JP6342586B2 - 血液サンプル中のフィブリノゲンレベルを決定するための装置、システム及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、反応物質濃度の時変入力に基づいて凝固プロセス中の濁度増加をシミュレーションすることができるフィブリン重合のモデルを用いて血液サンプル中のフィブリノゲンレベルを決定するための装置、システム及び方法に関する。モデルは較正血漿及び標準曲線から独立している。
止血は血管損傷からの失血を止める身体の能力である;止血に関与する主要プロセスは、一次及び二次止血としばしばよばれる、損傷に応じた止血栓の形成である。健常状態において止血栓は血管系内の外傷を迅速且つ正確に塞ぎ、それによって血管内の血流を過剰に妨げることなく外傷からの血液漏出を止める。病的状態においてこの止血バランスは妨げられ、一方で過剰凝固を、又は他方で出血多量をもたらし得る。血栓症の例は静脈血栓症/血栓塞栓症、肺塞栓症、虚血性脳卒中であり、出血の例は頭蓋内出血、血友病である。止血不均衡は三つの要因、凝固性亢進/低下、血行動態変化又は内皮損傷若しくは機能不全の結果であり得、歴史的にVirchowの三原則(Virchow's triad)としても知られている。
フィブリノゲンは凝固に関与する重要なタンパク質である。正常な血流中、フィブリノゲンは可溶性である;しかしながら凝固系の活性化により、フィブリノゲンはトロンビンにより最終的にフィブリンへ変換される。フィブリンはその後不溶性フィブリン線維へ重合し、これは(活性化)血小板と一緒に、血餅を形成する。フィブリノゲンの正常レベルはおよそ2.5 g/L(約1.5-3 g/Lの範囲)である。ただし多くの場合フィブリノゲンレベルは正常範囲外であり得、これは病理学的障害と関連し得る。例えば、フィブリノゲンが好ましくなく低レベルの遺伝性低フィブリノゲン血症患者では出血傾向をもたらす。外傷若しくは外科手術患者も持続性出血のためにフィブリノゲンレベルが低下する可能性があり、血液製剤の添加により対抗され得る危険な状況に至る。薬効範囲の反対側でフィブリノゲンレベルの上昇は心筋梗塞、血栓症、関節リウマチなどの長期炎症プロセスのリスク上昇と相関することがわかっている。
こうした変動フィブリノゲンレベルと関連病理の結果として、フィブリノゲンレベルテストは有用な臨床試験である。血漿若しくは血液サンプル中のフィブリノゲンレベルを正確に検出する多くの方法が開発されており、利用可能な技術の概観として例えばPalarati et al.を参照のこと。あいにく、現在の方法は全てclot-recovery法のように非常に労働集約的であるか、又はClaussアッセイ若しくはプロトロンビン時間法のようにサンプルのフィブリノゲンレベルを推定するためにフィブリノゲンレベルがわかっている血漿サンプルから得られる標準曲線を必要とする。前者は多くのハンズオンタイムを伴い、従って自動化が困難である一方、後者は較正血漿がテストキットに含まれることを要し、それによりこれらの方法を例えばフィブリノゲンレベルを検出する携帯ポイントオブケア(POC)システムに組み込むためにより適さないものにする。
信頼できるポイントオブケアフィブリノゲンテストが利用可能でなく、中央ラボテスト発注は一般に緊急を要する状況にとって時間がかかり過ぎるので、改良されたシステムと方法の必要がある。
より信頼でき、使いやすく、外部参照から独立した、サンプル中のフィブリノゲンレベルを決定するための装置を提供することが本発明の目的である。さらに、対応するシステムと方法が提供されるものとする。
本発明の第一の態様によれば、サンプル中のフィブリノゲンレベルを決定するための装置が提示され、当該装置は、当該サンプルのフィブリン重合を示す経時的な減衰度信号を取得するための第一の入力と、当該サンプル中の反応物質濃度を示す経時的な反応物質濃度信号を取得するための第二の入力とを有し、反応物質はフィブリンへのフィブリノゲンの開裂につながる任意の物質であり、経時的なシミュレート減衰度信号を提供するために入力として反応物質濃度信号を用いるモデルを実行するシミュレーションユニットと、経時的な減衰度信号を経時的なシミュレート減衰度信号と比較することにより当該サンプルのフィブリノゲンレベルを推定するように構成される評価ユニットとを有する。
本発明の第二の態様によれば、サンプル中のフィブリノゲンレベルを決定するためのシステムが提示され、当該システムは、当該サンプルのフィブリン重合を示す経時的な減衰度信号を提供するための測定ユニット、並びに、当該サンプルのフィブリン重合を示す経時的な減衰度信号を取得するための第一の入力と、当該サンプル中の反応物質濃度を示す経時的な反応物質濃度信号を取得するための第二の入力とを有し、反応物質はフィブリンへのフィブリノゲンの開裂につながる任意の物質であり、経時的なシミュレート減衰度信号を提供するために入力として反応物質濃度信号を用いるモデルを実行するシミュレーションユニットと、経時的な減衰度信号を経時的なシミュレート減衰度信号と比較することにより当該サンプルのフィブリノゲンレベルを推定するように構成される評価ユニットとを有する装置、を有する。
本発明の第三の態様によれば、サンプル中のフィブリノゲンレベルを決定するための方法が提示され、当該方法は、当該サンプルのフィブリン重合を示す経時的な減衰度信号を取得するステップと、当該サンプル中の反応物質濃度を示す経時的な反応物質濃度信号を取得するステップとを有し、反応物質はフィブリンへのフィブリノゲンの開裂につながる任意の物質であり、経時的なシミュレート減衰度信号を提供するために入力として反応物質濃度信号を用いるモデルを実行するステップと、経時的な減衰度信号を経時的なシミュレート減衰度信号と比較することによりサンプルのフィブリノゲンレベルを推定するステップとを有する。
