次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る外観検査システム1における照明装置M1及び撮像装置D1の構成について、図1〜図7を参照して説明する。
照明装置M1は、図1及び図2に示すように、大別して、光源ユニット3と光学処理系Ucを備える。光源ユニット3は、図3に示すように、中央に配した第一光源ブロックB1及びこの第一光源ブロックB1の周囲に配した第二光源ブロックB2を備えて構成するとともに、光学処理系Ucは、光軸を第一光源ブロックB1に一致させるとともに、光源ユニット3の光Coを、等方性の照射角度を有する光Cpsに変換し、検査対象面Sdに照射する機能を備える。これにより、ライン照明Cを行うことができるライン照明装置M1を構成できる。
以下、ライン照明装置M1の具体的構成について説明する。21はキャビネットを示し、平坦かつ前後に長いベース盤21bとこのベース盤21bの上方を覆うカバー体21cからなる。カバー体21cは前後の端面部が開放されている。また、ベース盤21bの後端位置には後端板部22を配設し、この後端板部22の内面に光源ユニット3を取付けるとともに、この光源ユニット3の前方であって、ベース盤21b上には、図1及び図2に示すように、前段光学ユニット4,多光源化ユニット5,後段光学部6を、光軸方向Fs前方へ順次配し、光学処理系Ucとして構成する。
光源ユニット3は、図3に示すように、複数の光源部、例示は、九つの光源部3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3iを備え、横方向(X方向)三列,縦方向(Y方向)三行となるように、マトリクス状に配する。なお、X方向は、後述するライン照明Cのライン方向Fxであり、Y方向はラインの幅方向Fyである。そして、一つの光源部3a(他の光源部3b,3c…3iも同じ)は、四個のLED(発光ダイオード)11…を横方向に配列させるとともに、矩形基板23の面上に実装して構成する。なお、LED11…の色は白色である。使用するLEDとしては指向性の比較的高いタイプが望ましい。
これにより、各光源部3a…において、中央に配した一つの光源部3eが第一光源ブロックB1を構成し、周囲に配した八つの光源部3a…3d及び3f…3iが第二光源ブロックB2を構成する。各光源部3a…は選択使用或いは組合せ使用が可能である。このように、光源ユニット3を構成するに際し、横方向に三列,縦方向に三行となる、マトリクス状に配した計九つの光源部3a,3b…3iを設け、中央の光源部3eを第一光源ブロックB1とし、周囲八つの光源部3a…3d及び3f…3iを第二光源ブロックB2として用いれば、必要最少限の光源部3a,3b…3iにより、明視野照明及び暗視野照明、更には上述した各種検査機能を実現できるため、システム全体における有効なサイズダウン及びコストダウンに寄与できる利点がある。また、各光源部3a…はLED11…を用いて構成したため、LEDの有する高指向性,低消費電力性,長寿命性,小型軽量性,点滅高速性等の各種メリットを享受でき、特に、外観検査システム1にとって最適な照明装置M1を構築できる利点がある。
一方、各光源部3a…から出射した光Co…は、光学処理系Ucにおける前段光学ユニット4に入射する。前段光学ユニット4は、図4に示すように、各光源部3a,3b…から出射した光をそれぞれ透過させるとともに、ユニットフレーム24に支持される複数(例示は九つ)のコリメータレンズ部4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4iを備える。したがって、各コリメータレンズ部4a…は各光源部3a…に対応した位置に配する。一つのコリメータレンズ部4e(他のコリメータレンズ部4a…4d及び4f…4iも同じ)は、図1及び図7に示すように、前後に配した一対のコリメータレンズ4ep,4eqにより構成し、透過する光に対する前段の光学調整、即ち、光源部3e…からの光が平行光Cp…となるように調整(変換)する機能を備える。
