10mほど離れている。
また、終止点用踏切制御子22,24に係る列車検知区間Kb,Kdの遠端すなわち両端のうち踏切道から遠い方の端は、踏切道の縁端から約35m〜40mほど離れている。そして、そのような列車検知区間Kb,Kdの遠端を列車が通過した後、更に数秒の警報遅延時素TCが経過してから、踏切警報を停止するように、踏切制御装置25がなっているため、列車が踏切道を通過してから踏切警報が停止するまで待ち時間が長く、特に列車の速度が遅いと待ち時間が一段と長くなるので、踏切通行者の焦燥感・イライラ感を招きやすい、という第1の課題が存在するものとなっていた。
また、警報終止点が踏切11の片側にしか設置されていない単線区間の踏切保安装置では、踏切11から見て共用終止点である警報終止点DDCの設定側から列車が進行した場合(図11(c)参照)、やはり列車検知区間Kdが踏切道から外れていることに起因して、列車速度が想定範囲よりも低速であると、列車が踏切道を通過し終える前に踏切警報が停止してしまうことがある、という第2の課題が存在する。
さらに、踏切障害物検知装置29も具備した踏切保安装置では、踏切道が障検警報区間Sa,Scに属していて障検マスク区間Sb,Sdに属していないため(図11(a),(b)参照)、やはり列車速度が想定範囲よりも低速であると、列車を踏切障害物と誤認して不所望な障検警報が発せられることがある、という第3の課題も存在する。
図12は、それらの課題を解決するために創案された先行改良発明(本願出願時未公開の特許文献2参照)の踏切保安装置30の概要構成等を示しており、(a)がブロック図、(b)が下り終止点BDCに係る列車検知結果BPRが良好だった時のタイムチャート、(c)が下り終止点BDCに係る列車検知結果BPRが不良だった時のタイムチャートである。なお、ここでは、複線区間の下り線に係る部分だけを図示し、複線区間の上り線や単線区間については図示を割愛した。
先行改良発明を体現した踏切保安装置30が既述した踏切保安装置20と相違するのは、下り拡張点BBDC(第1検知点)が下り始動点ADCと踏切11との間で且つ踏切11から列車検知区間Keが外れる状態で線路10に設定された点と、下り終止点BDCに係るレールへの打込み点(第2検知点)が距離Lだけ起点側に移設されて列車検知区間Kbが踏切11の踏切道に掛かるとともに列車検知区間Kbの両端のうち下り拡張点BBDCから遠い方の区間端と下り拡張点BBDCとが踏切11の両側に分かれた配置状態になっている点と、切替回路部31と通過判定部32が追加設置された点である。
切替回路部31は、下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知を行う第1列車検知手段と、下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知を行う第2列車検知手段とに、一台の踏切制御子22を時分割で共用することにより、踏切制御子の増加を回避してコストアップを抑制するために、導入されたものであり、下り拡張点BBDCと下り終止点BDCそれぞれの所で線路10に溶接された二組の接続線対と踏切制御子22から出た接続線対との間に介挿接続されていて、切替信号EXに従って踏切制御子22による列車検知点を下り拡張点BBDC(第1検知点)と下り終止点BDC(第2検知点)とのうち何れか一方に切り替えるようになっている。
通過判定部32は、始端が下り始動点ADCに係る列車検知結果APRの始端に対応している下り列車在線情報DSRを踏切制御装置25から取得し、それに基づいて下り始動点ADCへの列車進入を検知し、切替回路部31にて第1列車検知手段に切り替えられている踏切制御子22から下り拡張点BBDCに係る列車検知結果BBPRを取得し、それに基づいて下り拡張点BBDCへの列車進入を検知し、切替回路部31にて第2列車検知手段に切り替えられている踏切制御子22から下り終止点BDCに係る列車検知結果BPRを取得し、それに基づいて下り終止点BDCに係る列車進入及び列車進出を検知するようになっている。
また、通過判定部32は、下り始動点ADCへの列車進入と下り拡張点BBDCへの列車進入と下り終止点BDCへの列車進入及び列車進出とがその順に行われたか否かを判別してその順に行われたときには踏切11を下り列車が通過し終えたと判定するとともに、切替信号EXを切替回路部31に送出して下り始動点ADCへの列車進入から下り拡張点BBDCへの列車進入までの期間は踏切制御子22を第1列車検知手段として機能させるがさせるがそれ以外の時間は踏切制御子22を第2列車検知手段として機能させることにより、踏切警報が発せられてから列車が踏切11に十分に接近するまでは踏切道に列車検知区間Kbの掛かる下り終止点BDCに係る列車検知結果BPRは無視し、列車が下り拡張点BBDCに進入して列車の踏切への接近ひいては踏切警報の発報後の時間経過が十分であることが確認できた時点で下り終止点BDCに係る列車検知結果BPRを列車通過完了判定に用いる。これにより、上述した第1,第2の課題が解決されることとなる。
さらに、通過判定部32は、既存の踏切制御装置25の継続利用のため、踏切制御子22の列車検知結果のうち下り終止点BDCに係る列車検知結果BPRを踏切制御装置25に送出するとともに、下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知結果BBPRの始端を始端とし下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知結果BPRの終端を終端とする拡張列車検知結果EBPRを作成してこれを下り側障検マスクDSMとして踏切障害物検知装置29に送出することにより、踏切障害物検知装置29を改造するまでもなく簡便に、下りの障検マスク区間Sbを列車検知区間Keと列車検知区間Kbとを共に含むものに拡張している。そのため、踏切11の踏切道の全幅員が下りの障検マスク区間Sbに属することとなり、上述した第3課題も解決される。
もっとも、これだけの改良を実現しても、未だ、煽り対策の有効性向上という第4の課題が残っている。踏切制御装置25の論理回路27について既述したように、現行でも煽り対策手段が設けられているが、それには個々の列車検知結果について一時的な列車検知不良を遅延時素より短時間であれば無視するといった一般的な雑音除去手法が採用されている。車輪とレールとの短絡に基づいて列車を検知する踏切制御子を用いた場合、警報始動点や警報終止点に係る一時的な列車検知の不成立は、レール踏頂面(踏面)に鉄の錆や昆虫の脂肪分などが付着していたり、さらには列車の揺れ等で車輪がレールから浮き上がったりする、といったことで生じるのが大半であるが、そのようなことが原因で列車の車輪と線路のレールとが電気導通不能に陥る時間は遅延時素を超えて長時間に及ぶことが想定しえないほど短いため、各時素の設定値の決定や調整は比較的容易であった。
しかしながら、列車車両の軽量化や列車運行の高速化が進んだことにより、レール踏頂面から錆や脂肪分などの絶縁物を重みで破壊や除去する能力が低下する一方、レールからの車輪浮上は頻度も時間長も増加傾向にある。
このため、煽り対策として設定される遅延時素に関して、時間長を増やす対策を採ることが有効になるので、調整代が減る傾向にあり、それが行き過ぎると適正値の設定が難しくなりかねない。
煽りの問題はどの検知点についても起こりうるが、特に警報終止点に係る一時的な列車検知の不成立は(図12(c)の列車検知結果BPRを参照)、的確に除去されないと、列車が警報終止点を進出する前に踏切警報指示KRが停止になるという早期停止を招くところ、警報終止点(BDC,第2検知点)が現行よりも踏切11に近くなっている先行改良発明にあっては、列車が最後尾まで踏切道を通り過ぎる踏切通過完了よりも前に踏切警報が停止するという不所望な早過ぎる停止が、早期停止によって惹起されやすいので、煽り対策が重要である。
煽り対策としては、上述した各列車検知結果毎に短時間の揺らぎを無視する一般的な雑音除去手法の他、踏切警報指示KRの警報遅延時素TC(リレー回路では踏切警報Rリレーの時素)や、踏切障害物検知装置29の障害物滞留確認時間(リレー回路では障検Rリレーの時素)を長くすることも有効であるが、警報遅延時素TCを長くすると、列車が踏切を通過してから踏切が開くまでの時間まで延びるので、先行改良発明の作用効果を減じて、踏切通行の円滑化の要請に反することとなる。また、障害物滞留確認時間を長くすると、真の踏切障害物に対する障検警報が遅れるので、これも好ましくない。
これに対しては、車輪とレールとの短絡によらない列車検知装置が求められ、例えば車軸検知装置が実用化されているが、これは、設備費が高いことや、レールに検知器を取り付けなければならないので保線の保全作業に支障が生じることなどの理由から、さほど普及していない。先行改良発明との相性も良くない。他の列車検知装置についても、レールの短絡によらない装置は、ほぼ同様の理由で、やはり普及していない。
