JP6341511B2 - 希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム - Google Patents

希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム Download PDF

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Description

本発明は、希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムに関する。
従来、例えば、ディーゼルエンジン等に装備される過給機は、エンジンの排気ガスが有する排気エネルギによりタービンが回転駆動され、タービンによって回転する圧縮機によりエンジンの給気密度を高めて、エンジンの燃費効率を向上させる目的で使用される。
しかしながら、このように過給機を取り付けたとしても、エンジンの負荷状態によっては排気エネルギに充分な余剰があり、この余剰排気エネルギを無駄なく利用することが、燃費向上のみならず、環境保護の面からも強く要請されている。
このエンジンの余剰排気エネルギを有効利用するものとして、本願出願人は、過給機とエンジンの双方に油圧ポンプを取り付け、油圧を介してこの余剰排気エネルギを利用して、過給機側の油圧ポンプによりエンジン側の油圧ポンプを回転駆動させてエンジンを加勢し、これにより廃熱回収による燃費向上を図ることができるようにした(例えば、特許文献1,2参照)。そして、本願出願人は、船舶用の低速2サイクルディーゼルエンジンにおいて、すでにこの発明の実用化を行っている。
一方、このエンジンの余剰排気エネルギ利用装置は、過給機の過給不足が発生するエンジンの低負荷領域においては、油圧を介してエンジン側の油圧ポンプにより過給機側の油圧ポンプを回転駆動させて過給機の回転を加勢し、これにより低負荷領域における過給機の過給不足を改善することができる。
また、油圧ポンプをエンジンに取り付けるのではなく、別置きの発電機に取り付けた場合にも、同様に高負荷時の廃熱回収による熱効率の向上、及び低負荷時における過給機の過給不足の解消を図ることができる。
他方、近年、特に環境保全の観点からクリーンなエネルギ源が求められ、CO2 、SOX 、NOX 等の排出量の大幅減少が危急の課題となっている。特にCO2 、SOX 排出量の減少の観点から、天然ガス、LNG等のガス燃料をその主燃料とするガスエンジンが急速に普及しつつある。
このガスエンジンの中で、中速4サイクル希薄(リ一ンバーン)ガスエンジンは、主として発電設備において発電機との組み合わせで使用されており、上述のように天然ガス、LNGを主燃料として運転されるが、中でもLNGは自着火温度が高く着火性が悪い。
このため、給気ポートにガス燃料を噴射して混合気をシリンダ内に充填した後に、軽油や重油をパイロット燃料として噴射着火させて、それによりガス燃料の混合気を燃焼させるパイロット着火方式や、その混合気を点火プラグで着火させる火花点火方式等の、いわゆる予混合方式を採用している。この希薄予混合ガスエンジンは、NOX 排出量の減少に大きく貢献できるものである。
特開2006−242051号公報 特開2011−214461号公報
しかしながら、上述の中速4サイクル希薄予混合のガスエンジンは、発電設備として使用した場合に、急激な電力需要の変動に対応できることが必要であり、また、非常用発電設備として使用した場合には、非常発起動時に急速な発電機の負荷上昇に対応できることが必要である。このため、エンジンの負荷追随性の向上が大きな課題となっている。
特に、ガスエンジンを再生可能エネルギー設備のバッファ電源として使用する場合には、再生可能エネルギー設備の発電量の変動に応じてガスエンジン側の発電量を頻繁に調整する必要がある。したがって、CO2 、SOX 、NOX 等の排出量が少ない中速4サイクル希薄予混合ガスエンジンをクリーンなバッファ電源として普及させるためにも、エンジンの負荷追従性の向上が重要な課題となっている。
また、中速4サイクル希薄予混合ガスエンジンは、理論空燃比より希薄側で燃焼させることによって、高出力化と上述のNOX 排出量の低減とを図っている。この希薄燃焼は、その特性上、空燃比がある一定範囲から外れると、失火やノッキングを引き起こす恐れがある。したがって、安定燃焼を図るためには、空燃比が常時一定範囲内に収まるように制御する必要がある。ここで、空燃比は給気圧力に依存するが、この給気圧力は、過給機動力、すなわち、過給機のタービンで回収される排気ガスエネルギによって大きく左右される。
したがって、エンジンの負荷を上げていく際には、エンジンの空燃比が一定範囲内に収まるように、過給機は、給気量がエンジン側で要求する空気量に対して充分に余剰のあるものを使用しなければならない。そして、この容量の大きい過給機を選定することにより、給気量の増加を図ることで安定燃焼の範囲でのノッキングを回避する運転が可能になった。
一方、過多な給気量によって失火しないようにするためには、給気バイパス弁又は排気バイパス弁を設けて、過給機からエンジンに供給する給気の一部を外部へ放出したり、あるいは過給機のタービンへ供給される前の排気ガスの一部を外部へ放出することにより、空燃比を正常な作動線上で運転できるよう制御している。
しかしながら、この給気バイパス制御、あるいは排気バイパス制御を行う場合、いずれの場合も過給機の同転数の上昇が、エンジンの負荷上昇に伴う排ガスエネルギの上昇に依存しているために、速い応答性を伴った制御が難しいという問題がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、希薄予混合ガスエンジンにおいて、過給機前又は後でバイパスして外部に放出している排気ガスエネルギの回収を図りつつ、エンジンの空燃比を常に最適に迅速かつ確実に制御することができ、以って負荷追従性の大幅な向上を図ることができ、失火やノッキングの発生を確実に防止することができる、希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムを提供することを課題とする。
上述の課題を解決するために、本発明が採用する手段は、過給機を備えた希薄予混合ガスエンジンの過給機に連結された第1の油圧ポンプと、回転動力を発生させる回転動力発生体に連結された第2の油圧ポンプと、第1の油圧ポンプの出口と第2の油圧ポンプの入口とを連結する第1の油路と、第2の油圧ポンプの出口と第1の油圧ポンプの入口とを連結する第2の油路と、ガスエンジンの給気路に配設されて過給機での過給後の給気の給気
圧力を検出する給気圧力センサとを備え、第1の油圧ポンプ又は第2の油圧ポンプは、コントローラにより作動が制御される可変容量型油圧ポンプであり、ガスエンジンの負荷情報を有するコントローラは、ガスエンジンの低負荷時に可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第2の油圧ポンプが発生させた油圧により第1の油圧ポンプを補助駆動して回転動力発生体が発生させた回転動力により過給機の回転を加勢させると共に、ガスエンジンの高負荷時に可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプが発生させた油圧により第2の油圧ポンプを補助駆動して過給機の回転動力により回転動力発生体の回転を加勢させる希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、上記コントローラは、ガスエンジンの負荷と給気圧力センサが検出した給気圧力に基づいて可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプを介して過給機の回転数を変化させることにより、ガスエンジンの空燃比が最適空燃比の所定範囲内に収まるように制御することにある。