本発明のなおさらなる態様において、コンピュータ上でコンピュータプログラムが実行されるときに本明細書に開示の方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム、並びに、プロセッサにより実行されるときに本明細書に開示の方法を実行させるコンピュータプログラム製品を中に保存する、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
本発明は、根底にある生化学反応をあらわすモデルを用いて、及びその結果を、サンプルへの試薬の添加により凝固プロセスが開始された後にサンプルからとられる実際の測定結果と比較することにより、血漿若しくは血液サンプルの凝固プロセス、特に経時的な濁度上昇をシミュレーションするという一般概念に基づく。モデル、例えば計算モデルは、その入力として試薬の一つ以上の反応物質の時変濃度レベルを用いて凝固プロセスの態様をシミュレーションするように設計される。本明細書において反応物質はフィブリンモノマーの重合をもたらすフィブリンへのフィブリノゲンの開裂につながる任意の物質である。好適には反応物質はトロンビンである。
その後、サンプルのフィブリノゲンレベルは解析法を用いたシミュレートデータと実際の測定結果の比較から導出され得る。
有利に、本発明は追加参照を要しない。特に、本発明はサンプルのフィブリノゲンレベルを導出するために標準曲線若しくは参照血漿を要しない。従って本発明は、オフサイトで時間のかかる中央ラボテストが時代遅れになるように、スタンドアロンで、好適にはモバイルのポイントオブケアシステムで使用され得る。従って、本発明は緊急を要する状況において、例えば手術環境若しくは救急科において、有利に使用され得る。
最後に、本発明は、結果が凝固プロセスの実際の根底にある生化学反応を中心に築かれるので、等価試験よりも正確な結果を提供する。言い換えれば、モデルは凝固プロセスの経験的に導かれたデータではなく解析データに基づく。付加的に、モデルは凝固プロセスのより多くの態様が将来浮上する場合はさらに向上され最適化され得る。
本発明の好適な実施形態は従属請求項に定義される。請求される方法、プロセッサ、コンピュータプログラム及び媒体は、請求されるシステム及び従属請求項に定義されるものと同様及び/又は同一の好適な実施形態を持つことが理解されるものとする。
一実施形態によれば、シミュレーションユニットはフィブリノゲンレベルの範囲にわたって複数の経時的なシミュレート減衰度信号を評価ユニットへ提供するように構成される。この場合、サンプルのフィブリノゲンレベルは複数のシミュレート減衰度信号から推定される。そのため、好適には、これらの信号の特徴的特性が抽出され、フィブリノゲンレベルの関数として補間され、サンプルのフィブリノゲンレベルを決定するために、測定された減衰度信号から抽出される同等の特性が当該関数に対してマッピングされ得るようになっている。有利に、シミュレーションはモデルから必要な出力を生成するために一度だけ実行し、測定と並行して実行することができる。さらに、シミュレートデータは複数の後続測定のために使用され得る。
さらなる実施形態によれば、評価ユニットは減衰度信号から一つ以上の特徴的特性と、シミュレート減衰度信号から追加の一つ以上の特徴的特性を抽出するように構成され、評価ユニットはさらに一つ以上の特徴的特性を追加の一つ以上の特徴的特性とマッチさせるように構成される。信号の特異的特性のみを抽出することは、シミュレート信号と測定信号のより容易なマッチングを促進し、従って測定若しくはシミュレーションにおける所定の欠陥が相殺され得るので、より信頼できる結果を生じる。さらに、信号全体ではなく信号の一部のみが相互に比較されるだけでよいので、このアプローチを用いて計算複雑性が低減され得る。
好適には、一つ以上の特徴的特性の少なくとも一つと、追加の一つ以上の特徴的特性の少なくとも一つは、減衰度信号及びシミュレート減衰度信号の、初期減衰度と、最終、つまり凝固プロセスが(ほとんど)完全に進行した後の、減衰度との差によって定義される。減衰度信号は一般的に、最初に初期プラトーと最後に最終プラトーを持つシグモイド状形状を持ち、初期及び最終減衰度は、上記減衰度信号の、抽出しやすいが非常に際立った特性をあらわす。
さらなる実施形態によれば、シミュレーションユニットは、減衰度信号とシミュレート減衰度信号の間の誤差が最小化されるように、評価ユニットによって提供されるパラメータで少なくとももう一回モデルを再実行するように構成される。かかる反復アプローチは、シンプレックスアルゴリズム、(準)ニュートン法、勾配降下、遺伝的アルゴリズム、若しくは微分展開などの周知アルゴリズムを利用し得、従って一般的シミュレーションツールにおいて利用可能な標準及び最適化ライブラリ及びモジュールを使用し得る。このように単純で高効率なモデルの実装が実現可能である。
さらなる実施形態によれば、シミュレーションユニットはフィブリン重合の化学反応を示す少なくとも一つの常微分方程式を使用するモデルを実行するように構成される。常微分方程式(ODE)は根底にある化学反応の反応速度をモデル化するために非常によく適していることが証明されている。A+B⇔Cの形の化学反応はODE若しくはODEのセットを構築することによってコンピュータで解釈可能な(代数)方程式へ直接変換され得る。フィブリン重合で起こる酵素及び複合体集合プロセスは上述の形の化学反応のセットによってあらわされ得る。
好適には、上記少なくとも一つの常微分方程式の状態変数が反応物質濃度信号である。サンプル中の経時的な反応物質濃度などの時変入力を持つことは、根底にある化学反応がかかる入力によってよりよく、より現実的に反映されるので、非常に正確で信頼できる結果を生じる。
さらなる実施形態によれば、シミュレーションユニットは各々がフィブリン重合の化学反応を示す結合常微分方程式のセットを用いるモデルを実行するように構成され、当該セットはシミュレーションユニットによって数値的に解かれる。ODEのセットは有利に一般的なシミュレーションツールで利用可能な標準ODE解法を用いて数値的に解かれ得る。このように、一般的なシミュレーションツールを用いるモデルの容易でロバストな実装が実現可能である。
