JP6340527B2 - Htlv−1プロウイルスを検出するためのキット、htlv−1プロウイルスの検出方法、htlv−1プロウイルスの検出装置及びプログラム - Google Patents
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配列番号1に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号2に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号23に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号24に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号5に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号6に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号25に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号15に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号16に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号30に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号17に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号18に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号31に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号19に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号20に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号32に示される塩基配列を有する検出プローブと、
を含む、HTLV−1プロウイルスを検出するためのキットである。
また、上記第1の実施態様に記載のキットは、
配列番号21に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号22に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号33に示される塩基配列を有する検出プローブと、
をさらに含む、こととしてもよい。
また、上記第1の実施態様に記載のキットは、
配列番号7に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号8に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号26に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号9に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号10に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号27に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号11に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号12に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号28に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号13に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号14に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号29に示される塩基配列を有する検出プローブと、
をさらに含む、こととしてもよい。
また、上記第1の実施態様に記載のキットは、
内部コントロール用のプライマー対とその検出プローブとをさらに含む、こととしてもよい。
上記第1の実施態様に記載のキットを用いたHTLV−1プロウイルスの検出方法であって、
前記プライマー対それぞれを含む複数のウェルにおいて臨床サンプル由来DNAを鋳型としてHTLV−1プロウイルス核酸生成物を増幅する工程と、
前記増幅されたHTLV−1プロウイルス核酸生成物を該HTLV−1プロウイルス核酸生成物にハイブリダイズする前記検出プローブで定量し、各ウェルのCt値を得る工程と、
前記Ct値が基準値内の前記ウェルが2ウェル以上の場合、前記臨床サンプル中にHTLV−1プロウイルスが存在すると判定する工程と、を含む。
上記第1の実施態様に記載のキットを用いたHTLV−1プロウイルスの検出装置であって、