本発明の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムによれば、コントローラは、ガスエンジンの負荷情報を有し、ガスエンジンの低負荷時に可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第2の油圧ポンプが発生させた油圧により第1の油圧ポンプを補助駆動して回転動力発生体が発生させた回転動力により過給機の回転を加勢させると共に、ガスエンジンの高負荷時に可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプが発生させた油圧により第2の油圧ポンプを補助駆動して過給機の回転動力により回転動力発生体の回転を加勢させる。
これに加えて、コントローラは、ガスエンジンの負荷と給気圧力センサが検出した給気圧力に基づいて可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプを介して過給機の回転数を変化させることにより、ガスエンジンの空燃比が最適空燃比の所定範囲内に収まるようにさらに制御する。
すなわち、本発明の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいては、空燃比の制御を従来のように反応が鈍い排気ガスエネルギの上昇や、給気バイパス弁又は排気バイパス弁の作動等に委ねるのではなく、油圧を利用して積極的に行なうことにより、迅速かつ確実に行うことができる。
したがって、ガスエンジンの空燃比が常に最適空燃比の所定範囲内に収まるように迅速かつ確実に自動的に制御され、希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性を大幅に向上させることができる。これにより、希薄予混合ガスエンジンに特有の失火やノッキングの発生を確実に防止することができる。
また、この希薄予混合ガスエンジンにおいては、低負荷時における回転動力発生体の回転動力による過給機への加勢と、高負荷時における過給機の回転動力による回転動力発生体への加勢とが上述の空燃比制御と一体に行われるから、同時に余剰排気ガスエネルギの有効利用を図ることもできる。
なお、第1の油圧ポンプ又は第2の油圧ポンプのいずれを、コントローラによりその作動が制御される可変容量型油圧ポンプとしてもよい。また、上述の回転動力発生体としては、例えば、この空燃比制御が行われる希薄予混合ガスエンジン、空燃比制御が行われるガスエンジンとは別置きの発電機、その他が考えられる。
上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、上記コントローラは、過給機からガスエンジンへ供給される給気の給気圧力を最適給気圧力の所定範囲内に調節することにより、ガスエンジンの空燃比が最適空燃比の所定範囲内に収まるように制御することが望ましい。
上述の空燃比とは、燃料混合気の空気質量を燃料質量で割った無次元数をいい、数値が大きいほど希薄混合気となり、数値が小さいほど濃厚混合気となる。後述するように、燃料混合気の空気質量は給気圧力から導くことができる。したがって、過給機からガスエンジンへ供給される給気の給気圧力を最適給気圧力の所定範囲内に調節することにより、ガスエンジンの空燃比を最適空燃比の所定範囲内に収めるように制御することができる。
上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、ガスエンジンの給気路に配設されて過給機での過給後の給気温度を検出する給気温度センサ又はガスエンジンの外部に配設されて外気温度を検出する外気温度センサをさらに備え、上記コントローラは、ガスエンジンの負荷に基づいて目標給気圧力を算出し、給気温度センサが検出した給気温度又は外気温度センサが検出した外気温度に基づいて目標給気圧力を温度補正して最適給気圧力を算出し、給気圧力センサが検出した給気圧力と最適給気圧力との差圧を算出し、この差圧が所定範囲を超える場合には可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプを介して過給機の回転数を変化させて給気圧力を調節することが望ましい。
このように、コントローラが、ガスエンジンの負荷に基づいて目標給気圧力を算出し、給気温度センサが検出した給気温度又は外気温度センサが検出した外気温度に基づいて目標給気圧力を温度補正して最適給気圧力を算出し、給気圧力センサが検出した給気圧力と最適給気圧力との差圧を算出し、この差圧が所定範囲を超える場合には可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプを介して過給機の回転数を変化させて給気圧力を調節することにより、空燃比が、例えば失火やノッキングの発生の可能性がある領域にある場合にも、この空燃比を迅速かつ確実に、例えば失火やノッキングの発生の可能性がほとんどない所定範囲内に収めることができ、希薄予混合ガスエンジンの安定運転を行なうことができる。
上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、上記コントローラは、給気圧力センサが検出した給気圧力から最適給気圧力を差し引いた差圧が所定範囲を超える負数の場合には、可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプを介して過給機の回転数を増加させて、給気圧力を上昇させてガスエンジンの空燃比を希薄側へ調節することが望ましい。
このように、差圧が所定範囲を超える負数の場合には、可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプを介して過給機の回転数を増加させて給気圧力を上昇させることにより、濃厚側にある空燃比を確実に希薄側へ調節して、最適空燃比の所定範囲内に収めることができる。
上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、上記コントローラは、給気圧力センサが検出した給気圧力から最適給気圧力を差し引いた差圧が所定範囲を超える正数の場合には、可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプを介して過給機の回転数を減少させて給気圧力を下降させて、ガスエンジンの空燃比を濃厚側へ調節することが望ましい。
このように、差圧が所定範囲を超える正数の場合には、可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプを介して過給機の回転数を減少させて給気圧力を下降させることにより、希薄側にある空燃比を確実に濃厚側へ調節して、最適空燃比の所定範囲内に収めることができる。
