JP6339005B2 - 変異酵母の製造方法、変異酵母及びこれらの利用、ならびに微生物変異用uv−led照射装置 - Google Patents

変異酵母の製造方法、変異酵母及びこれらの利用、ならびに微生物変異用uv−led照射装置 Download PDF

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Description

本発明は、変異酵母の製造方法、変異酵母及びこれらの利用、ならびに微生物変異用UV−LED照射装置に関する。特に、本発明は、変異酵母の新規製造方法、親株より高いカプロン酸エチル生成能を有し且つ親株と同等以上の発酵力を有する変異酵母及びこれらの利用、ならびに微生物変異用UV−LED照射装置に関する。
清酒、焼酎、ワイン等のアルコール飲料をはじめとする発酵飲食品の製造においては、関与する微生物が製品の品質に重要な影響を及ぼす。中でも酵母は発酵に大きな影響を与える。また、酵母はアルコール、各種香気成分、有機酸、アミノ酸等の生成に大きく関わっているため、こうした成分の生成能が異なる酵母を用いることによってアルコール飲料をはじめとする発酵飲食品の香味等を変化させることが可能となる。例えば、香気成分は、アルコール飲料等の香りに大きな影響を与える。また、有機酸はアルコール飲料等の味わいに大きな影響を与え、例えば清酒については有機酸が多いと濃醇で旨みのある味わいとなり、有機酸が少ないと淡麗ですっきりした味わいとなったりする。こうしたことから、これまでにも、香気成分生成能や、有機酸生成能に特徴を有する新規酵母の育種が盛んに行われている。
酵母の育種方法としては突然変異誘発法、交雑法、細胞融合法、遺伝子組換え法等があるが、従来から行われてきている突然変異誘発法が、現在も酵母育種の主流となっている。突然変異誘発の方法としては水銀ランプによる紫外線照射、放射線照射等の物理的変異処理法、エチルメタンスルホネート、N−メチル−N−ニトログアニジン等の薬剤を使用する化学的変異処理法等が行われている。
しかし、水銀ランプによる紫外線照射等により変異処理を行うと、目的以外の遺伝子にも変異が多数生じてしまい、得られた変異株は、親株よりも発酵力が低下してしまう等の問題が生じ、実用的な変異株を取得することが困難な場合が多い。
また、エチルメタンスルホネート処理等により酵母に変異処理を行い、脂肪酸合成酵素を阻害する抗生物質であるセルレニンに耐性を持つ株を選抜することにより、カプロン酸やカプロン酸エチルを多く生成するようになった酵母を得る方法(特許文献1)が知られている。しかしながら、該特許文献による方法でも、変異処理により取得株の発酵力が親株よりも低下してしまう欠点がある。このような酵母を使用した清酒醸造では、もろみの管理に細心の注意が必要であり、適切な管理がなされなかった場合、もろみ中で、十分にアルコールが生成されないまま発酵が停止してしまう場合がある。
また、酵母に変異処理を行い、ジメチルコハク酸(非特許文献1)、シクロヘキシミド(非特許文献2)、α−ケトグルタル酸(非特許文献3)、2−オキソグルタル酸(特許文献2)等に対する耐性株を選抜したり、ジメチルサクシネート(特許文献3)に感受性を持つ株を選抜することにより、有機酸生成能の高い酵母を取得する方法等が知られている。また、特許文献4においては、清酒用酵母の変異処理株から、リンゴ酸脱水素酵素低生産株を分離し、さらに炭素源を唯一乳酸とした場合に生育しない株を選別することで、乳酸及びリンゴ酸生成能の高い株を分離する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法もエチルメタンスルホネート処理等の従来の方法で変異処理を行っているため、得られた変異酵母は親株よりも発酵力が低下してしまう等の問題が生じ得る。
特許文献5においては、TCAサイクルに関与する酵素群の発現を促進する制御遺伝子であるHAP4遺伝子を組換えベクターで清酒酵母に導入し、有機酸を高生産する清酒酵母を取得している。しかし現状では、遺伝子組換え酵母を用いた飲食物は、そもそも消費者に受け入れられない場合が多いため、実用化は困難である。
特許文献6においては、清酒酵母について、アルギニンを単一の窒素源とする最小栄養平板培地で培養し、形成された大きいコロニーを選択して取得することでリンゴ酸高生成及びコハク酸低生成の自然変異株清酒酵母を分離する方法が提供されている。しかしながら、該文献で取得された菌株は、いずれも親株より香気成分の一つであるカプロン酸エチル生成能が劣っているか親株と比較して向上していない。
また、従来、UV−LED(紫外線LED(Light Emitting Diode))を微生物の変異に利用した例は報告されていない。
特許第2632654号公報 特許第4402779号公報 特許第2882830号公報 特許第3010549号公報 特許第4269037号公報 特開2012−170365号公報
醗酵工学会誌、70、473−477(1992) 日本醸造協会誌、88、645−647(1993) 日本醸造協会誌、98、217−220(2003)
本発明は、UV−LEDを変異の誘発に利用し、親株より高いカプロン酸エチル生成能を有し且つ親株と同等以上の発酵力を有する、実用的な変異酵母を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、親株より高いカプロン酸エチル生成能を有し且つ親株と同等以上の発酵力を有する変異酵母を提供することを目的とする。また、本発明は、該変異酵母を、良好な香味を有する発酵飲食品の製造に利用することを目的とする。更に、本発明は、微生物変異用UV−LED照射装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、最近になり実用化がなされたUV−LEDを光源として酵母への変異誘発に利用し、該光源を用いた紫外線照射後の酵母からセルレニン耐性株を選抜することにより、前記の目的に合致した変異酵母を取得できることを見出した。本発明は前記知見に基づき更に検討を重ねた結果完成されたものであり、下記に掲げるものである。
項1.次の工程を含む変異酵母の製造方法:
(1)酵母にUV−LEDを光源とする紫外線照射を行う工程、
(2)前記照射後の酵母をセルレニン含有培地で培養する工程、及び
(3)前記セルレニン含有培地で生育したセルレニン耐性酵母の中から、前記工程(1)で用いた照射前の酵母と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く、且つ、同等以上の発酵力を有する酵母を得る工程。
項2.前記工程(1)においてUV−LEDのピーク波長が240〜400nmである、項1に記載の方法。
項3.前記工程(1)において酵母が清酒酵母である、項1または2に記載の方法。
項4.更に、前記工程(3)で得た酵母の中から、前記工程(1)で用いた照射前の酵母と比較して、リンゴ酸、コハク酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の生産能が高いかまたは低い酵母を得る工程を含む、項1〜3のいずれかに記載の方法。