さらなる実施形態によれば、シミュレーションユニットはタンパク質複合体の濃度を決定する第一のアルゴリズム、当該濃度からフィブリン分子の平均質量/長さ比を決定する第二のアルゴリズム、及び当該質量/長さ比からサンプルの減衰度を決定する第三のアルゴリズムを少なくとも用いるモデルを実行するように構成される。かかるモデルは入力信号、すなわち反応物質濃度信号を、出力、すなわち減衰度のシミュレート信号と直接接続する。
さらなる実施形態によれば、経時的な反応物質濃度信号は反応物質固有補間公式を用いて時間離散信号から連続信号へ補間される。反応物質濃度が測定によって決定される場合、測定信号は一般的に時間離散信号であり、しばしば高い変動を示す。有利に、実証された補間関数を用いてかかる信号を補間することにより、サンプル中の実際の濃度レベルをよりよく反映する、モデルのためにより適切な入力が導出され得る。
さらなる実施形態によれば、反応物質濃度はトロンビン濃度である。トロンビンはサンプル中の可溶性フィブリノゲンを不溶性フィブリンストランドへ直接変換し、さらに多くの他の凝固関連反応を触媒するので、好適な凝固トリガーである。さらに、サンプル中のトロンビン濃度は測定によって決定され得る。
さらなる実施形態によれば、システムはサンプルの反応物質濃度の実測を提供する追加測定ユニットを有する。サンプルの実際の反応物質濃度を測定することにより、より正確なシミュレーションが実行され得るようにモデルのためのより現実的な入力が提供され得る。
好適には、上記追加測定ユニットは蛍光発生基質の開裂を観察し、これを並行した、非凝固サンプル中の一定の既知の反応物質活性に比較するように構成される。かかる測定は、特にトロンビン濃度の決定にとって、非常に正確な結果を提供し、より正確なシミュレーションにつながる。
本発明のこれらの及び他の態様は以降に記載の実施形態から明らかとなりそれらを参照して解明される。
本発明の第一の態様にかかる装置の一実施形態の略図を示す。 経時的な高変動反応物質濃度信号(細線)と、モデルの入力となる経時的な補間反応物質濃度信号(太線)を示す、測定された時間離散信号の一実施例を示す。 減衰度の段階的増加をもたらすフィブリノゲンの増加する値とともに、同じ経時的な反応物質濃度信号に対する複数の経時的なシミュレート減衰度信号の一実施例を示す。 フィブリノゲンレベルの関数としてシミュレート減衰度信号の抽出された特性の一実施例を示す。 フィブリノゲンレベルの関数として測定減衰度信号とシミュレート減衰度信号の比較から導出される誤差信号の一実施例を示す。 本発明の第二の態様にかかるシステムの一実施形態を示す。 本発明の第三の態様にかかる方法を示す。
図1は本発明にかかる装置の第一の実施形態を示す。装置は参照番号10でその全体が示される。装置はサンプル22のフィブリノゲンレベル20を決定するために、第一の入力12、第二の入力14、シミュレーションユニット16、及び評価ユニット18を有する。
サンプル22は好適には血漿サンプルであるが、代替的にこれは好適には静脈穿刺により取得される全血サンプル、又は代替的に例えば毛細管力と組み合わせて血液ランセットを用いて取得される毛細血管血のサンプルであり得る。
第一の入力12は凝固トリガー26が適用された後のサンプル22の重合を示す減衰度信号24を取得するように構成され得る。減衰度信号24は血液凝固中に起こるフィブリンネットワークの形成をあらわす。要するに、凝固因子とよばれるヒト血漿中のタンパク質は凝固トリガーの結果として複合体カスケードにおいて反応し、フィブリンストランドを形成するように重合するフィブリンモノマーの形成を最終的にもたらす。これらのフィブリンストランドは結合が強く、結果としてゲル状構造を持つ。
凝固血漿若しくは血液サンプルの減衰度は、フィブリンネットワークがサンプルの凝固中に形成される結果として経時的に変化する。フィブリン線維は凝固トリガーがサンプルに適用された後に形成される。これらのフィブリン線維は入射光の散乱をもたらし、検出器に達する光子の減少につながる。光子の実際の吸光度と、例えば干渉に起因する光子損失の他の原因は、凝固中経時的に一定であるとみなされ、従って減衰度、及びその結果透過率の減少と、10を底とする透過率の対数である光学密度の増加は、サンプル中で形成されるフィブリン線維による入射光の散乱のみによるものであるとみなされる。物質の減衰度はlog10(P0/P)であり、P0はサンプルに入射する放射力であり、Pはサンプルによって透過される放射力である。この量は-log10(T)でもあり、Tは透過率である。減衰度はしばしば文献において'光学密度'、'濁度'、又は'吸光度(extinction)'などの用語でよばれる。'吸光度(absorbance)'(シンボル:A)という名前もしばしばこの量のために使用されるが、これは放射の減衰が吸光ではなく散乱に起因するときの量にとって明らかに不適切である。量自体は減衰度(シンボル:D)とよばれ、無視できる散乱若しくは反射があるとき、減衰度は吸光度に帰着することを述べておく。減衰度が散乱に帰着する場合、科学者は典型的には-ln(T)とみなされる'濁度'という語を使用し得ることが留意されるべきである。後者の場合、'濁度'は透過率を測定することによって推定され得る。溶液中の粒子に起因する散乱を実際に測定するために、小角散乱若しくは比濁法などの特殊技術が利用可能である。当業者は本明細書で請求されるものを、サンプル中の、濁度、透過率、光学密度、吸光度、並びに、光減衰の、若しくはより好適な、溶液中の粒子に起因する散乱の、考えられる他の尺度へ変換することができる。
