JP6342211B2 - 抗菌剤 - Google Patents

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Description

本発明は、抗菌剤に関する。
多剤耐性菌の蔓延は、抗菌剤を使用した治療分野等において大きな問題となっている。多剤耐性菌のうち、緑膿菌等は、種々の抗菌剤に対して特に耐性を獲得しやすく、院内感染等をもたらしている。
他方、従来より、植物中に含まれる成分は、優れた抗菌作用を有することが知られる。例えば、クマザサ等のササエキスは、種々の病原菌に対する抗菌作用を有する(特許文献1等参照)。
特開2010−209066号公報
しかし、長期にわたって繰り返し治療を要する疾患(褥瘡等)においても使用できる薬剤は見出されていなかった。例えば、褥瘡等の主要な病原菌である緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌等は、種々の抗菌剤に対して特に耐性を獲得しやすいので、抗菌剤の効果を長期にわたって奏することができないという問題があった。
クマザサエキスには抗菌作用があることが知られているが、クマザサエキスに対する病原菌の感受性を失わせずに、患者に対して、クマザサエキスを長期にわたって繰り返し投与可能であるかについての検討は全く行われていない。
したがって、特定の薬剤に対する病原菌の感受性を失わせずに、患者に対して、長期にわたって繰り返し投与可能な抗菌剤に対するニーズ、換言すれば、病原菌における薬剤に対する耐性の獲得を抑制できる抗菌剤に対するニーズがあった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌からなる群から選択される1種以上におけるクマザサエキスに対する耐性の獲得を抑制できる抗菌剤の提供を目的とする。
本発明者らは、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌においては、クマザサエキスを繰り返し投与しても、クマザサエキスに対する感受性が失われず、クマザサエキスに対する耐性の獲得が抑制されていることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌からなる群から選択される1種以上の病原菌におけるクマザサエキスに対する耐性の獲得を抑制するための抗菌剤であり、
前記抗菌剤は、クマザサエキスを含む抗菌剤。
(2) 前記抗菌剤は、複数回投与するものである(1)に記載の抗菌剤。
(3) 前記複数回投与において、後の投与における抗菌剤の投与量と、先の投与における抗菌剤の投与量との差が、先の投与における抗菌剤の投与量の20.0質量%以下であることを含む(2)に記載の抗菌剤。
(4) 前記抗菌剤は、褥瘡治療に用いられる(1)〜(3)のいずれかに記載の抗菌剤。
(5) 前記抗菌剤中のクマザサエキスの濃度は、前記抗菌剤全体に対して、固形分で1.00〜50.0質量%である(1)〜(4)のいずれかに記載の抗菌剤。
本発明によれば、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌からなる群から選択される1種以上におけるクマザサエキスに対する耐性の獲得を抑制できる抗菌剤が提供される。
クマザサエキス等による緑膿菌に対する抗菌活性を示す図である。 クマザサエキス等による緑膿菌に対する抗菌活性を示す写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明は、クマザサエキスを含有する抗菌剤である。従来より、クマザサエキスは、単回投与により、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌等を死滅等させる抗菌作用を有することが知られていた。つまり、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌等は、いずれも、クマザサエキスに対して感受性を有する病原菌として知られていたものの、クマザサエキスを長期にわたって繰り返し投与した場合においても、これらの病原菌がその感受性を失わないかどうかについては不明であった。なお、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌からなる群から選択される1種以上の病原菌を、以下、「本発明における病原菌」ともいう。