項5.項1〜4のいずれかに記載する方法によって得られた変異酵母。
項6.変異前の酵母と比較して、以下の条件でカプロン酸エチルの生成能が高く且つ同等以上の発酵力を有する変異酵母:
カプロン酸エチルの生成能は、該変異酵母を、Brix10%、pH4の麹エキス培地22mlにアルコールで脱水した麹8gを添加したアルコール脱水麹培地で15℃20日間培養し、得られた培地上清についてヘッドスペースガスクロマトグラフを用いて分析したカプロン酸エチル含有量が、変異前の酵母について同様に培養、分析した値と比較して2倍以上高い、
発酵力は、該培養前後のアルコール脱水麹培地の重量を測定し、その差を炭酸ガス減少量とし、変異前の酵母について同様に求めた炭酸ガス減少量と比較して、増加している、または減少している場合でも、変異酵母の炭酸ガス減少量と変異前の酵母の炭酸ガス減少量の差が、親株における炭酸ガス減少量の5重量%以内である。
項7.前記変異酵母が、更に、アルコール飲料小仕込試験に供し、得られたアルコール飲料について、ヘッドスペースガスクロマトグラフを用いて分析したカプロン酸エチル含有量が、変異前の酵母について同様に分析した値と比較して2倍以上高い酵母であり、且つ、アルコール飲料小仕込試験に供した際に目標とするアルコール分に達するまでのもろみ日数が、変異前の酵母について同様に評価したもろみ日数と比較して、短期化している、または長期化している場合でもその差が3日以内の酵母である、項6に記載の変異酵母。
項8.前記変異酵母が、更に、前記小仕込試験で得られたアルコール飲料について、有機酸分析システムを用いて分析したリンゴ酸、コハク酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸の含有量が、変異前の酵母について同様に分析した値と比較して30%以上高いまたは低い酵母である、項7に記載の変異酵母。
項9.項5〜8のいずれかに記載する変異酵母を用いることを特徴とする、発酵飲食品の製造方法。
項10.発酵飲食品がアルコール飲料である、項9に記載の製造方法。
項11.項9または10に記載する方法により製造された発酵飲食品。
項12.微生物を入れた容器を取り付け可能な容器取付部、及び
光源としてUV−LEDを取り付け可能であり、UV−LEDの波長に応じて光源を自在に可変可能な光源取付部を有し、
該容器取付部に取り付けられた容器中の微生物に対して、該光源取付部に取り付けられたUV−LEDによる紫外線照射が可能である、微生物変異用UV−LED照射装置。
項13.更に、前記容器中の微生物を攪拌可能な攪拌部を有する、項12に記載の装置。
項14.項1〜4のいずれかに記載する方法においてまたは項5〜8のいずれかに記載する変異酵母を製造するために使用される、項12または13に記載の装置。
本発明によれば、前記工程を含有する変異酵母の製造方法を新たに提供することができる。本発明の変異酵母の製造方法によれば、親株と比較して、カプロン酸エチルの生成能力が高く且つ発酵力が同等以上である変異酵母を容易に製造できる。また、本発明の変異酵母は、親株と比較して、カプロン酸エチルの生成能力が高く且つ発酵力が同等以上である。また、本発明の変異酵母を用いることで、カプロン酸エチルを豊富に含有し香味に優れた清酒、焼酎、ワイン等のアルコール飲料をはじめとする発酵飲食品を製造することができる。
また、従来の突然変異誘発法で取得した変異酵母は発酵力が親株よりも弱く、こうした酵母を用いて清酒を製造する際は、もろみの管理等に細心の注意を払う必要があった。本発明では、良好な発酵力を備えながらもより高いカプロン酸エチル生成能を有する変異酵母を容易に取得することが可能であり、従って、得られた変異酵母を用いることで特にアルコール飲料製造時のもろみ管理が非常に容易となる。
また、本発明の微生物変異用UV−LED照射装置を用いることによって、微生物を一層簡便に変異させることができる。
図1は、微生物変異用UV−LED照射装置のモデル図である。 図2は、微生物変異用UV−LED照射装置のモデル図である。 図3は、微生物変異用UV−LED照射装置のモデル図である。 図4は、UV−LEDを用いた、ピーク波長280nmの紫外線照射時における、照射距離及び照射時間と酵母の生菌数を表したグラフである。 図5は、総米200gの清酒小仕込み試験における、変異酵母と親株の発酵経過に伴う炭酸ガス減少量を示したグラフである。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
1.変異酵母の製造方法
本発明の変異酵母の製造方法は、(1)酵母にUV−LED(紫外線LED(Light Emitting Diode))を光源とする紫外線照射を行う工程、(2)前記照射後の酵母をセルレニン含有培地で培養する工程、及び(3)前記セルレニン含有培地で生育したセルレニン耐性酵母の中から、前記工程(1)で用いた照射前の酵母と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く、且つ、同等以上の発酵力を有する酵母を得る工程を含有する。
本発明の変異酵母の製造方法において照射前の酵母、すなわち親株として用いる酵母は、清酒、焼酎、ビール、ワイン、パン等の発酵飲食品の製造に用いることができる酵母であり、好ましくは清酒、焼酎、ビール、ワイン等のアルコール飲料の製造に用いることができる酵母である。この限りにおいて制限されないが、該酵母として、好ましくはサッカロマイセス(Saccharomyces)属、ザイゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属等に属する酵母が例示され、更に好ましくはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、サッカロマイセス・カールスペルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、ザイゴサッカロマイセス・ロキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等が例示される。これらは単独で用いてもよく、2以上を組み合わせて用いてもよい。
工程(1)におけるUV−LEDを光源とする紫外線の照射条件は、酵母に変異誘発がなされ、本発明において所望の変異酵母が得られる条件であれば、特に限定されるものではない。この限りにおいて制限されないが、照射する紫外線のピーク波長は好ましくは240〜400nm、より好ましくは240〜300nm、更に好ましくは270〜290nmに存在することが例示される。
酵母への照射距離も、本発明において所望の変異酵母が得られる条件であれば特に限定されず、UV−LED光源から被照射物である酵母までの距離が1〜1000mm、好ましくは10〜100mm、更に好ましくは30〜70mmが例示される。
照射時間も同様に制限されないが、1秒〜12時間、好ましくは1〜60分、より好ましくは2〜10分が例示される。