減衰度信号24は、サンプル22中の光の散乱若しくは吸光に起因する透過光の強度減衰を示すアナログ若しくはデジタル信号であり得、そこからサンプルの濁度若しくは吸光度特性が導出され得る。
第二の入力14はサンプル22中の反応物質濃度を示す反応物質濃度信号28を取得するように構成され得る。反応物質濃度信号28は凝固トリガー26としてサンプルに加えられる試薬の濃度、又は凝固プロセスに関与する中間反応物質の任意の他の濃度をあらわすアナログ若しくはデジタル信号であり得る。第二の入力14は単一信号を取得することに限られず、凝固プロセスに関与する試薬濃度を示す追加信号若しくは他のプロセス変数も受信し得ることが留意されるものとする。第二の入力14は、例えば手動入力として、又は凝固トリガー26が加えられた後にサンプル22からとられる実測により(後者が好適である)、サンプル22に加えられる凝固トリガー26の量から直接反応物質濃度信号28を取得し得る。
好適な実施形態において反応物質濃度信号28は図2に関してより詳細に記載される通りサンプル22への凝固トリガー26として利用可能なトロンビンの濃度を示し得る。凝固はトロンビンの添加で開始される必要はないことが留意されるものとする。他の組織因子が代わりに添加されてもよく、トロンビン濃度は反応物質濃度信号28を導出するために経時的に測定される。好適な実施形態において添加されるトロンビン濃度は1 NIH U/mLより大きい。
代替的に、別の実施形態において、バトロキソビン若しくはレプチラーゼなどのヘビ毒トロンビン様酵素(SVTLE)が凝固をトリガーするために使用され得、有利に、SVTLEは血漿サンプル中の天然阻害剤によって阻害されない。
反応物質濃度信号28と減衰度信号24は、組み合わせてサンプル22中のフィブリノゲンレベル20を決定することができるシミュレーションユニット16及び評価ユニット18への入力をあらわす。好適な実施形態において、シミュレーションユニット16と評価ユニット18はここではコンピュータ30によって例示される単一コンピュータデバイスに組み込まれる。コンピュータデバイスはスタンドアロンPC、ワークステーション、臨床判断支援(CDS)システムの一つ以上のモジュール、専用コンピュータデバイス、若しくは例えばウェブサービスとして提供される分散コンピュータ手段であり得る。
シミュレーションユニット16は一つ以上の反応物質濃度信号28を入力として用いるモデル32を実行し走らせるように構成される。好適には、モデルは計算モデルである。シミュレーションユニット16の出力はとりわけ、ここでは参照番号34で示される異なるフィブリノゲンレベルの範囲にわたる一つ以上のシミュレート減衰度信号を含み得る。
評価ユニット18は測定された減衰度信号24と、シミュレーションユニット16によって提供される一つ以上のシミュレート減衰度信号34からサンプル22の実際のフィブリノゲンレベル20を推定するように構成される。
以下、シミュレーションユニット16によって実行されるモデル32と、評価ユニット18による実際のフィブリノゲンレベル20の推定が、図2と3及び図4と5をそれぞれ参照してより詳細に説明される。
モデル32はフィブリン重合の数学的表現であり得、フィブリンの重合はA+B⇔Cの形の化学反応として記述され得る酵素反応と重合反応の組み合わせである。
モデル32はフィブリン重合をシミュレーションするためにコンピュータ解釈可能な(代数)方程式としてこれらの化学反応を組み込む。好適には、化学反応はここで、化学反応の反応速度をあらわす結合常微分方程式(ODE)のセットとしてあらわされる。一般的形式でODEは次式によって与えられる:
Figure 0006342586
θは全反応速度パラメータを含むm次元ベクトルであり、yは状態のn次元ベクトル(ここではモデルに含まれる異なる酵素及び重合成分の濃度)であり、tは時間であり、y0はt=0におけるyに対する数値のベクトルである。関数fはモデルに組み込まれる反応の表現である所与のベクトル関数である。
モデルに組み込まれる個々の反応の実施例は以下の通りであり得る:
不活化フィブリノゲンモノマーからのフィブリノペプチドAの開裂を表現する。最初にF2aがA部位に結合し、その後F2aとフィブリノゲンが解離し得るか、又はF2aがフィブリノゲンモノマーを開裂し得る(r1として):
Figure 0006342586
ただしここでフィブリノペプチドBが開裂する(r2として):
Figure 0006342586
ただしここで前原線維の一部であり得る部分的に活性化したdesAAフィブリンモノマーからフィブリノペプチドBが開裂する(r1として):
Figure 0006342586
ただしここでフィブリノペプチドAが部分的に活性化したフィブリンモノマーから開裂する:
Figure 0006342586
別のF2aがFn-F2a(A)複合体の非占有B部位に結合する。この複合体は解離し得るか又はF2aがFpAを複合体から開裂し得る(r5として):
Figure 0006342586
ただしここでF2aが非占有A部位へ結合し、FpAが開裂する:
Figure 0006342586
前原線維形成/成長∀n,m=1,…,29、P1はdesAA Fn若しくはFn:
Figure 0006342586
線維開始、F1は所定長の前原線維であり、F1=Pn、Pn∀n=1,…,30:
Figure 0006342586
線維成長∀k=1,…,11,/=1,…,10:
Figure 0006342586
かかる化学反応は関与する分子の濃度の変化の速度をあらわす反応速度式へ変換され得る。分子A及びBから分子Cへの可逆反応、すなわち
Figure 0006342586
について、反応速度νはν=k+[A][B]-k-[C]として与えられ得、角括弧は濃度をあらわす。関連するODEは次式としてあらわされ得る:
Figure 0006342586
不可逆反応の場合項k-[C]はゼロに設定され得る。特定分子のODEは分子が関与する全反応速度の総和である。