そこで、列車検知区間が踏切道に係るようになった警報終止点で車輪とレールとの短絡を前提にした列車検知を行っても警報終止点に係る一時的な列車検知の不成立による悪影響が少なくて済むように改良を重ねることが、技術的な課題となる。
本発明の踏切制御回路は(解決手段1)、このような技術課題を解決するために創案されたものであり、
鉄道の線路を横切る踏切から列車検知区間が外れる状態で前記線路に設定された始動点に係る列車検知結果と、前記踏切から列車検知区間が外れる状態で前記始動点と前記踏切との間で前記線路に設定された第1検知点に係る列車検知結果と、前記踏切に列車検知区間が掛かり且つ該列車検知区間の両端のうち前記第1検知点から遠い方の区間端と前記第1検知点とが前記踏切の両側に分かれる状態で前記線路に設定された第2検知点に係る列車検知結果とを取得する入力回路と、
前記始動点と前記第1検知点と前記第2検知点とに係る列車検知結果に基づいて前記始動点への列車進入と前記第1検知点への列車進入と前記第2検知点からの列車進出とがその順に行われたか否かを判別してその順に行われたことと前記第1検知点からの列車進出とを確認したときには前記踏切を列車が通過し終えたと判定する列車追跡手段と、前記始動点に係る列車検知結果と前記列車追跡手段の判定結果とに基づいて踏切警報の開始と停止を制御する踏切警報指示を生成する警報制御手段とを具備した論理回路と、
前記踏切に設置されて踏切警報を発する踏切警報機に前記踏切警報指示を送出する出力回路とを備えている。
また、本発明の踏切制御回路は(解決手段2)、上記解決手段1の踏切制御回路であって、前記列車追跡手段が、前記始動点への列車進入と前記第1検知点への列車進入との間に前記始動点からの列車進出が行われたことと、前記第1検知点への列車進入と前記第2検知点からの列車進出との間に前記第2検知点への列車進入が行われたこととの双方のことも確認してから、前記踏切を列車が通過し終えたと判定するようになっていることを特徴とする。
さらに、本発明の踏切制御回路は(解決手段3)、上記解決手段1,2の踏切制御回路であって、列車の車輪とレールの踏面との接触導通に基づいて列車検知を行う終止点用踏切制御子の前記線路における接続箇所を切り替えることにより第1切替状態では前記第1検知点に係る列車検知を前記終止点用踏切制御子に行わせ第2切替状態では前記第2検知点に係る列車検知を前記終止点用踏切制御子に行わせる切替回路と、前記列車追跡手段に組み込んで又は前記列車追跡手段とは別で前記論理回路に設けられていて前記始動点への列車到来時には先ず前記切替回路に前記第1切替状態をとらせてその後の前記第1検知点への列車進行時には前記切替回路に前記第2切替状態をとらせる切替制御手段とを備え、前記論理回路の前記列車追跡手段が、前記第2検知点からの列車進出を確認したら(前記切替制御手段を介して間接的に又は前記切替制御手段を介さず直に前記切替回路を制御して)前記切替回路に前記第1切替状態をとらせた後で前記第1検知点からの列車進出を確認するようになっていることを特徴とする。
このような本発明の踏切制御回路にあっては(解決手段1)、終止点が第1,第2検知点といった複数に分かれ、そのうち踏切制御区間からの列車進出の検知を担う第2検知点の列車検知区間が踏切に掛るところまで第2検知点が踏切に接近しているので、踏切制御区間の終端が従来よりも踏切に近くなっている。しかも、そのようにするに際して、列車検知区間の両端のうち第1検知点から遠い方の区間端と,第1検知点ひいては始動点とが,踏切の両側に分かれるようにもしたので、踏切の踏切道の幅員が完全に踏切制御区間に収まっている。これにより、終止点用踏切制御子の列車検知区間長を無理に短縮しなくても列車が踏切道を通過した後に速やかに警報が停止することになるので、解決課題の欄で例示したように、上掲した第1,第2の課題が解決される。
また、第1検知点がその列車検知区間を踏切から外した状態で始動点と踏切との間に設定されているので、踏切通行体により踏切道でレール短絡が発生しても、そのことによっては第1検知点でも始動点でも列車を誤認検知することがない。そして、それを前提として、始動点への列車進入と第1検知点への列車進入と第2検知点からの列車進出とがその順に行われたことが警報停止の契機となるようにもしたことにより、列車が始動点から第1検知点を経て踏切に向け進行したとき以外は、第2検知点に係る列車検知が成立しても、列車が踏切を通過し終えたと判定されない。しかも、始動点と第1検知点とが離れていることから、始動点を通過した列車が第1検知点に到達するまでには、踏切道の通行が警報や遮断桿で阻止されるので、その後は踏切通行体によるレール短絡を考慮する必要がない。そのため、第2検知点の列車検知区間と踏切道の幅員とが重複しているにもかかわらず、列車が来ていなければ、踏切通行体によってレールが短絡されても、列車進入と誤認することがないので、終止点を踏切道に近づけても現行品のような不都合は生じない。
さらに、警報停止の契機に加重要件として第1検知点からの列車進出の確認も行うようにしたことにより、第2検知点からの列車進出の確認では影響を排除しきれなかった第2検知点に係る列車検知結果の不所望な揺らぎ即ち一時的な列車検知の不成立についても、個々の列車検知結果に基づくローパスフィルタ等の一般的な雑音除去手法とは異なり、第1検知点と第2検知点とに係る二つの列車検知結果に基づく論理判定により、不所望な揺らぎが第1検知点と第2検知点とで重複発生するという希有な場合は別として、列車が第1検知点を進出するまでは確実に、第2検知点に係る列車検知結果の不所望な揺らぎの影響が排除されるので、煽り対策の有効性向上という第4の課題も解決される。
したがって、この発明によれば、列車検知区間が踏切道に係るようになった警報終止点で車輪とレールとの短絡を前提にした列車検知を行っても警報終止点に係る一時的な列車検知の不成立による悪影響が少なくて済むこととなる。
また、本発明の踏切制御回路にあっては(解決手段2)、列車走行の順序確認項目を増やしたことにより、通過完了判定の確度が向上する。
さらに、本発明の踏切制御回路にあっては(解決手段3)、切替回路と切替制御手段とを追加して、列車進行に応じた切替による時分割で一台の終止点用踏切制御子が第1検知点に係る列車検知と第2検知点に係る列車検知とに共用されるようにしたことにより、終止点用踏切制御子が一台しかなくても踏切の近くの複数箇所で警報終止用の列車検知が行えるので、所望の踏切保安装置を廉価に実現することができることに加え、列車追跡手段が列車の踏切通過完了を判定するに際して第2検知点からの列車進出と第1検知点からの列車進出とを加重要件として確認するときにも、一台の終止点用踏切制御子が切替回路を利用した時分割で第1検知点に係る列車検知と第2検知点に係る列車検知とに共用されるようにしたことにより、煽り対策の有効性向上という第4の課題も解決した踏切保安装置を廉価に実現することができる。
本発明の実施例1について、本発明の踏切制御回路を具備した踏切保安装置の構造を示し、(a)が複線区間における始動点や終止点さらには警報灯などの配置図と踏切保安装置のブロック図、(b)が複線用の切保安装置のうち制御部分のブロック図、(c)が踏切制御装置の論理回路の機能ブロック図である。 (a)が幅の狭い踏切に対する下り第2検知点の好適配置例、(b)が幅の広い踏切に対する下り第2検知点の好適配置例、(c)が複線区間の下り線に係る切替回路と接続線等の回路図、(d)が複線区間の上り線に係る切替回路と接続線等の回路図である。 踏切保安装置の切替回路の動作状態を示し、(a)が下り終止点用の切替回路の第1切替状態、(b)が下り終止点用の切替回路の第2切替状態、(c)が上り終止点用の切替回路の第1切替状態、(d)が上り終止点用の切替回路の第2切替状態である。 下り列車が踏切を通過したときに列車検知が良好だった場合のタイムチャートである 下り列車が踏切を通過したときに警報終止点(第2検知点)に係る列車検知が不良だった場合のタイムチャートである (a)が複線区間の下り線に係る区間分布、(b)が複線区間の上り線に係る区間分布である。 本発明の実施例2について、本発明の踏切制御回路を具備した踏切保安装置の構造を示し、(a)が単線区間における始動点や終止点さらには警報灯などの配置図と踏切保安装置のブロック図、(b)が幅の狭い踏切に対する第2検知点の好適配置例、(c)が幅の広い踏切に対する第2検知点の好適配置例である。 (a)が幅の狭い踏切に対する第2検知点の好適配置例に対応した単線用の踏切保安装置のうち制御部分のブロック図、(b)が幅の広い踏切に対する第2検知点の好適配置例に対応した単線用の踏切保安装置のうち制御部分のブロック図である。 単線区間の下りと上りに係る区間分布である。 従来の踏切保安装置を示し、(a)が複線区間における始動点や終止点さらには警報灯などの配置図、(b)が単線区間における始動点や終止点の配置図、(c)が単線区間における始動点や終止点の他の配置図、(d)が複線用の切保安装置のうち制御部分のブロック図、(e)が踏切制御装置の論理回路の機能ブロック図、(f)が下り列車(上り列車)走行時のタイムチャートである。 従来の踏切保安装置による幾つかの区間の分布状態を示し、(a)が複線区間の下り線に係る区間分布、(b)が複線区間の上り線と単線区間の上り線とに係る区間分布、(c)が単線区間の下り線に係る区間分布である。 先行改良発明の踏切保安装置の概要構成等を示し、(a)がブロック図、(b)が列車検知良好時のタイムチャート、(c)が列車検知不良時のタイムチャートである。