これらを実施する温度も制限されず、容易である観点から、通常は室温(約20〜30℃)で実施すればよい。
また、この限りにおいて制限されないが、好ましくは酵母への紫外線照射は、照射後にYPD寒天平板培地といった培地で生育する酵母数が、照射前の酵母数の0.1〜90%、より好ましくは40〜60%となるよう実施することが例示される。
このようにして酵母に紫外線を照射して、所望の変異酵母が得られる限り制限されないが、酵母は照射時に、生理食塩水、液体培地、緩衝液など任意の液体中に存在してもよく、平板培地に塗布するなど固体上に存在してもよい。一例として酵母を1×10〜1×1012cells/ml、好ましくは1×10〜1×10cells/mlで含有する酵母含有液に対して、あるいは、該酵母含有液を塗布した平板培地に対して、紫外線を照射することが挙げられる。液体培地や平板培地の一例として、YPD液体培地(2%ペプトン、1%酵母エキス、2%グルコース)、YPD寒天平板培地(2%ペプトン、1%酵母エキス、2%グルコース、1.5%寒天)が挙げられる。
工程(2)では、前記照射後の酵母をセルレニン含有培地で培養する。このように培養することによって、セルレニンに耐性を有する酵母を選抜することができる。培養方法の一例としては、紫外線を照射した菌体を、5〜100μM、好ましくは10〜25μMのセルレニンを含有するYPD寒天平板培地に塗布し、20〜30℃で2〜10日間、好ましくは3〜5日間培養する手順が例示され、これにより生育したセルレニンに耐性を示す株を選抜することができる。また、別の例として、前記酵母含有液をセルレニンを含有するYPD寒天平板培地に塗抹した後に、前記紫外線の照射を行い(これは、前記工程(1)に該当する)、次いでそのまま前述と同様に培養し、生育したセルレニンに耐性を示す株を選抜してもよい。
工程(3)では、前記セルレニン含有培地で生育したセルレニン耐性酵母の中から、前記工程(1)で用いた照射前の酵母と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く、且つ、同等以上の発酵力を有する酵母を得る。本工程は目的とする酵母が得られる限り制限されないが、好ましくは、前記工程(2)において生育したセルレニン耐性酵母を後述する培地で培養し、該セルレニン耐性酵母と親株のカプロン酸エチル生成量及び炭酸ガス減少量を比較することで、目的とする、親株よりカプロン酸エチルの生成能力が高く、且つ、発酵力が親株と同等以上である酵母を選抜することができる。
本発明の効果が得られる限り、該培地については特に限定されるものではないが、好ましくは、齋藤久一ほか、醸協915−921、Vol.87(1992)に記載される方法等が例示される。より好ましくは、選抜した前記セルレニン耐性株及び前記工程(1)で用いた照射前の酵母(以下、親株と称する場合がある)をそれぞれ、アルコール脱水麹培地(乾燥麹に水を加えて糖化し、濾過後に得た麹エキス培地に、アルコールで脱水した麹を加えた培地)で、10〜30℃、好ましくは15℃で、10〜30日間、好ましくは20日間培養することが例示される。このように培養して酵母を生育させることにより、前記セルレニン含有培地で生育したセルレニン耐性酵母の中から、親株と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く、且つ、同等以上の発酵力を有する酵母を選抜することができる。
なお、カプロン酸エチル生成能及び発酵力は、次のように判断する。すなわち、カプロン酸エチル生成能が親株と比較して高いとは、カプロン酸エチル生成量が親株と比較して高いことを意味し、好ましくは2倍以上高く、また、親株と同等以上の発酵力を有するとは、発酵力の指標となる炭酸ガス減少量が親株と比較して遜色ないことを意味し、好ましくは親株よりも炭酸ガス減少量が増加している(減少幅が大きい)、あるいは減少量が減少している(減少幅が小さい)が変異酵母の炭酸ガス減少量と親株の炭酸ガス減少量の差が、親株における炭酸ガス減少量の5重量%以内((親株の炭酸ガス減少量−変異酵母の炭酸ガス減少量)×100/親株の炭酸ガス減少量≦5)である。
なお、カプロン酸エチル生成量は具体的には次のように分析する。該分析は、ガスクロマトグラフを用いたヘッドスペース法にて行う。より具体的には、該分析は、前記セルレニン耐性酵母または親株をアルコール脱水麹培地(乾燥麹に水を加えて糖化し、濾過後にBrix10%、pH4に調整した麹エキス培地22mlにアルコールで脱水した麹8gを加えた培地)で15℃で20日間培養し、得られた各培地上清に対して、ガスクロマトグラフを用いたヘッドスペース法にて行い、成分の定量は内部標準法に従う。内部標準液は、カプロン酸メチル(100ppm)を用いて、前記培地上清0.9mlに内部標準液0.1mlを添加して測定する。該測定値に基づいて、該セルレニン耐性酵母と親株のカプロン酸エチル生成量を比較する。分析条件等は次の通りである。ガスクロマトグラフ:Clarus500(パーキンエルマー社製)、使用カラム:DB−WAX(内径0.25mm、長さ60m、膜厚0.25μm)、検出器:FID(Flame Ionization Detector)、試料導入部温度:200℃、カラム温度:70℃で15分間保持後、30℃/分で昇温し、180℃で5分間保持、検出器温度:230℃、キャリアーガス:ヘリウム、流速:1.2ml/分、ヘッドスペースオートサンプラー:TurboMatrix40(パーキンエルマー社製)、加温温度:80℃、加温時間:30分。これにより該セルレニン耐性酵母のカプロン酸エチル生成量が親株と比較して高いかどうか、好ましくは2倍以上高いかどうかを知ることができ、高い場合に該セルレニン耐性酵母が親株よりもカプロン酸エチルの生成能が高いと判断する。より詳細な条件は後述する実施例に記載される。
また、炭酸ガス減少量は具体的には次のように分析する。前記培養前後の培地重量を室温にて測定し、培養前後における培地重量の差を炭酸ガス減少量とし、該セルレニン耐性酵母において求めた炭酸ガス減少量と、親株について同様に求めた炭酸ガス減少量とを比較する。これにより、該セルレニン耐性酵母において求めた炭酸ガス減少量が親株において求めた減少量と比較して増加しているかどうか、または減少している場合でも、該セルレニン耐性酵母の炭酸ガス減少量と親株の炭酸ガス減少量の差が、親株における炭酸ガス減少量の5重量%以内であるかどうかを知ることができ、該セルレニン耐性酵母において求めた炭酸ガス減少量が増加している、または減少している場合でも前記5重量%以内である場合に、該セルレニン耐性酵母は親株と同等以上の発酵力を有すると判断する。より詳細な条件は後述する実施例に記載される。
更に、このように選抜した株を用いて更にアルコール飲料の小規模な仕込み試験を行い、アルコール飲料製造時におけるカプロン酸エチル生成能及び発酵力を確認してもよい。これにより、親株よりも高いカプロン酸エチル生成能を有し、且つ、親株と同等以上の発酵力を有する変異株酵母を更に選抜、取得することができる。この観点から、本発明の変異酵母の製造方法は、好ましくは、更に、前記工程(3)で得られた酵母を用いてアルコール飲料の小規模な仕込み試験を行い、前記工程(3)で得られた酵母の中から、前記工程(1)で用いた照射前の酵母と比較して、アルコール飲料製造時におけるカプロン酸エチル生成能が高く、且つ、同等以上の発酵力を有する酵母を得る工程を含有する。