本発明者による検討の結果、極めて意外なことに、上記の病原菌が有するクマザサエキスに対する感受性が、クマザサエキスの存在下で該病原菌を何代にもわたって継代しても失われないことが見出された。つまり、クマザサエキスを含有する本発明の抗菌剤によれば、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌におけるクマザサに対する耐性の獲得を抑制することができる。このような効果は、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌等が、クマザサエキスの単回投与によって死滅又は低減するという従来知られていた抗菌作用とは明確に異なる。なぜならば、従来の知見は、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌等を継代培養しても、これらの病原菌がクマザサエキスへの感受性を失わないかどうかを予測させるものではないからである。
したがって、本発明の抗菌剤によれば、クマザサエキスに対して感受性を有する上記の病原菌を死滅等させるだけではなく、該病原菌の感受性を何代にもわたって維持できるので、本発明の抗菌剤を長期にわたって繰り返し投与しても、所望の抗菌作用を奏し続けることができる。
本発明の抗菌剤によって、本発明における病原菌の感受性を何代にもわたって維持できる理由は明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、一般的な多剤療法によって示されるとおり、作用機序の異なる複数の抗菌物質を投与すると、これらの抗菌物質に対する耐性は同時に生じにくいので、単剤療法と比較して抗菌作用を長期にわたって維持しやすい。クマザサエキスには、未知の成分も含め、多種の抗菌物質が含まれるため、病原菌において、これらの抗菌物質に対する耐性が同時に生じる可能性は極めて低く、クマザサエキスに対する耐性を獲得する可能性が著しく低下するものと考えられる。
本発明の抗菌剤中には、クマザサエキスが、抗菌剤全体に対して、固形分で1.00〜50.0質量%、好ましくは2.00〜25.0質量%、さらに好ましくは4.00〜10.0質量%含まれていてもよい。本発明の抗菌剤中のクマザサエキスの固形分濃度が1.00質量%未満であると、目的とする抗菌性の発現が不充分である可能性がある。一方、本発明の抗菌剤中のクマザサエキスの固形分濃度が50.0質量%を超えると、刺激が強くなる可能性がある。抗菌剤中のクマザサエキスの固形分濃度は、抗菌活性を指標とするバイオアッセイ法によって特定する。
本発明において使用するクマザサエキスは、クマザサの生葉又は乾燥葉(葉には桿が含まれていてもよい。)を、100〜180℃の水で、常圧又は加圧抽出して得られるものが好ましい。
クマザサエキスの抽出方法は特に限定されないが、例えば、特許第3212278号(特開平11−196818号公報)に記載された方法を使用することができる。さらに具体的には、加圧熱水抽出機により100〜180℃、5〜30分処理してエキスを抽出し、該エキスを水分分離器により含水固形分(含水率40〜70%)と分離し、次に飽和水蒸気加熱処理機により該含水固形分を100℃〜200℃で5分〜60分処理した後、再度加圧熱水抽出機により100℃〜180℃で5〜30分処理してエキスを抽出させ、第1回目と第2回目のエキスを合わせて使用する。また、クマザサ乾燥葉を例えば、60〜100℃の水で30分〜12時間程度抽出して得られるエキスも使用できる。
また、下記実施例に示すように、撹拌手段及び水蒸気注入手段を備える圧力容器によって処理されたクマザサから抽出されたエキスも使用できる。該抽出方法によれば、クマザサに含まれるオリゴ糖の量を損なわずにエキスを回収できるので好ましい。
クマザサエキスを固形分で1.00〜75.0質量%含有する市販品としては、株式会社鳳凰堂の「TWEBS」がある。
上記のように得られるクマザサエキスは、硫黄成分を含有しており、その含有量は硫黄に換算して、クマザサエキスの固形分1gあたり約4〜10mg(通常は約6〜9mg)である。硫黄成分のうち主たる成分は含硫アミノ酸と考えられる。本発明の抗菌剤は、クマザサエキス由来の硫黄成分を、硫黄に換算して100gあたり、好ましくは4〜500mg、さらに好ましくは8〜250mg、最も好ましくは16〜150mg含有する。
また、クマザサエキスはタンニンを含んでおり、その含有量はクマザサエキスの固形分に対して固形分濃度で5.00〜15.0質量%程度である。本発明の抗菌剤は、タンニンを、クマザサエキスの固形分に対して固形分濃度で好ましくは0.05〜7.50質量%、さらに好ましくは0.10〜6.00質量%含有することが望ましい。抗菌剤中のクマザサエキスのタンニン濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって特定する。