そして、各コリメータレンズ部4a…から出射した平行光Cp…は、多光源化ユニット5に入射する。多光源化ユニット5は、図5に示すように、ユニットフレーム25に支持される複数(例示は九つ)の多光源化部5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5h,5iを備える。したがって、各多光源化部5a…は、各コリメータレンズ部4a…に対応した位置に配する。一つの多光源化部5e(他の多光源化部5a…5d及び5f…5iも同じ)は、コリメータレンズ部4eから出射した平行光Cpを複数の小光源部5s…に変換して多光源化する機能を備える。
多光源化部5eは、図1及び図7に示すように、前後に配した一対のインテグレータレンズ12,12を用いて構成する。一つのインテグレータレンズ12を図6に示す。このインテグレータレンズ12は、各入射面(又は出射面)12sfがライン状の小光源部5s…となる複数のロッドレンズ部12s…を縦横マトリクス状に配して構成したものである。多光源化部5e…として、このようなインテグレータレンズ12…を用いれば、多光源化を実現するに際し、少ない部品点数により容易かつ高品質に多光源化できるとともに、均質性の高いライン照明Cを生成する最も望ましい実施形態とすることができる。
また、各ロッドレンズ部12s…の形状は同一であって、かつライン方向Fxに細長の長方形となるとともに、ロッドレンズ部12sの入射面(又は出射面)12sfにおけるX方向及びY方向の断面はいずれも所定の曲率により円弧形成する。この場合、各ロッドレンズ部12s…から出射する各光Cps…の形状(出射面12sfの形状)と検査対象面Sdにおけるライン照明Cの形状は相似形状となる。即ち、各ロッドレンズ部12s…から出射する各光Cps…は、後述する後段光学部6を介して集光され、かつ重畳されたライン照明Cとなる。したがって、小傷等であってもクリアに見ることができ、明瞭で確実な検出機能を確保できるとともに、見落としが生じにくいため、信頼性及び安定性の高い外観検査システム1を実現できる。
ところで、ロッドレンズ部12sを設計するに際しては、図6に示すように、出射面12sfにおける、ライン方向Fxの長さLxsを、幅方向Fyの長さLysに対して5倍以上に設定する。通常、リニアタイプの撮像系を構成するCCD等のリニアイメージセンサは、ドット状に形成された多数の撮像素子(受光素子)がライン方向に配列した構成を備えており、ライン方向Fxの長さは、幅方向Fyの長さに対して数千倍程度となる。
したがって、ライン照明Cにおいても、ライン方向Fxの長さLxsを、幅方向Fyの長さLysに対して数千倍程度に設定すれば、無駄な照明部分をより少なくし、リニア撮像系に対してマッチングさせることができるため、効率的なライン照明Cを行うことができる。しかし、ロッドレンズ部12sをモールド成形する場合、現時点では、製造上の制約もあり、リニア撮像系に対してマッチングさせることは困難である。しかし、可能な限り、この倍率を大きくすることが望ましく、これにより、より細いライン照明Cが可能になるため、リニア撮像系に対して、よりマッチングさせることができる。したがって、この倍率を5倍以上に設定すれば、少なくともライン状の照明を行う観点からは、その目的を実現できるとともに、製造技術面が許容する限り、できるだけ大きな倍率を設定することが望ましい。
また、このようなインテグレータレンズ12は、透明な合成樹脂素材を使用し、複数のロッドレンズ部12s…をモールド成形により一体に形成できる。このように形成すれば、金型を用いたプラスチック成形法により容易かつ低コストに製作できるとともに、量産性にも優れる利点がある。そして、多光源化部5eを構成するに際しては、同一のインテグレータレンズ12を二つ用意し、前後に並べて配する。これにより、一方が入光側のインテグレータレンズ12となり、他方が出光側のインテグレータレンズとなる。この際、一方のインテグレータレンズ12の入射面12sf…側と他方のインテグレータレンズ12の出射面12sf…側は相互に反対側を向くことになる。