上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、第1の油路と第2の油路との間に介装されて第1の油路と第2の油路との間の油路を開閉する油圧バイパス弁
をさらに備え、上記コントローラは、回転動力発生体の回転動力による過給機への加勢と過給機の回転動力による回転動力発生体への加勢との間の加勢モード切替時に、油圧バイパス弁を開弁させることが望ましい。
このように、第1の油路と第2の油路との間に介装されて第1の油路と第2の油路との間の油路を開閉する油圧バイパス弁をさらに備え、コントローラが回転動力発生体による過給機への加勢と過給機による回転動力発生体への加勢との間の加勢モード切替時に油圧バイパス弁を開弁させることにより、第1の油圧ポンプ及び第2の油圧ポンプはそれぞれ加勢モード切替時に一旦空転するだけとなる。
すなわち、回転動力発生体による過給機への加勢と過給機による回転動力発生体への加勢との間の加勢モード切替時に油圧バイパス弁を開弁させることにより、第1の油路と第2の油路との間に油圧差が生じないようにして、加勢モード切替時の急激な油圧変動を防止し、油圧回路内における作動油の流れを円滑にしている。
上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、過給機からの給気を給気路から外部へ放出するための給気バイパス弁をさらに備え、コントローラは、回転動力発生体の回転動力による過給機への加勢と過給機の回転動力による回転動力発生体への加勢との間の加勢モード切替時に給気バイパス弁を開弁して、過給機が発生させた給気の一部を外部へ放出することが望ましい。
又は、上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、ガスエンジンから過給機へ供給される排気ガスを排気路から外部へ放出するため排気バイパス弁をさらに備え、コントローラは、回転動力発生体の回転動力による過給機への加勢と過給機の回転動力による回転動力発生体への加勢との間の加勢モード切替時に排気バイパス弁を開弁して、ガスエンジンから過給機へ供給される排気ガスの一部を外部へ放出することが望ましい。
このように、過給機からの給気を給気路から外部へ放出するための給気バイパス弁、又はガスエンジンから過給機へ供給される排気ガスを排気路から外部へ放出するために排気バイパス弁をさらに備え、コントローラが、回転動力発生体による過給機への加勢と過給機による回転動力発生体への加勢との間の加勢モード切替時に、給気バイパス弁又は排気バイパス弁を開弁して過給機が発生させた余剰給気、又はガスエンジンから過給機へ供給される余剰排気ガスを外部へ放出することにより、加勢モード切替のために一旦上述の油圧を介した空燃比制御を行なうことができなくても、この給気バイパス弁又は排気バイパス弁により空燃比を適正に調節することができる。
上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、上記コントローラは、ガスエンジンの負荷増加時において回転動力発生体の回転動力による過給機への加勢の略減少開始時から過給機の回転動力による回転動力発生体への加勢の略増加終了時までの間だけ給気バイパス弁を開弁して、過給機が発生させた給気の一部を外部へ放出することが望ましい。
又は、上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、上記コントローラは、ガスエンジンの負荷増加時において回転動力発生体の回転動力による過給機への加勢の略減少開始時から過給機の回転動力による回転動力発生体への加勢の略増加終了時までの間だけ排気バイパス弁を開弁して、ガスエンジンから過給機へ供給される排気ガスの一部を外部へ放出することが望ましい。
このように、コントローラが、給気バイパス弁による余剰給気の調節、又は排気バイパ
ス弁による余剰排気ガスの調節を、上述の油圧を介した空燃比制御が充分には行われない恐れがある負荷範囲も含めて、上述の必要最少限の範囲内で行なうことにより、過給機により過給した給気、又はこの過給機を作動させる排気ガスの無用な外部放出が最少限に抑えられ、余剰排気ガスエネルギの一段と進んだ利用を図ることができる。
上記希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、上記空燃比の所定範囲は、零であることが望ましい。
このように、空燃比の所定範囲を零とすることにより、ガスエンジンの空燃比を常に最適空燃比になるように調節することができ、これにより負荷追従性の一層の向上を図ることができ、希薄予混合ガスエンジンに特有の失火やノッキングの発生をさらに確実に防止することができる。また、この空燃比制御は油圧を介して行なわれるから、微細で頻繁な制御を迅速かつ確実に行うことができる。
本発明の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムは、過給機を備えた希薄予混合ガスエンジンの過給機に連結された第1の油圧ポンプと、回転動力を発生させる回転動力発生体に連結された第2の油圧ポンプと、第1の油圧ポンプの出口と第2の油圧ポンプの入口とを連結する第1の油路と、第2の油圧ポンプの出口と第1の油圧ポンプの入口とを連結する第2の油路と、ガスエンジンの給気路に配設されて過給機での過給後の給気の給気圧力を検出する給気圧力センサとを備え、第1の油圧ポンプ又は第2の油圧ポンプは、ガスエンジンの負荷情報を有するコントローラにより作動が制御される可変容量型油圧ポンプであり、コントローラは、ガスエンジンの低負荷時に可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第2の油圧ポンプが発生させた油圧により第1の油圧ポンプを補助駆動して回転動力発生体が発生させた回転動力により過給機の回転を加勢させると共に、ガスエンジンの高負荷時に可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプが発生させた油圧により第2の油圧ポンプを補助駆動して過給機の回転動力により回転動力発生体の回転を加勢させる希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムにおいて、上記コントローラは、ガスエンジンの負荷と給気圧力センサが検出した給気圧力とに基づいて上記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して第1の油圧ポンプを介して過給機の回転数を変化させることにより、給気圧力を最適給気圧力の所定範囲内に収めるように調節してガスエンジンの空燃比が最適空燃比の所定範囲内になるように制御する。
したがって、希薄予混合ガスエンジンにおいて、過給機前又は後でバイパスして外部に放出している排気ガスエネルギの回収を図りつつ、エンジンの空燃比を常に最適に迅速かつ確実に制御することができ、以って負荷追従性の大幅な向上を図ることができ、失火やノッキングの発生を確実に防止することができる、という優れた効果を奏する。