なお、アルコール飲料の小規模な仕込み試験を行う該工程においてカプロン酸エチルの生成能が高いとは、変異酵母を用いてアルコール飲料を製造した際に、製造したアルコール飲料中のカプロン酸エチル含有量が、親株を用いて同様にアルコール飲料を製造した場合と比較して、増加すること、好ましくは2倍以上に増加することを意味する。
また、該工程において同等以上の発酵力とは、該工程に従い変異酵母を用いてアルコール飲料を製造した際に、目標とするアルコール分に達するまでの日数が、親株を用いてアルコール飲料を製造した場合と比較して同等以内であることを意味し、より好ましくは目標とするアルコール分に達するまでのもろみ日数が、親株と比較して短期化している、または長期化している場合でもその差が3日以内であることを意味する。
アルコール飲料の小規模な仕込み試験は、仕込み配合で総米200gの清酒小仕込み試験により行い、酵母として、前記アルコール脱水麹培地10mlで酵母を25℃、3日間培養することにより得られる酵母培養液を用い、掛米はα化米、麹は乾燥麹を用い、品温は添15℃、仲10℃、留6.5℃とし、その後9日目に最高品温が10.5℃となるように0.5℃/日ずつ品温を上昇させ、以後上槽までこの温度を維持する。留以降の炭酸ガス減少量が58g以上となった時点で遠心分離により上槽する。より詳細な条件は後述する実施例に記載される。
また、ここでカプロン酸エチル生成能は具体的には次のように分析する。該分析は、ガスクロマトグラフを用いたヘッドスペース法にて行う。より具体的には、該分析は、前記工程(3)で得られた酵母または親株を前記アルコール飲料の小規模な仕込み試験に供し、該仕込み試験を行い得られたアルコール飲料に対して、ガスクロマトグラフを用いたヘッドスペース法にて行い、成分の定量は内部標準法に従う。内部標準液は、カプロン酸メチル(100ppm)を用いて、前記アルコール飲料0.9mlに内部標準液0.1mlを添加して測定する。該測定値に基づいて、前記工程(3)で得られた酵母と親株のカプロン酸エチル生成量を比較する。分析条件等は次の通りである。ガスクロマトグラフ:Clarus500(パーキンエルマー社製)、使用カラム:DB−WAX(内径0.25mm、長さ60m、膜厚0.25μm)、検出器:FID(Flame Ionization Detector)、試料導入部温度:200℃、カラム温度:70℃で15分間保持後、30℃/分で昇温し、180℃で5分間保持、検出器温度:230℃、キャリアーガス:ヘリウム、流速:1.2ml/分、ヘッドスペースオートサンプラー:TurboMatrix40(パーキンエルマー社製)、加温温度:80℃、加温時間:30分。これにより前記工程(3)で得られた酵母のカプロン酸エチル生成量が親株と比較して高いかどうか、好ましくは2倍以上高いかどうかを知ることができ、高い場合に前記工程(3)で得られた酵母が親株よりもカプロン酸エチルの生成能が高いと判断する。より詳細な条件は後述する実施例に記載される。
また、ここで発酵力は具体的には次のように分析する。該分析は、前記小仕込み試験における留仕込み日を1日目として、前記アルコール飲料が目標とするアルコール分(例えば18%)に達するまでのもろみ日数を測定する。該測定値に基づいて、もろみ日数を比較する。これにより前記工程(3)で得られた酵母におけるもろみ日数が親株と比較して短期化しているかどうか、または長期化している場合でもその差が3日以内であるかどうかを知ることができ、短期化している、または長期化している場合でもその差が3日以内である場合に前記工程(3)で得られた酵母が親株よりも同等以上の発酵力を有すると判断する。より詳細な条件は後述する実施例に記載される。
アルコール分は、高速液体クロマトグラフ(655A−11(日立製作所社製))を用いて測定を行えばよく、得られた分析値に基づいて把握できる。分析条件は次の通りである。注入量:10μl、カラム:発酵モニター用カラム、移動相:水、移動相流量:0.6ml/分、カラム温度:25℃、検出器:RID−6A(島津製作所社製)。より詳細な条件は後述する実施例に記載される。
更に、酵母は有機酸の生成にも大きく関わっており、有機酸はアルコール飲料等の発酵飲食品の味わいに影響を与える。このため、有機酸生成能にも特徴を有する変異酵母の製造は、よりバリエーションに富んだ発酵飲食品の提供に有用である。この観点から、本発明では、アルコール飲料の小規模な仕込み試験を行い、アルコール飲料製造時における有機酸、特にリンゴ酸、コハク酸または乳酸の生成能を確認してもよい。これにより、アルコール飲料製造時において親株よりも該有機酸の生成能が高い変異酵母や親株よりも該有機酸の生成能が低い変異酵母を更に選抜、取得することができる。このことから、本発明の変異酵母の製造方法は、より好ましくは、更に、前記工程(3)で得られた酵母を用いてアルコール飲料の小規模な仕込み試験を行い、前記工程(3)で得られた酵母の中から、前記工程(1)で用いた照射前の酵母と比較して、アルコール飲料製造時におけるリンゴ酸、コハク酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸の生成能が高いまたは低い酵母を得る工程を更に含有する。
なお、ここで、有機酸の生成能が高いとは前記工程(3)で得られた酵母を用いて前記アルコール飲料の小規模な仕込み試験によりアルコール飲料を製造した際に、製造したアルコール飲料中のリンゴ酸、コハク酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸の濃度が、親株を用いて同様にアルコール飲料を製造した場合と比較して、増加すること、より好ましくはその濃度が30%以上増加することを意味する。また、有機酸の生成能が低いとは前記工程(3)で得られた酵母を用いて前記アルコール飲料の小規模な仕込み試験によりアルコール飲料を製造した際に、製造したアルコール飲料中のリンゴ酸、コハク酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸の濃度が、親株を用いて同様にアルコール飲料を製造した場合と比較して、減少すること、より好ましくは30%以上減少することを意味する。
アルコール飲料の小規模な仕込み試験は、前述と同様に説明される。該有機酸の濃度は、前記アルコール飲料について有機酸分析システムを用いて分析し、より具体的には、有機酸分析システム(日本分光社製)を使用し、ポストカラム誘導体化法により測定を行う。分析条件は次の通りである。注入量:10μl、カラム:Shodex KC−811、移動相:3mM過塩素酸、移動相流量:1.0ml/分、カラム温度:60℃、反応液:0.2mM BTB、15mMリン酸水素ナトリウム溶液、反応液流量:1.5ml/分、検出波長:445nm。より詳細な条件は後述する実施例に記載される。