一方、後段光学部6は、全てのロッドレンズ部12s…における出射面12sf…から出射する各光Cps…を集光するとともに、等方性の照射角度を有する光Cpsに変換し、検査対象面Sdに照射する機能を備える。このため、後段光学部6には、前後に配した二つのレンズブロック6p,6qを備える。この場合、ベース盤21bの前端位置には出射用レンズブロック6qを配するとともに、出射用レンズブロック6qと多光源化ユニット5間には調整用レンズブロック6pを配する。なお、出射用レンズブロック6qは、前後に配した二つの平凸レンズ6qm,6qnにより構成するとともに、調整用レンズブロック6pは両凸レンズにより構成する。さらに、出射用レンズブロック6qには、各光Cps…の出射範囲を規制する開口窓28oを有する出射光規制部28を付設する。この場合、開口窓28oの形状にはライン照明Cが透過できる形状を選定し、出射光規制部28はベース盤21bの前端位置に配する。このように、出射用レンズブロック6qに、光Cps…の出射範囲を規制する開口窓28oを有する出射光規制部28を付設すれば、無用な光Cps…の拡散や進入を防止できるため、良質のライン照明Cを行える利点がある。
なお、前段光学ユニット4,多光源化ユニット5,後段光学部6の一部となる調整用レンズブロック6p,の全部又は一部は、ベース盤21bの上面に形成した凹状のガイド部26に沿って光軸方向Fsへ変位させることができる。これにより、光軸方向Fsの位置を変更し、フォーカシング調整等の光学調整を行うことができる。一方、Mcは光源ユニット3の点灯制御を行う照明コントローラであり、前述した光源ユニット3を接続する。これにより、光源ユニット3における各光源ブロック3a,3b,3c…のLED11…に対する点灯/消灯制御を各光源ブロック3a,3b,3c…単位で行うことができるとともに、必要に応じて照度等の調整を行うことができる。
他方、撮像装置D1は、図1に示すように、上述した照明装置M1により照射された検査対象面Sdを撮像し、かつ画像処理部D3による画像処理により検査対象面Sdの外観検査を行う機能を備える。このため、撮像装置D1には、例えば、CCD等のリニアイメージセンサを用いたリニア撮像部D2を内蔵する。したがって、例示のリニア撮像部D2は、ドット状に形成された多数の撮像素子(受光素子)がライン方向に配列した構成を備えている。また、例示の撮像装置D1は、リニア撮像部D2の手前に第二レンズ部52を備えるとともに、前端位置には第一レンズ部51を備えている。さらに、第一レンズ部51と第二レンズ部52間には、瞳(入射瞳)Dirを備える。この場合、入射瞳Dirは、第一光源ブロックB1からの光Cpsを透過し、かつ第二光源ブロックB2からの光Cpsを非透過にするように設定される。一方、リニア撮像部D2は、マイクロコンピュータを利用したデータ記憶処理やデータ演算処理を含む各種データ処理機能及び各種制御機能を有するシステムコントローラDcに接続する。したがって、システムコントローラDcには、リニア撮像部D2から得られる画像データを処理して外観検査を行う画像処理部53を内蔵する。このシステムコントローラDcは前述した照明コントローラMcに対して相互通信可能にすることが望ましい。
このように、撮像部D2として、リニア撮像部(D2)を用いれば、CCD等の比較的小型で簡易なリニアイメージセンサを使用できるため、撮像装置D1側のサイズダウン及びコストダウンに寄与できる利点がある。また、光学処理系Ucを構成するに際し、光源部3a…から出射した光Co…を平行光Cp…に変換する前段光学部4a…と、この前段光学部4a…から出射した平行光Cp…を複数のライン状の小光源部5s…に変換して多光源化する多光源化部5a…と、各小光源部5s…から出射した各光Cps…を集光し、検査対象面Sdに照射してライン照明Cに変換する後段光学部6とを備えて構成すれば、X方向とY方向における照射角度(入射角度)の異方性を有効に解消できる。これにより、検査対象面SdにおけるX方向とY方向の見え方に差を生じる不具合を解消でき、もって、高品質かつ均一性(均質性)の高いライン照明Cを行うことができる。この結果、欠陥部分の形状やサイズが誤って認識される不具合を解消し、明瞭で確実な検出機能を確保した信頼性の高い外観検査システム1を構築できる。