この負荷追従性の大幅な向上により、希薄予混合ガスエンジンを、例えば発電設備として使用した場合の急激な電力需要の変動、非常用発電設備として使用した場合の非常発起動時に急速な発電機の負荷上昇、再生可能エネルギー設備のバッファ電源として使用した場合の発電量の急激な変動等にも充分対応可能になる。
本発明の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムを示す模試図である。 図1のガスエンジンの制御の構成を示すブロックである。 図1のガスエンジンの空燃比制御を示すフローチャートの前部である。 図3のフローチャートの後部である。 図3のフローチャートの後部であり、図4とは別の制御を示すフローチャートである。 図1のガスエンジンの空燃比と平均有効圧との関係を示すグラフである。 図1のガスエンジンの負荷に対する各構成要素の作動状態を示すグラフである。 図1とは別の予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムを示す模試図である。 図1とはさらに別の予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムを示す模試図である。 図8とは別の予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムを示す模試図である。
本発明に係る希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムを実施するための最良の形態を、図1ないし図10を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、ガスエンジン(回転動力発生体)1に過給機10を配設する。この過給機10の圧縮機11とタービン12は回転軸13で連結される。過給機10の圧縮機11はガスエンジン1の給気管2に接続されて、圧縮機11は加圧した給気を給気管(給気路)2に供給する。
過給機10のタービン12は、ガスエンジン1の排気管3に接続される。ガスエンジン1の排気ガスによりこのタービン12が回転駆動され、タービン12によって回転軸13を介して圧縮機11が回転される。これにより、エンジンの給気密度が高められ、ガスエンジンの効率が向上する。
ガスエンジン1の給気管2内に、過給機10による過給後の給気圧力Pを検出する給気圧力センサ5、過給機10による過給後の給気温度Tを検出する給気温度センサ38が配設される。また、過給機10と給気管2とを繋ぐ給気路14から分岐する形で給気バイパス弁15が配設されて、この給気バイパス弁15は、過給機10により加圧さた給気の一部を過給機10のタービン12の排気路16へ、つまり外気(外部)へ放出する。
過給機10の回転軸13に、変速機17を介して固定容量型の油圧ポンプ(第1の油圧ポンプ)21を連結する。ガスエンジン1のクランク軸4に、可変容量型の油圧ポンプ(第2の油圧ポンプ)22を連結する。この油圧ポンプ22は、変速機を介してガスエンジン1のクランク軸4に取り付けてもよい。なお、油圧ポンプ21は必ずしも固定容量型に限定されるものではない。
油圧ポンプ22は、例えば斜板型の可変機構を有する可変容量型油圧ポンプであり、その斜板位置を変更することにより、吐出容量を変化させることができる。なお、油圧ポンプ22は、必ずしも斜板型の可変機構の可変容量型油圧ポンプに限定されるものではなく、他の形式の可変容量型油圧ポンプでもよい。
図1に示すように、油圧ポンプ21の出口21bと、可変容量型の油圧ポンプ22の入口22aとを連結する主油路(第1の油路)23が配設される。油圧ポンプ21の入口21aと、油圧ポンプ22の出口22bとを連結する主油路24が配設される。これら2つの主油路23,24により、油圧ポンプ21と油圧ポンプ22は相互に連結される。2つの油圧ポンプ21,22と2つの主油路23,24は、油圧回路20の中に組み込まれる。
ガスエンジン1の高負荷時には、油圧ポンプ21が過給機10の回転軸13により回転
駆動されて、図示実線矢印で示す方向の油圧を発生させる。このとき、過給機10の変速機17は減速機として働く。油圧ポンプ21から吐出された作動油は、主油路24を通って油圧ポンプ22を回転駆動させ、主油路23を通って再び油圧ポンプ21に戻る。
そして、油圧ポンプ22はガスエンジン1のクランク軸4の回転を補助駆動し、加勢する。すなわち、このとき油圧ポンプ22は油圧モータとして作動する。このようにガスエンジンの高負荷時には、ガスエンジン1の余剰排気エネルギをガスエンジン1のクランク軸4の加勢に利用することができ、廃熱の有効利用を図ることができる。
電動モータ25がタンク26の油圧ポンプ27を回転駆動し、タンク26内の作動油をチェック弁28,29を介して主油路23,24へそれぞれ供給する。油圧ポンプ21の発生油圧が高すぎた場合には、油圧が主油路24からリリーフ弁31、チェック弁28を介して主油路23側へ逃がされる。
切替弁33の作動により、主油路23の作動油の一部は切替弁33を通してタンク26へ戻される。すなわち、主油路24の油圧は主油路23の油圧よりも高圧となる。切替弁33を通った作動油は、リリーフ弁34、オイルフィルタ35、オイルクーラー36を通ってタンク26へ戻される。この切替弁33の作動により、後述の低負荷時のガスエンジン1による過給機10への加勢と、上述の高負荷時の過給機10によるガスエンジン1への加勢との加勢モードの切替えが行われる。
一方、エンジン1の低負荷時には、油圧ポンプ22がガスエンジン1のクランク軸4により回転駆動されて、図示破線矢印で示す方向の油圧を発生させる。油圧ポンプ22から吐出された作動油は、主油路23を通って油圧ポンプ21を回転駆動させ、主油路24を通って再び油圧ポンプ22に戻される。このとき、過給機10の変速機17は増速機として働く。油圧ポンプ21は、上述の変速機17を介して過給機10の回転軸13の回転を補助駆動し、加勢する。
この時、油圧ポンプ21は油圧モータとして作動する。油圧ポンプ22の発生油圧が高すぎた場合には、油圧が主油路23からリリーフ弁30、チェック弁29を介して主油路24側へ逃がされる。切替弁33の作動により、主油路24の作動油の一部は、切替弁33を通りリリーフ弁34、オイルフィルタ35、オイルクーラー36を介してタンク26へ戻される。すなわち、切替弁33の作動により、主油路23の油圧は主油路24の油圧よりも高圧となる。
ガスエンジン1の低負荷時には、ガスエンジン1の排ガス量が充分ではなく、過給機10の過給に必要な排気エネルギを得ることができない。しかし、この希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムでは、過給機10がガスエンジン1の負荷に応じた過給をできるようになり、ガスエンジン1の加速が促進される。
油圧ポンプ22を可変容量型としたから、ガスエンジン1の負荷に応じて過給機10が所定の回転数になるように適切に制御される。図2のコントローラ50が切替弁33を作動させて、上述のエンジン1の高負荷時の制御と低負荷時の制御が適切に行なわれる。
また、2つの主油路23,24の間に油圧バイパス弁37が介装される。上述の低負荷時のガスエンジン1による過給機10への加勢時と、高負荷時の過給機10によるガスエンジン1への加勢時は、この油圧バイパス弁37が閉弁しており、2つの主油路23,24の間に油圧差がある。しかし、この油圧バイパス弁37が開弁すると、作動油は油圧ポンプ21,22の周辺油路内で循環するだけとなり、2つの主油路23,24の間に油圧差は生じず、油圧ポンプ21,22は空転状態となる。