このような本発明の踏切制御回路について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜2により説明する。
図1〜図6に示した実施例1は、複線区間の線路に設置された踏切について上述した解決手段1,3(出願当初の請求項1,3)を具現化したものであり、図7〜図9に示した実施例2は、単線区間の線路に設置された踏切について上述した解決手段1〜3(出願当初の請求項1〜3)を具現化したものである。
なお、各実施例に係る図面に関しては、簡明化等のため、筐体やネジ等の機械的部材や,電気回路・電子回路の回路素子などについては詳細な図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に記号やブロックで図示した。
また、それらの図示に際し従来と同様の構成要素には同一の符号を付して示したが、それらについて背景技術の欄で述べたことは以下の実施例についても共通するので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。
本発明の踏切制御回路の実施例1について、本発明の踏切制御回路を具備した踏切保安装置50の具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、(a)が複線区間における警報始動点ADC,CDCや警報終止点BDC,DDCさらには警報灯12などの配置図と踏切保安装置50のブロック図、(b)が複線用の踏切保安装置50のうち制御部分のブロック図、(c)が踏切制御装置60の論理回路62の機能ブロック図である。
また、図2は、(a)が幅の狭い踏切11に対する下り第2検知点(下り終止点BDC)の好適配置例、(b)が幅の広い踏切11に対する下り第2検知点(下り終止点BDC)の好適配置例、(c)が複線区間の下り線に係る切替回路51と接続線等の回路図、(d)が複線区間の上り線に係る切替回路52と接続線等の回路図である。
さらに、図3は、踏切保安装置50の切替回路51,52の切替状態を示し、(a)が下り終止点BDC用の切替回路51の第1切替状態、(b)が下り終止点BDC用の切替回路51の第2切替状態、(c)が上り終止点DDC用の切替回路52の第1切替状態、(d)が上り終止点DDC用の切替回路52の第2切替状態である。
この踏切保安装置50が、既述した従来の踏切保安装置20と相違するのは、上述した先行改良発明の踏切保安装置30と同様に警報終止点BDC,DDCがそれぞれ第1検知点(追加された下り拡張点BBDC,上り拡張点DDDC)と第2検知点(移設された警報終止点BDC,DDC)との組になっている点と、やはり先行改良発明の踏切保安装置30と同様に切替回路51,52が設けられている点と、それ用の切替制御手段の追加や列車追跡手段の通過判定機能強化などにより踏切制御装置25が踏切制御装置60になっている点である。通過判定機能の強化は、先行改良発明の踏切保安装置30にも無かったことであり、通過判定部32を踏切制御装置25に組み込む実装態様は、それら32,25が別ユニットだった踏切保安装置30の実装態様と相違している。
先ず(図1(a)参照)、列車検知点の設定について述べると、下り始動点ADCに係る列車検知区間Kaも、下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知区間Keも、下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbも、上り始動点CDCに係る列車検知区間Kcも、上り拡張点DDDC(第1検知点)に係る列車検知区間Kfも、上り終止点DDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kdも、従来通り設定位置から片側の半幅が約15mであって全幅が約30mの区間であり、警報始動点ADC,CDCは従来通りの位置に設定されているが、新設の拡張点BBDC,DDDC(第1検知点)と、移設の警報終止点BDC,DDC(第2検知点)は、従来と異なる位置に設定されている。
詳述すると、下り始動点ADCは、踏切11から例えば数百m離れて、列車検知区間Kaが踏切道から外れた状態で、下りの線路10に設定されている。下り拡張点BBDC(下り第1検知点)は、踏切11から例えば20m〜25mほど離れて、踏切道から列車検知区間Keが外れた状態で、下り始動点ADCと踏切11との間で、下りの線路10に設定されている。下り終止点BDC(下り第2検知点)は、踏切11から例えば数m離れて、列車検知区間Kbが踏切道に掛かる所で、さらに、列車検知区間Kbの両端のうち下り始動点ADCから遠い方の区間端と下り拡張点BBDC(第1検知点)及び下り始動点ADCとが踏切道の両側に分かれる状態で、踏切11に設定されている。
そのうち下り終止点BDC(第2検知点)は、列車検知区間Kbが踏切11に掛かるとは言っても、踏切道の中に設定したのでは、踏切通行体によってレールとの接続が損なわれる虞があるので、踏切道の両脇の何れかに設定される(図2(a),(b)参照)。踏切11の幅員が列車検知区間Kbの半幅よりも狭くて(図2(a)参照)、下り終止点BDC(第2検知点)が踏切道の外であっても踏切道の全幅員が列車検知区間Kbに属する場合は、移設距離Lを増すために下り終止点BDC(第2検知点)が踏切11の起点側すなわち下り拡張点BBDC(第1検知点)寄りの方に設定される。これに対し、それよりも踏切11の幅員が広い場合は(図2(b)参照)、下り終止点BDC(第2検知点)が踏切11の終点側すなわち下り拡張点BBDC(第1検知点)から遠い方の踏切道脇に設定される。
また(図1(a)参照)、上り始動点CDCは、踏切11から例えば数百m離れて、列車検知区間Kcが踏切道から外れた状態で、上りの線路10に設定されている。上り拡張点DDDC(第1検知点)は、踏切11から例えば20m〜25mほど離れて、踏切道から列車検知区間Kfが外れた状態で、上り始動点CDCと踏切11との間で、上りの線路10に設定されている。上り終止点DDC(第2検知点)は、踏切11から例えば数m離れて、列車検知区間Kdが踏切道に掛かる所で、さらに、列車検知区間Kdの両端のうち上り始動点CDCから遠い方の区間端と上り拡張点DDDC(第1検知点)及び上り始動点CDCとが踏切道の両側に分かれる状態で、踏切11に設定されている。上り終止点DDC(第2検知点)の設定位置を踏切11の起点側にするか終点側にするかは、繰り返しとなる図示や詳細な説明は割愛するが、上述した上り終止点DDC(第2検知点)の設定のときと同様、踏切道の幅員の広狭に応じて決定するのが好ましい。
このような列車検知点の設定に基づいて、踏切保安装置50は(図1(a),(b)参照)、従来と同じく、警報灯12を含む踏切警報機と、踏切障害物検知装置29と、4台の踏切制御子21,22,23,24とを具えたものであって、さらに、適宜な筐体に収めてそれぞれ一ユニット化された従来は無かった2台の切替回路51,52と、従来の電子踏切制御装置を改造して機能強化した踏切制御装置60も、具備している。
そのうち、踏切道に向けて踏切警報を発するための踏切警報機や、踏切道に滞留している不所望な障害物を検知するための踏切障害物検知装置29は、既述した従来品で良い。また、踏切制御子21〜24は、何れもそれ自体については既述した従来品で良く、接続先の各検知点に係る列車検知を列車の車輪とレールの踏面との接触導通に基づいて行うものであるが、一部の物は役目が増えている。
すなわち、踏切制御子21(始動点用踏切制御子)は、閉電路形の踏切制御子であって、下り始動点ADCに係る列車検知を行う。踏切制御子22(終止点用踏切制御子)は、開電路形の踏切制御子であって、下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知を行う下りの第1列車検知手段と、下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知を行う下りの第2列車検知手段とに共用される。踏切制御子23(始動点用踏切制御子)は、閉電路形の踏切制御子であって、上り始動点CDCに係る列車検知を行う。踏切制御子24(終止点用踏切制御子)は、開電路形の踏切制御子であって、上り拡張点DDDC(第1検知点)に係る列車検知を行う上りの第1列車検知手段と、上り終止点DDC(第2検知点)に係る列車検知を行う上りの第2列車検知手段とに共用されるようになっている。