次に、本実施形態に係る外観検査システム1の使用方法及び各部の動作について、図1〜図9を参照して説明する。
図8(図1)は、透過方式による外観検査システム1を例示する。同図において、Gは検査対象物であり、一例として、透明なガラスプレート製品を示す。したがって、このガラスプレート製品Gの表面が検査対象面Sdとなり、ガラスプレート製品Gの一方の面(検査対象面Sd)には撮像装置D1を対面させて配するとともに、他方の面にライン照明装置M1を対面させて配する。
このようなシステム構成を有する外観検査システム1の全体の動作は次のようになる。まず、検査動作時には、撮像装置D1におけるリニア撮像部D2によりライン方向(X方向)に沿った画像読取りが行われるとともに、所定周期により繰り返し行われる。また、例示の場合、ガラスプレート製品Gは停止状態にあり、リニア撮像部D2及びライン照明装置M1が、X方向(ライン方向Fx)に対して直角方向となるY方向へ移動する。一方、リニア撮像部D2により読取ったイメージデータはシステムコントローラDcに付与される。システムコントローラDcには画像処理部53を内蔵するため、この画像処理部53による画像処理が行われるとともに、検査対象面Sdにおけるキズや汚れ等の欠陥に対する検出処理が行われる。この際、ライン照明装置M1は、リニア撮像部D2により撮像する検査対象面Sdに対するライン照明Cを行う。このライン照明Cは、検査対象面Sdに対して裏側から照射され、光Cpsはガラスプレート製品Gを透過して撮像装置D1側に至る。その他、図8において、61は撮像装置D1とライン照明装置M1を連結する連結部を示すとともに、62は連結部61をY方向(紙面表裏方向)に移動させる移動装置を示す。
なお、外観検査システム1として、図8(図1)に示す透過方式により構成した場合を説明したが、図9に示すような反射方式により構成してもよい。図9に示す反射方式の外観検査システム1は、撮像装置D1及びライン照明装置M1の双方を、ガラスプレート製品Gの一方側の面に対して配設するという基本的な構成を備える。例示の構成は、撮像装置D1とライン照明装置M1の位置を固定し、ガラスプレート製品Gを、搬送装置63により矢印Fc方向へ搬送するようにした。さらに、ライン照明装置M1を配設するに際しては、検査対象面Sdに対する直角線Hに対してQiの角度でライン照明Cを照射できるように、位置及び角度を選定して配設するとともに、撮像装置D1を配設するに際しては、同直角線Hに対してQeの角度で反射する光Cpsが入射できる位置及び角度を選定して配設する。
次に、本実施形態に係る外観検査システム1の各種使用例(各種検査機能)について、図7及び図10〜図16を参照して説明する。
本実施形態に係る外観検査システム1は、照明コントローラMcにより、光源ユニット3の点灯制御、即ち、各光源部3a…3iの選択的な点灯制御により様々な照明モードを実現する。
最初に、明視野照明モードと暗視野照明モードによる外観検査機能について、図7及び図10〜図13を参照して説明する。
まず、明視野照明モードでは、図10(a)に示すように、ライン照明装置M1における第一光源ブロックB1を構成する中央に配した一つの光源部3eのみ点灯させ、この第一光源ブロックB1の周囲に配した第二光源ブロックB2、即ち、他の八つの光源部3a…3d及び3f…3iを消灯させる点灯パターンとなる。これにより、光源部3eにおける横方向(ライン方向Fx)に並んだ四個のLED11…が点灯し、図7に示すように、所定の指向特性及び光分布特性を有する光Coが出射し、前段光学ユニット4における対応するコリメータレンズブロック4eに入射する。コリメータレンズブロック4eは、前後に配した一対のコリメータレンズ4ep,4eqを備えており、コリメータレンズブロック4eを透過した光Coは収差が補正された平行光Cpに調整(変換)される。