本発明によれば、このように、変異前の酵母と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く且つ同等以上の発酵力を有する変異酵母を容易に製造することができる。また、本発明によれば、更に、変異前の酵母と比較して、リンゴ酸、コハク酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸の生成能が高いまたは低い変異酵母を容易に製造することができる。
本発明の製造方法により得られる変異酵母は、前記所望の特性を有する限り制限されないが、例えばNBRC110699、NBRC110700、NBRC110701の3株が例示され、いずれも独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター(〒292−0818日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、2014年10月22日)に寄託されている。NBRC110699は後述の3643株、NBRC110700は後述の3826株、NBRC110701は後述の4067株である。
2.変異酵母
本発明は変異酵母に関する。本発明の変異酵母は、変異前の酵母と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く且つ同等以上の発酵力を有する。
本発明において変異前の酵母は、前述の親株と同様に説明される。
該変異酵母において親株と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く且つ同等以上の発酵力を有するとは、次のように判断する。
変異酵母のカプロン酸エチル生成能は前述の通り判断される。すなわち、変異酵母のカプロン酸エチル生成能は、前述と同様に変異酵母をアルコール脱水麹培地で培養し、得られた培地上清についてヘッドスペースガスクロマトグラフを用いてカプロン酸エチル生成量について分析し、その結果、カプロン酸エチル生成量が親株と比較して高い酵母を、親株と比較してカプロン酸エチルの生成能が高い変異酵母と判断する。このような変異酵母として好ましくは、カプロン酸エチル生成量が親株と比較して2倍以上高い変異酵母が例示される。
変異酵母の発酵力も前述の通り判断される。すなわち前述と同様に培養前後のアルコール脱水麹培地の重量を測定し、炭酸ガス減少量が親株と比較して遜色ない酵母を、酵母と比較して同等以上の発酵力を有する酵母とする。このような変異酵母として好ましくは、前述と同様に、親株よりも炭酸ガス減少量が増加している変異酵母、あるいは減少しているが変異酵母の炭酸ガス減少量と変異前の酵母の炭酸ガス減少量の差が、親株における炭酸ガス減少量の5重量%以内である変異酵母が例示される。
本発明において変異酵母の製造方法は制限されず、このようにカプロン酸エチルの生成能が高く且つ同等以上の発酵力を有する限り制限されないが、具体的な例として、前述の変異酵母の製造方法が挙げられる。
本発明において変異酵母はこの限りにおいて制限されないが、より好ましくは、アルコール飲料の小規模な仕込み試験を行い、アルコール飲料製造時におけるカプロン酸エチル生成能及び発酵力を確認してもよい。この観点から、本発明の変異酵母として好ましくは、アルコール飲料製造時においても、親株と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く且つ同等以上の発酵力を有するものである。
アルコール飲料製造時においても、親株と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く且つ同等以上の発酵力を有するとは前述と同様に説明され、変異酵母としてより好ましくは、アルコール飲料小仕込試験に供し、得られたアルコール飲料について、ヘッドスペースガスクロマトグラフを用いて分析したカプロン酸エチル含有量が、親株について同様に分析した値と比較して2倍以上高い酵母であり、且つ、アルコール飲料小仕込試験に供した際に目標とするアルコール分に達するまでのもろみ日数が、親株について同様に評価したもろみ日数と比較して、短期化している、または長期化している場合でもその差が3日以内の酵母であることを意味する。
ここで、該アルコール飲料の小規模な仕込み試験は前述と同様に説明される。また、該仕込み試験に供した際のカプロン酸エチル生成能の分析、判断も前述と同様に説明され、変異酵母及び親株について同条件で前記仕込み試験を行い得られたアルコール飲料に対して、ガスクロマトグラフを用いたヘッドスペース法にて分析、判断され、変異酵母を用いてアルコール飲料を製造した際に、製造したアルコール飲料中のカプロン酸エチル含有量が、親株を用いてアルコール飲料を製造した場合と比較して増加した酵母、好ましくは2倍以上に増加している酵母を更に好ましい変異酵母とする。また、該仕込み試験に供した際の発酵力も前述と同様に説明され、前述と同様に前記小仕込み試験における留仕込み日を1日目として、前記アルコール飲料が目標とするアルコール分に達するまでのもろみ日数を測定、比較し、該もろみ日数が、親株と比較して短期化している、または長期化している場合でもその差が3日以内である酵母を更に好ましい変異酵母とする。
更に、酵母は有機酸の生成にも大きく関わっており、有機酸はアルコール飲料等の発酵飲食品の味わいに大きな影響を与える。このため、本発明において更に好ましくは、有機酸生成能にも特徴を有する変異酵母、特に好ましくはリンゴ酸、コハク酸または乳酸といった有機酸の生成能が、高いまたは低い変異酵母が挙げられる。該変異酵母は、一層バリエーションに富んだ発酵飲食品の提供に有用である。
これらの有機酸の分析も前述の通り実施され、前記小仕込試験で得られたアルコール飲料について、有機酸分析システムを用いて分析したリンゴ酸、コハク酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸の含有量が、親株について同様に分析した値と比較して30%以上高いまたは低い酵母を更に好ましい変異酵母とする。
このような変異酵母の製造方法も制限されず、具体的な例として前述の変異酵母の製造方法が挙げられる。
本発明の変異酵母としては、この限りにおいて制限されないが、一例として前記3株、すなわちNBRC110699、NBRC110700、NBRC110701の3株が挙げられる。該3株の主な菌学的性質を以下に例示する。
・NBRC110699
1.YPD液体培地中での培養的・形態的性質
(1)栄養細胞の大きさ:5〜10μm
(2)栄養細胞の形状:楕円形
(3)増殖の形式:出芽
2.生理学的・化学分類学的性質
(1)炭素源資化性:グルコース(+)、スクロース(+)、マルトース(±)、ラフィノース(+)
(2)炭素源発酵性:グルコース(+)、スクロース(+)
(3)顕著な有機酸の生成:リンゴ酸生成が少ない
・NBRC110700
1.YPD液体培地中での培養的・形態的性質
(1)栄養細胞の大きさ:5〜10μm