本発明の抗菌剤は、クマザサエキスのみを有効成分とするものであってもよいが、さらに適量の有機酸を併用することにより、その抗菌効果をさらに向上させることができる。このような有機酸としては、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、蟻酸、フマル酸、酢酸、安息香酸、フェニル酢酸、サリチル酸、フェノール類等が挙げられる。本発明の抗菌剤中の有機酸の使用量は、抗菌剤全体に対して、好ましくは0.01〜5.00質量%、さらに好ましくは0.02〜3.00質量%、最も好ましくは0.05〜1.50質量%である。抗菌剤中の有機酸濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって特定する。
本発明の抗菌剤は、クマザサエキスからなるものであってもよいし、クマザサエキスを他の成分、担体等と混合したものであってもよい。
本発明の抗菌剤に含まれ得る他の成分としては、水(水道水、天然水、精製水等)、通常の抗菌剤に使用される油性成分、保湿剤、防腐剤、安定化剤、創傷治癒剤、界面活性剤等が挙げられる。これらの成分の種類や配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜調整できる。
油性成分としては、スクワラン、動物性油(牛脂、豚脂、馬油、ラノリン、蜜蝋等)、植物性油(オリーブ油、グレープシード油、パーム油、ホホバ油、胚芽油(例えば、米胚芽油)等)、流動パラフィン、高級脂肪酸エステル(例えば、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル)、合成油(例えば、シリコーン油)、半合成油が挙げられる。
保湿剤としては、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、アロエエキス(特に、木立アロエ由来のアロエエキス(2)が好ましい)、尿素、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、トレハロース、ソルビトール、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
防腐剤は、クマザサエキス自体に抗菌作用があるため補助的に用いられるものである。例えば、安息香酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸低級アルキルエステル(例えば、メチル、エチル、プロピル又はブチルエステル等のパラベンと称されるもの)、プロピオン酸ナトリウム、混合脂肪酸エステル(カプリン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル−2、ラウリン酸ポリグリセリル−10の混合物)、フェノキシエタノール、感光素201号(黄色色素)、1,2−ペンタンジオール等が挙げられるが、パラベン、混合脂肪酸エステル、1,2−ペンタンジオールが好ましい。
安定化剤としては、カルボキシビニルポリマーと水酸化カリウムとの組み合わせ、ジステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
創傷治癒剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、カンゾウエキス、ヨモギエキス等が挙げられる。
界面活性剤としては、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等が挙げられる。
以上の各成分に、水、及び必要により有機酸を加えて全体で100質量%とする。本発明において、「抗菌剤全体」とは、クマザサエキスだけではなく、抗菌剤に含まれるその他の成分の総量を指す。
本発明の抗菌剤の剤型は特に限定されないが、液体状、固体状、気体状のいずれであってもよい。本発明の抗菌剤は、局所投与、経口投与、非経口投与のいずれの投与形態で投与してもよい。局所投与剤の剤型としては、本発明の抗菌剤を、天然繊維又は合成繊維製のガーゼ等の担体に含浸させたもの等が挙げられる。経口投与形態としては、例えば、錠剤、丸剤、粉剤、液剤、ドリンク剤等が挙げられる。非経口投与形態としては、注射剤、局所投与剤(クリーム、軟膏等)、座薬等が挙げられる。
本発明の抗菌剤は、ヒトはもとより、ヒト以外の哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類等に対して好ましく投与できる。したがって、本発明の抗菌剤は、これらの動物用の抗菌剤(例えば、ペット用医薬、ペットフード等)として使用することができる。