図2に示すように、上述の給気圧力センサ5、給気温度Tを検出する給気温度センサ38、上述の可変容量型の油圧ポンプ22、油圧バイパス弁37、給気バイパス弁15、切替弁33がコントローラ50に電気的にそれぞれ接続されて、それらの作動はコントローラ50により制御される。このコントローラ50は、図示しないエンジンコントローラからガスエンジン1の負荷情報が供給されて、ガスエンジン1の負荷情報を有している。
次に、本希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムの作動について説明する。図7に示すように、ガスエンジン1の始動時t1には、油圧バイパス弁37が開弁している。このため、ガスエンジン1の始動と同時にまず油圧ポンプ21が回転し始めるが、油圧バイパス弁37が開弁しているため、油圧負荷がかからない空転状態である。
また、切替弁33は、主油路24の作動油をタンク26へ戻す位置に切り替えられている。ガスエンジン1の始動により主発電機6の回転数が上昇し、主発電機6側の回転数制御により、主発電機6の回転数は間もなく一定回転数となる。これにより、主発電機6による発電が開始される。
それと同時に過給機10が回転し始めるが、ガスエンジン1から供給される排気ガス量不足により、過給機効率は一定の低効率の状態が持続する。これと共に、油圧ポンプ22も回転し始めるが、油圧バイパス弁37が開弁しているため、油圧ポンプ21と同様に油圧負荷がかからない空転状態のままである。
所定時間t2になると、油圧バイパス弁37が閉弁し、可変容量型油圧ポンプ22の斜板位置が最大吐出側へ移動する。また、ガスエンジン1の負荷が上昇し始める。これにより、上述のエンジン1の低負荷時における油圧ポンプ21,22を介したガスエンジン1のクランク軸4の回転動力による過給機10への加勢が開始される。これと共に、過給機10の過給機効率が急激に上昇し始め、ガスエンジン1の低負荷時における過給機10の給気不足が解消される。また、後述の空燃比制御も開始される。
さらに所定時間t3になると、ガスエンジン1の排ガスによる過給機10の効率が最大効率に近づいたため、可変容量型油圧ポンプ22の斜板位置が中立位置へ移動し始め、ガスエンジン1のクランク軸4の回転動力による過給機10への加勢が徐々に低下する。
これと共に、後述の油圧システムによる空燃比制御を一時的に行うことができなくなる。このため、過給機10による余剰給気を外気へ放出するため、給気バイパス弁15が必要な給気バイパス量に応じた角度まで開弁して空燃比の調節を行ない、空燃比が希薄になってガスエンジン1の失火が発生しないようにする。
このとき、コントローラ50は、後述する油圧システムによる空燃比制御と同様に、給気圧力Pを最適給気圧力PSP2 の所定範囲P0 内に収め、ガスエンジンの空燃比が最適空燃比の所定範囲内になるように、給気バイパス弁15の給気バイパス量を調節する。
したがって、上述のガスエンジン1のクランク軸4の回転動力による過給機10への加勢と、過給機10の回転動力によるガスエンジン1のクランク軸4への加勢との間の加勢モード切替時にも、給気バイパス弁15による空燃比制御により、ガスエンジンの空燃比が確実に最適空燃比の所定範囲内になるように制御することができる。
所定時間t4になると、過給機10の効率は最大となり、またガスエンジン1の負荷は定格負荷になる。これに伴い、ガスエンジン1の低負荷から高負荷への加勢モードの切替えを行うため、油圧バイパス弁37が一旦開弁し、2つの油圧ポンプ21,22は空転状
態となり、ガスエンジン1のクランク軸4と過給機10との間の相互加勢が行われない状態になる。
このとき、油圧回路20の切替弁33の位置が切り替えられて、ガスエンジン1のクランク軸4の回転動力による過給機10への加勢モードから、過給機10の回転動力によるガスエンジン1のクランク軸4への加勢モードに切り替えられる。このように、切替弁33の位置が切り替えられるときには必ず油圧バイパス弁37が開弁しており、加勢モード切替時の急激な油圧変動を防止し、油圧回路20内における作動油の流れを円滑にしている。
その直後に再び油圧バイパス弁37が閉弁し、可変容量型油圧ポンプ22の斜板位置が最少吐出側へ移動し始める。これにより、上述のエンジン1の高負荷時における、油圧ポンプ21,22を介した過給機10の回転動力によるガスエンジン1のクランク軸4への加勢が開始される。
このとき、過給機効率は最大効率に達している。これと共に、後述の空燃比制御が再び開始される。このため、上述の給気バイパス弁15は閉弁し始める。さらに所定時間t5になると、可変容量型油圧ポンプ22の斜板位置が最少吐出位置になると共に、給気バイパス弁15は全閉となる。
次に、本希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムの空燃比制御を、図3ないし図6を参照して説明する。
図3に示すように、コントローラ50は、そのときのエンジン負荷をエンジンコントローラ等から読み込み(ステップS2)、読み込んだエンジン負荷からマップにより目標給気圧力PSP1 を算出する(ステップS4)。
そして、給気温度センサ38が検出した給気温度Tを読み込み(ステップS6)、上述の目標給気圧力PSP1 を給気温度Tで温度補正して最適給気圧力PSP2 を算出する(ステップS8)。次に、給気圧力センサ5が検出した給気圧力Pを読み込み(ステップS10)、この給気圧力Pから最適給気圧力PSP2 を差し引いた差圧ΔPを算出する(ステップS12)。
図4に示すように、この差圧ΔPの絶対値が所定設定値P0 以内(所定範囲内)であるか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16の判定結果が肯定(Yes)の場合、すなわち、給気圧力Pと最適給気圧力PSP2 との差圧ΔPが所定範囲内にある場合には、可変容量型の油圧ポンプ22の斜板位置の調整は行わず、空燃比の調節は特に行わない。
ステップS16の判定結果が否定(No)の場合、すなわち、給気圧力Pと最適給気圧力PSP2 との差圧ΔPが所定範囲を超える場合には、次にこの差圧ΔPが負数か否かを判定する(ステップS18)。
ステップS18の判定結果が肯定の場合、すなわち、給気圧力Pが最適給気圧力PSP2 の所定範囲を超えて小さい場合には、空燃比が所定範囲を超えて濃厚になる可能性が高いから、過給機10の回転数を増加させて給気量を増加させ、図6に示すように、給気圧力Pが最適給気圧力PSP2 の所定範囲内に収まるように制御する。
ここで、空燃比とは、燃料混合気の空気質量を燃料質量で割った無次元数をいい、数値が大きいほど希薄混合気となり、数値が小さいほど濃厚混合気となる。また、気体の状態
方程式はPV=RTであるから、これはP=(RT/V)と書き換えることができる。Pは気体の圧力、Vは気体の体積、Tは気体の温度を示す。
この式から、ガスエンジン1の給気圧力Pは給気密度を示す(1/V)、すなわち燃料混合気の空気質量に比例することがわかる。したがって、給気圧力Pを最適給気圧力PSP2 の所定範囲内に調節することにより、ガスエンジン1の空燃比を最適空燃比の所定範囲内に収めるように制御することができる。