そして、この平行光Cpは、多光源化ユニット5における対応する多光源化部5eに入射する。これにより、平行光Cpは、前後に配した一対のインテグレータレンズ12,12により多光源化され、後段のインテグレータレンズ12の各ロッドレンズ部12s…における各出射面12sf…からそれぞれ光Cps…が出射する。この光Cps…はいわば多数のライン状の光源による均一性のある光分布特性となる。
各出射面12sf…から出射した光Cps…は、全て調整用レンズブロック6pに入射するとともに、さらに、出射用レンズブロック6qを介して外部に照射される。この際、出射用レンズブロック6qから出射した各光Cps…は重畳し、検査対象面Sdに対しては一本のライン照明Cとなって照射される。図10(c)に、ライン方向Fxにおける光Cpsを示すとともに、図10(b)に、幅方向Fyにおける光Cpsを示す。ライン照明Cのライン方向Fxの長さはLxとなり、ライン照明Cの幅方向Fyの長さはLyとなる(図12(a),(b)参照)。なお、図10(b),(c)において、51,52は撮像装置D1に内蔵するレンズ、D2はリニア撮像部(リニアイメージセンサ)、Dirは入射瞳を示す。
明視野照明モードの場合、図10(b),(c)から明らかなように、検査対象面Sdにおけるライン照明Cが照射された部位は、そのまま撮像画像として全て入射瞳Dirを通過し、有効な画像データとして画像処理される。ところで、この場合、図12に示すように、検査対象面Sdに対する幅方向Fyから見た入射角度Qy(同図(a))と検査対象面Sdに対するライン方向Fxから見た入射角度Qx(同図(b))は、等しくなるように設定(設計)される。また、図13に示すように、インテグレータレンズ12のどの位置から出射した光Cps…であっても検査対象面Sdにおけるライン照明Cの位置に重畳するように設定(設計)されている。
したがって、検査対象面Sdに対する入射角度(照射角度)の異方性を有効に解消でき、均一性に優れたライン照明Cを行うことができる。これにより、例えば、格子状の黒パターンが表示された面に対してライン照明Cを行った場合、この黒パターンのY方向とX方向は共に濃い黒色に見え、良好なコントラストを示す。なお、入射角度に異方性を有する従来の照明の場合には、格子状の黒パターンにおけるY方向がX方向よりも薄く見えたり細く見えてしまう。即ち、X方向とY方向の見え方に差を生じ、検査対象となる欠陥部分の形状やサイズが誤って認識されるが、本実施形態に係る外観検査システム1に備えるライン照明装置M1ではこのような不具合が解消される。この結果、検査品質の向上、さらには外観検査システム1の信頼性向上に寄与できるとともに、特に、明視野照明モードで用いた場合、指向性の高い照明となり、検査対象面Sdにおけるパターンエッジのコントラストを高めることができる。
一方、暗視野照明モードでは、図11(a)に示すように、第一光源ブロックB1となる中央の光源部3eのみを消灯させ、第二光源ブロックB2、即ち、光源部3eを除いた他の全ての光源部3a…3d及び3f…3iを点灯させる点灯パターンとなる。図11(c)に、ライン方向Fxにおける光線を示すとともに、図11(b)に、幅方向Fyにおける光線を示す。この場合、ライン照明Cのライン方向Fxの長さはLxとなり、ライン照明Cの幅方向Fxの長さはLyとなる。なお、図11(b),(c)において、51,52は撮像装置D1に内蔵するレンズ、D2はリニア撮像部(リニアイメージセンサ)、Dirは入射瞳を示す。
暗視野照明モードの場合、図11(b),(c)から明らかなように、検査対象面Sdにおけるライン照明Cに照射された部位は、全て入射瞳Dirを避けた周囲に分散し、リニア撮像部D2には届かないように設定(設計)される。したがって、リニア撮像部D2によりライン照明Cが直接撮像されることがないとともに、ライン照射Cが照射された検査対象面Sdは画像として撮像される。即ち、暗視野照明による外観検査が可能となる。このような暗視野照明モードは、凹凸や傾斜のある部分による散乱光を画像化できる利点がある。