本発明の抗菌剤は、一般的な組成物の製造方法によって製造できる。例えば、上記の各成分を、撹拌翼等を備えた加熱混合釜に投入し、70〜90℃で、1〜2時間撹拌混合することで、本発明の抗菌剤を得ることができる。
本発明の抗菌剤は、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌のクマザサエキスに対する感受性を失わせず、上記の病原菌における、クマザサエキスに対する耐性の獲得を抑制できるので、長期(例えば、数ヶ月(例えば、1ヶ月)〜数年(例えば、5年))にわたって繰り返し投与できる。したがって、本発明の抗菌剤は、複数回(例えば、2〜100回)の投与を要する疾患の治療に好ましく使用できる。また、クマザサエキスの濃度を高めたり、投与量を増やしたりしなくとも、長期にわたって所望の治療効果を奏し続けることが期待できる。
複数回投与を行う場合、クマザサエキスの濃度は、上記の、抗菌剤中のクマザサエキス配合量の範囲で調整できる。複数回の投与における抗菌剤の投与量としては、投与期間にわたって同量を投与してもよいが、異なる量を投与してもよい。投与量を増やす場合、後の投与における抗菌剤の投与量と、先の投与における抗菌剤の投与量との差が、先の投与における抗菌剤の投与量の20.0質量%以下、好ましくは0.01〜20.0質量%となるように調整してもよい。「後の投与における抗菌剤の投与量と、先の投与における抗菌剤の投与量との差が、先の投与における抗菌剤の投与量の20.0質量%以下である」とは、具体的には、後の投与における抗菌剤の投与量を「100」とした場合、先の投与における抗菌剤の投与量が「83.3」以上である場合を指す(かかる場合、「先の投与における抗菌剤の投与量の20.0質量%以下」とは、「16.7」以下である。)。複数回投与において、少なくとも1対の先の投与及び後の投与における抗菌剤の投与量の差が、上記の範囲を満たすことが好ましい。複数回投与において、全ての投与にわたって、先の投与及び後の投与における抗菌剤の投与量の差が、上記の範囲を満たすことがさらに好ましい。なお、「投与量」とは、抗菌剤全体に対するクマザサエキスの固形分量(単位:質量%)ベースで算出する。
本発明の抗菌剤を局所投与する場合、例えば、クマザサエキス固形分として体重1kgあたり0.01〜0.1g程度を1日1〜5回、1日間以上(さらには数ヶ月(例えば、1〜6ヶ月))にわたって投与することができる。本発明の抗菌剤を経口投与する場合、例えば、クマザサエキス固形分として体重1kgあたり0.01〜0.1g程度を1日1〜5回、1日間以上(さらには数ヶ月(例えば、1〜6ヶ月))にわたって投与することができる。摂取量、摂取回数は症状に合わせ適宜増減できる。本発明の抗菌剤を非経口投与する場合、クマザサエキス固形分として体重1kgあたり0.01〜0.1g程度を1日1〜5回、1日間以上(さらには数ヶ月(例えば、1〜6ヶ月))にわたって投与することができる。投与量、投与回数は症状に合わせ適宜増減できる。
本発明の抗菌剤は、上記のとおり、長期にわたって繰り返し投与しても所望の抗菌作用を奏し続けることができるので、例えば、褥瘡等の疾患の治療において好ましく使用できる。これらの疾患は、いずれも、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及び大腸菌からなる群から選択される1種以上の菌が病原菌であり、長期にわたる治療を要するものである。しかし、従来の抗菌剤は、繰り返し使用しているうちに、病原菌が該抗菌剤への感受性を失って該抗菌剤に対する耐性を獲得してしまうので、所望の治療効果を奏し続けることができなかった。他方、本発明の抗菌剤によれば、長期にわたって繰り返し投与することができ、褥瘡等の疾患を特に効果的に治療できる。
本発明における病原菌が、クマザサエキスに対する感受性を失っていないか、つまり、クマザサエキスに対する耐性の獲得を抑制できているかは、下記実施例に記載される、米国臨床検査標準委員会(CLSI)推奨のディスク法に基づいて判定できる。ディスク法に基づく検討の結果、阻止円の直径が0mmではない場合、本発明における病原菌は、クマザサエキスに対する感受性を失っておらず、クマザサエキスに対する耐性の獲得が抑制されていると判定される。本発明の抗菌剤によれば、本発明における病原菌をクマザサエキスの存在下で継代培養しても、何代にもわたって、阻止円の直径の縮小が抑制されており、クマザサエキスに対する耐性の獲得が抑制されている。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<参考例1:クマザサエキスの製造>