(2)栄養細胞の形状:楕円形
(3)増殖の形式:出芽
2.生理学的・化学分類学的性質
(1)炭素源資化性:グルコース(+)、スクロース(+)、マルトース(+)、ラフィノース(±)
(2)炭素源発酵性:グルコース(+)、スクロース(+)
(3)顕著な有機酸の生成:リンゴ酸生成が多い
・NBRC110701
1.YPD液体培地中での培養的・形態的性質
(1)栄養細胞の大きさ:5〜10μm
(2)栄養細胞の形状:楕円形
(3)増殖の形式:出芽
2.生理学的・化学分類学的性質
(1)炭素源資化性:グルコース(+)、スクロース(+)、マルトース(+)、ラフィノース(+)
(2)炭素源発酵性:グルコース(+)、スクロース(+)
(3)顕著な有機酸の生成:リンゴ酸生成が多い
3.発酵飲食品の製造方法及び発酵飲食品
本発明の発酵飲食品の製造方法は、前述の変異酵母を用いることを特徴とする。本発明において製造される発酵飲食品は制限されず、アルコール飲料、パン、乳飲料、味噌、醤油、漬け物等が例示され、好ましくはアルコール飲料である。
また、本発明においてアルコール飲料とは、アルコール分を1%以上含む飲料を意味し、好ましくは、清酒、ビール、発泡酒、果実酒、その他の醸造酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ、合成清酒、リキュール、粉末酒、雑酒等が例示され、より好ましくは清酒が例示される。
発酵飲食品の製造は、本発明の変異酵母を用いて、当業者であれば公知の方法に従って行うことができる。
これにより、使用する変異酵母に応じて、一層バリエーションに富んだ発酵飲食品の製造が可能になる。
4.微生物変異用UV−LED照射装置
本発明は更に、微生物を入れた容器を取り付け可能な容器取付部、及び光源としてUV−LEDを取り付け可能であり、UV−LEDの波長に応じて光源を自在に可変可能な光源取付部を有し、該容器取付部に取り付けられた容器中の微生物に対して、該光源取付部に取り付けられたUV−LEDによる紫外線照射が可能である、微生物変異用UV−LED照射装置を提供する。
ここで、微生物としては、本発明の装置により変異できる微生物である限り制限されないが、好ましくは酵母、糸状菌、細菌等が例示され、より好ましくは酵母である。本発明の装置は微生物を変異することを目的として使用されるものであり、該装置によれば、前述の変異酵母を一層容易に製造することができる。
前記微生物を入れた容器を取り付け可能な容器取付部は、微生物を入れた容器を取り付けることが可能である限り制限されず、例えば、置く、吊す等の任意の手段によって容器を装置に取付けることが可能な部分を意味する。本発明の装置は1つの容器取付部を備えていてもよく、複数の容器取付部を備えていてもよい。
また、微生物を入れた容器は、微生物を収容することが可能である限り制限されない。このような容器としてシャーレ、ビーカー、マイクロプレート等が例示される。
前記光源取付部も、光源としてUV−LEDを取り付け可能であり、UV−LEDの波長に応じて光源を自在に可変可能であり、前記容器取付部に取り付けられた容器中の微生物に対して、該光源取付部に取り付けられたUV−LEDを光源とする紫外線の照射が可能である限り制限されない。
また、所望の波長でUV−LEDによる紫外線照射が可能である限り、その取付の態様等は何ら制限されず、例えば、該光源取付部は、UV−LEDが搭載された光源を、ねじ等の任意の手段により装置に取り付けることができ、目的に応じて任意の光源に交換が可能である。本発明の装置は1つの光源取付部を備えていてもよく、複数の光源取付部を備えていてもよい。
該光源取付部に取り付けられたUV−LEDは、前記容器取付部に取り付けられた容器中の微生物に対して近接及び/または離隔するように自在に移動可能であることが好ましく、UV−LEDが前記容器取付部に取り付けられた容器中の微生物に対して鉛直方向に自在に移動可能であることがより好ましい。また、このような光源取付部の移動の可否にかかわらず、前記容器取付部及び/または微生物を入れた容器が、前記UV−LEDに対して近接及び/または離隔するように自在に移動可能であってもよい。これらの移動は、前記光源取付部、前記容器取付部、微生物を入れた容器の少なくとも1つが移動することにより達成され、移動手段は制限されない。
本発明の装置は、該容器取付部、微生物を入れた容器及び/または光源取付部を任意の位置で固定できるストッパーを有していてもよい。また、本発明の装置は、該装置以外からの光の影響を防ぐためのカバーを有していてもよく、また、カバー外部から照射距離、光源の電源を調整できる手段等を有していても良い。
また、本発明の装置は、紫外線照射中に容器中の微生物の攪拌が可能な攪拌部(スターラー等)を有していてもよい。
本発明の装置は、このほかにも、光源としてUV−LEDを用いた微生物変異用紫外線照射のために必要な手段を備えていてもよい。
このような装置のモデルとして、図1〜図3に示す装置が例示される。図1のa〜cはいずれも容器取付部及び光源取付部が支持部と連結しており、容器取付部に微生物を入れた容器が、光源取付部に光源が取り付けられている。
また、図2は更にハンドルを示した例示であり、ハンドルを回転させることにより前記容器取付部、微生物を入れた容器及び/または光源取付部の移動が可能となる。これにより、照射距離等を調整できる。より詳細な一例として図3が挙げられ、図3において光源取付部は両端2本の支持部に移動可能なように連結されており、該光源取付部は支持部の間に備えられた、ねじの溝を有する棒と螺合し、該棒と連結するはハンドルを回転させることにより該光源取付部が容器取付部に対して近接及び/または離隔するよう移動する。これにより、微生物に対するUV−LEDを用いた紫外線照射が一層適切に実施可能となる。
また、UV−LEDの光源として、発光出力波長が同一の単数または複数のLEDを使用してもよく、発光出力波長の異なる複数のLEDを使用してもよい。例えば、発光出力波長の異なる複数のLEDを用いる場合、このような光源として高出力LEDと低出力LEDの2種のLEDを使用することが例示され、高出力LEDは点灯回路に金属基板を利用し出力の安定化ができ、低出力LEDは任意LED数を取付け発光集積ができる。電源は一般的なACアタプター(出力は定電圧)を利用すればよく、基板内の電子回路で定電流制御に変換しLEDを発光することができる。また、出力が定電流である電源を使用した場合、本発明の効果が得られる限り、基板内の電子回路は不要である。
本発明について以下の実施例によって具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
試験例1:変異酵母の製造及び変異酵母