切替回路51は(図1(a),(b),図2参照)、下り列車検知用の踏切制御子22(終止点用踏切制御子)を時分割で下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る第1列車検知手段および下り終止点BDC(第2検知点)に係る第2列車検知手段として機能させるために、切替信号DEXの指示に従って第1切替状態と第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態を採るものであり、下りの線路10に対する踏切制御子22の接続先を切り替えることにより第1切替状態では下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る下り列車の検知を踏切制御子22に行わせ(図3(a)参照)、第2切替状態では下り終止点BDC(第2検知点)に係る下り列車の検知を踏切制御子22に行わせるようになっている(図3(b)参照)。
リレー回路で構成した具体例を説明すると(図2(c)参照)、踏切制御子22に対して照査用発振信号入力用の入力側接続線対にて接続され、下りの線路10のレール10a,10bに対しては、下り拡張点BBDC(第1検知点,打込み点)の所で照査用発振信号出力用の第1接続線対にて接続されるとともに、下り終止点BDC(第2検知点,打込み点)の所でも照査用発振信号出力用の第2接続線対にて接続されている。そして、切替信号DEXで駆動されるリレーにて、第1切替状態では入力側接続線対と第1接続線対とを導通させるが第2接続線対はそれらから遮断し、第2切替状態では入力側接続線対と第2接続線対とを導通させるが第1接続線対はそれらから遮断するようになっている。なお、第1,第2接続線対の長さの相違等に起因する不所望な切替時レベル変動を緩和抑制するために、可変コンデンサ等からなるレベル調整手段も適所に介挿接続されている。
切替回路52も(図1(a),(b)参照)、切替回路51と同様のものであるが(図2(d)参照)、下り列車でなく上り列車を検知対象としており、上り列車検知用の踏切制御子24(終止点用踏切制御子)を時分割で上り拡張点DDDC(第1検知点)に係る第1列車検知手段および上り終止点DDC(第2検知点)に係る第2列車検知手段として機能させるために、切替信号UEXの指示に従って第1切替状態と第2切替状態とのうち何れか一方の状態を採るものであり、上りの線路10に対する踏切制御子24の接続先(打込み点)を切り替えることにより第1切替状態では上り拡張点DDDC(第1検知点)に係る上り列車の検知を踏切制御子24に行わせ(図3(c)参照)、第2切替状態では上り終止点DDC(第2検知点)に係る上り列車の検知を踏切制御子24に行わせるようになっている(図3(d)参照)。
踏切制御装置60は(図1参照)、踏切制御子21,22,23,24それぞれからリレーで出力された列車検知結果APR,BPR+BBPR,CPR,DPR+DDPRを入力しそれに基づく論理判定にて列車の踏切への接近および通過を確認するとともに、列車在線情報(列車運転方向)も調製し、更にその際の判定結果・認知結果に基づいて警報機による踏切警報の開始と停止を制御するためのものであり、例えば従来装置として既述したものと同じく電子踏切制御装置の場合、既述した踏切制御装置25の一部改造で比較的安価に具現化され、踏切制御装置25の各回路26,27,28をベースにした入力回路61と論理回路62と出力回路63とを具備している。
入力回路61は、既述した入力回路26とほぼ同じで良く、適宜な信号レベル変換回路やラッチ回路などを具備していて踏切制御子21,22,23,24それぞれから列車検知結果を入力するものであり、始動点用踏切制御子21,23からは従来通りそれぞれの列車検知結果APR,CPRを取得するが、終止点用踏切制御子22が切替回路51の切替に応じて下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知結果BBPRと下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知結果BPRとを時分割で出力するようになったことに対応して踏切制御子22からは両者BPR,BBPRを合わせた列車検知結果BPR+BBPRを取得するとともに、終止点用踏切制御子24が切替回路52の切替に応じて上り拡張点DDDC(第1検知点)に係る列車検知結果DDPRと上り終止点DDC(第2検知点)に係る列車検知結果DPRとを時分割で出力するようになったことに対応して踏切制御子24からは両者DPR,DDPRを合わせた列車検知結果DPR+DDPRを取得するものとなっている。
論理回路62は(図1(c)参照)、既述した論理回路27と同様、必要な論理機能や制御機能を発揮する幾つかのプログラムをインストールした制御用コンピュータ等で具現化されており、列車検知手段と煽り対策手段と切替制御手段と列車追跡手段と警報制御手段と障害物検知装置制御手段とを具備している。それらの手段は、線路10,10が複線区間に設けられていて踏切11が複数の線路10,10を横切っていることに対応して、警報始動点ADC,CDCに係る始動点用踏切制御子21,23と拡張点BBDC,DDDC(第1検知点)及び警報終止点BDC,DDC(第2検知点)に係る終止点用踏切制御子22,24(第1列車検知手段および第2列車検知手段)との組が踏切11を通る各線路10毎に設けられているのと同様に、各線路10毎に設けて処理を分担させるようにしても良いが、ここでは、各手段が下り列車と上り列車に係る処理を纏めて担当することとし、下り側を詳述して、繰り返しとなる上り側の詳述は割愛する。
列車検知手段は、入力回路61で取得した列車検知結果APRと列車検知結果BPR+BBPRとに基づいて下り列車に係る下り始動点ADCへの列車進入および列車進出と下り拡張点BBDC(第1検知点)への列車進入と下り終止点BDC(第2検知点)へ列車進入および列車進出とを検知するようになっている。また、列車検知結果CPR,DPR+DDPRに基づいて上り列車に係る各検知点CDC,DDDC(第1検知点),DDC(第2検知点)に係る列車の進入や進出も検知するようになっている。
煽り対策手段は、既述した従来の手段と同様のものであり、列車検知手段での列車検知に際し、各列車検知結果APR,BPR+BBPR,CPR,DPR+DDPRそれぞれについて、短時間の変動はいわゆる列車の煽りによる不所望な雑音として無視するために、例えば、所定の遅延時素より短時間の単発的な変動であれば無かったことにしたり、短時間の変動が頻繁に繰り返されたときには遅延時素を延長する等のことで応答性を多少犠牲にしても雑音除去性能を高めるといったことを行うようになっている。
切替制御手段は、この例では列車追跡手段と別のプログラムで具現化されており、下り側に関しては、切替回路51を制御する切替信号DEXを生成する。そして、下り列車の非在線時には切替回路51に第2切替状態をとらせておくことで終止点用踏切制御子22に下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知(BPR)を行わせ、始動点への列車到来時すなわち下り始動点ADCの列車検知区間Kaに下り列車が進入したときには先ず切替回路51に第1切替状態をとらせることで踏切制御子22が下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知(BBPR)を行えるようにし、その後の第1検知点への列車進行時すなわち下り拡張点BBDC(第1検知点)の列車検知区間Keに下り列車が進入したときには切替回路51に第2切替状態をとらせることで下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知(BPR)を行わせるようになっている。
また、この切替制御手段は、次に詳述する列車追跡手段の指示によっても切替回路51に切り替えさせる。すなわち、切替回路51に第2切替状態をとらせていた状態で、列車検知手段から切替指示を受けると、その度に、先ず一旦は切替回路51に第1切替状態をとらせて、それから切替回路51に再び第2切替状態をとらせるようになっている。その際、第1切替状態をとらせる時間は、下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知結果BBPRを一回は確実に取得しうる最小時間より長い時間に設定されるが、固定時間の設定に限らず、例えば頻繁な切替を回避するために列車検知結果BBPRによる列車検知の不成立を待つといった延長条件を課す等のことで可変時間にしても良い。
さらに、この切替制御手段は、上り側について、切替回路52を制御する切替信号UEXを生成するようになっている。そして、下り側のときと同様なので簡潔に述べると、上り始動点CDCへの列車到来時には先ず切替回路52に第1切替状態をとらせて、その後の上り拡張点DDDC(第1検知点)への列車進行時には切替回路52に第2切替状態をとらせ、更にその後は列車追跡手段の指示を受ける度に切替回路52に第1切替状態と第2切替状態とを順にとらせるようになっている。