好適な実施形態においてモデルは144のODE/状態をもたらし、うち12が酵素部分に属し、132が前原線維及び線維形成に属する。かかる結合ODEのセットは、例えばMATLAB(The MathWorks Inc., Natick, MA, USA)若しくは他の数値計算ツールにおいて利用可能な標準ODE解法を用いて数値的に解かれ得る。
経時的にODEによって得られる分子濃度から、サンプルのシミュレート減衰度が導出され得る。重合フィブリンのサンプルにおいて、光の減衰のほとんどは形成された線維の表面上の光散乱の結果である。従って、光強度の減衰は全散乱角にわたる積分として定義され得る。線維のような細い棒状粒子に起因する散乱は、光の波長よりもかなり小さい粒子による光若しくは他の電磁放射の弾性散乱を記述するレイリー散乱理論を用いて推定され得る。
ODEから得られるタンパク質(複合体)の濃度のシミュレーションされた時間プロファイルを減衰度に接続することを可能にするために、シミュレーションされたフィブリン分子の質量/長さが決定され得る。シミュレーションされたフィブリン分子(いかなる形態であれ、例えばモノマー、前原線維、線維)の平均質量/長さはそれらの濃度によって加重される各粒子の質量/長さである:
Figure 0006342586
ciは粒子iの濃度であり、ctotalは全粒子の濃度であり、μiは、単一モノマーの質量及び長さと組み合わせて粒子(例えばモノマー、前原線維、線維など)中のモノマーの数とモノマーの位置を用いることによって計算される粒子iの質量/長さ比である。全粒子について縦及び横方向のモノマーの平均数がシミュレーション中に観察され得、それにより全時点における質量/長さ比を計算することを可能にする。さらに、一つより多くのフィブリンモノマーを含む粒子の長さは次式を用いて近似され得る:
Figure 0006342586
Nlongitudinalは線維の縦方向におけるモノマーの(平均)数であり、Lmonomerは単一モノマーの長さ、すなわち45nmである。係数1/2は線維の半ねじれ(half-staggered)形成の結果である。明らかに、フィブリノゲン及びフィブリンモノマーは45nmの長さを割り当てられる。
減衰度を計算するために必要な粒子の平均半径rは、線維の形状が近似により円柱体積に等しいという仮定と組み合わせて、およそ0.28 g/cm3であるフィブリンネットワークの既知の密度を用いて溶液中の粒子の平均半径を推定することによって導出され得る。
最後に、上記推定を考慮して、シミュレート減衰度が次式を用いて計算され得る:
Figure 0006342586
NAは密度をDa/cm3に変換するアボガドロ数であり、μはダルトン毎センチメートルでの線維の平均質量/長さ比であり、A及びBは別々の実験で、又は異なる波長における既知の溶質濃度の固定質量/長さ比の減衰度を測定することによって決定され得る集中定数である。好適な実施形態において632.8 nmの波長におけるAとBに対する値はそれぞれ6.76 x 1022と1.41 x 1024である。
図2はシミュレーションユニット16のモデル32への入力として使用され得る反応物質濃度信号28の一実施例を図で描く。ここで、反応物質濃度信号28はサンプル22中のトロンビン濃度36(縦軸)をあらわす。トロンビンは好適な凝固トリガー26として使用され得る。これはサンプル22中の可溶性フィブリノゲンをフィブリンの不溶性ストランドへ変換し、多くの他の凝固関連反応を触媒するセリンプロテアーゼとしてはたらく。フィブリンストランドはその後フィブリンネットワークを形成することにより重合して、血漿のゲル化を生じ、これはとりわけ上述の通り減衰度を決定することによって測定され得る。システムはここで例示する通り試薬としてトロンビンに限定されず、フィブリノゲンに関して同様の活性を持つ他のタンパク質又は異なる試薬の組み合わせさえも同様に考えられることが留意されるものとする。
図2に描かれるトロンビン濃度36は時間40(横軸)にわたるサンプル中のトロンビン濃度の実際の測定38に由来する。別の実施形態においてサンプルのトロンビン濃度はサンプル22へ凝固トリガー26として加えられるトロンビンの量によって導出され得る。代替的に、トロンビン濃度はその初期濃度値によって推定され、経時的に一定値として扱われ得る。一般に、経時的なサンプル中の反応物質濃度の実際の測定38が好ましい。かかる測定は減衰度信号24の測定と並列に、直列に、又は同時に実行され得る。
さらに、トロンビン濃度の実際の時間離散測定38は、例えば以下の補間公式(Wagenvoord et al. J Thromb Haem 4: 1331-1338)を用いて、補間によって近似され得る:
Figure 0006342586
tは時間であり、a、b、cとt0は実験的に決定されるトロンビン濃度データにフィッティングされている正の定数である。
好適な実施形態において補間は上記W関数と組み合わされる指数フィッティングのクロスオーバーフィッティングを用いる時間離散減衰度信号38のハイブリッド補間によってさらに向上され得る。ハイブリッドフィッティングは、フィッティングされた指数関数を、それがフィッティングされたW関数と交差するまでたどり、二つの関数が交差しない場合、任意に20 nMのトロンビン濃度において遷移がなされ得る。補間の結果は連続信号42であり、これはその後モデル32への入力として使用される。言い換えれば、モデル32への入力は好適には、時間離散若しくは連続測定38から導出される、補間された連続信号42である。