以上、明視野照明モードと暗視野照明モードについて説明したが、九つの光源部3a…3iを全て同時に点灯させる全照明モードによる照明も可能である。この場合、上述した明視野照明モードによる検出と暗視野照明モードによる検出の双方を同時に行うことができる。このような全照明モードでは、拡散性を有する従来のような照明を行うことができる。また、各光源部3a…のON/OFF切換タイミングとリニア撮像部D2からのデータ取込タイミングを同時に制御し、1回のスキャニングにより、1ライン目は明視野照明による画像を取り込み、2ライン目は明視野照明及び暗視野照明による画像を取り込み、3ライン目は暗視野照明による画像を取り込めば、三つの照明モードによる同時検出も可能となる。
次に、一部キャンセル照明モードによる外観検査機能について、図14及び図15を参照して説明する。
図14は、光源ユニット3において、中央列の縦に配した上下二つの光源部3bと3hのみを点灯させ、残りの光源部3a,3c,3d,3e,3f,3g,3iを消灯させる点灯パターンとなる。この場合、左右両側に位置する光源部3a…,3c…を点灯させないため、左右両側からの散乱光の進入が無くなる。したがって、図14(a)に示すように、検査対象面Sdに縦線Kvが正常に存在する場合であっても、図14(b)に示すように、縦線Kvが見えなくなり又は見えにくくなり、傷Kp…の存在を相対的に目立つ状態にすることができる。特に、中央の光源部3eを点灯させないため、コントラストをより高めることができる。
図15は、光源ユニット3の中央行の横方向に配した両側二つの光源部3d,3fのみを点灯させ、他の光源部3a…3c,3e,3g…3iを消灯させる点灯パターンとなる。この場合、上側及び下側に位置する光源部3a…,3g…を点灯させないため、上側及び下側からの散乱光の進入が無くなる。したがって、図15(a)に示すように、検査対象面Sdに横線Khが正常に存在する場合であっても、図15(b)に示すように、横線Khが見えなくなり又は見えにくくなり、傷Kp…の存在を相対的に目立つ状態にすることができる。この場合も中央の光源部3eを点灯させないため、コントラストをより高めることができる。
図14及び図15は、検査対象面Sdに正常に存在する研磨目(ヘアライン)等を目立たなくして欠陥のみを顕在化させる場合に有効である。その他、図示を省略したが、光源ユニット3の中央列の縦に配した三つの光源部3b,3e,3h及び左右列の一方における縦に配した三つの光源部3c,3f,3iを点灯させる点灯パターンでは、図9に示した反射方式により検査を行う場合に有効である。即ち、反射方式により検査を行う場合、斜め方向から光を照射するため、反射光による悪影響を排除し、欠陥部分をより見え易くすることができる。
以上、各光源部3a…3iの選択的な点灯制御による各種照明モードについて説明したが、本実施形態に係る外観検査システム1は、その他、各光源部3a…に対する様々な点灯パターンによる使用が可能である。図16に他の点灯パターンによる使用例の説明表を示す。
図16(a)は、光源ユニット3の上下行の双方における横に配した三つの光源部3a,3b,3cと三つの光源部3g,4h,3iを点灯させ、中央行における横に配した三つの光源部3d,3e,3fを消灯させる点灯パターンである。この点灯パターンは、特に、横キズ,横スジ,ピン状の凹凸欠陥,異物の検出に用いることができる。図16(b)は、光源ユニット3の左右列の双方における縦に配した三つの光源部3a,3d,3gと三つの光源部3c,4f,3iを点灯させ、中央列における縦に配した三つの光源部3b,3e,3hを消灯させる点灯パターンである。この点灯パターンは、特に、縦キズ,縦スジ,ピン状の凹凸欠陥,異物の検出に用いることができる。図16(c)は、光源ユニット3の右上と左下に位置する二つの光源部3c,3gを点灯させ、他の七つの光源部3a,3b,3d…3f,3h,3iを消灯させる点灯パターンである。この点灯パターンは、特に、右下がりの斜めキズ,右下がりの斜めスジ,ピン状の凹凸欠陥,異物の検出に用いることができる。図16(d)は、光源ユニット3の左上と右下に位置する二つの光源部3a,3iを点灯させ、他の七つの光源部3b…3hを消灯させる点灯パターンである。この点灯パターンは、特に、左下がりの斜めキズ,左下がりの斜めスジ,ピン状の凹凸欠陥,異物の検出に用いることができる。