列車追跡手段は、各列車検知結果の変化を時系列で追って列車在線情報DSR,USRを生成しながら列車進行状態を確認するという基本機能は既述した先行改良発明を踏襲しているが、その通過判定機能が現行品ばかりか先行改良発明に比べても強化されている。すなわち、下り側については、始動点用踏切制御子21による下り始動点ADCに係る列車検知結果APRと、第1列車検知手段および第2列車検知手段に共用される終止点用踏切制御子22による列車検知結果BPR+BBPRとに基づいて、下り始動点ADCに係る列車検知区間Kaへの下り列車の進入と下り始動点ADCに係る列車検知区間Kaからの下り列車の進出と下り拡張点BBDC(第1検知点)の列車検知区間Keへの下り列車の進入と下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbへの下り列車の進入と下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbからの下り列車の進出とがその順に行われたか否かを判別してその順に行われたことを確認するようになっている。
しかも、それにとどまらず、下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbからの下り列車の進出を確認したら、切替制御手段に指示して切替回路51に第1切替状態をとらせ、その状態の整定後、列車検知結果BPR+BBPRに基づいて下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知区間Keから下り列車が進出し終えたか否かを調べて、下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知区間Keに下り列車が未だ在線している場合は、下り列車が踏切11を通過し終えたと判定するのは留保して、切替回路51が第2切替状態に戻るのを待ち、上述した下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbへの下り列車の進入の確認か或いは下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbからの下り列車の進出の確認か何れかに戻って順序確認の後段部分から繰り返し、下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbからの列車進出と下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知区間Keからの列車進出とが続けて確認できて初めて下り列車が踏切11を通過し終えたと判定するようになっている。
また、列車追跡手段は、上り側については、始動点用踏切制御子23の列車検知結果CPRと第1列車検知手段および第2列車検知手段の終止点用踏切制御子24の列車検知結果DPR+DDPRとに基づいて、始動点CDCへの列車進入と始動点CDCからの列車進出と第1検知点DDDCへの列車進入と第2検知点DDCへの列車進入と第2検知点DDCからの列車進出とがその順に行われたか否かを判別してその順に行われたことを確認するとともに、第2検知点DDCからの列車進出を確認したら切替制御手段を介して切替回路52に第1切替状態をとらせた後で第1検知点DDDCからの列車進出を調べることにより第1検知点DDDCからの列車進出も確認したときには、上り列車が踏切11を通過し終えたと判定するようになっている。
さらに、この列車追跡手段は、各線路に係る警報始動点への列車到来に応じて列車在線と上り下りを判別して列車在線情報を出す列車方向判別手段が組み込まれており、列車検知結果APRに基づいて下り始動点ADCへの列車進入が検知されたときから、列車検知結果BPR+BBPRに基づいて下り終止点BDC(第2検知点)への列車進入が検知されるまで又は上述の通過判定機能による下り列車の踏切通過完了の判定までの期間は、下り列車在線情報DSRに列車在線を示す値たとえば“0”を採らせ、他の期間は下り列車在線情報DSRに列車非在線を示す値たとえば“1”を採らせるようになっている。また、同様にして、上り始動点CDCへの列車進入から上り終止点DDC(第2検知点)への列車進入または上り列車の踏切通過完了の判定までの期間は、上り列車在線情報USRに列車在線値“0”を採らせ、他の期間は下り列車在線情報DSRに列車非在線値“1”を採らせるようにもなっている。
警報制御手段は、警報灯12等による踏切警報の開始と停止を制御するために、警報始動点ADC,CDCの列車検知結果APR,CPRと列車追跡手段の判定結果とに基づいて踏切警報指示KRを生成するものであり、具体的には、列車検知結果APRに基づいて下り始動点ADCに係る列車検知区間Kaへの下り列車の進入が検知されたときに踏切警報を開始させるとともに、列車検知結果CPRに基づいて上り始動点CDCに係る列車検知区間Kcへの上り列車の進入が検知されたときにも踏切警報を開始させるようになっている。また、下り列車であれ上り列車であれ警報始動点ADC,CDCに進入した列車の総てについて踏切を通過し終えたとの判定が列車追跡手段によって下されてから警報遅延時素TCの時間経過後に踏切警報を停止させるようになっている。
障害物検知装置制御手段は、列車検知結果BPR+BBPRに基づいて下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知区間Keへの下り列車の進入が検知されたときから列車追跡手段による下り列車の踏切通過完了の判定までの期間は拡張列車検知結果EBPRに有効値たとえば“1”を採らせ他の期間は拡張列車検知結果EBPRに無効値たとえば“0”を採らせるとともに、同様にして列車検知結果DPR+DDPRから拡張列車検知結果EDPRを生成するようになっている。そして、拡張列車検知結果EBPRを下り側障検マスクDSMとし、拡張列車検知結果EDPRを上り側障検マスクUSMとし、更に上述の下り列車在線情報DSRと上り列車在線情報USRも加えて、それらを踏切障害物検知装置29へ送出するようになっている。
出力回路63は、基本的には既述した出力回路28と同様のもので良く、やはり適宜なレジスタやドライブ回路などを具備していて、踏切警報指示KRに応じて警報灯12やスピーカ等を駆動するとともに、論理回路62から渡された列車在線情報DSR,USR及び障検マスクDSM,USMをそれぞれ警報認容条件及び警報抑制条件として踏切障害物検知装置29へ送出するようになっているが、出力回路63は、出力回路28のままではなく、一部が拡張されていて、論理回路62から渡された切替信号DEXを切替回路51に送出するとともに、やはり論理回路62から渡された切替信号UEXを切替回路52に送出するようにもなっている。
この実施例1の踏切保安装置50について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図4は、下り列車が踏切11を通過したときに下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知(BPR)が良好だった場合のタイムチャートであり、図5は、下り列車が踏切11を通過したときに下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知(BPR)が不良だった場合のタイムチャートである。なお、各波形を正論理と負論理の何れで表示するかは、現行のリレー出力状態を踏襲している。また、図6は、(a)が複線区間の下り線に係る幾つかの区間Fa,Sa,Sb,Ka,Kb,Keの分布、(b)が複線区間の上り線に係る幾つかの区間Fc,Sc,Sd,Kc,Kd,Kfの分布である。
複線区間の線路10,10に対して新たに踏切保安装置50を設置する場合は、上述した構成通りに警報灯12や、踏切制御子21,22,23,24、踏切障害物検知装置29、切替回路51,52、踏切制御装置60の配設とそれらに係る配線を行えば良い。
また、既設の複線区間における踏切保安装置20を踏切保安装置50に更新する場合は、踏切制御装置25を外して代わりに踏切制御装置60を設置するとともに、切替回路51,52を追加してから、それらに係る配線を変更すれば良い。
何れの場合も、設置が済んだら運用を開始する前に、第1接続線対と第2接続線対との長さの相違に基づく接続線切替時のインピーダンス変化に起因する照査用発振信号の不所望な変動を解消するために、照査用発振信号のレベル調整を行っておく。
運用開始後(図4参照)、下り列車が起点側遠方から下りの線路10を走行して踏切11に近づき、下り列車の先頭が下り始動点ADCの列車検知区間Kaに進入すると、列車検知結果APRが列車検知の不成立から列車検知の成立に変化するので、下り始動点ADCへの列車進入が踏切制御装置60の論理回路62の列車検知手段によって検知されるとともに列車追跡手段によって確認される(追跡事項S1)。また、切替制御手段によって切替信号DEXの指示内容が変更され、それに応じて切替回路51が第2切替状態から第1切替状態に切り替わるので、踏切制御子22が下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知を行う。さらに、列車追跡手段の列車方向判別手段によって下り列車在線情報DSRが列車非在線から列車在線にされ、警報制御手段によって踏切警報指示KRが警報停止から警報開始にされるので、警報灯12等から踏切11に向けて踏切警報が出る。