図3を参照すると、モデル32の出力の一実施例が記載される。図は異なるフィブリノゲンレベルの範囲にわたって複数の経時的なシミュレート減衰度信号34のプロット44を示す。減衰度46はここで垂直軸上にプロットされ、時間40は水平軸上にプロットされる。参照番号48は、例えば2 g/Lのフィブリノゲンレベルに対するシミュレート減衰度信号を示す。プロット44によってあらわされる個々のシミュレート減衰度信号は一般的に開始プラトー、終了プラトー、及び中間の傾斜を持つシグモイド形状によって特徴付けられ、それぞれ開始プラトーは初期減衰度50を定義し、終了プラトーは最終減衰度52を定義する。初期減衰度50と最終減衰度52の差は2 g/Lのフィブリノゲンレベルに対する減衰度信号例48についてここで参照番号54で示されるΔ減衰度を定義する。Δ減衰度54は、抽出しやすいが非常に特徴的な、シミュレート減衰度信号44の好適な特性をあらわす。シミュレート減衰度信号44のΔ減衰度と、測定減衰度信号24から抽出されるΔ減衰度は、以下で図4及び図5を参照してより詳細に説明される通り、サンプルのフィブリノゲンレベルを推定するためにシミュレート減衰度と測定減衰度の比較のために使用され得る。
モデル出力と測定減衰度信号24から、評価ユニット18は二つの入力を相互に比較することによりサンプル22の実際のフィブリノゲンレベル20を推定し得る。これは多数の方法で、例えばΔ減衰度54など、測定減衰度信号から抽出される固有特性を、シミュレート減衰度信号34から抽出される同じ特性と比較することによって、なされ得る。好適には、複数のシミュレート減衰度信号44から抽出される特性から、フィブリノゲンレベルについての上記特性の関数が導出される。その後、測定減衰度信号24から抽出されるΔ減衰度が当該関数に対してマッピングされ、フィブリノゲンレベル20を決定する。
かかる手順は特性としてΔ減衰度に限定されないことが留意されるものとする。曲線全体、減衰度信号の最大傾斜(最大速度)、遅延時間、最大傾斜までの時間、プラトーまでの時間及び低プラトーまでの時間などといった他の特性が、フィブリノゲンレベルを推定するために同様に使用され得る。より信頼できる結果を得るために複数の特性が組み合わせて使用され得ることも考えられる。さらに、比較はフィブリン重合のモデルの他の出力に、例えば重合プロセス中に形成されるフィブリン線維の平均質量/長さ比の時間発展に基づいてもよい。
図4を参照すると、関連特性としてΔ減衰度54を用いるかかる比較の一実施例が例示される。図4はフィブリノゲンレベル58の関数としてシミュレートΔ減衰度54のプロット56を示す。測定された減衰度信号から抽出されるΔ減衰度60をこの関数56に対してマッピングすることにより、プロット56からサンプルのフィブリノゲンレベル20が導出され得る。ここで、例えば、0.83の実際に観察されたΔ減衰度60は3.14159 g/Lのフィブリノゲンレベル20に関連する。
図5を参照すると、測定及びシミュレート減衰度信号からフィブリノゲンレベルを推定する代替アプローチが例示される。ここで、測定減衰度信号とシミュレート減衰度信号の差は、減衰度信号とシミュレート減衰度信号の差が最小化されるような方法でシミュレーション実行のフィブリノゲンレベルに対する入力パラメータを適応させることにより、最小化される。言い換えれば、評価ユニットは、測定減衰度信号とシミュレート減衰度信号の差、又はそこから導出される特性が所定閾値未満のままであるように、適応されたパラメータ、特に異なるフィブリノゲンレベルで少なくとももう一回、シミュレーションユニットによるシミュレーションを再実行する。適応されたパラメータは異なるフィブリノゲンレベルに限定されないことが留意されるものとする。他のパラメータが同様に考えられる。かかる手順のために使用される既知のアルゴリズムは、例えば、シンプレックスアルゴリズム、(準)ニュートン法、勾配降下、遺伝的アルゴリズム、及び微分展開である。
図5は、各シミュレーション実行ごとにフィブリノゲンレベルに対するパラメータを変えることにより、観察された減衰度信号とシミュレート減衰度信号の誤差が最小化されている、かかる手順の結果を例示する。図5のプロット62はフィブリノゲンレベル62の関数として残差平方和(the sum of the squared error)64を示し、ここでは最小頂点66である、最小誤差を反映する点は、サンプルのフィブリノゲンレベルをマークする。ここで、例えば、白丸で示される3.14159 g/Lのフィブリノゲンレベルが決定される。所与の実施例では完全な信号が比較されている。代替的に、信号の特性のみが代わりに比較のために使用され得る。
図6は本発明にかかるシステムの一実施形態例を示す。システムはこの実施形態において、図1を参照して詳述された装置10、測定ユニット13及びシグナリングユニット15を有する。
測定ユニット13はサンプル22のフィブリン重合を示す減衰度信号24を取得するように構成される任意の装置であり得る。好適には、測定ユニット13は光源と、サンプルを通過する光の強度を経時的な関数として決定する対応する光検出器とを有する。測定結果は好適にはアナログ若しくはデジタル信号として与えられ、処理のために装置10の第一の入力12へ渡される。
付加的に、システムはサンプル22中の反応物質濃度を示す反応物質濃度信号28を提供するように構成される任意の装置であり得るシグナリングユニット15を有し得る。一実施形態においてシグナリングユニット15は初期反応物質濃度を単一定数として手動で与えるための単純な入力ユニットであり得る。好適な実施形態において、シグナリングユニット15は経時的な反応物質濃度を示す実際の連続測定結果を提供するように構成される追加測定ユニットを有する。そのため、追加測定ユニットは参照番号68で示される通りサンプル22に加えられる凝固トリガー26の量を連続的に測定し得るか、又は好適には、追加測定ユニットは直接サンプルから実際の反応物質濃度を決定する。これは例えばここでは参照番号70で示される較正自動トロンビン測定(CAT-TGA)を用いてなされ得る。