次に、外観検査システム1に備えるライン照明装置M1の変更実施形態について、図17〜図19を参照して説明する。
図17は、各光源部3a…にカラーLEDを使用するとともに、ライン撮像部D2に三ラインカラーCCDリニアイメージセンサ等を使用することにより、特定のカラーに対応する光源部3a…のみを特定して検出できるようにしたものである。図17中、「B」は青色、「G」は緑色、「R」は赤色を示している。
図17(a)は、光源ユニット3における中央の光源部3e(第一光源ブロックB1)に赤色LEDを使用し、他の光源部3a…3d及び3f…3i(第二光源ブロックB2)に青色LEDを使用したものである。これにより、各光源部3a…の全てを点灯させた状態において、ライン撮像部D2から赤色信号(R成分の画像)のみを取り込めば、明視野照明モードによる外観検査機能を実現できるとともに、ライン撮像部D2から青色信号(B成分の画像)のみを取り込めば、暗視野照明モードによる外観検査機能を実現できる。したがって、明視野照明モードと暗視野照明モードによる双方の外観検査機能を同時に実現できる。
図17(b)は、光源ユニット3における中央の光源部3e(第一光源ブロックB1)に赤色LEDを使用するとともに、四隅となる、左上,右上,左下,右下の四つの光源部3a,3c,3g,3iに青色LEDを使用し、さらに、中央の光源部3eに対して上下及び左右に位置する四つの光源部3b,3d,3f,3hに緑色LEDを使用したものである。これにより、各光源部3a…の全てを点灯させた状態において、ライン撮像部D2から赤色信号(R成分の画像)のみを取り込めば、明視野照明モードによる外観検査機能を実現できるとともに、ライン撮像部D2から青色信号(B成分の画像)のみを取り込めば、縦キズ,縦スジ,横キズ,横スジの検出を行うことができ、さらに、ライン撮像部D2から緑色信号(G成分の画像)のみを取り込めば、斜めキズ,斜めスジの検出を行うことができる。
図17(c)は、光源ユニット3における中央の光源部3e(第一光源ブロックB1)を消灯させるとともに、中央の光源部3eに対して左右に位置する二つの光源部3d,3fに赤色LEDを使用し、中央の光源部3eに対して上下に位置する二つの光源部3b,3hに緑色LEDを使用し、他の位置となる四隅、即ち、左上,右上,左下,右下の四つの光源部3a,3c,3g,3iに青色LEDを使用したものである。これにより、各光源部3a…の全てを点灯させた状態において、ライン撮像部D2から赤色信号(R成分の画像)のみを取り込めば、縦キズ,縦スジの検出を行うことができるとともに、ライン撮像部D2から緑色信号(G成分の画像)のみを取り込めば、横キズ,横スジの検出を行うことができ、さらに、ライン撮像部D2から青色信号(B成分の画像)のみを取り込めば、斜めキズ,斜めスジの検出を行うことができる。
他方、図18は、各光源部3a…に、発色の異なる複数種類のLED11…,11r…,11g…,11b…を設け、各LED11…,11r…,11g…,11b…を選択的に発光可能に構成したものである。例示の場合、光源部3a(他の光源部3b…3iも同じ)における最上段に四列の白色LED11…を配し、次の段に四列の赤色LED11r…を配し、次の段に四列の緑色LED11g…を配し、最下段に四列の青色LED11b…を、配したものであり、縦方向に四行となる。使用時には、各段のLED11…,11r…,11g…,11b…を選択的に点灯させることができる。この際、光源ユニット3を上下に変位させ、点灯させたLED11…(又はLED11r…,11g…,11b…)を光軸上に位置させる。これにより、照明色の変更を容易に行えるとともに、照明色を変更してカラーカメラに準じた検査も容易に実施できるなど、照明色の観点から多様性(多機能性)を高めることができる。