クマザサの乾燥葉を、撹拌手段及び水蒸気注入手段を備える圧力容器に入れた。圧力容器内の圧力を1.45MPa〜1.96MPaに設定し、圧力容器の上部温度及び下部温度を130℃〜210℃に保持した。圧力容器内を撹拌しながら、水蒸気注入手段から水蒸気を圧力容器内に注入した。クマザサの桿部や葉部が加水分解し、クマザサの桿部や葉部が原液又は粉末になるまで、約20分間、圧力処理を行った。圧力容器から排出された生成物を遠心分離してクマザサエキス原液を回収し、該原液を珪藻土ろ過し、次いで、固形分50.0質量%となるまで減圧濃縮し、クマザサエキス(Brix(糖度)50%)を得た。
<実施例1;クマザサエキスによる緑膿菌に対する抗菌活性の検討>
クマザサエキスや公知の抗菌剤(ゲンタマイシン及びシプロフロキサシン)が、緑膿菌に対して抗菌活性を示すかについて検討した。該検討においては、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC27853を使用した。
抗菌活性の検討は、米国臨床検査標準委員会(CLSI)推奨のディスク法に基づき実施した。すなわち、緑膿菌をミューラーヒントン寒天培地において発育させた後、マクファーランド比濁法にしたがい、濁度がMacFarland0.5となるように滅菌生理食塩水中に懸濁させ、緑膿菌含有懸濁液を得た。次いで、新たにミューラーヒントン寒天培地を作製し、培地表面の水分を乾燥させた後、滅菌済み綿棒を使用して、緑膿菌含有懸濁液を培地表面全体に塗布し、抗菌活性評価用培地を調製した。
直径8mmの円形ろ紙に、クマザサエキスを、ろ紙1枚あたり30μl含浸させ、クマザサエキス含浸ディスクを調製した。得られたクマザサエキス含浸ディスクを、抗菌活性評価用培地1枚あたり3枚ずつ、正三角形の配置になるようにピンセットで置き、35℃で一晩培養した。ゲンタマイシン含浸ディスク、シプロフロキサシン含浸ディスクとして、それぞれ、KBディスク ゲンタマイシン(10μg力価、栄研化学株式会社製)、KBディスク シプロフロキサシン(5μg力価、栄研化学株式会社製)を使用し、同様に抗菌活性評価用培地上に配置し、培養を行った。培養後、抗菌活性評価用培地に生じた阻止円の直径をノギスにて測定した。上記の測定は同内容で3回(n=3)ずつ行った。
上記測定により得られた阻止円の直径の値を、継代回数1回目の値(単位:mm)であると設定した。その結果を表1に示す。例えば、表1中、クマザサエキスを試料として用いた試験においては、「16.3」、「18.3」、「17.4」が継代回数1回目の値である。得られた阻止円の外周に最も近い部分に発育したコロニー集団を、sub−MIC(最小抗菌濃度)で発育したコロニー集団とみなした。このコロニー集団を回収し、濁度がMacFarland0.5となるように滅菌生理食塩水中に懸濁させて、得られた懸濁液を、上記同様に、抗菌活性評価用培地に塗布し、薬剤含浸ディスクを3枚置き、35℃で一晩培養した。培養後、抗菌活性評価用培地に生じた阻止円の直径を測定し、継代回数2回目の値を得た。同様の操作(コロニー集団の回収から阻止円の直径の測定までの操作)を合計6回行い、得られた値に基づき、緑膿菌に対する耐性が獲得されたかどうかを判定した。その結果を表1、並びに、図1及び2に示す。なお、図2は、継代回数5回目における阻止円の写真である。なお、図2(C)に示されるとおり、シプロフロキサシンを試料とした試験においては、継代回数5回目で、阻止円内に耐性突然変異コロニーが認められた。この結果は、阻止円の直径が0mmであるものとして判定した。
阻止円の直径が小さい値であるほど、緑膿菌が薬剤に対して耐性を有する状態であることを示す。表1、並びに、図1及び2に示されるとおり、クマザサエキスの存在下では、継代回数が増えても、阻止円の直径が小さくならず、緑膿菌がクマザサエキスに対する感受性を維持していることがわかる。したがって、本発明の抗菌剤によれば、長期にわたって繰り返し投与しても、緑膿菌のクマザサエキスに対する耐性の獲得を抑制できるので、緑膿菌に対する抗菌活性を長期間維持できる。
他方、ゲンタマイシン又はシプロフロキサシンの存在下では、継代回数が増えるにしたがって、阻止円の直径が小さくなり、緑膿菌がゲンタマイシン又はシプロフロキサシンに対する感受性を失っていることがわかる。つまり、ゲンタマイシン又はシプロフロキサシンに対しては、緑膿菌は耐性を獲得してしまう。
<実施例2:黄色ブドウ球菌を使用した抗菌活性の検討−1>
増量的継代法に基づき、クマザサエキスが、クマザサエキスに対する黄色ブドウ球菌の耐性を誘導するかについて検討した。該検討においては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC25923を使用した。