前記プライマー対それぞれを含む複数のウェルにおいて臨床サンプル由来DNAを鋳型としてHTLV−1プロウイルス核酸生成物を増幅する手段と、
前記増幅されたHTLV−1プロウイルス核酸生成物を該HTLV−1プロウイルス核酸生成物にハイブリダイズする前記検出プローブで定量し、各ウェルのCt値を得る手段と、
前記Ct値が基準値内の前記ウェルが2ウェル以上の場合、前記臨床サンプル中にHTLV−1プロウイルスが存在すると判定する手段と、を備える。
上記第1の実施態様に記載のキットを用いたHTLV−1プロウイルスの検出装置を制御するコンピュータに、
前記プライマー対それぞれを含む複数のウェルにおいて臨床サンプル由来DNAを鋳型としてHTLV−1プロウイルス核酸生成物を増幅する機能、
前記増幅されたHTLV−1プロウイルス核酸生成物を該HTLV−1プロウイルス核酸生成物にハイブリダイズする前記検出プローブで定量し、各ウェルのCt値を得る機能、
前記Ct値が基準値内の前記ウェルが2ウェル以上の場合、前記臨床サンプル中にHTLV−1プロウイルスが存在すると判定する機能、
を実現させる、プログラムである。
本明細書で使用する用語「標的」、「標的配列」または「標的結合配列」とは、基本的には、増幅および検出されるHTLV−1核酸配列をいう。これらには、増幅される本来のHTLV−1核酸配列、増幅される本来のHTLV−1核酸配列の相補性第二鎖、および増幅反応で産生される本来のHTLV−1配列のコピーのどちらかの鎖が含まれる。これらのコピーは、増幅プライマーがアニールする配列のコピーを含有するので、増幅可能な標的として機能する。
その他に、RNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせによる、サイクリングプローブ等、PCR産物の検出用プローブとされるものであれば使用可能である。
本実施形態に係るHTLV−1検出のためのプライマーは、200セット以上の新規に設定したプライマーをスクリーニングして最終的に得られたものであり、表1に示すオリゴヌクレオチドからなるプライマーを少なくとも1つ以上含む。
このオリゴヌクレオチドプライマーを最終的に選択したスクリーニング方法について、以下に述べる。
200セットのFwd−Revオリゴヌクレオチドプライマーを設定した後、下記のPCR反応でそれぞれのセットが同期的に増幅するか否かSYBER GREEN(登録商標)でスクリーニングして、200セットのうち結果の良好な40セットを選択し、その後、同じく同時期に増幅する40セットのTaqmanプローブ(登録商標)をスクリーニングして絞り込むことにより、極めて増幅特性の近いプライマー対とプローブのセット、合計11セットを得ることが出来た。その内訳は、表1にあるように、10セットが新規の配列を有するプライマー対で、他の1セットが既知のプライマーと同様の配列を有するプライマー対(pX2)であった。
また、ネガティブコントロールとしては、市販品のPBMC(ヒト末梢血単核球)由来のDNAを使用した。
HTLV−1標的結合配列の検出用に選定された新規のプライマーは、それぞれ、配列番号1〜20として表1に同定されているオリゴヌクレオチド(LTR215F、LTR215R、021F、021R、056F、056R、071F、071R、084F、084R、092F、092R、101F、101R、109F、109R、153F、153R、184F、184R)からなる、10対のプライマーを含む。さらに、配列番号21、22の既知のオリゴヌクレオチド(pX2−S、pX2−AS)からなる、1対のプライマーを含んでもよい。
さらに、同期的に増殖可能なプライマーとして厳密に選別したため、必要に応じて、long−PCR用のプライマー対として、他のプライマーと組み合わせて使用することも可能である。
HTLV−1陽性細胞(TL−Om1)を市販の健常人PBMC(ヒト末梢血単核球)で段階希釈して、PBMC中のTL−Om1細胞の濃度で、0.8%、0.02%に希釈したサンプルを準備した。以下、前者を、「TL−Om1 0.8%」、「TL−Om1 0.8%希釈率(又は0.8%濃度)」、後者を「TL−Om1 0.02%」、「TL−Om1 0.02%希釈率(又は0.02%濃度)」等という。
PCR反応は、DNA量500ng/well、PCR mixture 30μlで、PCR装置Applied Biosystems 7500 fast(登録商標)を用いて、機器のFastプログラムで95℃ 10分の後、95℃ 5秒−60℃ 30秒のPCRサーマルサイクルを40サイクル行った。内部コントロール(I.C.)として、S19−40、L11−20、RAG1−32の各プライマー及び各検出プローブを用いた(表1、参照)。
なお、本実施例では、正常細胞として健常人の末梢血単核球(PBMC)を使用した。
<低コピーHTLV−1プロウイルスの検出>
本発明の各プライマー対による、ヒト細胞内のHTLV−1プロウイルスの検出効率、特にヒト細胞内にHTLV−1プロウイルスが低コピー存在する場合の検出効率を調べた。
本来のHTLV−1プロウイルス陽性細胞の希釈率が高くなれば、つまり、検体細胞中のHTLV−1プロウイルス陽性細胞の割合が低くなれば、当該HTLV−1プロウイルスの検出率は低くなるため、本発明のプライマーを用いた同期的PCR反応法では、どの程度の希釈率で検出限界になるかを調べることも必要である。