ここからは上記の運用開始直後の説明よりも簡潔に述べるが、下り列車が更に進行してその列車の最後尾が下り始動点ADCの列車検知区間Kaから進出すると、そのことが列車検知結果APRにおける列車検知の成立から列車検知の不成立への変化に基づき列車検知手段で検知され列車追跡手段で確認される(追跡事項S2)。
下り列車が更に進行してその列車の先頭が下り拡張点BBDC(第1検知点)の列車検知区間Keに進入すると、そのことが列車検知結果BPR+BBPRにおける列車検知の不成立から列車検知の成立への変化に基づいて列車検知手段で検知され列車追跡手段で確認される(追跡事項S3)。また、切替制御手段によって切替信号DEXの指示内容が変更され、それに応じて切替回路51が第1切替状態から第2切替状態に切り替わるので、踏切制御子22が下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知を行う。さらに、障害物検知装置制御手段によって拡張列車検知結果EBPRが無効値から有効値に変更される。
下り列車が更に進行してその列車の先頭が下り終止点BDC(第2検知点)の列車検知区間Kbに進入すると、そのことが列車検知結果BPR+BBPRにおける列車検知の不成立から列車検知の成立への変化に基づいて列車検知手段で検知され列車追跡手段で確認される(追跡事項S4)。また、列車追跡手段の列車方向判別手段によって下り列車在線情報DSRが列車在線から列車非在線にされるが、踏切警報指示KRは変わらないので踏切警報は出続ける。
下り列車が更に進行してその列車の最後尾が下り拡張点BBDC(第1検知点)を通過し踏切道も通過しそれから下り終止点BDC(第2検知点)の列車検知区間Kbまでも進出すると、そのことが列車検知結果BPR+BBPRにおける列車検知の成立から列車検知の不成立への変化に基づいて列車検知手段で検知され列車追跡手段で確認される(追跡事項S5)。また、切替制御手段によって切替信号DEXの指示内容が変更され、それに応じて切替回路51が再び第2切替状態から第1切替状態に切り替わるので、踏切制御子22が下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知を行う。
ここでは(図4参照)、下り列車が踏切11を通過するときに下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知(BPR)も含めて総ての検知点で列車の煽りが無く列車検知が良好だった場合を説明しているので、列車検知結果BPR+BBPRが列車検知の成立から列車検知の不成立へ変化する前に、下り列車が踏切道を完全に通過し終えており、更にそれより前に下り列車が下り拡張点BBDC(第1検知点)の列車検知区間Keを進出しており、そのことが列車検知結果BPR+BBPRによる列車検知の不成立に基づいて列車追跡手段により確認され(追跡事項S6)、切替回路51が第2切替状態に戻る。
ここに至ると、列車追跡手段によって、下り列車の踏切通過に伴う一連の追跡事項S1〜S5が順序も含めて総て適切に行われたことに加えて加重要件の追跡事項S6までも確認がとれたため、踏切11を下り列車が通過し終えたとの判定が下される。また、それに応じて、障害物検知装置制御手段により拡張列車検知結果EBPRが有効値から無効値に変更される。さらに、上り列車の接近など他の要因によって踏切警報を維持する必要がある場合は別として、警報制御手段によって、警報遅延時素TCの時間経過後に、踏切警報指示KRが警報開始から警報停止にされるので、警報灯12等による踏切警報が止まる。
こうして、下り列車の踏切通過に伴って従来よりも多い追跡事項S1〜S6が確認されるので、踏切警報の停止条件が厳密化されて、安全性が向上している。
なお、上り列車についても、繰り返しとなる詳細な説明は割愛するが、上り列車の進行に伴って、上り始動点CDCへの列車進入(追跡事項S1)と上り始動点CDCからの列車進出(追跡事項S2)と上り拡張点DDDC(上り第1検知点)への列車進入(追跡事項S3)と上り終止点DDC(第2検知点)への列車進入(追跡事項S4)と上り終止点DDC(第2検知点)からの列車進出(追跡事項S5)とがその順に行われたことに加えて、上り拡張点DDDC(上り第1検知点)からの列車進出(追跡事項S6)までも確認されるので、やはり安全性が向上している。
次に(図5参照)、下り列車が踏切11を通過する際に、列車の煽りが下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbにおいて発生し、列車検知が一時不良になってしまった場合を説明する。下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知結果BPRひいては列車検知結果BPR+BBPRに一時的な列車検知の不成立という揺れが不所望にも発現してしまい(波形BPRの*部分参照)、下り列車の踏切通過完了による本来あるべき列車検知の不成立が不所望な一時不成立より後になってしまったとする(波形BPRの**部分参照)。
そうすると、上述の場合と同様に下り列車が走行したとき、下り始動点ADCへの列車進入から下り終止点BDC(第2検知点)への列車進入までは(追跡事項S1〜S4)、上述したのと同じく動作するが、列車の煽りに起因した列車検知結果BPR+BBPRによる早過ぎる列車検知の不成立に基づいて(波形BPRの*部分参照)、下り列車が下り終止点BDC(第2検知点)の列車検知区間Kbを進出したと誤判定されることとなる(追跡事項S5x)。そして、切替制御手段によって切替信号DEXの指示内容が変更され、それに応じて切替回路51が第2切替状態から第1切替状態に切り替わるので、踏切制御子22が下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知を行う。
今度は、列車の踏切通過が完了する前に列車の煽りが発生しているが、下り拡張点BBDC(第1検知点)と下り終止点BDC(第2検知点)とが近いので、列車の煽り発生時には、下り列車が下り拡張点BBDC(第1検知点)を未だ進出していないことが多い。そして、そのような状況下では、そのことが列車検知結果BPR+BBPRによる列車検知の成立に基づいて列車追跡手段により確認され(追跡事項S6x)、切替回路51が第2切替状態に戻されるとともに、列車追跡手段による順序確認が、下り終止点BDC(第2検知点)への列車進入(追跡事項S4x)に戻され、そこから再び繰り返される。
このように、下り拡張点BBDC(第1検知点)から下り列車が進出する前であれば、下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知結果BPRの一時的な揺らぎでは、列車追跡手段による順序確認が損なわれことなく的確に継続されるので、踏切警報指示KRも拡張列車検知結果EBPRも影響を受けない。そして、下り列車が下り拡張点BBDCも踏切道も下り終止点BDCも本当に進出すると(波形BPRの**部分参照)、上述のようにして、そのことが列車追跡手段で確認され(追跡事項S5)、更にそれより前に下り列車が下り拡張点BBDC(第1検知点)を進出していることも確認されて(追跡事項S6)、踏切11を下り列車が通過し終えたとの判定が下される。拡張列車検知結果EBPRの有効値から無効値への変更や、踏切警報指示KRの警報開始から警報停止への変更も、下り列車の踏切通過完了の後、適切に行われる。
こうして、下り列車の踏切通過に際して、下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知に不所望な揺らぎが生じた場合でも、下り拡張点BBDC(第1検知点)の列車進出より前であれば、上述した進出チェック即ち第1,第2検知点の双方に係る列車進出の確認によって確実に、不所望な揺らぎの悪影響が防止される。繰り返しとなる詳細な説明は割愛するが、上り列車についても同様であり、列車検知区間Kdが踏切道に係るようになった警報終止点DDCで車輪とレールとの短絡を前提にした列車検知を行っても警報終止点DDCに係る一時的な列車検知の不成立による悪影響が少なくて済む。
また、踏切障害物検知装置29は従来のままであるが、それに供する制御信号の内容が上述したように変更されているので、特に下り側障検マスクDSMと上り側障検マスクUSMが改良されているので、踏切障害物検知装置29が踏切通過中の列車を踏切障害物と誤認して障検警報を発してしまうという不所望な事態の発生頻度が低減する。具体的には、下り側障検マスクDSMに用いられる拡張列車検知結果EBPRも、上り側障検マスクUSMとして用いられる拡張列車検知結果EDPRも、踏切11より手前の第1検知点BBDC,DDDCへの列車進入から、列車追跡手段による踏切通過完了判定までの期間に亘って、マスクを有効にする有効値を採り、他の時はマスクを無効にする無効値を採るので、列車の速度の如何にかかわらず踏切通過中の列車は踏切障害物と誤認されない。