親株としてきょうかい901号酵母を使用した。きょうかい901号酵母を、YPD液体培地(2%ペプトン、1%酵母エキス、2%グルコース)で28℃2日間振盪培養後、集菌洗浄し、生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム)に懸濁し、約1×107cells/mlの菌懸濁液を調製した。この菌懸濁液8mlを直径60mmのシャーレに入れ、該菌懸濁液に対して、UV-LEDを光源とする微生物変異用UV-LED照射装置を用いてピーク波長280nmの紫外線を、シャーレの液体表面から40〜60mmの距離で、2〜6分間照射後、ピペットにより回収した菌体を生理食塩水で適宜希釈し、YPD寒天平板培地(2%ペプトン、1%酵母エキス、2%グルコース、1.5%寒天)に塗布し、28℃で4日間培養後、生育した酵母コロニー数をカウントした。照射距離及び時間とコロニー数の関係を図4に示す。前記菌懸濁液における菌数(約1×107cells/ml)を100%とした場合、照射距離40mmでは約4分、50mmでは約6分、60mmでは約8分で約10%の酵母のみがコロニーを形成した(生存率約10%)。
この結果を参考にピーク波長280nmの紫外線照射時の変異処理条件を、酵母の生存率が40〜50%となる照射距離50mm、照射時間4分とした。この条件で前述と同様にして得た菌懸濁液をシャーレに入れ、UV-LEDによる紫外線照射後、回収した菌体を12.5μMセルレニン含有YPD寒天平板培地に塗布し、28℃で4日間培養後、生育した酵母コロニー、すなわちセルレニン耐性株を選抜した。
分離したセルレニン耐性株をYPD液体培地で25℃3日間培養した培養液1mlを、アルコール脱水麹培地(Brix10%、pH4の麹エキス培地(乾燥麹G-50(精米歩合50%「山田錦」、徳島製麹社製)に4倍量の水を加えて糖化し、濾過後にBrix10%、pH4に調整した培地)22mlに、同麹をエタノールに4時間浸した後に乾燥させた、アルコール脱水麹8gを加えた培地)に添加し、15℃20日間培養し、炭酸ガス減少量の測定、ヘッドスペースガスクロマトグラフによる香気成分の分析及び酸度の測定を行い、目的とする変異酵母を選抜した。
炭酸ガス減少量の測定は、培養前後の培地重量、すなわち、アルコール脱水麹培地に前記分離したセルレニン耐性株を添加した直後の全培地重量と培養後の全培地重量を、それぞれはかりを用いて測定し、その差(セルレニン耐性株を添加した直後の全培地重量−培養後の全培地重量)を炭酸ガス減少量とした。
カプロン酸エチルを含む香気成分の分析は、ガスクロマトグラフを用いたヘッドスペース法にて行い、成分の定量は内部標準法に従った。内部標準液として、カプロン酸メチル(100ppm)を用いて、培地上清0.9mlに内部標準液0.1mlを添加して測定を行った。分析条件は次の通りである。ガスクロマトグラフ:Clarus500(パーキンエルマー社製)、使用カラム:DB-WAX(内径0.25mm、長さ60m、膜厚0.25μm)、検出器:FID(Flame Ionization Detector)、試料導入部温度:200℃、カラム温度:70℃で15分間保持後、30℃/分で昇温し、180℃で5分間保持、検出器温度:230℃、キャリアーガス:ヘリウム、流速:1.2ml/分、ヘッドスペースオートサンプラー:TurboMatrix40(パーキンエルマー社製)、加温温度:80℃、加温時間:30分。
酸度の測定は、国税庁所定分析法(平成24年2月2日付一部改正分)に従い行った。具体的には、25℃で、培地上清にブロムチモール・ブルー(B.T.B.)、ニュートラル・レッド(N.R.)の混合指示を薬数滴加え、N/10水酸化ナトリウム溶液で淡緑色を呈するまで滴定し、滴定値から算出した。
また、親株についても、前記分離したセルレニン耐性株に代えて親株を用いる以外は同様にして、炭酸ガス減少量の測定、ヘッドスペースガスクロマトグラフによる香気成分の分析及び酸度の測定を行った。
表1に、このようにして得られた変異酵母3株と親株であるきょうかい901号との比較を示す。変異酵母は3株ともアルコール脱水麹培地中で、カプロン酸エチルを親株の4倍以上生成し、炭酸ガス減少量は親株とほぼ同等であった。また、酸度は親株と比較して3826株は0.2ml高く、4067株は0.4ml高く、3643株は0.2ml低かった。
前記アルコール脱水麹培地を用いた試験により選抜した3株及び親株であるきょうかい901号を用いて、表2に示した仕込み配合で総米200gの清酒小仕込み試験を行った。酵母培養液について具体的には、該試験では、アルコール脱水麹培地(前記麹エキス培地10mlに前記アルコール脱水麹3.6gを加えた培地)に、前記3株または親株をYPD液体培地で25℃3日間培養した培養液1mlを添加し、25℃、3日間培養し、得られた酵母培養液を用いた。掛米はα化米YA-50(精米歩合50%「山田錦」)、麹は乾燥麹G−50(精米歩合50%「山田錦」)(いずれも徳島製麹社製)を用いた。品温は、添15℃、仲10℃、留6.5℃とし、その後9日目に最高品温が10.5℃となるように0.5℃/日ずつ品温を上昇させ、以後上槽までこの温度を維持した。留以降の炭酸ガス減少量が58g以上となった時点で遠心分離により上槽した。得られた製成酒の一般成分分析(日本酒度、酸度、アミノ酸度)は国税庁所定分析法(平成24年2月2日付一部改正分)に従い行った。具体的には、日本酒度は、振動式密度計(DA-640、京都電子工業社製)を用いて15℃で測定した。酸度は、25℃で、検体にブロムチモール・ブルー(B.T.B.)、ニュートラル・レッド(N.R.)の混合指示を薬数滴加え、N/10水酸化ナトリウム溶液で淡緑色を呈するまで滴定し、滴定値から算出した。アミノ酸度は、25℃で、検体にフェノールフタレイン指示薬数滴を加えてN/10水酸化ナトリウム溶液で淡桃色を呈するまで中和し、これに中性ホルマリン溶液を加え、遊離した酸をN/10水酸化ナトリウム溶液で再度淡桃色を呈するまで滴定し、滴定値から算出した。
また、アルコール分は、高速液体クロマトグラフ(655A-11(日立製作所社製))を用いて測定、算出した。分析条件は次の通りである。注入量:10μl、カラム:発酵モニター用カラム、移動相:水、移動相流量:0.6ml/分、カラム温度:25℃、検出器:示差屈折率検出器RID-6A(島津製作所社製)。
カプロン酸エチルを含む香気成分分析はヘッドスペースガスクロマトグラフを用いたヘッドスペース法にて行い、成分の定量は内部標準法に従った。内部標準液は、カプロン酸メチル(100ppm)を用いて、製成酒0.9mlに内部標準液0.1mlを添加して測定を行った。分析条件は次の通りである。ガスクロマトグラフ:Clarus500(パーキンエルマー社製)、使用カラム:DB-WAX(内径0.25mm、長さ60m、膜厚0.25μm)、検出器:FID(Flame Ionization Detector)、試料導入部温度:200℃、カラム温度:70℃で15分間保持後、30℃/分で昇温し、180℃で5分間保持、検出器温度:230℃、キャリアーガス:ヘリウム、流速:1.2ml/分、ヘッドスペースオートサンプラー:TurboMatrix40(パーキンエルマー社製)、加温温度:80℃、加温時間:30分。