なお、ネガティブコントロールとして、上記PBMC由来のDNAを使用した。
ここで、細胞希釈率(つまり全細胞中のHTLV−1陽性細胞の割合)をHTLV−1プロウイルスDNAのコピー数に換算すると、例えば、TL−Om1細胞には、1.8コピーのHTLV−1プロウイルスが内在するから、TL−Om1細胞希釈率0.0005%の場合、合計10ウェルで用いる約7.5×105PBMC細胞中に、合計約3.75のTL−Om1細胞が存在することとなり、つまり、7.5×105細胞分の抽出DNA(10ウェル分)中には、平均約6.75コピーのHTLV−1プロウイルスが存在(1.8コピー×(7.5×104細胞)×10ウェル×0.0005/100=6.75コピー)し、1ウェル当たりに換算すれば、平均約0.675コピーしか存在しない計算である。
本願発明の実施形態では、精度を高めるために、同期的に増幅することを確認したプライマーを使用してmultipleにPCRを行った結果、38サイクル以下でCt(Threshold Cycle)値が得られたウェルをPCR陽性ウェルとし、38サイクルより大きいCt値を示したウェルを陰性とした。そして、HTLV−1プライマーを用いたウェルのうち、複数(2カ所以上)のウェルで陽性が出た場合にHTLV−1プロウイルス陽性と判断した。
なお、表中のUDは、undeterminedの略である。
また、これ以後の実施例でも、HTLV−1プロウイルスDNA陽性の判断は、同様の方法で行った。
表2の実験において、希釈率0.001%では、LTR215、021、071、084、092、109、pX2の7つのプライマー対で、Ct値38サイクル以下で陽性と検出することができた。また、更に希釈した希釈率0.0005%では、LTR215、021、109、184の4つのプライマー対で、Ct値38サイクル以下で陽性と検出できた。なお、表2で、Ct値が38サイクルより大きいものは、陽性判定の対象から除外している。
また、さらに低頻度で、10ウェル分の検査すべき検体(約7.5×105細胞)中に、コピー数が約5〜9程度存在する場合(希釈率0.0005%、1ウェル当たり平均0.675コピー)、LTR215、109、184、021の4つのプライマー対の組合せが、HTLV−1プロウイルスの有無の判定に有用であるとの結果を得た。
そして、これら低コピーの場合でも共通して検出可能であったのは、LTR215、021、109の3つのプライマー対であった。
この3対のプライマーに、プライマー対184を加えても良く、更に、プライマー対071、084、092、pX2を加えてもよい。また、本願発明の全てのプライマーを用いてもよい。
上記の低コピーHTLV−1プロウイルスに対する高感度PCR実験の結果をふまえて、次に、JRC(日本赤十字社)血液センターで判定不能とされた検体を用いた、本発明の実施態様について説明する。
JRC検体において、1次スクリーニング(CLEIA法)で陽性で、2次スクリーニング(WB法とIF法)でWB法とIF法の判定結果が異なったもの97検体(以下、「結果不一致検体」という。)を対象に、3次スクリーニングの核酸確認検査(以下、「3次核酸確認検査」、または、「3次スクリーニング」ともいう。)として従来のPCR法を行ったところ、41例が陽性(2/2well陽性:2ウェルとも陽性)、7例が判定不能(1/2well陽性:2ウェル中、1ウェルが陽性)、49例が陰性(0/2well陽性:2ウェル中、陽性ウェル無し)との結果を得た。
上記従来のPCR法とは、pX2プライマーを用いた、通常の定量PCR法である。
このPCR反応は、市販キット(QIAamp DNA Blood midiキット(登録商標)、QIAGEN社)で抽出したゲノムDNAを鋳型として、DNA量1000ng/well、PCR mixture 20μlで、PCR装置Applied Biosystems 7500 fast(登録商標)を用いて、機器のFastプログラムで95℃ 10分の後、95℃ 5秒−60℃ 30秒のPCRサーマルサイクルを40サイクル行った。
従来のPCR法での陽性の判定は、pX2プライマーを用いた2つのウェルのうち、2ウェル共に陽性とされた場合にHTLV−1プロウイルス陽性検体と判断した。2ウェル共に陽性とされなかった場合は、HTLV−1プロウイルス陰性検体とし、2ウェル中1ウェルで陽性とされた場合は、判定不能と判断した。
JRC(日本赤十字社)のHTLV−1プロウイルスPCR検査法で判定不能とされた検体群(実施例3)及び陰性とされた検体群(実施例4)の血餅500μl相当の末梢血リンパ球(PBMC)1x106−7細胞と、TL−Om1/PBMC希釈品(陽性コントロール)1x106−7細胞を対象として、QIAamp DNA Blood midiキット(登録商標)QIAGEN社)を用いて、推奨プロトコルに従いゲノムDNA(gDNA)を精製した。
精製gDNAをスペクトロフォトメーター(機器名:ナノドロップ(登録商標)2000)でOD値測定により定量したのち、容積の1/5の容量の3M NaOAcを加え、1容量のイソプロパノールを加えてボルテックスし、従来のエタノール沈殿法によりgDNAを濃縮した。
エタノール沈殿により乾燥させたgDNAに対して、ナノドロップ2000測定値から換算して、200ng/μlになるように注射用水を加え、200ng/μlのgDNA溶液とした。