このような踏切保安装置50について区間分布に基づいて動作状態等を確認すると(図6参照)、先ず下り側では(図6(a)参照)、下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbひいては下りの踏切制御区間Faの終端が従来よりも移設距離Lだけ踏切道に近寄っていることから、列車通過後は速やかに踏切警報が停止するので、踏切での待ち時間が短縮される。また、下りの障検マスク区間Sbが下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知区間Keへの列車進入から下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbからの列車進出までに拡張されて踏切11の踏切道を完全に跨ぐので、列車速度が遅くても踏切通過中の列車には障検警報が発せられない。さらに、下りの踏切制御区間Faの終端でも下りの障検マスク区間Sbの終端でもある下り終止点BDC(第2検知点)の列車検知区間Kbの終端からの列車進出の確認にはそれだけでなく下り拡張点BBDC(第1検知点)の列車検知区間Keにおける列車の非在線も加重要件とする進出チェックが行われるので、煽り対策が強化されて、安全性が向上している。
上り側についても(図6(b)参照)、同様に、上り終止点DDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kdひいては上りの踏切制御区間Fcの終端が従来よりも移設距離Lだけ踏切道に近寄っていることから、列車通過後は速やかに踏切警報が停止するので、踏切での待ち時間が短縮される。また、上りの障検マスク区間Sdが上り拡張点DDDC(第1検知点)に係る列車検知区間Kfへの列車進入から上り終止点DDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kdからの列車進出までに拡張されて踏切11の踏切道を完全に跨ぐので、列車速度が遅くても踏切通過中の列車には障検警報が発せられない。さらに、上りの踏切制御区間Fcの終端でも上りの障検マスク区間Sdの終端でもある上り終止点DDC(第2検知点)の列車検知区間Kdの終端からの列車進出の確認にはそれだけでなく上り拡張点DDDC(第1検知点)の列車検知区間Kfにおける列車の非在線も加重要件とする進出チェックが行われるので、煽り対策が強化されて、安全性が向上している。
本発明の踏切制御回路の実施例2について、本発明の踏切制御回路を具備した踏切保安装置70の具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図7は、(a)が単線区間における警報始動点ADC,CDCや警報終止点DDCさらには警報灯12などの配置図と踏切保安装置70のブロック図、(b)が幅の狭い踏切11に対する第2検知点(共用終止点DDC)の好適配置例、(c)が幅の広い踏切11に対する第2検知点(上り終止点DDC及び下り終止点BDC)の好適配置例である。
また、図8は、(a)が幅の狭い踏切11に対する第2検知点(共用終止点DDC)の好適配置例に対応した単線用の切保安装置70のうち制御部分のブロック図、(b)が幅の広い踏切11に対する第2検知点(上り終止点DDC及び下り終止点BDC)の好適配置例に対応した単線用の切保安装置70のうち制御部分のブロック図である。
さらに、図9は、単線区間の下り線に係る幾つかの区間Fa,Sa,Sb,Ka,Kd,Keの分布と、複線区間の上り線に係る幾つかの区間Fc,Sc,Sd,Kc,Kd,Kfの分布である。
この踏切保安装置70は(図7(a)参照)、踏切保安装置50のものと同様の警報灯12と踏切障害物検知装置29と始動点用踏切制御子21,23と終止点用踏切制御子24とを具備しているのに加えて、踏切保安装置50の二つの切替回路51,52の役目を一つで果たす切替回路71と、それに対応した改造を踏切制御装置60に施して出来た踏切制御装置80も、具備している。踏切保安装置70も踏切保安装置50と同様に改良されているが、踏切11が単線区間に設置されて上り下り共用の線路10を横切っていることに対応して、単線用装置になっているので、以下、複線用の踏切保安装置50との相違点を中心として、踏切保安装置70の構成等を簡潔に説明する。
下り始動点ADCは、踏切11から起点側へ列車検知区間Kaを外した状態で線路10に設定されており、踏切制御子21は、下り始動点ADCに係る列車検知を行う。上り始動点CDCは、踏切11から終点側へ列車検知区間Kcを外した状態で線路10に設定されており、踏切制御子23は、上り始動点CDCに係る列車検知を行う。下り拡張点BBDC(下り第1検知点)は、踏切11から起点側へ列車検知区間Keを外した状態で下り始動点ADCと踏切11との間に位置する所で線路10に設定され、上り拡張点DDDC(上り第1検知点)は、踏切11から終点側へ列車検知区間Kfを外した状態で上り始動点CDCと踏切11との間に位置する所で線路10に設定されている。
また、警報終止点DDC(第2検知点)は、踏切11に列車検知区間Kdが掛かった状態で線路10に設定されているが、踏切11の踏切道の幅員が狭くて警報終止点DDC(第2検知点)を踏切道から外しても例えば踏切道の起点側に設定しても警報終止点DDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kdが踏切道を跨ぐ場合は(図7(b)参照)、そのような警報終止点DDC(第2検知点)の設定により、警報終止点DDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kdの両端のうち上り拡張点DDDC(上り第1検知点)から遠い方に当たる起点側の区間端と上り拡張点DDDC(上り第1検知点)とが踏切11の両側に分かれた状態も、同じ列車検知区間Kdの両端のうち下り拡張点BBDC(下り第1検知点)から遠い方に当たる終点側の区間端と下り拡張点BBDC(下り第1検知点)とが踏切11の両側に分かれた状態も、現出されるので、一つの警報終止点DDC(第2検知点)が上り終止点(上り第2検知点)と下り終止点(下り第2検知点)とを兼ねる。
これに対し、踏切11の踏切道の幅員が広くて上述のようにはならない場合は(図7(c)参照)、警報終止点(第2検知点)として上り終止点DDC(上り第2検知点)と下り終止点BDC(下り第2検知点)との二つを導入し、それらを踏切11の両側に分配する。例えば、上り終止点DDC(上り第2検知点)は、踏切11の起点側で線路10に設定されて、上り終止点DDC(上り第2検知点)に係る列車検知区間Kdの両端のうち上り拡張点DDDC(上り第1検知点)から遠い方に当たる起点側の区間端と上り拡張点DDDC(上り第1検知点)とが踏切11の両側に分かれた状態を現出する一方、下り終止点BDC(下り第2検知点)は、踏切11の終点側で線路10に設定されて、下り拡張点BBDC(下り第1検知点)に係る列車検知区間Kbの両端のうち上り拡張点DDDC(上り第1検知点)から遠い方に当たる起点側の区間端と下り拡張点BBDC(下り第1検知点)とが踏切11の両側に分かれた状態を現出する。
そして、踏切道の幅員が狭くて警報終止点DDC(第2検知点)の列車検知区間Kdが踏切道を跨ぐ場合は(図7(b)参照)、切替信号EXの指示に従って3入力1出力の切替回路71が踏切制御子24の接続先を下り拡張点BBDC(下り第1検知点)と警報終止点DDC(第2検知点)と上り拡張点DDDC(上り第1検知点)とのうち何れか一つに切り替えるので、各検知点BBDC,DDC,DDDCに係る列車検知結果BBPR,DPR,DDPRが時分割で踏切制御装置80に入力されることとなる(図8(a)参照)。この設置状態は、解決手段4,11における「始動点用踏切制御子と第1列車検知手段とが踏切11の起点側に一組設けられるとともに踏切11の終点側にももう一組設けられ、第2列車検知手段はその列車検知区間に踏切の踏切道の幅員が収まる状態で設けられている」という状態に該当する。
これに対し、踏切11の踏切道の幅員が広くて上り終止点DDCだけでなく下り終止点BDCも設定された場合は(図7(c)参照)、切替信号EXの指示に従って切替回路71に代わる4入力1出力の切替回路72が踏切制御子24の接続先を下り拡張点BBDC(下り第1検知点)と下り終止点BDC(第2検知点)と上り終止点DDC(第2検知点)と上り拡張点DDDC(上り第1検知点)とのうち何れか一つに切り替えるので、各検知点BBDC,BDC,DDC,DDDCに係る列車検知結果BBPR,BPR,DPR,DDPRが時分割で踏切制御装置80に入力されることとなる(図8(b)参照)。この設置状態は、解決手段4,11における「始動点用踏切制御子と第1列車検知手段とが踏切11の起点側に一組設けられるとともに踏切11の終点側にももう一組設けられ、第2列車検知手段も踏切11の起点側と終点側それぞれに設けられている」という状態に該当する。