ステップS18の判定結果が否定の場合、すなわち、給気圧力Pが最適給気圧力PSP2 の所定範囲を超えて大きい場合には、空燃比が所定範囲を超えて希薄になる可能性が高いから、過給機10の回転数を減少させて給気量を減らして、空燃比を濃厚側へ調節する。この結果、図6に示すように、空燃比が最適空燃比の所定範囲内に収まるように制御される。
これにより、希薄予混合ガスエンジン特有のノッキングや失火の発生を確実に防止できる。特に、この空燃比制御が油圧を介して行なわれるから、空燃比制御が迅速かつ確実に行われ、負荷追従性の大幅な向上を図ることができる。そして、コントローラ50は、再び上述のステップS2以降を繰り返す。
なお、図5に示すように、上述のステップS16の代わりに、給気圧力Pから最適給気圧力PSP2 を差し引いた差圧ΔPが零であるか否かを判定するようにして(ステップS26)、給気圧力Pが常に最適給気圧力PSP2 になるように制御してもよい。
このようにすれば、空燃比の所定範囲も零となり、空燃比が常に最適空燃比に調節され、ガスエンジン1のノッキングや失火の発生をさらに確実に防止することができる。本希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムでは、この空燃比制御を油圧を介して行なうから、微細で頻繁な調節を迅速かつ確実に行なうことが可能であり、給気圧力Pを常に最適給気圧力PSP2 に、すなわち、空燃比を常に最適空燃比に制御することも容易である。
本希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムによれば、コントローラ50が、ガスエンジン1の負荷と給気圧力センサ5が検出した給気圧力Pとに基づいて可変容量型の油圧ポンプ22の作動を制御して過給機10の回転数を調節し、ガスエンジン1の空燃比を最適空燃比の所定範囲内に収まるように制御するから、ガスエンジン1の空燃比が常に最適空燃比の所定範囲内に収まるように自動的に制御され、希薄予混合ガスエンジン1に特有の失火やノッキングの発生を確実に防止することができる。
また、ガスエンジン1の空燃比制御を従来のように排気ガスエネルギの上昇や、給気バイパス弁又は排気バイパス弁の作動等に委ねるのではなく、油圧を介して直接的に行うことにより、空燃比制御を迅速かつ確実に行うことができる。
この負荷追従性の大幅な向上により、希薄予混合ガスエンジン1を例えば発電設備として使用した場合の急激な電力需要の変動、非常用発電設備として使用した場合の非常発起動時の急速な発電機の負荷上昇、再生可能エネルギー設備のバッファ電源として使用した場合の発電量の急激な変動等にも充分対応可能になる。
また、このガスエンジン1においては、低負荷時のガスエンジン1のクランク軸4の動力による過給機10への加勢と、高負荷時の過給機10の動力によるガスエンジン1のクランク軸4への加勢とが上述の空燃比制御と一体に行われるから、同時に余剰排気ガスエネルギの有効利用を図ることができる。
また、上述したように、油路23と油路24との間に介装されて2つの油路23,24の間の油路を開閉する油圧バイパス弁37を備え、コントローラ50が、ガスエンジン1のクランク軸4の動力による過給機10への加勢と過給機10によるガスエンジン1のクランク軸4への加勢との間の加勢モード切替時に、油圧バイパス弁37を開弁させる。
したがって、加勢モード切替時には、油圧は2つの油圧ポンプ23,24のそれぞれについて空転するだけとなり、加勢モード切替後のガスエンジン1のクランク軸4の動力による過給機10への加勢再開時、又は過給機10の動力によるガスエンジン1のクランク軸4への加勢再開時の油圧の急激な変動を防止して、作動油の流れを円滑なのものにすることができる。
また、上述したように、コントローラ50が、ガスエンジン1の負荷増加時においては、ガスエンジン1のクランク軸4の回転動力による過給機10への加勢の略減少開始時から、過給機10の回転動力によるガスエンジン1のクランク軸4への加勢の略増加終了時までの間についてだけ、給気バイパス弁15による給気バイパス量の調節を行なう。
このように、給気バイパス弁15による給気バイパス量の調節を、上述の空燃比制御が充分に行われない恐れがある必要最小限の範囲内に止めることにより、過給機10により加圧した給気の無用な外部放出が最少限に抑えられ、燃費の悪化を防止することができる。
図7における二点鎖線は、上述の油圧を介した空燃比制御が行われない場合に、失火やノッキングを防止するために必要となる従来の給気バイパス弁15の開弁動作を示す。この場合には、所定時間t5の経過後も、給気バイパス弁15による給気の外部放出を行わなければならず、燃費の悪化を招く。
図8に示すように、ガスエンジン1の主発電機6とは別置きの発電機(回転動力発生体)7を配設して、可変容量型の油圧ポンプ(第2の油圧ポンプ)52をこの発電機7に連結してもよい。この場合、ガスエンジン1の高負荷時には、油圧ポンプ21が過給機10の回転軸13により回転駆動されて油圧ポンプ52を回転駆動し、発電機7を回転させて発電を行なう。
この結果、主発電機6による発電量を減少させることができ、その減少分だけガスエンジン1の燃料消費量を減少させることができる。これにより、ガスエンジン1の廃熱の有効利用を図ることができる。
他方、エンジン1の低負荷時には、発電機7がモータとして作動して油圧ポンプ52を回転駆動させ、油圧を介して油圧ポンプ21を補助駆動する。これにより、過給機10の回転が加勢されて、過給機10がガスエンジン1の負荷に見合った充分な過給を行なうことができるようになり、ガスエンジン1の加速が促進される。
また、上述のガスエンジン1の空燃比制御は、過給機10側の固定容量型の油圧ポンプ21と発電機7側の可変容量型の油圧ポンプ52との間で、コントローラ50が油圧ポンプ52の作動を制御することにより行われる。その他は、図1ないし図7に示した上述のガスエンジン1のクランク軸4に連結された油圧ポンプ22の場合と同様であるから、その説明は省略する。
図9に示すように、過給機10側に可変容量型の油圧ポンプ61を取り付け、エンジン1のクランク軸4側に固定容量型の油圧ポンプ62を取り付けて、上述のコントローラ5
0にこの過給機10側の可変容量型の油圧ポンプ61を制御させることにより、上述のガスエンジン1の空燃比、及び、ガスエンジン1の低負荷時におけるガスエンジン1のクランク軸4の回転動力による過給機10への加勢と、高負荷時における過給機10の回転動力によるガスエンジン1のクランク軸4への加勢とを行うこともできる。
その他は、上述の図1ないし図7に示した希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムの場合と同様であるから、その説明は省略する。
図10に示すように、図8に示した希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムと同様に、ガスエンジン1の主発電機6とは別置きの発電機(回転動力発生体)7を配設し、固定容量型の油圧ポンプ(第2の油圧ポンプ)72をこの発電機7に連結すると共に、可変容量型の油圧ポンプ(第1の油圧ポンプ)71を過給機10側に取り付け、コントローラ50に油圧ポンプ71の作動を制御させることにより、上述のガスエンジン1の空燃比、及び、ガスエンジン1の低負荷時におけるガスエンジン1のクランク軸4の回転動力による過給機10への加勢と、高負荷時における過給機10の回転動力によるガスエンジン1のクランク軸4への加勢とを行うこともできる。