Taqman Fast Universal PCR Master Mix (2X)(登録商標)を7.5μl、左側(「第一」)プライマー、右側(「第二」)プライマー(各10μM)をそれぞれ0.6μl、Taqmanプローブ(登録商標)(10μM)を0.3μl、DW(注射用水)を1.0μl、genomic DNAを1μg(200ng/μlの場合は5μl)加え、1ウェルあたり全量15μlの反応液とした。
1検体あたりプライマーと検出プローブを加えていない反応Mixを18ウェル分調整し、それぞれのウェルへ13.5μlずつ分注した。次にプライマーと検出プローブのMixをそれぞれに相当するウェルに1.5μl(0.6+0.6+0.3μl)分注し、反応液とした。
本検出方法では、新規の20のオリゴヌクレオチドつまり、新規の10対のプライマーと、そのための10のTaqmanプローブ(登録商標)のセット、及び、4対の内部コントロール用プライマーと4つのTaqmanプローブ(登録商標)のセットを含む、キットを提供することができる。
さらに、上記プライマーとTaqmanプローブ(登録商標)とのセットに、pX2プライマーとそのためのTaqmanプローブ(登録商標)のセットを、加えても良い。
また、検出用プローブは、他の代替となるものでもよい。
プライマーやプローブと配列番号との関係等は、表1に記載した。
PCR装置Applied Biosystems 7500 fast(登録商標)を用いて、機器のFastプログラムで95℃ 10分の後、95℃ 5秒−60℃ 30秒のPCRサーマルサイクルを40サイクル行った。内部コントロール(I.C.)として、S19−40、L11−20、RAG1−32の各プライマー及び各検出プローブを用いた(表1、参照)。
本願発明の実施態様では、上記のように、精度を高めるために、同期的に増幅することを確認したプライマーを使用してmultipleにPCRを行うことで、簡便に高感度を達成することができ、下記の試験を行った結果、38サイクル以下でCt(Threshold Cycle)値が得られたウェルをPCR陽性ウェルとし、38サイクルより大きいCt値は陰性とした。
そして、10対の新規プライマー(10ウェル)及び1対のpX2プライマー(2ウェル)の反応ウェル全体(合計12ウェル)の中で、少なくとも複数(2ウェル以上)で陽性が出た場合に、HTLV−1核酸陽性と判断した。一方、従来法の、pX2プライマーによるPCRについての判定は、従来通り、2ウェルとも陽性となった場合に、HTLV−1核酸陽性と判断した。
<JRC(日本赤十字社)判定不能検体(検出限界付近検体)を用いた検討>
(検体)
1次スクリーニング(CLEIA法)では陽性だが、その後のスクリーニングで結果が不一致となった上記結果不一致検体の中で、従来のPCR法を用いて3次核酸確認検査を行っても依然として判定不能とされた、検出限界付近の極めて判定の難しい検体(判定不能検体)7例(#210、#226、#240、#254、#261、#263、#308)を対象とした。
なお、陽性コントロールとして、PBMC細胞(ヒト末梢血単核球(市販品))中に0.8%濃度または0.02%濃度のTL−Om1細胞を含むサンプル由来DNAを使用し、陰性コントロールとしてPBMC由来のDNAを用いた。
なお、前記したように、38サイクル以下でCt値が得られたウェルをPCR陽性ウェルとし、38サイクルより大きいCt値は陰性ウェルとして、2以上のウェルが陽性の場合、陽性検体と判定した。また、表中のUDは、undeterminedを意味する。
なお、このpX2プライマーは、従来のPCR法で使用されている既知のプライマーと同じであるが、上記したように、本願発明の初期のプライマースクリーニングで、同期的に増幅可能な11対のプライマー群の1つとして、他の新規のプライマーと共に選別されたものでもある。
また、LTR215、021、056、109、153、184の6対のプライマーでは、陽性判定率42.6%、LTR215、021、056、109、153、184、pX2の7対のプライマー、あるいは、LTR215、021、056、101、109、153、184の7対のプライマーでは、陽性判定率57.1%であり、更に、LTR215、021、056、109、153、184、pX2、pX2の8対のプライマーでは、陽性判定率71.4%との非常に高い陽性判定率を得ることができた。
<JRC(日本赤十字社)従来PCR法での陰性検体を用いた検討>
(検体)
上記JRCの、陽性判定された1次スクリーニング後のスクリーニング結果が不一致な検体中、従来PCR法では陰性(陽性なし)とされた、陰性検体、23例に関して検討を行った。
なお、表3と同様、前記したように、38サイクル以下でCt値が得られたウェルをPCR陽性ウェルとし、38サイクルより大きいCt値は陰性ウェルとして、2以上のウェルが陽性の場合、陽性検体と判定した。
なお、pX2プライマーは、上記したように、本願発明の初期のプライマースクリーニングで、同期的に増幅可能な11対のプライマー群の1つとして、他の新規のプライマーと共に選別されたものでもある。
つまり、やはり、従来のpX2プライマーによるPCR法では、例え、本願発明で用いる高精度PCR検出法を適用したとしても、潜在するHTLV−1プロウイルスのゲノムを検出することに限界があることが判明し、他方、本願発明に係るプライマーを用いることの有用性が明確になった。