シグナリングユニット15は単一システムを提供することに限定されないことが留意されるものとする。シグナリングユニット15がシミュレーションユニット16によって使用される追加信号を入力14へ与えることが考えられる。さらに、入力12及び入力14は論理レベルで別々のユニットであるだけであってもよいことが留意されるものとする。入力12及び14は関連信号を取得することが可能な単一インターフェースに統合されてもよい。入力12と入力14はこのように単一ネットワークアダプタ若しくはUSBポートとして実現され得る。
測定ユニット13とシグナリングユニット15によって提供される信号から装置10は図1から5を参照して詳述された通りフィブリノゲンレベルを決定する。
別の実施形態においてシステムは好適にはテストキットに分割されてもよく、これは所要の入力信号を取得するために必要なラボ実験を実行するカートリッジ、試薬などと、当該入力信号を受け取り、シミュレーション及び評価を実行してサンプルのフィブリノゲンレベルを決定する装置10を有する。テストキットは使用後に処分される使い捨てキットであり得るが、一方装置10は好適には再利用可能である。
別の実施形態において、テストキットはサンプル及び試薬用の保持固定具として二つの吸入口を持つポータブルデバイスであり得る。サンプルは吸入口へ挿入され、他の吸入口へ挿入される適切な試薬を添加され得る。好適には、試薬はいかなるマニュアルエラーをも回避するために自動的にサンプルへ加えられる。ポータブルデバイスはさらに、シミュレーション及び評価のために必要な信号を取得するために必要な測定をサンプルからとる測定ユニットを含み得る。シミュレーション及び評価は好適にはポータブルデバイス自体によってではなく、ポータブルデバイスに接続するコンピュータデバイスによって実行される。そのため、ポータブルデバイスは、所要の計算を実行し得る臨床判断支援システムのワークステーション若しくはターミナルに好適には無線で接続され得る。当該計算の結果はポータブルデバイス及びその上のディスプレイへ返されるか、又はCDSに保存され得る。
図7を参照すると、本発明にかかる方法100の個別ステップが例示される。方法は分析される血漿若しくは血液サンプルの入力で開始する。第一のステップ102において、経時的な減衰度信号が、好適にはサンプルを透過する光の強度減衰の連続測定から取得される。かかる経時的な減衰度信号は、サンプルを照射するために使用される光源の強度に対するサンプルを通過する光の強度としてあらわされ得る。一般的に、取得される減衰度信号は時間離散値を持つ時間離散信号である。かかる信号は連続信号としてあらわされるようにさらに補間され得る。
次のステップ104において追加入力信号、すなわち上記サンプル中の反応物質濃度を示す経時的な反応物質濃度信号が取得される。かかる信号は試薬の所与の初期濃度により、又はサンプル中の反応物質濃度の直接測定により取得され得る。後者はトロンビンが一つの反応物質である場合いわゆる較正自動トロンビン測定(CAT-TGA)により達成され得る。そのため、蛍光発生基質の開裂が観察され、並行した非凝固サンプル中の一定の既知の反応物質活性と比較される。標準トロンビン生成アッセイは数十秒ごとに蛍光を測定する。
好適には、かかる測定は減衰度信号の測定と同じ条件下で上記サンプルからとられる。さらにより好適には、両測定は相互に対して同時に起こる。選択的に、測定は連続して実行される。読み出される時間離散信号は図2を参照して詳述した通り連続信号へ移され得る。
経時的な減衰度信号と経時的な反応物濃度信号を取得して、反応物濃度信号を入力としてステップ106下でモデルが実行される。シミュレーションの出力は少なくとも一つのシミュレート減衰度信号を有し、これはその後ステップ108下でフィブリノゲンレベルを推定するために使用され得る。
ステップ108は複数の方法で実行され得る。シミュレート減衰度信号は、前に測定された減衰度信号へシミュレート減衰度信号をフィッティングするようにフィブリノゲンレベルに対する入力パラメータを変えることにより反復的に適応される単一信号であり得る。そのため、シミュレーションはシミュレート信号と測定信号の誤差、又はその特性が最小化されるまで、ここでは破線矢印110で示される通り複数回再実行され得る。誤差が最小化されると、フィブリノゲンレベルに対する入力パラメータはサンプルのフィブリノゲンレベル20をあらわし、方法は終了する。
代替的に、ステップ106下でシミュレーションによって生成される複数のシミュレート減衰度信号がある。この場合ステップ108下でサンプルのフィブリノゲンレベル20を導出するためにシミュレート減衰度信号と測定減衰度信号若しくはその特性の比較が実行される。好適な実施形態例では減衰度信号の初期値と最終値の差が決定され、フィブリノゲンレベルの関数として補間され得る。当該関数と、測定された初期減衰度と最終減衰度の差から、サンプルのフィブリノゲンレベル20が決定され得る。フィブリノゲンレベル20の決定を最適化するために他の特性若しくは信号全体が選択的に若しくは付加的に使用され得る。かかる他の特性は信号の傾斜(最大速度)、遅延時間、最大傾斜までの時間、プラトーまでの時間、若しくは低プラトーまでの時間であり得る。
付加的に、ステップ106下でシミュレーションの他の出力がフィブリノゲンレベル20を決定するために使用され得ることが留意されるものとする。一つの具体的な選択肢は重合プロセス中に形成されるフィブリン線維の平均質量/長さ比の時間発展であり得る。
個々のステップ102から108は手動で実行され得るが、自動若しくは半自動プロセスが好適である。さらに、方法ステップ若しくは方法100全体が一般的PC若しくはワークステーションなどのコンピュータデバイス上で実装されるコンピュータプログラムを用いて実行され得る。付加的に、方法ステップは図7に描かれるものと異なる順番で実行され得るか、又は相互に関して並行して実行され得る。緊急を要する状況においてシミュレーションの一部のみが実行される必要があるように、一部のシミュレーション態様を事前に実行することも可能であり得る。