その他は、上述の図8に示した希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムの場合と同様であるから、その説明は省略する。
なお、上述の給気温度Tを検出する給気温度センサ38に代えて、ガスエンジン1の外部配設されてガスエンジン1に導入される外気温度を検出する外気温度センサ39を配設し、この外気温度センサ39が検出した外気温度に基づいて、目標給気圧力PSP1 を温度補正して最適給気圧力PSP2 を算出するようにしてもよい(図3のステップS6,8参照)。
図2に破線で示すように、この外気温度センサ39もコントローラ50に電気的に接続されて、コントローラ50によって給気温度センサ38と同様にその作動が制御される。したがって、作動に関する説明は省略する。
また、上述の給気バイパス弁15に代えて、過給機10と排気管3とを繋ぐ排気路19から分岐する形で図2に示す排気バイパス弁18を配設し、この排気バイパス弁18により、過給機10のタービン12を回転駆動するための排気ガスの一部を過給機10の排気路16へバイパスして、外気(外部)へ放出するようにしてもよい。
図2に破線で示すように、この排気バイパス弁18もコントローラ50に電気的に接続されて、コントローラ50によって給気バイパス弁15と同様にその作動が制御される。したがって、作動に関する説明は省略する。
なお、上述の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システムは一例にすぎず、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
1 ガスエンジン(回転動力発生体)
2 給気管(給気路)
3 排気管
4 クランク軸
5 給気圧力センサ
6 主発電機
7 発電機(回転動力発生体)
10 過給機
11 圧縮機
12 タービン
13 回転軸
14 給気路
15 給気バイパス弁
16 排気路
17 変速機
18 排気バイパス弁
19 排気路
20 油圧回路
21 油圧ポンプ(第1の油圧ポンプ)
21a 入口
21b 出口
22 油圧ポンプ(第2の油圧ポンプ)
22a 入口
22b 出口
23 主油路(第1の油路)
24 主油路(第2の油路)
25 電動モータ
26 タンク
27 油圧ポンプ
28,29 チェック弁
30,31 リリーフ弁
33 切替弁
34 リリーフ弁
35 オイルフィルタ
36 オイルクーラー
37 油圧バイパス弁
38 給気温度センサ
39 外気温度センサ
50 コントローラ
52,62,72 油圧ポンプ(第2の油圧ポンプ)
61,71 油圧ポンプ(第1の油圧ポンプ)
P 給気圧力
P0 所定設定値
PSP1 目標給気圧力
PSP2 最適給気圧力
ΔP 差圧
T 給気温度
t1 始動時
t2,t3,t4,t5 所定時間

Claims (10)

  1. 過給機(10)を備えた希薄予混合ガスエンジン(1)の前記過給機に連結された第1の油圧ポンプ(21,61,71)と、回転動力を発生させる回転動力発生体(1,7)に連結された第2の油圧ポンプ(22,52,62,72)と、前記第1の油圧ポンプの出口(21b)と前記第2の油圧ポンプの入口(22a)とを連結する第1の油路(23)と、前記第2の油圧ポンプの出口(22b)と前記第1の油圧ポンプの入口(21a)とを連結する第2の油路(24)と、前記ガスエンジンの給気路(2,14)に配設されて前記過給機での過給後の給気の給気圧力(P)を検出する給気圧力センサ(5)と、前記第1の油路と前記第2の油路との間に介装されて前記第1の油路と前記第2の油路との間の油路を開閉する油圧バイパス弁(37)とを備え、
    前記第1の油圧ポンプ又は前記第2の油圧ポンプは、前記ガスエンジンの負荷情報を有するコントローラ(50)により作動が制御される可変容量型油圧ポンプであり、前記コントローラは、前記ガスエンジンの低負荷時に前記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して前記第2の油圧ポンプが発生させた油圧により前記第1の油圧ポンプを補助駆動して前記回転動力発生体が発生させた前記回転動力により前記過給機の回転を加勢させると共に、前記ガスエンジンの高負荷時に前記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して前記第1の油圧ポンプが発生させた油圧により前記第2の油圧ポンプを補助駆動して前記過給機の回転動力により前記回転動力発生体の回転を加勢させ、前記ガスエンジンの負荷と前記給気圧力センサが検出した前記給気圧力とに基づいて前記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して前記第1の油圧ポンプを介して前記過給機の回転数を変化させることにより前記ガスエンジンの空燃比が最適空燃比の所定範囲内に収まるように制御し、前記回転動力発生体の前記回転動力による前記過給機への加勢と前記過給機の前記回転動力による前記回転動力発生体への加勢との間の加勢モード切替時に前記油圧バイパス弁を開弁させることを特徴とする、希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
  2. 過給機(10)を備えた希薄予混合ガスエンジン(1)の前記過給機に連結された第1の油圧ポンプ(21,61,71)と、回転動力を発生させる回転動力発生体(1,7)に連結された第2の油圧ポンプ(22,52,62,72)と、前記第1の油圧ポンプの出口(21b)と前記第2の油圧ポンプの入口(22a)とを連結する第1の油路(23)と、前記第2の油圧ポンプの出口(22b)と前記第1の油圧ポンプの入口(21a)とを連結する第2の油路(24)と、前記ガスエンジンの給気路(2,14)に配設されて前記過給機での過給後の給気の給気圧力(P)を検出する給気圧力センサ(5)と、
    記過給機からの給気を前記給気路から外部へ放出するための給気バイパス弁(15)とを備え、
    前記第1の油圧ポンプ又は前記第2の油圧ポンプは、前記ガスエンジンの負荷情報を有するコントローラ(50)により作動が制御される可変容量型油圧ポンプであり、前記コントローラは、前記ガスエンジンの低負荷時に前記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して前記第2の油圧ポンプが発生させた油圧により前記第1の油圧ポンプを補助駆動して前記回転動力発生体が発生させた前記回転動力により前記過給機の回転を加勢させると共に、前記ガスエンジンの高負荷時に前記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して前記第1の油圧ポンプが発生させた油圧により前記第2の油圧ポンプを補助駆動して前記過給機の回転動力により前記回転動力発生体の回転を加勢させ、前記ガスエンジンの負荷と前記給気圧力センサが検出した前記給気圧力とに基づいて前記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して前記第1の油圧ポンプを介して前記過給機の回転数を変化させることにより前記ガスエンジンの空燃比が最適空燃比の所定範囲内に収まるように制御し、前記回転動力発生体の前記回転動力による前記過給機への加勢と前記過給機の前記回転動力による前記回転動力発生体への加勢との間の加勢モード切替時に前記給気バイパス弁を開弁して前記過給機が発生させた給気の一部を外部へ放出することを特徴とする、希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