潜在するキャリアの発見、及びキャリアによるHTLV−1感染の拡大の防止のためにも、本願発明の高精度PCR検出法が大変有用であることが実際の検体を用いて実証された。
<欠失型プロウイルス検体(#223)の検出>
前記したように、ATLの発症とHTLV−1ウイルスの欠失型変異との関連性が強く指摘されており、欠失型プロウイルスの検出ができれば大変有用であることから、この様な可能性のある検体を対象として、本発明の各プライマー対を用いた高精度PCR検出法による検出能について検討した。
なお、HTLV−1プロウイルスの欠失型変異は、ATL発症患者の40−60%で検出され、欠失がATL発症に大きく関わっていること、また、欠失にはタイプ1(5’末端側の一部欠失、5’末端側LTRは残存)とタイプ2(5’末端側LTRを含め一部欠失)が知られている(非特許文献3)。
JRC検体中で、1次スクリーニングで陽性、2次スクリーニングのWB法で陽性、IF法で判定保留となり、JRC基準で判定保留とされた11例の検体を対象とし、上記と同様の方法でDNAの精製、濃度調整等を行った。
なお、図3において、縦軸はCt値(Cycles)、横軸は各プライマー対を示す。
上記高精度PCR検出法による判定結果の有効性を検証するために、本願発明のプライマーセットの中から、上記欠失領域を挟むプライマー(LTR215F、153R)を選択し、これらをプライマー対として、KOD FX(登録商標)(PCR酵素:東洋紡株式会社)で、全長約6.3kbをカバーするlong−PCRを行ったところ、HTLV−1プロウイルス欠失タイプ1が存在することが明確になった。また、高精度PCR検出法での結果と同様、別途、完全長型のHTLV−1プロウイルスも存在していた。
また、このPCR増幅産物に関して、ダイレクトシーケンス法により塩基配列を決定した結果、この欠失は、AKT−1(ATLから分離されたHTLV−1ウイルス)配列の、nt1406−6074(4669塩基)に相当する領域の欠失であることが判明した。
なお、当該感染細胞濃度とコピー数の関係は、上記実施例2の、細胞当たり1.8コピーのHTLV−1プロウイルスDNAを有するTL−Om1の細胞濃度と検出効率に関する結果から算出したものである。
以上の結果から、表5にも示したように、従来のpX2プライマーに比べ、本願発明の高精度PCR検出法において、
(1)少なくとも、021、109の2対のプライマーを用いることによって、1コピーのHTLV−1プロウイルス内在細胞が正常細胞中に0.0018%、0.0009%という低頻度で存在しても、陽性と判定することが可能であること、及び、JRCで3次核酸確認検査でも判定不能であった検体中の一部を陽性と判定可能であること、
(2)少なくとも、LTR215、021、109の3対のプライマーを用いることによって、HTLV−1プロウイルス内在細胞が低頻度で存在しても、陽性と判定することが可能であること、JRCで3次核酸確認検査でも判定不能であった検体でも、3割程度は陽性と判定可能であること、さらに、HTLV−1プロウイルスが欠失型であっても、陽性と判定可能で、かつ欠失タイプ1も判別可能であること、
(3)少なくとも、LTR215、021、056、109、153、184の6対のプライマーを用いることによって、HTLV−1プロウイルス内在細胞が低頻度で存在しても、陽性と判定可能であること、JRCで3次核酸確認検査でも判定不能の検体でも、4割程度は陽性と判定可能であること、3次核酸確認検査で陰性とされた検体でも陽性であることを突き止められること、さらに、HTLV−1プロウイルスが欠失型であっても、陽性と判定可能で、かつ異なる欠失タイプも判別可能であること等、がわかった。
また、必要に応じて上記プライマーの組合せを変えて、long−PCR用プライマーを設定して、欠失領域の確認のためのlong−PCRを実行することも可能である。
また、本願発明は、上記の様なプライマーを用いたHTLV−1プロウイルスの検出方法を実行する、システムや装置についても、その技術的範囲に含むものである。
Claims (7)
- 配列番号1に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号2に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号23に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号24に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号5に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号6に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号25に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号15に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号16に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