図19は、各光源部3a…に、光波長の異なる複数種類のLED11…,11i…,11u…を設け、各LED11…,11i…,11u…を選択的に発光可能に構成したものである。例示の場合、光源部3a(他の光源部3b…3iも同じ)における最上段に白色LED11…を配し、次の段に近赤外線LED11i…を配し、最下段に近紫外線LED11u…を配したものであり、縦方向に三行となる。使用時には、各段のLED11…,11i…,11u…を選択的に点灯させることができる。この際、光源ユニット3を上下に変位させ、点灯させたLED11…(又はLED11i…,11u…)を光軸上に位置させる。これにより、目視検査ができないものであっても可視化により検査可能にできるなど、光波長の観点から多様性(多機能性)を高めることができる。
このように、本実施形態に係る外観検査システム1は、基本構成として、検査対象面Sdに対して照明を行う照明装置M1と、この照明装置M1により照射された検査対象面Sdをリニア撮像部D2により撮像し、かつ画像処理部D3による画像処理により検査対象面Sdの外観検査を行う撮像装置D1とを備えるとともに、特に、ライン照明装置M1に、中央に配した第一光源ブロックB1及びこの第一光源ブロックB1の周囲に配した第二光源ブロックB2を有する光源ユニット3と、光軸を第一光源ブロックB1に一致させることにより、光源ユニット3の光Coを、等方性の照射角度を有する光Cpsに変換して検査対象面Sdに照射する光学処理系Ucと、光源ユニット3の点灯制御を行う照明コントローラMcとを設けるとともに、撮像装置D1に、第一光源ブロックB1からの光Cpsを透過し、かつ第二光源ブロックB2からの光Cpsを非透過にする瞳Dirを設けてなるため、単体装置として明視野照明及び暗視野照明に基づく双方の検査を容易に行うことができるとともに、加えて、各種検査機能を実現できる。具体的には、検査対象面Sdに正常に存在する研磨目(ヘアライン)等を目立たなくして欠陥のみを顕在化させる機能,照明色や光波長を変更してカラーカメラに準じた検査を可能にする機能,目視検査ができない面を可視化して目視検査を可能にする機能,などの各種機能を実現でき、拡張性及び多機能性(多様性)に優れた外観検査システム1を提供できる。また、各種検査機能を備える多機能性を実現できると同時に、比較的単純な構成及び少ない部品点数により容易に実施できる。したがって、システム全体の大幅なサイズダウン及びコストダウンを実現できる。
以上、好適実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような各実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、光源ユニット3は、横方向に三列,縦方向に三行となる、マトリクス状に配した計九つの光源部3a,3b…3iを備え、中央に配した一つの光源部3eを第一光源ブロックB1とし、他の八つの光源部3a…3d及び3f…3iを第二光源ブロックB2として用いた場合を示したが、各光源部3a,3b…の列数及び行数は任意の数により実施できるとともに、必ずしも横方向及び縦方向に配列させることを要しない。したがって、ドーナツ形に構成した一つの光源部を第二光源ブロックB2としてもよい。また、光源部3a…に、一又は二以上のLED(発光ダイオード)11…を用いた場合を例示したが、基本的には光を発する各種発光手段(レーザー等)を適用できるとともに、発色や光波長の種類は例示のものに限定されるものではない。一方、多光源化部5a…として、インテグレータレンズ12を用いた場合を例示したが、同様の機能を有する他の多光源化部により置換できる。他方、撮像装置D1にリニア撮像部(D2)を内蔵した場合と照明装置M1にライン照明装置(M1)を用いた場合を例示したが、例示に限定されることなく、各種方式の撮像装置D1及び照明装置M1を利用可能である。