踏切制御装置80は(図7(a),図8参照)、上述した入力回路61と同様だが入力が踏切制御子21の列車検知結果APRと踏切制御子23の列車検知結果CPRと踏切制御子24の列車検知結果BBPR+DPR+DDPR又はBBPR+BPR+DPR+DDPRとの三つになった入力回路81と、上述した論理回路62及び63と同様だが切替信号DEX,UEXが切替信号EXになったことに対応する改造が施された論理回路82及び出力回路83とを具備している。
そして、論理回路82の列車追跡手段等は、切替回路71又は72の接続先を適宜切り替えながら、下り列車については下り始動点ADCと下り拡張点BBDC(下り第1検知点)と警報終止点DDC(共用の第2検知点)又は下り終止点BDC(下り第2検知点)とに係る列車検知結果APR,BBPR,DPR又はBPRに基づいて上述した複線区間の下り列車に係る処理と同様の処理を行い、上り列車については上り始動点CDCと上り拡張点DDDC(上り第1検知点)と警報終止点DDC(共用の又は下りの第2検知点)とに係る列車検知結果CPR,DDPR,DPRに基づいて上述した複線区間の上り列車に係る処理と同様の処理を行う。
この場合、上り列車と下り列車が同時に踏切11に接近して来ることが無く、それぞれの列車については上述の踏切保安装置50と同様の処理が踏切制御装置60によって行われるので、繰り返しとなる詳細な動作説明は割愛し、踏切道の幅員が狭くて警報終止点DDC(第2検知点)の列車検知区間Kdが踏切道を跨ぐ場合(図7(a),(b)参照)の区間分布に基づいて動作状態等を確認すると(図9参照)、下り側でも、上り側でも、踏切制御区間Fa,Fcの終端が従来よりも移設距離Lだけ踏切道に近寄っていて、列車通過後は速やかに踏切警報が停止するので、踏切での待ち時間が短縮される。
また、やはり下り側でも上り側でも、障検マスク区間Sb,Sdが第1検知点BBDC,DDDCへの列車進入から第2検知点DDCからの列車進出までに拡張されて踏切11の踏切道を完全に跨ぐので、列車速度が遅くても踏切通過中の列車には障検警報が発せられない。さらに、同じく下り側でも上り側でも、踏切制御区間Fa,Fcの終端でも障検マスク区間Sb,Sdの終端でもある第2検知点DDCの列車検知区間Kdの終端からの列車進出の確認にそれだけでなく第1検知点BBDC,DDDCの列車検知区間Ke,Kfにおける列車の非在線も加重要件とする進出チェックが行われるので、煽り対策が強化されて、安全性が向上している。
[その他]
上記実施例では、切替回路51,52,71,72が踏切制御装置60,80とは別ユニットになっていたが、それらに含まれている回路である踏切制御回路は、一ユニットに纏められていても良く、他の分け方で複数ユニットになっていても良い。踏切制御回路の具現化は、コンピュータ主体の電子回路に限られる訳でなく、シーケンサや,システムLSI,FPLAなどを用いたデジタル回路主体の同期式・非同期式の順序回路,半導体リレー・電磁リレーなどのリレー回路,アナログ回路も交えたハイブリッド回路など適宜な回路を用いて構成することができる。プログラマブルなものであっても、そうでないワイヤードロジック等であっても良い。
上記実施例では、拡張点BBDC,DDDC(第1検知点)が新設され、警報終止点BDC,DDC(第2検知点)が移設されたと述べたが、これは、拡張点BBDC,DDDC(第1検知点)が現行の終止点の移設されたものであり、警報終止点BDC,DDC(第2検知点)が新設されたものであるとも言えるし、現行の警報終止点BDC,DDCが廃され、位置の異なる拡張点BBDC,DDDC(第1検知点)と警報終止点BDC,DDC(第2検知点)が新設されたと言うこともできる。
上記実施例では、切替制御手段と列車追跡手段とが別の手段(機能体,プロセス,プログラム)として同じプロセッサに設けられていたが、両手段の機能が滞りなく発揮されるのであれば実装態様は任意であり、例えば切替制御手段を列車追跡手段に組み込む形などで一体化されていても良く、あるいは協動する別プロセッサに分散してインストールされていても良い。列車方向判別手段と列車追跡手段とについても同様であり、さらに他の手段についても各々の機能が発揮できるようになっていれば実装態様は任意である。
上記実施例では、第1検知点と第2検知点とに係る列車検知区間が重ならない状態を図示したが、これは簡潔で見易いことを重視したためであり、例えば、図2(a)における下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知区間Keと下り終止点BDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kbや、図7(b)における下り拡張点BBDC(第1検知点)に係る列車検知区間Keと共用終止点DDC(第2検知点)に係る列車検知区間Kdは、数値例を挙げた好適配置を行うと部分的に重なることが多い。
本発明の踏切制御回路が単線区間と狭義の複線区間に適用できることは上記実施例にて具体的に説明したが、複々線など、上り側の線路と下り側の線路とのうち何れか一方または双方が更に複数敷設されている広義の複線区間にも本発明は適用することができる。
10…線路、10a,10b…レール、11…踏切、12…警報灯、
20…踏切保安装置、21,22,23,24…踏切制御子、25…踏切制御装置、
26…入力回路、27…論理回路、28…出力回路、29…踏切障害物検知装置、
30…踏切保安装置、31…切替回路部、32…通過判定部(切替制御)、
50…踏切保安装置、51,52…切替回路、
60…踏切制御装置、61…入力回路、62…論理回路、63…出力回路、
70…踏切保安装置、71,72…切替回路、
80…踏切制御装置、81…入力回路、82…論理回路、83…出力回路、
ADC…下り始動点、BDC…下り終止点(第2検知点)、
BBDC…下り拡張点(第1検知点)、CDC…上り始動点、
DDC…上り終止点(第2検知点)、DDDC…上り拡張点(第1検知点)、
APR,BPR,BBPR…列車検知結果、
CPR,DPR,DDPR…列車検知結果、
EBPR,EDPR…拡張列車検知結果、KR…踏切警報指示、
DSR…下り列車在線情報、USR…上り列車在線情報、
DSM…下り側障検マスク、USM…上り側障検マスク、
Fa…下りの踏切制御区間、Fc…上りの踏切制御区間、
Sa…下りの障検警報区間、Sb…下りの障検マスク区間、
Sc…上りの障検警報区間、Sd…上りの障検マスク区間、
Ka,Kb,Kc,Kd,Ke,Kf…列車検知区間、
EX,DEX,UEX…切替信号

Claims (3)

  1. 鉄道の線路を横切る踏切から列車検知区間が外れる状態で前記線路に設定された始動点に係る列車検知結果と、前記踏切から列車検知区間が外れる状態で前記始動点と前記踏切との間で前記線路に設定された第1検知点に係る列車検知結果と、前記踏切に列車検知区間が掛かり且つ該列車検知区間の両端のうち前記第1検知点から遠い方の区間端と前記第1検知点とが前記踏切の両側に分かれる状態で前記線路に設定された第2検知点に係る列車検知結果とを取得する入力回路と、
    前記始動点と前記第1検知点と前記第2検知点とに係る列車検知結果に基づいて前記始動点への列車進入と前記第1検知点への列車進入と前記第2検知点からの列車進出とがその順に行われたか否かを判別してその順に行われたことと前記第1検知点からの列車進出が行われたこととの双方のことを確認したときには前記踏切を列車が通過し終えたと判定する列車追跡手段と、前記始動点に係る列車検知結果と前記列車追跡手段の判定結果とに基づいて踏切警報の開始と停止を制御する踏切警報指示を生成する警報制御手段とを具備した論理回路と、
    前記踏切に設置されて踏切警報を発する踏切警報機に前記踏切警報指示を送出する出力回路とを備えている踏切制御回路。
  2. 前記列車追跡手段が、前記始動点への列車進入と前記第1検知点への列車進入との間に前記始動点からの列車進出が行われたことと、前記第1検知点への列車進入と前記第2検知点からの列車進出との間に前記第2検知点への列車進入が行われたこととの双方のことも確認してから、前記踏切を列車が通過し終えたと判定するようになっていることを特徴とする請求項1記載の踏切制御回路。
  3. 列車の車輪とレールの踏面との接触導通に基づいて列車検知を行う終止点用踏切制御子の前記線路における接続箇所を切り替えることにより第1切替状態では前記第1検知点に係る列車検知を前記終止点用踏切制御子に行わせ第2切替状態では前記第2検知点に係る列車検知を前記終止点用踏切制御子に行わせる切替回路と、前記列車追跡手段に組み込んで又は前記列車追跡手段とは別で前記論理回路に設けられていて前記始動点への列車到来時には先ず前記切替回路に前記第1切替状態をとらせてその後の前記第1検知点への列車進行時には前記切替回路に前記第2切替状態をとらせる切替制御手段とを備え、前記論理回路の前記列車追跡手段が、前記第2検知点からの列車進出を確認したら前記切替回路に前記第1切替状態をとらせた後で前記第1検知点からの列車進出を確認するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された踏切制御回路。
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