号30に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号17に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号18に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号31に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号19に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号20に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号32に示される塩基配列を有する検出プローブと、
を含む、HTLV−1プロウイルスを検出するためのキット。 - 配列番号21に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号22に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号33に示される塩基配列を有する検出プローブと、
をさらに含む、請求項1記載のキット。 - 配列番号7に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号8に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号26に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号9に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号10に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号27に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号11に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号12に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号28に示される塩基配列を有する検出プローブと、
配列番号13に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号14に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー対と、
配列番号29に示される塩基配列を有する検出プローブと、
をさらに含む、請求項1又は2に記載のキット。 - 内部コントロール用のプライマー対とその検出プローブとをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキット。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のキットを用いたHTLV−1プロウイルスの検出方法であって、
前記プライマー対それぞれを含む複数のウェルにおいて臨床サンプル由来DNAを鋳型としてHTLV−1プロウイルス核酸生成物を増幅する工程と、
前記増幅されたHTLV−1プロウイルス核酸生成物を該HTLV−1プロウイルス核酸生成物にハイブリダイズする前記検出プローブで定量し、各ウェルのCt値を得る工程と、
前記Ct値が基準値内の前記ウェルが2ウェル以上の場合、前記臨床サンプル中にHTLV−1プロウイルスが存在すると判定する工程と、
を含む、HTLV−1プロウイルスの検出方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のキットを用いたHTLV−1プロウイルスの検出装置であって、
前記プライマー対それぞれを含む複数のウェルにおいて臨床サンプル由来DNAを鋳型としてHTLV−1プロウイルス核酸生成物を増幅する手段と、
前記増幅されたHTLV−1プロウイルス核酸生成物を該HTLV−1プロウイルス核酸生成物にハイブリダイズする前記検出プローブで定量し、各ウェルのCt値を得る手段と、
前記Ct値が基準値内の前記ウェルが2ウェル以上の場合、前記臨床サンプル中にHTLV−1プロウイルスが存在すると判定する手段と、
を備える、HTLV−1プロウイルスの検出装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のキットを用いたHTLV−1プロウイルスの検出装置を制御するコンピュータに、
前記プライマー対それぞれを含む複数のウェルにおいて臨床サンプル由来DNAを鋳型としてHTLV−1プロウイルス核酸生成物を増幅する機能、
前記増幅されたHTLV−1プロウイルス核酸生成物を該HTLV−1プロウイルス核酸生成物にハイブリダイズする前記検出プローブで定量し、各ウェルのCt値を得る機能、
前記Ct値が基準値内の前記ウェルが2ウェル以上の場合、前記臨床サンプル中にHTLV−1プロウイルスが存在すると判定する機能、
を実現させる、プログラム。
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