  3. 前記コントローラ(50)は、前記ガスエンジン(1)の負荷増加時において前記回転動力発生体(1,7)の前記回転動力による前記過給機(10)への加勢の略減少開始時から前記過給機の前記回転動力による前記回転動力発生体への加勢の略増加終了時までの間だけ前記給気バイパス弁(15)を開弁して前記過給機が発生させた給気の一部を外部へ放出することを特徴とする、請求項に記載の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
  4. 過給機(10)を備えた希薄予混合ガスエンジン(1)の前記過給機に連結された第1の油圧ポンプ(21,61,71)と、回転動力を発生させる回転動力発生体(1,7)に連結された第2の油圧ポンプ(22,52,62,72)と、前記第1の油圧ポンプの出口(21b)と前記第2の油圧ポンプの入口(22a)とを連結する第1の油路(23)と、前記第2の油圧ポンプの出口(22b)と前記第1の油圧ポンプの入口(21a)とを連結する第2の油路(24)と、前記ガスエンジンの給気路(2,14)に配設されて前記過給機での過給後の給気の給気圧力(P)を検出する給気圧力センサ(5)と、前記ガスエンジンから前記過給機へ供給される排気ガスを排気路(19)から外部へ放出するため排気バイパス弁(18)とを備え、
    前記第1の油圧ポンプ又は前記第2の油圧ポンプは、前記ガスエンジンの負荷情報を有するコントローラ(50)により作動が制御される可変容量型油圧ポンプであり、前記コントローラは、前記ガスエンジンの低負荷時に前記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して前記第2の油圧ポンプが発生させた油圧により前記第1の油圧ポンプを補助駆動して前記回転動力発生体が発生させた前記回転動力により前記過給機の回転を加勢させると共に、前記ガスエンジンの高負荷時に前記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して前記第1の油圧ポンプが発生させた油圧により前記第2の油圧ポンプを補助駆動して前記過給機の回転動力により前記回転動力発生体の回転を加勢させ、前記ガスエンジンの負荷と前記給気圧力センサが検出した前記給気圧力とに基づいて前記可変容量型油圧ポンプの作動を制御して前記第1の油圧ポンプを介して前記過給機の回転数を変化させることにより前記ガスエンジンの空燃比が最適空燃比の所定範囲内に収まるように制御し、前記回転動力発生体の前記回転動力による前記過給機への加勢と前記過給機の前記回転動力による前記回転動力発生体への加勢との間の加勢モード切替時に前記排気バイパス弁を開弁して前記ガスエンジンから前記過給機へ供給される前記排気ガスの一部を外部へ放出することを特徴とする、希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
  5. 前記コントローラ(50)は、前記ガスエンジン(1)の負荷増加時において前記回転動力発生体(1,7)の前記回転動力による前記過給機(10)への加勢の略減少開始時から前記過給機の前記回転動力による前記回転動力発生体への加勢の略増加終了時までの間だけ前記排気バイパス弁(18)を開弁して前記ガスエンジンから前記過給機へ供給される前記排気ガスの一部を外部へ放出することを特徴とする、請求項に記載の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
  6. 前記コントローラ(50)は、前記過給機(10)から前記ガスエンジン(1)へ供給される前記給気の前記給気圧力(P)を最適給気圧力(PSP2 )の所定範囲(ΔP)内に調節することにより前記ガスエンジンの前記空燃比が前記最適空燃比の前記所定範囲内に収まるように制御することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
  7. 前記ガスエンジン(1)の給気路(2,14)に配設されて前記過給機での過給後の給気温度(T)を検出する給気温度センサ(38)又は前記ガスエンジンの外部に配設されて外気温度を検出する外気温度センサ(39)をさらに備え、前記コントローラ(50)は、前記ガスエンジンの負荷に基づいて目標給気圧力(PSP1 )を算出し、前記給気温度センサが検出した前記給気温度又は前記外気温度センサが検出した前記外気温度に基づいて前記目標給気圧力を温度補正して前記最適給気圧力(PSP2 )を算出し、前記給気圧力センサ(5)が検出した前記給気圧力(P)と前記最適給気圧力との差圧(ΔP)を算出し、前記差圧が前記所定範囲(P0 )を超える場合には前記可変容量型油圧ポンプ(22,52,61,71)の作動を制御して前記第1の油圧ポンプを介して前記過給機(10)の回転数を変化させて前記給気圧力の調節を行なうことを特徴とする、請求項に記載の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
  8. 前記コントローラ(50)は、前記給気圧力センサ(5)が検出した前記給気圧力(P)から前記最適給気圧力を差し引いた差圧(ΔP)が前記所定範囲(P0 )を超える負数の場合には前記可変容量型油圧ポンプ(22,52,61,71)の作動を制御して前記第1の油圧ポンプを介して前記過給機(10)の回転数を増加させて前記給気圧力を上昇させて前記ガスエンジンの前記空燃比を希薄側へ調節することを特徴とする、請求項7に記載の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
  9. 前記コントローラ(50)は、前記給気圧力センサ(5)が検出した前記給気圧力(P)から前記最適給気圧力を差し引いた差圧(ΔP)が前記所定範囲(P0 )を超える正数の場合には前記可変容量型油圧ポンプ(22,52,61,71)の作動を制御して前記第1の油圧ポンプを介して前記過給機(10)の回転数を減少させて前記給気圧力を下降させて前記ガスエンジンの前記空燃比を濃厚側へ調節することを特徴とする、請求項又はに記載の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
  10. 前記空燃比の前記所定範囲は、零であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の希薄予混合ガスエンジンの負荷追従性向上システム。
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