さらに、シミュレートデータはその後の測定のために、又はモデル自体のパラメータを最適化するために保存され再利用され得る。
最後に、方法100は本明細書で開示のモデルに限定されず、フィブリン重合をあらわす他のモデルでも使用され得ることが留意されるものとする。
本発明は図面と先の説明において詳細に図示され記載されているが、かかる図示と記載は例示若しくは説明であって限定ではないとみなされ、本発明は開示の実施形態に限定されない。開示の実施形態への他の変更は、図面、開示及び添付の請求項の考察から、請求される発明を実施する上で当業者により理解されもたらされることができる。
請求項において、"有する"という語は他の要素若しくはステップを除外せず、不定冠詞"a"若しくは"an"は複数を除外しない。単一の要素若しくは他のユニットは請求項に列挙される複数の項目の機能を満たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に若しくはその一部として供給される光学記憶媒体若しくはソリッドステート媒体などの適切な非一時的媒体上に保存/分散され得るが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムなどを介して、他の形式で分散されてもよい。
請求項における任意の参照符号は範囲を限定するものと解釈されてはならない。

Claims (15)

  1. サンプル中のフィブリノゲンレベルを決定するための装置であって、
    前記サンプルのフィブリン重合を示す経時的な減衰度信号を取得するための第一の入力と、
    前記サンプル中の反応物質濃度を示す経時的な反応物質濃度信号を取得するための第二の入力であって、反応物質はフィブリンへのフィブリノゲンの開裂につながる物質である、第二の入力と、
    経時的なシミュレート減衰度信号を提供するために前記反応物質濃度信号を入力として用いるモデルを実行するシミュレーションユニットと、
    前記経時的な減衰度信号を前記経時的なシミュレート減衰度信号と比較することにより前記サンプルのフィブリノゲンレベルを推定するように構成される評価ユニットと
    を有する装置。
  2. 前記シミュレーションユニットが、フィブリノゲンレベルの範囲にわたって複数の経時的なシミュレート減衰度信号を前記評価ユニットへ提供するように構成される、請求項1に記載の装置。
  3. 前記評価ユニットが、前記減衰度信号から一つ以上の特徴的特性と、前記シミュレート減衰度信号から追加の一つ以上の特徴的特性を抽出するように構成され、前記評価ユニットがさらに、前記一つ以上の特徴的特性を前記追加の一つ以上の特徴的特性とマッチさせるように構成される、請求項1に記載の装置。
  4. 前記一つ以上の特徴的特性の少なくとも一つと、前記追加の一つ以上の特徴的特性の少なくとも一つが、前記減衰度信号の初期減衰度と最終減衰度の差によって定義される、請求項3に記載の装置。
  5. 前記シミュレーションユニットが、前記減衰度信号と前記シミュレート減衰度信号の誤差が最小化されるように、前記評価ユニットにより提供されるパラメータで少なくとももう一回前記モデルを再実行するように構成される、請求項1に記載の装置。
  6. 前記シミュレーションユニットが、フィブリン重合の化学反応を示す少なくとも一つの常微分方程式を用いるモデルを実行するように構成される、請求項1に記載の装置。
  7. 前記少なくとも一つの常微分方程式の状態変数が前記反応物質濃度信号である、請求項6に記載の装置。
  8. 前記シミュレーションユニットが、各々がフィブリン重合に関与する化学反応を示す結合常微分方程式のセットを用いるモデルを実行するように構成され、当該セットが前記シミュレーションユニットにより数値的に解かれる、請求項1に記載の装置。
  9. 前記シミュレーションユニットが、経時的なタンパク質及びタンパク質複合体の濃度を決定する第一のアルゴリズムと、当該濃度からフィブリン分子の平均質量/長さ比を決定する第二のアルゴリズムと、当該質量/長さ比から前記サンプルの減衰度を決定する第三のアルゴリズムを少なくとも用いるモデルを実行するように構成される、請求項1に記載の装置。
  10. 前記経時的な反応物質濃度信号が反応物質固有補間公式を用いて時間離散信号から連続信号へ補間される、請求項1に記載の装置。
  11. サンプル中のフィブリノゲンレベルを決定するためのシステムであって、
    前記サンプルのフィブリン重合を示す経時的な減衰度信号を提供するための測定ユニットと、
    請求項1に記載の装置と
    を有するシステム。
  12. 前記サンプルの反応物質濃度の実際の測定結果を提供するための追加測定ユニットをさらに有する、請求項11に記載のシステム。
  13. 前記測定ユニットと前記追加測定ユニットが並行して前記サンプルの測定結果を生成するように構成される、請求項11に記載のシステム。
  14. サンプル中のフィブリノゲンレベルを決定するための方法であって、
    前記サンプルのフィブリン重合を示す経時的な減衰度信号を取得するステップと、
    前記サンプル中の反応物質濃度を示す経時的な反応物質濃度信号を取得するステップであって、反応物質はフィブリンへのフィブリノゲンの開裂につながる物質である、ステップと、
    経時的なシミュレート減衰度信号を提供するために前記反応物質濃度信号を入力として用いるモデルを実行するステップと、
    前記経時的な減衰度信号と前記経時的なシミュレート減衰度信号を比較することにより前記サンプルのフィブリノゲンレベルを推定するステップと
    を有する方法。
  15. コンピュータ上で実行されるときに請求項14に記載の方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
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