有機酸は有機酸分析システム(使用カラム:Shodex KC-811、日本分光社製、)を使用し、ポストカラム誘導体化法により測定を行った。分析条件は次の通りである。注入量:10μl、カラム:Shodex KC-811、移動相:3mM過塩素酸、移動相流量:1.0ml/分、カラム温度:60℃、反応液:0.2mM BTB、15mMリン酸水素ナトリウム溶液、反応液流量:1.5ml/分、検出波長:445nm。
官能検査は4人のパネラーによる5点法(1:優良、2:良、3:普通、4:やや難あり、5:難あり)により、香り、味、総合評価について検査を行い、4人の平均値を算出した。
もろみ日数の測定は、留仕込み日を1日目として、アルコール分がおよそ18%に達するまでの日数とした。アルコール分は前述と同様にして測定、算出した。
炭酸ガス減少量の測定は、仕込み直後と上槽直前のもろみ重量を25℃にて測定し、その差を炭酸ガス減少量とした。なお、ここで、仕込み直後のもろみ重量は留仕込み直後の全重量であり、上槽直前のもろみ重量は、アルコール分がおよそ18%に達した際(表3に示す値)のもろみ重量である。また、本試験においては炭酸ガス減少量を経時的に測定した。
製成酒の分析結果について表3に示す。表3から明らかなように、例えば、カプロン酸エチルの生産量は、親株と比較して3826株は約12倍、4067株は約6倍、3643株は約5倍と非常に高い値を示した。有機酸については、例えばリンゴ酸が親株と比較して3826株は50%以上、4067株は60%以上増加し、3643株は30%以上減少した。アルコール分がおよそ18%に達するまでのもろみ日数は、親株と比較して、4067株は1日短期化し、3826株と3643株は、やや長期化したものの、その差は1日であり、発酵力の大きな低下はみられず、いずれも親株と同等か親株より高い発酵力を示した。官能検査では、親株と比較して、すべての変異株で、香りの項目が良好であり、3826株及び3643株は味、総合評価に関しても一層良好な結果を示した。
小仕込み試験における親株と変異酵母の発酵経過に伴う炭酸ガス減少量を図5に示す。4067株は親株よりも、減少量が多く、3826株と3643株は親株と比較して、大きな差はみられなかった。このことからこれらの変異酵母は親株とほぼ同等かそれ以上の発酵力を有しており、清酒醸造時等のもろみ管理が容易に行える酵母であることが、認められた。
このように、酵母にUV-LEDによる紫外線照射を行った後、セルレニン耐性を示す株を選抜することにより、カプロン酸エチル生成能が高く、且つ、発酵力が親株と同等以上の優れた変異酵母を取得できることが明らかとなった。また、これによって、有機酸、特にリンゴ酸、コハク酸、乳酸の生成能の点でも親株とは異なる優れた変異酵母を取得できることが明らかとなった。
また、UV-LEDを使用することで、従来の水銀ランプを使用した方法よりも、より穏やかな条件で変異処理が行えることから、従来に無い形質を有する変異酵母を取得することができた。
なお、前記変異酵母のうち3643株はNBRC110699、3826株はNBRC110700、4067株はNBRC110701として、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンターに寄託している。
試験例2:微生物変異用UV-LED照射装置
試験例1において、次の微生物変異用UV-LED照射装置を使用した。すなわち、次の微生物変異用UV-LED照射装置を使用して、微生物として試験例1で用いた酵母を変異させた。
用いた微生物変異用UV-LED照射装置は、容器取付部及び光源取付部を有する。本試験例では、微生物を入れた容器を取り付け可能な容器取付部を介して、酵母を入れたシャーレを該装置に置いた。また、光源としてUV-LEDを取り付け可能であり、UV-LEDの波長に応じて光源を自在に可変可能な光源取付部を介して、UV-LEDをねじで取り付けた。容器取付部と光源取付部は、支持部を介して連結している。
本試験例で用いた微生物変異用UV-LED照射装置は、前記容器取付部に取り付けられたシャーレ内の酵母に対して、前記光源取付部に取り付けられたUV-LEDによる紫外線照射が可能であり、シャーレ内の酵母と光源の距離は、該装置に備え付けられたハンドル(移動手段)を用いて、UV-LEDをシャーレ中の酵母に対して鉛直方向に移動させることにより調節した。該調節のモデル図として図3が例示される。
UV-LED光源として、ピーク波長280nmの低出力LED(2mW)を2つ用いた。電源は一般的なACアタプター(出力は定電圧)を利用し基板内の電子回路で定電流制御に変換しLEDを発光した。
また、照射時には、該装置以外からの光の影響を防ぐためのカバーをし、カバー外部から光源の電源を調整できる手段を用いることにより電源を調整した。
本発明では、酵母にUV−LEDを光源とする紫外線照射を行い突然変異を誘発し、その後、セルレニン含有培地で培養して得られた菌株の中から前述の通り所望の変異が生じた菌株を選抜することによって、親株より高いカプロン酸エチル生成能を有し且つ親株と同等以上の発酵力を有する変異酵母を容易に製造できる。該変異酵母を用いることにより、香味に特徴のあるアルコール飲料といった発酵飲食品を容易に製造することができる。また、本発明では、前述の微生物変異用UV−LED照射装置を用いることによって、微生物の変異を容易に実施することができる。

Claims (7)

  1. 次の工程を含む変異酵母の製造方法:
    (1)酵母にUV−LEDを光源とする紫外線照射を行う工程、ここで、UV−LEDのピーク波長は240〜300nmである
    (2)前記照射後の酵母をセルレニン含有培地で培養する工程、及び
    (3)前記セルレニン含有培地で生育したセルレニン耐性酵母の中から、前記工程(1)で用いた照射前の酵母と比較して、カプロン酸エチルの生成能が高く、且つ、同等以上の発酵力を有する酵母を得る工程。
  2. 前記工程(1)においてUV−LEDのピーク波長が270〜300nmである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(1)において酵母が清酒酵母である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 更に、前記工程(3)で得た酵母の中から、前記工程(1)で用いた照射前の酵母と比較して、リンゴ酸、コハク酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種の生産能が高いかまたは低い酵母を得る工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 以下の変異酵母
    サッカロマイセス セレビシエ3643株(NBRC110699)
    サッカロマイセス セレビシエ3826株(NBRC110700)、または
    サッカロマイセス セレビシエ4067株(NBRC110701)
  6. 請求項5に記載する変異酵母を用いることを特徴とする、発酵飲食品の製造方法。
  7. 発酵飲食品がアルコール飲料である、請求項に記載の製造方法。
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