GAM半流動培地中に、クマザサエキスが0.25〜8.00質量%となるように、2倍希釈系列を調製した。濁度がMacFarland0.5となるように調整した黄色ブドウ球菌液を、一白金耳量(黄色ブドウ球菌数10個に相当する)、上記培地中に接種し、穿刺培養法によって24時間培養した。
培養後、希釈系列のうち、培地上において、穿刺部位に沿った明らかな菌の増殖が認められた最大濃度(この濃度を「最大増殖可能濃度」という。)の試験管の菌増殖部位を滅菌パスツールピペットで吸引した。なお、このときの最大増殖可能濃度は0.25質量%だった。得られた吸引物を、新たな試験管内で均一に分布させた後、その一白金耳量を、上記同様に別途調製した2倍希釈系列に接種し、穿刺培養法によって24時間培養した。培養後、上記同様に吸引及び接種を行い、合計11回の継代を15日間(1日に1度の培養を9回行い、2日に1度の培養を1回行い、3日に1度の培養を1回行った。)にわたり実施した。
その結果、0.25質量%であった最大増殖可能濃度は、1代の継代によって0.50質量%に、2代の継代によって1.00質量%まで上昇したが、3代〜11代継代までの間は1.00質量%を維持した。つまり、黄色ブドウ球菌は、長期にわたってクマザサエキスに対する感受性を維持し、クマザサエキスに対する耐性を獲得しづらかった。したがって、本発明の抗菌剤によれば、長期にわたって繰り返し投与しても、黄色ブドウ球菌のクマザサエキスに対する耐性の獲得を抑制できるので、黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を長期間維持できる。
<参考例2:黄色ブドウ球菌を使用した抗菌活性の検討−2>
クマザサエキスが、黄色ブドウ球菌の増殖曲線に及ぼす影響を検討した。該検討においては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC25923を使用した。
参考例1で製造したクマザサエキスを滅菌蒸留水で希釈してクマザサエキス水溶液とした。クマザサエキスの最終濃度が0.00、0.25、0.50、1.00、2.00、又は4.00質量%となるようにミューラーヒントン(MH)液体培地を作製した。黄色ブドウ球菌(寒天希釈法での最小発育阻止濃度0.50質量%)を、MHブイヨン1mlあたり、菌数が104−5個となるように調整した。黄色ブドウ球菌の接種後1時間、3時間、6時間後の生菌数を寒天平板希釈法により測定した。
その結果、最終濃度0.25質量%のクマザサエキスは、黄色ブドウ球菌に対して静菌的に作用した。また、最終濃度0.50〜4.00質量%のクマザサエキスは、黄色ブドウ球菌に対して殺菌的に作用した。クマザサエキスの黄色ブドウ球菌に対する殺菌力は、0.50〜2.00質量%での間で濃度依存的であった。
<参考例3:大腸菌を使用した抗菌活性の検討>
クマザサエキスが、大腸菌の増殖曲線に及ぼす影響を検討した。該検討においては、大腸菌(Escherichia coli)ATCC25922を使用した。
参考例1で製造したクマザサエキスを滅菌蒸留水で希釈してクマザサエキス水溶液とした。クマザサエキスの最終濃度が5.00質量%となるようにブレーンハートインフュージョン(BHI)寒天培地を作製した。大腸菌(寒天希釈法での最小発育阻止濃度5.00質量%)を滅菌蒸留水によって希釈し、BHIブイヨン1mlあたり、菌数が106−7個となるように調整し、寒天培地表面に一様に塗布した。大腸菌の接種後6時間後の生菌数を寒天平板希釈法により測定した。
その結果、最終濃度5.00質量%のクマザサエキスは、大腸菌に対して静菌的に作用した。

Claims (3)

  1. 緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌からなる群から選択される1種以上の病原菌におけるクマザサエキスに対する耐性の獲得を抑制するための抗菌剤であり、
    前記抗菌剤は、クマザサエキスを含み、
    前記抗菌剤は、褥瘡治療に用いられ、
    前記抗菌剤の剤型は、経口投与形態、又は、注射剤、クリーム、軟膏、及び座薬からなる群から選択される非経口投与形態のいずれかであ
    前記抗菌剤は、複数回投与するものである、抗菌剤。
  2. 前記複数回投与において、後の投与における抗菌剤の投与量と、先の投与における抗菌剤の投与量との差が、先の投与における抗菌剤の投与量の20.0質量%以下であることを含む請求項に記載の抗菌剤。
  3. 前記抗菌剤中のクマザサエキスの濃度は、前記抗菌剤全体に対して、固形分で1.00〜50.0質量%である請求項1又は2に記載の抗菌剤。
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